(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】マイクロRNAの評価方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20241018BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20241018BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20241018BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20241018BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20241018BHJP
【FI】
C12N15/10 100Z
C12Q1/6837 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523698
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022078526
(87)【国際公開番号】W WO2023070095
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524288931
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブラン・セシリア
(72)【発明者】
【氏名】ルー・ピエール-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】マンジェ・クレア
(72)【発明者】
【氏名】イソン・レニー
(72)【発明者】
【氏名】ドネリー・ライアン・エフ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ02
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS25
4B063QS32
4B063QX02
(57)【要約】
皮膚中のmiRNAを定量化する方法が提供され、方法は、膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、微小突起アレイを取り外すこと、微小突起アレイに吸収された間質液からmiRNAを回収すること、及びmiRNAを定量することを含む。膨潤性微小突起アレイを使用して、皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚中のmiRNAを定量する方法であって、
(a)膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(b)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記微小突起アレイに吸収された前記間質液からmiRNAを回収すること、及び
(d)前記miRNAを定量することを含む、方法。
【請求項2】
前記微小突起アレイが、少なくとも約20~約180分間、前記皮膚に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微小突起アレイから前記miRNAを回収することが、前記微小突起アレイを洗浄することを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記微小突起アレイが、リン酸緩衝生理食塩水、蒸留水、及びRNA安定化試薬からなる群から選択される緩衝液で洗浄されて洗浄液を提供する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄液を濃縮することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記微小突起アレイが、膨潤性ポリマー組成物から構成される複数の微小突起を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記膨潤性ポリマー組成物が、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分なほど硬く脆い乾燥状態にある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記膨潤性ポリマー組成物が、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分に硬い乾燥状態にある、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
(e)前記定量されたmiRNAを参照と比較することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記miRNAを定量することが、次世代シーケンシング、トランスクリプトーム解析又は定量的ポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であり、前記方法が、
(a)対象の前記皮膚の領域を前記刺激に曝露すること、
(b)膨潤性微小突起アレイを前記皮膚の領域の少なくとも一部に適用して間質液を吸収すること、
(c)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(d)前記微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(e)前記miRNAを分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記皮膚の領域に適用される前記膨潤性微小突起アレイが第2の膨潤性微小突起アレイであり、前記方法が、
(a)前記刺激への曝露前の間質液を吸収するために、第1の膨潤性微小突起アレイを、皮膚の領域に適用することであって、前記皮膚の領域が、前記刺激が曝露される皮膚の同じ領域、又は同じ対象における皮膚の異なる領域である、こと、
(b)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(d)前記miRNAを分析することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であり、前記方法が、
(a)第1の膨潤性微小突起アレイを対象の前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(b)前記第1の微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記第1の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、
(d)前記第1の微小突起アレイからの前記miRNAを分析すること、
(e)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を刺激に曝露すること、
(f)第2の膨潤性微小突起アレイを前記刺激に曝露された前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(g)前記第2の微小突起アレイを取り外すこと、
(h)前記第2の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(i)前記第2の微小突起アレイからの前記miRNAを分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記刺激が組成物を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、1つ以上の皮膚科学的活性成分を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記刺激への曝露が、前記組成物を前記皮膚の領域に局所的に適用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、セラム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、棒状石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、ヒドロゲル、又は皮膜形成製品の形態である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物の投与前に適用された前記微小突起アレイから回収された前記miRNAが、前記組成物の投与後に適用された前記微小突起アレイから回収された前記miRNAと比較される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、前記第1の膨潤性微小突起アレイが適用される同じ皮膚のタイプである皮膚の領域に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記刺激が、UV光、汚染、刺激物、アレルゲン、温度変化、湿度変化、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、前記第1の膨潤性微小突起アレイを前記皮膚の領域に適用する前に、前記皮膚の領域が前処理刺激に曝露される前処理工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
(j)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を第2の刺激に曝露すること、
(k)第3の膨潤性微小突起アレイを前記第2の刺激に曝露された前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(l)前記第3の微小突起アレイを取り外すこと、
(m)前記第3の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(n)前記第3の微小突起アレイからの前記miRNAを分析することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であって、
(a)対象の前記皮膚の領域を前記刺激に曝露すること、
(b)膨潤性微小突起アレイを前記皮膚の領域の少なくとも一部に適用して間質液を吸収すること、
(c)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(d)前記微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(e)前記miRNAを分析することを含む、方法。
【請求項24】
間質液を吸収するために前記皮膚の領域の少なくとも一部に適用される前記膨潤性微小突起アレイが第2の膨潤性微小突起アレイであり、前記方法が、
(a)前記刺激への曝露前の間質液を吸収するために、第1の膨潤性微小突起アレイを、皮膚の領域に適用することであって、前記皮膚の領域が、前記刺激が曝露される皮膚の同じ領域、又は同じ対象における皮膚の異なる領域である、こと、
(b)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(d)前記miRNAを分析することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であって、
(a)第1の膨潤性微小突起アレイを対象の前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(b)前記第1の微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記第1の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、
(d)前記第1の微小突起アレイからの前記miRNAを分析すること、
(e)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を刺激に曝露すること、
(f)第2の膨潤性微小突起アレイを前記刺激に曝露された前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(g)前記第2の微小突起アレイを取り外すこと、
(h)前記第2の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(i)前記第2の微小突起アレイからの前記miRNAを分析することを含む、方法。
【請求項26】
前記刺激が組成物を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、1つ以上の皮膚科学的活性成分を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記刺激への曝露が、前記組成物を前記皮膚の領域に局所的に適用することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、セラム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、棒状石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、ヒドロゲル、又は皮膜形成製品の形態である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物の投与前に適用された前記微小突起アレイから回収された前記miRNAが、前記組成物の投与後に適用された前記微小突起アレイから回収された前記miRNAと比較される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、前記第1の膨潤性微小突起アレイが適用される同じ皮膚のタイプである皮膚の領域に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記刺激が、UV光、汚染、刺激物、アレルゲン、温度変化、湿度変化、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、前記第1の膨潤性微小突起アレイを前記皮膚の領域に適用する前に、前記皮膚の領域が前処理刺激に曝露される前処理工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
(j)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を第2の刺激に曝露すること、
(k)第3の膨潤性微小突起アレイを前記第2の刺激に曝露された前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(l)前記第3の微小突起アレイを取り外すこと、
(m)前記第3の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(n)前記第3の微小突起アレイからの前記miRNAを分析することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロRNAを分析する方法に関する。より具体的には、本発明は、皮膚試料由来のマイクロRNAを分析するための膨潤性微小突起アレイを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エピジェネティクスは、DNA配列の変化を伴わない遺伝子発現における遺伝的変化を研究する分野である。この分野は、表現型に対する種々の環境及び行動因子の影響を解明するのに役立ち得るので、非常に興味深い。エピジェネティック効果を評価するための1つの良好なバイオマーカーは、マイクロRNA(miRNA)である。miRNAは、約22ヌクレオチドを有する小さな非コードRNA分子であり、遺伝子発現調節において重要な役割を果たす。
【0003】
現在、インビボエピジェネティック研究のゴールドスタンダードは、組織が生体から取り出され、次いで分析される生検である。しかしながら、生検にはかなりの欠点がある。実際、生検は侵襲的手順であるため、この方法に関連するいくつかの制限がある。特に、手順の侵襲性の性質は、乳児又は顔に対する研究を制限する。さらに、そのような侵襲的研究は、通常、非侵襲的研究と比較して、実施するのにはるかに費用がかかり、時間がかかる。生検はまた、エピジェネティック情報にアクセスするためにいくつかの処理工程を必要とする。
【0004】
バイオマーカーを非侵襲的に検出するためのいくつかの解決策が提案されているが、実際にmiRNAに焦点を当てた市販の製品はない。収集デバイスは複雑であるか、プローブを必要とするかのいずれかである。さらに、miRNAとの使用を企図し得る任意の方法は定性的であり、定量的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、非侵襲的な方法で皮膚におけるエピジェネティックな変動についての定量的データを得る新しい方法を特定することが継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、皮膚におけるmiRNAを定量する方法に関し、方法は、
膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
微小突起アレイを取り外すこと、
微小突起アレイに吸収された間質液からmiRNAを回収すること、及び
miRNAを定量することを含む。
【0007】
1つ以上の実施形態では、微小突起アレイは、少なくとも約20~約180分間皮膚に適用される。いくつかの実施形態では、微小突起アレイからmiRNAを回収することは、微小突起アレイを洗浄することを含む。
【0008】
1つ以上の実施形態において、微小突起アレイは、リン酸緩衝生理食塩水、蒸留水、及びRNA安定化試薬(例えば、PAXgene(登録商標)Blood RNA Tube)からなる群から選択される緩衝液で洗浄されて洗浄液を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、洗浄液を濃縮することをさらに含む。1つ以上の実施形態において、微小突起アレイは、膨潤性ポリマー組成物から構成される複数の微小突起を含む。いくつかの実施形態では、膨潤性ポリマー組成物は、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分なほど硬く脆い乾燥状態にある。いくつかの実施形態では、膨潤性ポリマー組成物は、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分に硬い乾燥状態にある。1つ以上の実施形態において、方法は、定量されたmiRNAを参照と比較することをさらに含む。いくつかの実施形態では、miRNAを定量することは、次世代シーケンシング、トランスクリプトーム解析又は定量的ポリメラーゼ連鎖反応を含む。
【0009】
本発明の別の態様は、刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法に関する。1つ以上の実施形態では、方法は、
対象の皮膚の領域を刺激に曝露すること、
膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域の少なくとも一部に適用して間質液を吸収すること、
微小突起アレイを取り外すこと、
微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
miRNAを分析することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、間質液を吸収するために皮膚の領域の少なくとも一部に適用される膨潤性微小突起アレイは、第2の膨潤性微小突起アレイであり、方法は、
刺激への曝露前の間質液を吸収するために、第1の膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用することであって、皮膚の領域が、刺激が曝露される皮膚の同じ領域、又は同じ対象における皮膚の異なる領域である、こと、
微小突起アレイを取り外すこと、
微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
miRNAを分析することをさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、
第1の膨潤性微小突起アレイを対象の皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
第1の微小突起アレイを取り外すこと、
第1の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、
第1の微小突起アレイからのmiRNAを分析すること、
同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を刺激に曝露すること、
第2の膨潤性微小突起アレイを刺激に曝露された皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
第2の微小突起アレイを取り外すこと、
第2の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
第2の微小突起アレイからのmiRNAを分析することを含む。
【0012】
1つ以上の実施形態において、刺激は組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の皮膚科学的活性成分を含む。1つ以上の実施形態において、刺激への曝露は、組成物を皮膚の領域に局所的に適用することを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、セラム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、棒状石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、ヒドロゲル、又は皮膜形成製品の形態である。1つ以上の実施形態において、組成物の投与前に適用された微小突起アレイから回収されたmiRNAは、組成物の投与後に適用された微小突起アレイから回収されたmiRNAと比較される。いくつかの実施形態では、組成物は、第1の膨潤性微小突起アレイが適用される同じ皮膚のタイプの皮膚の領域に投与される。1つ以上の実施形態において、刺激は、UV光、汚染、刺激物、アレルゲン、温度変化、湿度変化、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、第1の膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用する前に、皮膚の領域が前処理刺激に曝露される前処理工程をさらに含む。1つ以上の実施形態では、方法は、
同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を第2の刺激に曝露すること、
第3の膨潤性微小突起アレイを第2の刺激に曝露された皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
第3の微小突起アレイを取り外すこと、
第3の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
第3の微小突起アレイからのmiRNAを分析することをさらに含む。
【0013】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】マイクロニードルパッチ単独及びその皮膚への配置をそれぞれ示す。
【
図1B】マイクロニードルパッチ単独及びその皮膚への配置をそれぞれ示す。
【
図2】正規化前の主成分(PC)分析の2つの1次元での試料の分布を示すグラフ表示である。
【
図3】正規化前のシグナル分布及びリード総数(中央値及び標準偏差を含む)を示すグラフ表示である。
【
図4】正規化後の主成分分析の2つの1次元での試料の分布のグラフ表示である。
【
図5】正規化後のシグナル分布及びリード総数(中央値及び標準偏差を含む)を示すグラフ表示である。
【
図6】miRNA ATLAS及び皮膚試料からの皮膚生検における皮膚濃縮miRNAについての発現レベルを示すドットプロットグラフである。
【
図7】レチノール局所処理の影響を評価する差分解析の結果を示すボルケーノプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
微小突起アレイを使用することによる皮膚におけるmiRNAの分析に関する方法が、本明細書において提供される。方法は、miRNAに関する定量的データを提供することができる。ある種の刺激(すなわち、組成物)への皮膚の曝露前後に測定を行う場合、これらの方法を使用して、刺激への曝露の結果としてのエピジェネティック変化に光を当てることもできる。これらの方法は、組織の取り出しを伴わず、むしろ皮膚に適用することができる膨潤性微小突起アレイの使用が皮膚間質液を吸収するので、非侵襲性であるという利点を有する。吸収された間質液は、微小突起アレイ表面に吸着されるバイオマーカー(すなわち、miRNA)を含む。次いで、バイオマーカーは、洗い流しによって微小突起アレイから抽出され、試料は、目的のバイオマーカーの検出及び定量化のために分析される。
【0016】
したがって、本発明の第1の態様は、皮膚におけるmiRNAを定量する方法に関し、方法は、
膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
微小突起アレイを取り外すこと、
微小突起アレイに吸収された間質液からmiRNAを回収すること、及び
miRNAを定量することを含む。
【0017】
膨潤性微小突起アレイ
膨潤性微小突起アレイは、膨潤性ポリマー組成物から構成される複数の微小突起を含む。本明細書で使用される場合、「膨潤性」という用語は、ポリマー組成物が流体、特に間質液を吸収して質量を増加させることができることを意味する。1つ以上の実施形態において、膨潤性ポリマー組成物は、質量で少なくとも10%、15%、20%、25%、30%又は35%増加するのに十分な間質液を吸収することができる。いくつかの実施形態では、膨潤性ポリマー組成物は、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分なほど硬く脆い乾燥状態にある。いくつかの実施形態では、膨潤性ポリマー組成物は、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分に硬い乾燥状態にある。複数の微小突起は、基部に固定されてもよい。基部に固定された微小突起は、「パッチ」とも称され得る。したがって、例えば、微小突起がマイクロニードルを含む場合、微小突起アレイは、「マイクロニードルパッチ」と称され得る。好ましい実施形態では、膨潤性微小突起アレイはマイクロニードルパッチである。膨潤性微小突起アレイは、後の分析のために間質液を吸収することが意図されるので、送達され得る任意の物質(例えば、原薬)で含浸されないか、そうでなければそれを有しないことが好ましい。
【0018】
本明細書に記載の方法での使用に適した膨潤性微小突起アレイの例は、米国特許第9,549,746号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
微小突起は、乾燥状態では角質層に浸透できるように硬くて脆いが、水分を吸収すると膨潤して間質液の吸収を可能にする、任意の適切な膨潤性ポリマーから製造することができる。微小突起が構成され得る例示的な材料は、ヒドロゲルを形成することが知られているいくつかのポリマーのうちの1つ以上を含む。このようなポリマーの例としては、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(カプロラクトン)が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、微小突起のポリマーは、物理的に、化学的に、又はその両方で架橋される。
【0020】
微小突起は、角質層を穿刺するために、アレイにおける使用に任意の好適なサイズ及び形状であり得る。本発明の第1の態様のアレイの微小突起は、角質層を貫通、場合により交差するように設計される。適切には、微小突起の高さは、表皮の上部、深部表皮、さらには真皮の上部への浸透を可能にするが、出血を引き起こすほど深く皮膚に浸透させないように変更することができる。一実施形態では、微小突起は円形基部を有し、基部の上の微小突起の頂点に向かって先細になる円錐形状である。
【0021】
微小突起アレイの実施形態では、微小突起は、高さが1μm~3000μmの範囲であり得る。例えば、微小突起は、50μm~400μm、例えば50~100μmの範囲の高さを有することができる。好適には、本発明のアレイの実施形態において、微小突起は、基部において1~500μmの幅、例えば円形断面直径の微小突起の場合の直径を有することができる。一実施形態では、本発明の微小突起及び本発明で使用するための微小突起は、50~300μm、例えば100~200μmの範囲の直径を有することができる。別の実施形態では、本発明の微小突起は、1μm~50μmの範囲、例えば20~50μmの範囲の直径であってもよい。
【0022】
アレイ中の個々の微小突起の各々の間の先端分離距離を変更して、高い経皮輸送速度を提供するのに十分小さい分離距離を有しながら、皮膚の浸透を確実にすることができる。デバイスの実施形態では、微小突起間の先端分離距離の範囲は、50~1000μmの範囲、例えば100~300μm、例えば100~200μmであり得る。これにより、角質層の効率的な浸透と間質液の通過との間で妥協が達成され得る。
【0023】
本発明の微小突起が、これらに限定されないが、マイクロニードル、円錐、棒状及び/又はピラーを含む任意の妥当な形状をとり得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、微小突起は、先端において基部と同じ直径を有してもよく、又は基部から先端への方向に直径が先細になってもよい。微小突起は、少なくとも1つの鋭い縁部を有してもよく、先端が鋭くてもよい。微小突起は、中実であってもよく、基部要素に対してある角度で、少なくとも1つの長手方向軸を下って基部要素の第1の側面まで延在する中空ボアを有してもよく、それらは多孔性であってもよく、又は先端から基部要素まで少なくとも1つの外側表面を下って延びる少なくとも1つのチャネルを有してもよい。
【0024】
微小突起アレイの実施形態において、微小突起は、少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つのペプチド核酸を含むコーティング組成物でコーティングされていない。微小突起はコーティングされないことが好ましい。
【0025】
製造方法
ヒドロゲルを形成することが知られているポリマーから構成される微小突起は、当技術分野で知られている任意のそのような方法によって製造することができる。例えば、それらは、例えば、これらに限定されないが、シリコン、金属ポリマー材料を含む、広範な種々の材料の1つ以上から作製される微小突起アレイなど、マスターテンプレートを使用するマイクロ成形技術によって調製され得る。マスターテンプレートは、電気化学エッチング、シリコンの深掘りプラズマエッチング、電気めっき、ウェットエッチングプロセス、マイクロ成形、マイクロエンボス加工、「スレッド形成」法を含むがこれらに限定されないいくつかの方法によって、並びに中実微小突起アレイを得るための放射線感受性ポリマーの反復連続堆積及び選択的X線照射の使用によって調製することができる。
【0026】
マイクロ金型は、マスターテンプレートを液体モノマー又はポリマーでコーティングし、次いでこれを硬化させ、マスターテンプレートを除去して、マスターテンプレートの細部を含む金型を残すことによって調製することができる。マイクロ成形技術では、開始剤及び/又は架橋剤を含む又は含まない液体モノマーが金型に入れられ、重力流によって、真空若しくは遠心力の加圧、圧力の加圧によって又は射出成形によって充填される。次いで、モノマーは、熱又は照射(例えば、光、UV放射、X線)の適用によって金型内で硬化させることができ、マスターテンプレートの正確な複製である形成された微小突起アレイが取り出される。あるいは、架橋剤を含む又は含まないポリマーの溶液を金型に入れることができ、それは、重力流によって、真空若しくは遠心力の加圧、圧力の加圧によって又は射出成形によって充填される。次いで、溶媒を蒸発させて、マスターテンプレートの正確な複製物である乾燥した微小突起アレイを残すことができ、次いで、金型から取り出すことができる。使用することができる溶媒としては、水、アセトン、ジクロロメタン、エーテル、ジエチルエーテル、酢酸エチルが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な溶媒は、当業者には明らかであろう。マイクロ金型は、マスターテンプレートを必要とせずに、例えば、マイクロマシニング法及び当業者に明らかであろう他の方法によって製造することもできる。
【0027】
例えば、一実施形態では、微小突起アレイは、所望の微小突起の形状が、例えばレーザーを使用して好適な金型材料に穿孔される方法を使用して調製されたマイクロ金型を使用して調製することができ、金型は、次いで当技術分野で公知の技術又は本明細書に記載の技術を使用して充填される。
【0028】
ヒドロゲルを形成することが知られているポリマーで構成される微小突起は、「自己成形」法を用いて製造することもできる。この方法において、ポリマー材料は、当該分野で周知の技術、例えば、これらに限定されないが、キャスティング、押出し及び成形を使用して、最初に薄膜に作られる。材料は、「自己成形」プロセスの前に架橋されてもされなくてもよい。このプロセスにおいて、薄膜は、予め調製された微小突起アレイ上に配置され、加熱される。重力による塑性変形は、ポリマーフィルムを変形させ、硬化すると、所望の微小突起構造を作り出す。
【0029】
中空ボアを有する微小突起は、中空マスターテンプレートから調製された金型を使用することによって、又はマイクロマシニング法若しくは中実微小突起を調製するために使用される他の方法を適切に変更することによって製造され得る。中空ボアは、形成された微小突起に機械的に又はレーザーによって穿孔され得る。先端から基部要素まで少なくとも1つの外面を通って延びる少なくとも1つのチャネルを有する微小突起も、中実微小突起を調製するために使用される方法の適切な変更によって製造することができる。そのような変更は、当業者には明らかであろう。チャネルもまた、形成された微小突起に機械的に、又はレーザーによって穿孔され得る。
【0030】
ヒドロゲルを形成することが知られているポリマーから構成される微小突起は、平坦な表面上に広げられたポリマー溶液が、その表面を突起によって接触され、次いでそれを上方に急速に移動させて一連のポリマー「スレッド」を形成し、次いでそれを乾燥させて微小突起を形成する、「スレッド形成」法を使用して製造することもできる。
【0031】
上記の方法の全てにおいて、微小突起自体に組み込まれる物質(例えば、活性治療剤、細孔形成剤、酵素など)は、製造プロセス中に液体モノマー又はポリマー溶液に添加され得る。あるいは、このような物質は、形成された微小突起アレイを膨潤させるために使用される溶液中にそれらの溶液状態から吸収され得、その後乾燥され得るか、又は形成されたアレイは、目的の薬剤を含む溶液中に浸漬され得るか、又は目的の薬剤を含む溶液を噴霧され得る。これらの溶液を作製するために使用される溶媒としては、水、アセトン、ジクロロメタン、エーテル、ジエチルエーテル、酢酸エチルが挙げられる。他の適切な溶媒は、微小突起アレイを乾燥させるために使用されるプロセスと同様に、当業者に明らかであろう。微小突起及び/又は基部要素を接着性にする場合、形成されたアレイを、接着剤を含む溶液に浸漬するか、又は接着剤を含む溶液を噴霧することができる。使用される接着剤は、感圧接着剤又は生体接着剤であり得る。これらの物質は周知であり、当業者に容易に入手可能であろう。
【0032】
上に微小突起が形成される基部要素は、例えば、限定されないが、製造プロセスにおいて使用される液体モノマー又はポリマー溶液の量の増加を含む、製造方法の適切な変更によって厚さを変えることができる。このようにして、治療活性剤及び/又は目的の分析物の拡散/輸送に対する障壁は、例えば、迅速な送達又はサンプリング又は持続放出を達成するように制御することができる。1つ以上の治療活性剤が微小突起及び基部要素のマトリックス内に含有される場合、基部要素の厚さは、完全に一体化されたリザーバとして機能するように、有益に増加させることができる。
【0033】
膨潤性微小突起アレイの適用及び取り外し
膨潤性微小突起アレイは、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透し、間質液の吸収を可能にする任意の適切な方法によって皮膚に適用され得る。膨潤性微小突起アレイは、膨潤性微小突起アレイを破損しないが、角質層を貫通するのに十分な力を含む力を用いて適用され得る。アプリケータを使用して、膨潤性微小突起アレイの適用を支援してもよい。圧力は、皮膚への浸透を確実にするのに十分な任意の期間にわたって加えることができる。例えば、圧力は、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50又は60秒から約5、10、15、20、25、30、40、50又は60秒まで適用され得る。次いで、例えば、接着テープを膨潤性微小突起アレイ及び皮膚の上に貼り付けることによって、膨潤性微小突起アレイを所定の位置にさらに固定することができる。
【0034】
膨潤性微小突起アレイは、身体のあらゆるタイプの皮膚、例えば、顔、唇、首、胸、背中、臀部、腕、腋窩、及び/又は脚の皮膚上の領域に適用することができる。1つ以上の実施形態において、皮膚は、生きている対象由来である。いくつかの実施形態において、皮膚はエクスビボ試料である。
【0035】
図1A~
図1Bは、本発明の1つ以上の実施形態による膨潤性微小突起アレイ10を単独で示し(
図1A)、皮膚13内に配置された場合を示す(
図1B)。
図1Aに見られるように、膨潤性微小突起アレイ10は、基部12上に固定されたいくつかの微小突起11を含むことができる。
図1Bでは、膨潤性微小突起アレイ10が皮膚13に挿入されている。図に見られるように、微小突起14は、皮膚13から間質液を吸収した後に膨潤する。
【0036】
適用されると、膨潤性微小突起アレイは、膨潤し、miRNAの分析に十分な間質液を吸収するために十分長く皮膚上に放置される。1つ以上の実施形態では、膨潤性微小突起アレイは、少なくとも約5、10、15、20、25又は30分間~約30、60、90、120、150又は180分間、皮膚上に放置される。いくつかの実施形態では、膨潤性微小突起アレイは、少なくとも約20~約180分間皮膚上に放置される。さらなる実施形態では、膨潤性微小突起アレイは、少なくとも約30~約120分間皮膚上に放置される。十分な時間の後、膨潤性微小突起アレイを皮膚から取り外すことができる。
【0037】
間質液からのmiRNAの回収
膨潤性微小突起アレイが皮膚から取り外されると、miRNAが間質液から回収される。これは、膨潤性微小突起アレイを洗浄することによって行ってもよく、吸収された間質液の少なくとも一部を洗い流してmiRNAを回収することができる。膨潤性微小突起アレイは、蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水、及びRNA安定化試薬(例えば、PAXgene(登録商標)Blood RNA Tube)からなる群から選択される緩衝液で洗浄されて、洗浄液を提供することができる。洗浄液は、間質液(したがってmiRNA)の少なくとも一部を含有する。次いで、洗浄液をさらに濾過及び/又は濃縮してもよい。
【0038】
miRNAの定量化
miRNAの定量化は、当技術分野で公知の任意の方法によって達成することができる。いくつかの実施形態では、miRNAの定量化は、次世代シーケンシング、トランスクリプトーム解析又は定量的ポリメラーゼ連鎖反応を含む。miRNAの定量化はまた、マイクロアレイ、PCRの利用、QuantiGene(商標)Singleplex Assay Kit(Thermofisher製)のような他のトランスクリプトーム解析を使用して達成され得る。
【0039】
miRNAの定量後、方法は、定量されたmiRNAを参照と比較することをさらに含み得る。参照は、定量されたmiRNAを比較するためのmiRNA情報の任意のソースを含み得る。例としては、文献ソース、及び皮膚試料のソースについての歴史的なmiRNAデータが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、定量されたmiRNAは、前の時点(例えば、刺激への曝露前)の同じ対象及び/又は同じタイプの皮膚からの定量されたmiRNAと比較される。
【0040】
参照は、必要である場合、行われる比較に応じて、異なるタイプの皮膚又は異なる対象からのものであってもよい。例えば、健康であると考えられる皮膚は、疾患状態又は何らかの他の状態(例えば、乾燥皮膚、シミ(日光黒子)、座瘡、皮膚炎、乾癬、湿疹、酒さ、白斑、ケロイド、黒色腫、他の皮膚癌、座瘡、その他)にあると考えられる皮膚と比較してもよく、同じ対象又は異なる対象の異なるタイプの皮膚にいずれかに由来し得る。同じ対象での実施形態では、1つの試料が皮膚の罹患領域から採取され、皮膚の非罹患領域と比較され得る。別の例では、1つのタイプの皮膚からの皮膚が別のものと比較され得る(すなわち、1つの身体部分からの皮膚が同じ対象の別の身体部分からの皮膚と比較される)。したがって、一実施形態では、顔からの皮膚を身体と比較することができ、又は1つの身体部分からの皮膚を別の身体部分と比較することができる。別の例では、第1の年齢群の1人の対象からの皮膚(例えば、若年又は乳児の皮膚)を、第2の年齢群の別の対象からの皮膚(例えば、成人)と比較してもよい。さらに別の例では、1つの民族群又はフォトタイプからの皮膚を、別の民族群又はフォトタイプからの皮膚と比較することができる。そのような比較を使用して、集団全体にわたるmiRNA発現の一般的な傾向を作り出すことができる。
【0041】
エピジェネティック変化のモニタリング
上記のように、本明細書に記載される膨潤性微小突起アレイ法により、刺激の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングすることができる。そのような刺激は、UV光、汚染、刺激物、アレルゲン、温度変化、湿度変化、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。特に興味深い刺激は、スキンケア組成物(例えば、化粧品、医薬品、又は他の皮膚科学的に許容可能な組成物)の分野にある。
【0042】
したがって、本発明の別の態様は、刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法に関し、方法は、
対象の皮膚の領域を刺激に曝露すること、
膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域の少なくとも一部に適用して間質液を吸収すること、
微小突起アレイを取り外すこと、
微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
miRNAを分析することを含む。
【0043】
膨潤性微小突起アレイの適用、膨潤性微小突起アレイの取り外し、及びmiRNAの回収の工程は全て、前述のように実施することができる。miRNAの分析は、上記のようなmiRNAの定量化を含み得るが、エピジェネティック変化の分析において有用な任意の他の公知の方法も含み得る。
【0044】
上述のように、miRNAの定量化後、定量されたmiRNAは、前の時点(例えば、刺激への曝露前)の同じ対象及び/又は同じタイプの皮膚からの定量されたmiRNAと比較される。1つ以上の実施形態において、分析されたmiRNAは、刺激への曝露(例えば、組成物の投与)の前に膨潤性微小突起アレイを使用して得られるmiRNAとも比較される。したがって、いくつかの実施形態では、間質液を吸収するために皮膚の領域の少なくとも一部に適用される膨潤性微小突起アレイは、第2の膨潤性微小突起アレイであり、方法は、
組成物の投与前の間質液を吸収するために、第1の膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用することであって、皮膚の領域が、組成物が投与される皮膚の同じ領域、又は同じ対象における皮膚の異なる領域である、こと、
微小突起アレイを取り外すこと、
微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
miRNAを分析することをさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、刺激への曝露(例えば、組成物の投与)前に適用された微小突起アレイから回収されたmiRNAは、刺激への曝露(例えば組成物の投与)後に適用された微小突起アレイから回収されたmiRNAと比較される。
【0046】
したがって、本発明の別の態様は、刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法に関し、方法は、
第1の膨潤性微小突起アレイを対象の皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
第1の微小突起アレイを取り外すこと、
第1の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、
第1の微小突起アレイからのmiRNAを分析すること、
同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を刺激に曝露すること、
第2の膨潤性微小突起アレイを刺激に曝露された皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
第2の微小突起アレイを取り外すこと、
第2の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
第2の微小突起アレイからのmiRNAを分析することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、組成物の投与前に適用された微小突起アレイから回収されたmiRNAを、組成物の投与後に適用された微小突起アレイから回収されたmiRNAと比較する。
【0048】
刺激への曝露(例えば、組成物の投与)のエピジェネティック効果が分析されている実施形態では、第1及び第2の膨潤性微小突起アレイ及び組成物は、全て同じタイプの皮膚で使用されることが好ましい。本明細書で使用される場合、「皮膚のタイプ」は、身体の同じ解剖学的部分に見られる皮膚を指す。例えば、第1の試料が腕の皮膚から採取される場合、組成物及び第2の試料も腕の皮膚から採取されることが好ましい。しかしながら、これは、皮膚の正確に同じ領域が第1及び第2の膨潤性微小突起アレイ及び組成物に使用されることを意味しない。すなわち、組成物及び第2の膨潤性微小突起アレイは、第1の膨潤性微小突起アレイが使用されたのと全く同じ領域に使用される必要はない。いくつかの実施形態では、組成物は、第1の膨潤性微小突起アレイが適用される同じ皮膚のタイプの皮膚の領域に投与される。
【0049】
場合によっては、複数の刺激を組み込むことが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、方法は、第1の膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用する前に、皮膚の領域が前処理刺激に曝露される前処理工程をさらに含んでもよい。これは皮膚の初期状態を提供し、次いで第2の刺激の効果を分析することができる。例えば、前処理工程は、皮膚のUVサンフィルターへの曝露を含み得、その場合第2の刺激は、UV光への曝露を含み得る。その後、エピジェネティック変化は、UV光からの損傷の防止におけるUVフィルターの効果に光を当てることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、
同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を第2の刺激に曝露すること、
第3の膨潤性微小突起アレイを第2の刺激に曝露された皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
第3の微小突起アレイを取り外すこと、
第3の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
第3の微小突起アレイからのmiRNAを分析することをさらに含み得る。
【0051】
所望の刺激の数に応じて、プロセスを繰り返して様々な刺激の効果を追跡することができる。
【0052】
組成物の投与
皮膚に組成物を塗布する、任意の好適な方法を使用してもよい。いくつかの実施形態において、組成物の投与は、組成物を皮膚の領域に局所的に塗布することを含む。例えば、組成物を、皮膚にパッケージから直接塗布してもよく、皮膚に手で塗布してもよく、若しくはワイプ若しくはマスクなどの基材から移動させてもよく、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであってもよい。1つ以上の実施形態では、組成物は、スポイト、チューブ、ローラー、スプレー及びパッチを介して塗布してもよく、又は、浴、若しくはそうでなければ皮膚などに塗布される水に添加してもよい。1つ以上の実施形態では、組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、ローション、クリーム、セラム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、棒状石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、ヒドロゲル、又は皮膜形成製品の形態である。
【0053】
このような局所塗布は、身体の任意の皮膚、例えば、顔、唇、首、胸、背中、臀部、腕、脇の下、及び/又は脚の皮膚に対して行ってもよい。
【0054】
組成物
多種多様な組成物を本明細書に記載の方法で使用することができる。そのような組成物は単一成分を含み、その単一成分に起因するエピジェネティック変化を評価してもよい。あるいは、組成物は複数の成分を含んで、一度に複数の成分への皮膚の曝露から生じるエピジェネティック変化を評価してもよい。組成物は、その影響に関心がある、任意の1つ又は複数の化合物を含み得る。例としては、限定するものではないが、皮膚科学的活性成分が挙げられる。組成物は、これらに限定されないが、担体中で送達される単一成分、ローション、クリーム、軟膏及びエマルションを含む任意の形態になり得る。
【0055】
本発明の組成物は、固形製剤(例えば、ワックス系スティック、棒状石鹸組成物、パウダー、又はワイプ)に製剤化することもできる。本発明の組成物は、固体、半固体、又は可溶性の基材(例えば、ワイプ、マスク、パッド、手袋、又はストリップ)と組み合わせてもよい。
【0056】
皮膚科学的活性成分
本発明の組成物は、様々な皮膚科学的活性成分のいずれかをさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「皮膚科学的活性剤」は、皮膚に対して効果を有する成分を指す。皮膚科学的活性成分剤の例としては、皮膚美白剤、黒化剤、追加の老化防止剤、トロポエラスチンプロモータ、コラーゲンプロモータ、抗ニキビ剤、光沢調整剤、抗微生物剤(例えば、抗酵母剤、抗真菌剤、及び抗菌剤)、抗炎症剤、抗寄生生物剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、洗剤/界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギーエンハンサ、抗発汗剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、育毛強化剤、育毛遅延剤、安定剤、水和増進剤、有効性増進剤、抗たこ剤、皮膚コンディショニング剤、抗セルライト剤、悪臭防止剤(例えば、悪臭マスキング剤)又はpH改変剤などが挙げられる。
【0057】
種々の好適な皮膚科学的活性成分の例としては、ヒドロキシ酸;過酸化ベンゾイル、D-パンテノール;アボベンゾン(Parsol1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(Uvinul A Plus)、エカムスル(Mexoryl SX)、アントラニル酸メチル、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ホモサレート、4-メチルベンジリデンカンファー(Parsol5000)、オクチルメトキシシンナメート(Octinoxate)、サリチル酸オクチル(Octisalate)、パジメートO(Escalol507)、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(Ensulizole)、ポリシリコーン-15(Parsol SLX)、サリチル酸トロラミン、ベモトリジノール(Tinosorb S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、イスコトリジノール(Uvasorb HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(Eusolex4360)、スルイソベンゾン、ビソクトリゾール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛などであるが、これらに限定されないUVフィルター;カロチノイド;フリーラジカルスカベンジャー;スピントラップ;レチノイド及びレチノイド前駆体(例えば、レチノール、レチノイン酸及びパルミチン酸レチニル)、セラミド;多価不飽和脂肪酸;必須脂肪酸;酵素;酵素阻害剤;ミネラル;ホルモン(例えば、エストロゲン);ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン)、2-ジメチルアミノエタノール;銅塩(例えば、塩化銅);Cu等の銅を含有するペプチド:Gly-His-Lys、補酵素Q10;アミノ酸(例えば、プロリン);ビタミン;ラクトビオン酸;アセチル-コエンザイムA;ナイアシン;リボフラビン;チアミン;リボース;電子輸送体(例えば、NADH及びFADH2);並びに他の植物抽出物(例えば、オート麦、アロエベラ、ナツシロギク、大豆、シイタケの抽出物)、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
【0058】
存在する場合、任意の追加の活性剤(例えば、任意の皮膚科学的活性成分)は、任意の好適な量、例えば、組成物の約0.0001重量%~約20重量%、例えば、約0.001重量%~約10重量%、例えば、約0.01重量%~約5重量%などの量で組成物中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、0.1%~5%、他の実施形態では、1%~2%の量である。
【0059】
本発明の組成物は、1つ以上の追加の抗炎症化合物を含んでもよい。好適な抗炎症剤の例としては、置換レゾルシノール、(E)-3-(4-メチルフェニルスルホニル)-2-プロペンニトリル(「Bay 11-7082」など、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri)から市販)、テトラヒドロクルクミノイド(Tetrahydrocurcuminoid CGなど、Sabinsa Corporation(Piscataway,NJ)から入手可能)、以下に由来する抽出物及び材料:キハダ(Phellodendron amurense)樹皮抽出物(PCE)、非変性大豆(Glycine max)、ナツシロギク(Tanacetum parthenium)、ショウガ(Zingiber officinale)、イチョウ(Ginkgo biloba)、マデカソサイド(ツボクサ(Centella asiatica)抽出物の成分)、ハグマノキ(Cotinus coggygria)、フキ抽出物(Petasites hybridus)、クコの実(Lycium barbarum)、オオアザミ抽出物(Silybum marianum)、ハニーサックル(Lonicera japonica)、ペルーバサルム(Myroxylon pereirae)、セージ(Salvia officinalis)、クランベリー抽出物(Vaccinium oxycoccos)、アマランス油(Amaranthus cruentus)、ザクロ(Punica granatum)、イエルバマテ(Ilex paraguariensis葉抽出物)、ホワイトリリー花抽出物(Lilium candidum)、オリーブ葉抽出物(Olea europaea)、フロレチン(リンゴ抽出物)、オート麦粉(Aveena sativa)、ライフノール(ホップ:Humulus lupulus)抽出物、ブグランP(Ononis spinosa)、リコカルコン(甘草:Glycyrrhiza inflate抽出物の成分)、Symrelief(ビサボロール及びショウガ抽出物)、それらのうちの2つ以上の組み合わせなどが挙げられる。
【0060】
抗炎症剤の一例は、レゾルシノールである。特に好適な置換レゾルシノールとしては、4-ヘキシルレゾルシノール及び4-オクチルレゾルシノール、特に、4-ヘキシルレゾルシノールが挙げられる。4-ヘキシルレゾルシノールは、Sytheon(Lincoln Park,NJ)から「SYNOVEA HR」として市販されている。4-オクチルレゾルシノールは、City Chemical LLC(West Haven,Connecticut)から市販されている。
【0061】
「ナツシロギクの抽出物」とは、PARTHENOLIDE FREE BIOACTIVE INGREDIENTS FROM FEVERFEW(TANACETUM PARTHENIUM)AND PROCESSES FOR THEIR PRODUCTION.」と題された米国特許第7,537,791号に記載の詳細に従って生成され得る、植物「Tanacetum parthenium」の抽出物を意味する。ある特に好適なナツシロギク抽出物は、Integrated Botanical Technologies(Ossining,NY)から約20%活性ナツシロギクとして市販されている。
【0062】
また、様々な他の材料が本発明の組成物中に存在してもよい。1つ以上の実施形態では、組成物は、界面活性剤、キレート剤、皮膚軟化剤、保湿剤、コンディショナー、防腐剤、乳白剤、芳香剤などからなる群から選択される1つ以上の局所成分を含む。
【0063】
皮膚軟化剤とは、(例えば、潤滑剤として作用するために皮膚の表面又は角質層に残存することによって)皮膚の柔らかく、滑らかで、しなやかな外観を維持するのに役立つ化合物を意味する。好適な皮膚軟化剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc New York,NY)の第35章399~415ページ(Skin Feel Agents、G Zocchi著)に見られるものが挙げられ、例えば、ワセリン、ヘキシルデシルステアレート、並びに植物、ナッツ及び植物油(例えば、マカダミアナッツ油、米糠油、ブドウ種子油、パーム油、サクラソウ油、水素添加ピーナッツ、油及びアボカド油)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
保湿剤とは、皮膚の最上層の含水量を増加させることを意図する化合物(例えば、吸湿性化合物)を意味する。好適な保湿剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc(New York,NY))の第35章399~415ページ(Skin Feel Agents、G Zocchi著)に見られるものが挙げられ、例えば、グリセリン、ソルビトール若しくはトレハロース(例えば、α,α-トレハロース、β,β-トレハロース、α,βートレハロース)、又はそれらの塩若しくはエステル(例えば、トレハロース-6-ホスフェート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
界面活性剤とは、クレンジング又は乳化することを意図する表面活性剤を意味する。好適な界面活性剤の例としては、Handbook of Cosmetic Science and Technology(A.Barel、M.Paye及びH.Maibach編、2001年発行、Marcel Dekker,Inc.(New York,NY))の第37章431~450ページ(Classification of surfactants、L.Oldenhove de Guertechin著)に見られるものが挙げられ、例えば、サルフェート及びココヤシグリシン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ベタインなどの両性界面活性剤、アルキルポリグルコシドなどのノニオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
好適なキレート化剤の例としては、本発明の組成物を保護及び保存することができるものが挙げられる。1つ以上の実施形態では、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)であり、より好具体的には、Dow Chemical Company(Midland,Michigan)から商標名「Versene 100XL」として市販されているEDTA四ナトリウムである。
【0067】
好適な防腐剤としては、例えば、パラベン、四級アンモニウム種、フェノキシエタノール、ベンゾエート、DMDMヒダントイン、有機酸が挙げられ、組成物の総重量に基づいて、約0~約1%又は約0.05%~約0.5%の量で組成物中に存在する。
【0068】
コンディショナーの例としては、約220℃未満の大気圧沸点を有する揮発性シリコーンコンディショニング剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適な揮発性シリコーンの例としては、非排他的に、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシクロシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、Dow Corning Corporation(Midland,Michigan)から商品名「DC-345」として市販されているポリジメチルシクロシロキサンなどのシクロメチコン流体、及びそれらの混合物が挙げられ、具体的にはシクロメチコン流体が挙げられる。他の好適なコンディショナーとしては、ポリクオタニウム、カチオン性グアーなどを含むカチオン性ポリマーが挙げられる。
【0069】
文脈が指示するように、任意の好適な担体を組成物に使用することができる。いくつかの実施形態では、担体は、皮膚科学的に許容可能な担体である。当業者には認識されるように、皮膚科学的に許容可能な担体は、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応などがない、身体、特に皮膚と接触して使用するのに好適な担体を含む。皮膚科学的担体の安全かつ有効な量は、組成物の約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は98重量%~約85、90、95、98、99、99.1、99.5、又は99.9重量%である。
【0070】
以下は、皮膚科学的に許容可能な担体の非限定的な例である。他の皮膚科学的に許容可能な担体は、当業者によって製剤化され得る。一実施形態において、皮膚科学的担体は水を含有する。さらなる実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体はまた、1つ以上の水性又は有機溶媒を含有し得る。有機溶媒の例としては、これらに限定されるものではないが、ジメチルイソソルビド、ミリスチン酸イソプロピル;カチオン性、アニオン性、及び非イオン性の界面活性剤;植物油;鉱油;ワックス;ガム;合成及び天然ゲル化剤;アルカノール、グリコール、及びポリオールが挙げられる。グリコールの例としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、カプリルグリコール、グリセロール、ブタンジオール及びヘキサントリオール、並びにそれらのコポリマー又は混合物が挙げられるが、これらに限定されない。アルカノールの例としては、イソプロパノール及びエタノールなどの、約2個の炭素原子~約12個の炭素原子(例えば、約2個の炭素原子~約4個の炭素原子)を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリオールの例としては、プロピレングリコールなどの、約2個の炭素原子~約15個の炭素原子(例えば、約2個の炭素原子~約10個の炭素原子)を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。有機溶媒は、担体の総重量に基づいて約1パーセント~約99.99パーセント(例えば、約20パーセント~約50パーセント)の量で担体中に存在してよい。水は、担体中に、担体の総重量に対して約5%~約95%(例えば約50%~約90%)の量で存在してよい(使用の前に)。溶液は、約40~約99.99%を含む任意の好適な量の溶媒を含むことができる。いくつかの溶液は、約50~約99.9%、約60~約99%、約70~約99%、約80~約99%、又は約90~約99%の溶媒を含有する。
【0071】
水中油型及び油中水型の、ローション及びクリームのような単相エマルションのスキンケア調製物は、当該技術分野で周知であり、本発明に有用である。水中油中水型又は油中水中油型などの多相エマルション組成物もまた、本発明に有用である。概して、そのような単相又は多相のエマルションは、必須成分として水、皮膚軟化剤、及び乳化剤を含有する。
【0072】
本発明の組成物は、ゲル(例えば、好適なゲル化剤を使用した水性、アルコール、アルコール/水、又は油ゲル)として製剤化することもできる。水性及び/又はアルコール性ゲルに好適なゲル化剤としては、天然ゴム、アクリル酸及びアクリレートのポリマー、及びコポリマー、並びにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)が挙げられるが、これらに限定されない。油(鉱油など)に好適なゲル化剤としては、水素添加ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー及び水素添加エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%~約5重量%のこのようなゲル化剤を含有する。
【0073】
他の刺激
上記の組成物に加えて、他の種類の刺激によるエピジェネティック変化を、本明細書に記載の方法を用いて評価することができる。これには、環境の変化又は他の非組成物刺激への曝露が含まれるが、これらに限定されない。環境変数の例には、温度、湿度、大気汚染、刺激物などが含まれるが、これらに限定されない。他の非組成物刺激は、限定されないが、光又は放射線の種類(例えば、UV光)を含む。
【0074】
前述の説明は、本発明の例示的な実施形態を表すが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらに様々な追加、改変、及び置換を行い得ることが理解されるであろう。特に、本発明が、他の特定の形態、構造、配置、割合で、また他の要素、材料、及び構成要素を用いて、その趣旨又は本質的な特性から逸脱することなく具現化され得ることが、当業者には明らかとなるであろう。当業者は、本発明が、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境及び動作要件に特に適合される、本発明の実践において使用される、構造、配置、割合、材料、及び構成要素の多くの修正を伴って、並びに別の方法で、使用され得ることを認識するであろう。したがって、ここに開示される実施形態は、あらゆる点において、限定的なものではなく、例示的なものであるとみなされるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、前述の説明に限定されることはない。特許請求の範囲において、用語「含む/含んでいる」は、他の要素又は工程の存在を除外するものではないことは理解されよう。さらに、単数形の参照は、複数性を排除するものではない。「a」、「an」、「第1の」、「第2の」などの用語は、複数性を排除するものではない。
【0075】
百分率、部及び比率は全て、特に指定しない限り、本発明の組成物の総重量に基づいている。列挙された成分に関連するこのような重量は全て、記載する特定の成分のレベルに基づいているので、特に指定しない限り、市販の物質に含まれることがある担体又は副産物を含まない。
【0076】
本明細書で使用するとき、成分を「本質的に含まない」又は「実質的に含まない」とは、成分を0.1重量パーセント未満若しくは0.01重量パーセント未満しか含有しないか、又は全く含有しないことを意味する。
【0077】
より正確な説明を提供するために、本明細書に示される量的表現の一部は、用語「約」で修飾されていない。用語「約」が明示的に用いられている/いないに関わらず、本明細書において与えられる全ての量は実際の所与の値を指すことを意味し、またこのような所与の値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるこのような所与の値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0078】
より正確な記載を提供するため、本明細書において、定量的表現の一部は約X量から約Y量の範囲として引用される。範囲が挙げられている場合、その範囲は、挙げられている上限及び下限に限定されず、約X量から約Y量の全範囲、又はその範囲内の任意の量若しくは範囲を含むと理解される。
【実施例】
【0079】
実施例1-皮膚におけるマイクロニードルパッチの膨潤能力の検証
いくつかのマイクロニードルパッチを、エクスビボのヒト皮膚外植片への挿入の前後に秤量して、皮膚におけるマイクロニードルパッチの膨潤能力を評価した。マイクロニードルパッチは、基部に対して垂直であり、ピラミッド形状で高さ600μmの361(19×19)本のニードルを含み、基部の幅は300μmであり、0.5cm2の面積に150μmのニードル間隔を有していた。以下の表1に示される材料を含有する組成物をマイクロニードル金型に流し込んだ。
【0080】
【表1】
1.Ashland製Gantrez(商標)S-97
2.ポリ(エチレングリコール)(PEG;分子量10,000Da)は、Sigma-Aldrich,Dorset,UKから購入した。
【0081】
材料及び方法
腹部皮膚組織を、形成外科手術を受けている正常なヒト成人から得た。エクスビボ実験のために、皮膚片(25cm2)を滅菌条件下で切断し、ペトリ皿中の培養培地(補充を含むLonza製KGM(商標)Gold(商標))に浸した厚い濾紙上に置いた。4つのマイクロニードルパッチを秤量し、次いで皮膚に挿入した(試料MN1~4)。皮膚に挿入するために、5mLシリンジからのプランジャの平坦な端部を、30秒間にわたって強い圧力を用いてマイクロニードルパッチの基部に押し付けた。各マイクロニードルパッチ上に透明テープを置いて、それらを皮膚に固定した。マイクロニードルパッチを適所に120分間維持した。インビボ条件に似せるために、実験の過程にわたって皮膚試料を37℃でインキュベートした。マイクロニードルパッチはまた、皮膚に挿入せずにインキュベーターに入れられた(試料MN0)。インキュベーション後、全てのマイクロニードルパッチを再び秤量した。次いでマイクロニードルパッチを、200μLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)1X(Lonza)で、チューブを4回反転させることによって洗浄した。洗浄液を採取し、ThermoFisher Scientific製のQubit(商標)miRNA Assay Kitを使用して測定した。
【0082】
結果
結果を下の表1に示す。
【0083】
【表2】
*皮膚を含まないMNの重量(すなわち、試料MN0の重量の差)が、皮膚に挿入したMNから(すなわち、インキュベーション後の試料MN1~MN4の重量から)を減算される。
【0084】
結論:
上記の表から見ることができるように、皮膚への挿入後に試料MN1~4の重量が増加している。これにより、皮膚外植片からマイクロニードルパッチへの生体液の取り込み(すなわち、膨潤能力)が確認される。
【0085】
実施例2-試料採取された生体液のmiRNA含有量を検出及び定量するための分析
いくつかの試料を、HTG EdgeSeq miRNA全トランスクリプトームアッセイ(HTG Molecular Diagnostics,Inc.、Tuscson、AZ)を使用して分析して、miRNAを検出し、これらのmiRNAを回収するための様々な溶出/抽出方法を評価した。試料条件の概要を以下の表2に示す。
【0086】
条件
【0087】
【0088】
材料及び方法:
実施例1~3:
腹部皮膚外植片を、形成外科手術を受けている正常なヒト成人から得た。エクスビボ実験のために、4つの1.13cm2外植片を、無菌条件下で皮膚試料にパンチした。外植片を、フェノールレッドを含まない、0.05%のトリプシン500μLを含有する1.5mLの滅菌チューブに対で入れ、5%CO2の加湿雰囲気下、37℃で一晩インキュベートした。次いで、チューブをボルテックスし、外植片を、先端で押圧した後にチューブから取り出した。液体を900gで5分間遠心分離して、細胞及び組織片を除去した。次いで、上清を回収した。この皮膚消化500μlを試料実施例1として分析した。
【0089】
アルミニウム箔をワックス上に置いた。2つのマイクロニードルを箔の中心に、ニードルを下に向けて配置し、これらを、5mlシリンジプランジャの端部を使用して手動でアルミニウム箔を通して挿入した。ここで箔中に挿入されたマイクロニードルをワックスから慎重に取り出し、皮膚消化(実施例2試料)又は500μlのPBS 1X(実施例3試料)を含有するペトリ皿の上部に置いた。120分間インキュベートした後、マイクロニードルを取り出した。次いで、チューブを4回反転させることによって、2本のマイクロニードルを500μLのPBS 1X(Lonza)と一緒に洗浄し、マイクロニードルを取り出した。
【0090】
実施例4~12:
腹部皮膚生検を、形成外科手術を受けている正常なヒト成人から得た。エクスビボ実験のために、18個の1.13cm2外植片を滅菌条件下で皮膚試料へとパンチし、ペトリ皿中の培養培地(補充を含むLonza製KGM(商標)Gold(商標))に浸した厚い濾紙上に置いた。マイクロニードルを皮膚外植片に挿入した。皮膚外植片に挿入するために、5mLシリンジからのプランジャの平坦な端部を、30秒間にわたって強い圧力を用いてマイクロニードルパッチの基部に押し付けた。各マイクロニードルパッチ上に透明テープを置いて、それらを皮膚外植片に固定した。マイクロニードルパッチを適所に120分間維持した。インビボ条件に似せるために、実験の過程にわたって皮膚外植片を37℃でインキュベートした。インキュベーション後、チューブを4回反転させることによって、2つのマイクロニードルパッチを500μLのPBS 1X(Lonza)と一緒に洗浄した。洗浄液を採取した(実施例10~12以外)。
【0091】
実施例10~12については、インキュベーション後、チューブを4回反転させることによってマイクロニードルパッチを500μLのPBS 1X(Lonza)と一緒に洗浄し、次いで超音波処理器に15分間入れた。次いで、マイクロニードルパッチを残して、液体をチューブから回収し、新しいチューブに移した。
【0092】
実施例8~9及び11~12を、Amicon(登録商標)遠心濾過装置によって処理して、濾液及び濃縮物試料を生成した。簡単に説明すると、実施例8~9及び11~12からの洗浄液をAmicon(登録商標)遠心濾過チューブに充填した。次いで、チューブを遠心分離機で回転させて、液体にフィルターを通過させた。次いで、濾過された液体が回収され、「濾液」と称された。フィルターを通過しなかった残りの液体も回収され、「濃縮物」と称された。全ての試料をHTG Molecular Diagnosticsに送って、EdgeSeq miRNA全トランスクリプトームアッセイを実行した。
【0093】
結果
全ての統計分析はR 4.0.0環境で行ったが、当業者であれば、他の適切な環境が利用可能であることを理解するであろう。
【0094】
データ前処理及び正規化
EdgeSeq miRNA全トランスクリプトームアッセイ後のHTGによって提供されるデータは、2102行×27列のプレーンテキスト生カウントマトリックスとしてフォーマットされる。2102個のmiRNAのうち、5個は内部対照に相当し、13個はハウスキーピングプローブに相当し、2084個はmiRNAに相当する。低発現miRNA(すなわち、3つ以上の試料において1番目のデシルよりもリードカウントが低い)をその後の分析のために除去して、アーチファクトを回避する。
【0095】
詳細な分析に分ける前に、クォンタイル正規化と、ハウスキーピングプローブに依存する追加の正規化ラウンドとの組み合わせを使用して、カウントマトリックス行列を正規化した。この正規化の目的は、
・試料毎のリードの総数を同じ値にスケーリングすること、
・試料全体の中央値及び標準偏差を同じ値にスケーリングすること、
・試料全体のハウスキーピングプローブのカウント値を同じ値にスケーリングすることによって、ライブラリー/試料を互いに比較できるようにすることである。
【0096】
図2~
図5は、データ品質チェック及び正規化の影響を示す。
図2は、全ばらつきの62.9%を説明する主成分分析の2つの1次元での試料の分布を示す。このタイプのグラフでは、同じmiRNA発現パターンを共有する試料は、互いに近いと予想される。全体的な満足構造(すなわち、内部対照が互いに近接しており、陰性対照が同じ領域に位置している)にもかかわらず、技術的反復は近接していない可能性がある(所与の条件に対して「_1」及び「_2」)。これは主に、試料間でシグナル分布及び生成されたリードの総数に広がりがあるという事実に起因する(
図3)。ハウスキーピング誘導クォンタイル正規化を適用することにより、本発明者らは、リードの総数及び分布の両方に関して試料をアラインメントすることができ(
図5)、これは、技術的反復を合わせて、さらにより満足のいく全体的な試料様相につながる(
図4)。
【0097】
結論
図2~
図5に基づいて、クォンタイル正規化とそれに続くハウスキーピング誘導調整とが、HTG EdgeSeq miRNA全トランスクリプトームの前処理によく適していると結論付けることができる。正規化されたデータは、さらなる分析に使用される。
【0098】
実施例3-再現性
上記実施例2からの結果の再現性を評価するために、3つの態様:
(1)3回配列決定された同じ試料に対応する3つの内部対照トラックに焦点を当てた、HTG配列決定プラットフォームの技術的再現性、
(2)本発明者らが2つの技術的反復を生成した4つのインビトロ皮膚試料に焦点を当てたアッセイの技術的再現性、及び
(3)一致した技術的反復についての情報を組み合わせた後の4つのインビトロ皮膚試料に焦点を当てた、アッセイの生物学的再現性、を評価した。
【0099】
(1)内部対照
内部対照間の再現性を評価するために、HTGによって提供される3つの対照の各ペアリング間のペアワイズピアソン相関係数を計算した。
【0100】
【0101】
表3は、ある試料を別の試料に対して相関させる場合のペアワイズピアソン相関係数R2を示す。
【0102】
上記の表から分かるように、HTGプラットフォームの技術的再現性は良好であり、それらの間で平均.97の相関を達成している。なお、低発現のmiRNAほど相関が低い。
【0103】
(2)技術的再現性
上記と同じアプローチを使用して、技術的反復間の再現性を評価するために、皮膚試験試料からの技術的反復の各ペアの間でペアワイズピアソン相関係数を計算した。
【0104】
【0105】
表4は、ある試料を別の試料に対して相関させる場合のペアワイズピアソン相関係数R2を示す。
【0106】
表から分かるように、4つの試料から、技術的反復間に.92~.95の相関が達成された(Skin_Test_S1 1対Skin_Test_S1 2;Skin_Test_S2 1対Skin_Test_S2 2;Skin_Test_S3 1対Skin_Test_S3 2;Skin_Test_S4 1対Skin_Test_S4 2)。
【0107】
(3)生物学的反復
技術的反復間の再現性を評価した後、それらを単一の試料毎に組み合わせた。生物学的反復間の再現性を評価するために、皮膚試験試料の各ペア間のペアワイズピアソン相関係数を計算した。
【0108】
【0109】
表5は、ある試料を別の試料に対して相関させる場合のペアワイズピアソン相関係数R2を示す。表から分かるように、生物学的反復間の.93~.96の範囲の相関が得られる。
【0110】
結論
全体的に、技術的再現性及び生物学的再現性の両方が良好であり、相関は.93を超える。
【0111】
実施例4-信頼性
信頼性を評価するために、パッチなしの消化皮膚(すなわち、陽性対照)について得られたデータを、パッチありの消化皮膚と比較した。2つの試料中のmiRNA発現値を比較し、ピアソン相関を計算した。
【0112】
2つの試料を相関させるペアワイズピアソン相関係数R2は、0.828であると計算され、パッチの適用が皮膚miRNAomeの信頼できる測定を可能にすることを示唆している。
【0113】
実施例5-関連性
関連性を評価するために、本発明者らの4つの生物学的反復において得られた結果を、miRNA Atlasプロジェクト(https://ccb-web.cs.uni-saarland.de-tissueatlas/)の範囲において得られた生検と比較した。最初の工程では、41個の皮膚濃縮miRNAを、miRNA Atlasにおいてスクリーニングされた30個の組織を使用して特定した。次に、マイクロニードルパッチを用いたこれらのmiRNAの測定における精度の範囲を評価した。
【0114】
図6は、miRNA ATLAS及び皮膚試料からの皮膚生検における皮膚濃縮miRNAについての発現レベルを示すドットプロットを示す。相関は、ピアソン相関法によって測定される。
図6から分かるように、皮膚濃縮miRNAセットを考慮する場合、ATLASと試料データとの間に全体的に高い相関が存在する。これは、分析された試料間の固有の生物学的なばらつきにもかかわらず、本発明の方法が正確かつ関連性があることを示唆している。
【0115】
実施例6-プロトコルの変形
有効なプロトコルは、陽性対照(すなわち、マイクロニードルを用いない消化皮膚)に可能な限り近い結果を依然として提供しながら、試料調製中のハンズオン時間を制限すべきである。プロトコルの変形における効果を評価するために、ペアワイズ相関分析及びクラスタリングを行った。皮膚試験試料(実施例4~7)全体が一緒にクラスタリングされた。さらに、それらは陽性対照と良好に相関する傾向があることが示された。皮膚試験試料はPBS洗浄のみで調製されたので、これは、比較的単純なプロトコルが精度とハンズオン時間との間の正しいバランスを提供することを実証する。
【0116】
要約すると、処理プロトコルによる有意差は観察されなかった。濃縮/濾過及び超音波処理を伴わない、PBS洗浄のみの単純なプロトコルであっても、満足のいく結果が得られた。
【0117】
実施例7-miRNAにおける調節が検出され得ることの確認
miRNA調節がパッチを介して検出され得るかどうかを調べるために、皮膚外植片をレチノールで処理し、miRNAプロファイルを、プラセボビヒクルで処理した皮膚外植片と比較した。
【0118】
材料及び方法:
腹部皮膚生検を、形成外科手術を受けている正常なヒト成人から得た。エクスビボ実験のために、4つの1.13cm2外植片を滅菌条件下で皮膚試料にパンチし、ペトリ皿中の培養培地(補充を含むLonza製KGM(商標)Gold(商標))に浸した厚い濾紙上に置いた。
【0119】
プロピレングリコール30%及びエタノール70%の混合物中に0.1%で希釈した10μlのレチノールを、2つの外植片の表面に局所的に適用した。並行して、2つの対照外植片を10μlのプラセボビヒクル:プロピレングリコール30%及びエタノール70%で処理した。皮膚外植片を24時間インキュベートし、5%CO2加湿雰囲気下、37℃で一晩インキュベートした。
【0120】
マイクロニードルパッチを皮膚外植片に挿入した。皮膚外植片に挿入するために、5mLシリンジからのプランジャの平坦な端部を、30秒間にわたって強い圧力を用いてマイクロニードルアレイの基部に押し付けた。各マイクロニードル上に透明テープを置いて、それらを皮膚外植片に固定した。マイクロニードルパッチを120分間適所に維持した。インビボ条件に似せるために、皮膚外植片を実験の過程にわたって37℃でインキュベートした。インキュベーション後、各試料のマイクロニードルパッチを同じチューブに再区分し、チューブを4回反転させることによって500μLのPBS 1X(Lonza)で洗浄した。洗浄液を分析のために採取した。
【0121】
試料をHTG Molecularに送って、EdgeSeq miRNA全トランスクリプトームアッセイを実行した。前述のようにデータを前処理及び正規化した後、差分解析を行って、局所レチノール処理によって発現が変化したmiRNAを検出した。
【0122】
図7は、レチノール局所処理の影響を評価する差分解析の結果を示すボルケーノプロットを示す。各ドットはmiRNAに対応する。x軸は、対照試料と処理試料との間の発現のlog
2倍変化を示す。y軸は、スチューデントt-検定の-log
10(p値)を示す。有意性を示すために、1本の水平線及び2本の垂直線がグラフ上に引かれている。したがって、水平線の上かつ両方の垂直線の右に現れるドットは、レチノール処理によって有意に上方制御されたmiRNAを示す。水平線の上かつ両方の垂直線の左に現れるドットは、レチノール処理によって有意に下方制御されたmiRNAを示す。
図7から分かるように、レチノール局所処理により、393個のmiRNAが下方制御され、183個が上方制御された。
【0123】
さらに
図7には、レチノール処理によって下方制御されることが以前に示されたmiRNA(Parsa et al.,Poster at AAD 2020)が、中空の点として示されている。興味深いことに、レチノール処理によって下方制御されることが以前に示された5つのmiRNAのうち、4つはHTGパネルの一部である。これらの4つのうち、2つはパッチによって有意に下方制御されるものとして検出され(miR-181b-5p、miR-29b-3p)、1つはわずかに減少する(miR 195-5p)。
【0124】
このデータは、マイクロニードルパッチが、レチノールでの処理後のmiRNAの上方制御又は下方制御を含むmiRNAプロファイルの調節を検出することができることを実証している。
【0125】
本発明は、以下の番号付けされた実施形態を含む。
1.皮膚中のmiRNAを定量する方法であって、
(a)膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(b)微小突起アレイを取り外すこと、
(c)微小突起アレイに吸収された間質液からmiRNAを回収すること、及び
(d)miRNAを定量することを含む、方法。
2.微小突起アレイが、少なくとも約20~約180分間皮膚に適用される、実施形態1に記載の方法。
3.微小突起アレイからmiRNAを回収することが、微小突起アレイを洗浄することを含む、実施形態1又は2のいずれかに記載の方法。
4.微小突起アレイが、リン酸緩衝生理食塩水、蒸留水、及びRNA安定化試薬からなる群から選択される緩衝液で洗浄されて洗浄液を提供する、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
5.洗浄液を濃縮することをさらに含む、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
6.微小突起アレイが、膨潤性ポリマー組成物から構成される複数の微小突起を含む、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
7.膨潤性ポリマー組成物が、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分なほど硬く脆い乾燥状態にある、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
8.(e)定量されたmiRNAを参照と比較することをさらに含む、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
9.miRNAを定量することが、次世代シーケンシング、トランスクリプトーム解析又は定量的ポリメラーゼ連鎖反応を含む、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
10.刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であって、
(a)対象の皮膚の領域を刺激に曝露すること、
(b)膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域の少なくとも一部に適用して間質液を吸収すること、
(c)微小突起アレイを取り外すこと、
(d)微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(e)miRNAを分析することを含む、方法。
11.実施形態10に記載の方法であって、間質液を吸収するために皮膚の領域の少なくとも一部に適用される膨潤性微小突起アレイが第2の膨潤性微小突起アレイであり、
(a)刺激への曝露前の間質液を吸収するために、第1の膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用することであって、皮膚の領域が、刺激が曝露される皮膚の同じ領域、又は同じ対象における皮膚の異なる領域である、こと、
(b)微小突起アレイを取り外すこと、
(c)微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(d)miRNAを分析することをさらに含む、方法。
12.刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であって、
(a)第1の膨潤性微小突起アレイを対象の皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(b)第1の微小突起アレイを取り外すこと、
(c)第1の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、
(d)第1の微小突起アレイからのmiRNAを分析すること、
(e)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を刺激に曝露すること、
(f)第2の膨潤性微小突起アレイを刺激に曝露された皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(g)第2の微小突起アレイを取り外すこと、
(h)第2の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(i)第2の微小突起アレイからのmiRNAを分析することを含む、方法。
13.刺激が組成物を含む、実施形態10~12のいずれかに記載の方法。
14.組成物が1つ以上の皮膚科学的活性成分を含む、実施形態10~13のいずれかに記載の方法。
15.刺激への曝露が、組成物を皮膚の領域に局所的に適用することを含む、実施形態10~14のいずれかに記載の方法。
16.組成物が、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、セラム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、棒状石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、ヒドロゲル、又は皮膜形成製品の形態である、実施形態10~15のいずれかに記載の方法。
17.組成物の投与前に適用された微小突起アレイから回収されたmiRNAが、組成物の投与後に適用された微小突起アレイから回収されたmiRNAと比較される、実施形態11~16のいずれかに記載の方法。
18.組成物が、第1の膨潤性微小突起アレイが適用される同じ皮膚のタイプの皮膚の領域に投与される、実施形態11~17のいずれかに記載の方法。
19.刺激が、UV光、汚染、刺激物、アレルゲン、温度変化、湿度変化、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態11~18のいずれかに記載の方法。
20.第1の膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用する前に、皮膚の領域が前処理刺激に曝露される前処理工程をさらに含む、実施形態11~19のいずれかに記載の方法。
21.実施形態12~20のいずれかに記載の方法であって、
(j)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を第2の刺激に曝露すること、
(k)第3の膨潤性微小突起アレイを第2の刺激に曝露された皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(l)第3の微小突起アレイを取り外すこと、
(m)第3の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(n)第3の微小突起アレイからのmiRNAを分析することをさらに含む、方法。
【0126】
〔実施の態様〕
(1) 皮膚中のmiRNAを定量する方法であって、
(a)膨潤性微小突起アレイを皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(b)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記微小突起アレイに吸収された前記間質液からmiRNAを回収すること、及び
(d)前記miRNAを定量することを含む、方法。
(2) 前記微小突起アレイが、少なくとも約20~約180分間、前記皮膚に適用される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記微小突起アレイから前記miRNAを回収することが、前記微小突起アレイを洗浄することを含む、実施態様1~2のいずれかに記載の方法。
(4) 前記微小突起アレイが、リン酸緩衝生理食塩水、蒸留水、及びRNA安定化試薬からなる群から選択される緩衝液で洗浄されて洗浄液を提供する、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記洗浄液を濃縮することをさらに含む、実施態様4に記載の方法。
【0127】
(6) 前記微小突起アレイが、膨潤性ポリマー組成物から構成される複数の微小突起を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記膨潤性ポリマー組成物が、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分なほど硬く脆い乾燥状態にある、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記膨潤性ポリマー組成物が、哺乳動物の皮膚の角質層に浸透するのに十分に硬い乾燥状態にある、実施態様6に記載の方法。
(9) (e)前記定量されたmiRNAを参照と比較することをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記miRNAを定量することが、次世代シーケンシング、トランスクリプトーム解析又は定量的ポリメラーゼ連鎖反応を含む、実施態様1に記載の方法。
【0128】
(11) 前記方法が、刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であり、前記方法が、
(a)対象の前記皮膚の領域を前記刺激に曝露すること、
(b)膨潤性微小突起アレイを前記皮膚の領域の少なくとも一部に適用して間質液を吸収すること、
(c)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(d)前記微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(e)前記miRNAを分析することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記皮膚の領域に適用される前記膨潤性微小突起アレイが第2の膨潤性微小突起アレイであり、前記方法が、
(a)前記刺激への曝露前の間質液を吸収するために、第1の膨潤性微小突起アレイを、皮膚の領域に適用することであって、前記皮膚の領域が、前記刺激が曝露される皮膚の同じ領域、又は同じ対象における皮膚の異なる領域である、こと、
(b)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(d)前記miRNAを分析することをさらに含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記方法が、刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であり、前記方法が、
(a)第1の膨潤性微小突起アレイを対象の前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(b)前記第1の微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記第1の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、
(d)前記第1の微小突起アレイからの前記miRNAを分析すること、
(e)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を刺激に曝露すること、
(f)第2の膨潤性微小突起アレイを前記刺激に曝露された前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(g)前記第2の微小突起アレイを取り外すこと、
(h)前記第2の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(i)前記第2の微小突起アレイからの前記miRNAを分析することを含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記刺激が組成物を含む、実施態様11~13のいずれかに記載の方法。
(15) 前記組成物が、1つ以上の皮膚科学的活性成分を含む、実施態様14に記載の方法。
【0129】
(16) 前記刺激への曝露が、前記組成物を前記皮膚の領域に局所的に適用することを含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記組成物が、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、セラム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、棒状石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、ヒドロゲル、又は皮膜形成製品の形態である、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記組成物の投与前に適用された前記微小突起アレイから回収された前記miRNAが、前記組成物の投与後に適用された前記微小突起アレイから回収された前記miRNAと比較される、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記組成物が、前記第1の膨潤性微小突起アレイが適用される同じ皮膚のタイプである皮膚の領域に投与される、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記刺激が、UV光、汚染、刺激物、アレルゲン、温度変化、湿度変化、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様11に記載の方法。
【0130】
(21) 前記方法が、前記第1の膨潤性微小突起アレイを前記皮膚の領域に適用する前に、前記皮膚の領域が前処理刺激に曝露される前処理工程をさらに含む、実施態様12に記載の方法。
(22) (j)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を第2の刺激に曝露すること、
(k)第3の膨潤性微小突起アレイを前記第2の刺激に曝露された前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(l)前記第3の微小突起アレイを取り外すこと、
(m)前記第3の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(n)前記第3の微小突起アレイからの前記miRNAを分析することをさらに含む、実施態様13に記載の方法。
(23) 刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であって、
(a)対象の前記皮膚の領域を前記刺激に曝露すること、
(b)膨潤性微小突起アレイを前記皮膚の領域の少なくとも一部に適用して間質液を吸収すること、
(c)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(d)前記微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(e)前記miRNAを分析することを含む、方法。
(24) 間質液を吸収するために前記皮膚の領域の少なくとも一部に適用される前記膨潤性微小突起アレイが第2の膨潤性微小突起アレイであり、前記方法が、
(a)前記刺激への曝露前の間質液を吸収するために、第1の膨潤性微小突起アレイを、皮膚の領域に適用することであって、前記皮膚の領域が、前記刺激が曝露される皮膚の同じ領域、又は同じ対象における皮膚の異なる領域である、こと、
(b)前記微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(d)前記miRNAを分析することをさらに含む、実施態様23に記載の方法。
(25) 刺激への曝露の結果としての皮膚におけるエピジェネティック変化をモニタリングする方法であって、
(a)第1の膨潤性微小突起アレイを対象の前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(b)前記第1の微小突起アレイを取り外すこと、
(c)前記第1の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、
(d)前記第1の微小突起アレイからの前記miRNAを分析すること、
(e)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を刺激に曝露すること、
(f)第2の膨潤性微小突起アレイを前記刺激に曝露された前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(g)前記第2の微小突起アレイを取り外すこと、
(h)前記第2の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(i)前記第2の微小突起アレイからの前記miRNAを分析することを含む、方法。
【0131】
(26) 前記刺激が組成物を含む、実施態様23~25のいずれかに記載の方法。
(27) 前記組成物が、1つ以上の皮膚科学的活性成分を含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記刺激への曝露が、前記組成物を前記皮膚の領域に局所的に適用することを含む、実施態様26に記載の方法。
(29) 前記組成物が、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、セラム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、液体洗浄液、棒状石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、ヒドロゲル、又は皮膜形成製品の形態である、実施態様26に記載の方法。
(30) 前記組成物の投与前に適用された前記微小突起アレイから回収された前記miRNAが、前記組成物の投与後に適用された前記微小突起アレイから回収された前記miRNAと比較される、実施態様26に記載の方法。
【0132】
(31) 前記組成物が、前記第1の膨潤性微小突起アレイが適用される同じ皮膚のタイプである皮膚の領域に投与される、実施態様26に記載の方法。
(32) 前記刺激が、UV光、汚染、刺激物、アレルゲン、温度変化、湿度変化、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様23に記載の方法。
(33) 前記方法が、前記第1の膨潤性微小突起アレイを前記皮膚の領域に適用する前に、前記皮膚の領域が前処理刺激に曝露される前処理工程をさらに含む、実施態様24に記載の方法。
(34) (j)同じ対象における皮膚の同じ領域又は異なる領域のいずれかである皮膚の領域を第2の刺激に曝露すること、
(k)第3の膨潤性微小突起アレイを前記第2の刺激に曝露された前記皮膚の領域に適用して間質液を吸収すること、
(l)前記第3の微小突起アレイを取り外すこと、
(m)前記第3の微小突起アレイからmiRNAを回収すること、及び
(n)前記第3の微小突起アレイからの前記miRNAを分析することをさらに含む、実施態様25に記載の方法。
【国際調査報告】