(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】アルデヒド官能化ポリマーを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C08F 8/00 20060101AFI20241018BHJP
D21H 21/18 20060101ALI20241018BHJP
D21H 17/37 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C08F8/00
D21H21/18
D21H17/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523657
(86)(22)【出願日】2022-10-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 US2022047510
(87)【国際公開番号】W WO2023069768
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン エム.グリム
(72)【発明者】
【氏名】メイ リウ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ジョーンズ
【テーマコード(参考)】
4J100
4L055
【Fターム(参考)】
4J100AM24P
4J100HA55
4J100HC48
4J100HE08
4J100HE12
4J100JA43
4L055AG34
4L055AG73
4L055AH16
4L055EA30
4L055EA31
4L055EA32
4L055FA13
(57)【要約】
【課題】GPAMを作製する方法の提供。
【解決手段】オンライン粘度計を使用して粘度を測定することによってアルデヒド官能化ポリマー形成の進行をモニタリングする、GPAMなどのアルデヒド官能化ポリマーを作製する方法が提供される。紙強度を強化するための方法であって、本開示によるGPAMなどのアルデヒド官能化ポリマーを作製することと、当該アルデヒド官能化ポリマーを繊維スラリーと合わせるか又はそれを平判に塗工することと、を含む、方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPAMを作製する方法であって、前記方法は、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
(b)前記反応溶液のpHを約2~約6の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、前記GPAMを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターを用いて前記反応溶液の粘度を測定することによって、前記反応の進行がモニタリングされる、方法。
【請求項2】
前記GPAMが、約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記GPAMが、約0.05:1~約20:1のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応の進行が、任意選択でフィードバック制御を用いて、前記反応溶液の粘度を連続的に測定することによってモニタリングされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、前記オンライン粘度メーターが、
(a)トランスデューサアセンブリであって、
(i)パイプに挿入されている少なくとも1本の流管であって、反応溶液を導く内腔を有し、振動できるように入口端及び出口端でクランプされている流管、
(ii)電気機械的励起設備、並びに
(iii)センサ設備、
を含む、トランスデューサアセンブリと、
(b)メーター電子機器と、
を含む、方法。
【請求項6】
前記反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して100%超増加したときに、前記反応がクエンチされる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)における反応のpHが、苛性溶液を添加することによって約8~約9の範囲で維持され、前記苛性溶液が、任意選択で水でさらに希釈される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b)において、前記クエンチが、前記反応溶液に有機酸を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記GPAMが、約0.4:1~約20:1のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリアクリルアミドが、アクリルアミド/DADMACのコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コポリマーが、約1~30モル%のDADMAC及び約70~99モル%のアクリルアミドである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記粘度計が、開放流管粘度計である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1のいずれか一項に記載の方法であって、前記粘度メーターが、
少なくとも1本の測定管を有する測定システムであって、前記測定管は、測定動作中に反応溶液で満たされるか、又は前記測定管を通して当該反応溶液が流れ、振動を実行するために励起可能な少なくとも1つの管セクションを有する、測定システムと、
異なる周波数の少なくとも2つの所望の振動モードを励起するための励起システムであって、各々において、前記管セクションのうちの少なくとも1つが、振動、特に共振振動を実行するように励起される、励起システムと、
測定動作中に励起された所望の振動モードについて、所望の振動モードのうちの1つの振動を実行するために励起された少なくとも1つの管セクションの、結果として生じる振動の周波数及び減衰、特に周波数、振幅、及び減衰をその都度求めるように構成された感知システムと、
測定動作中に励起された個々の所望の振動モードについてメモリに記憶された較正データに基づいて、結果として生じる振動の励起決定周波数及び減衰、特に周波数、振幅、及び減衰に基づいて、せん断速度値及び粘度測定値をその都度求めるように構成された評価システムであって、粘度測定値が、せん断速度値に対応する静的せん断速度でのGPAMの動的粘度に対応する、評価システムと、を含む、方法。
【請求項14】
アルデヒド官能化ポリマーを作製する方法であって、前記方法は、
(a)少なくとも1つのアミド基又はアミノ基を含む少なくとも1つのポリマーとアルデヒドとを合わせて、反応溶液を得ることと、
(b)前記反応溶液のpHを約2~約6の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、前記アルデヒド官能化ポリマーを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターを用いて前記反応溶液の粘度を測定することによって、前記反応の進行がモニタリングされる、方法。
【請求項15】
前記アルデヒドが、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、及びグルタルアルデヒドから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記アルデヒド官能化ポリマーを繊維スラリー又は平判と接触させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法に従って調製されたGPAMを含むGPAM組成物であって、前記GPAMが約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有し、前記GPAMが約0.05:1~約20:1の範囲のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有する、GPAM組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月22日出願の米国特許出願第63/271,079号に対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、製紙用のアルデヒド官能化ポリマーを作製する方法、より具体的には、粘度測定を含むプロセス制御を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
グリオキサール化ポリアクリルアミド(GPAM)は、製紙工業で使用される一般的な強度助剤である。GPAMは、荷電モノマー(多くの場合、カチオン性)を含有するように修飾されたポリアクリルアミド骨格を含み得る。この修飾されたポリアクリルアミド骨格は、分枝を構築し、分子量を増加させるために使用される架橋剤であるグリオキサールと反応する。得られたGPAMは、典型的にはウェットエンド添加又は形成された平判への噴霧によって、繊維間の結合を増加させ、強度を高めるために製紙プロセスにおいて使用される。GPAMはまた、プレス脱水の強化を通して抄紙機の効率を上げることもできる。
【0004】
架橋は、典型的にはGPAMの所望の分子量に達するまで行われる。分子量は、繊維/繊維結合を促進するのに十分に高いが、強度を低下させる可能性のある過度の凝集及び不十分な平判形成を引き起こすほど高くない必要がある。反応終点は、多くの場合、濁度又は粘度のいずれかによって決定される。
【0005】
粘度測定は、GPAM材料の作製中に反応進行を測定するために使用されてきた。振り切りを回避するために、反応混合物から取り出されたアリコートに対して反応中に定期的に終点粘度測定が行われる(一般に「抜き取り検査」又は「掴み取り法」と呼ばれる)。他の例では、粘度測定は、スピンドルを反応混合物中に直接入れ、高頻度で又は本質的に連続して粘度測定を行うスピンドル粘度計(すなわち、スピンドル設備を備える粘度計)などのインライン粘度計を使用して、連続反応においてリアルタイムで行われる。例えば、米国特許公開第2005/0161181号を参照されたい。米国特許第8,920,606号も参照されたい。
【0006】
粘度測定値を得るために流体が流れなければならないスピンドル又は他のプローブを有するインライン粘度計は、ゲルなどの粘性が高すぎる流体によって詰まる傾向がある。例えば、米国特許第7,875,676号には、セルロース反応性ポリビニルアミド付加物を調製する方法であって、ビニルアミドポリマーとセルロース反応性剤との水性反応混合物を連続的に反応させると同時に、反応中に粘度を測定する方法が記載されている。粘度が目標レベル(例えば、25℃の温度で30cP以下)に達したら、反応を停止させる。付加物の粘度を測定するこのような方法は、反応を停止させる瞬間を見落とすと、粘度が過度に増加する可能性があり、水不溶性ゲルが形成され、これがさらなる粘度の読み取りを著しく妨げる可能性があるという問題を伴う。これは、GPAM生成物のゲル化により粘度計のプローブ又はスピンドルが動かなくなる傾向があるためである。
【0007】
粘度の変化を測定することによってGPAM及び他のアルデヒド官能化ポリマー(AFP)の形成をモニタリングするという課題から、濁度の測定が代替法として頻繁に使用される。例えば、米国特許第8,920.606号には、セルロース反応性ポリビニルアミド付加物の調製方法が記載されている。開示されている付加物形成は、粘度の非常に穏やかな増加、粘度のわずかな減少しか示さなかったか、又は全く増加を示さなかった。そこに開示されている方法では、ビニルアミドポリマーのグリオキサール化が進行するにつれて、反応溶液の濁度が増加することが観察された。したがって、付加物形成方法は、濁度計又は粘度計を使用してモニタリングすることができる。
【0008】
‘606特許はさらに、反応が臨界濃度以下で起こる場合、濁度測定が付加物形成をモニタリングするのに有用であり得ることを開示している。濁度は、流体中の濁度を測定するために設計された連続モニタリング機器であるSURFACE SCATTER 7SC濁度計などの従来の濁度計を使用して測定することができる。機器設計は、流体中に懸濁している粒子によって散乱された光を測定して流体中の粒子状物質の相対量を求める比濁分析原理に基づく。粘度は、典型的には、BROOKFIELD LVシリーズ粘度計(スピンドル粘度計)用のULアダプタを使用して反応中に測定することができる。‘606特許に開示されている付加物と本発明のGPAMポリマー生成物(例示的な実施形態)との間の1つの違いは、‘606特許に開示されている付加物の粘度の変化が、本発明のGPAM生成物の粘度の変化(100%を超える粘度の増加を含む)よりもはるかに少ないことである。アルデヒド官能化ポリマー(GPAMなど)の調製をモニタリングするために従来の粘度計(スピンドル粘度計など)を使用することに伴う重大な課題は、これらのポリマーが架橋を継続する傾向があり、その結果ゲル化生成物が形成され、ゲル化生成物の蓄積により粘度計が詰まる傾向があることである。したがって、スピンドル粘度計を用いたモニタリングは有効ではない。結果として、アルデヒド官能化ポリマー(GPAMなど)の調製は、典型的には濁度の変化を評価することによってモニタリングされる。反応の進行をモニタリングするために濁度を使用することの主な問題点は、濁度測定値がバッチごとに変化するため信頼できないことである。
【0009】
反応混合物のゲル化が起こった場合に誤動作することなく、反応粘度を連続的にモニタリングすることができる好適な配置の粘度計を使用してGPAMを調製する方法が長年にわたって必要とされている。さらに、GPAMを調製についての目標粘度レベルに達すると反応混合物が自動でクエンチされるなどの信頼できる反応制御を可能にするための、連続粘度測定を含むフィードバックループを提供することが長年にわたって必要とされてきた。これは、GPAMの調製中に粘度の増加が非常に急速に起こり、それによって掴み取り法又は抜き取り検査によって反応の進行をモニタリングする機会が失われる場合に特に重要なニーズである。
【0010】
GPAMの調製に関して、架橋反応のクエンチは特有の課題を提示し、グリオキサールを介した架橋反応は塩基性pHによって促進され、通常、pHをpH約3未満に低下させることによって、典型的には硫酸などの強酸を反応混合物に添加することによってクエンチされる。このような強酸の使用は、特に製造規模で使用される場合、様々な安全上のリスクをもたらし得る。したがって、GPAM生成物を形成するための反応を有効にクエンチすることができると同時に、生成物の有用な貯蔵寿命を依然として提供する、より穏やかな酸クエンチ剤が必要とされている。
【0011】
GPAMを製造するためにクエンチプロセスが使用されるにもかかわらず、潜在的な架橋が依然として起こる可能性があり、時間が経つと、ポリマー溶液がゲル化して使用できなくなる。この結果、製品の貯蔵寿命が短くなる(室温で15~45日)。熱は架橋反応を増加させ、温暖な気候では貯蔵寿命がさらに短くなる。貯蔵寿命を長くするために、GPAM溶液のポリマー固形分は非常に低く(10%未満)保たれることが多い。したがって、化学工場の現場から離れて生産されるGPAMには重大な問題点があり、固形分が低いことから、製紙業者の要求を満たすには大量の生成物が必要になる。短い貯蔵寿命はまた、化学物質の物流及び顧客先での貯蔵の複雑さを増大させる。工場作業員が取り扱う必要のある化学物質の量が多いため、安全性も懸念される。輸送される生成物の大部分が水(90重量%超)であるという点で、持続可能性の観点からも問題がある。このような貯蔵寿命の問題を排除又は大幅に低減するGPAMを作製するプロセスが必要とされている。
【0012】
別の課題は、反応溶液の透明度を顕著に変化させることなく反応の終わりに急速に粘度の変化が起こる場合である。濁度測定は、モニタリングされる溶液の透明度の顕著な差を必要とする。したがって、濁度は、ポリマー生成物の透明度の変化があったとしてもわずかである場合、生成物形成をモニタリングするのに有効ではない。本明細書に記載のGPAMの調製方法の1つの特徴は、得られるGPAMポリマー生成物の透明度が著しく又は大きく変化しないことである。その結果、濁度は、本明細書に記載される反応の終点を評価するのに有用ではない。
【0013】
ところで、上述したように、従来の粘度計は、GPAM生成物のゲル化による汚れ及び詰まりを受けやすいため、有用ではない。さらに、抜き取り検査を必要とするインライン粘度計は、反応が非常に迅速に終了することから終点を容易に見落とすので、有効ではない。実際、本発明の方法の終了時における粘度の増加は非常に大きい(およそ100~500%)ことから、終点が容易に見落とされるので、抜き取り検査によるモニタリングは有効ではない。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、従来の製造方法によって調製された市販のGPAMは輸送により適しており、より長い貯蔵寿命を有するが、本発明のGPAMは現場での調製及び使用に、より適していると考えられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、反応は、反応溶液のpHを約2~約4、約3~約4、約3.5~約4の範囲の値に調整することによってクエンチされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、従来の市販のGPAMを調製するときに典型的に使用されるよりも高いpH(約4~6)で架橋反応をクエンチすることを含む。例えば、反応は、反応溶液のpHを約4.2~約6、約4.4~約6、約4.6~約6、約4.8~約6、約5~約6、約5.5~約6の範囲の値に調整することによってクエンチされる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従って調製されたGPAMの貯蔵寿命は、現場を離れて調製された従来の市販のGPAMよりも短く、したがって、長距離輸送(大部分の市販のGPAMの調製において典型的に生じる)には適していない。
【0015】
この背景情報は、出願人が本発明に関連する可能性があると考える情報を作成する目的で提供されている。前述の情報のいずれかが、本発明に対する先行技術を構成することを必ずしも意図するものではなく、そのように解釈されるべきでもない。さらに、前述の情報は、検索が行われたこと、又は37CFR§1.56(a)に規定されている他の関連情報が存在しないことを意味すると解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0016】
本開示は、GPAMを作製する方法及びそれを使用する方法を提供する。二反応種とは異なり、一反応種はセルロース繊維と共有結合を形成することができるので、一反応種(例えば、遊離アルデヒドを有する種)は紙強度の増大に関与すると考えられる。
【0017】
一反応アミドを最大化する適切なレベルの架橋を達成するために、アクリルアミド(G/A)のレベルに対してより高レベルのグリオキサールが使用される。グリオキサール以外の他のアルデヒドが架橋反応に使用される場合にも同じことが当てはまる。これらの反応は、通常、アルカリ性pH(例えば、pH7超、pH8超、pH約8~9.5)で行われ、重量平均分子量が30000ダルトン未満のアクリルアミドコポリマーを使用した場合、粘度は出発粘度に対して300~400%増加し、濁りはほとんど認められず、ゲル化もしなかった。残念ながら、この粘度増加の終点を予測するのは難しく、ゲル化前に生成物がクエンチされる製造中のリスクをもたらす。この障害により、本明細書に記載のMWのGPAMを現場で製造することが今日までできなかった。高いG/A比を有するGPAMを現場で製造することが当該技術分野において長年にわたって必要とされている。本明細書に詳細に説明される臨界濃度反応ポリマーを作製している間に観察される粘度の増加率(典型的には50%未満の増加)はわずかである。
【0018】
当業者によって実施される、高反応した架橋を有するGPAMの製造において典型的に利用される種々のスピンドル型メーターによる粘度の定期的又は連続的な検査は、現在知られている。濁度-粘度を測定するための従来の代替法-は、本明細書に開示される方法のためにGPAMの形成をモニタリングするのに適していない。その結果、粘度の増加/変化を測定してGPAMの形成の進行をモニタリングする必要があり、本明細書に開示されるステップ(a)の反応の終点に達した時点を知る手段は、所望の反応ポリマー終点に達するまでに出発点に対して粘度が300~500%増加することである。
【0019】
これらの状況下では、連続的なフィードバックを与えながら粘度を確実に測定するオンライン開放流管型粘度計が必要とされている。このタイプの粘度計を使用することの利点は、時間が経つとGPAMで塞がれるため誤った粘度測定及びその後の規格外バッチを引き起こす任意の形態のプローブ又はスピンドルを有さないことである。このオンライン粘度計は、粘度の連続的なフィードバックを与えると同時に、即時に所望の時間に酸クエンチステップを作動させることを可能にするが、これは、本明細書に開示されるGPAMの調製が、粘度が短時間に急速に増加/変化することを伴うので必要である(
図1参照)。
図1は、反応の後半に粘度がいかに急速に増加するかを示す。
【0020】
オンライン粘度計はまた、ステップ(a)の架橋反応の終点に達するのに必要な時間に応じて反応速度を上昇又は低下させることを可能にするために、苛性ポンプ(すなわち、アルカリ源)に関係するフィードバックを可能にする。
【0021】
【0022】
本明細書に開示される方法に従って調製されたGPAMは、プレス脱水特性についてひときわ優れているが、これは、そのモノアミドが多いことに起因する。これを達成するために、より多量のグリオキサールが必要とされることが多く、それにより、より高粘度の材料(ゲル化する傾向があり得る)が生成される確率が増加する。不利な点は、これを行うとゲル化の確率が高くなることである。本明細書に開示される反復可能なオンライン粘度計の精度では、流体粘度変化の流動特性を測定することにより、GPAMのゲル化により短期間で汚れることが知られている従来のインライン粘度計を使用した場合に必要なサンプルモニタリングに注意することなくこれを行うことが可能になった。
【0023】
本発明の一態様は、GPAMを作製する方法であって、
少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
反応溶液のpHを約2~約の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、GPAMを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターから(例えば、フィードバックループを介して)反応溶液の粘度を測定することによって、反応の進行がモニタリングされる、方法に関する。
【0024】
本発明の別の態様は、GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、GPAMを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターから(例えば、フィードバックループを介して)反応溶液の粘度を測定することによって、反応の進行がモニタリングされ、
当該ポリアクリルアミドが、約7,000~50,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
反応溶液が約12cP~約40cPの範囲の粘度になったときに当該反応がクエンチされる、方法に関する。
【0025】
本発明のさらなる態様は、GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、GPAMを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターから(例えば、フィードバックループを介して)反応溶液の粘度を測定することによって、反応の進行がモニタリングされ、
当該ポリアクリルアミドが、約50,000~200,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
反応溶液が約20cP~約1,000cPの範囲の粘度になったときに当該反応がクエンチされる、方法に関する。
【0026】
本発明の別の態様は、GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、GPAMを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターから(例えば、フィードバックループを介して)反応溶液の粘度を測定することによって、反応の進行がモニタリングされ、
当該ポリアクリルアミドが、約15,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
反応溶液が約10cP~約100cPの範囲の粘度になったときに当該反応がクエンチされる、方法に関する。
【0027】
抄紙機上の平判の紙強度及びプレスセクションの脱水を強化する方法であって、平判に、乾燥繊維に基づいて約0.05lb/トン~約20lb/トンの水性組成物を添加することを含み、水性組成物が、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることによって、架橋反応を開始させてGPAMを生成することと、
(b)GPAMの目標粘度が達成されたら、反応のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチすることであって、オンライン粘度メーター(例えば、振動粘度計)から(例えば、フィードバックループを介して)反応溶液の粘度を測定することによって、GPAM形成の進行をモニタリングすることと、
(c)ステップ(c)の当該GPAMを繊維スラリーと合わせるか、又は当該GPAMを平判に塗工することと、
を含む、方法によって調製される、方法。
【0028】
本発明のさらなる態様は、本明細書に開示されるGPAMを調製する方法に従って調製されたGPAMを含むGPAM組成物であって、当該GPAMが約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有し、当該GPAMが約0.1:1~約20:1、0.1:約1~約20:約1、約0.4:約1~約20:約1、又は0.4:1~20:1、又は0.4:1、又は0.8:1の範囲のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有するGPAM組成物に関する。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、アルデヒド官能化ポリマーを作製する方法であって、
(a)少なくとも1つのアミド基又はアミノ基を含む少なくとも1つのポリマーとアルデヒドとを合わせて、反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、当該アルデヒド官能化ポリマーを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターから(例えば、フィードバックループを介して)反応溶液の粘度を測定することによって、反応の進行がモニタリングされる、方法に関する。
【0030】
詳細な説明
定義
以下の定義は、本出願中で使用される用語、特に特許請求の範囲がどのように解釈されるべきかを決定するために提供されている。定義の体系化は便宜のみを意図しており、いずれの定義もいかなる特定の範疇に限定することを意図するものではない。
【0031】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「ある1つの(a)」、「ある1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つ(at least one)」という用語、及び類似の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈される。1つ以上の項目のリストが後に続く「少なくとも1つ(at least one)」という用語の使用(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ(at least one of A and B)」)は、本明細書において別途記載のない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、列挙された項目から選択された1つの項目(A又はB)又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味するものとして解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、別途断りのない限り、オープンエンドな用語である(すなわち、「~を含むがそれに限定されない」を意味する)ものとして解釈されるべきである。本明細書における数値範囲の列挙は、本明細書において別途記載のない限り、その範囲内に入る各個別の値に対して個々に言及する省略法として機能することを単に意図するものであり、各個別の値は、あたかもそれが本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0032】
本明細書において説明される全ての方法は、本明細書において別途記載のない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で行ってよい。
【0033】
本明細書において提供される任意かつ全ての例又は例示的言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く説明することを意図し、別段主張しない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、本発明の実践に不可欠なものとして、任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0034】
「AA」は、アクリル酸を意味する。
【0035】
「AcAm」は、アクリルアミドを意味する。
【0036】
「ウェットエンド」は、典型的には水などの液体媒体が基材の質量の45%超を構成するプレスセクションの前の製紙プロセスの部分を意味し、ウェットエンドにおいて添加される添加剤は、典型的にはスラリー内に浸透し、分布している。
【0037】
「ドライエンド」は、典型的には水などの液体媒体が基材の質量の45%未満を構成するプレスセクション以降の製紙プロセスの部分を意味し、ドライエンドは、製紙プロセスのサイズプレス部分を含むがこれに限定されず、ドライエンドにおいて添加される添加剤は、典型的にはスラリーの外側の別個のコーティング層中に残存する。
【0038】
「アクリルアミドモノマー」は、式
【0039】
【化1】
(式中、R
1は、H、C
1~C
16アルキル、アリール、アリールアルキル、C
2~C
16アルケニル、C
2~C
16アルキニル、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、C
3~C
8シクロアルキル、及びハロゲンからなる群から選択され、R
2は、水素、C
1~C
16アルキル、アリール、アリールアルキル、C
2~C
16アルケニル、C
2~C
16アルキニル、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、及びヒドロキシルからなる群から選択される)のモノマーを意味する。
【0040】
「アルデヒド」は、1つ以上のアルデヒド(-CHO)基であって、本明細書に記載されるアミノ又はアミド基を含むポリマーのアミノ又はアミド基と反応することができるアルデヒド基を含有する化合物を意味する。代表的なアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサールなどが挙げられる。
【0041】
「アルデヒド官能化ポリマー」(頭字語「AFP」と互換的に使用される)は、少なくとも1つのアミド基又はアミノ基を含むポリマーとアルデヒドとの間の反応から生じるポリマーを指す。用語「アルデヒド官能化ポリマー」は、未反応アルデヒドを含有するアルデヒド官能化ポリマー組成物又は混合物を包含する。用語「アルデヒド官能化ポリマー」はまた、未反応アルデヒドを含有する水性アルデヒド官能化ポリマー組成物又は混合物も包含する。
【0042】
「アルケニル」は、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、又は16個の炭素を有し、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐炭化水素を指す。アルケニル基としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)、イソ-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、及び2-ブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、非置換であっても、1つ以上の好適な置換基によって置換されていてもよい。
【0043】
「アルキル」は、直鎖又は分岐アルキル置換基を指す。そのような置換基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル等が挙げられる。
【0044】
「アルキルヘテロアリール」は、ヘテロアリール基に結合したアルキル基を指す。
【0045】
「アルキニル」は、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、又は16個の炭素を有し、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐炭化水素を指す。アルキニル基としては、エチニル、プロピニル、及びブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、非置換であっても、1つ以上の好適な置換基によって置換されていてもよい。
【0046】
「アミド基」は、式-C(O)NHY1(式中、Y1は、水素、C1~C16アルキル、アリール、アリールアルキル、C2~C16アルケニル、C2~C16アルキニル、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、又はヒドロキシルからなる群から選択される)の基を意味する。
【0047】
「アミノ基」は、式-NH(Y)2(式中、Y2はそれぞれ、同じであっても異なっていてもよく、Yはそれぞれ、水素、C1~C16アルキル、アリール、アリールアルキル、C2~C16アルケニル、C2~C16アルキニル、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、又はヒドロキシルからなる群から選択される)の基を意味する。
【0048】
「両性ポリマー」は、カチオン性モノマー及びアニオン性モノマーの両方、並びに場合により他の非イオン性モノマー(複数可)に由来するポリマーを指す。代表的な両性ポリマーとしては、アクリル酸、DADMAC、及びアクリルアミドなどで構成されるターポリマーで構成されるコポリマーが挙げられる。
【0049】
「アリール」とは、当該技術分野で一般に理解されているように、非置換又は置換の芳香族炭素環式置換基を指し、用語「C6~C10アリール」には、フェニル及びナフチルが含まれる。アリールという用語は、ヒュッケル則に従って、平面状であり、4n+2n電子を含む環状置換基に適用されることが理解される。
【0050】
「アリールアルキル」は、アリール-アルキレン基を意味し、アリール及びアルキレンは、本明細書で定義される。代表的なアリールアルキル基には、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、1-ナフチルメチルなどが含まれる。
【0051】
当該方法は、先行請求項のいずれか一項に従って調製された当該GPAMを繊維スラリーと合わせるか又は当該GPAMを平判に塗工することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【0052】
本明細書に開示される方法に従って調製されたGPAM生成物の適用に関連して本明細書で使用される「接触」は、当該GPAMを繊維スラリーと合わせるか又は当該GPAMを平判に塗工することを指す。
【0053】
「連鎖移動剤」は、フリーラジカル重合において使用され、ポリマーラジカルと反応してデッドポリマー及び新たなラジカルを形成する任意の分子を意味する。特に、連鎖移動剤を重合混合物に添加すると、鎖が切断され、それに伴って重合鎖のサイズが減少する。したがって、連鎖移動剤を添加すると、調製されるポリマーの分子量が制限される。
【0054】
「から本質的になる(consisting essentially of)」は、方法及び組成物が追加のステップ、構成要素、成分などを含んでいてもよいが、これは追加のステップ、構成要素、及び/又は成分が特許請求の範囲に記載された方法及び組成物の基本的及び新規の特性を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0055】
本明細書で使用するとき、「連続的に測定する(continuously measuring)」とは、オンライン粘度メーターから(例えば、フィードバックループを介して)反応溶液の粘度を測定することによって、ステップ(a)の反応の進行をモニタリングすることを指す。いくつかの実施形態では、反応の進行の連続測定は、任意選択でフィードバック制御を用いて、リアルタイムで行われ得る。
【0056】
「架橋剤」又は「分枝剤」は、重合モノマー(単数又は複数)に添加されたときに、あるポリマー分子からの分枝(単数又は複数)が他のポリマー分子に結合する「分枝」ポリマー又は「架橋」ポリマーが生じる多官能性モノマーを意味する。
【0057】
「DADMAC」は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどのジアリルジメチルアンモニウムハライドのモノマー単位を指す。DADMACは、ホモポリマー又は他のモノマー単位を含むコポリマー中に存在し得る。
【0058】
「ジアリル-N,N-二置換アンモニウムハライドモノマー」は、式:(H2C=CHCH2)2N+R3R4X-
(式中、R3及びR4は、独立して、C1~C20アルキル、アリール、又はアリールアルキルであり、Xは、アニオン性対イオンである)のモノマーを意味する。代表的なアニオン性対イオンとしては、ハロゲン、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。好ましいアニオン性対イオンはハロゲンである。ハロゲンが好ましい。好ましいジアリル-N,N-二置換アンモニウムハライドモノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0059】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素からなる群から選択される部分を指す。
【0060】
本明細書で使用するとき、「GPAM」は、重合アクリルアミドモノマーから作製されたポリマー(さらに1つ以上の他のモノマーを含むコポリマーであってもよく、なくてもよい)であり、アクリルアミドポリマー単位がグリオキサール基と反応しているグリオキサール化ポリアクリルアミドを指し、GPAMの代表的な例は、米国特許出願公開第2009/0165978号に記載されている。本明細書で使用するとき、用語「GPAM」は、未反応アルデヒド(グリオキサール)を含有するGPAM組成物又は混合物を包含する。さらに、本明細書で使用するとき、用語「GPAM」は、未反応アルデヒド(グリオキサール)を含有する水性GPAM組成物又は混合物を包含する。本明細書では、GPAMを例示的な実施形態として使用する。本発明は、GPAMの代わりに、本明細書で定義される他の全てのAFPに置き換えることを意図する。
【0061】
「モノマー」は、重合可能なアリル、ビニル、又はアクリル化合物を意味する。モノマーは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は双性イオン性であり得る。
【0062】
代表的な非イオン性水溶性コモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルメチルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N-t-ブチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルアルコールなどが挙げられる。
【0063】
代表的なアニオン性モノマーとしては、アクリル酸並びにナトリウムアクリレート及びアンモニウムアクリレートを含むがこれらに限定されないその塩、メタクリル酸並びにナトリウムメタクリレート及びアンモニウムメタクリレートを含むがこれらに限定されないその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、AMPSのナトリウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム、スルホン酸スチレン、マレイン酸並びにナトリウム塩及びアンモニウム塩を含むがこれらに限定されないその塩、スルホン酸塩、イタコン酸塩、スルホプロピルアクリレートもしくはメタクリレート、又はこれらもしくは他の重合可能なカルボン酸もしくはスルホン酸の他の水溶性形態が挙げられる。スルホメチル化アクリルアミド、スルホン酸アリル、ビニルスルホン酸ナトリウム、イタコン酸、アクリルアミドメチルブタン酸、フマル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、アリルホスホン酸、スルホメチル化アクリルアミド、ホスホノメチル化アクリルアミド、無水イタコン酸など。
【0064】
代表的なカチオン性コモノマーとしては、アリルアミン、ビニルアミン、ジアルキルアミノアルキルアクリレート及びメタクリレート、並びにそれらの第四級塩又は酸塩、例えば、限定されるものではないが、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド第四級塩(DMAEA.MCQ)、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルスルフェート第四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレート硫酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルスルフェート第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート硫酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド又はメタクリルアミド、及びそれらの第四級塩又は酸塩、例えば、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルスルフェート第四級塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド硫酸塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩酸塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドメチルスルフェート第四級塩、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド硫酸塩、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアリルジエチルアンモニウムクロリド、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)が挙げられる。アルキル基は、一般に、C1~4アルキルである。
【0065】
用語「分子量」又は「MW」とは、本明細書で使用するとき、重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、任意の好適な技術によって決定され得る。代替技術が想定されるが、いくつかの実施形態では、TSKgel PWカラムのセット(TSKgel Guard+GMPW+GMPW+G1000PW)、Tosoh Bioscience LLC,Cincinnati,Ohio)及びWaters2414(Waters Corporation,Milford,Mass.)屈折率検出器又はDAWN HELEOS II多角度光散乱(MALS)検出器(Wyatt Technology,Santa Barbara,Calif.)を備えたサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を使用して、重量平均分子量が求められる。さらに、重量平均分子量は、150~875,000ダルトンの範囲のポリエチレンオキシド/ポリエチレングリコール標準を用いた較正、又は既知の屈折率増分(「dn/dc」)を有する光散乱データの直接使用のいずれかから決定される。
【0066】
用語「リアルタイム」とは、本明細書で使用するとき、進行中の架橋反応のpHをモニタリングすることを指す。測定は、連続的に又は定期的な間隔で断続的に行ってよい。
【0067】
用語「粘度」とは、本明細書で使用するとき、流れに対する抵抗として現れる所与の材料の内部摩擦又は分子引力を指す。それは、標準的な試験手順によって液体中で測定され、通常、指定の温度におけるポアズ又はセンチポアズ(cP)で表される。流体の粘度は、ポンプ輸送特性、流量、湿潤特性、及び不溶性粒子材料を懸濁させる傾向又は能力を含む、所与の温度における液体の多数の挙動パターンの指標である。本明細書で使用するとき、粘度は、周囲温度及び反応溶液の約6%~約15%の固形分濃度での測定に基づく。
【0068】
用語「粘度計」は、本明細書では「粘度計」と互換的に使用される。
【0069】
用語「オンライン粘度計」とは、本明細書で使用するとき、(i)スピンドルもプローブもなく、(ii)アルデヒド官能化ポリマー(GPAMなど)のゲル化による完全な閉塞又は汚れの影響を受けにくく、(iii)フィードバックループを介して連続リアルタイム粘度測定を提供することができる、開放流管型粘度計などを指す。本明細書で使用するとき、オンライン粘度メーターは、規定のせん断条件で粘度測定値を提供することができる同心円筒形状(クエット型)粘度計などの粘度計(すなわち、クエット粘度計、例えば、BROOKFIELD TT-100粘度計)、振動計、コリオリ質量流量測定システムに基づく粘度計(測定が測定管のねじれ運動に基づくものなど、例えば、Endress+Hauser Proline 83I)などを含む。オンライン粘度計は、信頼性の高い反応制御を可能にし、目標粘度レベルに達したときの反応混合物の自動クエンチを容易にし得る。
【0070】
「双性イオン性モノマー」は、分子が全体として正味の中性であるように、等しい割合でカチオン性及びアニオン性(荷電)官能基を含有する重合性分子を意味する。代表的な双性イオン性モノマーには、N,N-ジメチル-N-アクリロイルオキシエチル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウムベタイン、N,N-ジメチル-N-アクリルアミドプロピル-N-(2-カルボキシメチル)-アンモニウムベタイン、N,N-ジメチル-N-アクリルアミドプロピル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウムベタイン、N,N-ジメチル-N-アクリルアミドプロピル-N-(2-カルボキシメチル)-アンモニウムベタイン、2-(メチルチオ)エチルメタクリロイル-S-(スルホプロピル)-スルホニウムベタイン、2-[(2-アクリロイルエチル)ジメチルアンモニオ]エチル2-メチルホスフェート、2-(アクリロイルオキシエチル)-2’-(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェート、[(2-アクリロイルエチル)ジメチルアンモニオ]メチルホスホン酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、2-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]エチル2’-イソプロピルホスフェート(AAPI)、1-ビニル-3-(3-スルホプロピル)イミダゾリウムヒドロキシド、(2-アクリルオキシエチル)カルボキシメチルメチルスルホニウムクロリド、1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムベタイン、N-(4-スルホブチル)-N-メチル-N,N-ジアリルアミンアンモニウムベタイン(MDABS)、N,N-ジアリル-N-メチル-N-(2-スルホエチル)アンモニウムベタインなどが含まれる。
【0071】
「製紙プロセス」は、水性セルロース製紙ファニッシュ(furnish)を形成することと、ファニッシュから排水して平判を形成することと、平判を乾燥させることとを含む、パルプから紙製品を作製する方法の任意の部分を意味する。製紙ファニッシュを形成、排水及び乾燥するステップは、当業者に一般的に知られている任意の従来の方法で行うことができる。製紙プロセスはまた、パルプ化段階、すなわち、リグノセルロース系原料からパルプを作製する段階及び漂白段階、すなわち、白色度向上のためにパルプを化学的処理する段階を含んでいてもよく、製紙は、参考文献Handbook for Pulp and Paper Technologists,3rd Edition,by Gary A.Smook,Angus Wilde Publications Inc.,(2002)and The Nalco Water Handbook(3rd Edition),by Daniel Flynn,McGraw Hill(2009)in general and in particular pp.32.1-32.44にさらに記載されている。「製紙プロセス」は、水性セルロース製紙ファニッシュを形成することと、ファニッシュから排水して平判を形成することと、平判を乾燥させることとを含む、パルプから紙製品を作製する方法を含む。製紙ファニッシュを形成、排水及び乾燥するステップは、当業者に一般的に知られている任意の従来の方法で行うことができる。従来の微粒子、アラム、カチオン性デンプン、又はそれらの組み合わせを、本発明のポリマー処理と共に補助剤として利用してもよいが、有効な脱水活性のために補助剤は必要ではないことを強調しなければならない。
【0072】
「構造改変剤」は、ポリマーの構造及び溶解特性を制御するために水性ポリマー溶液に添加される剤を意味する。構造改変剤は、架橋剤及び連鎖移動剤からなる群から選択される。
【0073】
「表面強度」は、研磨力による損傷に抵抗する紙基材の傾向を意味する。
【0074】
「乾燥強度」は、せん断力(複数可)による損傷に抵抗する紙基材の傾向を意味し、表面強度を含むが、これに限定されない。
【0075】
「湿潤強度」は、再湿潤時のせん断力(複数可)による損傷に抵抗する紙基材の傾向を意味する。
【0076】
「湿潤ウェブ強度」は、基材がまだ濡れている間にせん断力(複数可)に抵抗する紙基材の傾向を意味する。
【0077】
「基材」は、製紙プロセスを通過する又は通過した紙繊維を含有する塊を意味し、基材としては、湿潤ウェブ、紙マット、スラリー、平判、及び紙製品が挙げられる。
【0078】
「紙製品」は、製紙プロセスの最終製品を意味し、筆記用紙、プリンタ用紙、ティッシュペーパー、ボール紙、板紙、及び包装紙を含むが、これらに限定されない。
【0079】
用語「初期粘度」は、本明細書で使用するとき、少なくとも1つのアミド基又はアミノ基を含むポリマーをアルデヒドと合わせた後に最長約5分間反応溶液の粘度を測定することによって得られる。初期粘度は、オンライン粘度メーターからのフィードバックループを介して、又は他の手段によって測定することができる。例えば、初期粘度は、ポリアクリルアミドをグリオキサールと合わせた後最長5分間の反応溶液の粘度を包含する。
【0080】
用語「目標粘度変化」とは、本明細書で使用するとき、反応溶液の粘度の変化が、反応溶液の初期粘度に対して50%を超える粘度増加に達した場合を指す。いくつかの実施形態では、目標粘度変化は、反応溶液の粘度が出発粘度に対して100%を超える粘度増加に達した場合に生じる。目標粘度変化は、反応溶液の粘度が出発粘度に対して約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約100%~約500%、約200%~約500%、又は約300%~約500%の粘度増加に達したときに生じ得る。
【0081】
用語「貯蔵寿命」とは、本明細書で使用するとき、アルデヒド官能化ポリマーが少なくとも約12時間にわたって5000cP未満の粘度を有する場合を指す。いくつかの実施形態では、アルデヒド官能化ポリマーは、約12~約48時間にわたって5000cP未満の粘度を有し得る。さらなる実施形態では、アルデヒド官能化ポリマーは、約12~約96時間にわたって5000cP未満の粘度を有し得る。
【0082】
用語「反応溶液」とは、本明細書で使用するとき、GPAMなどのAFPの調製において、少なくとも1つのアミド基又はアミノ基を含むポリマー(ポリアクリルアミドなど)をアルデヒド(例えば、グリオキサール)と合わせた後の組み合わせ後に形成される反応混合物を指す。反応溶液は、AFP(GPAMなど)、未反応アルデヒド(グリオキサールなど)、未反応ポリアクリルアミド、AFPの形成における中間体などの部分を含んでいてもよい。さらに、反応溶液は、未反応アクリルアミド及び未反応イオン性モノマーも含んでいてもよい。
【0083】
上述の定義又は本出願の他の場所で述べられた説明が、辞書において一般に使用されるか又は参照により本出願に組み込まれる出典において示される意味と(明白にもしくは暗に)矛盾する場合、本出願及び特に特許請求の範囲の用語は、一般的な定義、辞書による定義、又は参照により組み込まれた定義に従うのではなく、本出願における定義又は説明に従って解釈されると理解される。上述の見地から、ある用語が辞書によって解釈される場合にしか理解できない場合は、その用語が、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,5th Edition,(2005)(Wiley,John&Sons,Inc.により出版)によって定義されている場合、この定義が、その用語が特許請求の範囲でどのように定義されるかを支配するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】ポリアクリルアミドとグリオキサールとの間の架橋反応の過程にわたる粘度変化。
【
図2】GPAM作製プロセス(例示的な実施形態)の概略図。
【
図3】本開示の方法に従って作製されたGPAMサンプルの強度試験改善のチャート。
【発明を実施するための形態】
【0085】
調製
本発明の一態様は、GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることによって、架橋反応を開始させてGPAMを生成することと、
(b)GPAMの目標粘度が達成されたら、反応のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによってステップ(a)の反応をクエンチすることと
を含み、
オンライン粘度メーターからフィードバックループを介して反応溶液の粘度を測定することによって、GPAM形成の進行がモニタリングされる、方法に関する。
【0086】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、当該ポリアクリルアミドを水と合わせて混合物を得ることと、当該グリオキサールを混合物に添加して当該反応溶液を得ることと、を含む。
【0087】
さらなる実施形態では、ステップ(a)は、当該グリオキサールを水と合わせて混合物を得ることと、当該ポリアクリルアミドをステップ(i)の混合物に添加して当該反応溶液を得ることと、を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、温度を約65~85°Fに調整することを含む。例えば、温度は、約60~80°F、約70~約75°F、又は約75°Fに調整され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)とそれに続くステップ(b)を少なくとも2回繰り返してもよい。例えば、ステップ(a)とそれに続くステップ(b)を3回、4回等繰り返してもよい。ステップ(a)及びステップ(b)が行われる反応器は、各サイクル(すなわち、ステップ(a)とそれに続くステップ(b))の間に洗浄してもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、ステップ(b)におけるpHの調整は、リアルタイムでモニタリングされ得る。これは、1つのpHメーター、又は場合によっては2つ以上のpHメーターを使用することによって行うことができる。
【0091】
本発明のさらなる態様は、本明細書に開示されるGPAMの調製方法に従って調製されたGPAMを含むGPAM組成物であって、当該GPAMが約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有し、当該GPAMが約0.4:約1~約20:約1の範囲、又は0.4:1~20:1、又は0.4:1、又は0.8:1の範囲のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有するGPAM組成物に関する。
【0092】
本発明のさらなる実施形態は、本発明に従って調製されたGPAM組成物であって、当該GPAMが約10,000g/モル~10,000,000g/モル、10,000g/モル~7,000,000g/モル、10,000g/モル~5,000,000g/モル、3,000,000g/モル~4,000,000g/モル、及び3,000,000g/モル~4,000,000g/モルの重量平均分子量を有し、当該GPAMが、約0.4:約1~約20:約1のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有する、GPAM組成物に関する。
【0093】
本発明のさらに別の態様は、アルデヒド官能化ポリマーを作製する方法であって、
(a)少なくとも1つのアミド基又はアミノ基を含む少なくとも1つのポリマーとアルデヒドとを合わせて反応溶液を得ることによって、架橋反応を開始させて当該アルデヒド官能化ポリマーを作製することと、
(b)当該アルデヒド官能化ポリマーの目標粘度が達成されたら、pHを約4~約6の範囲の値に調整することによってステップ(a)の反応をクエンチすることと、
を含み、
オンライン粘度メーターから(フィードバックループを介して反応溶液の粘度を測定することによって、アルデヒド官能化ポリマー形成の進行がモニタリングされる、方法に関する。
【0094】
本発明のさらなる実施形態は、本発明に従って調製されたアルデヒド官能化ポリマー組成物であって、当該アルデヒド官能化ポリマーが約10,000g/モル~10,000,000g/モル、10,000g/モル~7,000,000g/モル、10,000g/モル~5,000,000g/モル、1,000,000g/モル~4,000,000g/モル、3,000,000g/モル~4,000,000g/モル、及び3,000,000g/モル~4,000,000g/モルの重量平均分子量を有し、当該アルデヒド官能化ポリマーが、約0.4:約1~約20:約1のアルデヒド対アクリルアミド(A/A比)を有する、組成物に関する。
【0095】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、反応混合物の粘度をリアルタイムで連続的に測定することを含む。
【0096】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、オンラインフロースルー粘度計を用いて反応混合物の粘度を連続的にモニタリングすることを含み、当該粘度計は、「掴み取り法」も「抜き取り検査」も必要としない。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示による方法は、ステップ(a)及び/又はステップ(b)のpHのインライン制御のために、オンライン粘度計からフィードバックループに粘度値を連続的に送ることを含む。
【0098】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、インラインオープンフロースルー型粘度計を用いて反応混合物を連続的にモニタリングすることを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示による方法は、ステップ(a)のpHのインライン制御のために、粘度計からフィードバックループに粘度値を連続的に送ることを含む。
【0100】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、目標粘度に達する前に、苛性溶液を添加することによって反応混合物のpHを約8~約9の範囲で維持し、任意選択で苛性溶液を水でさらに希釈することを含む。
【0101】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、クエン酸などの有機酸を添加することによって、ステップ(a)の反応のクエンチを調整することを含む。
【0102】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、半バッチ又は完全バッチで紙生産現場で(すなわち、「現場で」)GPAMを調製することを含む。
【0103】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、アルデヒド官能化ポリマー(例えば、GPAM)の目標粘度に達すると、(酸の添加を介して)インラインpH制御を使用して自動的に調整することを含む。
【0104】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、GPAMが約24時間~約2.5ヶ月の範囲の貯蔵寿命を有することを含む。
【0105】
さらなる実施形態では、本開示による方法は、ステップ(a)及び/又はステップ(b)が紙生産現場で行われることを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、当該ポリアクリルアミドは、少なくとも水、アクリルアミドとイオン性モノマーとのコポリマーを合わせることによって得られる。さらなる実施形態では、本開示による方法は、アクリルアミドとイオン性モノマーとのコポリマー中のイオン性モノマーが、カチオン性、アニオン性、又は双性イオン性モノマーであることを含む。
【0107】
代表的なアニオン性モノマーとしては、アクリル酸並びにナトリウムアクリレート及びアンモニウムアクリレートを含むがこれらに限定されないその塩、メタクリル酸並びにナトリウムメタクリレート及びアンモニウムメタクリレートを含むがこれらに限定されないその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、AMPSのナトリウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム、スルホン酸スチレン、マレイン酸並びにナトリウム塩及びアンモニウム塩を含むがこれらに限定されないその塩、スルホン酸塩、イタコン酸塩、スルホプロピルアクリレートもしくはメタクリレート、又はこれらもしくは他の重合可能なカルボン酸もしくはスルホン酸の他の水溶性形態が挙げられる。スルホメチル化アクリルアミド、スルホン酸アリル、ビニルスルホン酸ナトリウム、イタコン酸、アクリルアミドメチルブタン酸、フマル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、アリルホスホン酸、スルホメチル化アクリルアミド、ホスホノメチル化アクリルアミドなど。
【0108】
代表的なカチオン性モノマーには、ジアルキルアミノアルキルアクリレート及びメタクリレート、並びにジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド第4級塩、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルスルフェート第4級塩、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド第4級塩、ジメチルアミノエチルアクリレート硫酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド第4級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルスルフェート第4級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロリド第4級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート硫酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド又はメタクリルアミド及びそれらの第4級又は酸塩、例えば、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド第4級塩、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド第4級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド第4級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロリド第4級塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルスルフェート第4級塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド硫酸塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩酸塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドメチルスルフェート第4級塩、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド硫酸塩、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアリルジエチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどを含むが、これらに限定されない、それらの第4級又は酸塩が含まれる。
【0109】
代表的な双性イオン性モノマーには、N,N-ジメチル-N-アクリロイルオキシエチル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウムベタイン、N,N-ジメチル-N-アクリルアミドプロピル-N-(2-カルボキシメチル)-アンモニウムベタイン、N,N-ジメチル-N-アクリルアミドプロピル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウムベタイン、N,N-ジメチル-N-アクリルアミドプロピル-N-(2-カルボキシメチル)-アンモニウムベタイン、2-(メチルチオ)エチルメタクリロイル-S-(スルホプロピル)-スルホニウムベタイン、2-[(2-アクリロイルエチル)ジメチルアンモニオ]エチル2-メチルホスフェート、2-(アクリロイルオキシエチル)-2’-(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェート、[(2-アクリロイルエチル)ジメチルアンモニオ]メチルホスホン酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、2-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]エチル2’-イソプロピルホスフェート(AAPI)、1-ビニル-3-(3-スルホプロピル)イミダゾリウムヒドロキシド、(2-アクリルオキシエチル)カルボキシメチルメチルスルホニウムクロリド、1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムベタイン、N-(4-スルホブチル)-N-メチル-N,N-ジアリルアミンアンモニウムベタイン(MDABS)、N,N-ジアリル-N-メチル-N-(2-スルホエチル)アンモニウムベタインなどが含まれる。
【0110】
特定の実施形態では、アミノ基、アミド基、又はそれらのアミノ基とアミド基との組み合わせは、少なくとも約3:1の比で一反応及び二反応し、GPAMは、約10,000g/モル~約10,000,000g/モル、約50,000g/モル~約5,000,000g/モル、約100,000g/モル~約3,000,000g/モル、約200,000g/モル~約1,000,000g/モル、約300,000g/モル~約1,000,000g/モル、約500,000g/モル~約1,000,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0111】
特定の実施形態では、アミノ基、アミド基、又はそれらのアミノ基とアミド基との組み合わせは、少なくとも約4:1の比で一反応及び二反応し、GPAMは、約10,000g/モル~約10,000,000g/モル、約50,000g/モル~約5,000,000g/モル、約100,000g/モル~約3,000,000g/モル、約200,000g/モル~約1,000,000g/モル、約300,000g/モル~約1,000,000g/モル、約500,000g/モル~約1,000,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0112】
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して調製されるGPAMは、グリオキサール化DADMAC/アクリルアミドポリマーである。特定の実施形態では、アクリルアミド/DADMACコポリマー(例えば、95/5モル%アクリルアミド/DADMACコポリマー)を使用して、本発明のGPAMを調製してもよい。95/5モル%アクリルアミド/DADMACコポリマーは、米国特許出願公開第2005/016118号(その開示が本明細書の記載と矛盾しない範囲で参照により組み込まれる)に記載の方法に従って調製され得る(実施例1を参照)。米国特許第10,006,170号及び同第8,894,817号もまた、それらの開示が本明細書の記載と矛盾しない範囲で参照により組み込まれる。
【0113】
一反応アミド又はアミンは、1つのグリオキサールが1つのアミド又はアミンと反応したときに形成されるポリマーを指し、二反応アミド又はアミンは、1つのグリオキサールが2つのアミド又はアミンと反応したときに形成されるポリマーを指す。
【0114】
本開示のアルデヒド官能ポリマー(GPAMを含む)は、少なくとも約1.5:1の一反応アミド対二反応アミド比でアルデヒドで置換されたアミノ基、アミド基、又はアミノ基及びアミド基の両方を含み得る。任意の特定の理論に束縛されることを望むものではないが、ポリマー中の一反応アルデヒドは、アルデヒド官能化ポリマーの存在下で観察された紙強度の強化に部分的に関与すると考えられる。したがって、二反応種とは異なり、一反応種はセルロース繊維と共有結合を形成することができるので、一反応種(例えば、遊離アルデヒドを有する種)は紙強度の増加に関与すると考えられる。
【0115】
特定の実施形態では、本発明のアルデヒド官能化ポリマー(GPAMなど)は、少なくとも約1.5:1の比でアルデヒドと一反応及び二反応するアミノ基、アミド基、又はアミノ基とアミド基との組み合わせを含む。特定の実施形態では、GPAMは、少なくとも約3:1の比でグリオキサールと一反応及び二反応するアミノ基、アミド基、又はアミノ基とアミド基との組み合わせを含む。したがって、特定の実施形態では、本発明のGPAMは、少なくとも約3:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約4:1、少なくとも約4.5:1、少なくとも約5:1、少なくとも約5.5:1、又は少なくとも約6:1の比でグリオキサールと一反応及び二反応するアミノ基、アミド基、又はアミノ基及びアミド基の両方を含む。特定の実施形態では、GPAMは、約3:1超の比でグリオキサールと一反応及び二反応するアミノ基、アミド基、又はアミノ基とアミド基との組み合わせを含む。特定の実施形態では、本発明のGPAMは、少なくとも約3.5:1の比でグリオキサールと一反応及び二反応するアミノ基、アミド基、又はアミノ基とアミド基との組み合わせを含む。特定の実施形態では、本発明のGPAMは、少なくとも約4:1の比でグリオキサールと一反応及び二反応するアミノ基、アミド基、又はアミノ基とアミド基との組み合わせを含む。
【0116】
特定の実施形態では、本発明のGPAMは、約3:1~約20:1の比でグリオキサールと一反応及び二反応するアミノ基、アミド基、又はアミノ基とアミド基との組み合わせを含む。したがって、特定の実施形態では、本発明のGPAMは、約3:1~約20:1、約3.5:1~約20:1、約4:1~約20:1、約4.5:1~約20:1、約5:1~約20:1、約5.5:1~約20:1、又は約6:1~約20:1の比でグリオキサールと一反応及び二反応するアミノ基、アミド基、又はアミノ基とアミド基との組み合わせを含む。
【0117】
特定の実施形態では、組成物は、少なくとも約7:1、少なくとも約8:1、少なくとも約9:1、少なくとも約10:1、少なくとも約11:1、又は少なくとも約12:1の比で一反応グリオキサール及び二反応グリオキサールを含む。特定の実施形態では、組成物は、約9:1~約50:1の比で一反応グリオキサール及び二反応グリオキサールを含む。
【0118】
本発明のGPAMは、任意の量の、一反応するアミノ基、アミド基、及び組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、アミノ基、アミド基、及びこれらの組み合わせの少なくとも約10モルパーセントが、少なくとも1つのアルデヒドと一反応する。特定の実施形態では、アミノ基、アミド基、及びこれらの組み合わせの少なくとも約15モルパーセントが、少なくとも1つのアルデヒドと一反応する。特定の実施形態では、アミノ基、アミド基、及びこれらの組み合わせの少なくとも約20モルパーセントが、少なくとも1つのアルデヒドと一反応する。
【0119】
特定の実施形態では、本発明のGPAMは、アミノ基、アミド基、又はアミノ基とアミド基との組み合わせを含むアクリルアミドコポリマーを1つ以上のグリオキサールで官能化することによって形成され、グリオキサールは、アミノ基、アミド基、又はこれらの組み合わせの少なくとも約15モルパーセントと反応する。したがって、特定の実施形態では、GPAMは、アミノ基及び/又はアミド基を含み得るアクリルアミド及びイオン性モノマーの少なくとも1つのコポリマーをグリオキサールと反応させることによって形成され、グリオキサールは、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約15モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約16モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約17モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約18モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約19モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約20モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約22モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約24モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約25モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約30モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約35モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約40モルパーセント、アミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約45モルパーセント、又はアミノ基及び/もしくはアミド基の少なくとも約50モルパーセントと反応する。
【0120】
特定の実施形態では、方法は、少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることを含み、ポリアクリルアミドは、約7,000g/モル~約50,000g/モル(約10,000g/モル~約45,000g/モル、約15,000g/モル~約40,000g/モル、約20,000g/モル~約30,000g/モル、約7,000g/モル~約30,000g/モル)の重量平均分子量を有し、反応溶液の粘度が約12cP~約40cP(約15cP~約40cP、約18cP~約30cP、約20cP~約40cp、約25cP~約40cP、約12cP~約30cP)の範囲になったときに当該反応がクエンチされる。
【0121】
特定の実施形態では、方法は、少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることを含み、ポリアクリルアミドは、約50,000g/モル~約200,000g/モル(約50,000g/モル~約150,000g/モル、約75,000g/モル~約200,000g/モル、約80,000g/モル~約180,000g/モル、約100,000g/モル~約200,000g/モル)の重量平均分子量を有し、反応溶液の粘度が約20cP~約1000cP(約50cP~約500cP、約100cP~約800cP、約150cP~約600cP、約75cP~約400cP、約200cP~約500cP)の範囲になったときに当該反応がクエンチされる。
【0122】
特定の実施形態では、本発明のGPAMは、約10,000g/モル~約10,00,000g/モル、約10,000g/モル~約7,000,000g/モル、約10,000g/モル~約5,000,000g/モル、1,000,000g/モル~約10,000,000g/モル、約1,000,000g/モル~約5,000,000g/モル、約3,000,000g/モル~約4,000,000g/モル、又は約3,000,000g/モル~約5,000,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0123】
特定の実施形態では、重合及び/又は後重合反応条件は、アミノ基及び/又はアミド基を含む得られたポリマーが約1,000g/モル~約10,000,000g/モルの分子量を有するように選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、GPAMは、
図2に概説される製造プロセスを用いて調製することができる。本発明の一態様は、GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくとも水、アクリルアミドとイオン性モノマーとのコポリマー(「PAM骨格」)(アクリルアミド/DADMACなど)、及びグリオキサールを、反応容器(タンクなど)内で(例えば、ポンプ輸送を介して)合わせて、反応混合物を得ることと、
(b)ステップ(a)の混合物の所望の濃度を維持することと、
(c)任意選択で、反応混合物を再循環させることと、
(d)反応混合物の粘度をリアルタイムで連続的にモニタリングすることと、
(e)目標粘度に達したら、反応混合物のpHを(例えば、クエン酸の添加によって)約4~約6の範囲の値に調整して、GPAMを得ることと、
を含む、方法に関する。
【0125】
反応中、pHは、インラインpH制御を使用して希釈水と並行して流れる苛性ポンプに依存することによって、約8~約9の間で維持され得る。所望の粘度に達したら、反応をクエンチし、酸ポンプ(クエン酸ポンプなど)を始動させ、必要な貯蔵寿命のレベルに応じて得られた溶液のpHを約4~約6の範囲に低下させる。
【0126】
図2において、プロセス投入材料には、水、PAM骨格材料(例えば、アクリルアミドとイオン性モノマーとのコポリマー)、グリオキサール、並びに苛性材料(例えば、NaOH)の水溶液及び酸の水溶液を含むpH調整溶液が挙げられる。投入材料は、制御システムに従ってランタンクにポンプ輸送される。フィードバックループは、インライン粘度計を通してタンクの内容物を再循環させるためのポンプを含む。反応の進行を測定するために、粘度計からのフィードバック読み取り値を使用する。PAM骨格材料とグリオキサールとの反応中、pHは約8~約9の範囲で維持される。粘度の読み取り値が所定のレベルに達したら、酸を添加することによって反応をクエンチし、次いで貯蔵タンクにポンプ輸送する。
【0127】
粘度計
反応のフィードバック制御システムを可能にするために、粘度を連続的かつリアルタイムでモニタリングすることが特に有利である。本明細書に開示される方法の反応時間は、pHレベルを調整することによって制御することができ、pHの調整は、反応混合物の粘度の連続リアルタイム測定を含めることによって自動制御下におくことができる。利用可能な種々の粘度計のうち、いくつかは、粘度の連続リアルタイム測定のために他のものよりも好適である。スピンドル設備(arrangement)を有する粘度計は好適ではない(例えば、ULアダプタを有するBROOKFIELD LVシリーズ粘度計-米国特許第8,920,606号を参照のこと、また、米国特許公開第2005/0161181号も参照のこと)。他方、「オープンフロースルー型」インライン粘度計、例えば、ステップ(a)におけるアルデヒド官能化ポリマー(例えば、GPAM)の形成の進行をモニタリングするために使用することができるBrookfield TT-100粘度計(例えば、https://www.brookfieldengineering.com/products/viscometers/in-line-process-viscometers/tt-100-viscometerにみられる)などの、規定のせん断条件で粘度測定を提供する同心円筒形状に基づいて動作する粘度計(クエット型)(すなわち、クエット粘度計)が、より優れた選択肢である。加えて、Proline Promass83I(E+H)などの開放流管で動作する粘度計は、ステップ(a)におけるアルデヒド官能化ポリマー(例えば、GPAM)の形成の進行をモニタリングするのに好適であり得る。
【0128】
ステップ(a)におけるアルデヒド官能化ポリマー(例えば、GPAM)の形成の進行をモニタリングするために使用することができる別のタイプの粘度計は「振動計」であるが、これは、電気機械的励起下で流管の振動撓みを測定する。そのような振動計の例は、米国特許第7,520,162号(例えば、第6~9欄参照)に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
図3は、振動計のトランスデューサアセンブリ10の簡略化された概略断面図を示す。トランスデューサアセンブリ10は、直線状の可撓性流管13を含むが、これは入口端11、出口端12、及び流管13の内面上の弾性的に変形可能な管腔を有する。トランスデューサアセンブリ10はまた、剛性支持フレーム14を備えるが、これは、筐体100によって囲まれ、振動運動が可能であるように流管13をクランプしている。管腔の「弾性変形」は、本明細書で使用するとき、流体導通管腔の三次元形状及び/又は空間位置が、流管13の弾性範囲内で周期的に、特に定期的に変化することを意味する。弾性変形は、トランスデューサアセンブリ10の動作中に、流体を記述する力、すなわちコリオリ力、質量慣性力、及び/又はせん断力に対する反応によって生じる。
【0129】
流管13の振動モードの測定は、電気力学センサ17及び18からの信号、励磁電流iexcからの信号、並びに流管13の振動の減衰を推定し、推定された当該減衰に基づいて流体の粘度を代表する粘度値を導出する評価回路を備える、メーター電子機器モジュールを使用して分析することができる。メーター電子機器モジュールの機能に関するさらなる詳細は、米国特許第7,520162号に記載されている、例えば、第6~9欄を参照のこと。
【0130】
流管13に特に適した材料は、例えばチタン合金である。このような流管、特に曲がり管に一般的に使用される他の材料、例えばステンレス鋼又はジルコニウムを使用することも可能である。トランスデューサアセンブリ10は、励起電流iexcによって作動して、動作中に静止した静的位置から流管13を空間的に撓ませ、横方向及びねじれ運動によって流管13を弾性的に変形させる、電気機械的励起設備16をさらに含む。センサ設備60は、流管13が曲がるときの流管の動きを感知する機能を有する、速度測定電気力学センサ17及び18を備える。センサ設備60は、センサからの信号を記録及び分析するため、並びに励起設備16に励起電流iexcを送達するために、メーター電子機器モジュール(図示せず)に接続される。
【0131】
いくつかの実施形態では、当該オンライン粘度メーターは、
(a)トランスデューサアセンブリであって、
(i)パイプに挿入されている少なくとも1本の流管であって、本発明のアルデヒド官能化ポリマー(例えば、GPAM)を導く内腔を有し、振動できるように入口端及び出口端でクランプされている流管、
(ii)当該流体内に粘性摩擦を少なくとも部分的に生じさせるために当該流管を駆動して曲げモードで振動させる、電気機械的励起設備、並びに、
(iii)流管の振動に応答して、流管の横方向の撓みを代表する少なくとも1つのセンサ信号を生成するためのセンサ設備、
を含む、トランスデューサアセンブリと、
(b)メーター電子機器であって、
(i)励起設備に給電する励起電流を生成する励起回路、及び
(ii)当該少なくとも1つのセンサ信号及び励起電流から当該流管の振動の減衰を推定し、推定された当該減衰に基づいて、本発明の当該アルデヒド官能化ポリマーの粘度を代表する粘度値を導出する評価回路、
を含む、メーター電子機器と、
を含む。
【0132】
特定の実施形態では、当該オンライン粘度メーターは、
(a)トランスデューサアセンブリであって、
(i)パイプに挿入されている少なくとも1本の流管であって、GPAMを導く内腔を有し、振動できるように入口端及び出口端でクランプされている当該流管、
(ii)当該流体内に粘性摩擦を少なくとも部分的に生じさせるために当該流管を駆動して曲げモードで振動させる、電気機械的励起設備、並びに、
(iii)流管の振動に応答して、流管の横方向の撓みを代表する少なくとも1つのセンサ信号を生成するためのセンサ設備、
を含む、トランスデューサアセンブリと、
(b)メーター電子機器であって、
(i)励起設備に給電する励起電流を生成する励起回路、及び
(ii)当該少なくとも1つのセンサ信号及び励起電流から当該流管の振動の減衰を推定し、推定された当該減衰に基づいて、本発明のGPAMの粘度を代表する粘度値を導出する評価回路、
を含む、メーター電子機器と、
を含む。
【0133】
有利には、流管13内には、例えばGPAMがゲル化し始めた場合にGPAMで汚れる部品も突起もない。流管13を通るGPAMの流れをポンプ輸送するために再循環ポンプを使用することができ、それにより、粘度の連続的なリアルタイム測定が可能になる。
【0134】
いくつかの実施形態では、
図3のトランスデューサアセンブリを備える粘度計は、反応混合物が連続的にポンプ輸送されるパイプと直列に接続され、それによって、反応混合物の粘度をリアルタイムで連続的に測定することが可能になる。インラインフロースルー粘度計のそのような構成により、反応混合物の連続的なサンプリングが可能になる。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明に使用されるオンライン粘度計は、コリオリ効果に依存し、1つ以上の曲流管の振動撓みを測定するものであってよく、米国特許出願公開第2020/0166444号に記載されているが、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、コリオリ質量流量測定システム(測定が測定管のねじれ運動に基づくものなど)を使用して、形成されるGPAMの粘度をモニタリングすることによって反応時間を制御することができる。例えば、本発明によるGPAMの調製において使用することができる粘度計は、以下のものを含んでいてよい:
測定動作中に流体(すなわち、GPAM)で満たされるか、又はそれを通してGPAMが流れ、振動を実行するために励起可能な少なくとも1つの管セクションを有する、少なくとも1本の測定管を有する測定システム、
各々において、管セクションのうちの少なくとも1つが、振動、特に共振振動を実行するように励起される、異なる周波数の少なくとも2つの所望の振動モードを励起するための励起システム、
測定動作中に励起された所望の振動モードについて、所望の振動モードのうちの1つの振動を実行するために励起された少なくとも1つの管セクションの、結果として生じる振動の周波数及び減衰、特に周波数、振幅、及び減衰をその都度求めるように具現化された感知システム、並びに
測定動作中に励起された個々の所望の振動モードについてメモリに記憶された較正データに基づいて、結果として生じる振動の励起決定周波数及び減衰、特に周波数、振幅、及び減衰に基づいて、せん断速度値及び粘度測定値をその都度求めるように具現化された評価システムであって、粘度測定値が、せん断速度値に対応する静的せん断速度でのGPAMの動的粘度に対応する、評価システム。
【0136】
塗布
本発明のさらなる態様は、本明細書に開示されるGPAMを調製する方法に従って調製された水性組成物を、乾燥繊維に基づいて約0.05lb/トン~約20lb/トンで平判に添加することと、当該GPAMを繊維スラリーと合わせるか又は当該GPAMを平判に塗工することと、を含む、抄紙機上の平判の紙強度及びプレスセクションの脱水を強化する方法に関する。いくつかの実施形態では、当該GPAMは、約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有する。さらなる実施形態では、当該アルデヒド官能化ポリマー(GPAMなど)は、約0.4:1~約20:1、又は0.4:1~20:1、又は0.4:1、又は0.8:1のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有する。
【0137】
本発明の別の態様は、抄紙機上の平判の紙強度及びプレスセクションの脱水を強化する方法であって、平判に、乾燥繊維に基づいて約0.05lb/トン~約20lb/トンの水性組成物を添加することを含み、水性組成物が、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることによって、架橋反応を開始させてGPAMを生成することと、
(b)GPAMの目標粘度が達成されたら、ステップ(a)の反応のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチすることであって、オンライン粘度メーターからフィードバックループを介して反応溶液の粘度を測定することによって、GPAM形成の進行がモニタリングされることと、
(c)ステップ(b)の当該GPAMを繊維スラリーと合わせるか、又は当該GPAMを平判に塗工することと、
を含む、方法によって調製される、方法に関する。
【0138】
特定の実施形態では、本開示は、平判の強度及びプレスセクションの脱水を処理するためのアルデヒド官能化ポリマー(GPAMなど)組成物を作製する方法を提供する。組成物は、方法に従って調製された1つ以上のアルデヒド官能化ポリマー(GPAMなど)を含む。いくつかの実施形態では、当該GPAMは、約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有する。さらなる実施形態では、当該アルデヒド官能化ポリマー(GPAMなど)は、約0.4:1~約20:1、又は0.4:1~20:1、又は0.4:1、又は0.8:1のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有する。
【0139】
別の実施形態では、本開示は、抄紙機上の平判の強度及びプレスセクションの脱水を強化する方法を提供する。方法は、(i)アミノ基、アミド基、又はアミノ基もしくはアミド基の両方の少なくとも約15モルパーセントがグリオキサールで官能化され、(ii)アミノ基、アミド基、又はアミノ基もしくはアミド基の両方が少なくとも約1.5:1の比で一反応及び二反応し、(iii)GPAMが約10,000g/モル~約10,000,000g/モルの重量平均分子量を有する、アミノ基、アミド基、又はそれらのアミノ基及びアミド基の組み合わせを含むGPAMを含む組成物を、乾燥繊維に基づいて約0.05lb/トン~約20lb/トンで平判に添加することを含む。
【0140】
平判に添加されるGPAMの量は限定されない。特定の実施形態では、1つ以上のアルデヒド官能化ポリマーを含む組成物は、乾燥繊維に基づいて約0.05lb/トン~約20lb/トンで平判に添加される。したがって、特定の実施形態では、GPAMを含む組成物は、約0.05lb/トン~約20lb/トン、約0.05lb/トン~約18lb/トン、約0.05lb/トン~約15lb/トン、約0.05lb/トン~約12lb/トン、約0.05lb/トン~約10lb/トン、約0.05lb/トン~約8lb/トン、約0.05lb/トン~約6lb/トン、約0.05lb/トン~約4lb/トン、約0.05lb/トン~約3lb/トン、約0.15lb/トン~約2lb/トン、約1lb/トン~約20lb/トン、約1lb/トン~約18lb/トン、約1lb/トン~約15lb/トン、約2lb/トン~約20lb/トン、約2lb/トン~約18lb/トン、約2lb/トン~約15lb/トン、約5lb/トン~約15lb/トン、約1lb/トン~約10lb/トン、約1lb/トン~約5lb/トン、又は約5lb/トン~約10lb/トンで平判に添加される。特定の実施形態では、GPAMを含む組成物は、約0.05lb/トン~約3lb/トンで平判に添加される。
【0141】
本発明のGPAMは、未反応アルデヒド(グリオキサール)を含む溶液などの任意の形態で製紙システムに添加され得る。GPAMを含む溶液は、任意の好適な量の未反応アルデヒド(グリオキサール)を含み得る。特定の実施形態では、本発明のGPAMを含む溶液は、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約45%~約95%、約50%~約95%、約55%~約95%、約60%~約95%、約65%~約95%、約70%~約95%、約75%~約95%、又は約80%~約95%の量の未反応グリオキサールを含む。特定の実施形態では、GPAMを含む溶液は、約60%~約95%の量の未反応グリオキサールを含む。
【0142】
特定の実施形態では、本開示は、前述の方法のうちの1つに従って生産される平判を提供する。
【0143】
特定の実施形態では、GPAMは、水溶液として製紙システムに添加される。特定の実施形態では、GPAMは、水と混和する共溶媒中の溶液として製紙システムに添加される。特定の実施形態では、GPAMは、プレス脱水の前に平判上に噴霧される。
【0144】
本開示の組成物及び方法は、水性セルロース製紙ファニッシュを形成することと、ファニッシュから排水して平判を形成することと、平判を乾燥させることと、を含む、パルプから紙製品を作製する方法を含む任意の製紙プロセスで使用することができる。製紙ファニッシュを形成、排水及び乾燥するステップは、当業者に一般的に知られている任意の従来の方法で行うことができる。従来の微粒子、アラム、カチオン性デンプン、又はそれらの組み合わせを、本開示のポリマー処理と共に補助剤として利用してもよいが、有効な脱水活性に補助剤は必要ではないことを強調しなければならない。
【0145】
本開示のGPAMは、従来のウェットエンド添加剤に使用される伝統的なウェットエンド位置で添加してよい。これらは、薄い紙料又は厚い紙料を含む。実際のウェットエンド位置は重要であるとはみなされない。GPAMはプレス助剤として作用すると考えられるので、ウェットエンドにそれを添加することは必須ではなく、平判の形成後のプレスセクションの直前にそれを添加するという選択肢を実施することもできる。例えば、GPAMは、プレスセクションに入る前にウェットウェブに(例えば、シャワーバーを使用して)噴霧してもよいが、これは、ウェットエンドで起こり得る干渉の量又は影響を低減するための好ましい添加方法であり得る。他の従来のウェットエンド添加剤を、アルデヒド官能化ポリマーと併用してもよい。これらとしては、歩留向上剤、デンプンなどの強度添加剤、サイズ剤などが挙げられる。
【0146】
正味のアニオン電荷を有する本明細書に記載のGPAMを使用する場合、ポリマーを繊維に固定する方法が必要になる場合がある。この固定は、ポリマーと共にカチオン性材料を使用することによって達成することができる。このようなカチオン性材料としては、無機(例えば、アラム、ポリ塩化アルミニウム、塩化鉄又は硫酸鉄、及び任意の他のカチオン性加水分解塩)又は有機(例えば、p-DADMAC、EPI/DMA、PEL、修飾PEL、又は任意の他の高荷電密度の低~中分子量ポリマー)のいずれかの凝固剤を挙げることができる。さらに、デンプン、ウェット強度、又は歩留向上剤のような他の目的のために添加されるカチオン性材料も、アニオン性ポリマーを固定するのに役立ち得る。一般に、カチオン性アルデヒド官能化ポリマーを充填剤に固定するために追加の添加剤は必要ない。
【0147】
GPAMは、全てのグレードの紙及び板紙を脱水するために使用することができる。特定の実施形態では、GPAMは、混合廃棄物の有無にかかわらず、OCC(古い段ボール箱)を使用して再生板紙グレードを調製するために使用される。特定の他の実施形態では、GPAMは、白紙、再生紙、機械紙、ケミカル紙、漂白紙、又は無漂白紙を調製するために使用される。
【0148】
特定の実施形態では、GPAMを含む組成物は、カチオン性デンプンをさらに含む。
【0149】
実施形態
実施形態の非限定的なリストを以下に提供する:
1.GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、当該GPAMを得ることと、
を含み、
反応の進行が、オンライン粘度メーターから反応溶液の粘度を測定することによってモニタリングされる、方法。
2.当該GPAMが、約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有する、実施形態1に記載の方法。
3.当該GPAMが、約0.05:1~約20:1又は0.1:1~約20:1のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有する、実施形態1又は2に記載の方法。
4.当該反応の進行が、任意選択でフィードバック制御を用いて、当該反応溶液の粘度を連続的に測定することによってモニタリングされる、実施形態1に記載の方法。
5.実施形態1~4のいずれかに記載の方法であって、オンライン粘度メーターが、
(a)トランスデューサアセンブリであって、
(i)パイプに挿入されている少なくとも1本の流管であって、反応溶液を導く内腔を有し、振動できるように入口端及び出口端でクランプされている流管、
(ii)電気機械的励起設備、並びに
(iii)センサ設備、
を含む、トランスデューサアセンブリと、
(b)メーター電子機器と、
を含む、方法。
6.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して100%超増加したときに、反応がクエンチされる、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
7.ステップ(a)における反応のpHが、苛性溶液を添加することによって約8~約9の範囲で維持される(当該苛性溶液は、任意選択で水でさらに希釈される)、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
8.ステップ(b)において、当該クエンチが、有機酸(クエン酸など)を添加することを含む、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
9.当該GPAMが、約0.4:1~約20:1のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有する、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
10.ステップ(a)~(b)のうちの少なくとも1つが紙生産現場で行われる、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
11.GPAMが、半バッチ又は完全バッチで現場で調製される、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
12.当該方法が、バッチ又は半バッチプロセスとして実施される、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
13.当該ポリアクリルアミドが、アクリルアミド/DADMACのコポリマーである、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
14.当該コポリマーが、約1~30モル%のDADMAC及び約70~99モル%のアクリルアミドである、実施形態13に記載の方法。
15.当該粘度計が、開放流管粘度計である、実施形態1に記載の方法。
16.実施形態1に記載の方法であって、当該粘度メーターが、
測定動作中に反応溶液で満たされるか、又はそれを通して当該反応溶液が流れ、振動を実行するために励起可能な少なくとも1つの管セクションを有する、少なくとも1本の測定管を有する測定システム、
各々において、管セクションのうちの少なくとも1つが、振動、特に共振振動を実行するように励起される、異なる周波数の少なくとも2つの所望の振動モードを励起するための励起システム、
測定動作中に励起された所望の振動モードについて、所望の振動モードのうちの1つの振動を実行するために励起された少なくとも1つの管セクションの、結果として生じる振動の周波数及び減衰、特に周波数、振幅、及び減衰をその都度求めるように具現化された感知システム、並びに
測定動作中に励起された個々の所望の振動モードについてメモリに記憶された較正データに基づいて、結果として生じる振動の励起決定周波数及び減衰、特に周波数、振幅、及び減衰に基づいて、せん断速度値及び粘度測定値をその都度求めるように具現化された評価システムであって、粘度測定値が、せん断速度値に対応する静的せん断速度でのGPAMの動的粘度に対応する、評価システム。
17.抄紙機上の平判の紙強度及びプレスセクションの脱水を強化する方法であって、乾燥繊維に基づいて約0.05lb/トン~約20lb/トンの実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法によって調製された水性組成物を平判に添加することを含む、方法。
18.アルデヒド官能化ポリマーを作製する方法であって、
(a)少なくとも1つのアミド基又はアミノ基を含む少なくとも1つのポリマーとアルデヒドとを合わせて、反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、当該アルデヒド官能化ポリマーを得ることと、
を含み、
反応の進行が、オンライン粘度メーターから反応溶液の粘度を測定することによってモニタリングされる、方法。
19.当該アルデヒドが、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、及びグルタルアルデヒドから選択される、実施形態18に記載の方法。
20.実施形態1~19のいずれか1つに従って調製された当該GPAMを繊維スラリー又は平判と接触させることをさらに含む、実施形態18に記載の方法。
21.実施形態17又は実施形態20に記載の方法に従って生産された平判。
22.抄紙機上の平判の紙強度及びプレスセクションの脱水を強化する方法であって、乾燥繊維に基づいて約0.05lb/トン~約20lb/トンの実施形態18又は実施形態19に記載の方法によって調製された水性組成物を当該平判に添加することを含む、方法。
23.当該GPAMを繊維スラリー又は平判と接触させることをさらに含む、実施形態18に記載の方法。
24.実施形態22又は23の方法に従って生産された平判。
25.GPAMの作製の進行が、オンライン粘度メーターからフィードバックループを介して当該反応溶液の粘度を測定することによってモニタリングされる、実施形態1~24のいずれかに記載の方法。
26.反応溶液の粘度が少なくとも3cPになったときに反応がクエンチされる、実施形態1~25のいずれかに記載の方法。
27.反応溶液の粘度が約20cP~約1,000cPの範囲になったときに反応がクエンチされる、実施形態1~26のいずれかに記載の方法。
28.実施形態1~27のいずれかに記載の方法に従って調製されたGPAMを含むGPAM組成物であって、当該GPAMが約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有し、当該GPAMが約0.4:1~約20:1の範囲のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有するGPAM組成物。
29.GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、GPAMを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターからフィードバックループを介して反応溶液の粘度を測定することによって反応の進行がモニタリングされ、
当該ポリアクリルアミドが、約7,000~50,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
反応溶液が約12cP~約40cPの範囲の粘度になったときに当該反応がクエンチされる、方法に関する。
30.GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、GPAMを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターからフィードバックループを介して反応溶液の粘度を測定することによって反応の進行がモニタリングされ、
当該ポリアクリルアミドが、約50,000~200,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
反応溶液が約20cP~約1,000cPの範囲の粘度になったときに当該反応がクエンチされる(粘度の測定は周囲温度での測定に基づき、反応溶液は8~10%の濃度/固形分の濃度を有する)、方法。
31.GPAMを作製する方法であって、
(a)少なくともポリアクリルアミドとグリオキサールとを合わせて反応溶液を得ることと、
(b)反応溶液のpHを約2~約6(又は約4~約6)の範囲の値に調整することによって反応をクエンチして、GPAMを得ることと、
を含み、
オンライン粘度メーターからフィードバックループを介して反応溶液の粘度を測定することによって反応の進行がモニタリングされ、
当該ポリアクリルアミドが、約15,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
反応溶液が約10cP~約100cPの範囲の粘度になったときに当該反応がクエンチされる(粘度の測定は周囲温度での測定に基づき、反応溶液は6~15%の濃度/固形分の濃度を有する)、方法。
32.当該ポリアクリルアミドが、7,000~50,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
約10cP~約40cPの範囲の粘度で当該反応がクエンチされる、実施形態1に記載の方法。
33.当該ポリアクリルアミドが、50,000~200,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
約20cP~約1,000cPの範囲の粘度で当該反応がクエンチされる、実施形態1に記載の方法。
34.当該ポリアクリルアミドが、15,000~約20,000ダルトンの重量平均分子量を有し、反応溶液が約2~4cPの初期粘度を有し、
約10~15cPの範囲の粘度で当該反応がクエンチされる、実施形態1に記載の方法。
35.当該ポリアクリルアミドが、30,000~約50,000ダルトンの重量平均分子量を有し、反応溶液が約5~8cPの初期粘度を有し、
約25cP~約40cP(又は30cP~約40cP)の範囲の粘度で当該反応がクエンチされる、実施形態1に記載の方法。
36.当該反応溶液が約2~10cPの初期粘度を有する、実施形態1に記載の方法。
37.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して100%超増加したときに、当該反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
38.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して300~400%増加したときに、ステップ(a)の反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
39.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して300~400%増加したときに、ステップ(a)の反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
40.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して少なくとも50%増加したときに、ステップ(a)の反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
41.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して少なくとも100%増加したときに、ステップ(a)の反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
42.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して約300~約500%増加したときに、ステップ(a)の反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
43.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して約300~約400%増加したときに、ステップ(a)の反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
44.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して約400%増加したときに、ステップ(a)の反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
45.反応溶液の粘度がその初期粘度と比較して約350%増加したときに、ステップ(a)の反応がクエンチされる、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
46.当該ポリアクリルアミドが、アクリルアミド/DADMACのコポリマーである、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
47.当該コポリマーが、約1~30モル%のDADMAC及び70~99モル%のアクリルアミドである、実施形態1、18、又は29~31に記載の方法。
48.当該コポリマーが、95/5モル%のアクリルアミド/DADMACコポリマーである、実施形態46に記載の方法。
49.当該コポリマーが、80/20モル%のアクリルアミド/DADMACコポリマーである、実施形態46に記載の方法。
50.当該ポリアクリルアミドが、50,000~200,000ダルトンの重量平均分子量を有し、
約20cP~約1,000cPの範囲の粘度で当該反応がクエンチされる、実施形態1に記載の方法。
51.実施形態1に記載の方法であって、当該ステップ(a)が、
当該ポリアクリルアミドを水と混合して混合物を得ることと、
混合物に当該グリオキサールを添加して当該反応溶液を得ることと、
を含む、方法。
52.実施形態1に記載の方法であって、当該ステップ(a)が、
当該グリオキサールを水と合わせて混合物を得ることと、当該ポリアクリルアミドを混合物に添加して当該反応溶液を得ることと、
を含む、方法。
53.ステップ(a)が、温度を約65~85°Fに調整することを含む、実施形態1に記載の方法。
54.ステップ(a)が、温度を約60~80°Fに調整することを含む、実施形態1に記載の方法。
55.ステップ(a)が、温度を約70~約75°Fに調整することを含む、実施形態1に記載の方法。
56.ステップ(a)が、温度を約75°Fに調整することを含む、実施形態1に記載の方法。
57.ステップ(a)とそれに続くステップ(b)を少なくとも2回繰り返す、実施形態1に記載の方法。
58.当該pHが、リアルタイムでモニタリングされる、実施形態1に記載の方法。
59.当該pHが、少なくとも1つのpH計を使用して測定される、実施形態1に記載の方法。
60.当該pHが、少なくとも2つのpH計を使用して測定される、実施形態1に記載の方法。
61.実施形態1~60のいずれかに記載の方法に従って調製されたGPAMを含むGPAM組成物であって、当該GPAMが約10,000g/モル~10,000,000g/モルの重量平均分子量を有し、当該GPAMが約0.1:1~約20:1の範囲のグリオキサール対アクリルアミド(G/A比)を有するGPAM組成物。
62.反応溶液のpHが約4~約6の範囲の値に調整される、実施形態1~61のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0150】
上記は以下の実施例を参照することによってよりよく理解されるであろう。実施例は例証を目的として提示されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0151】
実施例1
95/5モル%のアクリルアミド/DADMACコポリマーの調製
メカニカルスターラー、熱電対、凝縮器、窒素パージチューブ、及び添加口を備えた1500mLの反応フラスコに、脱イオン水又は軟水116.4g、リン酸26.3g、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(Nalco Company,Naperville,IL)の62%水溶液63.8g、ギ酸ナトリウム7.6g、及びエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩0.09gを添加する。反応混合物を400rpmで撹拌し、50%水酸化ナトリウム水溶液17.3gを用いてpHを4.7~4.9に調整する。得られた混合物を100℃に加熱し、50mL/分の窒素でパージする。100℃に達したら、過硫酸アンモニウムの25.0%水溶液17.6gを135分間かけて反応混合物に添加する。過硫酸アンモニウムの添加を開始してから5分後に、アクリルアミドの49.5%水溶液750.9gを120分間かけて反応混合物に添加する。過硫酸アンモニウムを添加した後、反応物を100℃で180分間保持する。次いで、反応混合物を周囲温度に冷却し、50%水酸化ナトリウム水溶液又は濃硫酸を用いてpHを5.2~5.8に調整する。生成物は、粘性の透明から琥珀色の溶液である。生成物は、約20,000g/モルの分子量を有する。
【0152】
実施例2
現場でのGPAMの調製
現場手順を使用して35個のGPAMサンプルのセットを生産した(例えば、
図2を参照)。NMRを用いてサンプルのポリマー組成について分析した。サンプルは全て、市販のGPAM製品、BP612と同様の組成を示した。一例(GPAM-1)を表1に示すが、現場サンプルの構造は、商業的に生産されたBP612 GPAMに非常に類似していることが観察された。
【0153】
【0154】
本開示による方法を使用して生産されたGPAM(GPAM-2)のサンプルを使用して、紙強度性能試験を行った。3つの条件を使用して、3つのサンプルを手すき研究で試験した。1つのサンプルは合成の1時間以内に使用し、1つは室温で3時間エージングした後に使用し、別のサンプルは35℃で3時間エージングした後に使用した。これらのサンプルの性能を、市販のGPAM BP612をベンチマークとして評価した。この研究で使用した手すき紙は、TAPPI法T205に従って調製し、引張強度(TAPPI法T494)、破裂強度(TAPPI法T403)、短スパン圧縮強度(SCT、TAPPI法T826)、及びリングクラッシュ強度(RCT、TAPPI法T822)について試験した。結果を表2及び
図3にまとめた。結果は、3つのGPAMサンプル全ての強度性能が、市販のBP612 GPAM材料と同等以上であることを示した。
【0155】
【表3】
現場製造プロセスを用いて生産されたGPAM-2サンプル及び市販のBP612 GPAM材料の平均強度の改善(
図3参照)。
【0156】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれるように個別にかつ具体的に指示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
本開示の実施形態は、本明細書に記載され、本発明を実施するための発明者が認識している最良の形態を含む。これらの実施形態の変形は、前述の説明を読んだ後、当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形例を適宜用いることを予測し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図するものである。したがって、本発明は、準拠法で認められたとおり、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題の全ての改変例及び等価物を含む。また、その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において別途記載のない限り又は文脈によって明確に否定されない限り、本発明によって包含される。
【0158】
本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本発明の特定の好ましい実施形態が、本明細書で詳細に説明される。本開示は、本発明の原理の例示であり、本発明を例解された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。本明細書で言及された全ての特許、特許出願、学術論文、及び任意の他の参照された資料は、本明細書中にその全体が参照により組み込まれる。さらに本発明は、本明細書で言及された、本明細書に記載された、かつ/又は本明細書に組み込まれた様々な実施形態のいくつか又は全ての任意の可能な組み合わせを包含する。加えて、本発明は、本明細書で言及された、本明細書に記載された、及び/又は本明細書に組み込まれた様々な実施形態のいずれか1つもしくはいくつかを具体的に排除もする任意の可能な組み合わせを包含する。
【0159】
参照により本明細書に組み込まれた任意の資料(例えば、米国特許、米国特許出願、書籍、論文など)における任意の情報は、そのような情報と本明細書に記載されている他の記述及び図面との間に矛盾が存在しない範囲でのみ参照により組み込まれる。そのような矛盾(本明細書のいずれかの請求項を無効にする矛盾を含む)が生じた場合、そのような参照により組み込まれる資料におけるそのような矛盾する情報はいずれも、参照により本明細書には具体的に組み込まれない。
【0160】
上記の開示は例示的であることを意図とし、限定的ではない。本明細書は当業者に多くの変形例及び改変例を示唆するであろう。これらの全ての変更例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図されており、そこでは、用語「含む」が「含むがそれに限定されない」を意味する。当業者は本明細書に記載の特定の実施形態に対する他の等価物を認識することができるが、その等価物もまた特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0161】
本明細書にて開示された全ての範囲及びパラメーターは、その範囲に含まれる任意の及び全ての部分範囲、並びに端点の間の全ての数字を包含するものとして理解される。例えば、「1~10」の記載された範囲は、最小値1と最大値10との間の(及びそれを含む)任意かつ全ての部分範囲を含むと考えられるべきである。すなわち、最小値1以上(例えば、1~6.1)で始まり、最大値10以下で終わる全ての部分範囲(例えば、2.3~9.4、3~8、4~7)、並びに最終的には、その範囲内に含まれる各数字1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10である。特に指示がない限り、本明細書の全ての百分率及び比率は重量によるものである。本明細書に開示されるG/A(グリオキサール対アミド)比は、モル比に基づく。さらに、本明細書に開示されるNMR結果は、モル比に基づく。
【0162】
これで本発明の好ましい実施形態及び変更実施形態の説明を完了する。当業者は本明細書に記載の特定の実施形態に対する他の等価物を認識することができるが、その等価物は特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【国際調査報告】