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特表2024-539174エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための試験装置および方法
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  • 特表-エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための試験装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための試験装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523730
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022079526
(87)【国際公開番号】W WO2023072803
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】21204407.7
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フランチェーゼ マリオ アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ロッソル アンドレアス ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ヨハン フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】コンテス アラン
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA03
2G036AA28
2G036BA46
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための非破壊試験装置および方法に関する。試験装置は、エアロゾル発生物品が通路を通って制御モジュールを通過するための通路を備える制御モジュールを備える。制御モジュールは、制御回路および測定装置をさらに備える。制御回路は、制御モジュールの通路内に交番磁界を発生するように構成された励起コイルを備える。測定装置は、発熱体が通路を通って制御モジュールを通過する時に、発熱体の物理的特性に応答して制御回路に印加される負荷に関連する値を決定するように構成される。制御モジュールは、試験された発熱体の決定された値が、所定の発熱体の所定の値に対応するかどうかを決定するようにさらに構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための非破壊試験装置であって、前記試験装置が、
エアロゾル発生物品が前記通路を通って前記制御モジュールを通過するための通路を備える制御モジュールであって、制御回路および測定装置をさらに備える、制御モジュールを備え、
前記制御回路が、前記制御モジュールの前記通路内に交番磁界を生成するように構成された励起コイルを備え、前記測定装置が、前記発熱体が前記通路を通って前記制御モジュールを通過する時、前記発熱体の物理的特性に応答して、前記制御回路に加えられる負荷に関連する値を決定するように構成され、
前記制御モジュールが、前記試験された発熱体の決定された値が、所定の発熱体の所定の値に対応するかどうかを決定するようにさらに構成される、非破壊試験装置。
【請求項2】
前記決定された値が、前記発熱体の見かけの電気抵抗を示す値である、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記励起コイルが、前記測定装置のLRC回路の一部である、請求項1または2のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項4】
前記制御回路が、前記励起コイルを低電力で動作させるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項5】
前記制御回路が、0.5V~3V、好ましくは1Vの範囲のDC電圧を印加するように構成される、請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
前記励起コイルが、前記制御モジュール内に配設され、かつ前記通路を囲むように配設される、請求項1~5のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項7】
前記エアロゾル発生物品を前記制御モジュールの前記通路に案内するための案内要素をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項8】
前記案内要素が、スライド上で前記エアロゾル発生物品を案内するための前記スライドを備える、請求項7に記載の試験装置。
【請求項9】
エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための非破壊試験方法であって、前記方法が、
発熱体を備えるエアロゾル発生物品を提供することと、
前記発熱体を加熱することなく、前記エアロゾル発生物品に制御回路の交番磁界を通過させることと、
前記制御回路の前記交番磁界を通過する前記発熱体の物理的特性に応答して、前記制御回路に印加される前記発熱体による負荷に関連する値を決定することと、前記試験された発熱体の決定された値を、所定の発熱体の所定の値と比較することと、
を含む、非破壊試験方法。
【請求項10】
前記試験された発熱体の前記決定された値と前記所定の値との間の差が所定の閾値内である場合に、前記エアロゾル発生物品を受け入れること、または前記試験された発熱体の前記決定された値と前記所定の値との間の差が前記所定の閾値を超える場合に、前記エアロゾル発生物品を拒否することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記制御回路に0.5V~3VのDC電圧を印加する、請求項9または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記エアロゾル発生物品が、試験される時に、0m/s~40m/sの速度で前記交番磁界を通過する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記エアロゾル発生物品が、試験される時に、10m/s~30m/sの速度で前記交番磁界を通過する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エアロゾル発生物品が、重力によって前記交番磁界を通って落下する、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記発熱体が多層サセプタ配設である、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当該発熱体を備える物品内の発熱体を試験するための非破壊試験装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体と、エアロゾルを発生するために基体を加熱するための発熱体とを備える物品は、先行技術から一般的に公知である。特に、発熱体としてサセプタを備える誘導加熱式物品では、サセプタの材料パラメータは、発熱体の最適化された性能のために非常に特定の範囲内にある必要がある。しかしながら、実際の条件下で物品を試験し、それ故に加熱中の発熱体の性能を試験することは時間がかかり、物品を使用不可能にする。
【0003】
したがって、発熱体を備えるエアロゾル発生物品における発熱体の非破壊的かつ高速試験を可能にする試験装置および試験方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための非破壊試験装置が提供されている。試験装置は、エアロゾル発生物品が通路を通って制御モジュールを通過するための通路を備える制御モジュールを備える。制御モジュールは、制御回路および測定装置をさらに備える。制御回路は、制御モジュールの通路内に交番磁界を発生するように構成された励起コイルを備え、測定装置は、発熱体が通路を通って制御モジュールを通過する時に、発熱体の物理的特性に応答して制御回路に印加される負荷に関連する値を決定するように構成される。制御モジュールは、試験された発熱体の決定された値が、所定の発熱体の所定の値に対応するかどうかを決定するようにさらに構成される。
【0005】
試験装置は、物品が試験装置内の通路の試験装置を通過する間に、物品を試験することを可能にする。制御モジュール内の励起コイルが起動され、物品の応答が制御モジュールの測定装置で測定されてもよい。応答は、発熱体の材料パラメータ、特にその見かけの抵抗の特徴である。
【0006】
この試験は、発熱体の非常に高速な試験を可能にする一方で、試験された物品をさらに使用し得る。
【0007】
発熱体の物理的特性を表す値は、透過性、見かけの電気抵抗値、または見かけの電気コンダクタンス値であり、発熱体の所定の値は、所定の透過性、所定の電気抵抗、または電気コンダクタンス値であることが好ましい。最も好ましくは、発熱体の物理的特性を表す値は、見かけの電気抵抗値であり、所定の値は、所定の電気抵抗値である。
【0008】
決定された値は、発熱体の見かけの電気抵抗を示す値であることが好ましい。
【0009】
検出または測定された抵抗は典型的に、システムの抵抗、特に励起コイルの抵抗および発熱体の抵抗に対応する。測定値から、励起コイルの既知の抵抗を減算して、発熱体の抵抗値を得ることができる。
【0010】
測定装置は、装置のDC電源から制御回路によって引き出されるDC電流を決定するための電流測定装置を備えてもよい。測定装置は、制御回路に印加されるDC電圧に対する決定されたDC電流の比から、制御回路の電気抵抗値を決定するように構成される。
【0011】
試験装置では、励起コイルは、測定装置のLRC回路の一部であってもよい。
【0012】
制御モジュールの制御回路は、励起コイルに電力供給するように構成される。特に、制御回路は、励起コイルに電力供給するための電力パルスを提供するように構成されている。制御回路は、励起コイルを低電力で動作させるように構成されることが好ましい。これにより、発熱体の任意の可能な加熱、特に発熱体の抵抗材料における渦電流による発熱が防止される。制御回路は、0.5V~3V、好ましくは1Vの範囲内でDC電圧を制御回路に印加するように構成されることが好ましい。
【0013】
この電力範囲のDC電圧では、良好な試験結果が得られ、したがって許容可能な測定値を提供し、発熱体は加熱されない。特に、良好な試験結果は、約0.1マイクロヘンリー~0.15マイクロヘンリー、例えば0.12マイクロヘンリーの範囲の磁気インダクタンスL、および約38ミリオーム~43ミリオーム、例えば40ミリオーム~41ミリオームの範囲の励起コイル(バックグラウンド)の電気抵抗Rを有するLRCパラメータを用いて達成された。
【0014】
制御モジュールは、試験された発熱体の決定された値が所定の発熱体の所定の値に対応する時に、エアロゾル形成物品の受け入れを出力するように構成されることが好ましい。制御モジュールは、試験された発熱体の決定された値が所定の発熱体の所定の値に対応しない場合、エアロゾル発生物品の拒否を出力するように構成されることが好ましい。
【0015】
「対応する」は、本明細書では、所定の値の正確な値、および所定の値の±20パーセントの所定の閾値内の値、より好ましくは所定の値の±10パーセントの所定の閾値内の値に対応するものとして定義される。
【0016】
励起コイルは、制御モジュール内に配設され、通路を囲むように配設されることが好ましい。これによって、試験される物品は、励起コイルの中心を通して案内されてもよい。物品は、励起コイルの中央長軸方向軸に沿って励起コイルを通過することが好ましい。
【0017】
制御モジュール内の通路は、制御モジュール内の経路であり、エアロゾル発生物品は、それに沿って案内されてもよく、物品は、この経路に沿って制御モジュールの励起コイルおよび測定装置を通過するように作られる。経路は、制御モジュールを通る経路に沿って開閉されてもよい。制御モジュール内の通路は、制御モジュールを通る貫通孔であることが好ましい。
【0018】
通路は開放端を有し、物品が制御モジュールを問題なく通過することを可能にする。通路の直径、特に貫通孔の直径は、試験され、通路を通過する物品の直径よりも約10パーセント~50パーセント大きいことが好ましい。
【0019】
好ましくは、通路は通路を通過する物品を部分的または完全に包囲する。
【0020】
好ましくは、通路は管形状を有する。
【0021】
好ましくは、通路は制御モジュール内に管として形成される。
【0022】
好ましくは、通路は円形または楕円形の断面を有する。
【0023】
試験装置は、エアロゾル発生物品を制御モジュールの通路に案内するための案内要素をさらに備えてもよい。案内要素は、エアロゾル発生物品を制御モジュールに、および好ましくは制御モジュールを通して搬送するためのコンベヤを備えてもよい。別の方法として、または追加的に、案内要素は、スライド上のエアロゾル発生物品を制御モジュールの通路に案内するためのスライドを備えてもよい。物品が重力によってのみ制御モジュールに案内される時、スライドが提供されることが好ましい。
【0024】
案内要素は、通路の開口部に対して収束する収束ガイドを備えてもよい。こうした収束ガイドは、通路の開口部、特に通路の開口部の中心への単一の物品の正確な案内を支持しうる。
【0025】
試験装置は、エアロゾル発生物品を保持するための貯蔵部をさらに備えてもよく、貯蔵部は制御モジュールの上流に配設されている。貯蔵部の提供により、複数の物品がその後、かつ迅速に試験装置に送達されてもよく、それ故に物品の高速試験シーケンスを可能にする。貯蔵部は、例えば、試験される物品の同じバッチの物品を備えてもよい。貯蔵部では、試験装置は連続的または自動的に動作され得るため、貯蔵部を充填するための人員のみを必要とする可能性がある。
【0026】
試験装置は、発熱体を備える物品、例えば、最終消耗品の複数のセグメントである物品、最終消耗品のセグメントである物品、または例えばヒートスティックなどの最終消耗品である物品を試験するためのスタンドアローン装置であってもよい。
【0027】
試験装置は、エアロゾル発生物品、例えばヒートスティックなどの最終消耗品の一部としての物品の製造プロセス、またはヒートスティックなどの最終消耗品の製造プロセスに統合されてもよい。次に、試験装置は最終製品または半製品の試験に使用され、ここで試験は製造工程に統合される。
【0028】
例えば、物品は、エアロゾル形成基体のロッド状のプラグ、例えば発熱体を備えるたばこプラグであってもよい。プラグは、電子エアロゾル発生装置、好ましくは誘導加熱式エアロゾル発生装置と組み合わせて使用されるヒートスティックの最終プラグであってもよい。
【0029】
一部の好ましい実施形態では、試験装置は、物品製造構成要素の間に配設されている。物品製造構成要素は、例えば、試験装置の上流に配設されたロッド形成装置および切断装置のうちのいずれか一つであってもよい。物品製造構成要素は、例えば、試験装置の下流に配設された切断装置、物品貯蔵部、および物品包装装置のうちのいずれか一つであってもよい。
【0030】
本発明はまた、エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための非破壊試験方法に関する。方法は、発熱体を備えるエアロゾル発生物品を提供することと、発熱体を加熱することなく、エアロゾル発生物品に制御回路の交番磁界を通過させることと、制御回路の交番場を通過する発熱体の物理的特性に応答して、制御回路に印加される発熱体による負荷に関連する値を決定することと、試験された発熱体の決定された値を、所定の発熱体の所定の値と比較することと、を含む。
【0031】
方法は、試験された発熱体の決定された値と所定の値との間の差が所定の閾値内である場合に、エアロゾル発生物品を受け入れるステップと、または試験された発熱体の決定された値と所定の値との間の差が所定の閾値を超える場合に、エアロゾル発生物品を拒否するステップとをさらに含みうる。
【0032】
方法は、発熱体の見かけの電気抵抗を示す値を決定することを含むことが好ましい。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、DC電源から制御回路によって引き出されるDC電流を測定することと、制御回路に印加されるDC電圧に対する決定されたDC電流の比から制御回路の見かけの電気抵抗値を決定することと、を含む。
【0034】
測定を実施するために、方法は、制御モジュールから励起コイルに電力パルスを提供することを含む。
【0035】
方法は、0.5V~3VのDC電圧を制御回路に印加することを含むことが好ましい。
【0036】
エアロゾル発生物品の試験は、測定中に物品が静止している間に実施されてもよい。これらの実施形態では、物品は、試験装置の制御ユニットに移動され、通路内に案内され、測定を実施するためにその中で停止され、次いで通路から出て移動される。物品は移動するが静止試験であるため、試験結果の精度が向上する一方で、同時に複数の物品の高速試験をすることができる。
【0037】
物品は、試験されている間に通路を通って移動していることが好ましい。移動する物品、好ましくは連続的に移動する物品の試験は、多数の物品の非常に高速な試験を可能にする。高速試験は、低速試験ほど正確ではない場合があるが、高速試験は、発熱体の欠陥が多いほど、より正確になる。したがって、高速試験は、非常に「不良な」発熱体を認識するのに非常に適している。
【0038】
本発明による方法では、エアロゾル発生物品は、試験された時に、0m/s~40m/sの速度で交番磁界を通過しうる。
【0039】
エアロゾル発生物品は、試験された時に、10m/s~30m/sの速度で交番磁界を通過することが好ましい。
【0040】
エアロゾル発生物品は、励起コイルの中心を通過することが好ましい。
【0041】
物品および励起コイルの同心配置は、一時的に励起コイル内に配設されている時、または励起コイルを通過する時に、発熱体の材料の励起における不規則性を低減する場合がある。発熱体および励起コイルは、物品が励起コイルを通過している時に対称的な配設を有することが好ましい。
【0042】
方法は、エアロゾル発生物品を励起コイルの中心に案内することを含むことが好ましい。これによって、物品は中央で励起コイルに入り、その後、励起コイルの長軸方向軸に沿って制御ユニットを通過してもよい。それによって、エアロゾル発生物品は、搬送手段によって、例えばコンベヤベルトなどのコンベヤによって、交番磁界を通って搬送されてもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品は、重力により交番磁界を通って落下する。
【0043】
一部の実施形態では、方法は、発熱体を備えるエアロゾル発生物品を備える貯蔵部を提供することと、エアロゾル発生物品を貯蔵部から交番磁界に案内することとをさらに含んでもよい。
【0044】
エアロゾル発生物品はロッド状であることが好ましい。エアロゾル発生物品は、発熱体を備えるロッド状のエアロゾル発生基体であることがより好ましい。
【0045】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置で使用される消耗品のたばこプラグの最終長さを有してもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置で使用される消耗品のたばこプラグの最終長さの複数の長さを有してもよい。したがって、方法は、所定の発熱体の長さに従って、所定の発熱体の所定の値を適合させるステップを含み得る。発熱体を表し、かつ励起コイル内に存在する物品内の導電性材料の量に応じて、制御回路の負荷が変化し、これに伴い測定装置の応答が変化する。それ故に、所定の値は、試験される発熱体の予想される所定の値に適合されることが好ましい。
【0046】
発熱体は誘導加熱式発熱体であり、少なくとも一つのサセプタ材料を含むことが好ましい。発熱体は多層サセプタ配設であることがより好ましい。
【0047】
発熱体、特に多層サセプタ素子は、異なる形状、例えばピン形状、ロッド形状、または細片形状を有してもよい。発熱体は細長い発熱体であることが好ましい。
【0048】
多層サセプタ配設は、細長い、細片の形態の多層サセプタ配設であることが好ましい。多層サセプタ配設の第一のサセプタ材料の第一の層と多層サセプタ配設の第二のサセプタ材料の第二の層は、相互に密接な物理的接触をし、第二のサセプタ材料は摂氏500度未満のキュリー温度を含むことが好ましい。
【0049】
第一のサセプタ材料はキュリー温度を含まないか、または摂氏500度を超えるキュリー温度を含みうることが好ましい。
【0050】
第一のサセプタ材料は、サセプタが変動する電磁場内に置かれた時に、サセプタを加熱するために主に使用されることが好ましい。任意の好適な材料が使用されてもよい。例えば、第一のサセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはステンレス鋼などの鉄系材料であってもよい。第一のサセプタ材料は、金属、例えばフェライト鉄、またはステンレス鋼、具体的にはグレード410、グレード420、もしくはグレード430のステンレス鋼を含むか、またはそれらから成ることが好ましい。
【0051】
第二のサセプタ材料は、サセプタが特定の温度(第二のサセプタ材料のキュリー温度である温度)に達した時を示すために主に使用されることが好ましい。動作中にサセプタ組立品全体の温度を調節するために、第二のサセプタ材料のキュリー温度を使用することができる。それ故に、第二のサセプタ材料のキュリー温度はエアロゾル形成基体の発火点を下回るべきである。第一および第二のサセプタ材料がすぐ近くにあることは、正確な温度制御を提供するにあたって有利でありうる。
【0052】
第一のサセプタ材料は、摂氏500度を超えるキュリー温度を有する磁性材料であることが好ましい。加熱効率の観点から、第一のサセプタのキュリー温度は、サセプタ組立品が加熱されることができる任意の最大温度を超えることが望ましい。第二のサセプタ材料のキュリー温度は、好ましくは摂氏400度より低く、好ましくは摂氏380度よりも低く、または摂氏360度より低くなるように選択されてもよい。第二のサセプタ材料は所望の最高加熱温度と実質的に同じであるキュリー温度を有するように選択された磁性材料であることが好ましい。第二のサセプタ材料のキュリー温度は、例えば、摂氏200度~摂氏400度、または摂氏250度~摂氏360度の範囲内であってもよい。
【0053】
こうして、加熱時には第一および第二のサセプタ材料は同一の温度を有する。サセプタ配設が物品に収容される時、エアロゾル形成基体の加熱のために最適化されうる第一のサセプタ材料は、所定の最大加熱温度よりも高い第一のキュリー温度を有しうる。サセプタが第二のキュリー温度に達すると、第二のサセプタ材料の磁性が変化する。第二のキュリー温度で、第二のサセプタ材料は強磁性の相から常磁性の相へと可逆的に変化する。誘導加熱の間、第二のサセプタ材料のこの相変化は、第二のサセプタ材料との物理的接触なしに検出され得る。相変化の検出により、サセプタ配設の実際の使用において、エアロゾル形成基体の加熱に対する制御が可能になり得る。例えば、第二のキュリー温度に関連する相変化が検出された時点で、誘導加熱は自動的に停止させうる。こうして、主としてエアロゾル形成基体の加熱を担う第一のサセプタ材料がキュリー温度、すなわち望ましい最大加熱温度よりも高い第一のキュリー温度を持たない場合でも、エアロゾル形成基体の過熱を回避することができる。誘導加熱が停止した後、サセプタは第二のキュリー温度よりも低い温度に達するまで冷却される。この時点で第二のサセプタ材料はその強磁性を再び獲得する。この相変化は第二のサセプタ材料と接触することなく検出することができ、よって誘導加熱を再び起動しうる。こうして、サセプタ配設の誘導加熱およびサセプタ組立品を囲むエアロゾル形成基体は、誘導加熱装置の起動および停止を繰り返すことによって制御されうる。この温度制御は無接触の手段によって達成される。第一のサセプタ材料と第二のサセプタ材料の間の密接な接触は、任意の適切な手段によってなされてもよい。例えば、第二のサセプタ材料は、第一のサセプタ材料上にメッキ、堆積、被覆、クラッディング、または溶接されてもよい。好ましい方法としては、電気メッキ、亜鉛メッキ、およびクラッディングが挙げられる。第二のサセプタ材料は高密度の層として存在することが好ましい。高密度層は多孔性の層よりも高い透磁率を有し、キュリー温度での微細な変化を検出することをより容易にする。第一のサセプタ材料が基体の加熱のために最適化されている場合、第二のサセプタ材料の量は検出可能な第二のキュリー点の提供に必要とされるよりも大きくないことが好ましい場合がある。
【0054】
第二のサセプタ材料のために好適な材料は、ニッケルおよびある特定のニッケル合金を含んでもよい。
【0055】
第二のサセプタ材料の特定の材料選択は、様々なサセプタ材料間、特に様々な層間の制限された自由移動が、こうしたサセプタ配設の大量生産中に制御することが困難である磁気収縮に与える影響に起因して、その製造中に生じるサセプタ配設における望ましくない効果を低減し得ることが見出された。具体的に、これらの望ましくない効果は、前駆体積層材料(複数のサセプタ配設はこの材料から最終的に作製される)の異なる場所にわたって変化する場合がある。結果として、磁性は、同じ前駆体材料で作製されている場合でさえも、異なるサセプタ配設間で変化する場合がある。
【0056】
したがって、第二のサセプタ材料は、75重量パーセント~85重量パーセントおよび10重量パーセント~25重量パーセントのFeを含むNi-Fe合金を含むか、またはそれから成ることが好ましい。より具体的には、Ni-Fe合金は、79重量パーセント~82重量パーセントのNiおよび13重量パーセント~15重量パーセントのFeを含んでもよい。上記の範囲内のNiおよびFeを含むNi-Fe合金は、弱い磁歪しか呈しない、または磁歪を呈しないことが見いだされた。結果として、第二の層の第二のサセプタ材料は、その加工後、およびその動作の温度範囲全体を通して、その磁性の変化がないか、または少なくとも減少したのみである。これは結果として、加工後およびその後の動作中に、その磁性の変化がない、またはごくわずかな変化しかない、第二の磁気的層を有する多層サセプタ配設の大量生産を可能にする。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「重量パーセント」または「重量パーセント」は、その合金内の元素の質量分率を示し、これは、そのそれぞれの元素の質量と、その合金の試料の総質量との比である。
【0058】
主な構成成分に加えて、Ni-Fe-合金の残りの部分は、以下の元素:Co、Cr、Cu、Mn、Mo、Nb、Si、TiおよびVのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0059】
本明細書で使用される記号Niは、化学元素のニッケルを表し、記号Feは、化学元素の鉄を表し、記号Coは、化学元素のコバルトを表し、記号Crは、化学元素クロムを表し、記号Cuは、化学元素の銅を表し、記号Mnは、化学元素のマンガンを表し、記号Moは、化学元素のモリブデンを表し、記号Nbは、化学元素のニオブを表し、記号Siは、化学元素のケイ素を表し、記号Tiは、化学元素のチタンを表し、記号Vは、化学元素のバナジウムを表す。
【0060】
第一の層は、20マイクロメートル~60マイクロメートルの範囲の層厚さを有してもよい。
【0061】
第二の層は、4マイクロメートル~20マイクロメートルの範囲の層厚さを有してもよい。
【0062】
第二の材料は、第一の材料に密接に連結されてもよい。本明細書で使用される場合、「密接に連結された」という用語は、特に層構造と平行な方向において二つの材料の間で機械的力が伝達されてもよいような、サセプタ配設内の二つのサセプタ材料間の、特にサセプタ層の間の機械的連結を指す。連結は、層状の、二次元な、領域連結、または全領域連結であってもよく、すなわち二つの層のそれぞれの対向する表面の両側の連結であってもよい。連結は直接の連結であってもよい。具体的に、相互に密接に連結されている二つの材料は、相互に直接接触していてもよい。別の方法として、連結は間接的な連結であってもよい。具体的に、二つの材料は、少なくとも一つの中間材料を介して間接的に連結されてもよい。第二の層は、第一の層上に配設されていて、かつ第一の層に密接に連結されていて、具体的に第一の層と直接接続されていることが好ましい。
【0063】
一部の実施形態では、多層サセプタ配設は、第二の層に密接に連結された第三の層を備え、第三の層は第三のサセプタ材料を備える。この文脈において、「密接に連結された」という用語は、第一および第二の材料に関して上記で定義したものと同様に使用される。
【0064】
好ましくは、第三のサセプタ材料は、エアロゾル形成基体がサセプタ配設の表面にくっつくのを回避する、サセプタ材料からエアロゾル形成基体の中への材料拡散(例えば、金属マイグレーション)を回避する、サセプタ配設の材料間の熱膨張の差異に起因する熱的な曲がりを回避もしくは低減する、または他の材料、特に第二の材料をあらゆる腐食性の影響から保護する、のうちの少なくとも一つを行うように構成された保護材料である。
【0065】
後者は、サセプタ配設がエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中に埋め込まれている場合、すなわちサセプタ配設がエアロゾル形成基体と物理的に直接接触している場合、特に重要である。このために、第三のサセプタ材料は好ましくは、耐腐食性材料を含む、またはそれから成ることが好ましい。有利なことに、耐腐食性材料は、第三のサセプタ材料によって覆われていて、それ故に環境に直接曝露されない、耐腐食性ではない第二のサセプタ材料の外表面のそれらの部分の経時特性を改善する。
【0066】
本明細書で使用される「第三の層」という用語は、第一の層および第二の層と異なる、第一の層および第二の層に加えた層を指す。具体的に、第一のサセプタ材料または第二のサセプタ材料の酸化から生じる第一の層または第二の層の表面上の任意の可能性のある酸化物層は、第三の層(具体的に、耐腐食性材料を含むまたは耐腐食性材料から成る第三の層)と見なされるべきではない。
【0067】
これに起因して、多層サセプタ配設は、同じ熱膨張係数を有する少なくとも二つの層を備え、これは結果として、動作温度範囲を通してサセプタ配設の変形の低減をもたらす。これは、サセプタ配設が第一の層、第二の層、第三の層のみを備える場合、および第二の層が第一の層と第三の層の間に対称的に挟まれている場合に特に当てはまる。
【0068】
したがって、第三のサセプタ材料は、金属、例えばフェライト鉄、またはステンレス鋼、例えばフェライト系ステンレス鋼、具体的に400シリーズステンレス鋼(グレード410のステンレス鋼、またはグレード420のステンレス鋼、またはグレード430のステンレス鋼、または類似のグレードのステンレス鋼など)を含んでもよい。別の方法として、第三のサセプタ材料は適切な非磁性材料、特に常磁性の導電性材料(アルミニウム(Al)など)を含んでもよく、またはそれらであってもよい。同様に、第三の材料は、非導電性のフェリ磁性セラミックなどの非導電性のフェリ磁性材料を含んでもよく、またはそれらであってもよい。
【0069】
第三の材料が、オーステナイトステンレス鋼を含む、またはそれから成ることも可能である。有利なことに、オーステナイトステンレス鋼は、その常磁性特性および高い電気抵抗に起因して、第二の層を第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料に加えられる磁場からわずかに遮蔽する。一例として、第三の層は、X5CrNi18-10(EN(欧州規格)による名称、材料番号1.4301、V2A鋼としても知られる)またはX2CrNiMo17-12-2(EN(欧州規格)による名称、材料番号1.4571または1.4404、V4A鋼としても知られる)を含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。具体的に、第三の層は、301ステンレス鋼、304ステンレス鋼、304Lステンレス鋼、316ステンレス鋼、または316Lステンレス鋼(SAE鋼グレード[米国自動車技術者協会]による名称)のうちの一つを含んでもよい、またはそれらから成ってもよい。
【0070】
存在する場合、第三の材料は、2マイクロメートル~6マイクロメートル、具体的には3マイクロメートル~5マイクロメートル、好ましくは3マイクロメートル~4マイクロメートルの範囲内の第三の層厚さを有する第三のサセプタ層であってもよい。
【0071】
第三の層の層厚さは、第一の層の層厚さの0.05~1.5倍、特に0.1~1.25倍、または0.95~1.05倍、特に1倍の範囲であってもよい。
【0072】
対称的な層構成、またはほぼ対称的な層構成の場合、第一の層だけでなく第三の層は、2マイクロメートル~20マイクロメートル、具体的に3マイクロメートル~10マイクロメートル、好ましくは3マイクロメートル~6マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。
【0073】
次いで第二の層は、5マイクロメートル~50マイクロメートル、具体的に10マイクロメートル~40マイクロメートル、好ましくは20マイクロメートル~40マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。
【0074】
試験装置に関して、または試験方法に関して記載される本発明の利点および特徴は、その逆も同様に適用可能である。
【実施例
【0075】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のいずれか一つ以上の特徴と組み合わされ得る。
【0076】
実施例1:
エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための非破壊試験装置であって、試験装置が、
エアロゾル発生物品が通路を通って制御モジュールを通過するための通路を備える制御モジュールであって、制御回路および測定装置をさらに備える、制御モジュールを備え、
制御回路が、制御モジュールの通路内に交番磁界を生成するように構成された励起コイルを備え、測定装置が、発熱体が通路を通って制御モジュールを通過する時、発熱体の物理的特性に応答して、制御回路に加えられる負荷に関連する値を決定するように構成され、
制御モジュールが、試験された発熱体の決定された値が、所定の発熱体の所定の値に対応するかどうかを決定するようにさらに構成される、非破壊試験装置。
実施例2:
決定された値が、発熱体の見かけの電気抵抗を示す値である、実施例1に記載の試験装置。
実施例3:
測定装置が、装置のDC電源から制御回路によって引き出されるDC電流を判定するための電流測定装置を備え、測定装置が、判定されたDC電流と制御回路に印加されたDC電圧との比から制御回路の電気抵抗値を決定するように構成される、実施例1またはEx2のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例4:
制御モジュールの制御回路が、励起コイルに電力供給するための電力パルスを提供するように構成される、実施例1~3のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例5:
励起コイルが、測定装置のLRC回路の一部である、実施例1~4のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例6:
制御回路が、励起コイルを低電力で動作させるように構成される、実施例1~5のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例7:
制御回路が、0.5V~3V、好ましくは1Vの範囲のDC電圧を印加するように構成される、実施例6に記載の試験装置。
実施例8:
制御モジュールが、試験された発熱体の決定された値が所定の発熱体の所定の値に対応する場合に、エアロゾル形成物品の受け入れを出力する、または試験された発熱体の決定された値が所定の発熱体の所定の値に対応しない場合に、エアロゾル発生物品の拒否を出力するように構成される、実施例1~7のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例9:
励起コイルが制御モジュール内に配設され、かつ通路を囲むように配設される、実施例1~8のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例10:
制御モジュール内の通路が、制御モジュールを通る貫通孔である、実施例1~9のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例11:
エアロゾル発生物品を制御モジュールの通路に案内するための案内要素をさらに備える、実施例1~10のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例12:
案内要素が、エアロゾル発生物品を制御モジュールに搬送するためのコンベヤを備える、実施例11に記載の試験装置。
実施例13:
案内要素が、スライド上でエアロゾル発生物品を案内するためのスライドを備える、実施例11に記載の試験装置。
実施例14:
案内要素が、通路の開口部に対して収束する収束ガイドを備える、実施例11~13のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例15:
エアロゾル発生物品を保持するための貯蔵部をさらに備え、貯蔵部が制御モジュールの上流に配設されている、実施例1~14のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例16:
試験装置が、物品製造構成要素の間に配設されている、実施例1~15のいずれか一つに記載の試験装置。
実施例17:
製造構成要素が、ロッド形成装置および試験装置の上流に配設された切断装置のうちのいずれか一つ、ならびに試験装置の下流に配設された切断装置、物品貯蔵部、および物品包装装置のうちのいずれか一つである、実施例16に記載の試験装置。
実施例18:
方法が、
発熱体を備えるエアロゾル発生物品を提供することと、
発熱体を加熱することなく、エアロゾル発生物品に制御回路の交番磁界を通過させることと、
制御回路の交番磁界を通過する発熱体の物理的特性に応答して、制御回路に印加される発熱体による負荷に関連する値を決定することと、試験された発熱体の決定された値を、所定の発熱体の所定の値
と比較することと、を含む、エアロゾル発生物品内の発熱体を試験するための非破壊試験方法。
実施例19:
試験された発熱体の決定された値と所定の値との間の差が所定の閾値内である場合に、エアロゾル発生物品を受け入れること、または試験された発熱体の決定された値と所定の値との間の差が所定の閾値を超える場合に、エアロゾル発生物品を拒否することをさらに含む、実施例18に記載の方法。
実施例20:
発熱体の見かけの電気抵抗を示す値を決定する、実施例18~19のいずれか一つに記載の方法。
実施例21:
制御回路によってDC電源から引き出されるDC電流を測定し、制御回路に印加されるDC電圧に対する決定されたDC電流の比から制御回路の電気抵抗値を決定する、実施例18~20のいずれか一つに記載の方法。
実施例22:
制御モジュールから励起コイルに電力パルスを提供する、実施例18~21のいずれか一つに記載の方法。
実施例23:
0.5V~3VのDC電圧を制御回路に印加する、実施例18~22のいずれか一つに記載の方法。
実施例24:
エアロゾル発生物品が、試験される時に、0m/s~40m/sの速度で交番磁界を通過する、実施例18~23のいずれか一つに記載の方法。
実施例25:
エアロゾル発生物品が、試験される時に、10m/s~30m/sの速度で交番磁界を通過する、実施例24に記載の方法。
実施例26:
エアロゾル発生物品が、励起コイルの中心を通過する、実施例18~25のいずれか一つに記載の方法。
実施例27:
エアロゾル発生物品を励起コイルの中心に案内する、実施例26に記載の方法。
実施例28:
エアロゾル発生物品が、搬送手段によって交番磁界を通して搬送される、実施例18~27のいずれか一つに記載の方法。
実施例29:
エアロゾル発生物品が、重力によって交番磁界を通って落下する、実施例18~28のいずれか一つに記載の方法。
実施例30:
発熱体を備えるエアロゾル発生物品を備える貯蔵部をさらに提供し、エアロゾル発生物品を貯蔵部から交番磁界に案内する、実施例18~29のいずれか一つに記載の方法。
実施例31:
エアロゾル発生物品がロッド状である、実施例18~30のいずれか一つに記載の方法。
実施例32:
エアロゾル発生物品が発熱体を含むロッド状のエアロゾル発生基体である、実施例31に記載の方法。
実施例33:
エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置で使用される消耗品のたばこプラグの最終長さを有する、実施例18~32のいずれか一つに記載の方法。
実施例34:
エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生装置で使用される消耗品のたばこプラグの最終長さの複数の長さを有する、実施例18~32のいずれか一つに記載の方法。
実施例35:
所定の発熱体の長さに従って、所定の発熱体の所定の値を適合させる、実施例18~34のいずれか一つに記載の方法。
実施例36:
発熱体が、少なくとも一つのサセプタ材料を備える、実施例18~35のいずれか一つに記載の方法。
実施例37:
発熱体が多層サセプタ配設である、実施例18~36のいずれか一つに記載の方法。
実施例38:
多層サセプタ配設が、細片の形態の細長い多層サセプタ配設である、実施例37に記載の方法。
実施例39:
多層サセプタ配設の第一のサセプタ材料の第一の層、および多層サセプタ配設の第二のサセプタ材料の第二の層が、互いに密接な物理的接触をし、第二のサセプタ材料が、摂氏500度未満のキュリー温度を含む、実施例37~38のいずれか一つに記載の方法。
実施例40:
第一のサセプタ材料が、キュリー温度を含まないか、または摂氏500度を超えるキュリー温度を含む、実施例39のいずれか一つに記載の方法。
実施例41:
第一のサセプタ材料が、金属、例えばフェライト鉄、またはステンレス鋼、具体的にグレード410、グレード420、もしくはグレード430のステンレス鋼を含む、またはそれから成る、実施例39~40のいずれか一つに記載の方法。
実施例42:
第二のサセプタ材料が、75重量パーセント~85重量パーセントおよび10重量パーセント~25重量パーセントのFeを含むNi-Fe合金を含むか、またはそれから成る、実施例39~41のいずれか一つに記載の方法。
実施例43:
Ni-Fe合金が、以下の要素:
Co、Cr、Cu、Mn、Mo、Nb、Si、TiおよびVのうちの一つ以上をさらに含む、実施例42に記載の方法。
実施例44:
第一の層が、20マイクロメートル~60マイクロメートルの範囲内の層厚さを有する、実施例39~43のいずれか一つに記載の方法。
実施例45:
第二の層が4マイクロメートル~20マイクロメートルの範囲内の層厚さを有する、実施例39~44のいずれか一つに記載の方法。
実施例46:
多層サセプタ配設が、第二の層に密接に連結された第三の層を含み、第三の層が、第三のサセプタ材料を含む、実施例39~45のいずれか一つに記載の方法。
実施例47:
第三のサセプタ材料が、第一のサセプタ材料と少なくとも部分的に同一である、実施例46に記載の方法。
実施例48:
第三の層が、オーステナイトステンレス鋼、具体的には301ステンレス鋼、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼、もしくは316Lステンレス鋼のうちの一つを含むか、またはそれから成る、実施例46~47のいずれか一つに記載の方法。
実施例49:
第三の層が、2マイクロメートル~6マイクロメートルの範囲内の層厚さを有する、実施例46~48のいずれか一つに記載の方法。
【0077】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、試験装置の例示的な実施形態を概略的に示す。
図2図2は、図1の試験装置の技術的動作原理を概略的に示す。
図3図3は、発熱体を備える落下物品を測定するための試験装置のセットアップである。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は、試験装置2を通過する物品1を概略的に図示する。物品1は、発熱体(図示せず)、例えば多層サセプタ配設などの誘導加熱式発熱体を備える。物品1は、発熱体およびエアロゾル形成基体を備えるロッド状のエアロゾル発生物品であることが好ましい。特に、物品1は、サセプタが中に包埋されているたばこ含有基体である。物品はまた、最終的な消耗品であってもよく、それ故に発熱体および追加的なセグメント、例えばフィルター要素を有するたばこプラグであってもよい。
【0080】
物品1内の発熱体の品質をチェックするために、物品1は通路22を通って試験装置2を通過する。試験装置2の配設に応じて、物品1は、例えばコンベヤ(図示せず)によって、通路22を通って、かつ試験装置2を通って案内されてもよい。物品はまた、試験装置2の通路22に案内されてもよく、また重力に伴い、例えば図1に示す通り垂直下向きに通路を通って落下し得る。
【0081】
したがって、試験される物品1の移動方向100は、水平もしくは垂直、または水平と垂直との間のいずれであってもよい。
【0082】
垂直配設は、正確に垂直に配設され得るか、または正確な垂直配設から数度ずらして配設され得る通路を有する。例えば、垂直通路は、0度から45度、好ましくは、例えば0度から15度など、0度から30度で配設され、ここで0度は正確な垂直配設に対応する。
【0083】
試験装置2は、制御モジュール13を備える。制御モジュール13内に位置するのは、ブロック130で示されるLRC測定回路の一部を形成する励起コイル11である。
【0084】
試験装置2は、市販の装置で使用されるコイルモジュールとは異なる動作をする。実際の装置では、エアロゾル形成のために物品1のエアロゾル形成基体を加熱するために、発熱体を加熱する必要がある。
【0085】
試験装置2では、励起コイル11は、低電圧、例えば約1Vで供給される。
【0086】
LRC回路は、プロセッサに接続されて、制御モジュール13から出力データを収集する。
【0087】
出力および決定された試験の結果は、典型的には、物品2、およびそれに応じて発熱体がコイル11の内側に位置する時に、試験装置2の内側に配設された励起コイル11の等価抵抗である。
【0088】
通路22を備える制御モジュール13は、物品を試験して通路を通過させ、制御モジュール13を通る物品の通過中に測定を行うことを可能にする。これにより、高速プロセスでの試料試験が可能となる。高速で、例えば約10m/s~30m/sで通路22を通過する物品速度で、多数の物品を分析することが可能である。物品1の速度は、測定装置の容量に依存してもよい。
【0089】
試験装置2によって提供される基本的なフィードバックは、すべての試験された物品が、装置に記録された等価抵抗に関して類似の応答を有することを確認することである。
【0090】
試験装置2は非破壊試験であるため、試験された物品1は試験後にまだ使用することができる。この理由から、試験装置2は、欠陥のある物品を簡単にかつ迅速に選別することができる物品の製造ラインに沿って配設されるのに適している。
【0091】
図2では、試験装置2の測定部品の基本的な技術的動作原理が概略的に図示されている。負荷111は、制御モジュール13内に配設された励起コイル11と、試験される物品1内に位置する発熱体、特にサセプタとを備えるシステムによって生成されるインピーダンスを表す。
【0092】
システムは信号112を送信し、次に結果として生じる電圧Vおよび制御回路によって吸収される電流Iを測定する。励起コイル11の特性を知ることによって、発熱体の物理的特性の測定値を得ることが可能である。
【0093】
図3は、試験装置2を通過する落下物品1を測定するように適合された試験装置2のセットアップを概略的に示す。
【0094】
ホッパーの形態の貯蔵部30は、試験される複数の物品、例えば、試験されるサセプタ素子を運ぶ細長いスティックを含む。ホッパーは、例えば20o~300本のスティックなど、数百本のスティックを含みうることが好ましい。スティックは、サセプタ配設を備える要素を備える最終的な消耗品であってもよく、または主にたばこロッドの内側に配設されたサセプタ配設を有するたばこロッドであってもよい。
【0095】
ホッパーから、物品1は下向きに落下し、貯蔵部30の下方に配設されたスライド組立品31内の垂直線に沿って位置付けられる。スライド組立品31から、物品は試験装置2に到達する。スライド組立品31は、落下物品が試験装置内の通路22に案内されるように位置付けられる。試験された物品は通路22を出て、測定およびインジケータ部分33を通過し、その後、物品を収集する容器34に入る。
【0096】
測定およびインジケータ部分33は、センサー110、ストッパー332およびインジケータライト333を備える。
【0097】
インジケータライト333は、例えば光の色を変えることによって、試験装置の状態、または試験された物品が許容可能かまたは欠陥があるかどうかを示しうる。例えば、一つの色は、装置が測定の準備が整っていること、測定が進行中であること、測定された物品が製品公差内であること、または物品が製品公差外であることを示しうる。
【0098】
センサー110は、試験装置を通過する物品を測定するための図1で上述した制御モジュール13であってもよく、サセプタ素子の等価電気抵抗が測定される。
【0099】
ストッパー332は、物品をセンサー110の内側の測定位置に維持する。ストッパー332は、物品が試験装置を通って落下する時に物品を停止し、物品が容器34内に収まるように、測定後に物品を解放する。
【0100】
試験条件は、測定サイクル全体、例えば、ある特定の数の試験された物品にわたって、またはある特定の試験時間にわたって、例えば、24時間にわたって一定に保たれることが好ましい。例えば、試験条件は、摂氏約20~24度および相対湿度約40~60パーセントを含む。所望の電気抵抗からの許容可能な偏差は、例えば、サセプタ素子の電気抵抗が300~450ミリオームの場合、±40ミリオームである。偏差は、例えば、5回の測定にわたる平均値に対して決定されることが好ましい。
【0101】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、数量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈において、数AはA±5%として理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むとみなされ得る。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用される一部の実例において、特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に著しく影響しない限り、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3
【国際調査報告】