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特表2024-539095液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20241018BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F17C3/04
B63B25/16 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523423
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022076724
(87)【国際公開番号】W WO2023066613
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2111112
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】デ コンバリユ ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】モレル ベノワ
(72)【発明者】
【氏名】サルモン ルガニュール ギヨーム
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD02
3E172BD05
3E172CA10
3E172DA03
3E172DA05
3E172DA12
3E172DA13
3E172DA15
(57)【要約】
本発明は、液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンク(1)であって、前記タンクは、内側から外側に向かって連続的に、密封され自立した内部リザーバ(2)であって、前記液化ガスと接触するように意図された内面と、外面とを有する前記内部リザーバ(2)と、前記内部リザーバの前記外面を覆い、前記内部リザーバに取り付けられた断熱バリア(5)と、前記断熱バリアの外面を覆い、ベローズ又は波形(8)を備えた1つのシートメタルを備え、前記断熱バリア又は前記内部リザーバに取り付けられる外側密封メンブレン(6)と、を備え、前記内部リザーバと前記外側密封メンブレンとの間に位置する中間空間には、前記外側密封メンブレンを前記断熱バリアの外面に押し付けるために、減圧下の気相が含まれており、ことを特徴とする密閉断熱タンク(1)に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンク(1)であって、前記タンクは、内側から外側に向かって連続的に、
密封され自立した内部リザーバ(2)であって、前記液化ガスと接触するように意図された内面と、外面とを有する前記内部リザーバ(2)と、
前記内部リザーバの前記外面を覆い、前記内部リザーバに取り付けられた断熱バリア(5)と、
前記断熱バリアの外面を覆い、弾性変形を可能にするようにベローズ又は波形(8)を備えた1つのシートメタルを備え、前記断熱バリア又は前記内部リザーバに取り付けられる外側密封メンブレン(6)と、
を備え、
前記内部リザーバと前記外側密封メンブレンとの間に位置する中間空間には、前記外側密封メンブレン(6)を前記断熱バリア(5)の前記外面に押し付けるために、減圧下の気相が含まれており、
前記減圧は、前記中間空間内の圧力と大気圧との差からなる
ことを特徴とする密閉断熱タンク(1)。
【請求項2】
前記内部リザーバ(2)が、10mmを超える厚さを有する金属シェルを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の密閉断熱タンク。
【請求項3】
前記内部リザーバ(2)は、非合金鋼及び低合金鋼、ステンレス鋼、熱膨張係数の低いニッケルを含む合金鋼、並びに熱膨張係数の低いマンガンを含む合金鋼、アルミニウムから選択される材料から製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の密閉断熱タンク。
【請求項4】
前記内部リザーバの前記内面に内部補強材(11)が取り付けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項5】
前記内部補強材(11)は、前記内面(3)上に突出するリブを含むことを特徴とする請求項4に記載の密閉断熱タンク。
【請求項6】
前記内部リザーバ(2)は、200kPaを超える相対内部圧力に耐えるような寸法である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項7】
前記タンクは、設備(52、53)内で前記タンクを支持することを目的とした支持システム(50、51、60、160)を更に備え、
前記支持システムは、前記内部リザーバに取り付けられた内部部分(61、161)と、前記外側密封メンブレン(6)の外側に延びる外部部分(63、163)と、を有する少なくとも1つの支持要素(60)を備え、
前記支持要素(60)は、前記断熱バリア(5)の厚さを通って延在し、前記外側密封メンブレン(6)を密閉的に通過する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項8】
前記支持要素(50)は前記内部リザーバの下部に取り付けられており、
前記タンクは前記支持要素によって支持される
ことを特徴とする請求項7に記載の密閉断熱タンク。
【請求項9】
前記支持要素(51)は前記内部リザーバの上部に取り付けられており、
前記タンクは前記支持要素によって吊り下げられる
ことを特徴とする請求項7に記載の密閉断熱タンク。
【請求項10】
前記断熱バリア(5)は、ポリマー発泡体、ミネラルウール、ポリエステル又はセルロースの詰め物、パーライト、ヒュームドシリカ、圧縮シリカ及びエアロゲルから選択される材料を含む
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項11】
前記断熱バリア(5)は、ミネラルウール、ポリエステルの詰め物、及びセルロースの詰め物から選択される材料で作られる
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項12】
前記断熱バリア(5)は、前記内部リザーバ(2)と前記外側密封メンブレン(6)との間で厚さ方向に予め圧縮されている
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項13】
前記断熱バリアは、前記内部リザーバの前記外面に並置された断熱要素(20、40)を備える
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項14】
前記断熱要素(40)は、前記内部リザーバの前記外面に平行な層の形態で配置された断熱ライニングを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の密閉断熱タンク。
【請求項15】
前記断熱要素は、ボックス(40)の形で製造され、
前記ボックスは、第1のプレート(41)と、第2のプレート(42)と、前記ボックスの内部空間を囲むように前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に延びるサイドプレート(43)と、を含み、
前記ボックスの前記内部空間は、前記断熱ライニングで満たされている
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の密閉断熱タンク。
【請求項16】
前記断熱要素は、前記内部リザーバの反対側の外面に、前記外側密封メンブレンを前記断熱バリア上に溶接によって取り付けるための少なくとも1つの金属部品(46)を担持する
ことを特徴とする請求項13~15のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項17】
前記断熱バリア(5)の前記厚さは、200mmと800mmの間である
ことを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項18】
前記内部リザーバの前記外面(4)には、複数の機械的カプラ(35、135)が取り付けられており、
前記断熱バリア(5)は、前記機械的カプラ(35、135)によって前記内部リザーバの前記外面に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項19】
前記機械的カプラ(135)は、
前記断熱バリア(5)を厚さ方向に貫通するロッド(138)と、
前記内部リザーバとは反対側の前記ロッド(138)の一端に取り付けられ前記断熱バリア(5)の外面に付着するエンドピース(137)と、
を備える
ことを特徴とする請求項18に記載の密閉断熱タンク。
【請求項20】
前記外側密封メンブレン(6)は、前記エンドピース(137)に取り付けられている
ことを特徴とする請求項19に記載の密閉断熱タンク。
【請求項21】
前記外側密封メンブレン(6)の厚さは、2mm未満である
ことを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項22】
前記シートメタルは、非合金鋼及び低合金鋼、ステンレス鋼、熱膨張係数の低いニッケルを含む合金鋼、並び熱膨張係数の低いマンガンを含む合金鋼から選択される合金で作られることを特徴とする請求項1~21のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項23】
前記外側密封メンブレン(6)は、波形であり、
前記外側密封メンブレン(6)は、
第1の一連の平行な波形(16)と、
前記平行な波形の間に位置し、前記断熱バリアの上に置かれる部分と、
を備え、
前記平行な波形は、第1方向に平行に配置される
ことを特徴とする請求項1~22のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項24】
前記外側密封メンブレンは、更に、
第2の一連の平行な波形(17)と、
前記平行な波形の間に位置し、前記断熱バリア上に置かれる平らな部分と、
を備え、
前記平行な波形は、前記第1方向に対して垂直に配置される
ことを特徴とする請求項23に記載の密閉断熱タンク。
【請求項25】
前記外側密封メンブレン(6)は、略球形の形状を有し、前記第1方向は子午線方向である、又は、
前記外側密封メンブレンは、略円筒形状を有し、前記第1方向は、軸方向である、又は、
前記外側密封メンブレンは、略平行六面体の形状を有し、前記第1方向は、長手方向である
ことを特徴とする請求項23~24のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項26】
前記外側密封メンブレン(6)は、厚さに垂直な少なくとも一方向に、好ましくは厚さに垂直な任意の方向に、周囲温度で0.2%を超える弾性変形能力を持ち、好ましくは0.2~1.8%の弾性変形能力を持つ
ことを特徴とする請求項1~25のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項27】
前記減圧下の気相は、15℃の温度で1kPa(10ミリバール)未満、好ましくは0.1kPa(1ミリバール)未満の絶対圧力を有する
ことを特徴とする請求項1~26のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1項に記載の密閉断熱タンクを備える陸上貯蔵施設。
【請求項29】
陸、空、又は海の乗り物、特に輸送船(70)であって、
推進又はエネルギー生成装置と、
前記推進又はエネルギー生成装置の燃料リザーバとして、請求項1~27のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク(1)と、
を備える輸送船(70)。
【請求項30】
水素を貯蔵及び/又は輸送するための、請求項1~27のいずれか1項に記載の密閉断熱タンク(1)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉断熱タンクの分野に関する。特に、本発明は、液体水素を輸送するタンクなどの、大気圧で約-253℃であるが高圧で保管することもできる、液化ガスを低温で保管及び/又は輸送するための、密閉断熱タンクの分野に関する。これらのタンクは、固定場所に設置することも、陸上の乗り物や浮遊する乗り物に設置することもできる。
【背景技術】
【0002】
米国機械学会(ASME(American Society of Mechanical Engineers))の「ボイラー及び圧力容器規定」(BPVC(Boiler & Pressure Vessel Code))により、固定式液化水素貯蔵タンクは従来技術において知られており、このタンクは2つの密封された剛性の自立シェルで構成され、一方が他方の内側に入れ子になっている。2つのシェルは非常に厚いため、この技術を使用して大容量タンクを製造するには、材料コストが非常に高く、製造が困難になる。具体的には、このようなタンクは、その製造に多大な人的資源を必要とする一方で、特に溶接箇所の品質管理を行う必要があるため、タンクの製造コストが大幅に増加する。
【0003】
米国特許第4050609号明細書は、球形の液化ガス貯蔵タンクで、内側から外側に向かって、
密封され自立する内部リザーバであって、液化ガスと接触するように意図された内面と外面を有する内部リザーバと、
前記内部リザーバの外面を覆う断熱バリアであって、前記内部リザーバに取り付けられる前記断熱バリアと、
前記断熱バリアの外面を覆い、前記断熱バリアに取り付けられた外側密封メンブレンと、
を連続して備える液化ガスリザーバを開示する。
【0004】
米国特許第4050609号明細書では、外側密封メンブレンとして、断熱ブロックの合板プレートに接着されたアルミニウムシートと、グラスファイバー布地の接続と、が使用されている。ただし、この外側密封メンブレンは壊れやすく、スタッドを覆うグラスファイバー布地の接続において破れやすい。従って、断熱バリアを真空下に置くことは考えられない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の基礎となるアイデアは、液化ガスを収容するための二重密閉バリアを有する密閉断熱タンクを提供することであり、これは、非常に冷たい製品、例えば周囲圧力での液体水素の貯蔵に高い断熱性能を提供するように適合されている。本発明の基礎となる別のアイデアは、非常に大きな容量であっても競争力のあるコストで製造できる密閉断熱タンクを提供することである。
【0006】
この目的のために、一実施形態によれば、本発明は、液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンクであって、前記タンクは、内側から外側に向かって連続的に、密封され自立した内部リザーバであって、前記液化ガスと接触するように意図された内面と、外面とを有する前記内部リザーバと、前記内部リザーバの前記外面を覆い、前記内部リザーバに取り付けられた断熱バリアと、前記断熱バリアの外面を覆い、弾性変形を可能にするようにベローズ又は波形を備えた1つのシートメタルを備え、前記断熱バリア又は前記内部リザーバに取り付けられる外側密封メンブレンと、を備え、前記内部リザーバと前記外側密封メンブレンとの間に位置する中間空間には、前記外側密封メンブレンを前記断熱バリアの外面に押し付けるために、減圧下の気相が含まれていることを特徴とする密閉断熱タンクを提供する。
【0007】
これらの特徴により、断熱バリアの断熱性能を高めるために、断熱バリア内に多かれ少なかれ高真空を作り出すことが可能である。更に、外側密閉メンブレンはベローズ又は波形で構成されているため、外側密閉メンブレンが破れることなく、弾性変形による寸法変化を吸収することができる。これらの寸法の変動は、特に、タンクが冷たい液体で満たされているときに冷却される際の熱収縮と、断熱バリアを含む中間空間が真空下に置かれることによって引き起こされる可能性があり、つまり、大気圧と中間空間の内部に広がる圧力との差によって生成される圧縮力によって発生する。
【0008】
更に、外側メンブレンが断熱バリアの表面を覆っているため、外側メンブレンの寸法は貨物の圧力に対する抵抗によって決まるものではなく、大気圧によって決まるものでもなく、中間空間の気相の低下によって決まるものでもない。換言すれば、非常に薄いメンブレンを使用することができる。更に、このようなタンクにより、内部リザーバが受ける圧力を軽減することができる。実際、内部リザーバが受ける圧力は、例えば、大気圧が内部リザーバの外面に伝達されなかった場合に存在する状況に比べて100kPa減少する。
【0009】
特定の実施形態によれば、密閉断熱タンクは、以下に説明する特徴のうちの1つ以上を単独で、又は技術的に可能な任意の組み合わせで有する。
【0010】
添付の図面を参照し、非限定的な例としてのみ提供される、本発明の多くの特定の実施形態に関する以下の説明から本発明はよりよく理解され、その他の目的、詳細、特徴及び利点はより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る密閉断熱タンクを示す概略断面図である。
図2図2は、第2実施形態に係る密閉断熱タンクを示す図1と同様の図である。
図3図3は、外側密封メンブレンとして使用できる波形金属プレートの斜視図である。
図4図4は、断熱バリアを作成するために使用できる断熱ブロックを示す概略断面図である。
図5図5は、別の実施形態によるタンク壁の一部を取り除いた斜視図である。
図6図6は、支持脚を備えた密閉断熱タンクを示す図1と同様の図である。
図7図7は、ハンガーを備えた密閉断熱タンクを示す図1と同様の図である。
図8図8は、別の実施形態によるタンク壁の一部を取り除いた斜視図である。
図9図9は、内部補強材の格子を備えた密閉断熱タンクを示す、図1と同様の図である。
図10図10は、別の実施形態に係る密閉断熱タンクを示す概略断面図である。
図11図11は、燃料リザーバとして密閉断熱タンクを備えたキャリアの概略斜視図である。
図12図12は、支持脚を取り付けたタンク壁の断面図である。
図13図13は、一実施形態によるタンク壁に使用できる機械的カプラを示す。
図14図14は、第1の実施形態による、図13の機械的カプラによって保持される断熱バリアの断面図を示す。
図15図15は、第2の実施形態による、図14と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、液化ガスの貯蔵及び/又は輸送用の密閉断熱タンクの幾つかの実施形態について説明する。図面において、同一の参照番号は類似又は同一の要素を示す。
【0013】
密封断熱タンクは、様々な形状であってよく、例えば、以下の図のほとんどのように平坦な面を有する角柱形状、又は球形状、又はその準線が円形又は多角形である円筒形状であってもよい。円筒形タンクの場合、タンクの軸方向端は平らな壁又は半球状の壁によって閉じられていてもよい。密封断熱タンクは、二葉の形状又は別の形状を有していてもよい。
【0014】
例えば図1及び2に示されるように、前記タンク1は、内側から外側に向かって連続的に、
-密封され自立した内部リザーバ2であって、前記液化ガスと接触するように意図された内面3と、外面4とを有する前記内部リザーバ2と、
-前記内部リザーバ2の前記外面4を覆い、前記内部リザーバ2に取り付けられた断熱バリア5と、
-前記断熱バリア5の外面7を覆う外側密封メンブレン6と、
を備える。
【0015】
外側密封メンブレン6は、弾性変形を可能にするようにベローズ又は波形8を備えた1つのシートメタルを備える。外側密封メンブレン6は、前記断熱バリア5に取り付けられる。
【0016】
前記内部リザーバ2と前記外側密封メンブレン6との間に位置する中間空間には、前記外側密封メンブレン6を前記断熱バリア5の外面7に押し付けるために、前記断熱バリア5に加えて、減圧下の気相が含まれている。
【0017】
内部リザーバ2は自立しており、液化ガスの積荷を直接収容する内部空間9を画定している。この目的のために、C型タンクと同様の技術が使用されてもよく、タイプCは、国際海事機関(International Maritime Organization)のIGCコードの意味の範囲内で理解される。ただし、内部リザーバ2は、C型タンクとは異なり、厚さ方向に二重壁ではなく、一層の壁を有している。
【0018】
内部リザーバ2は、意図した用途の要件に応じて大きく異なる容量で設計でき、例えば、約10~10、又はそれ以上の容量であってもよい。
【0019】
一実施形態によれば、内部リザーバは、10mmを超える、又は更には20mmを超える厚さを有する金属シェルを備えることができる。好ましくは、この厚さは50mm未満である。
【0020】
内部リザーバは、非合金鋼及び低合金鋼、ステンレス鋼、例えばInvar(登録商標)などの熱膨張係数の低いニッケルを含む合金鋼、並びに熱膨張係数の低いマンガンを含む合金鋼、アルミニウムから選択される材料から製造されてもよい。
【0021】
好ましくは、内部リザーバは、200kPaを超える、更には1000kPaを超える相対内部圧力に耐えるような寸法である。このような寸法により、液化ガスを加圧下で保管することが可能になり、蒸気漏れなく保管期間を長くすることができる。
【0022】
この目的のために、一実施形態によれば、内部補強材が内部リザーバ2の内面3に取り付けられる。
【0023】
補強材は、内部リザーバ2の耐圧性を高めるために使用される。それらはさまざまな方法で製造される場合がある。一実施形態によれば、内部補強材は内面3上に突出リブを含む。一実施形態によれば、タンクが直方体形状である場合、隅部のリブは、内部リザーバ2の内側に向けて回転した円弧の形の構造を有する。
【0024】
例えば図9に示す一実施形態によれば、内部補強材は、格子構造10を形成するように内面3の両側間に延びるロッド11を備える。
【0025】
このような格子構造10の例は、例えば国際公開第2020/021212号に記載されている。
【0026】
冒頭で述べた剛性の二重ジャケットを備えたタンクとは異なり、外側密封メンブレン6は自立型ではなく、厚さが内部リザーバ2よりもはるかに薄いシートメタルで構成されている。一実施形態によれば、外側密封メンブレン6の厚さは2mm未満であり、例えば1又は1.5mmに等しい。
【0027】
外側密封メンブレン6は、種々の金属から作製することができる。一実施形態によれば、シートメタルは、非合金鋼及び低合金鋼、ステンレス鋼、熱膨張係数の低いニッケルを含む合金鋼、並び熱膨張係数の低いマンガンを含む合金鋼から選択される合金で作られる。
【0028】
特に、シートメタルは、Invar(登録商標)で作ることができ、言い換えると、鉄とニッケルの合金で、通常1.2×10-6~2×10-6-1の膨張係数を持ち、約64%の鉄と36%のニッケルを含む合金、又は、マンガン含有量が高く、通常約7~9×10-6-1の膨張係数を有する鉄合金で作ることができる。
【0029】
外側密封メンブレン6を形成するシートメタルには、ベローズ又は波形8が設けられている。これらのベローズ又は波形8は、図1のようにタンク1の内側に向かって、又は図2のようにタンク1の外側に向かって突出することができる。両方向に交互に走るベローズや波形も使用できる。
【0030】
ベローズ又は波形8は、外側密封メンブレン6の弾性変形を可能にする。従って、外側密封メンブレン6は弾性変形の能力を有し、特に内部リザーバの熱収縮による動きに追従することができる。一実施形態によれば、外側密封メンブレン6は、厚さに垂直な少なくとも1つの方向において、好ましくは、厚さに垂直な任意の方向において、周囲温度で0.2%を超える弾性変形能力を有し、好ましくは、0.2~1.8%の間の弾性変形能力を有する。外側密封メンブレン6の変形の大きさは、内部リザーバ2の変形に基づいて計算され、従って、内部リザーバ2の熱膨張係数に動作時の温度変化を乗算することによって行われる。例えば、0.3%の弾性変形能力は、11×10-6mm/mm.Kに273Kを乗じた鋼の膨張係数に相当する。
【0031】
この目的のために、外側密封メンブレン6は、一連の平行な波形、又は好ましくは2つの一連の平行な波形を備え、これら2つの一連は、シートメタルの中央面においてそれぞれ交差又は直交する方向にある。2つの一連の波形を含むシートメタルプレート15が図3に例示として示されている。シートメタルプレート15は、例えば、厚さ1.2mmのステンレス鋼からなる。波形は、曲げることによって得ることができる。
【0032】
この実施形態によれば、前記外側密封メンブレン6は、波形であり、前記外側密封メンブレン6は、第1の一連の平行な波形16と、前記平行な波形の間に位置し、前記断熱バリア5の上に置かれる平らな部分18と、を備え、前記平行な波形16は、第1方向に平行に配置される。
【0033】
実施形態によれば、第1及び/又は第2の一連の波形の波形は、連続的であっても不連続であってもよい。
【0034】
この実施形態によれば、前記外側密封メンブレン6は、更に、第2の一連の平行な波形17と、前記平行な波形17の間に位置し、前記断熱バリア5上に置かれる平らな部分18と、を備え、前記平行な波形17は、前記第1方向に対して垂直に配置される。
【0035】
外側密封メンブレン6は、複数のシートメタルプレート15を重ね溶接により、密閉された様態で組み立てることにより、必要な範囲全体にわたって製造することができる。従って、外側密封メンブレン6によって覆われた表面全体にわたって、1つのシートメタルプレートから次のシートメタルプレートへと連続的に延びる波形を得ることが可能である。
【0036】
或いは、波形は、例えばスタンピングによって不連続に形成されてもよい。不連続な波形を有する金属メンブレンの例は、例えば、特開昭55-139597号公報に見出すことができる。
【0037】
更に、シートメタルプレート15は全体として平坦であり、多面体タンクの平面に適している。当然のことながら、シートメタルは、覆われるべきタンク壁の形状に応じて、1つ以上の曲率半径に従って湾曲してもよく、これは例えば球形又は円筒形であってもよいことが理解される。従って、波形16及び/又は17は、湾曲した方向に沿ってもよい。
【0038】
一実施形態によれば、前記外側密封メンブレン6は、略球形の形状を有し、例えば平行な波形17に対応する前記第1方向は子午線方向である。一実施形態によれば、前記外側密封メンブレン6は、略円筒形状を有し、例えば平行な波形17に対応する前記第1方向は、軸方向である。一実施形態によれば、前記外側密封メンブレン6は、略角柱又は平行六面体の形状を有し、例えば平行な波形17に対応する前記第1方向は、長手方向である。
【0039】
断熱バリア5の実施形態を以下に示す。断熱バリア5は内部リザーバ2に取り付けられ、外側密封メンブレン6は断熱バリア5に取り付けられる。断熱バリア5は、ある程度変形しても真空下に留まるような寸法になっており、外側密封メンブレン6の弾性伸び能力を超えてはならない。断熱バリア5は、好ましくは、内部リザーバ2の外面4全体を覆う。
【0040】
この目的のために、様々な構造及び材料が使用されてもよい。実施形態によれば、断熱バリア5は、例えば、繊維で強化されているかどうかに関係なく、ポリウレタン、ポリビニル、ポリプロピレン又はポリエチレンフォーム、メラミンフォーム(バソテクト(BASOTECT)(登録商標)フォームとも呼ばれる)などの、ポリマー発泡体、ミネラルウール、ポリエステル又はセルロースの詰め物(wadding)、パーライト、ヒュームドシリカ、圧縮シリカ及びエアロゲルから選択される材料を含む。
【0041】
一実施形態によれば、断熱バリア5は、ミネラルウール、ポリエステルの詰め物、及びセルロースの詰め物から選択される材料で作られる。例えば、これらの材料は、200~400mm、好ましくは200~300mmの厚さを有する。
【0042】
このような断熱材料は、事前の調整を行わずに、内部リザーバ2の外面4に直接堆積させることができる。例えば、グラスウール又はポリエステルの詰め物若しくはセルロースの詰め物を、例えば平行なストリップの形態で、内部リザーバ2の外面4上に直接堆積させることができる。別の例によれば、ポリマー発泡体は、内部リザーバ2の外面4全体にわたってその場で直接重合されることができる。
【0043】
一実施形態によれば、グラスウール又は詰め物のストリップは、例えば、ガラス糸、複合糸、又はプラスチック糸を使用してステッチによって互いに接合される。
【0044】
一実施形態によれば、断熱バリア5は、内部リザーバ2と外側密封メンブレン6との間で厚さ方向に予め圧縮されている。この予圧縮は、以下に説明する機械的カプラによって適用することができる。
【0045】
特に、断熱バリア5がミネラルウール、ポリエステル詰め物、セルロース詰め物などの圧縮可能な材料で作られている場合、予圧縮応力により、外側密封メンブレン6をより良く支持することが可能になる。それは、例えば、0.1MPaと0.2MPaとの間である。
【0046】
予圧縮とは、中間空間が押し下げられる前に存在する応力を意味し、外側密封メンブレン6を介して断熱バリア5に追加の圧縮を加える可能性がある。
【0047】
断熱バリア5のモジュール製造は、断熱材を設置する方法の標準化を促進することができる。
【0048】
実施形態によれば、断熱バリア5は、内部リザーバ2の外面4に並置された断熱要素を含む。
【0049】
例えば図4に示す一実施形態では、断熱要素20は、
内部リザーバ2の外面4に隣接する第1のプレート21と、
第1のプレート21と平行であり、断熱要素20の厚さ方向に第1のプレート21から離間し、外側密封メンブレン6に隣接する第2のプレート22と、
第1のプレートと第2のプレートとの間に配置される断熱ライニング23と、
を備える。
【0050】
この断熱ライニングは、例えば、周囲雰囲気と中間空間との間の圧力差に伴う小さな圧縮力に耐え、安全マージンを考慮するのに十分な相対密度を有するポリマー発泡体を含む。一実施形態によれば、相対密度は、40kg/mから90kg/mの間であり、好ましくは40kg/mから70kg/mの間であり、例えば、50kg/mに等しい。これは、ガラス繊維で強化されているか否かにかかわらず、例えば、ポリウレタン、ポリビニル、又はポリエチレン若しくはポリプロピレンの発泡体であってもよい。
【0051】
プレート21及び22は、合板又は複合材料で作製されてもよい。それらは断熱ライニング23に接着されてもよい。
【0052】
並置される断熱要素は、パネル間に空間を有していてもよい。次に、断熱バリアの連続性を確保するために、パネル間のスペースにシールを挿入する必要がある。シールは、例えばグラスウールで作られる。換言すれば、本発明によるタンクでは、断熱バリア5は材料の連続性を示すことができる。材料の連続性は、断熱ライニングなどの断熱材料によって確保される。このバリアには隙間が残らないように最小のスペースが埋められる。従って、断熱バリア5は全方向、すなわちタンクの厚さ方向及びこの方向に垂直な方向に連続している。この連続性は、タンクの表面に垂直及び平行な方向において、少なくとも断熱材の1つの層に存在する。
【0053】
一実施形態においては、断熱要素は、例えば、前述の材料で作られ、内部リザーバの外面に平行な層の形態で配置された断熱ライニングを含む。断熱ライニングは、例えば、パーライト、シリカエアロゲル、又はそれらの混合物である。
【0054】
一実施形態においては、支持要素は、力を吸収するために断熱ライニングの厚さを通って上に伸びる。図4に示す断熱要素20に適用可能な例では、支持要素は第1のプレート21と第2のプレート22との間に配置され、
断熱ライニング23は支持要素の間に配置される。それらが存在すると、支持要素が力を少なくとも部分的に吸収するため、断熱ライニング23の相対密度が減少するかもしれない。
【0055】
別の実施形態では、例えば図5に示すように、断熱要素は、第1のプレート41、第2のプレート42、及び第1のプレート41と第2のプレート42との間に延びるサイドプレート43を備えるボックス40の形態で製造される。ボックス40の内部空間は、断熱ライニングで満たされている。
【0056】
ボックス40は圧縮力を受けるので、断熱ライニング(図示せず)は、例えばパーライト、グラスウールなどの粉末などの非構造材料であってもよい。
【0057】
一実施形態によれば、支持要素は、内部空間を断熱ライニングで満たされた複数の区画に分割し、第1のプレート41を第2のプレート42から距離を置いて保持する支持パーティションを備える。
【0058】
このような断熱バリアの製造に関するさらなる詳細は、国際公開第2017/064426号に記載されている。
【0059】
ボックス40、支持要素又はプレート21及び22などの断熱バリア5の剛性要素は、合板又は複合材料で作ることができる。
【0060】
一実施形態によれば、断熱バリアの厚さは、200mmより大きく、好ましくは200mmから800mmの間である。
【0061】
断熱バリアを内部リザーバに取り付けるには、様々な解決策が可能である。
【0062】
一実施形態によれば、断熱バリア5は、好ましくはマスチックのビーズを介して接着結合によって内部リザーバ2の外面4に取り付けられる。
【0063】
ボックス40を外面4に接着するために使用できるマスチックのビーズ45が、例えば図5に示されている。このようなマスチックのビーズは、完全に平坦ではない外面4の領域を補償することも可能にする。
【0064】
別の実施形態によれば、内部リザーバ2の外面4は複数の機械的カプラを有し、断熱バリア5は機械的カプラによって内部リザーバ2の外面4に取り付けられる。
【0065】
このような機械的カプラは、特に、並置された断熱要素とともに使用されうる。従って、図5は、断熱要素40及びボックス40のそれぞれの隅に配置された機械的カプラ35を示している。このような機械的カプラは、このような機械的カプラーは、断熱要素のいずれかの領域を介して断熱要素を所定の位置に、例えば、底部プレートやカバープレートなどに、保持することができる。従って、図5では、機械的カプラ35はプレート41上に載っているバテン(batten)36と相互作用する。他の機械的カプラ、例えば、仏国特許出願公開第2798902号に記載されているカプラを使用することもできる。
【0066】
例えば図5に見られるように、機械的カプラは断熱バリア5の接着結合と組み合わせて使用されてもよい。また、機械的カプラが使用される場合、接着結合は必須ではないことにも留意されたい。マスチックのビード45は、外面4の平坦度の欠陥を補償するために使用されてもよい。
【0067】
別の実施形態による機械的カプラ135が図13から15に示されている。機械的カプラ135は、断熱バリア5をその厚さ方向に貫通するロッド138と、内部リザーバとは反対側のロッド138の一端に取り付けられ、断熱バリア5の外面に当接するエンドピース137と、を備える。好ましくは、外側密封メンブレン6はエンドピース137に取り付けられる。
【0068】
より具体的には、機械的カプラ135は、ロッド138と、ロッド138の両端に配置された第1のエンドピース136及び第2のエンドピース137とを備える。第1及び第2のエンドピース136、137へのロッド138の取り付けは、例えば、ねじ止め又はクリップによって行われる。
【0069】
機械的カプラは、例えば金属から作られる。熱伝導を制限するために、特にロッド138には非金属材料、例えば複合材料を使用することが好ましい。
【0070】
第1のエンドピース136は内部リザーバ2の外面4に取り付けられ、ロッド138を担持する。例えば、第1のエンドピース136は金属で作られ、溶接によって取り付けられる。
【0071】
第2のエンドピース137は、ロッド138の他端に取り付けられており、断熱バリア5に負担をかけるようにロッド138よりも広い断面を有する。従って、機械的カプラ135は、断熱バリア5に圧力を加えることができ、それは、例えばプレート又はワッシャーを備える。第2のエンドピース137は、例えば複合材料又はプラスチックで作られる。
【0072】
別の実施形態によれば、第2のエンドピース137は金属でできており、これにより外側密封メンブレン6をその上に溶接することもできる。従って、機械的カプラ135は、断熱バリア5と外側密封メンブレン6の両方を所定の位置に保持するために使用されてもよい。
【0073】
図14は、機械的カプラ135と断熱バリア5との相互作用を示す。この実施形態では、機械的カプラ135は、断熱バリア5の断熱要素140を通過し、断熱要素140は、例えば、断熱フォームのブロック又はグラスウール若しくはポリエステルの詰め物のストリップである。
【0074】
図15は、第2の実施形態における機械的カプラ135と断熱バリア5との相互作用を示す。この場合、機械的カプラ135は、2つの断熱要素145の間に位置する断熱要素141を通過する。
隣接する断熱要素145を内部リザーバ2の外面4に押し付けるために、断熱要素141は、各側面部分に、隣接する断熱要素145の対応する突出部を押す肩部142を有する。
【0075】
言うまでもなく、機械的カプラ135は、断熱バリア5全体を内部リザーバ2上に保持するように適切に配置された、例えば、カプラーの平行な列の形態、又は正方形若しくは長方形のメッシュなどを備えたグリッドの形態の複数のユニットとして存在する。一実施形態によれば、機械的カプラは、0.5m~2mの間隔で互いに離間される。機械的カプラは、外側密封メンブレン6を所定の位置に保持するために使用されてもよいし、使用されなくてもよい。一実施形態においては、機械式カプラには、この機能を実行するものと実行しないものがある。
【0076】
外側密封メンブレン6を断熱バリア5上に保持するには、様々な可能性が存在する。
【0077】
一実施形態によれば、断熱要素は、内部リザーバの反対側の外面上に、溶接によって外側密封メンブレンを断熱バリアに取り付けるための少なくとも1つの金属部品を担持する。
【0078】
この実施形態は、例えば図5に示されており、金属固定ストリップ46がボックス40のカバープレート42に取り付けられている。
【0079】
図示されていない変形例によれば、外側密封メンブレン6の固定は、内部リザーバ2の外面4に取り付けられた第1の端部を有する断熱発泡パッドを使用して実行される。断熱発泡パッドは、第1の端部の反対側の第2の端部に金属プレートを備える。金属プレートは外側密封メンブレン6を取り付けることを目的としている。例えば、突出するネジ付きロッドが内部リザーバ2の外面4に溶接され、例えば、相補的な形状のねじ穴にねじ込むことによって、断熱フォームパッドがネジ付きロッドに取り付けられる。
【0080】
述べたように、断熱バリア5は、内部リザーバ2と外側密封メンブレン6との間に密閉され、減圧下の気相を含む中間空間に位置する。この減圧、言い換えれば部分真空により、断熱バリア5内の熱伝達を低下させ、断熱性能を高めることができる。
【0081】
一実施形態によれば、減圧下の気相は、15℃の温度で1kPa(10ミリバール)未満、好ましくは0.1kPa(1ミリバール)未満の絶対圧力を有する。
【0082】
気相の低下により、例えば、外側密封メンブレン6が断熱バリア5に対して約0.1MPaの追加の圧縮を及ぼしうる。
【0083】
外側密封メンブレン6は薄いため、タンク1を支持したり吊り下げたりするために使用されるべきではない。
【0084】
従って、一実施形態によれば、タンク1は、設備内でタンクを支持することを目的とした支持システムを備え、支持システムは、内部リザーバ2に取り付けられた内部部分と、外側密封メンブレン6の外側に延びる外部部分とを有する少なくとも1つの支持要素を備え、支持要素は、断熱バリア5の厚さを通って延在し、外側密封メンブレン6を密閉的に通過する。
【0085】
一実施形態によれば、例えば図6に示すように、支持要素50は内部リザーバ2の下部に取り付けられ、タンク1は支持要素50によって支持される。従って、設備は、例えば、タンク1が1つ又は複数の支持要素50を介してその上に支持される床壁52である。
【0086】
一実施形態によれば、例えば図7に示すように、支持要素51は内部リザーバ2の上部に取り付けられ、タンク1は支持要素51によって吊り下げられる。従って、設備は例えば天井壁53であり、その下にタンク1が、1つ以上の支持要素51を介して吊り下げられる。
【0087】
図6及び図7に示す位置とは別に、同様の支持要素を内部リザーバ2上の任意の適切な位置に配置することができる。従って、タンク1は、内部リザーバ2の1つ又は複数の側面から水平に延びる支持体によって垂直壁に取り付けることもできる。
【0088】
図8は、支持要素50又は51を製造するために使用され得る支持脚60の実施形態を示す。支持脚60は、断熱バリア5を形成する断熱要素間の外面4に取り付けられた、例えば溶接されたベース61を備え、この場合は、断熱バリア5はボックス40である。ベース61は、断熱バリア5の厚さを通って外面4から外側密封メンブレン6の高さまで延びる。ベース61は、金属封止プレート62を支持し、これにより、外側密封メンブレン6(図示せず)に作られた開口部の輪郭全体が密閉的に溶接されることが可能になる。変形例によれば、ベース61は、金属封止プレート62を支持できる、例えば木材やグラスファイバー複合材で作られている断熱材料から形成される。この実施形態は、断熱材の品質を損なう可能性のある熱橋を低減できるという点で有利である。
【0089】
金属封止プレート62は、外側密封メンブレン6を越えて突出し、内部リザーバ2上の支持脚60の位置によって、床壁52又は天井壁53と相互作用することを可能にする1つ又は複数の脚63を担持する。このような支持脚の製造に関するさらなる詳細は、国際公開第2017/174938号に記載されている。
【0090】
図12は支持システムの別の実施形態を示す。支持システムは、第1の内部部分161と第2の外部部分163と、それらの間に配置された金属封止プレート162とを備える支持脚160である。第1の内部部分161は、内部リザーバ2の外面4と密封メンブレン6の内面との間に位置する。第2の外部部分163は、密封メンブレン6の外面7から外部支持体90、例えば床まで延在する。第1の部分161は、例えば、内部リザーバ2に取り付けられ、外側密封メンブレン6まで延びる木製又はグラスファイバーのくさびである。内部リザーバ2は、第1の部分161上に載置される。従って、この第1の部分により、特に断熱バリア5を通る熱橋を制限することが可能になる。第2の部分163は、第1の部分に面して配置された、例えば金属製の支持体である。従って、支持脚160は、断熱バリア5の断熱材を押しつぶしたり変形させたりすることなく、タンクの重量又は重量の一部を支持することを可能にする。支持脚の数、並びに第1の部分161及び第2の部分163の寸法は、タンクの形状及び重量を考慮して選択される。複数の支持脚160が必要な場合、それらの寸法は同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。シェル2の重量をよりよく支持するために、部品161とシェル2との間に金属部品を挿入してもよい。これは示されていない。
【0091】
図12には、外側密封メンブレン6を金属封止プレート162に接続するための溶接ゾーン95も示されている。
【0092】
上述したように、タンク1は様々な形状をとりえる。球形タンクを図10に概略的に示す。支持要素50の部分55は、すでに説明したように、断熱バリア5の厚さを貫通していることを明確にするために破線で示されている。
【0093】
このようなタンクは、例えば液化天然ガス、液化石油ガス、アンモニアなどの様々な液化ガスを貯蔵するために使用されうる。好ましくは、密封された断熱タンクは水素を収容するように意図されている。
【0094】
このタイプのタンクは、例えばLNGを貯蔵するために、陸上の貯蔵施設の一部を形成することができ、又は、浮体構造体、沿岸構造体、若しくは深海構造体、特にLNG船、浮体式貯蔵再ガス化施設(Floating Storage and Regasification Unit(FSRU))、浮体式生産貯蔵積出(Floating Production Storage and Offloading(FPSO))などに設置することもできる。一実施形態によれば、陸上の貯蔵施設は、例えば都市に電気や熱を供給するために電気又は熱エネルギーの生産装置にガスを供給したり、例えば都市に天然ガスを供給するためにネットワークにガスを供給したりすることを目的としている。
【0095】
特に、推進装置又はエネルギー生成装置を備える、陸、空、海の乗り物では、密閉断熱タンク1は、輸送船70を参照して図11に示すように、推進装置又はエネルギー生成装置用の燃料リザーバとして機能することができる。
【0096】
一実施形態によれば、液化ガス燃料の移送システムは、上記乗り物と、乗り物の燃料リザーバを浮体式又は陸上の貯蔵施設に接続するように配置された断熱パイプラインと、液化ガス燃料の流れを断熱されたパイプラインを介して浮体式又は陸上の貯蔵施設から燃料リザーバまで送り出すためのポンプと、を含む。
【0097】
上述のような乗り物に積み込む方法では、液化ガス燃料は、断熱されたパイプラインを通って浮体式又は陸上の貯蔵施設から乗り物の燃料リザーバまで輸送される。
【0098】
例えば、図11を参照すると、輸送船70は、輸送船の船体72に取り付けられた、例えば略角柱状の密閉断熱タンク1を含む。
【0099】
それ自体知られている方法で、輸送船の上甲板に配置された積み込み/積み下ろしパイプラインを移送ライン73によってポートターミナル75に接続して、液化ガス燃料の貨物をタンク1に移送することができる。
【0100】
液化ガスの移送に必要な圧力を発生させるために、輸送船70に搭載されたポンプ及び/又はポートターミナル75に取り付けられたポンプが使用される。
【0101】
本発明をいくつかの特定の実施形態に関連して説明してきたが、決してそれに限定されるものではなく、記載された手段のすべての技術的等価物及びそれらの組み合わせが本発明の範囲内にある場合、本発明に含まれることは明らかである。
【0102】
動詞「含む」又は「含む」及びその活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されているものに加えて、他の要素又は他のステップの存在を排除するものではない。
【0103】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図14
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【国際調査報告】