(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ストレッチマークに対する皮下剥離処置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61B17/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523852
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022047138
(87)【国際公開番号】W WO2023069522
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,アリン,ケイ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF04
4C160FF60
4C160MM32
(57)【要約】
【要約】本明細書では対象の真皮の内面を皮下的に剥離するためのデバイスおよび方法が開示される。皮下剥離デバイスは、ハンドル、ハンドルから遠位に延伸する長尺のシャフト、および、長尺のシャフトの遠位端部分上に配置されている剥離面を包含してよい。剥離面は、対象の真皮を実質的に切断または穿刺することなく対象の真皮の内面を皮下的に剥離するように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下剥離デバイスであって:
ハンドル;
ハンドルから遠位に延伸する長尺のシャフト;および
長尺のシャフトの遠位端部分上に配置された剥離面を含み、
ここで、剥離面は、対象の真皮を実質的に切断または穿刺することなく、対象の真皮の内面を皮下的に剥離するように構成されている、
前記皮下剥離デバイス。
【請求項2】
真皮の内面が、対象の真皮の網状層の一部分を包含する、請求項1に記載の皮下剥離デバイス。
【請求項3】
剥離面が1以上のやすりを包含する、請求項1に記載の皮下剥離デバイス。
【請求項4】
剥離面が、長尺のシャフトよりもより広いヘッド部分を包含する、請求項1に記載の皮下剥離デバイス。
【請求項5】
剥離面が、第1の未展開構成から第2の展開構成へと展開する展開可能なヘッドを包含する、請求項1に記載の皮下剥離デバイス。
【請求項6】
展開可能なヘッドが対象内で選択的に展開可能である、請求項5に記載の皮下剥離デバイス。
【請求項7】
長尺のシャフトが調整可能な長さを有するように構成されている、請求項1に記載の皮下剥離デバイス。
【請求項8】
長尺のシャフトが伸縮式の長尺のシャフトである、請求項1に記載の皮下剥離デバイス。
【請求項9】
少なくとも剥離部分が、対象の開口部に挿入されるように構成されている、請求項1に記載の皮下剥離デバイス。
【請求項10】
対象の皮膚の一局所を処置する方法であって:
対象の皮膚の開口部に剥離デバイスを挿入すること、および
対象の真皮の内面を皮下的に剥離すること
を含む、前記方法。
【請求項11】
開口部から剥離デバイスを除去することをさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
剥離デバイスを開口部に挿入することが、剥離面を真皮の内面とは反対側に向けて剥離デバイスを挿入することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
剥離面を真皮の内面とは反対側に向けて剥離デバイスを挿入することの後、および真皮の内面を皮下的に剥離することの前に、剥離面を真皮の内面に向かって回転させること、をさらに包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
剥離デバイスを開口部に挿入することの後に、剥離デバイスの剥離面を第1の未展開構成から第2の展開構成に展開することをさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
剥離デバイスの長尺のシャフトの長さを延伸することをさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年10月20日に出願され「ストレッチマークに対する皮下剥離処置」と題された米国仮出願第63/257,881号に対し、35U.S.C§119(e)に基づく利益を主張し、その内容全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
分野
開示された態様は、例えばストレッチマークを処置するために、対象の皮膚の局所を皮下的に剥離するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ストレッチマーク(striae distensae)は、男性の約40%および女性の約70%を包含する、人類のほぼ2分の1に影響を及ぼす一般的な皮膚瘢痕である。瘢痕の出現は、特に瘢痕の外観を好まない患者にとって、数ある中でも外見上の懸念を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
簡単な概要
一側面に従うと、皮下剥離デバイスには、ハンドル、ハンドルから遠位に延伸する長尺のシャフト、および長尺のシャフトの遠位端部分に配置される剥離面を包含し、剥離面は、対象の真皮を実質的に切断または穿刺することなく、対象の真皮の内面を皮下的に剥離するように構成される。
【0005】
別の側面によれば、対象の皮膚の局所を処理する方法は、対象の皮膚の開口部中へと剥離デバイスを挿入すること、および対象の真皮の内面を皮下的に剥離することを包含する。
【0006】
前述の概念、および以下で議論される追加の概念は、本開示がこの点において限定されないため、任意の適切な組み合わせで配されてよいことを理解されたい。さらに、本開示の他の利点および新規な特徴は、添付の図と併せて考えると、様々な非限定的な態様の以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な記載
本開示の非限定的な態様を、添付の図を参照して例として記載するが、概略的であり、縮尺に合わせて描かれることを意図するものではない。図では、図に示されている各同一またはほぼ同一の構成要素は、通常、単一の数字で表される。明確さのために、すべての構成要素がすべての図でラベルが貼られているわけではなく、また、その当業者が開示を理解するのに説明が必要ないところには本開示の各態様のすべての構成要素が示されていない。図中:
【0008】
【
図1A】
図1Aは、例示の一態様による皮下剥離デバイスの側面図である。
【
図1B】
図1Bは、例示の一態様による皮下剥離デバイスの側面図である。
【
図1C】
図1Cは、例示の一態様による未展開構成と展開構成との間を選択的に遷移するように構成された皮下剥離デバイスの側面図である。
【
図1D】
図1Dは、例示の一態様による未展開構成と展開構成との間を選択的に遷移するように構成された皮下剥離デバイスの側面図である。
【0009】
【
図1E】
図1Eは、例示の一態様による皮下剥離デバイスの側面図である。
【
図1F】
図1Fは、例示の一態様による皮下剥離デバイスの側面図である。
【
図1G】
図1Gは、例示の一態様による皮下剥離デバイスの側面図である。
【0010】
【
図2】
図2は、例示の一態様による対象上に使用されている皮下剥離デバイスの側面図であり;および
【
図3】
図3は、例示の一態様による皮下剥離デバイスの使用方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な記載
一般的に言って、対象の皮膚が伸びる場合、ストレッチマークと呼ばれる傷跡が皮膚において現れることがある。とりわけ、ストレッチマークは、皮膚を支えるコラーゲンおよび/またはエラスチンが損傷したり破裂したりすると形成されるかもしれない。ストレッチマークは、急激な成長、妊娠、急速な体重減少または増加、急速な筋肉の成長、および/またはその他の適切な状況の間など、適切な状況下で形成されてよい。ストレッチマークは、特にストレッチマークの外観が気に入らない患者にとって、美容上の懸念を引き起こすかもしれない。
【0012】
ストレッチマークを処置するための従来の治療は、皮膚の上部(例として、外側へと向いている外面)の表面に処置または他の手技を適用することを包含する。これらの処置には、以下の:局所薬(例として、メデルマ(Mederma)、レチノイド、シリコーン)、ケミカルピーリング、マイクロダーマブレーション、レーザー(例として、非剥離レーザー(例として、パルス色素、1450ダイオード、1550エルビウム)および/またはアブレイティブレーザー(例として、CO2、エルビウム/yag))、高周波、および/またはマイクロニードルを包含してよい。このような処置や手技は、異なる有効性、罹患率、および/または複数の処置の必要性を有してよい。さらに、このような「トップダウン」アプローチは、表皮を通して真皮に到達する、および/または真皮の限定された上部(例として、真皮の乳頭層または真皮の網状層の小さな上部)に損傷を誘導することを試み、それを、真皮における新しいコラーゲンの形成で修復されて、ストレッチマークの存在を処置してよい。しかし、そのような「トップダウン」アプローチは、皮膚を通して真皮の下部に効果的に浸透し、所望の再生効果(例として、コラーゲンの成長)を誘導することが困難な場合があり、それはこのような「トップダウン」アプローチの有効性を限定するかもしれない。
【0013】
上記に鑑みて、発明者は、例えばストレッチマークを処置するための、真皮の修復を促進するための皮下アプローチの利点を認識した。とりわけ、本開示のいくつかの態様によれば、対象の皮膚を皮下的に処置する方法(例として、ストレッチマークを処置する方法)が開示される。いくつかの態様では、臨床医は、対象の皮膚の開口部中へと剥離デバイスを挿入し、したがって、剥離デバイスが対象の真皮の内面に到達するようにしてもよい。したがって、臨床医は、次に、対象の真皮の内面(例として、その下の脂肪組織との接合部での最も深い網状層)を皮下的に剥離し、対象の皮膚が(例として、本明細書に記載されるような新しいコラーゲンで皮膚を修復することによって)治癒するよう誘導してもよい。以下で詳述するように、このような方法は、表皮または真皮の上部(例として、真皮の乳頭層または真皮の網状層の小さな上部)の処置に限定される以前のシステムおよび方法と比較して、真皮の下部部分に直接影響を与えることが可能である。
【0014】
別の側面によれば、皮下剥離デバイスが開示される。皮下剥離デバイスは、ハンドル、長尺のシャフト、および剥離面を包含してもよい。長尺のシャフトは、ハンドルから遠位に延伸してもよく、順番に、剥離面は、長尺のシャフトの遠位端部分上に配置されてもよい。いくつかの態様において、剥離面は、対象の真皮を実質的に切断または穿刺することなく、対象の真皮の内面を皮下的に剥離するように構成されてよい。
【0015】
対象の真皮の上部部分(例として、真皮の乳頭層または網状層の小さな上部部分)の処置に限定されるかもしれない従来の処置とは異なり、本明細書に開示される態様は、真皮の網状層を包含する真皮の下部部分への直接のアクセスを提供してよい。したがって、本明細書に開示される態様は、臨床医に、真皮の下側においてより容易におよび直接的に圧力を誘導する能力を提供してもよい。さらに、発明者は、このような処置方法が、他の「トップダウン」方法と比較して、真皮の大規模な再構築を誘導してストレッチマークをより効果的に処置することができることを見出した。
【0016】
当業者には当然のことながら、真皮の下側上に直接圧力を誘導することに加えて、真皮の下側を直接皮下的に剥離することは、臨床医により短い期間で真皮のより大きな部分に影響を与えることを可能にしてよい。例えば、チェアタイム(例として、手技が実施されるのに要する時間)は、本明細書に記載のような従来の処置と比較して低減されてよい。場合によっては、チェアタイムが約45分から約10分へと低減されてもよいが、開示はそれほど制限されていないため、手技のサイズと程度に応じて適切な処置時間が使用されてよい。
【0017】
本明細書に記載されるように、および理論に拘束されることを望まずに、対象の真皮を皮下的に剥離することは、剥離領域における対象におけるコラーゲン生成の増大を促進するかもしれない。剥離領域のコラーゲン生成が増大すると、特に従来の処置と比較して、ストレッチマークの視認性を劇的に低減させる可能性がある。
【0018】
いくつかの態様において、皮下剥離は、低侵襲的なやり方で実施されてよい。例えば、臨床医は、対象の皮膚に開口部を作るために、対象に小さな切開を作成してもよい。次に、臨床医は、開口部中へ剥離デバイスを挿入して、対象の真皮の標的の内面に対して剥離デバイスの剥離面をこすり落とすおよび/または摩擦し、真皮の下側へ圧力を直接誘導してもよい。その後、同じ開口部を介して剥離デバイスを除去してもよい。いくつかの態様において、剥離デバイスは剥離面が開口部よりも小さい未展開構成から、未展開構成および開口部よりも大きい展開構成に展開されるように、対象内部で展開可能であってもよい。いくつかの場合において、開口部を対象の皮膚の臍またはその近くにまたは他の適切な部分に作成し、切開を対象の体内の既存の線と調和させてもよい。当然ながら、展開可能な剥離面が上記で論じられる一方で、固定された剥離面もまた、以下で詳述されるように企図されていることを理解されたい。
【0019】
当業者には当然のことながら、臨床医は(例として、本明細書に記載のとおり)真皮において圧力および/または微小裂け目を誘導しようと務めるかもしれないが、真皮が処置中に実質的に無傷の(例えば、穿刺、切断、裂け目などが実質的にない)ままであることが望ましい場合がある。したがって、本開示による皮下剥離デバイスは、対象の皮膚に対する穿刺、切断、裂け目、および他の大規模な損傷を実質的に回避しながら、対象の真皮の内面を剥離するように構成された任意の好適なサイズおよび/または形状の剥離面を包含してもよい。いくつかの態様において、剥離部分は、矩形、円形、円筒形、球形、半円形および/または任意の他の適切な形状を包含するが、これらに限定されない任意の適切な形状を有してよい。代替的にまたはそれに加えて、剥離部分は、皮下剥離デバイスの長尺のシャフトよりもより広くてもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。しかし、開示がそれほど限定されないので、剥離部分が、それが関連付けられている長尺のシャフトよりも狭い、または長尺のシャフトと同等に広い態様もまた企図される。
【0020】
さらに、剥離面は、対象の真皮の内部表面を剥離するように構成された任意の好適な特徴(単数または複数)を包含してもよい。例えば、いくつかの態様において、剥離面は、1以上の:やすり;鉤;突起;角度の付いた表面;フィン;長尺のシャフトの関連部分から径方向外側に延伸するエッジを包含する構造、および/または通常の操作中に真皮の穿刺または裂け目を回避しながら真皮の内側局所上へと圧力を誘導するように構成された他の適切な構造を包含してもよい。
【0021】
いくつかの態様において、剥離面は、デバイスの長尺のシャフトに対して遠位方向に少なくとも部分的に延伸していてもよいが、剥離面は、皮下剥離デバイスの長尺のシャフトに対してオフセット角度だけ角度的にオフセットされてもよい。いくつかの態様において、オフセット角度は、30度以上、40度以上、50度以上、および/または任意の他の適切な寸法以上であってもよい。いくつかの態様において、オフセット角度は、90度以下、80度以下、70度以下、および/または任意の他の適切な寸法以下であってもよい。前述の組み合わせは、例えば、30度と90度の間にあるか、または等しいオフセット角度を包含することが企図される。当然ながら、オフセット角度は開示がこの点に関して限定されていないので、用途に応じて任意の好適な値をとってもよい。
【0022】
いくつかの態様において、オフセット角度は調整可能であってもよく、一方、他の態様では、オフセット角度は固定されてもよい。オフセット角度が調整可能である態様では、オフセット角度は、能動的に調整可能(例えば、臨床医によって肯定的に)および/または受動的に調整可能(例として、対象の真皮の内面の輪郭に基づいて)であってもよい。
【0023】
いくつかの態様において、本開示による皮下剥離デバイスは、1以上の自動または可動構造を備える剥離面を包含してよい。例えば、いくつかの態様において、剥離面は、スピニング(spinning)部材を包含してもよい。スピニング部材は、電気的に(例として、電気モータによって)または受動的に(例として、対象の皮膚の輪郭に基づいて)駆動されてもよい。当然ながら、剥離面の任意の可動構造は、スピニング部材以外の構造も企図されるので、任意の好適なやり方で配列されてよい。このような自動化されたまたは可動な部材は、(例として、臨床医による)処置中のストローク(stroke)の繰り返しを低減させ、および/または異なる対象間の結果の一貫性を高めるのに役立つ可能性がある。
【0024】
当業者には当然のことながら、いくつかの態様において、剥離面が対象の真皮の標的の内面に近接して位置決めされるまで、皮下剥離デバイスの剥離面から患者を遮蔽することが望ましい場合もある。したがって、臨床医は、剥離面が真皮の内面とは反対側に向けて、対象の開口部に皮下剥離デバイスを挿入してもよい。次いで、いったん剥離面が適切に位置決めされると、臨床医は、剥離面が対象の真皮の標的の内面に接触するように皮下剥離用デバイスを回転させてもよい。このような態様では、デバイスは、第1の向きへの挿入を促進するために一方向に低減された寸法を、および第2の方向においてより大きな寸法を有して、対象の皮膚の所望の標的の領域の処置を促進してもよい。
【0025】
いくつかの態様において、皮下剥離デバイスの剥離面は展開可能であってもよい。例えば、未展開構成では、剥離面は、第1のより小さな横方向寸法(すなわち、幅または直径)を有してよい。したがって、そのような状態では、臨床医は、皮下剥離デバイスを(例として、本明細書に記載のとおり)対象に容易におよび低侵襲的に挿入することができる。皮下剥離デバイスが対象内へと挿入されると、剥離面は、次いで、展開構成に(例として、能動的または受動的に)展開されてもよく、未展開構成と比較して、剥離面がより大きな横方向寸法を有するようになる。場合によっては、より大きな横方向寸法はデバイスの長尺のシャフトよりもより広くてもよい。
【0026】
いくつかの態様において、皮下剥離デバイスの長尺のシャフトの長さは調整可能であってよい。例えば、長尺のシャフトは、用途に応じて、異なる長さ(例として、第1の引込まれた長さと第2の完全に延伸された長さ)の間を伸縮自在に遷移するように構成されてもよい。当然ながら、固定された長尺のシャフトを備える態様も企図されるので、このことは必ずしもそうである必要はない。
【0027】
図に目を向けると、特定の非限定的な態様がさらに詳細に記載される。これらの態様に関連して記載される種々のシステム、コンポーネント、特徴、および方法は、開示が本明細書に記載される特定の態様のみに限定されるものではないため、個別におよび/または任意の所望の組み合わせで使用され得ることを理解されたい。
【0028】
図1Aは、例示の態様による皮下剥離デバイス100を示す。皮下剥離デバイス100は、ハンドル108、長尺のシャフト106、および剥離面102を包含する。長尺のシャフト106は、ハンドル108から離れて遠位に延伸する。ハンドル108は、長尺のシャフト106の遠位端上へ配置された剥離面102を包含する。例示の態様では、剥離面は、対象の真皮の内側局所を非破壊的に(例として、本明細書に記載のとおり)剥離するように構成された複数のやすり104を包含する。
【0029】
図1Bは、手技中の対象のチェアタイムを低減するように構成された皮下剥離デバイス110を示す。上記と同様に、剥離面102は、ハンドル108に取り付けられた長尺のシャフト106の遠位部上に配置される。しかし、剥離面は長尺のシャフト106よりもより広いように構成されている。とりわけ、剥離面102は、長尺のシャフト106の幅W1よりも大きい幅W2を有する。図示の態様において、剥離面は、長尺のシャフトの遠位部上に配置され、長尺のシャフトの長手方向の軸に対して少なくとも部分的に横方向である方向に延伸する長尺のパドルに対応する。剥離面102がより広いほど、臨床医が所与の器用な動きのために対象の真皮の内面のより広い領域を(例として、本明細書に記載されるようなハンドルを介して)剥離することを可能にできるかもしれない。したがって、臨床医は、対象の真皮の内面の標的の局所をより迅速に剥離することが可能であってよく、対象のチェアタイムが低減されてもよい。
【0030】
いくつかの態様において、皮下剥離デバイスに関連する処置が低侵襲的なやり方で管理されることが望ましい場合がある。したがって、皮下剥離デバイスは、
図1C~
図1Dの態様に示されるように、展開可能であってよい。とりわけ、皮下剥離デバイスは、幅の小さい未展開構成から幅の広い展開構成へと展開することが望ましい場合がある(例として、本明細書に記載されるようなチェアタイムを短縮するため)。例えば、
図1Cに示されるように、いくつかの態様において、皮下剥離デバイスの剥離面102は、第1の折り畳まれた構成から、剥離面が長尺のシャフトから少なくとも部分的に外側に延伸する、展開構成に展開可能であってよい。しかし、長尺のシャフトの遠位部上に配置された展開可能なT字型またはパドルを包含する他の展開可能な形状も使用されてよい。図示の態様において、皮下剥離デバイスは、未展開構成112で初期設定されてよい。未展開構成112において、皮下剥離デバイスの剥離面102は、第1の幅L1を有する。皮下剥離デバイスは、例えば、対象において(例として、展開された皮下剥離デバイスと比較して)より小さな切開を作成することを可能にするために、未展開構成において対象中へと挿入されてもよい。いったん挿入されると、皮下剥離デバイスの剥離面102は、展開構成114へと展開されてよい。展開構成114においては、皮下剥離デバイスの剥離面102は、第1の幅L1よりも大きい第2の幅L2を有する。
【0031】
関連して、
図1Dの態様に示されるように、いくつかの態様において、皮下剥離デバイスの剥離面102は、傘状の形状に展開可能であってもよい。
図1Cの態様でのように、描かれた態様では、皮下剥離デバイスは、最初に未展開構成112に設定されてもよい。未展開構成112では、皮下剥離デバイスの剥離面102は、第1の幅D1を有する。皮下剥離デバイスは、例えば、対象において(例として、展開された皮下剥離デバイスと比較して)より小さな切開を作成することを可能にするために、未展開構成において対象中へと挿入されてもよい。いったん挿入されると、皮下剥離デバイスの剥離面102は、展開構成114へと展開されてよい。展開構成114においては、皮下剥離デバイスの剥離面102は、第1の幅D1よりも大きい第2の幅D2を有する。
【0032】
いくつかの態様において、皮下剥離デバイスの長尺のシャフトの長さが調整可能なことが望ましい場合がある。例えば、
図1Eに描かれるように、いくつかの態様において、皮下剥離デバイス116は、複数の伸縮式シャフト部118、120、122を有する長尺のシャフトを包含する。理解されるように、第1の伸縮式シャフト部分118は、第2の伸縮式シャフト部分120内に収まるように構成されてよい。順番に、第2の伸縮式シャフト部分120および/または第1の伸縮式シャフト部分118は、折りたたまれた構成で第3の伸縮式シャフト部分122内に収まるように構成されてもよいが、しかし他の伸縮式構成も使用されてよい。したがって臨床医は、例えば、デバイスを異なる用途に適合させるために、皮下剥離デバイス116の長さを調整してよい。
【0033】
いくつかの態様において、皮下剥離デバイスが、例えば、それなしには対象内での到達困難な位置で皮下剥離デバイスを器用に操作するために、角度の付いた剥離面を包含することが望ましいかもしれない。そのような態様の1つが
図1Fに描かれている。
図1Fは、長尺のシャフト106からオフセット角度θだけ角度的にオフセットされた剥離面102を有する皮下剥離デバイス124を示す。オフセット角度θは、(本明細書に記載されるように能動的または受動的のいずれかに)調整可能であってよい。いくつかの態様において、オフセット角度は、ハンドル108上の臨床医からの入力に基づいて調整されてよい。
【0034】
図1Gは、長尺のシャフト106の遠位部分上に配置された剥離面102および長尺のシャフトがそこから遠位に延伸するハンドル108を有する皮下剥離デバイス126のさらに別の態様を描いている。描かれた態様では、剥離面は、デバイスの少なくともこの部分において閉じた外面を有してよい長尺のシャフトの関連部分から径方向外側に延伸する1以上の、および場合によっては複数の構造に対応する。構造は、対象の真皮の内面を剥離させるように構成された1以上のエッジを包含してもよい。図に示された特定の態様では、構造は、長尺のシャフトの長さに沿って第1の近位位置および第2の遠位位置との間を延伸する湾曲したストリップに対応する。これらの位置の間で、ストリップは、ストリップの1以上のエッジが隣接する組織と係合して、デバイスが移動するにつれて組織を剥離させられるように、長尺のシャフトから径方向外側に配置される。当然ながら、湾曲した形状が示されている一方で、多角形状を包含する他の形状も企図されており、開示は、長尺のシャフトから径方向外側に延伸する描写された構造物の形状に限定されるものではない。加えて、ストリップは、ストリップの部分の間に配置されたギャップおよびシャフトが図示された図に描かれているが、長尺のシャフトの表面から径方向外側に位置されたポジションにエッジを有する硬い突出を有する態様も企図されている。
【0035】
図2は、対象202を処置するために使用されている皮下剥離デバイス200を示す。対象202を処置するために、臨床医は、対象202内に開口部206(例として、切開)を作成してよい。次に、臨床医は、皮下剥離デバイス200を開口部206を介して対象202に挿入し、皮下剥離デバイス200の剥離面を対象202の真皮の内面の標的の局所に向かってガイドしてよい。描かれた態様では、1以上の標的の局所はストレッチマーク204に対応し、これは、描かれた皮下剥離デバイスで真皮の内面を剥離することによって処置されてよい。いったん標的の局所が処置されると、臨床医は、開口部206を介して対象202から皮下剥離デバイス200を除去して、開口部206を密封してよい(例として、縫合、接着剤、包帯などを使用する)。
【0036】
図3は、対象の真皮の内面を剥離する方法を示すフローチャートである。とりわけ、ステップ300で、臨床医は、皮下剥離デバイス(例として、本明細書に記載の態様による)を患者の開口部に挿入することに先立って、302で、まず最初に対象の皮膚に開口部を形成してもよい。続いてステップ304で、臨床医は、皮下剥離デバイスの剥離面を、処置する対象の皮膚の1以上の部分に対応する対象の真皮の内面に隣接して配してもよい。いくつかの態様において、これは、任意選択で、第1の未展開構成から展開構成に剥離面を展開するステップを包含してもよい。いずれの場合も、306で、臨床医は、308で対象の開口部から皮下剥離デバイスを除去することに先立って、対象の真皮の内面を剥離するために剥離面を使用してもよい。いくつかの態様において、方法は、本明細書にて記載のとおり、対象から皮下剥離デバイスを除去すること、開口部を密封すること、および/または皮下剥離デバイスを回転させることをさらに包含してよい。
【0037】
例:脂肪吸引手順の間の皮下皮膚剥離術
対象の状態に関連する再建目的で実施される脂肪吸引手技中,発明者は、脂肪吸引処置中に通常されないやり方で、積極的な表面特徴を包含する脂肪吸引カニューレを使用した。したがって、発明者は、カニューレが対象の真皮の内面を剥離したことを認識した。外科手技の後、この意図しない処置(例として、真皮の内面の剥離)を受けた対象の皮膚の局所はストレッチマークが残った未処置の皮膚区分と比較して、ストレッチマークの劇的な低減を示したことが認識された。この初期観察以降、対象の真皮内表面の剥離に対するストレッチマークの存在の低減は、(1)異なる対象、(2)異なる診断(例えば、脂肪性浮腫および女性化乳房(gynecomastia))、(3)異なる性別(例として、生物学的に女性および男性の対象)、(4)異なる解剖学的位置(例として、脚および胸部)、(5)同じ対象内の複数の領域(例として、左および右の脚ならびに胸の左側および右側)で実験的に観察されている。ストレッチマークのための典型的な処置が皮膚の最上層を通ってトップダウン方式で真皮の最も内側の層の損傷を避けながら行われるので、観察された結果は当初予想外だった。これらの利点が現在、複数の対象、位置、および性別で見られているという事実は、真皮の内面を皮下的に剥縮するための現在開示されている方法が、対象のストレッチマークの効果的な処置を提供する可能性があることを裏付けている。
【0038】
本開示の様々な側面は、単独で、組み合わせて、または、前に記載の態様において具体的に論じられていない種々の配置において使用されてよく、したがって、その詳細な適用において、および前述の説明に記載されるか、または図面に例示される構成要素の詳細および取り合わせに限定されるものではない。例えば、一態様において記載される側面は、他の態様において記載される側面と任意のやり方で組み合わされてもよい。
【0039】
本明細書に記載の態様は、方法として具体化されてもよく、その一例が提供されている。方法の一部として実施される行為は、任意の好適な方法で順序付けられてもよい。したがって、図示とは異なる順序で行為が実施される態様が構成されることがあってよく、これには、図示的態様では連続的行為として示されているにもかかわらず、いくつかの行為を同時に実施することが包含されてよい。
【0040】
さらに、いくつかの行為は「ユーザー」によって行われると態様される。「ユーザー」は、単一の個人である必要はなく、いくつかの態様において、「ユーザー」に帰属する行為は、コンピュータ支援ツールまたは他のメカニズムと組み合わせて、個人のチームおよび/または個人によって実施されてよいことを理解されたい。
【0041】
請求項の要素を変更するための請求項における「第1」、「第2」、「第3」などの序数用語の使用は、それ自体では、ある請求項の要素の別の請求項の要素に対する優先順位、先行性、または順序、または方法の行為が実行される時間的順序を意味するものではなく、ただ単に特定の名前を有する請求項の要素を同じ名前(ただし、序数項の使用のため)を有する別の要素から区別するためのラベルとして、請求項の要素を区別するためにのみ使用される。
【0042】
また、本明細書において用いられる表現および専門用語は、記載を目的とするものであり、限定的なものとみなされるべきではない。本明細書における「包含すること(including)」、「含むこと(comprising)」、または「有すること(having)」、「含有すること(containing)」、「関与すること(involving)」、およびそれらの変形の使用は、その後に列挙された項目およびそれに同等のもの、ならびに追加の項目を包摂することを意味する。
【0043】
本教示は種々の態様及び実施例と併せて記載されているが、本教示がそのような態様または実施例に限定されることを意図するものではない。反対に、本教示は、当業者には当然のことながら、さまざまな代替、修正、および同等のものを包摂する。したがって、前述の記載および図面は、あくまでも例示によるものである。
【国際調査報告】