(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】コヒーレント画像暗号化
(51)【国際特許分類】
G01S 13/90 20060101AFI20241018BHJP
H04L 9/14 20060101ALI20241018BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20241018BHJP
【FI】
G01S13/90 191
H04L9/14
G06F21/62 309
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523728
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022078054
(87)【国際公開番号】W WO2023066698
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523132594
【氏名又は名称】アイサイ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】マフ ダレン
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AE07
5J070AE09
5J070AF08
5J070BE02
(57)【要約】
画像を暗号化するためのコンピュータ実装方法であって、画像データは、帯域幅を有する信号を収集することによって生成され、画像データは、画像の複数のピクセルに対応するデータを含み、各ピクセルは、関連付けられる位相値を有する。前記方法は、第1暗号キーに基づいて、複数のピクセルのそれぞれに関連付けられた各位相値を変更するステップを含み、各位相値を変更するステップの後、隣接するピクセル間の位相変化率は帯域幅を超えない。
【選択図】
図4c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを暗号化するためのコンピュータ実装方法であって、
前記画像データは、帯域幅を有する信号を収集することによって生成され、
前記画像データは、前記画像の複数のピクセルに対応するデータを含み、前記各ピクセルは、関連付けられる位相値を有し、
前記方法は、
、第1暗号キーに基づいて前記複数のピクセルのそれぞれに関連付けられた各位相値を変更するステップを含み、前記各位相値を変更するステップの後、隣接するピクセル間の位相変化率が、帯域幅を超えない、方法。
【請求項2】
前記方法は、
複数のコヒーレント画像を提供するステップであって、前記複数のコヒーレント画像の各々は、それぞれの前記画像データに関連付けられた、前記ステップと、
前記1つまたは複数の画像の各々に関連付けられた前記画像データに対して請求項1に記載の方法を実行することによって、前記複数のコヒーレント画像のうちの1つまたは複数の画像に関連付けられた画像データを暗号化するステップと、をさらに含み、
前記1つまたは複数の画像を暗号化すると、前記1つまたは複数の暗号化された画像の各々と、複数の前記コヒーレント画像のうちの他の画像の各々との間のコヒーレンスが除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の画像の各々にそれぞれ関連付けられた画像データは、それぞれ異なる前記第1暗号キーで暗号化される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像または前記各画像に関連付けられた画像データを暗号化する前記ステップは、
暗号化する画像または各画像の一部を選択するステップと、
前記第1暗号キーに基づいて、前記選択された部分内の複数のピクセルの各々にそれぞれ関連付けられた各位相値を変更することによって、前記選択された部分を暗号化するステップと、を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
暗号化されるように選択された部分は、前記画像または前記各画像の中央部分である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
暗号化されるべき画像または各画像上にそれぞれのマスクをオーバーレイするステップをさらに含み、前記暗号化されるべき画像または各画像の複数のピクセルの各々にそれぞれ関連付けられた各位相値を変更することは、
前記第1暗号キーに基づいて前記マスクを変形することと、
前記マスクの変形に基づいて、暗号化されるべき画像または各画像の複数のピクセルのそれぞれに関連付けられた各位相値を変更することとにかかわる、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
暗号化されるべき1つまたは複数の前記画像の各々に関連付けられた変形マスクは、それぞれ異なる変形を受けている、請求項2または3に依存する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マスクまたは各マスクを変形することは、さらに非線形関数に基づいている、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記変形マスクまたは各変形マスクの勾配を定義するそれぞれの関数は不連続である、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記マスクまたは各マスクは、複数のノードを含み、マスクを変形する前記ステップは、前記第1暗号キーに基づいて、それぞれの画像に対するノードの各々の高さを調整するステップを含む、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
それぞれの前記マスク内の複数の前記ノードの各々の位置が、前記第2暗号キーに基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1暗号キーと前記第2暗号キーとは同一である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1暗号キーと前記第2暗号キーとは異なる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項2または3に記載の方法において、1つまたは複数の前記画像の各々は、それぞれ異なる第2暗号キーで暗号化される、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
複数の前記ノードの各々は、前記マスクによって定義される多角形ネットワークのそれぞれの頂点を定義する、請求項7~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
複数の前記ノードの各々は、前記マスクによって定義される多角形ネットワークの多角形のそれぞれの中心を定義する、請求項7~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記多角形ネットワークの頂点を結ぶエッジは、前記多角形ネットワークの各多角形の面積を最大にするように定義される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記画像または各画像は合成開口レーダイメージングによって生成される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記画像または各画像は、衛星によって生成された画像である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1および/または第2暗号キーは、ランダムシード生成に基づいて生成される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記画像データを暗号化する方法は可逆的である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたプロセッサを含む装置。
【請求項23】
プログラムがコンピュータによって実行されると、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
コンピュータによって実行されると、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項25】
画像データを含む1つまたは複数のコヒーレント画像のスタックであって、前記1つまたは複数のコヒーレント画像のうちの少なくとも1つに関連付けられた画像データは、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法を用いて暗号化される、スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コヒーレント画像データを暗号化する方法に関する。特に、本発明は、画像内のコヒーレンスが失われないように画像データを暗号化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報とデータのセキュリティは、現代社会においてますます重要かつ遍在的な部分になっている。現在、データと情報のセキュリティを維持する必要性が最も重要になっている。このようなデータには、個人情報、企業情報、政府所有のデータなどが含まれる場合がある。データのセキュリティを確保する方法の1つは、暗号キーを用いてデータを暗号化し、暗号キーのコピーを持たないエンティティによるデータへのアクセス、読み取り、および/または編集を防止することである。
【0003】
データ所有者が安全に保ちたいデータの形式は数多くあるが、その中には画像データがある。画像データは、イメージングデバイスによって収集され、多次元配列に格納された任意の形式のデータを指し得る。一般に、画像データは2次元配列に格納され、配列の各要素は画像ピクセルの属性を定義する。画像データは、画像の各ピクセルの1つまたは複数の属性をランダム化するように、画像の各ピクセルに暗号キーを適用することによって暗号化され得る。
【0004】
現代のシステムでは、1組のコヒーレント画像は、画像の組における各画像に個別に存在する情報を超える情報を含むことが認識されている。換言すれば、1組のコヒーレント画像において、前記画像間のコヒーレンスにより追加の情報が提供される可能性がある。通常、これらの情報はコヒーレント解析技術を用いて推定される。同一のターゲットを同一の距離および方向から定期的にイメージングすることにより、1組のコヒーレント画像を得ることができる。たとえば、衛星画像処理では、衛星が地球の軌道を一周するたびに特定のターゲットの画像を生成することで、一連のコヒーレント画像を生成できる(衛星が地球の上空の同じ点を通過するたびに、地球の表面上の同じ位置を画像化する場合、衛星によって取得された一連の画像は互いにコヒーレントのあるものになる)。
【0005】
このようなコヒーレント技術の1つがコヒーレント変化検出(CCD)である。CCDは、人間の目には見えにくいコヒーレント画像間の変化を検出する。これは、CCDの感度が、画像を収集するために使用される光の波長のほんの一部であるためである。例えば、レーダイメージングのコンテキストでは、CCDは、衛星収集画像からセンチメートル程度の変化を解決することができる。合成開口レーダ(SAR)イメージングの文脈において、CCDは、「裸眼」解析を上回る解像度で2つのSAR画像間のわずかな差異を見る能力をユーザに提供する。
【0006】
SARイメージングで使用される別のコヒーレント技術は、デジタル標高モデル(DEM)生成である。DEMは、2つのコヒーレント画像間のわずかな位置の違いを利用している。次いで、コヒーレント画像の各々のピクセルに関連付けられた位相情報が比較され、基準面に対する変動が強調表示される。換言すれば、SARイメージングにおいて、位相情報を使用して、基準「ゼロ」高さに対する画像内の特徴の高さを推測することができる。DEM生成は、この高さデータを位相アンラッピングを介して位相変動情報から取得して、領域の3次元デジタル標高モデルを形成することを可能にする。
【0007】
SARイメージングで使用される第3コヒーレント技術は、差分干渉合成開口レーダーイメージング(InSAR)である。InSARは、上述したCCD技術とDEM技術の組み合わせであると考えることができる。特に、InSARは、時間の経過とともに高度の非常に微妙な変化の検出を容易にする。衛星によって生成された画像をInSARで解析すると、環境内の1か月にわたる1ミリメートルのオーダーの変化を検出できる。これは、ダムや橋の崩壊など、土地の滑りからインフラの崩壊に至るまで、さまざまな危険な状況や新たな状況を特定するために使用できる。
【0008】
上記のコヒーレント解析技術により1組のコヒーレント画像から得られる情報が増加していることから、セキュリティを確保するために暗号化が必要なデータの新たな形態が存在することは明らかである。いくつかのシナリオでは、データ所有者は、コヒーレント画像解析に関連付けられたデータではなく、単一の画像解析に関連付けられたデータに対して異なるレベルまたは形式のセキュリティを有することを望む場合がある。換言すれば、データ所有者は、1組のコヒーレント画像の各画像へのアクセスをデータユーザーに与えることを望むと考えている一方、上記のようなコヒーレント解析技術によって得られる情報へのアクセスを制限することを望む場合もある。
【0009】
本発明者は、上記の考慮に基づいて、請求項に係る発明を考案した。
【0010】
以下に記載される実施形態は、上記した既知の方法の欠点のいずれかまたはすべてを解決する実装に限定されない。
【発明の概要】
【0011】
この概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供されている。これらの概念は、以下の詳細な説明でさらに説明する。本要約は、請求項に係る主題の主要な特徴または基本的な特徴を識別することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を決定するために使用することを意図していない。発明の実施を容易にする、および/または実質的に類似した技術的効果を達成するために使用される変形および代替的特徴は、本明細書に開示された発明の範囲に属するものとみなされる。
【0012】
本発明は、添付の特許請求の範囲に記載されるように定義される。
【0013】
一般的な意味で、本発明は、画像データを暗号化する方法を提供し、データ利用者は復号化を必要とせずに単一の画像を解析することができるが、最初に画像データを復号化しなければ、画像セット内の他の画像を考慮したコヒーレント画像解析に画像を使用することができないようにする。換言すれば、本発明は、個々の画像解析に関連付けられた情報を暗号化することなく、コヒーレント画像解析に関連付けられた情報を暗号化によって保護する柔軟性をデータ所有者に提供する。
【0014】
本発明の第1態様では、画像データを暗号化するためのコンピュータ実施の方法が提供され、画像データは、帯域幅を有する信号を収集することによって生成され、画像データは、画像の複数のピクセルに対応するデータを含み、各ピクセルは、関連付けられる位相値を有し、前記方法は、第1暗号キーに基づいて、複数のピクセルの各々にそれぞれ関連付けられた各位相値を変更するステップを含み、各位相値を変更するステップの後、隣接ピクセル間の位相変化率は、帯域幅を超えない。
【0015】
いくつかの例では、セキュリティを強化するために、画像は「古典的」暗号化技術を使用してさらに暗号化される場合がある。当業者は、本明細書の開示に基づいて、任意のそのような古典的暗号化は、各画像内の位相情報を可逆的な方法で暗号化しなければならない、すなわち、古典的暗号化された画像が復号化されたときに位相情報が検索され得るような方法で暗号化されなければならないことを理解する。換言すれば、本明細書で説明されたコヒーレント暗号化方法は、本明細書で説明されたコヒーレント暗号化方法の後に実行される追加の古典暗号化技術と組み合わせることができる。ただし、古典暗号化技術は、各画像に符号化された位相情報を回復不能に破壊しない。
【0016】
本発明の別の態様では、本明細書に開示されたいずれかの方法を実行するように構成されたプロセッサを含む装置が提供される。
【0017】
本発明の別の態様では、プログラムがコンピュータによって実行されると、本明細書に開示される方法のいずれかをコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0018】
本発明の別の態様では、コンピュータによって実行されると、本明細書に開示される方法のいずれかをコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0019】
本明細書に記載の方法は、機械読み取り可能な形式のソフトウェアによって、例えば、プログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法のすべてのステップを実行するように適合されたコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムの形式で、有形記憶媒体上で実行することができ、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体上で具現化することができる。有形(または非一時的)記憶媒体の例としては、磁気ディスク、サムドライブ、メモリカードなどが挙げられる。このソフトウェアは、パラレルプロセッサまたはシリアルプロセッサ上で実行するのに適していてもよく、この方法ステップを任意の適切な順序でまたは同時に実行することができる。
【0020】
このアプリケーションでは、ファームウェアおよびソフトウェアが個別に取引可能な価値のある商品であることを認識している。これは、必要な機能を実行するために、「ダム」または標準的なハードウェア上で演算または制御されるソフトウェアを含むように設計されている。また、所望の機能を実行するためにシリコンチップを設計したり汎用プログラマブルチップを構成したりするHDL(ハードウェア記述言語)ソフトウェアなど、ハードウェア構成を「記述」したり定義したりするソフトウェアも含まれることを目指している。
【0021】
本明細書に記載された特徴および実施形態は、当業者にとって自明であるように適切に組み合わせることができ、また、そのような組み合わせが不可能であることが明示的に規定されていない限り、または当業者がそのような組み合わせが不可能であることを理解する場合を除いて、本発明のいずれかの態様と組み合わせることができる。
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】請求された発明の方法を使用して暗号化され得る画像例の簡略化された概略図を示す。
【
図2】地球周回軌道上でSAR画像データを収集する衛星の概略図を示す。
【
図3a】特許請求された発明の方法のステップを示す。
【
図3b】本発明のいくつかの実施形態による、マスクを変形することによって画像内の各ピクセルの位相値を変更する方法を示す。
【
図4a】暗号化される画像にオーバーレイされるマスクを示す。
【
図4b】複数のノードを含む多角形ネットワークを定義するマスクを示しており、各ノードは多角形ネットワークの頂点を定義する。
【
図4c】マスクが変形される前に、マスクによって定義された平面に対してマスクの各ノードの高さを調整することによって変形されたマスクを示す。
【
図5】複数のコヒーレント画像を暗号化してそれらの間のコヒーレンスを除去する方法を示す。
【
図6a】2つのコヒーレント画像間のコヒーレント変化検出(CCD)の結果の例を示す。
【
図6b】画像の少なくとも1つに関連付けられた画像データが本明細書に記載の方法に従って暗号化されている、2つの画像間のCCDの結果の一例を示す。
【
図7】請求された発明の方法を実行するように構成されたコンピュータを示す。 同一または類似の特徴を表すために、図中で共通の参照番号を使用する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態は、単なる例として以下に説明される。これらの例は、出願人が現在知っている本発明を実施するための最良の形態を表すものであるが、これを達成できる唯一の方法ではない。この説明では、サンプルの機能と、サンプルを構築および操作するための一連の手順について説明する。しかしながら、同じまたは同等の機能およびシーケンスが、異なる例によって実現されてもよい。
【0025】
図1は、本発明の方法を使用して暗号化できる画像例10の簡略図を示す。画像10は、画像の各ピクセルに関連付けられたデータを有する複数のピクセルを含む。画像10は、画像ターゲットと相互作用した画像信号を検出することによって生成される。これは、反射ベースの技術、つまりイメージング信号がイメージングターゲットから反射されるイメージング技術と、透過ベースの技術、つまりイメージング信号がイメージングターゲットを通って検出器に伝播するイメージング技術の両方を含む、多種多様なイメージング技術に基づくことができる。
図3に関連して以下に論じられる関心のある特定の例は、地球周回軌道上の衛星によるSARイメージングであり、レーダ信号の反射に基づくイメージング技術の一例である。
【0026】
イメージング検出器は、複数のピクセルに分割された画像10の形でイメージング信号およびそれに関連付けられた画像データを取り込む。各ピクセルは、イメージング信号に含まれる情報をキャプチャする1つまたは複数のデータ値に関連付けられている。例えば、第1ピクセル12は、他の値に第1相関位相値と第2相関振幅値とを有する。同様に、第2ピクセル14は、他の値において第2相関位相値と第2相関振幅とを有する。
【0027】
第1および第2相関振幅値は、それぞれ第1および第2ピクセル12、14で受信される生成信号の振幅を示し得る。第1および第2関連する振幅値は、それぞれ第1および第2ピクセル12、14の輝度値として記録され得る。あるいは、第1および第2関連する振幅値は、RGB値、CMYK値などの別のフォーマットで記録されてもよい。加えて、または代わりに、関連する振幅値に加えて、輝度値、RGB値および/またはCMYK値または同様のものは、ピクセル12、14のそれぞれに関連するデータとして記録されてもよい。
【0028】
相関振幅値は、イメージングターゲットの様々な特性を推論するためにイメージング解析に使用され得る。例えば、反射に基づくイメージング技術では、相関振幅値はイメージングターゲットの反射率を示すことができ、例えば、相対的に高い相関振幅値は、相対的に低い相関振幅値よりも高い反射率を示すことができる。これは、たとえば、イメージングターゲットを構成する物質の種類を決定するための定性分析に使用できる。例えば、高い反射率は、イメージングターゲットが金属などの反射性材料で形成されていることを示している可能性がある。逆に、低い反射率は、木材、コンクリート、木の葉などの非反射材料を表す可能性がある。なお、所与の材料について、反射率はイメージング信号の波長の関数であってもよく、材料がある波長では高い反射率を有し、他の波長では低い反射率を有することができる。
【0029】
一方、透過ベースのイメージング技術では、関連付けられる振幅値がイメージング対象の減衰係数を示す場合があり、例えば、比較的高い関連付けられる振幅値は、比較的低い関連する振幅値よりも低い減衰係数を示し得る。これは、たとえば、イメージングターゲットが形成されている材料の種類を決定するための定性分析に使用できる。例えば、低い減衰係数は、イメージングターゲットが、ガラスのような光学的に透明な材料、水、油などの透明な液体、または空気、二酸化炭素、メタン、または他の温室効果ガス、酸素、不活性ガスなどの透明なガス、または他の任意の光学的に透明な材料によって形成されていることを示し得る。逆に、低い反射率は、鉛、アルミニウム、または他の任意の光学的に緻密な材料のような光学的に緻密な(または不透明な)材料を示し得る。なお、特定の材料の場合、減衰係数はイメージング信号の波長の関数であるため、材料は特定の(通常は短い)波長では低い減衰係数を持ち、他の(通常は長い)波長では高い減衰係数を有する場合がある。その代表的な例は、温室効果ガスであり、実際には、可視光、紫外光、X線に対しては光学的に透明であるが、電磁波スペクトルの赤外部の吸収係数が高いため、長波長の赤外に対しては光学的に緻密である可能性がある多くのガスである。
【0030】
第1および第2関連する位相値は、それぞれ第1および第2ピクセル12、14で受信された生成信号の相対位相を示し得る。関連付けられる位相値は、0から2πまで、0から360まで、-πからπまで、-180から180まで、または他の任意の適切な範囲の値を有することができる。さらに、さらに、「アンラップされた」位相を示すデータ値は、画像10の各ピクセルに関連付けられてもよい。換言すれば、位相情報は一般的に循環的に符号化されるが(位相が循環繰り返し特性であることを認識して)、位相情報をアンラップして循環繰り返しを排除する代わりに、イメージングターゲットと検出器との間の光路長をより直接的に示す情報を提供することができる。
【0031】
いくつかの例では、画像10の各ピクセル12、14に関連付けられたデータは、複素数z=x+iyで符号化することができる。このようにして、画像10の各ピクセル12、14の振幅および位相値を単一複素zで符号化することができる。内。例えば、複素数zの大きさを決定することにより、振幅値を決定することができる。すなわち、振幅値は、|z|=(x2+y2)1/2とすることができる。また、例えば、複素数zの引数を求めることにより位相値を求めることができる。すなわち、位相値は、arg(z)=tan-1(y/x)とすることができる。
【0032】
相関位相値情報は、イメージングターゲットの様々な特性を推論するためにイメージング解析に使用することができる。例えば、ターゲットからの信号を反射することによって生成される画像のいくつかの場合において、位相情報は、例えば、信号経路の合計長を示すことを当業者は認識する。位相情報は、信号源および/または受信機と、信号が反射される表面との間の距離を決定するために、データユーザーによってアンラップされ得る。ほとんどの実際の設定では、位相情報は、一方の反射面の他方に対する距離を決定するために使用される。例えば、オーバーヘッド画像の場合、異なるピクセル間の位相差は、各ピクセルに取り込まれた反射面の相対的な高さを示すことができる。他の例では、ターゲットを介して信号を送信することによって生成される画像のいくつかの場合、位相情報は、密度の変化がターゲットの屈折率の変化をもたらし、その結果、有効な光路または信号路の距離を変化させることによって、ターゲットの密度を示すことができることを、当業者は認識する。
【0033】
換言すれば、反射に基づくイメージング技術では、相関位相値は、イメージングターゲットと検出器との間の距離を示すことができ、例えば、頭上イメージングのコンテキストでは、相関位相値は、イメージングターゲットまたはイメージングターゲットの構成要素の相対的な高さを示すことができる。これは、イメージングされたターゲットの距離および/または高さ分布を決定するために使用され得る。
【0034】
一方、透過ベースのイメージング技術では、相関位相値はイメージングターゲットの濃度分布を示すことができる。例えば、イメージングターゲットにおける濃度変化は、イメージング信号がイメージングターゲットを通過する有効光路長を変化させる。特に、ターゲットの高密度化は、有効光路長を増大させる。これは、イメージングターゲットの濃度分布を決定するために使用され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、このまたは各画像は、合成開口レーダ(SAR)イメージングによって生成される。
【0036】
請求項に係る発明の方法は、広範囲の画像に適用可能であるが、SARイメージングの文脈において特に有益な応用が見出される。上述したように、請求項に係る発明は、データ利用者が、自動焦点調節プロセス、マルチビュー処理、および/または他の周波数領域に基づく技術のような単一の画像コヒーレント技術を実現することを可能にする。同時に、CCD、DEMまたはInSARのようなマルチ画像コヒーレント技術を同一のデータユーザーが実装することを防止する。
【0037】
いくつかの実施形態では、画像または各画像は衛星によって生成された画像である。
【0038】
衛星が生成する画像のデータセキュリティは、高架衛星が収集できるデータの範囲が広いため、特に重要である。例えば、画像間コヒーレント画像技術は、人間が土地を通り過ぎたか否かを判定することによって、またはコヒーレント画像技術に基づいて人間の存在を証明することによって、土地が占有されているか否かを判定することができる可能性があるなど、衛星による土地の画像撮影から個人のプライバシーを保護するために、データを暗号化する必要がある場合がある。他のアプリケーションでは、セキュリティおよび/または防衛の目的のために、政府のすべてのデータを暗号化する必要がある場合がある。例えば、軍事施設に関連付けられたデータは、軍事およびその他の人員の安全のために安全に維持されなければならない。さらに、暗号化された画像データは、データ所有者の顧客または顧客がアクセスを許可されていない情報(例えば、その情報を購入または利用する権利を有していない可能性がある)にアクセスすることを防止するために必要な場合がある。
【0039】
図2は、地球22の周りの軌道上でSAR画像データを収集する衛星20の概略図を示す。衛星20は、地球22の周りの繰り返し軌道、例えば、1日の繰り返し軌道上にある。SAR画像データを収集するために、衛星20は、地球22の表面上の1つまたは複数のイメージングターゲットの表面からレーダ信号24を反射する。衛星20がその軌道を繰り返すにつれて、衛星は地球22に対して同じ位置を定期的に再訪することになる。衛星20は、地球に対して同じ位置から同じイメージングターゲットをそのレーダ信号でイメージングする毎に、同じイメージングターゲットの別のSAR画像をイメージングする。これらのSAR画像の各々は、互いにコヒーレントであり、これは、コヒーレント画像のセットを所有する個人またはエンティティが、CCD、DEM、またはInSARのようなマルチ画像コヒーレントイメージング技術を実現することを意味する。
【0040】
このような例では、イメージング信号の波長をレーダイメージングに適した波長とすることができる。例えば、イメージング信号24の波長は、0.5cm以上、1cm以上、3cm以上、5cm以上、8cm以上とすることができる。他の例では、イメージング信号の波長は0.5cmから10cmの間であってもよい。特定の一実施形態では、イメージング信号24の波長は約3cmである。
【0041】
さらに、イメージング信号は、レーダイメージング信号に見られる固有の帯域幅と同じであってもよい。例えば、固有帯域幅は、0.5kHz以上、1kHz以上、5kHz以上、10kHz以上であってもよい。特定の一実施形態では、イメージング信号24の固有帯域幅は約4kHzである。
【0042】
さらに、地球22に対する衛星20の移動によって生じるドップラー効果により、イメージング信号は余分な帯域幅を得ることができる。このいわゆるドップラー帯域幅は、1MHz以上、10MHz以上、100MHz以上、500MHz以上、1000MHz以上、5000MHz以上とすることができる。特定の一実施形態では、地球22の周りの衛星20の軌道による画像信号24のドップラー帯域幅は、約300メガヘルツである。
【0043】
いくつかの例では、衛星20のイメージングターゲットは、地球22の表面上の地理的領域であってもよい。面積は、10平方キロメートル以上、50平方キロメートル以上、100平方キロメートル以上、1000平方キロメートル以上、5000平方キロメートル以上、10、000平方キロメートル以上とすることができる。
【0044】
例えば、各画像は、5km×5km以上の面積、10km×10km以上の面積、50km×50km以上の面積、100km×100km以上の面積であってもよい。
【0045】
これらの例では、例えば、画像10の単一ピクセルは、0.1平方メートル以上、0.5平方メートル以上、1平方メートル以上、2平方キロメートル以上、または5平方キロメートル以上のエリアをイメージングし得る。例えば、画像10の各ピクセルは、0.25m×0.25m以上の面積、0.5m×0.5m以上の面積、1m×1m以上の面積、1.5m×1.5m以上の面積、2m×2m以上の面積に対応することができる。特定の一実施形態では、画像10の各ピクセルは、イメージングターゲットの1m×1mの面積に対応する。
【0046】
図3aは、本方法のステップを示す。ステップS300では、暗号化されていない画像データが画像10の形式でデータ所有者に提供される。イメージング信号により画像10がイメージングされる。イメージング信号は、イメージング信号の帯域幅を規定する波数範囲(波長の逆数)を含む。帯域幅は、信号に関連付けられたキャリア周波数を効果的に除去するために、イメージング信号の周波数をダウンコンバートすることによって決定することができる。ダウンコンバートの前に、イメージング信号の帯域幅は、より低い非ゼロ周波数/波数からより高い非ゼロ周波数/波数に渡ることができる。帯域幅は、ゼロでない周波数/波数の高低差として定義することができる。ダウンコンバート後、帯域幅は、ゼロ周波数/波数から、より高い非ゼロ周波数/波数にダウンコンバートされ得る。より高いダウンコンバートされた非ゼロ周波数/波数は、帯域幅の値に等しいことができる。ステップS310では、データ所有者に第1暗号キーが提供される。第1暗号キーは、ランダムシード生成によって生成することができる。ステップS320では、第1暗号キーに基づいて、暗号化後の隣接ピクセル間の位相変化率がイメージング信号の帯域幅を超えないように、画像10内の各ピクセル12、14に関する位相値を変更する。このような暗号化は、データユーザーが、自動焦点調節プロセス、マルチビュー処理、および他の周波数領域ベース技術のような振幅ベースの解析または単一画像コヒーレント画像解析を実行することを妨げるものではない。しかし、第1暗号キーを所有しない者がCCD、DEM、またはInSARのようなマルチ画像コヒーレント画像解析を実現することを確実に阻止する。最後に、ステップS330において、暗号化処理の出力として暗号化画像を生成する。
【0047】
画像データに関連付けられた位相情報を暗号化することにより、データの所有者は、画像データに対して異なるセキュリティレベルを設定することができる。例えば、暗号化された位相情報は、画像データに関連付けられた振幅情報などの他の情報に影響を及ぼさないことができる。位相情報のこの選択的な暗号化は、データユーザーが画像データに関連付けられた情報のサブセットのみにアクセスして閲覧することを可能にすることを意味する。例えば、データユーザーは、画像の各ピクセルに関連付けられた振幅値によって符号化され得るイメージング信号の空間強度を示す情報を見ることを許可することができる。
【0048】
画像10の各ピクセル12、14の相関位相値を変更した場合、暗号化画像の隣接ピクセル間の位相変化率がイメージング信号の帯域幅を超えないようにする。この基準を満たすことは、サンプリング波数範囲がイメージング信号(暗号化位相信号を含む)の帯域幅よりも広いことを意味し、上述した単一画像コヒーレントイメージング技術を実現できることを意味する。換言すれば、このように各ピクセルの位相値を変更することにより、画像自体のコヒーレンスが損なわれることはない。一方、位相情報の変更は、暗号化画像と他の(暗号化されていない)画像との間の位相差を意味のある方法で計算または決定することができなくなるように、暗号化画像データを変更する。すなわち、従来の位相情報を暗号化する方法では、画像内位相差および画像間位相差のいずれも算出または決定できないため、位相情報が破壊されてしまうが、請求項に係る発明は、画像間位相差の算出または決定を防止しつつ、画像内位相差の継続的な算出または決定を可能とする暗号化方法を提供する。この規格に従わない場合、位相情報が効果的に破壊され、単一画像コヒーレントイメージング技術が不可能となる。
【0049】
これは、特定の画像の暗号化レベルの増加に対するデータ所有者の選択的な制御をさらに容易にする。例えば、本明細書に記載された方法に従って画像データを暗号化することにより、データユーザーは、画像内の位相差の計算または決定に依存するいくつかの解析技術を実現することができるであろう。これらの分析技術には、例えば、オートフォーカス手順、マルチルック処理、および/または他の周波数領域ベースの技術が含まれる場合がある。このような解析技術は、より一般的には、単一画像コヒーレント技術として説明することができる。同時に、データユーザーは、CCD、DEM、InSARのような、画像間の位相差の計算または決定に依存するマルチ画像コヒーレント技術を実施することができない。
【0050】
信号が複数の帯域幅を含む場合、例えば、イメージング信号が固有の帯域幅とドップラー帯域幅とを有する衛星ベースのSARイメージングの場合、本明細書で説明した方法を動作させるためには、上述した位相変化率が帯域幅のうちの最大値を超えないようにする必要がある。いくつかの例では、上記の位相変化率は、本明細書で説明される暗号化プロセスにおいて、より低い帯域幅に関連付けられた周波数で符号化された情報が失われないように、信号に関連付けられた最小帯域幅を超えないことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、ORの各画像に関連付けられた画像データを暗号化するステップは、暗号化されるべきORの各画像の一部を選択するステップと、ORの各画像に関連付けられた画像データを暗号化するステップと、を含む、そして、第1暗号キーに基づいて、選択された部分内の複数のピクセルの各々にそれぞれ関連付けられた各位相値を変更することによって、選択された部分を暗号化する。
【0052】
このようにして、画像データの暗号化に対するより高度な選択制御レベルをデータ所有者に提供する。例えば、データ所有者は、関心のある所与の領域(または複数の領域)をぼかすために、所与の画像の1つまたは複数の領域を他の領域ではなく暗号化することを選択することができる。いくつかの例では、データ所有者は、1つまたは複数の境界領域を暗号化することなく、画像の中央領域に関連付けられたデータを暗号化することができる。他の例では、データ所有者は、関心のある特定の主題をイメージングする画像の領域に関連付けられたデータを暗号化することができ、画像の残りの部分は暗号化しない。
【0053】
図3bは、本発明のいくつかの実施形態による、マスク40(
図4a~
図4cを参照して後述)を変形することによって画像内の各ピクセルの位相値を変更する方法を示す。
図3bに記載のステップは、
図3aのステップS320に代えてもよい。
図3bのステップS322では、暗号化されていない画像10の上にマスク40を重ねる。ステップS324では、第1暗号キーに基づいてマスク40を変形する。例えば、変形前、マスク40は、画像10上に重ねられた平面であってもよい。マスクの変形には、画像10によって定義される平面に対してマスクの特定のセクションの高さを調整することが含まれてもよい。したがって、変形したマスク46は、変形前のマスク40に対して、実際には「しわ」または「しわ」に見えるようにすることができる。ステップS326では、変形マスク46に基づいて画像10の各ピクセルの位相値を変更する。換言すれば、マスクの変形に伴ってピクセルの相対位置が変更されたと仮定することで、画像10の各ピクセルの位相値を変更することができる。
【0054】
いくつかの例では、変形前のマスクは、マスクの各点に関連付けられたゼロ位相値を有することができる。変形マスクは、マスクのドットの調整された高さに基づいて、変形マスクの各ドットに新たな位相値を関連付けることを含むことができる。各ピクセルの位相を変更することは、次に、画像10の対応するピクセルに対応する変形マスクのドットに関連付けられた新たな位相値を、そのピクセルに関連付けられた位相値に加算(または減算)することを含むことができる。
【0055】
換言すれば、いくつかの実施形態では、本方法は、暗号化されるべきまたは各画像の上に対応するマスクをオーバーレイするステップをさらに含み、暗号化されるべきまたは各画像の複数のピクセルのそれぞれに関連付けられた各位相値を変更することは、第1暗号キーに基づいてマスクを変形することと、マスクの変形に基づいて、暗号化されるまたは各画像の複数のピクセルのそれぞれに関連付けられた各位相値を変更することとを含む。実際には、マスクは、暗号化されるべき1つまたは複数の画像をコヒーレントして暗号化するために第1暗号キーを実装することができるツールとすることができる。
【0056】
マスクの提供およびそれに続く変形は、画像上の位相変化率がイメージング信号の波数の帯域幅を超えないように、ピクセルからピクセルへと位相値変化を徐々に変化させる機構を提供する。マスクの変形に基づいて画像の各ピクセルの位相を変更することは、ピクセル間の位相変化率に適合した帯域幅制限を確保するためにマスクを連続的に変形させることができるので、変更の程度が急激な不連続性や高い変化率を受けないことを確保する手段をデータ所有者に提供する。
【0057】
いくつかの実施形態では、暗号化されるべき1つまたは複数の画像の各々に関連付けられた変形マスクは、それぞれ異なる変形を受けてもよい。
【0058】
各画像に関連付けられたマスクを異なるように変形することにより、各画像の位相情報がそれに応じて異なるように変更され、したがって、複数の画像のいずれかの対の画像間の任意のコヒーレンスを除去することができ、それによって、画像内に符号化された情報を暗号化して、CCD、DEM生成、またはInSARのような画像間コヒーレンス解析に対抗することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、マスクまたは各マスクを変形することは、さらに非線形関数に基づいてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、変形マスクまたは各変形マスクの勾配を定義する対応する関数は、不連続であってもよい。
【0061】
マスクの勾配に不連続性(「低導関数不連続性」とも呼ばれる)が存在するようにマスクを非線形変形および/または変形することにより、隣接するピクセル間の位相変化(各ピクセルの位相がマスクの変形に基づいて変更された後)を明らかに予測不能にすることができ、したがって暗号化がより安全になる。
【0062】
図4aは、暗号化されるべき画像10上に重ねられることができるマスク40を示す。
【0063】
図4bは、多角形ネットワーク44を定義する複数の相互接続ノード42を含むマスク40を示す。
【0064】
図4cは、複数のノード42のそれぞれの高さをマスク40によって画定される平面に対して調整することによって変形前に変形する変形マスク46を示している。
【0065】
いくつかの実施形態では、マスクまたは各マスクは複数のノードを含み、マスクを変形することは、第1暗号キーに基づいて各ノードのそれぞれの画像に対する高さを調整することを含む。
【0066】
いくつかの例では、マスクは、マスクのノード間の連続勾配によって定義されるように変形されてもよい。これにより、ピクセル間の位相変化率に不連続性がないことが確保され、画像内位相差を計算または決定することができ、単一画像コヒーレンス解析技術を容易にすることができる。また、マスク変形前のマスクによって定義される平面に対する各ノードの対応する高さの調整に基づいてマスクを変形させることにより、画像ピクセルに対応するマスク各部の新たな調整高さを入力する必要とは逆に、調整されたノード高さに基づいてマスク各部の変形の程度を補間することができるので、計算の度合を低減することができる。このように、変形前にマスクによって定義される平面に対して各ノードの高さを調整して変形することにより、変形の計算コストを低減し、全体的な手法をより効率的にすることができる。
【0067】
マスクを変形して隣接ピクセル間の位相情報の変化率を画像信号の帯域幅よりも低く保つ他の方法も可能である。例えば、マスクは、数学関数に基づく連続的な変形平面であってもよい。マスクの変形には、「ディンプル」または他の摂動が含まれる可能性がある。摂動は、1つまたは複数の曲線および/または1つまたは複数の鋭いエッジによって定義できる。実際には、相変化速度要件を満たす限り、どのようなパラメータ変形も使用できる。次に、パラメトリックサーフェスのパラメータを暗号化して、サーフェスの節点を暗号化するのと同じようにセキュリティを提供できる。
【0068】
>マスクの変形が第1暗号キーに基づくものであると仮定すると、ノードの高さの調整に基づいてマスクを変形することにより、より単純な暗号キーが可能となる。換言すれば、画像の各ピクセルを第1暗号キーに基づいて個別に暗号化する必要があるので、暗号キーは、無理な長さの暗号キーを必要とせず、適切で管理可能な長さに短縮することができる。調整されたノード間のマスクの補間を容易にすることにより、暗号化の総計算コストを削減する。
【0069】
いくつかの実施形態では、各マスク内の複数のノードの各々の位置は、第2暗号キーに基づいて決定される。
【0070】
これにより、暗号化されたデータのセキュリティがさらに向上する。特に、マスク内の複数のノードのそれぞれの位置は、第2暗号キーに基づいて決定されるので、異なる暗号キーで暗号化されていれば、2つのマスクが同一であることはない。これは、元の画像データの位相情報が暗号化されて秘匿されているだけでなく、位相情報データを不正に入手しようとする「盗聴者」や他人、エンティティが、各位相値の変更の定性的な性質を判断することすらできないことを意味する。特に、第2暗号キーがない場合、マスクが変形されると、個人またはエンティティはマスクの構造がどのようなものであるかを知ることができなくなり、個人またはエンティティが暗号化を逆にすることを防止することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1および第2暗号キーは同じである。
【0072】
このように、1つの暗号キーを記憶してマスク変形の基礎とするだけでよいので、暗号化された画像データの計算コストや負担を軽減することができる。
【0073】
Iいくつかの実施形態では、第1暗号キーと第2暗号キーとは異なる。
【0074】
これにより、位相情報データを不正に取得しようとする個人やエンティティは、2つの独立した暗号キーを解読する必要があるため、画像データのセキュリティが向上する。
【0075】
暗号化画像データの所有者または他の者は、必要に応じて、第1および第2暗号キーが同一であるか異なるかを選択することができる。例えば、データ所有者が処理速度またはデータ記憶に関する厳しい要件を有する場合、第1および第2暗号キーは同じであってもよい。他の例では、データ所有者が非常に厳しいデータセキュリティ要件を有する場合、データ所有者は異なる第1および第2暗号キーを選択することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のノードの各々は、マスクによって定義される多角形ネットワークの対応する頂点を定義する。
【0077】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のノードの各々は、マスクによって定義される多角形ネットワーク内の多角形の対応する中心を定義する。
【0078】
このように、マスクの変形に基づいて位相値を変更した場合に、隣接ピクセル間の位相変化率がイメージング信号の波数の帯域幅を超えないように変形マスクの傾きを制御することができる。いくつかの例では、各多角形の各エッジの変形は、エッジの相互に遠位の端点をそれぞれ定義するノード間の線形補間に基づく。さらに、各多角形のエッジは、変形マスクのグラデーションにおける不連続点を定義することができる。これにより、上述したように、隣接ピクセル間の位相変化(マスクの変形に基づいて各ピクセルの位相が変更された後)を明らかに予測不能にすることができるので、暗号化がより安全になる。
【0079】
いくつかの実施形態では、多角形ネットワークの頂点を接続するエッジは、多角形ネットワークの各多角形の面積を最大化するように定義される。
【0080】
これにより、相変化の不連続性をさらに回避することができる。換言すれば、多角形ネットワークの各多角形の面積を最大化することにより、隣接ピクセル間の位相変化率がイメージング信号の波数の帯域幅を超えないようにすることができる。多角形ネットワークの各多角形の面積を最大化するプロセスは、適切な最適化アルゴリズムによって実現することができる。たとえば、多角形ネットワークは、ドロネー三角形分割または別の同様のアルゴリズムまたは方法を通じて定義できる。
【0081】
多角形ネットワーク44の各多角形は、画像10の複数のピクセルにまたがることができる。例えば、多角形網44の各多角形の面積(例えば、ドロネー三角形分割によって決定されるネットワークの各三角形)は、10ピクセル×10ピクセル以上、50ピクセル×50ピクセル以上、100ピクセル×100ピクセル以上、150ピクセル×150ピクセル以上、200ピクセル×200ピクセル以上の面積に相当する面積を越えてもよい。ある特定の例では、多角形ネットワーク44はドロネー三角分割によって定義され、各三角形は100ピクセル×100ピクセル以上に相当する領域を横断する。
【0082】
いくつかの例では、多角形ネットワークの各多角形は、ドロネー三角形分割の代替方法によって定義されてもよい。例えば、多角形ネットワークは、ボロノイテッセレーションまたは別の同様のプロセスによって定義することができ、各多角形は多角形ネットワークのノードの1つを参照することによって定義される。ボロノイテッセレーションの場合、各ノードは、多角形ネットワークの対応する多角形の中心を定義し、対応する多角形は、複数のノードの中で軌跡に最も近いノードである点の軌跡を定義する。
【0083】
いくつかの実施形態では、暗号化されるべき1つまたは複数の画像の各々は、それぞれ異なる第2暗号キーで暗号化される。
【0084】
のように、複数のコヒーレント画像の各々がさらに独立して暗号化されるので、暗号化されたデータのセキュリティが向上する。このため、個人や事業者は、1つの画像を不正に復号化しても、他の暗号化された画像を復号化することはできず、コヒーレンスを回復することはできない。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2暗号キーは、ランダムシード生成に基づいて生成される。
【0086】
このように、ランダムシード生成プロセスの結果を確実に予測することは不可能であるため、第1および/または第2暗号キーの秘匿性が維持される。
【0087】
マスク40は、マスクに複数のノード42を追加することによって多角形ネットワーク44を定義するために使用され得る。ノード42の位置は、第2暗号キーを用いて決定することができる。第2暗号キーは、ランダムシード生成によって生成することができる。場合によっては、第2暗号キーは、第1暗号キーと同じであってもよく、第1暗号キーと第2暗号キーとは異なる場合もある。
【0088】
複数の相互接続ノード42は、一連のエッジを介して接続され、多角形ネットワークを画定する。多角形ネットワーク44は、類似する多角形の反復テッセレーションを含むことができる。例えば、
図4bに示す例では、多角形ネットワーク44は一連の三角形、場合によっては正三角形を含む。多角形ネットワーク44は、多角形ネットワークの各多角形の面積を最大にするように構成することができる。
図4bの例では、これはドロネー三角形分割手順を実行することによって実現される。当業者は、他の適切な最適化アルゴリズムが適切である可能性があることを認識する。
【0089】
変形マスク6を生成するためにマスク40を変形することは、第1暗号キーに基づいて複数のノード42のそれぞれの相対的な高さを調整することを含む。これにより、
図4cに示すように、画像10上に重ねられたときに、画像データを暗号化するために、画像10の各ピクセル12、14に関連付けられた位相値を調整するための基礎を提供する、しわ状の変形マスク46が生成される。
【0090】
図5は、複数のコヒーレント画像を暗号化してそれらの間のコヒーレンスを除去する方法を示す。ステップS500では、複数のコヒーレント画像がデータ所有者/暗号化装置に供給される。
図2に示すように、SARイメージングにより、地球22の1日の繰り返し軌道にある衛星20から複数のコヒーレント画像を収集することができる。ステップS520では、複数のコヒーレント画像のうちの1つまたは複数の画像の画像データを、
図3a~bに示す方法に従って暗号化することにより、暗号化された各画像と、複数のコヒーレント画像のうちの他の各画像とのコヒーレンスを除去する。ステップS530では、コヒーレントして暗号化された画像スタックが出力される。
【0091】
換言すれば、いくつかの実施形態では、本方法は、複数のコヒーレント画像を提供することをさらに含み、複数のコヒーレント画像の各々は、それぞれの画像データに関連付けられており、複数のコヒーレント画像の各々は、それぞれの画像データに関連付けられている、1つまたは複数の画像の各々に関連付けられた画像データに第1態様を実施する方法によって、複数のコヒーレント画像の1つまたは複数の画像に関連付けられた画像データを暗号化し、1つまたは複数の画像を暗号化することは、1つまたは複数の暗号化された画像の各々と複数のコヒーレント画像の他の画像の各々との間のコヒーレンスを除去する。
【0092】
本明細書に記載の方法は、各暗号化画像と複数のコヒーレント画像のうちの他の各画像との間のコヒーレンスを除去することによって、CCD、DEM、またはInSARのような画像間の位相差の計算または決定に依存する多重画像コヒーレンス技術をデータユーザーが実装しないことを確保することができる。
【0093】
上述したように、
図5に記載された方法は、データユーザーが、自動焦点調節プロセス、マルチビュー処理、および/または他の周波数領域に基づく技術のような単一の画像コヒーレント技術を各画像に実装することを可能にする。一方、同じデータユーザーは、最初の暗号化キーが提供されない限り、コヒーレントに暗号化された画像のスタック全体にCCD、DEM、またはInSARなどのマルチ画像コヒーレンス技術を実装できる。
【0094】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の画像の各々に関連付けられた画像データは、それぞれ異なる第1暗号キーで暗号化される。
【0095】
このようにして、複数のコヒーレント画像の各画像が独立して暗号化されるため、暗号化のデータセキュリティが強化される。したがって、たとえ個人または団体が画像の1つを不正に復号化したとしても、他の暗号化された画像を復号化することはできないため、そのコヒーレンスを回復することはできる。
【0096】
図6aは、2つのコヒーレント画像間のCCD結果の例を示す。CCD画像62は、いくつかの地理的特徴の詳細を含む、成功したコヒーレント変化検出の結果を示すことができる。
【0097】
図6bは、画像の少なくとも1つに関連付けられた画像データが本明細書に記載の方法に従って暗号化されている2つの画像間のCCDの結果の一例を示す。CCD画像62で識別可能な特徴が「暗号化」CCD画像64では識別不可能であることは容易に分かる。
図6bに示す例では、暗号化された画像データは、前述のように、ドロネー三角形分割によって生成されたマスクを使用して暗号化されている。「暗号化された」CCD画像64では、前記ドロネー三角形分割の結果である三角形のアーティファクトが見られる。ただし、三角形のアーティファクトは、画像が暗号化されていなかった場合にアクセスでき、基礎となる画像データに関する情報を生成しないこともわかる。
【0098】
図7は、本発明の方法を実行するように構成されたコンピュータ70の一例を示す。コンピュータ70は、通信インターフェース71と、信号発生器モジュール72と、検出器モジュール73と、記憶ユニット74と、プロセッサ75と、1つまたは複数の追加モジュール76とを含む。コンピュータ70は、地球22を周回してSAR画像データを収集する衛星20に搭載されたコンピュータであってもよい。コンピュータ70は、通信インターフェース71を介して衛星20と通信するように構成された地上コンピュータであってもよい。通信インターフェースはまた、コンピュータ70とサーバーとの間、またはコンピュータ70とユーザとの間の通信を容易にするように構成されてもよい。
【0099】
信号発生器モジュール72は、コンピュータ70によって実行されたとき、または通信インターフェース71を介して受信された衛星20によって実行されたときに、イメージング信号24を発生させる命令またはロジックを含むことができる。検出器モジュール73は、コンピュータ70によって実行された場合、または通信インターフェース71を介してこれを受信した衛星20によって実行された場合に、暗号化される画像データを含むイメージング信号24をコンピュータ70または衛星20(場合によっては)に検出/受信させ、その画像データを記憶ユニット74に記憶させる命令またはロジックを含むことができる。
【0100】
プロセッサ75は、請求項に係る発明の方法を実行するように構成されている。これには、画像10に関連付けられた画像データを暗号化するために、
図3a、3b、または5に示される方法のいずれかを実行するように構成されたプロセッサ75が含まれ得る。プロセッサ75は、コンピュータ可読媒体またはコンピュータプログラム製品内に含まれる命令またはロジックを実行することによってこの方法を実行することができる。暗号化された1つまたは複数の画像は、メモリ74に記憶されてもよく、または通信インターフェース71を介してデータユーザーまたはデータ所有者に送信されてもよい。
【0101】
コンピュータ70は、1つまたは複数の追加モジュール76を含むことができる。これらのモジュールは、これらに限定されないが、検出器モジュール73によって収集された画像データを解析するように構成された1つまたは複数の他のプロセッサを含むことができる。1つまたは複数の追加モジュール76は、例えば、イメージング信号24の入射角度に基づいて検出器モジュール73によって収集された画像データを較正することによって、受信/検出された画像データを較正するように構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに含むことができ、または、InSAR、CCDまたはDEM画像解析技術のような画像解析のための動作を実行するように構成されていてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される画像データの暗号化方法は可逆的である。
【0103】
これにより、データ所有者はデータのセキュリティレベルをより柔軟に決定できる。例えば、データ所有者は、以前は画像間コヒーレント画像技術に関連付けられた位相情報を取得する権利を有していなかったデータユーザーが権利を取得したと判断することができる。この場合、データ所有者は、新たに許可されたユーザに送信するデータを再収集するのではなく、逆暗号化に必要な暗号キー、すなわちデータを復号化するために単にデータユーザーに提供することができる。
【0104】
上述した実施形態では、この方法はサーバー上で実行することができる。サーバーは、単一サーバーまたはサーバネットワークを含んでもよい。いくつかの例では、サーバーの機能は、地理的領域に分散されたサーバネットワーク、例えばグローバルに分散されたサーバネットワークによって提供され得、ユーザは、ユーザの位置に基づいて、サーバネットワークのうちの適切な1つに接続することができる。
【0105】
明確にするために、上記の説明は、単一のデータユーザーまたはデータ所有者を参照して本発明の実施形態を説明する。実際には、システムは、複数のユーザおよび/または所有者によって共有されてもよく、また、非常に多くのユーザおよび/または所有者によって同時に共有されてもよいことが理解されるべきである。
【0106】
上記実施形態は全自動である。いくつかの例では、システムのユーザまたはオペレータは、実行すべき方法のいくつかのステップを手動で指示することができる。
【0107】
本発明に記載された実施形態では、この方法は、システムによって実行され得る。このシステムは、任意の形式のコンピューティングおよび/または電子デバイスとして実装することができる。このようなデバイスは、ルーティング情報を収集および記録するためにデバイスの動作を制御するためのコンピュータ実行可能命令を処理するためのマイクロプロセッサ、コントローラ、または任意の他の適切なタイプのプロセッサであり得る1つまたは複数のプロセッサを備え得る。いくつかの例では、例えばシステムオンチップアーキテクチャを使用する場合、プロセッサは、(ソフトウェアまたはファームウェアではなく)ハードウェアで方法の一部を実装する1つまたは複数の固定機能ブロック(アクセラレータとも呼ばれる)を含んでもよい。オペレーティングシステムまたは任意の他の適切なプラットフォームソフトウェアを含むプラットフォームソフトウェアがコンピューティングベースのデバイスに提供され、アプリケーションソフトウェアがデバイス上で実行できるようにすることができる。
【0108】
本明細書に記載された様々な機能は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能はコンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして保存または送信できる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、例えば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含んでもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータのような情報を記憶するために、任意の方法または技術で実装される揮発性または不揮発性、取り外し可能または取り外し不可能な媒体を含んでもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な記憶媒体とすることができる。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他の記憶デバイス、CD-ROMまたは他の光記憶ディスク、磁気ディスク記憶デバイスまたは他の磁気記憶デバイス、または所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形式で搬送または記憶するために使用され、コンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体を含むことができる。ここで使用される光ディスクおよびディスクには、光ディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスク(BD)が含まれる。また、伝播された信号は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の範囲内には含まれない。コンピュータ読み取り可能な媒体はまた、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含む。接続は、例えば、通信媒体であってもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を用いてウェブサイト、サーバー、または他の遠隔ソースから送信される場合、通信媒体の定義に含まれる。上記の組み合わせもまた、コンピュータ読み取り可能な媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0109】
代替的にまたは追加的に、本明細書で説明される機能は、少なくとも部分的に1つまたは複数のハードウェア論理コンポーネントによって実行されてもよい。例えば、限定されるわけではないが、使用可能なハードウェア論理コンポーネントは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)などを含むことができる。
【0110】
請求項に係る発明の方法を実施するために使用されるコンピューティングデバイスは、分散システムであってもよいことが理解されるべきである。これにより、例えば、いくつかのデバイスは、ネットワーク接続を介して通信することができ、コンピューティングデバイスによって実行されるものとして説明されているタスクを共同で実行することができる。
【0111】
請求項に係る発明の方法を実行するコンピューティングデバイスは、遠隔地に配置され、ネットワークまたは他の通信リンクを介して(例えば、通信インターフェースを使用して)アクセスされ得ることが理解されるべきである。
【0112】
本明細書では、「コンピュータ」という用語は、命令の実行を可能にする処理能力を有する任意のデバイスを指す。当業者であれば、このような処理能力は多くの異なるデバイスに組み込まれ、したがって「コンピュータ」という用語は、PC、サーバー、携帯電話、携帯情報端末、および多くの他のデバイスを含むことを認識するであろう。
【0113】
当業者は、プログラム命令を記憶する記憶デバイスがネットワーク上に分散されていてもよいことを認識するであろう。例えば、遠隔コンピュータは、ソフトウェアとして記述されたプロセスの例を記憶することができる。ローカルコンピュータまたは端末コンピュータは、リモートコンピュータにアクセスし、ソフトウェアの一部または全部をダウンロードしてプログラムを実行することができる。代替的に、ローカルコンピュータは、必要に応じてソフトウェア断片をダウンロードしてもよく、またはローカル端末でいくつかのソフトウェア命令を実行してもよく、リモートコンピュータ(またはコンピュータネットワーク)でいくつかのソフトウェア命令を実行してもよい。当業者はまた、当業者に知られている従来技術を利用して、ソフトウェア命令の全部または一部を、DSP、プログラマブルロジックアレイなどの専用回路によって実行することができることを認識する。
【0114】
上記の利点および優位性は、1つの実施形態に関連してもよいし、いくつかの実施形態に関連してもよいことを理解されたい。実施形態は、記載された問題のいずれかまたはすべてを解決する実施形態、または記載された利益および利点のいずれかまたはすべてを有する実施形態に限定されない。変形は、本発明の範囲内に含まれるものとみなされるべきである。
【0115】
「ある」項目への参照は、これらの項目の1つまたは複数を意味する。「含む」という用語は、識別された方法ステップまたは要素を含むことを表すためにここで使用されるが、これらのステップまたは要素は排他リストを含まず、方法または装置は追加のステップまたは要素を含むことができる。
【0116】
本明細書で使用されるように、用語「コンポーネント」および「システム」は、プロセッサによって実行されると特定の機能を実行させるコンピュータ実装可能命令で構成されたコンピュータ読み取り可能なデータストアを含むことを意図している。コンピュータ実行可能命令は、ルーチン、関数などを含むことができる。また、コンポーネントまたはシステムは、単一のデバイス上に配置されてもよく、または複数のデバイス上に分散されてもよいことが理解されるべきである。
【0117】
さらに、本明細書で使用されるように、用語「例示的な」は、「何かの例示または例として」を意味することを意図している。
【0118】
さらに、「包含」という用語が詳細な説明または特許請求の範囲内で使用される程度については、「包含」という用語が特許請求の範囲内で過渡的な用語として解釈されるので、この用語は「包含」という用語と同様の包含性を有することを意図している。
【0119】
さらに、本明細書に記載の演算は、1つまたは複数のプロセッサによって実装され、および/または1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能な媒体上に記憶され得るコンピュータ実装可能命令を含んでもよい。コンピュータ実行可能命令は、ルーチン、サブルーチン、プログラム、実行スレッドなどを含むことができる。さらに、これらの方法の動作の結果は、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶され、ディスプレイデバイスに表示され、および/または同様である。
【0120】
本明細書に記載の方法のステップの順序は例示的であるが、これらのステップは任意の適切な順序で実行されてもよいし、適切な場合には同時に実行されてもよい。さらに、ステップは、本明細書に記載された主題の範囲から逸脱することなく、任意の方法に追加または置換されてもよく、または単一のステップは任意の方法から削除されてもよい。上記のいずれかの例の態様は、所望の効果を失うことなく、さらなる例を形成するために、説明されたいずれかの他の例の態様と組み合わされてもよい。
【0121】
上記した内容は、1つまたは複数の実施形態の一例を含む。もちろん、上記の態様を説明するために、上記のデバイスまたは方法のそれぞれの考えられる変更および変更を説明することは不可能であるが、当業者であれば、様々な態様の多くのさらなる変更および配置が可能であることを認識するであろう。したがって、記載された態様は、添付の特許請求の範囲内に含まれるすべてのそのような変更、変更、および変更を含むことが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを暗号化するためのコンピュータ実装方法であって、
前記画像データは、帯域幅を有する信号を収集することによって生成され、
前記画像データは、
画像の複数のピクセルに対応するデータを含み、
各ピクセルは、関連付けられる位相値を有し、
前記方法は、
第1暗号キーに基づいて前記複数のピクセルのそれぞれに関連付けられた各位相値を変更するステップを含み、前記各位相値を変更するステップの後、隣接するピクセル間の位相変化率が、帯域幅を超えない、方法。
【請求項2】
前記方法は、
複数のコヒーレント画像を提供するステップであって、前記複数のコヒーレント画像の各々は、それぞれの前記画像データに関連付けられた、前記ステップと、
前記1つまたは複数の画像の各々に関連付けられた前記画像データに対して請求項1に記載の方法を実行することによって、前記複数のコヒーレント画像のうちの1つまたは複数の画像に関連付けられた画像データを暗号化するステップと、をさらに含み、
前記1つまたは複数の画像を暗号化すると、前記1つまたは複数の暗号化された画像の各々と、複数の前記コヒーレント画像のうちの他の画像の各々との間のコヒーレンスが除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の画像の各々にそれぞれ関連付けられた画像データは、それぞれ異なる前記第1暗号キーで暗号化される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像または前記各画像に関連付けられた画像データを暗号化する前記ステップは、
暗号化する画像または各画像の一部を選択するステップと、
前記第1暗号キーに基づいて、前記選択された部分内の複数のピクセルの各々にそれぞれ関連付けられた各位相値を変更することによって、前記選択された部分を暗号化するステップと、を含む、
請求項
1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
暗号化されるべき画像または各画像上にそれぞれのマスクをオーバーレイするステップをさらに含み、前記暗号化されるべき画像または各画像の複数のピクセルの各々にそれぞれ関連付けられた各位相値を変更することは、
前記第1暗号キーに基づいて前記マスクを変形することと、
前記マスクの変形に基づいて、暗号化されるべき画像または各画像の複数のピクセルのそれぞれに関連付けられた各位相値を変更することとにかかわる、
請求項
1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
暗号化されるべき1つまたは複数の前記画像の各々に関連付けられた変形マスクは、それぞれ異なる変形を受けている、請求項2
に依存する請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記マスクまたは各マスクは、複数のノードを含み、マスクを変形する前記ステップは、前記第1暗号キーに基づいて、それぞれの画像に対するノードの各々の高さを調整するステップを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
それぞれの前記マスク内の複数の前記ノードの各々の位置が、前記第2暗号キーに基づいて決定される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
請求項2
に記載の方法において、1つまたは複数の前記画像の各々は、それぞれ異なる第2暗号キーで暗号化される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
複数の前記ノードの各々は、前記マスクによって定義される多角形ネットワークのそれぞれの頂点
、または、前記マスクによって定義される多角形ネットワークの多角形のそれぞれの中心を定義する、請求項7
に記載の方法。
【請求項11】
前記画像または各画像は合成開口レーダイメージングによって生成される、
および/または、前記画像または各画像は、衛星によって生成された画像である、
請求項
1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1および/または第2暗号キーは、ランダムシード生成に基づいて生成される、
請求項
1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項
1から3のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたプロセッサを含む装置。
【請求項14】
コンピュータによって実行されると、請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項15】
画像データを含む1つまたは複数のコヒーレント画像のスタックであって、前記1つまたは複数のコヒーレント画像のうちの少なくとも1つに関連付けられた画像データは、請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法を用いて暗号化される、スタック。
【国際調査報告】