(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】生分解性ポリマーベースのバイオコンポジット
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20241018BHJP
C08L 97/02 20060101ALI20241018BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241018BHJP
C08L 51/08 20060101ALI20241018BHJP
C08L 101/16 20060101ALI20241018BHJP
C08F 283/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C08L67/00 ZBP
C08L97/02
C08K3/013
C08L51/08
C08L101/16
C08F283/02
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024524476
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 CA2022051543
(87)【国際公開番号】W WO2023065030
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524150096
【氏名又は名称】シーティーケー リサーチ アンド ディベロップメント カナダ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ティザズ エイチ メコネン
(72)【発明者】
【氏名】アーヴィンド グプタ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
4J200
【Fターム(参考)】
4J002AH00X
4J002BG07Y
4J002BN17Y
4J002CD19Y
4J002CF05W
4J002CF18W
4J002DE067
4J002DE237
4J002DG047
4J002DJ007
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002EF046
4J002EL036
4J002EL136
4J002EL146
4J002ER006
4J002FD017
4J002FD206
4J002FD20Y
4J002GG02
4J026AB08
4J026BA25
4J026BA30
4J026BA35
4J026DB05
4J026DB15
4J026DB32
4J026GA09
4J200AA04
4J200BA12
4J200BA15
4J200BA16
4J200BA19
4J200BA38
4J200DA17
4J200EA11
(57)【要約】
本発明は生分解性バイオコンポジットを製造するための組成物を提供し、バイオコンポジットは、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物と、ヘンプ残渣と、任意選択的に、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT並びに/又は無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーからの1種以上の相溶化剤と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性バイオコンポジット材料の製造に使用される組成物であって、
a)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物を含む約30重量%~約99.5重量%のポリマー成分と、
b)約0.5重量%~約60重量%のヘンプ残渣と、
c)任意選択的に、約0.1重量%~約50重量%の、
無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT、並びに/又は
無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤と、
を含む組成物。
【請求項2】
前記ポリマー成分は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマー成分は、PHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の前記混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記PHBV-PBAT混合物は、該混合物の総重量を基準として約10重量%~約90重量%のPHBV及び約90~約10重量%のPBATを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記PHBV-PBAT混合物は、該混合物の総重量を基準として約50重量%~約90重量%のPHBV及び約50~約10重量%のPBATを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、約40重量%~約90重量%のポリマー成分及び約10重量%~約60重量%のヘンプ残渣を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、前記1種以上の相溶化剤でグラフト化された約5重量%~20重量%の前記PBATを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ヘンプ残渣は、約75~約150μmの長さ及び約3.5~約5の平均アスペクト比を有する粒子を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ヘンプ残渣は、約1.0~約2.0g/cm
3の密度を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヘンプ残渣は、約60重量%~約75重量%のセルロース、約5重量%~約15重量%のヘミセルロース及び約10重量%~約25重量%のリグニンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ヘンプ残渣は、THC及びCBDを除去するように処理されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
モノステアリン酸グリセロール及びステアリン酸などの約1~約3重量%の処理剤をさらに含む請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
1種以上の無機フィラー(滑石、粘土、珪灰石、モンモリロナイト又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、酸化物若しくは硫酸塩)をさらに含む請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物から製造されたバイオコンポジット材料。
【請求項15】
ブレンドを含むバイオコンポジット材料であって、該ブレンドは、
a)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物を含む約30重量%~約99.5重量%のポリマー成分と、
b)約0.5重量%~約60重量%のヘンプ残渣と、
c)任意選択的に、約0.1重量%~50重量%の、
無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT、並びに/又は
無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸及びメチレンジフェニルジイソシアネートから選択される1種以上の相溶化剤と、のブレンドであり、前記混合物は加熱されている、バイオコンポジット材料。
【請求項16】
前記ポリマー成分は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)である、請求項15に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項17】
前記ポリマー成分は、PHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の前記混合物である、請求項15に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項18】
前記PHBV-PBAT混合物は、前記ブレンドの総重量を基準として約5重量%~約95重量%のPHBV及び約95重量%~約5重量%のPBATを含む、請求項17に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項19】
前記PHBV-PBAT混合物は、前記ブレンドの総重量を基準として約50重量%~約90重量%のPHBV及び約50重量%~約10重量%のPBATを含む、請求項17に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項20】
前記組成物は、約40重量%~約90重量%の前記ポリマー成分及び約10重量%~約60重量%のヘンプ残渣を含む、請求項15から19のいずれか一項に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項21】
前記組成物は、前記1種以上の相溶化剤でグラフト化された約5重量%~20重量%の前記PBATを含む、請求項20に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項22】
前記ヘンプ残渣は、約75~約150μmの長さ及び約3.5~約5の平均アスペクト比を有する粒子を含む、請求項15から21のいずれか一項に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項23】
前記ヘンプ残渣は、約1.0~約2.0g/cm
3の密度を有する、請求項15から22のいずれか一項に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項24】
前記ヘンプ残渣は、約60重量%~約75重量%のセルロース、5~15重量%のヘミセルロース及び約10重量%~約25重量%のリグニンを含む、請求項15から23のいずれか一項に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項25】
前記ヘンプ残渣は、テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)を除去するように処理されている、請求項15から24のいずれか一項に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項26】
モノステアリン酸グリセロール及びステアリン酸などの約1~約3重量%の処理剤をさらに含む請求項16から25のいずれか一項に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項27】
無機フィラー(滑石、粘土、珪灰石、モンモリロナイト又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、酸化物若しくは硫酸塩)をさらに含む請求項16から26のいずれか一項に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項28】
請求項15から27のいずれか一項に記載のバイオコンポジット材料を調製する方法であって、
a)前記ポリマー成分を、前記ヘンプ残渣並びに任意選択的に前記1種以上の相溶化剤及び/又は1種以上の相溶化剤でグラフト化された前記PBATと混和するステップと、
b)少なくとも前記PHBV及び/又はPBATを溶融させるのに充分な温度で混和物を加熱するステップと、
を備える方法。
【請求項29】
前記混和物を加熱するステップは、少なくとも前記PHBV及び/又はPBATを溶融させるのに充分な押出温度で前記混和物を押し出すステップを備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記混和物は、スクリュー押出機によって、スクリュー速度約80~約120rpm、処理温度約150℃で押し出される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記コンポジット材料は、前記相溶化剤でグラフト化されたPBATを含み、前記方法は、
PBAT、前記1種以上の相溶化剤及びフリーラジカル開始剤を組み合わせて反応混合物を形成し、該反応混合物を溶融処理して前記相溶化剤でグラフト化されたPBATを形成することによって、前記相溶化剤でグラフト化されたPBATを調製するステップ
をさらに備える、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記溶融処理は、溶融押出しを含む、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリマー材料の分野に関する。特に、本発明は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)ベースを含むバイオコンポジット及びそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、前世紀の人類社会の発展に重要な役割を果たしてきた。ポリオレフィンなどの従来のポリマーは、主に使い捨ての用途で使用され、廃棄後は環境において蓄積する[非特許文献1]。これらのポリマーの長期にわたる存在は我々の土地、水及び大気を汚染し、環境及び公衆衛生の危機を引き起こしており、このようなポリマーはプラスチックが短期間使用されて廃棄される用途には適していないことを示している[非特許文献2,3]。リサイクルは妥当な選択肢であるが、プラスチック包装の汚染及び溶融加工時の特性低下によって、機械的なリサイクルは高コストとなり、実現不可能となる[非特許文献4]。
【0003】
植物及び微生物由来の(すなわち、バイオベースの)ポリマーは、微生物の酵素作用及び加水分解を受けやすいため、生分解性である[非特許文献5]。再生可能なポリマーに対する需要の高まりによって、世界中の政府及び立法機関は、使い捨ての従来のプラスチックを禁止し、代替の再生可能なプラスチックを促進するための法律/政策を立案せざるを得なくなっている[非特許文献6]。
【0004】
ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)は微生物に直接由来するバイオベースの生分解性熱可塑性プラスチックであり、広範な用途のために使い捨てプラスチックに代わる有望な特性を示している。生分解性に加え、PHBVは広範な汎用プラスチックに匹敵する機械的特性を有するため、食品包装及び消費財の用途にとって魅力的である。しかしながら、PHBVは従来のプラスチックよりも非常に高価であり、かつその脆性が幅広い用途を妨げている。
【0005】
ヘンプ(hemp)繊維、セルロースナノ結晶、ヒドロキシアパタイト、麦わら繊維、木材及び木粉、コーヒーかす、リュウゼツラン繊維、リグニン、ミスカンサス繊維、キチン、大豆殻、蒸留器の乾燥した澱並びに他の農業残渣などの天然フィラーの使用は、ポリマーベースのコンポジットを形成するために多くの研究によって探求されてきた。
【0006】
再生可能なポリマーへの天然フィラーの組込みは、ポリマー鎖の移動性を制限し、溶融粘度を増加させ、バイオコンポジットの溶融処理を限定し得ることはよく知られている。
【0007】
したがって、従来のプラスチックに代替するための、生分解性ポリマー及び持続可能で低コストかつ生分解性のフィラーから調製可能な所望の機械的特性及び/又は熱機械的特性並びに加工性を有する、コスト競争力のある生分解性材料のニーズがある。
【0008】
この背景情報は、本発明と関連する可能性があると出願人が考える情報を周知させる目的で提供される。前述の情報はいずれも本発明に対する先行技術を構成すると自認することを必ずしも意図するものではなく、そのように解釈されるべきでもない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】A.Chamas,H.Moon,J.Zheng,Y.Qiu,T.Tabassum,J.H.Jang,M.Abu-Omar,S.L.Scott,S.Suh,Degradation Rates of Plastics in the Environment,ACS Sustainable Chemistry & Engineering 8(9)(2020)3494-3511.
【非特許文献2】A.E.Schwarz,T.N.Ligthart,E.Boukris,T.vanHarmelen,Sources,transport,and accumulation of different types of plastic litter in aquatic environments:A review study,Marine Pollution Bulletin 143(2019)92-100.
【非特許文献3】K.Pabortsava,R.S.Lampitt,High concentrations of plastic hidden beneath the surface of the Atlantic Ocean,Nature Communications 11(1)(2020)4073.
【非特許文献4】J.N.Hahladakis,E.Iacovidou,An overview of the challenges and trade-offs in closing the loop of post-consumer plastic waste(PCPW):Focus on recycling,Journal of Hazardous Materials 380(2019)120887.
【非特許文献5】K.W.Meereboer,M.Misra,A.K.Mohanty,Review of recent advances in the biodegradability of polyhydroxyalkanoate(PHA) bioplastics and their composites,Green Chemistry 22(17)(2020)5519-5558.
【非特許文献6】K.Ghosh,B.H.Jones,Roadmap to Biodegradable Plastics-Current State and Research Needs,ACS Sustainable Chemistry & Engineering 9(18)(2021)6170-6187.
【非特許文献7】J.Topping,Investigations on the Theory of the Brownian Movement,Physics Bulletin 7(10)(1956)281-281.
【非特許文献8】D.Romanzini,A.Lavoratti,H.L.Ornaghi,S.C.Amico,A.J.Zattera,Influence of fiber content on the mechanical and dynamic mechanical properties of glass/ramie polymer composites,Materials & Design 47(2013)9-15.
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)に基づく生分解性バイオコンポジットを提供することである。
【0011】
本発明の態様によると、生分解性コンポジット材料の製造に使用される組成物が提供され、その組成物は、a)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV-ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物を含む約30~約99.5重量%のポリマー成分と、b)約0.5~約60重量%のヘンプ残渣と、c)任意選択的に、約0.1~50重量%の、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT並びに/又は無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤と、を含む。
【0012】
本発明の態様によると、ブレンドを含むバイオコンポジット材料が提供され、ブレンドは、a)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV-ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物を含む約30~約99.5重量%のポリマー成分と、b)約0.5~約60重量%のヘンプ残渣と、c)任意選択的に、約0.1~50重量%の、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT並びに/又は無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤と、のブレンドである。
【0013】
本発明の態様によると、ここに記載されたバイオコンポジット材料を調製する方法が提供される。その方法は、a)ポリマー成分をヘンプ残渣並びに任意選択的に相溶化剤及び/又は相溶化剤でグラフト化されたPBATと混和するステップと、b)少なくともPHBV及び/又はPBATを溶融するのに充分な温度で混和物を加熱するステップと、を備える。
【0014】
本開示のさらなる特徴及び有利な効果は、添付図面と組み合わせて解釈されて、以下の詳細な説明から明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る例示的なバイオコンポジットの引張試験及び引張係数の結果を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る例示的なバイオコンポジットの破断伸度及び引張抵抗を示す図である。
【
図3】
図3のA及びBは、本発明の実施形態に係る、温度に対する例示的なPHBV-ヘンプ残渣バイオコンポジットの貯蔵弾性率及びtanδをそれぞれ示す図である。
【
図4】
図4のA及びBは、本発明の実施形態に係る、温度に対する例示的なPHBV-PBAT-ヘンプ残渣バイオコンポジットの貯蔵弾性率及びtanδをそれぞれ示す図である。
【
図5】
図5のA及びBは、本発明の実施形態に係る、温度に対する例示的なPHBV-PBAT-mPBAT-ヘンプ残渣バイオコンポジットの貯蔵弾性率及びtanδをそれぞれ示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る例示的なPHBV-ヘンプ残渣バイオコPHンポジット並びにmPBATを有する及び有さないPHBV-PBAT-ヘンプ残渣バイオコンポジットの熱たわみ温度を示す図である。
【
図7】
図7のA~Cは、本発明の実施形態に係るPHBV-ヘンプ残渣バイオコンポジットのレオロジー特性を示す図である。
図7のAは貯蔵弾性率を示し、
図7のBは損失弾性率を示し、
図7のCは複素粘度を示す。
【
図8】
図8のA~Cは、本発明の実施形態に係るPHBV-PBAT-ヘンプ残渣バイオコンポジットのレオロジー特性を示す図である。
図8のAは貯蔵弾性率を示し、
図8Bは損失弾性率を示し、
図8Cは複素粘度を示す。
【
図9】
図9のA~Cは、本発明の実施形態に係るmPBATを有するPHBV-PBAT-ヘンプ残渣バイオコンポジットのレオロジー特性を示す図である。
図9のAは貯蔵弾性率を示し、
図9Bは損失弾性率を示し、
図9Cは複素粘度を示す。
【
図10A】
図10Aは、日数単位での時間に対するPHBV及び本発明の実施形態に係る例示的なバイオコンポジットの吸水を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、日数単位での時間に対するPHBV及び本発明の実施形態に係る例示的なバイオコンポジットの吸水を示す図である。
【
図10C】
図10Cは、日数単位での時間に対するPHBV及び本発明の実施形態に係る例示的なバイオコンポジットの吸水を示す図である。
【
図10D】
図10Dは、日数単位での時間に対するPHBV及び本発明の実施形態に係る例示的なバイオコンポジットの吸水を示す図である。
【
図11】
図11のA~Dは、本発明の実施形態に係る例示的なPBAT-ヘンプ残渣バイオコンポジットの形態学的分析を示す。
【
図12】
図12のA~Dは、本発明の実施形態に係る例示的なPHBV-PBAT-ヘンプ残渣バイオコンポジットの形態学的分析を示す図である。
【
図13】
図13のA~Cは、本発明の実施形態に係るmPBATを有する例示的なPHBV-PBAT-ヘンプ残渣バイオコンポジットの形態学的分析を示す図である。
【
図14】
図14のA~Cは、本発明の実施形態に係る、30重量%のヘンプ残渣を有する(A)PHBV、(B)(80:20-PHBV:PBAT)及び(C)(80:20)-Mの例示的なバイオコンポジットの形態学的分析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特に断りがない限り、ここで用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0017】
冠詞「a」及び「an」は、ここではその冠詞の文法的対象の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)をいうのに使用される。例として、「an element」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0018】
ここで用いられるように、用語「約」とは、名目上の値から±10%のばらつきのことをいう。そのようなばらつきは、それが具体的に言及されるか否かにかかわらず、ここに与えられる所与の値に常に含まれることが理解されるべきである。
【0019】
ここで用いられるように、用語「ヘンプ残渣」(HP)とは、粉砕された麻茎のことをいい、ヘンプハード(hemp hurd)及び/又は繊維が粉砕及び/又はスライスされてミクロンサイズの粒子となる。残渣は、粉末又は塵の形態であり得る。
【0020】
ここで用いられるように、用語「生分解性」とは、日光若しくは紫外線、水若しくは湿気、バクテリア及び菌類などの微生物、酵素又は風食に曝露されると劣化又は破断する材料のことをいう。
【0021】
ここで用いられるように、用語「バイオベース」とは、生存している(又は生存していた)生物に由来する物質から製造された材料のことをいう。
【0022】
本発明は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)ベースの生分解性バイオコンポジットを製造するための新規の組成物及びこれらの組成物から形成される生分解性バイオコンポジット材料に関する。
【0023】
本発明のバイオコンポジット材料は、元のPHBVと比較して、向上した引張係数並びに同様の引張強度及び熱たわみを示し得るので、消費財、硬質包装用途及び付加製造の有望な候補となる。
【0024】
一態様において、本発明は、生分解性バイオコンポジット材料の製造に使用される組成物を提供する。その組成物は、a)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物を含む約30~約99.5重量%のポリマー成分と、b)約0.5~約60重量%のヘンプ残渣と、c)任意選択的に、約0.1~50重量%の、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT並びに/又は無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤と、を含む。
【0025】
他の態様において、本発明はブレンドを含む生分解性バイオコンポジット材料を提供し、そのブレンドは、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物を含む約30~約99.5重量%のポリマー成分と、約0.5~約60重量%のヘンプ残渣と、任意選択的に、約0.1~50重量%の、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT並びに/又は無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤と、のブレンドである。
【0026】
一部の実施形態では、ポリマー成分は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)である。
【0027】
一部の実施形態では、ポリマー成分は、PHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物である。
【0028】
一部の実施形態では、PHBV-PBAT混合物は、ブレンドの総重量を基準として約10重量%~約90重量%のPHBV及び約90~約10重量%のPBATを含む。
【0029】
一部の実施形態では、PHBV-PBAT混合物は、ブレンドの総重量を基準として約50~約90重量%のPHBV及び約50~約10重量%のPBATを含む。
【0030】
一部の実施形態では、PHBV-PBAT混合物は、ブレンドの総重量を基準として約70~約90重量%のPHBV及び約30~約10重量%のPBATを含む。
【0031】
一部の実施形態では、組成物又はコンポジットは、約40~90%のPHBV成分及び約10~60%のHPを含む。
【0032】
一部の実施形態では、本発明の組成物及び/又はバイオコンポジット材料は、無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、及びアクリル酸のコポリマーから選択された1種以上の相溶化剤を含む。
【0033】
一部の実施形態では、本発明の組成物及び/又はバイオコンポジット材料は、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸及びメチレンジフェニルジイソシアネートから選択された1種以上の相溶化剤を含む。
【0034】
一部の実施形態では、本発明の組成物及び/又はバイオコンポジット材料は、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸及びアクリル酸のうちの1以上でグラフト化されたPBATを含む。
【0035】
一部の実施形態では、本発明の組成物及び/又はバイオコンポジット材料は、1種以上の相溶化剤でグラフト化された約5重量%~20重量%のPBATを含む。
【0036】
本発明のヘンプ残渣は、麻茎を製粉及び/又は粉砕してミクロンサイズの粒子を得ることによって調製可能である。一部の実施形態では、ヘンプ残渣は、粉砕されたヘンプハード及び靭皮繊維を含む。一部の実施形態では、ヘンプ残渣は、主にヘンプ芯及び残留靭皮繊維からなる。一部の実施形態では、ヘンプ残渣は、ヘンプハードからなる。一部の実施形態では、残渣は、粉末の形態である。
【0037】
一部の実施形態では、製粉又は粉砕前に、麻茎繊維は、約2~10%の水酸化ナトリウム水溶液(溶液10重量部あたり茎1重量部)によって洗浄され、その後に乾燥される。
【0038】
一部の実施形態では、ヘンプ残渣は、約75~150μmの長さ及び約3.5~5の平均アスペクト比を有する粒子を含む。一部の実施形態では、ヘンプ残渣は、約1.0~2.0g/cm3の密度を有する。
【0039】
一部の実施形態では、ヘンプ残渣は、約60~75重量%のセルロース、5~15重量%のヘミセルロース及び約10~25重量%のリグニンを含む。
【0040】
一部の実施形態では、ヘンプ残渣は、テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)を除去するように処理される。
【0041】
一部の実施形態では、本発明の組成物及び/又はバイオコンポジット材料は、約30重量%のPHBV-PBATブレンド、約60重量%のHP残渣、及び無水マレイン酸でグラフト化された約10重量%のPBATを含む。
【0042】
一部の実施形態では、組成物及び/又はバイオコンポジット材料は、モノステアリン酸グリセロール及びステアリン酸などの約1~約3重量%の処理剤を含む。
【0043】
一部の実施形態では、組成物及び/又はバイオコンポジット材料は、1種以上の無機フィラー(滑石、粘土、珪灰石、モンモリロナイト又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、酸化物若しくは硫酸塩)を含む。
【0044】
一部の実施形態では、組成物及び/又はバイオコンポジット材料は、約0.5~約5重量%の鉱物及び/又は染料などの着色剤をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、約1重量%の着色剤を含む。
【0045】
他の態様において、本発明は、本発明の生分解性バイオコンポジット材料を調製する方法を提供する。その方法は、ポリマー成分をヘンプ残渣並びに任意選択的に1種以上の相溶化剤及び/又はここに記載する相溶化剤でグラフト化されたPBATと混和するステップと、その混和物を少なくともPHBV及び/又はPBATを溶融させるのに充分な温度で加熱するステップと、を備える。
【0046】
一部の実施形態では、方法は、少なくともPHBV及び/又はPBATを溶融させるのに充分な押出温度で混和物を押し出すステップを備える。一部の実施形態では、混和物は、スクリュー押出機によって、スクリュー速度約80~約120rpm、処理温度約150℃~約220℃で押し出される。
【0047】
一部の実施形態では、ポリマー成分及びヘンプ残渣は、加工前に残留水分を除去するように乾燥される。乾燥は、約60~約100℃の従来的なオーブンにおいて、又は一般的な工業的乾燥方法、例えば、乾燥剤式ホイールドライヤー又はムンタース製乾燥剤式ホイール(約40~60℃で一晩)によって達成可能である。
【0048】
一部の実施形態では、生成されたバイオコンポジット材料は、空冷及びペレット化される。
【0049】
一部の実施形態では、相溶化剤でグラフト化されたPBATは、PBAT、1種以上の相溶化剤及びフリーラジカル開始剤を組み合わせて反応混合物を形成し、その反応混合物を溶融処理してグラフト化PBATを形成することによって調製可能である。
【0050】
一部の実施形態では、PBATは、まず1種以上の相溶化剤に混合され、少なくとも1種の相溶化剤を溶融するのに充分な温度まで加熱され、続いて溶融処理の前にフリーラジカル開始剤を添加する。
【0051】
一部の実施形態では、溶融処理は、約150℃~約220℃の温度で達成される。
【0052】
一部の実施形態では、溶融処理は、溶融押出を含む。一部の実施形態では、溶融押出は、スクリュー押出機によって約80~120rpmのスクリュー速度で、約300~750g/hの送り速度で実行される。
【0053】
一部の実施形態では、生成されたバイオコンポジットは、未反応相溶化剤を除去するように乾燥される。
【0054】
一部の実施形態では、本発明のバイオコンポジット材料は、1種以上の相溶化剤によってグラフト化されたPBATを含み、それは:
a)まず、PBATを1種以上の相溶化剤及びフリーラジカル開始剤と組み合わせて反応混合物を形成し、その反応混合物を溶融処理してグラフト化PBATを形成することによってグラフト化PBATを調製するステップと、
b)その後、ステップa)で調製されたグラフト化PBATをポリマー成分、ヘンプ残渣及び任意選択的なフィラーと混合し、少なくともPHBV及び/又はPBATを溶融するのに充分な処理温度で混合物を押し出すステップと、
によって調製可能である。
【0055】
一態様では、本発明は、ここに記載する方法によって製造されたバイオコンポジット材料を提供する。
【0056】
ここに記載する本発明のより深い理解を得るために、添付図面を参照して以下の実施例を説明する。これらの実施例は、本発明の例示的実施形態を記載することを意図するものであり、本発明の範囲をいかなる態様においても限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0057】
実施例1:ヘンプ粉末(HP)の調製
HPを生成するために、茎及び残りの木質芯(ハード(hurd)ともいう)から靭皮繊維を除去し、残留繊維を製粉機によって処理して、ヘンプハード及び残留繊維の微粉末をミクロンサイズの粒子として調製した。生成したHPの水分含有量は、1.5%未満であった。
【0058】
実施例2:MAグラフト化PBATの調製
産業上利用可能な溶融押出技術を採用してMAグラフト化PBAT(mPBAT)を生成した。最初に、PBATペレットを5重量%の無水マレイン酸(MA)と混合し、熱風オーブン内に80℃で約30分間格納してMAを溶融し、薄いクラストコーティングをPBATペレット上に形成した。混合物を冷却し、反応開始剤として1重量%のジクミルペルオキシド(DCP)と混合し、溶融処理前に撹拌した。二軸スクリュー押出機(Process11 Parallel Twin-Screw Extruder、Thermo Fisher Scientific)により、使用したダイからフィードまでの温度プロファイル130/135/140/150/150/140/135/130℃で反応押出を行った。スクリュー速度を60rpm(長さ440mm及び直径11mm、すなわち、L/D40:1)、送り速度を約500g/hとした。そして、生成したmPBATをペレット化し、重量を測定し、真空オーブン内で100mbarの減圧下で、温度80℃で24時間乾燥した。一旦サンプルから未反応MAを除去し、それを以降の使用まで気密容器内に入れた。
【0059】
実施例3:バイオコンポジット材料の作製
HP/mPBATを有するPHBVバイオコンポジット又はPHBV-PBATバイオコンポジットを、表1に示す様々な濃度のHP及びmPBAT(重量パーセント)と、PHBV、又は、PHBV及びPBATの混合物と、をまず混合し、その後、熱風オーブン内で80℃で一晩乾燥させた。混合物を二軸スクリュー押出機(Process11 Parallel Twin-Screw Extruder、Thermo Fisher Scientific)において180℃、スクリュー速度100rpmで押し出した。ブレンドを、HAAKE Mini-Jet Pro(Thermo Fisher Scientific,米国、マサチューセッツ州、ウォルサム)を用いて、シリンダー温度180℃、金型温度60℃及び圧力700barで10秒間保持して射出成形した。試験体を、試験前に室温及び50%RHで48時間さらに調整した。
【表1】
【0060】
特徴付け
500Nのロードセルが装備されたMandel-Shimadzu(AGS-X)引張試験装置(株式会社島津製作所、日本、京都府)を用いて、全てのサンプルにわたってクロスヘッド速度5mm/min及びゲージ長25mmで引張試験を実行した。各サンプルについて5個の試験体を試験し、標準偏差とともに平均をASTM D638 type Vに従って報告した。
【0061】
動的機械分析器(Q800 DMA,TA Instruments)を用いて、動的機械分析(DMA)を行った。サンプルを-80℃から120℃まで加熱変化率3℃/minで加熱した。デュアルカンチレバークランプを、周波数1Hz及び歪み0.2%で用いた。
【0062】
動的機械分析器(Q800 DMA,TA Instruments)を用いて、3点曲げモジュール及び加熱変化率2℃/minで各ブレンドの熱たわみ温度(HDT)を推定した。ASTM648-07規格に記載されるように、式1を用いて、この分析の各サンプルについての必要な力を計算した。
【数1】
なお、σは試験体に対する応力であり(0.455Mpa)、H、W及びLはそれぞれ試験体の高さ、幅及び長さである。サンプル歪みを、式2を用いて計算した。
【数2】
なお、たわみ(ASTM)、厚さ(ASTM)及び長さ(ASTM)を、ASTM648-07規格に記載されるように、0.25mm、13mm及び127mmとした。そして、推定歪みを用いて、式3を用いてたわみを計算した。
【数3】
計算されたたわみ166.3μmにより、各サンプルのHDTを推定した。
【0063】
ブレンドのレオロジーを、平行板粘度計(HAAKE MARS III,Thermo Fisher Scientific)を用いて、サンプルの厚さ及び直径をそれぞれ1.55mm及び20mmとして検討した。0.01~100Hzの周波数掃引を、200℃で定歪み0.1%(リニア粘弾性領域において)及び板間隔1mmとして行った。
【0064】
走査型電子顕微鏡検査(SEM)を、Oxford Instruments Quanta FEG250 Environmental SEM(英国、アビンドン)を用いて、ブレンドの破砕面形態を調べるためのスパッタコーティングなしで行った。顕微鏡写真を凍結破壊した引張試料から撮影してHP及びポリマーマトリクスの相互作用を調査した。
【0065】
吸水試験を0、10、30及び60%のHPブレンドについて行った。まず、各サンプルの5個の試験体の重量を測定し、その後、室温でガラス容器内の70mLの蒸留水中に浸漬した。試験体の重量を24時間後に記録し、その後、4日毎にさらに試験した。
【0066】
作製したバイオコンポジットの耐衝撃性を、ASTM D256に従ってアイゾット式衝撃試験機を用いて評価した。試験をTesting Machines Inc.(Model 43-02)製のTMI衝撃試験機を用いて行い、5個の試験体の平均を標準偏差とともに報告した。
【0067】
PHBVベースのバイオコンポジット材料の機械的特性
図1は、作製したバイオコンポジット材料の最大抗張力(UTS)及び引張係数(TM)を示す。PHBVでは、20%ヘンプ残渣粉末(HP)の組込みに対して、UTSは33.2MPaから35.3MPaまで微増し、60%HPの組込みでは27MPaに低下した。高濃度でのPHBVマトリクス及びHPの界面剥離は、一方向引張り後の試験体の早期の破断の主な原因となると考えられている。また、より高い充填率に起因するHP粒子の局在化した蓄積は、適正な荷重伝達を阻害するバイオコンポジット内の脆弱な領域を生成してUTSを低下させてしまう。PHBV-PBAT(80:20)マトリクスの場合、10%HPの組込みは30.9から31.7MPaまでのわずかなUTSの向上を示したが、HP充填率の更なる増加は24.8MPaへの低下をもたらした。PBATは比較的軟質な材料であるため、それはPHBV-PBAT(80:20)バイオコンポジットのUTSに影響を与える。さらに、その相分離及びPHBVとの不溶性も、UTS低下の原因となる。10%マレイン化PBAT(mPBAT)を有するPHBV-PBATのブレンドの場合、50%HPの組込みによって、UTSは33.1MPaにさらに高まることになる。10%mPBATの使用は、PBAT、PHBV及びHPの間の相溶化剤として作用する。機能的なmPBATはHPと反応し、HPでグラフト化されたPBATを生成するが、部分的反応はPHBVによっても起こり得る。mPBATの組込みによって、ポリマーマトリクスとのHPの界面接着性が向上し、PHBVとのPBATの相溶性が高まった。マトリクスとのHPの充分な界面相互作用によってUTSが上昇し、それは50%HP充填率の添加後でも元のPHBVと同等であった。
【0068】
PHBV-HPの引張係数は、HP充填率の60%への増加とともに1,691MPaから2,609MPaに徐々に増加した。引張係数の増加は、付与される一方向変形に対する耐性の測定値である開発したバイオコンポジットの硬さの向上を実証した。60%HPの系へのPBAT及びmPBATの添加は、PHBV-60%HPとの比較において、それぞれ引張係数の2,426MPa及び2,100MPaへの低下をもたらした。これは、PBATが軟質かつ柔軟なポリマーであり、その組込みが硬さの低下をもたらしたことを考慮すると、驚くべきことではない。それと比較して、PHBV-PBAT及びmPBATとともに60%HPを添加することで、元のPHBVよりも高い引張係数を示した。一方で、mPBATの組込みは、バイオコンポジットの耐衝撃性の向上に寄与する。
【0069】
破断伸度及びアイゾット耐衝撃性
図2は、開発したバイオコンポジットの破断伸度及びアイゾット耐衝撃性を示す。強化剤又はフィラーの組込みによって、バイオコンポジットの破断伸度又は伸張性は劇的に低下することが知られている。純PHBVの破断伸度は約3%であり、60%HPの添加後に約1%まで低下した。同様の傾向が、PHBV-PBATバイオコンポジットの場合に確認される。一方で、PHBVに対する同等の破断伸度(約3%)が、30%HPフィラーの使用によるmPBATの組込みで確認された。mPBATを有するバイオコンポジットの反応押出は、30%HPまでの使用によって充分な引張強さ及び比較的高い破断伸度を与えた。反応押出化学作用は、より高いHP充填率で作用し、それは取得した耐衝撃性データによって示された。mPBAT及び50%HPでのPHBV-PBATマトリクスの耐衝撃性(23.3J/m)は、元のPHBVの耐衝撃性(23.2J/m)と同等であった。HP充填率の減少(20%)は、耐衝撃性の増加(25.8J/m)を促進した。
【0070】
PHBVバイオコンポジットの熱機械的特性
種々のコンポジット配合物の動的機械特性を、DMAを用いて評価した。-50℃、0℃、25℃、50℃における試験体の貯蔵弾性率を表2に示し、対応する対温度曲線を
図3A、3B、4A、4B、5A及び5Bに示す。表3で明らかなように、HPの組込みによって、全てのコンポジットの組合せにおいて貯蔵弾性率が高まった。25℃におけるPHBVの貯蔵弾性率(4359Mpa)は、60%HPの添加によって9916Mpaまで127.5%向上し、これは25℃における材料がHPの組込み後に向上した弾性的挙動を有することを示している。同様の傾向が、PHBV-PBATマトリクスの場合にも見られた。温度の50℃への上昇は貯蔵弾性率に対して大きな影響を有さなかった。これは、より広い温度範囲において作製した材料がそれらの弾性的挙動を維持したことを意味する。
【0071】
バイオコンポジットの損失正接(tanδ)も表2に示す。PHBVについて、tanδピークは、HP充填率の60%への漸増とともに約17℃から約28℃に増加したガラス転移を示すものであった。これの減少は、バイオコンポジット中の非晶質画分の減少の原因となり得る。tanδピークの高さも低下し、硬いHP粒子からもたらされる鎖の移動制限を示した。これに対して、PHBV-PBATマトリクスは、PHBV及びPBATのガラス転移に対応する約20℃及び約27℃での2つの別個のtanδピークをそれぞれ示した。HP及びmPBATの組込みによって、tanδピークが高温側に大幅にシフトし、ピークの高さが低下した。高度に充填された(30%超のHP)PHBV-PBATマトリクスへのmPBATの組込みは、tanδピークの大幅な抑制をもたらし、HPマトリクスの界面相互作用の向上を示した。これは、開発したバイオコンポジットの粘弾性特性の予測に使用される理論パラメータを決定することによっても確認された。
【表2】
【0072】
PHBVバイオコンポジットの貯蔵弾性率
HPの存在下で貯蔵弾性率を予測するために、有効性係数因子及び強化効率因子を採用した。Einstien[非特許文献7:J.Topping,Investigations on the Theory of the Brownian Movement,Physics Bulletin 7(10)(1956)281-281.]によって提案された式4が、強化効率因子(r)を計算することによってフィラー強化を評価するのに利用可能である。
【数4】
なお、E
c及びE
mは、それぞれバイオコンポジット及びマトリクスの貯蔵弾性率を表し、V
fはフィラーの体積分率である。
【0073】
フィラーの充填レベル及びその分散性は強化効率因子(r)に影響を与え、それはEc/Em対Vfの線形プロットから取得可能である。より高いrの値は、より低い凝集及び均一な分散に対応する。種々のバイオコンポジットに対するrの計算値を、表3に列挙する。PHBV-HP、PHBV-PBAT-HP及びPHBV-PBAT-HP-Mのバイオコンポジットのr値は、それぞれ1.47、1.81及び1.85であった。より高いr値は、mPBATを含有するコンポジットに対して取得され、そのような配合物中のHPの分散作用の向上によって強化性が高まることを示している。またさらに、rの値を用いてそれぞれのバイオコンポジットの貯蔵弾性率を理論的に計算し、rの値は実験値からの誤差マージン内であることが分かった(表3)。
【0074】
貯蔵弾性率はバイオコンポジット内の保存エネルギーに対応するため、温度の上昇は、ポリマー鎖の分子運動及び分子周波数に起因してその値に影響を与える。HPの組込みは、硬いHPによる鎖の移動制限に起因してそれぞれの試験体の貯蔵弾性率を高めた。フィラーの有効性は、強化の有効性係数(C)を計算することによって評価可能であり、それを式5[非特許文献8:D.Romanzini,A.Lavoratti,H.L. Ornaghi,S.C.Amico,A.J.Zattera,Influence of fiber content on the mechanical and dynamic mechanical properties of glass/ramie polymer composites,Materials & Design 47(2013)9-15]を用いて推定した。
【数5】
なお、E
g及びE
rは、それぞれガラス領域(-20℃)及びゴム領域(120℃)での貯蔵弾性率である。
Cの取得値を表3に列挙する。より低いCの値は、マトリクスとフィラーの間の最大応力伝達を示す。この検討では、Cの値はHPを含む全ての配合物において減少し、最適な応力伝達を示すことが示された。
【表3】
【0075】
PHBVバイオコンポジットの耐熱性
包装用途の観点から、バイオコンポジットの耐熱性は、特にホット飲料及び温熱製品の包装及び封入用途について、重要なパラメータである。これは、熱たわみ温度(HDT)を測定することによって定量的に評価可能である。
図6は、コンポジット配合物の熱たわみ温度(HDT)を示す。元のPHBVのHDTは116℃であり、それは60%HPの添加後に170℃に上昇した。HPの組込みは、より高温時でもポリマー鎖の移動性を制限し、充填率に応じた変形に耐える。これに対して、より軟質のPBATの添加によって、HDT値が約157℃まで低下した。これは、全体的なコンポジットの鎖の動作の向上及びより高温時の耐荷重能力の低下からもたらされたものである。相溶化剤のmPBATはより低分子量のポリマー鎖を含有し、その使用はHDTの低下に寄与し得ることが知られている。一方、mPBATの存在下でのPHBV-PBAT中への60%HPの添加後に、120℃より高いHDTが示され、これは元のPHBVよりも高かった。全体として、バイオコンポジットの耐熱性は、高充填率HP(60%)の組込み後でも維持される。
【0076】
PHBVバイオコンポジットのレオロジー特性
開発したバイオコンポジットの動的レオロジー特性を特定するのに平行板粘度計が用いられる。対応する貯蔵弾性率、損失弾性率及び複素粘度を周波数に対して
図7A~7C、8A~8C及び9A~9Cに示す。コンポジットの貯蔵弾性率はHPの組込みに対して増加したことが分かり、これは材料の弾性的挙動を示唆している。同様の傾向が、バイオコンポジットサンプルの損失弾性率についても見られた。材料の溶融処理は粘度の特定の閾値を必要とするため、溶融粘度に対するHP組成物の影響を知ることが最重要となる。PHBVマトリクスのみへの60%HPの組込みは、1Hzの周波数(60rpmに相当)における1.8Mpa.sの複素粘度をもたらし、これはPBAT分子の高次の鎖の絡み合いに起因して2.6MPa.sまで増加する。一方で、バイオコンポジットへのmPBATの組込みは1.02MPa.sへの複素粘度の低下をもたらし、これは主に、その表面上を鎖がスライドすることを促進して分子摩擦力を低減する低分子量のPBAT鎖の存在及びHPの湿潤化に起因していた。全体として、開発した配合物の複素粘度の低下は、閾値スクリュートルクに達することなく滑らかな溶融押出処理を行うのに役立つ。
【0077】
PHBVバイオコンポジットの吸水
大多数のリグノセルロース系バイオフィラーは本来的に親水性であり、多量の水分を吸収することが知られている。リグノセルロース系材料であるHPも、PHBV-PBATコンポジットに引き継がれ得る高い水分吸収作用を有することが想定される。吸水性はバイオコンポジット最終製品の寸法安定性に直接かかわるため、吸水挙動及びバイオコンポジットに対するそれらの影響を理解することは必須である。日数単位での時間に対する吸水パーセンテージのプロットが、
図10A~10Dに与えられる。PHBVの場合、HP充填率の増加に対する水分吸収作用の明確な増加が示された。これに対して、PHBV-PBATマトリクスによるバイオコンポジットは、より高いHP充填率において相対的に低い水分吸収作用を示した。これは、PBATの存在によってコーティングがヘンプ粉末表面に開発してその吸水を防止することを示唆している。またさらに、HP粒子との化学結合を形成したmPBAT相溶化剤の使用は、水分子拡散及びHP粒子へのその直接のアクセスを防止する。
【0078】
水分吸収の観点では、水分子は、微小間隙を通じる毛細管輸送、ポリマー鎖間の微小間隙を通じる拡散及びバイオフィラーとポリマードメインの間の間隙を通じる拡散などの様々なメカニズムによって表面を貫通し得る。ただし、バイオフィラーとポリマードメインの間の微小間隙を通じる拡散が、吸水の最も顕著な理由である。主に、水分子は、水素結合の形成によって直接にバイオフィラーによって及びバイオフィラーとマトリクスの間の界面を通じて吸収され得る。相溶化剤としてのmPBATの使用は、HP上にコーティングを開発させ、それは水分子によるHPへの直接のアクセスを防止する。さらに、mPBATとHPの間の化学結合は、バイオフィラーとマトリクスの間の界面接着作用を向上し(破砕面のSEM顕微鏡分析によっても確認される)、それは最終的には界面を通じた水分子の拡散を大幅に減少させる。全体として、mPBAT相溶化剤の使用は、機械的特性の向上に有効なだけでなく、主により高い充填率でのバイオコンポジットに対する水分吸収を防止するのにも同様に重要である。
【0079】
PHBV-PBAT HPへのmPBATの組込みによって、相対的に高硬質性でかつ低い吸水作用のバイオコンポジットとなることが、前章の記載から理解される。この検討において開発された配合は、元のPHBVの同様の特性を有するバイオコンポジットにおける結果である。反応押出処理時におけるmPBATのHPとの反応及びPHBVとの限定的な反応は、HPに接続されたPBAT鎖がPHBV-PBATマトリクスと相互作用して他のポリマー鎖とのHPの界面相互作用を増加させるアンカー効果につながる。元のマトリクス並びに10%、30%及び60%HP充填率でのそのバイオコンポジットの破砕面の形態画像を、
図11A~11D、12A~12D及び13A~13Cに示す。これらのポリマー及びコンポジットの形態学的分析は、フィラーの適切な分散を示唆する。ポリマー鎖とのHPの湿潤化は、
図14A~14Cに見られる。PHBV-30 HPバイオコンポジットの場合、HPは、より低い界面接着作用を示すマトリクスの外部に完全に露出している。一方、30%HPでの(80:20)-Mの場合、フィラー粒子はポリマードメインによって完全にコーティングされていることが分かり、これは付与される力に対する応力伝達に役立つ。この界面相互作用の向上はマトリクスとフィラーの間の応力伝達を担い、これは衝撃強度に伴う機械的強度及び弾性率の向上並びに吸水作用の低下をもたらした。
【0080】
本発明を特定の具体的実施形態を参照して説明したが、その種々の変形例は、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、当業者には明らかとなる。当業者に明らかとなるような変形例は全て、以下の特許請求の範囲内に含まれるものである。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性バイオコンポジット材料の製造に使用される組成物であって、
a)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物を含む約30重量%~約99.5重量%のポリマー成分と、
b)
ヘンプハード及び/又は繊維がミクロンサイズの粒子に粉砕及び/又はスライスされた粉砕された麻茎を含み、約0.5重量%~約60重量%のヘンプ残渣と、
c)任意選択的に、約0.1重量%~約50重量%の、
無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT、並びに/又は
無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤と、
を含む組成物。
【請求項2】
前記ポリマー成分は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマー成分は、PHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の前記混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記PHBV-PBAT混合物は、該混合物の総重量を基準として約10重量%~約90重量%のPHBV及び約90~約10重量%のPBATを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記PHBV-PBAT混合物は、該混合物の総重量を基準として約50重量%~約90重量%のPHBV及び約50~約10重量%のPBATを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、約40重量%~約90重量%のポリマー成分及び約10重量%~約60重量%のヘンプ残渣を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、前記1種以上の相溶化剤でグラフト化された約5重量%~20重量%の前記PBATを含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ヘンプ残渣は、約75~約150μmの長さ及び約3.5~約5の平均アスペクト比を有する粒子を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項9】
約1~約3重量%の処理剤
、及び/又は1種以上の無機フィラーをさらに含む請求項
1に記載の組成物。
【請求項10】
ブレンドを含むバイオコンポジット材料であって、該ブレンドは、
a)ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)又はPHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の混合物を含む約30重量%~約99.5重量%のポリマー成分と、
b)
ヘンプハード及び/又は繊維がミクロンサイズの粒子に粉砕及び/又はスライスされた粉砕された麻茎を含み、約0.5重量%~約60重量%のヘンプ残渣と、
c)任意選択的に、約0.1重量%~50重量%の、
無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、メタクリル酸グリシジルのコポリマー及びアクリル酸のコポリマーから選択される1種以上の相溶化剤でグラフト化されたPBAT、並びに/又は
無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、アクリル酸、ポリアクリル酸及びメチレンジフェニルジイソシアネートから選択される1種以上の相溶化剤と、のブレンドであり、前記混合物は加熱されている、バイオコンポジット材料。
【請求項11】
前記ポリマー成分は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)である、請求項
10に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項12】
前記ポリマー成分は、PHBV及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の前記混合物である、請求項
10に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項13】
前記PHBV-PBAT混合物は、前記ブレンドの総重量を基準として約5重量%~約95重量%のPHBV及び約95重量%~約5重量%のPBATを含む、請求項
12に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項14】
前記PHBV-PBAT混合物は、前記ブレンドの総重量を基準として約50重量%~約90重量%のPHBV及び約50重量%~約10重量%のPBATを含む、請求項
12に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項15】
前記組成物は、約40重量%~約90重量%の前記ポリマー成分及び約10重量%~約60重量%のヘンプ残渣を含む、請求項
10に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項16】
前記組成物は、前記1種以上の相溶化剤でグラフト化された約5重量%~20重量%の前記PBATを含む、請求項
15に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項17】
前記ヘンプ残渣は、約75~約150μmの長さ及び約3.5~約5の平均アスペクト比を有する粒子を含む、請求項
10に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項18】
約1~約3重量%の処理剤
、及び/又は1種以上の無機フィラーをさらに含む請求項
10に記載のバイオコンポジット材料。
【請求項19】
請求項
10に記載のバイオコンポジット材料を調製する方法であって、
a)前記ポリマー成分を、前記ヘンプ残渣並びに任意選択的に前記1種以上の相溶化剤及び/又は1種以上の相溶化剤でグラフト化された前記PBATと混和するステップと、
b)少なくとも前記PHBV及び/又はPBATを溶融させるのに充分な温度で混和物を加熱するステップと、
を備える方法。
【請求項20】
前記混和物を加熱するステップは、少なくとも前記PHBV及び/又はPBATを溶融させるのに充分な押出温度で前記混和物を押し出すステップを備える、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記混和物は、スクリュー押出機によって、スクリュー速度約80~約120rpm、処理温度約150℃
~約220℃で押し出される、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記コンポジット材料は、前記相溶化剤でグラフト化されたPBATを含み、前記方法は、
PBAT、前記1種以上の相溶化剤及びフリーラジカル開始剤を組み合わせて反応混合物を形成し、該反応混合物を溶融処理して前記相溶化剤でグラフト化されたPBATを形成することによって、前記相溶化剤でグラフト化されたPBATを調製するステップ
をさらに備える、請求項
19に記載の方法。
【国際調査報告】