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特表2024-5392672’-デオキシシチジンアナログを含む組成物、ならびに鎌状赤血球症、サラセミアおよびがんを処置するためのその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】2’-デオキシシチジンアナログを含む組成物、ならびに鎌状赤血球症、サラセミアおよびがんを処置するためのその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/513 20060101AFI20241018BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/26 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K31/513
A61K31/53
A61K31/7068
A61P7/06
A61P35/00
A61K45/00
A61K48/00
A61K9/24
A61K9/26
A61K9/48
A61K9/16
A61K9/14
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524577
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 US2022047146
(87)【国際公開番号】W WO2023069529
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/257,541
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524150889
【氏名又は名称】アキラバイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディヴェール, サントシュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA40
4C076AA41
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC14
4C076CC27
4C076DD24
4C076DD28
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE16
4C076EE31
4C076EE38
4C076EE42
4C076FF01
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA55
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086BC60
4C086EA17
4C086GA04
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA55
4C086ZB26
(57)【要約】
一態様では、本開示は、2’-デオキシシチジンアナログを含む医薬組成物、これを含有する経口製剤および他の投与製剤、ならびにこれを作製する方法に関する。別の態様では、本開示は、上記を使用する、血液学的障害および異常な細胞増殖に関連する疾患を処置する方法に関する。なおさらなる態様では、本開示は、血液学的障害および異常な細胞増殖に関連する疾患を処置するのに有用な、2’-デオキシシチジンアナログを含むキットに関する。さらに別の態様では、本開示は、対象における、胎児ヘモグロビンレベルを増加させるための方法に関する。この要約は、特定の分野における探索目的のための走査ツールとして意図されており、本開示を限定することを意図するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において、第1の治療剤を投与するステップを含む、血液学的障害を処置するための方法であって、前記第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項2】
前記血液学的障害が、鎌状赤血球症またはサラセミアまたは貧血または血液がんを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
以下に限定されないが、ZYNTEGLO(登録商標)、ARU-1801、EDIT-301、ST-400、CTX001、ET-01またはそれらの組み合わせを含めた、遺伝子治療製品を投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の治療剤が、以下の構造:
【化32】
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の治療剤が、以下の構造:
【化33】
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の治療剤が、単一剤形で約1mg~約50mgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の治療剤が経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の治療剤が、層化錠剤、錠剤中錠剤形態、カプセル中錠剤形態またはカプセル中カプセル形態、顆粒剤、サシェもしくはバッグ中の散剤、カプセル剤、錠剤、丸剤または他の経口固形剤形を含む剤形として経口投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の治療剤が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドンまたはステアリン酸マグネシウムを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第2の治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の治療剤が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ヘモグロビン酸素-親和性治療剤;1-(ブチリルオキシ)エチル-5-アミノ-4-オキソペンタノエート(AN-233);P-セレクチン結合剤;ピルビン酸キナーゼM2活性化因子;PDE9阻害剤;可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;抗ヘプシジン治療法;鉄キレート剤およびそれらの組み合わせから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン;2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の治療剤を投与するステップが、治療剤および前記第2の治療剤を投与するステップであり、前記第1の治療剤および前記第2の治療剤を逐次、投与するステップである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の治療剤を投与するステップが、治療剤および前記第2の治療剤を投与するステップであり、前記第1の治療剤および前記第2の治療剤を同時に投与するステップである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の治療剤が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドンまたはステアリン酸マグネシウムを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の治療剤が、腸溶コーティングされた、胃酸に安定な製剤として投与される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年10月19日出願の米国仮特許出願第63/257,541号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
鎌状赤血球症は、赤血球において、変異したヘモグロビンが重合した遺伝状態である。この重合により、赤血球は鎌状形状または三日月形状をとり、これによって、赤血球の早期死滅し、こうして健康な赤血球の数が不十分となり、転じて、疼痛、感染に対する感受性の増大、疲労および血管の閉塞を引き起こす恐れがある。鎌状赤血球症を有する個体は、脳卒中および凝血障害、失明、胆石、肺高血圧症、妊娠合併症および臓器損傷のリスクが増大した状態であり、それらの多数は早死をもたらす。
【0003】
サラセミアは、異常なヘモグロビンまたは不適切な量のヘモグロビンが生成される、別の遺伝性血液障害である。ヘモグロビンの変異が発見された場所(例えば、α-グロビンまたはβ-グロビン鎖タンパク質)およびヒトが欠陥遺伝子を1つまたは2つ有するかに応じて、サラセミアの様々な形態が考えられる。これらの形態は、症状の重症度で様々となる。サラセミアを有して生まれた子供は、誕生時には正常に見え得るが、後に、貧血、骨の変形、疲労、息切れ、発育不全および/または黄疸を発症する恐れがある。一部の場合では、サラセミアは死産をもたし得る。
【0004】
胎児の発生中には、胎児ヘモグロビン(HbF)が、ヘモグロビンの主要な形態である。誕生後、成人ヘモグロビン(HbA)が正常に産生されるが、HbF遺伝子は、DNAメチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)を含めたDNAメチル化酵素によってサイレンシングされる。HbF産生の誘発は、通常、鎌状赤血球症およびサラセミアの臨床症状の改善に有効である。
【0005】
DNAメチル化はまた、哺乳動物におけるエピジェネティック修飾として幅広く研究されており、ある特定のがんの発症に関与し得る。例えば、異常なDNMT活性は、腫瘍-抑制因子遺伝子の、マイクロRNAをコードしない発現に関連するDNAの、またはDNA修復に関連する他の遺伝子のプロモータ領域において、過剰メチル化をもたらし得る。したがって、DNMT活性の調節は、がん治療法および/または異常な細胞増殖に関連する疾患の処置に対する有用な手法となり得る。
【0006】
がんの臨床試験において、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジンおよび5-フルオロ-2’-デオキシシチジンを含めたシチジンアナログの抗DNMT活性が評価されてきた。5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジンおよび5-フルオロ-2’-デオキシシチジンは、鎌状赤血球症、サラセミアまたは貧血障害に対する治療剤として評価されてこなかった。これらの化合物は、強力なin vitro活性およびin vivo薬物動態特性を示すが、それらは、小児の脳腫瘍モデルにおいて、有意な治療的応答を示さず、したがって、ある特定のがんの処置に対する優先度は下げられてきた。しかし、シチジンアナログによる処置は、伝統的に、静脈内で行われており、これは、患者の服薬遵守の欠如をもたらし、重度の遺伝毒性作用および細胞傷害作用を呈示する恐れがある。さらに、IV投与は、処置の所与の時間経過にわたる、このアナログへの持続的曝露をもたらさないことがあり、脾臓および肝臓のような罹患組織への有効治療用量の分布が制限されるか、またはほとんどない。さらに、テトラヒドロウリジンと同時に投与されるシチジンアナログの現行の剤形は、細胞傷害作用を呈示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
血液学およびがんの研究において進捗があるにもかかわらず、DNAメチルトランスフェラーゼ1酵素の強力で、有効な選択的阻害剤となり、やはりまたDNMT1活性に関連する血液学的障害およびDNMT1が関与する異常な細胞増殖に関連する疾患の処置に有効な、化合物および組成物が依然として欠けている。さらに、既存の処置は、注入のための医療施設への移動などの面倒なことを必要とすることがあり、これによって、患者の服薬遵守が低下する恐れがある。鎌状赤血球症またはサラセミアなどの血液障害の処置は、自宅において単一剤形で対象に投与することができること、酸に安定であること、低用量で細胞傷害作用がないなどの副作用がほとんどまたは全くないこと、および最大相乗治療効果のため、別個の成分の時限放出または逐次放出が可能であることが理想的である。これらの必要性および他の必要性が、本開示によって満足される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要約
本明細書において具現化され、幅広く記載されている本開示の目的によれば、本開示は、一態様では、2’-デオキシシチジンアナログを含む医薬組成物、これを含有する経口製剤および他の投与製剤、ならびにこれを作製する方法に関する。別の態様では、本開示は、上記を使用する、血液学的障害および異常な細胞増殖に関連する疾患を処置する方法に関する。なおさらなる態様では、本開示は、血液学的障害および異常な細胞増殖に関連する疾患を処置するのに有用な、2’-デオキシシチジンアナログを含むキットに関する。さらに別の態様では、本開示は、対象における、胎児ヘモグロビンレベルを向上するための方法に関する。
【0009】
治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、本明細書において開示されている少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書において開示されている。
【0010】
同様に、治療有効量の第1の治療剤;および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書において開示されている。
【0011】
同様に、治療有効量の第1の治療剤;および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせである、医薬組成物が本明細書において開示されている。
【0012】
同様に、治療有効量の第1の治療剤;第2の治療剤;および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書において開示されている。
【0013】
同様に、治療有効量の第1の治療剤および第2の治療剤であって、少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログである第1の治療剤、本明細書において開示されている少なくとも1種のCDA阻害剤である第2の治療剤;および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書において開示されている。
【0014】
同様に、治療有効量の第1の治療剤および第2の治療剤であって、少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログである第1の治療剤、本明細書において開示されている少なくとも1種のCDA阻害剤である第2の治療剤;および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせであり、第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせを含む、医薬組成物が、本明細書において開示されている。
【0015】
同様に、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、本明細書において開示されている少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログ;必要に応じて本明細書において開示されている少なくとも1種のCDA阻害剤;および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書において開示されている。
【0016】
同様に、対象において、第1の治療剤を投与するステップを含む、血液学的障害を処置するための方法であって、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせである、方法が本明細書において開示されている。
【0017】
同様に、対象において、第1の治療剤および第2の治療剤を投与するステップを含む、血液学的障害を処置するための方法であって、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせであり、第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせを含む、方法が、本明細書において開示されている。
【0018】
同様に、対象において、第1の治療剤を投与するステップを含む、血液学的障害の処置に使用するための製品であって、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせである、製品が本明細書において開示されている。
【0019】
同様に、対象において、第1の治療剤および第2の治療剤を投与するステップを含む、血液学的障害の処置に使用するための製品であって、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせであり、第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせを含む、製品が本明細書において開示されている。
【0020】
同様に、対象において、第1の治療剤および必要に応じて第2の治療剤を投与するステップを含む、血液学的障害を処置するための方法であって、(a)第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせであり、(b)第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせである、方法が、本明細書において開示されている。
【0021】
同様に、対象における、血液学的障害の処置のための製品の使用であって、治療有効量の開示される医薬組成物または開示される治療剤を対象に投与するステップを含む、使用が本明細書において開示されている。さらなる態様では、使用は、治療有効量の、2’-デオキシシチジンアナログを含む開示される医薬組成物を投与するステップを含む。
【0022】
同様に、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる、障害の処置のための製品の使用であって、治療有効量の開示される医薬組成物または開示される治療剤を対象に投与するステップを含む、使用が本明細書において開示されている。
【0023】
同様に、対象における、異常な細胞増殖に関連する疾患の処置のための製品の使用であって、治療有効量の開示される医薬組成物、例えば、2’-デオキシシチジンアナログを含む開示される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、使用が本明細書において開示されている。
【0024】
同様に、少なくとも1つの開示化合物、または薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物もしくは多形、および(a)DNMT1活性を低下させることが知られている少なくとも1種の薬剤;(b)DNMT1活性に関連する障害を処置することが知られている少なくとも1種の薬剤;(c)DNMT1活性に関連する障害を処置するための指示;または(d)別の鎌状赤血球症、サラセミアもしくは抗がん治療法と関連する化合物を投与するための指示のうちの1つまたは複数を含むキットが、本明細書において開示されている。
【0025】
同様に、生物学的アッセイにおいて試験化合物を評価する方法であって、(a)試験化合物を用いて生物学的アッセイを行い、第1のアッセイ値を得るステップ、(b)本発明の化合物を用いて生物学的アッセイを行い、第2のアッセイ値を得るステップであって、ステップ(a)が、ステップ(b)の前、その後または同時に行われる、ステップ、および(c)ステップ(a)からの第1のアッセイ値とステップ(b)からの第2のアッセイ値とを比較するステップを含む、方法が、本明細書において開示されている。本発明のさらに別の態様は、生物系、例えば臨床状態についてのモデル動物、またはDNMT1タンパク質を含む生体試料を研究する方法であって、(a)生物系または試料に本発明の化合物を接触させるステップ、および(b)生物系または試料に対して本化合物によって引き起こされる作用を決定するステップを含む、方法に関する。
【0026】
本開示の他の系、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明の研究時に、当業者に明白であるか、または明白となろう。このような追加の系、方法、特徴および利点はすべて、この説明の範囲内に含まれること、本開示の範囲内にあること、および添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。さらに、記載されている実施形態の必要に応じた好ましい特徴および修正のすべてが、本明細書において教示されている本開示のすべての態様において使用可能である。さらに、独立した特許請求の範囲の個々の特徴、ならびに記載されている実施形態の必要に応じた好ましい特徴および修正のすべてが、組み合わせ可能であり、互いに相互変換可能である。
【0027】
本開示の多数の態様は、以下の図面を参照しながらよりよく理解することができる。図面における構成要素は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本開示の原理を明確に例示することが重視されている。さらに、図面では、同様の参照番号は、いくつかの図面全体にわたり対応する部分を表示している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、ヒドロキシ尿素(HU、75μM)または開示化合物AB1(10nM)による処置後の鎌状赤血球前駆細胞における、235+の細胞の変化に関する代表的なデータを示す。
【0029】
図2図2は、ヒドロキシ尿素(HU、75μM)または開示化合物AB1(10nM)による処置後の、2%酸素に曝露させたパーセント鎌状赤血球に関する代表的なデータを示す。
【0030】
図3図3は、ヒドロキシ尿素(HU、75μM)または開示化合物AB1(10nM)による処置に対する、鎌状赤血球前駆細胞のHbF細胞応答に関する代表的なデータを示す。
【0031】
図4図4は、ヒドロキシ尿素(HU、75μM)または開示化合物AB1(10nM)による処置に応答した、鎌状赤血球前駆細胞における、ガンマグロビン誘発に関する代表的なデータを示す。
【0032】
図5図5A~5Dは、対照および開示化合物による、K562細胞の処置の様々な態様に関する代表的なデータを示す。図5Aは、K562細胞における、AB1による処置によるHbF発現の誘発に関連する代表的なデータを示す。γ-グロビンおよびHbF発現を活性化する開示化合物AB1の最適濃度を決定するため、K562細胞を24~96時間、3~200nMのAB1により処理し、トリパンブルー排除染色によって、細胞生存度を分析した。平均値±平均値の標準誤差(SEM)(n=3の反復)をグラフに示す。p<0.05を統計的に有意と見なした。図5Bは、γ-グロビンのmRNAレベルを測定するため、RT-qPCR分析によって決定した、mRNA発現レベルに関する代表的なデータを示す。図5Cは、抗HbF FITC抗体を用いるフローサイトメトリーによって測定した、F-細胞レベルに関する代表的なデータを示す。図5Dは、示されている様々な薬剤を用いて処理した後の、細胞あたりのHbFレベルを測定するために使用した、平均蛍光強度(MFI)に関する代表的なデータを示す。図5A~5Dの各々は、ここでは、棒の陰影部に対する凡例を示している。
【0033】
図6-1】図6A~6Bは、二相液体培養システムを使用する、鎌状赤血球患者から分離した、末梢血単核球細胞から作成した、初代鎌状赤血球前駆細胞に関する代表的なデータを示す。48時間、処理した細胞を分析した。図6Aは、トリパンブルー排除により分析した細胞生存度に関する代表的なデータを示す。平均値±SEM(n=6)をグラフに示す。図6Aは、フローサイトメトリーによって定量したCD71細胞のレベルに関する代表的なデータを示す。図6Aは、フローサイトメトリーを使用して、CD235a細胞によって定量した赤血球分化のレベルに関する代表的なデータを示す。図6A~6Cの各々は、ここでは、棒の陰影部に対する凡例を示している。
図6-2】同上。
【0034】
図7-1】図7A図7Bは、開示化合物AB1によって生じたγ-グロビン遺伝子転写の活性化に関する代表的なデータを示す。鎌状赤血球前駆細胞を、示された様々な薬剤により48時間、処理した。図7Aは、RT-qPCR分析によって定量したγ-グロビンmRNAのレベルに関する代表的なデータを示す。図7Aは、RT-qPCR分析によって定量したβ-グロビンmRNAに関する代表的なデータを示す。平均値±SEM(n=3の反復)をグラフに示す。図7A~7Bの各々は、ここでは、棒の陰影部に対する凡例を示している。
図7-2】同上。
【0035】
図8-1】図8A~8Fは、AB1 HbFの誘発およびDNMT1レベルの阻害に関する代表的なデータを示す。示された様々な薬剤により、鎌状赤血球前駆細胞を48時間、処理した。図8Aは、フローサイトメトリーによって決定したF-細胞のレベルに関する代表的なデータを示す。平均値±SEM(n=6の反復)をグラフに示す。図8Bは、細胞あたりのHbFのレベルを測定した平均蛍光強度(MFI)に関する代表的なデータを示す。図8Cは、様々な処理条件下での、HbFおよびHbSタンパク質レベルを定量するために完了したウェスタンブロット解析に関する代表的なデータを示す。図8Dは、DNMT1のタンパク質レベルを測定(n=2)するためのウェスタンブロット解析に関する代表的なデータを示す。図8Eは、棒グラフとしてプロットした、図8Cにおけるデータの定量を示す。図8Fは、棒グラフとしてプロットした、図8Dにおけるデータの定量を示す。図8A~8Bおよび8E~8Fの各々は、ここでは、棒の陰影部に対する凡例を示す。図8C~8Dでは、「UT」は、処理されていない細胞を示し、「HU」は、ヒドロキシ尿素を示し、「DEC」は、デシタビンを示し、「AB1」は、開示化合物AB1を示し、濃度は、グラフの上の処理化合物を表示する文字列の下に表示されている。
図8-2】同上。
【0036】
図9図9A~9Bは、様々な処理および鎌状赤血球前駆細胞のレベルの低下に関連する代表的なデータを示す。鎌状前駆細胞を、表示されている通り、48時間、様々な薬物により処理し、次に、低酸素条件において、一晩、インキュベートした。図9Aは、様々な処理および鎌状赤血球前駆細胞のレベルの減少に関係する、代表的な位相差顕微鏡画像を示す。図9Bは、計数した合計500個の細胞(n=3)のパーセントとしての、鎌状赤血球数に関する、代表的な定量的データ(図9Aに示されているものなどの、画像データから)を示す。図9A~9Bでは、「UT」は、処理されていない細胞を示し、「HU」は、ヒドロキシ尿素を示し、「DEC」は、デシタビンを示し、「AB1」は、開示化合物AB1を示し、濃度が表示されており、使用されている濃度は、処理化合物を表示する文字列の隣である。
【0037】
図10図10は、開示化合物AB1により処置したヒト対象を用いる臨床研究において得られた代表的なデータを示す。胎児ヘモグロビンの決定は、対照に対する、表示された投与量レベル(表示されている通り、8mg、16mgおよび24mgの用量)での2週間のAB1処置後に行った。
【0038】
本開示の追加的な利点は、この後の記載に一部、説明されており、一部は、記載から明白であるか、または本開示の実施により教示され得る。本開示の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている要素および組み合わせにより認識および到達されよう。前述の一般的な説明と以下の詳細な説明のどちらも、例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求される本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
前述の説明および関連する図面に提示されている教示の利点を有する、本明細書に開示されている多数の修正および他の実施形態が、開示組成物および方法が関連する当業者には思いつくであろう。したがって、本開示は、開示されている特定の実施形態に限定されるわけではないこと、ならびに修正および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図することを理解されたい。当業者は、本明細書に記載されている態様の多数の変形形態および適応を認識していよう。これらの変形形態および適応は、本開示の教示に含まれていること、および本明細書における特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【0040】
特定の用語が本明細書において使用されているが、それらは一般的および説明的な観点のみで使用されており、制限目的のためではない。
【0041】
本開示を一読すれば、当業者に明白な通り、本明細書において記載および例示されている個々の実施形態はそれぞれ、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴とは容易に分けることができる、またはこれらの特徴と容易に組み合わせることができる、別個の構成要素および特徴を有する。
【0042】
列挙されているいずれの方法も、列挙されている事象の順序で、または理論的に可能な任意の他の順序で行われ得る。すなわち、特に明示的に記載されていない限り、本明細書において説明されているいずれの方法または態様も、そのステップが特定の順序で行われることを必要とすると解釈されることを決して意図するものではない。したがって、方法の請求項が特許請求の範囲または説明において、ステップが特定の順序に限定されると具体的に明記していない場合、いかなる点においても、ある順序が推測されることを決して意図するものではない。これは、ステップまたは操作フローの配置に関する論理の問題、文法的な構成または句読点から導き出される単純な意味、または本明細書に記載されている態様の数または種類を含め、あらゆる考えられる非明示的な解釈根拠に適用される。
【0043】
本明細書において引用されるすべての刊行物および特許は、その刊行物が引用されている方法および/または物質を開示ならびに説明するために引用されている。このような刊行物および特許のすべてが、あたかも個々の刊行物または特許のそれぞれが、具体的かつ個々に、参照により組み込まれているよう示されているかのごとく、参照により本明細書に組み込まれている。このような参照による組込みは、引用された刊行物および特許に記載されている方法および/または物質に明示的に限定されており、引用された刊行物および特許から辞書上の定義にまで拡張されない。本出願において明示的に繰り返されていない、引用されている刊行物および特許における辞書上の定義のいずれも、そのように取り扱われるべきではなく、添付の特許請求の範囲に現れるいずれの用語も定義するものとして読まれるべきではない。いずれの刊行物の引用も、その出願日以前のその開示に関するものであり、本開示が、先行開示が理由でこのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供されている刊行物の日付は、実際の公開日とは異なり得、これは、独立して確認される必要があり得る。
【0044】
本開示の態様は、システム法定クラスなどの特定の法定クラスに記載され、特許請求され得るが、これは便宜上に過ぎず、本開示の各態様は、任意の法定クラスに記載され、特許請求され得ることを当業者は理解するであろう。
【0045】
本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明するために過ぎず、限定することを意図するものでないことも理解されるべきである。特に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、開示組成物および方法が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されているものなどの用語は、本明細書および関連技術の文脈において、それらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであること、および本明細書において明示的に定義されない限り、理想的なまたは過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことがさらに理解されよう。
【0046】
本開示の態様は、特に示さない限り、本技術の技量の範囲内にある、分子生物学、微生物学、有機化学、生化学、生理学、細胞生物学、血管生物学などの技法を使用する。このような技法は、文献中に十分に説明されている。
【0047】
本開示の様々な態様を記載する前に、特に示さない限り、以下の定義が提供されており、使用されるべきである。追加の用語が、本開示のいずれかの場所に定義され得る。
【0048】
定義
本明細書で使用される場合、「含むこと(comprising)」は、明記された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を言及したと指定していると解釈されるべきであるが、1つもしくは複数の特徴、整数、ステップもしくは構成要素、またはそれらの群の存在あるいは追加を排除するものではない。さらに、用語「~によって(by)」、「含むこと(comprising)」、「含む(comprises)」、「~から構成される(comprised of)」、「含むこと(including)」、「含む(includes)」、「含まれた(included)」、「含むこと(involving)」、「含む(involves)」、「含まれた(involved)」および「など(such as)」の各々は、そのオープンな、非限定的な意味で使用されており、互換的に使用されてもよい。さらに、用語「含むこと(comprising)」とは、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」によって包含される例および態様を含むことが意図される。同様に、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、用語「からなる(consisting of)」によって包含される例を含むことが意図される。
【0049】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「充填剤」、「2’-デオキシシチジンアナログ」または「賦形剤」と述べる場合、以下に限定されないが、このような充填剤、2’-デオキシシチジンアナログもしくは賦形剤の2種またはそれより多い組み合わせを含む。
【0050】
比、濃度、量および他の数値データは、範囲形式で本明細書において表現され得ることに留意されるべきである。範囲の各々の端点は、他の端点および独立した他の端点の両方に関して重要であることがさらに理解されよう。いくつかの値が本明細書において開示されていること、および値はそれぞれ、その値自体に加え、「約」その具体的な値として本明細書にやはり開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」もまた開示される。本明細書において、範囲は、「約」1つの具体的な値から、および/または「約」別の具体的な値までとして表すことができる。同様に、前に置かれる「約」を使用することにより値を概数として表す場合、具体的な値がさらなる態様を形成すると理解されよう。例えば、値「約10」が開示されている場合には、「10」もまた開示される。
【0051】
範囲を表現する場合、さらなる態様は、1つの具体的な値から、および/または他の具体的な値までを含む。値の範囲が提供されている場合、下限値の単位の10分の1までの各介在値(文脈が明確に他で指示しない限り)、その範囲の上限値と下限値との間、およびその明記した範囲における任意の他の明記された値または介在値が、本開示の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値および下限値は、より小さな範囲に独立して含まれてもよく、明記されている範囲におけるいずれかの具体的に除外されている境界値に従うことを条件として、本開示の範囲内にやはり包含される。明記された範囲が境界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれている境界値のどちらか一方または両方を除外する範囲が、本開示にやはり含まれる。例えば、明記した範囲が、境界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる境界値の一方または両方を除外する範囲もまた、本開示に含まれ、例えば、語句「x~y」は、「x」~「y」の範囲、および「x」超かつ「y」未満の範囲を含む。この範囲はまた、上限値として、例えば、「約x、y、z、またはそれら未満」として表現されることができ、「約x」、「約y」および「約z」の具体的な範囲、ならびに「x未満」、「y未満」および「z未満」の範囲を含むと解釈されるべきである。同様に、語句「約x、y、zまたはこれらより大きい」は、「約x」、「約y」および「約z」という具体的な範囲、ならびに「xより大きい」、「yより大きい」および「zより大きい」範囲を含むと解釈されるべきである。さらに、語句「約「x」~「y」」(「x」および「y」は数値である)は、「約「x」~約「y」」を含む。
【0052】
このような範囲形式は、便宜上および簡潔にするために使用されていること、およびしたがって、その範囲を限定するものとして明示的に列挙されている数値を柔軟に含むだけでなく、各数値および部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとく、その範囲に包含される個々の数値または部分範囲のすべてを含むと解釈されるべきであると理解されるべきである。例示するため、「約0.1%~5%」の数値範囲は、約0.1%~約5%の明示的に列挙されている値だけではなく、表示範囲内の個々の値(例えば、約1%、約2%、約3%および約4%)および部分範囲(例えば、約0.5%~約1.1%;約5%~約2.4%;約0.5%~約3.2%および約0.5%~約4.4%および他の可能な部分範囲)も含むと解釈されるべきである。
【0053】
本発明の組成物を調製するために使用される構成要素、および本明細書において開示されている方法の範囲内で使用される組成物それ自体が開示されている。これらの物質および他の物質が、本明細書において開示されており、これらの物質の組み合わせ、部分集合、相互作用、群などが開示されている場合、これらの化合物のそれぞれの様々な個々のおよび集合的な組み合わせならびに順列を具体的に言及する場合、明示的に開示され得ないが、それぞれが本明細書において具体的に企図され、説明されていると理解される。例えば、特定の化合物が、開示および議論されており、該化合物に対してなされ得るいくつかの修正が議論されている場合、特にそれとは反対に具体的に示さない限り、可能な化合物および修正のありとあらゆる組み合わせおよび順列が具体的に企図される。したがって、分子A、BおよびCのクラス、ならびに分子D、EおよびFのクラス、ならびに分子の組み合わせの例が開示されている場合、A~Dが開示されており、各々が別個に列挙されていない場合でさえも、各々が、個々におよびまとめて企図され、組み合わせA~E、A~F、B~D、B~E、B~F、C~D、C~EおよびC~Fが開示されていると見なされることを意味する。同様に、これらの任意の部分集合または組み合わせもまた開示されている。したがって、例えば、A~E、B~FおよびC~Eの部分群が、開示されていると見なされる。この概念は、以下に限定されないが、本発明の組成物を作製する方法および使用する方法におけるステップを含めた、本出願のすべての態様に当てはまる。したがって、実施され得る様々な追加のステップが存在する場合、これらの追加のステップの各々が、本発明の方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせと共に行われ得ることが理解される。
【0054】
本明細書において開示されている組成物は、ある特定の機能を有することが理解される。開示されている機能を行うためのある特定の構造的要件が本明細書において開示されており、開示されている構造に関係する同じ機能を発揮することができる様々な構造が存在すること、およびこれらの構造は、通常、同じ結果を達成することが理解される。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「約」、「およそ」、「その値または約」および「実質的に」は、問題にしている量または値が、正確な値、あるいは特許請求の範囲に列挙されている、もしくは本明細書において教示されている等価な結果または作用を達成する値であり得ることを意味する。すなわち、量、サイズ、製剤、パラメータ、ならびに他の量および特性が、正確ではない、および正確である必要がないが、等価な結果または作用が得られるよう、概数であってもよく、および/またはそれより大きくても、もしくはそれより小さくてもよく、所望の場合、許容範囲の反映、換算係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に公知の他の因子であってもよいことが理解される。一部の状況では、等価な結果または作用を達成する値は、妥当に決定され得ない。このような場合では、本明細書で使用される場合、「約」および「その値または約」は、名目値が、特に示さない限りまたは推定されない限り、±10%の変動を示すことを意味することが一般に理解される。一般に、量、サイズ、製剤、パラメータ、または他の量もしくは特性は、明示的にこのように明記されているか否かにかかわらず、「約」、「ほぼ」または「その値または約」である。「約」、「ほぼ」または「その値または約」が、定量値の前に使用される場合、パラメータは、特に具体的に明記されない限り、指定される定量値自体も含むことが理解される。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「必要に応じた(optional)」または「必要に応じて(optionally)」は、その後に記載されている事象または状況が起こり得るか、または起こり得ないこと、およびこの記載は、前記事象または状況が起こる場合、およびこれらの事象が起こらない場合を含むことを意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「DNAメチルトランスフェラーゼ1」および「DNMT1」は、互換的に使用することができ、19p13.2の細胞遺伝学的位置、および第19染色体上の塩基対10,133,345~10,194,952の分子位置を有するヒトにおいて、遺伝子によってコードされる酵素(Homo sapiensアノテーションリリース109.20190607、GRCh38.p13)を指す。ヒトにおける遺伝子構造は、少なくとも37個、および可能性として、40個もの多くのエクソンを有する。DNMT1は、核内の細胞内位置である、EC分類2.1.1.37を有し、DNAにおいて、メチル基を特定のCpG構造に移送するよう触媒する。DNMT1は、哺乳動物細胞における、最も豊富に存在するDNAメチルトランスフェラーゼであり、哺乳動物における、重要な維持メチルトランスフェラーゼであると考えられている。それは、主に、哺乳動物のゲノムにおいて、DNAにおけるメチル基の特定のCpG構造への移送を触媒することにより、ヘミメチル化されたCpGジ-ヌクレオチドを主にメチル化して、発生時に確立されたメチル化パターンの維持を担う。この酵素は、約1620個のアミノ酸長であり、最初の1100個のアミノ酸は調節性ドメインを構成し、残りの残基は触媒ドメインを構成する。これらは、Gly-Lysリピートによって連結されている。どちらのドメインも、DNMT1の触媒機能に必要である。DNMT1は、CXXC型のジンクフィンガータンパク質9、DNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ1、DNAメチルトランスフェラーゼHsaIおよびMCMTとも称される。
【0058】
用語「DNAメチルトランスフェラーゼ1阻害剤」および「DNMT1阻害剤」は、互換的に使用することができ、DNMT1を選択的に遮断する、または不活性化する組成物を指す。用語「DNAメチルトランスフェラーゼ1阻害剤」および「DNMT1阻害剤」はまた、DNMT1によって、DNAにおけるメチル基の特定のCpG構造への移送を選択的に遮断する、または不活性化する化合物を指す。本明細書で使用される場合、用語「選択的に遮断する、または不活性化する」とは、メチルトランスフェラーゼファミリーの他のサブタイプとのその相互作用よりも、それぞれ、高い親和性および効力で、DNMT1に優先的に結合する、およびこれを遮断または不活性化する化合物を指す。DNMT1を遮断する、または不活性化するが、他のメチルトランスフェラーゼのサブタイプもまた遮断または不活性化することができる化合物は、部分阻害剤または完全阻害剤として企図される。用語「DNMT1阻害剤」はまた、DNMT1発現を阻害する化合物を指す。通常、DNMT1阻害剤化合物は、有機低分子、ポリペプチド、アプタマー、抗体、イントラ抗体(intra-antibody)、オリゴヌクレオチドまたはリボザイムである。ある化合物がDNMT1阻害剤であるかどうかを決定する試験およびアッセイは、Poh et al., Theranostics (2016) 6(3): 369-391に記載されているものなど、当業者によって周知である。一部の例では、DNMT1阻害剤は、2’-デオキシシチジンアナログとすることができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「シチジンデアミナーゼ」および「CDA」とは、シチジンおよびデオキシシチジンの加水分解脱アミノ化を触媒して、それぞれ、ウリジンおよびデオキシウリジンにするピリミジンサルベージ経路の重要な酵素である、シチジンデアミナーゼ「CDA」を指す。シチジンへの構造的類似性のため、いくつかのヌクレオシドベースの薬物が、CDAによって脱アミノ化をやはり受ける(Ferraris et al, 2014)。膵管腺癌では、シチジンデアミナーゼ「CDA」は、ジフルオロデオキシウリジンへのCDA媒介性変換により、ゲムシタビンを不活性化する。
【0060】
用語「シチジンデアミナーゼ阻害剤」または「CDA阻害剤」は、互換的に使用することができ、シチジンデアミナーゼを選択的に遮断する、または不活性化する組成物を指す。用語「シチジンデアミナーゼ阻害剤」はまた、シチジンデアミナーゼによって媒介される、加水分解脱アミノ化を選択的に遮断または不活性化する化合物を指す。本明細書で使用される場合、用語「選択的に遮断する、または不活性化する」とは、デアミナーゼファミリーの他のサブタイプとのその相互作用よりも、それぞれ、高い親和性および効力で、CDAに優先的に結合する、およびこれを遮断または不活性化する、化合物を指す。CDAを遮断する、または不活性化するが、他のデアミナーゼのサブタイプもまた遮断または不活性化することができる化合物は、部分阻害剤または完全阻害剤として企図される。用語「CDA阻害剤」はまた、CDA発現を阻害する化合物を指す。通常、CDA阻害剤化合物は、有機低分子、ポリペプチド、アプタマー、抗体、イントラ抗体、オリゴヌクレオチドまたはリボザイムである。ある化合物がCDA阻害剤であるかどうかを決定する試験およびアッセイは、Ferraris et al, 2014;米国特許第6,136,791号;WO2009/052287に記載されているものなど、当業者によって周知である。
【0061】
本明細書で使用される場合、「AN-233」および「1-(ブチリルオキシ)エチル-5-アミノ-4-オキソペンタノエート」は、互換的に使用することができ、式:
【化1】
によって表される構造を有する、コンジュゲートプロドラッグを指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「投与すること(administering)」とは、経口、局所、静脈内、皮下、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)、筋肉内、関節内(intra-joint)、非経口、細動脈内、皮内、心室内、骨内、眼内、頭蓋内、腹腔内、病巣内、鼻内、心臓内、関節内(intraarticular)、洞内、髄腔内、硝子体内(intravireal)、大脳内および脳室内、鼓室内、蝸牛内、直腸、膣とすることができる投与経路によって、吸入によって、カテーテル、ステントによって、または血管周囲の空間および外膜に組成物を能動的もしくは受動的(例えば、拡散による)のどちらかで投与される埋め込まれたレザーバーまたは他のデバイスを介して、1種または複数の治療剤の、対象への投与を指すことができる。例えば、ステントなどの医療用デバイスは、その表面に配置されている組成物または製剤を含有することができ、これらは、次に、溶解することができるか、またはそうでない場合、周囲組織および細胞に分布され得る。用語「非経口」には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内への注射、または注入技法が含まれ得る。投与は、連続的または断続的とすることができる。様々な態様では、調製物は、治療的に投与され得る。すなわち、既存の疾患または状態を処置するために投与される。さらに様々な態様では、調製物は、予防的に投与され得る。すなわち、疾患または状態を予防するために投与される。
【0063】
「対象」、「個体」または「患者」は、本明細書において互換的に使用される通り、哺乳動物(例えば、ヒト)などの、脊椎生物を指すことができる。「対象」はまた、細胞、細胞集団、組織、臓器または生物、好ましくはヒト、およびそれらの構成物質を指すことができる。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「処置すること」および「処置」とは、一般に、所望の薬理学的作用および/または生理的作用を一般に得ることを指すことができる。作用は、鎌状赤血球症、サラセミアおよび/またはがんなどの、疾患、その症状または状態を予防する、または部分的に予防することに関して、必ずしも必要ではないが、予防的であり得る。この作用は、疾患、状態、疾患、障害もしくは状態に起因する症状または有害作用の部分治癒あるいは完全治癒に関して、治療的であり得る。用語「処置」とは、本明細書で使用される場合、対象、特にヒトにおける、鎌状赤血球症、サラセミアおよび/またはがんのあらゆる処置を含むことができ、以下:(a)疾患に対する素因を有し得るが、疾患を有していると未だ診断されていない対象において、疾患が発生することを予防すること、(b)疾患を阻止すること、すなわちその発症を停止させること、および(c)疾患を緩和すること、すなわち疾患および/もしくはその症状または状態を軽減あるいは改善することのいずれか1つまたは複数を含むことができる。用語「処置」とは、本明細書で使用される場合、治療的処置単独、予防的処置単独、または治療的処置と予防的処置の両方のどれも指すことができる。処置を必要とするもの(それを必要とする対象)は、障害を既に有するもの、および/または障害が予防されるものを含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「処置すること」は、疾患、障害または状態を阻止すること、例えば、その進行を遅らせること、および疾患、障害または状態を緩和すること、例えば、疾患、障害および/または状態の後退を引き起こすことを含むことができる。疾患、障害または状態を処置することは、例えば、鎮痛剤が疼痛の原因を処置しない場合でさえも、このような薬剤の投与によって対象の疼痛を処置するなどの、根底にある病態生理学が影響を受けない場合でさえも、特定の疾患、障害または状態のうちの少なくとも1つの症状を改善することを含むことができる。一態様では、鎌状赤血球症またはサラセミアの処置は、総ヘモグロビンを増加させることができるか、または胎児ヘモグロビンを増加させることができるか、または貧血を低減することができるか、または奇形赤血球同士の凝集を低減することができる。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「予防する」または「予防すること」とは、とりわけ、事前行為によって、何かが起きないようにすること、何かを回避すること、未然に防ぐこと、発生を防ぐこと、停止すること、または何かが起きることを妨害することを指す。他に具体的に示されていない限り、低減、阻止または予防が、本明細書において使用される場合、他の2つの語の使用もやはり明確に開示されていることが理解される。
【0066】
本明細書で使用される場合、「治療的な」とは、疾患、障害、状態もしくは副作用を処置すること、治すことおよび/または改善すること、あるいは、疾患、障害、状態もしくは副作用の進行速度を低下させることを指すことができる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「治療剤」とは、任意の物質、化合物、分子などを指すことができ、これらは、生物学的に活性であり得るか、またはそうではない場合、局所作用および/または全身作用によって、治療剤が投与される対象に対して薬理学的作用、免疫原性作用、生物学的作用および/または生理学的作用を誘発することができる。治療剤は、主要な活性剤であり得るか、または言い換えると、組成物の作用の全部または一部に起因する組成物の構成成分であり得る。治療剤は、副次的な治療剤であり得るか、または言い換えると、組成物の追加の部分および/または他の作用に起因する、組成物の構成成分であり得る。したがって、この用語は、タンパク質、ペプチド、ホルモン、核酸、遺伝子構築物などの分子を含めた、薬物、ワクチンおよび生物医薬品と伝統的に見なされる、化合物または化学物質を包含する。治療剤の例は、Merck Index (14th edition), the Physicians' Desk Reference (64th edition)およびThe Pharmacological Basis of Therapeutics (12th edition)などの周知の参照文献に記載されており、それらは、非限定的に、医薬;ビタミン;無機サプリメント;疾患もしくは疾病の処置、予防、診断、治癒または軽減に使用するための物質;身体の構造または機能に影響を及ぼす物質、または生理的環境に置かれた後に、生物学的に活性もしくは一層活性になるプロドラッグを含む。例えば、用語「治療剤」は、以下に限定されないが、アジュバント;抗生物質および抗ウイルス剤などの抗感染薬;鎮痛薬および併用鎮痛薬、摂食障害剤(anorexics)、抗炎症剤、抗癲癇薬、局所および全身麻酔剤、催眠薬、鎮静薬、抗精神病剤、神経弛緩薬、抗うつ剤、抗不安薬、アンタゴニスト、ニューロン遮断剤、抗コリン剤およびコリン作用剤、抗ムスカリン作動剤およびムスカリン作動剤、抗アドレナリン作動薬、抗不整脈薬、血圧降下剤、ホルモンおよび栄養素、抗関節炎薬、抗喘息剤、抗けいれん薬、抗ヒスタミン薬、制吐剤、抗新生物剤、鎮痒剤、解熱剤;抗けいれん剤、循環器用調製物(cardiovascular preparation)(カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、ベータ-アゴニストおよび抗不整脈剤を含む)、抗高血圧薬、利尿薬、血管拡張薬;中枢神経系刺激薬;咳および風邪用調製物;充血除去薬;診断薬;ホルモン;骨成長刺激薬および骨吸収阻害剤;免疫抑制剤;筋弛緩薬;神経刺激薬;鎮静薬;トランキライザー;タンパク質、ペプチドおよびその断片(天然に存在するか、化学的に合成されたかまたは組換えにより生成されたかにかかわらない);および核酸分子(2つもしくはそれより多くのヌクレオチドのポリマー形態、二本鎖分子および一本鎖分子の両方を含めたリボヌクレオチド(RNA)またはデオキシリボヌクレオチド(DNA)のどちらか一方、遺伝子構築物、発現ベクター、アンチセンス分子など)、低分子(例えば、ドキソルビシン)、ならびに例えば、タンパク質および酵素などの他の生物学的に活性な高分子を含めた、主要な治療区域のすべてにおける使用のための化合物または組成物を含む。薬剤は、獣医学的適用を含めた医学的適用において、植物の場合などの農業において、および他の区域において使用される、生物活性剤とすることができる。治療剤という用語はまた、非限定的に、医薬;ビタミン;無機サプリメント;疾患もしくは疾病の処置、予防、診断、治癒または軽減に使用される物質;または身体の構造もしくは機能に影響を及ぼす物質;または所定の生理的環境に置かれた後に、生物学的に活性もしくは一層活性になるプロドラッグを含む。本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、細胞、組織、系、動物もしくはヒトの、有益なもしくは所望の生物学的な、感情的な、医療的なまたは臨床的な応答をもたらすのに十分な、本明細書において提供される、開示化合物または医薬組成物の量を指す。有効量は、1回もしくは複数の投与、適用または投与量で投与され得る。この用語はまた、その範囲内では、実質的に正常な生理的機能を増強する、または回復させるのに有効な量を含むことができる。一般に、「治療有効量」とは、所望の治療的結果を達成する、または望ましくない症状に対して作用するのに十分であるが、一般に、有害な副作用を引き起こすには不十分な量を指す。任意の特定の患者に対する具体的な治療有効用量レベルは、処置される障害および障害の重症度、使用される具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与時間、投与経路、使用される具体的な化合物の排出速度、処置期間、使用される具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、ならびに健康管理医師(health practitioner)の知識および見解の範囲内にあり、医療分野において周知であり得る同様の因子に依存するであろう。特定の疾患または状態を処置する場合、一部の例では、所望の応答は、疾患または状態の進行を阻害している最中であり得る。これは、疾患の進行を一時的に減速していることのみを含むことがある。しかし、他の場合では、それは、疾患の進行を恒久的に中止させることが望ましいことがある。これは、任意の特定の疾患に対して、当業者に公知の常套的な診断方法によってモニタリングされ得る。疾患または状態の処置に対する所望の応答はまた、疾患または状態の発症を遅延させることであり得るか、またはそれらの発症を予防さえすることであり得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「予防有効量」とは、疾患または状態の発症または開始を予防するのに有効な量を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」とは、組成物または物質の物理特性の所望の改変を達成するのに十分な、不活性成分の量を指すことができる。例えば、「有効量」の結合剤とは、製剤構成成分によってモジュレートされる特性における所望の改良を達成するのに十分な量を指す。有効量として必要な組成物中の重量%に関する具体的なレベルは、結合剤の量およびタイプ、活性成分の量およびタイプ、製剤中の他の構成成分の存在、ならびに本明細書において開示されている医薬組成物の送達機構を含めた、様々な因子に依存する。
【0070】
本明細書で使用される場合、「血液学的障害」とは、血液および/または造血器官に主に影響を及ぼす疾患または障害を指す。さらなる態様では、血液学的障害は、例えば、鎌状赤血球症、サラセミア、メトヘモグロビン血症などの、遺伝性障害を含む。別の態様では、血液学的障害は、貧血、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害、凝固障害、血液悪性疾患(以下に限定されないが、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および白血病を含む)をさらに含むことができる。さらに別の態様では、血液学的障害は、ヘモクロマトーシスを含むことができる。これらの態様のいずれかでは、本明細書において開示されている方法および組成物は、血液学的障害を処置するのに有用であり得る。
【0071】
ここで使用される場合、「異常な細胞増殖」とは、例えば、癌原遺伝子、DNA修復遺伝子または腫瘍抑制遺伝子が変異を受ける際に発生することなどの細胞周期の調節が撹乱されている状態を指す。さらなる態様では、異常な細胞増殖は、異常細胞数の蓄積、および例えばがんなどの状態をもたらす恐れがある。一態様では、本明細書において開示されている方法および組成物は、以下に限定されないが、膀胱がん、乳がん、脳がん、内分泌がん、網膜芽細胞腫、子宮頚がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎細胞癌、腎盂癌、ウィルムス腫瘍、口腔のがん、肝臓がん、胆嚢がん、胆管癌、黒色腫、中皮腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、非小細胞肺がん、基底細胞皮膚がん、扁平上皮細胞皮膚がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、軟組織肉腫、骨肉腫、小細胞肺がん、甲状腺がん、他のがんまたはそれらの組み合わせを含めた、異常な細胞増殖に関連する疾患を処置するのに有用となり得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、「曲線下面積の値」は、経時的な血漿中の薬物濃度を記載する。一態様では、薬物濃度は、別個の時間点において測定され、曲線下面積は、台形公式(すなわち、曲線の定積分を概算する技法)を使用して推定される。一態様では、曲線下面積の値は、経時的な薬物の生体利用能を概算するのに有用である。
【0073】
「最大血漿中濃度」とは、薬物が投与された対象の血漿中で達成される医薬品または薬物のピーク濃度のことである。最大血漿中濃度は、第1の用量が投与された後であるが、第2の用量が投与される前に、通常、測定される。
【0074】
本明細書で使用される場合、「キット」は、キットを構成する、少なくとも2つの構成要素の収集物を意味する。まとめると、構成要素は、所与の目的のための機能単位を構成する。個々のメンバー構成要素は、一緒にまたは別個に物理的に包装されてもよい。例えば、キットを使用するための指示を含むキットは、他の個々のメンバーの構成要素と共に、指示を物理的に含んでもよく、または含まなくてもよい。代わりに、指示は、紙形態で、またはコンピュータ可読メモリデバイス上で供給され得るもしくはインターネットウェブサイトからダウンロードされ得る電子形態のどちらかで、または記録されたプレゼンテーションとして、個々のメンバーの構成要素として供給され得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「指示」は、関連資料またはキットに関連する方法を説明する書類を意味する。これらの資料は、以下:背景情報、構成要素のリスト、およびそれらの利用可能性情報(購入情報など)、キットを使用するための簡潔なまたは詳細なプロトコル、トラブル解決手順、参照文献、技術的サポートおよび任意の他の関連書類のいずれかの組み合わせを含むことができる。指示は、紙形態、またはコンピュータ可読メモリデバイス上で供給され得るもしくはインターネットウェブサイトからダウンロードされ得る電子形態のどちらかとして、または記録されたプレゼンテーションとして、キットと共に、または個々のメンバーの構成要素として供給され得る。指示は、1つまたは複数の書類を含むことができ、将来の更新を含むことが意図される。
【0076】
本明細書で使用される場合、「用量」または「投与量」とは、対象において使用するのに好適な物理的に別個の単位を指すことができ、各単位は、その投与に関連する所望の応答(複数のものを含む)を生じるよう計算された所定量の開示化合物および/またはその医薬組成物を含有する。用量は、単回投与量として、または多回投与量で、例えば、1日あたり1~4回、またはそれより多い回数で投与され得る。多回投与量が使用される場合、各投与量の量は、同じとすることができるか、または異なることができる。さらに、第1の治療剤および第2の治療剤を含む用量は、別個の剤形中とすることができるか、または単一剤形中で組み合され得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「単一剤形」、「単回用量」、「単位剤形」、「単位用量」および「単回用量形態」は、互換的に使用することができ、少なくとも1種の開示される治療剤、例えば、治療有効量の1種または複数の2’-デオキシシチジンアナログなどのDNMT1阻害剤、必要に応じて追加の開示される治療剤、薬学的に許容される担体および他の賦形剤、本明細書において開示されている不活性成分などを組み合わせた単一薬物投与実体を指す。様々な例では、単一剤形は、単一錠剤、カプセル剤または液体とすることができる。すなわち、「単一剤形」とは、単回投与量としてこのような量の合計を適用することを意図して、少なくとも1種の開示される治療剤の規定量を含む、提示形態(presentation form)を指す。例示として、本開示の代表的な単回投与量は、本明細書の以下に開示されている治療有効用量をもたらす量の、少なくとも2’-デオキシシチジンアナログを含む、錠剤またはカプセル剤とすることができる。単一剤形のこの上述のリストは、限定されることを決して意図するものではないが、単に、単一剤形の典型例を表すに過ぎない。
【0078】
単一剤形は、単位投与量として好適な、物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるよう計算された、所定量の活性成分を含有するとさらに理解される。すなわち、「単一剤形」は、単回用量であり得、活性成分および不活性成分のすべてが好適な系において組み合わされて、患者、または患者に薬物を投与する人は、その中に入れられた全用量を含む単一の容器またはパッケージを開口することができる。一部の例では、「単一剤形」は、特定の体積の液体と混合することができる、治療有効量の1種または複数の治療剤を含む、パケットまたは容器中の粉末とすることができる。単位剤形の典型例は、経口投与向けの錠剤(刻印入り錠剤またはコーティング錠剤を含む)、カプセル剤または丸剤;粉末パケット;ウェハーおよびそれらの分割された複数のものである。単位剤形のこのリストは、限定されることを決して意図するものではないが、単に、単位剤形の典型例を表すに過ぎない。
【0079】
本明細書で使用される場合、「組み合わせ製剤」とは、代表的な非限定例では、例えば、2’-デオキシシチジンアナログおよびCDA阻害剤を含む2種またはそれより多い単離された医薬組成物の、単一剤形にされた混合物を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、「併用投与」または「共投与」とは、代表的な非限定例では、一緒に服用(同時投与)するかまたは特定の順序で服用(逐次投与)することができる別個の剤形(例えば、別個の丸剤)で、2種またはそれより多い単離された医薬組成物、例えば、2’-デオキシシチジンアナログおよびCDA阻害剤の投与を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「混合物」および「組み合わせ」、例えば、併用治療剤は、結果として生じる1つの構成成分を形成する複数の構成成分または成分、例えば、別個であることができるが、単一剤形に含有され得る構成成分を含む単一剤形を指すことができる。併用治療薬はまた、単一構成成分に物理的に形成されていない場合、または単一剤形に入れられていない場合でさえも、同じ処置レジメンで投与され得る構成成分を包含する。本明細書で使用される場合、用語「混合物」および「組み合わせ」は、互換的に使用され得る。
【0082】
用語「薬学的に許容される」は、生物学的でも他の点でも望ましくないわけではない、すなわち、許容されないレベルの望ましくない生物学的作用を引き起こすことも有害な様式で相互作用もしない、物質を記載する。
【0083】
用語「薬学的に許容される担体」は、一般に、安全な、非毒性の、および生物学的でも他の点でも望ましくないわけでもなく、獣医学的使用およびヒト医薬品使用に許容される、医薬組成物を調製する際に有用な担体を指すために本明細書では使用される。「薬学的に許容される担体」は、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、このような担体を1種および1種超の両方を含むことができる。「薬学的に許容される」とは、担体は、製剤の他の成分と適合しなければならず、そのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0084】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、治療有効量で投与された場合、生物系によって耐容性を示される、もしくは対象によって耐容性を示されるか、または生物系によって耐容性を示され、かつ対象によって耐容性を示される酸または塩基と共に調製される、活性な主要薬剤の塩を意味する。本開示の化合物が、比較的酸性の官能基を含有する場合、このような化合物の中性形態に、ニートでまたは好適な不活性溶媒中のどちらか一方で、十分な量の所望の塩基を接触させることにより塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例には、以下に限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、マグネシウム塩、リチウム塩、ストロンチウム塩、または類似の塩が含まれる。本開示の化合物が、比較的塩基性の官能基を含有する場合、このような化合物の中性形態に、ニートでまたは好適な不活性溶媒中のどちらか一方で、十分な量の所望の酸を接触させることにより酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例には、以下に限定されないが;塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸などのような無機酸に由来する塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的非毒性の有機酸に由来する塩が含まれる。同様に、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸(galactunoric acid)などのような有機酸の塩も含まれる。
【0085】
用語「薬学的に許容されるエステル」とは、in vivoで加水分解を受ける、本開示の化合物のエステルを指し、ヒト身体において容易に分解して、親化合物またはその塩が後に残るものを含む。本開示の薬学的に許容される非毒性のエステルの例は、C1~C6アルキルエステルおよびC5~C7シクロアルキルエステルを含むが、C1~C4アルキルエステルが好ましい。開示化合物のエステルは、従来の方法に準拠して調製することができる。薬学的に許容されるエステルは、ヒドロキシ基を含有する化合物の、酸および酢酸などのアルキルカルボン酸と、または酸および安息香酸などのアリールカルボン酸との反応によって、ヒドロキシ基上に付加され得る。カルボン酸基を含有する化合物の場合、薬学的に許容されるエステルは、カルボン酸基を含有する化合物から、該化合物とトリエチルアミンなどの塩基、およびハロゲン化アルキルと、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化ベンジル、ヨウ化シクロペンチルまたはアルキルトリフレートとの反応によって調製される。それらはまた、化合物と、塩酸などの酸およびエタノールまたはメタノールなどのアルコールとの反応によって調製することができる。
【0086】
用語「薬学的に許容されるアミド」とは、アンモニア、一級C1~C6アルキルアミンおよび二級C1~C6ジアルキルアミンから誘導される、本開示の非毒性アミドを指す。二級アミンの場合、アミンはまた、1個の窒素原子を含有する5員または6員の複素環の形態にあることができる。アンモニア、C1~C3アルキル一級アミドおよびC1~C2ジアルキル二級アミドから誘導されるアミドが好ましい。開示化合物のアミドは、従来の方法に準拠して調製することができる。薬学的に許容されるアミドは、アミノ基を含有する化合物とアルキル無水物、アリール無水物、ハロゲン化アシルまたはハロゲン化アロイルとの反応によって、一級または二級アミン基を含有する化合物から調製することができる。カルボン酸基を含有する化合物の場合、薬学的に許容されるアミドは、カルボン酸基を含有する化合物から、該化合物をトリエチルアミンなどの塩基、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはカルボニルジイミダゾールなどの脱水剤、およびアルキルアミン、ジアルキルアミンと、例えば、メチルアミン、ジエチルアミンおよびピペリジンと反応させることによって調製される。それらは、モレキュラーシーブの添加を伴うなどの脱水条件下、化合物と硫酸などの酸、および酢酸などのアルキルカルボン酸と、または酸および安息香酸などのアリールカルボン酸との反応によって調製され得る。本組成物は、本開示の化合物を薬学的に許容されるプロドラッグの形態で含有することができる。
【0087】
本明細書で使用される場合、「経口投与」または「経口により」とは、他の経口剤形が企図され、本明細書において開示されているが、口腔によって(例えば、液体形態または固体形態で)、対象に医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤を導入することを指す。経口投与は、口腔によって、嚥下されるか、または摂取される剤形を含み、ある形態では、胃腸管を移動し、こうして、治療剤は、胃腸管から少なくとも一部、吸収される。経口投与はまた、以下に限定されないが、舌下投与および頬側投与を含めた、口腔による任意の投与様式を含むことが理解される。
【0088】
本明細書で使用される場合、「舌下投与」または「舌下により」とは、舌下(口腔内)の粘膜表面に適用することによって、対象に医薬組成物を導入させ、こうして、組成物は対象に吸収されることを指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、「頬側投与」または「頬側」とは、頬(口腔内)を内張りする粘膜表面に適用することによって、対象に医薬組成物を導入させ、こうして、組成物は、崩壊される、溶解される、および対象に吸収されることを指す。一部の例では、崩壊および溶解が口腔内で起こり、次いで、頬粘膜を介して、薬学的活性成分のすべてまたは一部が吸収される。残りの薬学的活性成分は、次に、もしあれば、嚥下されて、腸内で吸収される。本明細書で使用される場合、「鼻内投与」または「鼻内に」とは、鼻腔内に医薬組成物を導入することを指す。
【0090】
治療剤
開示される医薬組成物は、開示された治療剤を単独で、および本明細書において企図される様々な組み合わせで利用する。
【0091】
一態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、少なくとも1種のDNMT1阻害剤を含む治療剤を含む。開示されるDNMT1阻害剤は、本明細書において開示されている少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログ、非ヌクレオシドアナログDNMT1阻害剤、例えば、2’-デオキシシチジンアナログではないもの、およびそれらの組み合わせであってもよい。一部の例では、DNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログは、第1の治療剤と称され得る。
【0092】
それとは反対のことを明記しない限り、実線としてだけで示され、楔または破線として示されていない化学結合を有する式は、可能な異性体のそれぞれ、例えば、各鏡像異性体およびジアステレオマー、およびラセミまたはスケールミック混合物などの異性体の混合物を企図することが、本明細書全体を通じて理解される。本明細書に記載されている化合物は、1個または複数の不斉中心を含有することができ、こうして、潜在的にジアステレオマーおよび光学異性体を生じる。それとは反対のことを明記しない限り、本開示は、このような可能なジアステレオマーおよびそれらのラセミ混合物、それらの実質的に純粋な分割された鏡像異性体、可能な幾何異性体のすべておよび薬学的に許容されるそれらの塩を含む。立体異性体の混合物、および単離された特定の立体異性体もまた含まれる。このような化合物を調製するために使用される合成手順の過程に間に、または当業者に知られているラセミ化またはエピメリ化手順の使用の際に、このような手順の生成物は、立体異性体の混合物とすることができる。例えば、式Iの化合物などの開示される2’-デオキシシチジンアナログ化合物は、8つの環立体異性体のうちの1つまたは複数、例えば(2R,4S,4R)などの個々に、または各々の混合物を含む。
【0093】
一態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含むDNMT1阻害剤を含む。さらなる態様では、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログは、
式によって表される構造、すなわち式I:
【化2】
を有し、
式中、Rは、SおよびOから選択され、Rは、OHおよびNHから選択され、Rは、NおよびCRから選択され、Rは、H、脂肪族アシル、芳香族アシル、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アリールおよびニトロから選択される。なおさらなる態様では、Rがハロである場合、Rは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードから選択され得る。
【0094】
さらなる態様では、式Iの化合物は、特定の態様では、式:
【化3】
によって表される構造を有する化合物とすることができる。
【0095】
様々な態様では、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログは、式:
【化4】
またはそれらの組み合わせによって表される構造から選択される。
【0096】
様々な態様では、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログは、デシタビンとすることができるか、または5-アザ-2’-デオキシシチジン(商標名Dacogen)は、直後に示されている式によって与えられた構造を有する、化合物4-アミノ-1-(2-デオキシ-b-D-エリトロ-ペントフラノシル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンである。
【化5】
デシタビンは、リン酸化およびDNAへの直接的な組込み後にその効果を発揮すると考えられている。しかし、デシタビンはまた、DNAメチルトランスフェラーゼを阻害し、DNAの低メチル化、および細胞の分化またはアポトーシスを引き起こす。新生物細胞におけるデシタビン誘発性低メチル化は、細胞の分化および増殖を制御するために重要な、遺伝子への正常機能を回復することができると考えられている。迅速に分裂する細胞において、デシタビンの細胞傷害性はまた、DNAメチルトランスフェラーゼとDNAに組み込まれた化合物との間の共有結合性付加物の形成に起因し得る。非増殖性細胞は、デシタビンに対して比較的、感受性は低い。
【0097】
さらなる態様では、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログは、4’-チオ-2’-デオキシシチジンであり、これはまた、本明細書において、AB1とも称され、式:
【化6】
によって表される構造を有する。
【0098】
様々な態様では、DNMT1阻害剤は、直後の式によって表される構造を有する、化学名4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-s-トリアジン-2(1H)-オンを有する、5-アザシチジン(商標名:Vidaza)などの、2’-デオキシシチジンアナログではない、ヌクレオシドアナログとすることができる。
【化7】
アザシチジンは、DNAの低メチル化を引き起こすことによって作用すると考えられている。in vitroでのDNAメチル化の最大阻害に必要な濃度のアザシチジンは、DNA合成の主要な抑制を引き起こさない。
【0099】
様々な態様では、DNMT1阻害剤は、直後の式によって表される構造を有する、1-(β-D-リボフラノシル)-1,2-ジヒドロピリミジン-2-オンまたは2-ピリミドン-1-β-D-リボシドとしても知られているゼブラリンなどの、2’-デオキシシチジンアナログではない、ヌクレオシドアナログとすることができる。
【化8】
【0100】
さらなる態様では、DNMT1阻害剤は、以下に限定されないが、プロカインアミド、プロカイン、ヒドララジン、RG108および((-)-エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)を含めた、非ヌクレオシドアナログである。
【0101】
プロカインアミド(商標名Pronestyl、Procan、Procanbid)は、直後に示された式によって表される構造を有する、化合物4-アミノ-N-(2-ジエチルアミノエチル)ベンズアミドである。
【化9】
プロカインアミドは、複製の間のDNAメチル化パターンの維持を担うと考えられている、哺乳動物酵素である、DNAメチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)のヘミメチラーゼ活性を阻害すると考えられる。
【0102】
プロカインは、化合物2-(ジエチルアミノ)エチル-4-アミノ安息香酸である。プロカインは、直後に示された式によって表される構造を有する酵素活性を妨害することによって、DNAメチルトランスフェラーゼを阻害すると理解されている、DNA脱メチル化剤である。
【化10】
【0103】
ヒドララジン(アプレゾリン)は、直後に示された式によって表される構造を有する、化合物1-ヒドラジノフタラジン一塩酸塩である。
【化11】
【0104】
(-)-エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)は、直後に示された式によって表される構造を有する、カテキンアナログである。
【化12】
EGCGは、がん細胞において、DNMT活性を阻害して、メチル化サイレンシングされた遺伝子を再活性化すると理解されている。
【0105】
N-フタリル-1-トリプトファンとしても知られているRG108は、直後に示された式によって表される構造を有する、化合物(2S)-2-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸である。
【化13】
RG108は、酵素活性を妨害することによって、DNAメチルトランスフェラーゼを阻害すると理解されているDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤である。
【0106】
さらなる態様では、DNMT1阻害剤などの治療剤、例えば、一部の態様では、第1の治療剤であり得る、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログは、一部の例では、第2の治療剤とも称され得る、1種または複数の他の治療剤と組み合わせて使用され得る。なおさらなる態様では、さらなる治療剤または第2の治療剤は、THU、フッ化されているTHUなどの開示される治療剤、あるいは血流閉塞発作(VOC)もしくは血管閉塞性エピソード(VOE)などの、鎌状赤血球症疼痛発症(sickle pain crisis)の重症度もしくは頻度の減少または軽減に関連する任意の開示される治療剤であり得る。なおさらなる態様では、さらなる治療剤または第2の治療剤は、THU、フッ化されているTHUなどの開示される治療剤、あるいは血流閉塞発作(VOC)もしくは血管閉塞性エピソード(VOE)などの、鎌状赤血球症疼痛発症の重症度もしくは頻度を減少または軽減する臨床的使用のための、当業者に公知の治療剤、または規制機関、例えば米国食品医薬品局もしくは欧州連合欧州医薬品庁によって承認されている治療剤であり得る。第2の治療剤はまた、当業者に公知の治療剤、または損傷した腎臓、胆嚢、肝臓、肺、心臓などによって引き起こされる、周知の鎌状赤血球合併症の処置、予防または改善のための臨床的使用のための、規制機関、例えば、米国食品医薬品局または欧州連合欧州医薬品庁によって承認を受けた治療剤とすることができる。
【0107】
さらなる態様では、DNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログは、必要に応じて、第2の治療剤と組み合わせて使用することができ、第2の治療剤は、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ボキセロトール(GBT440)などのヘモグロビン酸素-親和性(hemoglobin oxygen-affinity);AN-233;例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなどのP-セレクチン結合剤、例えば、AG348またはFT-4202などのピルビン酸キナーゼM2活性化因子;例えば、IMR-687などのPDE9阻害剤;例えば、オリンシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなどの抗ヘプシジン治療法など;例えば、デスフェラシロックス(desferasirox)またはデフェリプロンなどの鉄キレート剤およびそれらの組み合わせから選択される。
【0108】
様々な態様では、HDAC阻害剤は、以下に限定されないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA、ボリノスタットとしても上市されている)、トリコスタチンAのアミドアナログ、トラポキシンのヒドロキサム酸アナログおよびスクリプタイド(6-(1,3-ジオキソ-1H,3H-ベンゾ[de]イソキノリン-2-イル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド)およびアナログを含めた、対象における、HDAC活性を阻害することが知られている任意の好適なHDAC阻害剤とすることができる。さらなる態様では、HDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、N-ヒドロキシ-7-(4-ジメチルアミノベンゾイル)-アミノヘプタンアミド(M344)、N-ヒドロキシ-8-(4-ジメチルアミノベンゾイル)-アミノオクタンアミド(M360)、N-ヒドロキシ-6-(4-ビフェニルカルボニル)-アミノカプラミド(M355)、N-ヒドロキシ-6-(4-ジメチルアミノベンゾイルアミノ)-カプラミド(MD85)、(S)-オクタン二酸ヒドロキシアミド(1-フェネチルカルバモイル-2-フェニル-エチル)-アミド(SW68)、(S)-オクタン二酸ヒドロキシアミド(1-ベンジルカルバモイル-2-フェニル-エチル)-アミド(SW70)、(S)-3-(4-メトキシフェニル)-2-(7-ヒドロキシカルバモイル-ヘプタノイルアミノ)-プロピオン酸メチルエステル(SW99)、(S)-2-(7-ヒドロキシカルバモイル-ヘプタノイルアミノ)-3-チオフェン-2-イル-プロピオン酸メチルエステル(SW86)、(S)-3-(4’-クロロビフェニル-4-イル)-2-(7-ヒドロキシカルバモイルヘプタノイルアミノ)-プロピオン酸メチルエステル(SW183)、(S)-3-(3’,4’-ジクロロビフェニル-4-イル)-2-(7-ヒドロキシカルバモイルヘプタノイルアミノ)-プロピオン酸メチルエステル(SW187)、(S)-2-(7-ヒドロキシカルバモイルヘプタノイルアミノ)-3-(4-メトキシビフェニル-4-イル)-プロピオン酸メチルエステル(SW188)、(S)-2-(7-ヒドロキシカルバモイルヘプタノイルアミノ)-3-(4’-メチルビフェニル-4-イル)-プロピオン酸メチルエステル(SW189)、(S)-3-(フェニル)-2-(7-ヒドロキシカルバモイル-ヘプタノイルアミノ)-プロピオン酸メチルエステル(M232)、6-(1,3-ジオキソ-1H,3H-ベンゾ[de]イソキノリン-2-イル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド(HR13)、6-(4,5,6,7-テトラクロロ-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)ヘキサン酸ヒドロキシアミド(HR10)、6-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)ヘキサン酸ヒドロキシアミド(HR11)およびそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0109】
様々な態様では、PD1阻害剤は、以下に限定されないが、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、ランブロリズマブ、スパルタリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、AK104、AMP-224、AMP-514、AK105、ALN-PDL、AUNP12、BCD-100、BGB108、BGBA317、BGB-A333、BI754091、BMS-936559、CK-301、FAZ053、JS001、KD033、KY1003、KN035、LZMO09、M7824、MCLA134、MDX-1105、MEDI-4736、MEDI-0680、MGA012、MGD013、MPDL3280A、MSB0010718C、MSB2311、PDROO1、PF-06801591、REGN2810、SHR1210、SHR-1316、Sym021、STIA100X、STIA1010、STIA1011、STIA1012、STIA1014、TSR-042、XmAb20717およびそれらの組み合わせを含めた、対象における、PD1活性を阻害することが知られている、任意の好適なPD1阻害剤とすることができる。
【0110】
様々な態様では、JAK阻害剤は、以下に限定されないが、アブロシチニブ、バリシチニブ、BMS-986165、デセルノチニブ(VX509)、フィルゴチニブ、イタシチニブ、オクラシチニブ、ペフィシチニブ、PF-06651600、PF-06700841、R333(R932333)、R348(R932348)、ルキソリチニブ、ソルシチニブ、TD-1473、TD-3504、トファシチニブおよび/またはウパダシチニブ;それらの組み合わせおよび/または薬学的に許容されるそれらの塩を含めた、対象における、PD1活性を阻害することが知られている、任意の好適なJAK阻害剤とすることができる。さらなる態様では、JAK阻害剤は、以下に限定されないが、ルキソリチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、PF-04965842、ウパダシチニブ、ペフィシチニブ、フェドラチニブ、ククルビタシンI、デセルノチニブ、INCB018424、AC430、BMS-0911543、GSK2586184、VX-509、R348、AZD1480、CHZ868、PF-956980、AG490、WP-1034、JAK3阻害剤IV、アチプリモド、FM-381、SAR20347、AZD4205、ARN4079、NIBR-3049、PRN371、PF-06651600、JAK3i、JAK3阻害剤31、PF-06700841、NC1153、EP009、ギンゲレノンA、JANEX-l、セルコスポルアミド、JAK3-IN-2、PF-956980、Tyk2-IN-30、Tyk2-IN-2、JAK3-IN1、WHI-P97、TG-101209、AZ960、NVP-BSK805、NSC 42834、FLLL32、SD 1029、WIH-P154、WHI-P154、TCS21311、JAK3-IN-1、JAK3-IN-6、JAK3-IN-7、XL019、MS-1020、AZD1418、WP1066、CEP33779、ZM449829、SHR0302、JAK1-IN-31、WYE-151650、EXEL-8232、ソルシチニブ、イタシチニブ、セルデュラチニブ、PF-06263276、デルゴチニブ(delgotinib)、AS2553627、JAK-IN-35、ASN-002、AT9283、ジオスゲニン、JAK阻害剤1、JAK-IN-l、LFM-A13、NS-018、RGB-286638、SB1317、クルクモール、Go6976、JAK2阻害剤G5-7、ミリセチンおよび/またはピリジン6;それらの組み合わせおよび/または薬学的に許容されるそれらの塩を含めた、対象における、PD1活性を阻害することが知られている任意の好適なJAK阻害剤とすることができる。
【0111】
さらなる態様では、DNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログは、本開示の医薬組成物において、少なくとも1種のシチジンデアミナーゼ阻害剤(「CDA阻害剤」)などの、第2の治療剤と組み合わせて必要に応じて使用され得る。好適なCDA阻害剤は、本明細書において開示されているもの、およびその全体が本明細書に組み込まれている、Ferraris et al, 2014;米国特許第6,136,791号;WO2009/052287によって記載されているものを含む。
【0112】
さらなる態様では、開示されるCDA阻害剤は、以下に限定されないが、テトラヒドロウリジン(THU)、フッ化テトラヒドロウリジンアナログおよびその誘導体などの、テトラヒドロウリジンアナログを含む。
【0113】
好適なフッ化テトラヒドロウリジンの非限定例は、以下に限定されないが、以下:
・ 2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;
・ (4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;
・ (4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;
・ 1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;
・ 2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;
・ (4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;
・ (4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;
・ 1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;
・ 1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H,3H)-ピリミジンジオン;
・ (4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;および/または
・ (4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンのうちの少なくとも1つを含めた、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体である。
【0114】
好適なフッ化テトラヒドロウリジンのさらなる非限定例は、以下に限定されないが、以下:
・ 2’2’-ジフルオロ-ジヒドロ-ウリジン(DFDHU);
・ 2’2’-ジフルオロ-テトラヒドロウリジン(DFTHU);
・ 2’(R)-フルオロ-2’デオキシ-テトラヒドロウリジン;
・ 2’(R)-フルオロ-2’デオキシ-ジヒドロウリジン((R)-FDHU);
・ 2’(S)-フルオロ-2’デオキシ-テトラヒドロウリジン;
・ 2’(S)-フルオロ-2’デオキシ-ジヒドロウリジン((S)-FDHU);および/または
・ 2’(S)-フルオロ-2’デオキシ-テトラヒドロウリジン((S)-FTHU)
のうちの少なくとも1つを含めた、2’-フルオロ-2’-デオキシテトラヒドロウリジン誘導体などのジフルオロテトラヒドロウリジン誘導体である。
【0115】
さらなる態様では、開示されるCDA阻害剤は、以下に限定されないが、ASTX727(E7727);5-メチル-2’,3’-ジデオキシ-3’-アジドシチジン(5mAZC);5-メチル-2’,3’-ジデオキシシチジン;5-エチル-2’,3’ジデオキシ-3’-アジドシチジン;5-プロピル-2’,3’-ジデオキシシチジン;5-プロピル-2’,3’-ジデオキシ-3’-アジドシチジン;5-プロペン-2’,3’-ジデオキシ-3’-アジドシチジン;5-プロピン-2’,3’-ジデオキシ-3’-アジドシチジン;および5-プロピン-2’,3’-ジデオキシ-3’-アジドシチジン;それらのアナログまたは薬学的に有効なそれらの塩、および米国特許第6,136,791号に記載されている化合物;およびゼブラリン(1-(β-D-リボフラノシル)-2(1H)-ピリミジノン)(Lemaire et al., 2009;Marquez et al., 2005)を含む。
【0116】
さらなる態様では、本明細書における治療剤は、造血前駆細胞における胎児ヘモグロビン(HbF)レベルを向上するための、胎児ヘモグロビン誘発因子(「HbF誘発因子」)とすることができる。開示される組成物および方法のための好適なHbF誘発因子は、以下に限定されないが、DNAメチル化の少なくとも1種の阻害剤、例えば、DNMT1阻害剤;および必要に応じてCDA(シチジンデアミナーゼ)の少なくとも1種の阻害剤;必要に応じて少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;必要に応じて少なくとも1種のPK2活性化因子;および様々な必要に応じた治療剤のそれらの組み合わせを含む。DNMT1阻害剤、HDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤、PK2活性化因子またはCDA阻害剤は、本明細書において開示されているこのような任意の阻害剤とすることができる。
【0117】
医薬組成物
様々な態様では、本開示は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、本明細書において開示されている少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。さらなる態様では、本開示は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、本明細書において開示されている少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログ;必要に応じて本明細書において開示されている少なくとも1種のCDA阻害剤;および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。なおさらなる態様では、本開示の医薬組成物は、経口利用可能な、低用量、固定用量の遅延放出組み合わせ製品であり得、こうして、患者が自宅において使用するために、使用が容易な製品をもたらすことができる。
【0118】
DNMT1阻害剤、例えば、2’-デオキシシチジンアナログおよび必要に応じてCDA阻害剤の同時経口投与のための医薬組成物は、これまで、報告されてこなかった。慣用的には、DNMT1阻害剤および/またはCDA阻害剤の投与は、静脈内投与によるものであり、これは、患者による自宅での使用の欠如、費用の向上、および高額な入院または病院での処置の必要性などの厳しい制限を有する。例えば、FdCydおよびTHUは、IV投与経路を使用する、第II相臨床研究において評価されてきた。しかし、この組み合わせの経口投与は、報告または提案がなされておらず、本開示の医薬組成物の使用は、FdCydへの一層長い曝露を可能にすることができ、これは、処置、例えば、低メチル化治療の開示される方法において望ましい。さらに、本開示の医薬組成物は、低い細胞傷害作用を伴って、DNMT1阻害剤の臨床的な有効性を顕著に改良すること、低用量のDNMT1阻害剤を使用してHbFを誘発することを可能にすること、より少ない医院(office)訪問しか必要としないことによって一層便利になり、これによって、診療所への移動および待ちを低減することができる。
【0119】
さらに、医師は、異なる用量、順序および組み合わせで、既存のIV製剤を投与するよう訓練を受ける必要がある。本開示(経口利用可能、固定用量、遅延放出組み合わせ製品)は、投与の費用を削減する、対象が自宅で使用することができる医薬組成物を提供する、医師の必要な訓練をそれほど必要としない、固定用量の組み合わせにより、治療的応答の患者間変動性を低減することが可能である、および経口製剤として、注射を避けて、針の恐怖症を有する小児または対象への投与が容易になる。
【0120】
さらなる態様では、本開示は、治療有効量の少なくとも1つの開示される2’-デオキシシチジンアナログまたは薬学的に許容されるその塩および必要に応じて少なくとも1種の開示されるCDA阻害剤または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物に関する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、薬学的に許容される希釈剤、保存剤、抗酸化剤、可溶化剤、乳化剤、着色剤、放出剤(releasing agent)、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤、ならびにアジュバントのうちの1種または複数を意味する。本開示の医薬組成物は、単位剤形で都合よく提示され得、調剤学および医薬品科学の分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。
【0121】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、治療有効量の少なくとも1つの開示される2’-デオキシシチジンアナログまたは薬学的に許容されるその塩および必要に応じて少なくとも1種の開示されるCDA阻害剤または薬学的に許容されるその塩、必要に応じて1種もしくは複数の他の治療剤、および必要に応じて1種もしくは複数のアジュバントを含む。本開示の医薬組成物は、経口、直腸、局所、肺、鼻および非経口投与に好適なものを含むが、所与の場合のいずれかにおける最も好適な経路は、特定の宿主、ならびに活性成分が投与される状態の性質および重症度に依存するであろう。なおさらなる態様では、本開示の医薬組成物は、経口投与することが可能となるよう製剤化され得る。
【0122】
様々な態様では、本開示はまた、薬学的に許容される担体または希釈剤、および活性成分として、治療有効量の少なくとも1つの開示される2’-デオキシシチジンアナログまたは薬学的に許容される塩、それらの水和物、それらの溶媒和物、それらの多形もしくはそれらの立体化学的な異性体形態、および必要に応じて、少なくとも1種のCDA阻害剤または薬学的に許容される塩、それらの水和物、それらの溶媒和物、それらの多形もしくはそれらの立体化学的な異性体形態を含む医薬組成物に関する。さらなる態様では、少なくとも1つの開示される2’-デオキシシチジンアナログまたは薬学的に許容される塩、それらの水和物、それらの溶媒和物、それらの多形もしくはそれらの立体化学的な異性体形態、および必要に応じて、少なくとも1種の開示されるCDA阻害剤または薬学的に許容される塩、それらの水和物、それらの溶媒和物、それらの多形もしくはそれらの立体化学的な異性体形態は、投与目的のため、様々な医薬品形態に製剤化されてもよい。
【0123】
本開示の医薬組成物は、活性成分および薬学的に許容される担体を混合することにより作製された任意の組成物を包含する。担体は、投与、例えば経口投与に望ましい調製物の形態に応じて、幅広い形態をとることができる。したがって、本発明の医薬組成物は、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの、経口投与に好適な別個の単位として提示され得、各々は、所定量の活性成分を含有する。さらに、本組成物は、散剤として、顆粒剤として、液剤として、水性液体中の懸濁剤として、非水性液体として、水中油型エマルション剤として、または油中水型液体エマルション剤として提示され得る。上に記載した一般的な剤形に加え、本組成物はまた、制御放出手段および/または送達デバイスによって投与されてもよい。上記のリストは、例示に過ぎず、限定することを決して意図するものではない。
【0124】
薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される非毒性塩基または酸から調製することができる。治療的使用の場合、開示される治療剤の塩は、対イオンが薬学的に許容されるものである。しかし、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製における使用が見出され得る。塩はすべて、薬学的に許容されるか否かにかかわらず、本開示によって企図される。薬学的に許容される酸および塩基付加塩は、開示化合物が形成することができる治療的に活性な非毒性の酸付加塩形態および塩基付加塩形態を含むことが意図される。
【0125】
様々な態様では、酸性基または部分、例えば、カルボン酸基を含む開示される治療剤を使用して、薬学的に許容される塩を調製することができる。例えば、このような開示される治療剤は、好適な無機塩基または有機塩基による処置を含む、単離ステップを含むことができる。一部の場合、薬学的に許容されない塩として、反応混合物から化合物を最初に単離し、次に、単に、上記の薬学的に許容されない塩を酸性試薬との処理によって変換して遊離酸化合物に戻し、次いで、この遊離酸を薬学的に許容される塩基付加塩に変換することが実施において望ましいことがある。これらの塩基付加塩は、従来の技法を使用して、例えば、対応する酸性化合物を所望の薬理学的に許容される陽イオンを含有する水溶液で処理し、次に、好ましくは減圧下、得られた溶液をエバポレートさせて乾固することによって容易に調製することができる。代替的に、それらはまた、酸性化合物と所望のアルカリ金属アルコキシドの低級アルカノール溶液を一緒に混合して、次に、前と同じ方法で得られた溶液のエバポレーションによる乾固によって調製することができる。
【0126】
塩基治療剤の薬学的に許容される塩基付加塩を調製するために使用することができる塩基は、非毒性塩基付加塩、すなわち、アルカリ金属陽イオン(例えば、リチウム、カリウムおよびナトリウム)、アルカリ土類金属陽イオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)、アンモニウムまたは他の水溶性アミン付加塩(N-メチルグルカミン-(メグルミン)など)、低級アルカノールアンモニウム、および有機アミンの他のこのような塩基などの薬理学的に許容される陽イオンを含有する塩を形成することができるものである。さらなる態様では、薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導されるものは、一級、二級および三級アミン、ならびに天然に存在するおよび合成された置換アミンなどの環式アミンおよび置換アミンを含む。様々な態様では、このような薬学的に許容される非毒性の有機塩基には、以下に限定されないが、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体のいずれか、ベタイン、カフェイン、コリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリン;ベンザチン、N-メチル-D-グルカミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、ヒドラバミン塩、および例えば、ヒスチジン、アルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩が含まれる。上述の塩形態は、酸との処理によって変換し、遊離酸形態に戻すことができる。
【0127】
様々な態様では、プロトン化可能な基または部分、例えば、アミノ基を含む開示される治療剤を使用して、薬学的に許容される塩を調製することができる。例えば、このような開示される治療剤は、好適な無機酸または有機酸による処理を含む、単離ステップを含むことができる。一部の場合、薬学的に許容されない塩として、反応混合物から化合物を最初に単離し、次に、単に、上記の薬学的に許容されない塩を塩基性試薬との処理によって変換して遊離塩基化合物に戻し、次いで、この遊離塩基を薬学的に許容される酸付加塩に変換することが実施において望ましいことがある。これらの酸付加塩は、従来の技法を使用して、例えば、対応する塩基性化合物を所望の薬理学的に許容される陰イオンを含有する水溶液で処理し、次に、好ましくは減圧下、得られた溶液をエバポレートさせて乾固することによって容易に調製することができる。代替的に、それらはまた、開示化合物の遊離塩基形態を好適な薬学的に許容される非毒性の無機酸または有機酸で処理することによって調製することができる。
【0128】
塩基治療剤の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、非毒性の酸付加塩、すなわちそれらの対応する無機酸および有機酸から形成される薬理学的に許容される陰イオンを含有する塩を形成することができるものである。例示的であるが、非限定的には、無機酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。例示的であるが、非限定的には、有機酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、パモ酸、パントテン酸、コハク酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などを含む。さらなる態様では、酸付加塩は、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸から形成される陰イオンを含む。
【0129】
実施において、本開示の治療剤、または本開示の薬学的に許容されるその塩は、慣用的な医薬調合技法に準拠して、薬学的担体との密な混合物中に活性成分として組み合わされ得る。担体は、投与、例えば経口または非経口(静脈内を含む)に望ましい調製物の形態に応じて、幅広い形態をとることができる。したがって、本開示の医薬組成物は、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの、経口投与に好適な別個の単位として提示され得、各々は、所定量の活性成分を含有する。さらに、本組成物は、散剤として、顆粒剤として、液剤として、水性液体中の懸濁剤として、非水性液体として、水中油型エマルション剤として、または油中水型液体エマルション剤として提示され得る。上に記載した一般的な剤形に加え、本開示の化合物および/または薬学的に許容されるその塩はまた、制御放出手段および/または送達デバイスによって投与されてもよい。組成物は、調剤学の方法のいずれかにより調製され得る。一般に、このような方法は、活性成分を1種または複数の必要成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、組成物は、活性成分と液体担体もしくは微粉砕固体担体、またはこれらの両方とを均一かつ密に混合することによって調製される。次に、生成物は、所望の提示物(presentation)へと都合よく成形され得る。
【0130】
投与の容易さおよび投与量の均質性が理由で、単一剤形の本開示の医薬組成物を製剤化することがとりわけ有利である。
【0131】
本明細書に開示される医薬組成物は、活性成分として、本開示の治療剤(または薬学的に許容されるその塩)、薬学的に許容される担体、および必要に応じて1種または複数の追加の治療剤を含む。様々な態様では、本開示の医薬組成物は、薬学的に許容される担体および開示化合物または薬学的に許容されるその塩を含むことができる。さらなる態様では、開示化合物または薬学的に許容されるその塩はまた、1種または複数の他の治療的に活性な化合物と組み合わせた、医薬組成物に含まれ得る。本組成物は、経口投与に好適な組成物を含むが、いかなる所与の場合でも、最も好適な経路は、特定の宿主、ならびに活性成分が投与される状態の性質および重症度に依存するであろう。医薬組成物は、単位剤形で都合よく提示され得、調剤学の分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。
【0132】
本開示の医薬組成物は、調剤学の分野において周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。本明細書に記載されている物質および方法に有用な剤形を作製するための技法および組成物は、例えば、以下の参照文献:Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, Editors, 1979); Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (Lieberman et al., 1981); Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976); Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985); Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992); Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995); Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989); Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993); Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J. G. Hardy, S. S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.); Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes, Eds.)に記載されている。
【0133】
本明細書に記載されている治療剤は、投与の所期の形態に関して、および慣用的な薬務と整合として、好適に選択された好適な薬学的希釈剤、賦形剤、増量剤または担体(本明細書において、薬学的に許容される担体、または担体と称される)との混合物で通常、投与される。送達可能な化合物は、経口、直腸、局所、静脈内注射または非経口投与に好適な形態にある。担体は、固体または液体を含み、このタイプの担体は、使用される投与のタイプに基づいて選ばれる。化合物は、既知量の該化合物を有する投与量として投与されてもよい。
【0134】
経口投与は、投与が容易であるため、本開示の医薬組成物のための好ましい剤形となり得、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口投与単位形態となり、この場合、固体の薬学的担体が使用されるのは明らかである。しかし、他の剤形は、臨床集団(例えば、年齢および臨床状態の重症度)、使用される具体的な開示化合物の溶解度特性などに応じて好適となることがある。したがって、開示化合物は、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤およびエマルション剤などの経口剤形で使用され得る。経口剤形のための組成物を調製する際に、いかなる好都合な薬学的媒体も使用され得る。例えば、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存剤、着色剤などを使用して、懸濁剤、エリキシル剤および液剤などの経口液体調製物を形成することができる一方、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用して、散剤、カプセル剤および錠剤などの経口用固形調製物を形成することができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与が容易であるため、好ましい経口投与量単位となり、これによって、固形薬学的担体が使用される。必要に応じて、錠剤は、標準的な水性技法または非水性技法によってコーティングされ得る。
【0135】
経口剤形の本開示の医薬組成物は、1種もしくは複数の薬学的賦形剤および/または添加物を含むことができる。好適な賦形剤および添加物の非限定例は、ゼラチン、粗糖またはラクトースなどの天然糖、レシチン、ペクチン、デンプン(例えば、トウモロコシデンプンまたはアミロース)、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、アラビアガム、アルギン酸、タイロース、滑石、石松子、シリカゲル(例えば、コロイド状)、セルロース、セルロース誘導体(例えば、セルロースエーテルであり、この場合、セルロースのヒドロキシ基は、低級飽和脂肪族アルコールおよび/または低級飽和脂肪族オキシアルコールにより一部がエーテル化されており、例えば、メチルオキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである)、脂肪酸、ならびに12~22個の炭素原子を有する脂肪酸のマグネシウム塩、カルシウム塩またはアルミニウム塩(特に、飽和(例えば、ステアリン酸塩))、乳化剤、油および脂肪、特に、植物性(例えば、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、小麦胚芽油、ヒマワリ種子油、タラ肝油であり、各場合において、必要に応じて水和もされている);飽和脂肪酸C1224からC1836までのグリセロールエステルおよびポリグリセロールエステル、ならびにそれらの混合物(グリセロールヒドロキシ基は、完全にエステル化されていること、またはやはり一部しかエステル化されていないこと(例えば、モノ、ジおよびトリグリセリド)が考えられる);ポリエチレングリコールおよびその誘導体などの薬学的に許容される一価または多価アルコールおよびポリグリコール、脂肪族の飽和または不飽和な脂肪酸(2~22個の炭素原子、特に、10~18個の炭素原子)と一価脂肪族アルコール(1~20個の炭素原子)または多価アルコール(グリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ペンタエリトリトール(pentacrythritol)、ソルビトール、マンニトールなどであり、これらは、必要に応じてエーテル化されていてもよい)とのエステル、クエン酸と一級アルコールとのエステル、酢酸、尿素、安息香酸ベンジル、ジオキソラン、グリセロホルマール(glyceroformal)、テトラヒドロフルフリルアルコール、C1~C12-アルコールとのポリグリコールエーテル、ジメチルアセトアミド、ラクトアミド、ラクテート、炭酸エチル、シリコーン(特に、中程度の粘稠性のポリジメチルシロキサン)、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、炭酸マグネシウムなどを含む。さらなる態様では、薬学的に許容される賦形剤は、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、本明細書において開示されている別の賦形剤、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0136】
経口剤形の調製に有用な他の補助物質は、架橋ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは微結晶性セルロースなどの崩壊を引き起こすもの(いわゆる崩壊剤)である。慣用的なコーティング物質を使用して、経口剤形を生成することもできる。例えば、考えることができるものは、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸および/またはそれらのエステルの重合体(polymerizate)および共重合体(copolymerizate);アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルと低級アンモニウム基含有物との共重合体(例えば、EudragitR RS)、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルおよびトリメチルアンモニウムメタクリレートの共重合体(例えば、Eudragit(登録商標)RL);ポリ酢酸ビニル;脂肪、油、ワックス、脂肪アルコール;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;セルロースアセテートフタレート、デンプンアセテートフタレートおよびポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース;メチルセルロースフタレート、メチルセルローススクシネート、メチルセルロースフタレートスクシネート、およびメチルセルロースフタル酸ハーフエステル;ゼイン;エチルセルロースおよびエチルセルローススクシネート;シェラック、グルテン;エチルカルボキシエチルセルロース;エタクリレート-マレイン酸無水物コポリマー;マレイン酸無水物-ビニルメチルエーテルコポリマー;スチロール-マレイン酸共重合体;2-エチル-ヘキシル-アクリレートマレイン酸無水物;クロトン酸-酢酸ビニルコポリマー;グルタミニン酸(glutaminic acid)/グルタミン酸エステルコポリマー;カルボキシメチルエチルセルロースグリセロールモノオクタノエート;セルロースアセテートスクシネート;ポリアルギニンである。
【0137】
開示される経口剤形におけるコーティング物質と考えることができる可塑剤は、クエン酸エステルおよび酒石酸エステル(アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル);グリセロールおよびグリセロールエステル(二酢酸グリセロール、三酢酸グリセロール、アセチル化モノグリセリド、ヒマシ油);フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジアミル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジプロピル)、ジ-(2-メトキシ-または2-エトキシエチル)-フタレート、グリコール酸エチルフタリル、グリコール酸ブチルフタリルエチルおよびブチルグリコレート;アルコール(プロピレングリコール、様々な鎖長のポリエチレングリコール)、アジペート(ジエチルアジペート、ジ-(2-メトキシ-または2-エトキシエチル)-アジペート);ベンゾフェノン;ジエチルセバケートおよびジブチルセバケート(diburylsebacate)、ジブチルスクシネート、ジブチルタータレート;ジエチレングリコールジプロピオネート;エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート、エチレングリコールジプロピオネート;リン酸トリブチル、トリブチリン;ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート(Polysorbar50などのポリソルベート);モノオレイン酸ソルビタンである。
【0138】
さらに、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、流動誘発剤および溶融剤(melting agent)は、担体として含まれてもよい。使用される薬学的担体は、例えば、固体、液体またはガスとすることができる。固体担体の例は、以下に限定されないが、ラクトース、白土、スクロース、グルコース、メチルセルロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、タルク、デンプン、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸を含む。液体担体の例は、糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油および水である。ガス担体の例は、二酸化炭素および窒素を含む。
【0139】
様々な態様では、結合剤は、例えば、デンプン、ゼラチン、天然糖(グルコースまたはベータ-ラクトースなど)、コーン甘味剤、天然および合成ガム(アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを含むことができる。これらの剤形において使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。さらなる態様では、崩壊剤としては、例えば、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むことができる。
【0140】
様々な態様では、固形剤形などの経口剤形は、標的化可能な薬物担体として、またはプロドラッグとして、ポリマーに結合した開示される治療剤を含むことができる。薬物の制御放出の達成に有用な好適な生分解性ポリマーは、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー、カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲル、好ましくは共有結合により架橋したヒドロゲルを含む。
【0141】
錠剤は、錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含有することができる。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性な希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア、ならびに潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、またはそれらは、胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それによって一層長い期間にわたる持続作用をもたらす公知技法によってコーティングされていてもよい。
【0142】
開示化合物を含有する錠剤は、必要に応じて、1種もしくは複数の副成分またはアジュバントと共に圧縮または成形することによって調製することができる。圧縮錠剤は、好適な機械において、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、表面活性剤または分散剤と必要に応じて混合された粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた、粉末にした化合物の混合物を好適な機械で成形することにより作製することができる。
【0143】
様々な態様では、錠剤などの固形経口剤形は、胃内での速やかな分解を阻止するため、腸溶コーティングでコーティングされ得る。様々な態様では、腸溶コーティング剤は、以下に限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸-メタクリル酸エステルのコポリマー、ポリ酢酸ビニル-フタレート、およびセルロースアセテートフタレートを含む。Akihiko Hasegawa "Application of solid dispersions of Nifedipine with enteric coating agent to prepare a sustained-release dosage form" Chem. Pharm. Bull. 33:1615-1619 (1985)。溶解時間、コーティング厚さおよび直径圧潰強度(diametral crushing strength)の好ましい組み合わせを有するよう、ab initioで設計した腸溶コーティング剤形を達成する試験に基づいて、様々な腸溶コーティング材料が選択されてもよい(例えば、S. C. Porter et al. "The Properties of Enteric Tablet Coatings Made from Polyvinyl Acetate-phthalate and Cellulose acetate Phthalate", J. Pharm. Pharmacol. 22:42p (1970)を参照されたい)。さらなる態様では、腸溶コーティングは、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースフタレート、メタクリル酸-メタクリル酸エステルのコポリマー、ポリ酢酸ビニル-フタレートおよびセルロースアセテートフタレートを含むことができる。
【0144】
様々な態様では、経口剤形は、水溶性担体または水不溶性担体を含む固体分散物とすることができる。水溶性担体または水不溶性担体の例には、以下に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ホスファチジルコリン、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースまたはステアリン酸が含まれる。
【0145】
様々な態様では、経口剤形は、口腔洗液またはうがい液として摂取されるもの、または代替として投与されるものを含めた、液体剤形にあることができる。例えば、液体剤形は、水性懸濁剤の製造に好適な賦形剤との混合物中に活性物質を含有する、水性懸濁剤を含むことができる。さらに、油性懸濁剤は、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油中、または流動パラフィンなどの鉱物油中に、活性成分を懸濁させることにより製剤化されてもよい。油性懸濁剤はまた、様々な賦形剤を含有してもよい。本開示の医薬組成物はまた、水中油型エマルションの形態にあってもよく、これは、甘味剤および矯味矯臭剤などの賦形剤を含有してもよい。
【0146】
液剤または懸濁剤の調製に関すると、水、特に滅菌水、またはアルコール(エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,2-プロピレングリコール、ポリグリコールおよびそれらの誘導体、脂肪アルコール、グリセロールの部分エステル)、油(例えば、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、アーモンドオイル、ヒマワリ油、ダイズ油、ヒマシ油、牛蹄油)、パラフィン、ジメチルスルホキシド、トリグリセリドなどの生理的に許容される有機溶媒を使用することが例えば、可能である。
【0147】
飲用可能な液剤などの液体剤形の場合、以下の物質:エタノール、n-プロパノール、グリセロールなどの2~4個の炭素原子を有する低級脂肪族一価および多価アルコール、200~600の間の分子量を有するポリエチレングリコール(例えば、1~40%水溶液)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、1,2-プロピレングリコール、有機アミド、例えば、脂肪族C1~C6-カルボン酸と、アンモニア、あるいは一級、二級もしくは三級C1~C4-アミンまたはC1~C4-ヒドロキシアミン(尿素、ウレタン、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなど)、低級脂肪族アミン、および2~6個の炭素原子を有するジアミン(エチレンジアミン、ヒドロキシエチルテオフィリン、トロメタミン(例えば、0.1~20%水溶液として)など)、脂肪族アミノ酸とのアミドが、安定剤または可溶化剤として使用されてもよい。
【0148】
開示される液体剤形の調製の際には、以下の非限定例などの可溶化剤および乳化剤:ポリビニルピロリドン、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどのリン脂質、アカシア、トラガカント、ポリオキシエチル化ソルビタンモノオレエートおよびソルビタンの他のエトキシ化脂肪酸エステル、ポリオキシエチル化脂肪、ポリオキシエチル化オレオトリグリセリド、リノール化(linolizated)オレオトリグリセリド、脂肪アルコールのポリエチレンオキシド縮合生成物、アルキルフェノールもしくは脂肪酸、またはやはり1-メチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリドン-(2)を使用することができる。この文脈では、ポリオキシエチル化は、対象としている物質が、ポリオキシエチレン鎖を含有し、この重合度は、一般に、2~40、特に10~20の間であることを意味する。この種のポリオキシエチル化物質は、ヒドロキシル基含有化合物(例えば、モノグリセリドまたはジグリセリド、またはオレイン酸ラジカルを含有するものなどの不飽和化合物)とエチレンオキシドとの反応(例えば、1Molのグリセリドあたり40Molのエチレンオキシド)によって、例えば得ることができる。オレオトリグリセリドの例は、オリーブ油、ピーナッツ油、ヒマシ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油である。Dr. H. P. Fiedler "Lexikon der Hillsstoffe fuer Pharmazie, Kostnetik und angrenzende Gebiete" 1971, pages 191-195も参照されたい。
【0149】
様々な態様では、液体剤形は、保存剤、安定剤、緩衝物質、風味修正剤(flavor correcting agent)、甘味剤、着色剤、抗酸化剤および錯体形成剤などをさらに含むことができる。例えば、考えることができる錯体形成剤は、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸およびそれらの塩などのキレート形成剤である。
【0150】
生理的に許容される塩基または緩衝剤を用いて液体剤形をほぼ6~9のpH範囲まで安定化することが必要に応じて必要となることがある。できる限り、中性または弱塩基性のpHの値(pH8まで)が優先される。
【0151】
開示される液体剤形、非経口注射形態または静脈内注射可能な形態における、開示化合物の溶解度および/または安定性を増強するため、α-、β-もしくはγ-シクロデキストリンまたはそれらの誘導体、特に、ヒドロキシアルキル置換シクロデキストリン、例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンまたはスルホブチル-β-シクロデキストリンを使用することが有利となり得る。同様に、アルコールなどの共溶媒は、本開示による化合物の医薬組成物への溶解度および/または安定性を改良することができる。
【0152】
様々な態様では、開示される液体剤形、非経口注射形態または静脈内注射可能な形態は、小型の単一ラメラ小胞、大型の単一ラメラ小胞および多層ラメラ小胞などの、リポソーム送達系をさらに含むことができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0153】
本開示の化合物および/または薬学的に許容されるその塩を含有する医薬組成物はまた、粉末形態または液体濃縮形態で調製され得る。
【0154】
医薬組成物(または製剤)は、様々な方法で包装されてもよい。一般に、販売用物品は、適切な形態の医薬組成物を含有する容器を含む。好適な容器は、当業者に周知であり、ボトル(プラスチックおよびガラス)、サシェ、ホイルブリスターパックなどの物質を含む。この容器はまた、包装物の内容物を不用意に使用するのを防止するための不正開封防止組み合わせ材を含むことができる。さらに、容器は、通常、容器の内容物を説明するラベル、および任意の適切な注意書きまたは指示がその表面に張り付けられている。
【0155】
本開示の医薬組成物は、所望の場合、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有することができる、パックまたは分注デバイス中で提示されてもよい。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属ホイルまたはプラスチックホイルを含んでもよい。パックまたは分注デバイスは、投与に関する指示が添えられていることがある。パックまたは分注器はまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態で、容器に付随する注意書きも添付されてもよく、この注意書きは、当局による、ヒトまたは獣医学的投与のための薬物の形態の承認を反映するものである。このような注意書きは、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局により承認された表示、または承認された製品の添付文書とすることができる。適合可能な薬学的担体中に製剤化された開示化合物を含む医薬組成物もまた調製されて、適切な容器に入れられ、表示された状態の処置に関してラベル表示され得る。
【0156】
投与の正確な投与量および頻度は、当業者に周知の通り、特定の開示化合物、薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはその多形、それらの水和物、その溶媒和物、その多形もしくはその立体化学的な異性体形態を作製する開示方法の生成物、処置される特定の状態、および処置される状態の重症度;特定の対象の年齢、体重、性別、障害の程度および一般的な身体状態などの、投与量が投与される対象の病歴に特異的な様々な因子、ならびに個体が服用してもよい他の医薬に依存する。さらに、前記の有効な1日あたりの量は、処置される対象の応答に応じて、および/または本開示の化合物を処方する医師の評価に応じて、減量されてもよく、または増量されてもよい。
【0157】
別の態様では、医薬組成物はコーティングをさらに含む。さらなる態様では、コーティングは、腸溶コーティングである。さらに別の態様では、コーティングは、糖コーティング、フィルムコーティング、圧縮コーティングまたはそれらの組み合わせとすることができる。コーティングがフィルムコーティングである態様では、コーティングは、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースもしくはメチルセルロースポリマー、またはそれらの組み合わせなどの、セルロースエーテルポリマーとすることができる。
【0158】
特定の剤形に応じて、開示される医薬組成物は、0.05~99重量%、好ましくは0.1~70重量%、より好ましくは0.1~50重量%の活性成分、および1~99.95重量%、好ましくは30~99.9重量%、より好ましくは50~99.9重量%の薬学的に許容される担体を含むことができ、パーセンテージはすべて、組成物の合計重量に対するものである。
【0159】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、1日あたり、患者の体重1kgあたり約0.01~1000mgの開示される治療剤を含む単位用量形態を有しており、単回用量または複数回用量で投与され得る。様々な態様では、開示される治療剤の投与量レベルは、1日あたり、約0.1~約500mg/kg、1日あたり、約0.1~250mg/kg、または1日あたり約0.5~100mg/kgであろう。開示される治療剤の好適な投与量レベルは、1日あたり約0.01~1000mg/kg、1日あたり約0.01~500mg/kg、1日あたり約0.01~250mg/kg、1日あたり約0.05~100mg/kg、または1日あたり約0.1~50mg/kgとすることができる。この範囲内で、投与量は、1日あたり、0.05~0.5、0.5~5.0または5.0~50mg/kg;または約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kgおよび/または約20mg/kgからとすることができる。態様では、約1~約20mg/kgの用量の上記の列挙は、それらの中の任意の範囲、例えば、約2~約8mg/kgを含む。経口投与に関すると、本開示の医薬組成物は、処置される患者への投与量の対症調整のため、約1.0~約1000mgの活性成分、特に1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000mgの活性成分となる開示される治療剤を含有する、錠剤の形態で提供され得る。一態様では、錠剤は、開示される治療剤を40、400または1000mg含有する。単位用量形態は、1日あたり1~4回、好ましくは1日1回または2回のレジメンで投与され得る。単位用量形態は、最適な治療的応答を達成するよう調整され得る。なおさらなる態様では、単位用量形態は、1週間あたり1回投与されるか、または1週間あたり2~3回、投与される。
【0160】
記載されている開示される単位用量は、1日1回より多く、例えば、1日あたり2、3、4、5または6回、投与され得る。様々な態様では、このような単位用量は、1日1回または2回、投与され得、その結果、70kgの成人の場合の全投与量は、投与あたり対象の体重1kgあたり、0.001~約15mgの範囲にある。さらなる態様では、投与量は、投与あたり対象の体重1kgあたり0.01~約1.5mgであり、このような治療法は、数週間または数か月間、および一部の場合、数年間、延長することができる。しかし、任意の特定の対象に対する具体的な用量レベルは、当業者によって十分に理解されている通り、使用される具体的な化合物の活性、処置される個体の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与時間および投与経路、排出速度、以前に投与された他の薬物、および治療を受けている具体的な疾患の重症度を含めた、様々な因子に依存することが理解されよう。
【0161】
典型的な単位用量は、1日1回、服用され得るか、または1日あたり複数回、服用され得るか、または1日1回、服用される一時放出カプセル剤または錠剤であって、比例して一層高い含有量の活性成分を含有する、一時放出カプセル剤または錠剤とすることができる。代替的に、単位用量は、1週間あたり1回、または1週間あたり2~3回、服用され得る。時間放出作用は、様々なpHの値で溶解するカプセル材料によって、浸透圧によってゆっくりと放出するカプセル剤によって、または制御放出の任意の他の公知手段によって得ることができる。
【0162】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを約1~約60mg、あるいは少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを約1.5~約15mg、あるいは少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59もしくは約60mg、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の量で含む、単位用量形態を有する。なおさらなる態様では、上記の医薬組成物は、経口投与向けに製剤化される。
【0163】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、1日あたり患者の身体表面積1mあたり約1~600mgの少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含む、単位用量形態を有しており、単回用量または複数回用量で投与され得る。様々な態様では、投与量レベルは、1日あたり、約1~約500mg/m、1日あたり、約1~250mg/m、または1日あたり約1~150mg/mとなろう。好適な投与量レベルは、1日あたり約1~600mg/m、1日あたり約1~250mg/m、1日あたり約1~150mg/m、1日あたり約1~100mg/m、または1日あたり約1~50mg/mとすることができる。この範囲内では、投与量は、1日あたり1~50、50~100、100~150、150~250または250~500mg/mとすることができる。なおさらなる態様では、本開示の医薬組成物は、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを約5mg/m~約135mg/m含む単位用量形態を有するか、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130もしくは約135mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。一態様では、シチジンアナログの用量は、134mg/mである。
【0164】
さらなる態様では、開示される医薬組成物は、1日1回より多く、例えば、1日2、3、4、5または6回、投与することができる単位用量の少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含む。様々な態様では、開示される医薬組成物は、1日1回または2回、投与され得る単位用量の少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含み、その結果、70kgの成人の場合の全投与量は、投与あたり対象の体重1kgあたり、0.001~約15mgの範囲である。さらなる態様では、開示される医薬組成物は、投与あたり対象の体重1kgあたり0.01~約1.5mgである単位用量の少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含み、このような治療法は、数週間または数か月間、および一部の場合、数年間、延長することができる。しかし、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、当業者によって十分に理解されている通り、使用される具体的な化合物の活性、処置される個体の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与時間および投与経路、排出速度、以前に投与された他の薬物、および治療を受けている具体的な疾患の重症度を含めた、様々な因子に依存することが理解されよう。
【0165】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、対象に投与されると、約100ng・時/mL~約400ng・時/mL、または約100、150、200、225、250、275、300、325、350、375もしくは約400ng・時/mL、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の少なくとも1種の2’-デオキシシチジンの曲線下面積の値をもたらす、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含む単位用量形態を有する。なおさらなる態様では、上記の医薬組成物は、経口投与向けに製剤化される。
【0166】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、対象に投与されると、対象への投与後、約0.005~約0.05μM、または約0.005、0.005、0.01、0.025もしくは約0.05μM、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログの最大血漿中濃度をもたらす、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含む単位用量形態を有する。別の態様では、本開示の医薬組成物は、対象に投与されると、対象への投与後の約60分間~約180分間時、または対象への投与後の約60、75、90、105、120、135、150、165または約180分間時に、または上述の値のいずれかの組み合わせ時、または上述の値のいずれかを包含する範囲の時に最大血漿中濃度を達成する、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含む単位用量形態を有する。なおさらなる態様では、上記の医薬組成物は、経口投与向けに製剤化される。
【0167】
一態様では、本開示の医薬組成物は、例えば、テトラヒドロウリジンなどの開示されるCDA阻害剤を必要に応じて含み、静脈内注入または皮下注射などによって投与され、この場合、CDA阻害剤は、身体表面積1mあたり、約10~約500mg、または身体表面積1mあたり、約10、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450もしくは約500mg、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の投与量で投与され得る。
【0168】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、錠剤形態またはカプセル剤形態で投与される開示されるCDA阻害剤を必要に応じて含み、この場合、CDA阻害剤は、体重1kgあたり、約1~約400mg、または体重1kgあたり、約1、5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375もしくは約400mg、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の投与量で投与される。
【0169】
一部の場合、当業者に明白な通り、これらの範囲外の投与量を使用することが必要となり得る。さらに、臨床医または処置医師は、個々の患者の応答と関連付けて、治療を開始する、中断する、調整する、または終了する方法および時を認識していることが留意される。
【0170】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、対象を処置するための、治療有効量の少なくとも1つのテトラヒドロウリジンアナログを含む単位用量形態を有することができる。なおさらなる態様では、本開示の医薬組成物は、少なくとも1つのテトラヒドロウリジンアナログを約100~約600mg/mの治療有効用量で含む単位用量形態を有するか、あるいは約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、本開示の医薬組成物は、少なくとも1つのテトラヒドロウリジンアナログを約50~約350mg/mの治療有効用量で含む単位用量形態を有するか、あるいは約50、100、150、200、250、300もしくは約350mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。一態様では、本明細書において開示されているコンビナトリアル組成物は、145mg/mのシチジンアナログおよび350mg/mのテトラヒドロウリジンを含むことができる。
【0171】
なおさらなる態様では、本開示の医薬組成物は、対象に投与されると、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である少なくとも1つのテトラヒドロウリジンアナログを含む、単位用量形態を有することができる。なおさらなる態様では、少なくとも1つのテトラヒドロウリジンアナログは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、少なくとも1つのテトラヒドロウリジンアナログの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0172】
様々な態様では、本開示の医薬組成物は、2’-デオキシシチジンアナログおよび必要に応じてシチジンデアミナーゼを阻害する治療剤の両方を含む、経口製剤とすることができる。シチジンデアミナーゼは、2’-デオキシシチジンアナログの、より有効ではない望ましくない代謝産物に迅速に変換されることを阻害することができると考えられている。例えば、シチジンデアミナーゼは、5-フルオロ-2’-デオキシシチジンの、5-フルオロ-2’-デオキシウリジン、5-フルオロウラシルおよび5-フルオロウリジンなどの代謝産物への代謝を阻害することができる。特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、5-フルオロ-2’-デオキシウリジン、5-フルオロウラシルおよび5-フルオロウリジンは、DNMT1を効果的に阻害しないと考えられる。一態様では、この現象は、シチジンアナログへの曝露の増大、および有効ではない代謝産物への曝露の低下をもたらすことができる。
【0173】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、以下に限定されないが、5-フルオロ-2’-デオキシシチジンを含めた、本明細書において開示されている少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログ、および必要に応じて、以下に限定されないが、例えば、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体などのテトラヒドロウリジン誘導体を含めた、少なくとも1種のCDA阻害剤を含む、経口投与向けの医薬組成物とすることができる。
【0174】
別の態様では、本開示の医薬組成物は、必要に応じたテトラヒドロウリジンまたはテトラヒドロウリジン誘導体が、シチジンアナログよりも速やかに放出されるよう製剤化される。一態様では、「差次的放出」または「デュアル放出」とは、本明細書で使用される場合、1種より多い活性成分または薬物を含有する製剤から、様々な時間点において、2種またはそれより多い活性成分を放出することを指す。さらなる態様では、「差次的」および「デュアル放出」はまた、摂取または他の手段による投与後の様々な時間点における、2種またはそれより多い活性成分の生体利用能を指す。
【0175】
本明細書で使用される場合、「生体利用可能な」とは、医薬品中の活性成分の身体による吸収および使用を指す。したがって、「経口により生体利用可能な」薬物は、口によって服用されて、消化管において破壊されることなく、吸収され得る。一態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、シチジンアナログおよび必要に応じたテトラヒドロウリジンアナログの経口生体利用能の少なくとも約10倍の改良を生じることができる。さらなる態様では、医薬組成物は、低いCmaxおよび複数の時間でのTmaxを呈示し、こうして、シチジンアナログによる非細胞傷害性DNMT1の枯渇をもたらす。さらなる態様では、医薬組成物は、ヒト対象において、約0.05μπι~約0.5μπι、またはヒト対象において、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45もしくは約0.5μπι、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲のピークシチジンアナログ濃度をもたらすことができる。
【0176】
一態様では、必要に応じたテトラヒドロウリジンまたはテトラヒドロウリジンアナログの一層速い放出を伴う、差次的放出を達成するため、テトラヒドロウリジンまたはアナログは例えば、外側層として、錠剤などの経口投与形態の表面に配置することができる。代替的な態様では、結合剤、賦形剤、充填剤、コーティング剤などは、シチジンアナログとは反対に、テトラヒドロウリジンまたはアナログに対して異なる溶解速度を可能にするよう製剤化され得る。さらに、この態様では、シチジンアナログは、経口投与形態の中心部に配置することができるか、または経口投与形態のシチジンアナログ部分の場合、結合剤、賦形剤、充填剤、コーティング剤などが、一層遅い溶解速度が可能となるよう製剤化することができる。さらなる態様では、シチジンアナログは、遅延放出を容易にするため、ポリマーでコーティングされ得るか、またはこの中に埋め込まれ得る。一態様では、テトラヒドロウリジンまたはテトラヒドロウリジンアナログは、シチジンアナログ前の約1分間~約180分間、またはシチジンアナログ前の約15分間~約60分間、またはシチジンアナログ前の約30分間~約60分間、またはシチジンアナログ前の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170もしくは約180分間、または上述の値の組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。代替的な態様では、テトラヒドロウリジンまたはテトラヒドロウリジンアナログは、シチジンアナログとは別個の剤形(例えば、丸剤、錠剤、カプセル剤など)で製剤化され得、これは、別個に投与することができる。さらなる態様では、本明細書において開示されている活性成分は、遅延放出が容易となるよう、異なる溶解速度を有する異なるマトリックスを有する、マイクロスフィアおよび/またはマイクロ粒子を含めた、マイクロスフィアおよび/またはマイクロ粒子内にパッケージングされ得る。
【0177】
さらなる態様では、遅延放出は、可溶性に乏しいポリマーを含む、もしくはこれからなるマトリックスまたはコーティングを用いて達成され得る。さらなる態様では、可溶性に乏しいポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ビニルポリマーまたはコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シェラック、アンモニア処理されたシェラック、シェラック-アセチルアルコール、シェラックステアリン酸n-ブチル、第四級アンモニウム基の含有量が低いアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのコポリマー、ならびにそれらの組み合わせとすることができる。さらなる態様では、ビニルポリマーおよび/またはコポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、ビニルアセテートクロトン酸コポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマーおよびそれらの組み合わせとすることができる。
【0178】
さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび少なくとも1つの胎児ヘモグロビン発現誘発因子および必要に応じて少なくとも1つのテトラヒドロウリジンアナログを含むことができる。さらなる態様では、本開示の医薬組成物は、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび少なくとも1つの胎児ヘモグロビン誘発因子および少なくとも1つのテトラヒドロウリジンアナログを含むことができる。
【0179】
血液学的障害を処置するための方法
一態様では、対象における、血液学的障害を処置するための方法であって、治療有効量の開示される医薬組成物または開示される治療剤を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書において開示されている。さらなる態様では、本方法は、2’-デオキシシチジンアナログを含む、治療有効量の開示される医薬組成物を投与するステップを含む。なおさらなる態様では、本方法は、治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログおよび必要に応じて治療有効量のCDA阻害剤を含む、開示される医薬組成物を投与するステップを含む。なおさらなる態様では、本方法は、治療有効量の少なくとも1つの開示される2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップを含む。なおさらなる態様では、本方法は、治療有効量の少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび必要に応じて治療有効量の少なくとも1種のCDA阻害剤を投与するステップを含む。
【0180】
様々な態様では、開示される方法は、対象において、血液学的障害を処置するステップを含み、該方法が、治療有効量の第1の治療剤の化合物、必要に応じた第2の治療剤および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を投与するステップを含み、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせであり、第2の治療剤が、本明細書において開示される治療剤、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである。
【0181】
さらなる態様では、血液学的障害を処置するための方法は、血液学的障害を有する対象を特定するステップをさらに含む。なおさらなる態様では、血液学的障害を処置するための方法において、対象は、血液学的障害を有することが既に特定されている。なおさらなる態様では、血液学的障害は、鎌状赤血球症またはサラセミアとすることができる。
【0182】
さらなる態様では、血液学的障害を処置するための方法は、約0.1~約150mg/mとなる治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップを含むか、または約10~約150mg/mとすることができるか、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、
【0183】
さらなる態様では、血液学的障害を処置するための方法は、約5mg/m~約135mg/mとなる治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップを含むか、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130もしくは約135mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、シチジンアナログの用量は、134mg/mである。
【0184】
さらなる態様では、血液学的障害を処置するための方法は、治療有効量のCDA阻害剤、例えば、テトラヒドロウリジンアナログを対象に投与するステップを必要に応じてさらに含む。なおさらなる態様では、テトラヒドロウリジンアナログの治療有効量は、血液学的障害を処置するための開示方法におけるステップとして必要に応じて含まれる場合、約100~約600mg/mとすることができるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、必要に応じて含まれるテトラヒドロウリジンアナログの治療有効量は、約50~約350mg/mとすることができるか、または約50、100、150、200、250、300もしくは約350mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。一態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、145mg/mのシチジンアナログおよび必要に応じて350mg/mのテトラヒドロウリジンを含むことができる。
【0185】
さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップの前に、2’-デオキシシチジンアナログと同時に、または2’-デオキシシチジンアナログの後に、必要に応じて投与される。これらの態様のいずれかでは、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、対象に投与されない。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、テトラヒドロウリジンの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0186】
胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法
一態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法であって、治療有効量の開示される医薬組成物または開示される治療剤を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書において開示されている。さらなる態様では、本方法は、少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび少なくとも1種のHbF誘発因子を含む、治療有効量の開示される医薬組成物を投与するステップを含む。なおさらなる態様では、本方法は、少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログ、少なくとも1種のHbF誘発因子および必要に応じて少なくとも1種のCDA阻害剤を含む、治療有効量の開示される医薬組成物を含む医薬組成物を投与するステップを含む。なおさらなる態様では、本方法は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび少なくとも1種のHbF誘発因子を投与するステップを含む。なおさらなる態様では、本方法は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログ、治療有効量の少なくとも1種のHbF誘発因子および必要に応じて治療有効量の少なくとも1種のCDA阻害剤を投与するステップを含む。
【0187】
様々な態様では、開示される方法は、対象において、胎児ヘモグロビン発現を増加するステップを含み、該方法は、治療有効量の第1の治療剤の化合物、必要に応じた第2の治療剤および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を投与するステップを含み、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせであり、第2の治療剤が、本明細書において開示される治療剤、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである。
【0188】
さらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、胎児ヘモグロビン発現の増加の必要性を有する対象を特定するステップをさらに含む。なおさらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法において、対象は、胎児ヘモグロビン発現の増加の必要性を有すると既に特定されている。
【0189】
さらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加させる必要性は、異常ヘモグロビン症に関連する。なおさらなる態様では、本方法は、異常ヘモグロビン症を有する対象を特定するステップをさらに含む。なおさらなる態様では、対象は、異常ヘモグロビン症を有すると既に特定されている。なおさらなる態様では、異常ヘモグロビン症は、鎌状赤血球症またはサラセミアに関連する。
【0190】
さらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、約0.1~約150mg/mの少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップを含むか、または約10~約150mg/mとすることができるか、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、
【0191】
さらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、約5mg/m~約135mg/mの少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップを含むか、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130もしくは約135mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、シチジンアナログの用量は、134mg/mである。さらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、0.1~約150mg/mの少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップを含むか、または約10~約150mg/mとすることができるか、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。
【0192】
さらなる態様では、HbF誘発因子は、本明細書に記載されている1種または複数のエピジェネティック改変剤を含み、治療有効量または治療相乗量で投与され得る。本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、1種または複数のDNMT1阻害剤と1種または複数のHbF誘発因子(これは、エピジェネティック改変剤を含むことができる)との同時投与、または本明細書に記載されている単一の治療組成物または製剤(薬物の両方のクラスを含む)の投与が、HbFの増加もしくは上方調節をもたらすよう、または本明細書において開示されている血液障害の阻害をもたらすよう、またはこれらの両方をもたらすような量のことである。一方で、本明細書で使用される場合、「治療相乗量」とは、本明細書において開示されている血液障害に関連する状態もしくは症状を有意に減少させるまたはなくすため、および/あるいはHbFレベルを向上するまたは上方調節するために必要な、1種または複数のDNMT1阻害剤および1種または複数のHbF化学誘発因子の量のことである。
【0193】
さらなる態様では、少なくとも1種のHbF化学誘発因子は、例えば、少なくとも1種のDNAメチル化阻害剤、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、少なくとも1種のDNAメチル化阻害剤、少なくとも1種のPK2阻害剤またはそれらの組み合わせなどの、造血前駆細胞におけるHbFレベルを向上することができる、エピジェネティック改変剤とすることができる。さらなる態様では、DNAメチル化阻害剤は、5-アザ-2’-デオキシシチジンとすることができる。別の態様では、HDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA、ボリノスタットとしても上市されている)、トリコスタチンAのアミドアナログ、トラポキシンのヒドロキサム酸アナログおよびスクリプタイド(6-(1,3-ジオキソ-1H,3H-ベンゾ[de]イソキノリン-2-イル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド)およびアナログから選択することができる。
【0194】
さらなる態様では、第1の医薬組成物は、DNMT1阻害剤を含むことができ、第2の医薬組成物は、HbF化学誘発因子を含むことができ、第1および第2の医薬組成物は、共投与され得る。同時投与は、逐次または同時とすることができる。
【0195】
さらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、治療有効量のCDA阻害剤、例えば、テトラヒドロウリジンアナログを対象に必要に応じて投与するステップをさらに含む。なおさらなる態様では、必要に応じたテトラヒドロウリジンアナログの治療有効量は、約100~約600mg/mとすることができるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、必要に応じたテトラヒドロウリジンアナログの治療有効量は、約50~約350mg/mとすることができるか、または約50、100、150、200、250、300もしくは約350mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。一態様では、本明細書において開示されているコンビナトリアル組成物は、145mg/mのシチジンアナログ、および必要に応じて350mg/mのテトラヒドロウリジンを含むことができる。
【0196】
さらなる態様では、本方法は、対象に治療有効量のテトラヒドロウリジンアナログを必要に応じて投与するステップをさらに含む。一態様では、必要に応じて投与されるテトラヒドロウリジンの治療有効量は、約100~約600mg/mとすることができるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。これらの態様のいずれかでは、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、対象に投与されない。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、テトラヒドロウリジンの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0197】
さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップの前に、2’-デオキシシチジンアナログと同時に、または2’-デオキシシチジンアナログの後に、必要に応じて投与される。これらの態様のいずれかでは、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。なおさらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、対象に投与されない。なおさらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、テトラヒドロウリジンの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0198】
一態様では、対象における総ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、酪酸(BA)とδ-アミノレブリン酸(ALA)とのプロドラッグコンジュゲートであるAN-233、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、ヒドロキシ尿素、ヘモグロビン酸素-親和性モジュレーター(例えば、商標名OXBRYTA(登録商標)で販売されているボキセロトール、商標名REBLOZYL(登録商標)で販売されているルスパテルセプトなど)、P-セレクチン結合剤(例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなど)、ピルビン酸キナーゼM2活性化因子(例えば、AG348またはFT-4202など)、PDE9阻害剤(例えば、IMR-687など)、HDAC阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子(例えば、オリンシグアトなど)、抗ヘプシジン治療法(例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなど)の追加の治療剤の投与を含むことができる。別の態様では、追加治療法は、例えば、デスフェラシロックス(商標名EXIADE(登録商標)で販売)またはデフェリプロン(商標名FERRIPROX(登録商標)で販売)などの鉄キレート剤とすることができる。さらに別の態様では、追加治療法は、以下に限定されないが、ZYNTEGLO(登録商標)、ARU-1801、EDIT-301、ST-400、CTX001、ET-01またはそれらの組み合わせを含めた、遺伝子治療製品とすることができる。
【0199】
別の態様では、総ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、赤血球ピルビン酸キナーゼ-R(PKR)の活性化因子、すなわちPKR活性化因子化合物の投与を含む。ピルビン酸キナーゼR(PKR)は、RBCにおいて発現されるピルビン酸キナーゼのアイソフォームであり、解糖における重要な酵素である。PKR活性化因子は、当業者に公知の好適なアッセイを使用して、1μM未満のAC50値を有する化合物とすることができる(例えば、米国特許公開第2022/0031671号における実施例2中の発光アッセイを参照されたい)。
【0200】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている、エタボピバット(FT-4202としても知られている):
【化14】
すなわち、化合物(S)-1-(5-((2,3-ジヒドロ-[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-イル)スルホニル)-3,4,5,6-テトラヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシ-2-フェニルプロパン-1-オン、またはその立体異性体、または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0201】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、米国特許公開第2022/0031671号の図1に開示されている化合物のうちの1つまたは複数から選択することができる。
【0202】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている、ミタピバト:
【化15】
すなわち、化合物N-[4-[4-(シクロプロピルメチル)ピペラジン-1-カルボニル]フェニル]キノリン-8-スルホンアミド、または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0203】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている、ルカパリブ(AG-014699、PF-01367338):
【化16】
または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0204】
さらなる態様では、総ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、プロトンポンプ阻害剤、例えば、ファモチジンまたはオメプラゾールの投与を含む。なおさらなる態様では、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール(pariprazole)、テナトプラゾール、レミノプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、ドントプラゾール(dontoprazole)、ハベプラゾール(habeprazole)、ペリプラゾール(periprazole)またはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグおよびそれらの組み合わせから本質的になる群から選択される。
【0205】
一態様では、対象において、総ヘモグロビンまたは胎児ヘモグロビン発現を増加するための方法は、イミダゾール抗真菌剤、クロトリマゾール、メトロニダゾール、エコナゾール、アルギニン、Tram-34、ハリブドトキシン(harybdotoxin)、ニフェジピン、2,2-ビス(4-フルオロフェニル)-N-メトキシ-2-フェニルアセトアミジン、2-(2-クロロフェニル)-2,2-ジフェニルアセトアルデヒドオキシム、2-(2-クロロフェニル)-2,2-ビス(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミジン、2,2,2-トリス(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミジン、2-(2-フルオロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシ-2-フェニルアセトアミジン、リン酸3-(2-オキサゾリル)-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド]フェニルモノエステル、N-[2-(4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N-[4-メトキシ-2-(2-オキサゾリル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4,5-ジメトキシ-2-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン-アミド、N-[2-(2-フリル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N-[4-メチル-2-(2-オキサゾリル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドおよびセニカポック、好ましくは、セニカポックまたはTram-34からなる群より選択されるガルドスチャネル遮断剤の投与を含むことができる。
【0206】
様々な態様では、対象の血液中の胎児ヘモグロビンの量を増加させるための方法であって、対象に、(a)治療有効量の本明細書において開示される2’-デオキシシチジンアナログ、および必要に応じて、(b)治療有効量のテトラヒドロウリジンを投与するステップを含む、方法もまた本明細書において開示されている。
【0207】
さらなる態様では、シチジンアナログおよび必要に応じたテトラヒドロウリジンは、2つの別個の剤形に包装されて、同時に投与することができる。別の態様では、必要に応じたテトラヒドロウリジンは、シチジンアナログの前または後に投与される。さらに別の態様では、シチジンアナログおよび必要に応じたテトラヒドロウリジンは、同じ剤形中に包装される。さらに、この態様では、剤形は、例えば、層化錠剤、錠剤内錠剤、カプセル内錠剤またはカプセル内カプセルなどの経口剤形とすることができる。これらの態様のいずれかでは、剤形は、テトラヒドロウリジンの高速放出、およびシチジンアナログの遅延放出を可能にする。
【0208】
さらなる態様では、本方法は、ステップ(c)または対象への追加の化学治療剤を投与するステップをさらに含む。一態様では、追加の化学治療剤は、代謝拮抗物質、ヒドロキシ尿素、デシタビン、プロキネチシン2活性化因子、イリノテカン、ドキソルビシン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0209】
さらなる態様では、シチジンアナログおよび必要に応じたテトラヒドロウリジンは、第1の剤形に包装されて、追加の化学治療剤は、第2の剤形に包装される。一態様では、第1の剤形は、第2の剤形の前、その後またはこれと同時に投与され得る。他の態様では、シチジンアナログ、必要に応じたテトラヒドロウリジンおよび追加の化学治療剤は、同じ剤形に包装され、これらは、さらなる態様では、層化錠剤、錠剤内錠剤、カプセル内錠剤、カプセル内カプセルまたは別の剤形とすることができる。これらの態様のいずれかでは、必要に応じたテトラヒドロウリジンの高速放出、ならびにシチジンアナログおよび追加の化学治療剤の遅延放出を可能にするために、単一剤形を調製することができる。一態様では、追加の化学治療剤は、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジンまたは5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジンとテトラヒドロウリジンとの組み合わせとすることができる。
【0210】
これらの態様のいずれかでは、それを必要とする対象への本明細書において開示されている製剤の投与後に、対象の血液中の胎児ヘモグロビンレベルは、処置前の対象における胎児ヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも5、7.5、10、12.5、15、17.5または20%まで、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲まで向上する。別の態様では、本方法の実施前には、対象は、1g/dL未満の胎児ヘモグロビンレベルを有することができる一方、本方法の実施後には、対象は、1g/dL超の胎児ヘモグロビン+総ヘモグロビンレベルを有することができる。さらなる態様では、胎児ヘモグロビン+総ヘモグロビンレベルは、少なくとも6か月間、1g/dL超を維持する。
異常な細胞増殖に関連する疾患を処置するための方法
【0211】
一態様では、対象における、異常な細胞増殖に関連する疾患を処置するための方法であって、治療有効量の開示される医薬組成物、例えば、2’-デオキシシチジンアナログを含む開示される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書において開示されている。さらなる態様では、異常な細胞増殖に関連する疾患は、膀胱がん、乳がん、脳がん、内分泌がん、網膜芽細胞腫、子宮頚がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎細胞癌、腎盂癌、ウィルムス腫瘍、口腔のがん、肝臓がん、胆嚢がん、胆管癌、黒色腫、中皮腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、非小細胞肺がん、基底細胞皮膚がん、扁平上皮細胞皮膚がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、軟組織肉腫、骨肉腫、小細胞肺がん、甲状腺がんまたはそれらの組み合わせであり得る。なおさらなる態様では、本方法は、異常な細胞増殖を有する対象を特定するステップをさらに含む。なおさらなる態様では、対象は、異常な細胞増殖を有すると既に特定されている。
【0212】
さらなる態様では、本方法は、治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップを含み、約0.1~約150mg/mとすることができるか、または約10~約150mg/mとすることができるか、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。
【0213】
さらなる態様では、本方法は、対象に治療有効量のテトラヒドロウリジンアナログを必要に応じて投与するステップをさらに含む。一態様では、必要に応じて投与されるテトラヒドロウリジンの治療有効量は、約100~約600mg/mとすることができるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。一態様では、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップの前に、2’-デオキシシチジンアナログと同時に、または2’-デオキシシチジンアナログの後に、必要に応じて投与される。これらの態様のいずれかでは、必要に応じて投与されるテトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、対象に投与されない。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、テトラヒドロウリジンの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0214】
さらなる態様では、本明細書において開示されている方法は、以下に限定されないが、手術、放射線、化学療法またはそれらの組み合わせを含めた、追加の治療法と組み合わせて投与され得る。さらなる態様では、化学療法は、対象に細胞傷害性化合物を投与するステップを含むことができる。さらなる態様では、細胞傷害性化合物は、代謝拮抗物質、ヒドロキシ尿素、デシタビン、プロキネチシン2活性化因子、イリノテカン、ドキソルビシン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤またはそれらの組み合わせとすることができる。これらの態様のいずれかでは、追加治療法は、本明細書において開示されている方法の前、その間またはその後に投与され得る。
【0215】
一態様では、追加治療法は、PD1阻害剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、ヒドロキシ尿素、DNMT1阻害剤、ヘモグロビン酸素-親和性モジュレーター(例えば、商標名OXBRYTA(登録商標)で販売されているボキセロトール、商標名REBLOZYL(登録商標)で販売されているルスパテルセプトなど)、P-セレクチン結合剤(例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなど)、ピルビン酸キナーゼM2活性化因子(例えば、AG348またはFT-4202など)、PDE9阻害剤(例えば、IMR-687など)、HDAC阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子(例えば、オリンシグアトなど)、抗ヘプシジン治療法(例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなど)とすることができる。別の態様では、追加治療法は、例えば、デスフェラシロックス(商標名EXIADE(登録商標)で販売)またはデフェリプロン(商標名FERRIPROX(登録商標)で販売)などの鉄キレート剤とすることができる。さらに別の態様では、追加治療法は、以下に限定されないが、ZYNTEGLO(登録商標)、ARU-1801、EDIT-301、ST-400、CTX001、ET-01またはそれらの組み合わせを含めた、遺伝子治療製品とすることができる。
【0216】
疾患または障害の処置において使用するための製品
一態様では、疾患または障害の処置に使用するための製品であって、(a)第1の治療剤および必要に応じて第2の治療剤であって、第1の治療剤が、式Iの化合物、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせであり、必要に応じた第2の治療剤が、存在する場合、テトラヒドロウリジン、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである、第1の治療剤および必要に応じて第2の治療剤、または(b)開示される医薬組成物を含む、製品が本明細書において開示されている。さらなる態様では、製品は、2’-デオキシシチジンアナログを含む、治療有効量の開示される医薬組成物を含む。
【0217】
さらなる態様では、血液学的障害の処置に使用するための製品であって、(a)第1の治療剤および必要に応じて第2の治療剤であって、第1の治療剤が、式Iの化合物、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせであり、必要に応じた第2の治療剤が、存在する場合、テトラヒドロウリジン、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである、第1の治療剤および必要に応じて第2の治療剤、または(b)開示される医薬組成物を含む、製品が本明細書において開示されている。なおさらなる態様では、製品は、治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログおよび必要に応じて治療有効量のCDA阻害剤を含む、開示される医薬組成物を含む。なおさらなる態様では、製品は、治療有効量の少なくとも1つの開示される2’-デオキシシチジンアナログを含む。なおさらなる態様では、使用は、治療有効量の少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび必要に応じて治療有効量の少なくとも1種のCDA阻害剤を投与するステップを含む。様々な態様では、血液学的障害は、鎌状赤血球貧血またはサラセミアである。
【0218】
様々な態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、治療有効量の第1の治療剤の化合物、必要に応じた第2の治療剤および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含み、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせであり、第2の治療剤が、本明細書において開示される治療剤、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである。
【0219】
さらなる態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、約0.1~約150mg/mとなる治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログを含むか、または約10~約150mg/mとすることができるか、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。
【0220】
さらなる態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、約5mg/m~約135mg/mとなる治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログを含むか、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130もしくは約135mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、シチジンアナログの用量は、134mg/mである。
【0221】
さらなる態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、対象への、治療有効量のCDA阻害剤、例えば、テトラヒドロウリジンアナログを含む。なおさらなる態様では、テトラヒドロウリジンアナログの治療有効量は、疾患または障害を処置するための開示製品と共に必要に応じて含まれる場合、約100~約600mg/mとすることができるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、必要に応じて含まれるテトラヒドロウリジンアナログの治療有効量は、約50~約350mg/mとすることができるか、または約50、100、150、200、250、300もしくは約350mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。一態様では、本明細書において開示される製品は、145mg/mのシチジンアナログ、および必要に応じて350mg/mのテトラヒドロウリジンを含むことができる。
【0222】
さらなる態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、テトラヒドロウリジンが、2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップの前に、2’-デオキシシチジンアナログと同時に、または2’-デオキシシチジンアナログの後に、必要に応じて投与されるよう、製品を含む。これらの態様のいずれかでは、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、対象に投与されない。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、テトラヒドロウリジンの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0223】
一態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、酪酸(BA)とδ-アミノレブリン酸(ALA)とのプロドラッグコンジュゲートであるAN-233、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、ヒドロキシ尿素、ヘモグロビン酸素-親和性モジュレーター(例えば、商標名OXBRYTA(登録商標)で販売されているボキセロトール、商標名REBLOZYL(登録商標)で販売されているルスパテルセプトなど)、P-セレクチン結合剤(例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなど)、ピルビン酸キナーゼM2活性化因子(例えば、AG348またはFT-4202など)、PDE9阻害剤(例えば、IMR-687など)、HDAC阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子(例えば、オリンシグアトなど)、抗ヘプシジン治療法(例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなど)の追加の治療剤を含む。別の態様では、追加治療法は、例えば、デスフェラシロックス(商標名EXIADE(登録商標)で販売)またはデフェリプロン(商標名FERRIPROX(登録商標)で販売)などの鉄キレート剤とすることができる。さらに別の態様では、追加治療法は、以下に限定されないが、ZYNTEGLO(登録商標)、ARU-1801、EDIT-301、ST-400、CTX001、ET-01またはそれらの組み合わせを含めた、遺伝子治療製品とすることができる。
【0224】
別の態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、赤血球ピルビン酸キナーゼ-R(PKR)の活性化因子、すなわちPKR活性化因子化合物を含む。ピルビン酸キナーゼR(PKR)は、RBCにおいて発現されるピルビン酸キナーゼのアイソフォームであり、解糖における重要な酵素である。PKR活性化因子は、当業者に公知の好適なアッセイを使用して、1μM未満のAC50値を有する化合物とすることができる(例えば、米国特許公開第2022/0031671号における実施例2中の発光アッセイを参照されたい)。
【0225】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている通り、エタボピバット(FT-4202としても知られている):
【化17】
すなわち、化合物(S)-1-(5-((2,3-ジヒドロ-[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-イル)スルホニル)-3,4,5,6-テトラヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシ-2-フェニルプロパン-1-オン、またはその立体異性体、または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0226】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、米国特許公開第2022/0031671号の図1に開示されている化合物のうちの1つまたは複数から選択することができる。
【0227】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている、ミタピバト:
【化18】
すなわち、化合物N-[4-[4-(シクロプロピルメチル)ピペラジン-1-カルボニル]フェニル]キノリン-8-スルホンアミド、または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0228】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている、ルカパリブ(AG-014699、PF-01367338):
【化19】
または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0229】
さらなる態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、プロトンポンプ阻害剤、例えば、ファモチジンまたはオメプラゾールを含む。なおさらなる態様では、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、テナトプラゾール、レミノプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペリプラゾールまたはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグおよびそれらの組み合わせから本質的になる群から選択される。
【0230】
一態様では、疾患または障害を処置するための開示製品は、イミダゾール抗真菌剤、クロトリマゾール、メトロニダゾール、エコナゾール、アルギニン、Tram-34、ハリブドトキシン、ニフェジピン、2,2-ビス(4-フルオロフェニル)-N-メトキシ-2-フェニルアセトアミジン、2-(2-クロロフェニル)-2,2-ジフェニルアセトアルデヒドオキシム、2-(2-クロロフェニル)-2,2-ビス(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミジン、2,2,2-トリス(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミジン、2-(2-フルオロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシ-2-フェニルアセトアミジン、リン酸3-(2-オキサゾリル)-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド]フェニルモノエステル、N-[2-(4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N-[4-メトキシ-2-(2-オキサゾリル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4,5-ジメトキシ-2-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン-アミド、N-[2-(2-フリル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N-[4-メチル-2-(2-オキサゾリル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドおよびセニカポック、好ましくは、セニカポックまたはTram-34からなる群より選択されるガルドスチャネル遮断剤を含む。
【0231】
胎児ヘモグロビン発現を増加するための臨床的必要性に関連する障害の処置に使用するための製品
一態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置のための製品の使用が本明細書において開示されており、該製品が、治療有効量の開示される医薬組成物または開示される治療剤を対象に投与するステップを含む。さらなる態様では、製品は、少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび少なくとも1種のHbF誘発因子を含む、治療有効量の開示される医薬組成物を含む。なおさらなる態様では、製品は、少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログ、少なくとも1種のHbF誘発因子および必要に応じて少なくとも1種のCDA阻害剤を含む、治療有効量の開示される医薬組成物を含む。なおさらなる態様では、製品は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログおよび少なくとも1種のHbF誘発因子を含む。なおさらなる態様では、製品は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログ、治療有効量の少なくとも1種のHbF誘発因子および必要に応じて治療有効量の少なくとも1種のCDA阻害剤を含む。
【0232】
様々な態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、治療有効量の第1の治療剤の化合物、必要に応じた第2の治療剤および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含み、第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせであり、第2の治療剤が、本明細書において開示される治療剤、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである。
【0233】
さらなる態様では、対象、例えば、鎌状赤血球貧血、サラセミアまたは正常なヘモグロビンの量の低下に関連する他の血液障害を有する対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品。さらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加させる必要性は、異常ヘモグロビン症に関連する。なおさらなる態様では、対象は、異常ヘモグロビン症を有すると既に特定されている。なおさらなる態様では、異常ヘモグロビン症は、鎌状赤血球症またはサラセミアに関連する。
【0234】
さらなる態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、約0.1~約150mg/mの少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含むか、または約10~約150mg/mとすることができるか、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、
【0235】
さらなる態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、約5mg/m~約135mg/mの少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを含むか、または約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130もしくは約135mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、シチジンアナログの用量は、134mg/mである。さらなる態様では、胎児ヘモグロビン発現を増加するための使用は、治療有効量の少なくとも1種のDNMT1阻害剤、例えば、0.1~約150mg/mの少なくとも1つの2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップを含むか、または約10~約150mg/mとすることができるか、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。
【0236】
さらなる態様では、HbF誘発因子は、本明細書に記載されている1種または複数のエピジェネティック改変剤を含み、治療有効量または治療相乗量で投与され得る。本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、1種または複数のDNMT1阻害剤と1種または複数のHbF誘発因子(これは、エピジェネティック改変剤を含むことができる)との同時投与、または本明細書に記載されている単一の治療組成物または製剤(薬物の両方のクラスを含む)の投与が、HbFの増加もしくは上方調節をもたらすよう、または本明細書において開示されている血液障害の阻害をもたらすよう、またはこれらの両方をもたらすような量のことである。一方で、本明細書で使用される場合、「治療相乗量」とは、本明細書において開示されている血液障害に関連する状態もしくは症状を有意に減少させるまたはなくすため、および/あるいはHbFレベルを向上するまたは上方調節するために必要な、1種または複数のDNMT1阻害剤および1種または複数のHbF化学誘発因子の量のことである。
【0237】
さらなる態様では、少なくとも1種のHbF化学誘発因子は、例えば、少なくとも1種のDNAメチル化阻害剤、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、少なくとも1種のDNAメチル化阻害剤、少なくとも1種のPK2阻害剤またはそれらの組み合わせなどの、造血前駆細胞におけるHbFレベルを向上することができる、エピジェネティック改変剤とすることができる。さらなる態様では、DNAメチル化阻害剤は、5-アザ-2’-デオキシシチジンとすることができる。別の態様では、HDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA、ボリノスタットとしても上市されている)、トリコスタチンAのアミドアナログ、トラポキシンのヒドロキサム酸アナログおよびスクリプタイド(6-(1,3-ジオキソ-1H,3H-ベンゾ[de]イソキノリン-2-イル)-ヘキサン酸ヒドロキシアミド)およびアナログから選択することができる。
【0238】
さらなる態様では、第1の製品は、DNMT1阻害剤を含むことができ、第2の製品は、HbF化学誘発因子を含むことができ、第1および第2の医薬組成物は、共投与され得る。同時投与は、逐次または同時とすることができる。
【0239】
さらなる態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、治療有効量のCDA阻害剤、例えば、テトラヒドロウリジンアナログを含む製品を必要に応じて含む。なおさらなる態様では、必要に応じたテトラヒドロウリジンアナログの治療有効量は、約100~約600mg/mとすることができるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。なおさらなる態様では、必要に応じたテトラヒドロウリジンアナログの治療有効量は、約50~約350mg/mとすることができるか、または約50、100、150、200、250、300もしくは約350mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。一態様では、本明細書において開示されているコンビナトリアル組成物は、145mg/mのシチジンアナログ、および必要に応じて350mg/mのテトラヒドロウリジンを含むことができる。
【0240】
さらなる態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、治療有効量のテトラヒドロウリジンアナログを必要に応じて含む。一態様では、必要に応じて投与されるテトラヒドロウリジンの治療有効量は、約100~約600mg/mとすることができるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。これらの態様のいずれかでは、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、対象に投与されない。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、テトラヒドロウリジンの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0241】
さらなる態様では、製品は、2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップの前に、2’-デオキシシチジンアナログと同時に、または2’-デオキシシチジンアナログの後に、テトラヒドロウリジンが必要に応じて投与されるよう、製剤化される。これらの態様のいずれかでは、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。なおさらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、対象に投与されない。なおさらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、テトラヒドロウリジンの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0242】
一態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、酪酸(BA)とδ-アミノレブリン酸(ALA)とのプロドラッグコンジュゲートであるAN-233、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、ヒドロキシ尿素、ヘモグロビン酸素-親和性モジュレーター(例えば、商標名OXBRYTA(登録商標)で販売されているボキセロトール、商標名REBLOZYL(登録商標)で販売されているルスパテルセプトなど)、P-セレクチン結合剤(例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなど)、ピルビン酸キナーゼM2活性化因子(例えば、AG348またはFT-4202など)、PDE9阻害剤(例えば、IMR-687など)、HDAC阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子(例えば、オリンシグアトなど)、抗ヘプシジン治療法(例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなど)の追加の治療剤を含む製品を含むことができる。別の態様では、追加治療法は、例えば、デスフェラシロックス(商標名EXIADE(登録商標)で販売)またはデフェリプロン(商標名FERRIPROX(登録商標)で販売)などの鉄キレート剤とすることができる。さらに別の態様では、追加治療法は、以下に限定されないが、ZYNTEGLO(登録商標)、ARU-1801、EDIT-301、ST-400、CTX001、ET-01またはそれらの組み合わせを含めた、遺伝子治療製品とすることができる。
【0243】
別の態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、赤血球ピルビン酸キナーゼ-R(PKR)の活性化因子、すなわちPKR活性化因子化合物を投与するために製剤化された製品を含む。ピルビン酸キナーゼR(PKR)は、RBCにおいて発現されるピルビン酸キナーゼのアイソフォームであり、解糖における重要な酵素である。PKR活性化因子は、当業者に公知の好適なアッセイを使用して、1μM未満のAC50値を有する化合物とすることができる(例えば、米国特許公開第2022/0031671号における実施例2中の発光アッセイを参照されたい)。
【0244】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている通り、エタボピバット(FT-4202としても知られている):
【化20】
すなわち、化合物(S)-1-(5-((2,3-ジヒドロ-[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-イル)スルホニル)-3,4,5,6-テトラヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシ-2-フェニルプロパン-1-オン、またはその立体異性体、または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0245】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、米国特許公開第2022/0031671号の図1に開示されている化合物のうちの1つまたは複数から選択することができる。
【0246】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている、ミタピバト:
【化21】
すなわち、化合物N-[4-[4-(シクロプロピルメチル)ピペラジン-1-カルボニル]フェニル]キノリン-8-スルホンアミド、または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0247】
さらなる態様では、好適なPKR活性化因子は、以下に示されている、ルカパリブ(AG-014699、PF-01367338):
【化22】
または薬学的に許容されるその塩および/または他の固体形態である。
【0248】
さらなる態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、プロトンポンプ阻害剤、例えば、ファモチジンまたはオメプラゾールを投与するために製剤化された製品を含む。なおさらなる態様では、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、テナトプラゾール、レミノプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペリプラゾールまたはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変異性体、多形、プロドラッグおよびそれらの組み合わせから本質的になる群から選択される。
【0249】
一態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、イミダゾール抗真菌剤、クロトリマゾール、メトロニダゾール、エコナゾール、アルギニン、Tram-34、ハリブドトキシン、ニフェジピン、2,2-ビス(4-フルオロフェニル)-N-メトキシ-2-フェニルアセトアミジン、2-(2-クロロフェニル)-2,2-ジフェニルアセトアルデヒドオキシム、2-(2-クロロフェニル)-2,2-ビス(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミジン、2,2,2-トリス(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミジン、2-(2-フルオロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシ-2-フェニルアセトアミジン、リン酸3-(2-オキサゾリル)-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド]フェニルモノエステル、N-[2-(4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N-[4-メトキシ-2-(2-オキサゾリル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4,5-ジメトキシ-2-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン-アミド、N-[2-(2-フリル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N-[4-メチル-2-(2-オキサゾリル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミドおよびセニカポック、好ましくは、セニカポックまたはTram-34からなる群より選択されるガルドスチャネル遮断剤を投与するために製剤化された製品を含むことができる。
【0250】
様々な態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための製品であって、対象に、(a)治療有効量の本明細書において開示される2’-デオキシシチジンアナログ、および必要に応じて、(b)治療有効量のテトラヒドロウリジンを投与するために製剤化された製品もまた本明細書において開示されている。
【0251】
さらなる態様では、シチジンアナログおよび必要に応じたテトラヒドロウリジンは、2つの別個の剤形に包装されて、同時に投与することができる。別の態様では、必要に応じたテトラヒドロウリジンは、シチジンアナログの前または後に投与される。さらに別の態様では、シチジンアナログおよび必要に応じたテトラヒドロウリジンは、同じ剤形中に包装される。さらに、この態様では、剤形は、例えば、層化錠剤、錠剤内錠剤、カプセル内錠剤またはカプセル内カプセルなどの経口剤形とすることができる。これらの態様のいずれかでは、剤形は、テトラヒドロウリジンの高速放出、およびシチジンアナログの遅延放出を可能にする。
【0252】
さらなる態様では、対象における、胎児ヘモグロビン発現を増加させる臨床的必要性に関連する疾患または障害の処置に使用するための開示製品は、ステップ(c)または対象への追加の化学治療剤を投与するステップをさらに含むよう製剤化され得る。一態様では、追加の化学治療剤は、代謝拮抗物質、ヒドロキシ尿素、デシタビン、プロキネチシン2活性化因子、イリノテカン、ドキソルビシン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0253】
さらなる態様では、シチジンアナログおよび必要に応じたテトラヒドロウリジンは、第1の剤形に包装されて、追加の化学治療剤は、第2の剤形に包装される。一態様では、第1の剤形は、第2の剤形の前、その後またはこれと同時に投与され得る。他の態様では、シチジンアナログ、必要に応じたテトラヒドロウリジンおよび追加の化学治療剤は、同じ剤形に包装され、これらは、さらなる態様では、層化錠剤、錠剤内錠剤、カプセル内錠剤、カプセル内カプセルまたは別の剤形とすることができる。これらの態様のいずれかでは、必要に応じたテトラヒドロウリジンの高速放出、ならびにシチジンアナログおよび追加の化学治療剤の遅延放出を可能にするために、単一剤形を調製することができる。一態様では、追加の化学治療剤は、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジンまたは5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジンとテトラヒドロウリジンとの組み合わせとすることができる。
【0254】
これらの態様のいずれかでは、それを必要とする対象への本明細書において開示されている製剤の投与後に、対象の血液中の胎児ヘモグロビンレベルは、処置前の対象における胎児ヘモグロビンレベルと比較して、少なくとも5、7.5、10、12.5、15、17.5または20%まで、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲まで増加する。別の態様では、本使用の実施前には、対象は、1g/dL未満の胎児ヘモグロビンレベルを有することができる一方、本使用の実施後には、対象は、1g/dL超の胎児ヘモグロビン+総ヘモグロビンレベルを有することができる。さらなる態様では、胎児ヘモグロビン+総ヘモグロビンレベルは、少なくとも6か月間、1g/dL超を維持する。
【0255】
異常な細胞増殖に関連する疾患の処置において使用するための製品
一態様では、対象における、異常な細胞増殖に関連する疾患の処置に使用するための製品が本明細書において開示されており、該使用は、治療有効量の開示される医薬組成物、例えば、2’-デオキシシチジンアナログを含む開示される医薬組成物を対象に投与するステップを含む。さらなる態様では、異常な細胞増殖に関連する疾患は、膀胱がん、乳がん、脳がん、内分泌がん、網膜芽細胞腫、子宮頚がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎細胞癌、腎盂癌、ウィルムス腫瘍、口腔のがん、肝臓がん、胆嚢がん、胆管癌、黒色腫、中皮腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、非小細胞肺がん、基底細胞皮膚がん、扁平上皮細胞皮膚がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、軟組織肉腫、骨肉腫、小細胞肺がん、甲状腺がんまたはそれらの組み合わせであり得る。なおさらなる態様では、本使用は、異常な細胞増殖を有する対象を特定するステップをさらに含む。なおさらなる態様では、対象は、異常な細胞増殖を有すると既に特定されている。
【0256】
さらなる態様では、対象における、異常な細胞増殖に関連する疾患の処置に使用するための製品は、治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログを含み、約0.1~約150mg/mとすることができるか、または約10~約150mg/mとすることができるか、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。
【0257】
さらなる態様では、対象における、異常な細胞増殖に関連する疾患の処置に使用するための製品は、対象に治療有効量のテトラヒドロウリジンアナログを投与するために製剤化された製品を必要に応じて含む。一態様では、必要に応じて投与されるテトラヒドロウリジンの治療有効量は、約100~約600mg/mとすることができるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲とすることができる。一態様では、テトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログを投与するステップの前に、2’-デオキシシチジンアナログと同時に、または2’-デオキシシチジンアナログの後に、必要に応じて投与される。これらの態様のいずれかでは、必要に応じて投与されるテトラヒドロウリジンは、2’-デオキシシチジンアナログの前の約1~約180分間もしくは約15~約60分間、または2’-デオキシシチジンアナログの前の約15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165もしくは約180分間、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲の間、生体利用可能である。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、対象に投与されない。さらなる態様では、テトラヒドロウリジンは、酸に安定ではなく、対象に投与された場合に、その活性を維持するため、本明細書において開示されている製剤では、腸溶コーティング中に封入されている。さらなる態様では、腸溶コーティングは、テトラヒドロウリジンの延長放出が、例えば、マイクロカプセル封入、単一層または異なる層のマトリックスなどへの埋め込みなどの手段によって可能となるように製剤化され得る。
【0258】
さらなる態様では、対象における、異常な細胞増殖に関連する疾患の処置に使用するための製品は、以下に限定されないが、手術、放射線、化学療法またはそれらの組み合わせを含めた、追加治療法を投与するために製剤化された製品を含むことができる。さらなる態様では、化学療法は、対象に細胞傷害性化合物を投与するステップを含むことができる。さらなる態様では、細胞傷害性化合物は、代謝拮抗物質、ヒドロキシ尿素、デシタビン、プロキネチシン2活性化因子、イリノテカン、ドキソルビシン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤またはそれらの組み合わせとすることができる。これらの態様のいずれかでは、追加治療法は、本明細書において開示されている使用の前、その間またはその後に投与され得る。
【0259】
一態様では、追加治療法は、PD1阻害剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、ヒドロキシ尿素、DNMT1阻害剤、ヘモグロビン酸素-親和性モジュレーター(例えば、商標名OXBRYTA(登録商標)で販売されているボキセロトール、商標名REBLOZYL(登録商標)で販売されているルスパテルセプトなど)、P-セレクチン結合剤(例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなど)、ピルビン酸キナーゼM2活性化因子(例えば、AG348またはFT-4202など)、PDE9阻害剤(例えば、IMR-687など)、HDAC阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子(例えば、オリンシグアトなど)、抗ヘプシジン治療法(例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなど)とすることができる。別の態様では、追加治療法は、例えば、デスフェラシロックス(商標名EXIADE(登録商標)で販売)またはデフェリプロン(商標名FERRIPROX(登録商標)で販売)などの鉄キレート剤とすることができる。さらに別の態様では、追加治療法は、以下に限定されないが、ZYNTEGLO(登録商標)、ARU-1801、EDIT-301、ST-400、CTX001、ET-01またはそれらの組み合わせを含めた、遺伝子治療製品とすることができる。
【0260】
キット
さらなる態様では、本開示は、少なくとも1つの開示化合物、または薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物もしくは多形、および(a)DNMT1活性を低下させることが知られている少なくとも1種の薬剤;(b)DNMT1活性に関連する障害を処置することが知られている少なくとも1種の薬剤;(c)DNMT1活性に関連する障害を処置するための指示;もしくは(d)別の鎌状赤血球症、サラセミアまたは抗がん治療法と関連する化合物を投与するための指示のうちの1つまたは複数を含むキットに関する。
【0261】
開示化合物および/または開示化合物を含む医薬組成物は、キットとして都合よく提示され得、これによって、活性成分または不活性成分、担体、希釈剤などであってもよい2種またはこれより多い構成成分が、患者または患者に薬物を投与する人によって実際の剤形を調製するための指示と共に供給される。このようなキットは、その中にすべての必要な物質および成分を含有して提示されてもよく、あるいはそれらは、患者、または患者に薬物を投与する人によって独立して入手される必要がある物質もしくは構成成分を使用または作製するための指示を含んでもよい。さらなる態様では、キットは、粉末形態を再構成するためのバイアル、注射用のシリンジ、カスタマイズ化されたIV送達系、吸入器などの、患者への単位用量の投与の手助けとなる必要に応じた構成要素を含むことができる。さらに、キットは、組成物の調製および投与のための指示を含むことができる。本キットは、1名の患者用に単回使用の単位用量として、特定の患者向けの多回使用として製造することができる(一定の用量で、または個々の化合物の効力を治療の進行に応じて変えてもよい)か、または本キットは、複数の患者への投与に好適な多回用量を含有してもよい(「バルク包装」)。キットの構成要素は、カートン、ブリスターパック、ボトル、チューブなどに組み立てられ得る。
【0262】
さらなる態様では、本開示キットは、1日投与レジメンで包装され得る(例えば、カードへの包装、投与カードでの包装、ブリスターまたはブロー成形したプラスチックへの包装)。このような包装は、製品の販売を促進し、薬物レジメンの患者の服薬遵守を高める。このような包装はまた、患者の混乱を低減することができる。本発明はまた、指示をさらに含むこのようなキットを特徴付けることができる。
【0263】
さらなる態様では、本開示はまた、本発明の医薬組成物の成分の1種または複数を充填した1つまたは複数の容器を含む医薬品パックまたはキットを提供する。このような容器には、医薬品もしくは生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定される形態の注意書きと関連付けることができ、この注意書きは、政府機関によるヒト投与の場合の製造、使用または販売の承認を反映する。
【0264】
様々な態様では、本開示キットはまた、他の構成要素と共包装(co-package)される、共製剤化(co-formulate)される、および/もしくは同時に送達される化合物ならびに/または製品を含むことができる。例えば、薬物の製造業者、薬物の再販売者(drug reseller)、医師、配合店(compounding shop)または薬剤師は、患者に送達するための開示化合物および/または製品および別の構成要素を含むキットを提供することができる。
【0265】
本開示キットは、開示される作製方法、開示される使用方法もしくは処置方法、および/または開示される組成物と関連付けて使用され得ることが企図されている。
【0266】
一態様では、対象における、血液学的障害または異常な細胞増殖に関連する疾患を処置するためのキットであって、治療有効量の2’-デオキシシチジンアナログおよび治療有効量のテトラヒドロウリジンを含むキットが、本明細書において開示されている。さらなる態様では、2’-デオキシシチジンアナログの治療有効量は、約0.1~約150mg/mであるか、または約10~150mg/m、または約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145もしくは約150mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲である。別の態様では、テトラヒドロウリジンの治療有効量は、約100~約600mg/mであるか、または約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550もしくは約600mg/m、または上述の値のいずれかの組み合わせ、または上述の値のいずれかを包含する範囲である。
【0267】
一態様では、2’-デオキシシチジンアナログおよび必要に応じたテトラヒドロウリジンは、2つの別個の剤形(例えば、丸剤、錠剤、再懸濁および注射のための凍結乾燥散剤など)に包装されている。さらなる態様では、2つの別個の剤形は、同じとすることができるか、または異なることができる(例えば、1つの錠剤と再懸濁および注射のための1つの凍結乾燥散剤)。さらに、この態様では、2’-デオキシシチジンアナログは、テトラヒドロウリジンの前、これと同時に、またはこの後に投与され得る。別の態様では、2’-デオキシシチジンアナログおよびテトラヒドロウリジンは、同じ剤形中に包装されている。さらなる態様では、どちらの成分も同じ剤形に包装されている場合、その剤形は、層化錠剤、錠剤中錠剤形態、カプセル中錠剤形態、カプセル中カプセル形態またはそれらのある組み合わせから選択される。さらなる態様では、単一剤形は、テトラヒドロウリジンの高速放出、およびシチジンアナログの遅延放出を可能にする。
【0268】
さらなる態様では、本明細書において開示されているキットは、例えば、代謝拮抗物質、ヒドロキシ尿素、デシタビン、プロキネチシン2活性化因子、イリノテカン、ドキソルビシン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤またはそれらの組み合わせなどの追加の化学治療剤をさらに含む。
【0269】
一態様では、腫瘍、不応性腫瘍、血液悪性疾患、血液障害またはそれらの組み合わせを処置するためのキットが、本明細書において開示されている。さらなる態様では、キットは、例えば、5-フルオロ-2’-デオキシシチジンなどのシチジンアナログおよび必要に応じてテトラヒドロウリジンまたはテトラヒドロウリジンアナログおよび担体を含む、例えば、丸剤、錠剤、カプセル剤または他の経口剤形などの、第1の剤形を含むことができる。別の態様では、本キットは、5-アザシチジン、必要に応じてテトラヒドロウリジンまたはテトラヒドロウリジンアナログおよび担体を含む、例えば、丸剤、錠剤、カプセル剤または他の経口剤形などの、第2の剤形をさらに含む。さらに別の態様では、本キットはまた、指示を含むことができる。これらの態様のいずれかでは、本キットは、本明細書において開示されているマイクロスフィアまたはマイクロ粒子を含む、経口剤形を含むことができる。一態様では、第2の剤形は、第1の剤形と同時に、または第1の剤形の投与の前またはその後に投与される。さらなる態様では、シチジンアナログ、必要に応じたテトラヒドロウリジンおよび追加の化学治療剤は、同じ剤形にすべて包装され、この剤形は、層化錠剤、錠剤中錠剤形態、カプセル中錠剤形態またはカプセル中カプセル形態から選択され得る。さらにこの態様では、剤形は、テトラヒドロウリジンの高速放出、および他の化合物の遅延放出を可能にすることができる。さらなる態様では、追加の化学治療剤は、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジンまたは5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジンと必要に応じてテトラヒドロウリジンとの組み合わせとすることができる。
【0270】
上記の態様のいずれかにおいて、本キットは、キットの使用についての指示をさらに含む。
【0271】
研究ツール
開示化合物および医薬組成物は、DNMT1の阻害剤として活性を有する。したがって、開示化合物はまた、研究ツールとして有用である。したがって、本開示の一態様は、研究ツールとして、本発明の化合物を使用する方法であって、本発明の化合物を使用する、生物学的アッセイを行うステップを含む、方法に関する。本発明の化合物は、新規な化学化合物を評価するために使用することもできる。したがって、本発明の別の態様は、生物学的アッセイにおいて試験化合物を評価する方法であって、(a)試験化合物を用いて生物学的アッセイを行い、第1のアッセイ値を得るステップ、(b)本発明の化合物を用いて生物学的アッセイを行い、第2のアッセイ値を得るステップであって、ステップ(a)が、ステップ(b)の前、その後または同時に行われる、ステップ、および(c)ステップ(a)からの第1のアッセイ値とステップ(b)からの第2のアッセイ値とを比較するステップを含む、方法に関する。さらに、本発明の別の態様は、生物系、例えば臨床状態についてのモデル動物、またはDNMT1タンパク質を含む生体試料を研究する方法であって、(a)生物系または試料に本発明の化合物を接触させるステップ、および(b)生物系または試料に対して本化合物によって引き起こされる作用を決定するステップを含む、方法に関する。
【0272】
態様
例示的な態様の以下のリストは、本明細書において提供される本開示を裏付け、これによって裏付けられる。
【0273】
態様1.治療有効量の第1の治療剤の化合物、必要に応じた第2の治療剤および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、第1の治療剤が式Iの化合物であり、存在する場合、必要に応じた第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせである、医薬組成物。
【0274】
態様2.第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様1の医薬組成物。
【0275】
態様3.第1の治療剤が、以下の構造:
【化23】
を有する、態様1または態様2の医薬組成物。
【0276】
態様4.第1の治療剤が、以下の構造:
【化24】
を有する、態様1または態様2の医薬組成物。
【0277】
態様5.第2の治療剤が、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ヘモグロビン酸素-親和性;P-セレクチン結合剤;ピルビン酸キナーゼM2活性化因子;PDE9阻害剤;可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;抗ヘプシジン治療法;鉄キレート剤;テトラヒドロウリジン誘導体;2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様1~態様4のいずれかの医薬組成物。
【0278】
態様6.第2の治療剤が、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ボキセロトール(GBT440)などのヘモグロビン酸素-親和性;AN-233;例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなどのP-セレクチン結合剤、例えば、AG348またはFT-4202などのピルビン酸キナーゼM2活性化因子;例えば、IMR-687などのPDE9阻害剤;例えば、オリンシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなどの抗ヘプシジン治療法など;例えば、デスフェラシロックスまたはデフェリプロンなどの鉄キレート剤;テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体およびそれらの組み合わせから選択される、態様5の医薬組成物。
【0279】
態様7.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体およびそれらの組み合わせから選択される、態様5の医薬組成物。
【0280】
態様8.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン;2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせから選択される、態様7の医薬組成物。
【0281】
態様9.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体である、態様7の医薬組成物。
【0282】
態様10.第2の治療剤が、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体である、態様7の医薬組成物。
【0283】
態様11.第2の治療剤が、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体であり、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体が、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンから選択される、態様7の医薬組成物。
【0284】
態様12.第2の治療剤の治療有効量が、約100~約600mg/mを含む、態様1~態様11のいずれか1つの医薬組成物。
【0285】
態様13.第2の治療剤が、第1の治療剤の前の約1~約60分間、生体利用可能である、態様1~態様12のいずれか1つの医薬組成物。
【0286】
態様14.第1の治療剤が、単一剤形で約1mg~約50mgの量で存在する、態様1~態様13のいずれかの医薬組成物。
【0287】
態様15.経口投与される、態様1~態様14のいずれかの医薬組成物。
【0288】
態様16.経口投与向けの医薬組成物が、層化錠剤、錠剤中錠剤形態、カプセル中錠剤形態またはカプセル中カプセル形態、顆粒剤、サシェもしくはバッグ中の散剤、カプセル剤、錠剤、丸剤または他の経口固形剤形を含む剤形を有する、態様15の医薬組成物。
【0289】
態様17.第1の治療剤および第2の治療剤が、固定用量の組み合わせとして製剤化されている、態様1~16のいずれかの医薬組成物。
【0290】
態様18.第1の治療剤が、第1の医薬組成物として製剤化され、第2の治療剤が、第2の医薬組成物として製剤化されている、態様1~16のいずれかの医薬組成物。
【0291】
態様19.(A)第1の治療剤および必要に応じて第2の治療剤を投与するステップであって、第1の医薬剤が式Iの化合物、または薬学的に許容されるその塩である、ステップ、および/または(B)態様1~18のいずれか1つの医薬組成物を投与するステップのどちらかを含む、対象における、血液学的障害を処置するための方法。
【0292】
態様20.血液学的障害が、鎌状赤血球症、サラセミア、貧血、血液がんおよびそれらの組み合わせから選択される、態様19の方法。
【0293】
態様21.以下に限定されないが、ZYNTEGLO(登録商標)、ARU-1801、EDIT-301、ST-400、CTX001、ET-01またはそれらの組み合わせを含めた、遺伝子治療製品を投与するステップをさらに含む、態様19または態様20の方法。
【0294】
態様22.第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様19~21のいずれか1つの方法。
【0295】
態様223.第1の治療剤が、以下の構造:
【化25】
を有する、態様19~態様22のいずれか1つの方法。
【0296】
態様24.第1の治療剤が、以下の構造:
【化26】
を有する、態様19~態様22のいずれか1つの方法。
【0297】
態様25.第2の治療剤が、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ヘモグロビン酸素-親和性;P-セレクチン結合剤;ピルビン酸キナーゼM2活性化因子;PDE9阻害剤;可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;抗ヘプシジン治療法;鉄キレート剤;テトラヒドロウリジン誘導体;2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様19~態様24のいずれか1つの方法。
【0298】
態様26.第2の治療剤が、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ボキセロトール(GBT440)などのヘモグロビン酸素-親和性;AN-233;例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなどのP-セレクチン結合剤、例えば、AG348またはFT-4202などのピルビン酸キナーゼM2活性化因子;例えば、IMR-687などのPDE9阻害剤;例えば、オリンシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなどの抗ヘプシジン治療法など;例えば、デスフェラシロックスまたはデフェリプロンなどの鉄キレート剤;テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様25の方法。
【0299】
態様27.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様25の方法。
【0300】
態様28.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン;2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様27の方法。
【0301】
態様29.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体である、態様27の方法。
【0302】
態様30.第2の治療剤が、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体である、態様27の方法。
【0303】
態様31.第2の治療剤が、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体であり、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体が、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンから選択される、態様27の方法。
【0304】
態様32.第1の治療剤および第2の治療剤が、対象に、態様1~態様18のいずれか1つの医薬組成物として投与される、態様19~態様31のいずれか1つの方法。
【0305】
態様33.第1の治療剤および第2の治療剤が、逐次にまたは同時に投与される、態様19~態様31のいずれか1つの方法。
【0306】
態様34.対象がヒトである、態様19~態様33のいずれかの方法。
【0307】
態様35.第1の治療剤が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様19~態様34のいずれかの方法。
【0308】
態様36.少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドンまたはステアリン酸マグネシウムを含む、態様35の方法。
【0309】
態様37.第2の治療剤が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様19~態様36のいずれかの方法。
【0310】
態様38.少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドンまたはステアリン酸マグネシウムを含む、態様37の方法。
【0311】
態様39.第2の医薬剤が、腸溶コーティングされた、胃酸に安定な製剤として投与される、態様19~態様38のいずれかの方法。
【0312】
態様40.第1の治療剤が、単一剤形で約1mg~約50mgの量で投与される、態様19~態様39のいずれかの方法。
【0313】
態様41.第1の治療剤が経口投与される、態様19~態様40のいずれかの方法。
【0314】
態様42.第1の治療剤が、層化錠剤、錠剤中錠剤形態、カプセル中錠剤形態またはカプセル中カプセル形態、顆粒剤、サシェもしくはバッグ中の散剤、カプセル剤、錠剤、丸剤または他の経口固形剤形を含む剤形として経口投与される、態様41の方法。
【0315】
態様43.第2の治療剤が、単一剤形で約100~約600mg/mの量で投与される、態様19~態様42のいずれかの方法。
【0316】
態様44.第2の治療剤が、第1の治療剤の前の約1~約60分間、生体利用可能である、態様19~態様43のいずれかの方法。
【0317】
態様45.対象における、血液学的障害を処置する、胎児ヘモグロビンを増加させる、または異常な細胞増殖に関連する疾患を処置するためのキットであって、(a)治療有効量の第1の治療剤であって、式Iの化合物、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである、第1の治療剤、(b)必要に応じて、治療有効量の第2の治療剤、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせ、(c)態様1~態様18のいずれか1つの医薬組成物、および/または(d)対象における、血液学的障害、胎児ヘモグロビンが増加する障害、および/または異常な細胞増殖に関連する疾患、例えば、がんを処置するための指示を含む、キット。
【0318】
態様46.第1の治療剤および第2の治療剤が、2つの別個の剤形または同じ剤形に包装されている、態様45のキット。
【0319】
態様47.第1の治療剤および第2の治療剤が、同じ剤形に包装されている、態様45または態様46のキット。
【0320】
態様48.剤形が、第2の治療剤の高速放出および第1の治療剤の遅延放出を可能にする、態様45~47のいずれか1つのキット。
【0321】
態様49.第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様45~48のいずれか1つのキット。
【0322】
態様50.第1の治療剤が、以下の構造:
【化27】
を有する、態様45~態様49のいずれか1つのキット。
【0323】
態様51.第1の治療剤が、以下の構造:
【化28】
を有する、態様45~態様50のいずれか1つのキット。
【0324】
態様52.第2の治療剤が、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ヘモグロビン酸素-親和性;P-セレクチン結合剤;ピルビン酸キナーゼM2活性化因子;PDE9阻害剤;可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;抗ヘプシジン治療法;鉄キレート剤;テトラヒドロウリジン誘導体;2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様45~態様51のいずれか1つのキット。
【0325】
態様53.第2の治療剤が、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ボキセロトール(GBT440)などのヘモグロビン酸素-親和性;AN-233;例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなどのP-セレクチン結合剤、例えば、AG348またはFT-4202などのピルビン酸キナーゼM2活性化因子;例えば、IMR-687などのPDE9阻害剤;例えば、オリンシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなどの抗ヘプシジン治療法など;例えば、デスフェラシロックスまたはデフェリプロンなどの鉄キレート剤;およびそれらの組み合わせから選択される、態様52のキット。
【0326】
態様54.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体およびそれらの組み合わせから選択される、態様52のキット。
【0327】
態様55.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン;2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン、薬学的に許容されるそれらの塩またはそれらの組み合わせから選択される、態様54のキット。
【0328】
態様56.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体である、態様54のキット。
【0329】
態様57.第2の治療剤が、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体である、態様54のキット。
【0330】
態様58.第2の治療剤が、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体であり、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体が、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンから選択される、態様54のキット。
【0331】
態様59.血液学的障害が、鎌状赤血球症またはサラセミアまたは貧血または血液がんを含む、態様45~態様58のいずれか1つのキット。
【0332】
態様60.第1の治療剤および第2の治療剤が、態様1~態様18のいずれか1つの医薬組成物としてキット中に存在する、態様45~態様59のいずれか1つのキット。
【0333】
態様61.第1の治療剤および第2の治療剤が、逐次にまたは同時に投与される、態様45~態様60のいずれか1つのキット。
【0334】
態様62.対象がヒトである、態様45~態様61のいずれかのキット。
【0335】
態様63.第1の治療剤が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様45~態様62のいずれかのキット。
【0336】
態様64.少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドンまたはステアリン酸マグネシウムを含む、態様63のキット。
【0337】
態様65.第2の治療剤が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様45~態様64のいずれかのキット。
【0338】
態様66.少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドンまたはステアリン酸マグネシウムを含む、態様65のキット。
【0339】
態様67.第2の医薬剤が、腸溶コーティングされた、胃酸に安定な製剤として投与される、態様45~態様66のいずれかのキット。
【0340】
態様68.第1の治療剤が、単一剤形で約1mg~約50mgの量で投与される、態様45~態様67のいずれかのキット。
【0341】
態様69.第1の治療剤が経口投与される、態様45~態様68のいずれかのキット。
【0342】
態様70.第1の治療剤が、層化錠剤、錠剤中錠剤形態、カプセル中錠剤形態またはカプセル中カプセル形態、顆粒剤、サシェもしくはバッグ中の散剤、カプセル剤、錠剤、丸剤または他の経口固形剤形を含む剤形として経口投与される、態様69のキット。
【0343】
態様71.第2の治療剤が、単一剤形で約100~約600mg/mの量で投与される、態様45~態様70のいずれかのキット。
【0344】
態様72.第2の治療剤が、第1の治療剤の前の約1~約60分間、生体利用可能である、態様45~態様71のいずれかのキット。
【0345】
態様73.第2の治療剤が経口投与される、態様45~態様72のいずれかのキット。
【0346】
態様74.経口投与のための使用が、層化錠剤、錠剤中錠剤形態、カプセル中錠剤形態またはカプセル中カプセル形態、顆粒剤、サシェもしくはバッグ中の散剤、カプセル剤、錠剤、丸剤または他の経口固形剤形を含む剤形を有する、態様73のキット。
【0347】
態様75.第1の治療剤および第2の治療剤が、固定用量の組み合わせとして製剤化されている、態様45~74のいずれかのキット。
【0348】
態様76.第1の治療剤が、第1の使用として製剤化されており、第2の治療剤が、第2の使用として製剤化されている、態様45~75のいずれかのキット。
【0349】
態様77.血液学的障害、胎児ヘモグロビンの発現の増加を必要とする障害、および/または異常な細胞増殖に関連する疾患、例えばがんの処置に使用するための製品であって、(a)式Iの化合物、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである第1の治療剤、および存在する場合、テトラヒドロウリジン、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体、薬学的に許容されるその塩またはそれらの組み合わせである必要に応じた第2の治療剤、または(b)態様1~18のいずれか1つの医薬組成物を含む、製品。
【0350】
態様78.血液学的障害が、鎌状赤血球症、サラセミア、貧血、血液がんおよびそれらの組み合わせから選択される、態様77の製品。
【0351】
態様79.以下に限定されないが、ZYNTEGLO(登録商標)、ARU-1801、EDIT-301、ST-400、CTX001、ET-01またはそれらの組み合わせを含めた、遺伝子治療製品を投与するステップをさらに含む、態様77または態様78の製品。
【0352】
態様80.第1の治療剤が、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様77~79のいずれか1つの製品。
【0353】
態様81.第1の治療剤が、以下の構造:
【化29】
を有する、態様77~態様80のいずれか1つの製品。
【0354】
態様82.第1の治療剤が、以下の構造:
【化30】
を有する、態様77~態様80のいずれか1つの製品。
【0355】
態様83.第2の治療剤が、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ヘモグロビン酸素-親和性;P-セレクチン結合剤;ピルビン酸キナーゼM2活性化因子;PDE9阻害剤;可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;抗ヘプシジン治療法;鉄キレート剤;テトラヒドロウリジン誘導体;2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様77~態様81のいずれか1つの製品。
【0356】
態様84.第2の治療剤が、少なくとも1種のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤;PD1阻害剤;ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;ヒドロキシ尿素アナログ;ボキセロトール(GBT440)などのヘモグロビン酸素-親和性;AN-233;例えば、クリザンリズマブまたはインクラクマブなどのP-セレクチン結合剤、例えば、AG348またはFT-4202などのピルビン酸キナーゼM2活性化因子;例えば、IMR-687などのPDE9阻害剤;例えば、オリンシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子;例えば、PGT-300またはsiRNA-GalNAcなどの抗ヘプシジン治療法など;例えば、デスフェラシロックスまたはデフェリプロンなどの鉄キレート剤;テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様83の製品。
【0357】
態様85.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様83の製品。
【0358】
態様86.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン;2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;薬学的に許容されるそれらの塩およびそれらの組み合わせから選択される、態様84の製品。
【0359】
態様87.第2の治療剤が、テトラヒドロウリジン誘導体である、態様84の製品。
【0360】
態様88.第2の治療剤が、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体である、態様84の製品。
【0361】
態様89.第2の治療剤が、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体であり、2’-フッ化テトラヒドロウリジン誘導体が、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;2’-デオキシ-2’-フルオロ-5,6-ジヒドロウリジン;(4R)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;(4S)-2’-デオキシ-2’-フルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロウリジン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-リボフラノシル)テトラ-ヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;1-(2-デオキシ-2-フルオロ-β-D-アラビノフラノシル)ジヒドロ-2,4-(1H, 3H)-ピリミジンジオン;(4R)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノン;(4S)-1-(2-デオキシ-2-フルオロ-(3-D-アラビノフラノシル)テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンから選択される、態様84の製品。
【0362】
態様89.第1の治療剤および第2の治療剤が、対象に、態様1~態様18のいずれか1つの医薬組成物として投与される、態様77~態様89のいずれか1つの製品。
【0363】
態様90.第1の治療剤および第2の治療剤が、逐次にまたは同時に投与される、態様77~態様89のいずれか1つの製品。
【0364】
態様91.対象がヒトである、態様77~態様90のいずれかの製品。
【0365】
態様92.第1の治療剤が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様77~態様91のいずれかの製品。
【0366】
態様93.少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドンまたはステアリン酸マグネシウムを含む、態様92の製品。
【0367】
態様94.第2の治療剤が、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様77~態様93のいずれかの製品。
【0368】
態様95.少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドンまたはステアリン酸マグネシウムを含む、態様37の製品。
【0369】
態様96.第2の医薬剤が、腸溶コーティングされた、胃酸に安定な製剤として投与される、態様77~態様95のいずれかの製品。
【0370】
態様97.第1の治療剤が、単一剤形で約1mg~約50mgの量で投与される、態様77~態様96のいずれかの製品。
【0371】
態様98.第1の治療剤が経口投与される、態様77~態様97のいずれかの製品。
【0372】
態様99.第1の治療剤が、層化錠剤、錠剤中錠剤形態、カプセル中錠剤形態またはカプセル中カプセル形態、顆粒剤、サシェもしくはバッグ中の散剤、カプセル剤、錠剤、丸剤または他の経口固形剤形を含む剤形として経口投与される、態様98の製品。
【0373】
態様100.第2の治療剤が、単一剤形で約100~約600mg/mの量で投与される、態様77~態様99のいずれかの製品。
【0374】
態様101.第2の治療剤が、第1の治療剤の前の約1~約60分間、生体利用可能である、態様77~態様100のいずれかの製品。
【0375】
上述から、本明細書における態様は、明白であり、かつ構造に固有の他の利点と共に本明細書のこれまでに説明したすべての目標および目的を達成するために良好に適合されることが分かるであろう。
【0376】
特定の要素およびステップが、相互に関係付けて議論されるが、本明細書において提供される任意の要素および/またはステップは、その明示的な提供にかかわらず、依然として本明細書において提供されている範囲内にありながらも、任意の他の要素および/またはステップと組み合わせることができると企図されることが理解される。
【0377】
ある特定の特徴および部分組み合わせが有用であり、他の特徴および部分組み合わせを参照することなく使用することができることが理解されよう。これは、特許請求の範囲によって企図されており、特許請求の範囲内にある。
【0378】
多数の可能な態様がそれらの範囲から逸脱することなくなされ得るので、本明細書に記載されている、または添付の図面および詳細な説明に示されているすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるべきであることを理解されたい。
【0379】
本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明するために過ぎず、限定することを意図するものでないことも理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載されている態様の多数の変形形態および適応を認識していよう。これらの変形形態および適応は、本開示の教示に含まれていること、および本明細書における特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【0380】
これより、本開示の態様を記載し、一般に、以下の実施例は、本開示のいくつかの追加的な態様を説明する。本開示の態様は、以下の実施例および対応する本文および図と関係付けて記載されているが、本開示の態様をこの説明に限定することを意図するものではない。反対に、本開示の趣旨および範囲内に含まれる、代替、修正および等価物のすべてが包含されることが意図される。
【実施例
【0381】
以下の実施例は、当業者に、本明細書において特許請求されている化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法がどのように行われて、評価されるかの完全な開示および説明を提供するために記載されており、本開示の純粋な例示であることを意図しており、本発明者らがその開示と見なすものの範囲を限定することを意図するものではない。数字(例えば、量、温度など)について精度を確実にするよう努めたが、ある程度の誤差および偏差を考慮すべきである。特に示さない限り、部は重量部であり、温度は℃であるか、または周囲温度であり、圧力は大気圧またはその付近である。
【0382】
(実施例1)
化合物の合成
本開示の化合物は、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、Tiwari, K.N. et al., "Synthesis and anti-cancer activity of some novel 5-azacytosine nucleosides," Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids, 2003, 22:2161-2170, Secrist, J.A. et al., "Synthesis and biological activity of 2'-deoxy-4'-thio pyrimidine nucleosides," J. Med. Chem., 1991, 34:2361-2366、Montgomeryらの米国特許第5,591,722号、Walkerらの欧州特許第0421777号およびMorrisらの国際特許出願公開WO2019152459に記載されている方法に準拠して調製することができる。
【0383】
以下のスキームは、5-アザ-2’-デオキシ-4’-チオシチジンの合成を例示しており、適切な出発材料を使用して他のシチジンアナログに適用することができる。保護基は、当分野において公知の任意の方法によって除去することができる。
【化31】
【0384】
(実施例2)
製剤
本明細書において開示されている化合物を送達するための例となる製剤を以下に提供する。
【0385】
カプセル剤組成物
本明細書に開示されている化合物を投与するための経口剤形は、以下の成分:活性化合物7mg、ラクトース53mg、タルク16mg、ステアリン酸マグネシウム4mgを標準的なツーピース硬質ゼラチンカプセルに充填することによって生成する。
【0386】
注射可能な非経口組成物
本明細書に開示されている化合物を投与するための注射可能な形態は、水中の10体積%のプロピレングリコール中で1.7重量%の活性化合物を撹拌することによって生成する。
【0387】
錠剤組成物
錠剤は、以下の成分:12mgの活性化合物、30mgの硫酸カルシウム二水和物、4mgのスクロース、2mgのデンプン、1mgのタルクおよび0.5mgのステアリン酸を用いて調製する。スクロース、硫酸カルシウム二水和物および活性化合物を混合し、10%ゼラチン溶液を用いて、表示した割合で造粒する。湿潤顆粒をふるいにかけ、乾燥し、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し、再度、ふるいにかけて、錠剤に圧縮する。
【0388】
(実施例3)
鎌状赤血球症前駆体における、AB1によるHbFの上昇におけるin vitro研究
SCDマウス研究において、AB1を評価する研究を行い、in vitro実験を行い、K562細胞および初代鎌状赤血球前駆細胞を使用して、AB1がHbFを誘発する能力を確立した。37℃、5%COにおいて、24~96時間、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)および10%ウシ胎仔血清において成長させて、3~200nM AB1の用量範囲を試験した、K562細胞におけるスクリーニング研究。図5Aに示されている通り、AB1は、3、6および10nMにおいて、毒性がなく耐容性を示す。実際に、細胞成長を96時間時に刺激させた。50~200nMのAB1において、すべての時間点において、細胞成長の阻害が起こった。γ-グロビン遺伝子転写を研究するため、既に公開されている通りに、逆転写酵素-定量的PCR(RT-qPCR)を行った。参照により本明細書に組み込まれている、Biaoru Li, et al. MIR-144-mediated NRF2 gene silencing inhibits fetal hemoglobin expression in sickle cell disease Experimental Hematology 2019;70:85-96を参照されたい。γ/GAPDH mRNAは、6nMおよび10nMのAB1の処置レベルにおいて最大限に増大した(図5B)。確立されたフローサイトメトリー法によって、γ-グロビン遺伝子の活性化がHbF発現の増加に関連しているかどうかを次に決定した(すなわち、参照により本明細書に組み込まれている、Biaoru Li, et al. Fetal hemoglobin induction in sickle erythroid progenitors using a synthetic zinc finger DNA-binding domain Haematologica 2018; 103:e384を参照されたい)。データにより、AB1は、HbF陽性細胞(F-細胞)のパーセントを向上させて、細胞あたりのHbFタンパク質のレベルが高度に有意なP値で平均蛍光強度(MFI)によって測定されたことが示される(図5C~5D)。AB1によるHbF誘発は、対照薬物HU(100μM)およびDec200nMにより誘発されるものと少なくとも同等に良好であったことに留意すべきである。さらに、50nMのAB1は、これらの細胞を用いたこの研究の条件下では、いくらか細胞傷害性であり得るが、それにもかかわらず、HbF発現は増加した。K562細胞におけるこれらの研究により、AB1は、低濃度で、赤血球細胞においてHbFを誘発することが示される。
【0389】
(実施例4)
AB1は、初代鎌状赤血球細胞において、HbF発現を誘発して、鎌状化を低減する。
上述の研究は、AB1が、K562細胞において、γ-グロビン転写を活性化することを実証する。さらなる研究を初代鎌状赤血球前駆細胞で行い、次に、行った。以前に確立された二相培養システムを使用して(参照により本明細書に組み込まれる、NRF2 mediates γ-globin gene regulation and fetal hemoglobin induction in human erythroid progenitors Xingguo Zhu et al., Experimental Hematology 2019;70:85-96を参照されたい)、鎌状赤血球の対象から分離した末梢血単核球細胞(PBMC)から培養した前駆体において、AB1を3、6および10nMの濃度で評価した。PBMCをFicoll(登録商標)Paque分離によって単離し、エリスロポエチン(2IU)、幹細胞因子(10ng/mL)およびインターロイキン3(10ng/mL)を追加補充したIMDMにおいて培養した。7日目に、対照薬物であるHU75μM、Dec200nMおよびAB1(3、6および10nM)を48時間、加えた。トリパンブルーを用いて細胞生存度を評価し、赤血球の分化のマーカーを、CD71およびCD235aに対する抗体を使用するフローサイトメトリーによって評価し、分化の変化を評価した。F-細胞およびMFIの割合を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)抗ヒトHbF抗体(Bethyl)を用いる染色を使用して、FACScanによってアッセイした。本発明者らの経験では、初代赤血球前駆細胞は、薬物毒性に対してより感受性であり、その結果、一層低い用量範囲のAB1を使用した。図6Aに示されている通り、HUによって生じる生存度の40%低下と比較して、6および10nM濃度のAB1では、細胞生存度が20%~22%低下したことが観察され得る。3nMのAB1は、細胞生存度を増強するように実際に見えたことに留意すべきである。早期赤血球分化のマーカーとして、CD71前駆体は、試験したあらゆる用量のDecまたはAB1によって影響を受けなかった。留意すべき対比として、HUにより媒介されるCD71細胞は7倍増加した(図6B)。対照的に、CD235a細胞(最終分化のマーカー)のレベルは、Decを除くすべての薬物によって有意に増大した(図6C)。
【0390】
実施例3および4の考察:これらの知見により、AB1は、赤血球の成熟の遅延を引き起こすことはないが、代わりに、最終分化を支持する一方、HUは、初期の赤血球進行に影響を及ぼすことが示唆される。本発明者らは、RT-qPCR分析によって、転写レベルにおけるAB1の効果を評価した。3、6および10nMのAB1によって、β/γ+β mRNAレベルに影響を及ぼすことなく、γ/γ+β mRNAの最大で3.5倍の用量依存的な向上(p=0.028)が生じ(図7A~7B)、AB1によってγ-グロビンが優先的に活性化されることが裏付けられた。タンパク質レベルでの補完的研究を、フローサイトメトリーおよびウェスタンブロットによって完了した。試験したSCD患者のうち、F-細胞レベルは、試験したすべてのAB1濃度において、平均で16%から23%まで向上し(図8A)、Decによって生じたものと同等(22%F-細胞)であった。興味深いことに、全患者データを組み合わせると、HUでは、F-細胞の誘発は観察されなかった。MFIの増大が観察可能であったが、これらの特定の研究では、統計学的有意性には到達しなかったが、より大きなサンプルサイズでは、統計学的有意性を得ることができると考えられる(図8B)。AB1がHbF発現を誘発するという概念をさらに裏付けるため、ウェスタンブロット解析を行った。図8Cに示されている通り、試験したAB1のすべての濃度において、HbFが誘発されたことが観察され、鎌状赤血球前駆細胞における有効性を確認した。興味深いことに、3nMのAB1により、最高のHbF誘発が生じ、データは、13.8倍の増加を示した。対照的に、この研究で観察されたHbS発現に有意な変化はなかった。これまでの研究により、腫瘍組織におけるDNMT1を阻害するAB1の能力が実証された。10nMという最高濃度のAB1では、鎌状赤血球前駆細胞において、DNMT1における用量依存的な80%の低下が観察された(図8D)。AB1によって生じたHbFの増加により、赤血球前駆細胞におけるHbS重合の表現型変化およびin vitroでの鎌状化が生じることが可能かどうかを実証することに関心があり、そこで、一晩の低酸素条件下で、低酸素研究を実施した。48時間の処理後、様々な薬物を用いて、細胞を2%酸素で一晩、インキュベートし、次に、ホルマリンで固定し、非鎌状赤血球に対する鎌状赤血球の数を位相差顕微鏡、すなわちPace(PI/PD)のグループによって以前に公開された方法によって計数した(Zhu, X., Li, B. & Pace, B. S. Haematologica 102, e285-e288, doi:10.3324/haematol.2016.160788 (2017)を参照されたい)。代表的な画像および画像データから得られた定量的データを、図9A~9Bに示す。データにより、AB1により処置した鎌状赤血球における60%~83%の顕著な低下が示され、これは、デシタビンによる処置によって観察される、80%の低下に匹敵した。対照的に、HUによる処置によってたった50%の低下しか達成されなかった。
【0391】
(実施例5)
AB1は、ヒト対象においてHbF発現を誘発する。
AB1を承認済みの臨床試験において、ヒト対象に投与した。手短に述べると、患者において、AB1を単剤療法として利用し、アジュバント療法または標準治療と比較した。投与から2週間に3名の処置対象から分離した試料において、これらの対象は、HbFレベルの測定可能な向上を有したこと、および各対象は、8、16または24mgのAB1処置の5日間のサイクルを2回、終了した時点では、HbFレベルにおける2倍の上昇を有したことが観察された(図10)。
【0392】
(実施例6)
予測実施例 - 赤血球前駆細胞(EPC)に対する、in vitroでの効果
7日目に、EPCを段階的に希釈した2’-デオキシシチジンアナログを用いて、二連のプレートにおいて、37℃で5日間、培養した。次に、胎児ヘモグロビン(HbF、HbF ELISA)の誘発または細胞成長(Cell Titer-Glo)のどちらかについて、ウェルを分析した。どちらの場合も、シグナルをビヒクル対照処置細胞に正規化する。理想候補化合物は、平均6.5のpEC50で、HbFの増加を誘発し、平均5.9のpGI50で、細胞成長を50%、阻害した。
【0393】
DNAメチル化に及ぼす2’-デオキシシチジンアナログの効果をアッセイするため、代表的な化合物で3日間、処理したEPCを採取し、ゲノムDNAにバイサルファイト配列決定を行う。HBG1およびHBG2遺伝子座のプロモータ領域またはその近傍におけるCpG部位のメチル化を選択し、赤血球生成の間のDNMT1メチル化の部位として以前の特徴付けに基づいて解析した。部位はすべて、メチル化が減少したことを示し、ビヒクル処置細胞と比較して、平均で65±5%の低下となった。このアッセイに使用した実験方法に関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0394】
方法
すべてのドナーは、その試料の使用に関する書面のインフォームドコンセントを提出し、試料の収集および使用は施設内審査委員会の承認を受けた。本明細書において使用されるすべての凍結保存されたヒト骨髄CD34+細胞は、AllCells(Emeryville、CA)から入手し、一般に、異なるドナーに由来する。7日目に、CD34+細胞を培養して、EPCを作成する。ほぼ1,000,000個の細胞を、2mMのL-グルタミン、40μg/mLのヒト低密度リポタンパク質(StemCell Technologies)、10ng/mLの組換えヒト(rh)インターロイキンIL-3(R&D Systems、Minneapolis、MN)、100ng/mLのrh幹細胞因子(R&D Systems)および0.5U/mLのrhエリスロポエチン(Invitrogen、Grand Island、NY)を追加補充したH3000 Stemspan培地(StemCell Technologies、Vancouver、BC、Canada)中、5%CO、5%O、37℃で培養する。細胞を分割し、4日目に上記の完全培養培地を再供給し、赤血球マーカー発現の評価およびγ-グロビン誘発の評価のため、7日目に採取した。次に、7日目のEPCを、後に使用するため、5%DMSOを含む95%ウシ胎仔血清(FBS;Invitrogen)中500万~1000万細胞/mLで液体窒素中で凍結する。
【0395】
化合物処理の際に、上記の通りに調製した凍結した7日目のEPCを解凍し、rhEPOを3U/mLに増加させたことを除いて、上記の通り完全培養培地に再懸濁する。細胞を計数し、アッセイプレートにプレーティングするため、3.3×10細胞/mLに希釈する。次に、試験化合物が100nL/ウェルで予め分注された384ウェル培養プレートに、Multidrop Combi Reagent Dispenser(Thermo Scientific)を用い、ウェルあたり30μLで細胞を分注する。黒色クリアボトムプレート(Greiner Bio-One製品781090)および白色プレート(Greiner Bio-One製品781080)をそれぞれ、ELISAおよびCell Titer-Gloアッセイに使用する。アッセイにおける最終細胞密度は、ウェルあたり1000個の細胞とし、最終化合物濃度は、22点の段階希釈に対して33nM~6.6nMとする。
【0396】
細胞の健康状態および細胞成長をモニタリングするために、Cell Titer-Gloを使用して、細胞成長アッセイを細胞のプレーティング(0日目)時に実施する(以下を参照されたい)。化合物処理に関すると、細胞培養プレートを5%CO、37℃で5日間、インキュベートする。
【0397】
胎児ヘモグロビン(HbF)ELISA
コーティング抗HbF Ab(Bethyl Lab、製品A80-136A)をコーティング緩衝液(0.05M 炭酸塩-重炭酸塩、pH9.6)中で100倍に希釈し、20μL/ウェルを384ウェルMaxiSorp ELISAプレート(Thermo Fisher、製品464718)に加える。室温で1時間インキュベートした後、EL406プレート洗浄器(BioTek、VT、Winooski)を用い、このプレートをELISA洗浄緩衝液(50mM Trisおよび0.05%ポリソルベート20、pH8.0)で2回洗浄する。40μL/ウェルのブロッキング緩衝液(50mM Trisおよび1%BSA、pH8.0)をプレートに添加し、カバーシートと共に一晩またはアッセイの時間まで4℃で保管する。コーティングされたELISAプレートは、4℃で最大で30日間、安定である。アッセイの当日に、プレートをELISA洗浄緩衝液で2回、洗浄した後に、細胞溶解物を添加する。
【0398】
5%CO、37℃で5日間後に、ELISAアッセイ用の細胞培養プレートを-80℃で最低2時間、凍結する。室温で解凍した後、30μLの細胞溶解緩衝液(1×プロテアーゼ阻害剤を追加補充したInvitrogen製品FNN0011)を各ウェルに加え、得られた細胞溶解物をCybi-Well(Jena、Germany)ピペッターで8回混合する。混合手順に続いて、20μ/ウェルの溶解物を先に記載したコーティングされたELISAプレートに移し、続いて、室温で1時間、インキュベートする。次に、ELISAアッセイプレートをELISA洗浄緩衝液で3回、洗浄する。次に、1:75,000~100,000に希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート検出用抗HBF Ab(Bethyl Labs製品A80-136P、pH8.0の50mM Tris、1%BSAおよび0.05%ポリソルベート20に希釈)をウェルあたり20μL加える。室温でさらに1時間インキュベートした後、プレートを4回洗浄し、ウェルあたり20μLのテトラメチルベンジジンELISA基質(Thermo Scientific製品34028)を添加する。暗所中、室温で3~10分間のインキュベート後、20μL/ウェルのストップ溶液(0.2M HSO)を加える。このプレートを、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer、Waltham、MA)を用いて450nmで10回、読取りを行う。DMSOしか含まない対照ウェル(各アッセイプレートの列6における16ウェル)の平均読取り値を、正規化のための基準レベルとして使用する。化合物で処理した各ウェルのγ-グロビンレベルは、基準レベルのパーセンテージとして計算する。
【0399】
各試験化合物の22種の濃度の正規化された応答に、R(R Foundation for Statistical Computing)に基づくカスタマイズされた統計学計算ツールを使用して曲線当てはめを施す。EC50値(1/2最大%における化合物濃度)および対応する最大%は、各活性化合物のあてはめた曲線から決定する。
【0400】
7日目のEPCにおける細胞成長分析
細胞成長アッセイは、37℃、5%COで数日間のインキュベート後に、細胞培養プレートで行う。ウェルあたり15μLのCell Titer-Glo(Promega、Madison、WI)アッセイ試薬をアッセイプレートに加える。次に、このプレートを室温で10分間インキュベートした後、製造業者によって提供される発光プロトコルを使用して、ViewLux1430(Perkin Elmer)で読取りを行う。DMSOしか含まない対照ウェル(各アッセイプレートの列6における16ウェル)の平均読取り値を、正規化のための基準レベルとして使用する。各試験ウェルのCell Titer-Gloシグナルは、基準レベルのパーセンテージとして計算する。各試験化合物の22種の濃度の正規化された応答に、R(R Foundation for Statistical Computing)に基づくカスタマイズされた統計学計算ツールを使用して曲線当てはめを施す。
【0401】
細胞の健康状態および細胞成長をモニタリングするために、DMSO対照ウェルのCell Titer-Gloシグナルを0日目に得られたシグナルと比較する。健康な細胞成長の場合、通常、0日目と比較して、5日目にほぼ20×の増加が観察される。
【0402】
開示化合物および製剤は、従来の化合物または製剤と比較して、前述の赤血球前駆細胞アッセイにおいてin vitroでの赤血球前駆細胞に対する胎児ヘモグロビン誘発因子効果の改良を示すことが予期される。
【0403】
(実施例7)
予測実施例 - in vivoでの鎌状赤血球アッセイ
鎌状赤血球症のマウスモデルを使用して、正常な骨髄または鎌状赤血球患者の末梢血単核球細胞に由来するヒト初代赤血球前駆細胞において強力なin vitro活性を有することが示された試験化合物のin vivo効力を測定する。
【0404】
方法
実験は米国/英国の動物管理基準に準拠して行う。雄および雌のヒトヘモグロビントランスジェニックマウス[B6;129-Hbatm1(HBA)Tow/Hbbtm2(HBG1,HBB*)Tow/Jマウス(Jackson Laboratories、ME)]は、ほぼ6~8週齢であり、この研究の開始時にほぼ15~25gの体重である。可能な限り、群は性別のバランスを取り、それぞれ、6匹のマウスを含む。
【0405】
実験プロトコル
マウスに、ビヒクル(10%DMA/90%PEG400)、10mg/kgの試験化合物、または50mg/kgの試験化合物を1日2回(BID)、経口経路によって、週5日、2週間にわたり投与する。投与期間の終了時に、マウスをCOによる窒息によって安楽死させ、胎児ヘモグロビン分析のため、大静脈からの血液をEDTAチューブに収集する。%HbFタンパク質は、HPLCによって決定し、%F細胞(HbFを発現する赤血球)はフローサイトメトリーによって決定する。APCにコンジュゲートしたマウスモノクローナル抗ヒトHbF抗体(Life Technologies、Grand Island、NY)を使用して、HbFを発現する赤血球細胞を特定する。核色素SYTO(商標)16(Life Technologies)を使用して、網状赤血球およびRBC集団を分離する。タンパク質および細胞データは、それぞれ、Bio-Rad D10分析器(Bio-Rad、Benicia、CA)およびFACs Canto I(BD BioSciences、San Jose、CA)で収集する。フローサイトメトリーデータは、Flowjo v8ソフトウェア(Treestar,Inc.、Ashlant、OR)を使用して分析する。対照群および処置群に関して、群の平均および標準偏差を決定し、データをグラフ表示し、Tukey検定(GraphPad Prism v5、La Jolla、CA)による一元配置ANOVAを使用して解析する。
【0406】
開示化合物および製剤は、前述の鎌状赤血球アッセイにおいて、従来の化合物または製剤と比較して、in vitroでの赤血球前駆細胞に対する胎児ヘモグロビン誘発因子効果の改良を示すことが予期される。
【0407】
(実施例8)
予測実施例 - 追加のアッセイ - 組織培養およびin vivoモデル
以下のアッセイおよびモデル系、例えば、組織培養および/またはin vivoモデルを使用して、従来の化合物または製剤と比較して、これらのアッセイにおいて改善された転帰を提供することが予期される、胎児ヘモグロビン誘発因子としての開示化合物および製剤の安全性および有効性を評価することができる。
【0408】
組織培養および試薬
K562細胞を、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン(100U/mL)およびストレプトマイシン(0.1mg/mL)を含むイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)中で培養する。K562細胞に対する薬物誘発を48時間、行い、細胞生存度を0.4%トリパンブルー排除により評価した。細胞計数はデュアルチャンバー装置で行い、生存度パーセンテージは自動細胞計数器(Bio-Rad)を使用して得る。
【0409】
初代培養の場合、赤血球前駆体は、IRB免除プロトコル下で鎌状赤血球患者の廃棄血液から分離された末梢血単核球細胞から作成する。これらの細胞は、以前に公開された二相液体培養系において培養する。相1の間、15%ウシ胎仔血清、15%ヒトAB血清、10ng/mLのインターロイキン3、50ng/mLの幹細胞因子および2IU/mLのエリスロポエチン(Peprotech、Rocky Hill NJ)を含むイスコフのダルベッコ培地で細胞を成長させる。培養の相2は、幹細胞因子もインターロイキン3も含まない類似の培地を使用して、7日目に開始した。8日目に、赤血球前駆体を、AN-233(0.125mMおよび0.25mM)、エタノール(EtOH;0.0008%および0.016%)および陽性対照HU(100μM)で48時間、処理し、様々な分析のために採取する。
【0410】
逆転写-定量的PCR(RT-qPCR)解析
Trizol(Ambion、Carlsbad CA)を使用して、細胞から全RNAを抽出し、以前に公開された手順を使用して、RT-qPCRによって解析する。遺伝子特異的プライマーを使用して、γ-グロビン、β-グロビン、および内部対照であるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)に関するmRNAレベルを定量する。分析前に、すべてのmRNAレベルをGAPDHに対して正規化する。
【0411】
ウェスタンブロット解析
ウェスタンブロット解析は、プロテイナーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテルを追加補充したRIPA緩衝液(ThermoScientific、Rockford、IL)を用いて作成した全細胞溶解物を使用して、以前に公開された手順に準拠して行う。ヒストンアセチル化研究に関すると、20mM HEPES、pH7.9、50mM KCl、420mM NaCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、10%グリセロールおよびプロテアーゼ阻害剤の混合物を含有する緩衝液に細胞を30分間、懸濁させることによって核溶解物を調製し、次いで、遠心分離する。HbF(51-7)、HbA(37-8)およびTata結合タンパク質(TBP;N-12)に対する抗体は、Santa Cruz Biotechnology(Dallas TX)から購入する。β-アクチン(A5316)およびウサギIgG(I8140)に対する抗体は、Sigma(St.Louis MO)から購入する。アセチル化ヒストンH3(AcH3;06-599)およびAcH4(06-866)抗体は、Millipore(Burlington、MA)から購入する。
【0412】
フローサイトメトリー解析
HbF陽性細胞(F-細胞)のパーセントを測定するため、K562細胞および赤血球前駆体を1%ホルムアルデヒドで固定し、氷冷したアセトン:メタノール(4:1の比)で透過処理し、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)抗HbF抗体(ab19365、Abcam Cambridge MA)で染色する一方、アイソタイプ対照IgG抗体(MBS524511、MyBioSource、San Diego CA)は非特異的染色を検出するために使用する。平均蛍光強度(MFI)によって測定されるF-細胞レベルおよびHbFタンパク質レベルは、LSR-IIフローサイトメーター(BD Biosciences、San Jose CA)で、およびFlowJo解析によって解析し、定量的データを作成する。
【0413】
ヘム定量アッセイ
総細胞ヘム含有量は、製造業者の指示に従ってQuantiChrom(商標)ヘムアッセイキット(DIHM-250、BioAssay Systems、Hayward、CA)を使用して決定する。手短に述べると、25μLの細胞溶解物を100μLの検出試薬と混合する。この混合物を室温で5分間、インキュベートし、次いで、マイクロプレートリーダーで400nmでの吸光度を測定する。総ヘム濃度は、製造業者によって与えられた式に基づいて計算する:ヘム濃度=(OD試料-ODブランク)/(ODキャリブレータ-ODブランク)×125×希釈係数。この値を各試料中の総タンパク質によって正規化する。
【0414】
鎌状化アッセイ
in vitroでの鎌状化研究は、以前に公開された手順に準拠して行う。手短に述べると、鎌状赤血球前駆体の薬物誘発を48時間行った後、細胞を2%酸素中で一晩、インキュベートし、次に、2%ホルムアルデヒドで固定する。赤血球の幾何形状を顕微鏡により評価し、高倍率視野あたりの鎌状赤血球の数を条件ごとに三連で、1000個の細胞について手動で計数する。
【0415】
β-YACトランスジェニックマウス処置プロトコル
β-YACは、LCRおよび周囲領域を含めた、全長81kbのヒトβ-グロビン遺伝子座を含むトランスジェニックマウスモデルである。5つの機能的ヒトグロビン遺伝子5’-ε-Gγ-Aγ-δ-β-3’が存在し、誕生直後にサイレンシングされたγ-グロビン遺伝子による正常な発生調節を受ける。β-YACマウス(5~6か月齢)に、水に懸濁したAN-233(200または300mg/kg)を5日/週で4週間、腹腔内注射により投与する。本発明者らは、群あたり雄3匹および雌2匹を含む5匹のマウスを処置した。ヒドロキシ尿素(100mg/kg)を陽性対照として含ませる。0、2および4週目に、本発明者らは、尾部採血により血液を採取し、Micros60機器(HORIBA Medical/ABX Diagnostics)を使用して分画自動全血球計算(automated complete blood counts with differential)について分析する。F-細胞およびMFIのレベルは、既に記載した通り、フローサイトメトリーによって実施する。網状赤血球数に関しては、全血をアクリジンオレンジで染色し、LSR-IIフローサイトメーター(BD Biosciences)でフローサイトメトリーを行う。
【0416】
α-グロビンおよびヘモグロビンの決定
細胞溶解物は、既に記載した通り、SDS-PAGEで実施する(Berkovitch et al., 2008)。ブロッキングの後に、膜をウサギ抗ヘモグロビン(Dako、Glostrup、Denmark)、ウサギ抗PBGD(HemeBiotech、Swedenからの寛大な寄贈)と共にインキュベートする。膜をPBS-Tween(登録商標)で洗浄し、ブロッキングに使用した溶液と同じ溶液中でホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)タグ付き抗マウス二次抗体(Jackson ImmunoResearch Labs Inc.、West Grove、PA、USA)と共にインキュベートする。タンパク質レベルの比は、HRPコンジュゲートされたマウス抗β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA、USA)に対して正規化する。免疫反応性タンパク質は、製造業者(Biological Industries)のプロトコルに従って、EZ-ECL増強化学発光検出キットを使用して視覚化する。
【0417】
ヘモグロビン決定に関すると、細胞を誘発剤の存在下で成長させて、低速遠心分離によってペレット化し、PBSで2回洗浄する。次に、洗浄した細胞ペレットを等体積の蒸留水に再懸濁する。細胞を3サイクルの凍結-解凍によって溶解し、2000rpmで10分間、1回、遠心分離し、再度15,000rpmで45分間、遠心分離する。上清の可視吸光スペクトルは、Epoch(商標)マイクロプレート分光光度計(Bio-Tek、US)を使用して、417nmから700nmまで記録する。5×1個の細胞溶解物の相対ヘモグロビン濃度を540nmで測定する。
【0418】
細胞内ヘムの測定
処理後、500μgの細胞溶解物を100μLのオルト-トルイジン試薬、0.25gのオルト-トルイジン(Sigma-Aldrich、Rehovot、Israel)に加え、80mLの氷酢酸および10mLのdd HOに溶解する。混合後、dd HOを最終体積100mLになるまで加える。ヘムは、1.2%H 100μLを混合物に加え、暗所中で10分間インキュベートすることによって緑色生成物へと酸化される。次に、最初の酸化生成物を、1:10v/vの希酢酸1mLの添加によってさらに酸化して、黄色の生成物にする。
【0419】
本開示の上記の実施形態は、単に、本開示の原理の明確な理解のために説明されている実施の可能な実施例に過ぎないことが強調されるべきである。多数の変更および修正が、本開示の趣旨および原理から実質的に逸脱することなく、上記の実施形態に行われてもよい。本明細書において、このような修正および変更のすべてが、本開示の範囲内に含まれることが意図されており、以下の特許請求の範囲によって保護される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9
図10
【国際調査報告】