(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】フォトルミネセントタガントを有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20241018BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241018BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241018BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024523411
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2022079729
(87)【国際公開番号】W WO2023072909
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/126124
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ベサント ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】モネー パトリック フィリップ
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC14
4B162AD20
4B162AD40
(57)【要約】
エアロゾル形成基体(12)とタガント(60)とを含むエアロゾル発生物品(10)が提供されている。タガント(60)は、フォトルミネセント材料の光励起後、約50マイクロ秒~約1000マイクロ秒の発光半減期を有するフォトルミネセント材料を含む。また、エアロゾル発生物品(10)とエアロゾル発生装置(1)とを備えるエアロゾル発生システム(100)も提供されている。放射源と光検出器とを備えるエアロゾル発生装置(1)も提供されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体と、
フォトルミネセント材料であって、前記フォトルミネセント材料の光励起後、50マイクロ秒~1000マイクロ秒の発光半減期を有するフォトルミネセント材料を含むタガントと、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記フォトルミネセント材料が、100マイクロ秒~800マイクロ秒の発光半減期を有する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記フォトルミネセント材料が、100マイクロ秒~500マイクロ秒の発光半減期を有する、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記フォトルミネセント材料が、100マイクロ秒~300マイクロ秒の発光半減期を有する、請求項1、請求項2、または請求項3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記フォトルミネセント材料が、120マイクロ秒~250マイクロ秒の発光半減期を有する、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記フォトルミネセント材料が、160マイクロ秒~200マイクロ秒の発光半減期を有する、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記フォトルミネセント材料が、700ナノメートル~1050ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射によって励起可能である、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記フォトルミネセント材料が、700ナノメートル~1100ナノメートルの波長範囲内のフォトルミネセンスを呈する、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記フォトルミネセント材料が、950ナノメートル~1050ナノメートルの波長範囲内のフォトルミネセンスを呈する、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記タガントが、前記エアロゾル発生物品の外表面上に提供されている、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記タガントが、前記外表面の一部分を取り囲む連続的な帯として提供されている、請求項10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
ラッパーをさらに備え、前記タガントが前記ラッパーの表面上に提供されている、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記タガントが、前記ラッパーの前記内表面上に提供されている、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記エアロゾル形成基体がエアロゾル形成基体のセグメントとして提供されていて、かつ前記エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の前記セグメントの下流に位置付けられた少なくとも一つのさらなるセグメントをさらに備える、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記少なくとも一つのさらなるセグメントが、
エアロゾル形成基体の前記セグメントの下流に位置付けられた少なくとも一つの中空管と、
前記少なくとも一つの中空管の下流に位置付けられた少なくとも一つのフィルターセグメントと、を備える、請求項14に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項16】
前記エアロゾル形成基体がたばこを含む、請求項1~15のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項17】
前記エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の前記セグメントと熱的に接触している少なくとも一つのサセプタ要素を備える、請求項1~16のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載のエアロゾル発生物品と、
エアロゾル発生装置であって、
前記エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための空洞と、
前記エアロゾル発生物品が前記空洞内に受容されている時に、前記タガントを照射するように配設された放射源と、
前記エアロゾル発生物品が前記空洞内に受容されている時に、前記フォトルミネセント材料によって発せられた放射を検出するように配設された光検出器と、を備えるエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項19】
前記放射源が発光ダイオードを備える、請求項18に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項20】
前記発光ダイオードが700ナノメートル~1100ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射を発するように構成されている、請求項19に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項21】
前記光検出器がフォトダイオードを備える、請求項18、請求項19、または請求項20に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項22】
前記エアロゾル発生装置が、
電源と、
前記エアロゾル発生物品が前記空洞内に受容されている時に、前記発光ダイオードからの放射を用いて前記タガントを照射するために、第一の期間にわたり前記電源から前記発光ダイオードに電力を供給するように構成されたコントローラと、をさらに備える、請求項19または請求項20に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項23】
前記第一の期間が200マイクロ秒~1.5ミリ秒である、請求項22に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項24】
前記コントローラが、
前記第一の期間の後、第二の期間にわたり前記電源から前記フォトダイオードに電力を供給することと、
前記第二の期間中に、前記電源から前記発光ダイオードへの前記電力の供給を防止することと、
前記第二の期間中に、前記フォトダイオードから信号を受信することと、
前記第二の期間中に前記フォトダイオードから受信した前記信号に基づいて、前記タガントの前記フォトルミネセント材料の発光半減期を判定することと、
前記判定された発光半減期に基づいて、前記エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することと、を行うようにさらに構成されている、請求項22または請求項23と組み合わせた請求項21に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項25】
前記第二の期間が200マイクロ秒~1.5ミリ秒である、請求項24に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項26】
前記コントローラが、
前記第一の期間の後、第二の期間にわたり前記電源から前記フォトダイオードに電力を供給することと、
前記第二の期間中に、前記電源から前記発光ダイオードへの前記電力の供給を防止することと、
前記第二の期間中に前記フォトダイオードから信号を受信することであって、前記信号が前記タガントによるフォトルミネセンスの強度を示す、受信することと、
フォトルミネセンスの強度が前記第二の期間中に所定の量だけ減少するのにかかった時間を判定することと、
前記判定された時間に基づいて、前記エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することと、を行うようにさらに構成されている、請求項22または請求項23と組み合わせた請求項21に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項27】
前記エアロゾル発生装置が少なくとも一つの発熱体をさらに備える、請求項18~25のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項28】
前記コントローラが、前記判定された発光半減期を、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する発光半減期のルックアップテーブルと比較するように構成されていて、かつ前記判定された発光半減期に基づいて前記エアロゾル発生装置のさらなる動作を前記制御することが、
前記判定された発光半減期が、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応しない限り、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することと、
前記判定された発光半減期が、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体に電力を供給することと、を含む、請求項24または請求項25と組み合わせた請求項27に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項29】
前記コントローラが、前記判定された時間を、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する時間のルックアップテーブルと比較するように構成されていて、かつ前記判定された時間に基づいて前記エアロゾル発生装置のさらなる動作を前記制御することが、
前記判定された時間が、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応しない限り、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することと、
前記判定された時間が、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体に電力を供給することと、を含む、請求項27と組み合わせた請求項26に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項30】
前記少なくとも一つの発熱体がインダクタコイルを備える、請求項27、請求項28、または請求項29に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項31】
タガントを含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための空洞と、
エアロゾル発生物品が前記空洞内に受容されている時に、前記エアロゾル発生物品のタガントを照射するように配設された放射源と、
前記エアロゾル発生物品が前記空洞内に受容されている時に、前記エアロゾル発生物品のタガントによって発せられた放射を検出するように配設された光検出器と、を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項32】
前記放射源が発光ダイオードを備える、請求項31に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項33】
前記発光ダイオードが700ナノメートル~1100ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射を発するように構成されている、請求項32に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項34】
前記光検出器がフォトダイオードを備える、請求項31、請求項32、または請求項33に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項35】
電源と、
エアロゾル発生物品が前記空洞内に受容されている時に、前記発光ダイオードからの放射を用いてタガントを照射するために、第一の期間のわたり前記電源から前記発光ダイオードに電力を供給するように構成されたコントローラと、をさらに備える、請求項32または請求項33に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項36】
前記第一の期間が200マイクロ秒~1.5ミリ秒である、請求項35に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項37】
前記コントローラが、
前記第一の期間の後、第二の期間にわたり前記電源から前記フォトダイオードに電力を供給することと、
前記第二の期間中に、前記電源から前記発光ダイオードへの前記電力の供給を防止することと、
前記第二の期間中に、前記フォトダイオードから信号を受信することと、
前記第二の期間中に前記フォトダイオードから受信した前記信号に基づいて、タガントのフォトルミネセント材料の発光半減期を判定することと、
前記判定された発光半減期に基づいて、前記エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することと、を行うようにさらに構成されている、請求項35または請求項36と組み合わせた請求項34に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項38】
前記第二の期間が200マイクロ秒~1.5ミリ秒である、請求項37に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項39】
前記コントローラが、
前記第一の期間の後、第二の期間にわたり前記電源から前記フォトダイオードに電力を供給することと、
前記第二の期間中に、前記電源から前記発光ダイオードへの前記電力の供給を防止することと、
前記第二の期間中に前記フォトダイオードから信号を受信することであって、前記信号がタガントによるフォトルミネセンスの強度を示す、受信することと、
フォトルミネセンスの強度が前記第二の期間中に所定の量だけ減少するのにかかった時間を判定することと、
前記判定された時間に基づいて、前記エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することと、を行うようにさらに構成されている、請求項35または請求項36と組み合わせた請求項34に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項40】
少なくとも一つの発熱体をさらに備える、請求項31~38のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項41】
前記コントローラが、前記判定された発光半減期を、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する発光半減期のルックアップテーブルと比較するように構成されていて、かつ前記判定された発光半減期に基づいて前記エアロゾル発生装置のさらなる動作を前記制御することが、
前記判定された発光半減期が、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応しない限り、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することと、
前記判定された発光半減期が、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体に電力を供給することと、を含む、請求項37または請求項38と組み合わせた請求項40に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項42】
前記コントローラが、前記判定された時間を、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する時間のルックアップテーブルと比較するように構成されていて、かつ前記判定された時間に基づいて前記エアロゾル発生装置のさらなる動作を前記制御することが、
前記判定された時間が、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応しない限り、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することと、
前記判定された時間が、前記エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体に電力を供給することと、を含む、請求項40と組み合わせた請求項39に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項43】
前記少なくとも一つの発熱体がインダクタコイルを備える、請求項40、請求項41、または請求項42に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関する。具体的に、本開示は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関し、エアロゾル発生物品はまた、フォトルミネセント材料を含むタガントを含む。本開示はまた、エアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムに関する。本開示はまた、放射源と光検出器とを備えるエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体を燃焼することなくエアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル発生装置は、当技術分野で知られている。エアロゾル形成基体は典型的に、一つ以上のフィルターセグメントなどの他の構成要素と一緒にエアロゾル発生物品内に提供されている。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の空洞の中へのエアロゾル発生物品の挿入のためにロッド形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞の中に挿入されると、エアロゾル形成基体を加熱するように典型的に配設されている。発熱体は、空洞の中に延びる、かつエアロゾル発生物品の中に受容されている内部発熱体を備えてもよい。発熱体は、エアロゾル発生の外側の周りに延びるように配設された外部発熱体を備えてもよい。エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品との組み合わせは、エアロゾル発生システムと呼ばれてもよい。
【0003】
エアロゾル発生システムで使用するために開発されたエアロゾル発生物品は典型的に、エアロゾル形成基体の制御された加熱によって風味が発生および放出されるため、端に点火する紙巻たばこおよび他の喫煙物品で起こる燃焼なしに特別に設計されている。従って、エアロゾル発生物品の構造は、端に点火する喫煙物品の構造と異なってもよい。端に点火する喫煙物品をエアロゾル発生装置とともに使用することは、ユーザーにとって喫煙の体験の不良をもたらす場合があり、また例えば喫煙物品にはエアロゾル発生装置との適合性がないため、エアロゾル発生装置を損傷する場合もある。
【0004】
それにもかかわらず、ユーザーは、不注意にまたは別の方法で、エアロゾル発生装置がエアロゾル発生物品とともに使用されるように設計されていないエアロゾル発生装置でエアロゾル発生物品を使用しようと試みる場合があることが考えられる。例えば、ユーザーは、エアロゾル発生装置において、端に点火する紙巻たばこ、または偽造エアロゾル発生物品の使用を試みる場合がある。これは、エアロゾル発生の不良およびユーザー体験の低減をもたらす場合があり、これはエアロゾル発生装置に悪影響を及ぼす場合がある。加えて、意図されるエアロゾル発生物品以外のエアロゾル発生物品の使用は、エアロゾル発生装置を損傷する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加えて、数多くの異なるエアロゾル発生物品がある場合があり、このエアロゾル発生物品はそれぞれ、エアロゾル発生装置との使用のために構成されているが、それぞれユーザーにとって異なる喫煙の体験を提供する。エアロゾル発生装置とともに使用されるエアロゾル発生物品の種類または風味に応じて、エアロゾル発生装置の一つ以上の発熱体が、異なる時間で異なる温度に到達する(すなわち、異なる加熱プロファイルを有する)ことが望ましい場合がある。こうした実施例において、ユーザーがいかなる詳細も手動で入力する必要なく、エアロゾル発生装置が温度設定を自動的に改変することが望ましいことになる。
【0006】
エアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置と、特定のエアロゾル発生物品の存在の検出を容易にするエアロゾル発生システムとを提供することが望ましいことになる。エアロゾル発生装置が特定のエアロゾル発生物品を認識しない場合、発熱体の起動を防止してユーザー体験の不良を防止することが望ましいことになる。加えて、エアロゾル発生装置が特定の認識されたエアロゾル発生物品を検出する場合、その種のエアロゾル発生物品とともに使用するために特別に構成された特定の加熱プロファイルに従ってエアロゾル発生(装置)が発熱体を動作することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例によると、エアロゾル発生物品が提供されている。エアロゾル発生物品はエアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル発生物品はタガントを含んでもよい。タガントはフォトルミネセント材料を含んでもよい。フォトルミネセント材料は、フォトルミネセント材料の光励起後、約50マイクロ秒~約1000マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。
【0008】
本開示の別の実施例によると、エアロゾル形成基体とタガントとを含むエアロゾル発生物品が提供されている。タガントは、フォトルミネセント材料の光励起後、約50マイクロ秒~約1000マイクロ秒の発光半減期を有するフォトルミネセント材料を含む。
【0009】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル発生装置の中で加熱された時に、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生装置と分離していて、かつそれと組み合わせられるために構成されている。
【0010】
「タガント」という用語は本明細書において、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分上に提供されるフォトルミネセント材料を指すために使用され、その存在は、エアロゾル発生物品の識別を可能にするために、適切な検出器によって検出されてもよい。
【0011】
「発光半減期」という用語は本明細書において、フォトルミネセント材料が放射源によって照射された後、および放射源が除去またはスイッチオフされた後、フォトルミネセント材料による放射発光の強度が半分だけ減衰するのにかかった時間を指すために使用される。
【0012】
有利なことに、公知の発光半減期を有するフォトルミネセント材料を提供することは、エアロゾル発生装置によってエアロゾル発生物品を識別するためにタガントを使用することを可能にする。有利なことに、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置によって認識される特定のエアロゾル発生物品に応じて異なるやり方で動作するように構成されてもよい。
【0013】
有利なことに、フォトルミネセント材料を含むタガントは、識別可能なインクパターンを含む知られているシステムと比較して、偽造エアロゾル発生物品の製造中に複製することがより困難である場合がある。例えば、特定のフォトルミネセント材料と、フォトルミネセント材料が励起されうる一つ以上の放射波長と、フォトルミネセント材料が放射を発しうる一つ以上の波長とのうちの少なくとも一つを決定することなく、偽造物品を製造することは不可能である場合がある。
【0014】
有利なことに、約50マイクロ秒~約1000マイクロ秒の発光半減期を有するフォトルミネセント材料を提供することは、エアロゾル発生装置によるエアロゾル発生物品の速い識別を容易にする場合がある。
【0015】
有利なことに、約50マイクロ秒~約1000マイクロ秒の発光半減期は、エアロゾル発生装置による半減期の一貫した正確な判定を容易にするために十分に長い場合がある。フォトルミネセント材料が一つ以上の赤外線波長でフォトルミネセンスを呈する実施形態において、約50マイクロ秒~約1000マイクロ秒の発光半減期は、赤外線源への曝露後に数ミリ秒にわたり赤外線を放射する場合があるエアロゾル発生物品で使用される他の材料からタガントを区別するのに十分に長い場合がある。
【0016】
フォトルミネセント材料は、少なくとも約60マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約70マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約80マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約90マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約100マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約110マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約120マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約130マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約140マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約150マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約160マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約170マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約180マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約190マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、少なくとも約200マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。
【0017】
フォトルミネセント材料は、約900マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約800マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約700マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約600マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約500マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約400マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約300マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約280マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約260マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約250マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約240マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約230マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約220マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約210マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約200マイクロ秒未満の発光半減期を有してもよい。
【0018】
フォトルミネセント材料は、約100マイクロ秒~約800マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約100マイクロ秒~約500マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約100マイクロ秒~約300マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約120マイクロ秒~約250マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。フォトルミネセント材料は、約160マイクロ秒~約200マイクロ秒の発光半減期を有してもよい。
【0019】
フォトルミネセント材料は赤外線放射によって励起可能であることが好ましい。
【0020】
有利なことに、赤外線放射は、他の放射波長と比較して、エアロゾル発生物品を形成するために使用される材料を通してより簡単に伝達される場合がある。例えば、タガントがラッパーの内表面上に提供される実施形態において、赤外線放射はラッパーを通して伝達されて、フォトルミネセント材料を励起する場合がある。
【0021】
有利なことに、赤外線放射はエアロゾル発生物品のユーザーにとって比較的に安全である。
【0022】
フォトルミネセント材料は、約700ナノメートル~約1050ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射によって励起可能である場合がある。
【0023】
フォトルミネセント材料は、赤外線範囲内のフォトルミネセンスを呈することが好ましい。言い換えれば、フォトルミネセント材料は赤外線放射を発することが好ましい。フォトルミネセント材料は、広範な波長にわたってフォトルミネセンスを呈する場合がある。フォトルミネセント材料は、赤外線範囲内の波長でピーク発光を有することが好ましい。フォトルミネセント材料は単一のピーク放射を有してもよい。単一のピーク放射は赤外線範囲内の波長で生じることが好ましい。
【0024】
フォトルミネセント材料は、約700ナノメートル~約1100ナノメートルの波長範囲内のフォトルミネセンスを呈してもよい。フォトルミネセント材料は、約700ナノメートル~約1100ナノメートルの波長でピーク発光を有してもよい。
【0025】
フォトルミネセント材料は、約950ナノメートル~約1050ナノメートルの波長範囲内のフォトルミネセンスを呈してもよい。フォトルミネセント材料は、約950ナノメートル~約1050ナノメートルの波長でピーク発光を有してもよい。
【0026】
フォトルミネセント材料はリン光材料を含むことが好ましい。当業者は、材料の発光半減期、励起波長、発光波長に基づいて適切な材料を選択することができる。
【0027】
タガントは、任意の適切な濃度でエアロゾル発生物品の表面上に提供されてもよい。タガントは、少なくとも約200ミリグラム毎平方メートル、好ましくは少なくとも約300ミリグラム毎平方メートル、好ましくは少なくとも約400ミリグラム毎平方メートル、好ましくは少なくとも約500ミリグラム毎平方メートル、好ましくは少なくとも約600グラム毎平方メートルの密度で提供されてもよい。タガントは、約1100ミリグラム毎平方メートル未満、好ましくは約1000ミリグラム毎平方メートル未満、好ましくは約900ミリグラム毎平方メートル未満、好ましくは約800ミリグラム毎平方メートル未満、好ましくは約700ミリグラム毎平方メートル未満の密度で提供されてもよい。例えば、タガントは、約200~約1100ミリグラム毎平方メートル、好ましくは約300~約1000ミリグラム毎平方メートル、好ましくは約400~約900ミリグラム毎平方メートル、好ましくは約500~約800ミリグラム毎平方メートル、好ましくは約600~約700ミリグラム毎平方メートルの密度で提供されてもよい。タガントは、約620ミリグラム毎平方メートルの密度で提供されてもよい。
【0028】
タガントは、エアロゾル発生物品の外表面上に提供されてもよい。有利なことに、エアロゾル発生物品の外表面上にタガントを提供することは、放射源へのタガントの直接的な曝露を容易にする場合がある。有利なことに、エアロゾル発生物品の外表面上にタガントを提供することは、光検出器へのタガントの直接的な曝露を容易にする場合がある。
【0029】
タガントは、エアロゾル発生物品の内表面上に提供されてもよい。有利なことに、エアロゾル発生物品の内表面上にタガントを提供することは、タガントの汚染またはタガントへの損傷を防止または低減する場合がある。「内表面」という用語は本明細書において、エアロゾル発生物品の外部または外表面を形成しない、エアロゾル発生物品の構成要素の表面を指すために使用される。
【0030】
エアロゾル発生物品はラッパーを備えてもよい。ラッパーは紙ラッパーであってもよい。ラッパーは高分子フィルムから形成されてもよい。ラッパーは積層材料から形成されてもよい。ラッパーは、エアロゾル形成基体を取り囲むラッパーであってもよい。ラッパーはチッピングラッパーであってもよい。
【0031】
タガントはラッパーの表面上に提供されてもよい。タガントはラッパーの外表面上に提供されてもよい。タガントはラッパーの内表面上に提供されてもよい。
【0032】
ラッパーは薄いラッパーであってもよい。有利なことに、薄いラッパーは、タガントが薄いラッパーの内表面上に提供される時に、薄いラッパーを通した放射の伝達を容易にする場合がある。ラッパーは約50マイクロメートル未満の厚さを有してもよい。ラッパーは約40マイクロメートル未満の厚さを有してもよい。ラッパーは約30マイクロメートル未満の厚さを有してもよい。ラッパーは約20マイクロメートル未満の厚さを有してもよい。ラッパーは約10マイクロメートル未満の厚さを有してもよい。
【0033】
タガントは、エアロゾル発生物品の一部分を取り囲む連続的な帯として提供されてもよい。有利なことに、タガントを連続的な帯として提供することは、ユーザーが任意の特定の回転の向きでエアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置の中に挿入する必要性を除去する場合がある。
【0034】
タガントがエアロゾル発生物品の外表面上に提供される実施形態において、タガントは、外表面の一部分を取り囲む連続的な帯として提供されてもよい。
【0035】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体のセグメントとして提供されてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体のセグメントの下流に位置付けられた少なくとも一つのさらなるセグメントをさらに備えてもよい。
【0036】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル発生物品を通る気流の方向を指す。使用中に、空気は上流から下流に流れる。
【0037】
エアロゾル発生物品がラッパーを備える実施形態において、ラッパーは少なくとも一つのさらなるセグメントを取り囲んでもよい。少なくとも一つのさらなるセグメントが複数のさらなるセグメントを含む実施形態において、ラッパーはさらなるセグメントのうちの少なくとも一つを取り囲んでもよい。ラッパーは、少なくとも一つのさらなるセグメントをエアロゾル形成基体のセグメントに結合してもよい。例えば、ラッパーはチッピングラッパーまたは結合用ラッパーであってもよい。
【0038】
少なくとも一つのさらなるセグメントは、エアロゾル形成基体のセグメントの下流に位置付けられた少なくとも一つの中空管を備えてもよい。中空管はアセテート管であってもよい。中空管は厚紙管であってもよい。
【0039】
少なくとも一つのさらなるセグメントは、少なくとも一つの中空管の下流に位置付けられた少なくとも一つのフィルターセグメントを備えてもよい。少なくとも一つのフィルターセグメントはセルロースアセテート繊維を含むことが好ましい。少なくとも一つのフィルターセグメントはマウスピースを形成してもよい。少なくとも一つのフィルターセグメントは、エアロゾル発生物品の「口側端」または「下流端」に位置付けられてもよい。
【0040】
エアロゾル形成基体のセグメントは、エアロゾル発生物品の上流端に位置付けられてもよい。
【0041】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体のセグメントの上流に位置付けられた上流セグメントを備えてもよい。上流セグメントは、エアロゾル発生物品の上流端に位置付けられてもよい。上流セグメントは中空管を備えてもよい。中空管はアセテート管であってもよい。中空管は厚紙管であってもよい。
【0042】
エアロゾル形成基体はたばこを含むことが好ましい。
【0043】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成成分と液体構成成分の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0044】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの葉脈の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶融してもよい。
【0045】
本明細書で使用される「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。均質化したたばこはシートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5パーセントよりも大きいエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉の葉身とたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料のシートは、例えばたばこの処理、取り扱い、および発送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、および他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の添加物を含んでもよい。
【0046】
特に好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、または平行に延びることが好ましい。これは有利なことに、均質化したたばこ材料の捲縮したシートを集合してエアロゾル形成基体を形成するのを容易にする。しかし当然のことながら、エアロゾル発生物品に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有してもよい。ある特定の実施形態において、エアロゾル形成基体は、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、シートの幅にわたって実質的に均等に離隔している複数の実質的に平行な隆起または波形を含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0047】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートの形態を取ってもよい。別の方法として、担体は、その内表面上、またはその外表面上、またはその内表面と外表面の両方上に堆積された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば紙もしくは紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、もしくは穿孔された金属箔、または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0048】
固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するために、あるパターンで堆積されてもよい。
【0049】
上記では、固体エアロゾル形成基体を参照したが、他の形態のエアロゾル形成基体を他の実施例で使用してもよいことが当業者に明らかであろう。液体エアロゾル形成基体は、多孔性担体材料の中に吸収されてもよい。多孔性担体材料は、任意の適切な吸収性のプラグまたは本体、例えば発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維、もしくはセラミックで作製されてもよい。液体エアロゾル形成基体は使用前に、多孔性担体材料の中に保持されてもよく、または別の方法として、液体エアロゾル形成基体材料は使用中または使用の直前に、多孔性担体材料の中に放出されてもよい。例えば、液体エアロゾル形成基体はカプセル内に提供されてもよい。カプセルのシェルは、加熱に伴い溶融し、液体エアロゾル形成基体を多孔性担体材料の中に放出することが好ましい。カプセルは随意に、液体と組み合わせた固体を含有してもよい。
【0050】
別の方法として、担体は、たばこ構成成分が中に組み込まれた不織布繊維または繊維の束であってもよい。不織布繊維または繊維の束は、例えば炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含んでもよい。
【0051】
エアロゾル発生物品がエアロゾル形成基体のセグメントの下流に位置付けられた少なくとも一つのさらなるセグメントを備える実施形態において、タガントは、少なくとも一つのさらなるセグメント上に提供されてもよく、またはタガントは、少なくとも一つのさらなるセグメントの上にあるラッパーの一部分上に提供されてもよい。
【0052】
タガントの上流端は、エアロゾル形成基体のセグメントの下流端から少なくとも約0.5ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル形成基体のセグメントの下流端から少なくとも約1ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル形成基体のセグメントの下流端から少なくとも約1.5ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル形成基体のセグメントの下流端から少なくとも約2ミリメートルであってもよい。
【0053】
タガントの上流端は、エアロゾル形成基体の下流端から約5ミリメートル以内に位置してもよい。タガントの上流端は、エアロゾル形成基体の下流端から約4ミリメートル以内に位置してもよい。タガントの上流端は、エアロゾル形成基体の下流端から約3ミリメートル以内に位置してもよい。タガントの上流端は、エアロゾル形成基体の下流端から約2ミリメートル以内に位置してもよい。
【0054】
タガントの上流端は、エアロゾル形成基体の下流端から約2ミリメートルに位置してもよい。
【0055】
タガントがラッパー上に提供される実施形態において、タガントの上流端は、ラッパーの上流端と整列されてもよい。これは有利なことに、エアロゾル発生物品の製造を単純化する場合がある。
【0056】
タガントの上流端は、エアロゾル発生物品の上流端から少なくとも約10ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル発生物品の上流端から少なくとも約15ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル発生物品の上流端から少なくとも約19ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル発生物品の上流端から約19ミリメートルであってもよい。
【0057】
タガントの上流端は、エアロゾル発生物品の下流端から少なくとも約14ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル発生物品の下流端から少なくとも約20ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル発生物品の下流端から少なくとも約26ミリメートルであってもよい。タガントの上流端は、エアロゾル発生物品の下流端から約26ミリメートルであってもよい。
【0058】
タガントの下流端は、エアロゾル発生物品の下流端から少なくとも約10ミリメートルであってもよい。タガントの下流端は、エアロゾル発生物品の下流端から少なくとも約15ミリメートルであってもよい。タガントの下流端は、エアロゾル発生物品の下流端から少なくとも約19ミリメートルであってもよい。タガントの下流端は、エアロゾル発生物品の下流端から約19.5ミリメートルであってもよい。
【0059】
タガントの下流端は、エアロゾル発生物品の上流端から少なくとも約14ミリメートルであってもよい。タガントの下流端は、エアロゾル発生物品の上流端から少なくとも約20ミリメートルであってもよい。タガントの下流端は、エアロゾル発生物品の上流端から少なくとも約25ミリメートルであってもよい。タガントの下流端は、エアロゾル発生物品の上流端から約25.5ミリメートルであってもよい。
【0060】
タガントはラッパー上に印刷されてもよい。タガントはラッパー上にスプレーされてもよく、または塗布されてもよい。
【0061】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体のセグメントと熱的に接触している少なくとも一つのサセプタ要素を備えてもよい。
【0062】
少なくとも一つのサセプタ要素は、複数のサセプタ粒子を含んでもよい。複数のサセプタ粒子はエアロゾル形成基体内に分散されていることが好ましい。
【0063】
少なくとも一つのサセプタ要素は、エアロゾル形成基体のセグメント内に位置付けられた内部サセプタ要素を備えてもよい。内部サセプタ要素は、エアロゾル形成基体内に位置付けられたサセプタ材料のロッド、ピン、またはシートを備えてもよい。
【0064】
少なくとも一つのサセプタ要素は、エアロゾル形成基体のセグメントの外部表面の周りに延びる外部サセプタ要素を備えてもよい。外部サセプタ要素は、エアロゾル形成基体のセグメントの少なくとも一部分の周りに巻かれたサセプタ材料のシートを備えてもよい。
【0065】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状であることが好ましい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体のセグメントは実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体のセグメントは実質的に細長くてもよい。
【0066】
エアロゾル発生物品は、およそ30ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有してもよい。
【0067】
エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートル、好ましくはおよそ6ミリメートル~およそ10ミリメートル、好ましくはおよそ7ミリメートル~およそ8ミリメートル、好ましくはおよそ7.0ミリメートル~およそ7.4ミリメートルの外径を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ7.3ミリメートルの外径を有してもよい。
【0068】
エアロゾル形成基体のセグメントは、およそ10ミリメートル~およそ18ミリメートルの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体のセグメントの直径は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルであってもよい。
【0069】
少なくとも一つのフィルターセグメントは、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルの長さを有してもよい。少なくとも一つのフィルターセグメントは、およそ7ミリメートルの長さを有してもよい。
【0070】
本開示の別の実施例によると、本明細書に記載の実施例または実施形態のうちのいずれかによるエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための空洞を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、タガントを照射するように配設された放射源を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、フォトルミネセント材料によって発せられた放射を検出するように配設された光検出器を備えてもよい。
【0071】
本開示の別の実施例によると、本明細書に記載の実施例または実施形態のうちのいずれかによるエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための空洞を備える。エアロゾル発生装置はまた、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、タガントを照射するように配設された放射源を備える。エアロゾル発生装置はまた、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、フォトルミネセント材料によって発せられた放射を検出するように配設された光検出器を備える。
【0072】
放射源は発光ダイオードを備えてもよい。発光ダイオードは、フォトルミネセント材料が励起されうる少なくとも一つの波長を有する放射を発するように構成されていることが好ましい。発光ダイオードは、赤外線放射を発するように構成されてもよい。発光ダイオードは、約700ナノメートル~約1100ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射を発するように構成されてもよい。
【0073】
光検出器はフォトダイオードを備えてもよい。
【0074】
エアロゾル発生装置は電源を備えてもよい。
【0075】
エアロゾル発生装置は少なくとも一つの発熱体を備えてもよい。
【0076】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、発光ダイオードからの放射を用いてタガントを照射するために、第一の期間にわたり電源から発光ダイオードに電力を供給するように構成されたコントローラを備えてもよい。第一の期間は約200マイクロ秒~約1.5ミリ秒であってもよい。
【0077】
コントローラは第一の期間の後、第二の期間にわたり電源からフォトダイオードに電力を供給するように構成されてもよい。コントローラは第二の期間中に、電源から発光ダイオードへの電力の供給を防止するように構成されてもよい。コントローラは第二の期間中に、フォトダイオードから信号を受信するように構成されてもよい。信号は、タガントによるフォトルミネセンスの強度を示してもよい。
【0078】
第二の期間は約200マイクロ秒~約1.5ミリ秒であってもよい。
【0079】
コントローラは第二の期間中にフォトダイオードから受信した信号に基づいて、タガントのフォトルミネセント材料の発光半減期を判定するように構成されてもよい。コントローラは、判定された発光半減期に基づいて、エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御するように構成されてもよい。
【0080】
コントローラは、判定された発光半減期を、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する発光半減期のルックアップテーブルと比較するように構成されてもよい。コントローラは、判定された発光半減期がエアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応していない限り、判定された発光半減期に基づいてエアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することが、電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することを含むように構成されてもよい。コントローラは、判定された発光半減期が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、電源から少なくとも一つの発熱体に電力を供給するように構成されてもよい。
【0081】
コントローラは、フォトルミネセンスの強度が第二の期間中に所定の量だけ減少するのにかかった時間を判定するように構成されてもよい。コントローラは、判定された時間に基づいて、エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御するように構成されてもよい。
【0082】
コントローラは、判定された時間を、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する時間のルックアップテーブルと比較するように構成されてもよい。コントローラは、判定された時間がエアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応していない限り、判定された時間に基づいてエアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することが、電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することを含むように構成されてもよい。コントローラは、判定された時間が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、電源から少なくとも一つの発熱体に電力を供給するように構成されてもよい。
【0083】
本開示の別の実施例によると、エアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、タガントを含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための空洞を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、エアロゾル発生物品のタガントを照射するように配設された放射源を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、エアロゾル発生物品のタガントによって発せられた放射を検出するように配設された光検出器を備えてもよい。
【0084】
本開示の別の実施例によると、エアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、タガントを含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための空洞を備える。エアロゾル発生装置はまた、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、エアロゾル発生物品のタガントを照射するように配設された放射源を備える。エアロゾル発生装置はまた、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、エアロゾル発生物品のタガントによって発せられた放射を検出するように配設された光検出器を備える。
【0085】
放射源は発光ダイオードを備えてもよい。発光ダイオードは、フォトルミネセント材料が励起されうる少なくとも一つの波長を有する放射を発するように構成されていることが好ましい。発光ダイオードは、赤外線放射を発するように構成されてもよい。発光ダイオードは、約700ナノメートル~約1100ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射を発するように構成されてもよい。
【0086】
光検出器はフォトダイオードを備えてもよい。
【0087】
エアロゾル発生装置は電源を備えてもよい。
【0088】
エアロゾル発生装置は少なくとも一つの発熱体を備えてもよい。
【0089】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、発光ダイオードからの放射を用いてタガントを照射するために、第一の期間にわたり電源から発光ダイオードに電力を供給するように構成されたコントローラを備えてもよい。第一の期間は約200マイクロ秒~約1.5ミリ秒であってもよい。
【0090】
コントローラは第一の期間の後、第二の期間にわたり電源からフォトダイオードに電力を供給するように構成されてもよい。コントローラは第二の期間中に、電源から発光ダイオードへの電力の供給を防止するように構成されてもよい。コントローラは第二の期間中に、フォトダイオードから信号を受信するように構成されてもよい。信号は、タガントによるフォトルミネセンスの強度を示してもよい。
【0091】
第二の期間は約200マイクロ秒~約1.5ミリ秒であってもよい。
【0092】
コントローラは第二の期間中にフォトダイオードから受信した信号に基づいて、タガントのフォトルミネセント材料の発光半減期を判定するように構成されてもよい。コントローラは、判定された発光半減期に基づいて、エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御するように構成されてもよい。
【0093】
コントローラは、判定された発光半減期を、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する発光半減期のルックアップテーブルと比較するように構成されてもよい。コントローラは、判定された発光半減期がエアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応していない限り、判定された発光半減期に基づいてエアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することが、電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することを含むように構成されてもよい。コントローラは、判定された発光半減期が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、電源から少なくとも一つの発熱体に電力を供給するように構成されてもよい。
【0094】
コントローラは、フォトルミネセンスの強度が第二の期間中に所定の量だけ減少するのにかかった時間を判定するように構成されてもよい。コントローラは、判定された時間に基づいて、エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御するように構成されてもよい。
【0095】
コントローラは、判定された時間を、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する時間のルックアップテーブルと比較するように構成されてもよい。コントローラは、判定された時間がエアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応していない限り、判定された時間に基づいてエアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することが、電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することを含むように構成されてもよい。コントローラは、判定された時間が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、電源から少なくとも一つの発熱体に電力を供給するように構成されてもよい。
【0096】
本明細書に記載のエアロゾル発生装置を備える、本開示の実施例または実施形態のうちのいずれかにおいて、エアロゾル発生装置は以下の随意の特徴または好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
【0097】
電源は、例えばDC電圧源などの任意の適切な電源であってもよい。一つの実施形態において、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸電池、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。
【0098】
コントローラはマイクロプロセッサを備えてもよい。マイクロプロセッサは、プログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有する他の電子回路であってもよい。コントローラは、さらなる電子構成要素を備えてもよい。例えば、一部の実施形態において、コントローラは、センサー、スイッチ、ディスプレイ要素のうちのいずれかを備えてもよい。電力は装置の起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、吸煙するごとに)供給されてもよい。電力は、例えばパルス幅変調(PWM)によって、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0099】
少なくとも一つの発熱体は単一の発熱体であってもよい。少なくとも一つの発熱体は複数の発熱体を備えてもよい。
【0100】
少なくとも一つの要素は、少なくとも一つのインダクタコイルを備えてもよい。少なくとも一つのインダクタコイルは、空洞の少なくとも一部分を巻きつかれてもよい。少なくとも一つのインダクタコイルは、エアロゾル発生装置の使用中に一つ以上のサセプタ要素を誘導加熱するように配設されてもよい。一つ以上のサセプタ要素は、エアロゾル発生物品の一部を形成してもよい。一つ以上のサセプタ要素は、エアロゾル発生装置の一部を形成してもよい。
【0101】
エアロゾル発生装置は、空洞の少なくとも一部分を画定する管状サセプタ要素を備えてもよい。使用中に、空洞の中に挿入されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分は、管状サセプタ要素内に受容されてもよい。少なくとも一つのインダクタコイルは、管状サセプタ要素の外部表面の周りに延びることが好ましい。
【0102】
エアロゾル発生装置は、空洞の中に延びる、かつエアロゾル発生物品が空洞の中に挿入されている時に、エアロゾル発生物品の一部分内に受容されるように配設された一つ以上のサセプタ要素を備えてもよい。
【0103】
少なくとも一つの要素は、電気抵抗性のある発熱体であってもよい。
【0104】
電気抵抗性のある発熱体は、電気抵抗性材料を含んでもよい。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、およびセラミック材料と金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオブ含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(商標)、Kanthal(商標)および他の鉄-クロム-アルミニウム合金、鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料中に包埋、断熱材料中に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可能である。
【0105】
電気抵抗性のある発熱体は、温度と抵抗率の間の明確な関係を有する金属または金属合金を使用して形成されてもよい。この様態で形成された発熱体は動作中に、発熱体を加熱するためと、発熱体の温度をモニターするためとの両方に使用されてもよい。
【0106】
電気抵抗性のある発熱体は、剛直な担体材料または基体内に、もしくは剛直な担体材料または基体上に配置されてもよい。電気抵抗性のある発熱体は、可撓性担体材料または基体内に、もしくは可撓性担体材料または基体上に配置されてもよい。電気抵抗性のある発熱体は、セラミックまたはガラスまたはポリイミドフィルムなどの適切な絶縁材料上にトラックとして形成されてもよい。電気抵抗性のある発熱体は、二つの絶縁材料の間に挟まれてもよい。
【0107】
電気抵抗性のある発熱体は、フィルム上に形成された電気抵抗加熱トラックを有する耐熱性可撓性ポリイミドフィルムを含んでもよい。電気抵抗加熱トラックは、フィルム上に蛇行するパターンで形成されてもよい。電気抵抗加熱トラックは、本明細書に記載の適切な電気抵抗性材料のうちのいずれかを含んでもよい。
【0108】
上記の実施例のうちの一つに関して記述される特徴は、本開示の他の実施例に等しく適用されてもよい。
【0109】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0110】
実施例1:エアロゾル形成基体と、
フォトルミネセント材料であって、フォトルミネセント材料の光励起後、50マイクロ秒~1000マイクロ秒の発光半減期を有するフォトルミネセント材料を含むタガントと、を備える、エアロゾル発生物品。
実施例2:フォトルミネセント材料が、100マイクロ秒~800マイクロ秒の発光半減期を有する、実施例1に記載のエアロゾル発生物品。
実施例3:フォトルミネセント材料が、100マイクロ秒~500マイクロ秒の発光半減期を有する、実施例1または実施例2に記載のエアロゾル発生物品。
実施例4:フォトルミネセント材料が、100マイクロ秒~300マイクロ秒の発光半減期を有する、実施例1、実施例2、または実施例3に記載のエアロゾル発生物品。
実施例5:フォトルミネセント材料が、120マイクロ秒~250マイクロ秒の発光半減期を有する、実施例1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例6:フォトルミネセント材料が、160マイクロ秒~200マイクロ秒の発光半減期を有する、実施例1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例7:フォトルミネセント材料が、700ナノメートル~1050ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射によって励起可能である、実施例1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例8:フォトルミネセント材料が、700ナノメートル~1100ナノメートルの波長範囲内のフォトルミネセンスを呈する、実施例1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例9:フォトルミネセント材料が、950ナノメートル~1050ナノメートルの波長範囲内のフォトルミネセンスを呈する、実施例1~8のいずれかに記載のエアロゾ ル発生物品。
実施例10:タガントが、エアロゾル発生物品の外表面上に提供されている、実施例1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例11:タガントが、外表面の一部分を取り囲む連続的な帯として提供されている、実施例10に記載のエアロゾル発生物品。
実施例12:ラッパーをさらに備え、タガントがラッパーの表面上に提供されている、実施例1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例13:タガントが、ラッパーの内表面上に提供されている、実施例12に記載のエアロゾル発生物品。
実施例14:エアロゾル形成基体がエアロゾル形成基体のセグメントとして提供されていて、かつエアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体のセグメントの下流に位置付けられた少なくとも一つのさらなるセグメントをさらに備える、実施例1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例15:少なくとも一つのさらなるセグメントが、
エアロゾル形成基体のセグメントの下流に位置付けられた少なくとも一つの中空管と、
少なくとも一つの中空管の下流に位置付けられた少なくとも一つのフィルターセグメントと、を備える、実施例14に記載のエアロゾル発生物品。
実施例16:エアロゾル形成基体がたばこを含む、実施例1~15のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例17:エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体のセグメントと熱的に接触している少なくとも一つのサセプタ要素を備える、実施例1~16のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例18:実施例1~17のいずれかに記載のエアロゾル発生物品と、
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための空洞と、
エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、タガントを照射するように配設された放射源と、
エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、フォトルミネセント材料によって発せられた放射を検出するように配設された光検出器と、を備える、エアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システム。
実施例19:放射源が発光ダイオードを備える、実施例18に記載のエアロゾル発生システム。
実施例20:発光ダイオードが700ナノメートル~1100ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射を発するように構成されている、実施例19に記載のエアロゾル発生システム。
実施例21:光検出器がフォトダイオードを備える、実施例18、実施例19、または実施例20に記載のエアロゾル発生システム。
実施例22:エアロゾル発生装置が、
電源と、
エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、発光ダイオードからの放射を用いてタガントを照射するために、第一の期間にわたり電源から発光ダイオードに電力を供給するように構成されたコントローラと、をさらに備える、実施例19または実施例20に記載のエアロゾル発生システム。
実施例23:第一の期間が200マイクロ秒~1.5ミリ秒である、実施例22に記載のエアロゾル発生システム。
実施例24:コントローラが、
第一の期間の後、第二の期間にわたり電源からフォトダイオードに電力を供給することと、
第二の期間中に、電源から発光ダイオードへの電力の供給を防止することと、
第二の期間中に、フォトダイオードから信号を受信することと、
第二の期間中にフォトダイオードから受信した信号に基づいて、タガントのフォトルミネセント材料の発光半減期を判定することと、
判定された発光半減期に基づいて、エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することと、を行うようにさらに構成されている、実施例22または実施例23と組み合わせた実施例21に記載のエアロゾル発生システム。
実施例25:第二の期間が200マイクロ秒~1.5ミリ秒である、実施例24に記載のエアロゾル発生システム。
実施例26:コントローラが、
第一の期間の後、第二の期間にわたり電源からフォトダイオードに電力を供給することと、
第二の期間中に、電源から発光ダイオードへの電力の供給を防止することと、
第二の期間中にフォトダイオードから信号を受信することであって、信号がタガントによるフォトルミネセンスの強度を示す、受信することと、
フォトルミネセンスの強度が第二の期間中に所定の量だけ減少するのにかかった時間を判定することと、
判定された時間に基づいて、エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することと、を行うようにさらに構成されている、実施例22または実施例23と組み合わせた実施例21に記載のエアロゾル発生システム。
実施例27:エアロゾル発生装置が少なくとも一つの発熱体をさらに備える、実施例18~25のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
実施例28:コントローラが、判定された発光半減期を、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する発光半減期のルックアップテーブルと比較するように構成されていて、かつ判定された発光半減期に基づいてエアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することが、
判定された発光半減期が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応しない限り、電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することと、
判定された発光半減期が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、電源から少なくとも一つの発熱体に電力を供給することと、を含む、実施例24または実施例25と組み合わせた実施例27に記載のエアロゾル発生システム。
実施例29:コントローラが、判定された時間を、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する時間のルックアップテーブルと比較するように構成されていて、かつ判定された時間に基づいてエアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することが、
判定された時間が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応しない限り、電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することと、
判定された時間が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、電源から少なくとも一つの発熱体に電力を供給することと、を含む、実施例27と組み合わせた実施例26に記載のエアロゾル発生システム。
実施例30:少なくとも一つの発熱体がインダクタコイルを備える、実施例27、実施例28、または実施例29に記載のエアロゾル発生システム。
実施例31:
タガントを含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための空洞と、
エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、エアロゾル発生物品のタガントを照射するように配設された放射源と、
エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、エアロゾル発生物品のタガントによって発せられた放射を検出するように配設された光検出器と、を備えるエアロゾル発生装置。
実施例32:放射源が発光ダイオードを備える、実施例31に記載のエアロゾル発生装置。
実施例33:発光ダイオードが700ナノメートル~1100ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射を発するように構成されている、実施例32に記載のエアロゾル発生装置。
実施例34:光検出器がフォトダイオードを備える、実施例31、実施例32、または実施例33に記載のエアロゾル発生装置。
実施例35:
電源と、
エアロゾル発生物品が空洞内に受容されている時に、発光ダイオードからの放射を用いてタガントを照射するために、第一の期間にわたり電源から発光ダイオードに電力を供給するように構成されたコントローラと、さらに備える、実施例32または実施例33に記載のエアロゾル発生装置。
実施例36:第一の期間が200マイクロ秒~1.5ミリ秒である、実施例35に記載のエアロゾル発生装置。
実施例37:コントローラが、
第一の期間の後、第二の期間にわたり電源からフォトダイオードに電力を供給することと、
第二の期間中に、電源から発光ダイオードへの電力の供給を防止することと、
第二の期間中に、フォトダイオードから信号を受信することと、
第二の期間中にフォトダイオードから受信した信号に基づいて、タガントのフォトルミネセント材料の発光半減期を判定することと、
判定された発光半減期に基づいて、エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することと、を行うようにさらに構成されている、実施例35または実施例36と組み合わせた実施例34に記載のエアロゾル発生装置。
実施例38:第二の期間が200マイクロ秒~1.5ミリ秒である、実施例37に記載のエアロゾル発生装置。
実施例39:コントローラが、
第一の期間の後、第二の期間にわたり電源からフォトダイオードに電力を供給することと、
第二の期間中に、電源から発光ダイオードへの電力の供給を防止することと、
第二の期間中にフォトダイオードから信号を受信することであって、信号がタガントによるフォトルミネセンスの強度を示す、受信することと、
フォトルミネセンスの強度が第二の期間中に所定の量だけ減少するのにかかった時間を判定することと、
判定された時間に基づいて、エアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することと、を行うようにさらに構成されている、実施例35または実施例36と組み合わせた実施例34に記載のエアロゾル発生装置。
実施例40:少なくとも一つの発熱体をさらに備える、実施例31~38のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例41:コントローラが、判定された発光半減期を、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する発光半減期のルックアップテーブルと比較するように構成されていて、かつ判定された発光半減期に基づいてエアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することが、
判定された発光半減期が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応しない限り、電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することと、
判定された発光半減期が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、電源から少なくとも一つの発熱体に電力を供給することと、を含む、実施例37または実施例38と組み合わせた実施例40に記載のエアロゾル発生装置。
実施例42:コントローラが、判定された時間を、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品のタガントに対応する時間のルックアップテーブルと比較するように構成されていて、かつ判定された時間に基づいてエアロゾル発生装置のさらなる動作を制御することが、
判定された時間が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応しない限り、電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給を防止することと、
判定された時間が、エアロゾル発生装置との使用のために構成されたエアロゾル発生物品に対応する場合、電源から少なくとも一つの発熱体に電力を供給することと、を含む、実施例40と組み合わせた実施例39に記載のエアロゾル発生装置。
実施例43:少なくとも一つの発熱体がインダクタコイルを備える、実施例40、実施例41、または実施例42に記載のエアロゾル発生装置。
【0111】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態によるエアロゾル発生物品の概略側方断面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムの概略側方断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0113】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル形成基体12のセグメントと、エアロゾル形成基体12の下流の場所にある下流セクションとを備える。エアロゾル発生物品10は、上流端または遠位端16から下流端または口側端18に延びる。下流セクションは、中空の管状要素20およびマウスピース要素50を備える。
【0114】
エアロゾル発生物品10は、約45ミリメートルの全長および約7.2ミリメートルの外径を有する。
【0115】
エアロゾル形成基体12は、刻みたばこ材料を含む。エアロゾル形成基体12は、13重量パーセント~16重量パーセントのグリセリンを含む150ミリグラムの刻みたばこ材料を含む。エアロゾル形成基体の密度は、約300ミリグラム毎立方センチメートルである。エアロゾル形成基体12のRTDは、約6ミリメートル水柱~約8ミリメートル水柱である。エアロゾル形成基体12は、プラグラップ(図示せず)によって個別に巻かれている。
【0116】
中空の管状要素20は、エアロゾル形成基体12のすぐ下流に位置し、中空の管状要素20は、エアロゾル形成基体12と長軸方向に整列している。中空の管状要素20の上流端は、エアロゾル形成基体12の下流端に当接する。
【0117】
中空の管状要素20は、エアロゾル発生物品10の中空セクションを画定する。中空の管状要素は、エアロゾル発生物品の全体的なRTDに実質的に寄与しない。より詳細に、中空の管状要素20のRTDは、約0ミリメートル水柱である。
【0118】
中空の管状要素20は、厚紙で作製された中空の円筒状管の形態で提供されている。中空の管状要素20は、中空の管状要素20の上流端から中空の管状要素20の下流端にずっと延びる内部空洞22を画定する。内部空洞22は実質的に空であり、そのため内部空洞22に沿って、実質的に制限のない気流が可能である。中空の管状要素20は、エアロゾル発生物品10の全体的なRTDに実質的に寄与しない。
【0119】
中空の管状要素20は、約21ミリメートルの長さと、約7.2ミリメートルの外径と、約6.7ミリメートルの内径とを有する。中空の管状要素20の周辺壁の厚さは、約0.25ミリメートルである。
【0120】
エアロゾル発生物品10は、中空の管状要素20に沿った場所に提供された通気ゾーン30を備える。より詳細に、通気ゾーン30は、物品10の下流端18から約16ミリメートルにて提供されている。通気ゾーン30は、エアロゾル形成基体12の下流端から約12mm下流に提供されている。通気ゾーン30は、マウスピース要素50の上流端から約9ミリメートル上流に提供されている。通気ゾーン30は、中空の管状要素20を囲む、開口部または穿孔の円周状の列を備える。通気ゾーン30の穿孔は、物品10の外部から内部空洞22の中への流体の侵入を可能にするために、中空の管状要素20の壁を通って延びる。エアロゾル発生物品10の通気レベルは、約16パーセントである。
【0121】
エアロゾル形成基体12と、エアロゾル形成基体12の下流の場所にある下流セクションとに加えて、エアロゾル発生物品10は、エアロゾル形成基体12の上流の場所にある上流セクションを備える。このように、エアロゾル発生物品10は、上流セクションの上流端と実質的に一致する遠位端16から、下流セクションの下流端と実質的に一致する口側端または下流端18に延びる。
【0122】
上流セクションは、エアロゾル形成基体12のすぐ上流に位置する上流要素42を備え、上流要素42は、エアロゾル形成基体12と長軸方向に整列している。上流要素42の下流端は、エアロゾル形成基体12の上流端に当接する。上流要素42は、約1ミリメートルの壁厚さを有する、かつ内部空洞23を画定するセルロースアセテートトウの中空の円筒状プラグの形態で提供されている。上流要素42は、約5ミリメートルの長さを有する。上流要素42の外径は、約7.1ミリメートルである。上流要素42の内径は、約5.1ミリメートルである。
【0123】
マウスピース要素50は、中空の管状要素20の下流端から、エアロゾル発生物品10の下流端または口側端に延びる。マウスピース要素50は、約7ミリメートルの長さを有する。マウスピース要素50の外径は、約7.2ミリメートルである。マウスピース要素50は、低密度のセルロースアセテートフィルターセグメントを備える。マウスピース要素50のRTDは、約8ミリメートル水柱である。マウスピース要素50は、プラグラップ(図示せず)によって個別に巻かれてもよい。
【0124】
図1に示す通り、物品10は、上流要素42と、エアロゾル形成基体12と、中空の管状要素20とを囲む上流ラッパー44を備える。通気ゾーン30はまた、上流ラッパー44上に提供された穿孔の円周状の列も備えてもよい。上流ラッパー44の穿孔は、中空の管状要素20上に提供された穿孔と重なる。その結果、上流ラッパー44は、中空の管状要素20上に提供された通気ゾーン30の穿孔の上にある。
【0125】
物品10はまた、中空の管状要素20とマウスピース要素50とを囲むチッピングラッパー52を備える。チッピングラッパー52は、中空の管状要素20の上にある上流ラッパー44の部分の上にある。従って、チッピングラッパー52は、マウスピース要素50を物品10の残りの構成要素に固定する。チッパーラッパー(tipper wrapper)52の幅は、約26ミリメートルである。追加的に、通気ゾーン30は、チッピングラッパー52上に提供された穿孔の円周状の列を備えてもよい。チッピングラッパー52の穿孔は、中空の管状要素20上および上流ラッパー44上に提供された穿孔と重なる。その結果、チッピングラッパー52は、中空の管状要素20上および上流ラッパー44上に提供された通気ゾーン30の穿孔の上にある。
【0126】
タガント60は、エアロゾル発生物品10の下流セクションの一部分を取り囲む連続的な帯として提供されている。タガント60は、チッピングラッパー52の内表面上に印刷されている。タガント60の上流端は、エアロゾル形成基体12の下流端の2ミリメートル下流に位置する。タガント60は、6.5ミリメートルの長さを有する。タガント60の上流端は、チッピングラッパー52の上流端と整列している。タガント60の下流端は、通気ゾーン30から3.5ミリメートル上流にある。その結果、タガント60の全長は、中空の管状要素20の一部分に重なる。タガント60は、約200ミリグラム毎平方メートルの濃度で提供されている。
【0127】
タガント60は、約50マイクロ秒~約1000マイクロ秒の発光半減期を有するフォトルミネセント材料を含む。フォトルミネセント材料は、約700ナノメートル~約1050ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射によって励起可能である。フォトルミネセント材料は、約700ナノメートル~約1100ナノメートルの波長範囲内のフォトルミネセンスを呈する。
【0128】
図2は、エアロゾル発生装置1と、
図1のエアロゾル発生物品10とを備えるエアロゾル発生システム100を図示する。
図2は、エアロゾル発生物品10を受容する空洞を備えるエアロゾル発生装置1の下流の口側端部分を図示する。エアロゾル発生装置1は、口側端2と遠位端(図示せず)の間に延びるハウジング(または本体)4を備える。ハウジング4は周辺壁6を備える。周辺壁6は、エアロゾル発生物品10を受容するための空洞を画定する。装置空洞は、閉鎖された遠位端および開放された口側端によって画定されている。装置空洞の口側端は、エアロゾル発生装置1の口側端に位置する。エアロゾル発生物品10は、装置空洞の口側端を通して受容されるように構成されていて、装置空洞の閉鎖端に当接するように構成されている。
【0129】
装置の気流チャネル5は、周辺壁6内に画定されている。気流チャネル5は、エアロゾル発生装置1の口側端に位置する入口7と装置空洞の閉鎖端との間に延びる。空気は、装置空洞の閉鎖端に提供された開口(図示せず)を介して、エアロゾル形成基体12に入ってもよく、気流チャネル5とエアロゾル形成基体12の間の流体連通を確実にする。
【0130】
エアロゾル発生装置1は、発熱体(図示せず)と、お電力を発熱体に供給するための電源(図示せず)とをさらに備える。発熱体への電力の供給を制御するために、コントローラ(図示せず)も提供されている。発熱体は、エアロゾル発生物品10が装置1内に受容されている時に、使用中にエアロゾル発生物品10を制御可能に加熱するように構成されている。発熱体は、最適なエアロゾル発生のためにエアロゾル形成基体12を外部加熱するように配設されていることが好ましい。通気ゾーン30は、エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置1内に受容されている時に、曝露されるように配設されている。
【0131】
図2に示す実施形態において、周辺壁6によって画定された装置空洞は、長さが28ミリメートルである。物品10が空洞内に受容されている時に、上流セクション、エアロゾル形成基体12、および中空の管状要素20の上流部分は、装置空洞内に受容されている。中空の管状要素20のこうした上流部分は、長さが11ミリメートルである。その結果、物品10の約28ミリメートルは装置1内に受容されていて、また物品10の約17ミリメートルは、装置1の外側に位置する。言い換えれば、物品10のうちの約17ミリメートルは、物品10がその中に受容されている時に、装置1から突出する。装置1から突出している物品10のこうした長さ55を
図2に示す。
【0132】
結果として、通気ゾーン30は有利なことに、物品10が装置1の中に挿入されている時に、装置1の外側に位置する。装置空洞が28ミリメートルの長さである場合、通気ゾーン30は、物品10が装置1内に受容されている時に、装置1の口側端2の1ミリメートル下流に位置する。
【0133】
エアロゾル発生装置1は、装置空洞の近くに位置するタガント検出器8をさらに備える。タガント検出器8は、装置空洞の下流端または口側端から約2ミリメートルに位置する。タガント検出器8は、エアロゾル発生物品10上に位置するタガント60の存在、不在、およびタイプを検出するように構成されてもよい。タガント検出器8は、700ナノメートル~1100ナノメートルの波長範囲内の赤外線放射に対して構成された発光ダイオードを備える。発光ダイオードは、エアロゾル発生物品10が空洞内に受容されている時に、タガント60を照射するように配設されている。タガント検出器8はまた、エアロゾル発生物品10が空洞内に受容されている時に、タガント60のフォトルミネセント材料によって発せられた赤外線放射を検出するように配設された光検出器も備える。コントローラは、電源から発光ダイオードに電力を供給するように構成されている。コントローラは、光検出器から信号を受信するように構成されている。
【0134】
使用時に、エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生装置1の装置空洞の中に挿入されている。エアロゾル発生物品10が装置空洞の中に完全に挿入されている時に、エアロゾル発生物品10のタガント60は、エアロゾル発生装置1のタガント検出器8と整列している。タガント検出器8の発光ダイオードは、タガント60を赤外線放射で照射する。次いで、タガント検出器8の光検出器は、タガント60によって発せられた赤外線を検出し、発せられた赤外線放射の強度を示す信号をコントローラに提供する。次いで、光検出器からの信号に基づいて、コントローラは、タガント60の発光半減期、または発せられた赤外線放射の強度が所定の量だけ減少するのにかかった時間を判定する。
【0135】
判定された発光半減期、または発せられた赤外線放射の強度が所定の量だけ減少するのにかかった時間に基づいて、コントローラは、ルックアップテーブルとの比較によって、エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置1とともに使用するために設計された物品であるかどうかを判定する。
【0136】
エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置1とともに使用するために設計された物品である場合、コントローラは、エアロゾル形成基体12からエアロゾルを発生するために、所定の加熱プロファイルに従って電源から発熱体に電力を供給する。タガント60は、加熱されるエリアから離れているままであり、それによってタガント60が損傷するのを防止する。同様に、タガント検出器8もまた、加熱されるエリアから離れているままであり、それによってタガント検出器8上の加熱副産物およびスラリーの蓄積を防止する。
【0137】
エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置1とともに使用するために設計された物品として認識されない場合、コントローラは電源から発熱体への電力の供給を防止する。
【0138】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±10パーセントとして理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】