(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ヒートスプレッダ材料
(51)【国際特許分類】
H01L 23/373 20060101AFI20241018BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20241018BHJP
B32B 9/04 20060101ALI20241018BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L23/36 M
B32B9/00 A
B32B9/04
B32B7/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523446
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 IB2022058224
(87)【国際公開番号】W WO2023067403
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/059607
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ・ロルダン,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス-アルバレス,アベル
(72)【発明者】
【氏名】ノリエガ・ペレス,ダビド
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス・ガルシア,ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】ペレス・ロドリゲス,マルコス
(72)【発明者】
【氏名】スアレス・サンチェス,ロベルト
【テーマコード(参考)】
4F100
5F136
【Fターム(参考)】
4F100AA20C
4F100AA37A
4F100AA37B
4F100AH06C
4F100BA03
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5F136BB01
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5F136BC03
5F136FA23
5F136FA75
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5F136GA12
(57)【要約】
本発明は、以下のステップを含む、ヒートスプレッダを製造する方法に関する。
i. 少なくとも1つのグラファイト層の主表面上に接着剤を堆積させて、接着剤層によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層を得るステップ、
ii. 接着剤層によってコーティングされた該少なくとも1つのグラファイト層を、互いの上に配置して、グラファイト層と接着剤層とが交互になった、第1のスタックである層を形成するステップ、
iii. 10~200μmの厚さを有するグラファイト層を該第1のスタックである層の上に配置して、グラファイト層を頂部層及び底部層として有する第2のスタックである層を形成するステップ、
iv. 該第2のスタックである層を7~20MPaの圧力で圧縮して、グラファイト系積層体を形成するステップ、
v. 該グラファイト系積層体を加熱するして前記接着剤の前記溶媒を除去するステップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、ヒートスプレッダを製造する方法。
i. 少なくとも1つのグラファイト層2の主表面上に接着剤1を堆積させて、接着剤層10によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層2を得るステップであって、
a. 該接着剤層10は、0.5~10μmの厚さを有し、且つ溶媒を含み、
b. 該少なくとも1つのグラファイト層2は、10~200μmの厚さを有し、且つ2つの対向する主表面を有するものである、ステップ、
ii. 任意選択で、該接着剤層によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層を、接着剤層10によってコーティングされた少なくとも1つのさらなるグラファイト層2の上に配置して、グラファイト層と接着剤層とが交互になった、第1のスタックである層3を形成するステップ、
iii. 10~200μmの厚さを有するグラファイト層20を該第1のスタックである層3の上に配置して、グラファイト層を頂部層及び底部層として有する第2のスタックである層4を形成するステップ、
iv. 該第2のスタックである層4を7~20MPaの圧力で圧縮して、グラファイト系積層体5を形成するステップ、
v. 該グラファイト系積層体5を加熱して前記接着剤の前記溶媒を除去するステップ。
【請求項2】
ステップi.において、前記堆積が接着剤を噴霧することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップi.において、前記堆積が接着剤を擦ることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップi.において、該接着剤層が、有機官能性シラン及び官能化ナノスケールSiO
2粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップi.において、該接着剤層が1~5μmの厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層2が、圧縮された剥離天然グラファイト、熱分解グラファイト又は熱処理されたグラファイト化可能ポリマーから作製される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層2が、15~200μmの厚さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層2が、400~2500W.mK
-1の面内熱伝導率を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップiii.において、該圧縮がローラーによって行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップiii.において、該圧縮がプレスによって、好ましくは液圧プレスによって行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップiii.において、該圧縮が10~16MPaの圧力で行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に従って製造されたグラファイト積層体6であって、5~100μmの厚さを有する少なくとも2つのグラファイト層200、及び1~5μmの厚さを有する少なくとも1つの接着剤層100を含み、
- 該少なくとも2つのグラファイト層200及び該少なくとも1つの接着剤層100が、互いの上に交互に配置され、
- 該グラファイト積層体の前記頂部層7及び前記底部層8はグラファイト層である、グラファイト積層体。
【請求項13】
該グラファイト積層体6が、2~7つのグラファイト層を含む、請求項12に記載のグラファイト積層体。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のグラファイト積層体の、ヒートスプレッダ装置における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラファイト積層体の製造方法、グラファイト積層体及びヒートスプレッダ装置におけるその使用に関する。そのようなヒートスプレッダ装置は、様々な電子製品の集積回路、LEDの光源、又は半導体装置などのあらゆる発熱素子において、熱を放散し、過度の温度を防止するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
2000年代初期まで、ヒートスプレッダ材料はアルミニウム及びアルミニウム系合金から作られていた。しかし、より軽量でより効率的な材料の需要は、グラファイト系ヒートスプレッダ材料の開発につながった。グラファイトは天然でも合成でもよい。天然グラファイトは採鉱されるが、合成グラファイトは炭素系材料をグラファイト化して製造することができる。しかし、合成グラファイトは、結晶化度が高く、不純物が少ないため導電性がより高いという点で天然グラファイトとは異なる。
【0003】
しかし、放散させる必要がある熱の量がさらに大きくなると、グラファイト系ヒートスプレッダ材料がより厚くなる。残念ながら、経験則では、合成グラファイトの場合、グラファイト化される前駆体フィルムの厚さが大きいほど、最終的なグラファイト化フィルムの結晶度が低く、したがってその熱伝導率が低い。これは、前駆体膜の厚さが増加すると、バルク材料全体のグラファイト化があまり効率的でないことを意味する。
【0004】
そのため、熱拡散を大きくするために、2層以上のグラファイト系層を接着フィルムで積層する手法が一般的であった。しかし、このようなグラファイト積層体は、接合部、しわ及び気泡の出現をもたらし、収率の損失につながる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、このようなグラファイト積層体の収率を高めることである。これは、請求項1~11に記載の製造方法によって達成される。これは、請求項12又は13のグラファイト積層体によっても達成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】特許請求されたプロセスの接着堆積ステップの実施形態である。
【
図2】接着剤層によってコーティングされた2つのグラファイト層の実施形態である。
【
図3】グラファイト層を頂部層及び底部層として有する第2の層のスタックを形成するように、第1の層のスタックの上部の接着剤層上にグラファイト層を配置する実施形態である。
【
図4】特許請求されたプロセスの圧縮ステップの一実施形態である。
【
図5】特許請求されたプロセスの加熱ステップの一実施形態である。
【
図6】特許請求されたプロセスによって製造されるグラファイト積層体の実施形態である。
【
図7】
図7は、グラファイト積層体材料の熱伝導率に対する圧力の影響を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明はまた、以下のステップを含む、ヒートスプレッダを製造する方法に関する。
i. 少なくとも1つのグラファイト層2の主表面上に接着剤1を堆積させて、接着剤層によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層を得るステップであって、
a. 該接着剤層10は、0.5~10μmの厚さを有し、且つ溶媒を含み、
b. 該少なくとも1つのグラファイト層2は、10~200μmの厚さを有し、且つ2つの対向する主表面を有するものである、ステップ、
ii. 任意選択で、該接着剤層によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層を、接着剤層10によってコーティングされた少なくとも1つのさらなるグラファイト層2の上に配置して、グラファイト層と接着剤層とが交互になった第1のスタックである層3を形成するステップ、
iii. 10~200μmの厚さを有するグラファイト層20を該第1のスタックである層3の上に配置して、グラファイト層を頂部層及び底部層として有する第2のスタックである層4を形成するステップ、
iv. 該第2のスタックである層4を7~20MPaの圧力で圧縮して、グラファイト系積層体5を形成するステップ、
v. 該グラファイト系積層体5を加熱して前記接着剤の前記溶媒を除去するステップ。
【0008】
堆積ステップであるステップi.は
図1に示されており、接着剤1がグラファイト層2の主表面上に堆積され、その結果
図2に示すように、接着剤層10によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層2が得られる。
【0009】
好ましくは、ステップi.において、堆積は噴霧によって行われる。これは、重力又はポンプのいずれかによって供給されるエアスプレーガンを使用して行うことができる。次いで、接着剤は、製造要件のラインに従って固定されたパラメータで、手動で又は自動制御を介して噴霧される。好ましくは、空気圧は0.8~2バールの間であり、接着剤供給のためのニードルの開口に応じて選択される。
【0010】
好ましくは、ステップi.において、堆積は接着剤を擦ることによって行われる。これは、接着剤に浸され、長手方向にフィルムに対してその表面にわたって相対的に移動するスポンジ又は布を使用して行うことができる。
【0011】
あるいは、ステップi.において、ブラッシング及び/又はローリング及び/又はスロットダイコーティングによって堆積を行うことができる。
【0012】
好ましくは、ステップi.において、該接着剤層は、有機官能性シラン及び官能化ナノスケールSiO2粒子を含む。さらにより好ましくは、ステップi.において、該接着剤は、有機官能性シラン及び官能化ナノスケールSiO2粒子から構成される。例えば、該接着剤層は、有機官能性シラン及び官能化ナノスケールSiO2粒子から構成される水性ゾル-ゲル系である。該接着剤は水と混合することができる。
【0013】
あるいは、ステップi.において、該接着剤層は、塗布前に加水分解されるアミノ官能性シランを含むことができる。
【0014】
好ましくは、ステップi.において、該接着剤層は0.5~5μmの厚さを有する。好ましくは、ステップi.において、該接着剤層は、1μm~5μmの厚さを有する。
【0015】
少なくとも1つのグラファイト層は、異方性熱伝導率を示すシート又は箔の形態の任意のグラファイトであり得る。
【0016】
好ましくは、ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層は、圧縮された剥離天然グラファイト、熱分解グラファイト又は熱処理されたグラファイト化可能ポリマーから作製される。さらにより好ましくは、該少なくとも1つのグラファイト層は、熱処理されたポリイミドから作製される。さらにより好ましくは、該少なくとも1つのグラファイト層は酸化グラフェンから作製される。このようなグラファイト層の形成プロセスは、当業者に周知である。
【0017】
好ましくは、ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層は、15~200μmの厚さを有する。そのようなより厚いグラファイト層は、機械的抵抗を高め、したがって、ステップiv.の圧縮中の破損リスクを制限する。
【0018】
好ましくは、ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層は、少なくとも400W.mK-1、より有利には少なくとも1000W.mK-1、さらにより有利には少なくとも1400W.mK-1の面内熱伝導率を有する。
【0019】
別の実施形態では、ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層は、400~2500W.mK-1の面内熱伝導率を有する。
【0020】
好ましくは、ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層は1つのフィルムから構成される。したがって、各グラファイト層は1つのフィルムから構成される。
【0021】
あるいは、ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層は、2~6つのフィルムから構成される。したがって、各グラファイト層は、2~6つのフィルムから構成される。
【0022】
好ましくは、ステップi.において、接着剤層が1つのグラファイト層上に堆積される。好ましくは、ステップi.において、接着剤層が2~7つのグラファイト層上に堆積される。
【0023】
ステップi.において、接着剤が1つのグラファイト層のみに堆積される場合、コーティングされたグラファイト層が層の第1のスタックを形成するので、ステップii.は省略することができる。
【0024】
任意選択であるステップii.において、ステップi.で得られた接着剤層によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層は、接着剤層によってコーティングされた少なくとも1つのさらなるグラファイト層の上に配置される。例えば、接着剤層によって得られる少なくとも1つのグラファイト層は、接着剤層によってコーティングされた2つのグラファイト層の上に配置することができる。
【0025】
ステップiii.において、
図3に示すように、グラファイト層20が第1のスタックである層3の上に配置される。グラファイト層は、接着剤層上に配置され、以下の層のスタックを形成する。
- グラファイト層と接着剤層とを交互に配置する、及び
- 頂部層及び底部層としてグラファイト層を有する。
【0026】
ステップiv.は、
図4に具現化され、第2のスタックである層4のは、プレス機Pによって圧縮される。
【0027】
好ましくは、ステップiv.において、該圧縮は、10~16MPaの圧力で行われる。
【0028】
好ましくは、ステップiv.において、該圧縮はプレスによって、好ましくは液圧プレスによって行われる。
【0029】
好ましくは、ステップiv.において、該圧縮はローラーによって行われる。
【0030】
溶媒を除去することを目的とするステップv.は、当業者に周知である。
【0031】
好ましくは、ステップv.において、該加熱は50℃~150℃の温度で行われる。より好ましくは、ステップiv.において、該加熱は70℃~130℃の温度で行われる。
【0032】
好ましくは、ステップv.において、該加熱は20~120分間行われる。さらにより好ましくは、ステップiv.において、該加熱は30~60分間行われる。
【0033】
本発明は、
図6に示すように、前述のように製造されたグラファイト積層体6であって、5~100μmの厚さを有する少なくとも2つのグラファイト層200、及び1~5μmの厚さを有する少なくとも1つの接着剤層100を含み、
- 該少なくとも2つのグラファイト層200及び該少なくとも1つの接着剤層100が、互いの上に交互に配置され、
- 該グラファイト積層体の頂部層7及び底部層8はグラファイト層である、
グラファイト積層体にも関する。
【0034】
そのため、該グラファイト層200及び該接着剤層100は、交互に配置されて、グラファイト層と接着剤層との交互を形成する。これは
図6に示されており、グラファイト積層体は5つの層、すなわち、3つのグラファイト層及び2つの接着剤層を含み、グラファイト層は、グラファイト層の上部にある接着剤層の上部にあるグラファイト層の上部にある接着剤層の上部にある。
【0035】
好ましくは、該グラファイト積層体は、2~7つのグラファイト層を含む。
【0036】
好ましくは、該少なくとも2つのグラファイト層は、圧縮された剥離天然グラファイト、熱分解グラファイト又は熱処理されたグラファイト化可能ポリマーから作製される。
【0037】
好ましくは、該少なくとも2つのグラファイト層は、15~100μmの厚さを有する。
【0038】
好ましくは、該少なくとも2つのグラファイト層は、400~2500W.mK-1の面内熱伝導率を有する。
【0039】
グラファイト積層体の接着剤層の厚さは、接着剤の溶媒が除去される加熱ステップ(ステップv.)に起因して、プロセスのステップi.におけるコーティングされた接着剤層の厚さとは異なる。好ましくは、前記少なくとも1つの接着剤層100は、1~3μmの厚さを有する。
【0040】
好ましくは、前記接着剤層は、有機官能性シラン及び官能化ナノスケールSiO2粒子を含む。さらにより優先的には、前記接着剤層は、有機官能性シラン及び官能化ナノスケールSiO2粒子から構成される。
【0041】
本発明はまた、ヒートスプレッダ装置のための前記グラファイト積層体の使用に関する。ヒートスプレッダ装置は、電子装置、例えば、携帯電話又はマザーボードに使用することができる。
【実施例】
【0042】
実験結果
特許請求されたプロセスのステップiii.中の正味圧力の値の影響を評価するために、実験的試験を行った。
【0043】
全ての試行について、厚さ50μmのポリイミドフィルムをグラファイト化した。そうするために、ポリイミド膜を、N2の不活性雰囲気中1000℃で60分間の熱処理によって炭化して、ポリマーの全ての非炭素基を除去した。次いで、この炭化フィルムをAr不活性雰囲気のグラファイト化炉に入れ、炭素原子をグラファイトの結晶格子に再配置するために2800℃までの熱処理を行って、約40μmのグラファイトフィルムを得た。その後、グラファイトフィルムを圧延して多孔率を低下させ、熱伝導率を増加させた。得られたフィルムは、約900~1000W.mK-1の面内熱伝導率及び25μmのオーダーの厚さを有する。
【0044】
全ての試行について、
図1に示すように、グラファイトフィルムの第1の面に約1μmの接着剤層を噴霧コーティングによって堆積させた。
【0045】
次に、層のスタックは、
図4に示すように、層の圧縮スタックを形成する液圧プレスによってプレスされた。最良の範囲を決定するために、層の異なるスタックに対して異なる圧力値を試験した。
【0046】
次いで、圧縮された層のスタックを、
図6に示すように、70℃の温度で30分間炉に入れて、接着剤の溶媒を除去した。
【0047】
最終的に、面内熱伝導率を、Yifeng Fuら2020 2D Mater7 012001に記載の「Thermal Bridge Method」を用いて測定した。
【0048】
実験の結果を
図7にプロットし、面内熱伝導率を層の圧縮スタックに加えられる圧力の関数としてプロットする。
【0049】
圧力の値はグラファイト積層体の面内伝導率に影響を及ぼし、最良の範囲は7~20MPaの圧力値に対するものであることが明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、ヒートスプレッダを製造する方法。
i. 少なくとも1つのグラファイト層2の主表面上に接着剤1を堆積させて、接着剤層10によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層2を得るステップであって、
a. 該接着剤層10は、0.5~10μmの厚さを有し、且つ溶媒を含み、
b. 該少なくとも1つのグラファイト層2は、10~200μmの厚さを有し、且つ2つの対向する主表面を有するものである、ステップ、
ii. 任意選択で、該接着剤層によってコーティングされた少なくとも1つのグラファイト層を、接着剤層10によってコーティングされた少なくとも1つのさらなるグラファイト層2の上に配置して、グラファイト層と接着剤層とが交互になった、第1のスタックである層3を形成するステップ、
iii. 10~200μmの厚さを有するグラファイト層20を該第1のスタックである層3の上に配置して、グラファイト層を頂部層及び底部層として有する第2のスタックである層4を形成するステップ、
iv. 該第2のスタックである層4を7~20MPaの圧力で圧縮して、グラファイト系積層体5を形成するステップ、
v. 該グラファイト系積層体5を加熱して前記接着剤の前記溶媒を除去するステップ。
【請求項2】
ステップi.において、前記堆積が接着剤を噴霧することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップi.において、前記堆積が接着剤を擦ることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップi.において、該接着剤層が、有機官能性シラン及び官能化ナノスケールSiO
2粒子を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
ステップi.において、該接着剤層が1~5μmの厚さを有する、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層2が、圧縮された剥離天然グラファイト、熱分解グラファイト又は熱処理されたグラファイト化可能ポリマーから作製される、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
ステップi.において、該少なくとも1つのグラファイト層2が、
- 15~200μmの厚さを有する、
及び/又は
- 400~2500W.mK
-1
の面内熱伝導率を有する
請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
ステップiv.において、該圧縮がローラーによって行われる、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
ステップiv.において、該圧縮
が液圧プレスによって行われる、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
ステップiv.において、該圧縮が10~16MPaの圧力で行われる、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に従って製造されたグラファイト積層体6であって、5~100μmの厚さを有する少なくとも2つのグラファイト層200、及び1~5μmの厚さを有する少なくとも1つの接着剤層100を含み、
- 該少なくとも2つのグラファイト層200及び該少なくとも1つの接着剤層100が、互いの上に交互に配置され、
- 該グラファイト積層体の前記頂部層7及び前記底部層8はグラファイト層である、グラファイト積層体。
【請求項12】
該グラファイト積層体6が、2~7つのグラファイト層を含む、請求項
11に記載のグラファイト積層体。
【請求項13】
請求項
11に記載のグラファイト積層体の、ヒートスプレッダ装置における使用。
【国際調査報告】