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特表2024-539165外科用器具のためのロックアウト装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】外科用器具のためのロックアウト装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523701
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 IB2022059927
(87)【国際公開番号】W WO2023067468
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】17/505,847
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パークス・ダリル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス・スコット・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ブランズ・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】レクター・ジェイソン・エム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160MM32
4C160NN02
4C160NN09
4C160NN15
(57)【要約】
外科用器具は、ステープルカートリッジを内部に支持するように構成されている第1のジョーを備える。軸方向に移動可能な発射部材は、第1の可撓性駆動部材及び第2の可撓性駆動部材によって開始位置と終了位置との間で移動するように構成される。発射部材ロックは、第1のジョー内に支持されるステープルカートリッジ内の軸方向に移動可能なカム部材が開始位置にない限り、発射部材が開始位置から終了位置まで遠位方向に移動することを防止するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、前記ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材であって、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されるときに前記外科用ステープルを前記ステープルカートリッジから射出するように構成された、軸方向に移動可能なカム部材と、を備え、前記外科用器具は、
外科用エンドエフェクタを備え、前記外科用エンドエフェクタは、
前記ステープルカートリッジを中に動作可能に支持するように構成されている第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第2のジョーと、を備え、前記外科用器具は、
前記外科用エンドエフェクタ内の開始位置と前記外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された軸方向に移動可能な発射部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の第1の部分と動作可能に連係して、第1の軸方向駆動運動をそれに適用する、第1の可撓性駆動部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の第2の部分と動作可能に連係して、第2の軸方向駆動運動をそれに適用する、第2の可撓性駆動部材と、
前記外科用エンドエフェクタ内に支持された発射部材ロックであって、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材が前記発射部材ロックと係合して前記開始位置にない限り、前記発射部材が前記開始位置から前記終了位置へ遠位に移動することを防止するように構成されている、発射部材ロックと、を更に備える、外科用器具。
【請求項2】
前記軸方向に移動可能な発射部材は、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記開始位置から中間閉鎖位置に遠位方向に移動されるとき、前記第2のジョーを前記開放位置から前記閉鎖位置に移動させるように構成され、前記発射部材ロックは、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記発射部材ロックと係合して前記開始位置にない限り、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記中間閉鎖位置から前記終了位置に遠位方向に移動することを防止するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記発射部材ロックは、
前記第1のジョー内に移動可能に支持されたロック部材であって、前記ロック部材が前記軸方向に移動可能な発射部材の前記中間閉鎖位置から遠位方向への移動を阻止するロック位置と、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記中間閉鎖位置から前記終了位置まで遠位方向に移動可能であるロック解除位置との間で移動可能である、ロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック位置へと付勢するように構成されている付勢装置と、を含む、請求項1又は請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記第1のジョーが第1のジョー軸を画定し、前記付勢装置は、
前記第1のジョー軸の第1の側部上に位置する第1のロックばねと、
前記第1のジョー軸の第2の側部上に位置する第2のロックばねと、を含む、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記軸方向に移動可能な発射部材は、
第1の横方向本体側部及び第2の横方向本体側部を含む発射部材本体と、
前記第1の横方向本体側部から突出する第1の発射部材下部タブと、
前記第2の横方向本体側部から突出する第2の発射部材下部タブと、を備え、前記ロック部材は、
前記発射部材が前記ロック解除位置にあるときに、前記第1の発射部材下部タブが内部を通過することを可能にするように構成された第1の横方向チャネル部分と、
前記発射部材が前記ロック解除位置にあるときに、前記第2の発射部材下部タブが内部を通過することを可能にするように構成された第2の横方向チャネル部分と、を含む、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記第1の可撓性駆動部材が、前記軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係して、上部軸方向駆動運動をそれに適用し、前記第2の可撓性駆動部材が、前記軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、下部軸方向駆動運動をそれに適用する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記発射部材ロックは、前記外科用エンドエフェクタ内に支持された摩擦発生ばね装置を備え、前記摩擦発生ばね装置は、前記摩擦発生ばね装置が前記軸方向に移動可能な発射部材の一部と直面整列しているロック位置と、前記摩擦発生ばね装置が前記軸方向に移動可能な発射部材の前記一部と直面整列していないロック解除位置との間で移動可能であり、前記開始位置にある前記軸方向に移動可能なカム部材は、前記摩擦発生ばね装置を前記ロック解除位置に移動させるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記軸方向に移動可能な発射部材は、
第1の横方向本体側部及び第2の横方向本体側部を含む発射部材本体と、
前記第1の横方向本体側部から突出する発射部材の第1の横方向タブと、
前記第2の横方向本体側部から突出する発射部材の第2の横方向タブと、を備え、前記摩擦発生ばね装置は、
前記摩擦発生ばね装置が前記ロック位置にあるときに前記発射部材の第1の横方向タブに係合するように構成された第1の保持タブと、
前記摩擦発生ばね装置が前記ロック位置にあるときに前記発射部材の第2の横方向タブに係合するように構成された第2の保持タブと、を備える、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記第1の可撓性駆動部材及び前記第2の可撓性駆動部材と動作可能に連係して、第1の軸方向駆動運動を前記第1の可撓性駆動部材に適用し、第2の軸方向駆動運動を前記第2の可撓性駆動部材に適用して、前記軸方向に移動可能な発射部材を前記開始位置と前記終了位置との間で駆動する発射駆動モータと、
前記発射駆動モータと動作可能に連係する制御回路であって、前記発射駆動モータによって引き込まれる電流の量が所定の量を超えるとき、前記発射駆動モータを停止させるように構成されている、制御回路と、を更に備える、請求項7又は請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記摩擦発生ばね装置が前記ロック位置にあるとき、前記発射駆動モータによって引き込まれる前記電流の量が前記所定の量を超える、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、前記ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材であって、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されるときに前記外科用ステープルを前記ステープルカートリッジから射出するように構成された、軸方向に移動可能なカム部材と、を備え、前記外科用器具は、
外科用エンドエフェクタを備え、前記外科用エンドエフェクタは、
前記ステープルカートリッジを中に動作可能に支持している第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第2のジョーと、を備え、前記外科用器具は、
前記外科用エンドエフェクタ内の開始位置と前記外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された軸方向に移動可能な発射部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材と動作可能に連係して、それに軸方向駆動運動を適用する電気駆動装置と、
前記電気駆動装置と動作可能に連係するコントローラであって、前記コントローラは、前記軸方向に移動可能な発射部材を前記開始位置から前記終了位置まで駆動するために前記電気駆動装置によって引き込まれる電流の量を監視するように構成され、前記コントローラは、前記電流の量が所定の閾値を超えたときに、前記電気駆動装置に前記軸方向に移動可能な発射部材への前記軸方向駆動運動の適用を中断させるように更に構成されている、コントローラと、
前記外科用エンドエフェクタ内に動作可能に支持された発射部材ロック装置であって、前記発射部材ロック装置が前記軸方向に移動可能な発射部材にある量の摩擦抵抗を加えて、前記電気駆動装置によって引き込まれる前記電流の量が前記所定の閾値を超えるロック位置と、前記発射部材ロック装置が前記軸方向に移動可能な発射部材への前記摩擦抵抗の印加を中断するロック解除位置との間で移動するように構成され、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にない限り、前記発射部材ロック装置が前記ロック位置に付勢される、発射部材ロック装置と、を更に備える、外科用器具。
【請求項12】
前記発射部材ロック装置は、
前記第1のジョー内に移動可能に支持されたロック部材であって、前記ロック部材が前記軸方向に移動可能な発射部材の対応する部分に摩擦接触する前記ロック位置と前記ロック解除位置との間で移動可能である、ロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック位置へと付勢するように構成されている付勢装置と、を含む、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記ロック部材は、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にあるときに、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材によって前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動されるように構成されている、請求項12に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記軸方向に移動可能な発射部材は、発射部材本体を備え、前記軸方向に移動可能な発射部材の前記対応する部分は、前記発射部材本体の第1の側部上にあり、前記発射部材ロック装置は、
前記第1のジョー内に移動可能に支持された別のロック部材であって、前記別のロック部材が前記軸方向に移動可能な発射部材の第2の側部上の別の対応する部分に摩擦接触する別のロック位置と別のロック解除位置との間で移動可能である、別のロック部材と、
前記別のロック部材を前記別のロック位置に付勢するように構成されている、別の付勢装置と、を更に含む、請求項12又は請求項13に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記ロック部材は、前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動されるように構成され、前記別のロック部材は、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にあるとき、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材によって前記別のロック位置から前記別のロック解除位置に移動されるように構成されている、請求項14に記載の外科用器具。
【請求項16】
前記軸方向に移動可能な発射部材は、第1のロックタブ及び第2のロックタブを備え、前記ロック部材は、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記第1のロックタブに係合するように構成され、前記別のロック部材は、前記別のロック部材が前記別のロック位置にあるときに前記第2のロックタブに係合するように構成されている、請求項14に記載の外科用器具。
【請求項17】
前記電気駆動装置及び前記軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係して、上部軸方向駆動運動をそれに適用する上部可撓性駆動部材と、
前記電気駆動装置及び前記軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、下部軸方向駆動運動をそれに適用する下部可撓性駆動部材と、を更に備える、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項18】
前記上部可撓性駆動部材は、
前記軸方向に移動可能な発射部材の前記上部と動作可能に連係する上部中空コイル部材と、
前記上部中空コイル部材を通って延在し、前記軸方向に移動可能な発射部材の前記上部に取り付けられた上部ケーブル配列と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の前記下部と動作可能に連係する下部中空コイル部材と、
前記下部中空コイル部材を通って延在し、前記軸方向に移動可能な発射部材の前記下部に取り付けられた下部ケーブル配列と、を備える、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項19】
ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、前記ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材であって、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されるときに前記外科用ステープルを前記ステープルカートリッジから射出するように構成された、軸方向に移動可能なカム部材と、を備え、前記外科用器具は、
外科用エンドエフェクタを備え、前記外科用エンドエフェクタは、
前記ステープルカートリッジを中に動作可能に支持している第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第2のジョーと、を備え、前記外科用器具は、
前記外科用エンドエフェクタ内の開始位置と前記外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された軸方向に移動可能な発射部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係して、軸方向駆動運動をそれに適用する、上部可撓性駆動部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、他の軸方向駆動運動をそれに適用する、下部可撓性駆動部材と、
前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にない限り、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記開始位置から前記終了位置に移動することを防止するための手段と、を更に備える、外科用器具。
【請求項20】
前記軸方向に移動可能な発射部材は、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記開始位置から中間閉鎖位置まで遠位に移動されるとき、前記第2のジョーを前記開放位置から前記閉鎖位置まで移動させるように構成され、前記防止するための手段は、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にない限り、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記中間閉鎖位置から前記終了位置まで遠位に移動することを防止するように構成されている、請求項19に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、外科用器具に関し、かつ様々な構成において、組織をステープル留めして切断するよう設計されている、外科用ステープル留め器具及び外科用切断器具、並びにそれらとともに使用するためのステープルカートリッジに関する。外科用器具は、切開外科的処置で使用するために構成され得るが、腹腔鏡、内視鏡、及びロボット支援手順などの他のタイプの手術における用途を有し、患者内の正確な位置決めを容易にするために器具のシャフト部分に対して関節運動可能なエンドエフェクタを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
様々な態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかしながら、記載される形態は、構成及び操作の方法のいずれに関しても、以下の記載を添付の図面とともに参照することにより最良に理解され得る。
図1】外科用器具の実施形態の一部の斜視図である。
図2】外科用エンドエフェクタ部分がその細長いシャフト部分に対して関節運動位置にある状態の、図1の外科用器具の一部分の斜視図である。
図3】アンビルが閉鎖位置にある状態の、図2の外科用エンドエフェクタの側面立面図である。
図4図3の外科用エンドエフェクタの上面図である。
図5図1の外科用器具の一部分の分解組立斜視図である。
図6図1の外科用器具の関節継手及びアンビルの部分の底断面図である。
図7図6の関節継手の分解組立図である。
図8図7の関節継手の環状ディスク部材の側面図である。
図9図8の環状ディスク部材の斜視図である。
図10図8の環状ディスク部材の遠位面の図である。
図11図8の環状ディスク部材の近位面の図である。
図12図1の外科用器具のプーリユニットの上面図である。
図13】明確にするために外側シャフトチューブが省略されている状態の、図1の外科用器具の関節継手及び細長いシャフトアセンブリの一部分の斜視図である。
図14図12のプーリユニットの側面立面図である。
図15図12のプーリユニットの別の側面立面図である。
図16図12のプーリユニット及び図1の外科用器具の関節継手の連続体シャフトの斜視図である。
図17図12のプーリユニット及び図1の外科用器具の関節継手のエラストマー環状スペーサ部材のシリーズの別の斜視図である。
図18図1の外科用器具のプーリユニット、発射システムの部分、及び関節継手の別の斜視図である。
図19図1の外科用器具の発射システムの一部分の斜視図である。
図20図19の発射システムの部分断面図である。
図21図1の外科用器具の発射システム、関節継手、及び閉鎖システムの斜視図である。
図22】外科用エンドエフェクタが非関節運動位置にある状態の、図1の外科用器具の部分断面図である。
図23図1の外科用器具の発射システムの異なる駆動アセンブリの実施形態の部分図である。
図24】外科用エンドエフェクタが関節運動位置にある状態の、図1の外科用器具の別の部分断面図である。
図25】外科用エンドエフェクタが関節運動位置にある状態の、図1の外科用器具の別の部分断面図である。
図26】本開示の別の一般的態様による、別の外科用器具の外科用エンドエフェクタの斜視図である。
図27】アンビルが開放位置にある状態の、図26の外科用エンドエフェクタの別の斜視図である。
図28図26の外科用エンドエフェクタの上面図である。
図29】アンビルが閉鎖位置にある状態の、図26の外科用エンドエフェクタの側面図である。
図30図26の外科用エンドエフェクタ及び外科用器具の分解斜視図である。
図31図26の外科用エンドエフェクタ及び外科用器具の断面側面立面図である。
図32図26の外科用器具の関節継手部分の斜視図である。
図33図32の関節継手の分解斜視図である。
図34図32の関節継手の別の分解斜視図である。
図35図32の関節継手の断面図である。
図36】アンビルが部分的な開放位置にある、図26の外科用エンドエフェクタの部分断面側面図である。
図37図26の外科用エンドエフェクタのアンビル装置の分解斜視図である。
図38】アンビルが閉鎖位置にある状態の、図26の外科用エンドエフェクタの断面端面図である。
図39図26の外科用器具の発射システムの部分斜視図である。
図40】ステープルカートリッジが内部に装着されており、アンビルが開放位置にある、図26の外科用エンドエフェクタ及び外科用器具の部分断面側面図である。
図41】アンビルが開放位置にある、図26の外科用エンドエフェクタの断面側面図である。
図42】アンビルが閉鎖位置にある、図26の外科用エンドエフェクタの別の断面側面図である。
図43】本開示の別の一般的態様による、別の外科用エンドエフェクタの断面端面図である。
図43A】本開示の別の一般的態様による、代替のプッシュケーブルの断面図である。
図43B】本開示の別の一般的態様による、代替プッシュケーブル配列の断面図である。
図43C】本開示の別の一般的態様による、代替プッシュケーブル配列の断面図である。
図43D】本開示の別の一般的態様による、代替プッシュケーブル配列の断面図である。
図43E】本開示の別の一般的態様による、代替プッシュケーブル配列の断面図である。
図43F】本開示の別の一般的態様による、代替プッシュケーブル配列の断面図である。
図44】アンビルが閉鎖位置にあり、発射部材が中間閉鎖位置にある、本開示の別の一般的態様による別の外科用エンドエフェクタの断面側面図である。
図45】発射部材が終了位置にある、図44の外科用エンドエフェクタの別の断面側面図である。
図46】アンビルが閉鎖位置にあり、発射部材が中間閉鎖位置にある、本開示の別の一般的態様による別の外科用エンドエフェクタ部分の断面側面図である。
図47】本開示の別の一般的態様による、別の発射部材並びに上部発射部材アセンブリ及び下部発射部材アセンブリの斜視図である。
図48】明確にするために発射部材が省略されている、図47の発射部材、上部発射部材アセンブリ及び下部発射部材アセンブリを使用する外科用エンドエフェクタ部分の断面端面図である。
図49】外科用エンドエフェクタ内の発射部材の遠位前進を示す、図48の外科用エンドエフェクタの部分上面断面図である。
図50】外科用エンドエフェクタ内の発射部材の近位後退を示す、図48の外科用エンドエフェクタの別の部分上面断面図である。
図51】本開示の別の一般的態様による、関節継手及び外科用エンドエフェクタ部分を通過する、別の発射アセンブリ実施形態の図である。
図52図51の発射アセンブリ部分の斜視図である。
図53】発射部材ロックアウトシステムがロックされた配向にあり、未使用のステープルカートリッジを内部に設置する前の、別の外科用エンドエフェクタ部分の断面側面図である。
図54】未使用のステープルカートリッジが内部に着座されており、発射部材ロックアウトシステムがロック解除配向にある、図54の外科用エンドエフェクタの別の断面側面図である。
図55図53の発射部材ロックアウトシステムの発射部材ロックの斜視図である。
図56】発射部材ロックアウトシステムがロックされた配向にある、図53の外科用エンドエフェクタの断面端面図である。
図57】発射部材ロックアウトシステムがロック解除された配向にある、図54の外科用エンドエフェクタの別の断面端面図である。
図58】発射部材ロックアウトシステムがロックされた配向にあり、別の外科用エンドエフェクタ部分の断面端面図である。
図59】未使用の外科用ステープルカートリッジが内部に装着されており、発射部材ロックアウトシステムがロック解除された配向にある、図58の外科用エンドエフェクタの別の断面端面図である。
図60】発射部材ロックアウトシステムがロックされた配向にある、別の外科用器具部分の部分断面斜視図である。
図61】発射部材ロックアウトシステムがロックされた配向にある、別の外科用エンドエフェクタ部分の断面側面図である。
図62】発射部材ロックアウトシステムがロック解除された配向にある、図61の外科用エンドエフェクタの別の断面側面図である。
図63】本開示の別の一般的態様による、外科用器具の別の外科用エンドエフェクタ部分の部分断面上面図である。
図64】発射部材ロックアウトシステムがロック解除された配向にある、図63の外科用エンドエフェクタの部分断面側面図である。
図65】発射部材ロックアウトシステムがロックされた構成にある、図63の外科用エンドエフェクタの別の部分断面側面図である。
図66図63の外科用器具の制御回路配列を示す例である。
図67】本開示の別の一般的態様による、外科用器具の別の外科用エンドエフェクタ部分の部分断面上面図である。
図68】発射部材ロックアウトシステムがロック解除された配向にある、図67の外科用エンドエフェクタの部分断面側面図である。
図69】発射部材ロックアウトシステムがロックされた配向にある、図67の外科用エンドエフェクタの部分断面側面図である。
図70】本開示の別の一般的態様による、外科用器具の別の外科用エンドエフェクタ部分の部分断面上面図である。
図71】発射部材ロックアウトシステムがロック解除された配向にある、図70の外科用エンドエフェクタの部分断面側面図である。
図72】発射部材ロックアウトシステムがロックされた配向にある、図70の外科用エンドエフェクタの部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下の米国特許出願は、2021年6月28日に出願されたものであり、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-米国特許出願第17/360,133号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH TORSION SPINE DRIVE ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第17/360,139号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH FIRING MEMBER CLOSURE FEATURES」、
-米国特許出願第17/360,149号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH SEGMENTED FLEXIBLE DRIVE ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第17/360,162号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH FLEXIBLE BALL CHAIN DRIVE ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第17/360,176号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH DOUBLE SPHERICAL ARTICULATION JOINTS WITH PIVOTABLE LINKS」、
-米国特許出願第17/360,192号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH DOUBLE PIVOT ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第17/360,197号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH COMBINATION FUNCTION ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第17/360,199号、発明の名称「METHOD OF OPERATING A SURGICAL INSTRUMENT」、
-米国特許出願第17/360,211号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH DUAL SPHERICAL ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第17/360,220号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH FLEXIBLE FIRING MEMBER ACTUATOR CONSTRAINT ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第17/360,244号、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENTS WITH ARTICULATION JOINTS COMPRISING FLEXIBLE EXOSKELETON ARRANGEMENTS」、及び
-米国特許出願第17/360,249号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENTS WITH DIFFERENTIAL ARTICULATION JOINT ARRANGEMENTS FOR ACCOMMODATING FLEXIBLE ACTUATORS」。
【0004】
本願の出願人は、2019年2月21日に出願された以下の米国特許出願を所有しており、これらは各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
-米国仮特許出願第16/281,658号、発明の名称「METHODS FOR CONTROLLING A POWERED SURGICAL STAPLER THAT HAS SEPARATE ROTARY CLOSURE AND FIRING SYSTEMS」、
-米国特許出願第16/281,670号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE COMPRISING A LOCKOUT KEY CONFIGURED TO LIFT A FIRING MEMBER」、
-米国特許出願第16/281,675号、発明の名称「SURGICAL STAPLERS WITH ARRANGEMENTS FOR MAINTAINING A FIRING MEMBER THEREOF IN A LOCKED CONFIGURATION UNLESS A COMPATIBLE CARTRIDGE HAS BEEN INSTALLED THEREIN」、
-米国特許出願第16/281,685号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING CO-OPERATING LOCKOUT FEATURES」、
-米国特許出願第16/281,693号、発明の名称「SURGICAL STAPLING ASSEMBLY COMPRISING A LOCKOUT AND AN EXTERIOR ACCESS ORIFICE TO PERMIT ARTIFICIAL UNLOCKING OF THE LOCKOUT」、
-米国特許出願第16/281,704号、発明の名称「SURGICAL STAPLING DEVICES WITH FEATURES FOR BLOCKING ADVANCEMENT OF A CAMMING ASSEMBLY OF AN INCOMPATIBLE CARTRIDGE INSTALLED THEREIN」、
-米国特許出願第16/281,707号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A DEACTIVATABLE LOCKOUT」、
-米国特許出願第16/281,741号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A JAW CLOSURE LOCKOUT」、
-米国特許出願第16/281,762号、発明の名称「SURGICAL STAPLING DEVICES WITH CARTRIDGE COMPATIBLE CLOSURE AND FIRING LOCKOUT ARRANGEMENTS」、
-米国特許出願第16/281,660号、発明の名称「SURGICAL STAPLE CARTRIDGE WITH FIRING MEMBER DRIVEN CAMMING ASSEMBLY THAT HAS AN ONBOARD TISSUE CUTTING FEATURE」、
-米国特許出願第16/281,666号、発明の名称「SURGICAL STAPLING DEVICES WITH IMPROVED ROTARY DRIVEN CLOSURE SYSTEMS」、
-米国特許出願第16/281,672号、発明の名称「SURGICAL STAPLING DEVICES WITH ASYMMETRIC CLOSURE FEATURES」、
-米国特許出願第16/281,678号、発明の名称「ROTARY DRIVEN FIRING MEMBERS WITH DIFFERENT ANVIL AND FRAME ENGAGEMENT FEATURES」、及び
-米国特許出願第16/281,682号、発明の名称「SURGICAL STAPLING DEVICE WITH SEPARATE ROTARY DRIVEN CLOSURE AND FIRING SYSTEMS AND FIRING MEMBER THAT ENGAGES BOTH JAWS WHILE FIRING」。
【0005】
明細書に記載され、添付の図面に示されるように、実施形態の全体的な構造、機能、製造、及び使用の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。周知の動作、構成要素、及び素子は、本明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないようにするため詳細に記載されていない。読者は、本明細書に説明及び図示された実施形態が、非限定的な例であり、したがって本明細書において開示されている特定の構造的及び機能的詳細が、代表的及び例示的であり得ることを理解するであろう。特許請求の範囲から逸脱することなく、それに対する変形及び変更を行うことができる。
【0006】
「備える、含む(comprise)」(並びに、「comprises」及び「comprising」などのcompriseの任意の語形)、「有する(have)」(並びに、「has」及び「having」などのhaveの任意の語形)、「含む(include)」(並びに、「includes」及び「including」などのincludeの任意の語形)、及び「含有する(contain)」(並びに、「contains」及び「containing」などのcontainの任意の語形)の用語は、オープンエンドの連結動詞である。結果として、1つ以上の要素を「備える、含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、若しくは「含有する(contains)」外科用システム、デバイス、又は器械は、それらの1つ以上の要素を有するが、それらの1つ以上の要素のみを有することに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「備える、含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、若しくは「含有する(contains)」システム、デバイス、又は器械の要素は、それらの1つ以上の特徴を有するが、それらの1つ以上の特徴のみを有することに限定されない。
【0007】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0008】
単数形の項目への言及は、明示的に別段の定めがない限り、あるいは本文から明らかでない限り、複数形の項目を含むと理解されるべきであり、逆もまた同様である。文法上の接続詞は、別段の記載がない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、結合された節、文、単語などの任意及び全ての選言的及び接続的組み合わせを表すことを意図している。したがって、「又は」という用語は、一般に、「及び/又は」などを意味すると理解されるべきである。
【0009】
本発明における値の範囲の記述は、本明細書において別途記載のない限り、その範囲内に含まれる任意及び全ての値を、限定するのではなく、個別に参照することを意図したものであり、そのような範囲内の各々の別個の値は、本明細書に個別に列挙されるかのように、明細書内に組み込まれる。「約(about)」、「およそ(approximately)」などの語は、数値を伴う場合、意図された目的のために満足に動作するように、当業者によって理解されるような偏差を示すものとして解釈されるべきである。同様に、「およそ」又は「実質的に」などの近似の語は、物理的特性に関して使用される場合、対応する使用、機能、目的などのために満足に動作するように、当業者によって認識される偏差の範囲を想到するように解釈されるべきである。
【0010】
本明細書に提供される任意の及び全ての例、つまり例示的文言(「例えば」、「など」又はその他)の使用は、単に各実施形態をより良好に解明することを意図したものであり、実施形態の範囲に制限を課すものではない。明細書中のいかなる文言も、請求されない要素が実施形態の実践に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0011】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科的処置を行うための、様々な例示的な装置及び方法が提供される。しかし、本明細書に開示される様々な方法及び装置が、例えば切開外科的処置と関連するものを含む、多くの外科的処置及び用途で使用され得ることが、読者には容易に理解されよう。本明細書の「発明を実施するための形態」を読み進めることで、読者は、本明細書に開示される様々な器具が、例えば、元からある開口部を通じて、組織に形成された切開部又は穿刺孔を通じてなど、任意の方法で体内に挿入され得ることを更に理解するであろう。これらの器具の作用部分すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接挿入することもでき、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長シャフトを進めることが可能な作用通路を有するアクセスデバイスを通じて挿入することもできる。
【0012】
様々な腹腔鏡外科的処置中においては、患者の腹壁に設置されたトロカールを通して外科用器具の外科用エンドエフェクタ部分を挿入して、患者の腹部内に位置する手術部位にアクセスすることは一般的な手法である。その最も単純な形態では、トロカールは、カニューレ又はスリーブとして知られる中空のチューブ内で典型的に使用される一方に鋭い三角形の先端を有するペン形状の器具であり、体部に開口部を作り、そこを通して外科用エンドエフェクタが導入され得る。そのような装置は、体腔内に、外科用エンドエフェクタが挿入され得るアクセスポートを形成する。トロカールのカニューレの内径は、トロカールを通して挿入され得る外科用器具のエンドエフェクタ及び駆動支持シャフトのサイズを必然的に制限する。
【0013】
実施される外科的処置の特定のタイプに関係なく、外科用エンドエフェクタがトロカールカニューレを通して患者に挿入されると、治療される組織又は器官に対して外科用エンドエフェクタを適切に位置決めするために、トロカールカニューレ内に位置付けられたシャフトアセンブリに対して外科用エンドエフェクタを移動させる必要があることが多い。このトロカールカニューレ内に留まるシャフトの部分に対する外科用エンドエフェクタの移動又は位置決めは、多くの場合、外科用エンドエフェクタの「関節運動」と呼ばれる。外科用エンドエフェクタのそのような関節運動を容易にするために、外科用エンドエフェクタを関連付けられたシャフトに取り付けるための様々な関節継手が開発されている。多くの外科的処置において予想されるように、可能な限り大きな関節運動範囲を有する外科用エンドエフェクタを使用することが望ましい。
【0014】
トロカールカニューレのサイズによって課されるサイズの制約により、関節継手の構成要素は、トロカールカニューレを通して自由に挿入可能であるようにサイズ決定されなければならない。これらのサイズの制約はまた、手持ち式であるか、又はより大きな自動システムの一部分を備え得る、ハウジング内に支持されるモータ及び/又は他の制御システムと動作可能に連係する様々な駆動部材及び構成要素のサイズ及び構成も制限する。多くの場合、これらの駆動部材は、外科用エンドエフェクタに動作可能に連結されているか、又は動作可能に連係されるように、関節継手を動作可能に通過しなければならない。例えば、1つのそのような駆動部材は、外科用エンドエフェクタに関節制御運動を加えるために一般的に用いられる。使用中、関節運動駆動部材は、外科用エンドエフェクタのトロカールを通した挿入を容易にするため、外科用エンドエフェクタを非関節運動位置に位置付けるように非作動であり、その後、外科用エンドエフェクタが患者に入ったときに外科用エンドエフェクタを所望の位置に関節運動させるように作動させることができる。
【0015】
したがって、前述のサイズ制約は、所望の関節運動の範囲を達成し、更に、外科用エンドエフェクタの様々な特徴部を動作させるのに必要な様々な異なる駆動システムを収容できる、関節運動システムの開発の多くの課題である。更に、外科用エンドエフェクタが所望の関節運動位置に位置付けられると、関節運動システム及び関節継手は、エンドエフェクタの作動及び外科的処置の遂行中に、外科用エンドエフェクタをその位置に保持できなければならない。そのような関節継手装置はまた、使用中にエンドエフェクタが受ける外力に耐えることが可能でなければならない。
【0016】
組織を切断及びステープル留めするように構成された様々な外科用エンドエフェクタが存在する。そのような外科用エンドエフェクタは、一般に、外科用ステープルカートリッジを支持する第1のジョー特徴部と、アンビルを備える第2のジョーと、を含む。ジョーは、開放位置と閉鎖位置との間で移動してそれらの間に標的組織を位置決め及びクランプし得るように、互いに対して支持される。これらの外科用エンドエフェクタの多くは、軸方向に移動する発射部材を採用している。いくつかのエンドエフェクタ設計では、発射部材は、発射部材が最初に遠位に前進させられると、発射部材がジョーを閉鎖位置に移動させるように、第1及び第2のジョーと係合するように構成されている。他のエンドエフェクタ設計は、発射部材を動作させるシステムから独立した別個の閉鎖システムを採用する。
【0017】
ステープルカートリッジは、カートリッジ本体を備える。カートリッジ本体は、近位端部と、遠位端部と、近位端部と遠位端部との間に延びるデッキと、を含む。使用中、ステープルカートリッジは、ステープル留めされる組織の第1の側に位置付けられ、アンビルは、組織の第2の側に位置付けられる。アンビルは、ステープルカートリッジに向かって移動させられて、デッキに対して組織を押し付けてクランプする。続いて、カートリッジ本体内に取り外し可能に格納されているステープルを、組織内に配備することができる。カートリッジ本体は、内部に規定されたステープルキャビティを含み、ステープルは、ステープルキャビティ内に取り外し可能に格納される。ステープルキャビティは、6つの長手方向列に配置されている。3列のステープルキャビティが長手方向スロットの第1の側に位置付けられ、3列のステープルキャビティが長手方向スロットの第2の側に位置付けられている。ステープルキャビティ及びステープルの他の装置も可能であり得る。
【0018】
ステープルは、カートリッジ本体内のステープルドライバによって支持されている。ステープルドライバは、ステープルキャビティからステープルを射出するために、第1の、すなわち未発射位置と、第2の、すなわち発射位置との間で移動可能である。ドライバは、カートリッジ本体の下部周辺に延びるリテーナによってカートリッジ本体内に保持され、また、カートリッジ本体を把持し、リテーナをカートリッジ本体に対して保持するように構成されている、弾性部材を含む。ドライバは、カム部材又は「スレッド」によってそれらの未発射位置とそれらの発射位置との間で移動可能である。スレッドは、近位端部に隣接した近位位置と、遠位端部に隣接した遠位位置との間で移動可能である。スレッドは、ドライバの下を摺動し、ドライバを持ち上げるように構成されている複数の傾斜面(カム)を含み、ステープルがその上に支持され、アンビルに向かう。
【0019】
上記に加えて、これらの外科用エンドエフェクタにおいて、スレッドは発射部材によって遠位に移動される。発射部材は、スレッドに接触し、スレッドを遠位端部に向かって押すように構成されている。カートリッジ本体内に規定された長手方向スロットは、発射部材を受容するように構成されている。アンビルは、発射部材を受容するように構成されているスロットも含む。発射部材は、第1のジョーに係合する第1のカムと、第2のジョーに係合する第2のカムと、を更に備える。発射部材を遠位に前進させる際、第1のカム及び第2のカムは、ステープルカートリッジのデッキとアンビルとの間の距離、すなわち組織間隙を制御することができる。発射部材はまた、ステープルカートリッジとアンビルとの中間に捕捉された組織を切除するように構成されているナイフも備える。ステープルがナイフよりも前方に射出されるように、ナイフが傾斜面に対して少なくとも部分的に近位に位置付けられることが望ましい。
【0020】
多くの外科用エンドエフェクタは、軸方向に移動可能な発射ビームを使用し、発射ビームは、発射部材に取り付けられ、軸方向の発射運動及び後退運動を発射部材に加えるために使用される。このような発射ビームの多くは、発射ビームに関節継手の周りにおけるある程度の撓みを与える積層構造を備える。発射ビームが関節継手を横断するとき、発射ビームは継手に関節運動解除力を加えることができ、またビームを座屈させることができる。発射ビームが圧力下で座屈するのを防止するために、関節継手は、一般に、ビームのうちの関節継手を横断する部分を支持するための側方支持体又は「ブローアウト」プレート特徴部を備える。例えば、60度を超える角度にわたって発射ビームを前進させるためには、多くの軸方向の力が必要とされる。この軸方向の力は、発射部材が遠位方向に移動するときに発射部材がジョーと結合することを回避するために、バランスのとれた方法で発射部材に加えられなければならない。ジョーとの発射部材の任意の結合は、構成要素の損傷及び摩耗をもたらし得るだけでなく、クランプされた組織を通して発射部材を駆動するために増加した量の軸方向駆動力を必要とし得る。
【0021】
他のエンドエフェクタ設計では、回転動力式の発射部材が採用される。そのような設計の多くにおいて、回転駆動シャフトは、関節継手を通って延在し、ジョーのうちの1つの中に回転可能に支持される回転可能な発射部材駆動シャフトと連係する。発射部材は、回転可能な発射部材駆動シャフトに螺合可能に係合し、また、回転可能な発射部材駆動シャフトが回転されると、発射部材は、エンドエフェクタを通して駆動される。このような装置では、発射部材駆動シャフトを収容するために支持ジョーをより大きくする必要がある。そのようなデバイスでは、発射部材の下部端部は、一般に、駆動シャフトと動作可能に連係し、これは更に、遠位に駆動されるときに発射部材を不均衡にし得る傾向がある力が加えられることをもたらし得る。
【0022】
図1図25は、大きな関節運動角度に関節運動可能であり、かつ組織を切断及び締結するように構成されたエンドエフェクタを備える外科用器具が直面する多くの課題に対処し得る、外科用器具25010の1つの形態を示す。様々な実施形態では、外科用器具25010は、手持ち式デバイスを備えてもよい。他の実施形態では、外科用器具25010は、例えば、「ロボット制御」システムと呼ばれることもある自動システムを含んでもよい。様々な形態において、外科用器具25010は、細長いシャフトアセンブリ28000に動作可能に連結された外科用エンドエフェクタ26000を備える。細長いシャフトアセンブリ28000は、ハウジングに動作可能に取り付けられ得る。1つの実施形態では、ハウジングは、臨床医によって把持、操作、及び作動されるように構成されているハンドルを備え得る。他の実施形態では、ハウジングは、本明細書に開示する外科用エンドエフェクタ及びそれらのそれぞれの等価物を作動させるのに使用することができる、少なくとも1つの制御運動を生成し加えるように構成された、少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は別の方法で動作可能に支持する、ロボットシステムの一部分を備え得る。加えて、様々な構成要素は、ハウジング内に「収容」されるか又は含まれてもよく、あるいは様々な構成要素は、ハウジングに「関連付け」られていてもよい。このような例では、構成要素は、ハウジングとともに含まれていなくてもよく、又はハウジングによって直接支持されていなくてもよい。例えば、本明細書で開示される外科用器具は、「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」と題する米国特許第9,072,535号に開示される様々なロボットシステム、器具、構成要素及び方法とともに用いられ得、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
1つの形式では、外科用エンドエフェクタ26000は、第1のジョー26100と、第2のジョー26200と、を備える。図示された装置では、第1のジョー26100は、近位端部26112と、遠位端部26114とを備え、かつ外科用ステープルカートリッジ10300を中に動作可能に支持するように構成された、細長いチャネル26110を備える。外科用ステープルカートリッジ10300は、細長いスロット10304を内部に有する、カートリッジ本体10302を備える。複数の外科用ステープル又はファスナは、細長いスロット10304の各側に列をなして配置されたドライバ(図示せず)上にその中に格納される。ドライバは各々、カートリッジデッキ表面10306を通して開口する対応するステープルキャビティ10308と関連付けられる。外科用ステープルカートリッジ10300は、そこからステープル/ファスナが放出された後に交換されてもよい。
【0024】
第2のジョー26200は、近位端部26214と遠位端部26216とを有する細長いアンビル本体26212を備える、アンビル26210を備える。アンビル本体26212は、第1のジョー26100に面するステープル形成下面26218を備え、外科用ステープルカートリッジ10300内のステープル又はファスナの各々に対応するステープル形成ポケットのシリーズ(図示せず)を含み得る。図5に見られるように、アンビル本体26212の近位端26214は、一対の横方向に延在する取付ピン26232を備えるアンビル取付部分26230を備える。取付ピン26232は、細長いチャネル26110の近位端26112に形成された取付クレードル26120内に保持受容されるように構成された対応する取付インサート26130に受容されるように構成される。取付ピン26232は、取付インサート26130内の枢動孔26132内に枢動可能に受容され、次いで、取付インサート26130は、それらの対応するクレードル26120内に挿入され、溶接、接着剤、スナップ嵌めなどによって細長いチャネル26110に固設される。そのような装置は、固定された枢動軸PAの周りの細長いチャネル26110に対するアンビル26210の枢動進行を容易にする。図1を参照されたい。上述したように、この文脈で使用される場合、「固定された」という用語は、枢動軸PAが細長いチャネル26110に対して並進しない、又は移動しないことを意味する。
【0025】
図示の装置では、細長いシャフトアセンブリ28000は、シャフト軸SAを規定し、中空の外側シャフトチューブ28102内に受容されるシャフトスパインアセンブリ28100を備える。図5を参照されたい。シャフトスパインアセンブリ28100は、外科用器具25010の制御部分(例えば、手持ち式ユニット、ロボットツールドライバなど)のハウジングと動作可能に連係してもよく、1つの実施例では、近位スパインセグメント28120及び遠位スパインセグメント28140を備える。
【0026】
細長いシャフトアセンブリ28000は、複数の関節運動平面内の細長いシャフトアセンブリ28000に対する外科用エンドエフェクタ26000の選択的関節運動を容易にするために、遠位スパインセグメント28140並びに外科用エンドエフェクタ26000に取り付けられ得る、関節継手28200を更に備える。ここで図6図11を参照すると、関節継手28200は、移動可能に連係する環状ディスク部材28210のシリーズ28202を備える。図8図9、及び図11に見られるように、各環状ディスク部材28210は、中心に配置された球状特徴部又は突出部28222を備える、「第1の」又は近位面28220を備える。各環状ディスク部材28210は、その中に凹状ソケット28234を規定する環状ハブ部分28232を備える、第2の又は遠位面28230を更に備える。図10を参照されたい。各環状ディスク部材28210は更に、それを貫通する中央シャフト通路28236を有する。図6及び図7に見られるように、関節継手28200は、溶接、接着剤、又は他の好適なファスナ装置によって遠位スパインセグメント28140の遠位端部に取り付けられるように構成された近位取付ディスクアセンブリ28240を更に備える。近位取付ディスクアセンブリ28240は、その中に凹状ソケット28246を規定する環状ハブ部分28244を含む、遠位面28242を備える。近位取付ディスク28240は更に、それを通る中央シャフト通路28248を有する。
【0027】
更に、図示の装置では、アンビル取付ブラケット26240は、関節継手28200と動作可能に連係するように構成されている。アンビル取付ブラケット26240は、溶接、接着剤、又は他の好適なファスナ装置によって、外科用エンドエフェクタ26000の細長いチャネル26110の近位端部26112に取り付けられ、中心に配置された球状特徴部又はそこから突出する突出部26246を有する、近位面26244を備える。図6を参照されたい。アンビル取付ブラケット26240は、それを通る中央シャフト通路26248を更に有する。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、関節継手は、各環状ディスク部材28210の間に間隔をあけて弾性支持を提供する働きをする、エラストマー環状スペーサ部材28280のシリーズ28270を更に備える。エラストマー環状スペーサ部材28280は、各エラストマースペーサ部材28280が対応する環状ディスク部材28210の環状ハブ部分28232上に軸支され得るように、スペーサ開口部28282を規定する。各環状ディスク部材28210は、近位取付ディスクアセンブリ28240及びアンビル取付ブラケット26240に装着された中央エラストマー支持体又は連続体シャフト28300上に軸支される。一装置では、中央連続体シャフト28300は、エラストマー材料(例えば、ゴム、ポリマーなど)から製作され、フランジ付き近位端部28302及び円筒形本体部分28304を備える。円筒形本体部分28304は、その中に環状溝のシリーズ28306を含む。各環状溝28306は、環状ディスク部材28210のうちの1つに対応する。環状ディスク部材28210及び環状スペーサ部材28280は、図6に示されるように、中央連続体シャフト28300上に軸支される。中央連続体シャフト28300のフランジ付き近位端部28302は、近位取付ディスク28240内の近位通路28249内に支持される。中央連続体シャフト28300の円筒形本体部分28304は、移動可能に連係する環状ディスク部材28210のシリーズ28202の環状ディスク部材28210の各々の中央通路28236を通って延在している。各中心に配置された球状特徴部又は突出部28222は、中央連続体シャフト28300内の対応する環状溝28306内に受容されるように構成されている、環状キー部材28224を備える。図6を参照されたい。このような装置は、例えば、各環状ディスク部材28210を中央連続体シャフト28300上で所望の間隔の向きに向ける役割を果たすことができる。
【0029】
更に図6を参照すると、最近位エラストマースペーサ部材28280Pは、最近位環状ディスク部材28210Pと近位取付ディスク28240との間に位置付けられるように、近位取付ディスクアセンブリ28240の環状ハブ部分28244上に軸支される。最近位環状ディスク部材28210Pの環状キー部材28224は、中央連続体シャフト28300内の対応する環状溝28306内に受容され、最近位環状ディスク部材28210Pの中央に配置された球状特徴部又は突出部28222を、近位取付ディスク28240の環状ハブ部分28244内の凹状ソケット28246内に位置付ける。図6に更に見られるように、別のエラストマースペーサ部材28280Aは、最近位環状ディスク部材28210Pの環状ハブ部分28232上に軸支され、その結果、移動可能に連係する環状ディスク部材28202のシリーズ28202における次の環状ディスク部材28210Aと最近位環状ディスク部材28210Pとの間に位置付けられる。環状ディスク部材28210Aの環状キー部材28224は、中央連続体シャフト28300内の対応する環状溝28306内に受容されて、環状ディスク部材28210Aの中心に配置された球状特徴部又は突出部28222を、近位取付ディスク28210Pの環状ハブ部分28244内の凹状ソケット28246内に位置付ける。更に図6を参照すると、別のエラストマースペーサ部材28280Bが、環状ディスク部材28210Aの環状ハブ部分28232上に軸支され、その結果、移動可能に連係する環状ディスク部材28210のシリーズ28202内の次の環状ディスク部材28210Bの間に位置付けられる。環状ディスク部材28210Bの環状キー部材28224は、中央連続体シャフト28300内の対応する環状溝28306内に受容され、環状ディスク部材28210Bの中心に配置された球状特徴部又は突出部28222を、環状ディスク部材28210Aの環状ハブ部分28244内の凹状ソケット28246内に位置付ける。また、この装置において、別のエラストマースペーサ部材28280Cは、環状ディスク部材28210Bの環状ハブ部分28232上に軸支され、その結果、移動可能に連係する環状ディスク部材28202のシリーズにおける最遠位環状ディスク部材28210Cの間に位置付けられる。最遠位環状ディスク部材28210Cの環状キー部材28224は、中央連続体シャフト28300内の対応する環状溝28306内に受容され、最遠位環状ディスク部材28210Cの中心に配置された球状特徴部又は突出部28222を、環状ディスク部材28210Bの環状ハブ部分28244内の凹状ソケット28246内に位置付ける。最後に、別のエラストマースペーサ部材28280Dが、最遠位環状ディスク部材28210Cの環状ハブ部分28232上に軸支され、その結果、アンビル取付ブラケット26240と最遠位環状ディスク部材28210Cとの間に位置付けられる。アンビル取付ブラケット26240の中心に配置された球状特徴部又は突出部26246の環状キー部材28224は、中央連続体シャフト28300内の対応する環状溝28306内に受容され、アンビル取付ブラケット26240の中心に配置された球状特徴部又は突出部226246を、最遠位環状ディスク部材28210Cの環状ハブ部分28244内の凹状ソケット28246内に位置付ける。
【0030】
少なくとも1つの装置では、環状ディスク部材28210P、28210A、28210B、28210Cの枢動進行を相対枢動進行の範囲に制限し、互いに対する環状ディスク部材の完全な相対回転を防止するために、環状ディスク部材28210P、28210A、28210B、28210Cの各々の中心に配置された球状特徴部又は突出部28222、並びにアンビル取付ブラケット26240の遠位球状特徴部又は突出部26246は、その中に一対の弓状ピン溝28226を含む。図6に見られるように、対応する移動制限ピン部材28227は、各環状ハブ部分28232に圧入されるか、又は別様に取り付けられ、かつ中心に配置された球状特徴部又は突出部28222、26246内の対応するピン溝28226内に受容される。
【0031】
図5に戻ると、図示される例では、関節継手28200は、細長いシャフトアセンブリ28000を通って延在する4つのケーブルアセンブリ28410、28420、28430、及び28440を備える、関節運動システム28400によって動作可能に制御され得る。一装置では、ケーブルアセンブリ28410は、シャフトスパインアセンブリ28100内の対応する軸方向溝内で、その中での軸方向移動のために支持される関節運動ロッド28414に取り付けられる、近位ケーブル部分28412を備える。遠位ケーブル部分28416は、関節運動ロッド28414に取り付けられる。ケーブルアセンブリ28420は、シャフトスパインアセンブリ28100内の対応する軸方向溝内で、その中での軸方向移動のために支持される関節運動ロッド28424に取り付けられる、近位ケーブル部分28422を備える。遠位ケーブル部分28426は、関節運動ロッド28424に取り付けられる。ケーブルアセンブリ28430は、シャフトスパインアセンブリ28100内の対応する軸方向溝内で、その中での軸方向移動のために支持される関節運動ロッド28434に取り付けられる、近位ケーブル部分28432を備える。遠位ケーブル部分28436は、関節運動ロッド28434に取り付けられる。ケーブルアセンブリ28440は、シャフトスパインアセンブリ28100内の対応する軸方向溝内で、その中での軸方向移動のために支持される関節運動ロッド28444に取り付けられる、近位ケーブル部分28442を備える。遠位ケーブル部分28446は、関節運動ロッド28444に取り付けられる。
【0032】
近位ケーブル部分28412、28422、28432、28442は、外科用器具25010のハウジング内に支持されるか、又は別様にそれと関連付けられる、ケーブル制御システム25030の一部分と動作可能に連係してもよい。ケーブル制御システム25030は、外科用器具25010の制御回路部分によって制御される1つ以上の対応するモータによって制御される複数のケーブル支持部材/キャプスタン、プーリなどを備えてもよい。様々な実施形態では、ケーブル制御システム25030は、関節運動プロセス中の正確な時間に、ケーブルの緊張(引張)及び繰り出しを管理するように構成されている。加えて、少なくとも1つの装置では、ケーブル制御システム25030は、以下で更に詳細に説明するように、アンビル26210の開閉を制御するために用いられ得る。
【0033】
ここで図12を参照すると、遠位ケーブル部分28416、28426、28436、28446は、細長いチャネル26110の近位端部26112に回転可能に装着された閉鎖システム28500と動作可能に連係するように構成されている。図12に見られるように、閉鎖システム28500は、中央シャフト28540によって相互接続された第1の側方アルファラッププーリ28520及び第2の側方アルファラッププーリ28530を備える、プーリユニット28510を備える。プーリユニット28510は、細長いチャネル26110の近位端部26112内に回転可能に支持され、細長いチャネル26112の近位端部26112に取り付けられたアンビル取付ブラケット26240によってその中に保持される。図5を参照されたい。アンビル取付ブラケット26240は、溶接、接着剤、スナップ特徴部などによって細長いチャネル26110の近位端部26112に取り付けられてもよい。アンビル取付ブラケット26240は、細長いチャネル26110内で中央シャフト28540を回転可能に支持するように構成されたシャフトクレードル26242を備える。図示された装置では、第1の枢動シャフト28521が、第1の側方アルファラッププーリ28520から突出し、かつ細長いチャネルの近位端部内の枢動孔26113内に枢動可能に支持される。同様に、第2の枢動シャフト28531は、第2の側方アルファラッププーリ28530から突出し、かつ細長いチャネル26110の近位端部26112内の枢動孔26115内に枢動可能に支持される。
【0034】
図12に見られるように、第1のアルファラッププーリ28520は、第1の円周溝28522及び第2の円周溝28524を備える。図示された例では、第1の遠位ケーブル部分28416は、第1の円周溝28522内に受容され、かつそこに取り付けられ、第2の遠位ケーブル部分28426は、第2の円周溝28524内に受容され、かつそこに取り付けられる。第1の遠位ケーブル部分28416を引っ張ると、第1の側方アルファラッププーリ28520が第1の方向に回転し、第2の遠位ケーブル部分28426を引っ張ると、第1の側方アルファラッププーリ28520が第2の反対方向に回転する。同様に、第2の側方アルファラッププーリ28530は、第1の円周溝28532及び第2の円周溝28534を備える。図示された装置では、遠位ケーブル部分28446は、第1の円周溝28532内に受容され、かつそこに取り付けられ、第3の遠位ケーブル部分28436は、第2の円周溝28534内に受容され、かつそこに取り付けられる。第4の遠位ケーブル部分28446を引っ張ると、第2のアルファラッププーリ28530が第1の方向に回転し、第3の遠位ケーブル部分28436を引っ張ると、第2の側方アルファラッププーリ28530が第2の反対方向に回転する。一態様によれば、側方アルファラッププーリ28520、28530は、およそ330度回転することができる。この回転移動範囲は、180度未満の回転進行範囲を有し得る通常のプーリとは対照的である。
【0035】
第1及び第2の側方アルファラッププーリ28520、28530の各々はまた、アンビル26210に閉鎖運動を加えるように構成されている、対応する螺旋状閉鎖カムを備える。図12に見られるように、第1の側方アルファラッププーリ28520は、第1の螺旋状閉鎖カム28526を含み、第2の側方アルファラッププーリ28530は、その上に第2の螺旋状閉鎖カム28536を有する。螺旋状閉鎖カム28526、28536は、アンビル26210のアンビル取付部分26230上の対応するアンビル閉鎖アーム26234とカム作用して、それに閉鎖運動を加えるように構成されている。図5を参照されたい。プーリユニット28510が第1の回転方向に回転すると、螺旋状閉鎖カム28526、28536がアンビル26210を閉鎖位置にカム駆動させる。アンビル26210を開くために、プーリユニット28510を反対方向に回転させて、スパイラル閉鎖カム28526、28536を、アンビル26210がアンビルばね(図示せず)によって枢動して開くことができる位置に位置付けする。
【0036】
図示された装置において、近位取付ディスク28240、最近位環状ディスク部材28210P、環状近位ディスク部材28210A、28210B、28210C、及びアンビル取付ブラケット26240は全て、遠位ケーブル部分28416、28426、28436、及び28446の各々が通過することを可能にするように構成された第4の関節運動ケーブル通路28214を含む。図13は、遠位スパインセグメント28140内の対応する軸方向溝28146内で摺動可能に支持され、その中で軸方向に移動する関節運動ロッド28424を示す。他の関節運動ロッド28414、28434、28444の各々は、同様に、遠位スパインセグメント28140内の軸方向溝並びに近位スパインセグメント28120内の対応する溝内に支持される。
【0037】
ここで図5及び図14図16を参照すると、遠位ケーブル部分28416は、関節運動ロッド28414から関節継手28200を通して延在し、かつ細長いチャネル26110の近位端部26112内に回転可能に装着されるシャフト28502、28512上に支持される、2つの方向転換プーリ28550、28560の周囲でループ状にされる。遠位ケーブル部分28416は、関節継手28200から出て、第1の側方アルファラッププーリ28520内の第1の円周溝28522内に受容され、そこに固定される。遠位ケーブル部分28426は、関節運動ロッド28424から関節継手28200を通って延在し、方向転換プーリ28560、28550の周りにループ状にされて、第1の側方アルファラッププーリ28520内の第2の円周溝28524内に受容され、そこに固定される。
【0038】
図示の例では、遠位ケーブル部分28436は、関節ロッド28434から関節継手28200を通って延在して、第2の側方アルファラッププーリ28530内の対応する円周溝28534内に受容され、そこに固定される。加えて、遠位ケーブル部分28446は、関節運動ロッド28444から関節継手28200を通って延在して、第2の側方アルファラッププーリ28530内の対応する円周溝28532内に受容され、そこに固定される。
【0039】
少なくとも1つの例では、第1の関節運動平面を通して細長いシャフトアセンブリ28000に対して外科用エンドエフェクタ26000を関節運動させるために、ケーブル制御システム25030は、遠位ケーブル部分28426及び遠位ケーブル部分28446を同時に引っ張るように作動され、同じ量の張力が各遠位ケーブル部分28426、28446に印加される。遠位ケーブル部分28426、28446は、プーリユニット28510の両側に等しい量の張力を加えるので、プーリユニット28510は、回転しない。しかしながら、遠位ケーブル部分28426、28446の引張動作は、関節継手28200を介して外科用エンドエフェクタ26000に伝達され、その結果、関節継手28200が第1の関節面を介して関節運動する。第1の関節運動平面に対して横方向である第2の関節運動平面を通して外科用エンドエフェクタ26000を関節運動させるために、ケーブル制御システム25030は、遠位ケーブル部分28436及び遠位ケーブル部分28446を同時に引っ張るように作動され、同じ量の張力が各遠位ケーブル部分28436、28446に加えられる。遠位ケーブル部分28436、28446は、プーリユニット28510の第2の側方アルファラッププーリ25830の両側に等しい量の張力を加えるので、プーリユニット28510は、回転しない。しかしながら、遠位ケーブル部分28436、28446の引張動作は、関節継手28200を介して外科用エンドエフェクタ26000に伝達され、その結果、関節継手28200が第2の関節運動平面内で関節運動する。
【0040】
ケーブル制御システム25030はまた、以下の様式でアンビル26210の開閉を制御するために使用され得る。上述したように、第1の側方アルファラッププーリ28520及び第2の側方アルファラッププーリ28530上の螺旋状閉鎖カム28526が第1の位置にあるとき、アンビル26210は、細長いチャネル26110の近位端部26112に位置付けられ、かつアンビル取付部分26230又はアンビル閉鎖アーム26234に接触してアンビル26210を開放位置に枢動させるように配置された、1つ又は複数のアンビルばね(図示せず)によって開放位置に枢動されてもよい。アンビル26210をその位置から閉じるために、ケーブル制御システム25030が作動されて、遠位ケーブル部分28416及び遠位ケーブル部分28446を同時に引っ張り、同じ量の張力が各遠位ケーブル部分28416及び28446に加えられる。これらの遠位ケーブル部分28416、28446は、プーリユニット28510を回転させ、螺旋状閉鎖カム28526、28536をアンビル閉鎖アーム26234に接触させ、アンビル26210を閉鎖位置にカム運動させる。遠位ケーブル部分28416、28446に等しい量の張力を加えることによって、シャフト軸SAの各側に等しい量の張力が加えられるので、関節継手28200にモーメントが加えられないことが理解されるであろう。このような装置により、ジョー閉鎖を所望のプロファイルにすることができる。このケーブル制御システム25030は、アンビル26210が完全に開いているときに、より速い閉鎖を可能にし得る。ケーブル制御システム25030はまた、組織上にクランプするためのより低い速度/より高い力を生成する閉鎖機構として機能することができる。本ケーブル制御システム25030は、他のケーブル制御システムで一般的に生じるバックラッシュを生成しない場合があり、したがって、エンドエフェクタの関節運動位置を制御するために使用することもできる。上述の関節継手28200及びケーブル制御システム25030は、外科用エンドエフェクタ26000に追加の作動運動も供給しながら、多平面関節運動を容易にすることができる。
【0041】
上述したように、多くの外科用エンドエフェクタは、軸方向に移動可能な発射ビームによって外科用ステープルカートリッジを通して遠位に押される発射部材を使用する。発射ビームは、一般に、発射部材本体の中心領域において発射部材に取り付けられる。この取付場所は、発射部材がエンドエフェクタを通って前進させられるときに発射部材に不均衡をもたらす可能性がある。そのような不均衡は、発射部材とエンドエフェクタジョーとの間の望ましくない摩擦につながる可能性がある。この付加的な摩擦の生成は、そのような摩擦を克服するために、より高い発射力の印加を必要とし得、並びにジョー及び/又は発射部材の部分に望ましくない摩耗を引き起こし得る。発射ビームへのより高い発射力の印加は、発射ビームが関節継手を横断する際に、発射ビームにおける望ましくない撓みをもたらし得る。そのような追加の撓みは、特に、外科用エンドエフェクタが比較的高い関節運動角度で関節運動されるときに、関節継手の関節運動を解除させ得る。外科用器具25010は、そのような問題の全てではないが多くに対処し得る、発射システム27000を使用する。
【0042】
ここで図19及び図20を参照すると、少なくとも1つの実施形態において、発射システム27000は、上部発射部材特徴部27120及び下部発射部材特徴部27130を備える、垂直に延在する発射部材本体27112を含む、発射部材27100を備える。組織切断ブレード27114は、垂直に延在する発射部材本体27112に取り付けられるか、又はその中に形成される。少なくとも1つの装置では、上部発射部材特徴部27120は、上部管状本体27122を備え、上部管状本体27122は、上部管状本体27122を通って延在する上部軸方向通路27124を有する。図20を参照されたい。下部発射部材特徴部27130は、下部管状本体27132を備え、下部管状本体27132は、下部管状本体27132を通って延在する下部軸方向通路27134を有する。少なくとも1つの装置では、上部発射部材特徴部27120及び下部発射部材特徴部27130は、垂直に延在する発射部材本体27112と一体的に形成される。少なくとも1つの例において、アンビル本体26212は、本明細書で説明される様々な方法で上部発射部材特徴部27120の通過に対応するために、「鍵穴」に似た断面形状を有する軸方向に延在するアンビルスロットを備える。同様に、細長いチャネル26110は、軸方向に延在するチャネルスロットを備え、このチャネルスロットも、上述したような下部発射部材特徴部27130の通路を収容するための鍵穴断面形状を有する。
【0043】
図示された装置では、発射システム27000は、上部発射部材特徴部27120と動作可能に連係する、上部発射アセンブリ27200を備える。上部発射アセンブリ27200は、シャフトスパインアセンブリ28100に移動不能に取り付けられた上部インサート27214に固定された近位端部27212を有する、上部可撓性の外側チューブ又は導管27210を含む。例えば、上部インサート27214は、シャフトスパインアセンブリ28100に溶接されてもよく、あるいは接着剤又は他の適切な締結手段によってシャフトスパインアセンブリ28100に取り付けられてもよい。可撓性の外側チューブ又は導管27210は、近位取付ディスクアセンブリ28240と、最近位環状ディスク部材28210Pと、環状ディスク部材28210A、28210B、28210Cと、アンビル取付ブラケット26240とを通って提供される、上部通路28216を通って延在する。可撓性の外側チューブ又は導管27210の遠位端部27216は、アンビル取付ブラケット26240に固設され得る。
【0044】
図示の実施形態では、上部発射アセンブリ27200は、シャフトスパインアセンブリ28100内の対応する軸方向通路内に摺動可能に支持された上部プッシュロッド27220を更に含む。上部発射アセンブリ27200は、上部可撓性の外側チューブ又は導管27210を通って延在する内側可撓性の上部スリーブ27240内に支持される、上部プッシュコイル27230を更に備える。上部プッシュコイル27230の近位端部27232及び内側可撓性の上部スリーブ27240の近位端部27242は、上部プッシュロッド27220の遠位端部27222に当接する。上部プッシュコイル27230は中空であり、ニチノール、チタン、ステンレス鋼などから製造されるコイルばねを備えることができる。他の装置では、上部プッシュコイル27230は、オフセットレーザカットを有する中空管状部材を本質的に含むレーザカット「ハイポチューブ」を備え、オフセットレーザカットは、ハイポチューブが撓んで曲がることを可能にすると同時に、軸方向の力又は運動を伝達することができる。内側可撓性の上部スリーブ27240は、ポリマー又は同様の材料から製造されてもよく、細長いシャフトアセンブリに対する外科用エンドエフェクタの関節運動中に撓み、かつ屈曲するその能力を妨げ得る、組織、流体、及び/又は破片が上部プッシュコイル27230に侵入することを防止し得る。
【0045】
図20に見られるように、上部プッシュコイル27230の遠位端部27234並びに内側可撓性の上部スリーブ27240の遠位端部27244は、上部管状本体27122又は上部発射部材特徴部27120の近位端部27123に当接する。また、図示の装置では、上部発射アセンブリは、中空上部プッシュコイル27230を通って延在する上部プッシュコイルケーブル27250を更に備える。上部プッシュコイルケーブル27250は、上部プッシュロッド27220の遠位端部27222に固定された上部ケーブル近位端部27252と、上部取付ラグ27256によって上部発射部材特徴部27120の上部管状本体27122内の上部軸方向通路27124内に固定された上部ケーブル遠位端部27254とを備える。上部プッシュコイルケーブル27250は、上部発射部材特徴部27120と上部プッシュロッド27220との間に張力がかかった状態で保持され、これは、上部発射部材特徴部27120の上部管状本体27122の近位端部27123と当接している上部プッシュコイル27230の遠位端部27234並びに内側可撓性の上部スリーブ27240の遠位端部27244と、上部プッシュロッド27220の遠位端部27222と当接している上部プッシュコイル27230の近位端部27232及び内側可撓性の上部スリーブ27240の近位端部27242と、を保持するように機能する。
【0046】
図示の例では、発射システム27000は、下部発射部材特徴部27130と動作可能に連係する下部発射アセンブリ27300を更に備える。下部発射アセンブリ27300は、シャフトスパインアセンブリ28100に移動不能に取り付けられた下部インサート27314に固定された近位端部27312を有する、下部可撓性の外側チューブ又は導管27310を含む。例えば、下部インサート27314は、シャフトスパインアセンブリ28100に溶接されてもよく、あるいは接着剤又は他の適切な締結手段によってシャフトスパインアセンブリ28100に取り付けられてもよい。下部可撓性の外側チューブ又は導管27310は、近位取付ディスクアセンブリ28240と、最近位環状ディスク部材28210Pと、環状ディスク部材28210A、28210B、28210Cと、アンビル取付ブラケット26240との各々に提供される、下部通路28218を通って延在する。可撓性の外側チューブ又は導管27310の遠位端部27316は、アンビル取付ブラケット26240に固設される。
【0047】
図示の実施形態では、下部発射アセンブリ27300は、シャフトスパインアセンブリ28100内の対応する軸方向通路内に摺動可能に支持された下部プッシュロッド27320を更に含む。下部発射アセンブリ27300は、下部可撓性の外側チューブ又は導管27310を通って延在する内側可撓性の下部スリーブ27340内に支持される、下部プッシュコイル27330を更に備える。下部プッシュコイル27330の近位端部27332及び内側可撓性の下部スリーブ27340の近位端部27342は、下部プッシュロッド27320の遠位端部27322に当接する。下部プッシュコイル27330は中空であり、ニチノール、チタン、ステンレス鋼などから製造されるコイルばねを備えることができる。他の装置では、下部プッシュコイル27330は、オフセットレーザカットを有する中空管状部材を本質的に含むレーザカットハイポチューブを備え、オフセットレーザカットは、ハイポチューブが撓んで曲がることを可能にする。内側可撓性の下部スリーブ27340は、ポリマー又は同様の材料から製造されてもよく、関節運動中に撓むその能力を妨げ得る、組織、流体、及び/又は破片が下部プッシュコイル27330に侵入することを防止し得る。
【0048】
図20に見られるように、下部プッシュコイル27330の遠位端部27334並びに内側可撓性の下部スリーブ27340の遠位端部27344は、下部発射部材特徴部27130の下部管状本体27132の近位端部27133に当接する。また、図示の装置では、下部発射アセンブリ27300は、中空下部プッシュコイル27330を通って延在する下部プッシュコイルケーブル27350を更に備える。下部プッシュコイルケーブル27350は、下部プッシュロッド27320の遠位端部27322に固定された下部ケーブル近位端部27352と、下部取付ラグ27356によって下部発射部材特徴部27130の下部管状本体27132内の下部軸方向通路27134内に固定された下部ケーブル遠位端部27354とを備える。下部プッシュコイルケーブル27350は、下部発射部材特徴部27130と下部プッシュロッド27320との間に張力がかかった状態で保持され、これは、下部発射部材特徴部27130の下部管状本体27132の近位端部27133と当接している下部プッシュコイル27330の遠位端部27334並びに内側可撓性の下部スリーブ27340の遠位端部27344と、下部プッシュロッド27320の遠位端部27322と当接している下部プッシュコイル27330の近位端部27332及び内側可撓性の下部スリーブ27340の近位端部27342と、を保持するように機能する。
【0049】
図示の装置では、発射システム27000は、上部発射アセンブリ27200及び下部発射アセンブリ27300を軸方向に駆動するように構成された差動駆動アセンブリ27400を更に備える。図21図25を参照すると、少なくとも1つの装置では、上部プッシュロッド27220の近位端部27224は、差動駆動アセンブリ27400の第1又は上部ギアラック27410に結合される。図22に見られるように、第1又は上部ギアラック27410は、近位スパインセグメント28120内の上部近位軸方向キャビティ28122内に摺動可能に支持される。同様に、下部プッシュロッド27320の近位端部27324は、近位スパインセグメント28120内の下部近位軸方向キャビティ28124内で軸方向に移動するように支持された第2又は下部ギアラック27420に連結される。差動駆動アセンブリ27400は、軸方向に移動可能なキャリア部材27430を更に備え、このキャリア部材は、第1又は上部ギアラック27410と第2又は下部ギアラック27420との間の中心に配置され、かつ近位スパインセグメント28120内の近位軸方向キャビティ28126内で軸方向に移動するように支持される。図22を参照されたい。
【0050】
更に図22図25を参照すると、ピニオンギア27432は、ピニオンギア27432が第1又は上部ギアラック27410及び第2又は下部ギアラック27420と噛合係合するように、軸方向に移動可能なキャリア部材27430に枢動可能にピン留めされる。軸方向に移動可能なキャリア部材27430は、発射駆動アクチュエータ27440によって、近位スパインセグメント28120の近位軸方向キャビティ28126内で軸方向に駆動される。図23を参照されたい。一装置では、発射駆動アクチュエータ27440は、外科用器具25010のハウジング内に動作可能に支持され得るか、又は別様にそれと関連付けられ得る発射モータ27446によって駆動される駆動ギア27444と駆動可能に連係する、発射駆動ギアラック27442を備える。1つの装置では、発射モータ27446は、モータ制御システム27500によって制御され、このモータ制御システムは、器具ハウジング40002内に収容され得る、器具ハウジングに関連付けられ得る、及び/又はロボットシステム若しくは他の自動外科用システムの一部を含み得るマイクロプロセッサ制御式制御回路27502を含み得る。他の装置では、発射駆動アクチュエータ27440は、シリンダ装置又はそれと連係する他の好適なアクチュエータによって遠位及び近位に軸方向に駆動されてもよい。
【0051】
図22図25に見られるように、発射駆動アクチュエータ27440は、発射駆動アクチュエータ27440に取り付けられ、かつ軸方向に移動可能なキャリア部材27430内の対応する軸方向スロット27434内に受容される一対の離間配置された連結器ピン27448によって、軸方向に移動可能なキャリア部材27430に取り付けられてもよい。そのような装置は、発射駆動アクチュエータ27440と軸方向に移動可能なキャリア部材27430との間のいくらかの相対的な軸方向移動を可能にする。例えば、発射駆動アクチュエータ27440が遠位方向DDに遠位に駆動されるときに、軸方向に移動可能なキャリア部材27430は、連結器ピン27448がそれらの対応する軸方向スロット27434の遠位端部に到達するまで遠位に移動せず、その時点で軸方向に移動可能なキャリア部材27430は、遠位に移動する。同様に、発射駆動アクチュエータ27440が近位方向PDに駆動されるときに、軸方向に移動可能なキャリア部材27430は、連結器ピン27448がそれらの対応する軸方向スロット27434の近位端部に到達するまで近位に移動せず、その時点で軸方向に移動可能なキャリア部材27430は、近位に移動する。
【0052】
外科用ステープル留めデバイスは、ステープルを形成し、かつ組織を切断するために、長い変位にわたって発射部材に強い力を加える必要がある。関節継手を通してその力を伝達することは、力を所望の方向に方向転換し、かつそれに印加される負荷に耐えることが困難であるため、特に困難である。本明細書で説明される差動駆動アセンブリ27400は、それぞれ、可撓性のプッシュコイル27230、27330の経路を制約するために、2つの可撓性の外側チューブ又は導管27210、27310を採用することによって、そのような課題の全てではないにしても、多くに対処し、かつ解決する。本明細書で説明されるように、上部可撓性の外側チューブ又は導管27210は、上部プッシュコイル27230の一部分を囲み、上部可撓性の外側チューブ又は導管27310は、下部プッシュコイル27330の一部分を囲む。外側チューブ又は導管27210、27310の各々は、曲がることができるが、それらはまた、軸方向引張負荷を解決することができる。屈曲する能力は、発射部材の力が関節継手を通って方向転換されることを可能にし、張力を解消する能力は、それが、プッシュコイルが進む方向を変化させることを可能にする。プッシュコイル27230、27330が圧縮状態に置かれると、可撓性の外側チューブ又は導管27210、27310は、張力状態に置かれる。外側チューブ又は導管27210、27310は、プッシュコイル27230、27330が座屈するのを防止する。外側チューブ27210、27310は、引張負荷を解消するように終端される。
【0053】
上述のように、可撓性の外側チューブ又は導管27210の遠位端部27216及び可撓性の外側チューブ又は導管27310の遠位端部27316は両方とも、アンビル取付ブラケット26240に固設される。可撓性の外側チューブ又は導管27210の近位端部27212及び可撓性の外側チューブ又は導管27310の近位端部27312は両方とも、シャフトスパインアセンブリ28100に固設される。ピニオンギア27432は、第1又は上部ギアラック27410、第2又は下部ギアラック27420のうちの一方が一方の軸方向に移動すると、ラック27410、27420のうちの他方が反対方向に軸方向に移動するように、第1又は上部ギアラック27410及び第2又は下部ギアラック27420と噛合係合している。図24及び図25に見られるように、関節運動中に、ピニオンギア27432が回転するので、可撓性の外側チューブ又は導管27210、27310は、経路長の変化を考慮して移動することができる。しかしながら、発射駆動アクチュエータ27440が遠位方向DDに駆動されると、軸方向に移動可能なキャリア部材27430が作動されて、プッシュコイル27230、27330を外側チューブ又は導管27210、27310を通して遠位に押して、2つの可撓性の外側チューブ又は導管27210、27310内の引張負荷を発射し(すなわち、発射部材27100を遠位に駆動し)、ピニオンギア27432が全く動くことなく、引張負荷が互いに反作用する。
【0054】
一般的な一態様によれば、上部通路28216は、関節継手28200を通る上部経路28221(図3)を形成する。同様に、下部通路28218は、関節継手28200を通る下部経路28223を形成する。外科用エンドエフェクタ26000が非関節運動位置にある(すなわち、外科用エンドエフェクタがシャフト軸SA上で細長いシャフトアセンブリ28000と軸方向に整列している。図1図3図4)ときに、上部経路28221及び下部経路28223は互いに対して平行である。図3を参照されたい。外科用エンドエフェクタ26000が細長いシャフトアセンブリ28000に対して関節運動位置にあるときに、上部経路28221及び下部経路28223は、互いに対して同心である。図2を参照されたい。
【0055】
外科用エンドエフェクタ26000が非関節運動位置にあるときに、発射システム27000は、細長いチャネル26100の近位端部26112内の始動位置から細長いチャネル26110の遠位端部26114内の終了位置まで発射部材27100を駆動するように作動され得る。外科用エンドエフェクタ26000が非関節運動位置にあり、かつ発射システム27000が作動されるときに、差動駆動アセンブリ27400は、上部発射アセンブリ27200及び下部発射アセンブリ27300を同じ軸方向(すなわち、遠位方向DD)に等しい軸方向距離だけ駆動して、上部軸方向駆動運動及び下部軸方向駆動運動を発射部材27100に加える。上部軸方向駆動運動及び下部軸方向駆動運動は、大きさが実質的に等しく、これは、別様に上部軸方向駆動運動及び下部軸方向駆動運動の大きさが異なる場合に起こり得る結合なしに、外科用エンドエフェクタ26000を通して発射部材27100を遠位に前進させる役割を果たす。同様に、外科用エンドエフェクタ26000が細長いシャフトアセンブリ28000に対して関節動作位置にあるときに、発射システム27000は、発射部材27100を始動位置から終了位置に駆動するように作動され得る。そのような場合、差動駆動アセンブリ27400は、上部発射アセンブリ27200及び下部発射アセンブリ27300が、関節運動位置に対応するために、反対の軸方向に実質的に等しい距離で移動することを可能にするように構成されている。次いで、差動駆動アセンブリ27400は、互いに等しい上部軸方向駆動運動及び下部軸方向駆動運動を発射部材27100に適用し得る。例えば、細長いシャフトアセンブリ28000に対する外科用エンドエフェクタ26000の関節運動位置に応じて、上部発射アセンブリ27200は、外科用エンドエフェクタ26000の関節運動時に、第1の距離だけ近位に移動されてもよく、下部発射アセンブリ27300は、ピニオンギア27432によって、第1の距離と実質的に等しい第2の距離だけ遠位に、外科用エンドエフェクタ26000に対して位置付けられてもよい。その後、発射駆動アクチュエータ27440の遠位作動により、上部発射アセンブリ27200及び下部発射アセンブリ27300は、互いに等しい上部軸方向駆動運動及び下部軸方向駆動運動を発射部材27100に加える。本明細書で使用するときに、キャリアが遠位に移動されると、キャリアは、上部発射アセンブリ27200及び下部発射アセンブリ27300に「軸方向制御運動」を加えることができる。したがって、外科用エンドエフェクタ26000が関節運動していない構成にあるときに、キャリアは、同じ軸方向(遠位方向DD)に上部発射部材27200及び下部発射部材27300に等しい量の軸方向制御運動を加えてもよく、外科用エンドエフェクタ26000が関節運動構成にあるときに、キャリアは、同じ軸方向(遠位方向DD)に上部発射部材27200及び下部発射部材27300に「他の等しい量」の軸方向制御運動を加えて、発射部材27100を始動位置から終了位置に移動させてもよい。
【0056】
図26図30は、多くの態様において、上記の外科用器具25010と非常に類似しており、同一である外科用器具30010の別の形態を示す。上記で詳細に説明された外科手術器具25010のそれらの構成要素と構造及び動作において同一又は非常に類似する外科手術器具30010のそれらの構成要素及び特徴の構造及び動作の詳細な説明は、本明細書中で再び繰り返されない。様々な実施形態では、外科用器具30010は、手持ち式デバイスを備えてもよい。他の実施形態では、外科用器具30010は、例えば、「ロボット制御」システムと呼ばれることもある自動システムを含んでもよい。様々な形態において、外科用器具30010は、細長いシャフトアセンブリ32000に動作可能に連結された外科用エンドエフェクタ31000を備える。細長いシャフトアセンブリ32000は、ハウジングに動作可能に取り付けられ得る。1つの実施形態では、ハウジングは、臨床医によって把持、操作、及び作動されるように構成されているハンドルを備え得る。他の実施形態では、ハウジングは、本明細書に開示する外科用エンドエフェクタ及びそれぞれの等価物を作動させるのに使用することができる、少なくとも1つの制御運動を生成し加えるように構成された、少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は別様に動作可能に支持する、ロボット制御システム部分を備え得る。加えて、様々な構成要素は、ハウジング内に「収容」されるか又は含まれてもよく、あるいは様々な構成要素は、ハウジングに「関連付け」られていてもよい。このような例では、構成要素は、ハウジングとともに含まれていなくてもよく、又はハウジングによって直接支持されていなくてもよい。例えば、本明細書で開示される外科用器具は、「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」と題する米国特許第9,072,535号に開示される様々なロボットシステム、器具、構成要素及び方法とともに用いられ得、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0057】
1つの形式では、外科用エンドエフェクタ31000は、第1のジョー31100と、第2のジョー31200と、を備える。図示された装置では、第1のジョー31100は、近位端部31112と、遠位端部31114とを備え、かつ外科用ステープルカートリッジ10300を中に動作可能に支持するように構成された、細長いチャネル31110を備える。第2のジョー31200は、近位端部31214と遠位端部31216とを有する細長いアンビル本体31212を備える、アンビル31210を備える。アンビル本体31212は、第1のジョー31100に面する又は「直面」するステープル形成下部31218を備え、外科用ステープルカートリッジ10300内のステープル又はファスナの各々に対応するステープル形成ポケットのシリーズ(図示せず)を含み得る。
【0058】
少なくとも1つの装置では、アンビル取付ブラケット31240は、細長いチャネル31110の近位端31112に取り付けられる。図27図30を参照されたい。アンビル取付ブラケット31240は、ばねピン31242によって、細長いチャネル31110の近位端部31112に取り付けられている。図30を参照されたい。他の装置では、アンビル取付ブラケット31240は、溶接、接着剤、スナップ特徴部などによって細長いチャネル31110の近位端31112に取り付けられてもよい。アンビル取付ブラケット31240は、本明細書で説明する相違点を除いて、上述したアンビル取付ブラケット26240と同様であってもよい。
【0059】
図30に見られるように、アンビル本体31212の近位端31214は、ピン31232によってアンビル取付ブラケット31240に枢動可能にピン留めされるように構成されたアンビル取付部分31230を備える。このような装置は、固定された旋回軸PAの周りの細長いチャネル31110に対するアンビル31210の旋回移動を容易にする。図26及び図28を参照されたい。上述したように、この文脈で使用される場合、「固定された」という用語は、枢動軸PAが細長いチャネル31110に対して並進しない、又は移動しないことを意味する。
【0060】
図示の装置では、細長いシャフトアセンブリ32000は、シャフト軸SAを規定し、中空の外側シャフトチューブ32102内に受容されるシャフトスパインアセンブリ32100を備える。図31を参照されたい。シャフトスパインアセンブリ32100は、外科用器具31010の制御部分(例えば、手持ち式ユニット、ロボットツールドライバなど)のハウジングと動作可能に連係してもよい。少なくとも1つの装置では、シャフトスパインアセンブリ32100は、多くの態様において、上述のシャフトスパインアセンブリ28100と非常に類似しているか、又は本質的に同一である。シャフトスパインアセンブリ32100は、外科用器具31010の動作を理解するのに必要なものを超えて、本明細書では詳細に説明されない。細長いシャフトアセンブリ32000は、上述の様々な方法でシャフトスパインアセンブリ32100に取り付けられ得る関節継手32200を更に備える。関節継手32200は、多くの態様において、上述の関節継手28200と非常に類似しているか、又は本質的に同一である。関節継手28200は、外科用器具31010の動作を理解するのに必要なものを超えて、本明細書では詳細に説明されない。関節継手32200は、本明細書に開示される様々な方法で、複数の関節平面において、細長いシャフトアセンブリ32000に対する外科用エンドエフェクタ31000の選択的な関節動作を容易にする。
【0061】
ここで図31図35を参照すると、関節継手32200は、移動可能に連係する環状ディスク部材32210のシリーズ32202を備える。図33に見られるように、各環状ディスク部材32210は、中心に配置された球状特徴部又は突出部32222を備える、「第1の」又は近位面32220を備える。各環状ディスク部材32210は、その中に凹状ソケット32234を規定する環状ハブ部分32232を備える、第2の又は遠位面32230を更に備える。図35を参照されたい。各環状ディスク部材32210は更に、それを貫通する中央シャフト通路32236を有する。図31に見られるように、関節継手32200は、シャフトスパインアセンブリ32100の遠位端に支持されるように構成された近位取付ディスクアセンブリ32240を更に備える。近位取付ディスクアセンブリ32240は、その中に凹状ソケット32246を規定する環状ハブ部分32244を含む、遠位面32242を備える。近位取付ディスクアセンブリ32240は更に、それを通る中央シャフト通路32248を有する。
【0062】
関節継手32200は、アンビル取付ブラケット31240と動作可能に連係し、アンビル取付ブラケットに連結される。図32を参照されたい。例えば、少なくとも1つの装置において、アンビル取付ブラケット31240は、遠位取付ディスク32260上に形成された遠位取付ハブ32262をその中に受容するように構成されたキャビティ31243を備える。図36を参照されたい。遠位取付ハブ32262は、一対のスプリングピン32263によってアンビル取付ブラケット31240に固定される。遠位取付ディスク32260は、隣接する環状ディスク部材32210の環状ハブ部分32232内の凹状ソケット32234内に回転可能に受容されるように構成されている、中心に配置された球状特徴部又は突起32266を備える、「第1の」又は近位面32264を更に備える。
【0063】
図35に見られるように、少なくとも1つの装置では、関節継手32200は、環状ディスク部材32210を互いに「浮動」又は可動係合状態に保持するための可撓性テンショナアセンブリ32250を含み、環状ディスク部材32210のシリーズ32202を通って延在する中央テンショナ32252を備える。1つの装置において、中央テンショナ32252は、テンショナ本体部分32254を通って延在する中央ロッド部材32253を備える。1つの装置では、中央ロッド部材32253は、座屈を防止するように構成された可撓性NiTiロッドを含むことができる。テンショナ本体部分32254は、エラストマー材料を備えてもよく、遠位取付ディスク32260内のラグキャビティ32265内に受容されるように構成される、遠位ラグ32255を含んでもよい。テンショナ本体部分32254は、ねじ山付き調節部材32258に係合するように構成される近位ラグ32257を更に備えてもよい。ねじ付き調節部材32258は、近位取付ディスクアセンブリ32240とねじ係合するように構成される。ねじ付き調節部材32258を第1の回転方向に回転させると、ねじ付き調節部材32258が近位方向に移動して環状ディスク部材32210のシリーズ32202に加えられる圧縮量が増加し、ねじ付き調節部材32258を反対方向に回転させると、環状ディスク部材32210のシリーズ32202に加えられる圧縮量が減少する。
【0064】
少なくとも1つの装置では、環状ディスク部材32210の枢動進行を相対枢動進行の範囲に制限し、互いに対する環状ディスク部材32210の完全な相対回転を防止するために、環状ディスク部材32210の各々の中心に配置された球状特徴部又は突出部32222、並びに遠位取付ディスク32260の中心に配置された球状特徴部又は突出部32266は、その中に圧入されるか、又は別様に取り付けられる、一対の正反対に配置されたピン32227を含む。各ピン32227は、各環状ハブ部分32232内の対応する開放端スロット32226内に移動可能に受容されるように構成される。
【0065】
少なくとも1つの装置では、関節継手32200は更に、関節継手32200内への流体及び破片の侵入を防止するように構成された可撓性エラストマー継手カバーアセンブリ32259を備える。図26を参照されたい。一例では、関節継手32200は、上述した関節システム28400と同様又は同一の関節システム32400によって動作可能に制御されてもよい。
【0066】
図34に戻ると、図示される例では、関節継手32200は、細長いシャフトアセンブリ32000を通って延在する4つのケーブルアセンブリ32410、32420、32430、及び32440を備える、関節運動システム32400によって動作可能に制御され得る。関節運動システム32400は、言及された差異を除いて、上述の関節運動システム28400と非常に類似し得る。この実施形態では、ケーブルアセンブリ32410、32420、32430、32440は、アンビル取付ブラケット31240に取り付けられる。ケーブルアセンブリ32410、32420、32430、32440は、外科用器具30010のハウジング内に支持されるか、又は別様にそれと関連付けられる、ケーブル制御システム25030の部分と動作可能に連係してもよい。上述のように、1つの形態のケーブル制御システム25030は、外科用器具30010の制御回路部分によって制御される1つ以上の対応するモータによって制御される複数のケーブル支持部材/キャプスタン、プーリなどを備えてもよい。様々な実施形態では、ケーブル制御システム25030は、関節運動プロセス中の正確な時間に、ケーブルの緊張(引張)及び繰り出しを管理するように構成されている。
【0067】
少なくとも1つの実施例では、外科用器具30010は、全てではないがほとんどの態様において、上記で詳細に説明した発射システム27000と非常に類似又は同一である発射システム33000を更に備える。図37及び図38に見られるように、発射システム33000は、垂直に延在する発射部材本体33112を含む発射部材33100を備え、発射部材本体は、上部発射部材特徴部33120及び下部発射部材特徴部33130を備える。組織切断ブレード又は組織切断面33114は、垂直に延在する発射部材本体33112に取り付けられるか、又はその中に形成される。少なくとも1つの装置では、上部発射部材特徴部33120は、それを通って延在する上部軸方向通路33124を有し、下部発射部材特徴部33130は、それを通って延在する下部軸方向通路33134を有する。少なくとも1つの装置では、上部発射部材特徴部33120及び下部発射部材特徴部33130は、垂直に延在する発射部材本体33112と一体的に形成される。
【0068】
少なくとも1つの実施形態において、アンビル本体31212は、中心に配置された軸方向に延在するアンビルスロット31300を備え、発射及び後退ストローク中に発射部材本体33112がそこを通過することを可能にするように構成されている。同様に、細長いチャネル32110は、発射部材本体33112がそこを通過することを可能にするように構成された軸方向に延在するチャネルスロット31111を備える。図38を参照されたい。1つの装置では、発射部材本体33112は、右又は「第1の」側部33113と、左又は「第2の」側部33115とを備える。上部発射部材特徴部33120は、第1の側部32113から横方向に突出する右又は「第1の」上部タブ33125と、第2の側部32115から横方向に突出する左又は「第2の」上部タブ33127とを更に備える。第1の上部タブ33125及び第2の上部タブ33127は、アンビルスロット31300の各側に形成された対応する軸方向に延在するレッジ31302、31304とそれぞれ係合するように構成される。図38を参照されたい。同様に、下部発射部材特徴部33130は、第1の側部33113から横方向に突出する右又は「第1の」下部タブ33135と、第2の側部33115から横方向に突出する左又は「第2の」下部タブ33137とを更に備える。第1の下部タブ33135及び第2の下部タブ33137は、チャネルスロット31111の各側に形成された対応する軸方向に延在するレッジ31150、31152とそれぞれ係合するように構成される。
【0069】
図示された装置では、発射システム33000は、上部発射部材特徴部33120と動作可能に連係し、多くの態様では上部発射アセンブリ27200と同様である、上部発射アセンブリ33200を備える。上部発射アセンブリ33200は、上述の様々な方法でシャフトスパインアセンブリ32100に移動不能に取り付けられた上部インサート33214に固定された近位端部を有する、上部可撓性の外側チューブ又は導管33210を含む。可撓性外側チューブ又は導管33210は、関節継手32200を通して提供される上部通路32216を通して延在する。図32を参照されたい。可撓性の外側チューブ又は導管33210の遠位端部33212は、アンビル取付ブラケット31240に固設され得る。図示の実施形態では、上部発射アセンブリ33200は、シャフトスパインアセンブリ28100内の対応する軸方向通路内に摺動可能に支持された上部プッシュロッド33220を更に含む。1つの装置では、上部発射アセンブリ33200は、可撓性外側チューブ又は導管33210を通って延在する上部プッシュコイル33230を備える。図40図42を参照されたい。上部プッシュコイル33230の近位端は、上部プッシュロッド33220の遠位端に結合されている。上部プッシュコイル33230は中空であり、ニチノール、チタン、ステンレス鋼などから製造されるコイルばねを備えることができる。他の装置では、上部プッシュコイル33230は、オフセットレーザカットを有する中空管状部材を本質的に含むレーザカット「ハイポチューブ」を備え、オフセットレーザカットは、ハイポチューブが撓んで曲がることを可能にすると同時に、軸方向の力又は運動を伝達することができる。内側可撓性の上部スリーブは、ポリマー又は同様の材料から製造されてもよく、細長いシャフトアセンブリに対する外科用エンドエフェクタの関節運動中に撓み、かつ屈曲するその能力を妨げ得る、組織、流体、及び/又は破片が上部プッシュコイル33230に侵入することを防止し得る。
【0070】
上述したように、上部プッシュコイル33230の遠位端及び内側可撓性の上部スリーブの遠位端は、上部発射部材特徴部33120の近位端に当接する。更に、図示の装置では、上部発射アセンブリ33200は、中空上部プッシュコイルを通って延在する上部プッシュコイルケーブルを更に備え得る。上部プッシュコイルケーブルは、上部プッシュロッド33220の遠位端部に固定された上部ケーブル近位端部と、上部取付ラグによって上部発射部材特徴部33120の上部軸方向通路内に固定された上部ケーブル遠位端部とを備える。この実施形態の上部プッシュコイル及び内側スリーブ装置は、図20に示され、上で詳細に説明された上部プッシュコイル及び内側スリーブ装置と本質的に同一である。
【0071】
更に、発射システム33000は、下部発射部材特徴部33130と動作可能に連係する下部発射アセンブリ33300を更に備える。下部発射アセンブリ33300は、シャフトスパインアセンブリ32100に移動不能に取り付けられた下部インサート33314に固定された近位端部を有する、下部可撓性の外側チューブ又は導管33310を含む。下部可撓性の外側チューブ又は導管33310は、近位取付ディスクアセンブリ32240と、環状ディスク部材32210と、アンビル取付ブラケット31240との各々に提供される、下部通路32218を通って延在する。可撓性の外側チューブ又は導管33310の遠位端部は、アンビル取付ブラケット31240に固設され得る。図示の実施形態では、下部発射アセンブリ33300は、シャフトスパインアセンブリ32100内の対応する軸方向通路内に摺動可能に支持された下部プッシュロッド33320を更に含む。図39を参照されたい。下部発射アセンブリ33300は、下部可撓性の外側チューブ又は導管33310を通って延在する内側可撓性の下部スリーブ内に支持され得る、下部プッシュコイル33330を更に備え得る。下部プッシュコイル33330の近位端部及び内側可撓性の下部スリーブの近位端部は、下部プッシュロッド33320の遠位端部に当接され、及び/又は取り付けられる。下部プッシュコイル33330は中空であり、ニチノール、チタン、ステンレス鋼などから製造されるコイルばねを備えることができる。他の装置では、下部プッシュコイルは、オフセットレーザカットを有する中空管状部材を本質的に含むレーザカットハイポチューブを備え、オフセットレーザカットは、ハイポチューブが撓んで曲がることを可能にする。内側可撓性の下部スリーブは、ポリマー又は同様の材料から製造されてもよく、関節運動中に撓むその能力を妨げ得る、組織、流体、及び/又は破片が下部プッシュコイルに侵入することを防止し得る。下部プッシュコイル33330の遠位端及び内側可撓性の下部スリーブの遠位端は、下部発射部材特徴部33130の近位端に当接する。下部発射アセンブリ33300は、中空下部プッシュコイル33330を通って延在する下部プッシュコイルケーブルを更に備える。下部プッシュコイルケーブルは、下部プッシュロッド33320の遠位端に固定された下部ケーブル近位端と、下部発射部材特徴部33130に固定された下部ケーブル遠位端とを備える。この実施形態の下部プッシュコイル33330及び内側下部スリーブ装置は、図20に示され、上で詳細に説明された下部プッシュコイル及び内側下部スリーブ装置と本質的に同一である。
【0072】
図39に見られるように、発射システム33000は、上部発射アセンブリ33200及び下部発射アセンブリ33300を軸方向に駆動するように構成された差動駆動アセンブリ27400を更に備える。上部プッシュロッド33220の近位端部33224は、差動駆動アセンブリ27400の第1又は上部ギアラック27410に結合される。差動駆動アセンブリ27400の更なる構成及び動作は、上で詳細に説明されており(図20図25も参照)、再び繰り返されない。
【0073】
上述したように、アンビル31210は、固定枢動軸PAを画定するピン31232によって細長いチャネル31110の近位端31112に枢動可能に結合される。図40を参照されたい。1つの装置では、一対のアンビル開放ばね31310が、細長いチャネル31110内に形成されたポケット31113内に支持される。図30を参照されたい。アンビル開放ばね31310は、アンビル31210に開放運動を加えて、アンビル31210を枢動させて開放させるように構成されている。加えて、少なくとも1つの装置では、アンビル開放ピン又は特徴部31320は、アンビル取付部分31230と動作可能に連係する。図36、及び図40図42を参照されたい。特に、アンビル開放ピン31320は、アンビル取付部分31230内の孔31236と、アンビル取付ブラケット31240内の長円形又は細長いスロット31244とを通って延びる。図41は、最近位又は「開始」位置にある発射部材33100を示す。発射部材33100が近位方向に駆動されて開始位置に戻るとき、発射部材33100は、アンビル開放ピン31320に接触し、アンビル開放ピン31320をアンビル取付ブラケット31240内の細長いスロット31244の近位端31245に移動させる。アンビル開放ピン31320のそのような移動は、追加の枢動開放運動をアンビル取付部分31320に加えて、アンビル31210を完全に移動させ、その完全開放位置に保持する。図41を参照されたい。
【0074】
少なくとも1つの装置では、アンビル31210は、発射部材33100が開始位置から遠位に移動されるときに、完全開放位置(図41)から閉鎖位置(図42)に移動される。特に、図36に見ることができるように、アンビル31210内の軸方向に延在するレッジ31302の近位端は、その上に閉鎖傾斜部31308を有して形成される。軸方向に延在するレッジ31304の近位端は、その上に形成された同様の閉鎖傾斜部31308を有する。発射部材33100が開始位置から遠位に駆動されると、第1の上部タブ33125及び第2の上部タブ33127は、対応する閉鎖傾斜部31308に接触し、アンビル開放ばね31310の付勢に抗してアンビル31210を閉鎖位置に枢動させ始める。発射部材33100が図42に示される位置に到達すると、第1の上部タブ33125及び第2の上部タブ33127は、アンビルレッジ31302、31304とそれぞれ十分に係合して、アンビル31210をその閉鎖位置に移動させる。図42にも見られるように、アンビル31210が閉鎖位置にあるとき、アンビル開放ピン31320は、アンビル取付ブラケット31240内の細長いスロット31244の遠位端31247に位置付けられる。
【0075】
したがって、1つの装置では、外科用器具30010は、以下のように操作され得る。例えば、患者に設置されたトロカールのカニューレを通して外科用エンドエフェクタ31000を挿入するために、臨床医は、最初にアンビル31210を閉じなければならない。そのタスクを達成するために、臨床医は、本明細書に説明される様々な方法で差動駆動アセンブリ27400を作動させて、上部プッシュコイル33230及び下部プッシュコイル33330に、発射部材33100を開始位置から「中間閉鎖位置」(図42)まで遠位に駆動させてもよい。発射部材33100が中間閉鎖位置に到達すると、差動駆動アセンブリ27400は停止される。発射部材33100の位置は、外科用エンドエフェクタ内のセンサ(図示せず)によって、又は開始期間から発射部材33100をその中間閉鎖位置まで遠位方向に駆動するのに必要な既知の期間にわたって差動駆動アセンブリ27400を作動させることによって決定され得る。図42に見られるように、中間閉鎖位置にあるとき、発射部材33100は、開始位置から、アンビル31210が閉鎖位置に移動した位置まで遠位に移動しているが、発射部材33100は、外科用エンドエフェクタ31000内に装填された(動作可能に着座された)外科用ステープルカートリッジ10300内のカム部材10330を作動させていないか、又はそれと動作可能に連係されていない。
【0076】
外科用エンドエフェクタ31000が患者に完全に進入し、所望の領域に移動されると、差動駆動アセンブリが作動されて、発射部材33100を開始位置に戻し、アンビル31210を完全開放位置に移動させる。このとき、又はアンビル31210を完全な開放位置に移動させる前に、臨床医は、本明細書に記載される様々な方法でケーブル制御システム25030を作動させて、アンビル取付ブラケット31240に取り付けられた様々なケーブルアセンブリ32410、32420、32430、32440に張力を加え、張力を緩和して、外科用エンドエフェクタ31000を、標的組織がアンビル31210と外科用エンドエフェクタ31000内に支持された外科用ステープルカートリッジ10300との間にクランプされ得る所望の向きに関節運動させてもよい。外科用エンドエフェクタ31000が所望の位置に関節運動されると、ケーブル制御システム25030は停止され得る。
【0077】
臨床医(又はロボットシステム)が外科用エンドエフェクタ31000を所望の向きに位置決めした後、臨床医(又はロボットシステム)は、差動駆動アセンブリ27400をもう一度作動させて、発射部材33100を開始位置から遠位に駆動することができる。発射部材33100は、組織の切断及びステープル留めに進む前に、標的組織が外科用エンドエフェクタ31000内に適切にクランプされているか否かを臨床医が評価することを可能にするために、中間閉鎖位置で停止されてもよく、又は、臨床医は、発射部材33100が外科用エンドエフェクタ31000内の終了位置に到達するまで、発射部材33100が遠位方向に移動し続けることを可能にし、標的組織が完全に切断及びステープル留めされてもよい。別の言い方をすれば、発射部材33100が外科用エンドエフェクタ31000内の最遠位位置に到達し、外科用ステープルカートリッジ10300内に格納された外科用ステープルの全てが標的組織を通ってアンビル31210のステープル形成下面31218と接触を形成するように押し進められると、発射部材33100の遠位方向への前進が中断される。
【0078】
図36及び図40を参照すると、例示的な外科用ステープルカートリッジ10300は、アンビル本体31212のステープル形成下面31218に面するか又は直面するように構成されたカートリッジデッキ表面10314を画定するカートリッジ本体10312を備える。細長いカートリッジスロット10316は、カートリッジ本体10312を通って軸方向に延在し、それを通る発射部材33100の通路を収容する。カートリッジスロット10316は、カートリッジデッキ表面10314を左部分と右部分とに分割する。図示された装置では、複数の外科用ステープル又は外科用ファスナ10320が、カートリッジデッキ表面10314を通って開く左部分及び右部分のそれぞれの中の対応するステープルポケット10318の中に格納される。1つ以上の外科用ステープル10320は、対応するステープルポケット10318内で移動可能に支持される、ステープルドライバ10322上で支持される。3つのラインの外科用ステープル10320が、カートリッジスロット10316の両側それぞれで、カートリッジ本体10312内に格納される。1つの装置では、外科用ステープル10320及びステープルドライバ10322は、カートリッジ本体10312の下部から装填され、その後、カートリッジ本体10312に取り付けられたカートリッジトレイによってその中に保持される。
【0079】
外科用ステープルカートリッジ10300は、カートリッジ本体10312内に移動可能に支持された「スレッド」としても知られるカムアセンブリ10330を更に含む。図36を参照されたい。カムアセンブリ10330は、外科用ステープルカートリッジ10300内の最近位「開始」位置から、ステープルカートリッジ本体10312の遠位端内の「完全発射」位置まで移動可能である。カムアセンブリ10330には、外科用ステープルカートリッジ10300内の外科用ステープル10320の各ラインに対応する一連のカム10332が形成されている。発射部材33100が、アンビル31210の閉鎖位置に対応する中間閉鎖位置から遠位に前進させられるとき、発射部材33100は、カムアセンブリ10330と動作可能に連係するか、又は接触し、外科用ステープルカートリッジ10300を通してカムアセンブリ10330を遠位に駆動する。カムアセンブリ10330が開始位置から遠位方向に駆動されると、カム10332は、ステープルドライバ10322のラインに連続的に接触して、ステープルドライバ10322をアンビル31210に向かう方向に駆動する。ステープルドライバ10322がアンビル31210に向かって駆動されると、その上に支持されている外科用ステープル10320は、標的組織内に駆動され、アンビル31210のステープル形成下面31218と接触して形成される。発射部材33100の組織切断ブレード33114は、標的組織の対応する部分が切断される前に外科用ステープル10320が発射されて形成されるように、カムアセンブリ10330の近位に位置する。
【0080】
標的組織が切断され、ステープル留めされると、臨床医(又はロボット制御システム)は、次いで、差動駆動アセンブリ27400を作動して、発射部材33100を完全発射位置から開始位置に後退させてもよく、アンビル31210は、開放位置に移動されて、ステープル留めされた標的組織を外科用エンドエフェクタ31000から解放する。その後、臨床医は、差動駆動アセンブリ24700を再び作動させて、アンビル31210を閉鎖位置に移動させ、外科用エンドエフェクタ31000がトロカールカニューレを通って出て戻ることを可能にし得る。当然ながら、外科用器具30010は、トロカールが患者内の外科手術領域にアクセスするために採用されない「開放」外科用途において、同様の方法で効果的に採用されてもよい。
【0081】
上述のように、上部発射アセンブリ33200は、上部可撓性の外側チューブ又は導管33210を通って延在する内側可撓性の上部スリーブ33231内に支持され得る、上部プッシュコイル33230を備える。下部発射アセンブリ33300は、下部可撓性の外側チューブ又は導管27310を通って延在する内側可撓性の下部スリーブ33341内に支持される、下部プッシュコイル33330を備える。図43に示す実施形態では、上部プッシュコイルの代わりに上部プッシュケーブル配列33560が使用され、下部プッシュコイルの代わりに下部プッシュケーブル配列33340が使用される。少なくとも1つの装置において、上部プッシュケーブル配列33560は、上部プッシュケーブル33562のクラスタ又は束を備え、下部プッシュケーブル配列33340は、下部プッシュケーブル33342のクラスタ又は束を備える。そのような上部プッシュケーブル配列33560及び下部プッシュケーブル配列33340は、発射部材33100が遠位に駆動されるときに、プッシュケーブル配列のいかなるよじれも防止し得る。そのような構成は、上部プッシュケーブル配列33550及び下部プッシュケーブル配列33340がそれぞれアンビルスロット31300及びチャネルスロット31111から落下する傾向を低減又は完全に回避する。図43に見られるように、例えば、上部プッシュケーブル配列33560の幅Wucは、アンビルスロット31300の幅Wanよりも広く、上部プッシュケーブル配列33560がアンビルスロット31300の中に(及び潜在的に外に)落ちることを防止する。同様に、下部プッシュケーブル配列33340の幅WLCは、チャネルスロット31111の幅WCSよりも大きく、下部プッシュケーブル配列33340がチャネルスロット31111の中に(及び潜在的に外に)落ちることを防止する。このような装置は更に、各プッシュケーブル配列の「非円形」断面を採用することによって、プッシュケーブルによって一般的に経験される内部歪みを有利に変更する。
【0082】
図43に示す例では、上部プッシュケーブル配列33560は、同じ円形断面形状を有し、サイズが同一である7本の上部プッシュケーブル33562を備える。他の装置では、上部プッシュケーブル33562は、異なる断面形状を有してもよく、異なる断面サイズを有してもよい。上部プッシュケーブル配列33560は、摩擦を低減することもできる可撓性材料でコーティング又はオーバーモールドされてもよい。同様に、下部プッシュケーブル配列33340は、同じ円形断面形状を有し、サイズが同一である7本の下部プッシュケーブル33342を備える。他の装置では、下部プッシュケーブル33342は、異なる断面形状を有してもよく、異なる断面サイズを有してもよい。下部プッシュケーブル配列33340は、摩擦を低減することもできる可撓性材料でコーティング又はオーバーモールドされてもよい。上部プッシュケーブル配列33560は、差動駆動アセンブリ27400によるその遠位前進及び近位後退を促進するように、本明細書に説明される様々な方法で、上部プッシュロッド33220に取り付けられるか、又は別様に動作可能に連係されてもよい。同様に、下部プッシュケーブル配列33340は、差動駆動アセンブリ27400によるその遠位前進及び近位後退を促進するために、本明細書に説明される様々な方法で、下部プッシュロッド33320に取り付けられるか、又は別様に動作可能に連係されてもよい。
【0083】
図43Aは、使用され得る代替的な上部プッシュケーブル33350A及び下部プッシュケーブル33330Aの断面形状を示す。上部プッシュケーブル33350A及び下部プッシュケーブル33330Aの幅Wは、アンビルスロット31300の幅Wan及びチャネルスロット31111の幅Wcsよりも大きい。
【0084】
図43Bは、採用され得る代替的な上部プッシュケーブル配列33560B及び下部プッシュケーブル配列33340Bの断面形状を示す。この例は、大きさが等しく、楕円形の断面形状を有する合計7本のプッシュケーブル33370を使用する。各代替的な上部プッシュケーブル配列33560B及び下部プッシュケーブル配列33340Bの幅WpcaBは、アンビルスロット31300の幅Wan及びチャネルスロット31111の幅Wcsよりも大きい。
【0085】
図43Cは、採用され得る代替的な上部プッシュケーブル配列33560C及び下部プッシュケーブル配列33340Cの断面形状を示す。この例は、中央プッシュケーブル33382よりも大きい6つの外側プッシュケーブル33384によって囲まれた中央プッシュケーブル33382の中央クラスタ33380を使用する。図示の例では、中央プッシュケーブル33382はそれぞれ円形の断面形状を有し、外側プッシュケーブル33384はそれぞれ楕円形の断面形状を有する。各代替的な上部プッシュケーブル配列33560C及び下部プッシュケーブル配列33340Cの幅WpcaCは、アンビルスロット31300の幅Wan及びチャネルスロット31111の幅Wcsよりも大きい。
【0086】
図43Dは、上述した上部プッシュケーブル配列33560B及び下部プッシュケーブル配列33340Bを示しており、摩擦低減可撓性カバー33561で封入又はオーバーモールドされている。
【0087】
図43Eは、採用され得る代替的な上部プッシュケーブル配列33560E及び下部プッシュケーブル配列33340Eの断面形状を示す。この例は、幾分ダイヤモンド形状を有し、中央プッシュケーブル33386よりも大きい4つの外側プッシュケーブル33388によって囲まれた中央プッシュケーブル33386を備える。図示の例では、中央プッシュケーブル33386及び外側プッシュケーブル33388はそれぞれ、円形の断面形状を有する。各代替的な上部プッシュケーブル配列33560E及び下部プッシュケーブル配列33340Eの幅WpcaEは、アンビルスロット31300の幅Wan及びチャネルスロット31111の幅Wcsよりも大きい。図示の装置では、上部プッシュケーブル配列33560E及び下部プッシュケーブル配列33340Eは、摩擦低減可撓性カバー33389で封入又はオーバーモールドされている。
【0088】
図43Fは、採用され得る代替的な上部プッシュケーブル配列33560F及び下部プッシュケーブル配列33340Fの断面形状を示す。この例は、幾分三角形の断面形状を有し、同じサイズであり、楕円形の断面形状を有する6本のプッシュケーブル33390を備える。各代替的な上部プッシュケーブル配列33560F及び下部プッシュケーブル配列33340Fの幅WpcaFは、アンビルスロット31300の幅Wan及びチャネルスロット31111の幅Wcsよりも大きい。図示の装置では、上部プッシュケーブル配列33560F及び下部プッシュケーブル配列33340Fは、摩擦低減可撓性カバー33392で封入又はオーバーモールドされている。
【0089】
上述した様々な実施形態において、プッシュケーブルは、ニチノール材料、チタン、ステンレス鋼、又は他の適切な材料を含んでもよい。支持ケーブル又は支持ケーブル配列の全幅がアンビルスロット及びチャネルスロットの幅よりも大きく、本明細書に開示される方法で外科用器具30010の様々な構成要素内の様々な開口部を通過するサイズであるという条件で、異なる断面形状を有する他の数のプッシュケーブル及びサイズのプッシュケーブルが使用されてもよい。下部プッシュケーブル(複数可)及び下部プッシュケーブル配列の断面形状、サイズ、及び組成は、上部プッシュケーブル(複数可)及び上部プッシュケーブル配列の断面形状、サイズ、及び組成と異なってもよいことが更に理解されるであろう。
【0090】
図38及び図44に図示する実施形態では、上部発射アセンブリ33200は、上部可撓性の外側チューブ又は導管33210を通って延在する内側可撓性の上部スリーブ33231内に支持され得る、上部プッシュコイル33230を備える。上部プッシュコイル33230は中空であり、ニチノール、チタン、ステンレス鋼などから製造されるコイルばねを備えることができる。他の装置では、上部プッシュコイル33230は、オフセットレーザカットを有する中空管状部材を本質的に含むレーザカット「ハイポチューブ」を備え、オフセットレーザカットは、ハイポチューブが撓んで曲がることを可能にすると同時に、軸方向の力又は運動を伝達することができる。上部プッシュコイル33230は、可撓性上部スリーブ33231内に受容され得、可撓性上部スリーブは、ポリマー又は同様の材料から製造されてもよく、細長いシャフトアセンブリに対する外科用エンドエフェクタの関節運動中に撓み、かつ屈曲するその能力を妨げ得る、組織、流体、及び/又は破片が上部プッシュコイル33230に侵入することを防止し得る。上部プッシュコイル33230は、発射部材33100の上部発射部材特徴部33120に取り付けられ、本明細書に記載される様々な方法で作動させるために差動駆動アセンブリ27400と動作可能に連係する。
【0091】
図38及び図44に示す例では更に、下部発射アセンブリ33300は、下部可撓性の外側チューブ又は導管27310を通って延在する内側可撓性の下部スリーブ33341内に支持される、下部プッシュコイル33330を備える。下部プッシュコイル33330は中空であり、ニチノール、チタン、ステンレス鋼などから製造されるコイルばねを備えることができる。他の装置では、下部プッシュコイル33330は、オフセットレーザカットを有する中空管状部材を本質的に含むレーザカットハイポチューブを備え、オフセットレーザカットは、ハイポチューブが撓んで曲がることを可能にする。内側可撓性の下部スリーブ33341は、ポリマー又は同様の材料から製造されてもよく、関節運動中に撓むその能力を妨げ得る、組織、流体、及び/又は破片が下部プッシュコイル33330に侵入することを防止し得る。下部プッシュコイル33330は、発射部材33100の下部発射部材特徴部33130に取り付けられ、本明細書に記載される様々な方法で作動させるために差動駆動アセンブリ27400と動作可能に連係する。
【0092】
図30図31図37、及び図44を参照すると、アンビル31210は、アンビル本体31212内に支持され、発射部材33100が外科用エンドエフェクタ31000を通って遠位方向に前進する際に中空上部プッシュコイル33230に入るように構成された安定化ビーム31250を備える。図30及び図37に見られるように、遠位端31252は、溶接、接着剤などによってアンビル本体31212に取り付けられたアンビルキャップ31270に取り付けられた取付ブラケット31260に取り付けられる。安定化ビーム31250は、厚い組織への発射を容易にするために、アンビル本体31212を構成する材料よりも可撓性のある材料から製造され得る。安定化ビーム31250の近位端は、上部発射部材特徴部33120内の開口部33121を通して中空上部プッシュコイル33230の中への通過を促進するように、テーパ状態又は尖った状態等にされてもよい。発射部材33100が中間閉鎖位置から遠位方向に駆動されると、安定化ビーム31250が中空上部プッシュコイル33230に入る。片持ち式安定化ビーム31250は、発射部材33100の発射中に上部プッシュコイル33230を支持し、発射(中間閉鎖位置から終了位置への移動)中に上部プッシュコイル33230がアンビルスロット31300内で座屈するのを防止する。図45を参照されたい。
【0093】
図46は、発射部材33100に連結され、そこから近位に突出して上部プッシュコイル33230内に受容される上部安定化ビーム33410と、発射部材33100に連結され、そこから近位に突出して下部プッシュコイル33330とともに受容される下部安定化ビーム33420との使用を示す。この装置では、上部安定化ビーム33410及び下部安定化ビーム33420は、関節継手32200を柔軟に通過するのに十分な可撓性を有するが、プッシュコイル33230、33330の座屈に抵抗するのに十分な剛性を有する材料から製造される。1つの例では、上部安定化ビーム33410及び下部安定化ビーム33420の各々は、対応する遠位安定化ビーム(図示せず)と係合するように構成された剛性部分及び可撓性部分の組み合わせを含むことができる。上部安定化ビーム33410及び下部安定化ビーム33420の各々が、(発射部材33100が終了位置にあるときに)シャフトアセンブリ内の近位からアンビルの遠位端までのそれぞれの全長に沿って半剛性である装置は、外科用エンドエフェクタに張力を加え、剛性化するように機能し得る。上部安定化ビーム33410及び下部安定化ビーム33420は、発射部材がエンドエフェクタを通って遠位に移動して座屈を防止する際に、発射駆動システムが関節継手内の小径支持体を押し通して安定した状態を維持することを可能にする。
【0094】
図47図50は、上部発射アセンブリ33200と同様であり、上部可撓性の外側チューブ又は導管33210を通って延在する内側可撓性の上部スリーブ33231内に支持され得る上部プッシュコイル33230を備える上部発射アセンブリ33200’を示す。1つの装置では、上部プッシュコイル33230は中空であり、ニチノール、チタン、ステンレス鋼などから製造されるコイルばねを備えることができる。他の装置では、上部プッシュコイル33230は、オフセットレーザカットを有する中空管状部材を本質的に含むレーザカット「ハイポチューブ」を備え、オフセットレーザカットは、ハイポチューブが撓んで曲がることを可能にすると同時に、軸方向の力又は運動を伝達することができる。上部プッシュコイル33230は、可撓性上部スリーブ33231内に受容され得、可撓性上部スリーブは、ポリマー又は同様の材料から製造されてもよく、細長いシャフトアセンブリに対する外科用エンドエフェクタの関節運動中に撓み、かつ屈曲するその能力を妨げ得る、組織、流体、及び/又は破片が上部プッシュコイル33230に侵入することを防止し得る。上部プッシュコイル33230は、発射部材33100の上部発射部材特徴部33120に取り付けられ、本明細書に記載される様々な方法で作動させるために差動駆動アセンブリ27400と動作可能に連係する。
【0095】
この例では、下部発射アセンブリ33300’は、上述の下部発射アセンブリ33300と類似し、下部可撓性の外側チューブ又は導管27310を通って延在する内側可撓性の下部スリーブ33341内に支持される、下部プッシュコイル33330を備える。下部プッシュコイル33330は中空であり、ニチノール、チタン、ステンレス鋼などから製造されるコイルばねを備えることができる。他の装置では、下部プッシュコイル33330は、オフセットレーザカットを有する中空管状部材を本質的に含むレーザカットハイポチューブを備え、オフセットレーザカットは、ハイポチューブが撓んで曲がることを可能にする。内側可撓性の下部スリーブ33341は、ポリマー又は同様の材料から製造されてもよく、関節運動中に撓むその能力を妨げ得る、組織、流体、及び/又は破片が下部プッシュコイル33330に侵入することを防止し得る。下部プッシュコイル33330は、発射部材33100の下部発射部材特徴部33130に取り付けられ、本明細書に記載される様々な方法で作動させるために差動駆動アセンブリ27400と動作可能に連係する。
【0096】
図示の実施形態では、上部発射アセンブリ33200’は、右上ケーブル又は可撓性部材33510と左上ケーブル又は可撓性部材33520とを備える上部安定化アセンブリ33500を含む。右上ケーブル33510の遠位端及び左上ケーブル33520の遠位端はそれぞれ、発射部材33100の上部発射部材特徴部33120に取り付けられている。同様に、右上部ケーブル33510の近位端及び左上部ケーブル33520の近位端はそれぞれ、外科用器具の動作中にケーブル33510及び33520の緊張(引っ張り)及び繰り出しを管理するように構成された、本明細書に記載の様々なタイプのケーブル制御システム部分と動作可能に連係する。更に、図47に見られるように、離間配置された右上ばね部材33514の右シリーズ33512は、右上ケーブル33510上に軸支される(取り付けられる、又は別様に支持される)。同様に、離間配置された左上ばね部材33524の左シリーズ33522は、左上ケーブル33520に軸支される(取り付けられるか、又は別様に支持される)。
【0097】
更に図47を参照すると、下部発射アセンブリ33300’は、右下ケーブル又は可撓性部材33610及び左下ケーブル又は可撓性部材33620を備える、下部安定化アセンブリ33600を含む。右下ケーブル33610の遠位端及び左下ケーブル33620の遠位端はそれぞれ、発射部材33100の下部発射部材特徴部33130に取り付けられている。同様に、右下ケーブル33610の近位端及び左下ケーブル33620の近位端はそれぞれ、外科用器具の動作中にケーブル33610及び33620の緊張(引っ張り)及び繰り出しを管理するように構成された、本明細書に記載の様々なタイプのケーブル制御システムの一部と動作可能に連係する。更に、図47にも見られるように、離間配置された右下ばね部材33614の右下シリーズ33612は、右下ケーブル33610上に軸支される(取り付けられるか、又は別様に支持される)。同様に、離間配置された左下ばね部材33624の左下シリーズ33622は、左下ケーブル33620上に軸支される(取り付けられるか、又は別様に支持される)。
【0098】
ここで図48を参照すると、アンビル本体31212は、中心に配置された軸方向に延在するアンビルスロット31300を備え、発射ストローク及び後退ストローク中に発射部材本体33112がそこを通過することを可能にするように構成されている。アンビル本体31212は、アンビルスロット31300の両側に形成された軸方向に延在するレッジ31302、31304を更に含み、発射中に発射部材33100の第1の上部タブ33125及び第2の上部タブ33127によってそれぞれ摺動可能に係合されるように構成される。アンビルキャップ31270は、溶接、接着剤などによってアンビル本体31212に取り付けられ、レッジ31302と協働して、アンビル本体31212内に右上軸方向通路31305を画定する。同様に、アンビルキャップ31270は、レッジ31304と協働して、アンビル本体31212内に左上軸方向通路31307を画定する。
【0099】
更に図48を参照すると、細長いチャネル32110は、発射部材本体33112がそれを通過することを可能にするように構成されている、軸方向に延在するチャネルスロット31111を備える。細長いチャネル32110は、チャネルスロット31111の各側に形成され、発射部材33100の第1の下部タブ33135及び第2の下部タブ33137によって摺動可能に係合されるように構成されている、軸方向に延在するレッジ31150、31152を更に備える。チャネルキャップ34010は、溶接又は他の好適な接着剤若しくはファスナ装置によって細長いチャネル32110に固設され、軸方向に延在するレッジ31150と協働して、細長いチャネル32110内に右下軸方向通路31154を画定する。チャネルキャップ30410は更に、軸方向に延在するレッジ33152と協働して、細長いチャネル32110内に左下軸方向通路31156を画定する。
【0100】
発射部材33100が、「発射」ストローク中に外科用エンドエフェクタを通して遠位に前進させられるとき、右上ケーブル又は可撓性部材33510上の右上ばね部材33514は、右上軸方向通路31305内で追加の支持を提供するように外向きに屈曲する。同様に、左上ケーブル又は可撓性部材33520上の左上ばね部材33524は、外向きに屈曲して、左上軸方向通路31307に追加の支持を提供する。同様に、右下ケーブル又は可撓性部材33610上の右下ばね部材33614は、右下軸方向通路31154内で追加の支持を提供するように外向きに曲がり、左下ケーブル又は可撓性部材33620上の左下ばね部材33624は、左下軸方向通路31156内で追加の支持を提供するように外向きに曲がる。このような装置は、発射ストローク中のアンビル31210内の上部発射アセンブリ33200’及び細長いチャネル32110内の下部発射アセンブリ33300’の座屈を最小限に抑えるか又は防止するのに役立つ。発射部材33100は、ケーブル33510、33520、33610、33620を近位方向に引っ張ることによって、開始位置に引き戻される。図50に見られるように、ケーブル33510、33520、33610、33620を近位方向に引っ張ることにより、ばね部材33514、33524が上部プッシュコイル33230に対して戻るように屈曲し、ばね部材33614、33624が下部ばねコイル33330に対して戻るように屈曲して、関節継手を通した近位移動を容易にする。この設計により、上部発射アセンブリ33200’及び下部発射アセンブリ33300’は、後退中に関節継手内の小径通路を通過し、発射中にアンビル本体31212内の軸方向通路31305、31307及び細長いチャネル32110内の軸方向通路31154、31156を更に実質的に充填又は占有して座屈を防止又は最小化することができる。
【0101】
図51は、チャネル33710及びアンビル33720から構成され得る一対のジョーを備える外科用エンドエフェクタ33700を幾分図式形態で描写する。発射部材33730は、組織を切断し、外科用エンドエフェクタ33700内で動作可能に支持されているステープルカートリッジ(図示せず)内に収容されているステープルを発射するために、本明細書に記載されている様々な方法で外科用エンドエフェクタ33700内で軸方向に移動するように支持されている。図51は更に、本明細書に開示される関節継手構成のうちのいずれか1つ、並びに他の関節継手装置を備え得る、関節継手33740を図式形態で描写する。更に他の装置では、外科用エンドエフェクタ33700は、少なくとも1つの可動ジョー及び軸方向に移動可能な発射部材を備える他の外科用ツール構成を備えてもよい。
【0102】
図51及び図52は、発射アセンブリ33800を更に示しており、発射アセンブリは、発射部材33730に押動を加えながら関節継手33740内の狭い通路33742を通って移動し、次に、外科用エンドエフェクタ33700内でより大きい又は異なる「フットプリント」をとって、発射部材33730に押動を加え続けながら発射アセンブリ33800の座屈を防止するために使用され得る。図示された装置において、発射アセンブリ33800は、可撓性部材又はケーブル33830によって互いに緩く連結された一連の卵形部材33810を備える。1つの実施例では、各卵形部材33810は、卵形本体33812を備える扁長回転楕円体を備え、卵形本体は、幾分尖った状態又はテーパ状態の近位端33814と、幾分尖った状態又はテーパ状態の遠位端33816とを画定する。図52に見られるように、各卵形本体33812は、近位卵形部分33820及び遠位卵形部分33822によって画定される開放中央領域33818を含む。加えて、各開口中央領域33818は、発射アセンブリ33800を通してケーブル33830をガイドするための通路33826を有し得る中央ラグ33824を更に画定する。ケーブル33830は、図51に見られるように、開放中央領域33818を通過し、中央ラグ33824の通路33826を通過する。
【0103】
図52を参照すると、発射アセンブリ33800が関節継手33740内の通路33742を通過するとき、卵形部材33810は、長さ方向に配置されるように拘束される。1つの卵形部材33810の遠位卵形部分33822は、図51に描写される方法で、隣接する卵形部材33810の近位卵形部分33820と整合されるように構成され、発射アセンブリ33800が関節継手33740内の狭い通路33742を通過するにつれて、剛性押動配列を形成する。この文脈で使用される場合、「狭い」という用語は、通路33742の内径Dが各卵形部材33810の長さLよりも小さいことを意味する。少なくとも1つの用途では、本明細書に開示されるタイプのギアラック及びモータ構成によって、上部発射アセンブリ33800の最近位卵形部材33810に押動が加えられてもよい。代替的な装置では、押動は、油圧シリンダ、空気圧シリンダ又は他の好適な装置によって発射アセンブリ33800に加えられてもよい。ケーブル33830は、外科用器具の動作中にケーブル33830の緊張(引っ張り)及び繰り出しを管理するように構成された、本明細書に記載される様々なタイプのケーブル制御システムの一部と動作可能に連係してもよい。
【0104】
図51に見られるように、卵形部材33810が関節継手33740内の通路33742を出ると、卵形部材は、発射部材33730の通路を収容するように構成されたエンドエフェクタ33700内の通路33712に入る。通路33712は、チャネル33710及びアンビル33720(又は他のジョー装置)によって画定されてもよく、D及び各卵形部材33810の長さLより大きい内径Dを有してもよい。したがって、D>L>Dである。卵形部材33810の各々が通路33742を出ると、それらの卵形形状により、各卵形部材33810は、図51に示される位置をとり、エンドエフェクタ33700内の通路33712を本質的に充填又は実質的に充填して、発射アセンブリ33800が発射部材33730を外科用エンドエフェクタ33700を通してその中のその終了位置まで遠位に押し続けるときの発射アセンブリ33800の座屈を防止する。別の言い方をすれば、卵形部材33810は、より狭い通路33742を通って長手方向に移動する。卵形部材33810がより大きな通路33712に遭遇すると、卵形部材33810の長さ方向「スタック」を押すことの不安定性に起因して、卵形部材33810は、それらの向きを変えて「幅方向」スタックを形成する。代替構成では、各卵形部材を特定の方向に強制的に回転させるために、又は押すことをより効率的にするために、本体部材33812上に平坦な表面を戦略的に設けることができる。
【0105】
発射部材33730が外科用エンドエフェクタ33700内の終了位置に到達すると、発射部材33700は、ケーブル33830を引っ張ることによって外科用エンドエフェクタ33700内のその開始位置に引き戻されてもよい。再び、卵形部材33810が外科用エンドエフェクタ33700内の通路33712を出ると、それらの卵形形状は、それらを関節継手33740内の通路33742の中に回転させ進入させる。上記から理解され得るように、そのような発射アセンブリ装置は、器具内のより狭い第1の開口又は通路を通過し、次いで、第1の開口又は通路よりも大きい第2の開口又は通路内で移動するように拘束される部材に押動作用を提供するために、成功裏に採用されてもよい。
【0106】
発射部材33100が組織切断面又はブレードを含む実施形態では、「未使用の」外科用ステープルカートリッジ10300が外科用エンドエフェクタ31000の細長いチャンネル31110内で適切に支持されていない限り発射部材の不注意な前進を防ぐような方式で外科用エンドエフェクタが構成されていることが望ましい場合がある。例えば、ステープルカートリッジが全く存在せず、発射部材33100が外科用エンドエフェクタ31000を通じて遠位側に前進する場合、組織は切断はされるが、ステープル留めはされない。同様に、使用済みのステープルカートリッジ(すなわち、外科用ステープルの少なくともいくつかが既に発射されているステープルカートリッジ)が外科用エンドエフェクタ31000に存在し、発射部材が前進する場合、組織は切断はされることになるが、ステープル留めはされるとしても完全にはされない可能性がある。そのような現象の発生は、外科手技の間における不所望な破局的結果につながり得ることが明らかとなろう。米国特許第6,988,649号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING A SPENT CARTRIDGE LOCKOUT」、同第7,044,352号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING A SINGLE LOCKOUT MECHANISM FOR PREVENTION OF FIRING」、同第7,380,695号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING A SINGLE LOCKOUT MECHANISM FOR PREVENTION OF FIRING」、米国特許第10,154,841号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH LOCKOUT ARRANGEMENTS FOR PREVENTING FIRING SYSTEM ACTUATION WHEN A CARTRIDGE IS SPENT OR MISSING」、及び米国特許第10,980,536号、発明の名称「NO-CARTRIDGE AND SPENT CARTRIDGE LOCKOUT ARRANGEMENTS FOR SURGICAL STAPLERS」が、それぞれ様々な発射部材ロックアウト装置を開示している。これらの参考文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
従来のロックアウト装置は、未使用カートリッジがチャネル内に装填又は着座されていない限り、チャネル上のレッジと接触するように下向きに付勢される、発射部材を採用する。未使用カートリッジがチャネル内に着座されると、カム部材又はスレッドは、発射部材に係合し、それをチャネルレッジとの整列から持ち上げ、したがって、発射部材は、その後、遠位に前進させられ、ステープルカートリッジを発射する(ステープルカートリッジからステープルを駆動する)ことができる。本明細書に開示される様々な発射部材装置は、発射部材の上部及び下部と連係するプッシュケーブル又はプッシュコイルによって駆動され得る。このような装置では、発射部材は、下方に付勢されるのにあまり適しておらず、そのような従来の発射部材ロック装置をこれらの外科用エンドエフェクタに適さないものにしている。
【0108】
図53図57は、「未発射」、「未使用」、「新品」、又は「新しい」外科用ステープルカートリッジ10300が細長いチャネル31110内に適切に着座されていない限り、外科用エンドエフェクタ31000内で発射部材33100が中間閉鎖位置から終了位置まで遠位に移動することを防止する、概して34000として指定される発射部材ロックアウトシステムを示す。「未発射」、「未使用」、「新品」又は「新しい」外科用ステープルカートリッジ10300とは、本明細書では、外科用ステープルカートリッジ10300の全ての外科用ステープル10320又はファスナが「発射準備完了」位置にあることを意味する。加えて、カムアセンブリ又はスレッド10330は、カートリッジ本体10312内の最近位の「開始」位置に配置される。未使用の外科用ステープルカートリッジ10300は細長いチャネル31110内に動作可能に着座され、細長いチャネル31110の対応する部分と保持的に係合するように構成されたカートリッジ本体10312のスナップ特徴部によって細長いチャネルの内部に保持することができる。
【0109】
図示の例では、発射部材ロックアウトシステム34000は、細長いチャネル31110内に支持された外科用ステープルカートリッジ10300内の軸方向に移動可能なカムアセンブリ10330が開始位置にない限り、中間閉鎖位置から終了位置への発射部材33100の遠位移動を阻止するように構成された発射部材ロック34020を備える。図30図53、及び図54を参照すると、発射部材ロック34020は、細長いチャネル31110の下部に取り付けられたチャネルキャップ34010内に移動可能に支持されている。図30に見られるように、チャネルキャップ30410の遠位端34012は、細長いチャネル31110に固設されたチャネルファスナブラケット34014に取り付けられてもよい。加えて、又は代替として、チャネルキャップ34010は、溶接又は他の好適な接着剤若しくはファスナ装置によって、細長いチャネル31110に固設されてもよい。
【0110】
図30に更に見られるように、発射部材ロック34020は、チャネルキャップ34010内に形成されたロックキャビティ34016内に移動可能に支持される。加えて、発射部材ロックアウトシステム34000は、発射部材ロック34020が中間閉鎖位置から終了位置への発射部材33100の遠位前進を阻止するロック位置と、発射部材ロック34020が中間閉鎖位置から終了位置への発射部材33100の遠位移動とを阻止又は防止しないロック解除位置との間で、発射部材ロック34020を付勢するように構成された付勢装置34040を備える。
【0111】
図55は、使用可能な発射部材ロック34020の1つの形態を示す。図55に見られるように、発射部材ロック34020は、細長いチャネル31110内の軸方向に延在するチャネルスロット31111によって画定されるチャネル軸CA(図53及び図54)にわたって広がるように構成される下部ロック部分34024を備えるロック本体34022を備える。1つの例では、付勢装置34040は、チャネル軸CAの一方(右)の側部に配置された右又は「第1」ロックばね34042と、チャネル軸CAの他方の側部(左)に配置された左又は「第2」ロックばね34044とを備える。図30を参照されたい。第1のロックばね34042を収容するために、ロック本体34022は、第1のばねポケット34026を更に備える。図55を参照されたい。ロック本体34022は更に、第2のロックばね34044を収容するように構成された第2のばねポケット34028を含む。加えて、ロック本体34022は、チャネル軸CAの右側に位置する第1の上部本体部分34030と、チャネル軸CAの左側に位置する第2の上部本体部分34032とを更に備える。第1の上部本体部分34030は、第2の上部本体部分34032から距離Fdだけ離間配置しており、この距離は、垂直に延在する発射部材本体部分33112がそこを通過することを可能にするのに十分な広さである発射部材空間34034を画定する。図55及び図56を参照されたい。加えて、ロック本体34022は、発射部材ロックがロック解除位置にあるときに第1の下部タブ33125の通過に対応するように構成された第1又は右チャネル部分34037と、発射部材ロック34020がロック解除位置にあるときに第2の下部タブ33127の通過に対応するように構成された第2又は左チャネル部分34038とを含む中央開口部34036を更に画定する。
【0112】
図53及び図56は、ステープルカートリッジが細長いチャネル31110内に動作可能に着座される前であって、発射部材33100が中間閉鎖位置にあるときの外科用エンドエフェクタ31000を示す。図53及び図56に見られるように、付勢装置34030は、発射部材ロック34020を上方に付勢して「ロック」位置にしている。図56に最も詳細に見ることができるように、発射部材ロック34020がロック位置にあるとき、下部ロック部分34024は、下部発射部材特徴部33130に対して阻止配向に位置付けられる。ロック位置にあるとき、臨床医が発射部材33100を中間閉鎖位置から遠位に前進させようとすると、下部発射部材特徴部33130は、発射部材ロック34020に接触し、その点を越えて遠位に移動することを防止される。
【0113】
図54及び図57は、未使用の(新規、未発射)外科用ステープルカートリッジ10300が細長いチャネル31110の中に動作可能に着座した後の外科用エンドエフェクタ31000を示す。図54及び図57に見られるように、カムアセンブリ10330は、開始位置にあり、発射部材ロック34020を付勢装置34040の付勢に抗して「ロック解除」位置に付勢している。図57に見られるように、発射部材ロック34020がロック解除位置にあるとき、中央開口部34036は下部発射部材特徴部33130と位置合わせされる。第1のチャネル部分34037は、下部発射部材特徴部33130の第1の下部タブ33135と位置合わせされて、第1の下部タブ33135の通過を可能にし、第2のチャネル部分34038は、下部発射部材特徴部33130の第2の下部タブ33137と位置合わせされて、第2の下部タブ33137の通過を可能にする。したがって、発射部材ロック34020が、開始位置にあるカムアセンブリ10330によってロック解除位置に付勢されているとき、臨床医は、外科用エンドエフェクタ31000において、発射部材33100を中間閉鎖位置から終了位置まで遠位方向に前進させることができる。
【0114】
図55に見られるように、少なくとも1つの装置では、下部ロック部分34024は、下部プッシュケーブル又はプッシュコイルが下部ロック部分34024の上を滑ることを可能にするために、丸みを帯びた近位端34027及び丸みを帯びた遠位端34029を有する中央凹部又はトラフ34025とともに形成される。丸みを帯びた近位端34027は、丸みを帯びた遠位端34029の半径よりも小さい半径を有して、発射部材ロック34020がロック位置にあるときに発射部材33100を阻止するのを助けることができる。更に、少なくとも1つの装置では、第1の上部本体部分34030は、丸みを帯びた第1の端34031を有して形成され、第2の上部本体部分34032は、丸みを帯びた第2の端34033を有して形成される。丸みを帯びた第1の端34031及び丸みを帯びた第2の端34033は、未使用のステープルカートリッジ10300を細長いチャネル31110内に設置する間、カムアセンブリ10330が発射部材ロック34020の上を滑ることを可能にする。
【0115】
図58及び図59は、「未発射」、「未使用」、「新品」、又は「新しい」外科用ステープルカートリッジ10300が外科用エンドエフェクタ35000の細長いチャネル37110内に適切に着座されていない限り、外科用エンドエフェクタ35000内で発射部材36100がその中間閉鎖位置からその終了位置まで遠位に移動することを防止する、概して36000として指定される代替的な発射部材ロックシステムを示す。図示された例では、発射部材ロックアウトシステム36000は、発射部材本体36112の第1の側部36113上に形成された第1の部分又は第1の形成部36117に接触するように構成された右発射部材ロック36120を備える。1つの装置では、右発射部材ロック36120は、細長いチャネル37110内に形成された第1のロックチャネル37120内に摺動可能に受容される右又は「第1の」ロック特徴部36122を備える。第1のばね36124の形態の第1の付勢部材は、示されるように、チャネル37120の下面及び右ロック特徴部36122の端部に取り付けられる。このような装置は、発射部材36100が中間閉鎖位置にあり、外科用ステープルカートリッジが細長いチャネル37110内に着座していないか、又は使用済み若しくは部分的に発射された外科用ステープルカートリッジ(開始位置にないカムアセンブリを有する外科用ステープルカートリッジ。図58を参照)が細長いチャネル31110内に着座しているときに、第1のロック特徴部36122を付勢して発射部材本体36112上の第1の形成部36117と係合させる役割を果たす。しかしながら、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300が細長いチャネル37110(図59)内に着座されたとき、外科用ステープルカートリッジ10300内のカムアセンブリ10330は、第1のロック特徴部36122をロック解除位置に付勢し、発射部材36100及びカムアセンブリ10330は、閉鎖位置又は開始位置から遠位に前進され得る。図59を参照されたい。
【0116】
図58に見られるように、発射部材ロックアウトシステム36000は、発射部材本体36112の第2の側部36115上に形成された第2の部分又は第2の形成部36119に接触するように構成された左又は「第2の」発射部材ロック36130を更に備えてもよい。1つの装置では、第2の発射部材ロック36130は、細長いチャネル37110内に形成された第2のロックチャネル37130内に摺動可能に受容される左又は「第2の」ロック特徴部36132を備える。第2のばね36134の形態の第2の付勢部材は、示されるように、チャネル37130の下面及び第2のロック特徴部36132の端部に取り付けられる。このような装置は、発射部材36100が中間閉鎖位置にあり、ステープルカートリッジが細長いチャネル37110内に着座していないか、又は使用済み若しくは部分的に発射されたカートリッジ(開始位置にないカムアセンブリを有するカートリッジ。図58を参照)が細長いチャネル31110内に着座しているときに、第2のロック特徴部36132を付勢して発射部材本体36112上の第2の形成部36119と係合させる役割を果たす。しかしながら、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300が細長いチャネル31110(図59)内に着座されたとき、カムアセンブリ10330は、第2のロック特徴部36132をロック解除位置に付勢し、発射部材36100及びカムアセンブリ10330は、開始位置及び閉鎖位置から遠位に前進され得る。発射部材36100上の第1の形成部36117は、発射部材36100が終了位置から開始位置に後退しているときに、第1のロック特徴部36122をロック解除位置に付勢するように構成されている。同様に、発射部材36100上の第2の形成部36119は、発射部材36100が終了位置から開始位置に戻るように後退しているときに、第2のロック特徴部をロック解除位置に付勢するように構成される。第1の形成部36117が第1のロック特徴部36122から係合解除し、第2の形成部が第2のロック特徴部36132から係合解除すると、第1のロック特徴部36122及び第2のロック特徴部36132はロック位置に戻る。代替的な装置では、第1のロック特徴部36122及び第2のロック特徴部36132のうちの1つのみが用いられてもよく、上記で開示された別様の方法で動作してもよい。
【0117】
図60は、「未発射」、「未使用」、「新品」、又は「新しい」外科用ステープルカートリッジ10300が外科用エンドエフェクタ35000’の細長いチャネル37110’内に適切に着座されていない限り、外科用エンドエフェクタ35000’内で発射部材36100がその中間閉鎖位置からその終了位置まで遠位に移動することを防止する、概して36000’として指定される代替的な発射部材ロックシステムを採用する代替的な外科用エンドエフェクタ35000’を示す。図示された例では、発射部材ロックアウトシステム36000’は、発射部材本体36112の第1の側部36113上に形成された第1の部分又は第1の形成部36117に接触するように構成された右発射部材ロック36120’を備える。1つの装置では、右発射部材ロック36120’は、細長いチャネル37110’内に形成された第1のロックチャネル37120’内に枢動可能に支持された右又は「第1の」ロック特徴部36122’を備える。第1のばね36124’の形態の第1の付勢部材は、第1のロックチャネル37120’内に支持され、発射部材36100が閉鎖位置又は開始位置にあり、ステープルカートリッジが細長いチャネル37110’内に着座していないか、又は使用済み若しくは部分的に発射されたカートリッジ(開始位置にないカムアセンブリを有するカートリッジ。図60を参照)が細長いチャネル31110’内に着座しているときに、第1のロック特徴部36122’を枢動可能に付勢して発射部材本体36112上の第1の形成部36117と係合させる。しかしながら、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300が細長いチャネル37110’内に着座されたとき、外科用ステープルカートリッジ10300内の(その開始位置にある)カムアセンブリ10330は、第1のロック特徴部36122’をロック解除位置に付勢し、発射部材36100及びカムアセンブリ10330は、閉鎖位置又は開始位置から遠位に前進され得る。
【0118】
図60に見られるように、発射部材ロックアウトシステム36000’は、発射部材本体36112の第2の側部36115上に形成された第2の部分又は第2の形成部36119に接触するように構成された左又は「第2の」発射部材ロック36130’を更に備えてもよい。1つの装置では、第2の発射部材ロック36130’は、細長いチャネル37110内に形成された第2のロックチャネル37130内に摺動可能に受容される左又は「第2の」ロック特徴部36132’を備える。第2のばね36134の形態の第2の付勢部材は、第2のロックチャネル37130’内に支持される。このような装置は、発射部材36100が閉鎖位置にあり、ステープルカートリッジが細長いチャネル37110’内に着座していないか、又は使用済み若しくは部分的に発射されたカートリッジ(開始位置にないカムアセンブリを有するカートリッジ。図60を参照)が細長いチャネル31110’内に着座しているときに、第2のロック特徴部36132’を付勢して発射部材本体36112上の第2の形成部36119と係合させる役割を果たす。しかしながら、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300が細長いチャネル31110内に着座されたとき、カムアセンブリ10330は、第2のロック特徴部36132’をロック解除位置に付勢し、発射部材36100及びカムアセンブリ10330は、開始位置及び閉鎖位置から遠位に前進され得る。発射部材36100上の第1の形成部36117は、発射部材36100が終了位置から閉鎖位置及び/又は開始位置に後退しているときに、第1のロック特徴部36122’をロック解除位置に付勢するように構成されている。同様に、発射部材36100上の第2の形成部36119は、発射部材36100が終了位置から開始位置に戻るように後退しているときに、第2のロック特徴部をロック解除位置に付勢するように構成される。第1の形成部36117が第1のロック特徴部36122’から係合解除し、第2の形成部が第2のロック特徴部36132から係合解除すると、第1のロック特徴部36122’及び第2のロック特徴部36132’はロック位置に戻る。代替的な装置では、第1のロック特徴部36122’及び第2のロック特徴部36132’のうちの1つのみが用いられてもよく、上記で開示された別様の方法で動作してもよい。
【0119】
図61及び図62は、「未発射」、「未使用」、「新品」、又は「新しい」外科用ステープルカートリッジ10300が外科用エンドエフェクタ38000の細長いチャネル38110内に適切に着座されていない限り、外科用エンドエフェクタ38000内で発射部材36100’がその中間閉鎖位置からその終了位置まで遠位に移動することを防止するように構成され、概して39000として指定される代替的な発射部材ロックシステムを示す。図示された例では、発射部材ロックシステム39000は、発射部材本体36100’上に形成されるか、又は別様にそこから突出するロック部分36117’に接触するように構成された発射部材ロック39120を備える。1つの装置では、発射部材ロック39120は、細長いチャネル38110内に形成されたロックキャビティ38112内に移動可能に支持される。図示された例では、ばね39124の形態の一対の付勢部材は、発射部材ロック39120をロック位置に付勢するように機能し、発射部材ロック39120は、発射部材本体36112’上のロック部分36117’に阻止係合する。図61は、発射部材36100’が外科用エンドエフェクタのアンビル38210の閉鎖位置に対応する中間閉鎖位置にあるが、ステープルカートリッジが細長いチャネル38110内に着座していない外科用エンドエフェクタ38000を示す。図61に見られるように、発射部材ロック39120は、中間閉鎖位置からの発射部材36100’の遠位前進を阻止している。図62は、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300が細長いチャネル38110内に着座され、発射部材36100’が中間閉鎖位置にある後の外科用エンドエフェクタ38000を示す。図62に見られるように、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300のカムアセンブリ10330は、開始位置にあり、カムアセンブリ10330は、発射部材ロック39120を「ロック解除」位置に押し下げるか、又は別様に移動させ、発射部材36100’’は、中間閉鎖位置から遠位に前進させられ得る。図61及び図62に見られるように、発射部材ロック39120は、発射部材36100’上のロック部分36117’によるロックキャビティ38112内への発射部材39120の押し下げを容易にして、発射部材36100’が開始位置に後退して戻ることを可能にする、遠位に面するテーパ面又は傾斜部39126を有して形成される。代替的な装置では、別のロック部分36117’が発射部材36100’の反対側から突出しており、別の対応する発射部材ロック39120と上述の方法で動作可能に相互作用するように構成されている。別の発射部材ロック39120は、上述の方法でカムアセンブリ10330によってロック位置からロック解除位置に移動されるように構成されている。
【0120】
未使用のステープルカートリッジが外科用エンドエフェクタ40000内に着座されていない限り、外科用器具40000の外科用エンドエフェクタ40020の発射部材40100が中間閉鎖位置から終了位置まで遠位方向に前進することを防止するように構成されている代替的な発射部材ロックアウトシステム40200が、図63図65に示されている。図63は、発射ビーム40110及びそれに連結された発射部材40100を駆動及び後退させるために使用され得る発射部材駆動システム40300の1つの形態を示す。図63に見られるように、発射ビーム40110は、発射ビーム40110に取り付けられるか、又は別様に関連付けられる発射ビームギアラック40310を備えてもよい。発射部材駆動システム40300は、発射ビームギアラック40310と噛合係合している駆動ギア40324を駆動するように構成されている発射駆動モータ40320を更に備えてもよい。駆動ギア40322は、駆動モータ40320の出力シャフト40322に連結されている。出力シャフト40322の第1の回転方向への回転は、外科用エンドエフェクタ40000内の開始位置と、中間閉鎖位置と、終了位置との間で発射部材40100を遠位に駆動し、発射駆動モータ40320の出力シャフト40322の第2の反対の回転方向への回転は、発射部材40100を終了位置から開始位置に戻るように近位に駆動する。1つの装置では、発射駆動モータ40320は、モータ制御システム40330によって制御され、このモータ制御システムは、器具ハウジング40002内に収容され得る、器具ハウジングに関連付けられ得る、及び/又はロボットシステム若しくは他の自動外科用システムの一部を含み得るマイクロプロセッサ制御式制御回路40332を含み得る。例えば、1つの装置では、モータ制御システム40330は、発射ストロークの開始中に駆動モータ40320によって引き込まれる発射電流Iの量を監視し、発射ストロークにおいて、発射部材駆動システム40300は、発射部材40110を中間閉鎖位置から終了位置まで遠位に駆動する。
【0121】
図64及び図65を参照すると、発射部材ロックアウトシステム40200は、外科用エンドエフェクタ40020の細長いチャネル40400内に支持される摩擦発生ばね40210を更に備えてもよい。図64及び図65に示す例では、摩擦発生ばね40210は、発射部材40110の右側に対応する右ばねアーム40220と、発射部材40110の左側に対応する左ばねアーム40230とを含む。右ばねアーム40220は、右アクチュエータ端部40222と、右直立保持タブ部40224とを備える。同様に、左ばねアーム40230は、左アクチュエータ端部40232と、左直立保持タブ部40234とを備える。摩擦発生ばね40210は、右保持タブ部分40214が「ロック」位置に付勢され、右保持タブ部分40224が発射部材本体40112上の右ロックラグ40114と直面整列し、左保持タブ部分40234が発射部材本体40112上の左ロックラグ40116と直面整列するように、通常の付勢で細長いチャネル40400内に取り付けられる。図65を参照されたい。
【0122】
図64は、細長いチャネル40400内に適切に着座された未使用の外科用ステープルカートリッジ10300を示す。上述したように、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300は、それぞれの発射準備完了位置に外科用ステープルを収容し、開始位置にカムアセンブリ10330を備える。カムアセンブリ10330が非発射位置又は開始位置にあるとき、カムアセンブリ10330は、摩擦発生ばね40210の右アクチュエータ端部40222及び左アクチュエータ端部40232に接触し、右アクチュエータ端部40222を付勢して右ロックラグ40114との直面整列から外し、左アクチュエータ端部40232を付勢して左ロックラグ40116との直面整列から外す。図64を参照されたい。摩擦発生ばね40210がその「ロック解除」位置にあるとき、発射部材40110が中間閉鎖位置から遠位に駆動されるとき、摩擦発生ばね40210は、発射部材40110にいかなる有意な摩擦抵抗も加えなくてもよい。
【0123】
図65は、外科用ステープルカートリッジ10300内のカムアセンブリ10330が開始位置から遠位に前進した後の摩擦発生ばね40210の位置を示しており、ステープルカートリッジが部分的又は完全に発射されたことを示し得る。いずれの場合も、図65に示される外科用ステープルカートリッジ10300’は、もはや未使用の外科用ステープルカートリッジではない。図65に見られるように、外科用エンドエフェクタ40020内の「使用済み」外科用ステープルカートリッジ10300’は、発射準備完了位置又は開始位置においてカムアセンブリ10330を欠いているので、摩擦発生ばね40210は、ロック位置にある(例えば、右保持タブ部分40224は、発射部材本体40112上の右ロックラグ40114と直面整列しており、左保持タブ部分40234は、発射部材本体40112上の左ロックラグ40116と直面整列している)。保持タブ部分40224、40234がロック位置にあるときに臨床医が発射しようとする(発射部材40110を中間閉鎖位置から遠位方向に前進させる)場合、右ロックラグ40114は右保持タブ部分40224に接触し、左ロックラグ40116は左保持部分40234に接触し、発射部材40110が受ける摩擦抵抗の量を増加させる。したがって、そのような追加の摩擦抵抗を克服するために発射駆動モータ40320によって生成される必要がある駆動力の量も増加させなければならず、発射駆動モータ40320が増加した量の発射電流IFを引き出すことも必要とし得る。モータ制御システム40330は、発射電流が、未使用のステープルカートリッジが外科用エンドエフェクタ40020内に適切に着座していないときに発射部材ロックアウトシステム40200によって発射部材40110に加えられた摩擦抵抗の増加を示す所定の大きさを超えたときに、発射駆動モータ40320の作動を中断するように構成され得る。
【0124】
図66は、対応するマイクロプロセッサ及び/又は制御回路40332によって実装され得るモータ制御システム40330の一形態を示す。図66に見られるように、制御回路40332は、発射部材40110を中間閉鎖位置から遠位方向に駆動しようとするときに発射駆動モータ40320によって引き込まれている発射電流Iの量を決定するための動作40334を実施する。別の言い方をすれば、動作40334において、制御回路40332は、発射駆動モータ40320に電力を供給して、発射部材40110を中間閉鎖位置から遠位に駆動する。動作40336において、制御回路は、動作40334において発射駆動モータ40320によって引き込まれた発射電流Iを、発射駆動モータ40320が発射部材40110を中間閉鎖位置から遠位に駆動しており、右保持タブ40222及び左保持タブ40232がロック解除位置にあるときに発射駆動モータ40320が通常引き込むであろう発射電流INの許容範囲と比較する。I>Iである場合、未使用のステープルカートリッジが外科用エンドエフェクタ内に装填されていないことを示し、制御回路40332は、動作40338において、発射駆動モータ40320の作動を停止する。I≦Iである場合、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300が外科用エンドエフェクタ内に装填されていることを示し、制御回路40332は、発射駆動モータ40320に電力供給し続けて、発射部材40110を中間閉鎖位置から終了位置まで駆動する。別の装置では、監視された発射電流Iが電流Iの許容範囲を所定の量だけ超えると、制御回路40332は発射駆動モータ40320を停止させる。この「負荷」監視装置は、本明細書に開示される発射部材ロック装置のいずれかと関連して採用されてもよい。ロボットシステムでは、制御回路は、外科用器具がロボット上に設置されるときはいつでも、外科用器具に対して「ホーミング」動作を行う。このホーミング工程の間、制御システムは、現在の負荷及び他の負荷並びにその異なる駆動システムの位置をチェックして、外科手術器具の使用の準備ができていることを確実にする。したがって、このホーミング動作中に、発射駆動モータが発射部材を遠位方向に前進させようとし、モータ電流のスパイクが検出された場合、制御回路は、発射駆動モータへの電力供給を停止する。そのような電流スパイクは、未使用のカートリッジが外科用器具の外科用エンドエフェクタ内に装填されていないときに、発射部材ロックシステムによって発射部材に加えられる摩擦抵抗によって引き起こされる。
【0125】
図67図69は、別の外科用器具40000’及び外科用エンドエフェクタ40020’を示しており、以下に説明する相違点を除いて、上記で詳細に説明した外科用エンドエフェクタ40020及び外科用器具40000と同一又は非常に類似している。例えば、外科用エンドエフェクタ40020’は、発射部材40110の右側に対応する右摩擦発生ばね40220’と、発射部材40110の左側に対応する左摩擦発生ばね40230’とを備える代替的な摩擦発生装置を備える。右摩擦発生ばね40220’は、細長いチャネル40400内に取り付けられ、右アクチュエータ部分40222’と右直立保持タブ部分40224’とを備える。同様に、左摩擦発生ばねアーム40230’は、左アクチュエータ部分40232’と、左直立保持タブ部分40234’とを備える。右摩擦発生ばね40220’は、右保持タブ部分40224’が「ロック」位置にあるように細長いチャネル40400内に取り付けられ、右保持タブ部分40224’は、発射部材本体40112上の右ロックラグ40114と直面整列している。同様に、左摩擦発生ばね40230’は、左保持タブ部分40234’が発射部材本体40112上の左ロックラグ40116と直面整列するように、細長いチャネル40400内に取り付けられる。図67を参照されたい。
【0126】
図68は、細長いチャネル40400内に適切に着座された未使用の外科用ステープルカートリッジ10300を示す。上述したように、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300は、それぞれの発射準備完了位置に外科用ステープルを収容し、開始位置にカムアセンブリ10330を備える。カムアセンブリ10330が未発射位置又は開始位置にあるとき、カムアセンブリ10330は、右摩擦発生ばね40220’の右アクチュエータ端部40222’及び左摩擦発生ばね40230’の左アクチュエータ端部40232’に接触し、それによって右アクチュエータ端部40222’を付勢して右ロックラグ40114との直面整列から外し、左アクチュエータ端部40232’を付勢して左ロックラグ40116との直面整列から外す。図68を参照されたい。右摩擦発生ばね40220’及び左摩擦発生ばね40230’がそれらの「ロック解除」位置にあるとき、右摩擦発生ばね40220’及び左摩擦発生ばね40230’は、発射部材40110が中間閉鎖位置から遠位に駆動されるときに、いかなる有意な摩擦抵抗も発射部材40110に加えなくてもよい。
【0127】
図69は、外科用ステープルカートリッジ10300’内のカムアセンブリが発射準備完了位置又は開始位置から遠位に前進した後の左摩擦発生ばね40230’の位置を示しており、外科用ステープルカートリッジが部分的又は完全に発射されていることを示し得る。いずれの場合も、図69に示されるステープルカートリッジ10300’は、もはや「未使用」外科用ステープルカートリッジを含まないが、代わりに「使用済み」又は発射済みステープルカートリッジを含む。図69に見られるように、外科用エンドエフェクタ内の「使用済み」外科用ステープルカートリッジ10300’は、発射準備完了又は開始位置においてカムアセンブリ10330を欠いているので、右摩擦発生ばね40220’及び左摩擦発生ばね40230’は、ロック位置にある(例えば、右保持タブ部分40224’は、発射部材本体40112上の右ロックラグ40114と直面整列しており、左保持タブ部分40234’は、発射部材本体40112上の左ロックラグ40116と直面整列している)。保持タブ部分40224’、40234’がロック位置にあるときに臨床医が発射しようとする(発射部材40110を中間閉鎖位置から遠位に前進させる)場合、右ロックラグ40114は右保持タブ部分40224’に接触し、左ロックラグ40116’は左保持タブ部分40234’に接触し、発射部材40110が受ける摩擦抵抗の量を増加させる。したがって、そのような追加の摩擦抵抗を克服するために発射駆動モータ40320によって生成される必要がある駆動力の量も増加させなければならず、発射駆動モータ40320が増加した量の発射電流Iを引き出すことも必要とし得る。モータ制御システム40330は、発射電流が、上述の方法で未使用のステープルカートリッジが外科用エンドエフェクタ内に適切に着座していないときに発射部材ロックアウトシステムによって発射部材40110に加えられた摩擦抵抗の増加を示す所定の大きさを超えたときに、発射駆動モータ40320の作動を中断するように構成され得る。
【0128】
図70図72は、別の外科用器具40000’’及び外科用エンドエフェクタ40020’’を示しており、以下に説明する相違点を除いて、上記で詳細に説明した外科用エンドエフェクタ40020及び外科用器具40000と同一又は非常に類似している。例えば、外科用エンドエフェクタ40020’’は、発射部材40110’の右側に対応する右摩擦発生ばね40220’’と、発射部材40110の左側に対応する左摩擦発生ばね40230’’とを備える代替的な摩擦発生装置を備える。右摩擦発生ばね40220”は、細長いチャネル40400内に取り付けられ、右ばね本体40222”と、直立した右保持タブ部分40224”とを備える。同様に、左摩擦発生ばね40230”は、左ばね本体部分40232”と、左直立保持タブ部分40234”とを備える。右摩擦発生ばね40220’は、右保持タブ部分40224’が「ロック」位置にあるように細長いチャネル40400内に取り付けられ、右保持タブ部分40224’は、発射部材本体40112上の右ロックラグ40114と直面整列している。同様に、左摩擦発生ばね40230”は、左保持タブ部分40234’が発射部材本体40112上の左ロックラグ40116と直面整列するように、細長いチャネル40400内に取り付けられる。図70を参照されたい。
【0129】
図71は、細長いチャネル40400内に適切に着座された未使用の外科用ステープルカートリッジ10300を示す。上述したように、未使用の外科用ステープルカートリッジ10300は、それぞれの発射準備完了位置に外科用ステープルを収容し、開始位置にカムアセンブリ10330を備える。カムアセンブリ10330が未発射位置又は開始位置にあるとき、カムアセンブリ10330は、右保持タブ部分40224’’を押し下げて、右ロックラグ40114との直面整列から外し(ロック解除位置)、左保持タブ部分40234’’を押し下げて、左ロックラグ40116との直面整列から外す(ロック解除位置)。図71を参照されたい。右摩擦発生ばね40220’’及び左摩擦発生ばね40230’’がそれらの「ロック解除」位置にあるとき、右摩擦発生ばね40220’’及び左摩擦発生ばね40230’’は、発射部材40110が中間閉鎖位置から遠位に駆動されるときに、いかなる有意な摩擦抵抗も発射部材40110に加えなくてもよい。
【0130】
図72は、外科用ステープルカートリッジ10300’内のカムアセンブリが、ステープルカートリッジが部分的に又は完全に発射されていることを示し得る発射準備完了位置又は開始位置から遠位に前進した後の、左摩擦発生ばね40230’’の位置を示す。いずれの場合も、図72に示される外科用ステープルカートリッジ10300’は、もはや未使用の外科用ステープルカートリッジではない。図72に見られるように、外科用エンドエフェクタ内の「使用済み」外科用ステープルカートリッジ10300’は、発射準備完了位置又は開始位置においてカムアセンブリを欠いているので、右摩擦発生ばね40220’’及び左摩擦発生ばね40230’’は、ロック位置にある(例えば、右保持タブ部分40224’’は、発射部材本体40112上の右ロックラグ40114と直面整列しており、左保持タブ部分40234’’は、発射部材本体40112上の左ロックラグ40116と直面整列している)。保持タブ部分40224’’、40234’’がロック位置にあるときに臨床医が発射しようとする(発射部材40110を中間閉鎖位置から遠位方向に前進させる)場合、右ロックラグ40114は右保持タブ部分40224’’に接触し、左ロックラグ40116は左保持タブ部分40234’’に接触し、発射部材40110が受ける摩擦抵抗の量が増加する。したがって、そのような追加の摩擦抵抗を克服するために発射駆動モータ40320によって生成される必要がある駆動力の量も増加させなければならず、発射駆動モータ40320が増加した量の発射電流IFを引き出すことも必要とし得る。モータ制御システム40330は、発射電流が、上述の方法で未使用のステープルカートリッジが外科用エンドエフェクタ内に適切に着座していないときに発射部材ロックアウトシステムによって発射部材40110に加えられた摩擦抵抗の増加を示す所定の大きさを超えたときに、発射駆動モータ40320の作動を中断するように構成され得る。発射部材又はそれと動作可能に連係する駆動構成要素に加えている駆動力の量をセンサで検出するために採用される、他の装置が考慮される。例えば、これらの力及び負荷を検出するために、発射部材及び/又は駆動構成要素に歪みゲージが適用されてもよい。制御システムは、これらの負荷を監視し、それらを未使用の外科用ステープルカートリッジを通して発射部材の作動中に通常遭遇する負荷と比較する。制御システムがそのような負荷におけるスパイクを検出する場合、発射駆動モータ又は他の駆動機構は、制御システムによって停止されるであろう。
【0131】
上述の発射部材ロックアウトシステムは、未使用のステープルカートリッジが外科用エンドエフェクタ内に動作可能に着座されない限り、中間閉鎖位置からの発射部材の遠位移動を防止するように構成されている。そのような実施形態では、発射部材は、アンビルが枢動することを可能にする開始位置から、又は別様に開放位置から中間閉鎖位置へ、選択的に移動可能である。発射部材が開始位置から遠位に前進させられると、様々な実施形態において、発射部材は、アンビルに閉鎖運動を加えて、アンビルを閉鎖位置に移動させる。発射部材が中間閉鎖位置まで遠位に移動されたとき、アンビルは閉鎖位置まで移動されている。このような装置では、外科用エンドエフェクタが、開始位置と中間閉鎖位置との間で発射部材を移動させることによって、組織を切断及びステープル留めすることなく、組織を把持及び位置決めするための把持器具として使用されることを可能にする。様々な実施形態において、アンビルは、標的組織が外科用ステープルカートリッジ内の最近位ステープルを越えて近位に侵入することを防止するために、組織停止部を備えて構成されてもよい。発射部材が中間閉鎖位置にあるとき、発射部材は、組織及び外科用ステープルカートリッジ内の最近位ステープルの近位にあり、発射部材は、組織を切断してステープルを発射することができない。発射部材は、組織を切断し、ステープルを発射するために、中間閉鎖位置から遠位に前進されなければならない。しかしながら、独立して作動可能な閉鎖部材(複数可)が、閉鎖運動をアンビルに適用するために使用される他の構成が考慮される。このような装置では、開始位置から発射部材を移動させることなく、開放位置と閉鎖位置との間のアンビルの移動を容易にする。このような用途では、発射部材は、例えば、発射部材が中間閉鎖位置ではなく開始位置から遠位に前進させられるときに、組織を切断し、ステープルを発射するように位置付けられてもよい。このような用途では、本明細書に開示される発射ロックアウトシステムは、未使用のステープルカートリッジが外科用エンドエフェクタ内に動作可能に着座されない限り、開始位置からの発射部材の遠位移動を防止するように構成される。
【0132】
実施例1ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材とを備え、軸方向に移動可能なカム部材は、ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されると、外科用ステープルをステープルカートリッジから射出するように構成されている、外科用器具。外科用器具は、内部にステープルカートリッジを動作可能に支持するように構成された第1のジョーと、第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第2のジョーと、を備える外科用エンドエフェクタを備える。外科用器具は、外科用エンドエフェクタ内の開始位置と外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された、軸方向に移動可能な発射部材を更に備える。第1の可撓性駆動部材は、軸方向に移動可能な発射部材の第1の部分と動作可能に連係して、第1の軸方向駆動運動をそれに適用し、第2の可撓性駆動部材は、軸方向に移動可能な発射部材の第2の部分と動作可能に連係して、第2の軸方向駆動運動をそれに適用する。発射部材ロックは、外科用エンドエフェクタ内に支持され、ステープルカートリッジ内の軸方向に移動可能なカム部材が発射部材ロックと係合して開始位置にない限り、発射部材が開始位置から終了位置へ遠位に移動することを防止するように構成される。
【0133】
実施例2軸方向に移動可能な発射部材は、軸方向に移動可能な発射部材が開始位置から中間閉鎖位置に遠位方向に移動されるとき、第2のジョーを開放位置から閉鎖位置に移動させるように構成され、発射部材ロックは、軸方向に移動可能なカム部材が発射部材ロックと係合して開始位置にない限り、軸方向に移動可能な発射部材が中間閉鎖位置から終了位置に遠位方向に移動することを防止するように構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0134】
実施例3発射部材ロックが、第1のジョー内に移動可能に支持されたロック部材を備える、実施例1又は実施例2に記載の外科用器具。ロック部材は、ロック部材が軸方向に移動可能な発射部材の中間閉鎖位置から遠位方向への移動を阻止するロック位置と、軸方向に移動可能な発射部材が中間閉鎖位置から終了位置まで遠位方向に移動可能であるロック解除位置との間で移動可能である。付勢装置は、ロック部材をロック位置へと付勢するように構成されている。
【0135】
実施例4第1のジョーが第1のジョー軸を画定し、付勢装置が、第1のジョー軸の第1の側部上に位置する第1のロックばねと、第1のジョー軸の第2の側部上に位置する第2のロックばねとを備える、実施例3に記載の外科用器具。
【0136】
実施例5軸方向に移動可能な発射部材が、第1の本体側部及び第2の本体側部を備える発射部材本体を備える、実施例1、実施例2、実施例3、又は実施例4に記載の外科用器具。第1の発射部材下部タブは、第1の横方向本体側部から突出し、第2の発射部材下部タブは、第2の横方向本体側部から突出する。ロック部材は、発射部材がロック解除位置にあるときに第1の発射部材下部タブが内部を通過することを可能にするように構成された第1の横方向チャネル部分を備える。第2の横方向チャネル部分は、発射部材がロック解除位置にあるときに、第2の発射部材下部タブが内部を通過することを可能にするように構成される。
【0137】
実施例6第1の可撓性駆動部材が、軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係して、上部軸方向駆動運動をそれに適用し、第2の可撓性駆動部材が、軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、下部軸方向駆動運動をそれに適用する、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、又は実施例5に記載の外科用器具。
【0138】
実施例7発射部材ロックが、外科用エンドエフェクタ内で支持される摩擦発生ばね装置を備える、実施例1に記載の外科用器具。摩擦発生ばね装置は、摩擦発生ばね装置が軸方向に移動可能な発射部材の一部と直面整列するロック位置と、摩擦発生ばね装置が軸方向に移動可能な発射部材の一部と直面整列しないロック解除位置との間で移動可能である。開始位置にある軸方向に移動可能なカム部材は、摩擦発生ばね装置をロック解除位置に移動させるように構成される。
【0139】
実施例8軸方向に移動可能な発射部材が、第1の横方向本体側部及び第2の横方向本体側部を備える発射部材本体を備える、実施例7に記載の外科用器具。発射部材の第1の横方向タブは、第1の横方向本体側部から突出し、発射部材の第2の横方向タブは、第2の横方向本体側部から突出する。摩擦発生ばね装置は、摩擦発生ばね装置がロック位置にあるときに発射部材の第1の横方向タブに係合するように構成された第1の保持タブを含む。第2の保持タブは、摩擦発生ばね装置がロック位置にあるとき、発射部材の第2の横方向タブに係合するように構成される。
【0140】
実施例9開始位置と終了位置との間で軸方向に移動可能な発射部材を駆動するために、第1の軸方向駆動運動を第1の可撓性駆動部材に適用し、第2の軸方向駆動運動を第2の可撓性駆動部材に適用するように、第1の可撓性駆動部材及び第2の可撓性駆動部材と動作可能に連係する発射駆動モータを更に備える、実施例7又は実施例8に記載の外科用器具。制御回路は、発射駆動モータと動作可能に連係し、発射駆動モータによって引き込まれる電流の量が所定の量を超えると、発射駆動モータを停止させるように構成される。
【0141】
実施例10摩擦発生ばね機構がロック位置にあるとき、発射駆動モータによって引き込まれる電流の量が所定量を超える、実施例9に記載の外科用器具。
【0142】
実施例11ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材とを備え、軸方向に移動可能なカム部材は、ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されると、外科用ステープルをステープルカートリッジから射出するように構成されている、外科用器具。外科用器具は、内部にステープルカートリッジを動作可能に支持する第1のジョーと、第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第2のジョーとを備える外科用エンドエフェクタを備える。外科用器具は、外科用エンドエフェクタ内の開始位置と外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された軸方向に移動可能な発射部材を更に備える。電気駆動装置は、軸方向に移動可能な発射部材と動作可能に連係して、それに軸方向駆動運動を適用する。コントローラは、電気駆動装置と動作可能に連係し、軸方向に移動可能な発射部材を開始位置から終了位置まで駆動するために必要とされる電気駆動装置によって引き込まれる電流の量を監視するように構成される。コントローラは、電流の量が所定の閾値を超えたとき、電気駆動装置が、軸方向に移動可能な発射部材に軸方向駆動運動を加えることを中断させるように更に構成されている。発射部材ロック装置は、外科用エンドエフェクタ内に動作可能に支持され、発射部材ロック装置が軸方向に移動可能な発射部材に所定の量の摩擦抵抗を加えて、電気駆動装置によって引き込まれる電流の量が所定の閾値を超えるロック位置と、発射部材ロック装置が軸方向に移動可能な発射部材への摩擦抵抗の印加を中断するロック解除位置との間で移動するように構成される。発射部材ロック装置は、ステープルカートリッジ内の軸方向に移動可能なカム部材が開始位置にない限り、ロック位置に付勢される。
【0143】
実施例12発射部材ロック装置が、第1のジョーに移動可能に支持されたロック部材を含む、実施例11に記載の外科用器具。ロック部材は、ロック部材が軸方向に移動可能な発射部材の対応する部分に摩擦接触するロック位置と、ロック解除位置との間で移動可能である。付勢装置は、ロック部材をロック位置へと付勢するように構成されている。
【0144】
実施例13ロック部材は、軸方向に移動可能なカム部材が開始位置にあるとき、ステープルカートリッジ内の軸方向に移動可能なカム部材によってロック位置からロック解除位置に移動されるように構成されている、実施例12に記載の外科用器具。
【0145】
実施例14軸方向に移動可能な発射部材が発射部材本体を備え、軸方向に移動可能な発射部材の対応する部分が発射部材本体の第1の側部上にある、実施例12又は実施例13に記載の外科用器具。発射部材ロック装置は、第1のジョー内に移動可能に支持され、別のロック部材が軸方向に移動可能な発射部材の第2の側部上の別の対応する部分に摩擦接触する別のロック位置と別のロック解除位置との間で移動可能である別のロック部材を更に備える。別の付勢装置は、別のロック部材を別のロック位置に付勢するように構成される。
【0146】
実施例15軸方向に移動可能なカム部材が開始位置にあるとき、ステープルカートリッジ内の軸方向に移動可能なカム部材によって、ロック部材がロック位置からロック解除位置に移動されるように構成され、別のロック部材が別のロック位置から別のロック解除位置に移動されるように構成されている、実施例14に記載の外科用器具。
【0147】
実施例16軸方向に移動可能な発射部材が第1のロックタブ及び第2のロックタブを含む、実施例14又は実施例15に記載の外科用器具。ロック部材は、ロック部材がロック位置にあるときに第1のロックタブに係合するように構成され、別のロック部材は、別のロック部材が別のロック位置にあるときに第2のロックタブに係合するように構成される。
【0148】
実施例17電気駆動装置及び軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係して、上部軸方向駆動運動をそこに適用する上部可撓性駆動部材を更に備える、実施例11、実施例12、実施例13、実施例14、実施例15、又は実施例16に記載の外科用器具。下部可撓性駆動部材は、電気駆動装置及び軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、下部軸方向駆動運動をそれに適用する。
【0149】
実施例18上部可撓性駆動部材が、軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係する上部中空コイル部材を備える、実施例17に記載の外科用器具。上部ケーブル配列は、上部中空コイル部材を通って延在し、軸方向に移動可能な発射部材の上部に取り付けられる。下部中空コイル部材は、軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係する。下部ケーブル配列は、下部中空コイル部材を通って延び、軸方向に移動可能な発射部材の下部に取り付けられる。
【0150】
実施例19ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材とを備え、軸方向に移動可能なカム部材は、ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されると、外科用ステープルをステープルカートリッジから射出するように構成されている、外科用器具。外科用器具は、内部にステープルカートリッジを動作可能に支持する第1のジョーを備える、外科用エンドエフェクタを備える。第2のジョーは、第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である。外科用器具は、外科用エンドエフェクタ内の開始位置と外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された軸方向に移動可能な発射部材を更に備える。上部可撓性駆動部材は、軸方向に移動可能な発射部材の上部部分と動作可能に連係して、それに軸方向駆動運動を適用する。下部可撓性駆動部材は、軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、他の軸方向駆動運動をそれに適用する。外科用器具は、ステープルカートリッジ内の軸方向に移動可能なカム部材が開始位置にない限り、軸方向に移動可能な発射部材が開始位置から終了位置に移動することを防止するための手段を更に備える。
【0151】
実施例20軸方向に移動可能な発射部材が開始位置から中間閉鎖位置に遠位に移動されるときに、第2のジョーを開放位置から閉鎖位置に移動させるように構成され、防止するための手段は、ステープルカートリッジ内の軸方向に移動可能カム部材が開始位置にない限り、軸方向に移動可能な発射部材が中間閉鎖位置から終了位置に遠位に移動することを防止するように構成されている、実施例19に記載の外科用器具。
【0152】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路及び/又は通信デバイス(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ形式若しくはデジタル形式、又はこれらのいくつかの組み合わせで実装されてもよいことを認識するであろう。
【0153】
いくつかの形態が示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多くの修正、変形、変更、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって実施される機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変更、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0154】
1つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0155】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0156】
加えて、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、若しくは2つ又はそれ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ又はそれ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0157】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、示されたもの以外の順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する(responsive to)」、「~に関連する(related to)」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0158】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の特徴部、構造又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0159】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載のその他の開示内容と矛盾するあらゆる内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0160】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例とともに、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用することを可能にするようにするために、選択及び記載されたものである。本明細書とともに提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0161】
本明細書に記載される外科用器具システムは、ステープルの配置及び変形に関連して説明されてきたが、本明細書に記載されている実施形態は、そのように限定されない。例えば、クランプ又はタックなど、ステープル以外の締結具を配置する様々な実施形態が想到される。更に、組織を封止するための任意の好適な手段を利用する、様々な実施形態も想到される。例えば、様々な実施形態によるエンドエフェクタは、組織を加熱して封止するよう構成されている電極を備えることができる。同様に、例えば、特定の実施形態によるエンドエフェクタは、組織を封止するために振動エネルギーを印加することができる。
【0162】
本明細書で説明する外科用器具システムの多くは、電動モータによって駆動される。しかしながら、本明細書に説明された外科用器具システムは、任意の好適な様式で駆動されることができる。様々な事例において、本明細書で説明した外科用器具システムは、例えば、手動操作トリガにより駆動されることができる。ある種の例では、本明細書において開示されているモータは、ロボット制御式システムの1つ又は複数の部分を備えてもよい。更に、本明細書に開示されるエンドエフェクタ及び/又は工具アセンブリのいずれもロボット外科用器具システムとともに利用することができる。例えば、米国特許出願第13/118,241号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」(米国特許第9,072,535号)は、ロボット外科用器具システムのいくつかの例をより詳細に開示している。
【0163】
以下の開示の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1995年4月4日に発行された米国特許第5,403,312号、発明の名称「ELECTROSURGICAL HEMOSTATIC DEVICE」、
2006年2月21日に発行された米国特許第7,000,818号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS」、
2008年9月9日に発行された米国特許第7,422,139号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH TACTILE POSITION FEEDBACK」、
2008年12月16日に発行された米国特許第7,464,849号、発明の名称「ELECTRO-MECHANICAL SURGICAL INSTRUMENT WITH CLOSURE SYSTEM AND ANVIL ALIGNMENT COMPONENTS」、
2010年3月2日に発行された米国特許第7,670,334号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING AN ARTICULATING END EFFECTOR」、
2010年7月13日に発行された米国特許第7,753,245号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS」、
2013年3月12日に発行された米国特許第8,393,514号、発明の名称「SELECTIVELY ORIENTABLE IMPLANTABLE FASTENER CARTRIDGE」、
米国特許出願第11/343,803号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」、現在は米国特許第7,845,537号、
2008年2月14日に出願された米国特許出願第12/031,573号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT HAVING RF ELECTRODES」、
2008年2月15日に出願された米国特許出願第12/031,873号、発明の名称「END EFFECTORS FOR A SURGICAL CUTTING AND STAPLING INSTRUMENT」、現在は米国特許第7,980,443号、
米国特許出願第12/235,782号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」、現在は米国特許第8,210,411号、
米国特許出願第12/235,972号、発明の名称「MOTORIZED SURGICAL INSTRUMENT」、現在は、米国特許第9,050,083号、
米国特許出願第12/249,117号、発明の名称「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」、現在は米国特許第8,608,045号、
2009年12月24日に出願された米国特許出願第12/647,100号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT WITH ELECTRIC ACTUATOR DIRECTIONAL CONTROL ASSEMBLY」、現在は米国特許第8,220,688号、
2012年9月29日に出願され、現在は米国特許第8,733,613号である、米国特許出願第12/893,461号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE」、
2011年2月28日に出願され、現在は米国特許第8,561,870号である、米国特許出願第13/036,647号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT」、
米国特許出願第13/118,241号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、現在は米国特許第9,072,535号、
2012年6月15日に出願された米国特許出願第13/524,049号、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A FIRING DRIVE」、現在は米国特許第9,101,358号、
2013年3月13日に出願された米国特許出願第13/800,025号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」、現在は米国特許第9,345,481号、
2013年3月13日出願の米国特許出願第13/800,067号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」(現在は、米国特許出願公開第2014/0263552号)、
2006年1月31日に出願された米国特許出願公開第2007/0175955号、発明の名称「SURGICAL CUTTING AND FASTENING INSTRUMENT WITH CLOSURE TRIGGER LOCKING MECHANISM」、及び、
2010年4月22日に出願された米国特許出願公開第2010/0264194号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENT WITH AN ARTICULATABLE END EFFECTOR」、現在は米国特許第8,308,040号。
【0164】
特定の実施形態とともに本明細書で様々なデバイスについて説明したが、それらの実施形態に対して修正及び変更が実施されてもよい。特定の特徴、構造又は特性を、1つ以上の実施形態で、任意の好適な様式で組み合わせてもよい。したがって、一実施形態に関して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、無制限に1つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と全て、あるいは、部分的に組み合わせてもよい。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。更に、様々な実施形態に従って、所与の機能を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素に置き換えてもよく、また複数の構成要素を単一の構成要素に置き換えてもよい。以上の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのような修正及び変形形態を全て包含することが意図される。
【0165】
本明細書に開示されるデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整には、デバイスの分解工程、それに続くデバイスの特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後のデバイスの再組立工程の任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、再調整の施設及び/又は外科チームは、デバイスを分解することができ、デバイスの特定の部品を洗浄及び/又は交換した後、デバイスをその後の使用のために再組立することができる。当業者であれば、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0166】
本明細書に開示のデバイスは、手術前に処理され得る。最初に、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。次いで、器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、ガンマ線、x線、及び/又は高エネルギー電子などの、容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次いで、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、医療施設で開封されるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。デバイスはまた、ベータ線、ガンマ線、エチレンオキシド、過酸化水素プラズマ、及び/又は水蒸気が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌され得る。
【0167】
代表的な設計を有するものとして本発明について記載してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般的な原理を使用して本発明の任意の変形、使用、又は適合を網羅することを意図している。
【0168】
〔実施の態様〕
(1) ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、前記ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材であって、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されるときに前記外科用ステープルを前記ステープルカートリッジから射出するように構成された、軸方向に移動可能なカム部材と、を備え、前記外科用器具は、
外科用エンドエフェクタを備え、前記外科用エンドエフェクタは、
前記ステープルカートリッジを中に動作可能に支持するように構成されている第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第2のジョーと、を備え、前記外科用器具は、
前記外科用エンドエフェクタ内の開始位置と前記外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された軸方向に移動可能な発射部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の第1の部分と動作可能に連係して、第1の軸方向駆動運動をそれに適用する、第1の可撓性駆動部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の第2の部分と動作可能に連係して、第2の軸方向駆動運動をそれに適用する、第2の可撓性駆動部材と、
前記外科用エンドエフェクタ内に支持された発射部材ロックであって、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材が前記発射部材ロックと係合して前記開始位置にない限り、前記発射部材が前記開始位置から前記終了位置へ遠位に移動することを防止するように構成されている、発射部材ロックと、を更に備える、外科用器具。
(2) 前記軸方向に移動可能な発射部材は、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記開始位置から中間閉鎖位置に遠位方向に移動されるとき、前記第2のジョーを前記開放位置から前記閉鎖位置に移動させるように構成され、前記発射部材ロックは、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記発射部材ロックと係合して前記開始位置にない限り、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記中間閉鎖位置から前記終了位置に遠位方向に移動することを防止するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記発射部材ロックは、
前記第1のジョー内に移動可能に支持されたロック部材であって、前記ロック部材が前記軸方向に移動可能な発射部材の前記中間閉鎖位置から遠位方向への移動を阻止するロック位置と、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記中間閉鎖位置から前記終了位置まで遠位方向に移動可能であるロック解除位置との間で移動可能である、ロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック位置へと付勢するように構成されている付勢装置(biaser arrangement)と、を含む、実施態様1又は実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記第1のジョーが第1のジョー軸を画定し、前記付勢装置は、
前記第1のジョー軸の第1の側部上に位置する第1のロックばねと、
前記第1のジョー軸の第2の側部上に位置する第2のロックばねと、を含む、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記軸方向に移動可能な発射部材は、
第1の横方向本体側部及び第2の横方向本体側部を含む発射部材本体と、
前記第1の横方向本体側部から突出する第1の発射部材下部タブと、
前記第2の横方向本体側部から突出する第2の発射部材下部タブと、を備え、前記ロック部材は、
前記発射部材が前記ロック解除位置にあるときに、前記第1の発射部材下部タブが内部を通過することを可能にするように構成された第1の横方向チャネル部分と、
前記発射部材が前記ロック解除位置にあるときに、前記第2の発射部材下部タブが内部を通過することを可能にするように構成された第2の横方向チャネル部分と、を含む、実施態様3に記載の外科用器具。
【0169】
(6) 前記第1の可撓性駆動部材が、前記軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係して、上部軸方向駆動運動をそれに適用し、前記第2の可撓性駆動部材が、前記軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、下部軸方向駆動運動をそれに適用する、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 前記発射部材ロックは、前記外科用エンドエフェクタ内に支持された摩擦発生ばね装置を備え、前記摩擦発生ばね装置は、前記摩擦発生ばね装置が前記軸方向に移動可能な発射部材の一部と直面整列しているロック位置と、前記摩擦発生ばね装置が前記軸方向に移動可能な発射部材の前記一部と直面整列していないロック解除位置との間で移動可能であり、前記開始位置にある前記軸方向に移動可能なカム部材は、前記摩擦発生ばね装置を前記ロック解除位置に移動させるように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 前記軸方向に移動可能な発射部材は、
第1の横方向本体側部及び第2の横方向本体側部を含む発射部材本体と、
前記第1の横方向本体側部から突出する発射部材の第1の横方向タブと、
前記第2の横方向本体側部から突出する発射部材の第2の横方向タブと、を備え、前記摩擦発生ばね装置は、
前記摩擦発生ばね装置が前記ロック位置にあるときに前記発射部材の第1の横方向タブに係合するように構成された第1の保持タブと、
前記摩擦発生ばね装置が前記ロック位置にあるときに前記発射部材の第2の横方向タブに係合するように構成された第2の保持タブと、を備える、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 前記第1の可撓性駆動部材及び前記第2の可撓性駆動部材と動作可能に連係して、第1の軸方向駆動運動を前記第1の可撓性駆動部材に適用し、第2の軸方向駆動運動を前記第2の可撓性駆動部材に適用して、前記軸方向に移動可能な発射部材を前記開始位置と前記終了位置との間で駆動する発射駆動モータと、
前記発射駆動モータと動作可能に連係する制御回路であって、前記発射駆動モータによって引き込まれる電流の量が所定の量を超えるとき、前記発射駆動モータを停止させるように構成されている、制御回路と、を更に備える、実施態様7又は実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記摩擦発生ばね装置が前記ロック位置にあるとき、前記発射駆動モータによって引き込まれる前記電流の量が前記所定の量を超える、実施態様9に記載の外科用器具。
【0170】
(11) ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、前記ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材であって、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されるときに前記外科用ステープルを前記ステープルカートリッジから射出するように構成された、軸方向に移動可能なカム部材と、を備え、前記外科用器具は、
外科用エンドエフェクタを備え、前記外科用エンドエフェクタは、
前記ステープルカートリッジを中に動作可能に支持している第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第2のジョーと、を備え、前記外科用器具は、
前記外科用エンドエフェクタ内の開始位置と前記外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された軸方向に移動可能な発射部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材と動作可能に連係して、それに軸方向駆動運動を適用する電気駆動装置と、
前記電気駆動装置と動作可能に連係するコントローラであって、前記コントローラは、前記軸方向に移動可能な発射部材を前記開始位置から前記終了位置まで駆動するために前記電気駆動装置によって引き込まれる電流の量を監視するように構成され、前記コントローラは、前記電流の量が所定の閾値を超えたときに、前記電気駆動装置に前記軸方向に移動可能な発射部材への前記軸方向駆動運動の適用を中断させるように更に構成されている、コントローラと、
前記外科用エンドエフェクタ内に動作可能に支持された発射部材ロック装置であって、前記発射部材ロック装置が前記軸方向に移動可能な発射部材にある量の摩擦抵抗を加えて、前記電気駆動装置によって引き込まれる前記電流の量が前記所定の閾値を超えるロック位置と、前記発射部材ロック装置が前記軸方向に移動可能な発射部材への前記摩擦抵抗の印加を中断するロック解除位置との間で移動するように構成され、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にない限り、前記発射部材ロック装置が前記ロック位置に付勢される、発射部材ロック装置と、を更に備える、外科用器具。
(12) 前記発射部材ロック装置は、
前記第1のジョー内に移動可能に支持されたロック部材であって、前記ロック部材が前記軸方向に移動可能な発射部材の対応する部分に摩擦接触する前記ロック位置と前記ロック解除位置との間で移動可能である、ロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック位置へと付勢するように構成されている付勢装置と、を含む、実施態様11に記載の外科用器具。
(13) 前記ロック部材は、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にあるときに、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材によって前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動されるように構成されている、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記軸方向に移動可能な発射部材は、発射部材本体を備え、前記軸方向に移動可能な発射部材の前記対応する部分は、前記発射部材本体の第1の側部上にあり、前記発射部材ロック装置は、
前記第1のジョー内に移動可能に支持された別のロック部材であって、前記別のロック部材が前記軸方向に移動可能な発射部材の第2の側部上の別の対応する部分に摩擦接触する別のロック位置と別のロック解除位置との間で移動可能である、別のロック部材と、
前記別のロック部材を前記別のロック位置に付勢するように構成されている、別の付勢装置と、を更に含む、実施態様12又は実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記ロック部材は、前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動されるように構成され、前記別のロック部材は、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にあるとき、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材によって前記別のロック位置から前記別のロック解除位置に移動されるように構成されている、実施態様14に記載の外科用器具。
【0171】
(16) 前記軸方向に移動可能な発射部材は、第1のロックタブ及び第2のロックタブを備え、前記ロック部材は、前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記第1のロックタブに係合するように構成され、前記別のロック部材は、前記別のロック部材が前記別のロック位置にあるときに前記第2のロックタブに係合するように構成されている、実施態様14に記載の外科用器具。
(17) 前記電気駆動装置及び前記軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係して、上部軸方向駆動運動をそれに適用する上部可撓性駆動部材と、
前記電気駆動装置及び前記軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、下部軸方向駆動運動をそれに適用する下部可撓性駆動部材と、を更に備える、実施態様11に記載の外科用器具。
(18) 前記上部可撓性駆動部材は、
前記軸方向に移動可能な発射部材の前記上部と動作可能に連係する上部中空コイル部材と、
前記上部中空コイル部材を通って延在し、前記軸方向に移動可能な発射部材の前記上部に取り付けられた上部ケーブル配列と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の前記下部と動作可能に連係する下部中空コイル部材と、
前記下部中空コイル部材を通って延在し、前記軸方向に移動可能な発射部材の前記下部に取り付けられた下部ケーブル配列と、を備える、実施態様17に記載の外科用器具。
(19) ステープルカートリッジと関連して使用するように構成された外科用器具であって、前記ステープルカートリッジは、内部に格納された複数の外科用ステープルと、軸方向に移動可能なカム部材であって、前記軸方向に移動可能なカム部材が前記ステープルカートリッジ内で開始位置から完全に発射された位置に移動されるときに前記外科用ステープルを前記ステープルカートリッジから射出するように構成された、軸方向に移動可能なカム部材と、を備え、前記外科用器具は、
外科用エンドエフェクタを備え、前記外科用エンドエフェクタは、
前記ステープルカートリッジを中に動作可能に支持している第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第2のジョーと、を備え、前記外科用器具は、
前記外科用エンドエフェクタ内の開始位置と前記外科用エンドエフェクタ内の終了位置との間で移動するように構成された軸方向に移動可能な発射部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の上部と動作可能に連係して、軸方向駆動運動をそれに適用する、上部可撓性駆動部材と、
前記軸方向に移動可能な発射部材の下部と動作可能に連係して、他の軸方向駆動運動をそれに適用する、下部可撓性駆動部材と、
前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にない限り、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記開始位置から前記終了位置に移動することを防止するための手段と、を更に備える、外科用器具。
(20) 前記軸方向に移動可能な発射部材は、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記開始位置から中間閉鎖位置まで遠位に移動されるとき、前記第2のジョーを前記開放位置から前記閉鎖位置まで移動させるように構成され、前記防止するための手段は、前記ステープルカートリッジ内の前記軸方向に移動可能なカム部材が前記開始位置にない限り、前記軸方向に移動可能な発射部材が前記中間閉鎖位置から前記終了位置まで遠位に移動することを防止するように構成されている、実施態様19に記載の外科用器具。
図1
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図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図43A
図43B
図43C
図43D
図43E
図43F
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
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図69
図70
図71
図72
【国際調査報告】