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特表2024-539131二環式グリシン-プロリン化合物及びその単環式グリシン-プロリン中間体を調製するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】二環式グリシン-プロリン化合物及びその単環式グリシン-プロリン中間体を調製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20241018BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C07D487/04 140
A61K31/4985
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523600
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 AU2022051264
(87)【国際公開番号】W WO2023064991
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2021903383
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516024567
【氏名又は名称】ニューレン ファーマシューティカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ジェレミー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】キーン,ステファン フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】エスペンセン,ジョージ マックス
(72)【発明者】
【氏名】パリー-ジョーンズ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス,ロニー マクスウェル
(72)【発明者】
【氏名】ブロワー,クライブ ジョン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA04
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA01
(57)【要約】
本開示は、概して、二環式グリシン-プロリン化合物、及びその単環式グリシン-プロリン中間体の合成のためのプロセスに関する。具体的には、本開示はまた、環状G-2-AllylP及びその類似体の合成のためのプロセスに関する。本開示はまた、任意選択で保護された単環式グリシン-プロリン中間体の合成のためのプロセスに関する。本開示はまた、エステル化グリシン-プロリン中間体の合成のためのプロセスに関する。本開示はまた、組成物を調製し、障害を治療するためのプロセス及びそのような化合物の使用によって調製された化合物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスであって、前記式1の化合物を形成するために式2の化合物の塩基開始環化反応を含み、
【化1】
式中、
Xは、CR、NR、O、及びSから選択され、
及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択され、
、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR9、-SR9、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択されるか、又はR及びRは一緒に、3~10員炭素環を提供し、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択され、
は、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され、
PGは、アミン保護基である、プロセス。
【請求項2】
Xが、CRである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
及びRが、各々水素である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
、R、R、及びRが、水素である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
が、アルケニルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
が、-CH-CH=CHである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記アミン保護基が、塩基除去可能な保護基である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記アミン保護基(PG)が、トリフルオロアセチル(TFA)、-Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)、-Fmoc(フルオレニルメチルオキシカルボニル)、及び-Cbz(カルボキシベンジル)から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記塩基開始環化反応のための塩基試薬が、少なくとも約9のその共役酸のpKaHを有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記塩基開始環化反応のための塩基試薬が、アニオン性塩基である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記アニオン性塩基が、第1族金属の共役塩基である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記アニオン性塩基が、金属アルコキシド、金属炭酸塩、金属水酸化物、金属水素化物、金属アミン、及び金属シリルアミドから選択される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記塩基開始環化反応のための塩基試薬が、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、ナトリウムエトキシド(NaOEt)、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)、水素化ナトリウム(NaH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、カリウムメトキシド(KOMe)、カリウムエトキシド(KOEt)、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記塩基開始環化反応のための塩基試薬が、前記式2の化合物のモル量に対して約0.01~5、約0.05~4、又は約0.1~2、又は約0.5~1.5のモル当量で提供される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記塩基開始環化反応のための塩基試薬が、ナトリウムメトキシド(NaOMe)である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記NaOMeが、前記式2の化合物に対して約0.01~5、約0.05~4、又は約0.1~2、又は約0.5~1.5のモル当量で提供される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記環化反応が、極性プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、又は非極性溶媒の存在下で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記極性プロトン性溶媒が、アルコールである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記非プロトン性溶媒又は非極性溶媒が、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、ニトリル、エステル、炭酸エステル、エーテル、スルホキシド、スルホン、アミド、ニトロアルカン、ピロリジン、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項21】
前記非プロトン性溶媒又は非極性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、アセトニトリル(MeCN)、N-メチルピロリドン(NMP)、ピリジン、トルエン、ヘキサン、n-ヘプタン、酢酸エチル(EtOAc)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項22】
前記溶媒の量が、前記式2の化合物の前記モル量に対して、約1~30、約2~20、若しくは約5~20の体積当量(L)、又は前記塩基開始環化に使用された前記塩基のモル量に対して、約1~45、約2~30、又は約5~20の体積当量(L)で存在する、請求項17に記載のプロセス。
【請求項23】
前記環化反応が、約40~80℃、約45~75℃、又は約50~70℃の温度範囲で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項24】
前記式1の二環式グリシン-プロリン化合物が、式1aの二環式グリシン-プロリン化合物である、請求項1に記載のプロセス:
【化2】
【請求項25】
前記式1の二環式グリシン-プロリン化合物が、式1a(R)の二環式グリシン-プロリン化合物である、請求項1に記載のプロセス:
【化3】
【請求項26】
前記式1の二環式グリシン-プロリン化合物が、式1a(S)の二環式グリシン-プロリン化合物である、請求項1に記載のプロセス:
【化4】
【請求項27】
式2のアミド化合物を調製するためのプロセスが、
【化5】
式4の化合物又はその塩を、
【化6】
式5の化合物と、
【化7】
アミドカップリング条件下で反応させることを含み、式中、
Xは、CR、NR、O、及びSから選択され、
及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択され、
、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR9、-SR9、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択されるか、又はR及びRは一緒に、3~10員炭素環であり、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択され、
は、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され、
PGは、アミン保護基であり、
11は、H及びAGから選択され、
AGは、活性化基である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項28】
前記プロセスが、極性非プロトン性溶媒又は非極性溶媒中で行われる、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記極性非プロトン性溶媒又は非極性溶媒が、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸エチル(EtOAc)、トルエン、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、アセトン、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記アミドカップリング条件が、アミドカップリング試薬を含み、前記アミドカップリング試薬が、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、プロピルホスホン酸無水物(TP)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-’テトラメチルウレアヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2-(1H-ベンズトリアゾL-1-イル)-1,’ ,3,3-テトラメチルウレアテトラフルオロボレート(TBTU)、N,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、塩化ピバロイル(PivCl)、イソブチルクロロホルメート(IBCF)、塩化シアヌル(TCT)、ジフェニルホスフィン酸クロリド(DppCl)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジニルヘキサフルオロホスホネート(PyBOP)、若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項27に記載のプロセス。
【請求項31】
前記アミドカップリング試薬が、前記式4の化合物のモル量に対して、約0.1~5、約0.5~3、又は約1~2モル当量の量で存在する、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記アミドカップリング条件が、添加剤を更に含み、前記添加剤が、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HOPO)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(HOBt)、若しくはジメチルアミノピリジン(DMAP)、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項27に記載のプロセス。
【請求項33】
前記添加剤が、前記式4の化合物の前記モル量に対して、約0.01~1.0、約0.1~0.5、又は約0.2~0.4の量で存在する、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記アミドカップリング条件が、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン(EtN)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)、ピリジン、ルチジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、若しくはN-メチルモルホリン(NMM)、又はそれらの任意の組み合わせから選択される塩基を更に含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項35】
前記塩基が、前記式4の化合物の前記モル量に対して、約0.1~7、約0.5~3、又は約1~2の量で存在する、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
式4の化合物又はその塩を調製するための前記プロセスが、
【化8】
式6の化合物又はその塩を、
【化9】
酸触媒エステル化条件下で反応させることを含み、式中、
Xは、CR、NR、O、及びSから選択され、
及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択され、
、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択され、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択され、
は、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択される、請求項27に記載のプロセス。
【請求項37】
前記酸触媒エステル化条件が、前記エステル化を触媒する試薬の存在を含む、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
前記試薬が、メタンスルホン酸、塩化水素、硫酸、塩化チオニル、塩化アセチル、塩化トリメチルシリル、及び塩化オキサリルから選択される、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記式4の塩が、塩酸塩である、請求項36に記載のプロセス。
【請求項40】
前記化合物が、結果として生じる反応の前に単離される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項41】
前記化合物を、単離することなく、前記その結果として生じる反応において、インサイチュで反応させる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項42】
請求項1~41のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された、式1の二環式グリシン-プロリン化合物、
【化10】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、二環式グリシン-プロリン化合物、及びその単環式グリシン-プロリン中間体の合成のためのプロセスに関する。具体的には、本開示はまた、環状G-2-AllylP及びその類似体の合成のためのプロセスに関する。本開示はまた、任意選択で保護された単環式グリシン-プロリン中間体の合成のためのプロセスに関する。本開示はまた、エステル化グリシン-プロリン中間体の合成のためのプロセスに関する。本開示はまた、組成物を調製し、障害を治療するためのプロセス及びそのような化合物の使用によって調製された化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
cG-2-AllylP及びシクロ-グリシル-L-2-アリルプロリンとしても知られる環状G-2-AllylPは、神経栄養性ペプチドである環状グリシンプロリン(cGP)の合成類似体である。cGPは、脳内で自然に生じ、一連の神経生理学的作用に関連すると考えられるが、その正確な作用機序は未知である。
【化1】
【0003】
cG-2-AllylPは、臨床的候補であるNNZ-2591として調査され、パーキンソン病、脳卒中、外傷性脳損傷、末梢神経障害、脆弱性X症候群、記憶障害、多発性硬化症、Phelan-McDermid症候群、Pitt Hopkins症候群、アンジェルマン症候群、及びプラダー-ウィリー症候群の前臨床モデルにおいて有効性を実証した。
【0004】
今日まで、NNZ-2591(cG-2-AllylP)を調製するための報告されたプロセスは、特許文献1からきており、以下のスキーム1に示されている。報告されたプロセスによれば、オキサゾリジノン2は、クロラルを(S)-プロリンと反応させることによって合成することができる。次いで、このオキサゾリジノン2を、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)を使用して脱プロトン化し、続いて臭化アリルと反応させて、アリル-オキサゾリジノン3を生成する。アリル-オキサゾリジノン3と無水塩化水素(塩化アセチルとメタノールとの反応によって生成される)との反応は、塩酸塩として開環した単環式エステル4を形成し、次いで、これをN-boc保護されたグリシン5と反応させて、ジペプチド6を形成する。ジペプチド6のN末端脱保護は、酸を使用して提供され、続いて、メチルエステルのメトキシ基を除去するための弱塩基を使用した環化反応によって、二環式グリシン-プロリン化合物1、cG-2-AllylPを得る。
【化2】
スキーム1.試薬、条件、及び収率:(i)LDA、THF、-78℃、臭化アリル、-78℃→-30℃、N、4時間(60%);(ii)塩化アセチル、CHOH、還流、N、24時間(63%);(iii)EtN、BOPCl、CHCl、RT、N、19.5時間(45%);(iv)TFA、CHCl、1時間、次いで、EtN、CHCl、23時間(37%)。
【0005】
報告されたプロセスの欠点は、臨床研究及び臨床開発のための製造に必要な量までこの化学物質を効率的に拡大することができないことである。
【0006】
これは、具体的には、約6%の4つの反応ステップにわたる総収率をもたらすように組み合わせた各反応ステップの収率によって強調される。これは、部分的には、典型的にはフラッシュクロマトグラフィの形態で、各ステップで精製が必要であるためである。このようなフラッシュクロマトグラフィは、大規模な量の精製において実行可能ではない。また、環化ステップのためのTFA(トリフルオロ酢酸)及びEtN(トリエチルアミン)の使用は、遊離化合物としてcG-2-AllylPを単離することが困難である塩の混合物の形成をもたらし得ることが見出された。
したがって、良好な収率及び高純度でcG-2-AllylP及びその類似体を調製するための効率的かつ安全なスケーラブルなプロセスが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2005/023815号
【発明の概要】
【0008】
本開示の主題は、部分的には、cG-2-AllylPを含む二環式グリシン-プロリン化合物を調製するための効率的かつ安全なスケーラブルなプロセスの開発に基づいている。
【0009】
化合物、薬学的組成物、方法、又は使用の他の態様、実施形態、及び例が、本明細書に更に記載されていることを理解されたい。
【0010】
一態様では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスであって、式1の化合物を形成するために式2の化合物の塩基開始環化反応を含み、
【化3】
式中、Xは、CR、NR、O、及びSから選択され、R及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択され、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR9、-SR9、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択されるか、又はR及びRは一緒に、3~10員炭素環であり、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択され、Rは、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され、PGは、アミン保護基である、プロセスが提供される。
【0011】
更なる態様では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスであって、
【化4】
式4の化合物又はその塩を、
【化5】
式5の化合物と、
【化6】
アミドカップリング条件下で反応させることを含み、
式中、Xは、CR、NR、O、及びSから選択され、R及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択され、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択されるか、又はR及びRは一緒に、3~10員炭素環であり、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択され、Rは、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され、PGは、アミン保護基であり、R11は、水素及び活性化基(AG)から選択される、プロセスが提供される。
【0012】
更なる態様では、式4の化合物又はその塩を調製するためのプロセスであって、
【化7】
式6の化合物又はその塩を、
【化8】
酸触媒エステル化条件下で反応させることを含み、
式中、Xは、CR、NR、O、及びSから選択され、R及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択され、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択され、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択され、Rは、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択される、プロセスが提供される。
【0013】
他の実施形態又は例では、式1の化合物を調製するプロセスは、上記の更なる態様の1つ以上のプロセスを含む。
【0014】
別の態様では、本明細書に記載されるプロセスによって調製された、式1の二環式グリシン-プロリン化合物が提供される:
【化9】
【0015】
他の態様又は実施形態では、上記の態様によって説明される任意の1つ以上のプロセス、又は本明細書に記載されるそれらの任意の実施形態若しくは例から調製された、式2、式4、式5、又は式6の化合物が提供される。
【0016】
本発明は、例示のみを目的とする本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。機能的に等価な生成物、組成物、及び方法は、明らかに本明細書に記載の本発明の範囲内にある。
【0017】
本明細書全体にわたって、特に明記されていない限り、又は文脈が別途必要としない限り、単一のステップ、物質の組成物、ステップの群、又は物質の組成物の群への言及は、それらのステップ、物質の組成物、ステップの群、又は物質の組成物の群のうちの1つ及び複数(すなわち、1つ以上)を包含するように解釈されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般定義
別途具体的に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者に一般に理解される意味(例えば、化学、生化学、医薬化学、微生物学など)と同じ意味を有するものとする。
【0019】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」、例えば、「X及び/又はY」という用語は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解され、両方の意味又はいずれかの意味、例えば、A及び/又はBは選択肢i)A、ii)B、又はiii)A及びBを含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、反対の記載がない限り、指定された値の+/-20%、典型的には+/-10%、典型的には+/-5%を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という用語は、文脈上別途明確に示されない限り、単数形及び複数形の両方を含む。
【0022】
明確性のために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されるある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解されるべきである。逆に、簡潔性のために、単一の実施形態の文脈において記載される様々な特徴は、別個に又は任意の部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0023】
本明細書を通して、本発明の様々な態様及び構成要素は、範囲形式で提示され得る。範囲形式は、利便性のために含まれ、本発明の範囲に対する変更できない制限として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、具体的に示されない限り、可能な全ての部分範囲とその範囲内の個々の数値が具体的に開示されているとみなされるべきである。例えば、1~5などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、3~5などの部分範囲、並びに整数が必要とされるか又は文脈から暗黙的でない限り、列挙される範囲内の個々の数字及び部分数字、例えば、1、2、3、4、5、5.5、及び6が具体的に開示されているとみなされるべきである。これは、開示される範囲の幅に関係なく適用される。特定の値が必要な場合、これらは本明細書に示される。
【0024】
本明細書全体にわたって、用語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を含むが、任意の他の要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を除外しないことを意味すると理解されるであろう。
【0025】
いくつかの先行技術の刊行物が本明細書で言及されているが、この言及は、これらの文書のいずれかが、米国、オーストラリア、又は任意の他の国における当該技術における一般的な一般知識の一部を形成することを認めるものではないことは明らかに理解されるであろう。
【0026】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料が本発明の実施又は試験で使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び例は、単に例示であり、限定することを意図するものではない。
【0027】
塩は、好適な酸性又は塩基性基を含む式1~9の化合物の実施形態の場合に形成され得る。式1~9の化合物の好適な塩には、有機又は無機酸又は塩基で形成されたものが含まれる。したがって、式(すなわち、式1)による化合物を指す場合、遊離塩基/遊離酸化合物、及び対応するその塩の両方を指すことが理解されるであろう。
【0028】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」又は同様の用語は、薬学的に許容される有機塩又は無機塩を指す。本明細書における「塩」への任意の言及は、「薬学的に許容される塩」を含み得ることが理解されるであろう。例示的な酸付加塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフト酸塩))が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な塩基付加塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、カリウム及びナトリウムのもの、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム及びマグネシウムのもの、並びに有機塩基を有する塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ-、ジ-、若しくはトリ低級アルキルアミン、例えば、エチル-、tert-ブチル-、ジエチル-、ジイソプロピル-、トリエチル-、トリブチル-、若しくはジメチル-プロピルアミン、又はモノ、ジ、若しくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、例えば、モノ-、ジ-、若しくはトリエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、又は他の対イオンなどの別の分子の包含を伴ってもよい。対イオンは、親化合物の電荷を安定化する任意の有機又は無機部分であってもよい。更に、薬学的に許容される塩は、その構造において2個以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である例は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1個以上の荷電原子及び/又は1つ以上の対イオンを有することができる。また、薬学的に許容されない塩は、薬学的に許容される塩の調製における中間体として有用であり得るか、又は保管中若しくは輸送に有用であり得るため、本開示の範囲内に入ることも理解されるであろう。
【0029】
有機化学及び/又は医薬化学の当業者は、多くの有機化合物が、それらが反応する、又はそれらが沈殿する、又は結晶化する溶媒と複合体を形成できることを理解するであろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される溶媒和物」又は「溶媒和物」という語句は、1つ以上の溶媒分子と本開示の化合物との会合を指す。薬学的に許容される溶媒和物を形成する溶媒の例としては、水、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸、及びエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。本開示は、式1の化合物及びその塩の水和物を含む溶媒和形態を包含することが理解されるであろう。
【0030】
本開示の化合物は、キラル(非対称)中心を含み得るか、又は分子全体がキラルであり得る。個々の立体異性体(鏡像異性体及びジアステレオ異性体)、並びにこれらの混合物は、本開示の範囲内である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「立体異性体」という用語は、同じ分子式及び結合原子の配列(すなわち、原子結合性)を有する化合物を指すが、それらの原子の空間における三次元配向は異なる。本明細書で使用される場合、「鏡像異性体」という用語は、それらが互いに重複しない鏡像であるという点で立体異性体である2つの化合物を指す。関連する立体中心は、(R)-又は(S)-構成で示され得る。
【0032】
有機及び/又は医薬の当業者は、式1の化合物及びその塩が非晶質形態又は結晶形態で存在し得ることを理解するであろう。本開示は、式1の化合物及びその塩の全ての形態及び多形を包含することが理解されるであろう。
【0033】
本明細書で使用される場合、「保護基」という用語は、有機合成/医薬化学において、それと従来的に会合する意味を有し、すなわち、化学反応が別の保護されていない反応性部位上で選択的に実施され得るように、及び選択的反応が完了した後に基が容易に除去され得るように、多官能性化合物中の1つ以上の反応性部位を選択的に遮断する化学基である。
【0034】
暗黙の水素原子(ピロール環上に存在する水素原子など)は、明確にするために式から省略されるが、当業者には存在すると理解されるであろう。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖(すなわち、線状)及び分枝鎖炭化水素基の両方を包含する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、及びヘキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、アルキル基は、1~8個の炭素原子(すなわち、C1-8アルキル)のものである。一例では、アルキル基は、1~6個の炭素原子(すなわち、C1-6アルキル)のものである。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖及び分枝鎖の両方の不飽和炭化水素基を指す。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニル基が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、アルケニル基は、2~8個の炭素原子(すなわち、C2-8アルケニル)のものである。一例では、アルケニル基は、2~6個の炭素原子(すなわち、C2-6アルケニル)のものである。
【0038】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖及び分枝鎖の両方の不飽和炭化水素基を指す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニル基が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、アルキニル基は、2~8個の炭素原子(すなわち、C2-8アルキニル)のものである。一例では、アルキニル基は、2~6個の炭素原子(すなわち、C2-6アルキニル)のものである。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、1個の水素原子が環から除去される芳香族環化合物に由来する官能基を指す。アリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、及びナフチル基が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、アリール基は、5~12個の炭素原子(すなわち、C5-12アリール)のものである。一例では、アリール基は、5~8個の炭素原子(すなわち、C5-8アリール)のものである。
【0040】
本明細書で使用される場合、「アルキルアリール」という用語は、1個の水素原子がアルキル基から除去されるアルキル置換芳香族環化合物に由来する官能基を指す。アルキルアリール基の例としては、メチルフェニル(ベンジル)、エチルフェニル、メチルナフチル、及びエチルナフチル基が挙げられるが、これらに限定されない。一例では、アルキルアリール基は、1つの6~14個の炭素原子(すなわち、C6-14アルキルアリール)のものである。一例では、アルキル基は、6~10個の炭素原子(すなわち、C6-10アルキルアリール)のものである。
【0041】
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」という用語は、炭素原子の芳香族又は非芳香族環状基を指す。カルボシクリル基は、例えば、単環式又は多環式(例えば、二環式、三環式)であってもよい。多環式カルボシクリル基は、縮合環を含有し得る。一例では、カルボシクリル基は、3~10個の炭素原子(すなわち、C3-10カルボシクリル)のものである。一例では、カルボシクリル基は、3~7個の炭素原子(すなわち、C3-7カルボシクリル)のものである。単環式非芳香族カルボシクリル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基が挙げられる。芳香族カルボシクリル基としては、フェニル及びナフタレニルが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、炭素環状基に類似するが、炭素原子のうちの1~3個が、独立して、窒素、酸素、又は硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって置き換えられている芳香族又は非芳香族の環状基を指す。ヘテロシクリル基は、例えば、単環式又は多環式(例えば、二環式、三環式)であってもよい。多環式ヘテロシクリルは、例えば、縮合環を含み得る。二環式ヘテロシクリル基では、各環に1個以上のヘテロ原子が存在するか、又はヘテロ原子は環のうちの1つにのみ存在し得る。好適な窒素原子を含むヘテロシクリル基は、対応するN-酸化物を含む。一例では、ヘテロシクリル基は、3~10個の原子(すなわち、3~10員ヘテロシクリル)のものである。一例では、ヘテロシクリル基は、3~7個の原子(すなわち、3~7員ヘテロシクリル)のものである。単環式非芳香族ヘテロシクリル基の例としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、及びアゼパニルが挙げられる。環のうちの1つが非芳香族である二環式ヘテロシクリル基の例としては、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリル、及びベンゾアゼパニルが挙げられる。単環式芳香族ヘテロシクリル基(単環式ヘテロアリール基とも称される)の例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、及びピリミジニルが挙げられる。二環式芳香族ヘテロシクリル基(二環式ヘテロアリール基とも称される)の例としては、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ナフチリジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル[4,5-b]ピリジル、ピリドピリミジニル、イソキノリニル、及びベンゾヒドロキサゾールが挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「飽和」という用語は、骨格原子の全ての利用可能な原子価結合が他の原子に結合している基を指す。飽和基の代表的な例としては、ブチル、シクロヘキシル、ピペリジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される場合、「不飽和」という用語は、2個の隣接する骨格原子のうちの少なくとも1個の原子価結合が他の原子に結合していない基を指す。代表的な例には、アルケン(例えば、-CH-CHCH=CH)、フェニル、ピロールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される場合、「任意選択的に置換された」という用語は、本明細書に記載されるように、非置換であるか、又は置換されている基を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、炭素又は好適なヘテロ原子から除去され、更なる基(すなわち、置換基)で置換された1つ以上の水素又は他の原子を有する基を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、それに結合された、又はそれゆえに置換された任意の更なる基を有しない基を指す。
【0048】
本明細書で引用又は参照される全ての文書、並びに本明細書で引用される文書において引用又は参照される全ての文書は、本明細書で言及される、又は参照により本明細書に組み込まれる任意の文書における任意の製品の任意の製造業者の指示、説明、製品仕様、及び製品シートとともに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
環状G-2-AllylPを調製するためのプロセス
本開示の主題は、部分的には、cG-2-AllylPを含む二環式グリシン-プロリン化合物を調製するための効率的かつ安全なスケーラブルなプロセスの発見に基づいている。以下のスキーム2は、cG-2-AllylPを含む式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するための効率的かつ安全なスケーラブルなプロセスの例を提供する。
【化10】
スキーム2.cG-2-AllylPを含む式1の二環式グリシン-プロリン化合物の調製のための例示的なプロセス。
【0050】
上記のプロセスは、プロセスの各ステップに関連して以下に更に説明される。各ステップは、中間体又は化合物自体を調製するためのそれ自体の独立したプロセス態様、実施形態、若しくは例を提供し得るか、又は本明細書に記載される別のプロセス態様若しくは実施形態に更なる実施形態若しくは例を提供し得る。各ステップの各中間体又は調製された化合物はまた、その化合物、組成物、及び/又はプロセスに関して、それ自体の独立した態様、実施形態、又は例を提供してもよい。
【0051】
式1の化合物の合成
本開示は、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスを提供する:
【化11】
【0052】
いくつかの実施形態では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、式1の化合物を形成するために式2の化合物の塩基開始環化反応を含む:
【化12】
【0053】
いくつかの実施形態では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、式3の中間体を介して進行する式1の化合物を形成するために式2の化合物の塩基開始環化反応を含む:
【化13】
【0054】
いくつかの実施形態では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、式3の保護された二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2の化合物の塩基開始環化反応を含む:
【化14】
【0055】
いくつかの実施形態では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式3の化合物から保護基を除去することを含む:
【化15】
【0056】
いくつかの実施形態では、Xは、CR、NR、O、及びSから選択される。一例では、Xは、CRである。一例では、XはNRである。一例では、XはOである。一例では、XはSである。いくつかの実施形態では、R及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択される。一例では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。一例では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。したがって、一例では、XはCHである。一例では、XはNHである。
【0057】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択されるか、又はR及びRは一緒に、3~10員炭素環である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、ハロアルキルから選択され、R及びRは一緒に、3~10員炭素環である。いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、又はアルケニルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルケニルである。一例では、Rは-CH-CH=CHである。一例では、Rは-CHである。一例では、Rは水素である。一例では、Rは水素である。一例では、Rは水素である。一例では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。一例では、R及びRは一緒に、シクロペンチル基である。一例では、R及びRは一緒に、シクロヘキシル基である。
【0058】
いくつかの実施形態では、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択される。一例では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rは-C1-8アルキルである。一例では、R10は水素である。いくつかの実施形態では、R10は-C1-8アルキルである。
【0059】
いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択される。一例では、Rはアルキルである。一例では、RはC1-6アルキルである。一例では、Rは-CHである。一例では、Rは-CHCHである。一例では、Rはアリールである。一例では、Rはフェニルである。一例では、Rはアルキルアリールである。一例では、Rはベンジルである。
【0060】
一例では、式1の化合物は、以下から選択される:
【化16】
【0061】
したがって、一例では、XはCHであり、Rは-CH-CH=CHであり、R、R、R、及びRは、各々水素である。一例では、XはCHであり、Rは-CHであり、R及びRは水素であり、R及びRは一緒に、シクロペンチル基である。一例では、XはCHであり、Rは-CHであり、R及びRは水素であり、R及びRは一緒に、シクロヘキシル基である。
【0062】
PGはアミン保護基である。「アミン保護基」という用語は、具体的には、その後の化学反応で化学選択性を得るために、アミン官能基を化学的に修飾する保護基を指す。アミン保護基の例としては、カルバメート、アミド、スルホンアミド、ベンジル、ベンジリデン、及びトリチル(Trt)保護基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、保護基(PG)は、アミド、スルホンアミド、トリチル(Trt)、又はカルバメート保護基である。カルバメート保護基の例には、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルカルバメート(Cbz)、及びp-メトキシベンジルカルボニル(MeOZ)基が含まれるが、これらに限定されない。スルホンアミド保護基の例としては、パラ-トシル(p-トルエンスルホニル)及びメシル基が挙げられる。アミド保護基の例としては、トリフルオロアセチル(TFA)基が挙げられる。一例では、アミン保護基(PG)は、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)保護基である。一例では、アミン保護基(PG)は、-Fmoc(フルオレニルメチルオキシカルボニル)保護基である。一例では、アミン保護基(PG)は、-Cbz(カルボキシベンジル)保護基である。一例では、アミン保護基(PG)は、パラ-トシル保護基である。一例では、アミン保護基(PG)は、ベンジル基である。一例では、アミン保護基(PG)は、トリチル(Trt)基である。一例では、アミン保護基(PG)は、トリフルオロアセチル(TFA)基である。
【0063】
塩基開始環化反応は、塩基と式2の化合物との直接的な反応によって開始されることが理解されるであろう。例えば、「塩基開始環化反応」は、トリエチルアミン(EtN)などの弱塩基を使用して後続の環化ステップを行う前に、式2の化合物からのPG基の酸開始除去の第1のステップの段階的アプローチを伴わない。塩基開始反応の利点の1つは、同じ反応容器内(例えば、環化及び脱保護の両方のためのワンポット単一反応系)で同時に環化及び次いでPG脱保護を可能にすることである。塩基開始反応の別の利点は、環化のための塩基の使用量の低減を可能にしたことであり、これは、反応中に使用された塩基を中和及びクエンチする際の反応混合物の作業中の酸の必要量を低減する。塩基開始反応はまた、良好な収率及び高純度を可能にした。
【0064】
いくつかの実施形態では、塩基開始環化反応は、強塩基の存在下で行われる。強塩基は、そのpKaHとして定義される塩基の共役酸のpKa値によって定義され得る。pKaHは、酸解離定数(Ka)の負の対数であり、より低いpKaH値は、より強い共役酸(すなわち、水中でより完全に解離する酸)を示し、したがって、より弱い塩基を示し、より高いpKaH値は、より弱い共役酸を示し、したがって、より強い塩基を示す。いくつかの実施形態では、塩基のpKaH値は、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、又は39よりも大きい。いくつかの実施形態では、塩基は、約40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、又は10未満のpKaH値を有する。塩基は、これらの上限及び/又は下限のうちのいずれか2つによって提供される範囲、例えば、約9~40、約9~37、約9~18、約13~40、約13~28、又は約30~40のpKaH値を有する塩基から選択され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、塩基はアニオン性塩基である。いくつかの実施形態では、塩基は、炭酸塩、カルバニオン、アミン、水素化物、シリルアミド、アルコキシド、水酸化物、酸化物、又はフェノキシドから選択される、金属カチオン及び対アニオンを含む金属塩によって提供される。いくつかの実施形態では、塩基は、非金属元素と、炭酸塩、カルバニオン、アミン、水素化物、シリルアミド、アルコキシド、水酸化物、酸化物、又はフェノキシドから選択される基とを含む化合物である。いくつかの実施形態では、塩基は、炭酸塩、カルバニオン、アミン、水素化物、シリルアミド、アルコキシド、水酸化物、酸化物、又はフェノキシドから選択される、第1族金属カチオン及び対アニオンを含む金属塩である。一例では、第1族金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムである。一例では、第1族金属はナトリウムである。一例では、第1族金属はカリウムである。いくつかの実施形態では、塩基は金属アルコキシドである。金属アルコキシドは、例えば、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、ナトリウムエトキシド(NaOEt)、ナトリウムイソプロポキシド、及びナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)から選択され得る。いくつかの実施形態では、塩基はシリルアミドである。金属シリルアミドは、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(リチウムヘキサメチルジシラジド又はLiHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(ナトリウムヘキサメチルジシラジド又はNaHMDS)、及びカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(カリウムヘキサメチルジシラジド又はKHMDS)から選択され得る。いくつかの実施形態では、塩基は炭酸塩である。炭酸塩は、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸セシウムから選択され得る。いくつかの実施形態では、塩基は金属水酸化物である。金属水酸化物は、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択され得る。いくつかの実施形態では、塩基は水素化物である。水素化物は、例えば、水素化ナトリウム及び水素化カリウムから選択され得る。いくつかの実施形態では、塩基はアミンである。アミンは、例えば、ナトリウムアミド(sodamide)(NaNH)及びリチウムジイソプロピルアミド(LDA)から選択され得る。いくつかの実施形態では、塩基は金属酸化物である。金属酸化物は、例えば、酸化ナトリウム及び酸化カリウムから選択され得る。いくつかの実施形態では、塩基はフェノキシドである。フェノキシドは、例えば、ナトリウムフェノキシド及びカリウムフェノキシドから選択され得る。
【0066】
いくつかの例では、塩基は、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、ナトリウムエトキシド(NaOEt)、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)、水素化ナトリウム(NaH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、カリウムメトキシド(KOMe)、カリウムエトキシド(KOEt)、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。一例では、塩基は、ナトリウムメトキシド(NaOMe)である。一例では、塩基は、ナトリウムエトキシド(NaOEt)である。一例では、塩基は、ナトリウムイソプロポキシドである。一例では、塩基は、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)である。一例では、塩基は、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)である。一例では、塩基は、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)である。一例では、塩基は、水素化ナトリウム(NaH)である。一例では、塩基は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)である。一例では、塩基は、炭酸カリウムである。一例では、塩基は、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)である。
【0067】
アルコキシドは、C1-20アルコキシド、C1-10アルコキシド、C1-6アルコキシド、又はC1-4アルコキシドであり得る。一例では、アルコキシドは、第1族金属、第2族金属、遷移金属、遷移後金属、又は半金属を含む。別の例では、アルコキシドは、リチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、モリブデン、シリコン、チタン、又はタングステンを含む。別の例では、アルコキシドは、第1族金属、例えば、リチウム、ナトリウム、又はカリウムを含む。別の例では、アルコキシドは、第2族金属、遷移金属、遷移後金属、又は半金属などの非第1族元素を含む。別の例では、アルコキシドは、非第1属元素、例えば、アルミニウム、モリブデン、シリコン、チタン、又はタングステンを含む。別の例では、アルコキシドは、アルミニウムイソプロポキシド、ヘキサ(tert-ブトキシ)ジモリブデン(III)、ヘキサ(tert-ブトキシ)ジタングステン(III)、リチウムメトキシド、リチウムtert-ブトキシド、ルビジウムメトキシド、セシウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、メチルトリメトキシシラン、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert-ブトキシド、シリコンメトキシド(テトラメチルオルトシリケート)、シリコンエトキシド(テトラエチルオルトシリケート)、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、チタンブトキシド、チタンイソプロポキシド(チタンテトライソプロポキシド又はTTIP)、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0068】
当業者に理解されるように、プロセスは、好適な溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、非極性溶媒、極性プロトン性溶媒、又は極性非プロトン性溶媒などの溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、プロトン性又は非プロトン性溶媒中で行われる。非プロトン性溶媒は、極性であっても非極性であってもよい。極性プロトン性溶媒の例としては、限定されないが、アルコール、グリコール、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。アルコールの例としては、限定されないが、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1-プロパノール、イソプロピルアルコール(2-プロパノール、iPrOH又はIPA)、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール(t-BuOH)、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。グリコールの例としては、限定されないが、エチレングリコールが挙げられる。一例では、環化反応は、アルコール中で行われる。一例では、環化反応は、メタノール中で行われる。一例では、環化反応は、イソプロピルアルコール中で行われる。一例では、環化反応は、エタノール中で行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、極性又は非極性非プロトン性溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、非極性エーテル溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、極性又は非極性ハロゲン化炭化水素溶媒(例えば、ジクロロメタンなどのクロロカーボン溶媒)中で行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、非極性炭化水素溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、非極性芳香族炭化水素溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、極性プロトン性、極性非プロトン性、非極性エーテル、又はハロゲン化溶媒の任意の組み合わせで行われる。いくつかの実施形態では、環化反応は、炭化水素、芳香族炭化水素、極性非プロトン性、非極性エーテル、又はハロゲン化溶媒の任意の組み合わせで行われる。極性非プロトン性溶媒の例としては、限定されないが、ハロゲン化炭化水素、ケトン、ニトリル、エステル、炭酸エステル、エーテル、スルホキシド、スルホン、アミド、ニトロアルカン、ピロリジン、ピリジン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。非極性溶媒の例としては、限定されないが、炭化水素及び芳香族炭化水素、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。ケトンの例としては、限定されないが、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルブチルケトン(MBK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ニトリルの例としては、限定されないが、アセトニトリル(MeCN)が挙げられる。エステルの例としては、限定されないが、ギ酸エチル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル(iPAC)、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。炭酸エステルの例としては、限定されないが、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸プロピレン(PC)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。極性及び非極性エーテルの例としては、限定されないが、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、ジメトキシエタン(DME又はモノグリム)、1,1-ジメトキシメタン、2,2-ジメトキシプロパン、1,1-ジエトキシプロパン、イソプロピルエーテル、石油エーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、アニソール(メトキシベンゼン)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。スルホキシドの例としては、限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。スルホンの例としては、限定されないが、スルホランが挙げられる。アミドの例としては、限定されないが、ホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ニトロアルカンの例としては、限定されないが、ニトロメタンが挙げられる。ピロリジンの例としては、限定されないが、N-メチルピロリドン(NMP)が挙げられる。ピリジンの例としては、限定されないが、ピリジンが挙げられる。クロロカーボンなどの極性及び非極性ハロゲン化炭化水素の例としては、限定されないが、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1-ジクロロエテン、1,2-ジクロロエテン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素の例としては、限定されないが、ヘキサン及びn-ヘプタン、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。芳香族炭化水素の例としては、限定されないが、トルエン、キシレン、及びクメン、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。一例では、環化反応は、エーテル中で行われる。一例では、環化反応は、テトラヒドロフラン(THF)中で行われる。一例では、環化反応は、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)中で行われる。一例では、環化反応は、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)中で行われる。一例では、環化反応は、アルキルニトリル中で行われる。一例では、環化反応は、アセトニトリル(MeCN)中で行われる。一例では、環化反応は、芳香族炭化水素中で行われる。一例では、環化反応は、トルエン中で行われる。一例では、環化反応は、炭化水素中で行われる。一例では、環化反応は、ヘキサン中で行われる。一例では、環化反応は、n-ヘプタン中で行われる。一例では、環化反応は、ピリジン中で行われる。一例では、環化反応は、ピリジン中で行われる。一例では、環化反応は、エステル中で行われる。一例では、環化反応は、酢酸エチル(EtOAc)中で行われる。一例では、環化反応は、ケトン中で行われる。一例では、環化反応は、メチルイソプロピルケトン(MIPK)中で行われる。一例では、環化反応は、アミド中で行われる。一例では、環化反応は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中で行われる。一例では、環化反応は、スルホキシド中で行われる。一例では、環化反応は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で行われる。一例では、環化反応は、ハロゲン化炭化水素中で行われる。一例では、環化反応は、ジクロロメタン(DCM)中で行われる。一例では、環化反応は、ピロリジン中で行われる。一例では、環化反応は、N-メチルピロリドン中で行われる。一例では、環化反応は、炭酸エステル中で行われる。一例では、環化反応は、炭酸ジメチル(DMC)中で行われる。
【0069】
溶媒は、環化反応をもたらすのに好適な任意の量で反応中に存在し得る。いくつかの例では、溶媒は無水であり得る。例えば、溶媒中の水の量は、約100、75、50、25、10、5、1、0.1、又は0.01未満(ppm)であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、溶媒は、式2の化合物のモル量に対して、約30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1未満の体積当量(L)で存在する。いくつかの実施形態では、溶媒は、式2の化合物のモル量に対して、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、又は25超の体積当量(L)で存在する。溶媒は、上限量及び/又は下限量のうちのいずれか2つ以上によって提供される範囲、例えば、約1~30、約2~20、又は約5~20であり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、溶媒は、約1、10、50、75、100、250、500、750、1000、2000、3000、4000、又は5000超の体積(L)で存在する。いくつかの実施形態では、溶媒は、約10000、5000、4000、3000、2000、1000、750、500、250、又は100未満の体積(L)で存在する。溶媒は、上限量及び/又は下限量のうちのいずれか2つ以上によって提供される範囲、例えば、約1~10000、約100~5000、又は約500~2000であり得る。これらの体積は、単一バッチ反応系に関連し得る。複数のバッチ反応を組み合わせてもよいことが理解されよう。
【0072】
塩基は、環化反応をもたらすのに好適な任意の量で反応中に提供され得る。いくつかの実施形態では、塩基は、式2の化合物のモル量に対して、約5、4、3、2、1.5、1.0、又は0.5未満のモル当量で提供される。いくつかの実施形態では、塩基は、式2の化合物のモル量に対して、約0.01、0.05、0.1、0.3、0.5、1、1.5、2、又は3超のモル当量で提供される。塩基は、これらの上限及び/又は下限のいずれか2つによって提供される範囲、例えば、約0.01~5、約0.05~4、又は約0.1~2、又は約0.5~1.5であり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、溶媒は、塩基開始環化に使用された塩基のモル量に対して、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約15、約10、約5、約2、又は約1未満の体積当量(L)で存在する。いくつかの実施形態では、溶媒は、塩基開始環化に使用された塩基のモル量に対して、約1、2、5、10、15、20、25、30、35、又は40超の体積当量(L)で存在する。溶媒は、上限量及び/又は下限量のうちのいずれか2つ以上によって提供される範囲、例えば、約1~50、約2~30、又は約5~20であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、反応溶液中の塩基の濃度(mol/L)は、約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、又は4より大きい。いくつかの実施形態では、反応溶液中の塩基の濃度(mol/L)は、約5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、又は0.01未満である。塩基は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される濃度範囲、例えば、約0.001~5、約0.005~2、又は約0.01~1であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、反応溶液中の式2の化合物の濃度(mol/L)は、約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、又は4より大きい。いくつかの実施形態では、反応溶液中の式2の化合物の濃度(mol/L)は、約5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、又は0.01未満である。塩基は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される濃度範囲、例えば、約0.001~5、約0.005~2、又は約0.01~1であり得る。
【0076】
当業者は、反応を容易にするために熱を加えることが必要であり得ることを理解するであろう。必要な熱の量は、上で考察されるように、反応が行われる溶媒に依存し得る。いくつかの実施形態では、環化反応は、約30℃~100℃、約40℃~80℃、約50℃~70℃、又は約55℃~65℃に加熱される。一例では、環化反応は約55℃~65℃に加熱される。一例では、環化反応は、メタノール中で行われ、約55℃~65℃に加熱される。
【0077】
環化に加えて、塩基開始反応はまた、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式3の化合物から保護基を除去することが理解されるであろう。
【0078】
一例では、保護基(PG)の除去又は脱保護は、塩基の存在下で行われる。一例では、保護基(PG)の脱保護は、環化反応に利用される塩基の存在下で行われる。すなわち、そのような例では、環化反応及び保護基(PG)の脱保護は、同じ溶媒及び試薬を用いて同じ反応媒体(すなわち、インサイチュ)中で行われる。そのような例では、式3の環化化合物は、保護基(PG)の脱保護の前に単離される必要がないことが理解されるであろう。すなわち、式3の保護された二環式グリシン-プロリン化合物の化合物を、同じワンポット反応で実行して、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を得ることができる。例えば、環化及び脱保護は、同じ試薬の存在下で単一反応ステップとして実施され得る。
【0079】
塩基は、反応が完了すると酸で中和され得る。例えば、環化及び脱保護がナトリウムメトキシドで行われる場合、残りのナトリウムメトキシドは、酸で中和又はクエンチされ得る。いくつかの実施形態では、反応混合物を室温に冷却し、酸を反応混合物に添加する。一例では、酸は、イソプロピルアルコール中の塩化水素である。一例では、酸は、イソプロピルアルコール中の6N塩化水素である。得られた塩副生成物(例えば、塩化ナトリウム)を濾過によって除去して、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を得てもよい。
【0080】
式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、上述のように、式2の初期環化反応を伴う。これは、保護されたジペプチドにおけるカルバメート窒素の脱プロトン化を介した最初の環化反応によって達成することができる。すなわち、保護されたアミン基は、保護された環状アミドを形成するようにエステル基と反応して、式3の化合物を得ることができる。式3の環化化合物は、アミン保護基を保持することができ、これをインサイチュで除去して、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成することができる。この環化及びその後の保護基の脱保護の順序は、式1の二環式グリシン-プロリン化合物の収率及び純度の向上などの利点をもたらし得る。塩基に加えて、脱保護を容易にするために他の試薬が使用され得ることが理解されるであろう。
【0081】
いくつかの例では、式3の化合物は、PG基の脱保護の前に単離されてもよい。いくつかの例では、式3の化合物を、インサイチュ又は粗製形態で後続の反応で反応させてもよい。いくつかの例では、式3の化合物は、単離及び/又は精製することなく、反応させてもよい(すなわち、インサイチュで反応させてもよい)。
【0082】
式1の二環式化合物を形成するための塩基開始環化反応の酸クエンチ及び中和のステップ後、式1の化合物は、当業者によって理解されるように、任意の好適な手段により単離され得る。例えば、式1の化合物の単離は、クロマトグラフィ(例えば、逆相又は順相カラムクロマトグラフィ)、抽出、又は再結晶によって達成され得る。一例では、式1の化合物を単離するステップは、再結晶化によって達成される。式1の化合物を再結晶する際に、当業者は、好適な溶媒が、式1の化合物が低減した溶解度を有するものを含むことを理解するであろう。一例では、式1の化合物を単離するステップは、再結晶化によって達成される。いくつかの実施形態では、式1の化合物を単離するステップは、溶媒が、n-ヘプタン、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、メチル-t-ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸イソプロピル、及びそれらの組み合わせから選択される再結晶化によって達成される。一例では、式1の化合物を単離するステップは、溶媒がイソプロピルアルコール及びn-ヘプタンの組み合わせである再結晶化によって達成される。一例では、式1の化合物を単離するステップは、溶媒がエタノール及びn-ヘプタンの組み合わせである再結晶化によって達成される。一例では、式1の化合物を単離するステップは、溶媒がアセトン及びn-ヘプタンの組み合わせである再結晶化によって達成される。一例では、式1の化合物を単離するステップは、溶媒がメチルエチルケトン及びn-ヘプタンの組み合わせである再結晶化によって達成される。一例では、式1の化合物を単離するステップは、溶媒が酢酸イソプロピルである再結晶によって達成される。
【0083】
一例では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物は、式1aの二環式グリシン-プロリン化合物である:
【化17】
【0084】
プロセスは、式3aの保護された二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2aの化合物の環化反応を含み得る:
【化18】
【0085】
プロセスは、式1aの二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式3aの化合物から保護基を除去することを更に含み得る:
【化19】
【0086】
一例では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物は、式1a(R)の二環式グリシン-プロリン化合物(すなわち、cG-2-AllylP)である:
【化20】
【0087】
プロセスは、式3a(R)の保護された二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2a(R)の化合物の環化反応を含み得る:
【化21】
【0088】
プロセスは、式1a(R)の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式3a(R)の化合物から保護基を除去することを更に含み得る:
【化22】
【0089】
一例では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物は、式1a(S)の二環式グリシン-プロリン化合物である:
【化23】
【0090】
プロセスは、式3a(S)の保護された二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2a(S)の化合物の環化反応を含み得る:
【化24】
【0091】
このプロセスは、式1a(S)の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式3a(S)の化合物から保護基を除去することを更に含み得る:
【化25】
【0092】
式2の化合物の合成
いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、
【化26】
式4の化合物又はその塩を、
【化27】
式5の化合物と、
【化28】
アミドカップリング条件下で反応させることを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、Xは、CR、NR、O、及びSから選択される。一例では、Xは、CRである。一例では、XはNRである。一例では、XはOである。一例では、XはSである。いくつかの実施形態では、R及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択される。一例では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。一例では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。したがって、一例では、XはCHである。一例では、XはNHである。
【0094】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択されるか、又はR及びRは一緒に、3~10員炭素環である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、ハロアルキルから選択され、R及びRは一緒に、3~10員炭素環である。いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、又はアルケニルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルケニルである。一例では、Rは-CH-CH=CHである。一例では、Rは-CHである。一例では、Rは水素である。一例では、Rは水素である。一例では、Rは水素である。一例では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。一例では、R及びRは一緒に、シクロペンチル基である。一例では、R及びRは一緒に、シクロヘキシル基である。
【0095】
いくつかの実施形態では、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択される。一例では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rは-C1-8アルキルである。一例では、R10は水素である。いくつかの実施形態では、R10は-C1-8アルキルである。
【0096】
いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択される。一例では、Rはアルキルである。一例では、RはC1-6アルキルである。一例では、Rは-CHである。一例では、Rは-CHCHである。一例では、Rはアリールである。一例では、Rはフェニルである。一例では、Rはアルキルアリールである。一例では、Rはベンジルである。
【0097】
いくつかの実施形態では、R11は、水素及びAGから選択される。一例では、R11は水素である。一例では、R11はAGである。
【0098】
本明細書で使用される場合、「AG」という用語は、活性化基を指す。本明細書で使用される場合、「活性化基」又は「AG」という用語は、具体的には、カルボン酸官能基を化学的に修飾して活性化エステルを形成する基を指し、これは、例えば、アミドを得るためにアミンに対する反応性を増強することができる。活性化基の例としては、ニトロフェニル及びイミド活性化基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、活性化基(AG)は、ニトロフェニル又はイミド活性化基である。いくつかの実施形態では、活性化基(AG)は、p-ニトロフェニル(パラ-ニトロフェニル)又はスクシンイミド活性化基である。一例では、活性化基(AG)は、p-ニトロフェニル活性化基であり、式中、R11は、p-ニトロフェニル基である。一例では、活性化基(AG)は、スクシンイミド活性化基であり、式中、R11は、スクシンイミド基である。
【0099】
いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、式5の活性化エステル化合物を式4の化合物と反応させることを含む。一例では、式5の活性化エステル化合物は、p-ニトロフェニルエステルであり、式中、R11は、p-ニトロフェニル基である。一例では、式5の活性化エステル化合物は、スクシンイミドエステルであり、式中、R11は、スクシンイミド基である。一例では、式5の活性化エステル化合物は、p-ニトロフェニルエステルであり、式中、R11は、p-ニトロフェニル基であり、アミン保護基PGは、ブチルオキシカルボニル(Boc)基である。一例では、式5の活性化エステル化合物は、スクシンイミドエステルであり、式中、R11は、スクシンイミド基であり、アミン保護基PGは、ブチルオキシカルボニル(Boc)基である。一例では、式5の活性化エステル化合物は、スクシンイミドエステルであり、式中、R11は、スクシンイミド基であり、アミン保護基PGは、パラ-トシル(p-トルエンスルホニル;Tos)基である。一例では、式5の活性化エステル化合物は、スクシンイミドエステルであり、式中、R11は、スクシンイミド基であり、アミン保護基PGは、カルボキシベンジル(Cbz)基である。
【0100】
式5の化合物のPG、R、又はRは、本明細書の別の箇所で定義される任意の例により定義され得る。いくつかの例では、R及びRは、水素及びアルキルから選択されるか、又は一緒にシクロペンチル若しくはシクロヘキシル基などのシクロアルキル基を形成する。いくつかの例では、式5は、化合物式5bであり、式中、PGは、BOC基であり、式中、R11は、水素である。
【化29】
【0101】
いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、カップリング試薬を更に含む。本明細書で使用される場合、「カップリング試薬」という用語は、2つの化学部分間の化学結合を促進する化合物を指す。一例では、カップリング試薬は、「アミドカップリング試薬」であり、カルボン酸部分とアミン部分との間に化学結合を提供し、それによってアミド結合を形成する。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、カルボジイミド又はその塩である。いくつかの実施形態では、カルボジイミドカップリング試薬は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、又はそれらの塩から選択される。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、無水物である。いくつかの実施形態では、無水物カップリング試薬は、プロピルホスホン酸無水物(TP)から選択される。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、ホスホニウムである。いくつかの実施形態では、ホスホニウムカップリング試薬は、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジニルヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)、及びビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BOP-Cl)から選択される、いくつかの実施形態では、カップリング試薬はウロニウムである。いくつかの実施形態では、ウロニウムカップリング試薬は、ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2-(1H-ベンゾトリアゾL-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチル尿素テトラフルオロボレート(TBTU)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TATU)、及びO-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)から選択される。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、イミダゾールである。いくつかの実施形態では、イミダゾールカップリング試薬は、N,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)である。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、塩化ピバロイル(PivCl)、オキサリルクロリド、イソブチルクロロホルメート(IBCF)、塩化シアヌル(TCT)、ジフェニルホスフィン酸クロリド(DppCl)、又はそれらの塩から選択される、一例では、カップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)である。一例では、カップリング試薬は、プロピルホスホン酸無水物(TP)である。一例では、カップリング試薬は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)である。一例では、カップリング試薬は、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)である。一例では、カップリング試薬は、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)である。一例では、カップリング試薬は、ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)である。一例では、カップリング試薬は、2-(1H-ベンゾトリアゾL-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチル尿素テトラフルオロボレート(TBTU)である。一例では、カップリング試薬は、N,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)である。一例では、カップリング試薬は、塩化ピバロイル(PivCl)である。一例では、カップリング試薬は、塩化オキサリルである。一例では、カップリング試薬は、イソブチルクロロホルメート(IBCF)である。一例では、カップリング試薬は、塩化シアヌル(TCT)である。一例では、カップリング試薬は、ジフェニルホスフィン酸クロリド(DppCl)である 一例では、カップリング試薬は、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジニルヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)である。
【0102】
いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、式4の化合物のモル量に対して、約0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、又は5当量超の量で存在する。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、式4の化合物のモル量に対して、約10、9、8、7、6、5、4、3、2.5、2、1.5、1、又は0.5当量未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、約0.1~10当量、約0.5~8当量、又は約1~5当量の範囲など、これらの下限量及び/又は上限量のうちのいずれか2つによって提供される範囲で存在する。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)であり、これは、前述の量又はその範囲のうちのいずれか1つで存在し得る。一例では、カップリング試薬は、前述の量又はその範囲のいずれか1つで存在し得るプロピルホスホン酸無水物(TP)である。
【0103】
いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するための方法は、添加剤を更に含む。添加剤は、アミドカップリング反応を容易にする/触媒する任意の試薬であり得る。添加剤の例としては、限定されないが、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HOPO)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(HOBt)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一例では、添加剤は、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HOPO)である。一例では、添加剤は、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)である。一例では、添加剤は、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(HOBt)である。一例では、添加剤は、ジメチルアミノピリジン(DMAP)である。
【0104】
いくつかの実施形態では、添加剤は、式4の化合物のモル量に対して、約2.0、約1.0、約0.5、約0.3、約0.2、又は約0.1当量未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、添加剤は、式4の化合物のモル量に対して、約0.01、約0.05、約0.1、約0.2、約0.3、約0.5、又は約1.0当量超の量で存在する。いくつかの実施形態では、添加剤は、0.01~2.0、0.1~0.5、又は0.2~0.4など、上記の添加剤の上限量及び/又は下限量のうちのいずれか2つによって提供される範囲で存在する。一例では、添加剤はHOPOであり、式4の化合物のモル量に対して約0.3当量の量で存在する。
【0105】
いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、塩基を更に含む。塩基の例としては、限定されないが、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン(EtN)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)、ピリジン、ルチジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、又はN-メチルモルホリン(NMM)、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一例では、塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)である。一例では、塩基は、トリエチルアミン(EtN)である。一例では、塩基は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)である。一例では、塩基は、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)である。一例では、塩基はピリジンである。一実施例では、塩基はルチジンである。一例では、塩基は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)である。一例では、塩基は、ナトリウムメトキシド(NaOMe)である。一例では、塩基は、N-メチルモルホリン(NMM)である。
【0106】
いくつかの実施形態では、塩基は、式4の化合物のモル量に対して、約10、5、4、3、2、1、0.5、又は0.1当量未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、塩基は、式4の化合物のモル量に対して、約0.1、0.2、0.3、0.5、0.6、0.8、1.0、1.2、又は1.4当量超の量で存在する。いくつかの実施形態では、塩基は、0.1~7、0.5~3、又は1~2など、上記の添加剤の上限量及び/又は下限量のうちのいずれか2つによって提供される範囲で存在する。一例では、塩基はDIPEAであり、前述の量又はその範囲のいずれか1つで存在する。
【0107】
いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、触媒の存在下で行われる。本明細書で使用される場合、「触媒」という用語は、それ自体が消費されることなく、化合物間の反応速度を促進又は増加させる化合物を指す。一実施形態では、触媒は、式2のアミド化合物を調製するために式4の化合物と式5の化合物との間の反応速度を促進又は増加させる。一実施形態では、式2のアミド化合物を調製するために式4の化合物と式5の化合物との間の反応速度を促進又は増加させるための触媒は、ホウ素化合物又はその塩である。一例では、式2のアミド化合物を調製するために式4の化合物と式5の化合物との間の反応速度を促進又は増加させるための触媒は、ホウ酸である。一例では、式2のアミド化合物を調製するために式4の化合物と式5の化合物との間の反応速度を促進又は増加させるための触媒は、フェニルボロン酸である。一例では、式2のアミド化合物を調製するための式4の化合物と式5の化合物との間の反応速度を促進又は増加させるための触媒は、2-ブロモフェニルボロン酸である。一例では、式2のアミド化合物を調製するために式4の化合物と式5の化合物との間の反応速度を促進又は増加させるための触媒は、ボラジン(アンモニアボラン;BH.NH)である。
【0108】
いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、好適な溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、極性プロトン性溶媒中で行われる。極性プロトン性溶媒の例としては、限定されないが、アルコール、グリコール、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。アルコールの例としては、限定されないが、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1-プロパノール、イソプロピルアルコール(2-プロパノール、iPrOH又はIPA)、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール(t-BuOH)、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。グリコールの例としては、限定されないが、エチレングリコールが挙げられる。いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、極性非プロトン性溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、非極性エーテル溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、極性又は非極性クロロカーボン溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、非極性炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、極性プロトン性、極性非プロトン性、非極性エーテル、クロロカーボン、又は非極性溶媒の任意の組み合わせで行われる。極性非プロトン性溶媒の例としては、限定されないが、ケトン、ニトリル、エステル、炭酸エステル、エーテル、スルホキシド、スルホン、アミド、ニトロアルカン、ピロリジン、ピリジン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ケトンの例としては、限定されないが、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルブチルケトン(MBK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ニトリルの例としては、限定されないが、アセトニトリル(MeCN)が挙げられる。エステルの例としては、限定されないが、ギ酸エチル、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル(iPAC)、酢酸n-ブチル、及び酢酸イソブチル、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。炭酸エステルの例としては、限定されないが、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸プロピレン(PC)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。極性及び非極性エーテルの例としては、限定されないが、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1,2-ジメトキシエタン(DME又はモノグリム)、1,1-ジメトキシメタン、2,2-ジメトキシプロパン、1,1-ジエトキシプロパン、イソプロピルエーテル、石油エーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、アニソール(メトキシベンゼン)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、及びテトラヒドロフラン(THF)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。スルホキシドの例としては、限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。スルホンの例としては、限定されないが、スルホランが挙げられる。アミドの例としては、限定されないが、ホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。ニトロアルカンの例としては、限定されないが、ニトロメタンが挙げられる。ピロリジンの例としては、限定されないが、N-メチルピロリドン(NMP)が挙げられる。極性及び非極性クロロカーボンの例としては、限定されないが、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1-ジクロロエテン、1,2-ジクロロエテン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一例では、極性非プロトン性溶媒は、酢酸エチル(EtOAc)である。一例では、極性非プロトン性溶媒は、アセトニトリル(MeCN)である。一例では、極性非プロトン性溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。一例では、極性非プロトン性溶媒は、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)である。一例では、極性非プロトン性溶媒は、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)と組み合わせたN-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。一例では、極性非プロトン性溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)である。一例では、極性非プロトン性溶媒は、ピリジンである。一例では、極性非プロトン性溶媒は、アセトンである。一例では、極性非プロトン性溶媒は、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)である。一例では、極性非プロトン性溶媒は、1,4-ジオキサンである。一例では、極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。一例では、極性クロロカーボン溶媒は、ジクロロメタン(DCM)である。非極性溶媒の例としては、限定されないが、トルエン、ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、ベンゼン、及びキシレン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。一例では、非極性溶媒は、トルエンである。一例では、非極性溶媒は、キシレンである。一例では、非極性溶媒は、ヘキサンである。一例では、非極性溶媒は、シクロヘキサンである。一例では、非極性溶媒は、n-ヘプタンである。
【0109】
当業者は、反応を容易にするために熱を加えることが有利であり得ることを更に理解するであろう。必要な熱の量は、上で考察されるように、反応が行われる溶媒に依存し得る。一例では、式2の化合物を調製するためのプロセスは、熱の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、プロセスは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、又は90の温度(℃)で行われる。いくつかの実施形態では、プロセスは、約100、90、80、70、60、50、40、60、又は20未満の温度(℃)で行われる。温度は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲、例えば、約10℃~50℃、15℃~40℃、又は20℃~30℃で存在し得る。一例では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、熱の存在下で行われる。一例では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、およそ室温で行われる。
【0110】
式2の化合物は、塩として形成され得る。プロセスで形成される塩の性質は、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスで使用された試薬に依存する。式2の化合物は、次の反応の前に単離され得る。一例では、式2の化合物は、次の反応の前に単離される。代替的に、式2の化合物を、単離及び/又は精製することなく(すなわち、インサイチュで反応させる)次の反応で反応させてもよい。すなわち、式2の化合物を、粗製形態で次の反応で反応させてもよい。一例では、式2の化合物を、単離及び/又は精製することなく、次の反応で反応させる。
【0111】
式4の出発エステル化合物又はその塩は、好ましくは、式5の化合物とのアミドカップリングで使用する前に存在する含水量が低い。いくつかの実施形態では、式4の化合物又はその塩の単離された生成物又は溶液を乾燥させて、存在し得る水を更に除去する。いくつかの実施形態では、式4の化合物の重量%として存在する含水量は、約5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、又は0.01未満である。
【0112】
式4の出発エステル化合物又はその塩は、式5の化合物とのアミドカップリングで使用する前に、酸触媒エステル化反応から残っている残留溶媒の含有量が低いことが好ましい。いくつかの実施形態では、式4の化合物又はその塩の単離された生成物又は溶液を乾燥させて、存在し得る残留反応溶媒を更に除去する。いくつかの実施形態では、式4の化合物の重量%として存在する反応溶媒含有量は、約5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、又は0.01未満である。
【0113】
式4の化合物の合成
いくつかの実施形態では、式4の化合物又はその塩を調製するためのプロセスであって、
【化30】
式6の化合物又はその塩を、
【化31】
酸触媒エステル化条件下で反応させることを含む、プロセスが提供される。
【0114】
いくつかの実施形態では、式4の化合物又はその塩を調製するためのプロセスであって、
【化32】
式7の化合物を、
【化33】
酸触媒エステル化条件下で反応させることを含む、プロセスが提供される。
【0115】
いくつかの実施形態では、Xは、本明細書に記載されるように、CR、NR、O、及びSから選択される。いくつかの実施形態では、R及びRは、各々独立して、本明細書に記載されるように、水素及びアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、Rは、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択される。一例では、Rは-CHである。一例では、Rは-CHCHである。一例では、Rはアリールである。一例では、Rはフェニルである。一例では、Rはアルキルアリールである。一例では、Rはベンジルである。いくつかの実施形態では、R12は、塩素又はメチル(-CH)から選択される。一例では、R12は塩素である。一例では、R12は、メチル(-CH)である。
【0116】
酸触媒エステル化条件は、エステル基を設置するのに役立つ任意の好適な反応条件(すなわち、カルボン酸基のエステル基への変換)を含むことが理解されるであろう。具体的には、酸触媒エステル化条件としては、式6のカルボン酸を式4のエステルに変換する任意の好適な反応条件が挙げられる。いくつかの実施形態では、酸触媒エステル化条件は、メチルエステルが形成されるように、酸及びメチル源の存在を含む(すなわち、Rは、-CHである)。一例では、メチル源は、メタノールである。すなわち、反応は、メタノール中で行われる。いくつかの実施形態では、酸触媒エステル化条件は、酸及びメタノールを含む。いくつかの実施形態では、酸触媒エステル化条件は、エチルエステルが形成されるように、酸及びエチル源、例えば、エタノールの存在を含む(すなわち、Rは、-CHCHである)。いくつかの実施形態では、酸触媒エステル化条件は、ベンジルエステルが形成されるように、酸及びベンジル源、例えば、ベンジルアルコールの存在を含む(すなわち、Rはベンジルである)。
【0117】
酸触媒されたエステル化条件で利用される試薬は、エステル基を設置するために反応を触媒/促進する任意の試薬を含む。いくつかの実施形態では、試薬は、例えば、塩化水素及び/又はスルホン酸から選択される酸である。他の例では、試薬は、塩化水素、メタノール塩化水素、メタンスルホン酸、硫酸、塩化チオニル、p-トルエンスルホン酸、塩化アセチル、塩化トリメチルシリル、及び塩化オキサリルから選択される。一例では、試薬は、塩化水素である。一例では、試薬は、塩化チオニルである。一例では、試薬は、メタンスルホン酸である。一例では、試薬は、塩化オキサリルである。一例では、試薬は、塩化トリメチルシリルである。一例では、酸は、塩化アセチルである。一例では、酸は硫酸である。いくつかの実施形態では、試薬は、式6の化合物のモル量に対して、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10当量の量で存在する。いくつかの実施形態では、試薬は、式6の化合物のモル量に対して、約9未満、約8未満、約7未満、約6未満、約5未満、又は約4未満当量の量で存在する。いくつかの実施形態では、試薬は、上記の試薬の上限量及び/又は下限量のうちのいずれか2つによって提供される範囲、例えば、1~10、2~8、又は3~6で存在する。
【0118】
いくつかの実施形態では、酸は、約10N、9N、8N、7N、6N、5N、又は4N未満の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、酸は、少なくとも約1N、2N、3N、4N、又は5Nの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、酸は、上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される濃度範囲、例えば、約1N~10N、約2N~9N、又は約3N~6Nで存在する。
【0119】
使用する試薬に応じて、プロセスに存在する水を最小限に抑えることが好ましい場合がある。すなわち、プロセス中に存在する水を低減することは、反応時間の短縮及び/又は式4のエステル生成物への変換の増加をもたらし得る。
【0120】
かさねて、当業者によって理解されるように、反応を容易にするために熱を加えることが必要であり得る。必要な熱の量は、上で考察されるように、反応が行われる溶媒に依存し得る。一例では、式4の化合物を調製するためのプロセスは、熱の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、プロセスは、約10℃~100℃、20℃~90℃、30℃~80℃、約40℃~70℃、又は約50℃~60℃の温度で行われる。一例では、式4のエステル生成物を調製するためのプロセスは、約50℃~65℃の温度で行われる。
【0121】
式4の化合物は、塩として形成され得る。プロセス中に形成される塩の性質は、当業者によって理解されるように、酸触媒エステル化に使用された試薬に依存する。一例では、式4の化合物は塩酸塩として形成される。エステル化生成物である式4の化合物は、後続の反応の前に単離され得る。一例では、式4の化合物は、後続の反応の前に単離される。代替的に、エステル化生成物である式4の化合物を、単離及び/又は精製することなく(すなわち、インサイチュで反応させる)、後続の反応で反応させてもよい。一例では、エステル化生成物である式4の化合物を、単離及び/又は精製することなく、後続の反応で反応させる。
【0122】
式4の化合物は、結晶形態で単離される塩として得ることができる。一例では、式4の化合物は、結晶性塩酸塩として単離される。一例では、式4の化合物は、結晶性メシル酸塩として単離される。一例では、式4の化合物は、結晶性硫酸塩として単離される。
【0123】
代替的に、式4の化合物は、エステルの遊離塩基として、塩基性水溶液から有機溶媒に抽出され得る。一例では、式4の化合物は、メチルエステルの遊離塩基として、炭酸カリウム水溶液(KCO)から有機溶媒に抽出される。一例では、式4の化合物は、メチルエステルの遊離塩基として、炭酸カリウム水溶液からメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)溶媒に抽出される。
【0124】
式4のエステル化合物が遊離塩基として溶媒中に抽出される場合、式4の化合物と式5の化合物とのアミドカップリングに使用する前に、溶液中に存在する水の量を最小限に抑えることが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、副産物として生成された水は、共沸乾燥される。一例では、エステルの遊離塩基としての式4の化合物の溶液の含水量は、共沸乾燥によって低レベルに低減される。
【0125】
いくつかの実施形態では、式4の化合物を調製した後の抽出溶液中の含水量(総溶液の重量%)は、約5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、又は0.01未満である。一例では、式4の化合物を調製した後の抽出溶液中の含水量(総溶液の重量%)は、約1重量%未満である。いくつかの実施形態では、式4の化合物を調製する際の溶媒除去後の固形物中の含水量(総固形物の重量%)は、約5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、又は0.01未満である。いくつかの実施形態では、式4の化合物を調製する際の単離又は精製後の固形物中の含水量(総固形物の重量%)は、約5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、又は0.01未満である。
【0126】
式4の化合物がエステルの遊離塩基として溶媒中に抽出される場合、式4の化合物と式5の化合物とのアミドカップリングに使用する前に、溶液中に残存する反応溶媒を最小限に抑えることが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、残留反応溶媒は、共沸乾燥される。一例では、エステルの遊離塩基としての式4の化合物の溶液の反応溶媒含量は、共沸乾燥によって低レベルに低減される。
【0127】
いくつかの実施形態では、式4の化合物を調製した後の抽出溶液中の反応溶媒(総溶液の重量%)は、約5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、又は0.01未満である。一例では、式4の化合物を調製した後の抽出溶液中の反応溶媒(総溶液の重量%)は、約0.5重量%未満である。いくつかの実施形態では、式4の化合物を調製する際の溶媒除去後の固形物中の反応溶媒(総固形物の重量%)は、約5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、又は0.01未満である。いくつかの実施形態では、式4の化合物を調製する際の単離又は精製後の固形物中の反応溶媒(総固形物の重量%)は、約5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、又は0.01未満である。一例では、反応溶媒はメタノールである。
【0128】
他の実施形態では、上記の態様、実施形態、又はそれらの例のうちのいずれか1つ以上から式1の化合物を調製するための1つ以上のプロセスが提供される。他の実施形態では、上記の態様、実施形態、又はそれらの例によって説明される任意の1つ以上のプロセスから調製された式1又は式4の化合物が提供される。
【0129】
式7の化合物の合成
別の態様又は実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスであって、
【化34】
式8の化合物を、
【化35】
式9の化合物と反応させることを含む、プロセスが提供される:
-Z
式9。
【0130】
いくつかの実施形態では、Xは、CR、NR、O、及びSから選択されるか、又は本明細書に記載される任意の実施形態若しくはその例に従う。いくつかの実施形態では、R及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択されるか、又は本明細書に記載される任意の実施形態若しくはその例に従う。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、R及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択される。
【0132】
いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、3~10員炭素環、及び3~10員複素環から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル及びアルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、独立して、C1-8アルキル及びC2-8アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、アルケニル基から選択される。一例では、Rはメチル基である。一例では、Rはアリル基である。
【0133】
いくつかの実施形態では、R12は、塩素及びメチル(-CH)から選択される。一例では、R12は塩素である。一例では、R12は、メチル(-CH)である。
【0134】
いくつかの実施形態では、Zは脱離基である。好適な脱離基としては、ハロゲンが挙げられるが、これに限定されない。一例では、Zはハロゲンである。いくつかの実施形態では、Zは、ヨウ素、臭素、及び塩素から選択される。一例では、Zはヨウ素である。一例では、Zは臭素である。一例では、Zは塩素である。
【0135】
いくつかの実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、強塩基の存在下で生じる。当業者によって理解されるように、強塩基は、水溶液中で完全に解離する。いくつかの実施形態では、塩基は、ルイス塩基、及びその任意の組み合わせである。そのような塩基はまた、「超強塩基」とも称され得る。ルイス塩基の例としては、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、リチウムジエチルアミド(LDEA)、ナトリウムアミド(NaNH)、水素化ナトリウム(NaH)、及びリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(リチウムヘキサメチルジシラジド、又はLiHMDS)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、強塩基は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)及びn-ブチルリチウム(n-BuLi)から選択される。一例では、強塩基は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)である。一例では、強塩基は、n-ブチルリチウム(n-BuLi)である。
【0136】
いくつかの実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、好適な溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、極性非プロトン性溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、非極性エーテル溶媒中で行われる。極性非プロトン性溶媒の例としては、限定されないが、エーテル、スルホキシド、アミド、アミン、尿素、及びそれらの組み合わせが挙げられる。極性及び非極性エーテルの例としては、限定されないが、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル(ジグリム)、1,2-ジメトキシエタン(DME又はモノグリム)、1,1-ジメトキシメタン、2,2-ジメトキシプロパン、1,1-ジエトキシプロパン、イソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、アニソール(メトキシベンゼン)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、及びテトラヒドロフラン(THF)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。スルホキシドの例としては、限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。アミドの例としては、限定されないが、ホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。アミンの例としては、限定されないが、アンモニア、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。尿素の例としては、限定されないが、N,N-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)が挙げられる。いくつかの実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、非極性炭化水素溶媒中で行われる。いくつかの実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、非極性エーテル又は炭化水素溶媒の任意の組み合わせで行われる。非極性炭化水素溶媒の例としては、アルカン、シクロアルカン、及び芳香族炭化水素が挙げられるが、それらに限定されない。アルカンの例としては、限定されないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。シクロアルカンの例としては、限定されないが、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。芳香族炭化水素の例としては、限定されないが、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、m-キシレン(m-ジメチルベンゼン)、クメン(イソプロピルベンゼン)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一例では、芳香族炭化水素溶媒は、エチルベンゼンである。一例では、炭化水素溶媒は、ヘキサン及びエチルベンゼンの組み合わせである。一例では、炭化水素溶媒は、ヘプタン、エチルベンゼン、及びテトラヒドロフラン(THF)の組み合わせである。一例では、エーテル溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0137】
不純物の導入を更に低減するために、反応は、低温(すなわち、室温より低い温度)で行われ得る。いくつかの実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、低温で行われる。いくつかの実施形態では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、約-90℃~約0℃、-80℃~約-5℃、-70℃~約-10℃、約-50℃~約-20℃、又は約-40℃~約-30℃の温度範囲で行われる。一例では、式7の化合物を調製するためのプロセスは、約-40℃~約-30℃の温度範囲で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、脱プロトン化及び次いでアルキル化を伴い、脱プロトン化は、約-90℃~約-40℃、約-85℃~約-50℃、又は約-80℃~約-65℃の温度で実施され、アルキル化は、約-90℃~約0℃、又は約-70℃~約-5℃の温度で実施される。
【0138】
他の実施形態では、上記の態様、実施形態、又はそれらの例のうちのいずれか1つ以上から式1の化合物を調製するための1つ以上のプロセスが提供される。他の実施形態では、上記の態様、実施形態、又はそれらの例によって説明される任意の1つ以上のプロセスから調製される式1又は式7の化合物が提供される。
【0139】
式1の二環式グリシン-プロリン化合物の全体的な合成
以下のスキーム3に示される、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するための例示的な全体的なプロセスが本明細書に提供される。
【化36】
スキーム3.cG-2-AllylPを含む式1の二環式グリシン-プロリン化合物の調製のための例示的なプロセス。
【0140】
したがって、いくつかの実施形態では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスであって、
【化37】
i)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式2の化合物を調製するステップであって、
【化38】
式4の化合物又はその塩を、
【化39】
式5の化合物と、
【化40】
アミドカップリング条件下で反応させることを含む、調製するステップと、
ii)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式1の化合物を形成するために、式2の化合物の塩基開始環化反応を行うステップと、を含み、
【化41】
式中、
Xは、CR、NR、O、及びSから選択され、
及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択され、
、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択されるか、又はR及びRは一緒に、3~10員炭素環であり、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択され、
は、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され、
PGは、アミン保護基であり、
11は、水素及びAGから選択され、
AGは活性化基である、プロセスが提供される。
【0141】
いくつかの実施形態では、式1aの二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスであって、
【化42】
i)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式2aの化合物を調製するステップであって、
【化43】
式4aの化合物又はその塩を、
【化44】
式5aの化合物と、
【化45】
アミドカップリング条件下で反応させることを含む、調製するステップと、
ii)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式1aの化合物を形成するために、式2aの化合物の塩基開始環化反応を行うステップと、を含む、プロセスも提供される:
【化46】
【0142】
いくつかの実施形態では、式1a(R)の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスであって、
【化47】
i)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式2a(R)の化合物を調製するステップであって、
【化48】
式4a(R)の化合物又はその塩を、
【化49】
式5aの化合物と、
【化50】
アミドカップリング条件下で反応させることを含む、調製するステップと、
ii)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式1a(R)の化合物を形成するために、式2a(R)の化合物の塩基開始環化反応を行うステップと、を含む、プロセスも提供される:
【化51】
【0143】
いくつかの実施形態では、式1a(S)の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスであって、
【化52】
i)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式2a(R)の化合物を調製するステップであって、
【化53】
式4a(S)の化合物又はその塩を、
【化54】
式5aの化合物と、
【化55】
アミドカップリング条件下で反応させることを含む、調製するステップと、
ii)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式1a(S)の化合物を形成するために、式2a(S)の化合物の塩基開始環化反応を行うステップと、を含む、プロセスも提供される:
【化56】
【0144】
いくつかの実施形態では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスであって、
【化57】
i)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式4の化合物又はその塩を調製するステップであって、
【化58】
式6の化合物又はその塩を、
【化59】
酸触媒エステル化条件下で反応させることを含む、調製するステップと、
ii)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式2の化合物を調製するステップであって、
【化60】
式4の化合物又はその塩を、
【化61】
式5の化合物と、
【化62】
アミドカップリング条件下で反応させることを含む、調製するステップと、
iii)本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による式1の化合物を形成するために、式2の化合物の塩基開始環化反応を行うステップと、を含み、
【化63】
式中、
Xは、CR、NR、O、及びSから選択され、
及びRは、各々独立して、水素及びアルキルから選択され、
、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、-O-ハロアルキル、3~10員炭素環、3~10員複素環、-OR、-SR、-NR10、-NO、-CN、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR10、及び-CNRから選択されるか、又はR及びRは一緒に、3~10員炭素環であり、R及びR10は、各々独立して、水素、-C1-8アルキル、及び-C2-8アルケニルから選択され、
は、アルキル、アリール、及びアルキルアリールから選択され、
PGは、アミン保護基であり、
11は、水素及びAGから選択される、プロセスが提供される。
【0145】
式1の化合物を調製するための上記のプロセスは、本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による、式6、式5、式4、及び式2のうちのいずれか1つ以上の適切な立体異性体化合物を使用して、式1の任意の立体異性体化合物を調製するために提供され得ることが理解されるであろう。
【0146】
スケールアッププロセス
本明細書に記載されるプロセスは、式1の二環式グリシン-プロリン化合物の製造のためのスケーラブルな合成経路を可能にする。本明細書に記載されるプロセスは、例えば、特許文献1に記載のプロセスと比較した場合、スケーラブルな反応条件下で式1の化合物の全体的な収率及び純度を増加させることができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、プロセスは、研究開発目的に適しているように、小規模(例えば、20mg~1グラムの規模)で実施される。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、プロセスは、製造目的に適しているように、大規模(例えば、1kg~500kgの規模)で実施される。合成又はその1つ以上のステップは、バッチ型プロセスとして生じ得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、少なくとも50kg、少なくとも75kg、又は少なくとも100kgの式2の化合物の出発材料量で生じる。つまり、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、少なくとも50kg、少なくとも75kg、又は少なくとも100kgの規模で生じる。一例では、式1aの二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、少なくとも50kg、少なくとも75kg、又は少なくとも100kgの規模で生じる。一例では、式1a(R)の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、少なくとも50kg、少なくとも75kg、又は少なくとも100kgの規模で生じる。一例では、式2の化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも20kg、少なくとも30kg、又は少なくとも40kgの規模の式4の化合物の出発材料量で生じる。一例では、式4の化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、又は少なくとも50kgの規模の式6の化合物の出発材料量で生じる。
【0149】
いくつかの実施形態では、プロセスは、HPLCによって測定された場合、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の式1の二環式グリシン-プロリン化合物への式2の化合物のモル変換を提供する。反応の変換は、TLC又はHPLCなどの任意の好適な技術により、反応中の任意の時点で測定されてもよいことが理解されるであろう。典型的には、反応混合物のアリコートは、HPLCに供され、関連する成分ピークが特定され、互いに対して積分される。いくつかの実施形態では、式3の保護された二環式化合物を形成するための式2の化合物の環化反応、次いで、式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために保護基を式3の化合物から除去するプロセスは、HPLCによって測定された場合、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の式1の化合物への式2の化合物のモル変換を提供する。
【0150】
本明細書で使用される場合、「収率」という用語は、当業者によって理解されるように、その反応における化合物の理論収率のパーセンテージとして測定された、反応から得られた粗製化合物又は精製化合物のいずれかの量を意味すると解釈される。
【0151】
いくつかの実施形態では、プロセスは、式2の化合物の出発材料から決定される場合、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の式1の二環式グリシン-プロリン化合物の収率をもたらす。すなわち、いくつかの実施形態では、式3の保護された二環式グリシン-プロリン化合物を形成するための式2の化合物の環化反応、次いで、本明細書に記載される式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために保護基を式3の化合物から除去するプロセスは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の式1の二環式グリシン-プロリン化合物の収率をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、式1の環状化合物を形成するために式2の化合物を反応させるプロセスは、約50%~95%、約70%~95%、又は約80%~95%の式1の二環式グリシン-プロリン化合物の収率をもたらすことができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、高純度の式1の二環式グリシン-プロリン化合物を提供する。当業者に理解されるように、純度は収率から独立した尺度である。つまり、化合物は、収率が低くても高純度を有し得る。本明細書で使用される場合、「高純度」という用語は、最終的に得られた材料の少なくとも80%が所望の化合物(例えば、式1)であることを指し、これは、例えば、HPLC法によって測定され得る。化合物の純度は、粗製反応混合物、反応混合物から単離された生成物(すなわち、反応作業後)、又は精製生成物(すなわち、クロマトグラフィ、再結晶後など)に基づいて測定され得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2の化合物を反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の純度で式1の二環式グリシン-プロリン化合物を提供する。結晶化は、約100%の純度をもたらすことができる。一例では、本明細書に記載される式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2の化合物を反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の粗製反応混合物中の生成物の純度で式1の二環式グリシン-プロリン化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2の化合物を反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の反応混合物から単離された生成物の純度で(すなわち、反応作業後)式1の二環式グリシン-プロリン化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2の化合物を反応させるプロセスは、精製後、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式1の二環式グリシン-プロリン化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2の化合物を反応させるプロセスは、再結晶化後、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式1の二環式グリシン-プロリン化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式1の二環式グリシン-プロリン化合物を形成するために式2の化合物を反応させるプロセスは、カラムクロマトグラフィ後、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式1の二環式グリシン-プロリン化合物を提供する。
【0154】
いくつかの実施形態では、式2のアミド尾化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも20kg、少なくとも30kg、又は少なくとも40kgの式4の化合物の出発材料量で生じる。つまり、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも20kg、少なくとも30kg、又は少なくとも40kgの規模で生じる。一例では、式2の化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも20kg、少なくとも30kg、又は少なくとも40kgの規模で生じる。一例では、式2のアミド化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも20kg、少なくとも30kg、又は少なくとも40kgの規模の式4の化合物の出発材料量で生じる。
【0155】
いくつかの実施形態では、プロセスは、HPLCによって測定された場合、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の式2の化合物への式4の化合物のモル変換を提供する。いくつかの実施形態では、式2のアミド化合物を調製するプロセスは、HPLCによって測定された場合、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の式2の化合物への式4の化合物の変換を提供する。
【0156】
いくつかの実施形態では、プロセスは、式4又は式5の化合物の出発材料から決定される場合、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の式2の化合物の収率をもたらす。つまり、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式2の化合物を形成するために式4の化合物をアミドカップリング条件下で式5の化合物と反応させるプロセスは、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の式2の化合物の収率をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式2の化合物を形成するために、式4の化合物をアミドカップリング条件下で式5の化合物と反応させるプロセスは、約30%~100%、約50%~99%、又は約70%~99%の式2の化合物の収率をもたらす。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、高純度で式2の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式2の化合物を形成するために式4の化合物をアミドカップリング条件下で式5の化合物と反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式2の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式2の化合物を形成するために式4の化合物をアミドカップリング条件下で式5の化合物と反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の粗製反応混合物中の生成物の純度で式2の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式2の化合物を形成するために式4の化合物をアミドカップリング条件下で式5の化合物と反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の反応混合物から単離された生成物の純度で(すなわち、反応作業後)式2の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式2の化合物を形成するために式4の化合物をアミドカップリング条件下で式5の化合物と反応させるプロセスは、精製後、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式2の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式2の化合物を形成するために式4の化合物をアミドカップリング条件下で式5の化合物と反応させるプロセスは、再結晶後、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式2の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式2の化合物を形成するために式4の化合物をアミドカップリング条件下で式5の化合物と反応させるプロセスは、カラムクロマトグラフィ後、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の純度で式2の化合物を提供する。
【0158】
いくつかの実施形態では、式4の化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、又は少なくとも50kgの式6の化合物の出発材料量で生じる。つまり、式4の化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、又は少なくとも50kgの規模で生じる。一例では、式4の化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、又は少なくとも50kgの規模の式6の化合物の出発材料量で生じる。
【0159】
いくつかの実施形態では、プロセスは、HPLCによって測定された場合、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の式4の化合物への式6の化合物のモル変換を提供する。いくつかの実施形態では、式4の化合物を形成するために式6の化合物を酸触媒エステル化条件下で反応させるプロセスは、HPLCによって測定された場合、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の式4の化合物への式6の化合物の変換を提供する。
【0160】
いくつかの実施形態では、プロセスは、式6の出発材料の化合物から決定された場合、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の式4の化合物の収率をもたらす。つまり、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式4の化合物を形成するために式6の化合物を酸触媒エステル化条件下で反応させるプロセスは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の式4の化合物の収率をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式4の化合物を形成するために酸触媒エステル化条件下で式6の化合物を反応させるプロセスは、約30%~100%、約50%~99%、又は約70%~98%の式4の化合物の収率をもたらす。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、高純度で式4の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式4の化合物を形成するために式6の化合物を酸触媒エステル化条件下で反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式4の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式4の化合物を形成するために式6の化合物を酸触媒エステル化条件下で反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の粗製反応混合物中の生成物の純度で式4の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式4の化合物を形成するために式6の化合物を酸触媒エステル化条件下で反応させるプロセスは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の反応混合物から単離された(すなわち、反応作業後の)生成物の純度で式4の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式4の化合物を形成するために式6の化合物を酸触媒エステル化条件下で反応させるプロセスは、精製後、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式4の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載される式4の化合物を形成するために式6の化合物を酸触媒エステル化条件下で反応させるプロセスは、再結晶化後、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式4の化合物を提供する。一例では、本明細書に記載されるように、式4の化合物を形成するために式6の化合物を酸触媒エステル化条件下で反応させるプロセスは、カラムクロマトグラフィ後、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、又は100%の純度で式4の化合物を提供する。
【0162】
いくつかの実施形態では、式6の化合物から式1の二環式グリシン-プロリン化合物を合成する(すなわち、式6~式4~式2~式1への変換)全体的なプロセスは、約20%~約95%、約30%~約90%、約40%~約85%、又は約60%~約80%の全体的な収率をもたらす。一例では、式6の化合物から式1の二環式グリシン-プロリン化合物を調製するためのプロセスは、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の全体的な収率をもたらす。
【0163】
化合物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式1の二環式グリシン-プロリン化合物
【化64】
(式中、X、R、R、R、R、及びRは、各々、本明細書に記載の通りである)が提供される。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式1aの二環式グリシン-プロリン化合物が提供される
【化65】
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式1bの二環式グリシン-プロリン化合物が提供される
【化66】
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式1cの二環式グリシン-プロリン化合物が提供される
【化67】
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式1a(R)の二環式グリシン-プロリン化合物が提供される
【化68】
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式1a(S)の二環式グリシン-プロリン化合物が提供される
【化69】
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式2の化合物
【化70】
(式中、X、R、R、R、R、R、R、及びPGは、本明細書に記載の通りである)が提供される。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式2aの化合物が提供される
【化71】
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式2a(R)の化合物が提供される
【化72】
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式2a(S)の化合物が提供される
【化73】
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式3の化合物
【化74】
(式中、X、R、R、R、R、R、及びPGは、本明細書に記載の通りである)が提供される。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式3aの化合物が提供される
【化75】
【0175】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式3a(R)の化合物が提供される
【化76】
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式3a(S)の化合物が提供される
【化77】
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式4の化合物又はその塩
【化78】
(式中、X、R、R、R、及びRは、本明細書に記載の通りである)が提供される。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式4aの化合物又はその塩が提供される
【化79】
【0179】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式4a(R)の化合物又はその塩が提供される
【化80】
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロセスのうちのいずれか1つ以上によって調製された、式4a(S)の化合物が提供される
【化81】
【0181】
組成物
式1の化合物又はその塩は、いくつかの実施形態では単独で投与され得るが、より典型的には、薬学的組成物又は製剤の一部として投与される。したがって、本開示は、式1の化合物又はその塩と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む薬学的組成物も提供する。薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤(本明細書ではまとめて「賦形剤」材料と呼ばれる)を含む。
【0182】
本開示はまた、本開示の式1の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、及び任意選択で任意の他の治療成分、安定剤などとを含む、獣医学的用途及びヒト医療用途の両方のための薬学的製剤又は組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合するという意味で薬学的に許容され、そのレシピエントに過度に有害であってはならない。
【0183】
薬学的製剤は、好都合には、単位剤形で提示され得、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。全ての方法は、式1の化合物又はその塩を、1つ以上の必要な成分を構成する賦形剤と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体若しくは微粉化した固体担体、又はその両方と均一かつ密接に会合させ、必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0184】
錠剤は、任意選択で、1つ以上の補助成分とともに、例えば、圧縮又は成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、任意選択で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、潤滑剤、界面活性剤、又は分散剤と混合した、粉末又は顆粒などの流動性形態の活性成分を好適な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は、任意選択でコーティング又はスコアリングされてもよく、式1の化合物の徐放、脈動、又は制御放出を提供するように製剤化されてもよい。式1の化合物は、例えば、即時放出又は制御放出に好適な形態で投与することができる。即時放出又は制御放出は、式1の化合物を含む好適な薬学的組成物の使用によって、又は特に制御放出の場合には、皮下インプラント若しくは浸透圧ポンプなどのデバイスの使用によって達成され得る。式1の化合物もまた、リポソームで投与されてもよい。
【0185】
いくつかの実施形態では、式1aの二環式グリシン-プロリン化合物と、本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による1つ以上の賦形剤とを含む組成物が提供され、
【化82】
任意の不純物は、存在する場合、約5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005、又は0.0001未満の量(式1aの化合物の重量%の量)である。組成物は、任意の不純物を実質的に含まない場合がある。不純物は、本明細書に記載されるプロセスで使用される副産物又は試薬のうちのいずれか1つ以上から選択され得る。組成物は、本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物であり得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、式1a(R)の二環式グリシン-プロリン化合物と、本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による1つ以上の賦形剤とを含む組成物が提供され、
【化83】
任意の不純物は、存在する場合、約5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005、又は0.0001未満の量(式1a(R)の化合物の重量%の量)である。組成物は、任意の不純物を実質的に含まない場合がある。不純物は、本明細書に記載されるプロセスで使用される副産物又は試薬のうちのいずれか1つ以上から選択され得る。組成物は、本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物であり得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、式1a(S)の二環式グリシン-プロリン化合物と、本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による1つ以上の賦形剤とを含む組成物が提供され、
【化84】
任意の不純物は、存在する場合、約5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005、又は0.0001未満の量(式1a(S)の化合物の重量%の量)である。組成物は、任意の不純物を実質的に含まない場合がある。不純物は、本明細書に記載されるプロセスで使用される副産物又は試薬のうちのいずれか1つ以上から選択され得る。組成物は、本明細書に記載される任意の実施形態又はその例による1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物であり得る。
【0188】
ここで、本開示を、本開示のいくつかの特定の態様を例示する以下の実施例を参照して説明する。しかしながら、本開示の以下の説明の特定性は、本開示の前述の説明の一般性に優先するものではないことを理解されたい。
【実施例
【0189】
本開示は、以下の実施例によって更に例示される。これらの実施例は、単に例示として提供され、本開示の範囲を限定することを意図しない。
略語
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0190】
全体的な合成
以下の実施例及び式1~6の化合物に関して、最終標的化合物1(NNZ-2591)を得るために使用される全体的な合成の非限定的な例示を、以下のように提供する。
【化85】
【0191】
実施例1:化合物A2の合成
実施例1a:メタンスルホン酸を使用した化合物A2の合成
【化86】
真空窒素パージサイクルを介して不活性雰囲気の1000Lの容器に、A1[49.8kg、259.8モル、1.0当量]、続いてメタノール[199kg L、251L、5.0vol.]を充填し、得られた混合物を20℃で15分間撹拌して、固体を溶解させた。次いで、容器にメタンスルホン酸(50.4kg、524モル、2.0当量)を30分間にわたって充填し、バッチ温度を35℃未満に維持した。次いで、バッチを約58℃で67時間エージングした。反応をHPLCにより監視し、67時間後、LC面積%により、A2に対して0.6%のA1が残った。
【0192】
反応混合物を20℃に冷却し、次いで、容器の内容物の温度を50℃未満に維持しながら、減圧下で約330Lから105Lに濃縮した。
【0193】
バッチを15℃に冷却し、容器に水[50kg、50L;1.0vol.]を10分間にわたって充填し、バッチ温度を20℃以下に維持した。次いで、バッチ温度を20℃以下に維持しながら、容器にMTBE[222kg、300L、6.0vol.]、続いて、24重量%の炭酸カリウム水溶液(別個の400L容器内で、炭酸カリウム[72.1kg、522モル]を水[225kg、225L]に溶解させることによって作製した)を充填し(2時間かけて充填した)、続いて、水でラインをすすいだ(25L、0.5vol.)。
【0194】
22℃に温めた後、水相を分離し、MTBE[207kg、280L、5.6vol]で抽出し、得られた水相を分離し、再びMTBE[222kg、300L、6.0vol]で抽出した。MTBE相を合わせ、22℃で水[100kg、100L、2.0vol]で洗浄した。
【0195】
得られた有機相を減圧下で濃縮し、バッチ温度を50℃以下に維持した。バッチを20℃に冷却し、容器にMTBE[74.1kg、100L、2.0vol.]を充填した。次いで、バッチを減圧下で約200Lから95Lに濃縮し、バッチ温度を50℃未満に維持した。バッチを20℃に冷却し、水及びメタノール含有量の分析のためにサンプリングした。含水量を、Karl-Fisher滴定によって0.45重量%であることを決定した。メタノール含有量をH NMRによって0.35重量%であると決定した。溶液をHDPEで内張りされたドラム缶に移し、A2をMTBE溶液(79.1kg)として得た。溶液中のA2の重量%をHPLCによって決定した。溶液の総重量は79.1kgであり、溶液中のA2の重量%は51.1重量%であった。したがって、純粋なA2の収率は40.4kg(91.9%)である。
【0196】
実施例1b:塩化アセチルを使用した化合物A2の合成
塩化アセチル(4当量)を1時間かけて0℃でメタノール(5vol)中のA1の溶液に添加し、次いで、18時間50~55℃に加熱することにより、A1の所望のエステルA2への88%の変換(HPLCによる)がもたらされた。したがって、更に2当量の塩化アセチルを添加し(反応混合物を0℃に冷却し戻した後)、反応物を50~55℃で更に6時間エージングした。これにより、変換率は92%に達した。最終反応混合物を室温に冷却し、2体積に濃縮した後、溶液を、トルエン(2×5vol)で、その後、IPA(2×10vol)で蒸留することによって、1.5%水分に共沸乾燥させた。4:1のMTBE/IPA(10vol)からの結晶化及び単離は、65%の収率でA2のHCl塩をもたらした。
【0197】
実施例1c:塩化トリメチルシリルを使用した化合物A2の合成
塩化トリメチルシリル(6当量)を15分間にわたって、0℃でメタノール(10vol)中のA1の溶液に添加し、次いで、20時間45~50℃に加熱することによって、A1の所望のエステルA2への91%の変換(HPLCによる)がもたらされた。したがって、更に1当量の塩化トリメチルシリルを添加し(反応混合物を5℃に冷却した後)、反応物を45~50℃で更に20時間エージングした。これにより、変換率は97%に達した。最終反応混合物は、この時点で二相性であった。上層を廃棄し、下のメタノール層を5体積に濃縮した後、共沸乾燥(4×10vol IPA)し、4:1のMTBE/IPA(10vol)から単離した。これにより、所望のA2 HCl塩を79%の収率で得た。
【0198】
実施例1d:塩化チオニルを使用した化合物A2の合成
メタノール(2vol)中のA1の溶液を、5℃でメタノール中の4当量の塩化チオニル(5vol;SOClをメタノールに25℃未満でゆっくりと添加することによって調製した)に添加し、次いで、20時間50~55℃に加熱することにより、A1の所望のエステルA2への95%の変換(HPLCによる)がもたらされた。したがって、更に1当量の塩化チオニルを添加し(反応混合物を5℃に冷却し戻した後)、反応物を50~55℃で更に6時間エージングした。これにより、変換率は97%に達した。最終反応混合物を室温に冷却し、2体積に濃縮した後、溶液をトルエン(5vol)で希釈し、次いで2体積に再濃縮した。次いで、IPA(3×5vol)で数回蒸留して、溶液を共沸乾燥させ、2体積のIPA中のA2 HCl塩の粘性懸濁液を得た。最終スラリーを60~70℃に加熱して固体を再溶解し、次いで、A2 HCl塩を、35℃で播種しながら、室温に冷却することによって再結晶させた。次いで、MTBE(8vol)を添加して回収率を改善し、次いで、A2のHCl塩を、85%の収率で、濾過によって単離した。
【0199】
実施例1e:塩化オキサリルを使用した化合物A2の合成
ジクロロメタン中の5mol%のDMFを有する1当量の塩化オキサリルの溶液をジクロロメタン中のA1の溶液に添加し、続いて1.5当量のメタノールと反応させ、1時間後に99%のA2への変換をもたらした。溶液を濃縮して乾燥させ、90%の収率でA2 HCl塩を得た。
【0200】
実施例2:化合物A3の合成
【化87】
1000L容器に、HOPO[7.99kg、71.5モル、0.30当量]、EDC塩酸塩[59.4kg、310モル、1.30当量]を充填し、次いで、真空-窒素パージサイクルを介して不活性雰囲気下に置いた後、NMP[122kg、118L、3.0vol]を充填した。次いで、容器に、MTBE中のA2の溶液[51.1重量%、78.8kg、40.3kg純粋A2、238モル、1.0当量]、MTBEライン洗浄液[18.5kg、13.7L、0.30vol.]、及びDIPEA[46.2kg、357モル、1.50当量]を充填した。
【0201】
別個の400L容器に、A5(Boc-Gly-OH)[45.9kg、262モル、1.1当量]及びNMP[104kg、101L、2.5ol.]を充填し、得られた混合物を、バッチ温度を25℃以下に維持しながら、32分間にわたって400L容器から1000L容器に移した。400L容器にNMP[15.4kg、15.0L、0.4vol]のライン洗浄液を充填し、これを次いで1000L容器に移した。得られた混合物を20℃で15時間エージングした。
【0202】
HPLCによる反応混合物の試料の分析は、存在するA2の量が検出限界未満であったため、変換が効果的に100%であったことを示した。
【0203】
容器にMTBE[179kg、242L、6vol.]を充填し、次いで、バッチ温度を25℃未満に維持しながら、別個の400L容器で精製水[254kg]にクエン酸[28.3kg]を溶解させることによって作製した10%w/wクエン酸溶液[7.0vol.]を43分間にわたって充填し、続いて、精製水[22.4kg、0.56vol.]でラインをすすいだ。相を分離し、水相を更なるMTBE[212kg、287L、7 vol.]で抽出した。合わせた有機相を、別個の400L容器で水[383kg+25kgラインすすぎ]に重炭酸ナトリウム[20.2kg]を溶解させることによって作製した5%w/w重炭酸ナトリウム溶液[10vol.]で洗浄し、続いて水[202kg、5.0vol.]で更に洗浄した。次いで、得られた有機相を、バッチ温度を40℃未満に保ちながら、減圧下で約600Lから約170Lに濃縮した。
【0204】
バッチを冷却し、20℃で溶液にA3[17.0g]を播種し、その後、結晶化が明らかになった。得られた懸濁液を、撹拌しながら、20℃で16時間エージングした。n-ヘプタン[331kg、484L、12vol.]を90分間にわたって容器に充填し、得られた懸濁液を20℃で更に1時間エージングした。次いで、バッチ温度を40℃以下に維持しながら、懸濁液を減圧下で約640Lから約240Lに濃縮した。バッチを20℃に冷却し、次いで20℃で18時間エージングした。容器をn-ヘプタン[82.7kg、121L、3vol.]ですすぎ、すすぎ液を使用して濾過ケーキを洗浄した。次いで、濾過ケーキをトレイに移し、トレイ乾燥機で、窒素掃引により真空下で30℃で乾燥させた。
【0205】
固体を、袋を二重にしたポリエチレンで内張りしたHDPE樽に移し、白色結晶性固体[HPLCによる、69.9kg、98.7重量%の純度、88.8%の補正収率]としてA3を得た。
【0206】
実施例3:化合物1の合成
【化88】
1000Lの容器に、A3[105kg、322モル、1.0当量]を充填し、次いで、不活性雰囲気下に置いた後、メタノール[415kg、524L、5.0vol.]を添加した。次いで、25℃未満のバッチ温度を確保しながら、容器に、メタノール[5.4M、30重量%、29.0kg、8.69kg重量%補正;161モル、0.5当量]中のナトリウムメトキシドの溶液を47分間にわたって充填し、続いて、ラインすすぎとして更なるメタノール[3.1kg、3.9L]を充填した。ワンポット環化反応は、環化A4中間体をインサイチュで形成する一方で、A4中間体を脱保護して、最終的な標的化合物1を形成する。得られた混合物を59℃に加熱し、59℃で15時間撹拌しながらエージングさせて、化合物1を形成した(A4中間体を介してインサイチュで)。HPLCによる反応混合物の試料の分析は、残っているA3の量が0.1面積%であったことを示した。
【0207】
反応中の塩基をクエンチして中和するために、混合物を16℃に冷却し、25℃未満のバッチ温度を確保しながら、容器にイソプロピルアルコール[24.3kg、167モル、0.52当量]中の6N HClを23分間にわたって充填し、続いて、ラインすすぎとしてメタノール[3.1kg、3.9L]を充填した。得られた混合物を、バッチ温度を40℃以下に維持しながら、減圧下で約680Lから約158Lに濃縮した。バッチを21℃に冷却し、酢酸イソプロピル[595kg、684L]を充填し、得られた混合物を撹拌しながら、20℃で17時間エージングし、次いで、サンプリングして、メタノール対酢酸イソプロピルの比率を決定し、これは、H NMRにより酢酸イソプロピルに対して28.4モル%のメタノールであった。
【0208】
得られた混合物を濾過し、濾液をドラム缶に収集した。容器に、容器を洗浄するために使用した酢酸イソプロピル[82.4kg、94.8L、0.9vol.]及びメタノール[8.6kg、10.9L、0.1vol.]を充填した。混合物を容器から排出し、フィルタを通過させ、この洗浄濾液を別のドラム缶に収集した。
【0209】
溶液を量り、試料をHPLCにより分析した(初期濾液:8.52重量% 1、溶液の総重量:685.4kg;洗浄濾液:4.17重量% 1、溶液の総重量:116.4kg)。
【0210】
溶液を合わせ、化合物1で播種し、バッチを20℃で16時間エージングすることを含む一連の濃縮ステップを減圧下で行った。更に濃縮した後、約50:50のn-ヘプタン:酢酸イソプロピルで、20℃で18時間エージングした。内容物を濾過し、濾過ケーキを窒素掃引により真空下で41℃で乾燥させた。固体を、袋を二重にしたポリエチレンで内張りしたHDPE樽に移し、化合物1(NNZ-2591)を、オフホワイト色から淡橙色の結晶性固体[59.1kg、98.7重量%の純度(qNMRによる)、93%の補正収率]として得た。生成物を更に分析して、HPLCにより約0.06%の総不純物を有する100%eeを得た。
【0211】
実施例4:化合物1の合成
規模を調整し実施例3に記載の合成に従う小規模反応を、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)を塩基として、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として使用して室温で2時間行い、化合物1(NNZ-2591)を得た。A3から化合物1への変換は95%であった。
【0212】
実施例5:化合物1の合成
規模を調整し実施例3に記載の合成に従う小規模反応を、カリウムブトキシド(KOtBu)を塩基として、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として使用して、0℃で開始して行い、3時間にわたって室温に温め、化合物1(NNZ-2591)を得た。A3から化合物1への変換は99%であった。
【0213】
実施例6:式4のエステル誘導体の調製
【化89】
(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボン酸塩酸塩6a(A1;1.0g、5.22mmol、1当量)をバイアルに入れ、指定されたアルコール(エタノール又はベンジルアルコール)を周囲温度で添加した。溶液を1分間撹拌し(出発材料を完全に溶解させた、淡褐色溶液)、次いで、フラスコを氷浴中に入れた。メタンスルホン酸(0.678mL、10.44mmol、2当量)をシリンジを介して氷浴冷却下で滴加した。バイアルを密封し、加熱ブロックに入れ、72時間60℃に加熱した。実施例1aに記載したものと同様の作業手順を用いた。
【0214】
エチルエステル4bが形成され、作業することによって、59%の収率で容易に精製された。これは、高収率(96%)で2bに変換された。次いで、これをAPI(1、NNZ-2591)に変換して、100%のHPLC面積で77%のqHPLC収率を得た。
【0215】
ベンジルエステル4cの精製は、より困難であった。化合物4cは、標準条件の後に得られたが、ベンジルアルコールを含む顕著な他の不純物が存在した。作業後、材料をカラムクロマトグラフィにより精製した。これにより、30%の純度で4cが得られた。化合物4cを、標準アミドカップリング条件を使用して2cに変換し、97%の収率を得た。次いで、これを、qHPLCにより43%の収率でAPI(1a、NNZ-2591)に変換した。
【0216】
実施例7:アミドカップリングのための溶媒スクリーニング
アミドカップリングのために溶媒の系統的スクリーニングを行った。
【化90】
【0217】
(tert-ブトキシカルボニル)グリシンA5(0.057g、0.325mmol、1.1当量)、EDC塩酸塩(0.074g、0.384mmol、1.3当量)、HOPO(9.9mg、0.089mmol、0.3当量)をバイアルに充填し、氷浴で冷却した。溶媒(0.4mL)、次いでDIPEA(0.077mL、0.443mmol、1.5当量)も添加した。
【0218】
ベラトロール(0.052mL、0.405mmol、1.37当量)及びメチル(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレート(A2)(0.050g、0.295mmol、1当量)を、溶媒(0.4mL)に溶解した。この溶液を、氷浴冷却下でグリシン反応混合物に添加した。追加の溶媒(0.2mL)を添加し、得られた懸濁液を放置して、周囲温度(22℃)に温め、一晩撹拌した。
【0219】
20時間後、10μLの反応液を1mLのMeCNに溶解し、HPLCにより測定した。これが溶液でなかった場合、1mLのMeCNに溶解し、20μLの反応混合物を1mLのMeCNに溶解した。
【表2】
【0220】
実施例8:アミドカップリングのための塩基スクリーニング
アミドカップリングのために塩基の系統的スクリーニングを行った。
【化91】
【0221】
(tert-ブトキシカルボニル)グリシンA5(0.057g、0.325mmol、1.1当量)、EDC塩酸塩(0.074g、0.384mmol、1.3当量)、HOPO(9.9mg、0.089mmol、0.3当量)をバイアルに充填し、氷浴で冷却した。NMP(0.4mL)、次いで指定された塩基(0.443mmol、1.5当量)も添加した。
【0222】
ベラトロール(0.052mL、0.405mmol、1.37当量)及びメチル(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレート(A2)(0.050g、0.295mmol、1当量)を、NMP(0.4mL)に溶解した。この溶液を、氷浴冷却しながらグリシン反応混合物に添加した。MTBE(0.2mL)を添加し、得られた懸濁液を放置して、周囲温度(22℃)に温め、一晩撹拌した。20時間後、10μLの反応液を1mLのMeCNに溶解し、HPLCにより測定した。これが溶液でなかった場合、1mLのMeOHに溶解し、20μLの反応混合物を1mLのMeCNに溶解した。
【表3】
【0223】
実施例9:アミドカップリングのためのアミド試薬
アミドカップリングのためにカップリング試薬の系統的スクリーニングを行った。
【化92】
ストック溶液を、1.000gのA2及び1.1155gのベラトロール、並びに4.0mLの体積に達するのに十分なMBTEを使用して調製した。次いで、これをNMPと混合して、12.0mLの体積となった。これは、いくつかのスクリーニングのストック溶液として使用された。
【0224】
指定された添加剤(0.089mmol、0.3当量)、(tert-ブトキシカルボニル)グリシンA5(56.9mg、0.325mmol、1.1当量)をバイアルに充填し、指定されたアミドカップリング試薬(0.384mmol、1.3当量)を、氷浴冷却しながらNMP(0.4mL)に溶解した。次いで、DIPEA(0.077mL、0.443mmol、1.5当量)を添加した。アミドカップリング試薬が液体の場合、NMPの後、DIPEAの前に添加した。これを氷浴冷却しながら10分間撹拌した。この懸濁液に、氷浴冷却もしながら、MTBE及びNMP中の0.6mLのメチル(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレートA2(50mg、0.295mmol、1当量)及びベラトロール(0.052mL、0.405mmol、1.37当量)のストック溶液を添加した。得られた懸濁液を、周囲温度(22℃)に温め、一晩撹拌した。
【0225】
20時間後、10μLの反応液を1mLのMeCNに溶解し、HPLCにより測定した。
【表4】
【0226】
実施例10:アミドカップリングのための添加剤スクリーニング
アミドカップリングのために添加剤の系統的スクリーニングを行った。
【化93】
ストック溶液を、1.000gのA2及び1.1155gのベラトロール、並びに4.0mLの体積に達するのに十分なMBTEを使用して調製した。次いで、これをNMPと混合して、12.0mLの体積となった。これは、いくつかのスクリーニングのストック溶液として使用された。
【0227】
指定された添加剤(0.089mmol、0.3当量)、(tert-ブトキシカルボニル)グリシンA5(56.9mg、0.325mmol、1.1当量)をバイアルに充填し、指定されたアミドカップリング試薬(0.384mmol、1.3当量)を、氷浴冷却しながらNMP(0.4mL)に溶解した。次いで、DIPEA(0.077mL、0.443mmol、1.5当量)を添加した。アミドカップリング試薬が液体の場合、NMPの後、DIPEAの前に添加した。これを氷浴冷却しながら10分間撹拌した。この懸濁液に、氷浴冷却もしながら、MTBE及びNMP中の0.6mLのメチル(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレートA2(50mg、0.295mmol、1当量)及びベラトロール(0.052mL、0.405mmol、1.37当量)のストック溶液を添加した。得られた懸濁液を、周囲温度(22℃)に温め、一晩撹拌した。
【0228】
20時間後、10μLの反応液を1mLのMeCNに溶解し、HPLCにより測定した。
【表5】
【0229】
実施例11:異なるPG保護されたグリシンのカップリング
代替的なPG保護されたグリシンを、アミドカップリング反応において探索した。
【化94】
バイアルに、2-ヒドロキシピリジン1-オキシド(HOPO)(0.079g、0.709mmol、0.3当量)、EDC塩酸塩(0.589g、3.07mmol、1.3当量)、及びNMP(1.0mL)を窒素下で充填した。この懸濁液に、MTBE(0.35mL)中のメチル(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレート(A2)(0.400g、2.364mmol、1当量)を添加し、A2が入ったフラスコをMTBE(0.35mL)ですすぎ、これを反応混合物に周囲温度で添加し、続いてDIPEA(0.619mL、3.55mmol)を添加した。反応物を10分間撹拌し、次いで氷水浴中に入れ、NMP(0.7mL)中のPG保護されたグリシン(2.60mmol、1.1当量)の溶液を添加し、続いてNMP(0.7mL)ですすいだ。得られた懸濁液を、周囲温度(22℃)に温め、一晩撹拌した。
【0230】
反応物を、水(2.8mL)に溶解したクエン酸(0.31g)から、MTBE(2.5mL)で抽出した。この水層を更にMTBE(3.1mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、水(4.2mL)に溶解したNaHCO(0.21g)で洗浄した。これをNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、各保護基についての式2dの生成物を得た(表5)。
【0231】
Fmoc例外:
バイアルに、HOBt(0.217g、1.418mmol、1.2当量)、Fmoc-Gly-OH(0.387g、1.300mmol、1.1当量)、及びDMF(0.5mL)を充填した。この懸濁液に、DMF(1mL)中のメチル(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレート(A2)(0.20g、1.182mmol、1当量)を添加し、続いてDMF(1mL)ですすいだ。これを氷浴中で冷却し、次いで、EDC塩酸塩(0.272g、1.418mmol、1.2当量)を添加した。反応物を一晩室温に温めた。
【0232】
反応混合物を氷水(3mL)に注ぎ、混合物を酢酸エチル(3×3mL)で抽出した。それをNaSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させて、粗製油(1.108g)を得た。これを、EtOAc/ヘプタン(湿式充填、DCMとともに)で、12gのシリカを使用してカラムクロマトグラフィにより精製した。
【0233】
適切な画分をプールして濃縮し、溶媒を除去して、白色非晶質固体として(R)-1-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)グリシル)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレートの生成物を得た。
【表6】
【0234】
実施例12:活性化グリシンエステルとのカップリング
活性化グリシンエステルも、アミドカップリング反応において探索された。
【化95】
【0235】
以下の活性化グリシンエステルを試験した。
【化96】
バイアルに、活性化グリシンエステル(1.2当量)、EDC塩酸塩(1.3当量)、HOPO(0.3当量)を充填し、氷浴で冷却した。NMP及び次いでDIPEA(1.5当量)も添加した。
【0236】
ベラトロール(5c及び5dの場合のみ)及びメチル(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレート(A2)(1当量、反応に応じて50~250mgの規模)をNMPに溶解した。この溶液を、氷浴冷却下でグリシン反応混合物に添加した。MTBEを添加し、得られた懸濁液を放置して、周囲温度(22℃)に温め、一晩撹拌した。
【0237】
20時間後、10μLの反応混合物を1mLのMeCNに溶解し、HPLCにより測定した。
【0238】
内部標準(5e及び5f)を欠く反応について:
反応物を、水(2.8mL)に溶解したクエン酸(0.31g)から、MTBE(2.5mL)で抽出した。この水層を更にMTBE(3.1mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、水(4.2mL)に溶解したNaHCO(0.21g)で洗浄した。これをNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、各保護基について生成物2dを得た。材料が純粋でなかった場合、収率をqNMRにより決定した。
【表7】
【0239】
実施例13:酸性塩化物とのカップリング
対応する酸塩化物を介して式2dを得る可能性を調査した。
【化97】
DCM(0.5mL)中のN-保護されたグリシン5h(1.0当量)の溶液に、塩化オキサリル(1.2当量)及びN,N-ジメチルホルムアミドの滴液を添加した。反応物を周囲温度で2時間撹拌し、ガス発泡を停止させた。
【0240】
DCM及び過剰の塩化オキサリルを真空中で除去し、得られた塩化アシルを2mLのDCMに溶解し、周囲温度で、メチル(R)-2-アリルピロリジン-2-カルボキシレート(A2)(100mg、1.0当量)及びTEA(1.2当量)の純粋な混合物に滴加した。混合物を室温で18時間撹拌した。粗製反応物を水(5mL)で希釈し、DCM(3×5mL)で抽出した。有機抽出物を組み合わせ、NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、各保護基についての2dを得た。qNMR試料を、内部標準としてメチル3,5-ジニトロベンゾエートを使用して調製した。2dのTFA保護された誘導体は36%をもたらし、2dのCbz保護された誘導体は26%をもたらした。
【0241】
実施例14:塩基開始環化のための溶媒スクリーニング
環化ステップのために溶媒の系統的スクリーニングを行った。
【化98】
【0242】
メチル(R)-2-アリル-1-((tert-ブトキシカルボニル)グリシル)ピロリジン-2-カルボキシレートA3(100mg、0.306mmol、1当量)を、0.5mLの指定された溶媒に溶解し、撹拌棒、次いで内部標準ベラトロール(39μL、0.306mmol、1当量)、最後にナトリウムメタノレート(5.4M、メタノール中30重量%の溶液)(28μL、0.153mmol、0.5当量)を添加した。バイアルを密封し、60℃に加熱し、24時間撹拌した。次いで、反応物を室温に冷却し、10μLの粗製混合物を1mLのMeCNに溶解し、1a、NNZ-2591への変換がHPLCにより測定された。
【表8】
【0243】
実施例15:塩基開始環化のための塩基スクリーニング
環化ステップのために塩基の系統的スクリーニングを行った。
【化99】
【0244】
メチル(R)-2-アリル-1-((tert-ブトキシカルボニル)グリシル)ピロリジン-2-カルボキシレートA3(100mg、0.306mmol、1当量)をMeOH(0.5mL)に溶解し、撹拌棒、次いで内部標準ベラトロール(39μL、0.306mmol、1当量)、最後に指定された塩基(1当量)を添加した。バイアルを密封し、60℃に加熱し、24時間撹拌した。次いで、反応物を室温に冷却し、10μLの粗製混合物を1mLのMeCNに溶解し、1a、NNZ-2591への変換がHPLCにより測定された。
【表9】
【0245】
実施例16:窒素上の異なる保護基(PG)による環化
異なる保護基のスクリーニングを塩基性又は酸性条件下で行い、環化生成物の式1aを得た。
【化100】
【0246】
各保護基(1当量)についての化合物2dをMeOH(0.5mL)に溶解し、撹拌棒、次いでナトリウムメタノレート(5.4M、メタノール中30重量%溶液)(0.5当量)を添加した。バイアルを密封し、60℃に加熱し、24時間撹拌した(250rpm)。次いで、反応物を室温に冷却し、10μLの粗製混合物を1mLのMeCNに溶解し、1a、NNZ-2591への変換がHPLCにより測定された。
【表10】
【国際調査報告】