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特表2024-539104誘導加熱式エアロゾル発生装置用のカートリッジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】誘導加熱式エアロゾル発生装置用のカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20241018BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241018BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20241018BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/40
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523478
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2022078475
(87)【国際公開番号】W WO2023066776
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】21203771.7
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルヴェス
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】ペン チェン
(72)【発明者】
【氏名】チュン イウ チー
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AC17
4B162AC18
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生装置のためのカートリッジに関する。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を含む遠位領域と、中空管状サセプタ要素を含む近位領域と、遠位部および近位部を備える芯要素とを備える。芯要素の遠位部の少なくとも一部分は、液体貯蔵部分内に延びる。芯要素の近位部の少なくとも一部分は、サセプタ要素によって同軸に囲まれている。本発明はエアロゾル発生システムにさらに関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置とともに使用するためのカートリッジであって、
液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を含む遠位領域と、
中空管状サセプタ要素を含む近位領域と、
遠位部および近位部を含む芯要素と、を備え、
前記芯要素の前記遠位部の少なくとも一部分が前記液体貯蔵部分内に延び、前記芯要素の前記近位部の少なくとも一部分が、前記サセプタ要素によって同軸に囲まれており、前記中空管状サセプタ要素が、その遠位端に、横断方向に延びるディスク形状のリムを含み、前記中空管状サセプタ要素の前記横断方向に延びるディスク形状のリムが、前記カートリッジのハウジングの横断方向に延びる壁要素に固定される、カートリッジ。
【請求項2】
前記芯要素が、細長い円筒形状を有する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記カートリッジの前記近位領域が、前記サセプタ要素を同軸に取り囲んで、前記近位側壁と前記サセプタ要素との間に空洞を形成する近位外側側壁を含む、請求項1または請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記近位側壁に提供された一つ以上の空気吸込み口を備える、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記一つ以上の空気吸込み口が、前記近位側壁の遠位部分に配設される、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記中空管状サセプタ要素の前記横断方向に延びるディスク形状のリムが、前記ディスク形状のリムと前記壁要素との間に配設される接着剤層によって前記カートリッジの前記ハウジングの前記横断方向に延びる壁要素に固定される、請求項1~5のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記中空管状サセプタ要素が、傾斜した近位端面を含む、請求項1~6のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記カートリッジが、開放近位端を備える、請求項1~7のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジの前記近位領域が、前記カートリッジをエアロゾル発生装置に取り外し可能に取り付けるための近位結合手段を含む、請求項1~8のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジの前記近位領域が、円筒状の外側形状を有し、前記芯要素が、前記円筒状の近位領域の中心軸に沿って延びる、請求項1~9のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項11】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~10のいずれかに記載のカートリッジと、
インダクタコイルによって少なくとも部分的に囲まれた加熱チャンバーを含むエアロゾル発生装置であって、前記加熱チャンバーが、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を挿入するための近位領域、および前記カートリッジの前記近位領域の少なくとも一部分を挿入するための遠位領域、を含む、エアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項12】
固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を備える、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記エアロゾル発生物品が、円筒状の外側形状を有し、前記カートリッジの前記近位領域が、中空円筒状の外側形状を有し、円筒状物品の外径が、前記物品の遠位端を前記カートリッジの前記中空円筒状の近位領域の少なくとも一部分に挿入することを可能にするために前記カートリッジの前記中空円筒状の近位領域の内径よりも小さい、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生物品が、その遠位端に、前記カートリッジの前記中空管状サセプタ要素の少なくとも一部分を挿入するための陥凹部を含む、請求項12または請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用のカートリッジに関する。本開示はさらに、エアロゾル発生装置と、カートリッジおよびエアロゾル発生物品のうちの一方または両方を備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル発生物品またはカートリッジに含有されるエアロゾル形成基体を加熱し得る。加熱配設は、誘導加熱配設であってもよく、また誘導コイルおよびサセプタを含み得る。サセプタは、装置の一部であってもよく、または物品もしくはカートリッジの一部であってもよい。
【0003】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中へのエアロゾル発生物品の挿入のために適切な形状を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、ロッド形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中へと挿入されると、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバーの中に、またはその周りに配設されてもよい。目標温度まで加熱されると、エアロゾル形成基体は気化してエアロゾルを形成する。
【0004】
エアロゾル発生物品は固体エアロゾル形成基体を含んでもよい。別の方法として、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分から電気発熱体に送達されてもよい。液体基体は、毛細管構成要素を介して発熱体に送達されてもよい。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を含む交換可能または再充填可能なカートリッジとして形成されてもよい。カートリッジは、エアロゾル発生のために液体エアロゾル形成基体を装置に供給するために、エアロゾル発生装置に取り付けられてもよい。
【0005】
ユーザー体験が修正可能なエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。発生されたエアロゾルの風味が修正可能である、エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。液体を含有し得る任意の取り外し可能なカートリッジとともに使用される、またはともに使用されない場合がある、エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。誘導加熱エアロゾル発生装置とともに使用するための任意のカートリッジを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生装置とともに使用するためのカートリッジが提供される。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を含む遠位領域を備え得る。カートリッジは、中空管状サセプタ要素を含む近位領域を備えてもよい。カートリッジは、遠位部および近位部を含む芯要素を備えてもよい。芯要素の遠位部の少なくとも一部分は、液体貯蔵部分内に延びてもよい。芯要素の近位部の少なくとも一部分は、サセプタ要素によって同軸に囲まれてもよい。
【0007】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生装置とともに使用するためのカートリッジが提供される。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を含む遠位領域を備える。カートリッジは、中空管状サセプタ要素を含む近位領域を備える。カートリッジは、遠位部および近位部を含む芯要素を備える。芯要素の遠位部の少なくとも一部分は、液体貯蔵部分内に延びる。芯要素の近位部の少なくとも一部分は、サセプタ要素によって同軸に囲まれている。
【0008】
カートリッジは、一つ以上のインダクタコイルを含む誘導加熱エアロゾル発生装置とともに使用されてもよい。インダクタコイル中の交流電流は、交番磁場を誘発する。この交番磁場は、サセプタが導電性である場合、サセプタ内に交流環電流(渦電流)を誘発することができるので、誘導場と呼ばれる。サセプタが磁性である場合、ヒステリシス損失がサセプタ内で生じることになる。導電性と磁性の両方であるサセプタにおいて、両方の効果(渦電流およびヒステリシス損失)はサセプタが加熱することを引き起こす。一般的に、交番磁場によって貫通された時に加熱する材料は、サセプタと呼ばれる。このようにして発生された熱は次いで、エアロゾル発生基体に伝播され、エアロゾル発生基体が加熱すること、従ってエアロゾルを発生することを引き起こす。本発明のカートリッジの中空管状サセプタ要素は、エアロゾル発生装置のインダクタコイルによって加熱され得る。エアロゾル発生装置のさらなるインダクタコイルは、別のサセプタ、例えば、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーのサセプタ、またはエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入されたエアロゾル発生物品のサセプタを加熱し得る。
【0009】
本発明のカートリッジの中空管状サセプタ要素が加熱されると、中空管状サセプタ要素によって囲まれた芯要素に熱が伝導される。次いで、芯要素の近位部が加熱され得る。芯要素の近位部は、液体エアロゾル形成基体で、または毛細管力によって芯要素の遠位部を介してカートリッジの液体貯蔵部分から供給される液体感覚媒体で浸漬される。したがって、液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、芯要素の高温な近位端において蒸発する。
【0010】
カートリッジの芯要素は、細長い円筒形状を有してもよい。
【0011】
カートリッジの近位領域は、サセプタ要素を同軸に取り囲んで、近位側壁とサセプタ要素との間に陥凹部または空洞を形成する近位外側側壁を含んでもよい。陥凹部または空洞の近位端は、サセプタ要素が外側から見えるように開放されてもよい。
【0012】
カートリッジは、開放近位端を備えてもよい。
【0013】
カートリッジは、使用前にカートリッジの近位端を閉じるための取り外し可能な封止ホイルを備えてもよい。こうした封止ホイルは、輸送中、特に使用前に、破片または他の望ましくない汚染物からカートリッジおよびマウスピースを保護し得る。
【0014】
カートリッジは、近位側壁に提供された一つ以上の空気吸込み口を備えてもよい。一つ以上の空気吸込み口は、近位側壁の遠位部分に配設されてもよい。
【0015】
中空管状サセプタ要素は、その遠位端に、横断方向に延びるディスク形状のリムを含み得る。
【0016】
中空管状サセプタ要素の横断方向に延びるディスク形状のリムは、カートリッジのハウジングの横断方向に延びる壁要素に固定されてもよい。
【0017】
中空管状サセプタ要素の横断方向に延びるディスク形状のリムは、サセプタ材料で作製されてもよい。中空管状サセプタ要素は、その横断方向に延びるディスク形状のリムと共に、同じ材料で作製されてもよい。中空管状サセプタ要素は、その横断方向に延びるディスク形状のリムと共に、モノリシックな部品であってもよい。
【0018】
中空管状サセプタ要素の横断方向に延びるディスク形状のリムをカートリッジのハウジングの横断方向に延びる壁要素に固定することは、接着剤層によって達成され得る。接着剤層は、ディスク形状のリムと壁要素との間に配設されてもよい。
【0019】
中空管状サセプタ要素は、傾斜した近位端面を含み得る。傾斜した近位端面は、中空管状サセプタ要素の円筒軸に対して直角を成す平面に対して非平行である。
【0020】
カートリッジの遠位領域は、液体貯蔵部分を同軸に囲む遠位外側側壁を含み得る。
【0021】
カートリッジの遠位領域は、液体貯蔵部分と流体接続する再充填入口開口部を含む遠位端壁を含み得る。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を再充填入口開口部を介してカートリッジの液体貯蔵部分内に再充填するために再充填ユニットに接続されてもよい。
【0022】
カートリッジは、再充填入口開口部と液体貯蔵部分との間に流体的に配設された一方向弁を備えてもよい。一方向弁は、再充填入口開口部からの液体エアロゾル形成基体の漏れを防止するのに役立ち得る。
【0023】
カートリッジは、再充填入口開口部と液体貯蔵部分との間に配設されたフィルター要素を備えてもよい。フィルター要素は、ユーザーがカートリッジを再充填しているときに蓄積され得る量の液体エアロゾル形成基体を浸漬し得る。それによって、フィルター要素は、漏れ防止を支援し得る。
【0024】
カートリッジの近位領域は、カートリッジをエアロゾル発生装置に取り外し可能に取り付けるための近位結合手段を含み得る。近位結合手段は、結合手段の雄部分または雌部分を含んでもよく、エアロゾル発生装置は、結合手段のそれぞれの対応する他の雌部分または雄部分を含み得る。結合手段は、例えば、形状嵌合接続、バヨネット接続、またはねじ接続であってもよい。
【0025】
カートリッジの遠位領域は、カートリッジを例えば、液体再充填ユニットに取り外し可能に取り付けるための遠位結合手段を含み得る。遠位結合手段は、一つ以上の結合凹部を含み得る。遠位結合手段は、結合手段の雄部分または雌部分を含んでもよく、再充填ユニットまたは他のユニットは、結合手段のそれぞれの対応する他の雌部分または雄部分を含み得る。結合手段は、例えば、形状嵌合接続、バヨネット接続、またはねじ接続であってもよい。
【0026】
カートリッジの近位領域は、円筒状の外側形状を有してもよい。芯要素は、円筒状の近位領域の中心軸に沿って延びてもよい。したがって、芯要素の長軸方向軸は、円筒状の近位領域の中心軸に平行であってもよい。
【0027】
円筒状の近位領域の外径は、6.7ミリメートル~15.4ミリメートル、好ましくは、6.7ミリメートル~12.5ミリメートルであってもよい。
【0028】
カートリッジの遠位領域は、円筒状の外側形状を有してもよい。芯要素は、円筒状の遠位領域の中心軸に沿って延びてもよい。したがって、芯要素の長軸方向軸は、円筒状の遠位領域の中心軸に平行であってもよい。
【0029】
円筒状の遠位領域の外径は、8.3ミリメートル~26.1ミリメートル、好ましくは、10ミリメートル~21ミリメートルであってもよい。
【0030】
サセプタ要素は、保護外部層、例えば保護セラミック層または保護ガラス層を有してもよい。保護外部層は、サセプタ要素を封入してもよい。
【0031】
カートリッジは交換可能であってもよい。カートリッジは再充填可能であってもよい。エアロゾル形成基体が消費されると、ユーザーは、再充填可能なカートリッジを再使用できるように、カートリッジを再充填してもよい。部品を再利用可能であるように設計することは、廃棄物を低減するのに役立ち、環境に対する装置またはシステムまたはカートリッジの生態学的影響を低減する。
【0032】
本発明の一実施形態によると、本明細書に記載のカートリッジと、エアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生装置は、インダクタコイルによって少なくとも部分的に囲まれた加熱チャンバーを含む。加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を挿入するための近位領域と、カートリッジの近位領域の少なくとも一部分を挿入するための遠位領域とを含む。
【0033】
エアロゾル発生システムの分解された構成では、エアロゾル発生装置は、カートリッジおよびエアロゾル発生物品から取り外され、分離されてもよい。エアロゾル発生システムの組み立てられた構成では、エアロゾル発生装置は、カートリッジおよびエアロゾル発生物品のうちの一方または両方と物理的に接触してもよい。
【0034】
エアロゾル発生装置は、一つ以上のインダクタコイルを含む誘導加熱装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、加熱チャンバーを備えてもよい。加熱チャンバーは、円筒状の外側側壁を有してもよい。加熱チャンバーの外側側壁は、一つ以上のインダクタコイルによって同軸に囲まれてもよい。エアロゾル発生装置は、二つ以上のインダクタコイルを含んでもよく、異なるコンダクタコイルは、加熱チャンバーの長軸方向の異なる位置に位置してもよい。エアロゾル発生装置は、装置サセプタ要素を含み得る。装置サセプタ要素は、加熱チャンバーを同軸に囲み得る。一つ以上のインダクタコイルは、装置サセプタ要素を同軸に囲んでもよい。
【0035】
複数のインダクタコイルが提供されてもよい。第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルが提供されてもよい。第一および第二のインダクタコイルは、加熱チャンバーの長軸方向の異なる位置に提供されてもよい。
【0036】
また、エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を備えてもよい。エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体であってもよい。エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体は、再構成たばこ、好ましくはキャストリーフ、より好ましくはRRPキャストリーフであってもよい。
【0037】
エアロゾル発生装置は、マウスピースをさらに備えてもよい。マウスピースは、加熱チャンバー内に受容されたエアロゾル発生物品がないときに、エアロゾル発生装置の近位端に取り外し可能に取り付け可能であってもよい。
【0038】
加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品が中に挿入される開放端を含み得る。開放端は近位端であってもよい。加熱チャンバーは、開放近位端の反対側に開放遠位端を有してもよい。加熱チャンバーは、細長い延長部を有してもよい。加熱チャンバーは、長軸方向中心軸を有してもよい。長軸方向は、近位端と、長軸方向中心軸に沿った遠位端との間に延びる方向であり得る。加熱チャンバーの長軸方向中心軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行であってもよい。エアロゾル発生システムの組み立てられた構成において、加熱チャンバーの長軸方向中心軸は、カートリッジおよびエアロゾル発生物品のうちの一方または両方の長軸方向軸に平行であってもよい。
【0039】
加熱チャンバーは中空円筒形状を有し得る。加熱チャンバーは、加熱チャンバーの中に受容されるエアロゾル発生物品の形状に対応する形状を有してもよい。加熱チャンバーは、円形断面を有してもよい。加熱チャンバーは、楕円形または長方形の断面を有してもよい。加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品の外径に対応する内径を有してもよい。
【0040】
加熱チャンバーは、空気が加熱チャンバーを通って流れ得るように適合され得る。芯要素の近位端は、気流経路を介して加熱チャンバーと流体接続されてもよい。周囲空気は、エアロゾル発生装置またはカートリッジの中に、加熱チャンバーの中に、およびユーザーに向かって引き出されてもよい。加熱チャンバーの開放端は、空気出口を含み得る。加熱チャンバーの下流で、マウスピースが配設され得るか、またはユーザーがエアロゾル発生物品を直接吸込み得る。
【0041】
エアロゾル発生装置は、カートリッジを取り外し可能に取り付けるように構成されてもよい。これにより、カートリッジは、ユーザーによって簡単に交換され得る。ユーザーは、空になったカートリッジを交換し得る。ユーザーは、異なる液体を保持する異なるカートリッジの中から選択し得る。異なるカートリッジは、ユーザーが異なる液体を簡単に区別でき得るように、異なる色で色分けされてもよい。
【0042】
エアロゾル発生システムは、異なる動作モードを可能にして、ユーザーのための可変的なユーザー体験を可能にし得る。システムは、発生されたエアロゾルがエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体からのみの揮発した化合物を含むように、カートリッジなしで、または閉じたもしくは空のカートリッジとともに、エアロゾル発生物品のみと使用されてもよい。システムは、発生したエアロゾルが、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体、およびカートリッジに含まれる液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体の両方から揮発した化合物を含むように、エアロゾル発生物品およびカートリッジとともに使用されてもよい。システムは、発生したエアロゾルが、カートリッジに含まれる液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体のみからの揮発した化合物を含むように、エアロゾル発生物品を含まずカートリッジのみで、またはエアロゾル形成基体を含まないダミー物品とともに使用されてもよい。異なる風味、異なる吸引保持値(retention-to-draw values)などを有する異なるエアロゾル発生物品が使用されてもよい。異なる風味、異なる風味の強度などを有する異なるカートリッジが使用されてもよい。したがって、異なる物品および/または異なるカートリッジの無数の組合せが可能である。高度に修正可能な固有のユーザー体験が提供され得る。例えば、発生されたエアロゾルのニコチン含有量は、修正可能である。異なる動作モードを可能にすることにより、多機能システムが提供され得る。ユーザーは、異なる動作モードの中から選んでもよい。それ故に、ユーザーは、必ずしも各動作モードのために複数の異なる装置を携行しなくてもよく、一つの装置のみを携行すればよい。また、ユーザーは複数の異なる装置を購入する必要がなく、装置を一つだけ購入すればよい場合もあり、これはコストの節約になる場合がある。
【0043】
エアロゾル発生物品は、円筒状の外側形状を有してもよい。カートリッジの近位領域は、中空円筒状の外側形状を有してもよく、円筒状物品の外径は、物品の遠位端をカートリッジの中空円筒状の近位領域の少なくとも一部分に挿入することを可能にするために、カートリッジの中空円筒状の近位領域の内径よりも小さくてもよい。
【0044】
エアロゾル発生物品は、その遠位端に、カートリッジの中空管状サセプタ要素の少なくとも一部分を挿入するための陥凹部を含んでもよい。
【0045】
エアロゾル発生物品は、円筒状の外側形状を有してもよく、カートリッジの近位領域は、円筒状の外側形状を有してもよく、円筒状物品の外径およびカートリッジの円筒状の近位領域の外径は、実質的に同一であってもよい。
【0046】
カートリッジの液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体および液体感覚媒体のうちの一方または両方を含み得る。液体感覚媒体は、風味剤を含み得る。液体感覚媒体は、ニコチンを含み得る。液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、風味剤、例えばメントールまたはハーブ化合物を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、ニコチンを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体または液体感覚媒体は、植物性含有量、例えばCBDを含んでもよい。
【0047】
芯要素は、綿を含んでもよい。芯要素は、綿で作製されてもよい。
【0048】
芯要素は、多孔性要素でもよい。芯要素は、気流から液体を吸収する能力を有してもよい。芯要素は、毛細管材料を含み得る。毛細管材料は繊維状または海綿体状の構造を有してもよい。毛細管材料は毛細管の束を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は概して、液体を芯要素の遠位部から芯要素の近位部に運ぶように整列され得る。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成してもよく、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系または黒鉛系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料、例えば紡糸繊維または押出成形繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、エチレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維質材料である。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管現象および空隙率を有してもよい。液体は、毛細管作用によって液体が毛細管材料を通して移動されることを可能にする粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を有する。毛細管材料は、エアロゾル形成基体を芯要素の近位部に、およびサセプタ要素に運ぶように構成されてもよい。毛細管材料はサセプタ要素内の隙間内に広がり得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「液体感覚媒体」という用語は、液体感覚媒体と接触する気流を修正する能力を有する液体組成物に関する。気流の修正は、エアロゾルまたは蒸気を形成すること、気流を冷却すること、および気流を濾過することのうちの一つ以上であってもよい。例えば、液体感覚媒体は、エアロゾルまたは蒸気を形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含んでもよい。液体感覚媒体中のエアロゾル形成基体は、風味剤であるか、または風味剤を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、液体感覚媒体は、液体感覚媒体を通過する気流を冷却するための冷却物質、および気流中の望ましくない構成要素を捕捉するための濾過物質のうちの一方または両方を含んでもよい。水は、冷却物質として使用され得る。気流からダスト粒子などの粒子を捕捉するための濾過物質として、水が使用されてもよい。液体感覚媒体は、ニコチン提供液体、調味料、および増量剤のうちの一つ以上として機能してもよい。
【0050】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルまたは蒸気を形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、固体形態であってもよく、または液体状であってもよい。「エアロゾル」および「蒸気」という用語は、同じ意味で使用される。
【0051】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル形成基体は、カートリッジの液体貯蔵部分内に保持された液体の一部であってもよい。エアロゾル形成基体は、カートリッジの液体貯蔵部分内に保持された液体感覚媒体の一部であってもよい。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を収容してもよい。別の方法として、または追加的に、液体貯蔵部分は、固体エアロゾル形成基体を収容してもよい。例えば、液体貯蔵部分は、固体エアロゾル形成基体と液体との懸濁液を収容してもよい。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を含有することが好ましい。
【0052】
以下に記述されるエアロゾル形成基体は、液体貯蔵部分内に含まれるエアロゾル形成基体と、エアロゾル発生物品内に含まれるエアロゾル形成基体とのうちの一方または両方であってもよい。好ましくは、液体ニコチンまたは風味/風味剤含有エアロゾル形成基体は、カートリッジの液体貯蔵部分で採用されてもよく、一方で、固体たばこ含有エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品で採用されてもよい。
【0053】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体は、ニコチン塩マトリクスであってもよい。
【0054】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。特に好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。
【0055】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでいてもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつ装置の動作温度において熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の好適な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールなど)である。エアロゾル形成体はグリセリンであることが好ましい。存在する場合、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5重量パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよく、また乾燥重量基準で5重量パーセント~30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0056】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、装置の近位端またはユーザー端でマウスピースを吸うまたは吸煙するユーザーによって直接吸入可能なエアロゾルを発生する物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入可能であってもよい。
【0057】
本明細書で使用される場合、「液体貯蔵部分」という用語は、液体感覚媒体、および追加的に、または代替的に、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む貯蔵部分を指す。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を貯蔵するための容器または貯蔵部として構成されてもよい。
【0058】
液体貯蔵部分は、交換可能なタンクまたは容器として構成されてもよい。液体貯蔵部分は、任意の適切な形状およびサイズであってもよい。例えば、液体貯蔵部分は、実質的に円筒状であってもよい。液体貯蔵部分の断面は、例えば実質的に円形、楕円形、正方形、または長方形であってもよい。
【0059】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品とカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生システム」という用語は、カートリッジおよびエアロゾル発生物品のうちの一方または両方とエアロゾル発生装置との組み合わせを指す。システムでは、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生物品とカートリッジとのうちの一方または両方が協働して、呼吸に適したエアロゾルを発生する。
【0061】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。装置は電気的に動作する喫煙装置であってもよい。装置は、手持ち式エアロゾル発生装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、30ミリメートル~150ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生装置は、5ミリメートル~30ミリメートルの外径を有してもよい。
【0062】
エアロゾル発生装置は、ハウジングを備えてもよい。ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0063】
ハウジングは、少なくとも一つの空気吸込み口を備えてもよい。ハウジングは、複数の空気吸込み口を含み得る。
【0064】
エアロゾル発生装置は、発熱体を備えてもよい。発熱体は、一つ以上のサセプタを誘導加熱するための少なくとも一つのインダクタコイル含み得る。
【0065】
発熱体の動作は、吸煙検出システムによってトリガーされてもよい。別の方法として、発熱体は、オンオフボタンを押すことによってトリガーされ、ユーザーの吸煙の持続時間の間保持されてもよい。吸煙検出システムはセンサとして提供されてもよく、これは気流速度を測定するための気流センサとして構成されてもよい。気流速度は、ユーザーによってエアロゾル発生装置の気流経路を通して引き出される時間当たりの空気の量を特徴付けるパラメータである。吸煙の開始は、気流が所定の閾値を超える時に、気流センサによって検出されてもよい。開始はまた、ユーザーがボタンを起動後に検出されてもよい。センサはまた、圧力センサとして構成されてもよい。
【0066】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を起動するためのユーザーインターフェース、例えば、エアロゾル発生装置の加熱を開始するボタン、またはエアロゾル発生装置またはエアロゾル形成基体の状態を表示するディスプレイを含んでもよい。
【0067】
エアロゾル発生装置は、例えば、電気的に動作する、または電気式のエアロゾル発生装置内の搭載型電力供給源を再充電するための充電ユニットなどの、追加的な構成要素を含んでもよい。
【0068】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、エアロゾル発生装置またはシステムあるいはそれらの一部のユーザー端または口側端を指し、また「遠位」という用語は、近位端の反対側の端を指す。加熱チャンバーに言及する時、「近位」という用語は、空洞の開端部に最も近い領域を指し、「遠位」という用語は、閉端部に最も近い領域を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生装置の使用中にユーザーがエアロゾル発生装置を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用される。
【0070】
本明細書で使用される「気流経路」という用語は、ガス状媒体を搬送するのに適したチャネルを意味する。気流経路は、周囲空気を搬送するために使用されてもよい。気流経路は、エアロゾルを搬送するために使用されてもよい。気流経路は、空気およびエアロゾルの混合物を搬送するために使用されてもよい。
【0071】
本明細書で使用される「サセプタ」または「サセプタ要素」は、交番磁場に供されたときに加熱する要素を意味する。これはサセプタ要素内で誘発される渦電流、またはヒステリシス損失、または渦電流とヒステリシス損失の両方の結果であってもよい。使用中に、サセプタ要素は、エアロゾル発生装置またはカートリッジ内に受容されたエアロゾル形成基体と熱的接触して、または熱的に近接して位置する。このようにして、エアロゾル形成基体は、サセプタによって加熱され、これによってエアロゾルが形成される。
【0072】
サセプタ材料は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するのに十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料であってもよい。サセプタに関する以下の実施例および特徴は、カートリッジのサセプタ要素、エアロゾル発生装置のサセプタ、およびエアロゾル発生物品のサセプタのうちの一方または両方に適用され得る。サセプタ材料のために適切な材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合材料が挙げられる。好ましいサセプタ材料は金属または炭素を含む。有利なことに、サセプタ材料は、例えばフェライト鉄、強磁性合金(強磁性鋼またはステンレス鋼など)、強磁性粒子、フェライトなどの強磁性材料またはフェリ磁性材料を含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。適切なサセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ材料は、5パーセント超の、好ましくは20パーセント超の、より好ましくは50パーセント超の、または90パーセント超の強磁性材料、フェリ磁性材料、もしくは常磁性材料を含んでもよい。好ましいサセプタ材料は、劣化することなく、摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。
【0073】
サセプタ材料は、単一の材料層から形成されてもよい。単一の材料層は、鋼層であってもよい。
【0074】
サセプタ材料は、非金属コア上に配置された金属層を有する非金属コアを備えてもよい。例えば、サセプタ材料は、セラミックコアまたは基体の外表面上に形成された金属トラックを備えてもよい。
【0075】
サセプタ材料はオーステナイト鋼の層から形成されてもよい。ステンレス鋼の一つ以上の層は、オーステナイト鋼の層上に配設されてもよい。例えば、サセプタ材料は、その上面および下面の各々上にステンレス鋼の層を有するオーステナイト鋼の層から形成されてもよい。サセプタ要素は、単一のサセプタ材料を含み得る。サセプタ要素は、第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を含んでもよい。第一のサセプタ材料は第二のサセプタ材料と密接な物理的接触をして配置されてもよい。第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料は密接に接触して、分解できない単一のサセプタを形成してもよい。ある特定の実施形態において、第一のサセプタ材料はステンレス鋼であり、第二のサセプタ材料はニッケルである。サセプタ要素は、二層構造を有してもよい。サセプタ要素は、ステンレス鋼層およびニッケル層から形成されてもよい。
【0076】
第一のサセプタ材料と第二のサセプタ材料の間の密接な接触は、任意の適切な手段によってなされてもよい。例えば、第二のサセプタ材料は、第一のサセプタ材料上にメッキ、堆積、被覆、クラッディング、または溶接されてもよい。好ましい方法としては、電気メッキ、亜鉛メッキ、およびクラッディングが挙げられる。
【0077】
エアロゾル発生装置は、発熱体に電力を供給するための電源を含み得る。電源は電池を備えてもよい。電源はリチウム-イオン電池であってもよい。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池)であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間の間エアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するのに十分な容量を有してもよい。
【0078】
電源は直流(DC)電源であってもよい。一実施形態では、電源は、2.5ボルト~4.5ボルトの範囲のDC供給電圧と、1アンペア10アンペアの範囲のDC供給電流とを有するDC電源(2.5ワット~45ワットの範囲のDC電源に対応する)である。エアロゾル発生装置は有利なことに、DC電源によって供給されたDC電流を交流電流に変換するための直流から交流への(DC/AC)インバータを備えてもよい。DC/ACコンバータは、クラスD、クラスC、またはクラスEの電力増幅器を備えてもよい。DC/ACコンバータのAC電力出力は、誘導コイルへと供給される。
【0079】
電源は、インダクタコイルに電力を供給するように適合されてもよく、また高周波で動作するように構成されてもよい。高周波で動作するために、クラスEの電力増幅器が好ましい。本明細書で使用される「高周波振動電流」という用語は、500キロヘルツ~30メガヘルツの周波数を有する振動電流を意味する。高周波振動電流は、1メガヘルツ~30メガヘルツの周波数を有してもよく、1メガヘルツ~10メガヘルツの周波数を有することが好ましく、5メガヘルツ~8メガヘルツの周波数を有することがより好ましい。
【0080】
別の実施形態において、電力増幅器のスイッチング周波数は、より低いkHz範囲、例えば100kHz~400KHzであってもよい。クラスDまたはクラスCの電力増幅器が使用される実施形態において、より低いkHz範囲のスイッチング周波数は特に有利である。
【0081】
エアロゾル発生装置は、コントローラを備えてもよい。コントローラは、インダクタコイルに電気的に接続されてもよい。コントローラは、第一の誘導コイルに、および第二の誘導コイルに電気的に接続されてもよい。コントローラは、誘導コイルに供給された電流、およびそれ故に誘導コイルによって発生された磁界強度を制御するように構成されてもよい。
【0082】
電源およびコントローラは、インダクタコイルに接続されてもよい。
【0083】
コントローラは、DC/ACコンバータの入力側の電流供給をチョップすることができるように構成されてもよい。このようにして、インダクタコイルに供給される電力は、従来の負荷サイクル管理の方法によって制御され得る。
【0084】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0085】
実施例A:
エアロゾル発生装置とともに使用するためのカートリッジであって、
液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を含む遠位領域と、
中空管状サセプタ要素を含む近位領域と、
遠位部および近位部を含む芯要素と、を備え、
芯要素の遠位部の少なくとも一部分が、液体貯蔵部分内に延び、芯要素の近位部の少なくとも一部分が、サセプタ要素によって同軸に囲まれている、カートリッジ。
実施例B:
芯要素が、細長い円筒形状を有する、実施例Aによるカートリッジ。
実施例C:
カートリッジの近位領域が、サセプタ要素を同軸に取り囲んで、近位側壁とサセプタ要素との間に空洞を形成する近位外側側壁を含む、実施例Aまたは実施例Bによるカートリッジ。
実施例D:
近位側壁に提供された一つ以上の空気吸込み口を備える、実施例Cによるカートリッジ。
実施例E:
一つ以上の空気吸込み口が、近位側壁の遠位部分に配設される、実施例Dによるカートリッジ。
実施例F:
中空管状サセプタ要素が、その遠位端に、横断方向に延びるディスク形状のリムを含む、実施例A~Eのいずれかによるカートリッジ。
実施例G:
中空管状サセプタ要素の横断方向に延びるディスク形状のリムが、カートリッジのハウジングの横断方向に延びる壁要素に固定され、好ましくは、固定が、ディスク形状のリムと壁要素との間に配設される接着剤層による、実施例Fによるカートリッジ。
実施例H:
中空管状サセプタ要素が、傾斜した近位端面を含む、実施例A~Gのいずれかによるカートリッジ。
実施例I:
カートリッジの遠位領域が、液体貯蔵部分を同軸に囲む遠位外側側壁を含む、実施例A~Hのいずれかによるカートリッジ。
実施例J:
カートリッジの遠位領域が、液体貯蔵部分と流体接続する再充填入口開口部を含む遠位端壁を含む、実施例A~Iのいずれかによるカートリッジ。
実施例K:
再充填入口開口部と液体貯蔵部分との間に流体的に配設された一方向弁を備える、実施例Jによるカートリッジ。
実施例L:
再充填入口開口部と液体貯蔵部分との間に配設されたフィルター要素を備える、実施例Jまたは実施例Kによるカートリッジ。
実施例M:
カートリッジが、開放近位端を含む、実施例A~Lのいずれかによるカートリッジ。
実施例N:
カートリッジの近位領域が、カートリッジをエアロゾル発生装置に取り外し可能に取り付けるための近位結合手段を含む、実施例A~Mのいずれかによるカートリッジ。
実施例O:
カートリッジの遠位領域が、カートリッジを液体再充填ユニットに取り外し可能に取り付けるための遠位結合手段を含む、実施例A~Nのいずれかによるカートリッジ。
実施例P:
遠位結合手段が、一つ以上の結合凹部を含む、実施例Oによるカートリッジ。
実施例Q:
カートリッジの近位領域が、円筒状の外側形状を有し、芯要素が、円筒状の近位領域の中心軸に沿って延びる、実施例A~Pのいずれかによるカートリッジ。
実施例R:
円筒状の近位領域の外径が、6.7ミリメートル~15.4ミリメートル、好ましくは、6.7ミリメートル~12.5ミリメートルである、実施例Qによるカートリッジ。
実施例S:
カートリッジの遠位領域が、円筒状の外側形状を有し、芯要素が、円筒状の遠位領域の中心軸に沿って延びる、実施例A~Rのいずれかによるカートリッジ。
実施例T:
円筒状の遠位領域の外径が、8.3ミリメートル~26.1ミリメートル、好ましくは、10ミリメートル~21ミリメートルである、実施例Sによるカートリッジ。
実施例U:
エアロゾル発生システムであって、
実施例A~Tのいずれかによるカートリッジと、
インダクタコイルによって少なくとも部分的に囲まれた加熱チャンバーを含むエアロゾル発生装置であって、加熱チャンバーが、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を挿入するための近位領域、およびカートリッジの近位領域の少なくとも一部分を挿入するための遠位領域、を含む、エアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
実施例V:
固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を備える、実施例Uによるエアロゾル発生システム。
実施例W:
エアロゾル発生物品が、円筒状の外側形状を有し、カートリッジの近位領域が、中空円筒状の外側形状を有し、円筒状物品の外径が、物品の遠位端をカートリッジの中空円筒状の近位領域の少なくとも一部分に挿入することを可能にするために、カートリッジの中空円筒状の近位領域の内径よりも小さい、実施例Vによるエアロゾル発生システム。
実施例X:
エアロゾル発生物品が、その遠位端に、カートリッジの中空管状サセプタ要素の少なくとも一部分を挿入するための陥凹部を含む、実施例Vまたは実施例Wによるエアロゾル発生システム。
実施例Y:
エアロゾル発生物品が、円筒状の外側形状を有し、カートリッジの近位領域が、円筒状の外側形状を有し、円筒状物品の外径およびカートリッジの円筒状の近位領域の外径が、実質的に同一である、実施例Vによるエアロゾル発生システム。
【0086】
一つの実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0087】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1図1は、カートリッジを示す。
図2図2aは、カートリッジを示す。図2bは、カートリッジの一部分を示す。
図3図3aおよび3bは、カートリッジの一部分を示す。
図4図4aおよび4bは、エアロゾル発生システムを示す。
図5図5は、エアロゾル発生システムにおける気流経路を示す。
図6図6aおよび6bは、エアロゾル発生システムを示す。
図7図7aおよび7bは、カートリッジの寸法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、エアロゾル発生装置とともに使用するためのカートリッジ10を断面図で示す。カートリッジ10は、遠位領域12および近位領域14を備える。カートリッジ10の遠位領域12は、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分16を含む。カートリッジ10の近位領域14は、中空管状サセプタ要素18を含む。中空管状サセプタ要素18は、長軸方向に延びる管状部分18aと、その遠位端に、横断方向に延びるかまたは半径方向に延びるディスク形状のリム18bとを含む。カートリッジ10は、遠位部および近位部を含む細長い円筒状の芯要素20を備える。芯要素20の遠位部は、液体貯蔵部分16内に延びる。芯要素20の近位部は、サセプタ要素18によって同軸に囲まれている。
【0090】
カートリッジ10は、カートリッジハウジング22を備える。サセプタ要素18は、サセプタ要素18のディスク形状のリム18bをカートリッジハウジング22に取り付ける封止要素24によってカートリッジハウジング22に取り付けられる。封止要素24は、接着剤であってもよい。別の方法として、サセプタ要素18のディスク形状のリム18bは、他の手段、例えば超音波溶接によってカートリッジハウジング22に取り付けられてもよい。こうした実施形態では、封止要素24は省略されてもよい。
【0091】
カートリッジ10の近位領域12は、カートリッジハウジング22の近位外側側壁26を含む。近位外側側壁26は、サセプタ要素18を同軸に取り囲み、近位側壁26とサセプタ要素18との間に空洞を形成する。カートリッジ10は、開放近位端を備える。カートリッジ10の近位側壁26は、カートリッジ10をエアロゾル発生装置に取り外し可能に取り付けるための近位結合手段として機能し得る。
【0092】
カートリッジ10の遠位領域12は、液体貯蔵部分16を同軸に囲むカートリッジハウジング22の遠位外側側壁28を含む。カートリッジ10の遠位領域12は、液体貯蔵部分16と流体接続する再充填入口開口部32を含む遠位端壁30を含む。カートリッジ10は、再充填入口開口部32と液体貯蔵部分16との間に流体接続して配設される一方向弁34を備える。カートリッジ10は、再充填入口開口部32と液体貯蔵部分16との間に配設されるフィルター要素36を備える。
【0093】
カートリッジ10の遠位領域12は、カートリッジ10を液体再充填ユニットに取り外し可能に取り付けるための遠位結合手段を含む。遠位結合手段は、結合凹部38を含む。
【0094】
カートリッジ10の近位領域14は、円筒状の外側形状を有する。芯要素20は、円筒状の近位領域14の中心軸40に沿って延びる。カートリッジ10の遠位領域12はまた、円筒状の外側形状を有し、芯要素20は、円筒状の遠位領域12の中心軸40に沿って延びる。図1の実施形態では、円筒状の近位領域14の中心軸40は、遠位領域の、およびカートリッジ10全体の中心軸40と同一である。円筒状の遠位領域12の外径は、円筒状の近位領域14の外径を超える。
【0095】
図2aは、エアロゾル発生装置とともに使用するためのカートリッジ10を斜視図で概略的に示す。カートリッジ10は、近位外側側壁26によって形成された開放近位端を有する中空管状の近位領域14を備える。カートリッジ10は、液体貯蔵部分(図示せず)を同軸に囲む遠位外側側壁28によって形成される円筒状の遠位領域12を備える。任意選択的に、一つ以上の補助的な結合凹部42が、遠位部分12の近位端に位置し、カートリッジを液体再充填ユニットに取り外し可能に取り付けるための遠位結合手段の一部を形成する。
【0096】
さらに図2aには、近位側壁26の遠位部分に配設された任意のカートリッジ空気吸込み口44が示されている。近位側壁26の遠位部分の周方向の異なる位置に配設された一つ以上のさらなる任意のカートリッジ空気吸込み口があってもよい。
【0097】
また、図2aには、近位側壁26によって囲まれた空洞内に位置する中空管状サセプタ要素18の長軸方向に延びる管状部分18aの近位部も示されている。管状部分18aの端面は、横断平面に対して傾斜している。芯要素20は、図2aには図示されていない。
【0098】
図2bは、図2aのサセプタ要素18と芯要素20の断面図を示す。管状部分18aの端面における傾斜面も、図2bの断面に示されている。傾斜面は、管状部分18aをエアロゾル発生物品の管状要素の中に挿入するために必要な力を低減するのに役立ち得る。傾斜面により、主に管状部分18aの外表面と管状部分18aが挿入される管状要素の内表面との間の摩擦に起因して、挿入中に挿入力が漸進的に増大する。挿入力のこうした漸進的な増大は、滑らかな挿入を可能にし得る。また、傾斜形状は、管状サセプタ部分18aが挿入される管状要素の内側形状に自動的に適合するのに役立ち得るため、挿入中のセルフセンタリングも促進され得る。これはまた、管状サセプタ部分18aが中に挿入される管状要素のサイズの製造公差を補償するのにも役立ち得る。横断平面に対する傾斜面の角度は、約10°~40°、好ましくは約25°~35°であってもよい。横断平面は、細長い円筒状芯要素20の長軸方向に対して直角をなす。この傾斜形状も多用途である。例えば、傾斜面は、カートリッジ10が、その遠位端に封止ホイルを有するエアロゾル発生物品と共にエアロゾル発生システムで使用される場合に、ホイルを引き裂くことを可能にする。
【0099】
さらに、図2bに示す傾斜面を使用することにより、気流経路に露出され、管状サセプタ部分18aによって覆われない芯要素20の表面積が、非傾斜面と比較して大きくなり得る。芯要素20のこうした拡張された露出表面積は、有利なことに、エアロゾル化のためのより大きな表面を提供し得る。
【0100】
図3aは、図3aが液滴46を追加的に図示することを除いて、図2bの断面図を示す。エアロゾル発生装置とともにカートリッジ10を使用する間、芯要素20の近位端から液体エアロゾル形成基体がいくらかオーバーフローする場合がある。過剰な液体が芯から出る場合、例えば毛細管現象および表面張力の自然効果に起因して、サセプタ要素18の表面に液滴46が付着し得る。次に、液滴46は、サセプタ要素18がエアロゾル発生装置のインダクタコイル内で発生した交番磁場によって加熱されたときに揮発し得る。
【0101】
サセプタ18の管状円筒状の部分18aは、インダクタコイルに対してより効率的な空間整列にあってもよいが、ディスク形状のリム18bも、インダクタコイルによって発生される交番磁場によって、および放熱によって加熱され得る。それによって、ディスク形状のリム18bは、管状コアサセプタ要素18aを取り囲むホットプレートのように作用し得る。このようにして、ディスク形状のリム18bは、液滴44のエアロゾル化部分として作用し得る。また、ディスク形状のリム18bは、芯20およびサセプタ18の周囲が、そうでなければ潜在的な漏れ源となり得る液滴44を有さないよう維持するのに役立つ。したがって、横断方向に延びるディスク形状のリム18bは、有利なことに、漏れ防止を支援し得る。
【0102】
さらに、横断方向に延びるディスク形状のリム18bは、有利なことに、カートリッジ10の組立品に機械的安定性を提供し得る。横断方向に延びるディスク形状のリム18bは、例えば、カートリッジ10の製造中、またはユーザーによるカートリッジ10の取り扱い中に生じ得る横断方向の力に耐えるのに役立ち得る。ディスク形状のリム18bは、こうした横断方向の力の存在下で、サセプタ要素18が芯要素20と直線状かつ同軸に整列したままであることを確保するのを支援し得る。
【0103】
図3bは、管状部分18aの端面が傾斜していない、代替的な実施形態を示す。部分18aの近位端は、芯要素20に向かって内向きに曲げられた湾曲した縁を含む。湾曲した縁は、管状部分18aをエアロゾル発生物品の管状要素に挿入するために必要な力を低減するのに役立ち得る。
【0104】
図3aの実施形態と同様に、図3bの実施形態においても、横断方向に延びるディスク形状のリム18bは、有利なことに、漏れ防止およびカートリッジ組立品への安定性の提供を支援し得る。
【0105】
図4aおよび4bは、エアロゾル発生システムを断面図で示す。図4aは、分解された構成にあるエアロゾル発生システムを示す。図4のエアロゾル発生システムは、図4のカートリッジ10が近位側壁26の遠位部分に配設された任意の空気吸込み口44を含むことのみを除いて、図1に示すカートリッジ10を備える。
【0106】
図4のエアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置50をさらに備える。エアロゾル発生装置50は、円筒状の加熱チャンバー54を囲む装置ハウジング52を含む。加熱チャンバー54は、管状装置サセプタ56によって同軸に囲まれている。管状装置サセプタ56は、加熱チャンバー54の長軸方向の異なる位置に位置する二つのインダクタコイル58、60によって同軸に囲まれている。装置サセプタ56と周囲のインダクタコイル58、60との間の横断方向の距離は、熱伝導を介して加熱された装置サセプタ56によるインダクタコイル58、60の過度の受動加熱を回避するために、図4の概略図に示される距離よりも大きくてもよい。一般的に、装置サセプタ56とインダクタコイル58、60との間の距離および熱伝導は、加熱された装置サセプタ56からの放熱が周囲のインダクタコイル58、60の過度の加熱を引き起こさないように選択され得る。また、熱絶縁材料の層が、装置サセプタ56と周囲のインダクタコイル58、60との間に提供されてもよい。
【0107】
代替的な実施形態(図示せず)では、装置サセプタ56は存在しなくてもよく、代わりに、エアロゾル発生物品70は、エアロゾル発生物品70内に含まれるエアロゾル形成基体72を加熱するためのサセプタ材料を含んでもよい。
【0108】
装置ハウジング52の近位端は、図4aの矢印で示す通り、加熱チャンバー54の近位部分の中にエアロゾル発生物品70を挿入するための開口部を含む。装置ハウジング52の遠位端は、図4aの別の矢印で示す通り、加熱チャンバー54の遠位部分の中にカートリッジ10を挿入するための開口部を含む。装置ハウジング52の遠位端は、カートリッジ10をエアロゾル発生装置50に可逆的に取り付けるためのカートリッジ接続手段62を含む。カートリッジ接続手段62は、カートリッジの近位外側側壁26が中に挿入されて、形態嵌合接続、またはバヨネットタイプの接続、またはねじ接続、または磁気接続を提供し得る、略リング形状のスリットの形態で構成されてもよい。
【0109】
図4のエアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品70をさらに備える。エアロゾル発生物品70は、その遠位端に、固体エアロゾル形成基体部分72と、中空アセテート管74と、近位マウスピースフィルター76とを含む。これらの要素は、一つ以上の外側ラッパー(図示せず)によって囲まれてもよい。
【0110】
図4bは、図4aの矢印によって示されるように組み立てられた構成にある、図4aのエアロゾル発生システムを示す。エアロゾル発生物品70の遠位端の下方、加熱チャンバー54の極遠位端に、ハウジング52の内側壁によって取り囲まれている中空空洞78が見える。サセプタ18によって囲まれた芯20の一部分は、空洞78の中心に位置する。
【0111】
加熱チャンバー54のより深部へのエアロゾル発生物品70の挿入は、カートリッジ10の芯20およびサセプタ18の配設の存在によってブロックされ得る。別の方法として、カートリッジ10および加熱チャンバー54のうちの一方または両方は、加熱チャンバー54のより深部へのエアロゾル発生物品70の挿入を防止するために、ストッパー要素、例えばピンを備えてもよい。
【0112】
図5は模範的に、エアロゾル発生システム内の気流経路を示す。図4の組み立てられたエアロゾル発生システムが図示されている。
【0113】
ユーザーがマウスピースフィルター76を吸煙すると、周囲空気80は、カートリッジ10の空気吸込み口44を介してエアロゾル発生システムの中に引き出され得る。エアロゾル発生装置50のコントローラは、インダクタコイル58、60に電力を供給し、次いで、装置50のサセプタ56内、およびカートリッジ10のサセプタ18内に電流を誘発する交番磁場を発生する。これは、例えば、吸煙センサがユーザーの吸煙動作を検出することによってトリガーされてもよい。次いで、サセプタ58、18の両方が加熱される。サセプタ要素18によって発生された熱は、サセプタ要素18によって囲まれた芯要素20の近位部に伝導され得る。それによって、芯要素20の近位部も加熱され得る。芯要素20の近位部は、毛細管力によって芯要素20の遠位部を介して液体貯蔵部分16から供給される液体エアロゾル形成基体で浸漬される。したがって、液体エアロゾル形成基体は、芯要素20の高温な近位端において蒸発する。液体基体の蒸発した化合物は、入ってくる空気80によって取り込まれ、凝縮してエアロゾル構成要素84を形成する。また、固体エアロゾル形成基体72からの化合物は、エアロゾル形成基体72が装置サセプタ56によって加熱されるため、蒸発する。固体基体72の蒸発した化合物は、気流によって取り込まれて、エアロゾル構成要素86を形成する。次いで、気流は中空アセテート管74内に沿って通過し、液体エアロゾル発生基体および固体エアロゾル発生基体の両方からのベイパーが混合し、冷却されてエアロゾルを形成する。最後に、マウスピース76を出る混合されたエアロゾル88は、ユーザーによって吸入され得る。
【0114】
図6は、エアロゾル発生システムを断面図で示し、特に、分解された構成が図6aに示され、組み立てられた構成が図6bに示されている。図6の実施形態は、任意の空気吸込み口44が図6に示されていないこと、図6の装置サセプタ56が加熱チャンバー54の遠位端にいくらか近くに延びること、および図6のエアロゾル発生物品70が固体エアロゾル形成基体部分72の遠位端に円筒状の陥凹部90を含むことを除いて、図4および5の実施形態と非常に類似している。図6bに示すように、組み立てられた構成では、陥凹部90は、管状サセプタ要素18aの少なくとも一部分を取り囲む。結果として、図4bに示すような空洞78は存在しない。この実施形態では、サセプタ18は、芯20の近位部を加熱することに加えて、固体エアロゾル形成基体72の一部分を加熱し得る。サセプタ部分18aは追加的に、固体エアロゾル形成基体72の内部発熱体として機能してもよい。さらに、サセプタ18のディスク形状のリム18bは、固体エアロゾル形成基体72のエンドヒーターとして機能し得る。
【0115】
代替的な実施形態では、エアロゾル形成基体72は、陥凹部90を含まない。こうした場合、図6bに示すように、エアロゾル発生物品が加熱チャンバー54の中に完全に挿入されているときに、サセプタ18および芯20の近位部はエアロゾル形成基体の遠位端の中に貫通され得る。こうした実施形態では、固体エアロゾル形成基体72は、可撓性材料または圧縮性材料を含むことが好ましい。
【0116】
図6のシステム内の気流経路は、図5に示す気流経路と非常に類似していてもよい。しかしながら、空洞78に入る代わりに、周囲空気80は、その遠位端においてエアロゾル形成基体72に直接入ってもよい。
【0117】
図7aおよび7bは、サセプタ18および芯20を備える図1のカートリッジ10の一部分、ならびに図1のカートリッジ10全体の断面図をそれぞれ示す。適切な長さの範囲および特定の部品の好ましい長さを以下の表1に列挙する。
【表1】
図1
図2a)】
図2b)】
図3a)】
図3b)】
図4a)】
図4b)】
図5
図6a)】
図6b)】
図7a)】
図7b)】
【国際調査報告】