(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ゼロモータトルクが要求される場合の永久磁石モータにおけるトランジスタのトグルの停止
(51)【国際特許分類】
B60L 15/20 20060101AFI20241018BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20241018BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60L15/20 J
B60L9/18 J
H02P27/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523518
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022078279
(87)【国際公開番号】W WO2023069934
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、ルシャオ
(72)【発明者】
【氏名】ドララ、エマド
【テーマコード(参考)】
5H125
5H505
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125BB00
5H125CA01
5H125EE08
5H125EE13
5H125FF01
5H505AA16
5H505CC04
5H505DD08
5H505EE55
5H505HA09
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505LL16
5H505LL38
(57)【要約】
方法は:モータ制御装置が電気自動車の永久磁石モータのためのトルク指令を受信する段階、ここで前記永久磁石モータはトランジスタを有するインバータに結合されており、ここで前記永久磁石モータは現在の速度を有する;前記永久磁石モータの現在の基底速度を判定する段階;及び前記現在の速度が基底速度未満基準を満たしその上前記トルク指令がゼロトルク基準を満たすことに応じて、前記トランジスタが非導通状態になるように、前記モータ制御装置が前記トランジスタのトグルを停止させる段階を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ制御装置が電気自動車の永久磁石モータのためのトルク指令を受信する段階、ここで前記永久磁石モータはトランジスタを有するインバータに結合されており、ここで前記永久磁石モータは現在の速度を有する;
前記永久磁石モータの現在の基底速度を判定する段階;及び
前記現在の速度が基底速度未満基準を満たしその上前記トルク指令がゼロトルク基準を満たすことに応じて、前記トランジスタが非導通状態になるように、前記モータ制御装置が前記トランジスタのトグルを停止させる段階
を備える、方法。
【請求項2】
前記モータ制御装置が前記永久磁石モータのための複数のトルク指令を受信し、前記方法は、前記複数のトルク指令に関してトルク指令調停を実行する段階を更に備え、前記トルク指令は前記トルク指令調停からもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の基底速度は、少なくとも前記インバータの直流電圧及び前記永久磁石モータの逆起電力定数に基づいて判定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令がゼロトルクの予め定義されたマージン内にあることを備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令が少なくとも予め定義された時間の間、ゼロトルクの前記予め定義されたマージン内にあることを更に備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基底速度未満基準は、前記現在の速度が少なくとも予め定義されたマージンだけ前記現在の基底速度よりも低いことを備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記トランジスタの前記トグルを停止させた後に、前記トルク指令が前記ゼロトルク基準を満たさないと判定する段階;及び
前記判定に応じて、前記トランジスタのトグルを開始する段階
を更に備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令がゼロトルクの予め定義されたマージン内にあることを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記トランジスタの前記トグルを停止させた後に、前記現在の速度が前記基底速度未満基準を満たさないと判定する段階;及び
前記判定に応じて、前記トランジスタのトグルを開始する段階
を更に備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記基底速度未満基準は、前記現在の速度が少なくとも予め定義されたマージンだけ前記現在の基底速度よりも低いことを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記トランジスタは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
永久磁石モータであって:
トルク指令を受信し前記永久磁石モータの現在の基底速度を判定するためのモータ制御装置;
トランジスタを有するインバータ;及び
前記永久磁石モータの現在の速度を示すセンサ;を備え、
前記現在の速度が基底速度未満基準を満たしその上前記トルク指令がゼロトルク基準を満たすことに応じて、前記トランジスタが非導通状態になるように、前記モータ制御装置が前記トランジスタのトグルを停止させる、
永久磁石モータ。
【請求項13】
前記モータ制御装置は、複数のトルク指令を受信し、トルク指令調停コンポーネントを使用してトルク指令調停を実行し、前記トルク指令は、前記トルク指令調停からもたらされる、請求項12に記載の永久磁石モータ。
【請求項14】
前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令がゼロトルクの予め定義されたマージン内にあることを備える、請求項12又は13に記載の永久磁石モータ。
【請求項15】
前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令が少なくとも予め定義された時間の間、ゼロトルクの前記予め定義されたマージン内にあることを更に備える、請求項14に記載の永久磁石モータ。
【請求項16】
前記基底速度未満基準は、前記現在の速度が少なくとも予め定義されたマージンだけ前記現在の基底速度よりも低いことを備える、請求項12又は13に記載の永久磁石モータ。
【請求項17】
前記トランジスタは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタである、請求項12又は13に記載の永久磁石モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年10月22日に提出され、「CEASING TRANSISTOR TOGGLING IN PERMANENT MAGNET MOTOR WHEN ZERO MOTOR TORQUE IS DEMANDED」と題する、米国特許出願第63/262,911号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、ゼロモータトルクが要求される場合の永久磁石モータにおけるトランジスタのトグルを停止させることに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、電気自動車(EV)技術は発展を続けており、ますます多くの人々がEVを個人用車両として所有することを選択している。EVは、車載バッテリパック又は他のエネルギーストレージを有する。そのEVにとっての走行距離の利用可能な範囲は、多くの人々にとって重要である。それゆえ、EVは効率的にエネルギーを使用するべきである。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、方法は:モータ制御装置が電気自動車の永久磁石モータのためのトルク指令を受信する段階、ここで前記永久磁石モータはトランジスタを有するインバータに結合されており、ここで前記永久磁石モータは現在の速度を有する;前記永久磁石モータの現在の基底速度を判定する段階;及び前記現在の速度が基底速度未満基準を満たしその上前記トルク指令がゼロトルク基準を満たすことに応じて、前記トランジスタが非導通状態になるように、前記モータ制御装置が前記トランジスタのトグルを停止させる段階を備える。
【0005】
実装は、以下の特徴のうちのいずれか又は全てを含むことができる。前記モータ制御装置が前記永久磁石モータのための複数のトルク指令を受信し、前記方法は、前記複数のトルク指令に関してトルク指令調停を実行する段階を更に備え、前記トルク指令は前記トルク指令調停からもたらされる。前記現在の基底速度は、少なくとも前記インバータの直流電圧及び前記永久磁石モータの逆起電力定数に基づいて判定される。前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令がゼロトルクの予め定義されたマージン内にあることを備える。前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令が少なくとも予め定義された時間の間、ゼロトルクの前記予め定義されたマージン内にあることを更に備える。前記基底速度未満基準は、前記現在の速度が少なくとも予め定義されたマージンだけ前記現在の基底速度よりも低いことを備える。前記方法は:前記トランジスタの前記トグルを停止させた後に、前記トルク指令が前記ゼロトルク基準を満たさないと判定する段階;及び前記判定に応じて、前記トランジスタのトグルを開始する段階を更に備える。前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令がゼロトルクの予め定義されたマージン内にあることを備える。前記方法は:前記トランジスタの前記トグルを停止させた後に、前記現在の速度が前記基底速度未満基準を満たさないと判定する段階;及び前記判定に応じて、前記トランジスタのトグルを開始する段階を更に備える。前記基底速度未満基準は、前記現在の速度が少なくとも予め定義されたマージンだけ前記現在の基底速度よりも低いことを備える。前記トランジスタは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタである。
【0006】
第2の態様において、永久磁石モータは:トルク指令を受信し前記永久磁石モータの現在の基底速度を判定するためのモータ制御装置;トランジスタを有するインバータ;及び前記永久磁石モータの現在の速度を示すセンサ;を備え、前記現在の速度が基底速度未満基準を満たしその上前記トルク指令がゼロトルク基準を満たすことに応じて、前記トランジスタが非導通状態になるように、前記モータ制御装置が前記トランジスタのトグルを停止させる。
【0007】
実装は、以下の特徴のうちのいずれか又は全てを含むことができる。前記モータ制御装置は、複数のトルク指令を受信し、トルク指令調停コンポーネントを使用してトルク指令調停を実行し、前記トルク指令は、前記トルク指令調停からもたらされる。前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令がゼロトルクの予め定義されたマージン内にあることを備える。前記ゼロトルク基準は、前記トルク指令が少なくとも予め定義された時間の間、ゼロトルクの前記予め定義されたマージン内にあることを更に備える。前記基底速度未満基準は、前記現在の速度が少なくとも予め定義されたマージンだけ前記現在の基底速度よりも低いことを備える。前記トランジスタは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】永久磁石モータを有する車両の1つの例の図である。
【0009】
【
図2】
図1中の車両のモータ制御装置によって実行され得るトルク指令調停の1つの例の図である。
【0010】
【
図3】
図1中の車両のモータ制御装置によって実行され得る基底速度未満基準を評価することの1つの例の図である。
【0011】
【
図4】
図1中の車両のモータ制御装置によって実行され得るモータ制御プロセスの1つの例の図である。
【0012】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、ゼロモータトルクが要求される場合の永久磁石モータにおけるトランジスタのトグルを停止させるシステム及び技法の例を説明する。
【0014】
本明細書で説明される例は、車両に言及する。車両は、乗員又は積荷、又はその両方を輸送する機械である。車両は、少なくとも1つのタイプの燃料、又は他のエネルギー源(例えば電気)を使用する1つ又は複数のモータを有することができる。車両の例は車、トラック、及びバスを含むが、これらに限定されない。車輪の数は車両のタイプの間で異なってよく、車輪のうちの1つ又は複数(例えば全て)は車両の推進のために使用され得る。車両は1人又は複数人の人を収容する乗員コンパートメントを含むことができる。EVは、ほんの数例を挙げると、専ら電気によって駆動され得、又は電気に加えて1つ又は複数の他のエネルギー源を使用し得る。本明細書で使用される場合、EVは、場合によりバッテリパックと称される、1つ又は複数の電気モータに電力を供給する車載エネルギーストレージを含む。2つ又はそれより多いEVは、異なるタイプのエネルギーストレージ及び/又は異なるサイズのそれを有し得る。
【0015】
図1は、永久磁石モータ102を有する車両100の1つの例を示す。車両100の永久磁石モータ102及び/又は他のコンポーネントは、本明細書の他の箇所で説明される1つ又は複数の他の例と共に使用され得る。簡潔さのために、車両100は部分的にのみ示されている。永久磁石モータ102は、回転子内に、又はその表面に位置決めされている1つ又は複数の磁石を有する。永久磁石モータ102は、回転子を囲む固定子に電流を印加して1つ又は複数の駆動輪のためにトルクを発生させ得る。いくつかの実装において、ギア104は、永久磁石モータ102及び駆動輪の間に設けられ得る。例えば、ギア104は差動装置を含み得るか、及び/又はギア減速をもたらし得る。
【0016】
車両100は、モータ制御装置を使用して、永久磁石モータ102及び他のコンポーネントを動作させ得る。ここで、車両100は、インバータ108及びMCUボード110を含むモータ制御部(MCU)106を含む。MCUボード110は、インバータ108を制御する。MCUボード110は、1つ又は複数の処理コンポーネントを含み得る。いくつかの実装において、MCUボード110は、1つ又は複数のプロセッサを含む。例えば、MCUボード110は、1つ又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイも含み得る。MCU106は、永久磁石モータ102を制御するための1つ又は複数の他のコンポーネントも含み得る。例えば、ゲートドライバ、シャントモニタ、及び冷却機能を含み得る。
【0017】
インバータ108は、直流(DC)を交流(AC)へ変換して永久磁石モータ102を駆動するとともに、永久磁石モータ102からエネルギーを回収する場合にはACをDCに変換する1つ又は複数の電力段を含み得る。インバータ108は、繰り返しオン及びオフにトグルされるトランジスタ112を使用して、永久磁石モータ102のためにACを発生させるか、又はそれからエネルギーを回収し得る。いくつかの実装において、6つのトランジスタ112が、三相ACを生成するためにそれぞれのペアにおいて結合され得る。トランジスタ112は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であり得る。例えば、炭化ケイ素MOSFETが使用され得る。
【0018】
車両100は、バッテリ114を含む。バッテリ114は、電気化学セルの1つ又は複数のモジュールを含み得る。例えば、リチウムイオンセルが使用され得る。バッテリ114は、バッテリ管理部(BMU)116によって制御され得る。例えば、BMU116は、バッテリ114の充電状態を管理し、バッテリ114及びインバータ108の間の接触子を開閉し得る。車両の推進のためのエネルギー源であるバッテリ114は、1つ又は複数のコンポーネント(例えば、MCUボード110)に電力を供給し得る低電圧(例えば、12V)バッテリからそれを区別するために高電圧バッテリと称され得る。
【0019】
MCU106は、永久磁石モータ102のために基底速度を判定し得る。永久磁石モータ102が回転している時、回転子内の永久磁石は、逆起電力(back electromotive force:逆emf)と呼ばれる電圧を発生させる。インバータ108は、還流ダイオードを含み得る。逆emfは、バッテリ114のDC端子において、最終的にDC電圧を発生させ得る。このDC電圧が高まりバッテリ114からの電圧を上回る場合、これによって永久磁石モータ102からバッテリ114へのエネルギーの潜在的な流れ方向が作成され得る。そのような状況は、永久磁石モータ102が発生させる制動トルク(場合により非指令トルクと称される)の形で感知され得る。逆emfがバッテリ電圧を上回る境界は、速度依存である。基底速度は、逆emf定数及びインバータ108のDC電圧(例えば、DCリンク電圧)に基づいて計算され得る。つまり、車両100が基底速度よりも遅く走行する場合、トランジスタ112は、非指令トルクを発生させずにオフに切り替えられ得る。
【0020】
車両100は、車両制御部(VCU)118を含む。VCU118は、車両100の動作状態を制御し得る。いくつかの実装において、VCU118はBMU116及びMCUボード110の両方に結合され得る。例えば、VCU118は、永久磁石モータ102に関するトルク要求を調整し得る。
【0021】
車両100は、永久磁石モータ102内の回転子の回転位置を示し得るセンサ120を含む。いくつかの実装において、センサ120は、回転子のシャフトに搭載され得、角度測定値をもたらし得る。例えば、センサ120は、アナログ回路(例えば、レゾルバ)又はデジタル回路(例えば、エンコーダ)を含み得る。
【0022】
トランジスタ112は、動作中にエネルギー損失を被り得る。トグルは、スイッチング損失をもたらし得る電圧過渡及び電流過渡を生む。動作中に、トランジスタ112は、比較的高い周波数で(例えば、ほんのいくつかの例を挙げると約5~20kHzの範囲で)オン及びオフにトグルされ得る。スイッチング損失は、熱発生に起因して失われるエネルギーである。例えば、そのようなエネルギー損失は、電圧及び電流の積の積分を計算することによって推定され得る。
【0023】
車両100は、効率を改善するためにモータ制御ストラテジを実行することができる。いくつかの実装において、トランジスタ112のトグルは、トランジスタ112が非導通状態であることが車両100の動作に悪影響を与えないと判定される1つ又は複数の状況において、トランジスタ112が非導通状態であるように、停止させられ得る。例えば、車両速度が非指令トルクに関する閾値よりも低い時点において非常にわずかなトルクしか要求されない場合、トランジスタ112のトグルを停止させてそれらを非導通状態にし得る。本明細書で使用される場合、トランジスタが非導通状態であることは、バッテリ114の正の端子及び負の端子の間でアクティブな経路が存在しない状態に対応する。上記で言及されたように、還流ダイオードはトランジスタが非導通状態である間でも導通状態である逆流経路を提供し得る。
【0024】
図2は、
図1中の車両のモータ制御装置によって実行され得るトルク指令調停の1つの例200を示す。例200は、本明細書の他の箇所で説明される1つ又は複数の他の例と共に使用され得る。
図1のいくつかのコンポーネントが例として言及される。
【0025】
車両が走行している場合、VCU118は、トルク指令をMCUボード110に送信し得、これは車両100から複数のトルク指令を受信し得る。ここで、トルク指令ソース202は、概略的に図示されている。MCUボード110は、更に、受信したトルク指令をトルク指令調停204へ渡し得る。調停されたトルク指令206は、その調停からもたらされる。MCUボード110は次に、インバータ108と連携して調停されたトルク指令206に対応するトルクを生成し得る。トルク指令調停204を有さない実装において、MCUボード110が受信するトルク指令は、調停なしに適用される。
【0026】
図3は、
図1中の車両のモータ制御装置によって実行され得る基底速度未満基準を評価することの1つの例300を示す。例300は、本明細書の他の箇所で説明される1つ又は複数の他の例と共に使用され得る。
図2中の調停されたトルク指令206(又は調停されていないトルク指令)が実質的にゼロであり、永久磁石モータ102がその基底速度未満で動作している場合、トランジスタ112は、ゼロレベルにおいて永久磁石モータ102によって出力されるトルクを維持するためにトグルする必要がない場合がある。
【0027】
ここで、モータ速度302は永久磁石モータ102の現在の速度を表す。例えば、モータ速度302はセンサ120を使用して判定される。DCリンク電圧304は、永久磁石モータ102の基底速度を計算する際に使用され得る。基底速度計算306は、永久磁石モータ102の現在の速度及び基底速度に関する比較の実行を表す。これは、現在の速度に対する基底速度未満基準と称され得る。いくつかの実装において、基底速度未満基準を満たすことは、現在の速度が現在の基底速度よりも低いことを含む。他の実装において、基底速度未満基準を満たすことは、現在の速度が少なくとも予め定義されたマージンだけ現在の基底速度よりも低いことを含む。例えば、基底速度未満基準の評価は、モータ速度302を、DCリンク電圧304を使用して計算された基底速度と、パーセントで定義されたマージンを差し引いて比較することに関する。基底速度未満基準が満たされる場合、基底速度未満フラグ308がセットされ得る。
【0028】
図4は、
図1中の車両のモータ制御装置によって実行され得るモータ制御プロセスの1つの例400を示す。例400は、本明細書の他の箇所で説明される1つ又は複数の他の例と共に使用され得る。
【0029】
調停されたトルク指令206(又は調停されていないトルク指令)に関して、それがゼロに近いか否かの判定402が実行され得る。これは、ゼロトルク基準と称され得る。いくつかの実装において、ゼロトルク基準を満たすことは、ゼロトルクを超える及び/又はそれを下回る予め定義されたマージン内にあることとして定義され得る。例えば、そのようなゼロトルク基準は、少なくとも予め定義された量の時間の間、トルク指令がゼロトルクの予め定義されたマージン内にあることを更に要求し得る。基底速度未満フラグ308に関して、判定404はそれがセットされた(すなわち、真である)か否かを評価し得る。
【0030】
判定402及び404は、論理AND機能406によって評価され得る。論理AND機能406は、判定402及び404の両方が真である場合、出力Trueを発生させる。論理AND機能406は、判定402及び404のいずれか又はその両方が偽である場合、出力Falseを発生させる。つまり、基底速度未満フラグ308がセットされ、且つ調停されたトルク指令206(又は調停されていないトルク指令)が実質的にゼロである場合、モータ制御装置はトグル停止状態410を開始し得る。例えば、トグル停止状態410は、トランジスタ112が非導通状態になるように、それらの進行中のトグルを中断させる。他方で、論理AND機能406の出力が偽である場合、トグル412が実行される。
【0031】
MCUボード110は、論理AND機能406が真の出力を発生させている限り、トグル停止状態410を維持し得;次に、MCUボード110は出力における変更に応じてトグルを再開し得る。例えば、トグル停止状態410中に、調停されたトルク指令206(又は調停されていないトルク指令)がもはや本質的にゼロではないと判定される場合、そのような判定に応じて、MCUボード110は、トグル412を開始し得る。別の例として、トグル停止状態410中に、基底速度未満フラグ308がもはやセットされていないと判定される場合、そのような判定に応じて、MCUボード110はトグル412を開始し得る。
【0032】
本明細書の全体を通して使用される「実質的に」及び「約」という用語は、処理時のばらつきに起因するものなどの小さい変動を記述及び説明するために使用される。例えば、それらは、±5%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±2%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±1%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±0.5%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±0.2%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±0.1%よりも小さい又はそれに等しいこと、例えば±0.05%よりも小さい又はそれに等しいことを指し得る。また、本明細書において使用される場合、「a」又は「an」などの不定冠詞は「少なくとも1つ」を意味する。
【0033】
上記の概念及び下記でより詳細に議論される追加の概念の全ての組み合わせが(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)、本明細書において開示されている本発明の主題の一部であると企図されていることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題の全ての組み合わせが、本明細書において開示されている本発明の主題の一部であると企図されている。
【0034】
複数の実装を説明してきた。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されるであろう。
【0035】
加えて、図に示されている論理フローは、望ましい結果を実現するために、示されている特定の順序、又は連続した順序を必要としない。加えて、他のプロセスが提供されてよく、又は説明されたフローからプロセスが排除されてよく、説明されたシステムに他のコンポーネントが追加されてよく、又は説明されたシステムから他のコンポーネントが削除されてよい。したがって、他の実装が以下の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0036】
説明された実装の特定の特徴が、本明細書に説明されているとおりに示されてきたが、今や多くの修正、置換、変更、及び均等物が当業者に想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、これらの実装の範囲に含まれる全てのそのような修正及び変更を包含するように意図されていることが理解されるべきである。それらは限定ではなく単なる例として提示されており、形態及び詳細の様々な変更が行われてよいことを理解されたい。相互に排他的な組み合わせを除き、本明細書において説明されている装置及び/又は方法の任意の部分が任意の組み合わせで組み合わされてよい。本明細書において説明されている実装は、説明されている異なる実装の機能、コンポーネント及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は副次的組み合わせを含み得る。
【国際調査報告】