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特表2024-539253寄生抵抗が低減された2次元材料電界効果トランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】寄生抵抗が低減された2次元材料電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20241018BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L29/78 301P
H01L29/78 301H
H01L29/78 301G
H01L29/78 618B
H01L29/78 618C
H01L29/78 617T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524414
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2022080464
(87)【国際公開番号】W WO2023088677
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】17/455,937
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チョン、カングオ
(72)【発明者】
【氏名】ゴール、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】フロウギアー、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ルイロン
【テーマコード(参考)】
5F110
5F140
【Fターム(参考)】
5F110AA03
5F110AA04
5F110CC01
5F110DD05
5F110DD12
5F110EE01
5F110EE02
5F110EE04
5F110EE06
5F110EE08
5F110EE09
5F110EE22
5F110FF01
5F110FF12
5F110GG04
5F110GG05
5F110GG22
5F110GG25
5F110GG42
5F110GG43
5F110GG44
5F110HK01
5F110HK02
5F110HK04
5F110HK06
5F110HK21
5F110HK32
5F110HK33
5F110HK34
5F110HM02
5F140AA10
5F140AA39
5F140AC36
5F140BA01
5F140BA03
5F140BA17
5F140BA18
5F140BC11
5F140BD11
5F140BD13
5F140BE09
5F140BE10
5F140BF04
5F140BF05
5F140BF06
5F140BF07
5F140BF10
5F140BF15
5F140BG11
5F140BG12
5F140BG14
5F140BG27
5F140BG28
5F140BG30
5F140BG37
5F140BG38
5F140BJ05
5F140BJ07
5F140BJ17
5F140BJ20
5F140BK28
5F140BK29
5F140BK30
(57)【要約】
2次元材料で形成された電界効果トランジスタ・デバイスを形成するための手法を提供する。電界効果トランジスタ・デバイスは、基板上の2次元材料で構成されたチャネルと、チャネル上の、側壁スペーサの下および側壁スペーサの周囲に広がる、高誘電率ゲート誘電体とを含む。電界効果トランジスタは、高誘電率ゲート誘電体の内側でチャネルの上に金属ゲートを含む。ソース/ドレインが、基板上の2次元材料の一部の上にある。ソース/ドレインは、側壁スペーサに隣接し、二層金属で構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元材料で形成された電界効果トランジスタ・デバイスであって、
基板上の2次元材料の第1の部分で構成されるチャネルと、
前記チャネル上の、側壁スペーサの下に、および前記側壁スペーサに沿って広がる、高誘電率ゲート誘電体と、
前記高誘電率ゲート誘電体の内側の、前記チャネルの上の金属ゲートと、
前記基板上の前記2次元材料の第2の部分の上のソース/ドレインと
を備える、電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項2】
前記2次元材料の前記第2の部分の上の前記ソース/ドレインが二層金属で構成される、請求項1に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項3】
前記2次元材料の前記第2の部分の上の前記ソース/ドレインが、第1の金属の上にある第2の金属より低い前記2次元材料との電気接点抵抗率を有する、前記2次元材料の前記第2の部分の上の前記第1の金属で構成される、請求項1に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項4】
前記第2の金属が、前記第1の金属より低いバルク抵抗率を有する、請求項3に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項5】
前記第1の金属が、前記高誘電率ゲート誘電体の厚さの2倍未満の厚さを有する、請求項3に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項6】
前記チャネル上の前記高誘電率ゲート誘電体が前記側壁スペーサの下に広がり、前記側壁スペーサに隣接する前記ソース/ドレインの下に進まない、請求項1に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項7】
2次元材料で形成された電界効果トランジスタ・デバイスであって、
基板上の2次元材料のより薄い部分で構成されるチャネルと、
前記チャネル上、および側壁スペーサの下部にある前記2次元材料の垂直部分上の高誘電率ゲート誘電体材料と、
前記チャネルの上の、前記高誘電率ゲート誘電体材料上の金属ゲートと、
前記基板上の前記2次元材料のより厚い部分の上のソース/ドレインと
を備える、電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項8】
前記側壁スペーサの前記下部にある前記2次元材料の前記垂直部分が、前記2次元材料のより薄い垂直部分で構成される、請求項7に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項9】
前記側壁スペーサにある前記2次元材料の前記垂直部分が、前記2次元材料のより薄い垂直部分である、請求項7に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項10】
前記2次元材料の前記より厚い部分の上のソース/ドレインが二層金属で構成される、請求項7に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項11】
前記基板上の前記2次元材料の前記より厚い部分の上の前記ソース/ドレインが、第1の金属の上にある第2の金属より低い前記2次元材料との電気接点抵抗率を有する、前記2次元材料の上の前記第1の金属で構成される、請求項7に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項12】
前記第2の金属が、前記第1の金属より低いバルク抵抗率を有する、請求項11に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項13】
前記第1の金属が、前記高誘電率ゲート誘電体の厚さの2倍未満の厚さを有する、請求項11に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項14】
前記チャネルの上の前記高誘電率ゲート誘電体材料上の前記金属ゲートが、前記側壁スペーサでの前記2次元材料の前記垂直部分上の前記高誘電率ゲート誘電体材料の内側にある、請求項7に記載の電界効果トランジスタ・デバイス。
【請求項15】
電界効果トランジスタのチャネル用の2次元材料を含む半導体構造体を形成する方法であって、
非導電性面を有する基板上に2次元材料の層を堆積することと、
前記2次元材料の上に第1の金属材料の層を堆積することと、
前記第1の金属の上に、ハードマスク材料によって覆われた第2の金属の層を堆積することと、
前記ハードマスクおよび前記第2の金属の一部を除去することと、
側壁スペーサを、前記第2の金属および前記ハードマスクに形成することと、
前記第1の金属の露出部分および前記側壁スペーサの下の前記第1の金属の部分を除去することと、
前記2次元材料、前記側壁スペーサ、および前記ハードマスクの露出面の上に高誘電率ゲート誘電体材料を堆積することと、
金属ゲートを形成することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記2次元材料、前記側壁スペーサ、および前記ハードマスクの露出面の上に高誘電率ゲート誘電体材料を堆積することが、コンフォーマルな堆積プロセスを使用して、前記側壁スペーサの下の前記高誘電率ゲート誘電体材料の部分をピンチオフすることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記2次元材料の上の前記第1の金属材料が、前記第2の金属材料より低い前記2次元材料との電気接点抵抗率を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記2次元材料の上の前記第1の金属材料の前記層が、前記第2の金属材料の前記層より薄い、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記2次元材料の上の前記第1の金属材料の前記層および前記第2の金属材料の前記層が、電界効果トランジスタのソース/ドレインを形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記金属ゲートの下の前記高誘電率ゲート誘電体材料の下の前記2次元材料が、前記電界効果トランジスタのチャネルである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体デバイス形成の分野に関しており、より詳細には、チャネルに2次元材料を使用し、ソース/ドレインに二層金属を使用して電界効果トランジスタを形成することに関している。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセス技術の継続的な革新は、より高い集積密度およびデバイスのスケーリングを可能にしている。半導体産業が5ナノメートル・テクノロジー・ノードに向かって進み、それを超えるにつれて、電界効果トランジスタ(FET:field-effect transistors)などのプレーナ半導体デバイス構造および非プレーナ半導体デバイス構造は、占有スペース当たりのデバイスの幅を増やすために、より小さい寸法に縮小されなければならない。
【0003】
半導体デバイスを使用するための極薄2次元(2D:2-dimensional)材料の開発は、縮小されたデバイスのスペーシングおよびより小さいデバイスの寸法のための手段を提供する。2D材料は、次世代の小型化されたエレクトロニクス・デバイスおよびオプトエレクトロニクス・デバイスを製造することにおいて大きな可能性を有する、ナノ構造の低次元材料の新しい種類である。その一例がグラフェンであり、グラフェンは、高キャリア移動度、広い吸収スペクトル、および高速応答時間といったその並外れた電気的特性により、大きな注目を集めており、物理学、材料、ナノ工学、およびオプトエレクトロニクス応用において、広範な研究につながった。しかし、バンドギャップの欠如が、電子デバイスの応用の可能性を妨げ、他の2D層状材料を探索する上で大きな動機につながる。その中でも、MoSおよびWSなどの遷移金属ジカルコゲナイド(TMD:transition metal dichalcogenides)は、可視範囲内の直接バンドギャップ、大きい吸収係数、大きい励起子結合エネルギー、および層間相互作用に対する感度などの並外れた特性のため、非常に注目されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様によれば、基板上の2次元材料から成るチャネルを含む2次元材料で形成された電界効果トランジスタ・デバイスが提供される。電界効果トランジスタ・デバイスは、チャネル上の、側壁スペーサの下および側壁スペーサの周囲に広がる、高誘電率(high-k)ゲート誘電体を含む。電界効果トランジスタは、高誘電率ゲート誘電体の内側でチャネルの上に金属ゲートを含む。本発明の実施形態は、2次元材料の一部の上に、側壁スペーサに隣接するソース/ドレインを含む、電界効果トランジスタ・デバイスを開示する。本発明の実施形態は、ソース/ドレインのための二層金属を提供する。
【0005】
本発明の別の態様によれば、チャネル用の2次元材料で形成された第2の電界効果トランジスタ・デバイスが提供される。チャネルは、基板上の2次元材料のより薄い部分で構成される。高誘電率ゲート誘電体材料は、チャネル上、および2次元材料の垂直部分上にある。第2の電界効果トランジスタは、チャネルの上の高誘電率ゲート誘電体材料上の金属ゲートを含む。ソース/ドレインは、基板上の2次元材料のより厚い部分にある。ソース/ドレインは、側壁スペーサの下部に隣接する。本発明の実施形態は、ソース/ドレインが二層金属で構成されることを開示する。2次元材料の垂直部分は、側壁スペーサの下部の2次元材料のより薄い部分である。
【0006】
本発明の別の態様によれば、非導電性面を含む基板の上に2次元材料の層を堆積することにより、チャネル用の2次元材料を含む電界効果トランジスタ・チャネルが提供される。この方法は、2次元材料の上に第1の金属材料の層を堆積することと、第1の金属の上に、ハードマスク材料によって覆われた第2の金属の層を堆積することとを含む。この方法は、ハードマスクの一部および第2の金属の一部を除去することを含む。側壁スペーサが、第2の金属およびハードマスクに形成される。この方法は、第1の金属の露出部分および側壁スペーサの下の第1の金属の部分を除去することと、2次元材料、側壁スペーサ、およびハードマスクの露出面の上に高誘電率ゲート誘電体材料を堆積することとを含む。さらに、この方法は、高誘電率誘電体材料の内側に金属ゲートを形成することを含む。
【0007】
本発明のさまざまな実施形態の上記および他の態様、特徴、および利点が、添付の図面と併用される以下の説明から、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による、基板上に2次元(2D)材料、第1の金属、第2の金属、およびハードマスク(HM:hardmask)を堆積した後の半導体構造体の断面図である。
図2】本発明の実施形態による、マスク材料を堆積し、第2の金属およびHMの一部を選択的に除去した後の半導体構造体の断面図である。
図3】本発明の実施形態による、マスクを除去し、側壁スペーサを形成した後の半導体構造体の断面図である。
図4】本発明の実施形態による、側壁スペーサの下の第1の金属の部分を除去した後の半導体構造体の断面図である。
図5】本発明の実施形態による、半導体構造体の上に高誘電率ゲート誘電体材料を堆積した後の半導体構造体の断面図である。
図6】本発明の実施形態による、金属ゲートを堆積して平坦化した後の半導体構造体の断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態による、基板上に2D材料、第1の金属、第2の金属、およびハードマスクを堆積した後の半導体構造体の断面図である。
図8】本発明の第2の実施形態による、マスクをパターン形成し、ハードマスク、第2の金属、および第1の金属の一部を除去した後の半導体構造体の断面図である。
図9】本発明の第2の実施形態による、マスクを除去し、側壁スペーサを形成した後の半導体構造体の断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態による、2D材料の一部を除去した後の半導体構造体の断面図である。
図11】本発明の第2の実施形態による、2D材料の第2の層および犠牲材料を堆積した後の半導体構造体の断面図である。
図12】本発明の第2の実施形態による、有機平坦化層(OPL)を堆積し、凹ませた後の半導体構造体の断面図である。
図13】本発明の第2の実施形態による、側壁スペーサの側壁上の犠牲材料および第2の2D材料の露出部分を除去した後の半導体構造体の断面図である。
図14】本発明の第2の実施形態による、OPLおよび犠牲材料を除去した後の半導体構造体の断面図である。
図15】本発明の実施形態による、高誘電率ゲート誘電体材料の層を堆積し、金属ゲートを形成した後の半導体構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、ナノシート・スタックの使用が、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)デバイスを継続するためのデバイスのアーキテクチャおよび形成のためにますます普及していることを認識している。本発明の実施形態は、ナノシート・スタックを使用することが、CMOSデバイスのスケーリングを拡張することにおける主要な推進要因であることを認識しているが、内部スペーサ形成中に一般的に発生する可能性があるゲート間のピンチオフのため、CMOSデバイスのスケーリングのためのナノシート・スタックの使用は、40nmゲート・ピッチを超える拡張では制限されるようである。
【0010】
本発明の実施形態は、標準的なナノシートのシリコン・シートを含むナノシート・スタックをデバイスの(例えば、約5nmの厚さの)チャネルに使用する現在のCMOSデバイスの形成が、現在のナノシート・スタックを使用して形成されたデバイスの短チャネル効果制限に起因して、ゲート・ピッチを40nmの範囲に制限するということを認識している。さらに、現在のナノシート・スタックをデバイスに使用すると、量子閉じ込め効果がデバイスの性能を低下させ始めるため、シリコン・チャネルの厚さを現在の約5nmの厚さより薄くして、静電的デバイス制御を改善することができない。本発明の実施形態は、量子閉じ込め効果を開始することなく、静電的制御を改善するためにより薄いチャネルを提供することが望ましいということを認識している。
【0011】
本発明の実施形態は、より薄いチャネルを提供するための2次元(2D)材料の使用が研究されていることを認識している。トランジスタ・デバイスに2D材料を使用する際の主な課題のうちの1つは、非常に薄い2D材料の使用と共に発生する高い寄生抵抗である。2D材料は、原子1個または数個の厚さしかないという特性によって定義されるナノ材料の一種である。2D材料の例としては、グラフェン、炭素原子の単原子厚六角形またはハニカム配列シート、シリセン、二硫化モリブデン(MoS)、ホウ素、およびゲルマネンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態は、ソース/ドレインの接点抵抗が、2D材料で形成されたデバイスに発生する追加の寄生抵抗の1つの発生源であるということを認識している。
【0012】
本発明の実施形態は、デバイスのチャネルとして2D材料で形成された、電界効果トランジスタ(FET)のソース/ドレインのための二層金属を提供する。二層金属のソース/ドレインを含む電界効果デバイスは、デバイスの寄生抵抗を減らす。本発明の実施形態は、2D材料との接点に、二層金属内の第1の金属の上にある第2の金属層よりも低い2D材料への接点抵抗をもたらす第1の金属層を使用する、二層金属のソース/ドレインを提供する。第2の金属は、低バルク抵抗率の金属である。ソース/ドレインの二層金属における第1の金属層および第2の金属層の組み合わせは、2D材料を使用して形成された、これまでに開示されたFETデバイスと比較して、寄生抵抗を減らし、2D材料で形成されたFETデバイスの機能を改善する。
【0013】
さらに、本発明の実施形態は、高誘電率ゲート誘電体材料が、金属ゲートを取り囲む高誘電率ゲート誘電体材料に隣接する側壁スペーサの下で拡張する、2D材料から成るチャネルで形成されたFETデバイスの半導体構造体を開示する。側壁スペーサの下の高誘電率ゲート誘電体材料の拡張は、高誘電率ゲート誘電体材料の拡張の下の金属ゲートと2D材料の間の電気的結合を向上させる。高誘電率ゲート誘電体の拡張の下にある2D材料は、FETデバイスのチャネルである2D材料の一部と直接接触する2D材料層の一部である。このようにして、側壁スペーサの下の高誘電率ゲート誘電体の拡張は、高誘電率ゲート誘電体の拡張の下の2D材料に追加のキャリアを生成し、FETデバイスの性能を向上させる。
【0014】
本発明の実施形態は、FETデバイスの静電特性を改善するために、チャネル内の2D材料が2D材料の非常に薄い層である、第2のFETデバイスも提供する。第2のFETデバイスは、外部デバイスの電気抵抗を減らすために、ソース/ドレインの下により厚い2D材料も含む。
【0015】
本発明の実施形態は、側壁スペーサ下にある高誘電率ゲート誘電体の拡張と共に2D材料のチャネルおよび二層金属のソース/ドレインを含むFETデバイスを形成する方法を開示する。この方法は、非導電性面を有する基板上に2D材料の非常に薄い層を堆積することを含む。この方法は、2D材料の上に第1の金属の層を堆積することと、第1の金属の上に第2の金属の層を堆積することとを含み、第2の金属は、第1の金属より5~15倍厚い。第2の金属の上にハードマスクが堆積され、ハードマスクの上にマスクが堆積されてパターン形成される。この方法は、ハードマスクおよび第2の金属の一部を除去し、次に、残りのハードマスクおよび第2の金属の垂直側面に側壁スペーサを形成することを含む。硫酸エッチングなどのウェット・エッチング・プロセスは、第1の金属の露出部分を除去し、側壁スペーサの下に拡張する第1の金属の部分を横方向にエッチングする。この方法は、ハードマスク、スペーサ、および2D材料の露出面の上に、高誘電率ゲート誘電体材料の層をコンフォーマルに堆積することを含む。原子層堆積などのコンフォーマルな堆積プロセスを使用して、高誘電率ゲート誘電体材料が、側壁スペーサの下にある第1の金属のアンダーカットに堆積する。高誘電率ゲート誘電体材料は、側壁スペーサの下の拡張または高誘電率ゲート誘電体の脚部を形成するアンダーカット領域を満たす。この方法は、金属ゲート材料を堆積し、平坦化動作または研磨動作を実行して、FETデバイスの2D材料のチャネルの上の高誘電率ゲート誘電体材料に金属ゲートを形成することを含む。
【0016】
添付の図面を参照する以下の説明は、特許請求の範囲およびそれと同等のものによって定義されているとおりに、本発明の実施形態例を包括的に理解することにおいて役立つように提供される。本発明のさまざまな実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることは意図されておらず、開示された実施形態に限定されない。説明された実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が、当業者にとって明らかになるであろう。本明細書で使用された用語は、1つまたは複数の実施形態の原理、実際の適用、または産業で見られる技術を超える技術的改良を最も適切に説明するため、あるいは他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解できるようにするために選択されている。したがって、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態のさまざまな変更および修正が行われ得るということを認識するであろう。示されたプロセス・ステップの一部は、統合されたプロセス・ステップとして組み合わせられ得る。加えて、明確かつ簡潔にするために、周知の機能および構造の説明が省略されることがある。
【0017】
以下の説明および特許請求の範囲において使用される用語および単語は、文献的意味に限定されず、単に、本発明の明確かつ一貫性のある理解を可能にするために使用される。したがって、本発明の実施形態例の以下の説明が、単に例示のために提供されており、添付の特許請求の範囲およびそれらと同等のものによって定義されている本発明を限定する目的で提供されていないということが、当業者にとって明らかであるはずである。
【0018】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈において特に明確に示されない限り、複数の指示対象を含むということが理解されるべきである。したがって、例えば、「構成要素の表面」への参照は、文脈において特に明確に示されない限り、そのような表面のうちの1つまたは複数への参照を含む。
【0019】
以下では、説明の目的で、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、およびこれらの派生語などの用語は、作図において方向付けられたとおりに、開示された構造体および方法に関連するものとする。「上に(above)」、「覆っている」、「上に(atop)」、「上に(on top)」、「上に位置する(positioned on)、または「上に位置する(positioned atop)」」などの用語は、第1の構造体などの第1の要素が、第2の構造体などの第2の要素の上に存在しており、インターフェイス構造体などの介在する要素が、第1の要素と第2の要素の間に存在してよいということを意味している。「直接的接触」という用語は、第1の構造体などの第1の要素および第2の構造体などの第2の要素が、これらの2つの要素のインターフェイスに中間の導電層、絶縁層、半導体層がいずれも存在せずに、接続されているということを意味している。
【0020】
本発明の実施形態の提示を曖昧にしないために、以下の詳細な説明では、当技術分野において知られた一部の処理ステップまたは動作が、提示および例示の目的で結合されていることがあり、場合によっては、詳細に説明されていないことがある。他の例では、当技術分野において知られた一部の処理ステップまたは動作が、全く説明されないことがある。以下の説明が、むしろ、本発明のさまざまな実施形態の際立った特徴または要素に重点を置いているということが、理解されるべきである。
【0021】
特許請求された構造体および方法の詳細な実施形態が、本明細書において開示される。以下で説明される方法のステップは、半導体チップ上に集積回路を製造するための完全なプロセス・フローを形成しない。本実施形態は、当技術分野で現在使用されている半導体チップおよびデバイスの集積回路製造技術と共に実践されることが可能であり、一般的に実践されているプロセス・ステップのうち、記載された実施形態の理解に必要なものだけが含まれる。図は、製造中の半導体ウェハーなどの半導体チップまたは基板の断面部分を表しており、一定の縮尺で描かれておらず、代わりに、説明された実施形態の特徴を例示するために描かれている。本明細書で開示された特定の構造体および機能の詳細は、制限として解釈されるべきではなく、単に、本開示の方法および構造体をさまざまに採用するように当業者に教えるための代表的な基礎として、解釈されるべきである。説明において、周知の特徴および技術の詳細は、提示された実施形態を不必要に分かりにくくするのを避けるために、省略されることがある。
【0022】
本明細書における「1つの実施形態」、「他の実施形態」、「別の実施形態」、「実施形態」などへの参照は、記載された実施形態が特定の特徴、構造体、または特性を含み得るが、必ずしもすべての実施形態が特定の特徴、構造体、または特性を含まなくてよいということを示している。さらに、そのような語句は必ずしも同じ実施形態を参照していない。また、特定の特徴、構造体、または特性がある実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されるかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造体、または特性に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内にあると理解される。本明細書では、第1、第2などの用語をさまざまな要素を説明するために使用できるが、それらの要素がこれらの用語によって制限されるべきではないということが、理解されるであろう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。したがって、本発明の概念の範囲を逸脱することなく、下で説明される第1の要素を、第2の要素と呼ぶことができる。
【0023】
金属材料および犠牲材料の堆積プロセスは、例えば、化学気相堆積(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相堆積(PVD:physical vapor deposition)、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)、またはガス・クラスタ・イオン・ビーム(GCIB:gas cluster ion beam)堆積を含む。CVDは、室温より高い温度(例えば、約25℃~約900℃)での気体反応物間の化学反応の結果として堆積された種が形成される、堆積プロセスである。この反応の固体生成物が表面に堆積され、この表面には、固体生成物の膜、被覆、または層が形成される。CVDプロセスの変形は、大気圧CVD(APCVD:atmospheric pressure CVD)、低圧CVD(LPCVD:low-pressure CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD:plasma Enhanced CVD)、および有機金属CVD(MOCVD:metal-organic CVD)を含むが、これらに限定されず、これらの組み合わせが採用されてもよい。PVDを使用する代替の実施形態では、スパッタリング装置は、直流ダイオード・システム、高周波スパッタリング、マグネトロン・スパッタリング、またはイオン化金属プラズマ・スパッタリングを含んでよい。ALDを使用する代替の実施形態では、前駆的化学物質が、材料の表面と1つずつ反応し、薄膜を表面に堆積する。ガス・クラスタ・イオン・ビーム(GCIB)堆積を使用する代替の実施形態では、高圧ガスが真空中で膨張することが可能にされ、その後、クラスタに凝縮する。クラスタは、イオン化されて表面上に移動されることが可能であり、非常に異方的な堆積を実現する。
【0024】
本明細書で使用される選択的エッチングは、リソグラフィ、フォトリソグラフィ、極紫外線(EUV:extreme ultraviolet)リソグラフィ・プロセス、または任意の他の既知の半導体パターン形成・プロセスのうちの1つを使用してパターン形成し、その後に1つまたは複数のエッチング・プロセスが続くことを含むが、これに限定されない。さまざまな材料は、本明細書では、除去されるか、または「エッチングされる」として参照され、エッチングは、通常、影響を受けない、リソグラフィ・プロセス中にマスクされた材料の他の保護された領域を残しながら、1つまたは複数の材料の除去を実施する1つまたは複数のプロセスのことを指す。エッチング・プロセスの一部の例としては、反応性イオン・エッチング(RIE:reactive ion etch)またはイオン・ビーム・エッチング(IBE:ion beam etch)を使用するドライ・エッチング・プロセス、ウェット化学エッチング・プロセス、あるいはこれらのエッチング・プロセスの組み合わせなどのプロセスが挙げられるが、これらに限定されない。ドライ・エッチングは、プラズマを使用して実行されてよい。イオン・ミリング、スパッタ・エッチング、または反応性イオン・エッチング(RIE)は、ほぼ一方向からウェハーに接近する希ガスのエネルギー・イオンをウェハーに衝突させ、したがってこれらのプロセスは、異方的または方向性エッチング・プロセスである。
【0025】
ここで、図を参照する。各図は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、製造の中間段階での半導体デバイスの概略断面図を提供する。このデバイスは、本発明のデバイスの図式表現を提供し、これらの図式表現は、デバイスの要素の縮尺に関して、正確であるととも、制限しているとも見なされるべきではない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態による、基板1上に2D材料2、第1の金属3、第2の金属4、およびハードマスク(HM)5を堆積した後の半導体構造体の断面図を示している。さまざまな実施形態では、基板1は、二酸化ケイ素(SiO)の絶縁層を含むシリコン基板などの、半導体基板、ウェハー、または酸化物層を含むウェハーの一部である。基板1または基板1の表面は、電気絶縁性材料で構成されている。基板1は、2D材料2を使用して電界効果トランジスタ(FET)を形成するための十分な機械的特性(例えば、剛性、耐化学性、平坦性、半導体処理温度に耐える能力など)を与える任意の非導電材料で構成され得る。
【0027】
2D材料2は、FETデバイスのチャネルとして使用するために、現在使用されているか、または開発中の任意の2D半導体材料であることができる。2D材料をFETのチャネルに使用することによって、シリコンベースの材料のチャネルを使用して実現され得るチャネルより薄いチャネルを実現する。2D材料2によって実現されたより薄いチャネルを使用することで、隣接するFETデバイス間のゲート・ピッチを改善することができる。例えば、2D材料2は、遷移金属ジカルコゲナイド材料であることができ、遷移金属は、元素周期表のグループVI、V、およびVIからのものであり、ジカルコゲンは、硫黄、セレン、またはテルルなどの2分子のカルコゲン材料であることができるが、2D材料2は、これらの材料に限定されない。2D材料2は、MoSe、MoTe、WS、およびWSeのうちの1つであることができるが、他の実施形態では、異なる2D材料で構成されてよい。例えば、ALDを使用して、2D材料2の非常に薄い層が堆積され得るが、この堆積プロセスに限定されない。2D材料2の厚さは、0.7nm~3nmの範囲にわたることができるが、これらの厚さに限定されない。図に示されているように、さまざまな実施形態では、2D材料2が基板1上に存在する。
【0028】
第1の金属3は、2D材料2上に存在する。第1の金属3は、2D材料2との電気接点抵抗率が低い金属材料であり得る。例えば、第1の金属3は、第2の金属よりも2D材料2との電気接点抵抗率が低い。さまざまな実施形態では、第1の金属3はビスマス(Bi)であるが、この金属材料に限定されない。第1の金属3は、例えば、ALDによって堆積され得る。第1の金属3の厚さは約3nmであることができるが、他の例では、より薄いか、または厚くてよい。一部の実施形態では、第1の金属3の厚さは、高誘電率ゲート誘電体の厚さの2倍以下であるべきである。第1の金属3は、図5で後に堆積される高誘電率ゲート電極のピンチオフを可能にするのに十分な薄い層を提供する必要がある。
【0029】
第2の金属4は、低バルク抵抗率を有する金属材料である。第2の金属4は、FETデバイスのソース/ドレインの接点の部分を形成する。例えば、第2の金属4は、内張り材料(例えば、窒化チタン)を含んでよいタングステンであることができるが、第2の金属4は、半導体処理ならびにFETの動作および適用に適合する低バルク抵抗率を有する別の金属材料であってよい。第2の金属4および第1の金属3は、FETデバイスのソース/ドレイン用の二層金属構造体を形成することができる。第2の金属4は、第1の金属3よりも厚くなることができ、15nm~50nmの範囲にわたる厚さを有することができるが、これらの厚さに限定されない。第2の金属4は、例えば、PVD、CVD、またはALDのうちの1つによって堆積されてよい。
【0030】
HM5は、第2の金属4上に存在する。HM5は、SiNなどの任意のハードマスク材料であることができるが、これに限定されない。HM5は、CVD、PVDなどの任意の既知のハードマスク堆積方法によって堆積され得る。
【0031】
図2は、本発明の実施形態による、マスク材料を堆積し、第2の金属4およびHM5の一部を選択的に除去した後の半導体構造体の断面図を示す。図に示されているように、図2は、基板1、2D材料2、第1の金属3、第2の金属4、HM5、およびマスク21を含む。図に示されているように、エッチング・プロセス後のHM5および第2の金属4の残存部分の上に、パターン形成されたマスク21が残っている。マスク21は、半導体プロセスにおいて使用される任意の適切なマスク材料(例えば、レジスト、ソフト・マスクなど)であることができる。
【0032】
RIEなどの異方的なエッチング・プロセスを使用して、HM5および第2の金属4の一部が、第1の金属3の上で除去される。第1の金属3は、エッチング・プロセス中に2D材料2を保護するバッファとして機能する。HM5および第2の金属4の一部は、後の処理ステップの後に2D材料2のチャネル領域になる部分の上で除去される。
【0033】
図3は、本発明の実施形態による、マスク21を除去し、スペーサ33を形成した後の半導体構造体の断面図を示している。図に示されているように、図3は、マスク21を含まず、スペーサ33を含む、図2の要素を含んでいる。
【0034】
さまざまな実施形態では、スペーサ33は、ALDまたはCVDなどのコンフォーマルな堆積プロセスを使用して堆積された側壁スペーサである。スペーサ33は、FETデバイスにおいて使用される任意の既知の側壁スペーサ材料で構成され得る。例えば、スペーサ33は誘電体材料で構成されてよい。スペーサ材料の一部の例としては、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)、酸窒化ケイ素(SiON)、炭素ドープ酸化ケイ素(SiOC)、フッ素ドープ酸化ケイ素(SiO:F)、炭窒化ケイ素(SiCN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ケイ素ホウ素(SiBN)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、酸炭窒化ケイ素(SiOCN)、酸化ケイ素、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。誘電体材料は、約7未満の誘電率を有する低誘電率材料であることができ、約5未満の誘電率を有する低誘電率材料であるのが好ましい。スペーサ33は、堆積後に方向性エッチングを行うなどの、任意の適切な技術によって形成され得る。堆積は、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)を含んでよいが、これらに限定されない。方向性エッチングは、反応性イオン・エッチング(RIE)を含んでよいが、これに限定されない。
【0035】
スペーサ33は、約5nmの横幅で堆積され得る。一部の例では、第2の金属4およびHM5の側壁でのスペーサ33の横幅は、さらに薄いか、またはさらに厚くなることができる。既知のスペーサ形成プロセスを使用して、第1の金属3およびHM5の露出した水平表面上のスペーサ33の部分が、スペーサ33の側壁スペーサまでRIEによって除去され得る。
【0036】
図4は、本発明の実施形態による、側壁スペーサ33の下の第1の金属3の部分を除去した後の半導体構造体の断面図を示している。スペーサ33に対して選択的な化学的性質を有する等方性エッチング・プロセス(例えば、ウェット・エッチング・プロセス)を使用して、スペーサ33の下の第1の金属3の部分を除去する。例えば、スペーサ33の下の第1の金属3の部分をエッチングするために、硫酸が使用されてよい。図4に示されているように、横方向のエッチングが、スペーサ33の下の第1の金属3の部分を切り取るか、または除去する。横方向のアンダーカットは、スペーサ33に隣接する第2の金属4のエッジまで水平に延びる。
【0037】
図5は、本発明の実施形態による、半導体構造体の上に高誘電率誘電体55を堆積した後の半導体構造体の断面図を示している。図に示されているように、図5は、図4の要素および高誘電率誘電体55を含んでいる。高誘電率誘電体55は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プロセスおよびデバイスの高誘電率ゲート誘電体材料に使用される任意の適切な材料で構成され得る。例えば、高誘電率ゲート誘電体55は、酸化ハフニウム(例えば、HfO)、酸化ハフニウム・シリコン、酸窒化ハフニウム・シリコン(例えば、HfSiON)、酸化ランタン(例えば、La)、酸化タンタル(例えば、TaO)、酸化チタン(例えば、TiO)、および任意の他の適切な高誘電率誘電体材料などの金属酸化物材料のうちの1つであることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、高誘電率誘電体55は、ランタン、アルミニウム、マグネシウムなどのドーパントを含んでよい。ALDまたはCVDなどのコンフォーマルな堆積プロセスを使用して、高誘電率誘電体55の層が、HM5、2D材料2の露出面の上、スペーサ33の周囲および下に堆積される。高誘電率誘電体55のコンフォーマルな堆積プロセスの間に、2D材料2に隣接する、スペーサ33の下のアンダーカット領域がピンチオフされて満たされる。スペーサ33の下のアンダーカット領域を高誘電率誘電体55で満たすことは、後で2D材料2を使用して堆積されるゲート電極により強い結合をもたらす。高誘電率誘電体55は、HM5上でかなり薄い1.5nm~10nmの範囲内であることができる厚さを有してよいが、この範囲に限定されない。図に示されているように、高誘電率誘電体55は、第1の金属3および第2の金属4で構成されるソース/ドレインの下に広がらない。
【0038】
図6は、本発明の実施形態による、金属ゲート61を堆積して平坦化した後の半導体構造体の断面図を示している。図に示されているように、図6は、図5の要素および高誘電率誘電体55の内側の金属ゲート61を含んでいる。金属ゲート61は高誘電率誘電体55の上にあり、さまざまな実施形態では、金属ゲート61は、ドープ多結晶またはアモルファス・シリコン、ゲルマニウム、シリコン・ゲルマニウム、金属(例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、スズ(Sn)、銀(Ag)、金(Au))、導電性金属複合材料(例えば、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)、炭化チタン・アルミニウム(TiAlC)、ケイ化タングステン(WSi)、窒化タングステン(WN)、酸化ルテニウム(RuO)、ケイ化コバルト(CoSi)、ケイ化ニッケル(NiSi))、遷移金属アルミナイド(例えば、TiAl、ZrAl)、TaMgC、カーボン・ナノチューブ、導電性カーボン、グラフェン、またはこれらの材料の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の適切な導電性材料を含むことができる。導電性材料は、堆積中または堆積後に取り込まれるドーパントをさらに含んでよい。一部の実施形態では、ゲートは、ゲート誘電体とゲート導体の間に仕事関数設定層をさらに含んでよい。仕事関数設定層は、仕事関数金属(WFM:workfunction metal)であることができる。WFMは、窒化チタン(TiN)、窒化チタン・アルミニウム(TiAlN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ハフニウム・ケイ素(HfSiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タンタル・ケイ素(TaSiN)、窒化タングステン(WN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化ニオブ(NbN)を含むが、これらに限定されない、窒化物、炭化チタン(TiC)、炭化チタン・アルミニウム(TiAlC)、炭化タンタル(TaC)、炭化ハフニウム(HfC)を含むが、これらに限定されない、炭化物、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の適切な材料であることができる。一部の実施形態では、導電性材料または複数の導電性材料の組み合わせが、ゲート導体およびWFMの両方として機能することができる。ゲート導体およびWFMは、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)、スパッタリング、めっき、蒸着、イオン・ビーム堆積、電子ビーム堆積、レーザー支援堆積、化学溶液堆積などを含むが、これらに限定されない、任意の適切なプロセスまたは複数のプロセスの任意の適切な組み合わせによって形成され得る。金属ゲート61は、ALD、CVD、またはPVDを使用して堆積され得る。高誘電率誘電体55およびHM5の上への金属ゲート61の堆積の後に、化学機械平坦化(CMP:chemical mechanical planarization)プロセスが発生し、HM5の上の金属ゲート61および高誘電率誘電体55の一部を除去することができる。CMPの後に、図6は、高誘電率誘電体55の内側の金属ゲート61、金属ゲート61の下の高誘電率誘電体55、およびスペーサ33を含む。高誘電率誘電体55は、スペーサ33の内側垂直側壁に沿っているか、または隣接する。2D材料2は、第1の金属3および高誘電率誘電体55の下の基板1上に存在する。ソース/ドレインは、第1の金属3および第2の金属4で構成されることが可能であり、一方、チャネルは、金属ゲート61の下(例えば、金属ゲート61の下にある高誘電率誘電体55の下)の2D材料2内にある。
【0039】
図6に示された半導体構造体は、金属ゲート61および高誘電率誘電体55の下の2D材料2で構成されたチャネルを含むFETデバイスであることができる。スペーサ33の下の2D材料2の領域は、金属ゲート61のための拡張領域または高誘電率の脚部と見なされてよい。スペーサ33の下の2D材料2の上にある脚部または高誘電率誘電体55の一部は、ゲート・フリンジング効果を高めることができる。2D材料2の上の、金属ゲート61に隣接するが下ではない材料の誘電率の増加と共に、ゲート・フリンジング容量が増加する。スペーサ33を切り取り、相対的に低誘電率の誘電体スペーサ材料(例えば、SiOC)であるスペーサ33の除去された部分を置き換えること、およびスペーサ33を、スペーサ33の下および2D材料2の上で(ゲート61に隣接する)高誘電率誘電体55に置き換えることによって、ゲート・フリンジング容量を増やす。この新しい半導体構造体は、金属ゲート61の下部の角でゲート・フリンジング場を強化し、スペーサ33の下の2D材料2内(例えば、2D材料2の拡張領域内)のキャリア密度を増やす。キャリア密度の増加と共に、高誘電率誘電体55およびスペーサ33の下の2D材料2の拡張領域内の抵抗が減少する。さらに、低誘電率誘電体材料をスペーサ33に使用することによって、金属ゲート61と、第1の金属3および第2の金属4に形成されたソース/ドレインとの間の寄生容量を最小限に抑えることができる。
【0040】
第1の金属3および第2の金属4の残存部分は、FETデバイスのソースおよびドレインを形成する。第1の金属3が2D材料2とのより低い接点抵抗率をもたらし、二層金属の第2の金属が、低バルク抵抗率を有する金属である、二層金属構造体をFETデバイスのソース/ドレイン領域に使用することによって、2Dチャネル材料を使用するFETデバイスの寄生抵抗を減らす。例えば、第2の金属4は、第1の金属3より低いバルク抵抗率を有する。
【0041】
図7は、本発明の第2の実施形態による、基板1上に2D材料72、第1の金属73、第2の金属74、およびハードマスク75を堆積した後の半導体構造体の断面図を示している。2D材料72、第1の金属73、第2の金属74、およびハードマスク75は、2D材料2、第1の金属73、第2の金属74、およびHM5と基本的に同じであり、図1に関して詳細に説明されたプロセスおよび材料のうちの1つを使用して堆積されてよい。2D材料72は、2D材料2と同じ2D材料または異なる2D材料で構成されてよく、図1に関して説明されたプロセス(例えば、ALDまたはCVD)のうちの1つを使用して堆積されてよい。2D材料72の厚さは、2D材料2の厚さより大きい。例えば、2D材料72の厚さは、5nm~30nmであってよいが、これらの厚さに限定されない。
【0042】
図8は、本発明の第2の実施形態による、マスク81をパターン形成し、ハードマスク75、第2の金属74、および第1の金属73の一部を除去した後の半導体構造体の断面図を示している。マスク81は、図2のマスク21と同様のマスク材料または同じマスク材料であることができる。マスク81をパターン形成した後に、例えばRIEを使用して、ハードマスク75、第2の金属74、および第1の金属73の一部が、2D材料72の上で除去される。
【0043】
図9は、本発明の第2の実施形態による、マスク81を除去し、スペーサ33を形成した後の半導体構造体の断面図を示している。図3に関して前に説明された既知の側壁スペーサ形成プロセスを使用して、SiN、SiC、SiON、SiOC、または図3に関して説明されたスペーサ材料のいずれかなどの、ただしこれらに限定されない、誘電体材料が、コンフォーマルな堆積プロセス(例えば、ALD)を使用して半導体構造体の上に堆積され得る。RIEは、HM5および2D材料72の上面からスペーサ材料を除去し、第1の金属73、第2の金属74、およびハードマスク75の露出した垂直面に沿って、スペーサ95を形成する。スペーサ33と同様に、スペーサ95の横幅は、約5nmであってよいが、スペーサ95の幅は、場合によっては、さらに大きいか、またはわずかに小さくてよい。
【0044】
図10は、本発明の第2の実施形態による、2D材料72の一部を除去した後の半導体構造体の断面図を示している。例えば、SF+NプラズマまたはRIEを含むプラズマ・エッチング・プロセスを使用して、2D材料72の露出部分が除去される。エッチング・プロセスの後に、基板1の上面の一部が露出される。
【0045】
図11は、本発明の実施形態による、2D材料112および犠牲材料113を堆積した後の半導体構造体の断面図を示している。2D材料の第2の非常に薄い層が、半導体構造体の上(例えば、基板1、2D材料112、スペーサ95、およびハードマスク75の一部の上)に堆積される。さまざまな実施形態では、2D材料112は2D材料72と同じ材料である。1つの実施形態では、2D材料112は2D材料72と異なる2D材料である。一部の実施形態では、2D材料112の厚さは、2D材料72の厚さより大幅に薄い。2D材料112の一部(例えば、図11の水平部)が、2Dトランジスタのチャネルになる。2D材料112を薄く保つことは、2Dトランジスタの良好な静電特性を実現するのに役立つ。一方、より厚い2D材料72は、外部抵抗の低減に役立つ。基板1の上の2D材料112の厚さは、0.7nm~3nmの範囲にわたることができるが、この範囲に限定されない。2D材料112は、堆積されると、基板1、2D材料72、スペーサ95、およびハードマスク75の露出面上に存在する。2D材料112は、ハードマスク75、スペーサ95、基材板1の上面の上、ならびにスペーサ95および2D材料72の露出された垂直面に沿って存在する。
【0046】
犠牲材料113の層は、例えばPVD、CVD、またはALDを使用して、2D材料112の上に堆積される。犠牲材料113の厚さは、3nm~10nmであってよい。犠牲材料113は、TiNなどの金属窒化物、またはスペーサ95に沿って2D材料112の上部が除去されたときに2D材料112の下部または角を保護することができる(例えば、FETデバイスのライン・プロセスのバックエンドの後またはライン・プロセスのバックエンド中に形成される接点または金属層との2D材料112の可能性のある短絡を防ぐ)別の犠牲材料であることができる。
【0047】
図12は、本発明の第2の実施形態による、有機平坦化層(OPL)120を堆積し、凹ませた後の半導体構造体の断面図を示している。図に示されているように、図12は、犠牲材料113、2D材料112、スペーサ95、ハードマスク75、第2の金属74、第1の金属3、2D材料72、および基板1の内部にOPL120の残存部分を含む。OPL120は、犠牲材料113の上に堆積される。既知のOPL除去プロセスを使用して、OPL120の上部が、ハードマスク75の上の犠牲材料113から、およびスペーサ95の上の犠牲材料113の上側垂直部分から除去される。OPL120を凹ませた後に、OPL120の下部が、スペーサ95の側壁の少なくとも一部を覆う犠牲材料113の内側に残る。OPL120の残存量は、例えば、スペーサ95の側壁の少なくとも10%または15%が覆われている限り、FETデバイス形成にとって重要ではない。
【0048】
図13は、本発明の第2の実施形態による、ハードマスク75の上面およびスペーサ95の上部から犠牲材料113および2D材料112の露出部分を除去した後の半導体構造体の断面図を示している。SF + Nプラズマを含むプラズマ・エッチング・プロセスなどのエッチング・プロセスを使用して、犠牲材料113および2D材料112の露出部分が除去される。犠牲材料113および2D材料112は、ハードマスク75の上面から除去され得る。2D材料112および犠牲材料113は、図に示されているように、上面のスペーサ95から、およびスペーサ95の垂直側壁の上部から除去される。エッチング・プロセスによって、2D材料112および犠牲材料113およびOPL120の上面と共に、スペーサ95およびハードマスク75の上部を露出する。残っている犠牲材料113および2D材料112の高さは、OPL120の上面と同じである。
【0049】
図14は、本発明の第2の実施形態による、OPL120および犠牲材料113を除去した後の半導体構造体の断面図を示している。犠牲材料113を露出するために、従来の方法を使用してOPL120がはぎ取られる。犠牲材料113は、例えば、アンモニアおよび過酸化水素を含むウェット・エッチング溶液を使用して除去され得る。犠牲材料113を除去した後に、図14に示されているように、2D材料112の非常に薄い層の部分が、基板1の上、およびスペーサ95の側壁の下部に残る。
【0050】
図15は、本発明の実施形態による、高誘電率ゲート誘電体151の層および金属ゲート152を堆積した後の半導体構造体の断面図を示している。示されているように、図15は、高誘電率ゲート誘電体151の内側の金属ゲート152、スペーサ95、基板1の一部の上およびスペーサ95の下部での2D材料112、FETデバイスのソース/ドレイン領域からの第2の金属74および第1の金属73の二層金属構造体の上のハードマスク75、ならびに第1の金属73の下の2D材料72を含む。図に示されているように、デバイスのチャネルを形成する、基板1の中央部の上の、スペーサ95の下部に沿った2D材料は、2D材料112に隣接する、第1の金属73の下の基板1の上の2D材料72より薄い。図9図15で説明されたプロセスを使用して、二層金属のソース/ドレイン(例えば、第1の金属73および第2の金属74)の下に2D材料のより薄い層を残しながら、2D材料のより薄い層がデバイスのチャネルを形成することができる。
【0051】
高誘電率ゲート誘電体151は、図5に関してすでに説明された高誘電率材料のいずれかであることができる。例えば、高誘電率ゲート誘電体151は、HfOであることができる。高誘電率ゲート誘電体151は、ALDまたはCVDを使用して、1.5nm~10nmの範囲にわたる厚さで堆積されてよいが、この範囲に限定されない。金属ゲート152は、PVD、CVD、またはALDを使用して、図6に関して前述した金属ゲート材料(例えば、W)のうちの1つを用いて堆積されてよい。実施形態では、仕事関数金属は、金属ゲート152と共に堆積される。金属ゲート152を堆積した後に、CMPが、ハードマスク75の上面から余分なゲート材料(例えば、高誘電率ゲート誘電体151および金属ゲート152)を除去する。2D材料112の非常に薄い層が、図15に示されたFETデバイスのチャネルを形成する。示されているように、2D材料112のより薄い層が、スペーサ95の下部で垂直に伸びている。高誘電率誘電体151が、スペーサ95の上部および2D材料112の垂直部分を覆っている。第2の金属74および第1の金属73(例えば、ソース/ドレインの二層金属)の2つの残存部分によって、FETデバイスのソース/ドレインが形成される。化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polish)が、ハードマスク75の上の高誘電率誘電体151および金属ゲート152の部分を除去する。
【0052】
2D材料72の残存部分が、ソース/ドレイン領域内およびスペーサ95の下のゲート拡張領域内の2D材料のより厚い層を形成し、外部電気抵抗を減らす。FETデバイスのチャネル領域内の2D材料112のより薄い層が、高誘電率ゲート誘電体151および金属ゲート152の下に存在する。チャネルのより薄い2D材料が、2D材料で形成されたFETデバイスの静電特性を改善する。
【0053】
本明細書に記載された方法は、集積回路チップまたは半導体チップの製造において使用され得る。結果として得られた半導体チップは、製造者によって、生ウェハーの形態で(すなわち、複数のパッケージ化されていないチップを含んでいる単一のウェハーとして)、ベア・ダイとして、またはパッケージ化された形態で配布され得る。パッケージ化された形態の場合、半導体チップは、シング・チップ・パッケージ(マザーボードまたは他の上位のキャリアに取り付けられるリードを備えるプラスチック・キャリアなど)内またはマルチチップ・パッケージ(表面相互接続または埋め込み相互接続のいずれかまたはその両方を備えるセラミック・キャリアなど)内に取り付けられる。いずれの場合も、その後、半導体チップは、(a)マザーボードなどの中間製品または(b)最終製品のいずれかの一部として、他の半導体チップ、個別の回路素子、または他の信号処理デバイス、あるいはその組み合わせと統合される。最終製品は、玩具および他の低価格の応用から、ディスプレイ、メモリ、キーボード、または他の入力デバイス、および中央処理装置を備えている高度なコンピュータ製品まで、半導体チップを含んでいる任意の製品であることができる。
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【国際調査報告】