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特表2024-539166底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル及びその設計方法
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  • 特表-底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル及びその設計方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル及びその設計方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 9/02 20060101AFI20241018BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20241018BHJP
   E02D 29/09 20060101ALI20241018BHJP
   F03D 13/20 20160101ALI20241018BHJP
【FI】
E02D9/02
E02D27/52 A
E02D29/09
F03D13/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523706
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2022081711
(87)【国際公開番号】W WO2023087585
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111384100.5
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 建
(72)【発明者】
【氏名】曹 秀清
(72)【発明者】
【氏名】展 銘
(72)【発明者】
【氏名】狄 陳陽
(72)【発明者】
【氏名】李 永勝
(72)【発明者】
【氏名】蒋 蘇豫
(72)【発明者】
【氏名】唐 文献
【テーマコード(参考)】
2D046
2D050
3H178
【Fターム(参考)】
2D046DA62
2D050DB00
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
本発明は、底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルを開示し、ノズル保護カバーは杭底板の一方の側面に接続され、両者間に1つのチャンバが構成され、ノズルブッシュの外周面には複数の浸漬キャビテーションノズルが間隔をあけて均等に取り付けられ、その構成全体がチャンバ内に配置されて、ノズル保護カバーの内壁に固定され、高圧杭洗掘水管は杭底板の他方の側面からノズルブッシュの内輪に連通するまで挿入され、低圧杭洗掘水管は高圧杭洗掘水管の対向する両側に間隔をあけてそれぞれ1つ設けられ、杭底板の他方の側面からノズルブッシュとノズル保護カバーとの間の低圧水槽に連通するまで挿入され、浸漬キャビテーションノズルはインナーノズル、及びアウターノズルを含む。その設計方法をさらに開示する。本発明は、消防用水や圧縮空気のジェットに依存しなくなり、該機器は杭洗掘用の媒体を制限せず、現場の海水を使用して杭を洗掘することができ、杭洗掘コストを大幅に削減し、より優れた杭洗掘効果を実現することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルであって、杭底板(1)、低圧杭洗掘水管(2)、高圧杭洗掘水管(3)、浸漬キャビテーションノズル(4)、ノズルブッシュ(5)、及びノズル保護カバー(6)を含み、ノズル保護カバー(6)は杭底板(1)の一方の側面に接続され、両者間に1つのチャンバが構成され、ノズルブッシュ(5)の外周面には複数の浸漬キャビテーションノズル(4)が間隔をあけて均等に取り付けられ、その構成全体がチャンバ内に配置されて、ノズル保護カバー(6)の内壁に固定され、高圧杭洗掘水管(3)は杭底板(1)の他方の側面からノズルブッシュ(5)の内輪に連通するまで挿入され、低圧杭洗掘水管(2)は高圧杭洗掘水管(3)の対向する両側に間隔をあけてそれぞれ1つ設けられ、杭底板(1)の他方の側面からノズルブッシュ(5)とノズル保護カバー(7)との間の低圧水槽(8)に連通するまで挿入され、浸漬キャビテーションノズル(4)はインナーノズル(41)、及びアウターノズル(42)を含むことを特徴とする底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項2】
インナーノズル(41)の一端は凸状であり、アウターノズル(42)の一端は凹状であり、インナーノズル(41)とアウターノズル(42)が螺合されることで、浸漬キャビテーションノズル(4)を柱状構造にし、両者の凸部と凹部が間隔をあけて対向していることで、浸漬キャビテーションノズル(4)の内部に合流槽を形成し、インナーノズル(41)の一端はノズルブッシュ(5)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項3】
アウターノズル(42)の外周壁には少なくとも2つの流通孔が間隔をあけて設けられ、流通孔は低圧水槽(8)と合流槽とを連通させることを特徴とする請求項2に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項4】
インナーノズル(41)の中央部には貫通する高圧水通路が設けられ、アウターノズル(42)の中央部には貫通する合流通路が設けられ、高圧水通路は合流通路と同軸に連通することを特徴とする請求項2に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項5】
ノズル保護カバー(6)の外周面には複数の浸漬キャビテーションノズル(4)に1対1で対応する水噴出口が設けられ、高圧水通路はノズルブッシュ(5)の内輪と合流槽とを連通させ、合流通路は合流槽と水噴出口とを連通させることを特徴とする請求項4に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項6】
水噴出口はテーパー状の貫通孔であることを特徴とする請求項5に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項7】
浸漬キャビテーションノズル(4)の一端の外周面には雄ねじが設けられ、ノズルブッシュ(5)の周壁にはねじ孔が対応して設けられ、浸漬キャビテーションノズル(4)はノズルブッシュ(5)に螺合されることを特徴とする請求項1に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項8】
ノズルブッシュ(5)の外形は正八角形であり、各側面の中央部に1つの浸漬キャビテーションノズル(4)が取り付けられ、ノズル保護カバー(6)の内部にはノズルブッシュ(5)の構造にマッチングする正八角形の内壁が設けられ、正八角形の内壁の下縁は凸状のフランジであり、正八角形の内壁の高さはノズルブッシュ(5)の高さに等しいことで、ノズルブッシュ(5)を杭底板(1)とノズル保護カバー(6)との間に押し締めることを特徴とする請求項1に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項9】
(1)アウターノズルの凹面断面をEとして定義し、Eは2つの軸対称な楕円曲線部分からなり、インナーノズルの凸面断面をEとして定義し、Eは同一楕円曲線の異なる楕円弧セグメントを組み合わせてなり、アウターノズルの出水口の内壁断面をRとして定義し、Rは同様に軸対称な円弧からなるステップと、
(2)断面E、E、Rの曲線の設計及び計算のステップと、を含み、
ステップ(2)は、
アウターノズルの長さをL、インナーノズルの楕円弧セグメントの長さをL、アウターノズルの円弧セグメントの出口の直径をd、アウターノズルの楕円弧セグメントの出口の直径をd、アウターノズルの低圧水入口の直径をd、アウターノズルの入口の直径をd、インナーノズルの入口の直径をd、円弧セグメントの出口の長さをt、インナーノズルとアウターノズルとの螺合部の長さをtとするステップ1と、
アウターノズルの出口の円弧セグメントRの計算について、
曲線半径の関係式は、
【数28】
上半円弧の計算式は、
【数29】
下半円弧の計算式は
【数30】
であるステップ2と、
インナーノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントEの計算について、式は
【数31】
であるステップ3と、
アウターノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントEの計算について、上半楕円弧セグメントは、傾斜角度θの楕円弧セグメントからなり、式は、
【数32】
であり、
上半楕円弧セグメントの計算について、式は、
【数33】
であり、
楕円弧が点
【数34】
を通過するため、
【数35】
であり、
ここで、
【数36】
であり、
同様に、下半楕円弧セグメントの計算方法は、
【数37】
であり、
楕円弧が点
【数38】
を通過するため、
【数39】
であり、
ここで、
【数40】
であるステップ4と、を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋工学の技術分野に関し、特に、底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル及びその設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国内外で再生可能エネルギーへの関心が高まる中、洋上風力発電プロジェクトがますます増加しており、高度な底部支持型設置プラットフォームの関連技術の需要もますます高まっている。設置プラットフォームは頻繁な杭抜き及び移動作業を必要とするため、ここで、ジェットシステムで杭の底部を洗掘することで杭の底部の粘土の土壌抵抗及び吸着力を破壊する必要があり、それによって設置プラットフォームの杭抜きをより容易にすることができる。しかしながら、ジェットシステムで使用される一般的なノズルは、杭脚部を洗掘するには大きな供給圧力を必要とするが、この洗掘効果は一般的であり、供給圧力の需要は比較的大きい。又は、圧縮空気を使用して杭シューの上下面の土を洗い落とし、杭シューの底部の真空層を充填し、杭シューの上部及び杭脚部の周囲の土の吸着力をなくし、洗掘効果は理想的であるが、圧縮空気のコストは高い。
【0003】
流体力学におけるベルヌーイ方程式によれば、流れる液体では、液体のある点の圧力がここでの飽和蒸気圧よりも低くなると、もともと液体に溶解した空気が析出されるとともに、液体自体が気化し、液体中に多数の気泡が発生する。気泡が液体とともに流れ、低圧領域で成長し、気泡が高圧領域に入ると、圧力の作用により気泡が崩壊する。このプロセスの時間は非常に短く、気泡の周囲の液体から気泡の中心への衝撃が加速して、液体粒子同士が高速で衝突し、局所的な高温が発生し、衝撃圧力が数百メガパスカルにもなり、その結果、キャビテーション現象が発生する。
【0004】
以上のように、キャビテーション現象による洗掘効果が明らかであり、必要なジェット圧力が高くないだけでなく、媒体の要件も高くなく、水でも海水でもよく、それによってコストを大幅に削減することができる。どのようにキャビテーション現象を合理的に使用して底部支持型風力発電設置プラットフォームの杭抜きを支援するかは、解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に鑑みて、本発明は、洗掘効果を高め、コストを削減する底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルを提供することを目的とする。その設計方法をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルであって、杭底板、低圧杭洗掘水管、高圧杭洗掘水管、浸漬キャビテーションノズル、ノズルブッシュ、及びノズル保護カバーを含み、ノズル保護カバーは杭底板の一方の側面に接続され、両者間に1つのチャンバが構成され、ノズルブッシュの外周面には複数の浸漬キャビテーションノズルが間隔をあけて均等に取り付けられ、その構成全体がチャンバ内に配置されて、ノズル保護カバーの内壁に固定され、高圧杭洗掘水管は杭底板の他方の側面からノズルブッシュの内輪に連通するまで挿入され、低圧杭洗掘水管は高圧杭洗掘水管の対向する両側に間隔をあけてそれぞれ1つ設けられ、杭底板の他方の側面からノズルブッシュとノズル保護カバーとの間の低圧水槽に連通するまで挿入され、浸漬キャビテーションノズルはインナーノズル、及びアウターノズルを含む。
【0007】
さらに、インナーノズルの一端は凸状であり、アウターノズルの一端は凹状であり、インナーノズルとアウターノズルが螺合されることで、浸漬キャビテーションノズルを柱状構造にし、両者の凸部と凹部が間隔をあけて対向していることで、浸漬キャビテーションノズルの内部に合流槽を形成し、インナーノズルの一端はノズルブッシュに接続される。
【0008】
最適には、アウターノズルの外周壁には少なくとも2つの流通孔が間隔をあけて設けられ、流通孔は低圧水槽と合流槽とを連通させる。
【0009】
最適には、インナーノズルの中央部には貫通する高圧水通路が設けられ、アウターノズルの中央部には貫通する合流通路が設けられ、高圧水通路は合流通路と同軸に連通する。
【0010】
さらに、ノズル保護カバーの外周面には複数の浸漬キャビテーションノズルに1対1で対応する水噴出口が設けられ、高圧水通路はノズルブッシュの内輪と合流槽とを連通させ、合流通路は合流槽と水噴出口とを連通させる。
【0011】
最適には、水噴出口はテーパー状の貫通孔である。
【0012】
さらに、浸漬キャビテーションノズルの一端の外周面には雄ねじが設けられ、ノズルブッシュの周壁にはねじ孔が対応して設けられ、浸漬キャビテーションノズルはノズルブッシュに螺合される。
【0013】
さらに、ノズルブッシュの外形は正八角形であり、各側面の中央部に1つの浸漬キャビテーションノズルが取り付けられ、ノズル保護カバーの内部にはノズルブッシュの構造にマッチングする正八角形の内壁が設けられ、正八角形の内壁の下縁は凸状のフランジであり、正八角形の内壁の高さはノズルブッシュの高さに等しいことで、ノズルブッシュを杭底板とノズル保護カバーとの間に押し締める。
【0014】
上記底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルの設計方法であって、
(1)アウターノズルの凹面断面をEとして定義し、Eは2つの軸対称な楕円曲線部分からなり、インナーノズルの凸面断面をEとして定義し、Eは同一楕円曲線の異なる楕円弧セグメントを組み合わせてなり、アウターノズルの出水口の内壁断面をRとして定義し、Rは同様に軸対称な円弧からなるステップと、
(2)断面E、E、Rの曲線の設計及び計算のステップと、を含み、
ステップ(2)は、
アウターノズルの長さをL、インナーノズルの楕円弧セグメントの長さをL、アウターノズルの円弧セグメントの出口の直径をd、アウターノズルの楕円弧セグメントの出口の直径をd、アウターノズルの低圧水入口の直径をd、アウターノズルの入口の直径をd、インナーノズルの入口の直径をd、円弧セグメントの出口の長さをt、インナーノズルとアウターノズルとの螺合部の長さをtとするステップ1と、
アウターノズルの出口の円弧セグメントRの計算について、
曲線半径の関係式は、
【数1】

上半円弧の計算式は、
【数2】
下半円弧の計算式は
【数3】
であるステップ2と、
インナーノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントEの計算について、式は
【数4】
であるステップ3と、
アウターノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントEの計算について、上半楕円弧セグメントは、傾斜角度θの楕円弧セグメントからなり、式は、
【数5】
であり、
上半楕円弧セグメントの計算について、式は、
【数6】
であり、
楕円弧が点
【数7】
を通過するため、
【数8】
であり、
ここで、
【数9】
であり、
同様に、下半楕円弧セグメントの計算方法は、
【数10】
であり、
楕円弧が点
【数11】
を通過するため、
【数12】
であり、
ここで、
【数13】
であるステップ4と、を含む。
【0015】
従来技術と比べて、本発明の利点は以下の通りである。
【0016】
(1)消防用水や圧縮空気のジェットに依存しなくなり、該機器は杭洗掘用の媒体を制限せず、現場の海水を使用して杭を洗掘することができ、杭洗掘コストを大幅に削減することができる。
【0017】
(2)キャビテーション崩壊によって発生する巨大なエネルギーを杭洗掘システムに使用することで、高圧水の供給圧力を大幅に低下させることができ、それによってより優れた杭洗掘効果を実現する。
【0018】
(3)人工浸漬キャビテーションノズルとノズル保護カバーのテーパー状孔の設計によって、気泡崩壊のターゲット距離を増加させ、気泡成長段階を強化し、キャビテーション効果を高め、キャビテーションの侵食効果を強化する。
【0019】
(4)特殊な楕円曲線セグメントと円弧セグメントを使用してアウターノズルの内壁と出口及びインナーノズルの外壁を設計することで、低圧水の供給圧力とキャビテーション成長段階における気泡の損失を低減させ、気泡がノズルの内壁で崩壊してノズルの内壁を破壊することを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の分解構造模式図である。
図2】本発明の組合せ構造模式図である。
図3】杭底板及び配管のレイアウト図である。
図4】ノズルブッシュの構造模式図である。
図5】浸漬キャビテーションノズルとノズルブッシュとを組み合わせた構造模式図である。
図6】浸漬キャビテーションノズルの構造模式図である。
図7】ノズル保護カバーの構造模式図である。
図8図6におけるB-B断面の構造模式図である。
図9図6におけるB-B断面の曲線設計計算の模式図である。
図10図6におけるB-B断面の内壁面の曲線Eの計算方法の模式図である。
図11】本発明の動作プロセスの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解すべきである。
【0022】
底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルであって、図1~7に示すように、杭底板1、低圧杭洗掘水管2、高圧杭洗掘水管3、浸漬キャビテーションノズル4、ノズルブッシュ5、及びノズル保護カバー6を含む。
【0023】
ノズル保護カバー6は杭底板1の一方の側面に接続され、両者間に1つのチャンバが構成され、ノズルブッシュ5の外周面には複数の浸漬キャビテーションノズル4が間隔をあけて均等に取り付けられ、その構成全体がチャンバ内に配置されて、ノズル保護カバー6の内壁に固定される。ノズルブッシュ5の外形は正八角形であり、各側面の中央部に1つの浸漬キャビテーションノズル4が取り付けられる。ノズル保護カバー6の内部にはノズルブッシュ5の構造にマッチングする正八角形の内壁が設けられ、正八角形の内壁の下縁は凸状のフランジであり、正八角形の内壁の高さはノズルブッシュ5の高さに等しいことで、ノズルブッシュ5を杭底板1とノズル保護カバー6との間で押し締める。
【0024】
高圧杭洗掘水管3は、杭底板1の他方の側面からノズルブッシュ5の内輪に連通するまで挿入し、低圧杭洗掘水管2は、高圧杭洗掘水管3の対向する両側に間隔をあけてそれぞれ1つ設けられ、杭底板1の他方の側面からノズルブッシュ5とノズル保護カバー7との間に形成された低圧水槽8に連通するまで挿入される。浸漬キャビテーションノズル4は、インナーノズル41、及びアウターノズル42を含み、インナーノズル41の一端は凸状であり、アウターノズル42の一端は凹状であり、インナーノズル41とアウターノズル42が螺合されることで、浸漬キャビテーションノズル4を柱状構造にし、両者の凸部と凹部が間隔をあけて対向していることで、浸漬キャビテーションノズル4の内部に合流槽を形成する。インナーノズル41の一端の外周面に雄ねじが設けられ、ノズルブッシュ5の周壁にはねじ孔が対応して設けられ、浸漬キャビテーションノズル4はノズルブッシュ5に螺合される。
【0025】
アウターノズル42の外周壁には少なくとも2つの流通孔が間隔をあけて設けられ、流通孔は低圧水槽8と合流槽とを連通させ、インナーノズル41の中央部には貫通する高圧水通路が設けられ、アウターノズル42の中央部には貫通する合流通路が設けられ、高圧水通路は合流通路と同軸に連通する。ノズル保護カバー6の外周面には複数の浸漬キャビテーションノズル4に1対1で対応する水噴出口が設けられている。高圧水通路はノズルブッシュ5の内輪と合流槽とを連通させ、合流通路は合流槽と水噴出口とを連通させ、水噴出口はテーパー状である。ノズル保護カバー5は以下の3つの作用を持つ。1、浸漬キャビテーションノズル4及びノズルブッシュ5を損傷から保護する。2、沈泥が配管に入って詰まりを引き起こすのを防止する。3、テーパー状の出口によって侵食ターゲット距離を増加させ、気泡をさらに成長させることができ、これにより周囲の沈泥への侵食能力をさらに向上させることができる。
【0026】
2本の低圧杭洗掘水管と1本の高圧杭洗掘水管は低圧水と高圧水をそれぞれ供給し、高圧杭洗掘水管の高圧水はノズルブッシュの内部に入り、インナーノズルに高圧水を供給し、低圧杭洗掘水管の低圧水はノズルブッシュとノズル保護カバーとの間の低圧水槽に入り、アウターノズルに低圧水を供給する。
【0027】
上記底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルの設計方法であって、図8~11に示すように、
(1)アウターノズルの凹面断面をEとして定義し、Eは2つの軸対称な楕円曲線部分からなり、インナーノズルの凸面断面をEとして定義し、Eは同一楕円曲線の異なる楕円弧セグメントを組み合わせてなり、アウターノズルの出水口の内壁断面をRとして定義し、Rは同様に軸対称な円弧からなるステップと、
(2)断面E、E、Rの曲線の設計及び計算のステップと、を含む。
【0028】
ステップ(2)は、ステップ1~4を含む。
【0029】
ステップ1では、アウターノズルの長さをL、インナーノズルの楕円弧セグメントの長さをL、アウターノズルの円弧セグメントの出口の直径をd、アウターノズルの楕円弧セグメントの出口の直径をd、アウターノズルの低圧水入口の直径をd、アウターノズルの入口の直径をd、インナーノズルの入口の直径をd、円弧セグメントの出口の長さをt、インナーノズルとアウターノズルとの螺合部の長さをtとする。
【0030】
ステップ2では、アウターノズルの出口の円弧セグメントRの計算について、
曲線半径の関係式は、
【数14】
上半円弧の計算式は、
【数15】
下半円弧の計算式は
【数16】
である。
【0031】
この円弧セグメントRの構造の出水口の流路は、ノズルが気泡成長段階においてノズルの出口に衝突して崩壊してノズルの寿命に影響を及ぼすことを回避する。
【0032】
ステップ3では、インナーノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントEの計算について、式は
【数17】
である。
【0033】
ステップ4では、アウターノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントEの計算について、上半楕円弧セグメントは、傾斜角度θの楕円弧セグメントからなり、式は、
【数18】
であり、
上半楕円弧セグメントの計算について、式は、
【数19】
であり、
楕円弧が点
【数20】
を通過するため、
【数21】
であり、
ここで、
【数22】
であり、
同様に、下半楕円弧セグメントの計算方法は、
【数23】
であり、
楕円弧が点
【数24】
を通過するため、
【数25】
であり、
ここで、
【数26】
である。
【0034】
インナーノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントの曲線Eとアウターノズルの内壁面断面の楕円弧セグメントの曲線Eとで構成された低圧水流路によって、低圧水の流速損失を低減させるとともに、2つの楕円弧セグメントを組み合わせた低圧水収縮加速領域によって、低圧水にさらなる加速効果を付与し、低圧水の供給圧力を低下させ、それによってコストを削減する。
【0035】
図11は本発明の作業プロセスの原理図であり、高圧水は高圧杭洗掘水管を経由して高圧水槽9に入り、インナーノズルの入口から入ると同時に、低圧水は低圧杭洗掘水管を経由して低圧水槽8に入り、アウターノズルの表面における2つの孔から入る。高圧水がインナーノズルの収縮断面を流れると、流速が増加し、流体の内部圧力が低下し、それにより上流キャビテーション領域10が発生する。次に、流体及び発生した微量の気泡が流体の流れとともに高圧水収縮加速領域11に入り、流体の速度が増加し、内部圧力がさらに低下する。次に、流体がインナーノズル拡張セグメントに入り、気泡がインナーノズルの内壁面の下流キャビテーション領域12で急激に成長して成形され、それにより形成された高速ジェットと気泡がインナーノズルとアウターノズルから流出して低圧水収縮加速領域13により加速された低速環状水流間のせん断によってさらに気泡を発生させて成長させ、ジェットの侵食能力を高める。ノズル保護カバーのテーパー状の出口から射出することで、ジェットが沈泥に衝突してキャビテーション侵食による破壊を引き起こし、洗掘効果を実現する。
【0036】
図11の原理図における高圧水管のジェット圧力の大きさについて、該浸漬キャビテーションノズルのキャビテーション効果を達成させるか否かに応じて決められる。キャビテーションが発生する条件として、一般的に、キャビテーション数によって判断され、Pはノズルの上流圧力、Pはノズルの下流圧力、Pは水の飽和蒸気圧であり、P>>P>>Pであるため、簡略化された方程式は以下の通りである。
【0037】
【数27】
【0038】
一般的に、キャビテーション数が1以下の場合にキャビテーションが発生すると考えられており、キャビテーション数が0.5以下の場合に、安定したキャビテーションが必然的に発生する。底部支持型設置プラットフォームの入水深さは最大50メートルであるため、ノズルの下流圧力は約5標準気圧、即ち0.5Mpaであり、従って、式と組み合わせると、高圧水の杭洗掘圧力が1Mpaよりも大きければ安定したキャビテーション効果を実現でき、必要な圧力は一般的な水ジェットによる杭洗掘の要件よりも低い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルの設計方法であって、
前記底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルは、杭底板(1)、低圧杭洗掘水管(2)、高圧杭洗掘水管(3)、浸漬キャビテーションノズル(4)、ノズルブッシュ(5)、及びノズル保護カバー(6)を含み、ノズル保護カバー(6)は杭底板(1)の一方の側面に接続され、両者間に1つのチャンバが構成され、ノズルブッシュ(5)の外周面には複数の浸漬キャビテーションノズル(4)が間隔をあけて均等に取り付けられ、その構成全体がチャンバ内に配置されて、ノズル保護カバー(6)の内壁に固定され、高圧杭洗掘水管(3)は杭底板(1)の他方の側面からノズルブッシュ(5)の内輪に連通するまで挿入され、低圧杭洗掘水管(2)は高圧杭洗掘水管(3)の対向する両側に間隔をあけてそれぞれ1つ設けられ、杭底板(1)の他方の側面からノズルブッシュ(5)とノズル保護カバー(7)との間の低圧水槽(8)に連通するまで挿入され、浸漬キャビテーションノズル(4)はインナーノズル(41)、及びアウターノズル(42)を含み、
インナーノズル(41)の一端は凸状であり、アウターノズル(42)の一端は凹状であり、インナーノズル(41)とアウターノズル(42)が螺合されることで、浸漬キャビテーションノズル(4)を柱状構造にし、両者の凸部と凹部が間隔をあけて対向していることで、浸漬キャビテーションノズル(4)の内部に合流槽を形成し、インナーノズル(41)の一端はノズルブッシュ(5)に接続され
アウターノズル(42)の外周壁には少なくとも2つの流通孔が間隔をあけて設けられ、流通孔は低圧水槽(8)と合流槽とを連通させ、
インナーノズル(41)の中央部には貫通する高圧水通路が設けられ、アウターノズル(42)の中央部には貫通する合流通路が設けられ、高圧水通路は合流通路と同軸に連通し、
(1)アウターノズルの凹面断面をE として定義し、E は2つの軸対称な楕円曲線部分からなり、インナーノズルの凸面断面をE として定義し、E は同一楕円曲線の異なる楕円弧セグメントを組み合わせてなり、アウターノズルの出水口の内壁断面をR として定義し、R は同様に軸対称な円弧からなるステップと、
(2)断面E 、E 、R の曲線の設計及び計算のステップと、を含み、
ステップ(2)は、
アウターノズルの長さをL 、インナーノズルの楕円弧セグメントの長さをL 、アウターノズルの円弧セグメントの出口の直径をd 、アウターノズルの楕円弧セグメントの出口の直径をd 、アウターノズルの低圧水入口の直径をd 、アウターノズルの入口の直径をd 、インナーノズルの入口の直径をd 、円弧セグメントの出口の長さをt 、インナーノズルとアウターノズルとの螺合部の長さをt とするステップ1と、
アウターノズルの出口の円弧セグメントR の計算について、
曲線半径の関係式は、
【数28】
上半円弧の計算式は、
【数29】
下半円弧の計算式は
【数30】
であるステップ2と、
インナーノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントE の計算について、式は
【数31】
であるステップ3と、
アウターノズルの外壁面断面の楕円弧セグメントE の計算について、上半楕円弧セグメントは、傾斜角度θの楕円弧セグメントからなり、式は、
【数32】
であり、
上半楕円弧セグメントの計算について、式は、
【数33】
であり、
楕円弧が点
【数34】
を通過するため、
【数35】
であり、
ここで、
【数36】
であり、
同様に、下半楕円弧セグメントの計算方法は、
【数37】
であり、
楕円弧が点
【数38】
を通過するため、
【数39】
であり、
ここで、
【数40】
であるステップ4と、を含むことを特徴とする底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズルの設計方法。
【請求項2】
ノズル保護カバー(6)の外周面には複数の浸漬キャビテーションノズル(4)に1対1で対応する水噴出口が設けられ、高圧水通路はノズルブッシュ(5)の内輪と合流槽とを連通させ、合流通路は合流槽と水噴出口とを連通させることを特徴とする請求項に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項3】
水噴出口はテーパー状の貫通孔であることを特徴とする請求項に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項4】
浸漬キャビテーションノズル(4)の一端の外周面には雄ねじが設けられ、ノズルブッシュ(5)の周壁にはねじ孔が対応して設けられ、浸漬キャビテーションノズル(4)はノズルブッシュ(5)に螺合されることを特徴とする請求項1に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【請求項5】
ノズルブッシュ(5)の外形は正八角形であり、各側面の中央部に1つの浸漬キャビテーションノズル(4)が取り付けられ、ノズル保護カバー(6)の内部にはノズルブッシュ(5)の構造にマッチングする正八角形の内壁が設けられ、正八角形の内壁の下縁は凸状のフランジであり、正八角形の内壁の高さはノズルブッシュ(5)の高さに等しいことで、ノズルブッシュ(5)を杭底板(1)とノズル保護カバー(6)との間に押し締めることを特徴とする請求項1に記載の底部支持型風力発電設置プラットフォームの浸漬キャビテーションノズル。
【国際調査報告】