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特表2024-539154生物学的誘導放射線療法のためのPET撮像解析のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】生物学的誘導放射線療法のためのPET撮像解析のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20241018BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61N5/10 P
A61N5/10 M
G01T1/161 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024523659
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022078511
(87)【国際公開番号】W WO2023070088
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,404
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/392,446
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510246448
【氏名又は名称】リフレクション メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シー, リンシー
(72)【発明者】
【氏名】ダ シルバ, アンジェラ ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ハイトミラドフ, マクサット
(72)【発明者】
【氏名】オルコット, ピーター ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】ジーダシウク, ジョージ アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C082
4C188
【Fターム(参考)】
4C082AJ05
4C082AN02
4C082AP07
4C188EE02
4C188FF07
4C188KK24
(57)【要約】
生物学的誘導放射線療法(BgRT)の適合性を決定するための方法が本明細書に開示される。これらの方法は、診断的陽電子放出断層撮影(PET)撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換することを含み得る。シミュレートされた撮像データは、腫瘍に対するコントラストノイズ比を示す第1の測定基準、PETトレーサー活性濃度を示す第2の測定基準、及び腫瘍への放射線量を示す第3の測定基準を評価することによって、BgRTの適合性を評価するために使用され得る。1つ以上のPET画像から合成又はシミュレートされたリストモードLORデータを生成するための方法も本明細書に開示される。合成又はシミュレートされたリストモードデータは、BgRTアルゴリズムを試験するために、及び/又はBgRTが患者に好適であるかどうかを決定するために使用され得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的誘導放射線療法(BgRT)の適合性を決定するための方法であって、前記方法が、
腫瘍の診断的陽電子放出断層撮影(PET)撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換することであって、前記シミュレートされた撮像データ及び前記診断的PET撮像データが、トレーサーからのPET信号を表す、変換することと、
前記シミュレートされた撮像データを使用して、前記腫瘍のコントラストノイズ比を示す第1の測定基準を計算することと、
前記シミュレートされた撮像データを使用して、PETトレーサー活性濃度を示す第2の測定基準を計算することと、
前記シミュレートされた撮像データを使用して、前記腫瘍への放射線量を示す第3の測定基準を計算することと、
前記第1、前記第2、及び前記第3の測定基準のうちの少なくとも1つの値が許容可能な値の範囲内である場合に、BgRTが好適であると決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
追加の診断的PET撮像データを取得することと、
前記追加の診断的PET撮像データを、BgRTを実施するときに取得された画像と一致する新しいシミュレートされた撮像データに変換することと、
腫瘍に対するコントラスト正規化信号を示す新しい第1の測定基準値を計算することと、
PETトレーサー活性濃度を示す新しい第2の測定基準値を計算することと、
前記腫瘍の体積に対する放射線量を示す新しい第3の測定基準値を計算することと、
前記新しい第1の測定基準値、前記新しい第2の測定基準値、及び前記新しい第3の測定基準値のうちの少なくとも1つの値が許容可能な値の範囲内である場合に、BgRTが好適であると決定することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BgRTを使用する前記適合性を前記決定することが、前記新しい第1の測定基準値と前記第1の測定基準値との間の差、前記新しい第2の測定基準値と前記第2の測定基準値との間の差、及び前記新しい第3の測定基準値と前記第3の測定基準値との間の差に更に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加の診断的PET撮像データが、BgRT治療を実施する前に取得され、前記BgRT治療が、前記方法の一部を形成しない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の測定基準が、標的領域における平均信号<T>と、バックグラウンド領域における平均信号<Bg>との間の差を、前記バックグラウンド領域における前記信号の分散σBgで除算したもの:
(<T>-<Bg>)/σBgとして決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
標的領域における前記信号Tが、臨床標的体積の一部分で計算され、PET信号の値が、前記臨床標的体積で測定される前記PET信号のピーク値の標的閾値パーセント未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記標的閾値パーセントが、50パーセントである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の測定基準が、標的領域(PTV)の活性濃度中央値を、バックグラウンド領域における平均信号<Bg>で除算したもの:
AC中央値[PTV]/<Bg>として決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
Bgが、シェル領域にわたって計算され、前記シェル領域が、生物学的標的化ゾーンの一部分であり、臨床標的体積の一部ではない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記BgRTを使用する前記適合性を決定することは、
コントラスト正規化信号が、前記信号に必要な閾値を上回っていることと、
前記PETトレーサー活性濃度が、最小濃度閾値を上回っていることと、
決定された前記放射線量が、事前に定義された線量範囲内であることと、を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記事前に定義された線量範囲が、有界線量体積ヒストグラム(DVH)の上限DVH曲線及び下限DVH曲線によって表される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
BgRTを使用する前記適合性が示されていない場合、前記診断的PET撮像データを取得するために使用されるPETトレーサーのタイプとは異なるタイプのPETトレーサーを使用して、追加の診断的PET撮像データを取得する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第1の測定基準が、CT撮像を使用して前記腫瘍の視覚的表現を取得することによって更に検証される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線量が、腫瘍組織の所与の体積分率に対して許容可能な放射線量を決定する関数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記シミュレートされた撮像データを、一対の検出器要素間の単一応答線(LOR)データに変換することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
BgRT計画を生成することを更に含み、前記BgRT計画が、
識別された標的領域と、
PET撮像データを放射線フルエンスマップに変換し、結果的に、識別された組織に送達される所定の線量をもたらす、発射フィルタと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致する前記シミュレートされた撮像データに変換することが、
前記BgRT放射線療法システムの前記PET検出器の感度を較正することと、
前記PET撮像データに基づいてサイノグラムを生成することであって、前記生成することが、コンピュータ断層撮影(CT)データを使用して減衰を補正することを含む、生成することと、
前記サイノグラムを、サイノグラムビンごとの予想されるカウントに変換することと、
前記BgRT放射線療法システムのパラメータに基づいて、前記予想されるカウントを修正することであって、前記パラメータが、前記BgRT放射線療法システムの効率及びデータを収集するために前記BgRT放射線療法システムによって使用される時間に依存する、前記BgRT放射線療法システムの感度を少なくとも含む、修正することと、
ポアソン統計によってモデル化されたノイズを追加することによって、前記予想されるカウントを修正することと、
修正された前記予想されるカウントに基づいて、前記シミュレートされた撮像データを再構成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致する前記シミュレートされた撮像データに変換することが、
PET検出器シンチレータ内の光子散乱をモデル化することによって、前記PET撮像データに基づいて前記サイノグラムを決定することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポアソン統計によってモデル化されたノイズが、ランダムな同時発生に基づく、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ポアソン統計によってモデル化されたノイズが、ランダムな検出事象に基づく、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記サイノグラムが、前記サイノグラムを前記腫瘍を含む視野まで切り詰めることによって補正される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
標的視野が、50センチメートルのサイズを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換する方法であって、前記方法が、
BgRT放射線療法システムの前記PET検出器の感度を較正することと、
サイノグラムを、サイノグラムビンごとの予想されるカウントに変換することと、
前記BgRT放射線療法システムのパラメータに基づいて、前記予想されるカウントを修正することであって、前記パラメータが、前記BgRT放射線療法システムの効率及びデータを収集するために前記BgRT放射線療法システムによって使用される時間に依存する、前記BgRT放射線療法システムの感度を少なくとも含む、修正することと、
ポアソン統計によってモデル化されたノイズを追加することによって、前記予想されるカウントを修正することと、
修正された前記予想されるカウントに基づいて、前記シミュレートされた撮像データを再構成することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記予想されるカウントが、前記シミュレートされた撮像データに対する第2のサイノグラムに変換され、
前記シミュレートされた撮像データが、フィルタ補正逆投影を介して前記第2のサイノグラムから再構成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルタ補正逆投影が、前記BgRT放射線療法システムからの経験的データを利用する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第1のPET画像に基づいて第2のPET画像をシミュレートするための方法であって、前記方法が、
標的領域の第1のPET画像をサイノグラムに変換することと、
前記サイノグラムからLORをサンプリングして、PET撮像システムのノイズ特性及び構成要素特性を含めることによって、前記サイノグラムからリストモードデータを生成し、サンプリングされた前記LORをリストモードLORデータにシリアル化することであって、各サンプリングされたLORが、対応するタイムスタンプを有する、シリアル化することと、
前記リストモードLORデータをフィルタリング及び逆投影することによって、前記標的領域の第2のPET画像を生成することと、を含む、方法。
【請求項27】
前記PET撮像システムの前記PET検出器の前記ノイズ特性が、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
PET検出器の前記構成要素特性が、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記リストモードLORデータが、個々のLORに対応するタイムスタンプを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のPET画像が、三次元(3D)又は四次元(4D)PETのうちの1つを含む第1のPET撮像システムを使用して取得される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のPET画像が、仮想ファントムの3D又は4Dコンピュータ生成PET画像である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のPET画像が、解剖学的構造の一部分に対して取得される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記標的領域の場所が、前記解剖学的構造の生理学的機能を有する運動軌道に沿って時間とともに変化し、複数のPET画像が、異なる時点に対して取得される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のPET画像が、経時的に取得された複数のPET画像の平均である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記運動軌道に沿った前記標的領域の前記場所に基づいて、前記複数のPET画像の各々をPET画像フェーズにグループ化することと、
各フェーズについて、対応する前記PET画像フェーズから、代表的なPET画像を前記第1のPET画像として選択することと、を更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
生成された前記第2のPET画像を、前記対応するPET画像フェーズと関連付けられたデータレコードとして保存することを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記代表的なPET画像が、前記対応するPET画像フェーズからのPET画像の平均である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記標的領域の前記運動軌道が、呼吸運動軌道である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記リストモードLORデータから導出された各フェーズに対するサイノグラムを再構成することを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記標的領域の前記運動軌道が、蠕動運動軌道である、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記標的領域の前記運動軌道が、ユーザ定義の運動軌道である、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記リストモードLORデータが、LORを含み、各LORが、前記LORを検出するための対応する検出事象タイムスタンプ及び関連する検出器の座標を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
PET画像をシミュレートされたリストモード応答線(LOR)データに変換するための方法であって、前記方法が、
第1のPET撮像システムを使用して取得されたPET画像内の標的領域のための計画スキャンパラメータを決定することと、
生物学的誘導放射線療法(BgRT)システムパラメータを決定することと、
前記計画スキャンパラメータ及び前記BgRTシステムパラメータに基づいて、前記PET画像から各ビームステーションに対するサイノグラムを生成することと、
各ビームステーションに対する前記サイノグラムを、事前較正されたスケーリング係数を使用して、個々の応答線(LOR)の第2のサイノグラムに変換することと、
各ビームステーションに対して前記第2のサイノグラムを修正して、第2のPET撮像システムに対する選択されたアーチファクトを含めることと、
各ビームステーションについて、前記第2のサイノグラムからLORをサンプリングすることによって、リストモードLORデータを生成することと、を含む、方法。
【請求項44】
各サンプリングされたLORについて、タイムスタンプが、逆累積密度関数を使用してサンプリングされる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記計画スキャンパラメータが、ビームステーション場所、ビームステーション滞留時間、ビームステーション当たりのガントリ回転数、ビームステーション数、及び治療照射面を通過するカウチの数のうちの少なくとも1つを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記BgRTシステムパラメータが、PET検出器の幾何学的形状、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記選択されたアーチファクトが、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記標的領域の場所が、解剖学的構造の生理学的機能を有する運動軌道に沿って時間とともに変化し、複数のPET画像が、異なる時点に対して取得される、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記標的領域の前記運動軌道が、呼吸運動軌道である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記標的領域の前記運動軌道が、蠕動運動軌道である、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記標的領域の前記運動軌道が、ユーザ定義の運動軌道である、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
PET画像をシミュレートされた応答線(LOR)に変換するための方法であって、前記方法が、
標的領域のPET画像からサイノグラムを生成することと、
生成された前記サイノグラムに基づいてリストモードLORデータを生成することであって、前記リストモードLORデータが、シミュレートされたLORのリストを含み、前記シミュレートされたLORの前記リストが、放射事象のサンプルに基づいて生成される、生成することと、を含む、方法。
【請求項53】
前記放射事象のサンプルが、逆変換サンプリング方法を使用して生成され、前記逆変換サンプリング方法が、前記生成されたサイノグラムによって表される放射事象を特性評価する累積密度関数に基づく、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記逆変換サンプリング方法が、前記放射事象の可能性を表すゼロ~1の間隔で均一に分布した乱数を使用し、各乱数について、累積密度関数の逆数が、サイノグラムビン及び関連するシミュレートされたLORを決定するために計算される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記シミュレートされたLORを修正して、PET撮像システムのPET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
フィルタ補正逆投影法及び前記リストモードLORデータを使用して、前記標的領域のシミュレートされたPET画像を生成することを更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記リストモードLORデータが、タイムスタンプデータ[ts]、2つの記録された放射事象[dt]間の時間差、及びガントリの位置[lpos]を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
PET撮像システムが、前記標的領域を中心として回転可能である第1の検出弧及び第2の検出弧を備え、シミュレートされたLORが、前記第1及び前記第2の検出弧の角度位置に対応する各時間間隔に対して計算され、前記第1及び前記第2の検出弧によって検出されない放射事象と関連付けられた前記シミュレートされたLORが、破棄される、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、前記PET検出器における散乱を考慮することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、前記PET検出器効率を考慮することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、前記PET検出器の視野の縁におけるより低い光子捕捉、PET検出器効率を考慮することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記標的領域を形成する媒体の減衰特性を含めることを更に含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記減衰特性が、前記標的領域のコンピュータ断層撮影スキャンに基づいて決定される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記リストモードLORデータに基づいて、前記標的領域に対する放射線療法治療計画を生成することを更に含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記リストモードデータが、各ビームステーションに対して生成される、請求項52~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
第1のPET画像に基づいて第2のPET画像をシミュレートするための方法であって、前記方法が、
標的領域の第1のPET画像を、PET画像内の各画素に対する陽電子対消滅光子放射事象の数を含むプロットに変換することと、
前記プロットから放射事象をサンプリングして、PET撮像システムのノイズ特性及び構成要素特性を含めることと、
各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることによって、前記サンプリングされた放射事象をシリアル化することによって、前記プロットからリストモードデータを生成することと、
各画素において、その画素における放射事象の数と相関する強度レベルをプロットすることによって、前記リストモードデータを使用して前記標的領域の第2のPET画像を生成することと、を含む、方法。
【請求項67】
前記PET撮像システムのPET検出器の前記ノイズ特性が、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
PET検出器の前記構成要素特性が、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記リストモードデータが、前記サンプリングされた放射事象からの個々のLORに対応するタイムスタンプを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記第1のPET画像が、前記標的領域の経時的に取得された複数のPET画像を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記標的領域の場所が、運動軌道に沿って時間とともに変化し、前記複数のPET画像が、異なる時点に対して取得される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記運動軌道に沿った前記標的領域の前記場所に基づいて、前記複数のPET画像の各々をPET画像フェーズにグループ化することと、
各フェーズについて、前記第1のPET画像として代表的なPET画像を選択し、前記PET画像を、各画素に対する陽電子対消滅光子放射事象の数を含むプロットに変換することによって、各フェーズに対するリストモードデータを生成し、前記プロットから放射事象をサンプリングし、各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることによって、前記サンプリングされた放射事象をシリアル化することと、を更に含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
各フェーズについて、そのフェーズに対する前記リストモードデータから導出されたサイノグラムを生成することを更に含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記標的領域の前記運動軌道が、呼吸運動軌道である、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記標的領域の前記運動軌道が、蠕動運動軌道である、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記標的領域の前記運動軌道が、ユーザ定義の運動軌道である、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記リストモードデータが、複数の放射事象を含み、各放射事象が、各放射事象に対するLORを検出するための対応する検出事象タイムスタンプ及び関連する検出器の座標を有する、請求項66~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記第1のPET画像が、飛行時間PET画像である、請求項66~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
PET画像を合成応答線(LOR)に変換するための方法であって、前記方法が、
各画素の強度がその画素の場所に対応する空間座標を有する放射事象の数と相関するPET画像から陽電子対消滅光子放射事象をサンプリングすることと、
各サンプリングされた放射事象に対する検出角度を選択することと、
前記空間座標及び各サンプリングされた放射事象に対する前記選択された検出角度に基づいてオフセットを決定することと、
各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることと、
各放射事象に対する前記検出角度、オフセット、及びタイムスタンプを組み合わせることによって、合成リストモードLORデータを生成することと、を含む、方法。
【請求項80】
前記放射事象をサンプリングすることが、放射事象の数を確率分布関数に変換することと、累積分布関数(CDF)及び逆CDFを決定することと、生成された前記逆CDFから放射事象をランダムに選択することと、を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記検出角度を選択することが、0度~360度の範囲の角度をランダムに選択することを含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項82】
画素の前記空間座標及び対応する前記放射事象が、IEC-X及びIEC-Zの座標を含み、前記オフセットが、前記IEC-X座標、IEC-Z座標、及び前記選択された検出角度を使用して決定される、請求項79~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記放射事象にタイムスタンプを割り当てる前に、放射事象であって、その空間座標、選択された検出角度、及び決定されたオフセットを有する、放射事象に対応するLORが、PET撮像システムのPET検出器と交差するかどうかを決定することを更に含む、請求項79~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記タイムスタンプを割り当てることが、ポアソン統計に従って、放射事象間の時間間隔を選択することを含む、請求項79~83のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月21日に出願された米国仮特許出願第63/270,404号、及び2022年7月26日に出願された米国仮特許出願第63/392,446号に対する優先権を主張するものであり、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
生物学的誘導放射線療法の適合性を決定するためのシステム及び方法が本明細書に開示される。また、PET画像をシミュレートされたリストモード応答線(LOR)データに変換するための方法が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
生物学的誘導放射線療法(BgRT)は、PET放射を使用して放射線療法送達をリアルタイムで誘導する。BgRTは、陽電子放出放射性トレーサー(18-Fフルオロデオキシグルコース又はFDGなど)からの陽電子放出断層撮影(PET)データの収集及び処理に基づいて放射線量送達を可能にする。腫瘍は、健常な細胞よりも大幅にトレーサーを取り込み、近くの電子と対消滅する陽電子を放出して、対消滅事象から反対方向に移動する一対のほぼ同一直線の511keV光子である応答線(LOR)を生成する。PET検出器は、腫瘍の場所についての情報を提供し得るこれらのLORを感知する。このようにして、BgRTは、標的運動を考慮するために、リアルタイムで線量送達を標的化、追跡、及び調整するために、放射性トレーサー取り込みを利用する。
【0004】
患者に対してBgRTを使用する適合性は、がんのタイプ、腫瘍の場所、腫瘍のサイズ、腫瘍がトレーサーをどの程度吸収するか、及びこれらの因子の様々な組み合わせなどの、様々な因子に依存し得る。したがって、BgRTの適用を成功させるためには、BgRTの適合性を決定するためのプロセスを確立することが重要である。したがって、そのような決定を行うためのシステム及び方法が望ましいことになる。
【発明の概要】
【0005】
生物学的誘導放射線療法(BgRT)の適合性を決定するための方法が本明細書に開示される。一変形例では、方法は、診断的陽電子放出断層撮影(PET)撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換することを含み得る。シミュレートされた撮像データ及び診断的PET撮像データは、トレーサーからのPET信号を表し得る。更に、シミュレートされた撮像データに基づいて、方法は、腫瘍に対するコントラストノイズ比を示す第1の測定基準、PETトレーサー活性濃度を示す第2の測定基準、及び腫瘍に対する推定された放射線量を示す第3の測定基準を決定することを含み得る。追加的に、方法は、第1、第2、及び第3の測定基準に基づいて、BgRTを使用する適合性を決定することを含み得る。いくつかの変形例は、第1の測定基準値、第2の測定基準値、及び第3の測定基準値のうちの少なくとも1つの値が許容可能な値の範囲内である場合に、BgRTが好適であると決定することを含み得る。
【0006】
診断的PET撮像データを、BgRTセッション中に取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換する方法も本明細書に開示される。一変形例では、方法が、PET画像データを取得するために使用されたPET撮像システムの感度に対して、BgRT放射線療法システムのPET検出器の感度を較正することと、サイノグラムを、サイノグラムビンごとの予想されるカウントに変換することと、BgRT放射線療法システムのパラメータに基づいて、予想されるカウントを修正することと、を含み、パラメータが、BgRT放射線療法システムのPET検出器の効率及びデータを収集するためにBgRT放射線療法システムによって使用される時間に依存する、BgRT放射線療法システムのPET検出器の感度を少なくとも含む。更に、方法は、ポアソン統計によってモデル化されたノイズを追加することによって、予想されるカウントを修正することと、修正された予想されるカウントに基づいて、シミュレートされた撮像データを再構成することと、を含み得る。
【0007】
生物学的誘導放射線療法(BgRT)の適合性を決定するための方法が本明細書に開示される。方法は、診断的陽電子放出断層撮影(PET)撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換することであって、シミュレートされた撮像データ及び診断的PET撮像データが、トレーサーからのPET信号を表す、変換することを含む。更に、シミュレートされた撮像データに基づいて、方法は、腫瘍に対するコントラストノイズ比を示す第1の測定基準、PETトレーサー活性濃度を示す第2の測定基準、及び腫瘍に対する放射線量を示す第3の測定基準を決定することを含む。方法はまた、第1、第2、及び第3の測定基準に基づいて、BgRTを使用する適合性を決定することを含む。いくつかの変形例は、シミュレートされた撮像データを使用して、第1の測定基準、第2の測定基準、及び第3の測定基準を計算することを含み得る。方法は、第1の測定基準値、第2の測定基準値、及び第3の測定基準値のうちの少なくとも1つの値が許容可能な値の範囲内である場合に、BgRTが好適であると決定することを含み得る。
【0008】
いくつかの変形例では、方法が、追加の診断的PET撮像データを取得することと、追加の診断的PET撮像データを、BgRTを実施するときに取得された画像と一致する(代替的に、又は追加的に、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された撮像データと一致する)新しいシミュレートされた撮像データに変換することと、新しいシミュレートされた撮像データに基づいて、腫瘍に対するコントラスト正規化信号を示す新しい第1の測定基準値を計算することと、PETトレーサー活性濃度を示す新しい第2の測定基準値を計算することと、腫瘍の体積に対する放射線量を示す新しい第3の測定基準値を計算することと、を含む。方法はまた、新しい第1、新しい第2、及び新しい第3の測定基準に基づいて、BgRTを使用する適合性を決定することを含む。方法は、新しい第1の測定基準値、新しい第2の測定基準値、及び新しい第3の測定基準値のうちの少なくとも1つの値が許容可能な値の範囲内である場合に、BgRTが好適であると決定することを含み得る。
【0009】
いくつかの変形例では、方法は、新しい第1の測定基準値と第1の測定基準値との間の差、新しい第2の測定基準値と第2の測定基準値との間の差、及び新しい第3の測定基準値と第3の測定基準値との間の差に更に基づいて、BgRTを使用する適合性を決定することを含む。
【0010】
方法のいくつかの変形例では、追加の診断的PET撮像データが、BgRT治療を実施する前に取得され、BgRT治療が、方法の一部を形成しない。
【0011】
方法のいくつかの変形例では、第1の測定基準が、標的領域における平均信号<T>と、バックグラウンド領域における平均信号<Bg>との間の差を、バックグラウンド領域における信号の分散σBgで除算したもの、(<T>-<Bg>)/σBgとして決定される。
【0012】
方法のいくつかの変形例では、標的領域における信号Tが、臨床標的体積(及び/又は計画標的体積)の一部分で計算され、PET信号の値が、臨床標的体積で測定されるPET信号のピーク値の標的閾値パーセント未満である。
【0013】
方法のいくつかの変形例では、標的閾値パーセントが、50パーセントである。
【0014】
方法のいくつかの変形例では、第1の測定基準が、標的領域(PTV)の活性濃度中央値を、バックグラウンド領域における平均信号<Bg>で除算したもの:AC中央値[PTV]/<Bg>として決定される。
【0015】
方法のいくつかの変形例では、Bgが、シェル領域にわたって計算され、シェル領域が、生物学的標的化ゾーンの一部分であり、臨床標的体積の一部ではない。
【0016】
方法のいくつかの変形例では、BgRTを使用する適合性を決定することは、コントラスト正規化信号が、信号に必要な閾値を上回っていることと、PETトレーサー活性濃度が、最小濃度閾値を上回っていることと、決定された放射線量が、事前に定義された線量範囲内であることと、を決定することを含む。
【0017】
方法のいくつかの変形例では、事前に定義された線量範囲が、有界線量体積ヒストグラム(DVH)の上限DVH曲線及び下限DVH曲線によって表される。
【0018】
方法のいくつかの変形例では、BgRTを使用する適合性が示されていない場合、方法が、診断的PET撮像データを取得するために使用されるPETトレーサーのタイプとは異なるタイプのPETトレーサーを使用して、追加の診断的PET撮像データを取得することを含む。いくつかの変形例では、追加の診断的PET撮像データが、以前の撮像セッションで以前に生成又は取得され、コントローラメモリに記憶され得る。別の変形例では、異なるタイプのPETトレーサーが、方法を実施する前に患者に導入され得る。したがって、その導入は、方法の一部を形成しない。
【0019】
方法のいくつかの変形例では、第1の測定基準が、CT撮像を使用して腫瘍の視覚的表現を取得することによって更に検証される。
【0020】
方法のいくつかの変形例では、放射線量が、腫瘍組織の所与の体積分率に対して許容可能な放射線量を決定する関数を含む。
【0021】
いくつかの変形例では、方法が、シミュレートされた撮像データを、一対の検出器要素間の単一応答線(LOR)データに変換することを更に含む。
【0022】
いくつかの変形例では、方法が、BgRT計画を生成することを更に含み、BgRT計画が、識別された標的領域と、PET撮像データを放射線フルエンスマップに変換し、結果的に、識別された組織に送達される所定の線量をもたらす、発射フィルタと、を含む。
【0023】
方法のいくつかの変形例では、診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像(BgRTを実施するときに取得される画像)と一致するシミュレートされた撮像データに変換することが、BgRT放射線療法システムのPET検出器の感度を較正することと、PET撮像データに基づいてサイノグラムを生成することであって、生成することが、コンピュータ断層撮影(CT)データを使用して減衰を補正することを含む、生成することと、サイノグラムを、サイノグラムビンごとの予想されるカウントに変換することと、BgRT放射線療法システムのパラメータに基づいて、予想されるカウントを修正することと、ポアソン統計によってモデル化されたノイズを追加することによって、予想されるカウントを修正することと、修正された予想されるカウントに基づいて、シミュレートされた撮像データを再構成することと、を含む。パラメータが、BgRT放射線療法システムの効率及びデータを収集するためにBgRT放射線療法システムによって使用される時間に依存する、BgRT放射線療法システムの感度を少なくとも含み得る。
【0024】
方法のいくつかの変形例では、診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像(BgRTを実施するときに取得される画像)と一致するシミュレートされた撮像データに変換することが、PET検出器シンチレータ内の光子散乱をモデル化することによって、PET撮像データに基づいてサイノグラムを決定することを更に含む。
【0025】
方法のいくつかの変形例では、ポアソン統計によってモデル化されたノイズが、ランダムな同時発生に基づく。
【0026】
方法のいくつかの変形例では、ポアソン統計によってモデル化されたノイズが、ランダムな検出事象に基づく。
【0027】
方法のいくつかの変形例では、サイノグラムが、サイノグラムを腫瘍を含む視野まで切り詰めることによって補正される。
【0028】
方法のいくつかの変形例では、標的視野が、50センチメートルのサイズを有する。
【0029】
更に、診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された(例えば、BgRTセッション中に取得された)画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換する方法であって、方法が、BgRT放射線療法システムのPET検出器の感度を較正することと、サイノグラムを、サイノグラムビンごとの予想されるカウントに変換することと、BgRT放射線療法システムのパラメータに基づいて、予想されるカウントを修正することであって、パラメータが、BgRT放射線療法システムの効率及びデータを収集するためにBgRT放射線療法システムによって使用される時間に依存する、BgRT放射線療法システムの感度を少なくとも含む、修正することと、ポアソン統計によってモデル化されたノイズを追加することによって、予想されるカウントを修正することと、修正された予想されるカウントに基づいて、シミュレートされた撮像データを再構成することと、を含む。
【0030】
方法のいくつかの変形例では、予想されるカウントが、シミュレートされた撮像データに対する第2のサイノグラムに変換され、シミュレートされた撮像データが、フィルタ補正逆投影を介して第2のサイノグラムから再構成される。
【0031】
方法のいくつかの変形例では、フィルタ補正逆投影が、BgRT放射線療法システムからの経験的データを利用する。
【0032】
更に、第1のPET画像に基づいて第2のPET画像をシミュレートするための方法が本明細書に開示される。方法は、標的領域の第1のPET画像をサイノグラムに変換することと、サイノグラムからLORをサンプリングして、PET撮像システムのPET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることによって、サイノグラムからリストモードデータを生成し、サンプリングされたLORをリストモードLORデータにシリアル化することであって、各サンプリングされたLORが、対応するタイムスタンプを有する、シリアル化することと、リストモードLORデータをフィルタリング及び逆投影することによって、標的領域の第2のPET画像を生成することと、を含む。
【0033】
方法のいくつかの変形例では、PET撮像システムのPET検出器のノイズ特性が、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
方法のいくつかの変形例では、PET検出器の構成要素特性が、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
方法のいくつかの変形例では、リストモードLORデータが、個々のLORに対応するタイムスタンプを含む。
【0036】
方法のいくつかの変形例では、第1のPET画像が、三次元(3D)又は四次元(4D)PETのうちの1つを含む第1のPET撮像システムを使用して取得される。
【0037】
方法のいくつかの変形例では、第1のPET画像が、仮想ファントムの3D又は4Dコンピュータ生成PET画像である。
【0038】
方法のいくつかの変形例では、第1のPET画像が、解剖学的構造の一部分に対して取得される。
【0039】
方法のいくつかの変形例では、標的領域の場所が、解剖学的構造の生理学的機能を有する運動軌道に沿って時間とともに変化し、複数のPET画像が、異なる時点に対して取得される。
【0040】
方法のいくつかの変形例では、第1のPET画像が、経時的に取得された複数のPET画像の平均である。
【0041】
いくつかの変形例では、方法が、運動軌道に沿った標的領域の場所に基づいて、複数のPET画像の各々をPET画像フェーズにグループ化することと、各フェーズについて、対応するPET画像フェーズから、代表的なPET画像を第1のPET画像として選択することと、を更に含む。
【0042】
いくつかの変形例では、方法が、生成された第2のPET画像を、対応するPET画像フェーズと関連付けられたデータレコードとして保存することを更に含む。
【0043】
方法のいくつかの変形例では、代表的なPET画像が、対応するPET画像フェーズからのPET画像の平均である。
【0044】
方法のいくつかの変形例では、標的領域の運動軌道が、呼吸運動軌道である。
【0045】
いくつかの変形例では、方法が、リストモードLORデータから導出された各フェーズに対するサイノグラムを再構成することを更に含む。
【0046】
方法のいくつかの変形例では、標的領域の運動軌道が、蠕動運動軌道である。
【0047】
方法のいくつかの変形例では、標的領域の運動軌道が、ユーザ定義の運動軌道である。
【0048】
方法のいくつかの変形例では、リストモードLORデータが、LORを含み、各LORが、LORを検出するための対応する検出事象タイムスタンプ及び関連する検出器の座標を有する。
【0049】
更に、PET画像をシミュレートされたリストモード応答線(LOR)データに変換するための方法が本明細書に開示される。方法は、第1のPET撮像システムを使用して取得されたPET画像内の標的領域のための計画スキャンパラメータを決定することと、生物学的誘導放射線療法BgRTシステムパラメータを決定することと、計画スキャンパラメータ及びBgRTシステムパラメータに基づいて、PET画像から各ビームステーションに対するサイノグラムを生成することと、各ビームステーションに対するサイノグラムを、事前較正されたスケーリング係数を使用して、個々の応答線(LOR)の第2のサイノグラムに変換することと、各ビームステーションに対して第2のサイノグラムを修正して、第2のPET撮像システムに対する選択されたアーチファクトを含めることと、(例えば、各ビームステーションについて)第2のサイノグラムからLORをサンプリングすることによって、リストモードLORデータを生成することと、を含む。
【0050】
方法のいくつかの変形例では、各サンプリングされたLORについて、タイムスタンプが、逆累積指数密度関数を使用してサンプリングされる。
【0051】
方法のいくつかの変形例では、計画スキャンパラメータが、ビームステーション場所、ビームステーション滞留時間、ビームステーション当たりのガントリ回転数、ビームステーション数、及び治療照射面を通過するカウチの数のうちの少なくとも1つを含む。
【0052】
方法のいくつかの変形例では、BgRTシステムパラメータが、PET検出器の幾何学的形状、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含む。
【0053】
方法のいくつかの変形例では、選択されたアーチファクトが、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含む。
【0054】
方法のいくつかの変形例では、標的領域の場所が、解剖学的構造の生理学的機能を有する運動軌道に沿って時間とともに変化し、複数のPET画像が、異なる時点に対して取得される。
【0055】
方法のいくつかの変形例では、標的領域の運動軌道が、呼吸運動軌道である。
【0056】
方法のいくつかの変形例では、標的領域の運動軌道が、蠕動運動軌道である。
【0057】
方法のいくつかの変形例では、標的領域の運動軌道が、ユーザ定義の運動軌道である。
【0058】
更に、PET画像をシミュレートされた応答線(LOR)に変換するための方法が本明細書に開示される。方法は、標的領域のPET画像からサイノグラムを生成することと、生成されたサイノグラムに基づいてリストモードLORデータを生成することであって、リストモードLORデータが、シミュレートされたLORのリストを含み、シミュレートされたLORのリストが、放射事象のサンプル(例えば、放射事象のランダムなサンプル)に基づいて生成される、生成することと、を含む。
【0059】
方法のいくつかの変形例では、放射事象のサンプルが、逆変換サンプリング方法を使用して生成され、逆変換サンプリング方法が、生成されたサイノグラムによって表される放射事象を特性評価する累積密度関数に基づく。
【0060】
方法のいくつかの変形例では、逆変換サンプリング方法が、放射事象の可能性を表すゼロ~1の間隔で均一に分布した乱数を使用し、各乱数について、累積密度関数の逆数が、サイノグラムビン及び関連するシミュレートされたLORを決定するために計算される。
【0061】
いくつかの変形例では、方法は、シミュレートされたLORを修正して、PET撮像システムのPET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることを含む。
【0062】
いくつかの変形例では、方法は、フィルタ補正逆投影法及びリストモードLORデータを使用して、標的領域のシミュレートされたPET画像を生成することを含む。
【0063】
方法のいくつかの変形例では、リストモードLORデータが、タイムスタンプデータ[ts]、2つの記録された放射事象[dt]間の時間差、及びガントリの位置[lpos]を含む。
【0064】
方法のいくつかの変形例では、PET撮像システム(例えば、BgRT放射線療法システムのPET撮像システム)は、標的領域を中心として回転可能である第1の検出弧及び第2の検出弧を備え得る。更に、シミュレートされたLORが、第1の及び第2の検出弧の角度位置に対応する各時間間隔に対して計算され、第1及び第2の検出弧によって検出されない放射事象と関連付けられたシミュレートされたLORが、破棄される。
【0065】
方法のいくつかの変形例では、PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、PET検出器における散乱を考慮することを含む。
【0066】
方法のいくつかの変形例では、PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、PET検出器効率を考慮することを含む。
【0067】
方法のいくつかの変形例では、PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、PET検出器の視野の縁におけるより低い光子捕捉、PET検出器効率を考慮することを含む。
【0068】
いくつかの変形例では、方法が、標的領域を形成する媒体の減衰特性を含めることを含む。
【0069】
方法のいくつかの変形例では、減衰特性が、標的領域のコンピュータ断層撮影スキャンに基づいて決定される。
【0070】
いくつかの変形例では、方法が、リストモードLORデータに基づいて、標的領域に対する放射線療法治療計画を生成することを含む。
【0071】
いくつかの変形例では、上記の様々な方法に対して、リストモードデータが各ビームステーションに対して生成される。
【0072】
第1のPET画像、例えば、飛行時間(TOF)PET画像に基づいて、第2のPET画像をシミュレートする方法も本明細書に開示される。方法は、標的領域の第1のPET画像を、PET画像内の各画素に対する陽電子対消滅光子放射事象の数を含むプロットに変換することと、プロットから放射事象をサンプリングして、PET撮像システムのノイズ特性及び構成要素特性を含めることと、各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることによって、サンプリングされた放射事象をシリアル化することによって、プロットからリストモードデータを生成することと、各画素において、その画素における放射事象の数と相関する強度レベルをプロットすることによって、リストモードデータを使用して標的領域の第2のPET画像を生成することと、を含み得る。PET撮像システムのPET検出器のノイズ特性が、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含み得る。PET検出器の構成要素特性が、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの変形例では、リストモードデータが、サンプリングされた放射事象からの個々のLORに対応するタイムスタンプを含み得る。いくつかの変形例では、第1のPET画像が、経時的に標的領域から取得された複数のPET画像を含み得る。例えば、標的領域の場所が、運動軌道に沿って時間とともに変化し得、複数のPET画像が、異なる時点に対して取得され得る。例えば、標的領域の運動軌道が、呼吸運動軌道、及び/又は蠕動運動軌道、及び/又は任意のユーザ定義の運動軌道であり得る。いくつかの変形例では、方法は、運動軌道に沿った標的領域の場所に基づいて、複数のPET画像の各々をPET画像フェーズにグループ化することと、各フェーズについて、第1のPET画像として代表的なPET画像を選択し、PET画像を、各画素に対する陽電子対消滅光子放射事象の数を含むプロットに変換することによって、各フェーズに対するリストモードデータを生成し、プロットから放射事象をサンプリングし、各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることによって、サンプリングされた放射事象をシリアル化することと、を更に含み得る。任意選択的に、方法が、各フェーズについて、そのフェーズに対するリストモードデータから導出されたサイノグラムを生成することを含み得る。いくつかの変形例では、リストモードデータが、複数の放射事象を含み得、各放射事象が、各放射事象に対するLORを検出するための対応する検出事象タイムスタンプ及び関連する検出器の座標を有する。
【0073】
PET画像から合成LORを生成するための方法も本明細書に説明される。方法の一変形例は、PET画像から陽電子対消滅光子放射事象をサンプリングすることと、各サンプリングされた放射事象に対する検出角度を選択することと、空間座標及び各サンプリングされた放射事象に対する選択された検出角度に基づいてオフセットを決定することと、各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることと、各放射事象に対する検出角度、オフセット、及びタイムスタンプを組み合わせることによって、合成リストモードLORデータを生成することと、を含み得る。初期PET画像が、TOF PET画像又は任意のPET画像であり得、各画素の強度が、その画素の場所に対応する空間座標を有する放射事象の数と相関する。いくつかの変形例では、放射事象をサンプリングすることが、放射事象の数を確率分布関数に変換することと、累積分布関数(CDF)及び逆CDFを決定することと、生成された逆CDFから放射事象をランダムに選択することと、を含み得る。検出角度を選択することが、0度~360度の範囲の角度をランダムに選択することを含み得る。画素の空間座標及び対応する放射事象が、IEC-X及びIEC-Zの座標を含み得、オフセットが、IEC-X座標、IEC-Z座標、及び選択された検出角度を使用して決定され得る。いくつかの変形例では、方法が、放射事象にタイムスタンプを割り当てる前に、放射事象(その空間座標、選択された検出角度、及び決定されたオフセットを有する)に対応するLORが、PET撮像システムのPET検出器と交差するかどうかを決定することを更に含み得る。いくつかの変形例では、各放射事象にタイムスタンプを割り当てることが、ポアソン統計に従って放射事象間の時間間隔を選択することを含み得る。
【0074】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、単に例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】放射線療法システムの一変形例のブロック図である。
図2A】放射線療法システムの一変形例である。
図2B図2Aの放射線療法システムの斜視図である。
図2C】複数のビームステーションを有する放射線療法システムの一変形例の概略図である。
図2D】PET撮像システム(例えば、BgRT放射線療法システムのPET撮像システム)の一変形例の斜視図である。
図2E図2Dの変形例によるPET撮像システムの断面図である。
図2F】対応する応答線(LOR)を有する一連の陽電子対消滅光子放射事象の一例である。
図2G】単一放射事象のサイノグラムデータ点である。
図2H】組織の単一体積又はボクセルからの複数の放射事象のサイノグラムである。
図3】生物学的誘導放射線療法(BgRT)処置の適合性を決定するための例示的な方法である。
図4A】第1のPET画像に基づいて標的領域の第2のPET画像を生成するための例示的な方法である。
図4B】例示的なPET画像及びサイノグラムである。
図4C】シミュレートされた撮像データの決定に影響するパラメータの例示的なリストである。
図5A】診断的PET撮像データを使用して本明細書に開示される方法によって生成されたシミュレートされた撮像データを示す。
図5B】診断的PET撮像データを使用して本明細書に開示される方法によって生成されたシミュレートされた撮像データを示す。
図6A】シェル領域によって取り囲まれ、臨床標的体積(CTV)及び計画標的体積(PTV)を含む、生物学的追跡ゾーン(BTZ)の概略図である。
図6B】従来の定位体放射線療法(SBRT)によって使用されるPTV及びCTVの概略図である。
図6C】BgRTによって使用される運動エンベロープゾーンを更に含むBTZの概略図である。
図6D-F】PET画像を表す信号測定である。 [図6E図6Dに示される信号測定に対応する輪郭マップである。 [図6F図6Dに示される信号測定の断面図である。
図7】計算された放射線量が許容可能な臨床限界内であるかどうかを決定するための例示的な方法である。
図8】BgRTの適合性を評価するための方法の一変形例のフローチャートである。
図9】例示的な線量体積ヒストグラム(DVH)である。
図10】有界線量体積ヒストグラム(bDVH)の例である。
図11】シミュレートされたDVH曲線を更に含む有界線量体積ヒストグラム(bDVH)の別の例である。
図12A】BgRT治療の適合性を決定するための例示的な方法である。
図12B】BgRT処理前のBgRT処理の適合性を検証する例示的な方法である。
図12C】BgRT処理中のBgRT処理の適合性を検証する例示的な方法である。
図13A】第1のPET画像から第2のPET画像を生成する例示的な方法である。
図13B】第1のPET画像から第2のPET画像を生成する例示的な方法である。
図14A】リストモードLORデータを生成する例示的な方法である。
図14B】シミュレートされたサイノグラムの生成を説明する例示的な図である。
図15A】サイノグラムからLORをシリアル化して、合成リストモードLORデータを生成する例示的な方法である。
図15B】例示的なサイノグラムスライス及びサイノグラムビンである。
図15C】逆累積分布関数を作成することによってサンプリング曲線を生成する例示的な方法である。
図15D】累積分布関数を生成する例示的なアプローチである。
図15E】累積分布関数を生成する例示的なアプローチである。
図15F】逆累積分布関数を使用してLORをサンプリングする例示的な方法である。
図15G】例示的な累積分布関数及び逆累積分布関数を図示する。
図16A】PET画像を使用して合成リストモードLORデータを生成する例示的な方法である。
図16B】LORのオフセットSを決定するための例示的な図である。
図16C】PET画像を使用して合成リストモードLORデータを生成する別の例示的な方法である。
図16D】PET画像を使用して合成リストモードLORデータを生成する別の例示的な方法である。
図17A-B】時間の関数として収集されるLORカウント間の時間間隔を示すヒストグラムである。 [図17B図17Aのヒストグラムと関連付けられた確率分布関数である。
図18】各々が異なる数のLORカウントを有するいくつかのサイノグラムの例である。
図19】四次元PET画像から取得されたサイノグラムをフェーズに分離するための例示的なアプローチである。
【発明を実施するための形態】
【0076】
生物学的誘導放射線療法(BgRT)は、陽電子放出断層撮影(PET)検出器から取得された画像データ(例えば、撮像データ、画像)に依存して、放射線を腫瘍のリアルタイム場所に向ける。PET画像は、トレーサーからのPET信号を表す。例えば、PET画像は、組織の所与のボクセル内のPETトレーサーの濃度に対応する画素の陰影(又は色)(本明細書では、画素の輝度又は強度とも呼ばれる)を有する、複数のグレースケール(又は色付き)画素から構成され得る。例えば、PET画像において明るく見える、すなわち、高強度値を有するボクセルは、組織の対応する部分が高濃度のPETトレーサーを含有することを示し得るが、一方で、PET画像において暗く見える、すなわち、低強度値を有するボクセルは、組織の対応する部分が低濃度のPETトレーサーを含有することを示し得る。本明細書に説明される例では、PETトレーサーの濃度はまた、組織内の陽電子放出活性の量が、その組織によって取り込まれるPETトレーサーの量と相関し得るため、PETトレーサー活性濃度(AC)とも呼ばれ得る。PET画像は、PET画像の色(又はグレースケール値)をPETトレーサーの濃度を表す数値凡例にマッピングする凡例を含み得る。いくつかの変形例では、三次元器官の異なる断面についてPET画像が取得され得る。更に、PET画像は、三次元表面として処理及び図示され、及び/又は一定の濃度のPETトレーサー(例えば、等輪郭)を表す輪郭線を含み得る。PET画像はトレーサー技術を利用し、好適なPETトレーサーは、フルオロデオキシグルコース(FDG)を含み得る。括弧内に放射性同位体を有するPETトレーサーの例としては、酢酸塩(C-11)、コリン(C-11)、フルオロデオキシグルコース(F-18)、フッ化ナトリウム(F-18)、フルオロ-エチル-スピペロン(F-18)、メチオニン(C-11)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)(Ga-68)、DOTATOC、DOTANOC、DOTATATE(Ga-68)、フロルベタベン、フロルベタピル(F-18)、ルビジウム(Rb-82)クロリド、アンモニア(N-13)、FDDNP(F-18)、Oxygen-15標識水、及びFDOPA(F-18)が挙げられ得る。他のトレーサーも当該技術分野で公知である。あるタイプのがんに応じて、特定のトレーサーが選択され得、1つのトレーサーがBgRT処置に好適ではないと決定されるとき、別のトレーサーが使用され得ることが理解されるべきである。いくつかの変形例では、1つのトレーサーが診断に使用され得るが、一方で、別のトレーサーがBgRT送達に使用され得る。
【0077】
トレーサーからのPET信号は、人、がんのタイプ、及び経時的にも依存して変動するため、患者に対するBgRTの適合性を決定するプロセスが有用となる。患者に対するBgRTの適合性を決定するための方法、及びそれに対応するシステムが本明細書に開示される。いくつかの変形例では、方法は、BgRT治療計画(本明細書ではBgRT計画とも呼ばれる)が患者のために生成され得、及び/又は臨床医の要件を満たし、及び/又は所定の線量を腫瘍に送達し、及び/又は患者に安全であることを確認することを含み得る。
【0078】
システム
本明細書に説明されるシステム及び方法のいくつかの変形例では、BgRT治療は、BgRT放射線療法システム(本明細書ではBgRT機械とも呼ばれる)を使用して投与され得る。図1は、本明細書に説明される方法のうちの1つ以上とともに使用され得る放射線療法システムの変形例の機能ブロック図を図示する。放射線療法システム100は、1つ以上の治療用放射線源102及び患者プラットフォーム104を含む。治療用放射線源は、X線源、電子源、プロトン源、及び/又はニュートロン源を含み得る。例えば、治療用放射線源102は、線形加速器リナック、Cobalt-60源、及び/又はX線機械を含み得る。治療用放射線源は、放射線ビームが複数の発射位置及び/又は発射角度から患者プラットフォーム上の患者に向けられ得るように、患者プラットフォームの周りで移動可能であり得る。発火位置は、放射線療法システムの患者エリアに治療用放射線を放出するときの治療用放射線源の場所である。治療用放射線源が単一平面で患者プラットフォームの周りを移動する(例えば、Y軸に沿ってXZ平面内で円形又は円弧軌道内を移動する)放射線療法システムの例では、発射位置は、発射角度として示され得る。システムは、ある発射角度から別の発射角度に連続的に回転し得るか、又は、代替的に、ある期間、特定の発射角度で滞留し得る。いくつかの変形例では、1つの発射位置から次の発射位置への移動時間が、全体的な360度の回転時間と比較して十分に短い場合、1つの発射位置における滞留時間は、治療用放射線源のその発射位置への移動時間を含み得る。いくつかの変形例では、放射線療法システムは、治療用放射線源のビーム経路内に位置し得る1つ以上のビーム整形要素及び/又はアセンブリ106を含み得る。例えば、放射線療法システムは、リナック102及び放射ビームの経路内に配設されたビーム整形アセンブリ106を含み得る。ビーム整形アセンブリは、1つ以上の移動可能な顎及び1つ以上のコリメータを含み得る。コリメータのうちの少なくとも1つは、マルチリーフコリメータ(例えば、バイナリマルチリーフコリメータ、2-Dマルチリーフコリメータなど)であり得る。リナック及びビーム整形アセンブリは、リナックの位置を患者プラットフォーム及び任意選択的にビーム整形アセンブリの周りの異なる発射位置に調整するように構成された運動システムを含むガントリ又は移動可能な支持フレーム上に装着され得る。いくつかの変形例では、リナック及びビーム整形アセンブリは、1つ以上のロボットアーム、Cアーム、ジンバルなどを含む支持構造上に装着され得る。患者プラットフォーム104はまた、移動可能であってもよい。例えば、患者プラットフォーム104は、単一の運動軸に沿って(例えば、IEC-Y軸に沿って)直線的に患者を移動させるように構成され得、及び/又は複数の運動軸に沿って(例えば、2以上の自由度、3以上の自由度、4以上の自由度、5以上の自由度など)患者を移動させるように構成され得る。いくつかの変形例では、放射線療法システムは、IEC-Y軸、IEC-X軸、IEC-Z軸、並びにピッチ及びヨーに沿って移動するように構成されている5-DOF患者プラットフォームを有し得る。いくつかのシステムは、6-DOF患者プラットフォームを有し得る。
【0079】
図1に示される変形例では、放射線療法システム100はまた、治療放射線源102、ビーム整形要素又は組立品106、患者プラットフォーム104、及び1つ以上の画像システム108(例えば、1つ以上の撮像システム)と通信するコントローラ110を含む。
【0080】
撮像システム108は、BgRT療法セッションの前及び/又は間にPET撮像データを取得するように構成され得るPET撮像システムを含み得る。PET撮像データはまた、PET-avidファントムを用いた品質保証セッションの一部として取得され得る。いくつかの変形例では、PET撮像システムは、第1のアレイの真向かいに配設される第1のアレイのPET検出器及び第2のアレイのPET検出器を含む。PET検出器の第1及び第2のアレイは、互いに正反対の2つの弧として配置され得、各々が、患者治療領域の周りに90°のスパンを有し得る。PET検出器弧は、ガントリの周りにリング全体を含まない場合があり、代わりに、治療用放射線源が2つの部分リング又は弧の間に位置する部分リングであってもよい。いくつかの変形例では、PET検出器は、飛行時間PET検出器であり得、これは、陽電子対消滅事象の場所を識別するのを助け得る。代替的に、又は追加的に、撮像システム108は、kV X線源及びkV検出器を有するkV撮像システムなどのCT撮像システムを含み得る。kV検出器は、kV X線源にわたって位置し得る。任意選択的に、kV撮像システムは、kV X線源上に配設された動的マルチリーフコリメータ(MLC)を含み得る。放射線療法システムの追加の詳細及び例は、2017年11月15日出願の米国特許出願第15/814,222号、及び2018年3月29日出願のPCT出願第PCT/US2018/025252号に説明されており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。代替的に、又は追加的に、撮像システム108は、磁気共鳴撮像(MRI)システムを含み得る。
【0081】
コントローラ110は、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のコントローラプロセッサと通信する1つ以上の機械可読メモリと、を含み得、これは、本明細書に説明される方法のいずれかを実行又は実施するように構成され得る。1つ以上の機械可読メモリは、プロセッサに、1つ以上の治療計画(例えば、BgRT治療計画、SBRT/IMRT治療計画など)、治療計画及び/又は臨床目標に基づく放射線フルエンスマップの計算、フルエンスマップの放射線療法システム命令(例えば、ガントリ、治療用放射線源、ビーム整形アセンブリ、患者プラットフォーム、及び/又は放射線療法システムの任意の他の構成要素の動作を指示し得る)へのセグメント化、標的領域の場所を更新するための反復計算、治療計画及び/又は放射線送達と関連付けられた画像及び/又はデータ処理、異なるPET撮像システムからのPET画像をシミュレートすること、PET画像を、PET画像と対応するシミュレートされたか又は合成応答線(LOR)に変換することなどの、システムと関連付けられたモジュール、プロセッサ、及び/又は関数を実行させる命令を記憶し得る。いくつかの変形例では、メモリは、治療計画データ(例えば、治療計画発射フィルタ、フルエンスマップ、計画画像、治療セッションPETプレスキャン画像、並びに/又は初期CT、MRI、及び/若しくはX線画像)、治療セッションの前及び間に撮像システム108によって取得された撮像データ、新しく取得された撮像データを使用して標的領域の場所を識別するための命令、並びに導出されたフルエンスマップを送達するための命令(例えば、治療用放射線源、ビーム整形アセンブリ、及び患者プラットフォームを連携して動作させるための命令)を記憶し得る。いくつかの変形例では、1つ以上のメモリはまた、限定されるものではないが、コントラストノイズ比(正規化された腫瘍信号とも呼ばれ得る)、トレーサー活性濃度、及び/又は放射線量測定基準のうちの1つ以上を含む、PET測定基準値(例えば、取得されたデータ及び/又は閾値測定基準値を使用して計算された測定基準値)を記憶し得る。これらのPET測定基準値は、BgRT計画及び治療ワークフローの一部として使用されて、治療を進めるか、又は一時停止するかを決定し得る。放射線療法システムのコントローラは、有線又は無線通信チャネルによって他のシステムに接続され得る。例えば、放射線療法システムコントローラは、フルエンスマップ、発射フィルタ、初期及び/又は計画画像(例えば、CT画像、MRI画像、PET画像、4-D CT画像)、患者データ、シミュレートされたPET画像、PET画像に対応するシミュレートされたLOR、及び他の臨床的に関連性のある情報が放射線療法治療計画システムから放射線療法システムに転送され得るように、放射線療法治療計画システムコントローラと有線又は無線通信し得る。送達された放射線フルエンス、任意の線量計算、並びに治療セッション中に取得された任意の臨床的に関連する情報及び/又はデータは、放射線療法システムから放射線療法治療計画システムに転送され得る。この情報は、治療計画を適合させるために、及び/又は連続的な治療セッションのための放射線の送達を調整するために、放射線療法治療計画システムによって使用され得る。いくつかの変形例では、放射線療法治療計画システムは、本明細書に説明される方法、例えば、患者PET画像から計算されたBgRT測定基準値が、BgRTが適切であり得ることを示す閾値を満たすかどうかを決定するための方法を実施するように構成された1つ以上のプロセッサを有するコントローラを含み得る。放射線療法治療計画システムは、診断的PET画像、シミュレートされたPET画像、対応するPET画像に対するシミュレートされたLOR、任意のPET画像に対するBgRT測定基準のいずれか、BgRT測定基準に対する閾値などを記憶する1つ以上のメモリを含み得る。
【0082】
図2Aは、放射線療法システム100の一変形例を図示する。放射線療法システム100は、患者治療領域112の周りを回転可能なガントリ110と、ガントリ上に装着された1つ以上のPET検出器108と、ガントリ上に装着された治療用放射線源102と、治療用放射線源のビーム経路内に配設されたビーム整形モジュール106と、患者治療領域112内で移動可能な患者プラットフォーム104と、を含み得る。いくつかの変形例では、ガントリ110は、連続的に回転するガントリであり得る(例えば、360°を通して、及び/又は約360°未満の角度拡散を有する円弧で回転することができる)。ガントリ110は、患者治療領域112の周りで約20RPM~約70RPMに回転するように構成され得る。例えば、ガントリ110は、約60RPMで回転するように構成され得る。ガントリはまた、例えば、20RPM以下、10RPM以下、1RPM以下のより遅い速度で回転するように構成されてもよい。ビーム整形モジュール106は、移動可能な顎及び動的マルチリーフコリメータ(MLC)を含み得る。ビーム整形モジュールは、システムアイソセンタ(例えば、患者治療領域の中心)で1cm、2cm、又は3cmの長手方向の可変コリメーション幅を提供するように配置され得る。顎は、治療用放射線源とMLCとの間に位置し得るか、又はMLCの下方に位置し得る。代替的に、ビーム整形モジュールは、顎の第1の部分が治療用放射線源とMLCとの間に位置し、顎の第2の部分がMLCの下に位置し、両方の部分が一緒に移動するように顎の第1の部分に結合される、分割顎を含み得る。治療用放射線源102は、患者治療領域112の周りの所定の発射位置(例えば、発射角度0°/360°~359°)で放射線を放出するように構成され得る。例えば、連続的に回転可能なガントリを有するシステムでは、それが回転する際に、治療用放射線源によって囲まれた円に沿った様々な角度位置(例えば、発射角度)に、約50~約100の発射位置(例えば、50の発射位置、60の発射位置、80の発射位置、90の発射位置、100の発射位置など)が存在し得る。発射位置は、各発射位置間の角度変位が同じであるように均等に分布され得る。
【0083】
図2Bは、放射線療法システム100の斜視構成要素図である。ここに示されるように、ビーム整形モジュールは、バイナリMLC122の上方に配設された一次コリメータ又は顎107を更に含み得る。放射線療法システムはまた、治療用放射線源102の反対側に位置するMV X線検出器103を含み得る。任意選択的に、放射線療法システム100は、ガントリ110を回転させることがリング111も回転させるように、回転可能なガントリ110に取り付けられるリング111上にkV CT撮像システムを更に含み得る。kV CT撮像システムは、kV X線源109及びX線源109の真向かいに位置するX線検出器115を含み得る。治療用放射線源又はリナック102並びにPET検出器118a及び118bは、ガントリの同じ断面平面上に装着され得るが(すなわち、PET検出器は、リナック及びビーム整形モジュールによって画定される治療平面と同一平面上にある)、一方で、kV CTスキャナ及びリングは、異なる断面平面上に装着され得る(すなわち、治療平面と同一平面上にない)。図2A及び図2Bの放射線療法システム100は、kV CT撮像システムを含む第1の撮像システム、及びPET検出器を含む第2の撮像システムを有し得る。任意選択的に、第3の撮像システムは、MV X線源及びMV検出器を含み得る。これらの撮像システムのうちの1つ以上によって取得された撮像データは、X線及び/又はPET撮像データを含み得、放射線療法システムコントローラは、取得された撮像データを記憶し、例えば、BgRTセッションで、撮像データを使用して放射線送達フルエンスを計算するように構成され得る。いくつかの変形例は、位置センサなどの患者センサを更に含み得、コントローラは、位置センサから場所及び/又は運動データを受信し、このデータを撮像データに組み込んで、放射線送達フルエンスを計算するように構成され得る。本明細書に説明される方法のいずれかで使用され得る放射線療法システムの追加の説明は、2017年11月15日出願の米国特許第10,695,586号に提供される。
【0084】
患者プラットフォーム104は、治療領域112内で、IEC-Yに沿った別個の所定の場所に移動可能であり得る。これらの別個の所定の場所は、「ビームステーション」と呼ばれ得る。一変形例では、異なるビームステーションは、IEC-Y軸(例えば、長手方向軸)に沿ったそれらの場所によってのみ変動し得、各ビームステーションは、IEC-Yに沿ったその場所によって識別され得る。代替的に、又は追加的に、ビームステーションは、患者プラットフォームのプラットフォームピッチ、ヨー、及び/又はロール位置によって変動し得る。例えば、放射線療法治療計画システムは、200個のビームステーションを指定し得、各ビームステーションは、その隣接するビームステーションからIEC-Yに沿って約2mm(例えば、2.1mm)離れている。治療セッション中、放射線療法治療システムは、患者プラットフォームをビームステーションの各々に移動させ得、放射線が患者に送達されている間にビームステーションでプラットフォームを停止し得る。いくつかの変形例では、プラットフォームが200個のビームステーションの各々に第1の方向(例えば、孔の中への)に段階化された後、プラットフォームは、200個のビームステーションの各々に、第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、孔の外への、逆方向の)に段階化され得、プラットフォームがビームステーションで停止されている間に放射線が患者に送達される。代替的に、又は追加的に、プラットフォームが200個のビームステーションの各々に、放射線がビームステーションの各々で送達される第1の方向(例えば、孔の中への)に段階化された後、プラットフォームは、第1のビームステーションに戻るように逆方向に移動され得る。プラットフォームが第1のビームステーションに戻されている間、放射線は送達されない場合がある。次いで、プラットフォームは、第2の時間の間、放射線送達の第2の通過のために、第1の方向に200個のビームステーションの各々に段階化され得る。いくつかの変形例では、プラットフォームは、放射線が患者に送達されている間、連続的に移動され得、治療用放射線の送達中にビームステーションで停止されなくてもよい。本明細書に説明される放射線療法システム及び方法のいずれかとともに使用され得る患者プラットフォームの追加の説明は、2017年11月15日出願の米国特許第10,702,715号に提供されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0085】
図2Cは、例示的なBgRT撮像システム、患者プラットフォーム204、及びビームステーション220のセットに従ってIEC-Y方向に延在する放射線療法システム200の概略図を示す。ビームステーション220は、PET画像が収集される、及び/又は放射線療法治療が投与される、患者プラットフォーム204の位置に対応する。いくつかの変形例では、複数のビームステーション220は、各々、距離dbsだけ別のビームから位置付けられ、dbsは、放射ビームの幅未満、例えば、数ミリメートルであり得る。例えば、ビームステーション220間の間隔dbsは、PET画像スライスのIEC-Y方向に沿った間隔に対応し得る。いくつかの変形例では、ビームステーション220間の間隔は、典型的なCT撮像システムによって取得される際の画像スライス間の間隔とほぼ同じであり得る。例えば、ビームステーション220間の間隔dbsは、1~6mm、例えば、約1.5mm、2mm、2.25mm、3mmなどであり得る。いくつかの変形例では、多数のビームステーションが使用され得る(例えば、数十のビームステーション、約数百のビームステーション、又は数百を超えるビームステーションが使用され得る)。
【0086】
いくつかの実施態様では、ビームステーション220間の距離が変動し得る。例えば、ビームステーション220は、スキャンセクション230の開始部分231及びスキャンセクション230の終了部分233で互いにより密接に位置付けられ得る。代替的に、ビームステーション220は、スキャンセクション230の中央部分232において互いにより密接に位置付けられ得る。ビームステーション間の距離は、少なくとも部分的に、患者プラットフォーム上の標的領域の場所、及び/又は計画された線量分布によって決定され得る。例えば、高線量勾配で治療平面内に患者を配置することになるプラットフォーム位置は、互いに近いビームステーションを有し得るが、一方で、低線量勾配(又は全く線量なし)で治療平面内に患者を配置することになるプラットフォーム位置は、更に離れているビームステーションを有し得る。
【0087】
BgRT放射線療法システムにおけるPET撮像データの取得中の患者プラットフォーム又はカウチ運動軌道は、診断的PET撮像システムにおけるPET撮像データの取得中の患者プラットフォーム又はカウチ運動軌道とは異なり得る。例えば、診断的PETシステムは、全身PETスキャンを取得するために5つの個別のベッド位置を使用し得るが、BgRT放射線療法システムは、2mm、3mm、4mmなどの、数ミリメートル(mm)だけ分離されている多数の別個のビームステーション(例えば、数十の崩壊ビームステーション)を使用し得る。診断的PET撮像システムの撮像時間は、数分であり得るが、一方で、BgRT放射線療法撮像システムの撮像時間は、ビームステーション当たり数十秒(例えば、約20秒、30秒、40秒など)であり得る。いくつかの変形例では、例えば、仮想解剖学的ファントムからのコンピュータ生成PET画像(例えば、xCATファントムのノイズのないPET画像)の変動では、画定されたカウチ運動軌道がない場合がある。ビームステーションシミュレーションは、BgRT放射線療法システム上のPET撮像データの取得中であり得るカウチ軌道をモデル化し得る。代替的に、別個のステップの代わりに、任意の連続的なベッド軌道がモデル化されてもよい。
【0088】
図2Dは、回転可能なガントリ上に位置するPET検出器221及び222を使用したPET撮像データ(LORデータを含む)の例示的な取得を示す。本明細書では、検出器221及び222は、それぞれ、第1の検出弧及び第2の検出弧とも呼ばれる。検出器221及び221は、各々が90°にわたり得る検出器の列又はリングに配置され得る。例示的な検出器の列(列1及び列k)は、検出器221について示されている。任意の数の検出器の列(例えば、数列、数十列、又は数百列)が使用され得ることに留意されたい。
【0089】
回転ガントリを有することは全ての場合において必要ではなく、いくつかの変形例では、PET検出器は、連続的な完全なリングを形成してもよいことに留意されたい。PET画像取得中、PETトレーサーによって放出される陽電子は、電子と対消滅し、結果的に、応答線(LOR)又は放出経路を画定する2つのほぼ同一直線の511 keVガンマ光子をもたらす。図2Dは、互いに反対である検出器221及び222に向かって反対方向に移動するガンマ光子213A及び213Bを放出するPET-avid領域211(例えば、PETトレーサーを取り込んだ解剖学的構造の領域)を示す。2つの光子213A及び213Bによって画定されるLORは、検出器221及び222によって検出され得、LORの検出パラメータが記録され得る。検出パラメータとしては、LOR検出のタイムスタンプ(例えば、検出器がガンマ光子213A及び213Bを受信した平均時間)、LORの角度配向(例えば、LORが、図2Dに示されるIEC-X軸を用いてなす角度、ガントリ又はPET撮像システム視野の中心にシフトされた後のLORの角度)、ガントリの中心への垂直オフセット距離、及び/又は第1のガンマ線が検出器221によって検出される第1の時間T1と、第2のガンマ線が検出器222によって検出される第2の時間T2との間の時間差が挙げられ得る。任意選択的に、回転可能なガントリの例では、LORの検出パラメータは、ガントリの回転場所又はインデックスを含み得る。PET-avid領域211からの複数のLORは、任意の好適なアプローチ(例えば、フィルタ補正逆投影アプローチ、飛行時間(TOF)技術、又は反復再構成技術)を使用して、陽電子対消滅事象の場所の決定を容易にし得る。図2Dは、PET撮像システム又はBgRT放射線療法システムの孔の長手方向軸に沿って方向付けられたIEC-Y軸と、IEC-Y軸に垂直に方向付けられたIEC-X及びIEC-Z軸と、を含む、例示的なIEC座標系を示す。
【0090】
ガンマ線231及び232を含む例示的なLOR235は、組織236(例えば、組織のボクセル)の体積における単一の陽電子対消滅事象から生じ得、図2Eに示される。LORは、角度θ及びガントリの原点O(例えば、中心)からLOR235に対して垂直に引かれた距離Sによって特徴付けられるか、又は画定され得る。一変形例では、検出器221は、時間T1でガンマ線231を受信し、検出器222は、時間T2でガンマ線232を受信し、検出時間の差は、dt=T1-T2である。いくつかの変形例では、時間窓dtは、検出器221及び222によって受信された信号が特定のLORに対応するように選択される(例えば、dtは、同じLORに対応する検出された信号の高い確率が存在するように十分に小さい)。時間窓dt外で受信された信号は、その特定のLORに対応するとはみなされない。いくつかのPETスキャナはまた、2つの光子の時間差に応じて、同時発生検出の「重み付け」を使用し得る。LOR235に対応するガンマ線231及び232の放出された各対について、タイムスタンプtsが記録される。タイムスタンプは、平均時間(T+T)/2として与えられ得、LOR235の検出された時間を示す。
【0091】
飛行時間(TOF)PET撮像システムなどのいくつかのPET撮像システムは、dt=T1-T2の精密な測定を、検出器幾何学的形状の正確な知識と組み合わせて使用して、物理的空間における放射事象(本明細書では、対消滅事象とも呼ばれる)の場所を計算する。そのようなPET撮像システムについては、画像を作成するために精緻な再構成技術を必要としない場合がある。
【0092】
いくつかの変形例では、回転ガントリの検出器221及び222は、標的回転速度でガントリの中心を中心として回転するように構成され、更に、シミュレートされたLORは、検出器221及び222の角度位置に対応する各時間間隔で検出される。回転ガントリについては、検出器221及び222の場所は、図2Eに示されるように、lposガントリ角度によって特徴付けられる(検出器221及び222は、ガントリ上に装着され、ガントリと一緒に移動する)。いくつかの変形例では、放射事象と関連付けられたシミュレートされたLORが、放射事象時のガントリの位置に起因して検出器221及び222によって「検出可能」ではない場合(すなわち、LORが検出器221、222のいずれとも交差しない場合)、このシミュレートされたLORは、破棄され得る。
【0093】
いくつかの変形例では、LORデータは、サイノグラムによって図で表され得る。LORの位置は、検出角度θ及びオフセット距離Sによって特徴付けられ得る(例えば、角度θ及びS図2Eに示される)。サイノグラムは、1つ以上のLORの位置情報を図示するプロットであり、LORの検出角度は、1つの軸に沿ってもよく、視野の中心からのLORのオフセットは、他方の軸に沿ってもよい。したがって、サイノグラムは、所与のLORについて{θ、S}として表され得る。サイノグラムの1つの軸(例えば、水平軸)は、LOR検出角度θ(すなわち、PET検出器アレイの中心軸の1つに平行な線から測定される0~360度の範囲の角度)であり得る。いくつかの変形例では、角度θは、中心軸のうちの1つに平行な線から測定される特定の角度増分の離散値を含み得る)。サイノグラムの他方の軸(例えば、垂直軸)は、PET撮像システムの中心からのLORのオフセットであり得る(LORから中心軸に対して垂直に測定される)。サイノグラム上の点は、PET撮像システム視野の中心からの特定のオフセット値を有する、特定の角度に位置するPET検出器によって検出されたLOR事象(LORカウントとも呼ばれる)を表し得る。
【0094】
システムパラメータは、PET信号取得中のBgRT放射線療法システムのPET検出器アレイの場所、及びビームステーションで利用可能な取得時間を指定するのを助け得る。例えば、ビームステーションの場所は、長手方向軸(すなわち、IEC-Y軸)に沿った場所を画定し得、滞留時間は、PET検出器がその場所でPET信号を取得するために利用可能な時間の量を画定し得(すなわち、より長い取得時間は、結果的により多くの検出されたLORをもたらす)、回転の数及び速度に関するデータは、LORが検出された時点におけるPET検出器の場所を画定し得る。
【0095】
いくつかの変形例では、組織236の同じ体積又はボクセルは、図2Fに図示されるように、複数のLORをもたらす複数の陽電子を放出し得る。図2Gは、θの検出角度及びSのオフセット値を有する1つのLORを図示する。ボクセル236からの複数のLORの各々は、異なる検出角度θ及びオフセットを有し得、各々が、図2Hに示されるように、座標系θ、Sで異なる点として表され得、サイノグラムを形成する。ここに図示されるように、サイノグラムは、同じボクセルからの複数のLORを含み、正弦プロット238として表され得る。それによって、単一の正弦プロット238は、単一のボクセルから放出されるLORのセットを表し得る。異なるボクセルからのLORは、複数の正弦プロット(正弦プロット238に類似)によって表され得、それによって、対消滅放出データに対する組み合わせられたサイノグラム(又は単にサイノグラム)を形成する。
【0096】
代替的に、又は追加的に、LORデータは、LORのリスト(すなわち、LORリストモードデータ)として記録され得、各i番目のLORは、記録された角度θ、基点までの記録された距離S、タイムスタンプts、及び時間差dtを有する。追加のパラメータはまた、例えば、特定の構成及びタイプのPET撮像システムに基づいて、LORのリストの一部として記憶され得る。例えば、LORを検出するための検出器の座標は、回転ガントリの位置(例えば、角度位置lpos)及び場所lposにおける時間tposと一緒に記憶され得る。
【0097】
また、Y軸を横断するLORが検出されたとき、それらは、通常、複数列の検出器(例えば、y軸に沿った)を表す単一平面(スライス)に全て対応するLORに頻繁に「再ビニング」されることにも留意されたい。
【0098】
上述のように、収集されたLORデータは、上記のように、サイノグラム又はリストモードデータによって表され得る。LORデータがサイノグラムによって表されるとき、サイノグラムは、セクション(サイノグラムビンBin(i、j、k))に分割され得、各ビンが、ある範囲の角度
【数1】

及びある範囲の法線距離S=s±ds、及び所与の再ビニング平面(例えば、検出器列)kを含有する。したがって、特定のサイノグラムビンBin(i、j、k)のLORは、ほぼ同じ角度θ、及びほぼ同じ法線距離s、及び同じ再ビニング平面kを有し得る。したがって、Bin(i、j、k)は、平面kのLOR(i、j)に本質的に対応する。
【0099】
方法
BgRTは、PETトレーサー(例えば、PET信号、応答線、又はLOR)からのリアルタイム放出を使用して、標的領域への放射線の送達を誘導するため、BgRT計画のいくつかの方法は、患者特異的PET信号評価を含む。PET信号評価は、PET信号が放射線送達の誘導に好適である特性を有するかどうかを決定するのを助け得る。好適な特性は、活性濃度、標的領域と周囲エリアとの間のPET撮像コントラスト、及び/又はPET信号自体に基づく線量計算のうちの1つ以上の観点から定義され得る。いくつかの変形例では、患者特異的PET信号評価は、患者の病態を診断及び/又は特性評価するために使用されたPET画像を使用して行われ得る。典型的には、そのような診断的PET画像は、長い画像取得時間で、PET検出器の完全なリングを有するPET撮像システム上で取得され、したがって、一般に、高品質であるとみなされる(例えば、標的領域と周囲組織との間に、良好な信号対雑音比、ほとんどノイズがないか、又は比較的ノイズのない高コントラストを有する)。そのようなPET撮像システムは、本明細書では診断的PET撮像システムと呼ばれる。しかしながら、BgRTに使用されるいくつかの放射線療法システム(本明細書に提供される例のいずれかなどの)は、PET検出器の完全なリングを有しない場合がある。代わりに、そのようなPET撮像システムは、円弧、例えば、2つの部分的なリングに配置される検出器を有し得る。結果として、PET検出器の完全なリングを有する診断的PET撮像システムと比較して、取得されるPET信号の量が低減され得る。更に、診断的PET撮像システム上に存在しない放射線療法システム上に搭載されているPET撮像システムによって取得されたPET撮像データ上に現れる信号アーチファクトが存在し得る。したがって、診断画像の特性は、BgRT放射線療法システムのPET撮像システム(本明細書ではBgRT PET撮像システムと呼ばれる)上で取得されたPET撮像データ又はPET信号の実際の品質を反映しない場合がある。BgRT PET撮像システムは、診断的PET撮像システムに存在しないノイズ及び/又は撮像アーチファクトを導入し得る、比較的短いPET信号取得時間、低減された検出器効率、より狭い若しくはより小さい視野、又は他の特徴、パラメータなどを有し得る。BgRT PET撮像システムを使用して撮影されたPET画像は、BgRT送達プロセス、治療計画中、及びその後の放射線送達中に使用され得る。本明細書に提供される例は、放射線療法システム(例えば、BgRT PET撮像システム)に搭載されたPET撮像システムの文脈で説明されているが、一方で、BgRT放射線療法システムに関連しない他のPET撮像システムも、診断的PET撮像システムよりも低品質(例えば、より低い信号対雑音比を有する)のものであり得ることが理解されるべきである。
【0100】
BgRTが患者に好適であるかどうかを決定するために、図3に示されるように、BgRT療法セッション中に取得されたPET撮像データと同様のPET撮像データが、方法300によって更に説明されるように解析され得る。方法300は、診断的PET撮像システム310を使用して取得されたPET撮像データから診断的PET画像321を生成すること(352)と、PET画像321を修正して、シミュレートされた撮像データを取得し、シミュレートされたPET画像323を生成すること(354)と、を含み得る。シミュレートされたPET画像323は、BgRT PET撮像システムを使用して取得されたPET画像と一致する画像アーチファクト及びノイズを含み得る。例えば、シミュレートされた画像323は、BgRT放射線療法システムのPET検出器、それらの相対的配置(例えば、PET検出器の完全なリングの代わりに対向するPET検出器弧の対として)、散乱(例えば、リナックから)、及びPET撮像データが取得される様式(例えば、連続的なプラットフォーム運動の代わりに患者プラットフォームビームステーションを介して)に特異的であり得る撮像アーチファクトを含み得る。いくつかの変形例では、シミュレートされた画像323は、ノイズが多く、及び/又は診断的PET画像321に存在しない追加の撮像アーチファクトを有し得る。方法300は、治療計画システム及び/又はBgRT放射線療法システムコントローラのコントローラ又はプロセッサのデータ解析モジュール330を使用して、シミュレートされた画像323に基づいてBgRTが適切であるかどうかを決定すること(356)を更に含み得る。開示された変形例と一致して、データ解析モジュール330は、以下に更に説明されるように、コントラストノイズ比(CNR)測定基準331(正規化された腫瘍信号又はNTSとも呼ばれ得る)、トレーサー活性濃度測定基準332、及び線量ベースの測定基準333を評価して、患者の治療に対するBgRTの適合性を決定するように構成され得る。いくつかの変形例では、BgRTが好適であるかどうかを決定することは、測定基準の各々を許容可能な値及び/又は許容可能な閾値と比較することを含み、測定基準のうちの1つ以上が許容可能な値の範囲内であり、かつ/又は許容可能な閾値を超える場合、コントローラは、BgRTが適切であり得ることを示す通知を生成し得る。通知は、任意選択的に、許容可能なBgRT測定基準値の範囲、及びシミュレートされた画像323から計算されたBgRT測定基準値を含む、図解表現を含み得る。BgRTがデータ解析モジュール330によって好適であると決定された場合、方法300は、治療セッション中にBgRTを投与する前に、BgRT放射線療法システム100によって取得されたPET画像のBgRT測定基準値が依然として許容可能な閾値を満たし、及び/又は許容可能な範囲内にあることを検証すること(358)を更に含み得る。BgRTの適合性を検証することは、治療セッション全体を通して1回以上発生し得る。検証の複数回の発生は、治療セッション全体を通して放射線送達の安全性を確保するのを助け得る。
【0101】
図4Aは、PET画像を修正してシミュレートされた撮像データを取得し、シミュレートされたPET画像を生成する方法400の一変形例を図示する。この方法は、方法300のステップ354のサブステップに対応し得る。方法400は、標的領域の第1のPET画像をサイノグラムに変換すること(411)を含む。例示的なPET画像420及び例示的なサイノグラム422が図4Bに示される。1つの例示的な実施態様では、サイノグラム422は、診断的PET撮像システム(例えば、図3に示されるように、診断的PET撮像システム310)によって生成されるPET画像を使用して生成され得る。
【0102】
更に、方法400は、BgRT PET撮像システムの検出器と関連付けられた撮像アーチファクト及びノイズを含むように、サイノグラム422を修正して、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得されることになるPET信号をシミュレートすること(413)を含む。更に、サイノグラム422は、BgRT PET撮像システムの検出器の構成要素特性を考慮することによって(例えば、検出器が放射性トレーサーによって放出されるガンマ線の画分のみを検出することを考慮することによって)修正され得る。修正されたサイノグラム424が図4Bに示される。方法400は、修正されたサイノグラム424から標的領域の第2のPET画像426(図4Bに示されるように)を生成すること(415)を更に含む。第2のPET画像426は、画像処理の技術分野で利用可能な任意の好適なアプローチを使用して生成され得る(例えば、フィルタ補正逆投影、又は反復再構成技術を介して)。
【0103】
方法400の代替的な変形例は、BgRT放射線療法システム上の撮像のみのセッションを含み得る。撮像のみのセッションは、PETトレーサー(例えば、BgRT治療セッションで使用されることになるPETトレーサー)を患者に注入することと、治療用放射線源を使用して患者にいかなる放射線も放出することなく、BgRT PET撮像システム上のBgRT PET検出器を使用してPET撮像データを取得することと、を含み得る。撮像のみのセッション中に取得されたPET撮像データは、BgRTが患者に適しているかどうかを決定するために評価され得る。
【0104】
図4Cは、例えば、ステップ413で説明されるように、サイノグラムを修正するために使用され得る撮像システムパラメータ及び/又はアーチファクトを更に要約する。一変形例では、サイノグラムは、例えば、限定されたPET検出器の感度及び/又は効率に起因して検出されない場合があるサイノグラム(例えば、LOR)からいくつかのデータを除去することによって、第2のPET撮像システム(例えば、BgRT放射線療法システムのPET撮像システム)の感度を考慮するように修正され得る。感度及び/又は効率のそのような制限は、PET検出器のシンチレータ結晶によるシンチレーション光子への511keV光子の不完全な変換、及び/又はシンチレーション光子への光子検出器の感度制限から生じ得る。いくつかの変形例では、サイノグラムは、第2のPET撮像システムのPET検出器解像度を反映するように修正され得る。例えば、サイノグラムは、第2のPET撮像システムの異なる数のシンチレータ結晶及び/又は光子検出器を反映するように調整され得る。追加的に、又は代替的に、サイノグラムは、第2のPET撮像システムによるPET信号の不均一なサンプリングを考慮するように修正され得る。例えば、BgRT放射線療法システムのPET撮像システムの文脈では、回転ガントリ上に装着された部分リングPET検出器に起因するPET信号の不均一なサンプリング(診断的PET撮像システムで典型的に使用される検出器のリングとは対照的に)、及び/又はビームステーション取得に起因するPET信号の不均一なサンプリング(すなわち、患者プラットフォームがPET信号取得中に場所の別個のセットで停止される)が存在し得る。いくつかの変形例では、サイノグラムは、特定のPETトレーサーの放射性崩壊速度を考慮するように修正され得る(例えば、放射性崩壊速度は、放出される陽電子の数に影響し、したがって、全体的に検出されるLORの数に影響し得る)。代替的に、又は追加的に、サイノグラムは、ランダム光子同時発生の検出(例えば、偽同時発生は偽LORをもたらし得る)、患者の体内の様々な組織と相互作用する際の光子の減衰及び/又は散乱から生じ得る非理想性及びアーチファクトを含むように修正され得る。
【0105】
図5A及び図5Bは、診断的PET画像から生成されたシミュレートされたBgRT放射線療法システムPET画像の例を示す。シミュレートされたPET画像は、いくつかのBgRTシステムのPET撮像システムに存在する撮像アーチファクトを含み得る。シミュレートされたPET画像における撮像アーチファクトは、以下の因子、異なる(例えば、低減された)PET検出器感度、スキャン時間、取得方法、及び/若しくは診断的PET撮像システムと比較した解像度、ポアソン統計、不均一なサンプリング、異なるレベルのシンチレータ残光、及び/若しくはPET検出器の異なる配置(例えば、2つの弧対完全なリング)、並びに/又は図4Cに列挙される因子から生じるアーチファクトのうちのいずれかのうちの1つ以上の結果であり得る。いくつかの変形例では、シミュレートされたPET画像は、診断的PET画像よりもノイズが多い場合がある。図5Aは、診断的PET撮像システムを使用して取得された診断的PET画像511を図示する。診断的PET画像511は、例えば、長期間(例えば、数分以上)収集される診断的PET画像511に起因して、及び/又は完全なリングに配置された高感度シンチレータを使用して取得される、高解像度PET画像をもたらし得る。シミュレートされたPET画像512(BgRT放射線療法システムのPET検出器によって取得されることになる撮像データをシミュレート又は近似する)は、本明細書に説明される方法のいずれかを使用して診断的PET画像511を修正することによって生成され得る。一変形例では、BgRT放射線療法システムは、診断的PET画像511を収集するために使用されるPET検出器よりも小さい検出面積を有し得る2つの対向する弧(例えば、完全なリングの代わりに部分的なリング)に配置されたPET検出器を用いて、短い持続時間(例えば、数分の一秒又は数秒)、データを収集するように構成されるため、BgRT放射線療法システム100のPET検出器によって収集されたPET画像は、診断的PET画像511よりもノイズが多い場合がある。このノイズから生じる撮像アーチファクトは、図5Aに示されるように、シミュレートされたPET画像512に見られ得る。図5Bは、異なる時点で同じ患者について撮影されたいくつかの診断的PET画像521及び522を、関連するシミュレートされたPET画像532及び532とともに示す。
【0106】
PET測定基準
患者特異的PET信号評価のいくつかの変形例は、腫瘍に由来するPET信号が、バックグラウンドPET信号(周囲組織に由来し得る)と比較して評価され得るように、腫瘍及び/又は周囲組織の周りの体積及び/又は輪郭を画定することを含み得る。図6Aは、標的領域(例えば、腫瘍)、及び周囲(例えば、バックグラウンド)組織の例を概略的に図示する。図6Aの三次元等価物が使用され得、例示的な面積が体積に対応し得ることが理解されるべきである。いくつかの変形例では、標的領域は、腫瘍を包含する輪郭を有し得る、臨床標的体積(CTV)領域611Aとして画定され得る。CTVの輪郭は、診断撮像スキャン及び/又は他の方法(例えば、生検、リンパ節の存在など)を使用して画定され得、これは、臨床医の最良の判断において、治療される必要のある腫瘍及び周囲組織の程度を表す。CTV611Aは、図6Aに示されるように、計画標的体積(PTV)613Aによって取り囲まれ得る。PTV613Aは、ビームアラインメントの潜在的な不確実性、又は他の不確実性(例えば、器官の変形など)を考慮するために、異方性マージンでCTV611Aを囲み得る。いくつかの変形例では、PTVは、所定の線量の治療用放射線を受容することになる領域を画定する。
【0107】
いくつかの変形例、例えば、従来の定位体放射線療法(SBRT)又は強度変調放射線療法(IMRT)治療では、PTVは、標的の運動の範囲(例えば、運動エンベロープ)を包含するように画定されて、標的が移動しても所定の用量が標的に送達されることを確保するのを助け得る。しかしながら、SBRT/IMRTに対して画定されるPTVとは異なり、BgRTに対するPTVは、標的の全運動範囲を包含しなくてもよい。BgRTで送達される放射線は、標的が移動しても標的のリアルタイム場所を追跡するため、標的の全運動経路及び従来の設定マージンは、PTV拡張の一部ではない場合がある。代わりに、BgRTについては、標的の運動範囲を包含する別の体積が臨床医によって画定される。生物学的追跡ゾーン又はBTZと称され得るこの体積は、他の患者領域に由来するPET信号を除去/無視するためのマスク又はフィルタとして使用され得る。特に、所定の治療線量は、PTVに送達されるが、BTZの全体積には送達されない。BTZ 615Aは、標的が追跡される境界を概念的に設定する、治療計画時に画定されるBgRTに固有の体積である。図6Bは、従来のIMRT/SBRTの領域CTV 611B及びPTV 613Bを示し、図6Cは、BgRTについて画定される関連領域CTV 611C及びPTV 613Cを示す。BgRT PTV 613Cは、IMRT/SBRT PTV 613Bよりも小さいことに留意されたい。更に、図6Cは、標的運動に起因する異なる位置にPTV 613Cを含有する領域である運動エンベロープ617Cを示す。一変形例では、図6Aに示されるように、BTZ 615Aは、シェル領域617Aによって取り囲まれている。シェル領域617Aは、平均バックグラウンド信号が取得される領域として使用され得る(例えば、シェル領域617Aは、CTV 611Aから十分に遠隔であり、したがって、バックグラウンド信号の合理的な表現として機能し得る)。シェル領域617Aは、任意の好適なアプローチを使用して決定され得る。例えば、シェル領域617Aの境界は、BTZ 615Aの外側境界を含み、BTZ 615Aの面積(又は体積)の画分である面積(又は体積)を有し得る。例えば、一実施態様では、シェル領域617Aの境界は、BTZ 615Aの面積(又は体積)とCTV 611Aの面積(又は体積)との間の差の画分である面積(又は体積)を有し得る。画分は、1~100パーセントであり得る。更に、シェル領域617Aは、BTZ 615Aの外側境界に適合するように構成され得る。代替的に、又は追加的に、シェル領域617Aは、BTZの境界から約1mm~約5mmのマージンを表し得る、数画素の厚さであるBTZの周りの境界であり得る。例えば、シェル領域617Aは、1~10画素の厚さであり得、その間の全ての値及び部分範囲を有する。例えば、シェル領域617Aは、1画素の厚さ、2画素の厚さ、3画素の厚さ、4画素の厚さ、5画素の厚さなどであり得る。例えば、シェル領域617Aは、1mmの厚さ、2mmの厚さ、3mmの厚さ、4mmの厚さ、5mmの厚さなどであり得る。
【0108】
図6Dは、BTZの領域内のPET信号測定620の概念図である。信号測定620は、PET画像画素に対応する複数の信号である。信号測定620の高い信号値は、標的(例えば、腫瘍)に属し得るPET画像画素を表し得、信号測定620の低い信号値は、標的の一部ではない、すなわち、バックグラウンド信号の一部であるPET画像画素を表し得る。例えば、信号測定620は、ピーク信号値621(BTZ内の最も高い信号値を有する画素であり得る)、及び平均バックグラウンド信号625(ここでは、<Bg>と表記される)を含む。一例では、信号測定620及び平均バックグラウンド信号625は、PET信号がBgRT計画及び送達に好適であるかどうかを評価するために使用され得るCNR測定基準を決定するために使用される。CNR測定基準は、以下に説明されるいくつかのアプローチを使用して計算され得る。
【0109】
CNR測定基準
CNR測定基準を決定するためのアプローチを説明する前に、いくつかの定義を導入し、CNR測定基準を決定するために使用される変数を説明することが有益である。例えば、平均バックグラウンド信号625は、いくつかのアプローチを使用して計算され得る。例示的な実施態様では、平均バックグラウンド信号625が、シェル領域617Aにわたって計算され得る。あるいは、平均バックグラウンド信号625は、図6Cに示されるように、CTV 611Cの外側である領域において、図6Cに示されるように、BTZ 615Cにわたって計算され得る。一例では、CTV 611Cは、臨床医によって画定され得る領域である。一変形例では、CTV 611Cは、信号測定620が、標的パーセンテージ値による信号測定620の最低信号値(BTZ 615Cで測定される)を上回る信号を含む輪郭線によって画定され得る。例えば、CTV 611Cの境界は、BTZにおける信号測定620の最低信号値よりも5%高い、10%高い、15%高い、20%高い、25%高いなどの信号値を有する輪郭線によって画定され得る。例えば、CTV 611Cを境界とする輪郭線は、信号測定620の最低信号値よりも1~80%高い範囲にある信号値に対応し得る。あるいは、CTV 611Cを境界とする輪郭線は、標的パーセンテージ値によってピーク値621よりも低い信号値によって決定され得る。例えば、CTV 611Cの境界は、ピーク値621の50%、ピーク値621の60%、ピーク値621の70%、ピーク値621の80%、ピーク値621の90%などの信号値を有する輪郭線によって画定され得る。例えば、CTV 611Cの輪郭は、ピーク値621の半分(50%)以上、又はピーク値621の80%以上の信号値を有するBTZ内の画素を包含し得る。追加的に、又は代替的に、CTV 611Cは、2022年2月22日出願のPCT出願第PCT/US2022/017375号(「出願第’375号」)に説明される最尤推定期待値最大化(MLEM)法を使用して画定され得、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、CTV 611Cは、出願第’375号の図5に説明されるように、CTV尤度値を使用して決定され得る。
【0110】
いくつかの変形例では、CNR測定基準を計算することは、標的信号値を上回る信号値を有するPET画像画素を、腫瘍を含むと指定することを含み得る。様々な信号値が、図6Eに示されるように等輪郭値によって表され得る。例えば、等輪郭値Sisoは、図6Dに示されるように、信号値623に対応し得る。一例では、信号値623は、図6D(及び図6E)に示されるように、平均バックグラウンド信号625から測定される、又はピーク信号値621から測定される、信号測定値620の標的パーセンテージレベルLにあり得る。例えば、標的パーセンテージレベルLは、ピーク値621の50%、60%、70%、80%、若しくは90%であってもよく、及び/又は平均バックグラウンド信号625よりも5%高く、10%高く、15%高く、20%高く、25%高くてもよい。更に、本明細書では標的信号(T)と呼ばれる標的信号値を上回る信号が、CNR測定基準を決定するために使用される。例えば、Tは、Siso以上である信号値を有するPET画像画素の信号値であり得る。いくつかの変形例では、Tは、Siso以上である信号値を有するPET画像画素の信号値(例えば、平均活性濃度)の平均であり得る。図6Fは、Siso以上の信号値を有する画素の信号が標的信号Tとして示される、信号測定620の断面の例を図示する。図6Fはまた、等信号レベルSiso、及び信号測定620のバックグラウンド627の変動を図示する。加えて、図6Fは、標的信号Tの平均値である平均標的信号<T>、及び活性濃度差として定義される差<T>-<Bg>を示す。
【0111】
いくつかの変形例では、CNR測定基準を決定することは、平均バックグラウンド信号625及びバックグラウンド信号の分散(ここではσBgと表記される)を計算することを含み得る。バックグラウンド信号(Bg)の分散は、バックグラウンド信号が平均バックグラウンド信号625から逸脱すると予想され得る程度を示す(例えば、σBg=E[(Bg-<Bg>)]、Eは期待値演算子である)。
【0112】
CNR測定基準は、いくつかの考えられるやり方で定義され得るが、本明細書で更に論じられるように、CNR測定基準の様々な定義は、信号測定620が平均バックグラウンド信号625をはるかに上回っているときに高い値を有するCNR測定基準、及び信号測定620が平均バックグラウンド信号625に近いときに低い値を有するCNR測定基準をもたらし得る。
【0113】
一変形例では、CNR測定基準が、CNR=(<T>-<Bg>)/σBgとして計算される。ここで、CNRの式において、Tは、Sisoよりも高い標的信号である。Sisoは、図6Cに示されるように、BTZ 615Cで検出された最大信号値の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%(例えば、ピーク値621)であり得る。あるいは、Sisoは、バックグラウンド値Bgよりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%など高くてもよい。更に、上記で定義されるように、σBgは、バックグラウンド信号の分散である。閾値よりも大きいCNR測定基準は、腫瘍が十分なコントラスト、CNR≧閾値(CNR)で識別されたことを示し得る。一変形例では、閾値(CNR)は、1、1.5、2など、例えば、1.7、2.1、2.5、2.7、3.1よりも大きくてもよい。閾値(CNR)>1を有することは、差<T>-<Bg>がバックグラウンド分散よりも大きいことを示す。いくつかの変形例では、閾値(CNR)は、治療計画時に1つの値(例えば、2.7)、及びPETプレスキャンにおける治療時に異なる値(例えば、2.0)を有し得、これは、PET信号の変動(例えば、約+/-25%)を考慮するのを助け得る。例えば、CNR測定基準の合格閾値は、PETプレスキャンでは、治療計画時のCNRの合格閾値よりも低い可能性がある。あるいは、CNR測定基準の合格閾値は、PETプレスキャンでは、治療計画時のCNRの合格閾値よりも高い可能性がある。
【0114】
上記で定義されるCNR測定基準は、バックグラウンドに対する腫瘍のコントラストを決定する1つの考えられるやり方に過ぎないことに留意されたい。別の変形例では、CNR測定基準は、CNR=中央値AC[PTV]/<Bg>として定義され得る。本明細書では、中央値AC[PTV]は、PTV領域にわたって決定される活性濃度中央値であり、<Bg>は、平均バックグラウンド信号(例えば、平均バックグラウンド信号625))である。PTV領域の場所は、例えば、初期画像(例えば、治療計画中に使用された画像)内の標的領域の場所を、その後に取得された撮像データを使用して更新された場所に反復的にシフトさせる、最尤推定期待値最大化(MLEM)法を使用して決定され得る。方法の一変形例は、腫瘍を含む患者領域の撮像データを取得することと、撮像データの各画素について腫瘍尤度値及びバックグラウンド尤度値を計算することによって、画素腫瘍尤度値のマップを生成することと、撮像データ内の腫瘍輪郭を、BTZ輪郭内の画素腫瘍尤度値のマップの重心場所にシフトさせることによって、腫瘍の場所を決定することと、を含み得、BTZ輪郭は、腫瘍輪郭を包含する。腫瘍の場所又はPTV若しくはCTVを決定することは、シフトされた腫瘍輪郭内の平均画素値が、プレシフトされた腫瘍輪郭内の平均画素値の事前定義された閾値内にあるように、画素腫瘍尤度値のマップを反復的に更新して、画素腫瘍尤度値の最終マップを生成することと、画素腫瘍尤度値の最終マップの重心場所を計算することと、腫瘍輪郭を計算された重心場所にシフトさせることによって、腫瘍の場所を決定することと、を更に含む。これらの方法に関する追加の詳細は、出願第’375号に含まれる。本明細書に説明される例示的なCNR測定基準は、PTVのAC中央値を使用するが、他の例では、CNR測定基準は、CTVのAC中央値を使用し得る。
【0115】
図6Fは、特定の信号レベルを上回る(例えば、最大値621のL%に対応する信号レベルを上回る)信号値を有する画素の平均値として計算された平均標的信号<T>を示す。更に、図6Fは、平均バックグラウンド信号<Bg>の値、及び平均標的と平均バックグラウンドとの間の活性濃度差<T>-<Bg>を示す。
【0116】
CNRの他の測定基準も使用され得ることが理解されるべきである。例えば、CNR測定基準は、SNR=Imax(BTZ)/Imean(BTZ)として定義され得、式中、Imax(BTZ)は、BTZ(例えば、図6Cに示されるように、BTZ 615C)における最大信号値(例えば、図6Dに示されるように、ピーク値621)であり、Imean(BTZ)は、BTZ 615Cで平均される平均信号である。
【0117】
いくつかの変形例では、CTV領域及び/又はPTV領域を決定するために、PET撮像データに加えて、コンピュータ断層撮影(CT)撮像データが使用され得る。例えば、CT撮像データは、CTV又はPTV領域と一致すると決定され得る、腫瘍を含有する領域の決定を容易にする。
【0118】
活性濃度測定基準
活性濃度(AC)測定基準は、PET撮像データ(シミュレートされたPET撮像データ又はPET撮像システムで取得されたPET撮像データであり得る)に基づくPETトレーサー活性濃度を示す。例えば、AC測定基準は、体積(kBq/ml)のミリリットル(ml)当たりのキロベクレル(kBq)で測定された放射線活性濃度を含み得る。例えば、5kBq/mlの放射線活性濃度は、1ミリリットル当たり1秒で5000個の核崩壊が存在することを示す。いくつかの変形例では、AC測定基準は、BgRT処置が適応となるために、活性濃度閾値を上回る必要があり得る。
【0119】
線量ベースの測定基準
いくつかの変形例では、線量ベースの測定基準は、PET撮像データ(シミュレートされたPET撮像データ又はPET撮像システムで取得されたPET撮像データであり得る)を使用して1つ以上の標的領域に対する放射線量を計算し、計算された放射線量を、そのような放射線量に対するそれぞれの許容可能な臨床限界と比較することによって決定される。
【0120】
図7は、線量ベースの測定基準を生成するための方法700の例を示す。方法700は、シミュレートされた撮像データと畳み込まれる発射フィルタを使用して、送達のためのフルエンスマップを導出することによって、シミュレートされた撮像データを使用して治療計画を生成すること(711)を含む。発射フィルタは、計画の一部として生成され、BgRT計画の出力である。治療計画への入力は、標的領域への所定の線量、放射線感受性構造(例えば、リスクのある器官又はOAR)への線量制約、シミュレートされた撮像データ、及びCT撮像データを含む。これらの入力(並びに他の制約)は、撮像データと畳み込まれたときに放射線フルエンスマップを生成する発射フィルタを計算するために、最適化アルゴリズムによって処理される。フルエンスマップは、所定の線量を様々な腫瘍に送達するために、BgRT放射線療法システム100によって使用され得る。発射フィルタを計算すること、及びこれらのフィルタを使用してフルエンスマップを生成することの更なる詳細は、2018年5月30日出願の米国特許第10,688,320号に説明されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0121】
更に、方法700は、生成された治療計画が送達された場合に送達されることになる放射線量を計算すること(713)を含む。放射線量は、フルエンスマップ及び線量計算行列(すなわち、フルエンスマップの放射線ビームレットと、標的及び/又は患者身体の各領域又はボクセルへの放射線量との間のマッピング)を使用して計算され得る。線量計算行列は、CT画像から計算された組織密度データなどの解剖学的画像データに基づいて生成され得る。一変形例では、関心対象の各構造(例えば、標的、OAR)への放射線量は、線量体積ヒストグラム(DVH)によって表され得る。
【0122】
更に、方法700は、計算された放射線量が許容可能な臨床限界内であるかを評価すること(715)を含む。放射線量の許容可能な臨床限界は、臨床履歴データに基づいて確立される。計算された放射線量が許容可能な臨床限界内である場合、治療計画が受け入れられ得、これは線量ベースの測定基準が許容可能である(すなわち、決定された放射線量が許容可能な臨床限界内である)ことを示す。
【0123】
BgRTの適合性の評価
図8は、BgRTの適合性を評価するための方法800のフローチャート図である。この例では、方法800のステップは、データ処理のために構成された好適なコンピューティングシステムによって実施され得る。コンピューティングシステムは、放射線療法システム100に動作可能若しくは物理的に関連するか、又はそれに接続される必要もないが、そうであってもよい(例えば、コントローラ110が、プロセッサ800のステップを実施し得る)。
【0124】
方法800は、診断的陽電子放出断層撮影(PET)撮像データを、BgRT放射線療法システム100のPET検出器を使用して取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換すること(811)を含む。一変形例では、コンピューティングシステムは、診断的PET撮像データを、トレーサーからのPET信号を表すシミュレートされた撮像データに変換するように構成され得る。
【0125】
更に、方法800は、シミュレートされた撮像データに基づいて、腫瘍のコントラストノイズ信号(CNR)を示す第1の測定基準を決定すること(813)を含む。CNR測定基準はまた、正規化された腫瘍信号(NTS)と呼ばれ得、シミュレートされた撮像データにおける腫瘍画素にわたるPET信号と、腫瘍を取り囲むバックグラウンド領域(例えば、シェル)の画素にわたるPET信号との間の相対測定値を表し得る。いくつかの変形例では、CNR測定基準は、信号コントラスト値(すなわち、腫瘍からの平均信号)とバックグラウンド領域の信号との間の比であり得る。CNR測定基準は、上記のように計算され得る。
【0126】
方法800は、シミュレートされた撮像データに基づいて、PETトレーサー活性濃度を示す第2の測定基準(活性濃度測定基準)を決定すること(815)を含み得る。一変形例では、BgRTは、第2の測定基準(例えば、活性濃度)が活性濃度閾値を上回る場合、少なくとも第2の測定基準に基づいて好適であると決定される。一例では、活性濃度閾値は、1~10kBq/mlであり得、その間の全ての値及び部分範囲を有する。例えば、活性濃度閾値は、約5kBq/mlであり得る。
【0127】
方法800は、シミュレートされた撮像データに基づいて、腫瘍(又は標的)の体積に対する放射線量を示す第3の測定基準(線量ベースの測定基準)を決定すること(817)を更に含み得る。臨床医は、様々な組織について決定されるように、許容可能な放射線量閾値に基づいて、放射線量が臨床的に許容可能であると決定し得る。あるいは、放射線量は、放射線量を許容可能な放射線量閾値と比較するように構成された好適なコンピューティングシステムによって臨床的に許容可能であると決定され得る。いくつかの変形例では、放射線量は、シミュレートされた撮像データを放射線フルエンス又は線量に変換又はマッピングすることによって計算され得る。例えば、放射線フルエンス又は線量への撮像データの変換は、撮像データを変換行列又は発射フィルタで畳み込んで、放射線フルエンスを取得し、次いで、放射線フルエンスを解剖学的画像(例えば、CT画像)と組み合わせて、標的領域への放射線量を取得することを含み得る。
【0128】
更に、方法800は、第1、第2、及び第3の測定基準に基づいて、BgRTを使用する適合性を決定すること(819)を含む。例えば、コンピューティングシステムは、上記に論じられた全3つの測定基準を使用して、BgRTの適合性を決定するように構成され得る。3つの測定基準のうちの少なくとも1つが、BgRTが好適ではないことを示す場合(例えば、CNR測定基準が腫瘍の領域が十分なコントラストを有することを示す場合、又は/及び活性濃度が標的閾値を下回る場合、又は/及び放射線量が臨床的に許容可能ではない場合)、BgRTは、行われない。あるいは、全3つの測定基準が、BgRTが好適であることを示す場合、BgRTは、可能な治療として可能にされ得る。以下で更に論じられるように、BgRTの投与前に、BgRTが投与された日にBgRTの適用性を決定するために、更なる試験が使用され得ることに留意されたい。AC測定基準、線量ベースの測定基準、及びCNR測定基準の計算の詳細が、上記に説明されている。線量ベースの測定基準、及びこれらの測定基準の閾値の例の更なる詳細が、以下に更に説明される。
【0129】
図9は、複数の構造又は組織に対するDVH曲線のプロット900を図示する。DVHプロット900は、組織の特定の体積分率に送達され得る放射線量を表す。放射線量は、ビーム及び放射線療法機械モデルを使用して関心対象の体積への線量を計算するPET撮像データ及び/又はシミュレーションに基づいて計算され得る。例えば、DVHプロット900によると、BTZの体積の約半分(50%)は、約50Gyの放射線(DVH911によって示される)を有するか、又は受容することになるが、一方で、BTZの体積全体(100%)は、約30Gy(DVH911によって示される)を受容するように構成される。DVHプロット900はまた、組織、例えば、標的又はリスク臓器(OAR)に送達されたか、又は送達されることが計画されている放射線量のグラフ表示を含み得る。いくつかの変形例では、線量測定基準は、標的領域に対するDVHを含み得、DVHは、標的領域に対する有界DVHと比較され得る。一変形例では、各構造又は組織について計算されたDVH曲線は、臨床的に許容可能である線量範囲を包含する、上限及び下限を有する有界DVHと比較され得る。例えば、図10は、複数の構造についてのDVH曲線のプロット1000を示し、境界は、DVH曲線に隣接し、かつそれを取り囲む領域によって示される(例えば、領域1012は、許容可能な放射線量の境界を示す領域であり、これは、それぞれ、最小及び最大許容可能線量を表す、下限DVH曲線及び上限DVH曲線によって画定され得る)。一変形例では、DVH曲線1011Refは、いかなる運動又は位置の確実性も伴わずに送達される線量を表し得る公称線量分布である。図11は、シミュレートされた撮像データに基づいて決定される、DVH曲線1011Simを示す。一例では、DVH曲線1011Simは、図11に示されるように、領域1012によって説明される範囲内であり、したがって、グラフ1011によって表される放射線量は許容可能である。例えば、g1(x)がグラフ1011Refを表し、xが線量(Gy)である場合、g2(x)はグラフ1011Simを表し、bu(x)は領域1012の上限を表し、bl(x)は領域1012の下限を表し、次いで、g1(x)-g2(x)>0であるときに、[g1(x)-g2(x)]/[g1(x)-bl(x)]<1である場合、g2(x)は許容可能な放射線量である。更に、g1(x)-g2(x)<0のときに、[g2(x)-g1(x)]/[bu(x)-g1(x)]<1の場合、g2(x)は許容可能な放射線量である。いくつかの変形例では、上記の要件は、わずかに緩和され得る。例えば、いくつかの変形例では、グラフ1011Simによって表される放射線量は、(放射線量の少なくとも一部の値に対して)境界1012の外側にあることになり得るが、依然として許容可能な線量と考えられ得る。更に、g1(x)-g2(x)>0のときに、[g1(x)-g2(x)]/[g1(x)-bl(x)]<Thの場合、g2(x)は許容可能な放射線量である。更に、g1(x)-g2(x)<0のときに、[g2(x)-g1(x)]/[bu(x)-g1(x)]<Thの場合、g2(x)は許容可能な放射線量である。一変形例では、Th及びTh~1(ここでは、Thはより低い閾値を示すために使用され、Thはより高い閾値を示すために使用される)。例えば、Th及びThは、0.95~1の範囲、又は1に近接する任意の他の範囲(例えば、0.9~1)であってもよい。言い換えると、シミュレートされたDVH曲線1011Sim上の全ての点が、許容可能と考えられる線量に対して、有界DVH内である必要はない。いくつかの変形例では、シミュレートされたDVH曲線1011Simの点の特定の閾値割合又はパーセンテージが、有界DVHの境界内にある場合、線量分布は、依然として許容可能と考えられ得る。例えば、有界DVH内である必要があるシミュレートされたDVH曲線の点の閾値パーセンテージは、約80%、約90%、約93%、約95%、約97%、約99%などであり得る。
【0130】
上記のように、この変形例では、BgRTの適合性を決定することは、BgRT治療セッションの直前にBgRT放射線療法システムで取得されたPET撮像データ(本明細書ではプレスキャン画像とも呼ばれる)に基づいて、予測される放射線量を、BgRT治療計画の有界DVH(図11に示すbDVH)と比較することを含み得る。いくつかの変形例では、bDVH合格率(%)は、上記のように、計画されたDVH境界(例えば、領域1012の内側にある)内に収まる予測されるDVH曲線(例えば、グラフ1011Sim)の点のパーセンテージとして定義され得る。一変形例では、システムは、bDVH合格率(%)を自動的に計算し得、この値は、BgRT送達を進めるために選択された閾値超(例えば、≧95%)でなければならない。DVH曲線(例えば、グラフ1011Sim)は、BgRT処置の適合性を決定するために数回計算され得るが、一方で、グラフ1011Ref及び関連する境界領域1012などの参照グラフは、治療計画時に決定され得、治療セッションの前に臨床医によって承認され得ることに留意されたい。したがって、bDVHグラフ(及びbDVH境界などの関連情報)は、参照を形成し、それに対して全ての後続のDVHが評価される。
【0131】
図12Aは、上記の3つの測定基準に基づいてBgRTの適合性を決定するための例示的な方法1200を示す。いくつかの変形例では、方法1200は、治療計画中に実施され得る。追加的に、又は代替的に、方法1200は、治療放射線が患者に送達される前に、BgRT治療セッション中に実施され得る。更に、上記のように、3つの全ての測定基準は、治療放射線の放出前のBgRT治療セッション中に取得されたシミュレートされた撮像データ及び/又はプレスキャンPET撮像データに基づいて取得され得る。方法1200は、コントラストノイズ比(CNR)測定基準(第1の測定基準)の値を決定すること(1211)と、トレーサー活動濃度測定基準(第2の測定基準)の値を決定すること(1213)と、放射線量測定基準(第3の測定基準)の値を決定すること(1215)と、を含み得る。第1、第2、及び第3の測定基準は、上記の任意の好適なアプローチを使用して決定される。方法1200は、第1、第2、及び第3の測定基準の値に基づいて、BgRTが進行し得る(例えば、安全、臨床的に許容可能な範囲内で線量を送達する)かどうかを評価すること(1217)を更に含み得る。一変形例では、ステップ1217で、第1の測定基準が第1の閾値を上回り、第2の測定基準が第2の閾値を上回り、かつ第3の測定基準が好適な第3の閾値を上回っている(又は許容可能な境界内である)場合、BgRT処置が許容可能であると決定され得る(ステップ1217、はい)。いくつかの変形例では、第1の閾値は、1~3の範囲であってもよく、第2の閾値は、5kBq/mlよりも高くてもよく、第3の閾値は、90~100%(例えば、95%)であってもよく、例えば、腫瘍体積の95%以上が、bDVHの境界内にある線量を受容する。あるいは、第3の測定基準を決定することは、放射線量が、計画されたDVH境界内(又はいくつかの値のみがDVH境界をわずかに(例えば、数パーセントだけ)上回っているか、又は下回っている、実質的に計画されたDVH境界内)であるかどうかを決定することを含み得る。BgRT処置が許容可能である場合(ステップ1217、はい)、方法1200は、BgRT処置が好適であると決定すること(1219)を含み得る。任意選択的に、方法は、BgRT治療計画に従って放射線を送達することを含み得る。あるいは、BgRT処置が許容可能ではない場合(ステップ1217、いいえ)、方法1200は、BgRTが好適ではないと決定すること(1221)を含み得る。方法は、任意選択的に、BgRT処理が好適ではない場合があるという通知を生成することを含み得る。
【0132】
BgRTの適合性は、患者の治療計画及び/又は送達中に数回評価され得ることが理解されるべきである。例えば、BgRTの適合性は、BgRTが患者に有用であるかどうかを決定するときに最初に評価され、BgRTがその患者に送達される前に再び評価され得る。いくつかの変形例では、第1の評価中に、BgRT処置の適合性を決定するための要件(例えば、閾値、閾値を合格するBgRT測定基準の数)は、第2の評価に使用される要件よりも緩和され得る。例えば、第1の評価中に、1つの測定基準(例えば、第1、第2、又は第3の測定基準)が、必要とされる関連する閾値を上回る場合、BgRTは、好適であると決定され得る。あるいは、最大でも1つの測定基準(例えば、第1、第2、又は第3の測定基準)が、必要とされる関連する閾値を下回る場合、BgRTは、好適であると決定され得る。
【0133】
追加的に、又は代替的に、第1の評価中に、第1の閾値のセットが使用され得、第2の決定中に、第2の閾値のセットが使用され得る。例えば、第1の評価中、第1の閾値は、1を上回り得、第2の閾値は、2kBq/mlを上回り得、かつ第3の閾値は、bDVH内にあるDVH曲線上の点の85%~100%の範囲内であり得る。第2の評価中、閾値に対してより狭い範囲が使用され得る。例えば、第2の評価中、第1の閾値は、2を上回り得、第2の閾値は、5kBq/mlを上回り得、かつ第3の閾値は、bDVH内にあるDVH曲線上の点の95%~100%の範囲内であり得る。
【0134】
図12Bは、BgRT(例えば、方法1200による)がBgRTワークフローにおいて複数回好適であるかどうかを評価することを含み得る、方法1201の一変形例を図示する。例示的な変形例では、方法1201のステップ1219は、方法1200のステップ1219と同じである。加えて、方法1201は、PET撮像システムを使用して新しいPET撮像データを取得すること(1231)を含み得る。例えば、新しい撮像データは、BgRT処置を実施する前に、BgRT放射線療法システム100のPET撮像システムを使用して取得され得る。新しい撮像データは、BgRT放射線療法システム100を使用して取得されるため、BgRT処置中に放射線を誘導するために取得及び使用され得る撮像データのより正確な表現を提供し得る。
【0135】
方法1201は、更新された第1、第2、及び第3の測定基準を決定し、決定された測定基準に基づいてBgRTが好適であるとチェックすること(1233)を含み得る。例えば、適合性は、新しい第1、第2、及び第3の測定基準を使用しつつ、方法1200を使用して決定される。BgRTの適合性が確立される場合(ステップ1233、はい)、方法1201は、BgRT治療計画を生成すること(1235)を含み得る。あるいは、BgRTの適合性が確立されていない場合(ステップ1233、いいえ)、方法1201は、患者のための代替的な治療を提供すること(1243)を含み得る。いくつかの変形例では、代替的な治療は、IMRT又はSBRTベースの療法を含み得る。
【0136】
BgRT治療計画が生成された後、放射線が患者に送達される前に、BgRT測定基準(例えば、図12A及び図12Bの第1、第2、及び第3の測定基準)の値は、治療送達の直前に、例えば、治療セッションの開始時に取得されたPET撮像データに基づいて再計算され得る。一変形例では、方法1201は、治療送達前にBgRTシステム上で新しいPET撮像データを取得すること(1237)と、更新された第1、第2、及び第3の測定基準を決定し、更新された測定基準に基づいて、BgRTが依然として好適であるかどうかをチェックすること(1239)と、を含み得る。例えば、適合性は、第1、第2、及び第3のBgRT測定基準の更新された値に基づいて、方法1200を使用して評価され得る。BgRTの適合性が確立される場合(ステップ1239、はい)、方法1201は、BgRT治療に進むこと(1241)を含み得る。あるいは、BgRTの適合性が確立されていない場合(ステップ1239、いいえ)、方法1201は、IMRT又はSBRTなどの患者のための代替的な治療を提供するか、治療セッションを終了すること(1243)を含み得る。
【0137】
BgRT処置を進めるかどうかの評価は、所望される回数だけ繰り返され得る。いくつかの変形例では、評価が行われ得る頻度及び/又は状況は、ヒトオペレータからの入力に基づき得る。いくつかの変形例では、ステップ1231~1243は、図3に示される方法300のステップ358の実施態様であることに留意されたい。
【0138】
いくつかの変形例では、BgRT治療セッション全体を通して、BgRT治療を送達することが臨床的に許容可能であり、及び/又は安全であり続けることを確認するためのチェックがあり得る。これらのチェックは、BgRT治療を送達する過程で取得されたPET撮像データに基づき得る。治療セッション中のBgRT適合性チェックの方法の一変形例が、図12Cに図示される。方法1202は、BgRT処置(例えば、方法1201のステップ1241と同じ)を用いてを進めること(1241)、BgRT放射線療法システムのPET撮像システムを使用してリアルタイムで取得されたPET撮像データに基づいて、BgRT測定基準の更新された値を決定し(例えば、第1、第2、及び第3の測定基準の更新された値を計算し)、更新されたBgRT測定基準値に照らしてBgRT処置が依然として安全及び/又は臨床的に許容可能であるかどうかをチェックすること(1251)を含み得る。BgRT測定基準は、計算され、BgRT治療中に定期的に更新されて、治療を進めるかどうかを確認し得る(1251)。例えば、ステップ1251は、数十分ごと、数分ごと、毎分、数十秒ごと、又は毎秒実施され得る。BgRT治療が、安全ではない及び/又は臨床的に許容可能ではないと決定された場合(ステップ1251、いいえ)、方法1202は、BgRT治療を停止すること(1253)を含み得る。例えば、BgRT治療セッションの過程でPETトレーサー信号が減少する場合、減少した信号は、BgRT放射線送達を継続するために、バックグラウンドに対して十分なコントラストを有しない場合がある。あるいは、BgRT治療が好適であると決定される場合(ステップ1251、はい)、所定の線量が送達されるまで治療が継続し得る(1241)。
【0139】
BgRT測定基準値は、治療セッション中に複数回、計算及び再評価され得る。例えば、複数の標的領域が照射される治療セッションでは、第1、第2、及び/又は第3の測定基準は、各標的領域の治療前にセッション中に取得されたPET撮像データを使用して計算されて、標的領域からのPET信号がBgRT送達に十分であるかどうかを決定し得る。すなわち、治療セッション中に照射される4つの標的領域がある場合、第1、第2、及び/又は第3のPET測定基準は、4回(標的領域当たり1回)計算され得る。代替的に、又は追加的に、第1、第2、及び/又は第3の測定基準値は、治療セッションの開始時に取得されたPETプレスキャンデータに基づいて、各標的領域に対して計算され得、PET信号は、治療セッション中のPET信号遅延を考慮するために各標的領域に対して調整される。例えば、PETプレスキャンデータは、いかなる減衰も伴わずに、第1の標的領域の評価測定基準値を計算するために使用され得るが、第2の標的領域について、評価測定基準値は、第1の減衰量でPETプレスキャンデータを使用し得、第3の標的領域について、評価測定基準値は、第2の減衰量でPETプレスキャンデータを使用し得、以下同様である。減衰量は、連続的な標的領域が照射されることになる推定された時間、PETトレーサーの放射能、及び任意の患者特異的特性(例えば、年齢、サイズ、代謝速度など)に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。いくつかの変形例では、各測定基準に対する合格閾値(例えば、許容可能な範囲)は、治療セッション全体を通してPET信号の減少を考慮するために、各標的領域に対して異なり得る。治療セッション全体を通して、及び任意選択的に各標的領域の治療前に、第1、第2、及び/又は第3のPET測定基準を計算及び評価することは、BgRT療法が患者に安全に送達され得ることを確保するのを助け得る。全3つのPET評価測定基準値が各標的領域に対して計算され得るが、いくつかの変形例では、測定基準値のうちの3つ未満(例えば、1つ又は2つ)が、各標的領域に対して計算され得ることに留意されたい。例えば、全3つのPET測定基準値は、第1の標的領域について治療セッションの開始時に計算され得るが、後のPET信号評価及び/又は第2の標的領域以降について、CNR(NTSとも呼ばれる)測定基準値及びトレーサー活性濃度測定基準値のうちの一方又は両方が、計算されて(すなわち、線量測定基準なしで)、BgRT治療を継続するかどうかを決定し得る。
【0140】
いくつかの変形例では、BgRT処置の適合性を決定するとき、BgRT放射線療法システム100から新たに取得された撮像データに基づいて決定される、更新された第1、第2、及び第3の測定基準は、シミュレートされた撮像データに基づいて決定される、それぞれの第1、第2、及び第3の測定基準と比較され得る。いくつかの変形例では、新しい第1の測定基準と第1の測定基準との間の差が、許容可能な第1の差分閾値を上回る場合、又は/及び新しい第2の測定基準と第2の測定基準との間の差が、許容可能な第2の差分閾値を上回る場合、又は/及び新しい第3の測定基準と第3の測定基準との間の差が、許容可能な第3の差分閾値を上回る場合、BgRTが患者にとって好適ではないと決定される。いくつかの変形例では、方法は、第1、第2、及び第3の測定基準の値が、治療セッション全体を通して比較的一貫しているかどうかを決定することを含み得る(すなわち、測定基準の各々の分散が許容可能な範囲内にある)。任意選択的に、第1、第2、及び第3の測定基準の値が、許容可能な量を超えて変動する場合、方法は、治療セッションを一時停止するかどうかを決定し得るように、ユーザへの通知を生成することを含み得る。
【0141】
いくつかの変形例では、特定のPETトレーサーを有するBgRTが患者に対して好適ではないと決定される場合、異なるPETトレーサーが使用され得、異なるPETトレーサーを使用して取得されたPET撮像データに基づいて、BgRTの適合性の決定が繰り返され得る。本明細書に説明される測定基準の各々に対する閾値は、異なるPETトレーサーの放出及び/又は取り込み特性に少なくとも部分的に基づいて調整され得る。
【0142】
いくつかの変形例では、シミュレートされた撮像データもまた、BgRT計画を生成するために使用され得る。例えば、BgRT計画は、識別された標的領域(標的領域の境界を画定する点を含む)の座標、及びPET撮像データを、識別された標的領域内に位置する組織に送達される所定の放射線量をもたらす放射線フルエンスマップに変換する発射フィルタを含み得る。
【0143】
いくつかの変形例では、BgRTの適合性を決定するとき、シミュレートされた撮像データは、応答線(LOR)データに変換され得、LORデータは、品質保証目的のために使用され得る。例えば、LORデータは、BgRT計画内の発射フィルタが、所定の放射線量を送達するフルエンスマップをもたらすかどうかを試験するために使用され得る。いくつかの変形例では、組織に対する運動モデルは、LORデータを修正して、その組織運動を含めるために使用され得、修正されたLORデータは、BgRT計画を評価し、治療計画フルエンスマップ(発射フィルタをLORデータと畳み込むことによって計算される)が、運動モデルによって近似される運動の存在下で臨床的に許容可能である線量分布をもたらすことになるかどうかを決定するために使用され得る。
【0144】
本明細書に提供される例は、診断的PET画像からシミュレートされたBgRT放射線療法システムPET画像を生成する文脈にあるが、一方で、これらの方法はまた、仮想コンピュータ生成されたファントムからシミュレートされたPET画像を生成するためにも使用され得ることが理解されるべきである。「ノイズのない」PET画像は、仮想(例えば、コンピュータ生成された、デジタル)ファントム用のコンピュータによって生成され得る。本明細書に説明されるシミュレーション方法は、コンピュータ生成されたファントムのノイズのないPET画像を使用して、本明細書に説明される撮像アーチファクトを含む、シミュレートされたBgRT放射線療法システムPET画像を生成するために使用され得る。仮想ファントムは、患者の解剖学的構造の領域の三次元表現(例えば、CADモデル)であり得る。いくつかの変形例では、ファントムは、患者の標的解剖学的領域(例えば、腫瘍)を含み得る。いくつかの変形例では、仮想ファントムは、限定されるものではないが、解剖学的構造及び/若しくは標的領域のサイズ、形状、及び相対的配置、1つ以上の解剖学的構造及び/若しくは標的領域の絶対的及び/又は相対的運動、並びに/又は解剖学的構造及び/若しくは標的領域の組織密度を含む、患者の解剖学的構造及び/又は標的領域(例えば、腫瘍)の物理的属性を含み得る。仮想ファントムはまた、解剖学的構造についてのシミュレートされたPETトレーサー取り込み動態及び/又は特性を含み得る。コンピュータ生成されたファントムの一例は、xCATファントムであり、これは、「可視ヒト」プロジェクトに基づく患者の仮想解剖学的モデルである。xCATファントムは、解剖学的構造及び標的領域(並びに任意選択的に、それらの解剖学的構造及び標的領域のモーションモデル)を患者内に含めるようにプログラムされ得る。いくつかの変形例では、解剖学的構造の各々内のPETトレーサー取り込みのモデルは、xCATファントムの一部として含まれ得る。xCATファントムから生成されたPET画像は、本明細書に説明される方法のいずれかを使用して、シミュレートされたBgRT放射線療法PET画像に変換され得る。シミュレートされたBgRT放射線療法PET画像は、BgRT放射線療法システムのPET検出器がxCATファントムの画像を取得するために使用された場合に取得されることが予想されるPET信号に近似する。いくつかの変形例では、xCATファントムから生成されるノイズのないPET画像は、タイムスタンプを有する一連のLOR事象を含むリストである合成リストモードデータに変換され得、リストモードデータは、BgRT PET撮像システムに存在するアーチファクト及びノイズを含む。
【0145】
BgRT放射線療法システム応答性(LOR)シミュレータ
第1の条件のセットの下で取得又は生成されたPET撮像データを、第2の条件のセットの下で取得又は生成されたPET撮像データに変換するためのいくつかの方法は、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得されたLOR事象をシミュレートする合成LOR事象のシリアル化されたリスト(すなわち、各事象に対するLORカウント及びタイムスタンプ)を生成することを含み得る。LOR事象のシリアル化されたリストは、リストモードLORデータと呼ばれ、LOR事象の順序付きリストを含み、それらの対応する検出時間(すなわち、PET検出器によって検出されたときのタイムスタンプ)、並びにいくつかの変形例では、LORの角度(例えば、LORを感知した検出器の角度場所)、及びPET視野の中心からのオフセットを有する。これらの方法は、デジタルファントムの診断的PET撮像データ及び/又はノイズのないコンピュータ生成されたPET撮像データを、BgRT放射線療法システムで取得されたPET撮像データに存在するアーチファクト、ノイズ、及びPET検出器の制約を含む、リストモードLORデータに変換するために使用され得る。
【0146】
図13Aは、シミュレートされた又は合成リストモードLORデータを生成するための例示的な方法1300を示す。任意選択的に、方法1300は、合成リストモードデータに基づいて第2のPET画像を生成することを含み得る。合成リストモードLORデータは、第1のPET画像を取得したPET撮像システムとは異なるPET撮像システム上で取得され得るリストモードLORデータをシミュレートし得る。いくつかの変形例では、方法1300は、第1のPET画像を生成するために使用される撮像方法とは異なる撮像方法を使用して生成される第2のPET画像を生成するために使用され得る。例えば、方法1300は、仮想ファントムのコンピュータ生成されたPET画像を使用して、実際のPET撮像システムで取得されたPET LORデータ及び/又はPET画像をシミュレートする、合成リストモードデータ及び/又はPET画像を生成し得る。別の例として、第1のPET画像は、診断的PETシステム(例えば、PET検出器の完全なリングを有するPETシステム)上で取得されたPET画像であり得、方法1300は、データ及び画像がBgRT放射線療法システム(例えば、PET検出器の部分リング又は弧を有するPETシステム)のPET撮像システム上で取得されたかのように、合成リストモードデータ及び/又はPET画像を生成するために使用され得る。いくつかの変形例では、方法1300は、LOR角度及びPET画像からのオフセットデータを含むサイノグラムを生成すること(1311)を含み得る。PET画像は、診断的PET撮像システム又はコンピュータ生成されたファントムから取得され得る。例えば、PET画像は、解剖学的構造について取得され得る。いくつかの変形例では、解剖学的構造が移動している(例えば、肺が人の呼吸中に移動している)とき、複数のPET画像が、解剖学的構造の各運動フェーズに対して取得される。本明細書では、解剖学的構造の運動フェーズは、解剖学的構造の運動中の特定の時点における解剖学的構造の比較的変化しない位置である。更に、方法1300は、例えば、図4Cに関連して、上記のように、BgRT PET撮像システムなどのPET撮像システムのアーチファクトを含むように、サイノグラムを修正すること(1313)を含む。加えて、方法1300は、修正されたサイノグラムのLORをシリアル化することによって、リストモードLORデータを生成すること(1315)を含む。リストモードLORデータ生成の更なる詳細は、以下で論じられる。また、方法1300は、任意選択的に、解剖学的構造の運動フェーズに対応する各PET画像に対してリストモードデータを生成するプロセスを繰り返すこと(1317)を含み得る。更に、方法1300は、フィルタ補正逆投影アプローチ、飛行時間(TOF)、及び/又は反復再構成技術のいずれかによって、標的領域の第2のPET画像を生成すること(1319)を任意選択的に含み得る。
【0147】
図13Bは、シミュレートされた又は合成リストモードLORデータを生成するための方法の別の変形例である。任意選択的に、方法1320は、合成リストモードデータに基づいて第2のPET画像を生成することを含み得る。合成リストモードLORデータは、第1のPET画像を取得したPET撮像システムとは異なるPET撮像システム上で取得され得るリストモードLORデータをシミュレートし得る。方法1300とは対照的に、方法1320は、第1のPET画像からサイノグラムを生成することを含まない。一例として、方法1320は、飛行時間(TOF)PETシステムによって取得されたPET画像(又は画像の各画素若しくはボクセルが、例えば、PET画像の画素若しくはボクセルの強度が、LORカウント若しくは陽電子対消滅光子放射事象の数と相関する、LORカウント又は放射事象の数によって表される任意のPET画像)のシミュレートされた又は合成リストモードデータを生成するために使用され得る。方法1320は、標的領域の第1のPET画像を、PET画像内の各画素に対する陽電子対消滅光子放射事象の数を含むプロットに変換すること(1321)と、プロットから放射事象をサンプリングして、PET撮像システムのノイズ特性及び構成要素特性を含めること(1323)と、各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることによって、サンプリングされた放射事象をシリアル化することによって、プロットからリストモードデータを生成すること(1325)と、を含み得る。任意選択的に、方法1320は、各画素において、その画素における放射事象の数と相関する強度レベルをプロットすることによって、リストモードデータを使用して標的領域の第2のPET画像を生成すること(1327)を含み得る。いくつかの変形例では、合成リストモードデータは、特定のPET撮像システムの性質及び/又は特性を反映するように更に修正され得る。例えば、合成リストモードデータは、減衰、及び/又は視野、及び/又は検出器効率、及び/又は散乱を含む、PET撮像システムの1つ以上の特性を考慮するように修正され得る。合成リストモードデータに対する修正は、例えば、スケーリング係数の適用を乗算すること、検出器の視野に基づいてLORを選択すること、効率乗算係数を適用すること、及び/又は画像全体の散乱をシミュレートするために各LORの散乱カーネルを統合することを含み得る。代替的に、又は追加的に、合成リストモードデータは、合成サイノグラムに変換され得、撮像アーチファクト及び/又は補正は、合成サイノグラムに適用されて、特定のPET撮像システムからLORデータ(例えば、PET撮像データ)を取得することに起因し得るサイノグラムをシミュレートし得る。PET撮像システム性質の例は、方法1400のサイノグラム修正1421、並びに図14Bに図示されるフィルタ及び因子を参照して、以下に更に説明される。修正されたサイノグラムは、第2のPET画像を生成するように逆投影され得る。複数の第1のPET画像が経時的に同じ領域(例えば、標的運動を捕捉するための4-D PET)で提供される変形例では、方法1320が、運動フェーズに対応する各PET画像に対するリストモードデータを生成するために繰り返され得る。
【0148】
図14Aは、仮想ファントム(例えば、xCATファントム)の診断的PET画像又はノイズのないPET画像を使用してリストモードデータ(すなわち、対応する検出タイムスタンプを有するLORデータの配列)を生成するための方法の一変形例のフローチャート表現であり、図14Bは、BGRT放射線療法システムによって生成されたLOR(及びその後のPET画像)を統計的に表す合成LORを生成するための方法1400の概念図である。リストモードLORデータは、BgRT放射線療法システムで取得されたリストモードデータに存在し得る撮像アーチファクトを含み得る。生成されたリストモードLORデータは、BGRTシステム内のランダムなノイズをモデル化するポアソンプロセス(放射性崩壊を表す)として時間的に分布されたランダムな事象からなる。
【0149】
方法1400は、1つ以上の低ノイズPET画像をインポートすること(1411)と、計画スキャンパラメータ及びBgRTシステムパラメータを決定すること(1413)を含み得る。低ノイズPET画像の例としては、診断的PET撮像システムからの標的領域の診断的PET画像(例えば、図14Bに示すようなPET画像1440など)又は仮想ファントムのコンピュータ生成されたPET画像が挙げられ得る。診断的PET撮像システムは、BgRT放射線療法システムと関連付けられていない別個の撮像システムであってもよい。任意選択的に、方法1400は、BgRT PET撮像システムと関連付けられたパラメータを抽出することを含み得る。これらの計画パラメータとしては、ビームステーションの数及び場所、ビームステーションがどの程度離れているか、及びビームステーションが何個使用されているか、IEC-Y若しくは長手方向軸に沿った患者プラットフォームの場所、並びに/又はビームステーションにおける滞留時間、特定のガントリ位置におけるガントリの滞留時間、シミュレートされたPET画像が決定される間のガントリの回転数、BgRT PET撮像システムについて観察された散乱、治療用照射面を通過するカウチの数(すなわち、患者プラットフォームがビームステーションを通って移動する回数など)などの、計画スキャンと関連付けられた任意の他のパラメータが挙げられ得る。
【0150】
BgRTシステムパラメータは、BgRTシステムの幾何学的形状に関連するパラメータを含み得る(例えば、そのようなパラメータとしては、PET検出器の結晶幅、平面内及び軸方向に対する検出係数、PET検出器の場所、PET検出器の幾何学的形状、検出器の数、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度 、検出器時間解像度、又は任意の他のBgRTシステムパラメータ(例えば、BgRT PET画像取得と関連付けられたパラメータ)などが挙げられ得る。追加のパラメータBgRT PET撮像パラメータは、BgRT PET撮像システムの較正を含み得る。本明細書では、較正は、事前較正されたスケーリング係数を使用して、診断的PET画像を取得するときに診断的PET撮像システムによって記録される放射性トレーサーを含有する解剖学的構造からの放射線強度と、放射性トレーサーを含有するその特定の解剖学的構造に対してBgRT PET撮像システムによって記録されたことになるLORの数とをマッピングする。減衰及び散乱(元のファントム画像に含まれていない可能性がある)が、サイノグラムに追加され得る。
【0151】
方法1400は、標的領域のインポートされた低ノイズ診断的PET画像を、シミュレートされたスキャンに使用されるビームステーションに対応する画像のセットに分割すること(1415)を更に含み得る。例えば、PET画像が複数のPET画像スライスを含有する場合、これらのスライスは、スライスのセットにグループ化され得、スライスの各セットは、BgRTシステムの特定のビームステーションに対応する。
【0152】
方法1400は、上記のように、計画スキャンパラメータ及びRTシステムパラメータから指定されるように、各ビームステーションのPET画像から診断的サイノグラム(例えば、図14Bに示されるようなノイズのないサイノグラム1442)を生成すること(1417)を更に含む。一変形例では、診断的サイノグラムは、順投影(ラドン変換)を使用して診断的PET画像から生成され得る。サイノグラムは、診断的PET画像(PET検出器の完全なリングを使用してPET信号を取得し、長い取得時間を有する)及び/又は仮想ファントム(例えば、xCATファントム)のノイズのないPET画像から生成されるため、この「理想的な」又は診断的サイノグラムは、ノイズ又は撮像アーチファクトを、あったとしてもほとんど含有しない「理想的な」LORのセットを表し得る。いくつかの変形例では、仮想ファントムから生成されるサイノグラムのLORは、現実世界のPET撮像システムの特性(例えば、PET検出器の感度、PET検出器の場所、制限された取得時間など)のうちのいずれかを含まないか、又はそれらを考慮しなくてもよい。
【0153】
更に、方法1400は、放射性トレーサーの放射能レベル(例えば、サイノグラム上の画素の「強度」)を、サイノグラムビンの各々における予想されるLORカウントの数に変換する事前較正されたスケーリング係数を使用して、各ビームステーションの診断サイノグラムを個々のLORの第2のサイノグラム(例えば、図14Bに示されるような第2のサイノグラム1444)に変換すること(1419)を含む。診断的サイノグラムを個々のLORを有する第2のサイノグラム1444に変換することは、第2のPET撮像システムのPET検出器の特性、及び/又は検出可能であるLOR(したがって、検出されるLOR)の数に影響し得るPETトレーサー特性を組み込み得る。スケーリング係数は、第2のPET撮像システム及び/又はPETトレーサーのPET検出器の特性を表し得、PET検出器感度(例えば、BgRT放射線療法システムのPET検出器の感度)の較正及び/又はPETトレーサーの活性濃度のうちの1つ以上に基づいて定義され得る。異なるPET検出器及び/又は幾何学的形状を有する、又は異なるPETトレーサーを使用するシステムは、異なるスケーリング係数をもたらし得る。例えば、1ミリリットル当たりキロ(k)ベクレル(kBq/ml)の単位で測定される特徴的な放射能濃度を有する特定のPETトレーサーについては、その放射能に基づいて、予想されるLORの数又はカウントが存在し得る:LOR=スケーリング係数×放射能濃度。ビームステーションで検出可能なLORの数はまた、そのビームステーションにおける滞留時間によって影響され得る。スケーリング係数はまた、第2のPET撮像システムのPET検出器がLORを検出する能力を組み込み得、つまり、PETトレーサーの放射能は、特定の数のLORをもたらし得るが、一方で、PET検出器は、LORが生成される場所に対して、それらの感度及び/又は配置によってそれらのLORを検出する能力が制限され得、PETトレーサーによって放出されたLORよりも少ないLORを検出し得、いくつかの変形では、診断的PET画像について検出されたLORよりも少ないLORを検出し得る。スケーリング係数は、これらの特性を反映するように選択され得る。いくつかの変形例では、スケーリング係数は、第2のPET撮像システムに対して測定され得る。一例として、PET検出器の完全なリングを有する診断的PET撮像システムのスケーリング係数は、2つの対向する部分リングに配置されたPET検出器を有するBgRT放射線療法のPET撮像システムのスケーリング係数とは異なり得る。この事前較正されたスケーリング係数が、診断的PET画像の比較的ノイズのないサイノグラム及び/又は仮想ファントムのノイズのないPET画像を修正するために使用される場合、結果として得られる(すなわち、第2の)サイノグラムは、第2のPET撮像システム(例えば、BgRT放射線療法システムのPET撮像システム)に存在するノイズ及びアーチファクトを含むLORを有し得る。BgRT放射線療法システムの一実施態様では、スケーリング係数は、約100~約5000、例えば、約2000と推定され得る。
【0154】
方法1400は、第2のPET撮像システムの性質を含むように、各ビームステーションに対して第2のサイノグラム(図14Bに示されるようなサイノグラム1444)を修正すること(1421)を更に含み得る。そのような特性の例としては、図14Bのプロセス1445によって概略的に示されるように、散乱、検出器効率、減衰など(例えば、BgRT放射線療法システムのPET撮像システム)が挙げられ得る。図14Bに示されるように、第2のサイノグラム1444は、散乱フィルタ(図14Bに示されるような散乱1446a)、並びに検出器効率1446b及び視野補正1446cと関連付けられたフィルタを適用するいくつかの係数を使用することによって、BgRT画像に対応するように修正される。加えて、診断的スキャナで使用された任意の減衰補正係数(>1)は、フィルタ処理され得る(例えば、減衰1446Dの前の分割符号によって概略的に示されるように除去される)。XCATファントムを用いた変形例では、減衰は想定されず、BgRT PET撮像システムに対応するサイノグラムを取得するために、各LORによって経験される追加の減衰が組み込まれる(例えば、追加される)必要があることに留意されたい。減衰フィルタは、XCATファントムに付属し得る。結果的に得られたサイノグラム1448は、診断的サイノグラムの修正されたサイノグラムを表す。サイノグラム1448は、BgRT PET撮像システムによって取得されたサイノグラムと類似したサイノグラムを取得するためにランダムサンプリングが使用されていないという意味で、依然として「ノイズがない」ことに留意されたい。
【0155】
方法1400はまた、第2のサイノグラムのLORをシリアル化することによって、各ビームステーションに対して合成リストモードデータを生成すること(1423)を含み得る。ビームステーションサイノグラムのLORをシリアル化することは、サイノグラムビンをランダムな事象に再サンプリングすることを含み得る(例えば、図14Bに示される再サンプリング1447を参照されたい)。再サンプリング1447は、図15Aに関連して以下に更に説明されるように、逆変換サンプリングを使用することによって、サイノグラムビンをランダムLOR事象のセットに変換することを含み得る。更に、リストモードLORデータを生成すること(1423)は、各事象(LOR)にタイムスタンプを割り当てること(図14Bに示されるタイムスタンプ1449を割り当てることを参照されたい)を含む。タイムスタンプは、ランダムに割り当てられ、図17A及び図17Bに関連して以下に更に説明されるように、指数確率分布(ポアソン確率分布と関連付けられる)に従う。最後に、方法1400は、BgRT PET撮像プロセス中に取得され得る典型的なサイノグラムをシミュレートするシミュレートされたサイノグラムを生成するために、リストモードLORデータを再ビニングする任意選択的なステップ1425を含み得る(例えば、シミュレーションサイノグラム1460をもたらす再ビニング1451が図14Bに示される)。再ビニング1425は、サイノグラムデータ点を、リストモードLORデータ内の各LORに対するサイノグラムビンと関連付けることを含む。本明細書では、サイノグラムビンは、類似のLORデータ点の群に対応するサイノグラム内の領域である)。いくつかの変形例では、シミュレートされたサイノグラムは、任意選択的に、BgRT PET撮像システム上で取得され得るPET画像をシミュレートするPET画像に逆投影され得る。これらのシミュレートされたPET画像は、上記のように、BgRTが患者に好適であるかどうかを評価するために分析され得る。いくつかの変形例では、ステップ1417~1425は、各運動フェーズに対して繰り返され得る。
【0156】
元の画像とは異なるスキャナからLORをシミュレートするための方法の一変形例は、散乱、検出器効率、減衰、及び視野の制限の影響を含むように、元の画像からLORを修正することを含み得る。例えば、散乱フィルタ(図14Bに示される散乱1446a)、及び/又は検出器効率1446b及び視野補正1446cと関連付けられたフィルタは、元の画像からのLORに適用され得る。加えて、元のスキャナで使用された任意の減衰補正係数(>1)がフィルタ処理され得る。いくつかの変形例では、減衰は、カウントへの変換を修正することによって補正され得る。これらのフィルタ(1446A~1460D)及び補償効果の例が図14Bに図示される。いくつかの変形例では、第2のスキャナの視野内にないLORは、除外され得る。いくつかの変形例では、他の散乱及びランダムな事象が、元の画像に直接適用され得る。
【0157】
図15Aは、1つ以上のPET画像からのサイノグラムを使用してリストモードLORデータを生成する例示的な方法1500を示す。方法は、標的領域の診断的PET画像から(又は上述のようにコンピュータ生成されたファントムから)診断的サイノグラムを生成すること(1511)を含む。診断的サイノグラムは、セクション(サイノグラムビンBin(i、j、k))に分割され得、各ビンは、角度の範囲
【数2】

並びに法線距離(オフセット)の範囲S=s±ds及び所与のスライス、又はいくつかの変形例では、検出器列k(例示的な検出器列kが図2Dに示される)を含有する。例示的な診断的サイノグラムのセット1540が図15Bに示される。診断的サイノグラム1540は、サイノグラムスライス1541A、1541Bなどを含み、各スライスは、IEC-Y方向に沿って位置する特定の検出器列kに対応する。各サイノグラムスライスは、図15BのBin(i、j、k)によって示されるようにビンに分割される。特定のサイノグラムビンBin(i、j、k)内のLORは、ほぼ同じ角度θ、及びほぼ同じ法線距離s、及び同じ検出器列kを有する。したがって、Bin(i、j、k)は、列kにおけるLOR(i、j)に対応すると言える。したがって、各サイノグラムビンは、対応する角度θ(例えば、検出器位置)及びオフセットSで検出されたLOR事象を表す。
【0158】
方法1500は、PETサイノグラム(例えば、診断的サイノグラム1540)から、逆累積確率密度関数(CDF)を生成すること(1513)を含む。CDFは、サイノグラムビンからのLORカウントのヒストグラムから取得され得る。
【0159】
一変形例では、LORカウントのヒストグラムからCDFを生成するための方法は、各サイノグラムビンBin(i、j、k)に対するカウント数cを示すヒストグラムを生成(例えば、プロット)することを含み得る。カウント数ci,j,kは、カウント数を全てのビン内の全てのLORの合計カウントTで除算することによって、確率pi,j,kに変換され得る、
【数3】

次いで、pi,j,k=ci,j,k/T。確率pi,j,kは、サイノグラムビンBin(i、j、k)に1つのカウントを有する確率を示す。一実施態様では、ビンBin(i、j、k)は、Bin(l)として連続的に再番号付けされ得る。あるいは、ビンは、各値kに対して連続的に再番号付けされ得る(例えば、1514Aなどの各サイノグラムスライスは、連続的に番号付けされたビンBin(l)を有し得る)。CDF、サイノグラムについて、F(l)は、次いで、確率を合計することによって生成され得る
【数4】

次いで、生成されたCDFは、例えば、任意の逆伝達関数を使用して、及び/又はCDF上の各点に対するx及びyの値を入れ替えることによって反転され得、その例が図15Gに図示される。
【0160】
図15Gは、ビン番号lの関数として累積分布関数1580の例を示す(ビン番号lは、必ずしもサイノグラムビンと常に関連付けられる必要はないが、いくつかの変形例では、図16Aに関連して以下に更に説明するように、物理的空間のビン(ボクセル)と関連付けられ得ることに留意されたい)。CDF1580は、最後のビン番号で1に等しく、全ての確率が1(すなわち、
【数5】
)に加算されることを示すことに留意されたい。更に、図15Gは、サイノグラムビン数と確率値の間隔[0,1]との間のマッピングを提供する逆CDF1581を示す。逆CDF1581は、LOR点が記録されている(すなわち、LORのカウントが追加されている)サイノグラムビン番号lをサンプリングするために使用される。そのようなサンプリングは、最初に間隔[0,1]で数値Uをランダムに選択し、次いで、逆CDF1581を使用して、LORカウントを記録するためのサイノグラムビン番号lを取得することによって達成される。プロセスは、十分な数のLORがサンプリングされるまで繰り返される。上記のように、数値Uは、一様確率分布に基づいて、間隔[0,1]からランダムにサンプリングされ得る。
【0161】
代替的な実施態様では、例えば、各サイノグラムビンに対して比較的低いLORカウント(例えば、各サイノグラムビンに対して数百未満のLOR、各サイノグラムビンに対して数十未満のLOR)が存在する場合、CDFは、図15Cに示されるように、方法1501によって示されるように取得され得る。例示的な実施態様では、方法1501は、方法1500のステップ1513に対応し得る。
【0162】
方法1501は、1~それらの最大のそれぞれの値(Max(i)、Max(j)、Max(k))の範囲のそれぞれのインデックス(i、j、k)を使用して、全てのサイノグラムビンを番号付けすること(1551)を含む。例えば、サイノグラムビンは、Bin(i、j、k)として番号付けされ得る。更に、方法1501は、それぞれのインデックス(i、j、k)の関数として累積LORカウントを計算すること(1553)を含む。そのような累積LORカウントは、X(i)、Z(j)、及びY(k)LOR累積カウントと称され、これらのLOR累積カウントが、それぞれのIEC方向X、Z、及びYに沿って蓄積されることを示す。いくつかの変形例では、LOR累積カウントX(i)、及びZ(j)は、検出器の特定の列kに対応する特定のインデックスkについて計算され、X(I;k)及びZ(j;k)と称される。
【0163】
累積LORカウントは、様々なやり方で計算され得る。一実施態様では、LOR累積カウントX(i)は、各サイノグラムビンBin(i、j、k)に対するLORカウントL(i、j、k)を、j、及びkなどの2つの他のインデックスにわたって、
【数6】
のように、合計することによって計算され得る。同様に、
【数7】

及び
【数8】

累積LORカウントX(i)、Z(j)、及びY(k)が、それぞれのIEC方向IEC-X、IEC-Y、及びIEC-ZごとのLORカウントのヒストグラムに対応することに留意されたい。
【0164】
別の実施態様では、LOR累積カウントX(i;k)及びZ(j;k)が特定のインデックスkに対して計算される場合、これらの累積LORカウントX(i;k)及びZ(j;k)は、特定のインデックス値kにおけるサイノグラムスライスについて、それぞれのインデックスj又はiに沿ってLORカウントを最初に合計することによって計算され得る。例えば、図15Dは、所与のインデックスkによって特徴付けられる特定のサイノグラムスライス(図15Bに示されるスライス1541Aと同様)について、ビン{X、Z}(例えば、ビン{X3、Z4}が図15Dに示される)を概略的に示す。各ビン{X、Z}は、LORカウント(例えば、LORカウント1550~1552)を含有する。例示的な実施態様では、矢印A1によって図15Dに示されるように、各ビンBin(i、j、k)におけるLORカウントL(i、j、k)は、
【数9】
のように合計され、特定のkの値について、インデックスiの関数としてLORカウント数X(i;k)をもたらし得る。本明細書では、上述されたように、Max(j)は、最大jインデックスである。同様に、矢印A2によって図15Eに示されるように、各ビンBin(i、j、k)におけるLORカウントL(i、j、k)を、
【数10】
のように合計されて、kの特定の値について、インデックスjの関数としてLORカウント数Z(j;k)をもたらし得る。本明細書では、上述されたように、Max(i)は、最大iインデックスである。スライスkにわたってX(i;k)及びZ(j;k)を合計することによって、X(i)、Z(j)を取得することができ、すなわち、
【数11】
及び
【数12】
である。最後に、上述されたように、
【数13】
である。
【0165】
方法1501は、LOR累積カウントX(i)をLORカウントの総数
【数14】
によって単に除算することによって、LOR累積カウントX(i)を、対応する確率分布関数p(i)、p(j)、及びp(k)に変換すること(1555)を更に含む。したがって、p(i)X(i)/T、p(j)=Z(j)/T、及びp(k)=Y(k)/Tである。X(i;k)及びZ(j;k)のLOR累積カウントについては、確率は、kの各値について
【数15】
のように計算され、
【数16】
であることに留意されたい。
【0166】
方法1501はまた、対応する確率分布関数を
【数17】
のように部分的に合計することによって、各(IEC-X、IEC-Z、IEC-Y)軸に対してCDFを生成すること(1557)を含む。X(i;k)、及びZ(j;k)のLOR累積カウントについて、対応するCDF(i;k)及びCDF(j;k)は、
【数18】
のように計算されることに留意されたい。CDFプロットの例(軸のいずれかに対する)が、図15Gの上のプロット1840に図示されている。
【0167】
更に、方法1501は、生成されたCDFの各々から逆変換関数を作成することによって、(IEC-X、IEC-Z、IEC-Y)軸に沿ってビンに対するサンプリング曲線を生成すること(1559)を含む。逆変換関数(本明細書では逆CDFとも呼ばれる)は、CDFを垂直軸で反転させた後、時計回りに90度の回転によって生成され得る。逆CDFプロットの例(軸のいずれかに対する)が、図15Gの下のプロット1841に図示されている。逆CDFは、0~1の間隔(CDFプロットの水平軸上にプロットされ得る)をビン番号(CDFプロットの垂直軸上にプロットされ得る)にマッピングする。いくつかの変形例では、CDF、すなわち、CDF(i)、CDF(j)、CDF(k)のうちのいずれかは、本明細書に説明されるように反転されて、ICDF(p)、ICDF(p)、又はICDF(p)としてそれぞれ表記される対応する逆CDFをもたらし得、pは0~1の範囲であり、それぞれの出力はi、j、又はkである。同様に、CDF(i;k)及びCDF(j;k)については、対応する逆CDFは、ICDF(p;k)、又はICDF(p;k)であり、pは、0~1の範囲であり、それぞれの出力は、インデックスkの特定の値に対して、i、jである。
【0168】
方法1501の完了で、方法1500のステップ1513が終了する。次いで、方法1500は、生成された逆CDFから、シリアル化のためのLOR事象をランダムにサンプリングすること(1515)を含み得る。ランダムなサンプリングは、0~1の乱数pを選択すること(乱数pは、一様確率分布を使用して選択される)と、逆CDFへの入力として選択された乱数pを使用して、ビン番号のそのCDFインデックス(例えば、関連付けられたICDF(i)、ICDF(j)、又はICDF(k)に対応するインデックスi、j、又はk)に対応するものを生成することと、を含む。次いで、生成されたインデックスi、j、及びkは、特定のサイノグラムビンBin(i、j、k)を選択するために使用され、これは、シリアル化され得るLOR事象をもたらす。ICDF(p;k)又はICDF(p;k)について、入力として乱数pを選択することは、インデックスkの所与の値に対してインデックスi、jを生成する。
【0169】
いくつかの変形例では、ステップ1515は、例えば、ICDF(i)、ICDF(j)、又はICDF(k))関数が使用されるときに、図15Fに示されるサブステップ1561~1569を含み得る。例えば、ステップ1515は、0~1のランダムに均一に分布した数を生成すること(1561)と、IEC-X方向に対する逆CDF(例えば、ICDF(i))を使用して、生成された乱数に対応するビンに対するインデックスiを識別すること(1563)と、IEC-Z方向に対する逆CDF(例えば、ICDF(j))を使用して、生成された乱数に対応するビンに対するインデックスjを識別すること(1565)と、IEC-Y方向に対する逆CDF(例えば、ICDF(k))を使用して、生成された乱数に対応するビンに対するインデックスkを識別すること(1567)と、識別されたインデックスi、j、及びkを有するLORがシリアル化されることになるビンを選択すること(1569)と、を含み得る。
【0170】
方法1500は、サンプリングされたLOR事象がBgRT放射線療法システムPET検出器によって検出可能であるかどうかを決定すること(1517)を含む(例えば、LOR事象は、LOR事象と関連付けられたガンマ線がPET検出器に到達しないようにPET検出器が位置付けられる場合、BgRT放射線療法システムPET検出器によって検出されない場合がある)。これは、サンプリングされたLORをBgRTシステムの幾何学的形状にプロットし、LORが所与の発射角度に対して両方の検出器と交差することを検証することによって行われる。LOR事象が、BgRT放射線療法システムPET検出器によって検出されないと決定された場合(ステップ1517、いいえ)、方法1500は、ステップ1515に戻る。あるいは、LOR事象がBgRT放射線療法システムPET検出器によって検出されると決定された場合(ステップ1517、はい)、方法1500は、選択されたビンに対応するサンプリングされたLORのポアソン分布タイムスタンプをランダムに割り当てること(1519)に進む。ポアソン分布を使用してタイムスタンプを割り当てる更なる詳細が、図17A及び図17Bに関連して以下に説明される。
【0171】
更に、方法1500は、サンプリングされたLOR事象を、その対応するタイムスタンプを有するデータベースに記憶すること(1521)と、割り当てられたタイムスタンプに基づいて、タイムスタンプが発射位置で滞留時間を満たすか、又はそれを超えるかを決定すること(1523)と、を含む。タイムスタンプが、所与の検出器位置で滞留時間を満たさないか、又は超えない場合(ステップ1523、いいえ)、方法1500は、ステップ1515に戻る。あるいは、タイムスタンプが所与の検出器位置で滞留時間を満たすか、又はそれを超える場合(ステップ1523、はい)、方法は、ビームステーションの全ての検出器位置が完了するまで、次の検出器位置(例えば、上記の位置lpos)を選択すること(1525)を含む。
【0172】
方法1300~1500は、診断的PET撮像システム(又は仮想ファントムのコンピュータ生成されたPET画像のサイノグラム)から取得された診断サイノグラムを使用した合成リストモードLORデータの生成に関する。TOF PET検出器によって取得されたデータを使用して画像が生成されるとき、診断的PET画像は、診断的サイノグラムのフィルタ処理された逆投影によって生成されない場合があり、そのような投影処置と関連付けられたエラーを含まない場合がある。TOF PET検出器を使用して取得された診断的PET画像は、IEC座標によって説明される物理的空間(ここでは、ボクセルは物理的空間の小さい体積と呼ばれる)内の様々なボクセルにおける放射事象を記録し得る。TOF PET画像については、座標IEC-X、IEC-Z、及びIEC Yが、対消滅事象の場所について既知である。しかしながら、対消滅事象に対応するLORの角度θ及びオフセットSは、既知でなくてもよい。更に、対消滅事象のタイムスタンプは、既知でなくてもよい。いくつかの変形例では、一対のガンマ線が放出される角度は、均一な分布を有し、均一な分布は、図16A及び図16Cに関連して以下に更に説明するように、0~360の角度をランダムにサンプリングするために使用され得る。
【0173】
図16Aは、TOF PET検出器を使用して取得されたPETデータから生成されたPET画像から合成リストモードLORデータを生成するための方法の一変形例のフローチャート表現である。一変形例では、診断的PET画像は、二次元画像を表し得、検出器の特定の列に対応するIEC-Y場所で撮影され得る(例えば、図2Dに示される検出器の列kについて)。方法1600は、診断的PET画像を画素又はボクセルV(i、j)に分割すること(1611)を含み得る。一変形例では、インデックスiは、方向IEC-Xに沿ったボクセルインデックス座標を示し得、インデックスjは、方向IEC-Zに沿ったボクセルインデックス座標を示し得る。ボクセルV(i、j)は、二次元診断的PET画像を小さい二次元エリアに分割し得ることに留意されたい。方法1600は、TOF-PET画像から始まるリストモードデータを生成する文脈で説明されているが、一方で、この方法はまた、画像の各画素又はボクセルが、LORカウント又は放射事象の数によって表される(例えば、PET画像の画素又はボクセルの強度は、LORカウント又は陽電子対消滅光子放射事象の数と相関する)、任意のPET画像とともに使用され得る。
【0174】
方法1600は、各ボクセルV(i、j)に対する放射事象E(i、j)の数(すなわち、陽電子対消滅光子放射事象)を計算すること(1613)を含む。更に、方法1600は、放射事象の数を確率分布関数に変換すること(1615)を含む。例示的な実施態様では、放射事象E(i、j)の数は、各対i、jに対して、固有のインデックスlが存在するように、最初に、単一のインデックスlで連続的に再番号付けされ得る。例えば、放射事象E(i、j)の数は、E(i、j)=E(l)となるように、列優先順序又は行優先順序で再番号付けされ得る。更に、放射事象の総数
【数19】
は、確率分布関数p(l)=E(l)/Tを取得するために使用される(ここでは、上記のように、Max(i)及びMax(j)は、それぞれのインデックスi、及びjの最大値である)。
【0175】
更に、方法1600は、ステップ1615で取得された確率分布関数からCDFを決定すること(1617)を含む。例示的な実施態様では、CDF(l)は、
【数20】
として取得される。加えて、方法1600は、CDFを垂直軸で反転させた後、時計回りに90度の回転によって、逆CDFを生成することを含む。逆CDF(ICDF(p))は、0~1の間隔(ICDFプロットの水平軸上にプロットされ得る)をボクセル番号l(ICDFプロットの水平軸上にプロットされ得る)にマッピングする。
【0176】
方法1600は、生成されたICDF(p)から、シリアル化のための放射事象をランダムにサンプリングすること(1619)を含む。ランダムなサンプリングは、0~1の乱数pを選択すること(乱数pは、一様確率分布を使用して選択される)と、ICDF(p)への入力として選択された乱数pを使用して、2つの固有のインデックスi及びjにマッピングするビンインデックスlに対応するものを生成することと、を含む。次いで、生成されたインデックスi及びjは、放射事象が発生すると決定される特定のボクセルV(i、j)を選択するために使用される。ボクセルV(i、j)を選択することは、放射事象の物理的座標IEC-X及びIEC-Zを決定する(例えば、物理的座標IEC-X及びIEC-Zは、ボクセルの中心の座標V(i、j)、又はボクセル内のランダムな点の座標V(i、j)であるように選択され得る)。診断的PET画像が3-D PET画像である変形例では、方法1600はまた、生成された逆CDFから、放射事象をランダムにサンプリングして、LOR放射事象のIEC-Y座標を決定することを含み得る。
【0177】
方法1600は、0~360度の範囲内のLORの角度θをランダムに選択すること(1621)を更に含み得る。座標IEC-X及びIEC-Zが決定されると、角度θと同様に、ステップ1623又は方法1600に示されるように、オフセットSもまた、決定され得る。例えば、図16Bは、原点O、IEC-X座標X、IEC-Z座標Z、及び点1630によって示される放射事象を通過するLOR線を示す。LOR線は、図16Bに示されるように、角度θに向けられる。更に、オフセットSは、S=(Ze-Xe・tanθ)・cosθとして計算され得る。
【0178】
方法1600は、生成されたLORが2つの対向するPET検出器によって検出可能であるかどうかを決定すること(1624)を含み得る。いくつかの変形例では、生成されたLORがPET検出器によって検出されることができるかどうかを決定すること(1624)は、LORがPET検出器と交差するかどうか(又は言い換えると、PET検出器がLORの経路内にあるかどうか)を決定することを含み得る。LOR経路は、画像空間内のLORの計算された角度及びオフセットをプロットし、どの検出器(存在する場合)がLOR経路内にあるかを決定することによって決定され得る。LORが2つの検出器と交差する場合、撮像システムがLORを検出しており、LORがリストモードデータでカウントされ得ると仮定される。
【0179】
角度θ及びオフセットSによって特徴付けられるLORがPET検出器によって検出可能である場合、方法1600は、ポアソン確率分布に基づいて、タイムスタンプを割り当てること(1625)を含み得る(以下に更に説明されるように)。
【0180】
方法1600は、LOR事象を、その対応するタイムスタンプを有するリストモードLORデータに記憶すること(1627)を更に含む。
【0181】
図16Cは、TOF PET検出器を使用して取得されたPETデータから生成されたPET画像から合成リストモードLORデータを生成するための方法の別の変形例のフローチャート表現である。方法1601は、各ボクセルにおける放射事象の数が比較的小さい(例えば、各ボクセル当たり数百未満の放射事象、各ボクセル当たり数十未満の放射事象)ときに使用され得る。方法1601のステップ1641は、方法1600のステップ1611と同じであってもよい。更に、方法1601は、インデックス座標i及びインデックス座標jの関数として、放射事象の累積数を計算すること(1643)を含む。例えば、累積放射事象関数E(i)は、
【数21】
のように計算され得、式中、Max(j)は、最大jインデックスである。同様に、累積放射事象関数E(i)は、
【数22】
のように計算され得、式中、Max(i)は、最大iインデックスである。
【0182】
累積放射事象関数E(i)及びE(j)を使用して、方法1601は、放射事象E(i)及びE(j)の累積数を、pEX=E(i)/T及びpEZとしてそれぞれの確率分布関数に変換すること(1645)を含む。=E(j)/T(予想されるように、
【数23】
であり、
【数24】
であることに留意されたい)。
【0183】
更に、方法1601は、ステップ1645で取得された確率分布関数pEX及びpEZから、それぞれのCDF(i)及びCDF(j)を決定すること(1647)を含む。例示的な実施態様では、CDF(i)及びCDF(j)は、
【数25】
及び
【数26】
として取得される。更に、方法1600は、それぞれのCDFを垂直軸で反転させた後、時計回りに90度の回転によって、逆ICDFEX(p)及びICDFEZ(p)を決定することを含む。累積確率関数を逆CDFに変換する一般的なプロセスが、例えば、図15Cに上記される。CDF及び対応する逆CDFの例が図15Gに図示される。ICDFEX(p)は、0~1の間隔をインデックス番号iにマッピングし、ICDFEZ(p)は、0~1の間隔をインデックス番号jにマッピングする。インデックスi、jが決定されると、次いで、これらのインデックスは、放射事象が発生すると決定される特定のボクセルV(i、j)を選択するために使用される。ボクセルV(i、j)を選択することは、放射事象の物理的座標IEC-X及びIEC-Zを決定する。ステップ1649を完了した後、方法1601は、方法1600のそれぞれのステップ1621~1627と同じであり得る、ステップ1651~1657に進み得る。
【0184】
図16Dは、PET画像を合成応答線(LOR)に変換するための方法1660の一変形例を図示する。PET画像は、TOF PETを使用して生成された診断的PET画像、及び/又は仮想ファントムのコンピュータ生成されたPET画像であり得、PET画像の各画素の強度は、その画素の空間的場所で発生した放射事象の数と相関する。方法1660は、PET画像から陽電子対消滅光子放射事象をサンプリングすること(1661)と、各サンプリングされた放射事象に対する検出角度を選択すること(1663)と、空間座標及び各サンプリングされた放射事象に対する選択された検出角度に基づいてオフセットを決定すること(1665)と、各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てること(1667)と、各放射事象に対する検出角度、オフセット、及びタイムスタンプを組み合わせることによって、合成リストモードLORデータを生成すること(1669)と、を含み得る。初期PET画像が、TOF PET画像又は任意のPET画像であり得、各画素の強度が、その画素の場所に対応する空間座標を有する放射事象の数と相関する。いくつかの変形例では、放射事象をサンプリングすることが、放射事象の数を確率分布関数に変換することと、累積分布関数(CDF)及び逆CDFを決定することと、生成された逆CDFから放射事象をランダムに選択することと、を含み得る(図15Gを参照して上記に説明されたように)。検出角度を選択することが、0度~360度の範囲の角度をランダムに選択することを含み得る。画素の空間座標及び対応する放射事象が、IEC-X及びIEC-Zの座標を含み得、オフセットが、IEC-X座標、IEC-Z座標、及び選択された検出角度を使用して決定され得る。いくつかの変形例では、方法1660が、放射事象にタイムスタンプを割り当てる前に、放射事象(その空間座標、選択された検出角度、及び決定されたオフセットを有する)に対応するLORが、PET撮像システムのPET検出器と交差するかどうかを決定することを更に含み得る。いくつかの変形例では、各放射事象にタイムスタンプを割り当てることが、以下に更に説明されるように、ポアソン統計に従って放射事象間の時間間隔を選択することを含み得る。
【0185】
上記のように、方法1500、1600、1601、及び1660は、指数分布関数に関連するポアソン確率分布関数に基づいて、サンプリングされたLORのタイムスタンプを割り当てることを含む。時間tにおける以前の放射事象の後に発生する放射事象の確率は、P(t)=1-exp(-λ・t)として指数CDFによって与えられ、これは、指数確率分布関数f(t)=λ・exp(-λ・t)を積分することによって取得される。指数確率分布関数f(t)は、時間の関数として記録された放射事象のヒストグラムから取得され得る。放射事象の例示的なヒストグラム1711が図17Aに示される。ヒストグラム1711は、時間の関数としてのLORカウントの数を示す(ミリ秒単位の時間)が水平軸上に示される)。例えば、最初の1ミリ秒の間、平均約350カウントが記録される。ヒストグラム1711は、各時点におけるLORカウントをカウントの総数で除算することによって、確率分布関数に変換され得る。例示的な指数確率分布関数1712が図17Bに示され、式f(t)=λ・exp(-λ・t)によって与えられ、式中、λは、確率分布関数1712が時間とともにどの程度速く減衰するかを示す減衰速度である。例えば、確率分布関数1712は、約半分のミリ秒でeの係数(約2.8の係数)だけ減衰し、exp(-1)=exp(-λ・0.5・10-6)、又はλ~2000[1/s]を示す。CDF P(t)=1-exp(-λ・t)は、以前のカウントが記録された後にLORカウントが発生するのに必要な持続時間の確率を示す。例えば、2つの後続のカウント間の持続時間の約60パーセントは、ミリ秒の半分未満であり得る(P(0.5ms)=1-exp(-1)=0.63)。確率分布関数1712の期待値は、1/λであり、ミリ秒の約半分であると推定される。したがって、10,000個のLORを収集するには、平均で約10,000/λ、又は0.05秒を必要とする。これは、各ビームステーションにおけるBgRT処置中の滞留時間と同様である。例えば、BgRT処置の間、データは、各ビームステーションで約数秒間収集され得、各ビームステーションに対して4回の通過があり、ビームステーション当たり約数十秒の総収集時間をもたらし得る。例えば、20秒で、収集されたLORの数は、20・λ=20・2000=40,000LORに等しい。
【0186】
いくつかの変形例では、LOR事象又はカウントの間の時間間隔は、0~1の乱数pを選択することと、pの値に対応するCDF上の時間間隔を識別することとによって生成され得る。代替的に、又は追加的に、CDF P(t)=1-exp(-λ・t)は、
【数27】
のように逆CFD(ICDF)に変換され得、pは0~1の範囲である。ICDF(p)は、0~1の間隔を、2つの連続放射事象Ek-1とEとの間の時間差Δt(k-1;k)にマッピングする。事象Eのタイムスタンプt(k)は、全ての時間差を
【数28】
のように合計することによって取得され得る。タイムスタンプt(k)が発射位置における滞留時間を超える場合、全てのLORが収集され得、検出器位置が変更され得る(例えば、PET検出器を含むガントリは、新しい発射角度位置lposに移動し得る)。例示的な実施態様では、ガントリは、各発射角度位置lposで数ミリ秒(例えば、1~20ミリ秒)を費やし得る。
【0187】
シミュレートされた(例えば、合成)LOR、タイムスタンプ、検出器位置などは、全て、「リストモード」テーブルで組み立てられ得る。次いで、合成リストモードLORデータが、ノイズの多い又は不十分な(例えば、不完全な)LORサンプリングと関連付けられたアーチファクトを含み得るサイノグラムを生成するために使用され得る。図18は、LORカウントの増加を伴うサイノグラム1811~1813を示す。ノイズは、最も低いLORカウントを呈するサイノグラム1811に対して最も明らかであることに留意されたい。いくつかの変形例では、合成リストモードLORデータから生成されたサイノグラムは、TOF-PET撮像システムによって生成された画像と、非TOF PET撮像システムによって生成された画像とを比較するために、逆投影され、使用され得る。
【0188】
いくつかの変形例では、放射能放出速度が十分に低い場合、各サイノグラムビン内のLORカウントの数は低くてもよい(例えば、数十のLORカウント)。そのような低い数のLORカウントは、方法1400のステップ1419に説明されるように、診断的ノイズのないサイノグラムが第2のサイノグラムに変換されるときに、人工的な「量子化ノイズ」をもたらし得る。この量子化ノイズは、A/Dコンバータにおける「デジタル化ノイズ」に類似している。「ノイズの多い」変動カウントレートは、ノイズの多い確率分布に変換され、その後にノイズの多いCDFが続くことになり、最終的に、そのようなノイズが合成サンプリングされたLORに導入され得る。
【0189】
この問題に対する解決策がいくつか存在し、人工的に活性(したがって、カウント)を高めて、次いで、補償のための撮像時間を効果的に低減することを含む。例えば、いくつかの変形例は、LORカウントの数の10倍だけ活性を増加させることと、より短い期間(例えば、期間の10分の1、10ミリ秒ではなく1ミリ秒)、逆変換をサンプリングすることと、を含み得る。これは、はるかに「より滑らかな」CDFを作成することになり、そこからシリアル化するためのビンを選択する。
【0190】
いくつかの変形例では、各ビームステーションの各発射位置に対するカウントを修正するプロセスは、標的領域に対する選択された運動軌道に基づいて(例えば、呼吸又は蠕動運動に基づいて)カウントを修正することを更に含む。運動軌道は、解剖学的構造と関連付けられた組織(例えば、身体器官の組織又は身体器官の集合体)の運動又は変形の尺度と関連付けられる。運動軌道の各時点について、対応するサイノグラムは、その時点についての関連するPET画像データに基づいて生成され得、そのサイノグラムは、上記のようにカウントに変換され得、したがって、解剖学的構造の運動を考慮する。
【0191】
運動軌道は、解剖学的構造の任意の好適な運動に対応し得る。例えば、運動軌道が呼吸周期(例えば、人の呼吸周期)に対応する場合、そのような運動軌道は、呼吸運動軌道と呼ばれる。更に、運動軌道が心周期(例えば、人の心周期)に対応する場合、そのような運動軌道は、蠕動運動軌道又は心臓運動軌道と呼ばれる。あるいは、運動軌道は、時間の関数として、ユーザ定義の運動軌道(例えば、解剖学的構造の特定の動きが指定される運動軌道)であり得る。
【0192】
図19は、ファントム1911の様々な領域が互いに対して移動する(例えば、そのような動きは、人の呼吸中の肺の動き又は心筋の動きに対応し得る)とき、又は変形する(例えば、形状を変える)ときに、ファントム1911からデータを取得する例示的なプロセスを示す。いくつかの変形例では、ファントム1911は、異なる時間(例えば、数ミリ秒ごとに数秒又は数分の持続時間)で患者から取得された複数のPET画像と関連付けられて、身体組織の動きを捕捉する。あるいは、ファントム1911は、PET画像スキャナを試験するために操作された物体であり得、運動が可能な様々な領域を有するように構成される。あるいは、ファントム1911は、コンピュータ生成されたデータ(例えば、患者の呼吸周期中又は患者の心周期中の異なる時点で撮影された患者からのPET画像に似ているデータ)であり得る。いくつかの変形例では、移動する仮想ファントムのコンピュータ生成されたPET画像が、患者の運動をモデル化するために使用され得る。
【0193】
一変形例では、呼吸周期(又は心周期)に対応するPET画像は、PET画像と関連する組織の動きに基づいて、別個のフェーズに分離され得る。一例では、フェーズは、一定の持続時間だけ互いに分離され得る。代替的に、フェーズは、PET画像を形成する画素の移動範囲に基づいて決定され、図19に示されるように運動軌道1922によって例示される、呼吸周期の様々なステージに対応し得る。次いで、特定のフェーズは、破線1924によって示されるように、運動軌道1922の直角(垂直)軸をセグメントに細分することによって、この運動軌道1922からサンプリングされ得る。例えば、運動軌道1922のフェーズ1、3、5、及び8に対応するサイノグラムが図19に示される。各ビンに対して生成されたサイノグラムは、本明細書に説明される方法のいずれかを使用して、合成リストモードLORデータに変換され得る。上記の方法のうちのいずれかを使用して生成された合成リストモードLORデータは、BgRTのための送達アルゴリズムを試験し、それらの送達アルゴリズムが、周囲の組織の線量制限に従いながら、標的領域に所定の放射線量を提供するかどうかを評価するために使用され得る。診断的PET画像が経時的に取得される変形例(すなわち、4D PET画像)では、これらは、合成リストモードLORデータに変換され、次いで、シミュレートされたPET画像に逆投影される合成サイノグラムに変換され得る。これらのシミュレートされたPET画像のこれらのPET信号は、上記の測定基準のうちのいずれかを使用して評価されて、BgRTが患者に好適であるかどうかを決定し得る。
【0194】
異なる変形例が本明細書に説明及び例示されているが、当業者は、本明細書に説明される関数を実施並びに/又は結果及び/若しくは利点のうちの1つ以上を取得するための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定し、そのような変形例及び/又は修正例の各々は、本明細書に説明される例示的な発明の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に説明される全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的であることを意図していること、及び実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が、本発明の教示が使用される特定の用途に依存することになることを容易に理解するであろう。当業者は、通例的な実験のみを使用して、本明細書に説明される特定の発明の変形例に対する多くの均等物を認識するか、又は確認することができるであろう。したがって、上述の変形例は、単に例として提示されており、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、本発明の変形例は、具体的な説明及び特許請求の範囲以外のやり方で実施され得ることが理解されるべきである。本開示の発明の変形例は、本明細書に説明される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0195】
上記のシステム及び方法は、多くのやり方のうちのいずれかで実装され得る。例えば、本技術の少なくともいくつかの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを使用して実装され得る。ファームウェア及び/又はソフトウェアに実装されるとき、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、単一のデバイスに提供されるか、又は複数のデバイス間で分散されるかにかかわらず、任意の好適なプロセッサ又は論理構成要素の集合上で実行され得る。
【0196】
この点において、本明細書に説明される様々な態様は、1つ以上のコンピュータ又は他のプロセッサ上で実行されたとき、上記に論じられた本発明の様々な例を実装する方法を実施する、1つ以上のプログラムを用いてエンコードされたコンピュータ可読記憶媒体(又は複数のコンピュータ可読記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイスにおける回路構成、又は他の非一時的媒体若しくは有形コンピュータ記憶媒体)として具現化され得る。コンピュータ可読媒体は、その上に記憶されたプログラムが、上述のように、本発明の様々な態様を実装するために、1つ以上の異なるコンピュータ又は他のプロセッサ上に読み込まれ得るように、可搬であり得る。
【0197】
本明細書では、「プログラム」又は「ソフトウェア」という用語は、上記に論じた例示的な発明の様々な態様を実装するためにコンピュータ又は他のプロセッサをプログラムするために採用され得る任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能命令のセットを指すために、一般的な意味で使用される。加えて、当然のことながら、一態様によると、実行されると本発明の方法を実施する1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に存在する必要はなく、本発明の様々な態様を実装するために、いくつかの異なるコンピュータ又はプロセッサの間でモジュール様式で分散されてもよい。
【0198】
コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールなどの多くの形態であってもよい。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含む。典型的には、プログラムモジュールの関数は、異なる変形例で所望に応じて組み合わせられてもよく、又は分散されてもよい。
【0199】
また、データ構造は、任意の好適な形態でコンピュータ可読媒体に記憶され得る。例示の簡略化のために、データ構造は、データ構造内の場所を通して関連するフィールドを有するように示され得る。そのような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝えるコンピュータ可読媒体内の場所を有するフィールドに対してストレージを割り当てることによって達成され得る。しかしながら、データ要素間の関係を確立するポインタ、タグ、又は他の機構の使用を含む、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立するために、任意の好適な機構が使用され得る。
【0200】
また、様々な発明の概念は、1つ以上の方法として具体化され得、その例が提供されている。方法の一部として実施される作用は、任意の好適なやり方で順序付けられ得る。したがって、本発明の変形例は、例示されるものとは異なる順序で作用が実施されるように構築され得、これは、例示の変形例及び例において逐次的な作用として示されていても、いくつかの作用を同時に実施することを含み得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D-F】
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A-B】
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0200
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0200】
また、様々な発明の概念は、1つ以上の方法として具体化され得、その例が提供されている。方法の一部として実施される作用は、任意の好適なやり方で順序付けられ得る。したがって、本発明の変形例は、例示されるものとは異なる順序で作用が実施されるように構築され得、これは、例示の変形例及び例において逐次的な作用として示されていても、いくつかの作用を同時に実施することを含み得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
生物学的誘導放射線療法(BgRT)の適合性を決定するための方法であって、前記方法が、
腫瘍の診断的陽電子放出断層撮影(PET)撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換することであって、前記シミュレートされた撮像データ及び前記診断的PET撮像データが、トレーサーからのPET信号を表す、変換することと、
前記シミュレートされた撮像データを使用して、前記腫瘍のコントラストノイズ比を示す第1の測定基準を計算することと、
前記シミュレートされた撮像データを使用して、PETトレーサー活性濃度を示す第2の測定基準を計算することと、
前記シミュレートされた撮像データを使用して、前記腫瘍への放射線量を示す第3の測定基準を計算することと、
前記第1、前記第2、及び前記第3の測定基準のうちの少なくとも1つの値が許容可能な値の範囲内である場合に、BgRTが好適であると決定することと、を含む、方法。
(項目2)
追加の診断的PET撮像データを取得することと、
前記追加の診断的PET撮像データを、BgRTを実施するときに取得された画像と一致する新しいシミュレートされた撮像データに変換することと、
腫瘍に対するコントラスト正規化信号を示す新しい第1の測定基準値を計算することと、
PETトレーサー活性濃度を示す新しい第2の測定基準値を計算することと、
前記腫瘍の体積に対する放射線量を示す新しい第3の測定基準値を計算することと、
前記新しい第1の測定基準値、前記新しい第2の測定基準値、及び前記新しい第3の測定基準値のうちの少なくとも1つの値が許容可能な値の範囲内である場合に、BgRTが好適であると決定することと、を更に含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記BgRTを使用する前記適合性を前記決定することが、前記新しい第1の測定基準値と前記第1の測定基準値との間の差、前記新しい第2の測定基準値と前記第2の測定基準値との間の差、及び前記新しい第3の測定基準値と前記第3の測定基準値との間の差に更に基づく、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記追加の診断的PET撮像データが、BgRT治療を実施する前に取得され、前記BgRT治療が、前記方法の一部を形成しない、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記第1の測定基準が、標的領域における平均信号<T >と、バックグラウンド領域における平均信号<Bg>との間の差を、前記バックグラウンド領域における前記信号の分散σ Bg で除算したもの:
(<T >-<Bg>)/σ Bg として決定される、項目1に記載の方法。
(項目6)
標的領域における前記信号T が、臨床標的体積の一部分で計算され、PET信号の値が、前記臨床標的体積で測定される前記PET信号のピーク値の標的閾値パーセント未満である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記標的閾値パーセントが、50パーセントである、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記第1の測定基準が、標的領域(PTV)の活性濃度中央値を、バックグラウンド領域における平均信号<Bg>で除算したもの:
AC中央値[PTV]/<Bg>として決定される、項目1に記載の方法。
(項目9)
Bgが、シェル領域にわたって計算され、前記シェル領域が、生物学的標的化ゾーンの一部分であり、臨床標的体積の一部ではない、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記BgRTを使用する前記適合性を決定することは、
コントラスト正規化信号が、前記信号に必要な閾値を上回っていることと、
前記PETトレーサー活性濃度が、最小濃度閾値を上回っていることと、
決定された前記放射線量が、事前に定義された線量範囲内であることと、を決定することを含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記事前に定義された線量範囲が、有界線量体積ヒストグラム(DVH)の上限DVH曲線及び下限DVH曲線によって表される、項目10に記載の方法。
(項目12)
BgRTを使用する前記適合性が示されていない場合、前記診断的PET撮像データを取得するために使用されるPETトレーサーのタイプとは異なるタイプのPETトレーサーを使用して、追加の診断的PET撮像データを取得する、項目1に記載の方法。
(項目13)
第1の測定基準が、CT撮像を使用して前記腫瘍の視覚的表現を取得することによって更に検証される、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記放射線量が、腫瘍組織の所与の体積分率に対して許容可能な放射線量を決定する関数を含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記シミュレートされた撮像データを、一対の検出器要素間の単一応答線(LOR)データに変換することを更に含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
BgRT計画を生成することを更に含み、前記BgRT計画が、
識別された標的領域と、
PET撮像データを放射線フルエンスマップに変換し、結果的に、識別された組織に送達される所定の線量をもたらす、発射フィルタと、を含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致する前記シミュレートされた撮像データに変換することが、
前記BgRT放射線療法システムの前記PET検出器の感度を較正することと、
前記PET撮像データに基づいてサイノグラムを生成することであって、前記生成することが、コンピュータ断層撮影(CT)データを使用して減衰を補正することを含む、生成することと、
前記サイノグラムを、サイノグラムビンごとの予想されるカウントに変換することと、
前記BgRT放射線療法システムのパラメータに基づいて、前記予想されるカウントを修正することであって、前記パラメータが、前記BgRT放射線療法システムの効率及びデータを収集するために前記BgRT放射線療法システムによって使用される時間に依存する、前記BgRT放射線療法システムの感度を少なくとも含む、修正することと、
ポアソン統計によってモデル化されたノイズを追加することによって、前記予想されるカウントを修正することと、
修正された前記予想されるカウントに基づいて、前記シミュレートされた撮像データを再構成することと、を含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致する前記シミュレートされた撮像データに変換することが、
PET検出器シンチレータ内の光子散乱をモデル化することによって、前記PET撮像
データに基づいて前記サイノグラムを決定することを更に含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記ポアソン統計によってモデル化されたノイズが、ランダムな同時発生に基づく、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記ポアソン統計によってモデル化されたノイズが、ランダムな検出事象に基づく、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記サイノグラムが、前記サイノグラムを前記腫瘍を含む視野まで切り詰めることによって補正される、項目17に記載の方法。
(項目22)
標的視野が、50センチメートルのサイズを有する、項目21に記載の方法。
(項目23)
診断的PET撮像データを、BgRT放射線療法システムのPET検出器を使用して取得された画像と一致するシミュレートされた撮像データに変換する方法であって、前記方法が、
BgRT放射線療法システムの前記PET検出器の感度を較正することと、
サイノグラムを、サイノグラムビンごとの予想されるカウントに変換することと、
前記BgRT放射線療法システムのパラメータに基づいて、前記予想されるカウントを修正することであって、前記パラメータが、前記BgRT放射線療法システムの効率及びデータを収集するために前記BgRT放射線療法システムによって使用される時間に依存する、前記BgRT放射線療法システムの感度を少なくとも含む、修正することと、
ポアソン統計によってモデル化されたノイズを追加することによって、前記予想されるカウントを修正することと、
修正された前記予想されるカウントに基づいて、前記シミュレートされた撮像データを再構成することと、を含む、方法。
(項目24)
前記予想されるカウントが、前記シミュレートされた撮像データに対する第2のサイノグラムに変換され、
前記シミュレートされた撮像データが、フィルタ補正逆投影を介して前記第2のサイノグラムから再構成される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記フィルタ補正逆投影が、前記BgRT放射線療法システムからの経験的データを利用する、項目24に記載の方法。
(項目26)
第1のPET画像に基づいて第2のPET画像をシミュレートするための方法であって、前記方法が、
標的領域の第1のPET画像をサイノグラムに変換することと、
前記サイノグラムからLORをサンプリングして、PET撮像システムのノイズ特性及び構成要素特性を含めることによって、前記サイノグラムからリストモードデータを生成し、サンプリングされた前記LORをリストモードLORデータにシリアル化することであって、各サンプリングされたLORが、対応するタイムスタンプを有する、シリアル化することと、
前記リストモードLORデータをフィルタリング及び逆投影することによって、前記標的領域の第2のPET画像を生成することと、を含む、方法。
(項目27)
前記PET撮像システムの前記PET検出器の前記ノイズ特性が、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
PET検出器の前記構成要素特性が、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含む、項目26に記載の方法。
(項目29)
前記リストモードLORデータが、個々のLORに対応するタイムスタンプを含む、項目26に記載の方法。
(項目30)
前記第1のPET画像が、三次元(3D)又は四次元(4D)PETのうちの1つを含む第1のPET撮像システムを使用して取得される、項目26に記載の方法。
(項目31)
前記第1のPET画像が、仮想ファントムの3D又は4Dコンピュータ生成PET画像である、項目26に記載の方法。
(項目32)
前記第1のPET画像が、解剖学的構造の一部分に対して取得される、項目30に記載の方法。
(項目33)
前記標的領域の場所が、前記解剖学的構造の生理学的機能を有する運動軌道に沿って時間とともに変化し、複数のPET画像が、異なる時点に対して取得される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記第1のPET画像が、経時的に取得された複数のPET画像の平均である、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記運動軌道に沿った前記標的領域の前記場所に基づいて、前記複数のPET画像の各々をPET画像フェーズにグループ化することと、
各フェーズについて、対応する前記PET画像フェーズから、代表的なPET画像を前記第1のPET画像として選択することと、を更に含む、項目33に記載の方法。
(項目36)
生成された前記第2のPET画像を、前記対応するPET画像フェーズと関連付けられたデータレコードとして保存することを更に含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記代表的なPET画像が、前記対応するPET画像フェーズからのPET画像の平均である、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記標的領域の前記運動軌道が、呼吸運動軌道である、項目35に記載の方法。
(項目39)
前記リストモードLORデータから導出された各フェーズに対するサイノグラムを再構成することを更に含む、項目35に記載の方法。
(項目40)
前記標的領域の前記運動軌道が、蠕動運動軌道である、項目33に記載の方法。
(項目41)
前記標的領域の前記運動軌道が、ユーザ定義の運動軌道である、項目33に記載の方法。
(項目42)
前記リストモードLORデータが、LORを含み、各LORが、前記LORを検出するための対応する検出事象タイムスタンプ及び関連する検出器の座標を有する、項目26に記載の方法。
(項目43)
PET画像をシミュレートされたリストモード応答線(LOR)データに変換するため
の方法であって、前記方法が、
第1のPET撮像システムを使用して取得されたPET画像内の標的領域のための計画スキャンパラメータを決定することと、
生物学的誘導放射線療法(BgRT)システムパラメータを決定することと、
前記計画スキャンパラメータ及び前記BgRTシステムパラメータに基づいて、前記PET画像から各ビームステーションに対するサイノグラムを生成することと、
各ビームステーションに対する前記サイノグラムを、事前較正されたスケーリング係数を使用して、個々の応答線(LOR)の第2のサイノグラムに変換することと、
各ビームステーションに対して前記第2のサイノグラムを修正して、第2のPET撮像システムに対する選択されたアーチファクトを含めることと、
各ビームステーションについて、前記第2のサイノグラムからLORをサンプリングすることによって、リストモードLORデータを生成することと、を含む、方法。
(項目44)
各サンプリングされたLORについて、タイムスタンプが、逆累積密度関数を使用してサンプリングされる、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記計画スキャンパラメータが、ビームステーション場所、ビームステーション滞留時間、ビームステーション当たりのガントリ回転数、ビームステーション数、及び治療照射面を通過するカウチの数のうちの少なくとも1つを含む、項目43に記載の方法。
(項目46)
前記BgRTシステムパラメータが、PET検出器の幾何学的形状、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含む、項目43に記載の方法。
(項目47)
前記選択されたアーチファクトが、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含む、項目43に記載の方法。
(項目48)
前記標的領域の場所が、解剖学的構造の生理学的機能を有する運動軌道に沿って時間とともに変化し、複数のPET画像が、異なる時点に対して取得される、項目43に記載の方法。
(項目49)
前記標的領域の前記運動軌道が、呼吸運動軌道である、項目47に記載の方法。
(項目50)
前記標的領域の前記運動軌道が、蠕動運動軌道である、項目47に記載の方法。
(項目51)
前記標的領域の前記運動軌道が、ユーザ定義の運動軌道である、項目47に記載の方法。
(項目52)
PET画像をシミュレートされた応答線(LOR)に変換するための方法であって、前記方法が、
標的領域のPET画像からサイノグラムを生成することと、
生成された前記サイノグラムに基づいてリストモードLORデータを生成することであって、前記リストモードLORデータが、シミュレートされたLORのリストを含み、前記シミュレートされたLORの前記リストが、放射事象のサンプルに基づいて生成される、生成することと、を含む、方法。
(項目53)
前記放射事象のサンプルが、逆変換サンプリング方法を使用して生成され、前記逆変換サンプリング方法が、前記生成されたサイノグラムによって表される放射事象を特性評価する累積密度関数に基づく、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記逆変換サンプリング方法が、前記放射事象の可能性を表すゼロ~1の間隔で均一に分布した乱数を使用し、各乱数について、累積密度関数の逆数が、サイノグラムビン及び関連するシミュレートされたLORを決定するために計算される、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記シミュレートされたLORを修正して、PET撮像システムのPET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることを更に含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
フィルタ補正逆投影法及び前記リストモードLORデータを使用して、前記標的領域のシミュレートされたPET画像を生成することを更に含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記リストモードLORデータが、タイムスタンプデータ[ts]、2つの記録された放射事象[dt]間の時間差、及びガントリの位置[lpos]を含む、項目52に記載の方法。
(項目58)
PET撮像システムが、前記標的領域を中心として回転可能である第1の検出弧及び第2の検出弧を備え、シミュレートされたLORが、前記第1及び前記第2の検出弧の角度位置に対応する各時間間隔に対して計算され、前記第1及び前記第2の検出弧によって検出されない放射事象と関連付けられた前記シミュレートされたLORが、破棄される、項目52に記載の方法。
(項目59)
前記PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、前記PET検出器における散乱を考慮することを含む、項目55に記載の方法。
(項目60)
前記PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、前記PET検出器効率を考慮することを含む、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記PET検出器のノイズ特性及び構成要素特性を含めることが、前記PET検出器の視野の縁におけるより低い光子捕捉、PET検出器効率を考慮することを含む、項目59に記載の方法。
(項目62)
前記標的領域を形成する媒体の減衰特性を含めることを更に含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記減衰特性が、前記標的領域のコンピュータ断層撮影スキャンに基づいて決定される、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記リストモードLORデータに基づいて、前記標的領域に対する放射線療法治療計画を生成することを更に含む、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記リストモードデータが、各ビームステーションに対して生成される、項目52~64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
第1のPET画像に基づいて第2のPET画像をシミュレートするための方法であって、前記方法が、
標的領域の第1のPET画像を、PET画像内の各画素に対する陽電子対消滅光子放射事象の数を含むプロットに変換することと、
前記プロットから放射事象をサンプリングして、PET撮像システムのノイズ特性及び構成要素特性を含めることと、
各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることによって、前記サン
プリングされた放射事象をシリアル化することによって、前記プロットからリストモードデータを生成することと、
各画素において、その画素における放射事象の数と相関する強度レベルをプロットすることによって、前記リストモードデータを使用して前記標的領域の第2のPET画像を生成することと、を含む、方法。
(項目67)
前記PET撮像システムのPET検出器の前記ノイズ特性が、光子散乱ノイズ、ポアソンノイズ、減衰効果、及びランダムな光子同時発生のうちの少なくとも1つを含む、項目66に記載の方法。
(項目68)
PET検出器の前記構成要素特性が、検出効率、検出器結晶幅、検出器取得速度、検出器解像度、及び検出器時間解像度のうちの少なくとも1つを含む、項目66に記載の方法。
(項目69)
前記リストモードデータが、前記サンプリングされた放射事象からの個々のLORに対応するタイムスタンプを含む、項目66に記載の方法。
(項目70)
前記第1のPET画像が、前記標的領域の経時的に取得された複数のPET画像を含む、項目66に記載の方法。
(項目71)
前記標的領域の場所が、運動軌道に沿って時間とともに変化し、前記複数のPET画像が、異なる時点に対して取得される、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記運動軌道に沿った前記標的領域の前記場所に基づいて、前記複数のPET画像の各々をPET画像フェーズにグループ化することと、
各フェーズについて、前記第1のPET画像として代表的なPET画像を選択し、前記PET画像を、各画素に対する陽電子対消滅光子放射事象の数を含むプロットに変換することによって、各フェーズに対するリストモードデータを生成し、前記プロットから放射事象をサンプリングし、各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることによって、前記サンプリングされた放射事象をシリアル化することと、を更に含む、項目71に記載の方法。
(項目73)
各フェーズについて、そのフェーズに対する前記リストモードデータから導出されたサイノグラムを生成することを更に含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記標的領域の前記運動軌道が、呼吸運動軌道である、項目71~73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記標的領域の前記運動軌道が、蠕動運動軌道である、項目71~73のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記標的領域の前記運動軌道が、ユーザ定義の運動軌道である、項目71~73のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
前記リストモードデータが、複数の放射事象を含み、各放射事象が、各放射事象に対するLORを検出するための対応する検出事象タイムスタンプ及び関連する検出器の座標を有する、項目66~76のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記第1のPET画像が、飛行時間PET画像である、項目66~77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
PET画像を合成応答線(LOR)に変換するための方法であって、前記方法が、
各画素の強度がその画素の場所に対応する空間座標を有する放射事象の数と相関するPET画像から陽電子対消滅光子放射事象をサンプリングすることと、
各サンプリングされた放射事象に対する検出角度を選択することと、
前記空間座標及び各サンプリングされた放射事象に対する前記選択された検出角度に基づいてオフセットを決定することと、
各サンプリングされた放射事象にタイムスタンプを割り当てることと、
各放射事象に対する前記検出角度、オフセット、及びタイムスタンプを組み合わせることによって、合成リストモードLORデータを生成することと、を含む、方法。
(項目80)
前記放射事象をサンプリングすることが、放射事象の数を確率分布関数に変換することと、累積分布関数(CDF)及び逆CDFを決定することと、生成された前記逆CDFから放射事象をランダムに選択することと、を含む、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記検出角度を選択することが、0度~360度の範囲の角度をランダムに選択することを含む、項目79又は80に記載の方法。
(項目82)
画素の前記空間座標及び対応する前記放射事象が、IEC-X及びIEC-Zの座標を含み、前記オフセットが、前記IEC-X座標、IEC-Z座標、及び前記選択された検出角度を使用して決定される、項目79~81のいずれか一項に記載の方法。
(項目83)
前記放射事象にタイムスタンプを割り当てる前に、放射事象であって、その空間座標、選択された検出角度、及び決定されたオフセットを有する、放射事象に対応するLORが、PET撮像システムのPET検出器と交差するかどうかを決定することを更に含む、項目79~82のいずれか一項に記載の方法。
(項目84)
前記タイムスタンプを割り当てることが、ポアソン統計に従って、放射事象間の時間間隔を選択することを含む、項目79~83のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2B
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2C
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2C
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2E
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2E
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2F
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2F
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2G
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2G
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2H
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2H
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正の内容】
図19
【国際調査報告】