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特表2024-539146ロボットフレンドリービル、ビルを走行するロボット制御方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ロボットフレンドリービル、ビルを走行するロボット制御方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/617 20240101AFI20241018BHJP
   G05D 1/648 20240101ALI20241018BHJP
   G05D 1/69 20240101ALI20241018BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241018BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G05D1/617
G05D1/648
G05D1/69
G08G1/16 A
G08G1/00 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523642
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 KR2022013432
(87)【国際公開番号】W WO2023068551
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0140116
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505205812
【氏名又は名称】ネイバー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NAVER Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】チョン,スンファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,スンビン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,コンウ
(72)【発明者】
【氏名】ビョン,ジェジョン
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL09
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB14
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL06
5H301LL07
5H301LL08
5H301LL11
5H301LL12
5H301QQ02
5H301QQ06
(57)【要約】
本発明は、ロボットフレンドリービル、ビルを走行するロボットの制御方法及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、同一空間の中でロボットが人間と共存して人間に有用なサービスを提供できるようにするロボット制御方法及びシステムに関する。上述した目的を達成するために、ビルの地図に基づいて、前記ビルを走行するロボットを制御する方法を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルの地図に基づいて、前記ビルを走行するロボットを制御する方法において、
サーバから前記ロボットの走行経路を受信するステップと、
前記ロボットに備えられたセンサを用いて、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングするステップと、
前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出するステップと、
前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定するステップと、
前記ロボットに備えられた前記センサから受信したセンシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行うステップとを含むことを特徴とするロボット制御方法。
【請求項2】
前記異なるデータ処理を行うステップにおいては、
前記ロボットに備えられた前記センサから収集された前記センシングデータのうち、前記関心領域に関連するデータに基づいて、前記関心領域に関連する障害物の回避に関する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項3】
前記関心領域に関連する障害物は、
前記関心領域内に位置する関心対象障害物であることを特徴とする請求項2に記載のロボット制御方法。
【請求項4】
前記異なるデータ処理を行うステップにおいては、
前記ロボットに備えられた前記センサから、前記関心領域から外れた領域に位置する非関心対象障害物に関するセンシングデータを受信しても、前記非関心対象障害物に関するセンシングデータを前記障害物の回避に関する制御に用いないことを特徴とする請求項3に記載のロボット制御方法。
【請求項5】
前記関心領域に関連するデータは、
前記関心領域に位置する前記関心対象障害物をセンシングしたセンシングデータであることを特徴とする請求項3に記載のロボット制御方法。
【請求項6】
前記関心領域に関連するデータは、
前記ロボットに備えられた前記センサのセンシング領域のうち、前記関心領域と重なる特定の領域に関するセンシングデータであることを特徴とする請求項3に記載のロボット制御方法。
【請求項7】
前記関心領域は、
前記走行経路及び前記危険度に基づいて設定される第1領域と、
前記ロボットの大きさ、前記ロボットの走行方向、及び前記ロボットの走行速度の少なくとも1つと前記危険度に基づいて設定される第2領域とを含むことを特徴とする請求項3に記載のロボット制御方法。
【請求項8】
前記関心領域に位置する障害物の回避に関する制御は、
前記ロボットに備えられた前記センサから前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも1つに位置する障害物が検知された場合に行われることを特徴とする請求項7に記載のロボット制御方法。
【請求項9】
前記第1領域は、前記走行経路に応じた走行方向を基準として所定の幅及び所定の長さで規定される面積を有するように形成され、
前記第2領域は、前記ロボットの走行方向を基準として所定の幅及び所定の長さで規定される面積を有するように形成されることを特徴とする請求項8に記載のロボット制御方法。
【請求項10】
前記関心領域に対応する前記第1領域及び前記第2領域は、前記危険度が高いほど、大きくなることを特徴とする請求項9に記載のロボット制御方法。
【請求項11】
前記第1領域及び前記第2領域が大きくなるほど、前記障害物の回避に関する制御のために処理されるデータ処理の量が異なってくることを特徴とする請求項10に記載のロボット制御方法。
【請求項12】
前記走行経路、前記ロボットの大きさ、前記ロボットの走行方向、及び前記ロボットの走行速度の少なくとも1つに基づいて、基本関心領域を設定するステップをさらに含み、
前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングするステップにおいては、
前記基本関心領域に関連する障害物をセンシングすることを特徴とする請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項13】
前記危険度は、前記基本関心領域に位置する障害物と前記ロボットとの相対距離に基づいて算出され、
前記危険度に基づいて、前記関心領域を設定するステップにおいては、
前記危険度に基づいて、前記基本関心領域が拡大又は縮小されるように、前記基本関心領域がアップデートされることを特徴とする請求項12に記載のロボット制御方法。
【請求項14】
前記危険度は、予め設定された周期毎に再算出され、
前記危険度が再算出された場合、前記関心領域は、前記再算出された危険度に基づいてアップデートされることを特徴とする請求項13に記載のロボット制御方法。
【請求項15】
前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングするステップにおいては、
前記基本関心領域で複数の障害物がセンシングされた場合、前記複数の障害物のそれぞれと前記ロボットとの相対距離を算出し、
前記複数の障害物のそれぞれと前記ロボットとの相対距離に基づいて、前記複数の障害物のうちいずれか1つを選択し、
前記危険度は、前記選択された障害物と前記ロボットとの相対距離に基づいて算出されることを特徴とする請求項13に記載のロボット制御方法。
【請求項16】
前記サーバから前記走行経路の周辺に位置する障害物の数に基づいて算出された混雑度情報を受信するステップをさらに含み、
前記関心領域は、前記危険度及び前記混雑度情報の少なくとも1つを考慮して設定されることを特徴とする請求項1に記載のロボット制御方法。
【請求項17】
クラウドサーバにより制御されるロボットが走行するビルにおいて、
前記ビルは、
前記クラウドサーバから前記ロボットの走行に関する制御命令を受信し、前記ロボットに送信する通信部を含み、
前記クラウドサーバは、
前記ロボットに走行経路を送信し、
前記ロボットに備えられたセンサにより生成されたセンシングデータを受信し、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングし、
前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出し、
前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定し、
前記センシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行うことを特徴とするビル。
【請求項18】
前記クラウドサーバは、
前記ロボットに備えられた前記センサから収集された前記センシングデータのうち、前記関心領域に関連するデータに基づいて、前記関心領域に関連する障害物の回避に関する制御を行うことを特徴とする請求項17に記載のビル。
【請求項19】
ビルの地図に基づいて、前記ビルを走行するロボットを制御するシステムにおいて、
サーバから前記ロボットの走行経路を受信する通信部と、
前記ロボットに備えられたセンサを用いて、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングし、
前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出し、
前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定し、
前記ロボットに備えられた前記センサから受信したセンシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行う制御部とを含むことを特徴とするロボット制御システム。
【請求項20】
電子機器で1つ以上のプロセスにより実行され、コンピュータ可読媒体に格納可能なプログラムであって、
前記プログラムは、
サーバからロボットの走行経路を受信するステップと、
前記ロボットに備えられたセンサを用いて、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングするステップと、
前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出するステップと、
前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定するステップと、
前記ロボットに備えられた前記センサから受信したセンシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行うステップとを行わせるコマンドを含むことを特徴とするコンピュータ可読媒体に格納可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットフレンドリービル、ビルを走行するロボットの制御方法及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、同一空間の中でロボットが人間と共存して人間に有用なサービスを提供できるようにするロボット制御方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術が発展するにつれて、様々なサービスデバイスが出現しており、特に最近は、様々な作業又はサービスを行うロボットに関する技術開発が盛んに行われている。
【0003】
また、最近は、人工知能技術、クラウド技術などが発展するにつれて、ロボットをより精密かつ安全に制御できるようになってきており、それによりロボットの活用度が次第に高くなってきている。特に、技術の発展により、ロボットは、室内空間で人間と安全に共存できる程度のレベルに至った。
【0004】
よって、最近は、ロボットが人間の業務又は作業を代替しており、特に室内空間で人間を対象としてロボットが直接サービスを提供する様々な方法が盛んに研究されている。
【0005】
例えば、空港、駅舎、デパートなどの公共の場所では、ロボットが道案内サービスを提供しており、飲食店では、ロボットがサービングサービスを提供している。また、オフィス空間、共同住居空間などでは、ロボットが郵便物、宅配物などを配送する配送サービスを提供している。その他にも、ロボットは、掃除サービス、防犯サービス、物流処理サービスなど、様々なサービスを提供しており、ロボットが提供するサービスの種類及び範囲は、これからも幾何級数的に増えるはずであり、サービス提供レベルも発展し続けることが期待される。
【0006】
このようなロボットは、室外空間だけでなく、オフィス、マンション、デパート、学校、病院、遊戯施設などのビル(又は建物)の室内空間内で様々なサービスを提供しており、その場合、ロボットは、ビルの室内空間を移動しながら様々なサービスを提供するように制御されている。
【0007】
一方、自律走行ロボットの発達により、ロボット周辺の障害物を検知し、障害物を回避して自由に移動するロボットが多数出現している。ロボットの移動のためにロボット周辺の全ての物体を考慮して経路計画を生成する場合、不要な経路計画が発生し得る。よって、ロボットがより効率的に障害物を考慮する方法に関するニーズが存在する。
【0008】
よって、ビル内でロボットを用いたよりレベルの高いサービスを提供するためには、サービス単位(例えば、道案内サービス、配送サービス、サービングサービスなど)のロボット制御技術に関する研究だけでなく、ロボットがサービスを提供するビル自体でロボットに必要な様々なインフラをサポートできるようにする本質的な研究が必要である。
【0009】
一方、ロボットが室内空間で様々なサービスを提供するか、生活するために、ロボットは、ビルの室内空間を自由に移動するか、通過しなければならず、場合によっては、ビルに備えられた様々な設備インフラ(例えば、エレベータ、エスカレータ、出入り統制ゲートなど)を利用しなければならないニーズが存在する。
【0010】
よって、ビル内でロボットを用いたよりレベルの高いサービスを提供するためには、サービス単位(例えば、道案内サービス、配送サービス、サービングサービスなど)のロボット制御技術に関する研究だけでなく、ロボットがサービスを提供するビル自体でロボットに必要な様々なインフラをサポートできるようにする本質的な研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ビル内で走行するロボットの制御方法及びシステムを提供するものである。
【0012】
より具体的には、本発明は、ロボットが属する環境でロボットに影響を及ぼし得る要素についてのみ選択的に考慮することのできるロボット制御方法及びシステムを提供するためのものである。
【0013】
また、本発明によるロボットフレンドリービルは、複数のロボットと連動するクラウドシステムを利用して、複数のロボット及び設備インフラを有機的に制御することによって、より体系的にサービスを提供するロボットの走行を管理することができる。よって、本発明によるロボットフレンドリービルは、より安全に、迅速に、かつ正確に人間に様々なサービスを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するために、ビルの地図に基づいて、前記ビルを走行するロボットを制御する方法を提供することができる。本発明は、サーバから前記ロボットの走行経路を受信するステップと、前記ロボットに備えられたセンサを用いて、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングするステップと、前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出するステップと、前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定するステップと、前記ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行うステップとを含むことを特徴とするロボット制御方法を提供することができる。
【0015】
また、本発明は、クラウドサーバにより制御されるロボットが走行するビルを提供することができる。前記ビルは、前記クラウドサーバから前記ロボットの走行に関する制御命令を受信し、前記ロボットに送信する通信部を含み、前記クラウドサーバは、前記ロボットに走行経路を送信し、前記ロボットに備えられたセンサにより生成されたセンシングデータを受信し、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングし、前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出し、前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定し、前記センシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行うことを特徴とするものであってもよい。
【0016】
さらに、本発明は、ビルの地図に基づいて、前記ビルを走行するロボットを制御するシステムを提供することができる。本発明は、サーバから前記ロボットの走行経路を受信する通信部と、前記ロボットに備えられたセンサを用いて、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングし、前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出し、前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定し、前記ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行う制御部とを含むことを特徴とするロボット制御システムを提供することができる。
【0017】
さらに、本発明は、電子機器で1つ以上のプロセスにより実行され、コンピュータ可読媒体に格納可能なプログラムを提供することができる。本発明は、サーバからロボットの走行経路を受信するステップと、前記ロボットに備えられたセンサを用いて、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングするステップと、前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出するステップと、前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定するステップと、前記ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行うステップとを行わせるコマンドを含むことを特徴とするコンピュータ可読媒体に格納可能なプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるビル、ビルを走行するロボット制御方法及びシステムは、危険度に基づいて設定された関心領域に関連するセンシングデータのみを選択的に活用し、関心領域に関連しないセンシングデータは活用しないことにより、ロボットの走行時に不要な演算を最小限に抑えることができる。
【0019】
また、本発明は、関心領域の設定の基盤となる危険度をロボットと障害物との距離に基づいて設定することにより、ロボットと障害物との距離が相対的に近い場合、障害物の周辺領域に関するセンシングデータまで障害物の回避のための制御に活用し、ロボットと障害物との距離が相対的に遠い場合、障害物が位置する領域に関するセンシングデータのみを考慮してロボットの走行制御を行うことにより、ロボットの現在の状況に応じて処理しなければならないセンシングデータの量を変化させることができる。それにより、本発明は、ロボットの状況に応じて最適な演算量で障害物の回避のための制御を行えるようにする。
【0020】
さらに、本発明によるロボットフレンドリービルは、ロボット、自律走行、AI、クラウド技術が融合して連結される技術的収束(Technological Convergence)を利用し、このような技術と、ロボット及びビル内に備えられた設備インフラが有機的に結合する新たな空間を提供することができる。
【0021】
さらに、本発明によるロボットフレンドリービルは、複数のロボットと連動するクラウドサーバを利用して、複数のロボット及び設備インフラを有機的に制御することによって、より体系的にサービスを提供するロボットの走行を管理することができる。よって、本発明によるロボットフレンドリービルは、より安全に、迅速に、かつ正確に人間に様々なサービスを提供することができる。
【0022】
さらに、本発明によるビルにおいては、ビルに配置された複数のロボットに割り当てられた任務と移動状況を考慮することはもとより、人間を配慮するように走行が制御されることにより、同一空間の中で自然にロボットと人間が共存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によるロボットフレンドリービルを説明するための概念図である。
図2】本発明によるロボットフレンドリービルを説明するための概念図である。
図3】本発明によるロボットフレンドリービルを説明するための概念図である。
図4】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボット及びロボットフレンドリービルに備えられた様々な設備を制御するシステムを説明するための概念図である。
図5】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボット及びロボットフレンドリービルに備えられた様々な設備を制御するシステムを説明するための概念図である。
図6】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボット及びロボットフレンドリービルに備えられた様々な設備を制御するシステムを説明するための概念図である。
図7】本発明によるロボットフレンドリービルに備えられた設備インフラを説明するための概念図である。
図8】本発明によるロボットフレンドリービルに備えられた設備インフラを説明するための概念図である。
図9】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボットの位置を推定する方法を説明するための概念図である。
図10】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボットの位置を推定する方法を説明するための概念図である。
図11】本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボットの位置を推定する方法を説明するための概念図である。
図12】本発明によるロボットシステムにより制御されるロボットを説明するための概念図である。
図13】ロボットの移動経路の設定に活用されるノードマップを説明するための概念図である。
図14】本発明によるロボット制御方法を説明するためのフローチャートである。
図15】本発明によるロボット制御方法を示す概念図である。
図16】本発明の一実施形態による危険度の算出及び関心領域の設定を示す概念図である。
図17】本発明の一実施形態による危険度の算出及び関心領域の設定を示す概念図である。
図18】動く障害物を考慮して関心領域を設定する一実施形態を示す概念図である。
図19】ビル内の混雑度を考慮して関心領域を設定する一実施形態を示す概念図である。
図20】ロボットの任務を考慮して関心領域を設定する一実施形態を示す概念図である。
図21】ロボットに備えられたセンサの検知範囲内でロボットの関心領域に対応するセンシングデータのみを選択的に活用する実施形態を示す概念図である。
図22】ロボットに備えられたセンサの検知範囲内でロボットの関心領域に対応するセンシングデータのみを選択的に活用する実施形態を示す概念図である。
図23】ロボットに備えられたセンサの検知範囲内でロボットの関心領域に対応するセンシングデータのみを選択的に活用する実施形態を示す概念図である。
図24】ロボットの走行速度に応じて関心領域を変更する一実施形態を示す概念図である。
図25】ロボットが走行経路に沿って走行しながら関心領域を変更する一実施形態を示す概念図である。
図26A】関心領域が変更されることによって危険度の算出に活用される障害物が変更される一実施形態を示す概念図である。
図26B】関心領域が変更されることによって危険度の算出に活用される障害物が変更される一実施形態を示す概念図である。
図26C】関心領域が変更されることによって危険度の算出に活用される障害物が変更される一実施形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本明細書に開示される実施形態について詳細に説明するが、図面番号に関係なく同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号を付し、その説明は省略する。以下の説明で用いる構成要素の接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与又は混用されるものであり、それ自体が有意性や有用性を有するものではない。また、本明細書に開示される実施形態について説明するにあたって、関連する公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示される実施形態の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。なお、添付図面は本明細書に開示される実施形態を容易に理解できるようにするためのものにすぎず、添付図面により本明細書に開示される技術的思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物が本発明に含まれるものと解されるべきである。
【0025】
第1、第2などのように序数を含む用語は様々な構成要素を説明するために用いられるが、上記構成要素は上記用語により限定されるものではない。上記用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ用いられる。
【0026】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」又は「接続」されていると言及された場合は、他の構成要素に直接連結又は接続されていてもよく、中間にさらに他の構成要素が存在してもよいものと解すべきである。それに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」又は「直接接続」されていると言及された場合は、中間にさらに他の構成要素が存在しないものと解されるべきである。
【0027】
単数の表現には、特に断らない限り複数の表現が含まれる。
【0028】
本明細書において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在や付加可能性を予め排除するものではないと解されるべきである。
【0029】
本発明は、ロボットフレンドリービルに関し、人間とロボットが安全に共存し、ひいてはビル内でロボットが有益なサービスを提供することができるロボットフレンドリービルを提案する。
【0030】
より具体的には、本発明は、ロボット、ロボットにやさしいインフラ、及びそれを制御する様々なシステムを用いて、人間に有用なサービスを提供する方法を提供する。本発明によるビルにおいては、人間と複数のロボットが共存することができ、複数のロボットがビル内で自由に移動することができる様々なインフラ(又は設備インフラ)を提供することができる。
【0031】
本発明において、ビルは、持続的な居住、生活、業務などのために建てられた構造物であって、商業用ビル、産業用ビル、機関用ビル、居住用ビルなどのように様々な形態がある。また、前記ビルは、複数の層を有する多層ビルであってもよく、その反対である単層ビルであってもよい。ただし、本発明においては、説明の便宜上、多層ビルに適用されるインフラ又は設備インフラを例示として説明する。
【0032】
本発明において、インフラ又は設備インフラは、サービスの提供、ロボットの移動、機能維持、清潔維持などのためにビルに備えられる施設であって、その種類及び形態は非常に様々である。例えば、ビルに備えられるインフラは、移動設備(例えば、ロボットの移動通路、エレベータ、エスカレータなど)、充電設備、通信設備、洗浄設備、構造物(例えば、階段など)などのように様々である。本明細書においては、このような設備を施設、インフラ、施設インフラ又は設備インフラといい、場合によっては用語を混用する。
【0033】
さらに、本発明によるビルにおいては、ビル、ビルに備えられた様々な設備インフラ、及びロボットの少なくとも1つが互いに連動して制御されることにより、ロボットが安全かつ正確にビル内で様々なサービスを提供することができる。
【0034】
本発明は、複数のロボットがビル内で走行し、任務(又は業務)によるサービスを提供し、必要に応じて待機又は充電機能、さらにはロボットの修理及び洗浄機能をサポートできる様々な設備インフラが備えられたビルを提案する。このようなビルは、ロボットへの統合ソリューション(又はシステム)を提供し、本発明によるビルは、様々な修飾語で呼ばれる。例えば、本発明によるビルは、i)ロボットが利用するインフラを備えるビル、ii)ロボットにやさしいインフラを備えるビル、iii)ロボットフレンドリービル、iv)ロボットと人間が共に生活するビル、v)ロボットを用いた様々なサービスを提供するビルなどのように、様々に表現される。
【0035】
一方、本発明における「ロボットフレンドリー」とは、ロボットが共存するビルに関するものであって、より具体的には、ロボットの走行を許容するか、ロボットがサービスを提供するか、ロボットが利用できる設備インフラが構築されているか、ロボットに必要な機能(例えば、充電、修理、洗浄など)を提供する設備インフラが構築されていることを意味する。その場合、本発明における「ロボットフレンドリー」は、ロボットと人間の共存のための統合ソリューションを有するという意味で用いられる。
【0036】
以下、添付図面を参照して、本発明についてより具体的に説明する。
【0037】
図1図2及び図3は本発明によるロボットフレンドリービルを説明するための概念図であり、図4図5及び図6は本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボット及びロボットフレンドリービルに備えられた様々な設備を制御するシステムを説明するための概念図である。また、図7及び図8は本発明によるロボットフレンドリービルに備えられた設備インフラを説明するための概念図である。
【0038】
まず、説明の便宜上、代表的な符号を定義する。
【0039】
本発明において、ビルには符号「1000」を付し、ビル1000の空間(室内空間又は室内領域)には符号「10」を付す(図8参照)。また、ビル1000の室内空間を構成する複数の層(floors)にそれぞれ該当する室内空間には符号10a、10b、10cなどを付す(図8参照)。本発明において、室内空間又は室内領域は、ビルの外部と反対の概念として、外壁により保護されるビルの内部を意味するものであり、空間を意味するものに限定されるものではない。
【0040】
また、本発明において、ロボットには符号「R」を付し、図面又は明細書ではロボットに符号が記入されていなくても全てロボットRと理解できる。
【0041】
さらに、本発明において、人間又は人には符号「U」を付し、人間又は人は動的オブジェクトともいえる。ここで、動的オブジェクトは、必ずしも人のみを意味するわけではなく、犬や猫などの動物又は他の少なくとも1つのロボット(例えば、ユーザの個人ロボット、他のサービスを提供するロボットなど)、ドローン、掃除機(例えば、ロボット掃除機)のように動く物事を含む意味で受け入れられる。
【0042】
一方、本発明で説明されるビル(建物、building、structure、edifice)1000とは、人が入って暮らすか、仕事をするか、動物を飼育するか、又は物品を保管するために建てられた構造物を意味し、その種類が特に限定されるものではない。
【0043】
例えば、ビル1000は、事務所、オフィス、オフィステル、マンション、住商複合マンション、住宅、学校、病院、飲食店、官公署などであり、本発明は、このような各種ビルに適用することができる。
【0044】
図1に示すように、本発明によるビル1000においては、ロボットが走行しながら様々なサービスを提供することができる。
【0045】
ビル1000内には、1つ又はそれ以上の異なる種類の複数のロボットが位置することができ、このようなロボットは、サーバ20の制御の下で、ビル1000内を走行し、サービスを提供し、ビル1000に備えられた様々な設備インフラを利用することができる。
【0046】
本発明において、サーバ20は、様々な位置に存在することができる。例えば、サーバ20は、ビル1000の内部及びビル1000の外部の少なくとも一方に位置することができる。すなわち、サーバ20は、少なくとも一部がビル1000の内部に位置し、他の一部がビル1000の外部に位置してもよい。あるいは、サーバ20は、ビル1000の内部に全て位置してもよく、ビル1000の外部にのみ位置してもよい。よって、本発明においては、サーバ20の具体的な位置については特に限定しない。
【0047】
さらに、本発明において、サーバ20は、クラウドコンピューティング(Cloud Computing)方式(クラウドサーバ21)及びエッジコンピューティング(Edge Computing)方式(エッジサーバ22)の少なくとも1つの方式を用いるように構成されてもよい。また、サーバ20は、クラウドコンピューティング又はエッジコンピューティング方式以外にも、ロボットを制御できる方式であれば、本発明に適用することができる。
【0048】
一方、本発明によるサーバ20は、場合によっては、クラウドコンピューティング(Cloud Computing)方式及びエッジコンピューティング(Edge Computing)方式を混合し、ロボット及びビル1000内に備えられた設備インフラの少なくとも1つに対する制御を行うことができる。
【0049】
一方、ロボットRは、制御命令に従って駆動される。例えば、ロボットRは、動きを変更することにより位置を移動するか又は姿勢を変更することができ、ソフトウェアアップデートを行うことができる。
【0050】
本発明においては、説明の便宜上、サーバ20を「クラウドサーバ」に統一して命名し、符号「20」を付す。一方、このようなクラウドサーバ20は、エッジコンピューティングのエッジサーバ22という用語で代替できることは言うまでもない。
【0051】
また、「クラウドサーバ」という用語は、クラウドロボットシステム、クラウドシステム、クラウドロボット制御システム、クラウド制御システムなどの様々な用語に変更することができる。
【0052】
一方、本発明によるクラウドサーバ20は、ビル1000を走行する複数のロボットに対する統合制御を行うことができる。すなわち、クラウドサーバ20は、ビル1000内に位置するi)複数のロボットRのモニタを行い、ii)複数のロボットに任務(又は業務)を割り当て、iii)複数のロボットRが任務に成功するようにビル1000内に備えられた設備インフラを直接制御するか、又はiv)設備インフラを制御する制御システムとの通信により設備インフラが制御されるようにすることができる。
【0053】
また、クラウドサーバ20は、ビルに位置するロボットの状態情報を確認し、ロボットに必要な様々な機能を提供(又はサポート)することができる。ここで、様々な機能には、ロボットに対する充電機能、汚染したロボットに対する洗浄機能、任務が完了したロボットに対する待機機能などがある。
【0054】
クラウドサーバ20は、ロボットに対して様々な機能を提供するために、ロボットがビル1000に備えられた様々な設備インフラを利用するように、ロボットを制御することができる。また、クラウドサーバは、ロボットに対して様々な機能を提供するために、ビル1000内に備えられた設備インフラを直接制御するか、又は設備インフラを制御する制御システムとの通信により設備インフラが制御されるようにすることができる。
【0055】
このように、クラウドサーバ20により制御されるロボットは、ビル1000を走行しながら、様々なサービスを提供することができる。
【0056】
一方、クラウドサーバ20は、データベースに保存された情報に基づいて、様々な制御を行うことができ、本発明においては、データベースの種類及び位置については特に限定しない。このようなデータベースという用語は、メモリ、保存部、ストレージ、クラウドストレージ、外部ストレージ、外部サーバなど、情報が保存される手段を意味する用語であれば、自由に変形して使用することができる。以下、「データベース」という用語に統一して説明する。
【0057】
一方、本発明によるクラウドサーバ20は、ロボットが提供するサービスの種類、ロボットに対する制御の種類など、様々な基準に基づいて、ロボットに対する分散制御を行うことができ、その場合、クラウドサーバ20には下位概念の従属的なサブサーバが存在してもよい。
【0058】
また、本発明によるクラウドサーバ20は、様々な人工知能アルゴリズムに基づいて、ビル1000を走行するロボットを制御することができる。
【0059】
さらに、クラウドサーバ20は、ロボットを制御する過程で収集されるデータを学習データとして活用する人工知能ベースの学習を行い、それをロボットの制御に活用することにより、ロボットに対する制御が行われるほど、ロボットをより正確かつ効率的に運用することができる。すなわち、クラウドサーバ20は、ディープラーニング又はマシンラーニングを行うように構成されてもよい。また、クラウドサーバ20は、シミュレーションなどによりディープラーニング又はマシンラーニングを行い、その結果として構築された人工知能モデルを用いてロボットに対する制御を行うことができる。
【0060】
一方、ビル1000には、ロボットの走行、ロボットの機能提供、ロボットの機能維持、ロボットの任務実行、又はロボットと人間の共存のために、様々な設備インフラが備えられる。
【0061】
例えば、図1の(a)に示すように、ビル1000内には、ロボットRの走行(又は移動)をサポートする様々な設備インフラ1、2が備えられる。このような設備インフラ1、2は、ビル1000の層内でロボットRの水平方向の移動をサポートするか、又はビル1000の異なる層間をロボットRが移動するように垂直方向の移動をサポートすることができる。このように、設備インフラ1、2は、ロボットの移動をサポートする運送体系を備えることができる。クラウドサーバ20は、このような様々な設備インフラ1、2を利用するようにロボットRを制御することにより、図1の(b)に示すように、ロボットRがサービスを提供するためにビル1000内を移動するようにすることができる。
【0062】
一方、本発明によるロボットは、クラウドサーバ20及びロボット自体に備えられた制御部の少なくとも1つに基づいて制御され、ビル1000内を走行するか、与えられた任務に該当するサービスを提供するように構成されてもよい。
【0063】
また、図1の(c)に示すように、本発明によるビルは、ロボットと人間が共存する建物であり、ロボットは、人間U、人間が使用する物(例えば、ベビーカー、カートなど)、動物などの障害物を避けて走行するように構成され、場合によっては、ロボットの走行に関する通知情報3を出力するように構成されてもよい。このようなロボットの走行は、クラウドサーバ20及びロボットに備えられた制御部の少なくとも1つに基づいて障害物を避けるように行われてもよい。クラウドサーバ20は、ロボットに備えられた様々なセンサ(例えば、カメラ(イメージセンサ)、近接センサ、赤外線センサなど)により受信する情報に基づいて、ロボットが障害物を避けてビル1000内を移動するようにロボットに対する制御を行うことができる。
【0064】
さらに、図1の(a)~(c)の過程を経てビル内を走行するロボットは、図1の(d)に示すように、ビル内に存在する人間又はターゲットオブジェクトにサービスを提供するように構成されてもよい。
【0065】
ロボットが提供するサービスの種類は、ロボット毎に異なる。すなわち、ロボットは用途に応じて様々な種類が存在し、ロボットは用途毎に異なる構造を有し、ロボットには用途に適したプログラムが搭載される。
【0066】
例えば、ビル1000には、配送、物流作業、案内、通訳、駐車支援、セキュリティ、防犯、警備、治安、掃除、防疫、消毒、洗濯、飲料製造、飲食製造、サービング、消火、医療支援及びエンターテイメントサービスの少なくとも1つのサービスを提供するロボットが配置される。ロボットが提供するサービスは、上記に挙げられた例以外にも様々である。
【0067】
一方、クラウドサーバ20は、ロボットのそれぞれの用途を考慮して、ロボットに適切な任務を割り当て、割り当てられた任務が行われるようにロボットに対する制御を行うことができる。
【0068】
本発明で説明されるロボットの少なくとも一部は、クラウドサーバ20の制御の下で、走行又は任務を行うことができ、その場合、ロボット自体で走行又は任務を行うために処理されるデータの量は最小限に抑えられる。本発明においては、このようなロボットをブレインレス(brainless)ロボットともいう。このようなブレインレスロボットは、ビル1000内で走行、任務実行、充電実行、待機、洗浄などの行為を行う上で、少なくとも一部の制御をクラウドサーバ20の制御に依存する。
【0069】
ただし、本明細書においては、ブレインレスロボットを区分して命名せず、全て「ロボット」に統一して命名する。
【0070】
図9図11は本発明によるロボットフレンドリービルを走行するロボットの位置を推定する方法を説明するための概念図である。
【0071】
前述したように、本発明によるビルにおいては、ビルに備えられた様々なインフラを利用して、ロボットの位置を抽出し、モニタすることができる。また、クラウドサーバ20は、このようなロボットの位置をモニタすることにより、ビル内でロボットを効率的かつ正確に制御することができる。
【0072】
本発明によるロボット制御方法について説明する前に、本発明によるロボット制御システムにより制御されるロボットについて説明する。
【0073】
図12は本発明によるロボットシステムにより制御されるロボットを説明するための概念図である。
【0074】
図12を参照すると、ロボットは、通信部1201、保存部1202、走行部1203、制御部1204及びセンサ部を含んでもよい。通信部1201及び保存部1202については前述したので、具体的な説明は省略する。
【0075】
走行部1203は、ロボットを空間内で移動させるように構成される。走行部1203は、ロボットの移動方向及び移動速度の少なくとも1つを制御できるように構成され、制御部1204は、走行部1203を制御してロボットが設定された移動経路通りに走行できるようにする。
【0076】
走行部1203は、ロボットに含まれる制御部1204及びクラウドサーバ20により制御されるようにすることができる。本明細書で別に限定しない限り、ロボットに含まれる制御部1204及びクラウドサーバ20のいずれか1つによるロボットの制御は、他の1つによっても可能である。ここで、クラウドサーバ20は、前述したように、メインサーバ及びサブサーバの少なくとも1つを含んでもよい。
【0077】
次に、制御部1204は、本発明に関するロボットの全般的な動作を制御するように構成されてもよい。制御部1204は、前述した構成要素により入力又は出力される信号、データ、情報などを処理することもでき、ユーザに適切な情報又は機能を提供又は処理することもできる。本明細書で別に限定しない限り、制御部1204とは、ロボットに備えられた制御部を意味する。
【0078】
一方、前述したように、本発明は、サーバ20に予め保存された地図情報を用いて、空間内でロボットの走行経路を設定することができる。以下、サーバ20がロボットの走行経路を設定する上で、ノードマップを活用する実施形態についてより具体的に説明する。
【0079】
図13はロボットの移動経路の設定に活用されるノードマップを説明するための概念図である。
【0080】
サーバ20は、ロボットが現在位置から特定の目的地まで移動するように制御することができる。具体的には、本発明は、ロボットの現在位置情報及び目的地位置情報を特定し、目的地に到達する経路を設定し、ロボットが設定された経路を移動して目的地に到達するように制御する。
【0081】
よって、本発明は、ロボットの走行経路を効率的に設定するための地図情報(ノードマップ)を提案する。ただし、後述する地図情報は、ロボットの走行経路を設定するために活用される地図情報の一例を説明するものにすぎず、本発明によるロボット走行制御方法が後述する地図情報によってのみ行われるわけではない。
【0082】
前述したように、サーバ20には、ビルの地図(map)(又は地図情報)が保存されてもよい。図13を参照すると、サーバ20に保存されるビルの地図は、2次元平面図の形態からなってもよいが、それに限定されるものではない。
【0083】
一方、図13のように、地図情報は、複数のノード(node)を含んでもよい。本明細書において、「ノード」とは、ロボットの移動の単位目標となる地点又は領域を意味する。ノードは、2つの情報を含んでもよい。
【0084】
第一に、ノードは、座標情報を含む。単一のノードは、地図上の特定の座標又は座標範囲を指定する。例えば、ノードは、地図上で所定の面積を有する円形の領域を指定するようにしてもよい。そのために、ノードに含まれる座標情報は、特定の座標又は座標範囲からなってもよい。すなわち、それぞれのノードは、ビルの異なる位置に対応する。
【0085】
第二に、ノードは、接続情報を含む。単一のノードは、ロボットが当該ノードから移動可能な他のノードを定義する情報を含む。接続情報は、ロボットが当該ノードから移動可能な他のノードの固有番号又は前記他のノードが指定する座標情報を含んでもよい。
【0086】
サーバ20は、ロボットがいずれか1つのノードから他の1つのノードに移動するように制御し、このような過程を繰り返してロボットが目標地点に到達するように制御する。本明細書において、ロボットが特定のノードに移動するとは、特定のノードが指定する座標情報又は座標範囲内にロボットが移動することを意味する。
【0087】
本発明は、上述した位置情報推定方法、地図情報を用いてロボットを現在位置Sから目的地Aまで移動させるための移動経路を設定し、その後ロボットに送信する。ただし、ノードマップを活用する方法は、ロボットの走行を制御する一実施形態にすぎず、本発明は、上述したノードマップ以外の他の方法によりロボットの移動経路を設定することができる。すなわち、ロボットの移動経路を設定するためのマップ(地図)の実現方式は非常に様々である。
【0088】
本明細書においては、説明の便宜上、上述したノードマップを活用して仮想の障害物の位置、形態などを特定することを説明するが、仮想の障害物に関する設定が必ずしもノードマップにより行われる必要はない。
【0089】
本発明においては、ロボットの危険度によってロボットに備えられたセンサの関心領域を調節することにより、ロボットの走行中に不要な演算が発生することを最小限に抑えるロボット制御方法を提供することができる。以下、添付図面を参照して、それについてより具体的に説明する。図14は本発明によるロボット制御方法を説明するためのフローチャートであり、図15は本発明によるロボット制御方法を示す概念図であり、図16及び図17は本発明の一実施形態による危険度の算出及び関心領域の設定を示す概念図である。
【0090】
まず、サーバ20から前記ロボットの走行経路を受信するステップが行われる(S110)。
【0091】
サーバ20は、ビルを走行するロボットに対する任務を割り当て、ロボットに対する経路計画を生成することができる。経路計画とは、ロボットが任務を行うためにビルを走行するための全域(global)経路に関する計画を意味する。このような経路計画は、ロボットが通過又は走行するビル内に備えられた複数の領域に関する情報を含んでもよい。本明細書においては、上述した経路計画をロボットの「走行経路」という。
【0092】
一実施形態として、サーバ20は、上述したノードマップを活用して走行経路を生成することができる。具体的には、サーバ20は、ノードマップに含まれる複数のノードからノードを選択し、選択されたノードの順序を設定することにより、ロボットの走行経路を生成することができる。走行経路を受信したロボットは、順序通りに配列されたノードのそれぞれに対応するビル内の領域を順次経由する。
【0093】
一方、ビル内の環境は時間の経過に応じて変化するため、ロボットが上述した走行経路に沿って走行することは難しい。例えば、サーバ20が走行経路を生成する時点で存在していない障害物がロボットの走行経路上に現れることがあり、その場合、ロボットは、新たに現れた障害物の回避のための制御を行わなければならない。
【0094】
このように、ビル内の環境がリアルタイムに変化するため、サーバ20は、ロボットの全域経路計画を立てた後、ビル内の環境をモニタし、前記全域経路計画を実行するためのロボットの制御をリアルタイムに行うことができる。具体的には、サーバ20は、ロボットの走行方向、走行速度、回転方向、回転速度、走行距離及び回転角度の少なくとも1つをリアルタイムに制御し、ロボットが全域経路計画を達成するようにすることができる。ただし、それに限定されるものではなく、前記全域経路計画を達成するためのロボットの詳細制御は、ロボットに含まれる制御部により行われるようにすることもできる。
【0095】
本明細書においては、ロボットの全域経路計画を達成するために走行方向、走行速度、回転方向、回転速度、走行距離及び回転角度の少なくとも1つをリアルタイムに制御することを、ロボットに対する「詳細走行制御」と表現する。ロボットに対する詳細走行制御は、サーバ20又はロボットに含まれる制御部により行うことができる。以下、ロボットに対する詳細走行制御をロボットに含まれる制御部により行うことを説明するが、ロボットに含まれる制御部により行うロボットの制御はサーバ20により行うこともできる。
【0096】
図15を参照すると、ロボットは、サーバから走行経路1510を受信することができる。走行経路1510は、ノードマップに基づいて生成されてもよく、その場合、走行経路1510は、ロボットが走行しなければならないノードN1、N5、N9、N10、N11、N15、N16に関する情報と、前記ノードに対する走行順序に関する情報とを含んでもよい。一方、ロボットRは、走行経路1510に沿って走行するための詳細制御を行う。ここで、ロボットは、走行経路上に位置する障害物を回避するための回避制御(1531及び1532)を行うことができる。
【0097】
一方、ロボットの詳細走行制御のために、制御部は、ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータを活用することができる。そのために、前記ロボットに備えられたセンサを用いて、前記ロボットの周辺に位置する障害物をセンシングするステップが行われる(S120)。
【0098】
前記ロボットの周辺に位置する障害物は、大きく2つで定義される。
【0099】
第一に、ロボットの周辺に位置する障害物は、ロボットの位置、ロボットの走行方向を中心に定義される。具体的には、ロボットの周辺に位置する障害物は、ロボットの位置を基準として所定距離内に位置するか、又はロボットの走行方向を基準として所定範囲内に位置する障害物であってもよい。また、ロボットの周辺に位置する障害物は、ロボットの位置を基準として所定距離内に位置し、ロボットの走行方向を基準として所定範囲内に位置する障害物であってもよい。
【0100】
第二に、ロボットの周辺に位置する障害物は、ロボットの走行経路を中心に定義される。具体的には、ロボットの周辺に位置する障害物は、ロボットの走行経路を基準として所定距離内に位置する障害物であってもよい。また、ロボットの周辺に位置する障害物は、ロボットの走行経路を基準として所定距離内に位置し、ロボットの位置を基準として所定距離内に位置する障害物であってもよい。
【0101】
一方、制御部は、ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータに基づいて、障害物をセンシングすることができる。ここで、障害物をセンシングすることは、障害物が存在するか否かを判断すること、障害物の大きさを算出すること、障害物の位置を判断すること、障害物とロボットとの相対距離を算出すること、障害物の移動方向を算出すること、及び障害物の移動速度を算出することの少なくとも1つを含んでもよい。ただし、それに限定されるものではなく、制御部は、センシングデータに基づいて、障害物に関する様々な情報を生成することができる。
【0102】
例えば、図15を参照すると、ロボットRがN1の周辺に位置する場合、N5に位置する障害物1521をセンシングするが、ロボットRから所定距離以上離れた他の障害物1522、1523、1524はセンシングしない。一方、ロボットRがN10の周辺に移動した場合、N10の周辺に位置する障害物1522、1523をセンシングするが、ロボットRから所定距離以上離れた他の障害物1521はセンシングしない。ここで、N10の周辺に位置する特定の障害物1524はセンシングしないようにすることができる。それについては後述する。
【0103】
障害物をセンシングした後、前記ロボットと前記障害物との相対距離に基づいて、前記ロボットの走行に関連する危険度を算出するステップが行われる(S130)。
【0104】
ロボットに含まれる制御部は、センシングデータを用いて、障害物とロボットとの距離を算出することができる。センシングデータから複数の障害物がセンシングされた場合、制御部は、複数の障害物のそれぞれとロボットとの相対距離を算出することができる。
【0105】
一方、前記危険度は、ロボットと障害物との相対距離に基づいて算出されてもよい。
【0106】
一実施形態において、前記危険度は、ロボットの大きさをロボットと障害物との相対距離で割った値であってもよい。ここで、ロボットの大きさは、ロボットの長さ又はロボットの幅であってもよい。
【0107】
一方、センシングデータから複数の障害物がセンシングされた場合、前記危険度は、複数の障害物のうち、予め設定された距離条件を満たすいずれか1つの障害物を基準として算出されてもよい。
【0108】
一実施形態において、センシングデータから複数の障害物がセンシングされた場合、前記危険度は、複数の障害物のうち、ロボットに最も近い障害物を基準として算出されてもよい。
【0109】
一方、前記危険度は、予め設定された条件を満たすと、アップデートされてもよい。ここで、予め設定された条件は、最後に危険度がアップデートされた時点から予め設定された時間が経過したこと、ロボットの走行速度、走行方向、回転速度及び回転方向の少なくとも1つが変化すること、並びにロボットが予め設定された距離だけ走行したことの少なくとも1つであってもよい。すなわち、危険度は、所定の周期でアップデートされるか、ロボットもしくはサーバの制御によりリアルタイムにアップデートされるか、ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータが予め設定された条件を満たすか、ロボットの走行環境が変化するか、又はロボットが所定距離以上走行した場合にアップデートされてもよい。
【0110】
例えば、図15を参照すると、ロボットRがN1の周辺に位置する場合、N5に位置する障害物1521とロボットRとの相対距離d1に基づいて危険度を算出し、ロボットRがN10の周辺に移動した場合、N10の周辺に位置する障害物1522、1523とロボットRとの相対距離d2、d3のいずれか1つを用いて危険度を算出することができる。具体的には、ロボットRに最も近い障害物1522とロボットRとの相対距離d2を危険度の算出に活用することができる。ここで、N10の周辺に位置する特定の障害物1524とロボットRとの相対距離は、算出されないか、算出されるとしても危険度の算出に活用されないようにすることができる。それについては後述する。
【0111】
次に、前記危険度に基づいて、前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定するステップが行われる(S140)。
【0112】
前記ロボットの走行に関連する関心領域は、所定の面積を有する仮想の領域であってもよい。関心領域は、ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータのうち、一部のデータを処理しないか、又は一部のデータのみを選択的に処理するために活用することができる。
【0113】
関心領域は、大きく2つの領域を含んでもよい。
【0114】
第一に、関心領域は、前記走行経路及び前記危険度に基づいて設定される第1領域を含んでもよい。関心領域の少なくとも一部は、走行経路を基準として設定されてもよい。走行経路に関連する第1領域は、走行経路に沿って設定されてもよい。
【0115】
例えば、走行経路がノードマップに基づいて生成された場合、第1領域は、ロボットが走行しなければならない複数のノードを順次結んだ線に沿って延びるように生成されてもよい。図15を参照すると、第1領域1541aは、ロボットの走行経路1510が延びる方向に生成されてもよい。ここで、第1領域は、ロボットの走行経路1510全体と重なる必要はない。
【0116】
本明細書においては、第1領域が延びる方向(走行経路方向)を第1領域の長さ方向と定義し、第1領域が長さ方向に延びた距離を第1領域の長さと定義する。一方、本明細書においては、前記長さ方向に垂直な方向を第1領域の幅方向と定義し、前記幅方向に延びた長さを第1領域の幅と定義する。
【0117】
前記第1領域の長さは、ロボットが障害物を回避するために必要な距離を基準として設定されてもよい。具体的には、ロボットが障害物を回避するために必要な距離は、ロボットの走行速度、ロボットの走行方向、前記ロボットと前記障害物との相対距離、障害物の移動速度、障害物の移動方向、及びロボットが位置するビル内の領域の構造の少なくとも1つを考慮して算出されてもよい。
【0118】
前記第1領域の幅は、前記ロボットの大きさ、前記ロボットに備えられたセンサのノイズ、及び前記危険度の少なくとも1つに基づいて設定されてもよい。具体的には、第1領域の幅は、前記ロボットが大きいほど、前記センサのノイズが大きいほど、前記危険度が高いほど、広く設定されてもよい。
【0119】
前記第1領域は、前記走行経路に応じた走行方向を基準として所定の幅及び所定の長さで規定される面積を有するように形成されてもよい。
【0120】
第二に、関心領域は、前記ロボットの大きさ、前記ロボットの走行方向、及び前記ロボットの走行速度の少なくとも1つと前記危険度に基づいて設定される第2領域を含んでもよい。関心領域の少なくとも一部は、ロボットが向かう方向を基準として設定されてもよい。具体的には、第2領域は、ロボットが向かう方向に延び、所定の幅を有してもよい。また、第2領域の位置は、ロボットの位置を基準として設定されてもよい。
【0121】
例えば、制御部は、走行経路に沿って走行するために、リアルタイムにロボットの走行方向、走行速度、回転速度及び回転方向の少なくとも1つを設定する。それにより、ロボットが走行する方向、すなわちロボットが向かう方向は、毎時間変化する。第2領域は、毎時間変化する、ロボットが向かう方向を基準として設定されてもよい。図15を参照すると、第2領域1542aは、ロボットの位置を基準として、ロボットが現在走行中の方向に延びるように設定されてもよい。
【0122】
本明細書においては、第2領域が延びる方向(ロボットが向かう方向)を第2領域の長さ方向と定義し、第2領域が長さ方向に延びた距離を第2領域の長さと定義する。一方、本明細書においては、前記長さ方向に垂直な方向を第2領域の幅方向と定義し、前記幅方向に延びた長さを第2領域の幅と定義する。
【0123】
前記第2領域の長さは、ロボットが障害物を回避するために必要な距離を基準として設定されてもよい。具体的には、ロボットが障害物を回避するために必要な距離は、ロボットの走行速度、ロボットの走行方向、前記ロボットと前記障害物との相対距離、障害物の移動速度、障害物の移動方向、及びロボットが位置するビル内の領域の構造の少なくとも1つを考慮して算出されてもよい。
【0124】
前記第2領域の幅は、前記ロボットの大きさ、前記ロボットに備えられたセンサのノイズ、及び前記危険度の少なくとも1つに基づいて設定されてもよい。具体的には、第2領域の幅は、前記ロボットが大きいほど、前記センサのノイズが大きいほど、前記危険度が高いほど、広く設定されてもよい。
【0125】
前記第2領域は、前記ロボットの走行方向を基準として所定の幅及び所定の長さで規定される面積を有するように形成されてもよい。
【0126】
上述した第1及び第2領域の少なくとも一部は重なり得る。
【0127】
最後に、前記ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータが前記関心領域に関連するものであるか否かによって、前記センシングデータに対する異なるデータ処理を行うステップが行われる(S150)。
【0128】
ロボットは、走行中に、ロボットに備えられたセンサからリアルタイムにセンシングデータを受信する。前記センサから受信したセンシングデータのうち、一部はロボットの走行に活用され、他は制御部により処理されないようにすることができる。
【0129】
前記センシングデータのうち、ロボットの走行に活用されるデータと活用されないデータとは、前記関心領域を基準として分けられてもよい。具体的には、前記センサから受信したセンシングデータが前記関心領域をセンシングしたデータである場合、前記データはロボットの走行に活用される。それとは異なり、前記センサから受信したセンシングデータが前記関心領域以外の領域をセンシングしたデータである場合、前記データはロボットの走行に活用されない。
【0130】
ここで、関心領域に関連する一部のデータは、前記ロボットに備えられたセンサから収集された、前記ロボットに備えられたセンサが検知できる領域のうち前記関心領域と重なる領域に関するセンシングデータであってもよい。
【0131】
ロボットに備えられたセンサは、所定の検知範囲を有する。それにより、ロボットの位置を基準としてロボットに備えられたセンサが検知できる領域が形成される。制御部は、センサが検知できる領域と関心領域とが重なる領域に関するセンシングデータを、関心領域に関連するデータとして判断することができる。
【0132】
制御部は、ロボットに備えられたセンサの種類、センサの位置、センサの測定範囲、センサがセンシング情報を収集する際のロボットの位置、センサがセンシング情報を収集する際のロボットが向かう方向、及びセンサから受信したセンシングデータの詳細内容の少なくとも1つを考慮して、センサから受信したセンシングデータのうち、関心領域に関連するデータに関連しないデータを区分することができる。
【0133】
一方、制御部は、前記ロボットに備えられたセンサから収集されたセンシングデータのうち、前記関心領域に関連する一部のデータに基づいて、前記ロボットの周辺に位置する障害物の回避に関する制御を行うことができる。制御部は、前記ロボットに備えられたセンサから収集されたセンシングデータのうち、前記関心領域に関連する一部のデータを用いて、関心領域に位置する障害物をセンシングする。具体的には、制御部は、前記関心領域に関連する一部のデータを用いて、関心領域内に障害物が存在するか否か、障害物の位置、大きさ、種類及び移動方向の少なくとも1つを判断することができる。
【0134】
一方、制御部は、関心領域に関連するセンシングデータのみを選択的に処理するため、関心領域の広さによって制御部が処理しなければならないセンシングデータのデータ量が異なる。具体的には、前記関心領域の広さが第1値である場合、前記関心領域に関連するセンシングデータを用いてロボットの走行に関する制御を行うステップで用いられるセンシングデータの量は第1データ量であり、前記関心領域の広さが前記第1値より大きい第2値である場合、前記関心領域に関連するセンシングデータを用いてロボットの走行に関する制御を行うステップで用いられるセンシングデータの量は前記第1データ量より大きい第2データ量である。すなわち、本発明は、関心領域の面積が大きいほどさらに多い量のセンシングデータをロボットの走行に関する制御に活用することができる。
【0135】
その後、制御部は、関心領域内に障害物が存在するか否か、障害物の位置、大きさ、種類及び移動方向の少なくとも1つに基づいて、関心領域内に位置する障害物を回避するための制御を行うことができる。
【0136】
一実施形態において、制御部は、関心領域内に障害物が存在するか否か、障害物の位置、大きさ、種類及び移動方向の少なくとも1つに基づいて、ロボットの走行速度、走行方向、回転速度、回転方向及び走行距離の少なくとも1つを設定して、ロボットが関心領域内に位置する障害物を回避して走行できるようにすることができる。
【0137】
他の一実施形態において、制御部は、関心領域内に障害物が存在するか否か、障害物の位置、大きさ、種類及び移動方向の少なくとも1つに基づいて、ロボットの走行速度、走行方向、回転速度、回転方向及び走行距離の少なくとも1つを設定して、障害物を回避するための短期走行経路を設定することができる。ここで、前記短期走行経路は、ロボットが関心領域内の障害物を回避した後に既存の走行経路に復帰するようにする経路であってもよい。
【0138】
一方、制御部は、関心領域に関連するセンシングデータ以外のセンシングデータに対しては別の処理を行わないようにすることができる。それにより、ロボットの周辺に障害物が位置しても、関心領域外に位置する場合、ロボットは当該障害物に対する対応をしない。
【0139】
一方、前記ロボットの周辺に位置する障害物の回避に関する制御は、前記ロボットに備えられたセンサから収集されたセンシングデータのうち、前記第1領域に関連するデータ及び前記第2領域に関連するデータのそれぞれに基づいて行われてもよい。制御部は、前記ロボットに備えられたセンサから前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも1つに位置する障害物が検知された場合、前記関心領域に位置する障害物の回避に関する制御を行うことができる。
【0140】
一方、前記関心領域に関連するデータは、前記関心領域に位置する関心対象障害物をセンシングしたセンシングデータであってもよい。制御部は、関心領域に関連する障害物に関するセンシングデータのみを活用して、前記関心領域に関連する障害物の回避に関する制御を行うことができる。ここで、関心領域に関連する障害物とは、前記関心領域内に位置する障害物を意味する。
【0141】
本明細書において、前記関心領域内に位置する障害物を「関心対象障害物」という。関心対象障害物は、ロボットの走行時に関心を持たなければならない障害物であって、前記関心領域内に位置するか、又は前記関心領域に関する距離条件を満たす障害物であってもよい。
【0142】
一実施形態において、関心対象障害物は、障害物の全ての部位が関心領域内に位置する障害物であるか、又は障害物の少なくとも一部が関心領域内に位置する障害物であってもよい。
【0143】
他の一実施形態において、関心対象障害物は、関心領域から予め設定された距離内に位置する障害物であってもよい。
【0144】
制御部は、前記ロボットに備えられたセンサから、前記関心領域から外れた領域に位置する非関心対象障害物に関するセンシングデータを受信しても、前記非関心対象障害物に関するセンシングデータを前記障害物の回避に関する制御に用いないようにすることができる。
【0145】
上述したように、本発明は、関心領域に関連する関心対象障害物のみを選択的に考慮してロボットの走行を制御することにより、ロボットの走行時演算を最小限に抑えることができる。
【0146】
例えば、図15を参照すると、ロボットRがN1の周辺に位置する場合、制御部は、ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータのうち、関心領域1541a、1542aに関連するセンシングデータを用いて、前記関心領域1541a、1542a内に位置する障害物1521をセンシングする。制御部は、関心領域1541a、1542a内に位置する障害物1521を回避するための制御を行う。それにより、ロボットRは、関心領域1541a、1542a内に位置する障害物1521を回避する経路1531を走行する。
【0147】
一方、ロボットRがN10の周辺に位置する場合、制御部は、ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータのうち、関心領域1541b、1542bに関連するセンシングデータを用いて、前記関心領域1541b、1542b内に位置する複数の障害物1522、1523をセンシングする。制御部は、関心領域1541b、1542b内に位置する複数の障害物1522、1523を回避するための制御を行う。ここで、制御部は、関心領域外に位置する障害物1524に関連するセンシングデータを受信しても、別の処理を行わないようにすることができる。制御部は、関心領域外に位置する障害物1524を考慮せず、障害物の回避のための制御を行う。それにより、ロボットRは、関心領域1541b、1542b内に位置する複数の障害物1522、1523を回避する経路1532を走行する。
【0148】
上述したように、本発明は、危険度に基づいて設定された関心領域に関連するセンシングデータのみを選択的に活用し、関心領域に関連しないセンシングデータは活用しないことにより、ロボットの走行時に不要な演算を最小限に抑えることができる。
【0149】
また、本発明は、関心領域の設定の基盤となる危険度をロボットと障害物との距離に基づいて設定することにより、ロボットと障害物との距離が相対的に近い場合、障害物の周辺領域に関するセンシングデータまで障害物の回避のための制御に活用し、ロボットと障害物との距離が相対的に遠い場合、障害物が位置する領域に関するセンシングデータのみを考慮してロボットの走行制御を行うことにより、ロボットの現在の状況に応じて処理しなければならないセンシングデータの量を変化させることができる。それにより、本発明は、ロボットの状況に応じて最適な演算量で障害物の回避のための制御を行えるようにする。
【0150】
一方、本発明は、ロボットの走行に関連する危険度の算出時に関心領域を活用する。具体的には、制御部は、ロボットの大きさ、走行経路、走行方向及び走行速度の少なくとも1つに基づいて、基本関心領域を設定することができる。
【0151】
基本関心領域は、ロボットが駆動を開始するか、又はロボットの周辺で障害物が検知されないとき、基本値として設定される領域である。前記基本関心領域は、危険度に基づいて設定されるのではなく、ロボットの走行経路及びロボットが向かう方向に基づいて設定されてもよい。
【0152】
基本関心領域は、上述した関心領域と同様に、2つの領域を含んでもよい。
【0153】
第一に、基本関心領域は、前記走行経路に基づいて設定される第1領域を含んでもよい。基本関心領域の少なくとも一部は、走行経路を基準として設定されてもよい。走行経路に関連する第1領域は、走行経路に沿って設定されてもよい。
【0154】
本明細書においては、第1領域が延びる方向(走行経路方向)を第1領域の長さ方向と定義し、第1領域が長さ方向に延びた距離を第1領域の長さと定義する。一方、本明細書においては、前記長さ方向に垂直な方向を第1領域の幅方向と定義し、前記幅方向に延びた長さを第1領域の幅と定義する。
【0155】
前記第1領域の長さは、ロボットの走行状態のみを考慮してロボットが障害物を回避するために必要な距離を基準として設定されてもよい。具体的には、ロボットが障害物を回避するために必要な距離は、ロボットの走行速度、ロボットの走行方向、及びロボットが位置するビル内の領域の構造の少なくとも1つを考慮して算出されてもよい。
【0156】
前記第1領域の幅は、前記ロボットの大きさ、及び前記ロボットに備えられたセンサのノイズの少なくとも1つに基づいて設定されてもよい。具体的には、第1領域の幅は、前記ロボットが大きいほど、前記センサのノイズが大きいほど、広く設定されてもよい。
【0157】
第二に、基本関心領域は、前記ロボットの大きさ、前記ロボットの走行方向、及び前記ロボットの走行速度の少なくとも1つに基づいて設定される第2領域を含んでもよい。基本関心領域の少なくとも一部は、ロボットが向かう方向を基準として設定されてもよい。具体的には、第2領域は、ロボットが向かう方向に延び、所定の幅を有してもよい。また、第2領域の位置は、ロボットの位置を基準として設定されてもよい。
【0158】
本明細書においては、第2領域が延びる方向(ロボットが向かう方向)を第2領域の長さ方向と定義し、第2領域が長さ方向に延びた距離を第2領域の長さと定義する。一方、本明細書においては、前記長さ方向に垂直な方向を第2領域の幅方向と定義し、前記幅方向に延びた長さを第2領域の幅と定義する。
【0159】
前記第2領域の長さは、ロボットの走行状態のみを考慮してロボットが障害物を回避するために必要な距離を基準として設定されてもよい。具体的には、ロボットが障害物を回避するために必要な距離は、ロボットの走行速度、ロボットの走行方向、及びロボットが位置するビル内の領域の構造の少なくとも1つを考慮して算出されてもよい。
【0160】
前記第2領域の幅は、前記ロボットの大きさ、及び前記ロボットに備えられたセンサのノイズの少なくとも1つに基づいて設定されてもよい。具体的には、第2領域の幅は、前記ロボットが大きいほど、前記センサのノイズが大きいほど、広く設定されてもよい。
【0161】
基本関心領域に含まれる第1及び第2領域は互いに重なり得る。
【0162】
基本関心領域は、危険度の算出が行われていなくても、ロボットの制御に活用することができる。具体的には、基本関心領域は、上述した関心領域と同様に、ロボットに備えられたセンサから収集されたセンシングデータのうちの一部のみを選択的に活用するために活用するか、又は危険度の算出のための障害物を特定するために活用することができる。
【0163】
一方、前記危険度は、前記基本関心領域に位置する障害物と前記ロボットとの相対距離に基づいて算出されてもよい。すなわち、基本関心領域外に位置する障害物は、危険度の算出時に考慮されなくてもよい。
【0164】
一実施形態において、図16の(a)を参照すると、制御部は、第1領域1641a及び第2領域1642aからなる基本関心領域外に位置する障害物1621a、1622aに関連するセンシングデータは危険度の算出に活用しない。制御部は、基本関心領域外に位置する障害物1621a、1622aとロボットとの距離を算出しない。それにより、図16の(a)の状況では、危険度が算出されない。
【0165】
一実施形態において、図16の(b)を参照すると、制御部は、第1領域1641b及び第2領域1642bからなる基本関心領域外に位置する障害物1622bに関連するセンシングデータは危険度の算出に活用せず、第1領域1641b内に位置する障害物1621bに関連するセンシングデータのみを危険度の算出に選択的に活用する。制御部は、基本関心領域外に位置する障害物1622bとロボットとの距離を算出せず、第1領域1641b内に位置する障害物1621bとロボットとの距離d4のみを算出する。それにより、図16の(b)の状況では、第1領域1641b内に位置する障害物1621bとロボットとの距離d4に基づいて危険度が算出される。
【0166】
一実施形態において、図16の(c)を参照すると、制御部は、第1領域1641c及び第2領域1642cからなる基本関心領域外に位置する障害物1621cに関連するセンシングデータは危険度の算出に活用せず、第2領域1642c内に位置する障害物1622cに関連するセンシングデータのみを危険度の算出に選択的に活用する。制御部は、基本関心領域外に位置する障害物1621cとロボットとの距離を算出せず、第2領域1642c内に位置する障害物1622cとロボットとの距離d5のみを算出する。それにより、図16の(c)の状況では、第2領域1642c内に位置する障害物1622cとロボットとの距離d5に基づいて危険度が算出される。
【0167】
一実施形態において、図16の(d)を参照すると、制御部は、第1領域1641d及び第2領域1642dに位置する障害物1621d、1622dに関連するセンシングデータを危険度の算出に活用する。制御部は、第1領域1641d内に位置する障害物1621dとロボットとの距離d6及び第2領域1642d内に位置する障害物1622dとロボットとの距離d7を算出する。その後、制御部は、距離d6及び距離d7のうち小さい値を有するd7に基づいて危険度が算出される。
【0168】
一方、制御部は、前記危険度に基づいて、前記基本関心領域が拡大又は縮小されるように、前記基本関心領域をアップデートすることができる。上述した前記ロボットの走行に関連する関心領域を設定するステップ(S140)は、基本関心領域をアップデートするステップであり得る。
【0169】
予め設定された条件を満たす場合、前記危険度は再算出され、前記危険度が再算出された場合、前記関心領域は前記再算出された危険度に基づいてアップデートされるようにしてもよい。
【0170】
前記予め設定された条件は、最後に危険度がアップデートされた時点から予め設定された時間が経過したこと、ロボットの走行速度、走行方向、回転速度及び回転方向の少なくとも1つが変化すること、並びにロボットが予め設定された距離だけ走行したことの少なくとも1つであってもよい。すなわち、危険度は、所定の周期でアップデートされるか、ロボットもしくはサーバの制御によりリアルタイムにアップデートされるか、ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータが予め設定された条件を満たすか、ロボットの走行環境が変化するか、又はロボットが所定距離以上走行した場合にアップデートされてもよい。
【0171】
前記関心領域は、前記再算出された危険度に基づいてアップデートされてもよい。ここで、前記アップデートは、ロボットの関心領域が基本関心領域に設定された状態で危険度に基づく関心領域にアップデートされるか、又は危険度に基づいて設定された関心領域から再算出された危険度に基づく関心領域にアップデートされてもよい。
【0172】
例えば、図17の(a)を参照すると、ロボットは、基本関心領域内で障害物を検知した場合、検知した障害物1721aとロボットとの距離d8に基づいて危険度を算出し、距離d8に基づいて基本関心領域をアップデートすることができる。アップデートされた関心領域は、基本関心領域と同様に、第1領域1741a及び第2領域1742aを含み、第1領域1741aは、基本関心領域に含まれる第1領域を拡大又は縮小して設定され、第2領域1742aは、基本関心領域に含まれる第2領域を拡大又は縮小して設定されてもよい。
【0173】
一方、関心領域をアップデートすることによって、第1領域の長さL3及び幅W3と第2領域の長さL3’及び幅W3’が設定され、前記設定された長さ及び幅は、既存の関心領域に含まれる第1及び第2領域の長さ及び幅とは異なり得る。
【0174】
一方、図17の(a)と(b)とを比較すると、図17の(b)に示す障害物とロボットとの距離d9は図17の(a)の場合より短い。その場合、関心領域に含まれる第1領域の長さL4及び幅W4と第2領域の長さL4’及び幅W4’がそれに対応する図17の(a)の第1及び第2領域より大きくなる。
【0175】
一方、前記危険度の再算出時、前記関心領域に関連するセンシングデータが予め設定された障害物条件を満たすと、制御部は、ロボットの関心領域を前記基本関心領域に設定することができる。ここで、予め設定された障害物条件は、前記関心領域内で障害物が検知されないことであってもよい。すなわち、制御部は、関心領域内で障害物が検知されない場合、ロボットの関心領域を基本値に設定することができる。
【0176】
上述したように、本発明は、関心領域を周期的にアップデートすることにより、リアルタイムに変化するビル内の環境でロボットが最小限の演算だけで障害物を回避できるようにする。
【0177】
一方、前記関心領域及び前記基本関心領域は、ビル内の環境、ロボットの任務を考慮して設定することができる。以下、ビル内の環境、ロボットの任務を考慮して関心領域及び基本関心領域を設定する実施形態について説明する。
【0178】
図18は動く障害物を考慮して関心領域を設定する一実施形態を示す概念図であり、図19はビル内の混雑度を考慮して関心領域を設定する一実施形態を示す概念図であり、図20はロボットの任務を考慮して関心領域を設定する一実施形態を示す概念図である。
【0179】
制御部は、ロボットに備えられたセンサから受信したセンシングデータから動く障害物が検知された場合、前記動く障害物が関心領域内に位置するか否かに関係なく、関心領域をアップデートすることができる。具体的には、制御部は、ロボットに備えられたセンサの検知範囲内で動く障害物が検知された場合、関心領域の大きさを拡大することができる。
【0180】
例えば、図18を参照すると、ロボットが予め設定された走行経路1810に沿って走行中に、動く障害物1822を検知した場合、関心領域の大きさを拡大する。それにより、既存の関心領域に含まれる第1領域1841aの長さL5及び幅W5が長さL6及び幅W6に増加し、第2領域1842aの長さL5’及び幅W5’が長さL6’及び幅W6’に増加する。
【0181】
上述したように、本発明は、移動する障害物が検知された場合、関心領域を拡大することにより、ロボットが動く障害物に備えることができるようにする。
【0182】
一方、制御部は、サーバからビル内の混雑度に関する情報を受信し、ビル内の混雑度に基づいて関心領域をアップデートすることができる。具体的には、制御部は、ビル内の混雑度が高いほど、関心領域の大きさを拡大することができる。制御部は、センシングデータに基づいて算出された危険度が同じであっても、ビル内の混雑度が高い場合、関心領域の面積を大きく設定することができる。
【0183】
例えば、図19を参照すると、ロボットが予め設定された走行経路1910に沿って走行中に、ビル内の障害物1922~1924が増加することによって、ビル内の混雑度が広くなる。サーバは、ビル内に設置されたCCTV1951~1953を介して受信した映像を用いてビル内の障害物の数を算出し、障害物の数に基づいてビル内の混雑度を算出することができる。前記算出された混雑度は、ビル内で走行するロボットに送信することができる。ロボットがサーバから混雑度情報を受信することによって、制御部は、受信した混雑度情報に基づいて関心領域を拡大又は縮小することができる。図19の場合、ビル内の混雑度が増加することによって、制御部は、関心領域の大きさを拡大する。それにより、既存の関心領域に含まれる第1領域1941aの幅W7が幅W8に増加し、第2領域1942aの幅W7’が幅W8’に増加する。
【0184】
上述したように、本発明は、ビル内の混雑度に基づいて関心領域の大きさを調整することにより、ビル内の環境をリアルタイムに反映してロボットの演算量を調整するようにすることができる。
【0185】
一方、制御部は、サーバからロボットの任務情報を受信し、ロボット任務に基づいて関心領域をアップデートすることができる。具体的には、制御部は、ロボットの任務によって関心領域を拡大又は縮小することができる。
【0186】
例えば、図20を参照すると、ロボットが予め設定された走行経路2010に沿って走行中に、サーバから新たな任務情報を受信し、任務実行のために体積の大きい物品を搭載することができる。制御部は、ロボットに与えられた任務が物品を移送する任務であることを考慮して、関心領域の大きさを拡大することができる。それにより、既存の関心領域に含まれる第1領域2041aの幅W9が幅W10に増加し、第2領域2042aの幅W9’が幅W10’に増加する。
【0187】
上述したように、本発明は、ロボットの任務に基づいて関心領域の大きさを調整することにより、ロボットの任務実行状態をリアルタイムに反映してロボットの演算量を調整するようにすることができる。
【0188】
以下、ロボットに備えられたセンサの検知範囲内でロボットの関心領域に対応するセンシングデータのみを選択的に活用する実施形態についてより具体的に説明する。
【0189】
図21図23はロボットに備えられたセンサの検知範囲内でロボットの関心領域に対応するセンシングデータのみを選択的に活用する実施形態を示す概念図である。
【0190】
前述したように、制御部は、関心領域に位置する障害物に関するセンシングデータのみを選択的にロボットの走行に関する制御に活用する。図21を参照すると、ロボットRに備えられたセンサの検知範囲は、ロボットを囲む仮想の円2160で特定されてもよい。ロボットRは、センサの検知範囲2160内の全ての障害物を検知し、検知された障害物を考慮して走行に関する制御を行うことができる。しかし、ロボットが予め設定された走行経路を走行する上で、一部の障害物2122、2123は考慮する必要がない。ロボットが走行経路に沿って走行するためには、関心領域2141、2142内に位置する障害物2121のみ回避すれば十分である。
【0191】
一方、図22の(a)を参照すると、ロボットが関心領域内に位置する障害物2221に関連するセンシングデータのみを選択的に考慮し、関心領域外に位置する障害物2222、2223を考慮せず、走行に関する制御を行う場合、一部の障害物との衝突が発生し得る。
【0192】
具体的には、図23の(a)を参照すると、関心領域内に位置する障害物2321に非常に隣接して配置された障害物2322を考慮せず、関心領域内に位置する障害物2321に対する回避経路2330aを設定した場合、関心領域内に位置する障害物2321に非常に隣接して配置された障害物2322とロボットが衝突し得る。
【0193】
それを防止するために、本発明は、障害物とロボットとの距離が近くなると、障害物の周辺状況まで考慮して回避のための制御を行うことができる。
【0194】
例えば、図22の(b)を参照すると、ロボットの関心領域内に位置する障害物2221とロボットとの距離が近くなることによって、ロボットの危険度が増加し、それにより関心範囲の広さが拡大される。それにより、制御部は、関心領域内に位置する障害物2221、及び障害物2221に非常に隣接して配置された障害物2222のそれぞれに関するセンシングデータを考慮して回避制御を行う。
【0195】
具体的には、図23の(b)を参照すると、制御部は、アップデートされた関心領域内に位置する障害物2321、2322を考慮して回避経路2330bを設定することにより、ロボットが隣接する2つの障害物を全て回避するようにすることができる。
【0196】
一方、前記関心領域は、ロボットの走行状況に応じて変更することができる。以下、ロボットの走行状況に応じて関心領域を変更する一実施形態について具体的に説明する。
【0197】
図24はロボットの走行速度に応じて関心領域を変更する一実施形態を示す概念図であり、図25はロボットが走行経路に沿って走行しながら関心領域を変更する一実施形態を示す概念図であり、図26A図26Cは関心領域が変更されることによって危険度の算出に活用される障害物が変更される一実施形態を示す概念図である。
【0198】
関心領域に含まれる第1及び第2領域の長さは、ロボットの走行速度に応じて変更される。具体的には、ロボットの走行速度が速いほど、関心領域に含まれる第1及び第2領域の長さが長くなる。制御部は、ロボットが走行経路に沿って走行するように、所定の周期毎にロボットの走行速度を設定することができる。制御部は、ロボットの走行速度を再設定する度に危険度を再算出し、再算出された危険度に基づいて関心領域をアップデートすることができる。ここで、制御部は、再設定されたロボットの走行速度に基づいて関心領域に含まれる第1及び第2領域の長さを設定することができる。
【0199】
例えば、図24を参照すると、ロボットが1m/sで走行中に、制御部は、ロボットの走行速度を2m/sに再設定し、危険度を再算出し、それに基づいて関心領域をアップデートすることができる。制御部は、ロボットの走行速度が増加することに基づいて、関心領域に含まれる第1及び第2領域の長さを増加させることができる。ロボットの走行速度が2m/sに設定された場合の第1及び第2領域2441b、2442bの長さL8、L8’は、ロボットの走行速度が1m/sに設定された場合の第1及び第2領域2441a、2442aの長さL7、L7’より長い。
【0200】
一方、制御部は、ロボットの関心領域内で障害物が検知されない場合、ロボットの関心領域を基本関心領域に設定することができる。具体的には、障害物とロボットとの相対距離に基づいて危険度を算出する場合、危険度の算出のためには、関心領域内に障害物が必ず存在しなければならない。制御部は、ロボットの関心領域内で障害物が検知されない場合、危険度を算出することができないので、ロボットの関心領域を基本関心領域に設定する。
【0201】
例えば、図25を参照すると、ロボットが走行経路2510上に位置する障害物2522に対する回避経路2530を生成し、回避経路2530に沿って走行してN5に到達する場合、ロボットの関心領域内には障害物が位置しなくなる。それにより、制御部は、ロボットの関心領域を基本関心領域に変更する。それにより、変更された関心領域の第1及び第2領域2541b、2542bの幅W15、W15’は、ロボットが障害物2522を回避する際の関心領域に含まれる第1及び第2領域2541a、2542aの幅W14、W14’より狭くなる。
【0202】
一方、関心領域が変更されることによって危険度の算出に活用される障害物が変更される。具体的には、制御部は、関心領域内に位置する障害物とロボットとの相対距離に基づいて危険度を算出する。関心領域がアップデートされることによって、関心領域内に新たな障害物が位置するか、又は特定の障害物がそれ以上関心領域内に位置しなくなった場合、制御部は、アップデートされた関心領域内に位置する障害物を基準として危険度を再算出することができる。
【0203】
例えば、図26A及び図26Bを参照すると、制御部は、第1関心領域2641a、2642a内に位置する特定の障害物2622とロボットとの距離d10に基づいて関心領域をアップデートする。第1関心領域をアップデートして生成された第2関心領域に含まれる第1及び第2領域2641b、2642bの幅W17、W17’は、第1関心領域に含まれる第1及び第2領域2641a、2642aの幅W16、W16’より広くなる。それにより、関心領域内に新たな障害物2621が位置する。新たな障害物2621とロボットとの距離d11は、前記危険度の算出に活用された、特定の障害物2622とロボットとの距離d10より短いので、制御部は、新たな障害物2621とロボットとの距離d11を基準として危険度を再算出し、関心領域をアップデートする。それにより、図26Cを参照すると、関心領域に含まれる第1及び第2領域2641c、2642cの幅W18、W18’が広くなる。
【0204】
上述したように、本発明は、ビル内の環境、ロボットの走行状況の変化に応じてロボットの関心領域をアップデートすることにより、ロボットが最小限の演算だけでビル内に位置する障害物を安全に回避するようにすることができる。
【0205】
一方、前述した本発明は、コンピュータで1つ以上のプロセスにより実行され、コンピュータ可読媒体に格納可能なプログラムとして実現することができる。
【0206】
また、前述した本発明は、プログラム記録媒体にコンピュータ可読コード又はコマンドとして実現することができる。すなわち、本発明による様々な制御方法は、まとめて又は個別にプログラムの形態で提供することができる。
【0207】
一方、コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステムにより読み取り可能なデータが記録されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータ可読媒体の例としては、HDD(ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive))、SSD(ソリッドステートディスク(Solid State Disk))、SDD(シリコンディスクドライブ(Silicon Disk Drive))、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ記憶装置などが挙げられる。
【0208】
また、コンピュータ可読媒体は、ストレージを含み、電子機器が通信によりアクセスできるサーバ又はクラウドストレージであり得る。その場合、コンピュータは、有線又は無線通信により、サーバ又はクラウドストレージから本発明によるプログラムをダウンロードすることができる。
【0209】
さらに、本発明において、前述したコンピュータは、プロセッサ、すなわち中央処理装置(Central Processing Unit,CPU)が搭載された電子機器であり、その種類は特に限定されない。
【0210】
一方、本発明の詳細な説明は例示的なものであり、あらゆる面で限定的に解釈されてはならない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲の合理的解釈により定められるべきであり、本発明の等価的範囲内でのあらゆる変更が本発明の範囲に含まれる。
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【国際調査報告】