(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】新規トリメタジジン塩
(51)【国際特許分類】
C07D 295/096 20060101AFI20241018BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241018BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20241018BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20241018BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241018BHJP
A61K 9/54 20060101ALI20241018BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/52 20170101ALI20241018BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20241018BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20241018BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241018BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20241018BHJP
A61P 27/02 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
C07D295/096 CSP
A61P9/10 103
A61P9/10
A61P1/08
A61K31/495
A61P43/00 121
A61K9/20
A61K9/22
A61K9/48
A61K9/54
A61K45/00
A61K47/52
A61K47/54
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/38
A61K47/04
A61K47/14
A61K31/138
A61P27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523404
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2022079054
(87)【国際公開番号】W WO2023066971
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500287019
【氏名又は名称】レ ラボラトワール セルヴィエ
【氏名又は名称原語表記】Les Laboratoires Servier
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】マイユ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラール,フレデリク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC13
4C076CC16
4C076CC44
4C076DD26
4C076DD28
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4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、亜硝酸塩の存在下でのトリメタジジンニトロソアミンの形成を低下させる新規トリメタジジン塩に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリメタジジンヘミリンゴ酸塩、トリメタジジンヘミアジピン酸塩、トリメタジジンヘミ酒石酸塩、トリメタジジンヘミリン酸塩、トリメタジジンヘミ硫酸塩、トリメタジジンヘミコハク酸塩およびトリメタジジンヘミフマル酸塩から選択されるトリメタジジン塩、その水和物、ならびにその結晶形態。
【請求項2】
トリメタジジンをリンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、リン酸、硫酸、コハク酸およびフマル酸から選択される有機酸と溶媒中で反応させてトリメタジジン/有機酸比2/1を有する対応する塩へと導く、請求項1に記載のトリメタジジン塩の合成プロセス。
【請求項3】
トリメタジジンを、0.5当量のリンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、リン酸、硫酸、コハク酸またはフマル酸と溶媒中で反応させて、トリメタジジン/リンゴ酸、トリメタジジン/アジピン酸、トリメタジジン/酒石酸、トリメタジジン/リン酸、トリメタジジン/トリメタジジン/硫酸、トリメタジジン/コハク酸またはトリメタジジン/フマル酸モル比2/1を有する対応するトリメタジジンのヘミリンゴ酸塩、ヘミアジピン酸塩、ヘミ酒石酸塩、ヘミリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘミコハク酸塩またはヘミフマル酸塩へと導く、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
溶媒が、アニソール、メチルイソブチルケトン、トルエン、n-ヘプタン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1,3-ジオキサラン(dioxalane)、テトラヒドロフラン、アセトン、メチル tert-ブチルエーテル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、およびそれらの混合物から選択される、請求項2~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のトリメタジジン塩を1種または複数種の不活性で非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤または担体との組み合わせで含む、薬学的組成物。
【請求項6】
即時放出経口錠剤の形態、持続放出経口マトリック錠の形態、または経口の1日1回投与用のカプセル中のコーティング微小顆粒の形態である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
ベータ遮断剤をさらに含む、請求項5または6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
ベータ遮断剤が、メトプロロールまたはビソプロロールである、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
狭心症の予防的処置、脈絡網膜障害の過程または血管起源のめまいの処置に使用するための、請求項1に記載のトリメタジジン塩または請求項5~8のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規トリメタジジン塩、その水和物、およびその結晶形態に関する。
【0002】
トリメタジジン、すなわち1-(2,3,4-トリメトキシベンジル)ピペラジン(式(I))は、低酸素または虚血状態に曝された細胞のエネルギー代謝を維持することによりアデノシン三リン酸(ATP)の細胞内レベルの低下を回避する化合物である。したがって、トリメタジジンは、イオンポンプの機能およびナトリウム-カリウムの膜透過流動を確保し、細胞の恒常性を維持する。
【0003】
【0004】
トリメタジジン二塩酸塩は、現在、狭心症発症の予防的処置、脈絡網膜発作、および血管起源のめまい(メニエールめまい、耳鳴り)の処置に治療的に使用されている。
【0005】
式(II)で示されるトリメタジジンニトロソアミンは、トリメタジジン塩の合成プロセス中またはそのような塩の製剤化プロセス中に、水および/または賦形剤に由来する亜硝酸塩の存在下で形成され得る不純物である。
【0006】
【0007】
本出願人は、今般、本発明のトリメタジジン塩が、亜硝酸塩の存在下でのトリメタジジンニトロソアミンの形成を低下させることが可能であることを見いだした。
【0008】
特許出願CN110105307、CN110183398およびCN110054599は、トリメタジジン二塩酸塩の流動性、低い打錠性および吸湿性の課題を克服するための、トリメタジジンのヘミシュウ酸塩、シュウ酸塩および二シュウ酸塩の合成をそれぞれ開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特に、トリメタジジンのヘミリンゴ酸塩、ヘミアジピン酸塩、ヘミ酒石酸塩、ヘミリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘミコハク酸塩およびヘミフマル酸塩に関する。
【0010】
本発明はまた、トリメタジジンを有機酸と溶媒中で反応させてトリメタジジン/有機酸比2/1を有する対応する塩へと導く、トリメタジジン塩の合成プロセスであって、
有機酸が、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、リン酸、硫酸、コハク酸およびフマル酸から選択される、プロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1a】実施例1で得られたトリメタジジンヘミアジピン酸塩の
1H NMRスペクトル
【
図1b】実施例1で得られたトリメタジジンヘミアジピン酸塩のXRPDパターン
【
図2a】実施例2で得られたトリメタジジンヘミコハク酸塩の
1H NMRスペクトル
【
図2b】実施例2で得られたトリメタジジンヘミコハク酸塩のXRPDパターン
【
図3a】実施例3で得られたトリメタジジンヘミリンゴ酸塩の
1H NMRスペクトル
【
図3b】実施例3で得られたトリメタジジンヘミリンゴ酸塩のXRPDパターン
【
図4】実施例4で得られたトリメタジジンヘミ硫酸塩のXRPDパターン
【
図5a】実施例5で得られたトリメタジジンヘミフマル酸塩の
1H NMRスペクトル
【
図5b】実施例5で得られたトリメタジジンヘミフマル酸塩のXRPDパターン
【
図6a】実施例6で得られたトリメタジジンヘミ酒石酸塩の
1H NMRスペクトル
【
図6b】実施例6で得られたトリメタジジンヘミ酒石酸塩のXRPDパターン
【
図7】実施例6で得られたトリメタジジンヘミリン酸塩のXRPDパターン
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のある実施態様では、トリメタジジンを、0.5当量のリンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、リン酸、硫酸、コハク酸またはフマル酸と溶媒中で反応させて、トリメタジジン/リンゴ酸、トリメタジジン/アジピン酸、トリメタジジン/酒石酸、トリメタジジン/リン酸、トリメタジジン/トリメタジジン/硫酸、トリメタジジン/コハク酸またはトリメタジジン/フマル酸モル比2/1を有する対応するトリメタジジンのヘミリンゴ酸塩、ヘミアジピン酸塩、ヘミ酒石酸塩、ヘミリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘミコハク酸塩またはヘミフマル酸塩へと導く。
【0013】
溶媒の中でも、とりわけ、アニソール、メチルイソブチルケトン、トルエン、n-ヘプタン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1,3-ジオキサラン(dioxalane)、テトラヒドロフラン、アセトン、メチル tert-ブチルエーテル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールまたはn-ブタノールなどのアルコール、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0014】
塩化反応は、好ましくは、20℃~70℃の温度で実施される。
【0015】
本発明のトリメタジジン塩は、亜硝酸塩の存在下でのトリメタジジンニトロソアミンの形成を低下させることが可能である。
【0016】
本発明のある実施態様によれば、本発明のトリメタジジン塩は、亜硝酸塩を含有する溶液中、40℃で22時間後に、1ppm未満のトリメタジジンニトロソアミンを形成する。
【0017】
本発明はまた、トリメタジジンのヘミリンゴ酸塩、ヘミアジピン酸塩、ヘミ酒石酸塩、ヘミリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘミコハク酸塩またはヘミフマル酸塩を1種または複数種の不活性で非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤または担体との組み合わせで含む、薬学的組成物に関する。
【0018】
有用な投与量は、患者の年齢および体重、投与経路、障害の性質および重症度ならびに任意の関連する処置に応じて変動し、1回または複数回の投与で1日当たり15mg~200mgの範囲である。
【0019】
本発明に係る薬学的組成物の中でも、特に、経口、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、経皮(per-またはtrans-cutaneous)、経鼻、直腸、舌下、経眼または呼吸器投与に適したもの、とりわけ、錠剤または糖衣錠、舌下錠、ゼラチンカプセル、カプセル、微小顆粒、坐剤、クリーム、軟膏、皮膚ゲル剤、注射用または飲用に適した調製物、エアロゾル剤、および点眼または点鼻剤を挙げることができる。
【0020】
薬学的組成物は、即時放出または持続放出組成物の形態であり得る。
【0021】
本発明の一態様によれば、薬学的組成物は、即時放出経口投与用の錠剤である。
【0022】
本発明の別の態様によれば、薬学的組成物は、持続放出経口投与用のマトリックス錠である。
【0023】
本発明の別の態様によれば、薬学的組成物は、経口の1日1回投与用のカプセル中のコーティング微小顆粒の形態である。
【0024】
トリメタジジン塩に加え、本発明に係る錠剤は、希釈剤、遅延剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、吸収剤、可塑剤、着色料および甘味料などの1種または複数種の賦形剤または担体を含む。
【0025】
賦形剤または担体の例として、以下を挙げることができる:
・希釈剤用として:ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、リン酸水素カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、セルロース、セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース、
・制御放出剤用として:エチルセルロース、エチルセルロース誘導体、例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはポリメタクリラート、
・滑沢剤用として:シリカ、タルク、ステアリン酸ならびにそのマグネシウムおよびカルシウム塩、ポリエチレングリコール、ベヘン酸グリセロールまたは安息香酸ナトリウム、
・結合剤用として:ケイ酸アルミニウムおよびマグネシウム、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムならびにポリビニルピロリドン、
・可塑剤用として:クエン酸アセチルトリブチル、グリセロール三酢酸、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルエチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸エチル、フタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、グリセロールおよび/またはプロピレングリコール、
・崩壊剤用として:寒天、アルギン酸およびそのナトリウム塩、発泡性混合物。
【0026】
錠剤中の式(I)の活性成分のパーセンテージは、好ましくは、5%~50%(重量)である。
【0027】
本発明の一態様によれば、本発明に係るトリメタジジン塩は、1種または複数種の追加の活性成分と共同で投与される。
【0028】
共同投与は、活性成分の1種を各々が含有する2種以上の別々の薬学的組成物の同時もしくは逐次の共投与形態(独立共同)、または単一投与剤形に統合された2種以上の活性成分を含む固定用量組み合わせの投与形態であり得る。
【0029】
追加の活性成分の中でも、特に、ベータ遮断剤を挙げることができる。
【0030】
本発明の一態様によれば、本発明のトリメタジジン塩は、固定用量組み合わせの形態でベータ遮断剤と共同で投与される。
【0031】
ベータ遮断剤の中でも、特に、メトプロロールおよびビソプロロールを挙げることができる。
【0032】
本発明の好ましい態様によれば、トリメタジジン塩およびビソプロロールの固定用量組み合わせは、トリメタジジン塩微小顆粒80mgとビソプロロールヘミフマル酸塩ペレット5または10mgとを含有するカプセルである。
【0033】
本発明の別の好ましい態様によれば、トリメタジジン塩およびメトプロロールの固定用量組み合わせは、トリメタジジン塩微小顆粒80mgとメトプロロールコハク酸塩ペレット47.5または95mgとを含有するカプセルである。
【0034】
ビソプロロールヘミフマル酸塩ペレットの製剤は、WO2016/071631の実施例4aにすでに開示されている。
【0035】
略語
eq. モル当量
NMR 核磁気共鳴
XRPD 粉末X線回折
【実施例】
【0036】
実験の部
実施例1、3、4、5および7の化合物について、XRPDパターンは、透過モードで作動するX線回折計を使用し、45kVおよび40mAのCuKα放射線(λ=1.5418Å)およびステップサイズ0.013°2θを用いて10分間かけて、3.5°2θから35°2θで記録した。
【0037】
実施例2および6の化合物について、XRPDパターンは、透過モードで作動するX線回折計を使用し、45kVおよび40mAのCuKα放射線(λ=1.5418Å)およびステップサイズ0.013°2θを用いて30分間かけて、3.5°2θから55°2θで記録した。
【0038】
10%より高い相対強度を有するピークのみをXRPD表に挙げている。
【0039】
化学シフト(ppm単位)は、内部標準として部分重水素化ジメチルスルホキシドまたは部分重水素化メタノールを使用し、テトラメチルシラン(TMS)を基準にして与えられる。
【0040】
部分重水素化ジメチルスルホキシドの溶液中、1D 1H NMRスペクトル上の2.5ppmの共鳴は、部分重水素化ジメチルスルホキシドによるものであり、3.30ppmの共鳴は、水の存在によるものである。
【0041】
部分重水素化メタノールの溶液中、1D 1H NMRスペクトル上の3.3ppmの共鳴は、部分重水素化メタノールによるものであり、4.83ppmの共鳴は、水の存在によるものである。
【0042】
実施例1:トリメタジジンヘミアジピン酸塩
トリメタジジン1.0gおよびアジピン酸0.28g(0.5eq)をイソプロパノール4mL中に投入した。混合物を周囲温度で22時間撹拌下に置いた。懸濁液を濾過し、粉末を真空下にて40℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は、結晶性粉末に相当する。
1H NMR:6,95 ppm、6.75 ppm、3.77ppm、3.76 ppm、3.73 ppm、3.33 ppm、2.67 ppm、2.29ppm、2.18 ppm、1.49 ppm。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
実施例2:トリメタジジンヘミコハク酸塩
プロセスA
トリメタジジン5.0gおよびコハク酸1.11gをエタノール75mL中に投入した。混合物を70℃で2時間撹拌下に置き、次いで、周囲温度で60時間撹拌した。懸濁液を濾過し、粉末を真空下にて40℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は、結晶性粉末に相当する。
1H NMR:6.96 ppm、6.75 ppm、3.77ppm、3.77 ppm、3.73 ppm、3.37 ppm、2.80 ppm、2.37ppm、2.26 ppm。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
プロセスB
トリメタジジン64kg、コハク酸14kg、水4.9kgおよびイソプロピルアルコール569kgを反応装置に投入した。
【0051】
混合物を72℃で30分間機械的撹拌下に置いた。この溶液を0.3℃/分の速度で63℃まで冷ました。63℃かつ撹拌下で60分後、懸濁液を0.25℃/分の速度で5℃まで冷却した。懸濁液を濾過し、粉末を40℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は、結晶性粉末に相当する。収率は、約91%である。
【0052】
XRPDパターンは、プロセスAの場合と同じである。
【0053】
実施例3:トリメタジジンヘミリンゴ酸塩
トリメタジジン1.0gおよびリンゴ酸0.25gをイソプロパノール4mL中に投入した。混合物を周囲温度で22時間撹拌した。懸濁液を濾過し、粉末を真空下にて40℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は、結晶性粉末に相当する。
1H NMR:6.96 ppm、6.76 ppm、3.77ppm、3.77 ppm、3.73 ppm、3.39 ppm、2.85 ppm、2.45ppm、2.40 ppm、2.30 ppm。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
実施例4:トリメタジジンヘミ硫酸塩
トリメタジジン550.0gおよび96%硫酸溶液211gをトルエン2.2L中に投入した。混合物を20℃で24時間撹拌した。懸濁液を濾過し、粉末を真空下にて40℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は、結晶性粉末に相当する。
【0058】
【0059】
【0060】
実施例5:トリメタジジンヘミフマル酸塩
トリメタジジン1.0gおよびフマル酸0.23gをイソプロパノール4mL中に投入した。混合物を周囲温度で22時間撹拌した。懸濁液を濾過し、粉末を真空下にて40℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は、結晶性粉末に相当する。
1H NMR:7.01 ppm、6.76 ppm、6.66ppm、3.87 ppm、3.84 ppm、3.82 ppm、3.56 ppm、3.12ppm、2.66 ppm。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
実施例6:トリメタジジンヘミ酒石酸塩
トリメタジジン5.0gおよびL-酒石酸1.42gをアニソール75mL中に投入した。混合物を70℃で2時間撹拌下に置き、次いで、周囲温度で60時間撹拌した。懸濁液を濾過し、粉末を真空下にて40℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は、結晶性粉末に相当する。
1H NMR:6.96 ppm、6.76 ppm、3.77ppm、3.73 ppm、3.39 ppm、2.86 ppm、2.41 ppm。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
実施例7:トリメタジジンヘミリン酸塩
トリメタジジン1.0gおよびリン酸0.18gをイソプロパノール4mL中に投入した。混合物を周囲温度で22時間撹拌した。懸濁液を濾過し、粉末を真空下にて40℃で一晩乾燥させた。得られた粉末は、結晶性粉末に相当する。
【0069】
【0070】
【0071】
実施例8:比較実験:トリメタジジンニトロソアミン形成
製剤化プロセス中のトリメタジジンニトロソアミンの形成をモデル化するために、亜硝酸ナトリウムの水溶液をトリメタジジン塩に加えた。亜硝酸ナトリウムは、医薬品製造プロセス中の水および/または賦形剤中の亜硝酸塩の存在を模倣する。
【0072】
トリメタジジン600mgに相当する量のトリメタジジン塩を2mL容量フラスコに投入した。0.12mg/mLの亜硝酸ナトリウム水溶液150□Lを2mL容量フラスコに投入し、容量を水で2mLに調整して、トリメタジジン換算で300mg/mLの溶液を得た。
【0073】
溶液を40℃で22時間撹拌した。トリメタジジンニトロソアミンの計量をLC/MSによって実施した。
【0074】
トリメタジジン二シュウ酸塩およびシュウ酸塩の溶解度が低いため、これら2種の塩を用いる実験は、トリメタジジン換算で300mg/mLの代わりに6mg/mLおよび30mg/mLでそれぞれ実施した。
【0075】
【0076】
上記結果は、本発明のトリメタジジン塩が、先行技術のトリメタジジン塩よりも優れたパフォーマンスを有することを示している。
【0077】
実施例9:即時放出製剤-トリメタジジン二塩酸塩20mgを含有する製剤に相当する
トリメタジジン塩 18.6~20.1mg(下記表を参照)
トウモロコシデンプン 26mg
マンニトール 34mg
ポリビドン 4mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
タルク 5mg
【0078】
【0079】
実施例10:MRマトリックス錠-トリメタジジン二塩酸塩35mgを含有するマトリックスMR錠に相当する
トリメタジジン塩 32.5~35.2mg(下記表を参照)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 74.0mg
ポビドン 8.7mg
リン酸水素カルシウム二水和物 80.9mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
無水コロイダルシリカ 0.4mg
【0080】
【0081】
実施例11:OD製剤-トリメタジジン二塩酸塩80mgを含有するOD製剤に相当する
トリメタジジン塩 74.4~80.5mg(下記表を参照)
ニュートラルスクロース/トウモロコシデンプン微小顆粒 36.67mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6.40mg
クエン酸アセチルトリブチル 1.20mg
エチルセルロース 8.00mg
タルク 12.00mg
ステアリン酸マグネシウム 0.43mg
【0082】
【0083】
実施例12:OD製剤-ビソプロロールヘミフマル酸塩との組み合わせ
実施例11で得られたトリメタジジン塩微小顆粒とビソプロロールヘミフマル酸塩5mgを含有するビソプロロールヘミフマル酸塩ペレットとを混ぜ合わせ、カプセル化する。
【0084】
実施例13:OD製剤-メトプロロールコハク酸塩との組み合わせ
実施例11で得られたトリメタジジン塩微小顆粒とメトプロロールコハク酸塩47.5mgまたは95mgのいずれかを含有するメトプロロールコハク酸塩ペレットとを混ぜ合わせ、カプセル化する。
【国際調査報告】