(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】IL-4Rアンタゴニストを投与することによって結節性痒疹を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241018BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241018BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241018BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241018BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P17/00
A61P37/06
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523646
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022078341
(87)【国際公開番号】W WO2023069976
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・ラウズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・オマリー
(72)【発明者】
【氏名】ナイミッシュ・パテル
(72)【発明者】
【氏名】エリベルト・シュタウディンガー
(72)【発明者】
【氏名】アシッシュ・バンサル
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC01
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG04
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
対象における結節性痒疹(PN)を治療又は予防する方法が提供される。インターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体又はその抗原結合断片)を含む治療組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量約600mg、並びに
約300mgの前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記二次用量が隔週(q2w)で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
低~中程度の効力の局所コルチコステロイド及び/又は局所カルシニューリン阻害剤に対する結節性痒疹患者の依存性を軽減又は排除する、結節性痒疹の治療方法であって、
(a)低~中程度の効力の局所コルチコステロイド及び/又は局所カルシニューリン阻害剤を含むバックグラウンド療法で制御されていない結節性痒疹患者を選択すること;
(b)インターロイキン4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の定義された用量を、初期治療期間の間、前記患者のバックグラウンド療法を維持しながら、前記初期治療期間の間、定義された頻度で前記患者に投与すること;及び
(c)前記初期治療期間中に使用される定義された頻度及び用量で前記抗体又はその抗原結合断片を投与し続けながら、その後の治療期間の経過にわたって前記患者に投与される低~中程度の効力の局所コルチコステロイド及び/又は局所カルシニューリン阻害剤の投与量を徐々に低下又は排除することを含み、
前記抗体又はその抗原結合断片が、配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む、方法。
【請求項4】
前記抗体又はその抗原結合断片が、初期用量の後に1つ以上の二次用量として前記対象に投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記初期用量が約300mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記初期用量が約600mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記二次用量が隔週(q2w)で投与される、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量、並びに
前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量を前記対象に投与することを含み、
前記抗体又はその抗原結合断片による前記治療が、超効力な局所コルチコステロイドレスキュー薬による前記対象の治療の必要性の低下をもたらす、方法。
【請求項9】
前記初期用量が約300mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記初期用量が約600mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記二次用量が隔週(q2w)で投与される、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
対象の結節性痒疹に関連する掻痒症を治療する方法であって、
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量、並びに
前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量を前記対象に投与することを含み、
前記抗体又はその抗原結合断片による前記治療が、超効力な局所コルチコステロイドレスキュー薬による前記対象の治療の必要性の低下をもたらす、方法。
【請求項13】
前記初期用量が約300mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記初期用量が約600mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記二次用量が隔週(q2w)で投与される、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記掻痒症が局所療法に対して難治性である、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量、並びに
前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量を前記対象に投与することを含み、
前記抗体又はその抗原結合断片による前記治療が、全身性免疫抑制剤による前記対象の治療の必要性の低下をもたらす、方法。
【請求項18】
前記初期用量が約300mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記初期用量が約600mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記二次用量が隔週(q2w)で投与される、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量、並びに
前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量を前記対象に投与することを含み、
前記治療が、前記対象に最悪かゆみ数値評価尺度(WI-NRS)スコアの低下をもたらす、方法。
【請求項22】
WI-NRSスコアの前記低下が、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
WI-NRSスコアの前記低下が12週間の治療で起こる、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
WI-NRSスコアの前記低下が24週間の治療で起こる、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
前記初期用量が約300mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記初期用量が約600mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記二次用量が隔週(q2w)で投与される、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量、並びに
前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量を前記対象に投与することを含み、
前記治療が、前記対象の結節性痒疹に対する治験責任医師の総合評価(IGA PN)スコアの低下をもたらす、方法。
【請求項29】
IGA PNスコアの前記低下が、5、4、3、2、及び1からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が0又は1のIGA PNスコアを達成する、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
IGA PNスコアの前記低下が12週間の治療で起こる、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
IGA PNスコアの前記低下が24週間の治療で起こる、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記初期用量が約300mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記初期用量が約600mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記二次用量が隔週(q2w)で投与される、請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量、並びに
前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量を前記対象に投与することを含み、
前記対象が併存軽度アトピー性皮膚炎を有する、方法。
【請求項37】
前記初期用量が約300mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記初期用量が約600mgであり、各二次用量が約300mgである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記二次用量が隔週(q2w)で投与される、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、以前に中度~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されたことがある、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が、7以上であるベースラインWI-NRSスコアを有する、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象が、ベースラインで両方の脚、並びに/又は両方の腕及び/若しくは体幹に合計で最小20個のPN結節を有する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、局所療法では十分に制御されないPNを有するか、又はそれらの療法が推奨できない場合の、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記対象が全身療法の候補である、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記抗体又はその抗原結合断片が、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記抗体がデュピルマブである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗体又はその抗原結合断片が、自己注射器、針及び注射器、又はペンを用いて投与される、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗体又はその抗原結合断片がプレフィルド装置を使用して投与される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記抗体又はその抗原結合断片が皮下投与される、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項51】
前記対象が成人である、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、
結節性痒疹を有する対象を選択すること;及び
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の約600mgの初期用量及び約300mgの前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項53】
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、約600mgの前記抗体又はその前記抗原結合断片の初期用量と、約300mgの前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量とを含む、結節性痒疹の治療における使用のための、抗体又はその抗原結合断片。
【請求項54】
配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の使用であって、前記使用が、約600mgの前記抗体又はその前記抗原結合断片の初期用量と、約300mgの前記抗体又はその前記抗原結合断片の1つ以上の二次用量とを投与することを含む、結節性痒疹の治療のための医薬の製造のための、抗体又はその抗原結合断片の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年10月20日に出願された米国仮特許出願第63/257,876号、2022年1月18日に出願された米国仮特許出願第63/300,492号、及び2022年3月4日に出願された欧州特許第22315048.3号の利益を主張し、これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、それを必要とする対象における結節性痒疹(PN)の治療及び/又は予防に関する。本開示は、それを必要とする対象におけるPNを治療又は予防するためのインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストの投与に関する。
【背景技術】
【0003】
結節性痒疹(PN)は、四肢の対称的に分布した領域における複数の強くかゆみのある皮膚発疹を特徴とする皮膚疾患である(Zeidler C、et al.Chronic prurigo of nodular type:A Review.Acta Dermatol Venereol 2018;98(2):173-9)。主な症状は、長期にわたる反復的で制御不能の擦過、掻破及び制御不能のかゆみであり、これは皮膚上の角質増殖性のびらん性丘疹及び結節をもたらす。慢性痒疹について広く受け入れられている定義が、欧州皮膚病学会(European Academy of Dermatology and Venereology)(EADV)によって発表されている(Pereira MP、et al.European academy of dermatology and venereology European prurigo project:expert consensus on the definition、classification and terminology of chronic prurigo.J Eur Acad Dermatol Venereol.2018;32(7):1059-65)。招聘された専門家は、慢性痒疹を臨床症状の範囲の包括的用語として使用すべきであることに同意した(例えば、丘疹型、結節型、斑型又は臍状型)。結節性痒疹は、6週間以上にわたる慢性掻痒の存在、繰り返しの掻破の病歴及び/又は徴候、並びに複数の限局性/全身性の痒疹性皮膚病変(白っぽい、色素過剰の、又はピンク色の丘疹、結節及び/又はプラーク)によって定義される明確な疾患と考えられる。
【0004】
これは治療が困難であり、高い疾患負荷を伴う。患者の約50%は、アトピー性皮膚炎(AD)又は他のアトピー性障害の過去又は現在の病歴を有する(Iking A、et al.、Staender S.Prurigo as a symptom and non-atopic diseases:aetiological survey in a consecutive cohort of 108 patients。J Eur Acad Dermatol Venereol 2013;27(5):550-7)。
【0005】
かゆみの中心的症状のために、PNは疾患の大きな負担を伴う。(Pereira MP、et al.European academy of dermatology and venereology European prurigo project:expert consensus on the definition、classification and terminology of chronic prurigo.J Eur Acad Dermatol Venereol 2018;32(7):1059-65)。PNによるクオリティオブライフへの影響は、AD及び乾癬のような他の一般的な皮膚障害よりも高いことが報告されている(Steinke S、et al.Humanistic burden of chronic pruritus in patients with inflammatory dermatoses:Results of the European Academy of Dermatology and Venereology Network on Assessment of Severity and Burden of Pruritus(PruNet)cross-sectional trial.J Am Acad Dermatol 2018;79(3):457-63)。患者は、恒常的なかゆみによる慢性的な睡眠不足;患部における持続的な灼熱感、刺痛及び疼痛;並びに慢性的なうつ病、不安、怒り、嫌悪、及び羞恥を報告し;したがって、全体として、クオリティオブライフに大きな影響を与える。Johns Hopkins病院システムにおける909人の成人PN患者に関する5年間の断面試験によると(Boozalis E、et al.Ethnic differences and comorbidities of 909 prurigo nodularis patients J Am Acad Dermatol 2018;79(4):714-9)、PNは、不安症及びうつ病などの気分障害の重要な寄与因子である。
【0006】
PNの疫学に関するデータは限られている。ほとんどの研究は、50歳を超える年齢の中央値を有する高齢患者の優位性を示している(Iking A、et al.Prurigo as a symptom of atopic and non-atopic diseases:aetiological survey in a consecutive cohort of 108 patients.J Eur Acad Dermatol Venereol.2013;27(5):550-7)。結節性痒疹は、若年患者では時折しか観察されず、若年患者ではアトピー性症状に関連することが多い(Tanaka M、et al.Prurigo nodularis consists of two distinct forms:early-onset atopic and late-onset non-atopic.Dermatology.1995;190(4):26976)。
【0007】
アトピー型であろうと非アトピー型であろうと、PNの治療のために指示される米国(US)食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)又は欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)に承認された標的療法はない。したがって、PNを治療するための新規な治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、結節性痒疹を有する対象を治療するための方法であって、配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の約600mgの初期用量及び約300mgの抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0009】
特定の例示的な実施形態では、二次用量は、1週間おき(q2w)に投与される。
【0010】
特定の例示的な実施形態では、対象は、以前は中~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されていた。
【0011】
特定の例示的な実施形態では、対象は、7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0012】
特定の例示的な実施形態では、対象は、ベースラインで両方の脚、及び/又は両方の腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0013】
特定の例示的な実施形態では、対象は、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する。
【0014】
特定の例示的な実施形態では、対象は、局所療法では十分に制御されないか、又はそれらの療法が賢明でない場合のPNを有する。
【0015】
特定の例示的な実施形態では、対象は全身療法の候補である。
【0016】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0017】
特定の例示的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0018】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器、針及び注射器、又はペンを使用して投与される。
【0019】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、プレフィルド装置を使用して投与される。
【0020】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は皮下投与される。
【0021】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人である。
【0022】
別の態様では、(a)低~中程度の効力の局所コルチコステロイド及び/又は局所カルシニューリン阻害剤を含むバックグラウンド療法では制御されない結節性痒疹を有する患者を選択すること;(b)インターロイキン4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の定義された用量を、初期治療期間の間、患者のバックグラウンド療法を維持しながら、初期治療期間の間、定義された頻度で患者に投与すること;(c)初期治療期間中に使用される定義された頻度及び用量で抗体又はその抗原結合断片を投与し続ける間、後続の治療期間の経過にわたって患者に投与される低~中程度の効力の局所コルチコステロイド及び/又は局所カルシニューリン阻害剤の投与量を徐々に低下又は排除することを含み、抗体又はその抗原結合断片が、配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含む、低~中程度の効力の局所コルチコステロイド及び/又は局所カルシニューリン阻害剤への結節性痒疹患者の依存性を軽減又は排除する、結節性痒疹の治療方法が提供される。
【0023】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、初期用量、続いて1つ以上の二次用量として対象に投与される。
【0024】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約300mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0025】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約600mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0026】
特定の例示的な実施形態では、二次用量は、1週間おき(q2w)に投与される。
【0027】
特定の例示的な実施形態では、対象は、以前は中~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されていた。
【0028】
特定の例示的な実施形態では、対象は、7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0029】
特定の例示的な実施形態では、対象は、ベースラインで両方の脚、及び/又は両方の腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0030】
特定の例示的な実施形態では、対象は、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する。
【0031】
特定の例示的な実施形態では、対象は、局所療法では十分に制御されないか、又はそれらの療法が賢明でない場合のPNを有する。
【0032】
特定の例示的な実施形態では、対象は全身療法の候補である。
【0033】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0034】
特定の例示的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0035】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器、針及び注射器、又はペンを使用して投与される。
【0036】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、プレフィルド装置を使用して投与される。
【0037】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は皮下投与される。
【0038】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人である。
【0039】
別の態様では、配列番号3、4及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量と、抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量とを対象に投与することを含む、結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、抗体又はその抗原結合断片による治療が、超効力な局所コルチコステロイドレスキュー療法による対象の治療の必要性の低下をもたらす方法が提供される。
【0040】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約300mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0041】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約600mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0042】
特定の例示的な実施形態では、二次用量は、1週間おき(q2w)に投与される。
【0043】
特定の例示的な実施形態では、対象は、以前は中~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されていた。
【0044】
特定の例示的な実施形態では、対象は、7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0045】
特定の例示的な実施形態では、対象は、ベースラインで両方の脚、及び/又は両方の腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0046】
特定の例示的な実施形態では、対象は、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する。
【0047】
特定の例示的な実施形態では、対象は、局所療法では十分に制御されないか、又はそれらの療法が賢明でない場合のPNを有する。
【0048】
特定の例示的な実施形態では、対象は全身療法の候補である。
【0049】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0050】
特定の例示的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0051】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器、針及び注射器、又はペンを使用して投与される。
【0052】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、プレフィルド装置を使用して投与される。
【0053】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は皮下投与される。
【0054】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人である。
【0055】
別の態様では、対象の結節性痒疹を治療する方法であって、配列番号3、4及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含むインターロイキン4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量と、抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量とを対象に投与することを含み、抗体又はその抗原結合断片による治療が、超効力な局所コルチコステロイドレスキュー療法による対象の治療の必要性の低下をもたらす方法を提供する。
【0056】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約300mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0057】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約600mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0058】
特定の例示的な実施形態では、二次用量は、1週間おき(q2w)に投与される。
【0059】
特定の例示的な実施形態では、掻痒症は局所療法に対して難治性である。
【0060】
特定の例示的な実施形態では、対象は、以前は中~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されていた。
【0061】
特定の例示的な実施形態では、対象は、7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0062】
特定の例示的な実施形態では、対象は、ベースラインで両方の脚、及び/又は両方の腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0063】
特定の例示的な実施形態では、対象は、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する。
【0064】
特定の例示的な実施形態では、対象は、局所療法では十分に制御されないか、又はそれらの療法が賢明でない場合のPNを有する。
【0065】
特定の例示的な実施形態では、対象は全身療法の候補である。
【0066】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0067】
特定の例示的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0068】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器、針及び注射器、又はペンを使用して投与される。
【0069】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、プレフィルド装置を使用して投与される。
【0070】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は皮下投与される。
【0071】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人である。
【0072】
別の態様では、配列番号3、4及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量と、抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量とを対象に投与するステップを含み、抗体又はその抗原結合断片による治療が、全身性免疫抑制剤による対象の治療の必要性の低下をもたらす、結節性痒疹を有する対象を治療する方法が提供される。
【0073】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約300mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0074】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約600mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0075】
特定の例示的な実施形態では、二次用量は、1週間おき(q2w)に投与される。
【0076】
特定の例示的な実施形態では、対象は、以前は中~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されていた。
【0077】
特定の例示的な実施形態では、対象は、7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0078】
特定の例示的な実施形態では、対象は、ベースラインで両方の脚、及び/又は両方の腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0079】
特定の例示的な実施形態では、対象は、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する。
【0080】
特定の例示的な実施形態では、対象は、局所療法では十分に制御されないか、又はそれらの療法が賢明でない場合のPNを有する。
【0081】
特定の例示的な実施形態では、対象は全身療法の候補である。
【0082】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0083】
特定の例示的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0084】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器、針及び注射器、又はペンを使用して投与される。
【0085】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、プレフィルド装置を使用して投与される。
【0086】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は皮下投与される。
【0087】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人である。
【0088】
別の態様では、配列番号3、4及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含むインターロイキン4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量と、抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量とを対象に投与することを含み、治療が、最悪かゆみ数値評価尺度(WI-NRS)スコアの低下を有する対象をもたらす、結節性痒疹を有する対象を治療する方法が提供される。
【0089】
特定の例示的な実施形態では、WI-NRSスコアの低下は、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群から選択される。
【0090】
特定の例示的な実施形態では、WI-NRSスコアの低下は、12週間の治療で起こる。
【0091】
特定の例示的な実施形態では、WI-NRSスコアの低下は、24週間の治療で起こる。
【0092】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約300mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0093】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約600mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0094】
特定の例示的な実施形態では、二次用量は、1週間おき(q2w)に投与される。
【0095】
特定の例示的な実施形態では、対象は、以前は中~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されていた。
【0096】
特定の例示的な実施形態では、対象は、7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0097】
特定の例示的な実施形態では、対象は、ベースラインで両方の脚、及び/又は両方の腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0098】
特定の例示的な実施形態では、対象は、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する。
【0099】
特定の例示的な実施形態では、対象は、局所療法では十分に制御されないか、又はそれらの療法が賢明でない場合のPNを有する。
【0100】
特定の例示的な実施形態では、対象は全身療法の候補である。
【0101】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0102】
特定の例示的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0103】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器、針及び注射器、又はペンを使用して投与される。
【0104】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、プレフィルド装置を使用して投与される。
【0105】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は皮下投与される。
【0106】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人である。
【0107】
別の態様では、配列番号3、4、及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、配列番号6、7、及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含むインターロイキン4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量、及び抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量を対象に投与することを含む、結節性痒疹を有する対象を治療する方法であって、治療が、結節性痒疹(IGA PN)スコアに対する治験責任医師の全体的評価の低下を有する対象をもたらす方法が提供される。
【0108】
特定の例示的な実施形態では、IGA PNスコアの低下は、5、4、3、2、及び1からなる群から選択される。
【0109】
特定の例示的な実施形態では、対象は、0又は1のIGA PNスコアを達成する。
【0110】
特定の例示的な実施形態では、IGA PNスコアの低下は、12週間の治療で起こる。
【0111】
特定の例示的な実施形態では、IGA PNスコアの低下は、24週間の治療で起こる。
【0112】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約300mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0113】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約600mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0114】
特定の例示的な実施形態では、二次用量は、1週間おき(q2w)に投与される。
【0115】
特定の例示的な実施形態では、対象は、以前は中~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されていた。
【0116】
特定の例示的な実施形態では、対象は、7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0117】
特定の例示的な実施形態では、対象は、ベースラインで両方の脚、及び/又は両方の腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0118】
特定の例示的な実施形態では、対象は、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する。
【0119】
特定の例示的な実施形態では、対象は、局所療法では十分に制御されないか、又はそれらの療法が賢明でない場合のPNを有する。
【0120】
特定の例示的な実施形態では、対象は全身療法の候補である。
【0121】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0122】
特定の例示的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0123】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器、針及び注射器、又はペンを使用して投与される。
【0124】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、プレフィルド装置を使用して投与される。
【0125】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は皮下投与される。
【0126】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人である。
【0127】
別の態様では、結節性痒疹を有する対象を処置するための方法であって、配列番号3、4、及び5、を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列並びに配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の初期用量及び抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量を対象に投与することを含み、対象が併存する軽度のアトピー性皮膚炎を有する、方法が提供される。
【0128】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約300mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0129】
特定の例示的な実施形態では、初期用量は約600mgであり、各二次用量は約300mgである。
【0130】
特定の例示的な実施形態では、二次用量は、1週間おき(q2w)に投与される。
【0131】
特定の例示的な実施形態では、対象は、以前は中~超効力な局所コルチコステロイドで非効果的に治療されていた。
【0132】
特定の例示的な実施形態では、対象は、7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0133】
特定の例示的な実施形態では、対象は、ベースラインで両方の脚、及び/又は両方の腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0134】
特定の例示的な実施形態では、対象は、3以上のベースラインIGA PNスコアを有する。
【0135】
特定の例示的な実施形態では、対象は、局所療法では十分に制御されないか、又はそれらの療法が賢明でない場合のPNを有する。
【0136】
特定の例示的な実施形態では、対象は全身療法の候補である。
【0137】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。
【0138】
特定の例示的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0139】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、自己注射器、針及び注射器、又はペンを使用して投与される。
【0140】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、プレフィルド装置を使用して投与される。
【0141】
特定の例示的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は皮下投与される。
【0142】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人である。
【0143】
別の態様では、結節性痒疹を有する対象を選択すること、並びに配列番号3、4及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列、及び配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する約600mgの抗体又はその抗原結合断片の初期用量、並びに約300mgの抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量を対象に投与することを含む、結節性痒疹を有する対象を治療する方法が提供される。
【0144】
別の態様では、結節性痒疹の治療に使用するための、配列番号3、4及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含み、初期用量約600mgの抗体又はその抗原結合断片と、1つ以上の二次用量約300mgの抗体又はその抗原結合断片とを含む、インターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片が提供される。
【0145】
別の態様では、結節性痒疹を治療するための医薬品を製造するための、配列番号3、4及び5を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、配列番号6、7及び8を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含むインターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の使用であって、使用が、約600mgの抗体又はその抗原結合断片の初期用量、及び約300mgの抗体又はその抗原結合断片の1つ以上の二次用量を投与することを含む使用が提供される。
【0146】
本開示の前述及び他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されよう。この特許のファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面/写真を含む。カラー図面/写真
を有する本特許の写しは、請求及び必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【
図1】は実施例1の試験設計の概要を概略的に示す。この試験は、局所処方療法で不適切に制御されたPNを有する患者又はそれらの療法が賢明でない場合のデュピルマブの使用を評価するための多施設24週間治療並行二重盲検無作為化プラセボ対照試験であった。参加者は、600mgの負荷用量の後、隔週(q2w)で300mgのデュピルマブ又は適合プラセボのいずれかを受けた。
【
図2A】
図2A~
図2Dは、局所処方療法で不適切に制御されたPNを有する患者又はそれらの療法が賢明でない場合(実施例1)におけるデュピルマブの2つの無作為化プラセボ対照試験の活性スケジュールの表を示す。
【
図2B】
図2A~
図2Dは、局所処方療法で不適切に制御されたPNを有する患者又はそれらの療法が賢明でない場合(実施例1)におけるデュピルマブの2つの無作為化プラセボ対照試験の活性スケジュールの表を示す。
【
図2C】
図2A~
図2Dは、局所処方療法で不適切に制御されたPNを有する患者又はそれらの療法が賢明でない場合(実施例1)におけるデュピルマブの2つの無作為化プラセボ対照試験の活性スケジュールの表を示す。
【
図2D】
図2A~
図2Dは、局所処方療法で不適切に制御されたPNを有する患者又はそれらの療法が賢明でない場合(実施例1)におけるデュピルマブの2つの無作為化プラセボ対照試験の活性スケジュールの表を示す。
【
図3】最悪かゆみ数値評価尺度(WI-NRS)を決定するために使用されるアンケートを示す。
【
図4】治験責任医師の結節性痒疹の包括的評価(IGA PN)を決定するために使用されるアンケートを示す。
【
図5-1】痒疹活性スコア(PAS)を決定するために使用されるアンケートを示す。
【
図6】実施例1に記載されている同様の設計及び集団の2つの第3相試験を概略的に示す。両試験は、局所処方療法で適切に制御されなかったPN患者又は局所処方療法が得策でなかった患者におけるデュピルマブの使用を評価した。
【
図7A】
図7A~
図7Bは、実施例1のPRIME及びPRIME2研究の統計的検定階層の表を示す。
図7Aに示すように、PRIMEについて、主要及び全ての多重度調整二次エンドポイントは、WI-NRS≧4、IGA PN-Sスコア0又は1、WI-NRS≧4及びIGA PN-Sスコア0又は1、ベースラインからのWI-NRS(かゆみ)パーセント変化、ベースラインからのDLQI変化、ベースラインからの皮膚疼痛-NRS変化、及びベースラインからのHADS変化(全て24週目)を含む統計的有意性を満たした。
図7Bに示すように、PRIME2について、主要、重要な二次、及び他の多重度が制御されたエンドポイントは、12週目及び24週目でWI-NRS≧4、12週目及び24週目でIGA PN-Sスコアが0又は1、24週目でWI-NRS≧4及びIGA PN-Sスコアが0又は1、24週目でWI-NRS%のベースラインからの平均変化、24週目のDLQI、及び24週目の皮膚疼痛-NRSを含む統計的有意性を満たした。
【
図7B】
図7A~
図7Bは、実施例1のPRIME及びPRIME2研究の統計的検定階層の表を示す。
図7Aに示すように、PRIMEについて、主要及び全ての多重度調整二次エンドポイントは、WI-NRS≧4、IGA PN-Sスコア0又は1、WI-NRS≧4及びIGA PN-Sスコア0又は1、ベースラインからのWI-NRS(かゆみ)パーセント変化、ベースラインからのDLQI変化、ベースラインからの皮膚疼痛-NRS変化、及びベースラインからのHADS変化(全て24週目)を含む統計的有意性を満たした。
図7Bに示すように、PRIME2について、主要、重要な二次、及び他の多重度が制御されたエンドポイントは、12週目及び24週目でWI-NRS≧4、12週目及び24週目でIGA PN-Sスコアが0又は1、24週目でWI-NRS≧4及びIGA PN-Sスコアが0又は1、24週目でWI-NRS%のベースラインからの平均変化、24週目のDLQI、及び24週目の皮膚疼痛-NRSを含む統計的有意性を満たした。
【
図8A】
図8A~
図8Dは、プラセボ治療群及びデュピルマブ治療群の両方について、WI-NRS≧4の患者の割合をグラフで示している。PRIMEについては、
図8Aに示すように、24週目にデュピルマブでWI-NRSスコアの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は45(60.0%)であり、プラセボでは14(18.4%)であり、p<0.0001であった。PRIME2については、
図8Bに示すように、12週目にデュピルマブでWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は29(37.2%)であり、プラセボでは18(22.0%)であり、p=0.0216であった。24週目にデュピルマブ及びプラセボでWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は57.7%であり、プラセボは19.5%であった(p<0.0001)。
図8C~
図8Dは、PRIME試験(
図8C)及びPRIME2試験(
図8D)における36週目までの時間にわたるベースライン≧4からのWI-NRS改善を有する参加者の割合をグラフで示す。
【
図8B】
図8A~
図8Dは、プラセボ治療群及びデュピルマブ治療群の両方について、WI-NRS≧4の患者の割合をグラフで示している。PRIMEについては、
図8Aに示すように、24週目にデュピルマブでWI-NRSスコアの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は45(60.0%)であり、プラセボでは14(18.4%)であり、p<0.0001であった。PRIME2については、
図8Bに示すように、12週目にデュピルマブでWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は29(37.2%)であり、プラセボでは18(22.0%)であり、p=0.0216であった。24週目にデュピルマブ及びプラセボでWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は57.7%であり、プラセボは19.5%であった(p<0.0001)。
図8C~
図8Dは、PRIME試験(
図8C)及びPRIME2試験(
図8D)における36週目までの時間にわたるベースライン≧4からのWI-NRS改善を有する参加者の割合をグラフで示す。
【
図8C】
図8A~
図8Dは、プラセボ治療群及びデュピルマブ治療群の両方について、WI-NRS≧4の患者の割合をグラフで示している。PRIMEについては、
図8Aに示すように、24週目にデュピルマブでWI-NRSスコアの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は45(60.0%)であり、プラセボでは14(18.4%)であり、p<0.0001であった。PRIME2については、
図8Bに示すように、12週目にデュピルマブでWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は29(37.2%)であり、プラセボでは18(22.0%)であり、p=0.0216であった。24週目にデュピルマブ及びプラセボでWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は57.7%であり、プラセボは19.5%であった(p<0.0001)。
図8C~
図8Dは、PRIME試験(
図8C)及びPRIME2試験(
図8D)における36週目までの時間にわたるベースライン≧4からのWI-NRS改善を有する参加者の割合をグラフで示す。
【
図8D】
図8A~
図8Dは、プラセボ治療群及びデュピルマブ治療群の両方について、WI-NRS≧4の患者の割合をグラフで示している。PRIMEについては、
図8Aに示すように、24週目にデュピルマブでWI-NRSスコアの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は45(60.0%)であり、プラセボでは14(18.4%)であり、p<0.0001であった。PRIME2については、
図8Bに示すように、12週目にデュピルマブでWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は29(37.2%)であり、プラセボでは18(22.0%)であり、p=0.0216であった。24週目にデュピルマブ及びプラセボでWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は57.7%であり、プラセボは19.5%であった(p<0.0001)。
図8C~
図8Dは、PRIME試験(
図8C)及びPRIME2試験(
図8D)における36週目までの時間にわたるベースライン≧4からのWI-NRS改善を有する参加者の割合をグラフで示す。
【
図9A】
図9A~
図9Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群について、治験責任医師の総合評価PN段階(IGA PN-S)スコアが0又は1に達した参加者の割合をグラフで示したものである。PRIMEについては、
図9Aに示すように、24週目にデュピルマブ及びプラセボで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は48.0%であり、プラセボでは18.4%であった(p=0.0004)。PRIME2については、
図9Bに示すように、24週目にデュピルマブ及びプラセボで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は44.9%であり、プラセボでは15.9%であった(p<0.0001)。12週目では、この割合は、デュピルマブで25.6%、プラセボで12.2%であった(p=0.0194)。
図9C~
図9Dは、PRIME試験(
図9C)及びPRIME2試験(
図9D)における36週目までの経時的なベースラインから0又は1スコアのIGA PN-Sスコアを有する参加者の割合をグラフで示す。
【
図9B】
図9A~
図9Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群について、治験責任医師の総合評価PN段階(IGA PN-S)スコアが0又は1に達した参加者の割合をグラフで示したものである。PRIMEについては、
図9Aに示すように、24週目にデュピルマブ及びプラセボで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は48.0%であり、プラセボでは18.4%であった(p=0.0004)。PRIME2については、
図9Bに示すように、24週目にデュピルマブ及びプラセボで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は44.9%であり、プラセボでは15.9%であった(p<0.0001)。12週目では、この割合は、デュピルマブで25.6%、プラセボで12.2%であった(p=0.0194)。
図9C~
図9Dは、PRIME試験(
図9C)及びPRIME2試験(
図9D)における36週目までの経時的なベースラインから0又は1スコアのIGA PN-Sスコアを有する参加者の割合をグラフで示す。
【
図9C】
図9A~
図9Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群について、治験責任医師の総合評価PN段階(IGA PN-S)スコアが0又は1に達した参加者の割合をグラフで示したものである。PRIMEについては、
図9Aに示すように、24週目にデュピルマブ及びプラセボで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は48.0%であり、プラセボでは18.4%であった(p=0.0004)。PRIME2については、
図9Bに示すように、24週目にデュピルマブ及びプラセボで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は44.9%であり、プラセボでは15.9%であった(p<0.0001)。12週目では、この割合は、デュピルマブで25.6%、プラセボで12.2%であった(p=0.0194)。
図9C~
図9Dは、PRIME試験(
図9C)及びPRIME2試験(
図9D)における36週目までの経時的なベースラインから0又は1スコアのIGA PN-Sスコアを有する参加者の割合をグラフで示す。
【
図9D】
図9A~
図9Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群について、治験責任医師の総合評価PN段階(IGA PN-S)スコアが0又は1に達した参加者の割合をグラフで示したものである。PRIMEについては、
図9Aに示すように、24週目にデュピルマブ及びプラセボで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は48.0%であり、プラセボでは18.4%であった(p=0.0004)。PRIME2については、
図9Bに示すように、24週目にデュピルマブ及びプラセボで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は44.9%であり、プラセボでは15.9%であった(p<0.0001)。12週目では、この割合は、デュピルマブで25.6%、プラセボで12.2%であった(p=0.0194)。
図9C~
図9Dは、PRIME試験(
図9C)及びPRIME2試験(
図9D)における36週目までの経時的なベースラインから0又は1スコアのIGA PN-Sスコアを有する参加者の割合をグラフで示す。
【
図10A】
図10A~
図10Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群について、ベースラインから4以上のWI-NRSの同時改善(低下)及び0又は1のIGA PN-Sスコアを有する参加者の割合をグラフで示している。PRIMEについては、
図10Aに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1であり、デュピルマブが38.7%、プラセボが9.2%であった参加者の割合(p<0.0001)。PRIME2については、
図10Bに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1である参加者の割合は、デュピルマブが32.1%であり、プラセボが8.5%であった(p=0.0001)。
図10C~
図10Dは、PRIME試験(
図10C)及びPRIME2試験(
図10D)において、36週目までの時間にわたってベースラインから4以上のWI-NRSの改善(低下)及び0又は1のIGA PN-Sスコアの両方を有する参加者の割合をグラフで示している。
【
図10B】
図10A~
図10Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群について、ベースラインから4以上のWI-NRSの同時改善(低下)及び0又は1のIGA PN-Sスコアを有する参加者の割合をグラフで示している。PRIMEについては、
図10Aに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1であり、デュピルマブが38.7%、プラセボが9.2%であった参加者の割合(p<0.0001)。PRIME2については、
図10Bに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1である参加者の割合は、デュピルマブが32.1%であり、プラセボが8.5%であった(p=0.0001)。
図10C~
図10Dは、PRIME試験(
図10C)及びPRIME2試験(
図10D)において、36週目までの時間にわたってベースラインから4以上のWI-NRSの改善(低下)及び0又は1のIGA PN-Sスコアの両方を有する参加者の割合をグラフで示している。
【
図10C】
図10A~
図10Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群について、ベースラインから4以上のWI-NRSの同時改善(低下)及び0又は1のIGA PN-Sスコアを有する参加者の割合をグラフで示している。PRIMEについては、
図10Aに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1であり、デュピルマブが38.7%、プラセボが9.2%であった参加者の割合(p<0.0001)。PRIME2については、
図10Bに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1である参加者の割合は、デュピルマブが32.1%であり、プラセボが8.5%であった(p=0.0001)。
図10C~
図10Dは、PRIME試験(
図10C)及びPRIME2試験(
図10D)において、36週目までの時間にわたってベースラインから4以上のWI-NRSの改善(低下)及び0又は1のIGA PN-Sスコアの両方を有する参加者の割合をグラフで示している。
【
図10D】
図10A~
図10Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群について、ベースラインから4以上のWI-NRSの同時改善(低下)及び0又は1のIGA PN-Sスコアを有する参加者の割合をグラフで示している。PRIMEについては、
図10Aに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1であり、デュピルマブが38.7%、プラセボが9.2%であった参加者の割合(p<0.0001)。PRIME2については、
図10Bに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1である参加者の割合は、デュピルマブが32.1%であり、プラセボが8.5%であった(p=0.0001)。
図10C~
図10Dは、PRIME試験(
図10C)及びPRIME2試験(
図10D)において、36週目までの時間にわたってベースラインから4以上のWI-NRSの改善(低下)及び0又は1のIGA PN-Sスコアの両方を有する参加者の割合をグラフで示している。
【
図11A】
図11A~
図11Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群についてのベースラインからのWI-NRS最小二乗(LS)平均%Δをグラフで示している。PRIMEについては、
図11Aに示すように、24週目で、ベースラインからのLS平均変化%は、デュピルマブ治療群では-48.89、プラセボ治療群では-22.22であった(p<0.0001)。PRIME2については、
図11Bに示すように、24週目に、ベースラインからのLS平均変化%は、デュピルマブ治療群では-59.34、プラセボ治療群では-36.18であった(p<0.0001)。
図11C~Dは、PRIME試験(
図11C)及びPRIME2試験(
図11D)における36週目までの経時的なWI-NRSのベースラインからの平均変化率をグラフで示している。
【
図11B】
図11A~
図11Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群についてのベースラインからのWI-NRS最小二乗(LS)平均%Δをグラフで示している。PRIMEについては、
図11Aに示すように、24週目で、ベースラインからのLS平均変化%は、デュピルマブ治療群では-48.89、プラセボ治療群では-22.22であった(p<0.0001)。PRIME2については、
図11Bに示すように、24週目に、ベースラインからのLS平均変化%は、デュピルマブ治療群では-59.34、プラセボ治療群では-36.18であった(p<0.0001)。
図11C~Dは、PRIME試験(
図11C)及びPRIME2試験(
図11D)における36週目までの経時的なWI-NRSのベースラインからの平均変化率をグラフで示している。
【
図11C】
図11A~
図11Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群についてのベースラインからのWI-NRS最小二乗(LS)平均%Δをグラフで示している。PRIMEについては、
図11Aに示すように、24週目で、ベースラインからのLS平均変化%は、デュピルマブ治療群では-48.89、プラセボ治療群では-22.22であった(p<0.0001)。PRIME2については、
図11Bに示すように、24週目に、ベースラインからのLS平均変化%は、デュピルマブ治療群では-59.34、プラセボ治療群では-36.18であった(p<0.0001)。
図11C~Dは、PRIME試験(
図11C)及びPRIME2試験(
図11D)における36週目までの経時的なWI-NRSのベースラインからの平均変化率をグラフで示している。
【
図11D】
図11A~
図11Dは、デュピルマブ治療群及びプラセボ治療群についてのベースラインからのWI-NRS最小二乗(LS)平均%Δをグラフで示している。PRIMEについては、
図11Aに示すように、24週目で、ベースラインからのLS平均変化%は、デュピルマブ治療群では-48.89、プラセボ治療群では-22.22であった(p<0.0001)。PRIME2については、
図11Bに示すように、24週目に、ベースラインからのLS平均変化%は、デュピルマブ治療群では-59.34、プラセボ治療群では-36.18であった(p<0.0001)。
図11C~Dは、PRIME試験(
図11C)及びPRIME2試験(
図11D)における36週目までの経時的なWI-NRSのベースラインからの平均変化率をグラフで示している。
【
図12A】
図12A~
図12Bは、レスキュー及び/又は禁止された薬物又は処置の最初の使用までの時間をグラフで示す。PRIME(
図12A)及びPRIME2(
図12B)の両方において、プラセボと比較したデュピルマブ治療は、レスキュー薬及び/又は禁止薬若しくは手順の最初の使用までの時間を短縮した。
【
図12B】
図12A~
図12Bは、レスキュー及び/又は禁止された薬物又は処置の最初の使用までの時間をグラフで示す。PRIME(
図12A)及びPRIME2(
図12B)の両方において、プラセボと比較したデュピルマブ治療は、レスキュー薬及び/又は禁止薬若しくは手順の最初の使用までの時間を短縮した。
【
図13】
図13A~
図13Bは、PRIME試験における患者の皮膚をベースライン(
図13A)及び300mgのデュピルマブをq2w投与して治療を開始した後の24週目(
図13B)で示す。ベースライン時に、患者は4のIGA PN-Sスコア及び9.4の平均WI-NRSスコアを有していた。24週間の治療で、患者は0のIGA PN-Sスコア及び1.3の平均WI-NRSスコアを有していた。
【
図14】
図14は、PRIME/EFC 16459及びPRIME2/EFC 16460研究における患者のベースライン疾患特性の表を示す。両試験の合計登録患者は、ベースラインで8.5(1.0)の平均(SD)WI-NRSを有していた。
【発明を実施するための形態】
【0148】
本開示を説明する前に、本開示は、記載された特定の方法及び実験条件に限定されず、そのような方法及び条件は変化し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0149】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同様の意味を有する。
【0150】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の列挙された数値に関して使用される場合、その値が列挙された値から1%以下だけ変動し得ることを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現は、99及び101と、その間のすべての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)とを含む。
【0151】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」などの用語は、症状を緩和すること、一時的又は永続的に症状の原因を排除すること、又は指定された障害又は状態の症状の出現を予防又は遅延させることを意味する。
【0152】
本明細書に記載のものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本明細書の開示の実施に使用することができるが、ここで典型的な方法及び材料を説明する。本明細書で言及されるすべての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0153】
本開示は、結節性痒疹(PN)を治療するための方法及び組成物を提供する。
【0154】
本明細書中で使用される場合、「結節性痒疹」は、6週間以上にわたる慢性掻痒症の存在、並びに対象における反復的な掻破及び複数の限局性/全身性の痒疹性皮膚病変の病歴及び/又は徴候を指す。
【0155】
本明細書中で使用される場合、「痒疹性皮膚病変」は、白っぽい、色素過剰又はピンク色の対象上の丘疹、結節及び/又は斑を指す。
【0156】
本明細書で使用される場合、「結節性痒疹を治療する」とは、病変の数の低下、病変の大きさの低下、結節性痒疹に関連する掻痒症の軽減などを含むがこれらに限定されない、結節性痒疹の症状の1つ以上を治療することを指す。
【0157】
特定の実施形態において、結節性痒疹を有する対象は、1つ以上の併存するアトピー性炎症状態を有する。本明細書で使用される場合、「アトピー性炎症状態」には、それだけに限らないが、アレルギー性鼻炎、アレルギー性真菌鼻副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻結膜炎、喘息、好酸球性食道炎、アトピー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、アスピリン過敏症、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)過敏症(例えば、NSAIDは呼吸器疾患を悪化させた、又はNSAID-ERD)、多年生アレルギー性鼻炎(PAR)、アトピー性皮膚炎(AD)、食物アレルギー、蕁麻疹又は蕁麻疹、及び運動誘発性気管支攣縮の1つ以上が含まれる。特定の例示的な実施形態では、結節性痒疹を有する対象は、併存するアトピー性皮膚炎、例えば、軽度のアトピー性皮膚炎、中等度のアトピー性皮膚炎、中等度~重度のアトピー性皮膚炎又は重度のアトピー性皮膚炎を有する。
【0158】
PN関連患者報告転帰(PRO)測定及び臨床医報告転帰(ClinRO)測定の改善方法
1つ以上のPN関連患者報告転帰(PRO)測定値の改善を必要とする対象における1つ以上のPN関連患者報告転帰(PRO)測定値の改善方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。1つ以上のPN関連臨床医報告転帰(ClinRO)測定値の改善を必要とする対象における1つ以上のPN関連臨床医報告転帰(ClinRO)測定値を改善するための方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。
【0159】
PN関連PRO測定の例には、以下が含まれる:(1)最悪かゆみ数値評価尺度(WI-NRS)、(2)皮膚科学的生活の質指数(DLQI)、(3)疼痛数値尺度、(4)睡眠数値尺度、(5)病院不安及びうつ病尺度、(6)患者全般の変化の印象(PGIC)、(7)患者全般の重症度の印象(PGIS)、及び(8)ユーロコール-5次元(EQ-5 D)スコア。
【0160】
「PN関連PRO尺度の改善」とは、睡眠数値尺度スコア及びEuroqol-5次元(EQ-5 D)スコアの1つ以上のベースラインからの増加、並びに/或いは最悪かゆみ数値評価尺度スコア(WI-NRS)、疼痛数値尺度スコア、病院不安及びうつ病尺度(HADS)スコア、皮膚科学生活の質指数(DLQI)スコア、患者全般変化印象(PGIC)スコア及び患者全般重症度印象(PGIS)スコアの1つ以上のベースラインからの低下を意味する。本明細書で使用される場合、PN関連PRO尺度に関して「ベースライン」という用語は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与前又は投与時の患者のPRO尺度の数値を意味する。
【0161】
PN関連ClinRO測定の例には、以下が含まれる:(1)結節性痒疹(IGA PN)に対する治験責任医師の包括的評価及び(2)痒疹活性スコア(PAS)。
【0162】
「PN関連ClinRO測定値の改善」とは、結節性痒疹(IGA PN)スコア又は痒疹活性スコア(PAS)に対する治験責任医師の包括的評価の1つ以上のベースラインからの低下を意味する。本明細書で使用される場合、PN関連ClinRO測定値に関して「ベースライン」という用語は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与前又は投与時の患者のClinRO測定値の数値を意味する。
【0163】
PN関連パラメータが「改善された」かどうかを判定するために、ベースライン及び本明細書に記載の医薬組成物の投与後の時点でパラメータを定量化する。例えば、PN関連パラメータは、医薬組成物による初期治療後の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、14日目、又は3週目、4週目、5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目、13週目、14週目、15週目、16週目、17週目、18週目、19週目、20週目、21週目、22週目、23週目、24週目、又はそれ以上において測定され得る。治療開始後の特定の時点でのパラメータの値とベースラインでのパラメータの値との差を使用して、PN関連パラメータに「改善」があったかどうかを確立する(例えば、測定されている特定のパラメータに応じて、場合によっては増加又は低下)。
【0164】
本明細書で使用される「取得する」又は「取得すること」という用語は、PN関連パラメータなどの物理的実体又は値を「直接取得する」又は「間接的に取得する」ことによって、物理的実体又は値、例えば数値の所有を得ることを指す。「直接取得すること」は、物理的実体又は値を得るためのプロセス(例えば、合成又は分析方法を実行すること)を行うことを意味する。「間接的に取得する」とは、別の団体又は供給源(例えば、物理的実体又は値を直接取得した第三者の検査室)から物理的実体又は値を受け取ることを指す。物理的実体を直接得ることは、物理的物質、例えば出発物質の物理的変化を含むプロセスを行うことを含む。例示的な変化には、2つ以上の出発物質から物理的実体を作製すること、物質を剪断又は断片化すること、物質を分離又は精製すること、2つ以上の別個の実体を混合物に組み合わせること、共有結合又は非共有結合を破壊又は形成することを含む化学反応を行うことが含まれる。値を直接取得することは、試料又は別の物質の物理的変化を含むプロセスを実行すること、例えば、物質、例えば試料、分析物、又は試薬の物理的変化を含む分析プロセスを実行すること(本明細書では「物理的分析」と呼ばれることもある)を含む。
【0165】
間接的に取得される情報は、例えば、オンラインデータベース又はアプリケーション(「アプリケーション」)などから紙又は電子形式で供給されるレポートの形式で提供され得る。レポート又は情報は、例えば、病院又はクリニックなどの医療機関又は医師若しくは看護師などのヘルスケア提供者によって提供され得る。
【0166】
無掻痒日:特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、被験体が経験する無掻痒日におけるベースラインからの増加をもたらす。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与を必要とする対象への投与は、対象が経験する無掻痒日においてベースラインから約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31日/月の増加を引き起こす。
【0167】
PN結節数:特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、PN結節のベースラインからの低下をもたらす(すなわち、病変)。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与を必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、PN結節のベースラインから約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149,又は150個の結節の低下を引き起こす。
【0168】
いくつかの実施形態では、患者は、IL-4Rアンタゴニストの投与前のベースラインで両脚、並びに/又は両腕及び/若しくは体幹に合計で最小20個のPN病変を有する。
【0169】
最悪かゆみ数値評価尺度:いくつかの実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、最悪かゆみ数値評価尺度(WI-NRS)スコアのベースラインからの低下をもたらす。WI-NRSは、0(「かゆみなし」)~10(「想像可能な最悪のかゆみ」)の尺度で評価された単一の項目から構成されるPROである(Staender S、et al.Serlopitant reduced pruritus in patients with prurigo nodularis in a phase 2、randomized、placebo-controlled trial.J Am Acad Dermatol.2019;80(5):1395-402)。参加者は、この尺度を使用して過去24時間の最悪の掻痒症(かゆみ)の強度を評価するように求められる。毎日のWI-NRSスコアを7日間にわたって合計して、平均毎週のWI-NRSスコアを作成する。
【0170】
ベースラインからのWI-NRSスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストをそれを必要とする対象に投与すると、WI-NRSスコアがベースラインから約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ポイント低下する。いくつかの実施形態において、対象は、IL-4Rアンタゴニストによる治療前に7以上のベースラインWI-NRSスコアを有する。
【0171】
治験責任医師による結節性痒疹の総合評価:いくつかの実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、治験責任医師の結節性痒疹についての包括的評価(IGA PN)スコアのベースラインからの低下をもたらす。IGA PNは、臨床医が0(透明)~4(重度)の5段階尺度及び0(透明)~4(重度)の5段階尺度疾患の病期(IGA PN-S):を使用してPN(IGA PN-A)の活性を評価することを可能にする臨床医によって報告された転帰(ClinRO)である:0=透明、結節なし;1=ほぼ透明、1~5個の結節;2=軽度、6~19個の結節;3=中等度、20~99個の結節;4=重度、100個以上の結節。
【0172】
ベースラインからのIGA PNスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与を必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインから約1、2、3又は4ポイントのIGA PNスコアの低下を引き起こす。
【0173】
痒疹活性スコア:いくつかの実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、痒疹活性スコア(PAS)のベースラインからの低下をもたらす。痒疹活性スコア(PAS)は、ClinRO測定値である。オリジナルのPASアンケートバージョン0.9は、PNで専門の臨床医によって開発された7つの項目からなる(Poelking J、et al.Prurigo Activity Score(PAS):validity and reliability of a new instrument to monitor chronic prurigo.J Eur Acad Dermatol Venereol.2018;32(10):1754-60)。PASの項目は、以下に関して痒疹性病変を評価する:タイプ(目に見える病変:項目1a;優勢な病変:項目1b);推定数(項目2);分布(項3、4);及びサイズ(最大病変:項目6a;代表的病変:項目6b)。他の項目は、代表的な身体領域及び正確な病変数(項目5)、頂部に擦過傷/痂皮を有する痒疹性病変の割合(積極的な掻破を反映する;項目7a)及び治癒した痒疹性病変の割合(慢性痒疹の治癒を反映する;項目7b)に関する活性を評価する。
【0174】
ベースラインからのPASスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。
【0175】
皮膚科学的寿命品質指数(DLQI):特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、DLQIスコアのベースラインからの低下をもたらす。皮膚科学的生活の質の指標(DLQI)は、成人参加者における皮膚科学的特異的HRQoLを測定するために開発されたPROである(Finlay AY,Khan GK.Dermatology life quality index(DLQI):a simple practical measure for routine clinical use.Clin Exp Dermatol.1994;19:210-6を参照のこと)。この機器は、前の週にわたる参加者の健康関連の生活の質(HRQoL)に対する皮膚疾患の影響を評価する10の項目を含む。項目は、症状、余暇活動、仕事/学校又は休日の時間、親密さを含む人間関係、治療の副作用、及び皮膚疾患を有することに対する感情的反応を網羅する。これは、臨床診療及び臨床試験で使用される有効なアンケートである。(Chernyshov PV.The evolution of quality of life assessment and use in dermatology.Dermatology.2019;235(3):167-74を参照されたい)。応答尺度は、9項目について4ポイントのリッカート尺度(0=「全くない」及び3=「非常に多い」)である。仕事/試験に関する残りの1項目は、仕事/試験が妨げられたかどうかを尋ね、次いで(「いいえ」の場合)仕事/試験で皮膚状態がどの程度問題になったかを質問する。項目は、3段階リッカート尺度(「全くない」から「多い」)で評価される。全体的なスコアリングは0から30の範囲であり、高いスコアは低いHRQoLを示す。
【0176】
ベースラインからのDLQIスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ポイントのベースラインからのDLQIスコアの低下を引き起こす。
【0177】
疼痛数値評価尺度:特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、疼痛数値評価尺度(NRS)スコアのベースラインからの低下をもたらす。疼痛において、NRS参加者は、0=疼痛なしから10=起こり得る最悪の疼痛で、0から10の数値評価尺度(NRS)を使用して過去24時間の彼らの最悪の皮膚疼痛を評価するように求められる。
【0178】
ベースラインからの疼痛NRSスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストをそれを必要とする対象に投与すると、疼痛NRSスコアがベースラインから約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ポイント低下する。
【0179】
睡眠数値評価尺度:特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、睡眠数値評価尺度(NRS)スコアのベースラインからの増加をもたらす。睡眠NRSでは、参加者は、0=最悪の可能性のある睡眠及び10=最良の可能性のある睡眠で、0から10個のNRSを使用して、覚醒時の過去の夜の睡眠の質を評価するように求められる。
【0180】
ベースラインからの睡眠NRSスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与を必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ポイントのベースラインからの疼痛NRSスコアの増加を引き起こす。
【0181】
病院の不安及びうつ病尺度:特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、病院不安及びうつ病尺度(HADS)スコアのベースラインからの低下をもたらす。病院不安及びうつ病尺度(HADS)は、非精神医学的集団における不安及びうつ病をスクリーニングするためのPRO機器である。反復投与はまた、患者の感情状態の変化に関する情報を提供する。(Zigmond AS、Snaith RP.The hospital anxiety and depression scale.Acta Psychiatr Scand.1983;67(6):361-70及びHerrmann C.International experiences with the Hospital Anxiety and Depression Scale--a review of validation data and clinical results.J Psychosom Res.1997;42(1):17-41)。HADSは14の項目からなり、それぞれ不安及びうつ病の症状について7つである。可能なスコアは、各サブスケールに対して0から21の範囲である。以下のカットオフスコアが両方のサブスケールに推奨される:0~7:正常;8~10:境界異常(境界ケース);11から21:異常。
【0182】
ベースラインからのHADSスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与は、それを必要とする対象に、ベースラインから約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21のHADSスコアの低下を引き起こす。
【0183】
抗うつ剤の使用:特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、抗うつ剤使用のベースラインからの低下をもたらす。ベースラインからの抗うつ剤使用の低下又は排除をもたらす治療方法が提供される。特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの投与は、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与により、対象による抗うつ剤使用の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%又はそれ以上の低下をもたらす。他の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの投与を必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、対象による抗うつ剤の使用の排除をもたらす。
【0184】
変化に対する患者の全般的印象(PGIC):特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、PGICスコアのベースラインからの低下をもたらす。患者の全体的な変化の印象(PGIC)は、参加者に、参加者が試験治療を開始する直前と比較して、7段階の尺度で自分のPNの全体的な変化の全体的な自己評価を提供するよう求める1項目のアンケートである。応答選択肢は以下の通りである:0=「かなり良い」、1=「やや良い」、2=「少し良い」、3=「変化なし」、4=「やや悪い」、5=「やや悪い」、6=「非常に悪い」。(Guy W et al.ECDEU Assessment Manual for Psychopharmacology.Rockville,MD:US Department of Health、Education、and Welfare Public Health Service Alcohol,Drug Abuse,and Mental Health Administration,1976を参照のこと)。
【0185】
ベースラインからのPGICスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与を必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、約1、2、3、4、5又は6ポイントのベースラインからのPGICスコアの低下を引き起こす。
【0186】
重症度に関する患者全般印象(PGIS):特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、PGISスコアのベースラインからの低下をもたらす。重症度に関する患者全般印象(PGIS)は、過去1週間の4段階尺度で疾患重症度の全体的な自己評価を提供するように参加者に求める1項目のアンケートである。応答選択肢は以下の通りである:1=「なし」、2=「軽度」、3=「中等度」、4=「重度」。(Guy W et al.ECDEU Assessment Manual for Psychopharmacology.Rockville、MD:US Department of Health、Education、and Welfare Public Health Service Alcohol,Drug Abuse,and Mental Health Administration,1976を参照のこと)。
【0187】
ベースラインからのPGISスコアの低下をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与を必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、約1、2又は3のベースラインからのPGISスコアの低下を引き起こす。
【0188】
Euroqol-5次元(EQ-5D):特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、EQ-5Dのベースラインからの増加をもたらす。Euroqol-5次元(EQ-5D)は、臨床的及び経済的評価のための健康の簡単で一般的な尺度を提供するために、EuroQol Groupによって開発された健康状態の標準化されたPRO尺度である。アンケートの成人版は、16歳以上の患者に適合される。EQ-5Dは、記述システム及びEQ視覚アナログスケール(EQ VAS)の2つの部分からなる。EQ-5D 5L記述システムは、可動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、及び不安/うつの5つの次元を含む。各次元には5つのレベルの認識された問題がある:「問題なし」、「軽度の問題」、「中程度の問題」、「重度の問題」、「活動不能」。(Herdman M,et al.Development and preliminary testing of the new five-level version of EQ-5D(EQ-5D-5L).Qual.Life Res.2011;20(10):1727-36を参照のこと)。回答者は、自分の健康状態を、5次元の各次元の最も適切な文に対してボックスにチェックを入れる(又は十字を入れる)ことによって示すように求められる。これにより、その次元のレベルを表す1桁の数字が得られる。5次元の数字は、応答者の健康状態を記述する5桁の数字で組み合わせることができる。EQ VASは、応答者の自己評価による健康状態を縦方向のVASに記録し、この場合、エンドポイントは、「考えられる最良の健康状態(100)」及び「考えられる最悪の健康状態(0)」とラベル付けされる。この情報は、個々の回答者によって判断される健康結果の定量的尺度として使用することができる。
【0189】
ベースラインからのEQ VASスコアの増加をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストをそれを必要とする対象に投与すると、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100ポイントのベースラインからのEQ VASの増加が引き起こされる。
【0190】
インターロイキン-4受容体アンタゴニスト
本明細書において特徴とする方法は、IL-4Rアンタゴニストを含む治療組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。本明細書で使用される場合、「IL-4Rアンタゴニスト」は、IL-4Rに結合するか又はIL-4Rと相互作用し、IL-4Rがインビトロ又はインビボで細胞上に発現された場合にIL-4Rの正常な生物学的シグナル伝達機能を阻害する任意の薬剤である。IL-4Rアンタゴニストのカテゴリーの非限定的な例としては、小分子IL-4Rアンタゴニスト、抗IL-4Rアプタマー、ペプチドベースのIL-4Rアンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ」分子)、及びヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体又は抗体の抗原結合断片が挙げられる。特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストは、本明細書中の他の箇所に記載される方法との関連において使用され得る抗IL-4R抗体を含む。例えば、一実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、IL-4Rに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、それぞれ配列番号1及び2の重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)からの重鎖及び軽鎖(相補性決定領域)CDR配列を含む。
【0191】
「ヒトIL 4 R」(hIL-4R)という用語は、IL-4Rαなどのインターロイキン-4(IL-4)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を指す。
【0192】
「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互接続された4本のポリペプチド鎖、2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖、並びにそれらの多量体(例えば、IgM)を含む免疫グロブリン分子を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はVHと略す)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はVLと略す)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR 1、CDR 1、FR 2、CDR 2、FR 3、CDR 3、FR 4で配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される。異なる実施形態では、抗IL-4R抗体(又はその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖細胞系配列と同一であり得るか、又は天然若しくは人工的に改変され得る。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ以上のCDRの並列分析に基づいて定義され得る。
【0193】
「抗体」という用語はまた、完全な抗体分子の抗原結合断片を含む。本明細書で使用される抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、抗原に特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成の、又は遺伝子操作されたポリペプチド又は糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、抗体可変ドメイン及び場合により定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を含むタンパク質分解消化又は組換え遺伝子工学技術などの任意の適切な標準的技術を使用して、完全な抗体分子から誘導され得る。そのようなDNAは公知であり、及び/又は例えば商業的供給源、DNAライブラリー(例えばファージ抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるか、又は合成することができる。DNAは、例えば、1つ以上の可変ドメイン及び/又は定常ドメインを適切な構成に配置するために、又はコドンの導入、システイン残基の作成、アミノ酸の修飾、付加若しくは欠失などのために、化学的に又は分子生物学技術を使用して配列決定及び操作され得る。抗原結合断片の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;(vii)抗体の超可変領域(例えば、CDR 3ペプチドなどの単離された相補性決定領域(CDR))又は拘束性FR 3-CDR 3-FR 4ペプチドを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位。ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフティング抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小型モジュール免疫医薬(SMIP)、及びサメ可変IgNARドメインなどの他の操作された分子も、「抗原結合断片」という表現に包含される。
【0194】
抗体の抗原結合断片は、典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズ又はアミノ酸組成であり得、一般に、1つ以上のフレームワーク配列に隣接するか又はそれとインフレームである少なくとも1つのCDRを含む。VLドメインに結合したVHドメインを有する抗原結合断片では、VHドメイン及びVLドメインは、任意の適切な配置で互いに対して位置し得る。例えば、可変領域は二量体であり得、VH-VH、VH-VL又はVL-VL二量体を含有し得る。或いは、抗体の抗原結合断片は、モノマーVH又はVLドメインを含有し得る。
【0195】
特定の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合した少なくとも1つの可変ドメインを含み得る。本明細書に記載の抗体の抗原結合断片内に見出され得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例示的構成には、以下のものが含まれる。(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;及び(xiv)VL-CL。上に列挙した例示的な構成のいずれかを含む、可変ドメイン及び定常ドメインの任意の構成において、可変ドメイン及び定常ドメインは、互いに直接連結されていてもよく、又は完全若しくは部分的なヒンジ若しくはリンカー領域によって連結されていてもよい。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子内の隣接する可変及び/又は定常ドメイン間に柔軟又は半柔軟な連結をもたらす少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60以上)のアミノ酸からなり得、典型的にはヒンジ領域は、2から60個の間、典型的には5から50個の間、又は典型的には10から40個の間のアミノ酸からなり得る。さらに、本明細書に記載の抗体の抗原結合断片は、互いに及び/又は1つ以上の単量体VH又はVLドメイン(例えば、ジスルフィド結合によって)と非共有結合で会合した、上に列挙した可変ドメイン及び定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体又はヘテロ二量体(又は他の多量体)を含み得る。
【0196】
完全抗体分子と同様に、抗原結合断片は、単一特異性又は多重特異性(例えば、二重特異性)であり得る。抗体の多重特異性抗原結合断片は、典型的には、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、各可変ドメインは、別個の抗原又は同じ抗原上の異なるエピトープに特異的に結合することができる。任意の多重特異性抗体フォーマットは、当技術分野で利用可能な日常的な技術を使用して、本明細書に記載の抗体の抗原結合断片との関連での使用に適合させることができる。
【0197】
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害性を媒介する抗体の能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞傷害性を媒介することが望ましいかどうかに基づいて選択され得る。
【0198】
「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含む。それにもかかわらず、本明細書中に記載されるヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的突然変異誘発又はインビボでの体細胞突然変異によって導入された突然変異)によってコードされないアミノ酸残基を、例えばCDR中に、特にCDR 3中に含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含まない。
【0199】
「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作成又は単離されるすべてのヒト抗体、例えば宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体(以下にさらに記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体(以下にさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離される抗体(例えば、Taylor et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295を参照)又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作成又は単離される抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する。しかしながら、特定の実施形態において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(又は、ヒトIg配列に対するトランスジェニック動物を使用する場合、インビボ体細胞変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VH配列及びVL配列に由来し、インビボでヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。
【0200】
ヒト抗体は、ヒンジの不均一性に関連する2つの形態で存在し得る。一形態では、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合によって一緒に保持されている約150~160kDaの安定な4本鎖構築物を含む。第2の形態では、二量体は鎖間ジスルフィド結合を介して連結されず、約75~80kDaの分子は、共有結合した軽鎖及び重鎖(半抗体)から構成される。これらの形態は、親和性精製後でさえ、分離することが極めて困難であった。
【0201】
種々のインタクトなIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、限定されないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異に起因する。ヒトIgG 4ヒンジのヒンジ領域における単一のアミノ酸置換は、第2の形態の出現(Angal et al.(1993)Molecular Immunology 30:105)を、ヒトIgG 1ヒンジを使用して典型的に観察されるレベルまで有意に低下させることができる。ヒンジ、CH2、又はCH3領域に1つ以上の突然変異を有する抗体が提供され、これは所望の抗体形態の収率を改善するために、例えば製造において望ましい場合がある。
【0202】
「単離された抗体」は、その自然環境の少なくとも1つの成分から同定及び分離及び/又は回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの成分から、又は抗体が天然に存在する若しくは天然に産生される組織若しくは細胞から分離又は除去された抗体は、「単離抗体」である。単離された抗体には、組換え細胞内のインサイチュでの抗体も含まれる。単離された抗体は、少なくとも1つの精製又は単離工程に供された抗体である。特定の実施形態によれば、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0203】
「特異的に結合する」などの用語は、抗体又はその抗原結合断片が、生理学的条件下で比較的安定な抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するかどうかを決定する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、IL-4Rに「特異的に結合する」抗体には、表面プラズモン共鳴アッセイで測定した場合に、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、又は約0.5nM未満のKDでIL-4R又はその一部に結合する抗体が含まれる。しかしながら、ヒトIL-4Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば他の(非ヒト)種由来のIL-4R分子に対する交差反応性を有し得る。
【0204】
本方法に有用な抗IL-4R抗体は、抗体が由来する対応する生殖系列配列と比較して、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域及び/又はCDR領域に1つ以上のアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個の置換及び/又は1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個の挿入及び/又は1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個の欠失)を含み得る。そのような変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば公開されている抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することによって容易に確認することができる。1つ以上のフレームワーク及び/又は1つ以上の(例えば、四量体抗体に関して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12、又は抗体のHCVR及びLCVRに関して1、2、3、4、5若しくは6)CDR領域内の1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10アミノ酸)が、抗体が由来する生殖系列配列の対応する残基に、又は別のヒト生殖系列配列の対応する残基に、又は対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に変異している(そのような配列変化は、本明細書ではまとめて「生殖系列変異」と呼ばれる)、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体及びその抗原結合断片の使用を含む方法が提供される。当業者は、本明細書に開示される重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列から出発して、1つ以上の個々の生殖細胞変異又はそれらの組み合わせを含む多数の抗体及び抗原結合断片を容易に産生することができる。特定の実施形態では、VH及び/又はVLドメイン内のフレームワーク及び/又はCDR残基のすべてが、抗体が由来した元の生殖系列配列に見られる残基に変異して戻される。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えばFR 1の最初の8アミノ酸内若しくはFR 4の最後の8アミノ酸内に見られる変異残基のみ、又はCDR 1、CDR 2若しくはCDR 3内に見られる変異残基のみが元の生殖系列配列に変異して戻される。他の実施形態では、フレームワーク及び/又はCDR残基の1つ以上が、異なる生殖系列配列(すなわち、抗体が最初に由来した生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の対応する残基に突然変異している。さらに、抗体は、フレームワーク及び/又はCDR領域内に2つ以上の生殖系列変異の任意の組み合わせを含有してもよく、例えば、特定の個々の残基が特定の生殖系列配列の対応する残基に変異している一方で、元の生殖系列配列とは異なる特定の他の残基が維持されているか、又は異なる生殖系列配列の対応する残基に変異している。一旦得られると、1つ以上生殖系列変異を含有する抗体及び抗原結合断片は、1つ以上所望の特性、例えば、結合特異性の改善、結合親和性の増加、(場合によっては)アンタゴニスト又はアゴニストの生物学的特性の改善又は増強、免疫原性の低下などについて容易に試験することができる。この一般的な様式で得られる抗体及び抗原結合断片の使用は、本開示に包含される。
【0205】
1つ以上保存的置換を有する本明細書中に開示されるHCVR、LCVR及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗IL-4R抗体の使用を伴う方法。例えば、本明細書中に開示されるHCVR、LCVR及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば、10個以下、8個以下、6個以下、4個以下などの保存的アミノ酸置換を有するHCVR、LCVR及び/又はCDRアミノ酸配列を有する抗IL-4R抗体の使用が提供される。
【0206】
「表面プラズモン共鳴」という用語は、例えばBIAcore(商標)(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、Piscataway、NJ)システムを使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによってリアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0207】
「KD」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
【0208】
「エピトープ」という用語は、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域内の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は、2つ以上のエピトープを有し得る。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域に結合し得、異なる生物学的効果を有し得る。エピトープは、立体配座又は直鎖のいずれかであり得る。立体構造エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に並置されたアミノ酸によって産生される。直鎖エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基によって産生されるものである。特定の状況では、エピトープは、抗原上の糖類、ホスホリル基、又はスルホニル基の部分を含み得る。
【0209】
核酸又はその断片に言及する場合の「実質的な同一性」又は「実質的に同一」という用語は、別の核酸(又はその相補鎖)と適切なヌクレオチド挿入又は欠失と最適にアラインメントした場合、以下に論じるように、FASTA、BLAST又はGapなどの任意の周知の配列同一性アルゴリズムによって測定した場合に、ヌクレオチド塩基の少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、97%、98%又は99%にヌクレオチド配列同一性があることを示す。
【0210】
ポリペプチドに適用される場合、「実質的な類似性」又は「実質的に類似する」という用語は、2つのペプチド配列が、デフォルトのギャップ重みを使用するプログラムGAP又はBESTFITなどによって最適にアラインメントされた場合、少なくとも95%の配列同一性、又は少なくとも98%若しくは99%の配列同一性を共有することを意味する。例示的な実施形態において、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸残基が、類似の化学的性質(例えば、電荷又は疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されるものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質的に変化させない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合、パーセント配列同一性又は類似性の程度は、置換の保存的性質を補正するために上方に調整され得る。この調整を行うための手段は、当技術分野の当業者に周知である(例えば、Pearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307-331を参照のこと(参照により本明細書に組み込まれる))。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;(2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリン及びトレオニン;(3)アミド含有側鎖:アスパラギン、グルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン;(5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、ヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパラギン酸及びグルタミン酸が挙げられ、並びに(7)硫黄含有側鎖はシステイン及びメチオニンである。例示的な保存的アミノ酸置換群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、及びアスパラギン-グルタミンである。或いは、保存的置換は、参照により本明細書に組み込まれるGonnet et al.(1992)Science 256:1443 45に開示されているPAM 250対数尤度行列において正の値を有する任意の変化である。「中程度に控えめな」置換は、PAM 250対数尤度行列において非負の値を有する任意の変化である。
【0211】
配列同一性とも呼ばれるポリペプチドの配列類似性は、典型的には、配列分析ソフトウェアを使用して測定される。タンパク質分析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む様々な置換、欠失及び他の修飾に割り当てられた類似性の尺度を使用して類似配列をマッチさせる。例えば、GCGソフトウェアは、Gap及びBestfitなどのプログラムを含み、これらをデフォルトパラメータと共に使用して、密接に関連するポリペプチド、例えば異なる生物種由来の相同ポリペプチド間又は野生型タンパク質とそのムテイン間の配列相同性又は配列同一性を決定することができる(例えば、GCGバージョン6.1を参照されたい)。ポリペプチド配列は、GCGバージョン6.1のプログラムであるデフォルト又は推奨パラメータを使用してFASTAを使用して比較することもできる。FASTA(例えば、FASTA 2及びFASTA 3)は、クエリ配列と検索配列との間の最良の重複の領域のアラインメント及びパーセント配列同一性を提供する(Pearson(2000)上掲)。本開示の配列を異なる生物由来の多数の配列を含むデータベースと比較する場合の別の例示的なアルゴリズムは、デフォルトパラメータを使用するコンピュータプログラムBLAST、特にBLASTP又はTBLASTNである(例えば、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410及びAltschul et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-402を参照のこと(これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる))。
【0212】
ヒト抗体の調製
トランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を作製するための方法は、当技術分野で公知である。任意のそのような公知の方法を使用して、ヒトIL-4Rに特異的に結合するヒト抗体を作製することができる。
【0213】
VELOCIMMUNE(登録商標)技術(例えば、米国特許第6,596,541号明細書、Regeneron Pharmaceuticalsを参照されたい)又はモノクローナル抗体を作製するための任意の他の公知の方法を使用して、ヒト可変領域及びマウス定常領域を有するIL-4Rに対する高親和性キメラ抗体が最初に単離される。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、マウスが抗原刺激に応答してヒト可変領域及びマウス定常領域を含む抗体を産生するように、内因性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結されたヒト重鎖可変領域及びヒト軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの作製を含む。抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、ヒト重鎖及び軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結する。次いで、DNAは、完全ヒト抗体を発現することができる細胞において発現される。
【0214】
一般に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスに目的の抗原を負荷し、抗体を発現するマウスからリンパ細胞(B細胞など)を回収する。リンパ系細胞を骨髄腫細胞株と融合させて不死性ハイブリドーマ細胞株を調製することができ、そのようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニング及び選択して、目的の抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する。重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖及び軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結することができる。そのような抗体タンパク質は、CHO細胞などの細胞内で産生され得る。或いは、抗原特異的キメラ抗体又は軽鎖及び重鎖の可変ドメインをコードするDNAは、抗原特異的リンパ球から直接単離され得る。
【0215】
最初に、ヒト可変領域及びマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体を単離する。抗体は、当技術分野の当業者に公知の標準的な手順を使用して、親和性、選択性、エピトープなどを含む望ましい特徴について特徴付けられ、選択される。マウス定常領域を所望のヒト定常領域と置換して、本明細書に記載の完全ヒト抗体、例えば野生型又は改変IgG 1又はIgG 4を生成する。選択される定常領域は、特定の用途に従って変化し得るが、高親和性抗原結合及び標的特異性の特徴は、可変領域に存在する。
【0216】
一般に、本明細書中に記載される方法において使用され得る抗体は、固相上又は溶液相中のいずれかに固定化された抗原への結合によって測定されるとき、上記のように、高い親和性を有する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域と置き換えて、本明細書中に記載される完全ヒト抗体を作製する。選択される定常領域は、特定の用途に従って変化し得るが、高親和性抗原結合及び標的特異性の特徴は、可変領域に存在する。
【0217】
一実施形態では、本明細書に記載の方法の文脈で使用することができるIL-4Rに特異的に結合するヒト抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)を含む。抗体又は抗原結合断片は、配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖CDR(LCVR 1、LCVR 2、LCVR 3)を含み得る。HCVR及びLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定するための方法及び技術は当技術分野で周知であり、本明細書に開示される特定のHCVR及び/又はLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定するために使用することができる。CDRの境界を同定するために使用され得る例示的な慣習には、例えば、Kabat定義、Chothia定義及びAbM定義が含まれる。一般的に言えば、Kabatの定義は配列可変性に基づいており、Chothiaの定義は構造ループ領域の位置に基づいており、AbMの定義はKabatアプローチとChothiaアプローチとの間の妥協点である。例えばKabat,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991);Al-Lazikani et al.,J.Mol.Biol.273:927-948(1997);及びMartin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9268-9272(1989)を参照されたい。公開データベースはまた、抗体内のCDR配列を同定するために利用可能である。
【0218】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1及び2の重鎖可変領域アミノ酸配列対及び軽鎖可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む。
【0219】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3/4/5/6/7/8のアミノ酸を有する6つのCDR(HCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3)を含む。
【0220】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1及び2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。
【0221】
特定の実施形態では、抗体は、配列番号1及び2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含むデュピルマブである。
【0222】
特定の実施形態では、抗体配列は、配列番号9及び10の重鎖/軽鎖アミノ酸配列対を含むデュピルマブである。
【0223】
【0224】
【0225】
デュピルマブHCDR1アミノ酸配列:
GFTFRDYA(配列番号3)。
【0226】
デュピルマブHCDR2アミノ酸配列:
ISGSGGNT(配列番号4)。
【0227】
デュピルマブHCDR3アミノ酸配列:
AKDRLSITIRPRYYGL(配列番号5)。
【0228】
デュピルマブLCDR1アミノ酸配列:
QSLLYSIGYNY(配列番号6)。
【0229】
デュピルマブLCDR2アミノ酸配列:
LGS(配列番号7)。
【0230】
デュピルマブLCDR3アミノ酸配列:
MQALQTPYT(配列番号8)。
【0231】
デュピルマブHCアミノ酸配列:
【化3】
(アミノ酸1~124=HCVR;アミノ酸125~451=HC定常)
【0232】
デュピルマブLCアミノ酸配列:
【化4】
(アミノ酸1~112=LCVR;アミノ酸112~219=LC定常)
【0233】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、SCB-VL-39/SCB-VH-92;SCB-VL-40/SCB-VH-92;SCB-VL-41/SCB-VH-92;SCB-VL-42/SCB-VH-92;SCB-VL-43/SCB-VH-92;SCB-VL-44/SCB-VH-92;SCB-VL-44/SCB-VH-62;SCB-VL-44/SCB-VH-68;SCB-VL-44/SCB-VH-72;SCB-VL-44/SCB-VH-82;SCB-VL-44/SCB-VH-85;SCB-VL-44/SCB-VH-91;SCB-VL-44/SCB-VH-93;SCB-VL-45/SCB-VH-92;SCB-VL-46/SCB-VH-92;SCB-VL-47/SCB-VH-92;SCB-VL-48/SCB-VH-92;SCB-VL-49/SCB-VH-92;SCB-VL-50/SCB-VH-92;SCB-VL-51/SCB-VH-92;SCB-VL-51/SCB-VH-93;SCB-VL-52/SCB-VH-92;SCB-VL-52/SCB-VH-62;SCB-VL-52/SCB-VH-91;SCB-VL-53/SCB-VH-92;SCB-VL-54/SCB-VH-92;SCB-VL-54/SCB-VH-62;SCB-VL-54/SCB-VH-68;SCB-VL-54/SCB-VH-72;SCB-VL-54/SCB-VH-82;SCB-VL-54/SCB-VH-85;SCB-VL-54/SCB-VH-91;SCB-VL-55/SCB-VH-92;SCB-VL-55/SCB-VH-62;SCB-VL-55/SCB-VH-68;SCB-VL-55/SCB-VH-72;SCB-VL-55/SCB-VH-82;SCB-VL-55/SCB-VH-85;SCB-VL-55/SCB-VH-91;SCB-VL-56/SCB-VH-92;SCB-VL-57/SCB-VH-92;SCB-VL-57/SCB-VH-93;SCB-VL-57/SCB-VH-59;SCB-VL-57/SCB-VH-60;SCB-VL-57/SCB-VH-61;SCB-VL-57/SCB-VH-62;SCB-VL-57/SCB-VH-63;SCB-VL-57/SCB-VH-64;SCB-VL-57/SCB-VH-65;SCB-VL-57/SCB-VH-66;SCB-VL-57/SCB-VH-67;SCB-VL-57/SCB-VH-68;SCB-VL-57/SCB-VH-69;SCB-VL-57/SCB-VH-70;SCB-VL-57/SCB-VH-71;SCB-VL-57/SCB-VH-72;SCB-VL-57/SCB-VH-73;SCB-VL-57/SCB-VH-74;SCB-VL-57/SCB-VH-75;SCB-VL-57/SCB-VH-76;SCB-VL-57/SCB-VH-77;SCB-VL-57/SCB-VH-78;SCB-VL-57/SCB-VH-79;SCB-VL-57/SCB-VH-80;SCB-VL-57/SCB-VH-81;SCB-VL-57/SCB-VH-82;SCB-VL-57/SCB-VH-83;SCB-VL-57/SCB-VH-84;SCB-VL-57/SCB-VH-85;SCB-VL-57/SCB-VH-86;SCB-VL-57/SCB-VH-87;SCB-VL-57/SCB-VH-88;SCB-VL-57/SCB-VH-89;SCB-VL-57/SCB-VH-90;SCB-VL-57/SCB-VH-91;SCB-VL-58/SCB-VH-91;SCB-VL-58/SCB-VH-92;及びSCB-VL-58/SCB-VH-93からなる群から選択される軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)配列対(LCVR/HCVR)を含む。
【0234】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、SCB-VL-44/SCB-VH-92のLCVR/HCVR配列対を含む。
【0235】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、SCB-VL-54/SCB-VH-92のLCVR/HCVR配列対を含む。
【0236】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、SCB-VL-55/SCB-VH-92のLCVR/HCVR配列対を含む。
【0237】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、SCB-92-HCDR1のHCDR1配列、SCB-92-HCDR2のHCDR2配列、及びSCB-92-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVRと、SCB-55-LCDR1のLCDR1、及びSCB-55-LCDR2のLCDR2、及びSCB-55-LCDR3のLCDR3を含むLCVRとを含む。
【0238】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、SCB-92-HCDR1のHCDR1配列、SCB-92-HCDR2のHCDR2配列、及びSCB-92-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVRと、SCB-55-LCDR1のLCDR1、及びSCB-54-LCDR2のLCDR2、及びSCB-55-LCDR3のLCDR3を含むLCVRとを含む。
【0239】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、SCB-92-HCDR1のHCDR1配列、SCB-92-HCDR2のHCDR2配列、及びSCB-92-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVRと、SCB-55-LCDR1のLCDR1、及びSCB-54-LCDR2のLCDR2、及びSCB-44-LCDR3のLCDR3を含むLCVRとを含む。
【0240】
以下の表1に列挙される抗体は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,774,141号明細書により詳細に記載されている。
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、MEDI-1-VL/MEDI-1-VH~MEDI-42-VL/MEDI-42-VHからなる群より選択される軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)配列対(LCVR/HCVR)を含む。
【0247】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、MEDI-37 GL-VL/MEDI-37 GL-VHのLCVR/HCVR配列対を含む。
【0248】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、MEDI-37 GL-HCDR1のHCDR1配列、MEDI-37 GL-HCDR2のHCDR2配列、及びMEDI-37 GL-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVRと、MEDI-37 GL-LCDR1のLCDR1、及びMEDI-37 GL-LCDR2のLCDR2、及びMEDI-37 GL-LCDR3のLCDR3を含むLCVRとを含む。
【0249】
以下の表2に列挙される抗体は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,877,189号明細書により詳細に記載されている。
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、AJOU-90-VL/AJOU-83-VHのLCVR/HCVR配列対を含む。
【0257】
特定の実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、AJOU-84-HCDR1のHCDR1配列、AJOU-85-HCDR2のCHDR2配列及びAJOU-32-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVRと、AJOU-96-LCDR1のLCDR1及びAJOU-60-LCDR2のLCDR2及びAJOU-68-LCDR3のLCDR3を含むLCVRとを含む。
【0258】
以下の表3に列挙される抗体は、国際公開第2020/096381号パンフレット及びKim et al.(Scientific Reports.9:7772.2019)にさらに詳細に記載されており、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は、11/3、27/19、43/35、59/51、75/67、91/83、107/99、123/115、155/147及び171/163からなる群から選択される軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)配列対(LCVR/HCVR)を含む。
【0263】
以下の表4に列挙される抗体は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,605,237号明細書及び米国特許第7,608,693号明細書により詳細に記載されている。
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
以下の表5に列挙される抗体は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2022/052974号パンフレットにさらに詳細に記載されている。
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
特定の実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片は:Y0188-1/Y0188-1;Y0188-2/Y0188-2;Y0188-3/Y0188-3;Y0188-4/Y0188-4;Y0188-6/Y0188-6;Y0188-8/Y0188-8;Y0188-9/Y0188-9;Y0188-10/Y0188-10;Y0188-14/Y0188-14;HV3-15-14/Y01-14;HV3-15-14 /164-14;HV3-15-14/KV4-14;HV3-15-14/KV1-27-14;HV3-15-14/KV1-9-14;HV3-15-14/KV1-NL1-14;HV3-15-14/KV1D-43-14;HV3-48-14/Y01-14;HV3-48-14 /164-14;HV3-48-14/KV4-14;HV3-48-14/KV1-27-14;HV3-48-14/KV1-9-14;HV3-48-14/KV1-NL1-14;HV3-48-14/KV1D-43-14;HV3-73*2-14/Y01-14;HV3-73*2-14 /164-14;HV3-73*2-14/KV4-14;HV3-73*2-14/KV1-27-14;HV3-73*2-14/KV1-9-14;HV3-73*2-14/KV1-NL1-14;HV3-73*2-14/KV1D-43-14;HV3-72-14/Y01-14;HV3-72-14 /164-14;HV3-72-14/KV4-14;HV3-72-14/KV1-27-14;HV3-72-14/KV1-9-14;HV3-72-14/KV1-NL1-14;HV3-72-14/KV1D-43-14;Y01-14/Y01-14;Y01-14/164-14;Y01-14/KV4-14;Y01-14/KV1-27-14;Y01-14/KV1-9-14;Y01-14/KV1-NL1-14;Y01-14/KV1D-43-14;162-14/Y01-14;162-14 /164-14;162-14/KV4-14;162-14/KV1-27-14;162-14/KV1-9-14;162-14/KV1-NL1-14;162-14/KV1D-43-1L;VH73-14/Y01-14;VH73-14 /164-14;VH73-14/KV4-14;VH73-14/KV1-27-14;VH73-14/KV1-9-14;VH73-14/KV1-NL1-14;及びVH73-14/KV1D-43-14からなる群から選択される重鎖可変領域(HCVR)配列及び軽鎖可変領域(LCVR)配列対(HCVR/LCVR)を含む。
【0273】
以下の表6に列挙される抗体は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2021/213329号パンフレットにより詳細に記載されている。
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
医薬組成物
IL-4Rアンタゴニストが医薬組成物内に含まれる、IL-4Rアンタゴニストを患者に投与することを含む方法が提供される。本明細書に記載の医薬組成物は、適切な担体、賦形剤、及び適切な移入、送達、耐性などを提供する他の薬剤と共に製剤化される。多数の適切な製剤は、全ての医薬化学者に知られている処方書:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAに見ることができる。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性)含有小胞(LIPOFECTIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型及び油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、及びカルボワックスを含有する半固体混合物が含まれる。Powell et al.“Compendium of excipients for parenteral formulations”PDA(1998)J Pharm Sci Technol.52:238-311も参照されたい。
【0278】
患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢及びサイズ、症状、状態、投与経路などに応じて変化し得る。用量は、典型的には、体重又は体表面積に従って計算される。状態の重症度に応じて、治療の頻度及び期間を調整することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物を投与するための有効な投与量及びスケジュールは、経験的に決定され得る。例えば、患者の進行を定期的な評価によってモニターし、それに応じて用量を調整することができる。さらに、投与量の種間スケーリングは、当技術分野で周知の方法(例えば、Mordenti et al.,1991,Pharmaceut.Res.8:1351)を使用して行うことができる。
【0279】
様々な送達系が公知であり、本明細書に記載の医薬組成物を投与するために使用することができ、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、変異ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシスに封入することができる(例えば、Wu et al.,1987,J.Biol.Chem.262:4429-4432)。投与方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、気管内、硬膜外及び経口経路が含まれるが、これらに限定されない。組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば注入又はボーラス注射によって、上皮又は皮膚粘膜ライニング(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など。)を介した吸収によって投与され得、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。
【0280】
本明細書に記載の医薬組成物は、標準的な針及びシリンジを用いて皮下又は静脈内に送達することができる。さらに、皮下送達に関して、ペン送達装置(例えば、自動注射器ペン)は、本明細書に記載の医薬組成物を送達する際の用途を容易に有する。そのようなペン送達装置は、再使用可能又は使い捨て可能であり得る。再使用可能なペン送達装置は、一般に、医薬組成物を含む交換可能なカートリッジを利用する。カートリッジ内のすべての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になると、空のカートリッジを容易に廃棄し、医薬組成物を含む新しいカートリッジと交換することができる。次いで、ペン送達装置を再使用することができる。使い捨てのペン送達装置では、交換可能なカートリッジは存在しない。むしろ、使い捨てペン送達装置は、装置内のリザーバに保持された医薬組成物で予め充填される。リザーバから医薬組成物が空になると、装置全体が廃棄される。
【0281】
多数の再使用可能なペン及び自己注射器送達装置は、医薬組成物の皮下送達に用途を有する。例としては、数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford、Inc.(Woodstock、UK))、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、II及びIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)及びOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の医薬組成物の皮下送達における用途を有する使い捨てペン送達装置の例としては、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、及びKWIKPEN(商標)(イーライリリー)、SURECLICK(商標)Autoinjector(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、及びHUMIRA(商標)Pen(Abbott Labs、Abbott Park IL)が挙げられるが、これらに限定されない。大容量送達装置(例えば、大容量インジェクタ)の例としては、例えばBD Libertas West SmartDose、Enable Injections、SteadyMed PatchPump、Sensile SenseTrial、YPsomed YpsoDose、Bespak Lapasなどのボーラス注射器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0282】
例示的な薬物送達装置は、ISO11608-1:2014(E)5.2項の表1に記載されている針ベースの注射システムを含み得る。ISO 11608-1:2014(E)に記載されているように、針ベースの注射システムは広く、複数回投与容器システムと単回投与(部分又は全量排出)容器システムに分類され得る。容器は、交換可能容器でも、一体化された交換不能容器でもよい。
【0283】
ISO 11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、複数回投与容器システムは、交換式容器を備える針ベースの注入装置を含み得る。このようなシステムでは、各容器は複数回分の投与量を保持し、その大きさは固定でも可変(ユーザにより事前設定される)でもよい。他の複数回投与容器システムは、一体化された交換不能容器を備える針ベースの注入装置を含み得る。このようなシステムでは、各容器は複数回分の投与量を保持し、その大きさは固定でも可変(ユーザにより事前設定される)でもよい。
【0284】
ISO 11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、単回投与容器システムは交換式容器を備える針ベースの注入装置を含み得る。このようなシステムの一例では、各容器は1回分の投与量を保持し、送達可能量の全量が排出される(全量排出)。別の例では、各容器は1回分の投与量を保持し、送達可能量の一部が排出される(部分排出)。同じくISO 11608-1:2014(E)に記載されているように、単回投与容器システムは、一体化された交換不能容器を備える針ベースの注入装置を含み得る。このようなシステムの一例では、各容器は1回分の投与量を保持し、送達可能量の全量が排出される(全量排出)。別の例では、各容器は1回分の投与量を保持し、送達可能量の一部が排出される(部分排出)。
【0285】
手動針挿入を伴う例示的なスリーブトリガ式自動注射器は、国際公開第2015/004052号パンフレットに記載されている。例示的な可聴投与終了フィードバック機構は、国際公開第2016/193346号パンフレット及び国際公開第2016/193348号パンフレットに記載されている。自動注射器を使用した後の例示的な針安全機構は、国際公開第2016/193352号パンフレットに記載されている。シリンジオートインジェクタ用の例示的な針シース除去機構は、国際公開第2016/193353号パンフレットに記載されている。シリンジの軸方向位置を支持するための例示的な支持機構は、国際公開第2016/193355号パンフレットに記載されている。
【0286】
副鼻腔への直接投与のために、本明細書に記載の医薬組成物は、例えば、マイクロカテーテル(例えば、内視鏡及びマイクロカテーテル)、エアロゾル化装置、粉末ディスペンサー、ネブライザー又は吸入器を使用して投与され得る。この方法は、エアロゾル化製剤でのIL-4Rアンタゴニストの投与を必要とする対象への投与を含む。例えば、IL-4Rに対するエアロゾル化抗体を投与して、患者のPNを治療することができる。エアロゾル化抗体は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,178,098号明細書に記載されているように調製することができる。
【0287】
特定の状況では、医薬組成物は、制御放出系で送達され得る。一実施形態では、ポンプを使用することができる(前出のLanger;Sefton,1987,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる;Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),1974,CRC Pres.,Boca Raton,Floridaを参照のこと。さらに別の実施形態では、制御放出システムを組成物の標的の近くに配置することができ、したがって、全身用量の一部のみを必要とする(例えば、Goodson、1984,in Medical Applications of Controlled Release,supra,vol.2,pp.115-138を参照のこと)。その他の放出制御システムについては、Langer,1990,Science 249:1527-1533の総説を参照されたい。
【0288】
注射用製剤としては、静脈注射用、皮下注射用、皮内注射用、及び筋肉注射用、点滴用などの剤形が挙げられる。これらの注射用製剤は、公知の方法により調製することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、注射に従来使用されている滅菌水性媒体又は油性媒体に上記の抗体又はその塩を溶解、懸濁又は乳化することによって調製され得る。注射用水性媒体としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖及びその他の補助剤を含む等張液等が挙げられ、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物))等の適当な可溶化剤と組み合わせて使用することができる。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が挙げられ、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の可溶化剤と組み合わせて使用することができる。このようにして調製された注射剤は、典型的には適当なアンプルに充填される。
【0289】
有利には、上記の経口又は非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に適合するのに適した単位用量の剤形に調製される。単位用量のそのような剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが挙げられる。
【0290】
本明細書中に記載されるように使用され得る抗IL-4R抗体を含む例示的な医薬組成物は、例えば、米国特許第8,945,559号明細書に開示される。
【0291】
投与量
本明細書中に記載される方法に従って対象に投与されるIL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)の量は、一般に、治療有効量である。本明細書で使用される場合、「治療有効量」という語句は、(本明細書の他の箇所で定義される)1つ以上のPN関連PRO測定又はPN関連ClinRO測定の改善をもたらすIL-4Rアンタゴニストの量を意味する。「治療有効量」はまた、対象におけるPNの進行を阻害、防止、軽減、又は遅延するIL-4Rアンタゴニストの量を含む。
【0292】
抗IL-4R抗体の場合、治療有効量は、約0.05mg~約700mg、例えば約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約3.0mg、約5.0mg、約7.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、又は約700mgの抗IL-4R抗体であり得る。特定の実施形態において、300mgの抗IL-4R抗体が投与される。
【0293】
個々の用量内に含まれるIL-4Rアンタゴニストの量は、対象の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラム(すなわち、mg/kg)で表され得る。例えば、IL-4Rアンタゴニストは、約0.0001~約10mg/kg対象体重の用量で患者に投与され得る。例えば、IL-4Rアンタゴニストは、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg又は6mg/kgの用量で投与することができる。
【0294】
特定の実施形態では、初期用量は負荷投与量とほぼ同じである。特定の実施形態では、初期用量は、負荷用量の約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍以上である。
【0295】
特定の実施形態において、2つ以上(例えば、2、3、4、又は5以上)の用量が、処置レジメンの開始時に、「初期用量」又は「負荷用量」として投与され、その後、より低い頻度ベース(例えば、「二次用量」又は「維持用量」)で投与される後続用量が投与される。一実施形態では、維持用量は、負荷量又は初期用量よりも低くてもよい。例えば、600mgのIL-4Rアンタゴニストの1つ以上の負荷用量を投与した後、約75mg~約300mgの維持用量を投与し得る。特定の実施形態において、上記方法は、約400mg又は約600mgのIL-4Rアンタゴニストの初期用量又は負荷用量を含む。特定の実施形態では、本方法が、約200mg又は約300mgのIL-4Rアンタゴニストの1つ以上の二次用量又は維持用量を含む。
【0296】
一実施形態では、維持用量は、負荷量又は初期用量と同じ用量である。例えば、IL-4Rアンタゴニストの負荷用量及び維持用量の両方は、約75mg~約300mgの用量で投与され得る。特定の実施形態において、上記方法は、約300mgのIL-4Rアンタゴニストの初期用量及び維持用量を含む。
【0297】
特定の例示的な実施形態では、対象は、30kgを超える体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、又は約600mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、対象は、30kgを超える体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの初期用量又は負荷用量及び約200mgの1つ以上の二次用量又は維持用量で投与され、二次用量は、隔週(q2w)で投与される。いくつかの実施形態において、対象は、30kgを超える体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、初期用量及び約200mgの維持用量で投与され、維持用量は、隔週(q2w)で投与される。
【0298】
特定の例示的な実施形態において、対象は、30kg以下の体重及び少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg又は約600mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、対象は、30kg以下の体重及び少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約600mgの初期用量及び約300mgの1つ以上の二次用量又は維持用量で投与され、二次用量は、4週間毎(q4w)に投与される。いくつかの実施形態において、対象は、30kg以下の体重及び少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、初期用量及び約300mgの維持用量で投与され、維持用量は、4週間毎(q4w)に投与される。
【0299】
特定の例示的な実施形態では、対象は、60kg未満の体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、又は約600mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、対象は、60kg未満の体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの初期用量及び約200mgの1つ以上の二次用量又は維持用量で投与され、二次用量は、隔週(q2w)で投与される。他の実施形態において、対象は、60kg未満の体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、初期用量及び約200mgの維持用量で投与され、維持用量は、隔週(q2w)で投与される。特定の実施形態では、対象は、30kg以上60kg未満の体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、又は約600mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、対象は、30kg以上60kg未満の体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの初期用量及び約200mgの1つ以上の二次用量又は維持用量で投与され、二次用量は、隔週(q2w)で投与される。他の実施形態では、対象は、30kg以上60kg未満の体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、初期用量及び約200mgの維持用量で投与され、維持用量は、隔週(q2w)で投与される。
【0300】
特定の例示的な実施形態では、対象は、少なくとも60kgの体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、又は約600mgの用量で投与される。例示的な実施形態では、対象は、少なくとも60kgの体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約600mgの初期用量及び約300mgの1つ以上の二次用量又は維持用量で投与され、二次用量は、隔週(q2w)で投与される。他の実施形態では、対象は、少なくとも60kgの体重を有する青年期の対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、初期用量及び約300mgの維持用量で投与され、維持用量は、隔週(q2w)で投与される。
【0301】
特定の例示的な実施形態では、対象は成人であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、又は約600mgの用量で投与される。例示的な実施形態では、対象は成人であり、IL-4Rアンタゴニストは、約600mgの初期用量及び約300mgの1つ以上の二次用量又は維持用量で投与され、二次用量は隔週(q2w)で投与される。他の例示的な実施形態では、対象は成人であり、IL-4Rアンタゴニストは、約300mgの初期用量及び約300mgの維持用量で投与され、維持用量は、隔週(q2w)で投与される。
【0302】
特定の例示的な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、プレフィルド装置を使用して150mg/mLの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、プレフィルド装置内の150mg/mLのIL-4Rアンタゴニスト溶液を使用して、2mLの注射で300mgのIL-4Rアンタゴニストを送達する。特定の例示的な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、プレフィルド装置を使用して175mg/mLの濃度で投与される。いくつかの実施形態において、プレフィルド装置における175mg/mLのIL-4Rアンタゴニスト溶液が、1.14mLの注射において200mgのIL-4Rアンタゴニストを送達するために使用される。
【0303】
併用療法
本明細書中に記載される方法の特定の実施形態は、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせて1つ以上の治療剤を対象に投与することを含む。本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」という表現は、さらなる治療剤が、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の前、後、又は同時に投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、「と組み合わせて」という用語は、IL-4Rアンタゴニスト及び第2の治療剤の連続投与又は同時投与を含む。相加的又は相乗的活性のための第2の治療剤と組み合わせてIL-4Rアンタゴニストを投与することを含む、PN又は関連する状態若しくは合併症を治療する方法が提供される。
【0304】
例えば、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「前」に投与される場合、さらなる治療剤は、IL-4Rアンタゴニストを含む薬学的組成物の投与の約72時間前、約60時間前、約48時間前、約36時間前、約24時間前、約12時間前、約10時間前、約8時間前、約6時間前、約4時間前、約2時間前、約1時間前、約30分前、約15分前又は約10分前に投与され得る。IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「後」に投与する場合、さらなる治療剤は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与から約10分後、約15分後、約30分後、約1時間後、約2時間後、約4時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後、又は約72時間後に投与することができる。IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物との「同時」投与は、さらなる治療剤が、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の5分未満(前、後、又は同時に)以内に別個の剤形で対象に投与されるか、又はさらなる治療剤とIL-4Rアンタゴニストの両方を含む単一の併用投与製剤として対象に投与されることを意味する。
【0305】
例示的な実施形態において、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせて投与されるさらなる治療剤は、バックグラウンド療法である。例示的な実施形態では、バックグラウンド療法は、1つ以上の局所コルチコステロイド(TCS)である。例示的態様において、バックグラウンド療法は1つ以上の経口コルチコステロイド(OCS)である。他の例示的な実施形態では、バックグラウンド療法は、1つ以上の局所カルシニューリン阻害剤(TCI)である。いくつかの例示的態様において、バックグラウンド療法は1つ以上の低効力から中効力までの局所コルチコステロイド(TCS)である。他の例示的な実施形態では、バックグラウンド療法は、1つ以上の低~中程度の効力の局所カルシニューリン阻害剤(TCI)である。特定の実施形態において、本方法は、バックグラウンド療法の必要性の低減をもたらす。例えば、特定の実施形態では、本方法は、バックグラウンド療法の用量の低下及び/又は頻度の低下をもたらす。
【0306】
さらなる治療剤は、例えば、別のIL-4Rアンタゴニスト(例えば、表1~4に列挙される1つ以上の適切なIL-4Rアンタゴニスト)、TCS、TCI、IL-1アンタゴニスト(例えば、米国特許第6,927,044号明細書に記載のIL-1アンタゴニストを含む)、IL-5アンタゴニスト、IL-5Rアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-6Rアンタゴニスト(例えば、米国特許第7,582,298号明細書に示されるような抗IL-6R抗体を含む)又はIL-17アンタゴニストであり得る。
【0307】
例示的な実施形態では、追加の治療剤は、中~超効力TCSである。
【0308】
別の例示的な実施形態では、追加の治療剤は、低~中効力TCSである。
【0309】
適切な超効力(すなわち、群1)TCSとしては、ベタメタゾンジプロピオネート(増強)、プロピオン酸クロベタゾール、吉草酸ジフルコルトロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸ハロベタゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0310】
適切な高効力(すなわち、第2群)TCSとしては、アムシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソキシメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0311】
適切な高効力(すなわち、第3群)TCSとしては、アムシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、デソキシメタゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルオシノニド、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸モメタゾン、フロ酸モメタゾンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0312】
適切な中効力(すなわち、第4群)TCSとしては、ベタメタゾンジプロピオネート、クロコルトロンピバレート、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノリド、フルチカゾンプロピオネート、ヒドロコルチゾンバレレート、モメタゾンフロエート、トリアムシノロンアセトニドなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に適切な中効力TCSとしては、トリアムシノロンアセトニド0.1%クリーム及びフルオシノロンアセトニド0.025%軟膏が挙げられる。
【0313】
適切な低中効力(すなわち、群5)TCSとしては、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、デソニド、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、プロブト酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、プレジカルバート、トリアムシノロンアセトニドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0314】
適切な低効力(すなわち、群6)TCSとしては、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、デソニド、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0315】
適切な最も弱い(すなわち、群7)TCSとしては、ヒドロコルチゾン(塩基、≧2%)、ヒドロコルチゾン(塩基、<2%)、酢酸ヒドロコルチゾンなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に好適な最も効力の低いTCSはヒドロコルチゾン1%クリームである。
【0316】
さらなる例示的な実施形態では、さらなる治療剤は、中~超効力TCIである。
【0317】
さらなる例示的な実施形態では、追加の治療剤は、低~中効力TCIである。
【0318】
適切なTCIとしては、プロピオン酸クロベタゾール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ASTAGRAF XL(商標)(すなわち、タクロリムス持続放出カプセル)、CEQUA(商標)(すなわち、シクロスポリン0.09%点眼剤)、シクロスポリン、シクロスポリン眼科、ELIDEL(商標)(すなわち、ピメクロリムス)、ENVARSUS XR(商標)(すなわち、タクロリムス持続放出錠剤)、GENGRAF(商標)(すなわち、シクロスポリン)、HECORIA(商標)(すなわち、タクロリムス)、LUPKYNIS(商標)(すなわち、ボクロスポリン)、NEORAL(商標)(すなわち、シクロスポリンカプセル及び経口溶液)、ピメクロリムス、PROGRAF(商標)(すなわち、タクロリムスカプセル)、PROTOPIC(商標)(すなわち、タクロリムス軟膏)、RESTASIS(商標)(すなわち、シクロスポリン0.05%点眼剤)、SANDIMMUNE(商標)(すなわち、シクロスポリンカプセル及び経口溶液)、タクロリムス、タクロリムス軟膏、VERKAZIA(商標)(すなわち、シクロスポリン眼科用エマルジョン)、ボクロスポリンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0319】
特に適切な超効力TCSはプロピオン酸クロベタゾール0.05%クリームである。特に適切な高効力TCSは、ベタメタゾンジプロピオネート0.05%最適化軟膏である。
【0320】
さらなる例示的な実施形態では、さらなる治療剤は、経口コルチコステロイド(すなわち、全身コルチコステロイド)である。
【0321】
適切な経口コルチコステロイドには、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、酢酸コルチゾンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0322】
投与レジメン
特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの複数回用量が、定義された時間経過にわたって対象に投与される場合がある。そのような方法は、IL-4Rアンタゴニストの複数回用量を対象に逐次投与することを含む。本明細書中で使用されるとき、「連続的に投与する」とは、IL-4Rアンタゴニストの各用量が、異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間、又は数ヶ月)だけ離れた異なる日に対象に投与されることを意味する。IL-4Rアンタゴニストの単回初期用量を患者に順次投与し、続いてIL-4Rアンタゴニストの1つ以上の二次用量を投与し、場合により、続いてIL-4Rアンタゴニストの1つ以上の三次用量を投与することを含む方法が提供される。
【0323】
1週間に約4回、1週間に2回、1週間に1回(q1w)、2週間に1回(2週間毎は、隔週、隔週又はq2wと交換可能に使用される)、3週間に1回(3週間又はq3w)、4週間に1回(毎月又はq4w)、5週間に1回(q5w)、6週間に1回(q6w)、7週間に1回(q7w)、8週間に1回(q8w)、9週間に1回(q9w)、10週間に1回(q10w)、11週間に1回(q11w)、12週間に1回(q12w)、又は治療応答が達成される限り低い頻度で投与頻度でIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が提供される。
【0324】
抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を伴う特定の実施形態では、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mgの量の週に1回の投薬を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を伴う他の実施形態では、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mgの量の2週間に1回の投薬(2週間毎は、隔週、隔週又はq2wと交換可能に使用される)を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を伴う他の実施形態では、3週間に1回、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mgの量を投与することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を伴う他の実施形態では、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mgの量の4週間に1回の投薬(毎月の投薬)を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を伴う他の実施形態では、5週間に1回、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mgの量の投薬を用いることができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を伴う他の実施形態では、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mgの量を6週間に1回投与することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を伴う他の実施形態では、8週間に1回、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mgの量を投与することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を伴う他の実施形態では、12週間に1回、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mgの量を投与することができる。特定の例示的な実施形態では、投与経路は皮下である。
【0325】
「週(week)」又は「週(weeks)」という用語は、(n×7日)±3日、例えば(n×7日)±2日、(n×7日)±1日、又は(n×7日)の期間を指し、「n」は、週の数、例えば1、2、3、4、5、6、8、12又はそれ以上を示す。
【0326】
用語「初期用量」、「二次用量」及び「三次用量」は、IL-4Rアンタゴニストの投与の時間的順序を指す。したがって、「初期用量」は、治療レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」又は「負荷用量」とも呼ばれる)である。「二次用量」は、初期用量の後に投与される用量であり、;「三次用量」は、二次用量の後に投与される用量である。初回、二次及び三次用量はすべて、同じ量のIL-4Rアンタゴニストを含有し得るか、又は投与頻度に関して互いに異なり得る。しかしながら、特定の実施形態において、最初の用量、二次用量及び/又は三次用量に含まれるIL-4Rアンタゴニストの量は、処置の経過期間中に互いに異なる(例えば、必要に応じて上下に調整)。特定の実施形態において、2つ以上(例えば、2、3、4、又は5)の用量が、処置レジメンの開始時に「負荷用量」として投与され、続いて、より低い頻度で投与されるその後の用量(例えば、「維持用量」)が投与される。一実施形態では、維持用量は、負荷用量よりも低くてもよい。例えば、600mg又は400mgのIL-4Rアンタゴニストの1つ以上の初期用量又は負荷用量を投与し、続いて約75mg~約400mgの二次用量又は維持用量を投与し得る。一実施形態では、二次用量/維持用量は、初期用量/負荷用量に等しくてもよい。例えば、300mg又は200mgのIL-4Rアンタゴニストの1つ以上の初期用量/負荷用量を投与し、続いてそれぞれ約300mg又は約200mgの二次用量/維持用量を投与し得る。一実施形態では、負荷用量は分割されてもよく、例えば、異なる時点で投与される2つ以上の用量、例えば、第2の負荷用量が第1の負荷用量の2週間後に投与される2つの負荷用量であってもよい。
【0327】
特定の実施形態において、初期用量は、約50mg~約600mgのIL-4Rアンタゴニストである。一実施形態では、初期用量は、600mgのIL-4Rアンタゴニストである。別の実施形態において、初期用量は、400mgのIL-4Rアンタゴニストである。さらに他の実施形態では、初期用量は、300mgのIL-4Rアンタゴニストである。
【0328】
特定の実施形態において、二次用量は、約50mg~約600mgのIL-4Rアンタゴニストである。一実施形態では、維持用量は、300mgのIL-4Rアンタゴニストである。一実施形態では、維持用量は、200mgのIL-4Rアンタゴニストである。
【0329】
特定の実施形態において、初期用量は、維持用量の3倍である。特定の実施形態において、初期用量は、維持用量の2倍である。特定の実施形態において、初期用量は、維持用量に等しい。例示的な実施形態では、初期用量は300mgであり、維持用量は300mgである。
【0330】
いくつかの実施形態では、対象は小児であり、30kg以下及び少なくとも15kgの体重を有し、初期用量は600mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は4週間ごとに投与される300mgの抗体又はその抗原結合断片を含む(q4w)。他の実施形態では、対象は、小児であり、30kg以下及び少なくとも15kgの体重を有し、初期用量は、300mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、4週間ごとに投与される300mgの抗体又はその抗原結合断片を含む(q4w)。
【0331】
いくつかの実施形態では、対象は小児であり、30kgを超える体重を有し、初期用量は400mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)に投与される200mgの抗体又はその抗原結合断片を含む。他の実施形態では、対象は小児であり、30kgを超える体重を有し、初期用量は200mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)に投与される200mgの抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0332】
いくつかの実施形態では、対象は青年であり、60kg未満の体重を有し、初期用量は400mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)に投与される200mgの抗体又はその抗原結合断片を含む。他の実施形態では、対象は、青年であり、60kg未満の体重を有し、最初の用量は、200mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)に投与される200mgの抗体又はその抗原結合断片を含む。例示的な実施形態では、対象は青年であり、30kg以上60kg未満の体重を有し、初期用量は400mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は200mgの抗体又はその抗原結合断片を隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)で投与される。他の例示的な実施形態では、対象は青年であり、30kg以上60kg未満の体重を有し、初期用量は200mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は200mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、一週間おきに投与される(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)。
【0333】
いくつかの実施形態では、対象は青年であり、60kgを超える体重を有し、初期用量は600mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)に投与される300mgの抗体又はその抗原結合断片を含む。他の実施形態では、対象は、青年であり、60kgを超える体重を有し、初期用量は、300mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)に投与される300mgの抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0334】
いくつかの実施形態では、対象は成人であり、初期用量は600mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)に投与される300mgの抗体又はその抗原結合断片を含む。他の実施形態では、対象は成人であり、初期用量は300mgの抗体又はその抗原結合断片を含み、1つ以上の二次用量は、隔週(隔週は、2週間毎、隔週又はq2wと交換可能に使用される)に投与される300mgの抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0335】
例示的な一実施形態では、各二次及び/又は三次用量は、直前の用量の1から14(例えば、1、11/2、2、21/2、3、31/2、4、41/2、5、51/2、6、61/2、7、71/2、8、81/2、9、91/2、10、101/2、11、111/2、12、121/2、13、131/2、14、141/2又はそれ以上)週間後に投与される。「直前の用量」という語句は、一連の複数回投与において、介在する用量を伴わずに、一連のまさに次の用量の投与の前に患者に投与されるIL-4Rアンタゴニストの用量を意味する。
【0336】
この方法は、任意の数の二次及び/又は三次用量のIL-4Rアンタゴニストを患者に投与することを含み得る。例えば、特定の実施形態では、単一の二次用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の二次用量が患者に投与される。同様に、特定の実施形態では、単一の三次用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の三次用量が患者に投与される。
【0337】
複数の二次用量を伴う実施形態では、各二次用量は、他の二次用量と同じ頻度で投与され得る。例えば、各二次用量は、直前の用量の1~2週間後に患者に投与され得る。同様に、複数の三次用量を含む実施形態では、各三次用量は、他の三次用量と同じ頻度で投与され得る。例えば、各三次用量は、直前の用量の2~4週間後に患者に投与され得る。或いは、二次及び/又は三次用量が患者に投与される頻度は、治療レジメンの経過にわたって変化し得る。投与の頻度はまた、臨床検査後の個々の患者の必要性に応じて、医師によって治療の経過中に調整され得る。
【0338】
PN又は関連する状態を治療するための患者へのIL-4Rアンタゴニスト及び第2の治療剤の逐次投与を含む方法が提供される。いくつかの態様において、方法は、1つ以上の用量のIL-4Rアンタゴニストを投与し、その後、1つ以上の用量の第2の治療剤(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)を投与する工程を含む。例えば、約75mg~約600mgのIL-4Rアンタゴニストの1つ以上の用量が投与され得、その後、PNの1つ以上の症状を治療、緩和、低減又は改善するために、1つ以上の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の第2の治療剤(例えば、TCS又はTCI)が投与され得る。いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、1つ以上の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)で投与され、1つ以上のPN関連パラメータの改善をもたらし、引き続いてPNの少なくとも1つの症状の再発を予防するための第2の治療剤の投与が続く。代替実施形態は、IL-4Rアンタゴニストと第2の治療剤との同時投与に関する。例えば、1つ以上の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)のIL-4Rアンタゴニストが投与され、第2の治療剤が、IL-4Rアンタゴニストと同様又は異なる頻度で別個の投与量で投与される。いくつかの実施形態において、第2の治療剤は、IL-4Rアンタゴニストの前、後又は同時に投与される。
【0339】
特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストを、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間、32週間、34週間、36週間、38週間、40週間、42週間、44週間、46週間、48週間又はそれを超えて隔週で投与する。他の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間、48週間又はそれ以上にわたって4週間ごとに投与される。特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、少なくとも24週間投与される。
【0340】
特定の実施形態では、インターロイキン-4受容体(IL-4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の剤形を含むキットであって、抗体又はその抗原結合断片が、配列番号それぞれ3、4、及び5を含む3つの重鎖CDR配列並びに配列番号それぞれ6、7及び8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む、CIndUの処置のためのキットが提供される。特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)及び配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)を含む。特定の実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0341】
キットは、ラベル又は添付文書を含むことができ、ラベル又は添付文書は、PNの治療のための剤形を投与するための説明書を含む。説明書は、PNの治療のための本明細書にさらに記載される投薬レジメンを列挙することができる。
【0342】
治療集団
本明細書で提供される方法は、IL-4Rアンタゴニストを含む治療組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。「それを必要とする対象」という表現は、PNの1つ以上の症状又は徴候を示すか、PNと診断されたヒト又は非ヒト動物を意味する。
【0343】
関連する実施形態では、「それを必要とする対象」は、IL-4Rアンタゴニストの投与前に、TCI又はTCSを処方されているか、又は現在服用している対象であり得る。いくつかの態様において、対象は現在、低い効力から中程度の効力のTCI又はTCSを服用している。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与の直前の2週間以上にわたって低~中効力TCI又はTCSの規則的な経過をとっていた患者にIL-4Rアンタゴニストを投与することを含む方法(そのような以前の治療は、本明細書では「バックグラウンド治療」と呼ばれる)が提供される。
【0344】
さらに他の実施形態では、TCI又はTCSの量は、IL-4Rアンタゴニスト投与の開始前又は開始後に徐々に低下する。他の実施形態では、TCI又はTCSの効力は、IL-4Rアンタゴニスト投与の開始前又は開始後に徐々に低下する。
【0345】
別の例示的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、IL-4Rアンタゴニストの投与前に、TCS又はTCIに対して抵抗性のPNの診断を有する。いくつかの実施形態では、対象のPN症状は、TCS又はTCIによる治療にもかかわらず持続する。さらに別の例示的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、IL-4Rアンタゴニストの投与前に中度~超効力TCS又はTCIに対して抵抗性のPNの診断を有する。いくつかの実施形態では、対象のPN症状は、中~超効力TCS又はTCIによる治療にもかかわらず持続する。さらに別の例示的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、IL-4Rアンタゴニストの投与前に、低~中程度の効力のTCS又はTCIに対して抵抗性のPNの診断を有する。いくつかの実施形態では、対象のPN症状は、低~中程度の効力のTCS又はTCIによる処置にもかかわらず持続する。
【0346】
別の実施形態では、「それを必要とする対象」は、PNが局所療法で適切に制御されていない対象である。他の実施形態では、「それを必要とする対象」は、局所療法に抵抗性の掻痒症又はPNを有する対象である。いくつかの実施形態では、「それを必要とする対象」は、局所療法が賢明でない(すなわち、対象は、局所療法に関連する有害作用を経験するか、又は局所療法と組み合わせることができない薬物に作用する)対象である。さらに他の実施形態では、「それを必要とする対象」は、PN又は掻痒症を治療するための全身療法の候補である対象である。
【0347】
さらなる例示的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、TCS又はTCIが医学的に賢明でない(すなわち、対象は、アレルギー、有害反応の病歴、又はTCS若しくはTCIの投与が推奨されない他の病歴を有する。)対象である。
【0348】
いくつかの実施形態では、「それを必要とする対象」は、18歳以上の対象、12歳以上の対象、12歳~17歳(12歳~18歳未満)の対象、6歳~11歳(6歳~12歳未満)の対象、及び2歳~5歳(2歳~6歳未満)の対象からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、「それを必要とする対象」は、成人、青年及び小児からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、「それを必要とする対象」は、18歳以上の成人、12歳~17歳(12歳~18歳未満)の青年、6歳~11歳(6歳~12歳未満)の小児、及び2歳~5歳(2歳~6歳未満)の小児からなる群から選択される。対象は、2歳未満、例えば、12ヶ月~23ヶ月、又は6ヶ月~11ヶ月であり得る。
【0349】
いくつかの実施形態において、「それを必要とする対象」は、併存アトピー性皮膚炎又は別のアトピー性状態(すなわち、対象はアトピーの病歴を有する)を有する対象であり得る。例示的な実施形態において、対象は、併存軽度アトピー性皮膚炎を有する。他の実施形態では、対象は、併存する中等度のアトピー性皮膚炎、中等度~重度のアトピー性皮膚炎、又は重度のアトピー性皮膚炎を有する。
【0350】
さらなる例示的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、軽度PN、中等度PN、中等度~重度PN、又は重度PNを有する対象である。いくつかの実施形態では、軽度PNを有する対象は、2又は軽度のIGA PN-Sスコアを有する。いくつかの実施形態では、中程度のPNを有する対象は、3又は中程度のIGA PN-Sスコアを有する。いくつかの実施形態では、重度のPNを有する対象は、4又は重度のIGA PN-Sスコアを有する。いくつかの実施形態では、中等度~重度のPNを有する対象は、3又は4(中等度又は重度)のIGA PN-Sスコアを有する。いくつかの実施形態では、中程度から重度のPNを有する対象は、両脚、並びに/又は両腕及び/若しくは体幹に合計で最小20個のPN結節を有する。
【0351】
他の例示的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、制御されていないPNを有する対象であり得る。いくつかの実施形態では、制御されないPNを有する対象は、局所療法による治療に失敗した。いくつかの実施形態では、制御されていないPNを有する対象は、重度のかゆみを有する。いくつかの実施形態では、制御されていないPNを有する対象は、20個を超えるPN結節を有する。
【0352】
他の例示的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、重度のかゆみを有する対象であり得る。
【0353】
薬力学的PN関連パラメータを評価するための方法
IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与によって引き起こされる、それを必要とする対象における1つ以上の薬力学的PN関連パラメータを評価する方法が提供される。PN症状の発生率の低下又はPN関連PRO若しくはClinRO測定値の改善は、1つ以上の薬力学的PN関連パラメータの改善と相関し得る。しかしながら、このような相関関係は、必ずしも全ての場合において観測されるとは限らない。
【0354】
「薬力学的PN関連パラメータ」の例には、例えば以下が含まれる:(a)バイオマーカー発現レベル並びに(b)血清タンパク質及びRNA分析。「薬力学的PN関連パラメータの改善」は、例えば、IgE、好酸球レベル、c反応性タンパク質(CRP)、IL-6、D-ダイマー、中血小板体積(MPV)、IL-17、IL-18、IL-31、IL-33、及びメタロプロテイナーゼ-9などの1つ以上のバイオマーカーのベースラインからの低下を意味する。本明細書で使用される場合、薬力学的PN関連パラメータに関して「ベースライン」という用語は、本明細書に記載の医薬組成物の投与前又は投与時の患者の薬力学的PN-関連パラメータの数値を意味する。
【0355】
薬力学的PN関連パラメータを評価するために、パラメータをベースライン及び医薬組成物の投与後の時点で定量する。例えば、薬力学的PN関連パラメータは、医薬組成物による初期治療後の約1日目、約2日目、約3日目、約4日目、約5日目、約6日目、約7日目、約8日目、約9日目、約10日目、約11日目、約12日目、約14日目、又は約3週目、約4週目、約5週目、約6週目、約7週目、約8週目、約9週目、約10週目、約11週目、約12週目、約13週目、約14週目、約15週目、約16週目、約17週目、約18週目、約19週目、約20週目、約21週目、約22週目、約23週目、約24週目、又はそれ以上で測定され得る。治療開始後の特定の時点でのパラメータの値とベースラインでのパラメータの値との差を使用して、薬力学的PN関連パラメータに「改善」などの変化があったかどうかを確立する(例えば、測定されている特定のパラメータに応じて、場合によっては増加又は低下)。
【0356】
特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの患者への投与は、特定のバイオマーカーの発現の変化、例えば低下又は増加を引き起こす。PN関連バイオマーカーには、それだけに限らないが、総IgE、c反応性タンパク質(CRP)、IL-6、D-ダイマー、中血小板容積(MPV)、IL-17、IL-18、IL-31、IL-33及びメタロプロテイナーゼ-9が含まれる。例えば、PN患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、総血清IgEレベルの低下を引き起こし得る。低下は、IL-4Rアンタゴニストの投与後、約1週目、約2週目、約3週目、約4週目、約5週目、又はそれを超えて検出することができる。バイオマーカー発現は、当技術分野で公知の方法によってアッセイすることができる。例えば、タンパク質レベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって測定することができる。RNAレベルは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)にカップリングされた逆転写によって測定することができる。
【0357】
上述のように、バイオマーカー発現は、血清中のタンパク質又はRNAの検出によってアッセイすることができる。血清試料はまた、IL-4Rアンタゴニスト又はIL-4/IL-13シグナル伝達による処置に対する応答に関連するさらなるタンパク質又はRNAバイオマーカーを(例えば、可溶性IL-4Rα、IL-4、IL-13などを測定することによって)モニターするために使用され得る。いくつかの実施形態では、RNA試料を使用して、RNAレベル(非遺伝子分析)、例えばバイオマーカーのRNAレベルを決定する;他の態様では、RNA試料をトランスクリプトームシーケンシング(例えば、遺伝子解析)に使用する。
【0358】
製剤
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、i)約150mg/mLのIL-4Rに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、ii)約20mMヒスチジン、iii)約12.5mM酢酸塩、iv)約5%(w/v)スクロース、v)約25mMアルギニン塩酸塩、vi)約0.2%(w/v)ポリソルベート80を含む組成物に製剤化され、製剤のpHは約5.9であり、製剤の粘度は約8.5 cPoiseである。
【0359】
代替の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、i)約175mg/mLのIL-4Rに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片、ii)約20mMヒスチジン、iii)約12.5mM酢酸塩、iv)約5%(w/v)スクロース、v)約50mMアルギニン塩酸塩、及びvi)約0.2%(w/v)ポリソルベート80を含む組成物に製剤化され、製剤のpHは約5.9であり、製剤の粘度は約8.5 cPoiseである。
【0360】
具体的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVR及び配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0361】
具体的な実施形態では、抗体はデュピルマブを含む。特に明記しない限り、「デュピルマブ」という用語は、その任意のバイオシミラーも含む。
【0362】
適切な安定化製剤はまた、米国特許第8,945,559号明細書に記載されており、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0363】
本開示は、さらなる限定として解釈されるべきではない以下の例によってさらに説明される。本出願を通して引用された図面、表及びすべての参考文献、特許及び公開された特許出願の内容は、すべての目的のために参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0364】
さらに、本開示によれば、当技術分野の技術の範囲内で、従来の分子生物学、微生物学、及び組換えDNA技術を使用することができる。そのような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Green&Sambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Fourth Edition(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York;DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.1984);Nucleic Acid Hybridization [B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985)];Transcription And Translation [B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.(1984)];Animal Cell Culture [R.I.Freshney,ed.(1986)];Immobilized Cells And Enzymes [IRL Press,(1986)];B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照のこと。
【実施例】
【0365】
以下の実施例は、当業者に、本開示において特色とされる方法及び組成物をどのように作製及び使用するかの完全な開示及び説明を提供するために記載されており、本発明者らがそれらの開示として見なす範囲を限定することを意図するものではない。使用される数(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされてきたが、いくつかの実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に断らない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【0366】
以下の実施例で使用される例示的なIL-4Rアンタゴニストは、デュピルマブ(本明細書では「mAb 1」又はDUPIXENT(登録商標)とも呼ばれる)と呼ばれるヒト抗IL-4R抗体である。
【0367】
実施例1:局所処方療法で不適切に制御されているか、又はそれらの療法が賢明でない場合の結節性痒疹患者におけるデュピルマブの有効性及び安全性を評価するための無作為化二重盲検プラセボ対照多施設並行群試験(類似の設計及び集団の2つのPhase 3試験-PRIME&PRIME2)
目的
主要目的:
局所処方療法で不適切に制御されたPN患者又はそれらの療法が賢明でない場合のかゆみ反応に対するデュピルマブの有効性を実証すること。
【0368】
二次目的:
局所処方療法で不適切に制御されたPN患者又はそれらの療法が賢明でない場合の追加のかゆみエンドポイントに対するデュピルマブの有効性を実証すること。
【0369】
PNの皮膚病変に対するデュピルマブの有効性を実証すること。
【0370】
健康関連の生活の質(HRQoL)の改善を実証すること。
【0371】
安全性転帰測定を評価すること。
【0372】
デュピルマブの免疫原性を評価すること。
【0373】
エンドポイント
PRIMEの主要エンドポイント:
ベースラインから24週目までに最悪のかゆみの数値評価尺度(WI-NRS)が4以上改善した(低下した)参加者の割合。
【0374】
PRIME2の主要エンドポイント:
ベースラインから12週目までに最悪のかゆみの数値評価尺度(WI-NRS)が4以上改善した(低下した)参加者の割合。
【0375】
二次エンドポイント:
ベースラインから24週目までにWI-NRSが4以上改善した(PRIME2試験)参加者の割合。
【0376】
ベースラインから24週目までのWI-NRSの4以上の改善(低下)及び24週目のIGA PN-S 0又は1スコアの両方を有する参加者の割合。このエンドポイントは、同じ日にWI-NRS及びIGA PN-Sスコアが0又は1の付随する改善(低下)を有する参加者の割合を捉える。
【0377】
24週間の治療期間中にベースラインから4以上WI-NRSが改善(低下)した参加者の割合によって測定される、掻痒症に対する効果の発現までの時間。
【0378】
24週目のWI-NRSのベースラインからの変化。
【0379】
12週目のWI-NRSのベースラインからの変化。
【0380】
24週目のWI-NRSのベースラインからの変化率。
【0381】
12週目のWI-NRSのベースラインからの変化率。
【0382】
4週目のWI-NRSのベースラインからの変化率。
【0383】
2週目のWI-NRSのベースラインからの変化率。
【0384】
24週目までの経時的なWI-NRSのベースラインからの変化率。
【0385】
4週目にWI-NRS低下≧4である参加者の割合。
【0386】
24週目までの経時的なWI-NRS低下≧4の参加者の割合。
【0387】
12週目までのWI-NRSのベースラインからの変化における作用開始(最初は、その後の測定で有意なままである毎日のWI-NRSにおけるプラセボとのp<0.05の差)。
【0388】
第24週のPN病期(IGA PN-S)に対する治験責任医師による総合評価0又は1スコアの参加者の割合。
【0389】
12週目のIGA PN-S 0又は1スコアを有する参加者の割合。
【0390】
8週目のIGA PN-S 0又は1スコアを有する参加者の割合。
【0391】
4週目のIGA PN-S 0又は1スコアを有する参加者の割合。
【0392】
24週目のIGA PN-Sスコアのベースラインからの変化。
【0393】
12週目のIGA PN-Sスコアのベースラインからの変化。
【0394】
8週目のIGA PN-Sスコアのベースラインからの変化。
【0395】
4週目のIGA PN-Sスコアのベースラインからの変化。
【0396】
第24週のPN活性(IGA PN-A)に対する治験責任医師による総合評価0又は1スコアの参加者の割合。
【0397】
12週目のIGA PN-A 0又は1スコアを有する参加者の割合。
【0398】
8週目のIGA PN-A 0又は1スコアを有する参加者の割合。
【0399】
4週目のIGA PN-A 0又は1スコアを有する参加者の割合。
【0400】
Dermatology Life Quality Index(DLQI)によって測定されるHRQoLのベースラインから24週目までの変化。
【0401】
DLQIによって測定された12週目までのHRQoLのベースラインからの変化。
【0402】
ベースラインから24週目までに治療下で発現した有害事象(TEAE)又は重篤な有害事象(SAE)を経験した参加者の割合。
【0403】
経時的なデュピルマブに対する治療下で発現した抗薬物抗体(ADA)の発生率。
【0404】
試験設計
本試験は、局所処方療法で不適切に制御されたPNを有する患者又はそれらの療法が賢明でない場合のデュピルマブの使用を評価するための多施設24週間治療並行二重盲検無作為化プラセボ対照試験であった。本試験では、かゆみの改善に対するデュピルマブの効果、並びにPN病変に対するその効果、患者のHRQoL、不安及びうつ病、睡眠の質及び皮膚疼痛、並びに全体的な健康状態を評価した。
図1に示すように、これは、参加者及び治験責任医師のために盲検/マスクされた2つのアームを有する並行した治療試験であった。
【0405】
およそ150名の参加者を1:1に無作為化した。これは、各介入アームに無作為に割り当てられた約75名の参加者に相当する。包含基準及び除外基準を満たした参加者を、以下の治験薬(IMP)治療群:300mgのデュピルマブ及びプラセボのうちの1つに無作為化(1:1)した。活性の試験を
図2A~
図2Dに示す。
【0406】
試験期間の長さ(参加者あたり)
スクリーニング期間(2~4週間);ランダム化IMP介入期間(24週間);追跡調査期間(12週間)
【0407】
試験介入
治験薬:
視覚的に区別できないプレフィルドシリンジに供給される、デュピルマブ300mg及びプラセボと一致するデュピルマブ300mg。
【0408】
デュピルマブ:
製剤:デュピルマブ300mg:プレフィルドシリンジ中の150mg/mLデュピルマブ溶液(2mL注射で300mgを送達する)。
【0409】
投与経路:皮下(SC)注射。
【0410】
投与レジメン:1日目に600mg(300mgの2回注射)の初期負荷用量の後、2週間毎に300mg(q2w)。
【0411】
プラセボ:
製剤:プレフィルドシリンジ中のデュピルマブを含まない活性300mg製剤と同一の製剤(プラセボを2mL注射で送達する)。
【0412】
投与経路:SC注射。
【0413】
投与レジメン:1日目の初期負荷用量(2回の注射)後の1回の注射q2w。
【0414】
非治験薬
参加者は、1日目の直前の連続する7日間のうちの少なくとも5日間、1日1回又は2回保湿剤(皮膚軟化剤)を塗布し、36週目まで継続する必要があった。
【0415】
参加者がスクリーニング来院時に低~中程度の効力のTCS又はTCIの安定したレジメンにあった場合、参加者はスクリーニングから24週目まで漸減することなく局所ステロイド適用を1日1回継続することができた。特定の病変が消散した場合、参加者はそれらの部位へのステロイドの適用を停止することができたが、持続性病変への適用を継続することを許可された。参加者が高効力又は超効力ステロイドの安定したレジメンにあった場合、参加者は中効力TCSまで効力を低下させ、スクリーニングから24週目まで毎日適用し続けるべきである。24週目まで、閉塞はスクリーニングから許可されなかった。
【0416】
参加者は、試験全体を通して必要に応じて、高い効力又は超効力なTCS/TCIでレスキューされ得る。
【0417】
組み入れ基準
参加者は、以下の基準の全てが適用された場合にのみ試験に含める資格があった。
【0418】
年齢
参加者は、インフォームドコンセントに署名する時点で18歳から80歳でなければならない。
【0419】
参加者の種類及び疾患の特徴
以下のすべてによって定義されるPNの臨床診断を有する患者。
【0420】
スクリーニング来院前の少なくとも3ヶ月間、皮膚科医によって診断されている。
【0421】
0~10の範囲のWI-NRSでは、患者は1日目の前の7日間で7以上の平均最悪かゆみスコアを有さなければならない。(最大かゆみ強度のベースライン掻痒症NRS平均スコアは、ランダム化の直前の7日間の最大強度(1日スコアは0~10の範囲)の1日のNRSスコアの平均に基づいて決定した。ベースライン平均スコアを計算するためには、7日間のうち最低4つの毎日のスコアが必要である。計画されたランダム化日の直前の7日間に少なくとも4つの毎日のスコアが報告されなかった患者については、この要件が満たされるまでランダム化を延期すべきであるが、スクリーニング期間の28日間の最大期間を超えることはない。)
【0422】
患者は、スクリーニング来院時及び1日目に、両脚及び/又は両腕及び/又は体幹に合計で最小20個のPN病変を有する必要があった。(患者は、四肢に両側対称性病変を有する必要があった。少なくとも2つの体表面積に病変が存在することが必要である。)
【0423】
中~超効力TCSの2週間の失敗歴、又はTCSが医学的に賢明でない場合。(失敗は、少なくとも14日間又は製品処方情報によって推奨される最大期間のいずれか短い方に適用される中~超効力TCS(必要に応じて±TCI)の毎日のレジメンによる治療にもかかわらず、寛解及び低い疾患活動性(≦2のIGA PN-Sスコア[≦19結節]に類似)を達成及び/又は維持することができない患者として定義された)。
【0424】
1日目の直前の連続する7日間のうちの少なくとも5日間、安定な用量の局所皮膚軟化剤(保湿剤)を1日1回又は2回適用した。
【0425】
参加者は、試験期間中、毎日の症状eDiaryを進んで完了できていなければならない。
【0426】
性別
参加者は男性又は女性であり得る。女性による避妊の使用は、臨床試験に参加している人のための避妊方法に関する地域の規制と一致していた。女性参加者は、妊娠又は授乳中でなければ参加資格があり、以下の条件の少なくとも一方が適用される:WOCBP又はWOCBPではなく、試験中に避妊方法を使用することに同意した(最低でも試験介入の最後の投与後12週間まで)。WOCBPは、試験介入の最初の用量の1日前に陰性の高感度妊娠検査(現地の規制によって要求される尿又は血清)を受けていなければならない。
【0427】
インフォームドコンセント
署名されたインフォームドコンセントを与えることができる。法定年齢が18歳を超える国では、特定のICFも参加者の法的に権限を与えられた代表者によって署名されていなければならない。
【0428】
除外基準
以下の基準のいずれかが適用される場合、参加者を試験から除外した。
【0429】
医学的状態
試験結果の評価を妨げる可能性があるPN及び軽度AD以外の皮膚病的状態の存在。限定されないが、以下を含む症状:痂皮、昆虫咬傷、慢性単純性苔癬、乾癬、ざ瘡、毛包炎、習慣性掻破、リンパ腫様丘疹症、慢性光線性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、スポロトリコーシス、及び水疱性疾患。(注記:軽度の活性ADを有する患者は、アトピー性PN試験集団の最大10%に相当する。)
【0430】
PNは薬物に続発する(例えば、オピオイド、アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害剤)。
【0431】
PNは、神経障害又は精神医学的疾患(例えば、知覚異常、腕橈骨掻痒症、神経性掻痒症、強迫性障害、寄生虫症の妄想など)などの医学的状態に続発する。
【0432】
スクリーニング来院前6ヶ月以内に中等度~重度のAD重症度が実証された患者、又はスクリーニング来院からランダム化来院までに中等度~重度のADの診断が実証された患者(例えば、IGA AD 3又は4、湿疹面積及び重症度指数[EASI]≧16、アトピー性皮膚炎[SCORAD]≧25のスコアリング)。
【0433】
治験責任医師の判断で、患者の試験への参加に悪影響を及ぼしたであろう制御不良の重度の合併症。例としては、1年未満の余命を有する患者、制御されていない糖尿病を有する患者(スクリーニング来院前3ヶ月以内の検査結果によると、ヘモグロビンA 1 c≧9%)、心血管疾患を有する患者(例えば、New York Heart Association分類によるクラスIII又はIV心不全)、肝胆管疾患を有する患者(例えば、Child-Pugh Class B又はC)、神経学的疾患を有する患者(例えば、脱髄疾患)、活性主要自己免疫疾患を有する患者(例えば、狼瘡、炎症性腸疾患、関節リウマチなど)、他の重度の内分泌学的疾患、胃腸疾患、代謝疾患、肺疾患又はリンパ性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0434】
重度の腎状態(例えば、尿毒症患者及び/又は透析患者)。
【0435】
制御されない甲状腺疾患を有する参加者。
【0436】
活性TB若しくは非結核性マイコバクテリア感染、又は不完全に治療されたTBの病歴を有する患者は、参加者が十分に治療されており、治験責任医師及び/又は感染症専門家の医学的判断においてデュピルマブによる治療を開始できることが専門家によって十分に実証されない限り、試験から除外された。規制当局又は倫理委員会によって要求される場合、現地のガイドラインに従って、国ごとに結核検査を実施した。
【0437】
活性内部寄生生物感染と診断されている;臨床評価及び(必要であれば)検査室評価でランダム化前に活性感染が除外されない限り、内部寄生生物感染が疑われるか又はそのリスクが高い。
【0438】
スクリーニング来院前2週間以内又はスクリーニング期間中に、全身抗生物質、抗ウイルス薬、抗原虫薬又は抗真菌薬による治療を必要とする活性慢性又は急性感染症(HIV感染症を除く)。
【0439】
治験責任医師によって判断される場合、既知の又は疑われる免疫不全、例えば、感染の消散にもかかわらず侵襲性日和見感染症(例えば、TB、ヒストプラスマ症、リステリア症、コクシジオイデス症、肺炎球菌症、アスペルギルス症)の病歴、又は異常な頻度若しくは長期間の再発性感染を含み、免疫無防備状態を示唆する。
【0440】
ベースライン来院前5年以内の活性悪性腫瘍又は悪性腫瘍の病歴(完全に治療された子宮頸部の上皮内癌、完全に治療され、消散した非転移性の皮膚扁平上皮又は基底細胞癌を除く)。
【0441】
任意の賦形剤を含む任意の生物学的療法に対する全身性過敏症又はアナフィラキシーの病歴。
【0442】
治験責任医師の意見において、新規及び/又は不十分に理解された疾患を示唆した、この臨床試験への参加の結果として試験患者に不合理なリスクを提示した、患者の参加を信頼できなくした、又は試験評価を妨げた可能性がある、スクリーニング時の関連する検査異常を含む他の医学的又は心理学的状態。
【0443】
物質及び/又はアルコール乱用の病歴。
【0444】
本試験への患者の参加中に計画された主要な外科的処置。
【0445】
事前/併用療法
以下の通り、来院1(スクリーニング)の前の一定期間内の別の全身又は局所治験薬(モノクローナル抗体及び小分子)への曝露:治験中モノクローナル抗体については6ヶ月未満又は5 PK半減期未満のいずれか長い方の間隔、及び治験中小分子については30日未満又は5 PK半減期未満のいずれか長い方の間隔。
【0446】
スクリーニング来院前4週間以内に以下の処置のいずれかを使用したことがあること:全身免疫抑制薬/免疫調節薬(例えば、全身性コルチコステロイド、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロンガンマ、ヤヌスキナーゼ阻害剤、アザチオプリン、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、ダプソン、スルファサラジン、コルヒチンなど);病巣内へのコルチコステロイド注射及び凍結療法;日焼けベッドを含む光線療法;ナルトレキソン又は他のオピオイド拮抗薬;又はガバペンチン、プレガバリン、及びサリドマイド。
【0447】
スクリーニング来院の3ヶ月前に以下の処置の使用を開始するか、又は以下の処置の用量を変更するか、又は試験を通して以下の処置の用量を変更することが予想された:パロキセチン、フルボキサミン、又は他の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI);セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI);又は
アミトリプチリン又は他の三環系若しくは四環系抗うつ薬。
【0448】
以下の時間枠内での生物学的製剤による以前の治療:リツキシマブを含むがこれに限定されない任意の細胞枯渇剤:スクリーニング来院の6ヶ月前以内;オマリズマブ:スクリーニング来院前5ヶ月以内;又は他の免疫調節生物製剤:スクリーニング来院の5半減期(既知の場合)又は16週間前のいずれか長い方。
【0449】
スクリーニング期間中のセラミド、ヒアルロン酸、尿素、メントール、ポリドカノール、又はフィラグリン分解産物などの添加剤を含む処方保湿剤又は保湿剤による治療の開始(患者は、スクリーニング来院前に開始された場合、そのような保湿剤の安定した用量を使用し続けることができる)。
【0450】
スクリーニング期間中のTCS/TCI(任意の効力)による処置の開始、又はスクリーニング期間中の高効力若しくは超効力TCS/TCIによる処置。
【0451】
スクリーニング来院時にTCS/TCI(スクリーニング来院の2週間前から同じ薬剤、同じ用量を維持する)の安定したレジメンにあった参加者について:ランダム化の直前の7日間の6日間未満でのTCS/TCIの適用又は1日目の前の7日間以内の誤った効力のTCS/TCIの適用。
【0452】
スクリーニング来院前4週間以内の生(弱毒化)ワクチンによる処置。(注:(国のワクチン接種スケジュール/地域ガイドラインに基づいて)試験の経過中に計画された生弱毒化ワクチンでワクチン接種を受けた患者について、医師と相談した後、患者の健康を損なうことなく、ワクチンの投与を試験終了後まで延期することができるか、又は試験開始前に延期することができるかどうかを決定した:生(弱毒化)ワクチンの投与を安全に延期することができる患者は、試験に登録する資格があるか、又はワクチン投与後4週間のギャップの後にのみワクチン接種を受けた患者は試験に登録することができる)。
【0453】
スクリーニング及び試験治療期間中の禁止薬及び手順の計画された又は予想される使用。
【0454】
事前/同時臨床試験経験
以前のデュピルマブ臨床試験への参加;過去にデュピルマブで治療されている;PNのための生物製剤の事前使用。
【0455】
診断評価
スクリーニング来院前にHIV感染症の病歴がない参加者については、スクリーニング時の陽性HIV血清学。
【0456】
スクリーニング時にCD 4+数≦300細胞/μL及び/又は検出可能なHIVウイルス量を有するHIV感染の病歴を有する参加者。
【0457】
スクリーニングで以下の結果のいずれかを有する参加者:陽性(又は不確定)HBs Ag、陽性HBV DNAによって確認された陽性総HBc Ab、又は陽性HCV RNAによって確認された陽性HCV Ab。
【0458】
その他の除外
規制又は法的命令のために機関に収容されている個人;法的に施設に収容されている被収容者。
【0459】
対象が試験に参加するのを妨げる国関連の特定の規制。
【0460】
治験責任医師により、理由を問わず参加に適していないと判断された患者
(医学的若しくは臨床的状態を含む)、又は試験手順に対する不遵守のリスクが潜在的にある参加者。
【0461】
参加者は、臨床試験施設の従業員、又は試験の実施に直接関与する他の個人、又はそのような個人の直接の家族である。
【0462】
参加者は、臨床試験施設の従業員、又は試験の実施に直接関与する他の個人、又はそのような個人の直接の家族である。
【0463】
試験介入のいずれか、又はその成分、又は治験責任医師の意見では試験への参加を禁忌とする薬物又は他のアレルギーに対する感受性。
【0464】
試験介入
試験介入は、試験プロトコルに従って試験参加者に投与することを意図した任意の試験介入、市販製品、プラセボ、又は医療機器と定義した。投与された試験介入の概要を以下の表7に示す。
【0465】
【0466】
治験責任医師又は代理人は、来院2でIMPを調製及び注射する方法を患者(又は介護者)に訓練した。彼/彼女は2回の注射のうちの1回目を注射した。参加者(又は介護者)は、治験責任医師又は代理人の監督下で第2の注射を行った。患者はまた、注射後少なくとも30分間(又は国固有又は地域固有の要件ごとにより長く)自宅で自己監視するために、過敏反応の潜在的な徴候及び症状を認識するように現場スタッフによって訓練された。過敏症状の場合、患者は、医療提供者/緊急に連絡するように勧められた。
【0467】
参加者が試験来院したとき、臨床手順及び採血後にIMPを投与した。患者を少なくとも30分間監視した。
【0468】
プロトコルがスケジュールされた現場訪問の間に、参加者は自宅でIMPを自己注射することができた。医療従事者にIMPを投与させることを望む参加者は、看護師によって自宅で投与される注射又は試験現場で投与される注射を選択することができる。
【0469】
非治験薬
スクリーニング来院から開始して、参加者は、既知の抗かゆみ効果を有する化合物(例えば、メントール、ポリドカノール、プラモキシン、リドカイン、プリロカイン、カプサイシン、ナルトレキソン、N-パルミトイルエタノールアミンなど)を含まない場合、毎日の保湿剤を使用するように指示された。試験の過程で、皮膚軟化剤若しくは保湿剤を変更することも、痒み緩和のための製品を適用することも認可されなかった。
【0470】
参加者は、1日目の直前の連続する7日間のうちの少なくとも5日間、1日1回又は2回保湿剤(皮膚軟化剤)を塗布し、36週目まで継続する必要があった。すべてのタイプの保湿剤が許可されたが、患者は、スクリーニング期間中又は介入期間中に、処方保湿剤又は添加剤を含む市販の保湿剤での新しい治療を開始することができなかった。患者は、スクリーニング来院前に開始された場合、安定した用量のこのような保湿剤を使用し続けることができる。
【0471】
参加者がスクリーニング来院時に低~中程度の効力のTCS又はTCIの安定したレジメンにあった場合、参加者はスクリーニングから24週目まで漸減することなく局所ステロイド適用を1日1回継続することができた。特定の病変が消散した場合、参加者はそれらの部位へのステロイドの適用を停止することができたが、持続性病変への適用を継続することを許可された。参加者が高効力又は超効力ステロイドの安定したレジメンにあった場合、参加者は中効力TCSまで効力が低下しており、スクリーニングから24週目まで毎日適用し続けなければならない。TCSの安定したレジメンは、同じ薬剤(低~中効力TCS)を維持し、スクリーニングの2週間前から使用した同じ治療頻度(1日1回又は2回)を維持することであった。TCIの安定したレジメンは、スクリーニングの2週間前から使用したTCIの同じ薬剤及び治療頻度(1日1回又は2回)を維持することであった。参加者の以前のレジメンが1日1回適用されていた場合、参加者は試験中に毎日適用を維持し、スクリーニング前に1日2回投与されていた参加者については、参加は試験中に1日2回レジメンを維持する。特定の病変が消散した場合、参加者はそれらの部位へのステロイドの適用を停止することができたが、持続性病変への適用を継続することを許可された。24週目まで、閉塞はスクリーニングから許可されなかった。
【0472】
患者は、中程度の効力のためにトリアムシノロンアセトニド0.1%クリーム又はフルオシノロンアセトニド0.025%軟膏を使用し、低い効力のためにヒドロコルチゾン1%クリームを使用することが推奨された。TCSによるレスキューが必要な場合、患者は、高効力TCSのためのベタメタゾンジプロピオン酸0.05%最適化軟膏又は超効力TCSのためのプロピオン酸クロベタゾール0.05%クリームのいずれかを使用することが推奨された。患者がこれらのステロイドのいずれかで寛容性の問題を有していた場合、又は一部の国で市販されていなかった場合、患者は、スポンサーによって提供されたリストからの同じ効力の製品で代用することができた。
【0473】
TCSで処理した領域では、保湿剤は、TCSを適用しなかった時点(すなわち、保湿剤及びTCSは、日中の同じ時間に同じ領域で使用されるべきではなかった。)でのみ1日1回適用しなければならなかった。例えば、TCSが夕方に適用された場合、保湿剤は、TCSで処理された領域では夕方に使用されず、午前中にそれらの領域に適用された。TCSで処理していない領域に、保湿剤を1日2回塗布した(朝と夕方)。
【0474】
保管及び取扱い
治験責任医師又は被指名者は、受け取ったすべての試験介入について、移動中に適切な温度条件が維持されていることを確認しなければならず、試験介入の使用前に矛盾が報告され解決された。
【0475】
試験に登録された参加者のみが試験介入を受けることができ、認可された施設スタッフのみが試験介入を提供又は管理することができる。すべての試験介入は、治験責任医師及び認可された現場スタッフへのアクセスが制限されたラベル付き保管条件に従って、安全で環境的に制御され、監視された(手動又は自動)領域に保管されていなければならない。
【0476】
治験責任医師、施設又は医療施設の長(該当する場合)は、試験介入の説明責任、調整及び記録の維持(すなわち、受領、照合、及び最終処分記録)を担当した。
【0477】
無作為化及び盲検化
すべての参加者を、自動応答技術(IRT)を用いた無作為化試験介入に集中的に割り当てた。参加者は、表7に記載の治療群に対して1:1の比で無作為化された。
【0478】
無作為化を以下の因子によって層別化した:記録されたアトピー歴(アトピー性又は非アトピー性)(アトピー性:治験責任医師の判断によると、AD、アレルギー性鼻炎/鼻結膜炎、喘息、若しくは食物アレルギーとして定義されるアトピー性併存症の病歴を医師が記録した患者、又はこれらのアトピー性併存症の少なくとも1つの現在の診断を有する患者、及び非アトピー性:治験責任医師の判断によると、AD、アレルギー性鼻炎/鼻結膜炎、喘息、若しくは食物アレルギーとして定義されるアトピー性併存症の病歴を医師が記録しておらず、かかるアトピー性併存症の少なくとも1つの現在の診断を有さない患者);TCS/TCIの安定使用(はい又はいいえ);及び国/地域コード。
【0479】
無作為化された参加者を、介入キットが使用されたか否かにかかわらず、無作為化された介入に割り当てられた参加者と定義した(すなわち、IRTによって登録された参加者)。参加者は、試験において2回以上無作為化することはできなかった。
【0480】
盲検化の方法
デュピルマブ300mg及びプラセボと一致するデュピルマブ300mgを、視覚的に区別できない同一なように一致する2mLのプレフィルドシリンジに入れた。シリンジ及びボックスには処置キット番号を表示した。
【0481】
試験介入コンプライアンス
治験責任医師又はその代理人は、表示指示に従ってIMPが各参加者に投与されることを確実にしなければならなかった。
【0482】
介入ユニットは、各来院時に参加者によって返却された。調査員は、残っているキット/プレフィルドシリンジの数を数え、IMPの説明責任及び在庫フォームに記入した。治験責任医師又はその代理人は、投薬情報をeCRFの適切なページに記録した。試験介入に対する参加者の遵守を各来院時に評価した。コンプライアンスは、戻されたキット/プレフィルドシリンジを数えることによって評価した。処方された投薬レジメンからの逸脱をeCRFに記録した。
【0483】
併用療法
参加者が登録時に受けていた、又は試験中に受けた任意の医薬品又はワクチン(市販薬又は処方薬、ビタミン、及び/又はハーブサプリメントを含む)は、使用理由;開始日及び終了日を含む投与日;投与量及び頻度を含む投与量情報と共に記録しなければならなかった。
【0484】
AD又はPNの治療を除いて、非鎮静性抗ヒスタミン薬投与の併用は試験中可能であったが、非鎮静性抗ヒスタミン薬の用量変更は第11週~第12週及び第23週~第24週の両方で許容されなかった。
【0485】
以下の療法の併用は試験全体を通して禁止した。試験治療は、これらの治療を受けている参加者において中止する必要があった:全身免疫抑制薬/免疫調節薬(例えば、全身性コルチコステロイド、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロンガンマ、ヤヌスキナーゼ阻害剤、アザチオプリン、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、ダプソン、スルファサラジン、コルヒチンなど);他のモノクローナル抗体(生物学的修飾因子である);タンニングベッドを含む光線療法;ナルトレキソン又は他のオピオイド拮抗薬;及びガバペンチン、プレガバリン、及びサリドマイド。
【0486】
スクリーニング前に用量が少なくとも3ヶ月間安定していた場合を除いて、以下の療法の併用を禁止したが、以下の治療を受けている参加者では試験治療を中止する必要はなかった:パロキセチン、フルボキサミン、又は他の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI);セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI);及びアミトリプチリン又は他の三環系若しくは四環系抗うつ薬。安定したままであるために必要な用量(医学的に指示される場合は低下又は中止することができる)であるが、試験全体を通して開始又は増加されるべきではない。
【0487】
以下の治療の併用も試験全体を通して禁止したが、以下の治療を受けている参加者では試験治療を中止する必要はなかった:病巣内へのコルチコステロイド注射及び凍結療法;鎮静作用のある抗ヒスタミン剤;AD又はPNに続発するかゆみの治療に特に使用される非鎮静性抗ヒスタミン剤。
【0488】
レスキュー薬
以下のレスキュー薬を使用することができる:高効力又は超効力TCS及びTCIの皮膚科学的調製物。
【0489】
医学的に必要な場合(すなわち、耐えられないPN症状を制御するために)、PNのレスキュー処置を治験責任医師の裁量で試験患者に提供することができる。
【0490】
レスキュー薬の使用は試験中いつでも許可されたが、レスキュー薬の使用は、可能であれば、治験治療の開始後少なくとも14日間遅延させるべきであった。レスキュー薬投与の日時並びにレスキュー薬の名称及び投与レジメンをeCRFに記録した。
【0491】
有効性応答解析の目的のために、事前に指定されたアルゴリズムを使用してレスキューを分類した(SAPの詳細)。さらに、医学的判断に基づいてレスキュー処置を裁定するための全てのベースライン後の薬剤の盲検レビューを実施してレスキューを裁定した。試験中にこの裁定に従ってレスキュー処置を受けた患者を処置失敗とみなした。
【0492】
試験介入の中止
まれな例では、参加者が試験介入を恒久的に中止する必要があったかもしれない。試験介入を恒久的に中止した場合、参加者は安全性を評価するために試験に留まるであろう。
【0493】
参加者は、いつでも、理由に関係なく、そうすることを決定した場合、IMPによる治療を中止することができ、又はこれは調査者の決定であった可能性がある。治療中止の理由を文書化するためにあらゆる努力を行ったが、これはeCRFに文書化されるべきである。
【0494】
参加者は、以下の理由で試験治療から恒久的に離脱しなければならなかった:自らの要請又は法的に権限を与えられた代表者の要請(法的に権限を与えられた代表者とは、試験に関与する処置への参加者候補を代理して同意することを適用法に基づいて権限を与えられた個人又は司法又はその他の機関を意味する);試験者の意見において、試験の継続が参加者の健康に有害であったと考えられる場合、;協賛者の具体的な要請に基づき、;特定の禁止薬物で治療されている場合;2回を超える連続IMP用量を逃した場合;治験実施計画書から逸脱した場合は、治験責任医師又は治験依頼者の裁量により、;治験責任医師の依頼により破壊されたコード;妊娠;IMPに関連し、治療を必要とするアナフィラキシー反応又は全身性アレルギー反応;子宮頸部の上皮内癌、又は皮膚の扁平上皮癌若しくは基底細胞癌を除く、試験中の悪性腫瘍の診断;その性質又は経過が免疫無防備状態を示唆し得る任意の日和見感染又は他の感染;血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>3の正常値上限(ULN)及び総ビリルビン>2 ULN;又はベースラインALT≦2 ULNの場合は血清ALT>5 ULN、又はベースラインALT>2 ULNの場合はALT>8 ULN。
【0495】
有効性評価
潜在的参加者がすべての適格基準を満たしていることを確認するために、すべてのスクリーニング評価を完了し、検討する必要があった。治験責任医師は、必要に応じて、スクリーニングされたすべての参加者の詳細を記録し、適格性を確認するため、又はスクリーニング失敗の理由を記録するためにスクリーニングログを維持した。
【0496】
NRSを含む患者報告転帰アンケートは、静かな場所で診察及び/又は臨床試験の前に参加者によって完成された。アンケートは、医師、試験看護師又は任意の他の医療関係者から独立して、友人又は親戚からの助けなしに、参加者自身によって完了された。
【0497】
最悪かゆみ数値評価尺度
最悪かゆみ数値評価尺度(WI-NRS)は、0(「かゆみなし」)~10(「想像可能な最悪のかゆみ」)の尺度で評価された単一の項目から構成されるPROである。参加者は、この尺度を使用して過去24時間の最悪の掻痒症(かゆみ)の強度を評価するように求められる。WI-NRSを
図3に示す。
【0498】
治験責任医師による結節性痒疹の総合評価
結節性痒疹(IGA PN)に対する治験責任医師の包括的評価は、臨床医がPN(IGA PN-A)の活性を0(透明)から4(重度)までの5段階尺度を使用して評価し、0(透明)~4(重度)の5段階尺度を使用した疾患の病期(IGA PN-S)を評価することを可能にする臨床医報告の転帰(ClinRO)である;。IGA PNを
図4に示す。
【0499】
痒疹活性スコア
痒疹活性スコア(PAS)は、ClinRO測定値である。オリジナルのPASアンケートバージョン0.9は、PNで専門の臨床医によって開発された7つの項目からなる(Poelking J、et al.Prurigo Activity Score(PAS):validity and reliability of a new instrument to monitor chronic prurigo.J Eur Acad Dermatol Venereol.2018;32(10):1754-60)。PASの項目は、以下に関して痒疹性病変を評価する:タイプ(目に見える病変:項目1a;優勢な病変:項目1b);推定数(項目2);分布(項3、4);及びサイズ(最大病変:項目6a;代表的病変:項6b)。
【0500】
他の項目は、代表的な身体領域及び正確な病変数(項目5)、頂部に擦過傷/痂皮を有する痒疹性病変の割合(積極的な掻破を反映する;項目7a)及び治癒した痒疹性病変の割合(慢性痒疹の治癒を反映する;項目7b)に関する活性を評価する。
【0501】
PASの5項目簡略版を本試験で使用した。特に、元のPASの項目3(病変分布)及び項目6(病変モニタリング)を削除し、応答オプションをわずかに修正及び改良した。この評価ツールを
図5に示す。臨床医は、スクリーニング及びベースライン来院時にスクリーニング/ベースラインバージョンを完了し、他の来院時に修正PASのフォローアップバージョンを完了した。
【0502】
皮膚科学生活の質の指標
皮膚科学的生活の質指数(DLQI)は、成人患者における皮膚科学的に特異的な健康関連の生活の質(HRQoL)を測定するために開発されたPROである(Finlay AY、Khan GK.Dermatology Life Quality Index(DLQI)--a simple practical measure for routine clinical use.Clin Exp Dermatol.1994;19(3):210-6)。機器は、前の週にわたる患者のHRQoLに対する皮膚疾患の影響を評価する10の項目を含む。項目は、症状、余暇活動、仕事/学校又は休日の時間、親密さを含む人間関係、治療の副作用、及び皮膚疾患を有することに対する感情的反応を網羅する。これは、臨床診療及び臨床試験で使用される有効なアンケートである(Chernyshov PV.The evolution of quality of life assessment and use in dermatology.Dermatology.2019;235(3):167-74)。応答尺度は、9項目について4ポイントのリッカート尺度(0=「全くない」及び3=「非常に多い」)である。仕事/試験に関する残りの1つの項目は、仕事/試験が妨げられたかどうかを質問し、次いで(「いいえ」の場合)仕事/試験で皮膚状態がどの程度問題になったかを質問する。項目は、3段階リッカート尺度(「全くない」から「多い」)で評価される。全体的なスコアリングは0~30の範囲であり、高いスコアは低いHRQoLを示す。
【0503】
有効性データは、電子デバイスを介して収集した。電子日記は、WI-NRS、疼痛-NRS、及び睡眠-NRSアンケートに対する参加者の回答の毎日の記録に使用した。このデバイスは、使用説明書を含むスクリーニング来院(来院1)時に分配した。参加者は、装置の使用について指示された。記録された情報は、毎日この装置からダウンロードされた。試験終了(EOS)来院時に、電子日記をダウンロードし、サイトに戻した。
【0504】
参加者は、DLQI、HADS、EQ-5 D-5 L、PGIC、PGISに記入し、現場に提供されたタブレットでの現場訪問中に学校/職場のアンケートを見逃した。この装置は試験中に現場で保管した。
【0505】
疼痛及び睡眠の数値評価尺度
参加者は、0~10の数値評価尺度(NRS)を使用して、過去24時間における最も悪い皮膚疼痛を評価するように求められ、0=疼痛なしから10=起こり得る最悪の疼痛であった。
【0506】
さらに、参加者は、0=最悪の可能性のある睡眠及び10=最良の可能性のある睡眠で、0から10のNRSを使用して、覚醒時の過去の夜の睡眠の質を評価するように求められた。
【0507】
参加者は皮膚疼痛NRS及び睡眠の質NRSを1日1回完了した。
【0508】
病院の不安及びうつ病尺度
病院不安及びうつ病尺度(HADS)は、非精神医学的集団における不安及びうつ病をスクリーニングするためのPRO機器である;反復投与はまた、患者の感情状態の変化に関する情報を提供する(Zigmond AS、Snaith RP.The hospital anxiety and depression scale.Acta Psychiatr.Scand.1983;67(6):361-70 and Herrmann C.International experiences with the Hospital Anxiety and Depression Scale--a review of validation data and clinical results.J Psychosom.Res.1997;42(1):17-41.)。HADSは14の項目からなり、それぞれ不安及びうつ病の症状について7つである。可能なスコアは、各サブスケールに対して0から21の範囲である。以下のカットオフスコアが両方のサブスケールに推奨される:0~7:正常;8~10:境界異常(境界ケース);11から21:異常。
【0509】
疾患の変化に対する患者の全般的印象及び重症度に対する患者の全般的印象
疾患の変化に対する患者の全般的印象(PGIC)は、患者が試験注射を開始する直前と比較して、患者に自身のPNの全体的な変化の全体的な自己評価を7段階の尺度で提供するよう求める1項目のアンケートである。応答選択肢は以下の通りである:0=「かなり良い」、1=「やや良い」、2=「少し良い」、3=「変化なし」、4=「やや悪い」、5=「やや悪い」、6=「非常に悪い」。
【0510】
重症度に対する患者の全般的印象(PGIS)は、過去1週間の4段階尺度で疾患重症度の全体的な自己評価を提供するように患者に求める1項目のアンケートである。応答選択肢は以下の通りである:1=「なし」、2=「軽度」、3=「中等度」、4=「重度」。
【0511】
Euroqol-5次元アンケート
Euroqol-5次元(EQ-5D)は、臨床的及び経済的評価のための健康の簡単で一般的な尺度を提供するために、EuroQol Groupによって開発された健康状態の標準化されたPRO尺度である。(Herdman M、et al.Development and preliminary testing of the new five-level version of EQ-5D(EQ-5D-5L).Qual Life Res.2011;20(10):1727-36)。EQ-5 Dは、記述システム及びEQ視覚アナログスケール(VAS)の2つの部分からなる。EQ-5D記述システムは、可動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、及び不安/抑うつの5つの次元を含む。各次元には5つのレベルの認識された問題がある:「問題なし」、「軽度の問題」、「中程度の問題」、「重度の問題」、「活動不能」。回答者は、自分の健康状態を、5次元の各次元の最も適切な文に対してボックスにチェックを入れる(又は十字を入れる)ことによって示すように求められる。これにより、その次元のレベルを表す1桁の数字が得られる。5次元の数字は、応答者の健康状態を記述する5桁の数字で組み合わせることができる。EQ VASは、応答者の自己評価による健康状態を縦方向のVASに記録し、この場合、エンドポイントは、「考えられる最良の健康状態(100)」及び「考えられる最悪の健康状態(0)」とラベル付けされる。この情報は、個々の回答者によって判断される健康結果の定量的尺度として使用することができる。
【0512】
不登校/非出勤日
学校に雇用又は登録されている参加者は、最後の試験評価からの病欠/不登校の数を報告するように求められた。
【0513】
写真撮影
このサブ試験に参加することを決定した選択された施設の参加者は、別途同意を与える必要がある。1つ又はいくつかの病変をベースラインで写真撮影した。同じ病変をその後の来院時に撮影して、それらの進行を評価した。
【0514】
安全性評価
身体検査
完全な身体検査には、最低でも、皮膚(全身皮膚検査)、鼻腔、眼、耳、呼吸器、心血管、胃腸、神経、リンパ、及び筋骨格系の評価が含まれた。治験責任医師は、以前の重篤な病気に関連する臨床徴候に特別な注意を払った。新しい所見又は以前の所見の悪化は、新しいAEとして報告された。
【0515】
バイタルサイン
バイタルサインは、5分の休息後に半仰臥位又は座位で測定し、体温、SBP及びDBP、並びに脈拍及び呼吸数を含んだ。血圧及び脈拍の測定値を、完全に自動化された装置を備えた同じ腕を使用して評価した。手動技術は、自動化装置が利用できない場合にのみ使用した。スクリーニング(来院1)、EOT及びEOS来院時に体重(kg)を測定した。スクリーニング来院時(来院1)に身長を測定した。身長及び体重は、室内用衣類であるが靴なしで測定した。
【0516】
心電図
心拍数を自動的に計算し、PR、QRS、QT、及びQTcF間隔を測定するECG機器を使用して、単一12誘導ECGを得た。ECGは、仰臥位で10分間休止した後に記録した。
【0517】
PRIME/EFC 16459の結果
図6に示すように、PRIME/EFC 16459は、2つの第3相試験のうちの1つである。PRIMEは、N=151人の患者、アジアから33%/50人、ラテン・アメリカから27%/41人、西ヨーロッパから25%/38人、東ヨーロッパから15%/22人による世界的試験であった。PRIME/EFC 16459試験における患者のベースライン疾患特性を
図14に示す。合計登録患者は、ベースラインで8.5(1.0)の平均(SD)WI-NRSを有していた。
【0518】
主要エンドポイントは、臨床的及び統計的有意性で満たされた。
図8Aに示すように、24週目に、デュピルマブを用いてWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は45(60.0%)であり、プラセボを用いて14(18.4%)、p<0.0001であった。したがって、3倍を超える数のデュピルマブ治療参加者は、ベースラインからかゆみの臨床的に有意な低下を経験した。
【0519】
図7Aに示すように、主要エンドポイント及び全ての多重度調整二次エンドポイントは、WI-NRS≧4、IGA PN-Sスコア0又は1、WI-NRS≧4及びIGA PN-Sスコア0又は1を含む統計学的有意性、ベースラインからのWI-NRS(かゆみ)パーセント変化(
図11A)、ベースラインからのDLQI変化、ベースラインからの皮膚疼痛-NRS変化、及びHADS(すべて24週目)を満たした。PRIME2と比較して、PRIMEは階層に12週のエンドポイント又は睡眠-NRSを含まなかった。
図9Aに示すように、24週目にデュピルマブで0又は1のIGA PN-Sスコアに達した参加者の割合は48.0%であり、プラセボでは18.4%であった(p=0.0004)。したがって、ほぼ3倍の数のデュピルマブ治療参加者が、重要な二次エンドポイントである24週目に透明又はほぼ透明な皮膚を達成した。
図10Aに示すように、ベースラインから24週目までWI-NRSが4以上改善(低下)し、24週目のIGA PN-Sスコアが0又は1である参加者の割合は、デュピルマブでは38.7%であり、プラセボでは9.2%であった(p<0.0001)。
【0520】
12週目のかゆみ及び病変応答者の分析も公称統計的有意性を満たした。12週間でWI-NRSの4点以上の低下に達した応答者の割合、12週間で0又は1のIGA PN-Sスコアに達した応答者の割合、及び睡眠時NRSのLS平均変化を含む非多重度調整二次エンドポイントはすべてp<0.003であった。
【0521】
さらに、
図12Aに示すように、プラセボと比較したデュピルマブ治療は、レスキュー及び/又は禁止された薬物又は手順の最初の使用までの時間を短縮した。全体として、デュピルマブ治療は、24週間の介入期間を通してレスキュー/禁止治療の使用を低下させた。
【0522】
特に、デュピルマブによる治療は、かゆみ反応者分析において4週目という早い時期にプラセボとの区別を示し、24週目までにプラトーに達せず、アトピー状態にかかわらず一貫していた。治療中止後に症状が再発し始めたことも認められた。
【0523】
デュピルマブは、PN患者において許容可能な安全性プロファイルを示し、新たな安全性シグナルはなかった。安全性プロファイルは、承認された集団及び適応症で観察されたデュピルマブの既知の安全性プロファイルと一致していた。
【0524】
PRIME2/EFC 16460の結果
図6に示すように、PRIME2/EFC 16460は、デュピルマブによる治療のための78名の参加者及びプラセボによる治療のための82名の参加者を含んだ2つの第3相試験のうちの1つであり、米国で行われた。試験に登録した患者の46%は、少なくとも1つの共存する2型炎症状態を有していた。PRIME2/EFC 16460試験における患者のベースライン疾患特性を
図14に示す。合計登録患者は、ベースラインで8.5(1.0)の平均(SD)WI-NRSを有していた。試験のほとんどすべての患者が重度のかゆみを有し、すべての患者が病変の数に基づいて中等度~重度の疾患を有していた。登録患者の62%が20個以上100個以下の結節を有し、38%が100個超の結節を有していた。
【0525】
主要エンドポイントは、臨床的及び統計的有意性で満たされた。
図8Bに示すように、プラセボを用いて12週目に最悪かゆみ数値評価尺度、WI-NRS(0~10)の4点以上の低下に達した参加者の割合は18(22.0%)であり、デュピルマブを用いて29(37.2%)であり、p=0.0216であった。
【0526】
重要な二次エンドポイントはすべて、臨床的及び統計的有意性で満たされた。
図8Bに示すように、プラセボで24週目にWI-NRSの4点以上の低下(0~10)に達した参加者の割合は19.5%であり、デュピルマブでは57.7%であった(p<0.0001)。したがって、24週目に、ほぼ3倍の数のデュピルマブ治療参加者が、ベースラインからのかゆみの臨床的に有意な低下を経験した。
図9Bに示すように、プラセボで24週目に0又は1(0~4)の治験責任医師の総合評価PN段階(IGA PN-S)スコアに達した参加者の割合は15.9%であり、デュピルマブでは44.9%であった(p<0.0001)。したがって、24週目に、ほぼ3倍の数のデュピルマブ治療参加者が透明又はほぼ透明な皮膚を達成した。
図10Bに示すように、プラセボを用いた24週目のベースラインから4以上のWI-NRSの改善(低下)及び24週目に0又は1のIGA PN-Sスコアを付随して有した参加者の割合は8.5%であり、デュピルマブを用いた参加者の割合は32.1%であった(p=0.0001)。
【0527】
図7Bに示すように、12週目に0又は1のIGA PN-Sスコアに達した奏効者の割合、24週目のベースラインからのWI-NRS%平均Δ(
図11B)、DLQI、及び皮膚疼痛-NRSを含む、いくつかの多重度調整二次エンドポイント及び他の有効性エンドポイントも満たされた。序列は2番目から最後までで始まった(睡眠-NRSは有意ではない;HADS公称)。
【0528】
さらに、
図12Bに示すように、プラセボと比較したデュピルマブ治療は、レスキュー及び/又は禁止された薬物又は手順の最初の使用までの時間を短縮した。
【0529】
軽度の活性アトピー性皮膚炎は、アトピー性PN試験集団の9%及び全試験集団の4.5%を占めた。
【0530】
デュピルマブは忍容性が高く、PN患者において許容可能な安全性プロファイルを示した。安全性プロファイルは、承認された集団及び適応症で観察されたデュピルマブの既知の安全性プロファイルと一致していた。デュピルマブでは、新たな安全性シグナル及び悪性腫瘍は報告されなかった。
【0531】
薬物動態(PK)及びADAは、デュピルマブの既知のプロファイルと一致していた。
【0532】
PRIME/EFC 16459及びPRIME2/EFC 16460の結論
全体として、デュピルマブは、局所処方療法で不十分に制御されたか、又はそれらの療法が推奨できない結節性痒疹(PN)患者において臨床的及び統計学的に有意な有効性を示した。デュピルマブはまた、PRIME試験とPRIME2試験との間で有効性の再現を実証した。デュピルマブは、この集団に対して有効且つ安全であり、許容可能な安全性プロファイルを実証した。
【0533】
約3倍のデュピルマブを投与された患者は、24週目にプラセボと比較して、かゆみ及び皮膚病変が有意に低下した。デュピルマブは、陽性の第3相の結果が結節性痒疹をもたらすことを実証する最初で唯一の生物製剤である。
【0534】
デュピルマブは、12週でかゆみ及び皮膚クリアランスを有意に改善し、24週で両方ともほぼ三倍になった。かゆみ及び皮膚病変の有意な低下が観察され、これは、登録前にほぼすべての患者が重度のかゆみを有し、ほぼ40%が身体を覆う100個以上の結節を有していたことを考慮すると重要であった。
【0535】
デュピルマブによる有意で継続的な治療効果は、ベースラインのアトピー状態にかかわらず、かゆみ及び病変重症度を含むすべての疾患成分にわたって24週目に観察された。さらに、デュピルマブは、クオリティオブライフ及び精神的健康を改善した。デュピルマブ処置患者は、24週間で健康関連の生活の質及び皮膚疼痛の測定において有意に大きな改善を経験した。デュピルマブ処置患者は、健康関連の生活の質、皮膚疼痛、並びに不安及びうつ病の症状の測定において有意により大きな改善を経験した。
【0536】
デュピルマブ治療は、24週間の介入期間を通してレスキュー/禁止治療の使用を低下させた。
【0537】
PRIMEの主要エンドポイントであるプラセボの18%及び20%と比較して、約3倍の数のデュピルマブ患者(60%及び58%)が24週間でベースラインから臨床的に意味のあるかゆみの低下を経験した。
【0538】
デュピルマブ患者の44%及び37%は、PRIME2の主要エンドポイントであるプラセボの16%及び22%と比較して、12週間でベースラインから臨床的に有意なかゆみの低下を経験した。
【0539】
プラセボの18%及び16%と比較して、2倍を超える数のデュピルマブ患者(48%及び45%)が24週間で透明又はほぼ透明な皮膚を達成した。
【0540】
24週間でプラセボ患者の9%及び9%と比較して、3倍を超える数のデュピルマブ患者(39%及び32%)が、かゆみ及び透明又はほぼ透明な皮膚の臨床的に意味のある低下の両方を経験した。
【0541】
米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)は、PNの治療のためにデュピルマブを承認しており:「DUPIXENTは、結節性痒疹(PN)を有する成人患者の治療に適応される。成人患者に推奨される投与量は、600mg(300mg注射を2回)の初期用量の後、隔週(Q2W)で300mgを投与することである」と記載されている。
【0542】
実施例2:PNを有する成人におけるデュピルマブの臨床試験に基づく結節性痒疹(PN)における最悪かゆみの数値評価尺度(WI-NRS)の検証
材料及び方法:
WI-NRSの内容の妥当性を、成人PN患者との定性的なインタビューによって評価した(N=20;年齢:19~72歳)。PN患者におけるWI-NRSの測定特性及び患者内の臨床的に意味のある変化(応答者定義)を、第3相試験からのプールされた盲検データを使用して評価した(N=311)。
【0543】
結果:
患者は、理解が容易で関連性のある質問、想起期間及び応答尺度を見出した。スクリーニングとベースラインとの間で適切な試験-再試験信頼性が観察された(クラス内相関係数=0.72、重症度の患者全体印象(PGIS)を使用して安定した患者を定義)。収束及び発散の有効性は、それぞれ、他の概念的に関連する尺度との中程度から強い相関(r=0.34~0.73)及び関連性の低い尺度とのより弱い相関(r=0.06~0.32)によって支持された。群間のベースラインからの変化の差によって実証されるように、WI-NRSは変化に対して感受性であった(PGIS変化及びPGI変化当たり(PGIC);P<0.001)。PGIS及びPGICを用いた固定ベースのアプローチを使用して、改善のためのレスポンダー定義閾値は4ポイントであった(範囲:3.0~4.5)。
【0544】
結論:
WI-NRSは、局所療法でPNが制御されていない成人の掻痒の強度を測定する有効性エンドポイントをサポートするための目的に合った手段である。
【配列表】
【国際調査報告】