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特表2024-539101液体製剤及びその調製方法、エアロゾル発生システム、エアロゾル発生システムのための筒及びエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】液体製剤及びその調製方法、エアロゾル発生システム、エアロゾル発生システムのための筒及びエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/475 20060101AFI20241018BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 36/74 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241018BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20241018BHJP
   A61M 11/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61M 11/02 20060101ALI20241018BHJP
   A61M 11/04 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K31/475
A61K9/12
A61K36/74
A61K47/10
A61K47/12
A61K9/08
A61P15/10
A61P13/02
A61P13/08
A61M11/00 300
A61M11/02
A61M11/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523461
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2022126035
(87)【国際公開番号】W WO2023071872
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111248947.0
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲ダァン▼晶晶
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA24
4C076BB21
4C076CC17
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD42
4C076FF52
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA57
4C086MA59
4C086NA10
4C086ZA81
4C088AB14
(57)【要約】
本出願は、液体製剤、液体製剤の調製方法、エアロゾル発生システム、エアロゾル発生システムのための筒及びエアロゾル発生装置を開示する。前記液体製剤は、ヨヒンビン抽出物、溶解促進剤、及び溶剤を含む。ここで、前記ヨヒンビン抽出物の前記溶解促進剤への溶解能力は、前記ヨヒンビン抽出物の前記溶剤への溶解能力よりも高く、前記ヨヒンビン抽出物は、前記溶解促進剤に溶解した後、前記溶剤と安定した透明な溶液を形成することができる。ヨヒンビン抽出物を溶解促進剤に溶解させてから液体製剤の溶剤と混合することにより、エアロゾル発生システムにおけるヨヒンビン抽出物の使用量を向上させ、エアロゾル発生システムにおけるヨヒンビン抽出物の適用を促進する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨヒンビン抽出物、溶解促進剤、及び溶剤を含み、
前記ヨヒンビン抽出物の前記溶解促進剤への溶解能力は、前記ヨヒンビン抽出物の前記溶剤への溶解能力よりも高く、前記ヨヒンビン抽出物は、前記溶解促進剤に溶解した後、前記溶剤と安定した透明な溶液を形成することができることを特徴とする、エアロゾル発生システムのための液体製剤。
【請求項2】
前記液体製剤の質量パーセントで、前記ヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量が0.01~15%であり、前記溶解促進剤の質量パーセント含有量が0.09~15%であり、前記溶剤の質量パーセント含有量が50~99.9%であることを特徴とする、請求項1に記載の液体製剤。
【請求項3】
前記ヨヒンビン抽出物は、ヨヒンビンを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体製剤。
【請求項4】
前記ヨヒンビンと前記溶解促進剤とはヨヒンビン濃縮液を形成し、
前記液体製剤の重量パーセントで、前記ヨヒンビン濃縮液の質量パーセント含有量は0.1~30%であることを特徴とする、請求項1に記載の液体製剤。
【請求項5】
前記溶剤は、グリセリン及びプロパンジオールを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体製剤。
【請求項6】
前記液体製剤の重量パーセントで、前記ヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量は0.015~12%であり、又は前記ヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量は0.02~12%であることを特徴とする、請求項3に記載の液体製剤。
【請求項7】
前記溶解促進剤は、ベンジルアルコール及び有機酸のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体製剤。
【請求項8】
前記溶解促進剤は、水をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の液体製剤。
【請求項9】
前記有機酸は、乳酸、氷酢酸、アジピン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及び安息香酸のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項7に記載の液体製剤。
【請求項10】
前記液体製剤の重量パーセントで、前記ベンジルアルコールの質量パーセント含有量は0~27%であり、
又は、前記ベンジルアルコールの質量パーセント含有量は0.008~15%であり、
又は、前記ベンジルアルコールの質量パーセント含有量は0.012~9%であることを特徴とする、請求項7に記載の液体製剤。
【請求項11】
前記液体製剤の重量パーセントで、前記有機酸の質量パーセント含有量は0~24%であり、
又は、前記有機酸の質量パーセント含有量は0.008~15%であり、
又は、前記有機酸の質量パーセント含有量は0.012~9%であることを特徴とする、請求項7に記載の液体製剤。
【請求項12】
前記液体製剤の重量パーセントで、前記水の質量パーセント含有量は0~24%であり、
又は、前記水の質量パーセント含有量は0.01~15%であり、
又は、前記水の質量パーセント含有量は0.02~12%であることを特徴とする、請求項8に記載の液体製剤。
【請求項13】
前記液体製剤は、甘味剤、清涼剤、及び風味組成物のうちの少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体製剤。
【請求項14】
ヨヒンビンを調製することと、
ヨヒンビンを溶解促進剤に加えて、ヨヒンビンを溶解促進剤に十分に溶解させてヨヒンビン濃縮液を得ることと、
ヨヒンビン濃縮液を溶剤に加えることと、を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の液体製剤を調製する方法。
【請求項15】
前記ヨヒンビンは、ヨヒンビン塩酸塩による脱酸処理プロセスによって調製されることを特徴とする、請求項14に記載の調製液体製剤の方法。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか1項に記載の液体製剤を含む液体製剤が収容されていることを特徴とする、エアロゾル発生システムのための筒。
【請求項17】
請求項16に記載の筒及びエアロゾル発生装置を含み、
前記エアロゾル発生装置は、前記筒の少なくとも一部を受け入れることができ、前記液体製剤を霧化してエアロゾルを形成するために用いられるように構成されることを特徴とする、エアロゾル発生システム。
【請求項18】
霧化器と、請求項1から13のいずれか1項に記載の液体製剤が収容されているキャビティと、を含み、前記霧化器が前記液体製剤を霧化してエアロゾルを発生させるために用いられることを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月26日に中国特許局に出願された、出願番号202111248947.0、発明の名称「液体製剤及びその調製方法、エアロゾル発生システム、エアロゾル発生システムのための筒及びエアロゾル発生装置」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、霧化の技術分野に関し、特に、ヨヒンビンを含む液体製剤、液体製剤調製方法、エアロゾル発生システム、エアロゾル発生システムのための筒及びエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0003】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置、及びエアロゾル発生装置の内部に貯蔵されている液体製剤を含む。エアロゾル発生装置は、液体製剤を霧化することによってエアロゾルを形成する。液体製剤は、主に、グリセリン、1,2-プロパンジオール、合成系エッセンス、ニコチン及び/又はニコチン塩等を含む。エアロゾル発生システムは、従来の燃焼式巻きタバコ製品の代替品となされている以外、補助治療に用いられてもよい。その主な方法としては、健康効果成分を液体製剤に加え、健康効果成分が霧化によりエアロゾルを形成して使用者に吸い込まれることである。近年、大健康産業は急速に発展しており、健康効果成分を有する液体製剤は益々研究開発者及び消費者の注目を集めており、特に、使用者にとって実に有益な健康効果成分を選択して液体製剤に加え、健康効果成分の作用を発揮させることは焦点となっている。
【0004】
ヨヒンベはアフリカで百年育てられている草本植物であり、現在、ヨヒンビン抽出物を原料とする健康品は多く市販されている。従来技術において、ヨヒンビン抽出物は、通常、ヨヒンビン塩酸塩の形で存在しているが、ヨヒンビン塩酸塩は、グリセリン-プロパンジオール系の液体製剤における溶解度が低く、極めて析出しやすく、濁った液を形成するため、ヨヒンビンがエアロゾルに転化して使用者に吸い込まれることが困難であり、エアロゾル発生システムにおけるヨヒンビン抽出物の使用を大きく阻害していた。
【発明の概要】
【0005】
従来技術においてヨヒンビンを含む液体製剤中のヨヒンビン成分が転化しにくいという問題を解決するために、本出願の実施例は、ヨヒンビン抽出物、溶解促進剤、及び溶剤を含み、前記ヨヒンビン抽出物の前記溶解促進剤への溶解能力は、前記ヨヒンビン抽出物の前記溶剤への溶剤能力よりも高く、前記ヨヒンビン抽出物は、前記溶解促進剤に溶解した後、前記溶剤と安定した透明な溶液を形成することができる、エアロゾル発生システムのための液体製剤を提供する。
【0006】
いくつかの実施例において、前記液体製剤の質量パーセントで、前記ヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量は0.01~15%であり、前記溶解促進剤の質量パーセント含有量は0.09~15%であり、前記溶剤の質量パーセント含有量は50~99.9%である。
【0007】
いくつかの実施例において、前記ヨヒンビン抽出物は、ヨヒンビンを含む。
【0008】
いくつかの実施例において、前記ヨヒンビンと前記溶解促進剤とはヨヒンビン濃縮液を形成し、前記液体製剤の重量パーセントで、前記ヨヒンビン濃縮液の質量パーセント含有量は0.1~30%である。
【0009】
いくつかの実施例において、前記溶剤は、グリセリン及びプロパンジオールを含む。
【0010】
いくつかの実施例において、前記液体製剤の重量パーセントで、前記ヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量は0.015~12%であり、又は前記ヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量は0.02~12%である。
【0011】
いくつかの実施例において、前記溶解促進剤は、ベンジルアルコール及び有機酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
いくつかの実施例において、前記溶解促進剤は、水をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例において、前記有機酸は、乳酸、氷酢酸、アジピン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及び安息香酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
いくつかの実施例において、前記液体製剤の重量パーセントで、前記ベンジルアルコールの質量パーセント含有量は0~27%であり、又は前記ベンジルアルコールの質量パーセント含有量は0.008~15%であり、又は前記ベンジルアルコールの質量パーセント含有量は0.012~9%である。
【0015】
いくつかの実施例において、前記液体製剤の重量パーセントで、前記有機酸の質量パーセント含有量は0~24%であり、又は前記有機酸の質量パーセント含有量は0.008~15%であり、又は前記有機酸の質量パーセント含有量は0.012~9%である。
【0016】
いくつかの実施例において、前記液体製剤の重量パーセントで、前記水の質量パーセント含有量は0~24%であり、又は前記水の質量パーセント含有量は0.01~15%であり、又は前記水の質量パーセント含有量は0.02~12%である。
【0017】
いくつかの実施例において、前記液体製剤は、甘味剤、清涼剤、及び風味組成物のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0018】
本出願の実施例は、ヨヒンビンを調製するステップと、ヨヒンビンを溶解促進剤に加えて、ヨヒンビンを溶解促進剤に十分に溶解させてヨヒンビン濃縮液を得るステップと、ヨヒンビン濃縮液を溶剤に加えるステップと、を含む、上記液体製剤を用意する方法をさらに提供する。
【0019】
いくつかの実施例において、前記ヨヒンビンは、ヨヒンビン塩酸塩の酸化処理プロセスによって調製される。
【0020】
本出願は、上記液体製剤が収容されている、エアロゾル発生システムのための筒をさらに提供する。
【0021】
本出願は、上記筒及びエアロゾル発生装置を含み、前記エアロゾル発生装置は、前記筒の少なくとも一部を受け入れることができ、前記液体製剤を霧化してエアロゾルを形成するために用いられるように構成される、エアロゾル発生システムをさらに提供する。
【0022】
本出願の実施例は、前記液体製剤を霧化してエアロゾルを発生させるための霧化器と、上記液体製剤が収容されているキャビティと、を含む、エアロゾル発生装置をさらに提供する。
【0023】
本出願の実施例の有益な効果は、上記液体製剤では、ヨヒンビン抽出物を溶解促進剤に溶解させ、ヨヒンビン抽出物の溶解促進剤への溶解能力がその溶剤への溶解能力よりも高いため、ヨヒンビン抽出物が溶解促進剤に溶解した後、液体製剤中の溶剤と安定した透明な溶液を形成することができ、それにより、エアロゾル発生システムにおけるヨヒンビン抽出物の使用量を向上させ、エアロゾル発生システムにおけるヨヒンビン抽出物の適用を促進することである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
1つ又は複数の実施例についてはそれに対応する添付図面中の図によって例示的に説明するが、これらの例示的説明は実施例を限定するものではない。特に断らない限り、添付図面中の図は比例を制限するものではない。
図1】本出願の実施例で提供される脱酸プロセス処理前後のヨヒンビン塩酸塩(a)、ヨヒンビン炭酸ソーダ(b)のHPLCスペクトル図である。
図2】本出願の実施例で提供されるヨヒンビン塩酸塩、ヨヒンビン炭酸ソーダを霧化させて形成されたエアロゾルのHPLCスペクトル図である。
図3】本出願の実施例で提供される液体製剤a、液体製剤b、及び液体製剤cの3組の溶液の溶解状況比較図である。
図4】本出願の実施例11で提供される4組のヨヒンビンの転化率比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願を理解しやすくするために、以下に図面及び具体的な実施形態を組み合わせて、本出願についてより詳細に説明する。
【0026】
ヨヒンビン抽出物は、アフリカに生育する天然植物「YOHIMBE」ヨヒンビンの樹皮から抽出された活性物質である。ヨヒンビンは、生殖器官に作用することができ、生殖器官の血管を拡張させ、生殖器官の血流量を増加させ、一酸化二窒素の形成を増加させることにより、性機能を強化することができる。これは現在肯定的で且つ最も多く応用されている、勃起機能障害を植物で治療する純植物性製剤であり、且つ前立腺肥大及び泌尿器系感染を予防することができる。ヨヒンビン抽出物をエアロゾル発生システムに用いられる液体製剤に加え、エアロゾル発生装置により霧化させてエアロゾルを形成する。使用者はエアロゾルを吸い込むことで、ヨヒンビンに機能効果を発揮させることができる。そのため、ヨヒンビンをエアロゾル発生システムの分野に適用することは、エアロゾル発生装置の健康使用効果を極めて大幅に拡充することができる。
【0027】
ヨヒンビン抽出物は、ヨヒンビン塩酸塩及びヨヒンビンを含む。ヨヒンビンは、化学式がC21H26N203であり、クロロホルムに溶解しやすく、メタノール及びエタノールに溶解可能であり、水に微溶である。市販のヨヒンビン抽出物は、主にヨヒンビン塩酸塩の形で存在している。ヨヒンビン塩酸塩は、化学式がC21H27CLN203であり、クロロホルムに溶解しやすく、メタノール及びエタノールに溶解可能であり、水に微溶である。試験を経て、グリセリン及びプロパンジオール系の溶剤中に、ヨヒンビン塩酸塩及びヨヒンビンは両方とも溶解度が極めて低く、液体製剤の重量パーセントで計算すると、ヨヒンビン塩酸塩及びヨヒンビンの添加量が1%より遥かに低い場合、両方とも結晶が析出することが発見された。ヨヒンビン抽出物は溶剤に溶解しにくいため、ヨヒンビンがエアロゾルに転化して使用者に吸い込まれることは困難である。
【0028】
エアロゾル発生システムにおけるヨヒンビン抽出物の効果的な適用を促進するために、本出願の実施例1は、ヨヒンビン抽出物を含む液体製剤を提供して、エアロゾル発生システムに用いる。該液体製剤は、溶剤、及びヨヒンビン濃縮液を含む。ヨヒンビン抽出物はヨヒンビン濃縮液中に存在している。ヨヒンビン濃縮液はグリセリン-プロパンジオール系溶剤と安定した透明な溶液を形成することができ、それにより、ヨヒンビン抽出物がグリセリン-プロパンジオール系溶剤に溶解しにくいという問題を解決する。
【0029】
液体製剤の重量パーセントで、ヨヒンビン濃縮液の質量パーセント含有量は0.1~30%であり、溶剤の質量パーセント含有量は50~99.9%である。ヨヒンビン濃縮液には、ヨヒンビン抽出物が含まれる。液体製剤の重量で、ヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量は0.01~15%であり、又はヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量は0.015~12%であり、又はヨヒンビン抽出物の質量パーセント含有量は0.02~12%である。
【0030】
さらに、ヨヒンビン濃縮液中に、ヨヒンビン濃縮液の重量パーセントで、ヨヒンビン抽出物の質量パーセントは10~50%であり、選択的に、ヨヒンビン抽出物の質量パーセントは15~40%であり、さらに一層、ヨヒンビン抽出物の質量パーセントは20~40%であってもよい。以上より、液体製剤の重量パーセントで、ヨヒンビン抽出物の質量パーセントは0.01~15%であり、選択的に、ヨヒンビン抽出物の質量パーセントは0.015~12%であり、さらに、ヨヒンビン抽出物の質量パーセントは0.02~12%であってもよい。選択的に、ヨヒンビン抽出物の具体的な添加量は、使用者のニーズに応じて調整することができる。例えば、液体製剤の重量パーセントで、ヨヒンビン抽出物の質量パーセントは、1%、2%、5%、6%、8%、10%、12%、14%、又は0.01~15%の間のいずれかの値であり得る。ヨヒンビン抽出物は溶解促進剤に大量に溶解してヨヒンビン濃縮液を形成することができるため、液体製剤におけるヨヒンビン濃縮液の配合比を調整することで、液体製剤におけるヨヒンビン抽出物の添加量を任意に変更することができる。
【0031】
本出願の実施1は、さらに、上記液体製剤を調製する具体的な成分配合方案の一部を提供する。液体製剤の全量パーセントで、各成分の質量パーセント含有量は、以下の表1を参照する。
【0032】
【0033】
ヨヒンビン抽出物は、主にヨヒンビンの形で該ヨヒンビン濃縮液中に存在している。いくつかの実施形態において、溶剤は、主にグリセリン及びプロパンジオールを含み、グリセリン及びプロパンジオールの2つの成分を任意の割合で混合することができる。選択的な実施形態において、溶剤は、さらに、ブタンジオール、1,2,4-ブタントリオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、三酢酸グリセロール、ジプロピレングリコールエーテル、エタノール、水、クエン酸トリエチル、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのうちの1つ又は複数を含んでもよい。具体的な溶剤の選択については、溶剤に加えた成分の種類に応じて最適化して選択する必要がある。グリセリン及びプロパンジオールは、エアロゾル発生装置により発生するエアロゾルの品質を高める観点から、溶剤中の好適な成分である。
【0034】
ヨヒンビンの供給源が限られているため、本出願で提供される実施例2において、ヨヒンビン塩酸塩の脱酸プロセスによってヨヒンビンを形成する。有機物の脱酸プロセスは酸化又は酸塩基中和によって行うことができ、ここで、酸塩基中和方法は、エステル化反応を含む。以下、エステル化反応を例として具体的に説明し、ヨヒンビン塩酸塩の脱酸処理プロセスは、主に以下のいくつかのステップを含む。
【0035】
第1ステップ、エステル化反応
ヨヒンビン塩酸塩粉末を酢酸エチルに加え、十分に溶解した後、分液漏斗内に移し、純水を加え、分液漏斗を十分に振とうさせ、均一に混合し、層化するまで静置する。ここで、重量比で計算すると、ヨヒンビン塩酸塩と酢酸エチルとの割合は1:(40~70)であり、体積比で計算すると、純水と酢酸エチルとの割合は1:(2~3)である。
【0036】
第2ステップ、ペーハー調整及び濾過
溶液の層化後に水層及び酢酸エチル層が形成され、そのうち上層が酢酸エチル層であり、下層が水層であり、十分な水酸化ナトリウム溶液を加え、分液漏斗を十分に振とうさせ、混合液のPH値が約9になるまで停止し、そして層化するまで静置した後、下層の水を排出する。
【0037】
上層の酢酸エチル層を洗浄するのに十分な量の純水を再度加え、3回繰り返す。ここで、水酸化ナトリウム溶液の濃度は2~6mol/Lであり、体積比で計算すると、純水と酢酸エチルとの割合は1:(2~3)である。
【0038】
第3ステップ、ヨヒンビンの精製
上記ステップにおける酢酸エチル層を収集し、混合液を回転蒸発器内に入れ、回転ボトル内の液体が乾燥固体に転化するまで減圧して回転蒸発させ、上記粉末状固体を取り出すと、ヨヒンビンを得ることができる。
【0039】
第3ステップを繰り返して精製することにより、純度が98%(質量パーセントで)より高いヨヒンビン粉末を得ることができる。
【0040】
本出願で提供される実施例3において、実施例2における脱酸処理プロセスがヨヒンビンの効果成分に影響を与えるか否かを、検出比較により分析する。検出分析方法は、脱酸プロセス処理前のヨヒンビン塩酸塩、脱酸プロセス処理後のヨヒンビンを、それぞれ液体クロマトグラフに加え、液体クロマトグラフィーの比較分析により、脱酸処理プロセスがヨヒンビンの効果成分に影響を与えるか否かを検証することである。以下、液体クロマトグラフィーの比較分析方法を具体的に説明する。
【0041】
(1)クロマトグラフィーの条件については、DGU-20A5R型液体クロマトグラフ、逆相クロマトグラフカラムC18、4.6x250mm、3.5um、移動相であるアセトニトリル一水和物(体積比が30:70)、カラム温度35℃、流速1.0mL/min、検出波長278nm、サンプリング10μL。
【0042】
(2)ヨヒンビン塩酸塩、脱酸処理プロセスで得られたヨヒンビンをクロマトグラフに加え、液体クロマトグラフィーのスペクトル分析操作を行う。液体クロマトグラフィーの比較分析により、得られたクロマトグラムは図1を参照し、2つのクロマトグラムのピーク区間は一致しており、上記クロマトグラフィー分析により、本出願の実施例2で提供される脱酸処理プロセスがヨヒンビンの活性官能基に影響を与えていないことは明らかになった。
【0043】
本出願で提供される実施例4において、さらに、脱酸プロセス処理前のヨヒンビン塩酸塩を霧化液体製剤1に調製し、且つ脱酸プロセス処理後のヨヒンビンを霧化液体製剤2に調製し、液体製剤1をエアロゾル発生装置に加えて霧化させてエアロゾル1を得て、液体製剤2をエアロゾル発生装置に加えて霧化させてエアロゾル2を得て、そして、液体クロマトグラフィーを用いてエアロゾル1及びエアロゾル2の性能の比較分析を行う。液体クロマトグラフィーの具体的な比較分析方法は上記溶液1及び溶液2と同様であり、以下の説明を参照する。
【0044】
(1)クロマトグラフィーの条件については、DGU-20A5R型液体クロマトグラフ、逆相クロマトグラフカラムC18、4.6x250mm、3.5um、移動相であるアセトニトリル一水和物(体積比が30:70)、カラム温度35℃、流速1.0mL/min、検出波長278nm、サンプリング10μL。
【0045】
(2)エアロゾル1及びエアロゾル2をそれぞれ採取して液体クロマトグラフに入れ、液体クロマトグラフィーの分析操作を行う。液体クロマトグラフィーの比較分析により、得られたクロマトグラムは図2を参照し、2つのクロマトグラムのピーク区間は略一致しており、且つ図2及び図1のピーク区間も実質的に一致している。上記クロマトグラフィー分析により、エアロゾル1がヨヒンビン成分を含み、エアロゾル2がヨヒンビン成分を含み、ヨヒンビン塩酸塩及びヨヒンビンは両方ともエアロゾルの形で人体に吸収され、さらに健康効果を達成することができることは明らかになった。説明すべきことは、液体製剤1及び液体製剤2のいずれかにもグリセリン-プロパンジオール系の溶剤系が使用されていないため、ヨヒンビン塩酸塩及びヨヒンビンが両方ともエアロゾルに効果的に転化することができる点である。
【0046】
プロパンジオール-グリセリン系溶剤へのヨヒンビンの溶解度を最大限に向上させることを可能にするために、上記脱酸処理プロセスを経て得られたヨヒンビンをヨヒンビン濃縮液に調製する。本出願の実施例5では、ヨヒンビン濃縮液の配合方案を提供する。該ヨヒンビン濃縮液はヨヒンビン及び溶解促進剤を含み、ヨヒンビンは溶解促進剤に十分に溶解でき、安定した透明な溶液を形成し、ヨヒンビンの析出物が発生しない。溶解促進剤は、ベンジルアルコール、有機酸、及び水を含む。ベンジルアルコール及び有機酸は溶解促進剤としての好適な成分である。有機酸は、乳酸、氷酢酸、アジピン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、及び安息香酸のうちの1つ又は複数の組み合わせを含むが、これらに限定されない。有機酸のうち、乳酸及び氷酢酸が好ましい。溶解促進剤へのヨヒンビンの溶解メカニズムについて、一方で、ヨヒンビンはベンジルアルコール又は有機酸との間に分子間水素結合を形成することができ、それによりベンジルアルコール又は有機酸溶剤へのヨヒンビンの溶解を促進する。他方で、ヨヒンビンが極性有機物であり、ベンジルアルコール、氷酢酸、及び乳酸等が極性有機溶剤であるため、上記2種類の物質へのヨヒンビンの溶解を促進することができる。プロパンジオール、グリセリンの極性は、ベンジルアルコール、氷酢酸、水の極性よりも低く、類は同類に溶解するという原理により、極性ヨヒンビンは、極性が高いベンジルアルコール、氷酢酸、乳酸及び水を混合して形成された溶解促進剤においてより溶解しやすい。
【0047】
ヨヒンビン濃縮液の重量パーセントで、ヨヒンビンの質量パーセントは10~50%であり、選択的に、ヨヒンビンの質量パーセントは15~40%であり、さらに一層、ヨヒンビンの質量パーセントは20~40%であってもよい。ヨヒンビン濃縮液中に、ヨヒンビン濃縮液の重量パーセントで、ベンジルアルコールの質量パーセントは0~90%であり、選択的に、ベンジルアルコールの質量パーセントは8~50%であり、さらに一層、ベンジルアルコールの質量パーセントは12~30%であってもよい。ヨヒンビン濃縮液中に、ヨヒンビン濃縮液の重量パーセントで、有機酸の質量パーセントは0~80%であり、選択的に、有機酸の質量パーセントは8~50%であり、さらに一層、有機酸の質量パーセントは12~30%であってもよい。ヨヒンビン濃縮液中に、ヨヒンビン濃縮液の重量パーセントで、水の質量パーセントは0~80%であり、選択的に、水の質量パーセントは10~50%であり、さらに一層、水の質量パーセントは20~40%であってもよい。理解されるように、溶解促進剤は、ヨヒンビン又はヨヒンビン塩酸塩の溶解を促進できる任意の有機物から選択されてもよいが、エアロゾル発生システムの霧化液体製剤の霧化機能要件を満たし、吸い込みに適したエアロゾルを形成できると共に、液体製剤を霧化させて形成されたエアロゾルの性能に影響を与えない必要があり、該性能は、食感、煙安定性及び使用者の健康等を含む。
【0048】
液体製剤中に、液体製剤の重量パーセントで、ベンジルアルコールの質量パーセントは0~27%であり、選択的に、ベンジルアルコールの質量パーセントは0.008~15%であり、選択的に、ベンジルアルコールの質量パーセント含有量は0.012~9%である。理解されるように、ベンジルアルコールの具体的な添加量は、溶解を必要とするヨヒンビンの添加量ニーズに応じて適応的に調整することができ、ベンジルアルコールの質量比含有量は0~27%の間のいずれかの値であり得る。
【0049】
液体製剤中に、液体製剤の重量パーセントで、有機酸の質量パーセント含有量は0~24%であり、選択的に、有機酸の質量パーセント含有量は0.008~15%であり、選択的に、有機酸の質量パーセント含有量は0.012~9%である。理解されるように、有機酸の具体的な添加量は、溶解を必要とするヨヒンビンの添加量ニーズに応じて適応的に調整することができ、有機酸の質量比含有量は0~24%の間のいずれかの値であり得る。
【0050】
ヨヒンビン濃縮液中の溶解促進剤の具体的な含有量について、上記含有量範囲に限らず、加える必要があるヨヒンビン抽出物の含有量ニーズに応じて適応的に調整することができる。例えば、エアロゾル製造システムのための液体製剤中のヨヒンビン抽出物の含有量のニーズが3%(質量パーセントで)であり、液体製剤中のヨヒンビン濃縮液の含有量が15%(質量パーセントで)である場合、ヨヒンビン濃縮液中に、ヨヒンビン抽出物の含有量は20%(質量パーセントで)であり、溶解促進剤の含有量は80%(質量パーセントで)である。
【0051】
本出願の実施例6では、さらに、以下のステップを含む上記ヨヒンビン濃縮液の調製プロセスを提供する。
【0052】
1、ヨヒンビン粉末を秤量し、ベンジルアルコール溶剤を加え、ベンジルアルコールがヨヒンビン粉末を十分に浸潤できるようにする。
【0053】
2、純水を加え、上記溶液中のヨヒンビン粉末をさらに浸潤することができる。
【0054】
3、氷酢酸を上記溶液に加える。
【0055】
4、上記溶液を入れた容器を密封し、60℃で加熱して撹拌又は渦巻かせ、溶液中のヨヒンビン粉末を十分に溶解させる。
【0056】
5、上記溶液中の不純物を濾過し、ヨヒンビン濃縮液を得る。
【0057】
説明すべきことは、ヨヒンビン濃縮液の調製中に、各成分の含有量が異なり、対応するヨヒンビン粉末の溶解状況が異なり、使用されたヨヒンビンの純度が98%よりも大きいが、依然として少量の不純物を含有している点である。いくつかの配合方案を使用して調製されたヨヒンビン濃縮液は、ヨヒンビンが完全に溶解できるが、いくつかの配合方案を使用して調製されたヨヒンビン濃縮液は、ヨヒンビンが完全に溶解できず、この場合、濃縮液中にはいくつかの微量の懸濁物質又はいくつかの溶解されていない結晶核が存在しており、安定したヨヒンビン濃縮液を得るために、調製された濃縮液の状況に応じてステップ5の操作回数を選択して、調製されたヨヒンビン濃縮液中の不純物を十分に濾過する必要がある。
【0058】
さらに、本出願の実施例5は、上記ヨヒンビン濃縮液を調製する具体的な成分配合方案の一部をさらに提供する。以下の表2を参照する。
【0059】
【0060】
説明すべきことは、表1にはヨヒンビン濃縮液を調製する配合方案の一部のみが記載されており、本出願の実施例で提供される各成分の質量含有量の配合比を満たす場合、具体的なヨヒンビン抽出物の濃度ニーズに応じて適応的に調整することができる点である。
【0061】
本出願の実施例7では、さらに、異なるヨヒンビン抽出物をグリセリン-プロパンジオール系溶剤に加えた霧化液の溶解性の比較分析を行う。具体的な分析方法は以下のとおりである。
【0062】
(1)液体製剤aを調製する:ヨヒンビン塩酸塩をグリセリン-プロパンジオール系溶剤に加え、ここで、液体製剤aの重量で、ヨヒンビン塩酸塩の質量比含有量が2%であり、そして、液体製剤aを30min加熱し、加熱温度が60℃である。
【0063】
(2)液体製剤bを調製する:上記実施例2の脱酸処理プロセスで得られたヨヒンビンをグリセリン-プロパンジオール系溶剤に加え、ここで、液体製剤bの重量で、ヨヒンビンの質量比含有量が2%であり、そして、液体製剤bを30min加熱し、加熱温度が60℃である。
【0064】
(3)液体製剤cを調製する:本出願の実施例5で提供されるヨヒンビン濃縮液をグリセリン-プロパンジオール系溶剤に加え、ここで、液体製剤cの重量で、ヨヒンビンの質量パーセント含有量が2%であり、そして、液体製剤cを30min加熱し、加熱温度が60℃である。
【0065】
液体製剤a、液体製剤b、及び液体製剤cの3組の溶液の溶解状況を観察し、得られた3組の溶液の溶解状態は表2及び図3を参照する。
【0066】
【0067】
表3及び図3を参照すると、液体製剤a及び液体製剤bは溶液が濁っており、それにより、グリセリン-プロパンジオール系溶剤へのヨヒンビン塩酸塩の溶解度が低く、グリセリン-プロパンジオール系溶剤への脱酸処理プロセスを経て調製されたヨヒンビンの溶解度も低いことは明らかになったが、液体製剤cは溶液が澄んで透明であり、且つ該液体製剤cを一定の期間静置してから観察しても、溶液cが依然として透明であり、結晶が析出することがなく、それにより、本出願の実施例5で提供されるヨヒンビン濃縮液がグリセリン-プロパンジオール系溶剤中において安定した透明な溶液系を形成できることは明らかになった。ヨヒンビンをヨヒンビン濃縮液に調製することにより、その液体製剤における添加問題を解決することができ、具体的な使用ニーズに応じてヨヒンビン抽出物の添加量を増加させることができ、それと共に、調製された霧化液体製剤は安定性が高く、沈殿物が析出することがない。
【0068】
本出願の実施例9は、さらに、異なるヨヒンビン抽出物を含む液体製剤がエアロゾル発生装置内でエアロゾルに転化するヨヒンビンの転化効果の比較分析を行う。ヨヒンビン抽出物を含む液体製剤を2組用意し、それぞれ液体製剤3及び液体製剤4であり、液体製剤3をエアロゾル発生装置内で霧化させてエアロゾル3を形成し、液体製剤4をエアロゾル発生装置内で霧化させてエアロゾル4を形成する。
【0069】
液体製剤3は、ヨヒンビン塩酸塩を使用してグリセリン-プロパンジオール系溶剤に加えることによって調製され、液体製剤3の重量パーセントで計算すると、ヨヒンビン塩酸塩の質量パーセントが1%であり、プロパンジオールの質量パーセントが49%であり、グリセリンの質量パーセントが50%である。
【0070】
液体製剤4は、ヨヒンビン濃縮液を使用してグリセリン-プロパンジオール系溶剤に加えることによって調製され、液体製剤4の重量パーセントで計算すると、ヨヒンビン濃縮液の質量パーセント含有量が30%であり、プロパンジオールの質量パーセントが20%であり、グリセリンの質量パーセントが50%である。ここで、液体製剤4で使用されるヨヒンビン濃縮液中に、ヨヒンビン濃縮液の重量で計算すると、ヨヒンビンの質量パーセント含有量は3.33%であり、計算により、液体製剤4の重量で計算すると、ヨヒンビンの質量パーセント含有量は1%であることが分かる。
【0071】
本出願の実施例10は、霧化機能を有する霧化器を含む、エアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生装置を提供する。霧化器は、加熱素子及び導液素子を含む。導液素子は液体製剤の吸収及び伝達を行うことができ、加熱素子は液体製剤を霧化させてエアロゾルを形成することができる。導液素子で使用される材料及び霧化器の製造プロセスによっては、霧化器は、セラミックコア霧化器及び綿コア霧化器を含む。綿コア霧化器では、導液素子は、不織布、綿等のような毛細管構造を有して貯液性能に優れる材料から製造することができる。加熱素子は、ステンレス鋼、ニッケルクロム合金、鉄クロムアルミニウム合金、金属チタン等の材質のうちの少なくとも1つから製造された螺旋状発熱線又は発熱網であってもよい。導液素子は螺旋状発熱線又は発熱網の外部に固定して設けられてもよく、或いは、螺旋状発熱線又は発熱網は導液素子の少なくとも一部の表面の周りに設けられる。セラミックコア霧化器では、導液素子は、多孔質セラミック、多孔質ガラスセラミック又は多孔質ガラス等の硬質毛細管構造からなる多孔質体構造であってもよく、導液素子は略ブロック状であり、導液素子の少なくとも一部の表面に加熱素子が固定されている。加熱素子は、発熱コーティング、発熱シート又は発熱網のうちの1つであり得る。ここで、発熱コーティングは、電磁誘導発熱塗料及び赤外線誘導発熱塗料等を含んでもよいが、これらに限定されない。又は、加熱素子は、導電性を有する原材料粉末を採用して印刷助剤と混合してスラリーにした後、印刷後に多孔質体表面に焼結することができる。本出願の実施例9では、さらに、液体製剤中のヨヒンビンの転化率に対するセラミック霧化器及び綿コア霧化器の影響の比較分析を行う。
【0072】
本出願の実施例9では、エアロゾル3及びエアロゾル4中のヨヒンビンの転化率の試験分析を行い、使用される試験方法は以下の説明を参照する。
【0073】
試験方法は、液体製剤3及び液体製剤4それぞれについて、国際基準に従って喫煙器を用いて吸い込み試験を行うステップを含む。具体的な吸い込み試験条件は、毎回の吸い込み時間が3秒であり、吸い込み時間間隔が30秒であり、吸い込み回数が50回であり、液体製剤の毎回の吸い込み量が55mLであることである。ケンブリッジフィルターでエアロゾル3及びエアロゾル4をそれぞれ収集する。有機溶剤を使用してエアロゾル3のヨヒンビン塩酸塩を抽出し、濾過してヨヒンビン塩酸塩を得るが、有機溶剤を使用してエアロゾル4中のヨヒンビンを抽出し、濾過してヨヒンビンを得る。液体クロマトグラフィー分析方法を用いて、以下の転化率の計算式に従って、液体製剤3中のヨヒンビン塩酸塩を霧化させて形成されたエアロゾル3中のヨヒンビン塩酸塩の転化率、及び液体製剤4中のヨヒンビンを霧化させて形成されたエアロゾル4中のヨヒンビンの転化率をそれぞれ計算して得る。
【0074】
転化率の計算式は、
であり、式中、C=m/V、C=m/Vである。
【0075】
上記転化率の計算式中、W%がヨヒンビンの転化効率であり、Cがケンブリッジフィルターで捕集されたエアロゾルの濃度であり、Cが液体製剤の濃度であり、Aがエアロゾル中のヨヒンビンのクロマトグラムピーク面積であり、Aが液体製剤中のヨヒンビンのクロマトグラムピーク面積であり、mがエアロゾルの質量(即ち、ケンブリッジフィルターによる捕集前後の質量差)であり、mが液体製剤の質量であり、Vが抽出溶剤の体積である。
【0076】
本出願で提供される実施例9において、綿コア霧化器を備えた同じ規格のエアロゾル発生装置1、セラミック霧化器を備えた同じ規格のエアロゾル発生装置2にそれぞれ液体製剤3を加え、綿コア霧化器を備えた同じ規格のエアロゾル発生装置3、セラミック霧化器を備えた同じ規格のエアロゾル発生装置4にそれぞれ液体製剤4を加える。その後、上記エアロゾル発生装置1、エアロゾル発生装置2、エアロゾル発生装置3、及びエアロゾル発生装置4をそれぞれ同一の喫煙器に接続し、上記吸い込み試験方法に従って、第1組のエアロゾル、第2組のエアロゾル、第3組のエアロゾル、及び第4組のエアロゾルをそれぞれ得る。その後、それぞれ、同一の有機溶剤を使用して第1組のエアロゾル中のヨヒンビン塩酸塩のサンプル1を抽出し、同一の有機溶剤を使用して第2組のエアロゾルのヨヒンビン塩酸塩のサンプル2を抽出し、同一の有機溶剤を使用して第3組のエアロゾル中のヨヒンビンのサンプル3を抽出し、同一の有機溶剤を使用して第4組のエアロゾル中のヨヒンビンのサンプル4を抽出する。その後、サンプル1、サンプル2、サンプル3、及びサンプル4をそれぞれ液体クロマトグラフィーアナライザに加え、液体クロマトグラフィー分析により、サンプル1のヨヒンビンのクロマトグラムピーク面積がA01であり、サンプル2のヨヒンビンのクロマトグラムピーク面積がA02であり、サンプル3のヨヒンビンのクロマトグラムピーク面積がA03であり、且つサンプル4のヨヒンビンのクロマトグラムピーク面積がA04であることが分かる。
【0077】
液体製剤3及び液体製剤4を用意し、ここで、液体製剤3の質量はm13であり、液体製剤4の質量はm14である。上記液体製剤3及び液体製剤4をそれぞれ液体クロマトグラフに入れて液体クロマトグラフィーの分析操作を行い、液体製剤3中のヨヒンビンに対応するクロマトグラムピーク面積がA13であり、液体製剤4中のヨヒンビンに対応するクロマトグラムピーク面積がA14であることが分かる。
【0078】
その後、A01及びA13を上記転化率の計算式に代入し、綿コア霧化器を備えたエアロゾル発生装置1内でヨヒンビン塩酸塩液体製剤を霧化させて形成された第1組のエアロゾル中のヨヒンビン塩酸塩の転化効率を得て、A02及びA13を上記転化率の計算式に代入し、セラミックコア霧化器を備えたエアロゾル発生装置2内でヨヒンビン塩酸塩液体製剤を霧化させて形成された第2組のエアロゾル中のヨヒンビン塩酸塩の転化効率を得て、A03及びA14を上記転化率の計算式に代入し、綿コア霧化器を備えたエアロゾル発生装置3内でヨヒンビン濃縮液液体製剤を霧化させて形成された第3組のエアロゾル中のヨヒンビンの転化効率を得て、A04及びA14を上記転化率の計算式に代入し、セラミックコア霧化器を備えたエアロゾル発生装置4内でヨヒンビン濃縮液液体製剤を霧化させて形成された第4組のエアロゾル中のヨヒンビンの転化効率を得る。
【0079】
最後に、4組の分析比較試験の結果は図4を参照し、図から分かるように、セラミックコアを備えたエアロゾル発生装置では、図4における霧化装置1に対応して、ヨヒンビン塩酸塩液体製剤を霧化させて形成されたエアロゾル中に、ヨヒンビンの転化率が51%であり、ヨヒンビン濃縮液液体製剤を霧化させて形成されたエアロゾル中に、ヨヒンビンの転化率が81%であり、つまり、本出願の実施例で提供されるヨヒンビン濃縮プロセスによって調製される液体製剤を使用すると、エアロゾル中のヨヒンビンの含有量を顕著に向上させることができる。綿コアを備えたエアロゾル発生装置では、図4における霧化装置2に対応して、ヨヒンビン塩酸塩液体製剤を霧化させて形成されたエアロゾル中に、ヨヒンビンの転化率が36%であり、ヨヒンビン濃縮液液体製剤を霧化させて形成されたエアロゾル中に、ヨヒンビンの転化率が56%であり、つまり、本出願の実施例で提供されるヨヒンビン濃縮プロセスによって調製される液体製剤を使用すると、エアロゾル中のヨヒンビンの含有量を顕著に向上させることができる。ヨヒンビンを同様に含む液体製剤では、セラミック霧化器を備えたエアロゾル発生装置を使用して霧化して形成されたエアロゾル中のヨヒンビンの含有量がN1であり、綿コア霧化器を備えたエアロゾル発生装置を使用して霧化して形成されたエアロゾル中のヨヒンビンの含有量がN2であり、N1>N2である。そのため、セラミックコア霧化器を備えたエアロゾル発生装置は、ヨヒンビンを含む液体製剤に対する霧化効果がより高く、ヨヒンビンの転化率を向上させることができる。
【0080】
本出願の実施例11は、さらに、ヨヒンビンを含む液体製剤を提供し、エアロゾル発生システムに用いる。液体製剤は、ヨヒンビン濃縮液、溶剤、甘味剤、清涼剤、及び風味組成物を含む。液体製剤の重量で、ヨヒンビン濃縮液の質量パーセント含有量は0.1~30%であり、溶剤の質量パーセント含有量は50~99.9%であり、甘味剤の質量パーセント含有量は0.01~0.5%であり、清涼剤の質量パーセント含有量は0.01~8%であり、風味組成物の質量パーセント含有量は0.01~15%である。
【0081】
本出願の実施例11で提供される液体製剤中に、溶剤は、プロパンジオール、グリセリン、ブタンジオール、1,2,4-ブタントリオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、三酢酸グリセロール、ジプロピレングリコールエーテル、エタノール、水、クエン酸トリエチル、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのうちの1つ又は複数の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0082】
本出願の実施例11で提供される液体製剤中に、清涼剤は、メントール、メントン、イソメントン、WS-23(2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド)、WS-3(N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド)、WS-5(N-(エトキシカルボニルメチル)-p-メンタン-3-カルボキサミド)、メンチルラクテート、及びメントングリセリンアセタールのうちの1つ又は複数の組み合わせを含むが、これらに限定されず、総添加量は0.01%~8%(質量パーセント含有量で)である。
【0083】
本出願の実施例11で提供される液体製剤中に、甘味剤は、ネオテーム、チクロ、スクラロース、アスパルテーム、ステビオサイド、及びアセスルファムカリウムのうちの1つ又は複数の組み合わせを含むが、これらに限定されず、総添加量は0.01~0.5%(質量パーセント含有量で)である。
【0084】
本出願の実施例11で提供される液体製剤中に、風味組成物は、天然又は合成エッセンス香料であり、果物、花の香り、茶の香り、ミント、コーヒー、サイダー、キャンディ又はタバコ等の風味を含むが、これらに限定されない。風味組成物の添加は、液体製剤を霧化させて形成されたエアロゾルの食感を豊かにするために使用することができる。
【0085】
本出願の実施例12は、さらに、エアロゾル発生装置を提供する。該エアロゾル発生装置は本出願のいずれか1つの実施例で提供される液体製剤を収容可能な筒を備え、前記液体製剤にはヨヒンビン抽出物が含まれている。エアロゾル発生装置の内部には、液体製剤を霧化させてエアロゾルを形成することができる霧化器と、エアロゾルを安定して放出することを可能にする制御モジュールとが設けられており、該霧化器は、電源駆動により霧化を行い、使用者が吸い込むように、エアロゾル発生装置内のエアロゾル送り出し通路を介してエアロゾル発生装置の外部に送り出すことができる。電気駆動による霧化に加えて、エアロゾル発生装置は他の形式で液体製剤を霧化させてエアロゾルを形成して使用者に効果的に伝達することもでき、エアロゾル発生装置の筒内の液体基質の具体的な成分の霧化温度に基づいて最適な選択を行うことができ、具体的な霧化形式は限定されない。いくつかの実施形態において、エアロゾル発生装置は抵抗及び/又は電磁の発熱体により霧化することができ、別の実施形態において、超音波霧化であってもよく、又は電気加熱霧化と超音波霧化とが同時に行われてもよく、いくつかの実施形態において、エアロゾル発生装置は空気圧縮式霧化装置又は押圧式噴霧装置であってもよい。
【0086】
説明すべきことは、本出願の明細書及びその図面には本出願の好適な実施例が示されているが、本明細書に記載された実施例に限定されず、さらに、当業者であれば、以上の説明に基づいて改良又は変換することができるが、これらの改良及び変換は全て本出願に添付された特許請求の保護範囲に属するべきである点である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】