(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】レーザ切断機のための異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相の決定
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20241018BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20241018BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/00 M
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024524652
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2022079622
(87)【国際公開番号】W WO2023072845
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルガー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハース ティトゥス
(72)【発明者】
【氏名】シャイディガー ジーモン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CB00
4E168CB03
4E168CB04
4E168EA15
(57)【要約】
ある態様において、本発明は、レーザ切断機(L)のための異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定することによりレーザ切断機(L)を制御するための制御命令(ci)を提供する制御部(100)に関し、レーザ切断機(L)は、レーザビームの形状を動的に変化させるための動的レーザビーム成形モジュール(DBSM)を好ましくは備える。制御部(100)は、加工物の部分を切り離すために処理すべき切断計画を受け取るための切断計画インターフェース(101)であって、各部分が、列になって順序付けられる切断区分からなる切断輪郭によって画定される、切断計画インターフェース(101)と、あらかじめ定義された評価基準に従って、動的レーザビーム形状の組から特定の動的レーザビーム形状を切断区分の列における各切断区分に割り当てるように構成されている、割当工具(102)と、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するための遷移工具(104)であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が、遷移時間(t)以内に、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される、遷移工具(104)と、切断区分の列の各切断区分に対する特定の動的レーザビーム形状を決定するために、割当工具(102)に反復的にアクセスするように構成されたプロセッサ(P)であって、プロセッサ(P)が、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の全ての遷移相を決定するために遷移工具(104)にアクセスするようにさらに構成されており、プロセッサ(P)が、1.割当工具(102)によって決定された特定の動的レーザビーム形状を適用すること、および、2.遷移工具(104)によって決定された、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を適用することによって、受け取った切断計画を実行するためのレーザ切断機(L)を制御するために制御命令(ci)を提供するように構成されている、プロセッサ(P)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ切断機によるレーザ切断のために異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定するためのコンピュータ実装方法であって、前記レーザ切断機が、前記レーザビームの前記形状を動的に変化させるための少なくとも1つの光学モジュール、具体的には動的レーザビーム成形モジュールを備えるコンピュータ実装方法において、
- 加工物の部分を切り離すために処理すべき切断計画を受け取る方法ステップ(S1)であって、各部分が、列になって順序付けられる切断区分からなる切断輪郭によって画定される、方法ステップ(S1)と、
- あらかじめ定義された割当基準に従って、動的レーザビーム形状の組から特定の動的レーザビーム形状を切断区分の前記列における各切断区分に割り当てるように構成されている、割当工具(102)を提供する方法ステップ(S2)と、
- 切断区分の前記列の各切断区分に対する特定の動的レーザビーム形状を決定するために、前記割当工具(102)に反復的にアクセスする方法ステップ(S3)と、
- (決定された)2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するための遷移工具(104)を提供する方法ステップ(S4)であって、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が、遷移時間(t)以内に、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される、方法ステップ(S4)と、
- 2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の全ての遷移相を決定するために前記遷移工具(104)にアクセスする方法ステップ(S5)と、
- 前記受け取った切断計画を実行するためのレーザ切断機(L)を制御するために、制御命令(CI)を提供する方法ステップであって、
- 前記割当工具(102)によって決定された、切断区分の前記列における前記切断区分のそれぞれに対する前記特定の動的レーザビーム形状を適用すること、および、
- 前記受け取った切断計画に従って切断すべき全ての部分の前記切断区分のそれぞれに対する2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の前記決定された遷移相であり、前記遷移工具(104)によって決定された前記遷移相、を適用することによって、前記制御命令(CI)を提供する方法ステップと
を含むことを特徴とする、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記切断区分が、
- 直線、
- 設定可能な特定の半径を有する円または円区分、
- 設定可能な特定の角度を有する角、
- パラメータ化された湾曲部、
- 貫入部、
- 導入部、
- 導出部、および/または、
- 刻印
を含む群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記割当工具(102)および/または前記遷移工具(104)が、訓練済みモデル、具体的にはニューラルネットワークモデルを備えることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、前記遷移工具(104)が評価工具(104-1)を備え、前記評価工具(104-1)が、ユーザインターフェース(UI)を使用することにより手動で、および/または評価データセットを提供するための知覚自動評価部(104-2)により自動で、前記決定され適用された特定の動的レーザビーム形状および/または遷移相を評価するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記評価データセットが、品質評価、性能評価、エネルギー消費評価、および/または工程安定性評価を含む、様々な評価の共通的な基準の設定可能な分配を設定することを含み、前記様々な評価基準が、ヒューマンマシンインターフェース(UI)で提供されるユーザインターフェース選択ボタンでモデル化される相互依存性を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれに対する前記遷移相が、材料特性の種類および/または切断機の種類について具体的に決定されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれに対する前記遷移相が、レーザ切断ヘッドの速度、および/もしくは加速度、および/もしくは躍度、ならびに/または切断区分の種類、ならびに/またはレーザ出力および/もしくはドライブの動的限界を含むレーザ切断工程パラメータ、に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれに対する前記遷移相が、
- XおよびY方向の、好ましくはX、Y、およびZ方向の周波数、
- XおよびY方向の、好ましくはX、Y、およびZ方向の振幅、ならびに/または、
- X方向と比較したY方向への、好ましくはX方向と比較したYおよびZ方向への位相ずれ
に対する焦点面および/または材料表面にわたるレーザエネルギーの時空間分布による焦点振動方式を生ずることによって決定されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法であって、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の前記遷移相を決定するにあたり、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の前記第1の特定の動的レーザビーム形状を前記第2の特定の動的レーザビーム形状に伝達する伝達関数fが適用され、前記伝達関数fが前記第1の動的レーザビーム形状の周波数、振幅、および/もしくは位相ずれを変化させ、かつ/または前記伝達関数が一次関数もしくは対数関数であってもよいことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の前記遷移相を決定するための前記遷移工具(104)が、互いに異なる2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
レーザ切断機(L)のための異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定することにより前記レーザ切断機(L)を制御するための制御命令(ci)を提供する制御部(100)であって、前記レーザ切断機(L)が、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実行するために、前記レーザビームの前記形状を動的に変化させるための少なくとも1つの光学モジュール、具体的には動的レーザビーム成形モジュール(DBSM)を備える制御部(100)において、
- 加工物の部分を切り離すために処理すべき切断計画を受け取るための切断計画インターフェース(101)であって、各部分が、列になって順序付けられる切断区分からなる切断輪郭によって画定される、切断計画インターフェース(101)と、
- あらかじめ定義された評価基準に従って、動的レーザビーム形状の組から特定の動的レーザビーム形状を切断区分の前記列における各切断区分に割り当てるように構成されている、割当工具(102)と、
- 2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するための遷移工具(104)であって、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が、遷移時間(t)以内に、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される、遷移工具(104)と、
- 切断区分の前記列の各切断区分に対する特定の動的レーザビーム形状を決定するために、前記割当工具(102)に反復的にアクセスするように構成されたプロセッサ(P)であって、前記プロセッサ(P)が、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の全ての遷移相を決定するために前記遷移工具(104)にアクセスするようにさらに構成されており、前記プロセッサ(P)が、
- 前記割当工具(102)によって決定された、切断区分の前記列における前記切断区分のそれぞれに対する前記特定の動的レーザビーム形状を適用すること、および、
- 前記受け取った切断計画に従って切断すべき全ての部分の前記切断区分のそれぞれに対する2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の前記遷移相であり、前記遷移工具(104)によって決定された前記遷移相、を適用することによって、前記受け取った切断計画を実行するための前記レーザ切断機(L)を制御するために制御命令(ci)を提供するように構成されている、プロセッサ(P)と
を備えることを特徴とする、制御部(100)。
【請求項12】
コンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムコードが、プロセッサ(P)によって実行される際、前記プロセッサ(P)に請求項1から10のいずれか1項に記載の方法のステップを行わせることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶されていることを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームの形状を動的に変化させるための少なくとも1つの光学モジュール、例えば動的レーザビーム成形モジュールを備えるレーザ切断機によるレーザ切断に関する。詳細には、本発明は、レーザ切断中に異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定するための方法、制御部、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断の適用において、品質の高さおよび性能の高さが中でも重要な要素となる。
【0003】
一般的に、レーザ切断工程は、特に生産性および品質のような相反する要求に最適化されていてもよい。レーザビームは、例えばスポットの大きさ、レーザビーム形状、およびレーザ出力により定義される特定のエネルギー分布を伴って材料に作用するため、レーザ切断ヘッドの送り速度(feed rate)が高いほど生産性は高くなるが品質は落ちる場合がある。切断のために重要な要素は、吸収したレーザエネルギーを熱に変換し材料を溶融することである。エネルギー共役は多数の要素によって決定され、例えば切みぞ状態と相互作用する。
【0004】
上述の要求に最適化するために、先行技術においては、例えば強度分布、スポットの大きさ、レーザビーム形状、および焦点位置を変化させることによってビームプロファイルに影響を与えることが知られている。そのような変形を得るための第1の選択肢は、空間的方法により普及している静的ビーム成形(SBS:static beam shaping)をもたらす。SBSを使用することによって、処置の開始前にレーザビームが提供され、それ以上変化させることはできない。第2の選択肢は動的特性を有するレーザビームを変形することである。この場合、動的レーザビーム成形(DBS:Dynamic laser beam shaping)によって、レーザビームの特性は加工中に変化できる。代替的に、いくつかの空間的変調方法が、例えば補償光学系によって動的にさらに行われてもよい。この点について、Lasers in Manufacturing Conference 2017におけるIWSのシンディ・ゴッポルト(Cindy Goppold)、トーマス・ピンダー(Thomas Pinder)、パトリック・ハーウィグ(Patrick Herwig)による「Dynamic beam shaping for thick sheet metal cutting」が参照される。
【0005】
DBSを使用する際、材料表面にわたるレーザエネルギーの時空間分布によって、小さくなるスポットの大きさに対して切みぞ寸法を十分なものにして取得可能なレーザエネルギーを得るという重要な課題が取り組まれる。この目的のために、小さいスポットの大きさでの高いレーザエネルギーは周期的に変動し、送り速度と重ね合わされる。従って、エネルギーは生成される切みぞ周りに分布され、それによって人工的なより大きいスポットとして機能する。その上、切みぞの幅は大きくなり、妨害されずに溶融吐出を起こす。さらに、材料に対するレーザビームの相互作用時間が減少するため、その分布は蓄熱を防止する。
【0006】
DBSを適用するために、レーザ切断機には動的レーザビーム成形モジュールが装備される。そのようなDBS適用の例示的実施形態が、国際公開第2019145536A1号に記載される。
【0007】
特許文献1から、レーザ加工ビームおよび特にその空間的強度プロファイルを迅速に変形することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/059490号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/2198335号公報
【特許文献3】国際公開第2019/179603号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2020/331096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、動的レーザビーム成形を適用する際に、切断結果の品質を改善し融通性を向上させることである。
【0010】
この目的は添付の独立請求項によって達成される。さらなる有利な実施形態および特徴が従属請求項および以下の説明において述べられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、本発明は、レーザ切断機によるレーザ切断のために異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定するためのコンピュータ実装方法に関する。レーザ切断機は、例えば動的レーザビーム成形モジュールとして実装され得る、レーザビームの形状を動的に変化させるための少なくとも1つの光学モジュールを備える。上記方法は、
- 加工物の部分を切り離すために処理すべき切断計画を受け取る方法ステップであって、各部分が、列になって順序付けられる切断区分からなる切断輪郭によって画定される、方法ステップと、
- あらかじめ定義された割当基準に従って、動的レーザビーム形状の組から特定の動的レーザビーム形状を切断区分の列における各切断区分に割り当てるように構成されている、割当工具を提供する方法ステップと、
- 切断区分の列の各切断区分に対する特定の動的レーザビーム形状を決定するために、割当工具に反復的にアクセスする方法ステップと、
- 2つの(事前に決定された)連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するための遷移工具を提供する方法ステップであって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が、遷移時間(t)以内に、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形され、遷移時間(t)が「0」に等しくなく、特に0msより大きく、遷移時間が0.05msと10.000msとの間の範囲内にあってもよく、遷移時間が2つの連続する遷移区域の間の円滑な遷移を提供するための時相である、方法ステップと、
- 2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の全ての遷移相を決定するために遷移工具にアクセスする方法ステップと
- 受け取った切断計画を実行するためのレーザ切断機を制御するために、決定された遷移相と共に制御命令を提供する方法ステップであって、
- 割当工具によって決定された、切断区分の列における切断区分のそれぞれに対する特定の動的レーザビーム形状を適用すること、および、
- 受け取った切断計画に従って切断すべき全ての部分の切断区分のそれぞれに対する2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の決定された遷移相であり、遷移工具によって決定された遷移相、を適用すること、によって行われる方法ステップと
を少なくとも含んでもよい。
【0012】
本発明によるこの方法および解決策を用いることで、1つの動的レーザビーム形状から直後のまたは連続する形状への急激な切り替え(hard switch)が起きないため、輪郭の誤差がさらに最小化され、切断品質が向上される。異なる動的レーザビーム形状の間の遷移が円滑になり改善される。従って、向上された切断品質は、切断縁の平滑性の向上、バリ(切断縁に隣接する溶融物の溶着)の最小化、溶融粒子の排出の最小化、および切断中にレーザビームが分離(tear-off)する危険性の最小化を含む。
【0013】
好ましい実施形態において、遷移は、特に速度依存性のアルゴリズム的に計算されてもよい。
【0014】
遷移時間(遷移の継続時間)は、遷移時間アルゴリズムによって自動的に求められるかまたは計算されてもよい。遷移時間アルゴリズムは、2つの連続する区分および/または適用される動的レーザビーム形状の間の遷移の時間を求めるように構成されていてもよい。遷移アルゴリズムは、2つの連続する区分の切断速度、切断区分の種類、および/または遷移区域前後のリサジュー図形の種類からなる群から選択される遷移パラメータ、ならびに材料の種類および/または材料の厚さなどの、切断すべき材料の材料特性に基づいて、2つの連続する区分のそれぞれの間の遷移時間を計算するように構成されていてもよい。
【0015】
割当工具による区分に対する動的レーザビーム形状の割当は、各区分に対して次々と反復的に実行される。割当は好ましくは区分に特異的である。異なる種類の区分(例えば湾曲部または直線)は異なる動的レーザビーム形状に割り当てられる。
【0016】
好ましい実施形態において、上記方法は中間確認ステップをさらに含んでいてもよい。割当(区分および動的レーザビーム形状)がプロセッサによって計算された後、この割当は確認のためにユーザインターフェースに提供されてもよい。確認信号が検知された場合、計算された割当が適用されてもよい。そうでない場合、訂正測定が開始されてもよい。訂正測定は、他の(最適化された)割当を計算するためのオフラインアルゴリズム(オフラインは、例えば切断手順から独立していること、および/または切断手順中でないことを意味してもよい)として実装されてもよい。代替的にまたは加えて、訂正測定はオンラインアルゴリズム(オンラインは、例えば切断手順中であることを意味してもよい)として実装されてもよい。「他の(最適化された)割当」は手動入力を通じてユーザによってユーザインターフェースで手動決定されてもよく、および/または例えば他の割当の履歴データもしくは統計的評価(例えば平均値)を考慮に入れることによってアルゴリズム的に決定されてもよい。
【0017】
一般に、レーザ切断機は、レーザビームの動的な変化を補助するかまたは引き起こす2つ以上の光学モデルを含んでいてもよい。例えば、一方がX方向への移動用で他方がY方向への移動用である、2つのガルバノスキャナミラーが使用されてもよい。代替的にまたは加えて、3次元ビーム成形が、X/Y変動のための2軸線モジュール、および/またはビーム軸線の方向に移動するためのZ振れモジュールによって実現されてもよい。代替的にまたは加えて、CIVANレーザシステムが、例えば32個の単一の光学モジュールの相互接続により、ビームを成形するために使用されてもよい。
【0018】
有利な実施形態によれば、切断区分は、
- 直線、
- 設定可能な特定の半径を有する円または円区分、
- 設定可能な特定の角度を有する角、
- パラメータ化された湾曲部、
- 貫入部(pierce-in)、
- 導入部(lead-in)、
- 導出部(lead-out)、および/または、
- 刻印
を含む群から選択される。
【0019】
他の有利な実施形態によれば、割当工具および/または遷移工具(これらの用語は本文において後に定義される)は、訓練済みモデル、具体的にはニューラルネットワークモデルを備えるかまたはアクセスしてもよい。ニューラルネットワークは、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)であってもよい。
【0020】
ニューラルネットワークは、2つの連続する切断区分間で動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定するように訓練されている。例えば、区分iおよび区分i+1について、ニューラルネットワークまたは機械学習モデルは、区分iと区分i+1の間で動的レーザビームを変形させるための遷移相を提供するように訓練されている。訓練済みニューラルネットワークモデルは、制御部とデータ交換を行う、例えばクラウドベースサーバに記憶されていてもよい。
【0021】
(深層)機械学習アルゴリズムはデータおよび演算集約的であり、従って好ましくは、グラフィック処理装置(GPU:graphics processing unit)もしくはテンソル処理装置(TPU:tensor processing unit)またはプロセッサのネットワークにおいて演算される。ニューラルネットワークの各層は、強力な超並列化可能プロセッサ、特にマルチコアまたはメニーコアプロセッサにおいて演算され得る。演算部は、グラフィックスカードまたは上述の他のハードウェアモジュールとして好ましくは設計されているか、またはそれらを備える。
【0022】
機械学習モデルは好ましくは、第1および第2の切断区分のどの特性/特徴、特にどの空間的および/または時間的特性が遷移相の決定に関連するかといった特性(または特徴や特徴抽出)の先行分析を行わずに、遷移相を認識するように訓練されていてもよい。
【0023】
代替的にまたは加えて、特徴抽出機(feature extractor)が含まれない(または特徴が含まれない)アルゴリズムが適用されてもよい。これは、いわゆる端対端アルゴリズムが実装され得ることを意味する。この文脈での「端対端」とは、生データ、すなわち取得された遷移相が、多量の前処理なしに、特に切断区分の特徴の手動決定およびその処理なしに使用され得ることを意味する。その後、取得された遷移相は、機械学習アルゴリズム(以下、短縮してML(Machine Learning)アルゴリズムとも呼称される)を用いて、結果に至るまでさらに処理(例えば分類)される。この文脈での「顕著な前処理なしに」とは、ヒストグラム均等化、画像深度の削減、および/または関心領域(ROI:region of interest)の切り取りなどのあまり重要でない前処理を除くことを意味する。特に、端対端手法は、学習に重要な「特徴」を抽出するために生データの個別の前処理を必要としない。先行する特徴抽出を伴う古典的なML手法と比較して、ここで提起される解決策においては、分類機(classificator)だけではなく好ましくは特徴抽出機も同ステップでアルゴリズムにより訓練される。従って、これは、入力データ(切断区分)から表現およびさらに「特徴」をもアルゴリズムが独立的に計算または学習することを意味する。この関係性を認識するべく、アルゴリズムは、入力データを分類するために、入力データの最良の表現を独立的に見つけねばならない。本発明の好ましい実施形態において特性値(「特徴」)が抽出される必要がないという事実は、いくつかの点で有利である。まず、重要な特徴が検知される必要がなく、決定される必要がなく、抽出される必要がないため、アルゴリズム開発の労力が単純化され得る。
【0024】
さらに、「特徴が含まれない」アルゴリズム開発では、最も多くの情報を含む最も重要な特徴が見落とされるおそれがあるという危険性が存在しないという点が有利である。最後に、必要不可欠な情報は、極めて複雑であるか、重ね合わされているか、または把握がほぼできない、切断順序の特徴の信号、画像、または表現に含まれていることも多いため、最適な特徴分析が難しくなる。従って、ここで実装される深層学習手法が、特徴抽出を全く伴わずに、特徴抽出機に基づく手法より優れていることは驚くべきことではない。
【0025】
ニューラルネットワークは、適用される遷移相での切断結果の評価を含む、注釈が付けられたまたは部分的に注釈が付けられた訓練データに基づいた訓練アルゴリズムによって訓練されていてもよい。訓練アルゴリズムは、教師あり学習方法、または半教師あり学習方法であってもよい。訓練アルゴリズムは履歴データに基づいてもよい。強化学習方法が、モデルを更新または適合するためにさらに使用されてもよい。強化学習方法は、レーザ切断工程および遷移相についての初期データおよび(事前)知識なしに、この複雑な問題に対する解決策を見つけることを可能にする。加えて、強化学習により、時間を必要とする訓練データの収集および処理が不必要になる。
【0026】
遷移相を切断区分の順序に対応付けるために、CNNまたは深層ニューラルネットワーク(DNN)が適用され得る。代替的にまたは加えて、いわゆるゲート付き回帰型ユニット(GRU:gated recurrent units)または長・短期記憶ネットワーク(LSTM:long short-term memory networks)が、特に時間依存性の特徴を学習するためにCNNと組み合わせて、適用され得る。
【0027】
他の有利な実施形態によれば、遷移工具は評価工具を備え、評価工具は、ユーザインターフェースを使用することにより手動で、および/または評価データセットを提供するための知覚自動評価部により自動で、決定され適用された特定の動的レーザビーム形状および/または遷移相を評価するように構成されている。知覚自動評価部は、工程内光学システム、特にカメラ、および/またはダイオードの組を備えていてもよい。また、双方が組み合わされていてもよく、その結果、半自動モードとして提供され得る双方のモード(自動および手動モード)が確認ステップとして使用されてもよい。従って、例えば、まず知覚自動評価部が、(ヒューマンマシンインターフェースを通じた)手動入力により確認ステップの対象となり得る第1の評価データセットを自動的に提供してもよい。手動入力に基づいて、第2の評価データセットが生成される。第2の評価データセットは第1の評価データセットと比較されてもよく、偏差が事前に設定された閾値よりも高い場合、評価がさらなる査定および/または確認の対象となり得ることを示す警告メッセージが生成されてもよい。
【0028】
他の有利な実施形態によれば、評価データセットは、品質評価、性能評価、エネルギー消費評価、および/または工程安定性評価を含む、様々な評価の共通的な基準の設定可能な分配を設定することを含み、それら様々な評価基準は、ヒューマンマシンインターフェースで提供されるユーザインターフェース選択ボタンでモデル化される相互依存性を有する。ユーザインターフェース選択ボタンは、整合性のない入力がもはや不可能であるように構成されている。従って、例えば、ユーザが最高位の品質と、さらに最高位の性能と、さらに最低位のエネルギー消費とを入力したい場合、これは整合性がないと評価され許容できる入力として否認される。ユーザは修正された値を入力するように要求される。
【0029】
他の有利な実施形態において、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれに対する遷移相は、材料特性の種類および/または切断機の種類について具体的に決定される。材料特性の種類は、材料種(鋼、合金、アルミニウムなどの材料の種類)、および/または材料の厚さ(例えば0.1mmから100mmの間の厚さを有する平坦な材料に対する厚さ)を含んでもよい。
【0030】
他の有利な実施形態において、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれに対する遷移相は、レーザ切断ヘッドの速度、および/もしくは加速度、および/もしくは躍度、ならびに/または切断区分の種類、ならびに/またはレーザ出力および/もしくはドライブの動的限界を含むレーザ切断工程パラメータ、に基づいて決定される。
【0031】
他の有利な実施形態において、遷移相は、
- XおよびY方向の、好ましくはX、Y、およびZ方向の周波数、
- XおよびY方向の、好ましくはX、Y、およびZ方向の振幅、ならびに/または、
- X方向と比較したY方向への、好ましくはX方向と比較したYおよびZ方向への位相ずれ(phase shift)
に対する焦点面および/または材料表面にわたるレーザエネルギーの時空間分布による焦点振動方式を生ずることによって決定される。
【0032】
代替的にまたは加えて、動的レーザビーム形状は、レーザビームの直径の変化を伴う(Z方向への)振れと組み合わされてもよい、(周波数および/または振幅に対する)XおよびY方向への焦点の振動によって変化する。
【0033】
代替的にまたは加えて、輪郭の誤差が求められても(推定および/または測定されても)よく、これら求められた輪郭の誤差は補償される。輪郭の誤差の補償は割当の修正された計算により実行されてもよい。輪郭の誤差の測定は例えば同軸線上のカメラにより実行されてもよい。
【0034】
輪郭の偏差は、各位置または時間ステップに対するXおよびY方向の以前の測定値(cx(t),cy(t))により、知られる。輪郭の誤差を補償するための方法が少なくとも2つ(補正、DBS振幅)存在する。
【0035】
方法補正
この輪郭誤差値は動的レーザビーム形状用の補正値として使用される。輪郭誤差は部分/時間にわたって変動するため、各位置/時間ステップは異なる補正値を有する。
【0036】
例:
・動的レーザビーム形状はリサジュー図形LF
1である。
【数1】
・輪郭誤差補償リサジュー図形はLF
2である。
【数2】
【0037】
DBS振幅
補正を用いる代わりに、動的レーザビーム形状の振幅が部分/時間にわたって適合されてもよい。
例:
【数3】
【0038】
他の有利な実施形態において、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するにあたり、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状を第2の特定の動的レーザビーム形状に伝達する伝達関数fが適用され、伝達関数fは第1の動的レーザビーム形状の周波数、振幅、および/または位相ずれを変化させる。さらなる他の有利な実施形態において、伝達関数fは、一次関数、より高次の指数関数、三角関数、または対数関数であってもよい。
【0039】
他の有利な実施形態において、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するための遷移工具は、互いに異なる2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するように構成されている。通常、第1の切断区分は連続する第2の切断区分と定義ごとに異なる。例えば、第1の切断区分は直線区分であってもよく、第2の切断区分は湾曲を有する角区分であってもよい。この場合、第1の切断区分は第2の切断区分と異なる。しかし、切断区分の列は異なる形で定義されてもよく、従って第1の切断区分は第1の種類であってもよく、第2の切断区分は同じ(第1の)種類であってもよい。後者の場合、遷移工具はアクセスされる必要がなく、従って、演算資源の消費を減らすために、遷移相は2つの同一または類似の連続する切断区分の間では計算されない。切断区分の定義は、ユーザの入力によって、先行する設定段階において設定されてもよい。切断区分の類似点は事前に定義された方式に従って定義されてもよい。例えば、直線区分と、それに続く、僅かに異なる角度をなす他の直線区分とは、類似すると判断されてもよい。閾値が本方法の準備段階において定義されてもよい。
【0040】
ここまで、特許請求される方法に関して本発明を説明してきた。本明細書における特徴、利点、または代替的実施形態は、他の特許請求される対象(例えばコンピュータプログラムまたは制御部)に与えられてもよく、その逆も同様である。換言すれば、装置またはデバイスは、本方法の文脈で説明されるかまたは特許請求される特徴によって改善されてもよく、その逆も同様である。この場合、本方法の機能的特徴は、装置、デバイス、またはシステムの構造部によってそれぞれ具体化され、その逆も同様である。一般に、コンピュータサイエンスにおいて、ソフトウェアの実装および対応するハードウェアの実装(例えば組み込みシステムとして)は均等である。従って、例えば、データ(例えば切断計画)を「受け取る」ための方法ステップは、インターフェースおよびデータを受け取るためのそれぞれの命令により行われてもよい。冗長さを回避するため、デバイスは本方法に関して記載される代替的実施形態でも使用されてもよいが、これら実施形態はデバイスについては再び明確に記載されない。
【0041】
他の態様によれば、上述の目的は、レーザ切断機のための異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定することによりレーザ切断機を制御するための制御命令を提供する制御部によって、解決される。レーザ切断機は、好ましい実施形態において動的レーザビーム成形モジュールとして実装され得る、レーザビームの形状を動的に変化させるための少なくとも1つの光学モジュールを備える。制御部は上記のように本方法を実行するように構成されている。制御部は、
- 加工物の部分を切り離すために処理すべき切断計画を受け取るための切断計画インターフェースであって、各部分が、列になって順序付けられる切断区分からなる切断輪郭によって画定される、切断計画インターフェースと、
- あらかじめ定義された評価基準に従って、動的レーザビーム形状の組から特定の動的レーザビーム形状を切断区分の列における各切断区分に割り当てるように構成されている、割当工具と、
- 2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するための遷移工具であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が、遷移時間以内に、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される、遷移工具と、
- 切断区分の列の各切断区分に対する特定の動的レーザビーム形状を決定するために、割当工具に反復的にアクセスするように構成されたプロセッサであって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の全ての遷移相を決定するために遷移工具にアクセスするようにさらに構成されており、プロセッサが、
- 割当工具によって決定された、切断区分の列における切断区分のそれぞれに対する特定の動的レーザビーム形状を適用すること、および
- 受け取った切断計画に従って切断すべき全ての部分の切断区分のそれぞれに対する2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の決定された遷移相であり、遷移工具によって決定された遷移相、を適用することによって、受け取った切断計画を実行するためのレーザ切断機を制御するために制御命令を提供するように構成されている、プロセッサと
を備えていてもよい。
【0042】
他の態様において、本発明はコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムに関し、コンピュータプログラムコードは、プロセッサによって実行される際、プロセッサに上記のような方法のステップを行わせる。
【0043】
他の態様において、本発明は上記のようなコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0044】
以下において、本出願内で使用される用語が定義される。
【0045】
上記少なくとも1つの光学モジュールは、レーザビームの動的な変化を補助するおよび/または引き起こすように構成されている。上記少なくとも1つの光学モジュールは動的レーザビーム成形モジュールを備えていてもよい。動的レーザビーム成形モジュールは、切断計画に従って輪郭を切断する間にレーザビームの形状を動的に変化させるように構成されている。動的レーザビーム成形モジュールは、振れ、および/または動的レーザビーム成形を適用してもよい。動的レーザビーム成形モジュールは、前述の選択肢の組み合わせ、すなわち、焦点位置の振れにより変動可能なレーザビーム直径の使用およびDBSパラメータ(X、Y軸)の使用の組み合わせも使用するように構成されていてもよい。
【0046】
切断区分は、典型的には、切断区分の順序付けられた連なりまたは列に設けられている。切断区分は、第1の切断区分が第2の切断区分に先立ち、第2の切断区分が第3の切断区分に先立つ、といったように順序付けられている。切断区分および/または切断区分の列は、切断計画において定義されてもよく、または切断計画内のデータから計算されてもよい。具体的には、列は、切断すべき加工物の表面にわたって移動するレーザ切断ヘッドの切断方向に基づく。切断区分は、実行すべき切断計画に従った幾何学的形状での異なる種類の切断を表す。切断区分は、例えば、直線、角を表してもよい、変動する半径を有する湾曲部(パラメータ化された湾曲部)、円もしくは円区分、貫入部、導入部、導出部、および/または刻印、であってもよい。
【0047】
遷移相は、切断区分の列における2つの連続する切断区分に対して第1の特定の動的レーザビーム形状を連続する第2の特定の動的レーザビーム形状に変形させるための、空間的および/または時間的相として解釈されるべきである。遷移相は、異なる2種類の区分間、および/または異なる2種類の適用される動的レーザビーム形状間での遷移を意味する。遷移相は、遷移区域または模様として表されてもよい。遷移相は、切断速度により2つの区分間の遷移を定義することによって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間で円滑な変形がもたらされるように構成されていてもよい。最大切断速度を有する直線に沿って、例えば蹄鉄形状が、ユーザにより定義された性能基準に最もよく適するものとみなされる。切断速度が遅いほど、最良とみなされる動的レーザビーム形状はより円形になる。例えば最大速度時、速度ゼロ時の角、およびそれらの間における動的レーザビーム形状などの、遷移の異なる相が提供されてもよい。さらなる例が詳細な説明において提供される。
【0048】
加工物は金属加工物であってもよい。加工物はシート状または管状加工物であってもよい。加工物は、例えば、異なる種類であり、かつ/または異なる厚さを有する金属シートであってもよい。典型的には、切断計画は、加工物から切り離される必要がある部分を定義する。加工物から切り離すべき部分は、部分ごとに異なっていてもよい特定の輪郭を有していてもよい。例えば、第1の組の円形部分は加工物から完全に切り離される必要があり、第2の組の矩形部分は切り離される必要がある。切り離すべき各部分は切断輪郭によって定義されてもよい。切断輪郭は、1組のまたは複数の切断区分からなってもよい。例えば、矩形部分は、第1の直線区分としての第1の区分と、それに続く角区分(半径)になる第2の区分と、それに続く第2の直線区分になる第3の区分と、それに続く角区分になる第4の区分と、それに続く再度第1の直線区分になる第5の区分と、などを備えていてもよい。切断輪郭は上面視からの部分の形状を定義する。
【0049】
切断区分の列は、切断ヘッドの移動方向によって定義される。列は、順々に切断される切断区分の順序付けられた目録である。
【0050】
各切断区分に対して、特定の動的レーザビーム形状が定義され、本明細書に提起される解決策はこれら切断区分間の遷移区域を決定することに重点を置く。全ての切断区分および遷移区域に対して、切断パラメータである、
・レーザビームの焦点
・レーザ
・出力
・周波数
・パルス幅
・送り速度(所望の切断速度)
・切断速度(移動軸線の幾何学的形状および動的能力に依存する)
・ノズルの距離
・ノズルの種類および直径
・ガス圧
・DBSパラメータ(XおよびY方向への偏向)
・X方向
- 周波数
- 振幅
・Y方向
- 周波数
- 振幅
・位相ずれ
・Z方向への焦点位置の振れ
- 周波数
- 振幅
が定義される必要がある。
【0051】
レーザ切断機は、レーザ照射による加工物材料の熱分離のために、加工物にレーザビームを当てるように構成されている。加工物は、最大12メートルの切断長さおよび2から3メートルの幅を有する管状加工物または平坦なシート状加工物であってもよい。レーザ切断機は、管または屈曲部のような3次元金属シートのために構成されていてもよい。
【0052】
レーザ切断機には少なくとも1つの光学モジュールが装備されている。レーザ切断機は、例えば(例えば国際公開第2019145536A1号に記載されるような)レーザスキャナ光学系、または(例えば国際公開第2019/145536A1号に記載されるような)レーザビーム軸線に垂直なXおよびY方向に作動または振動するレンズ光学系を備えていてもよい、例えば動的レーザビーム成形モジュールを備えていてもよい。動的レーザビーム成形(モジュール)(DBSM)、の技術的目的は品質および/または性能の改善である。特定の態様において、加工物のより広い面積にエネルギーを提供するためにDBSMが使用されてもよい。具体的には、(部分の以後の自動化/分類をより容易にする)より広い切りみぞ幅のために、スポットの大きさを大きくするべく、動的レーザビーム形状のより高い振幅および/または異なる焦点位置が選択され使用されてもよい。さらに、高出力のレーザによるより短い相互作用時間(より少ない蓄熱)によって、DBSMは材料特性に与える損傷がより小さくなるように機能し、これは大幅な改善となる。品質改善に関して、標準的切断パラメータ(焦点位置、レーザ出力、ガス圧など)の中で、追加的な動的レーザビーム形状を使用することで、それに応じた切断パラメータおよび動的レーザビーム成形パラメータを選択して、より高次元のパラメータ空間を伴ったより高い品質および/またはより高い性能に達することが可能となる。さらに、動的レーザビーム形状を変化させる能力により、(角および遷移においても)全体的な品質および/または性能が改善されてもよく、直線および角に対しては妥協のある設定は要求されない。(例えば切断速度に依存する)遷移相の間に、動的レーザビーム形状を適合させることが好ましい。動的レーザビーム成形は、異なるビーム成形周波数を伴って適用されてもよい。ビーム成形周波数は100Hzから1MHz以上の間の範囲内であってもよく、好ましくは100Hzから900kHzの間の範囲内、または100Hzから数百kHzの間の範囲内であってもよい。好ましくは、ビーム成形周波数は上述の方向、すなわちX、Y、およびさらにZ方向、のそれぞれにおいて変動されてもよい。好ましい実施形態において、ビーム成形周波数はこれら方向のそれぞれにおいて異なって設定されてもよく、従って、例えばX方向において例えば200Hzの第1のビーム成形周波数が適用されてもよく、Y方向において例えば900kHzの第2のビーム成形周波数が使用されてもよいことが指摘されねばならない。各方向についてのビーム成形周波数の設定は、ユーザインターフェースにおいて互いから独立して設定され構成されてもよい。
【0053】
上述のようにビーム成形周波数を変化させることに代替的にまたは加えて、レーザパルス周波数も変動されてもよい。レーザパルス周波数は0から5kHzの間で変動されてもよい。典型的には、レーザパルス周波数は、エネルギー入力がパルスによって調整されるように、例えば刻印、パルス切断(例えば貫入時、湾曲部、角部)などの特定の用途にのみ使用される。特定の態様において、加工物に与えるべきエネルギーを低減するためにレーザビームのパルス周波数を変化させることが使用されてもよい。レーザパルス周波数の設定は、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)、またはユーザインターフェースで構成されてもよい。HMIは、各別個の方向についてのビーム成形周波数の構成、および、さらにレーザパルス周波数の構成のための設定を、組み合わせてまたは別々に提供してもよい。
【0054】
割当工具および/または遷移工具は電子モジュールであり、プロセッサを有するハードウェアモジュールに実装されるソフトウェアモジュールであってもよく、またはハードウェアモジュール(例えば下記のようなFPGAやASIC)であってもよい。本発明の文脈において、「プロセッサ」は、例えば機械または電子回路を意味すると理解されてもよい。具体的には、プロセッサは、プログラム命令などを記憶するための記憶部と組み合わせられることがある、例えば特定用途用集積回路またはデジタル信号プロセッサなどの、中央処理装置(CPU:central processing unit)、マイクロプロセッサ、またはマイクロコントローラであってもよい。プロセッサはさらに、例えば、具体的には現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)もしくは特定用途用集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)などである集積回路(IC:integrated circuit)、例えば具体的にはいくつかのいわゆるダイが互いに直接的にもしくはインターポーザを介して接続されている例えば2.5次元もしくは3次元複数チップモジュールなどの複数チップモジュール、またはデジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)もしくは画像処理装置(GPU:Graphic Processing Unit)、であってもよい。プロセッサはさらに、仮想化プロセッサ、仮想機械、またはソフトCPUであってもよい。プロセッサはさらに、例えば、FPGAやASICのような、本発明による上記方法を行うための構成ステップを備えるプログラム可能なプロセッサか、プログラム可能なプロセッサが本発明の方法、構成要素、モジュール、または他の態様および/もしくは部分的な態様の本発明による特徴を実装するように構成ステップを伴って構成されるプログラム可能なプロセッサであってもよい。割当工具および/または遷移工具は、レーザ切断機を制御するための制御装置の一部であってもよく、または制御装置とデータ接続されている別個のモジュールであってもよい。
【0055】
割当工具は、特定の動的レーザビーム形状を特定の切断区分に割り当てるように構成されていてもよい。単純な形式では、割当工具は入力の組を有するテーブルデータ構造として提供されてもよく、関連する動的レーザビーム形状を推測するために特定の切断区分と共に、またはその逆で、アクセスされてもよい。
【0056】
割り当てるステップは、規則に基づく連合アルゴリズムを適用することで延長されてもよい。連合アルゴリズムの規則は、割当工具によりネットワーク接続を介してアクセスされ得る、割当工具の規則記憶装置および/または他の外部の記憶装置に記憶されていてもよい。極めて要約的で包括的で単純化された様式において、規則は、例えば、
- 区分1は形状1(動的レーザビーム形状1の短縮形)
- 区分2は形状2
- 区分3は形状3
- 区分4は形状1
- 区分5は形状3
- 区分6は形状4
などのような形式であってもよく、ここで区分はその種類によって定義される。上記種類は、直線、円(区分)、角、パラメータ化された湾曲部、貫入部、導入部、導出部、および/または刻印からなる群から選択されてもよい。
【0057】
上記規則は、動的レーザビーム形状に対する遷移相を決定するための方法を実行することから独立して、修正されてもよい。
【0058】
連合アルゴリズムは、特定の区分の幾何学的データ、および/または特定の区分に対して設定される切断速度を考慮に入れるように構成されていてもよい。
【0059】
遷移工具は、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の間の遷移相を定義するように構成されていてもよい。最大切断速度を有する直線に沿って、蹄鉄形状が、ユーザにより定義された性能基準に最もよく適するものとみなされる。切断速度が遅いほど、最良とみなされる動的レーザビーム形状はより円形になる。例えば最大速度時、速度ゼロ時の角、および設定可能な速度を伴うそれらの間における動的レーザビーム形状などの、遷移の異なる相が提供されてもよい。
【0060】
遷移相は、第1の特定の動的レーザビーム形状から次の形状への変形である。遷移パラメータは、伝達関数に従って定義されてもよい。
【0061】
伝達関数は、準備段階で構成されてもよくレーザ機の動作段階で修正すらされてもよい、関数の一覧または組から選択されてもよい。伝達関数は、記憶された伝達関数を含むデータベースから選択されてもよい。伝達関数は、例えば伝達関数一覧に従って定義されてもよい。
【0062】
最適なレーザビーム形状が部分の各区分に対して定義される。2つの隣接する区分の間の全ての遷移相の各遷移相は、経路速度、および/または加速度、および/または躍度に依存することが提示されている。速度、加速度、および躍度の依存の任意の組み合わせが可能である。速度にのみ依存する遷移相を決定することも可能である。
【0063】
代替的にまたは累積的に、遷移相はアルゴリズム的に決定されてもよい。
【0064】
代替的にまたは累積的に、遷移相は、材料特性(例えば材料の種類および/もしくは材料の厚さ)、リサジュー図形の種類、ならびに/または遷移相前後の切断区分の種類に基づいて遷移相を決定するように構成されているアルゴリズムにより、決定されてもよい。
【0065】
対応するレーザビーム形状は、例えば、リサジュー図形で表されてもよい。
【0066】
第1のリサジュー図形(LF)は、偏向x
1がX方向であり偏向y
1がY方向である、
【数4】
によって与えられる。X方向の偏向に対して、振幅A
1および周波数a
1が時間的推移φ
1と共に使用される。Y方向に対しても同様である。
【0067】
続く第2のLFは、
【数5】
によって与えられる。単純化するために、速度に依存する遷移のみが以下に示される。遷移区域内のLFは切断速度LF
t(V
c)に依存する。直線遷移は、
【数6】
により定義され、ここでFは送り速度(所望の切断速度)を表す。
【0068】
速度に依存する遷移はより高次の指数e
pも有してもよい。
【数7】
三角法的依存も可能である。例えば指数e
pを伴う、速度に依存する遷移は、
【数8】
となる。同様に、遷移関数は加速度または躍度への依存について公式化され得る。加速度の最大絶対値が
【数9】
である、加速度に依存する式は
【数10】
となる。躍度の最大絶対値が
【数11】
である、躍度に依存する式は
【数12】
となる。
【0069】
本方法は単一の依存性のみを使用することに限定されない。代替的に、速度、加速度、および/または躍度に依存する遷移の組み合わせが可能であり、有利な場合がある。
【0070】
評価工具は電子モジュールである。評価工具は、プロセッサを有するハードウェアモジュールに実装されたソフトウェアモジュールであってもよく、またはFPGAもしくはASICのようなハードウェアモジュールであってもよい。評価工具は、ユーザインターフェースを使用することにより手動で、および/または評価結果を表す評価データセットを提供するための知覚自動評価部により自動で、決定され適用された特定の動的レーザビーム形状および/または遷移相を評価するように構成されている。
【0071】
他の態様において、本発明はコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品に関し、コンピュータプログラムは、演算部の記憶部へ読み込み可能であり、コンピュータプログラムが上記演算部で実行されるときに上記のような遷移相を決定する方法を演算部に実行させるためのプログラムコード部分を含む。
【0072】
他の態様において、本発明は、コンピュータプログラムのプログラムコード部分が記憶または保存されるコンピュータ可読媒体に関し、上記プログラムコード部分は、プログラムコード部分が演算部で実行されるときに上記のような遷移相を決定する方法を演算部に実行させるために、演算部へ読み込み可能であり、および/または演算部で実行可能である。
【0073】
本明細書において本発明の方法のステップが記載される順番は、上記ステップが行われる時系列的順番を必ずしも反映するものではない。例えば、割当工具を提供するステップおよび遷移工具を提供するステップは他の順序で実行されてもよい。
【0074】
上記の本発明の特性、特徴、および利点、ならびにそれらが実現される方式は、図面に関してより詳細に説明される以下の説明および実施形態に照らして、より明確になり、より理解可能となる。この以下の説明は、包含される実施形態について本発明を限定するものではない。同一の構成要素または部分が、異なる図において同一の参照符号でラベル付けされてもよい。総じて、図は縮尺どおりではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】レーザ切断機のプログラム可能論理制御(PLC:programmable logic control)を命令するための制御部の概略図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態による割当工具の詳細な概略図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態による遷移工具の詳細な概略図である。
【
図4】本発明の好ましい実施形態による方法のフローチャートである。
【
図5a】加速度に依存する割当または遷移相の3つの例である。
【
図5b】加速度に依存する割当または遷移相の3つの例である。
【
図5c】加速度に依存する割当または遷移相の3つの例である。
【
図6】速度に依存する割当または遷移相の他の例である。
【
図7】躍度に依存する割当または遷移相の他の例である。
【
図8】割り当てられた遷移相を有する異なる切断区分の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明は、切断順序における第1の切断区分に適用される1つの動的レーザビーム形状からその後の切断区分の次の動的レーザビーム形状への変形のための遷移区域を定義するための工具を提供する。切断区分は、例えば、「貫入部」、「直線」、「円」、「湾曲部」、「角」などであってもよい。
【0077】
本明細書に記載される解決策の目的は、1つの動的レーザビーム形状(例えばリサジュー図形など)から次の動的レーザビーム形状への円滑な遷移を定義することであり、各動的レーザビーム形状は順々に続く切断順序の切断区分で使用される。
【0078】
可能な作業の流れは、
1)切断計画を読み込む、
2)データベースから設定データを読み込む、
a.HMIによって性能基準(ユーザにより定義される重み付け)を入力する、
b.材料設定データ(材料の種類および厚さ)を入力/読み込みする、
c.機械設定パラメータ(例えばレーザ出力、ドライブの動的限界)を入力/読み込みする、
d.各区分の幾何学的特性(区分の種類および長さ)を読み込み/抽出する、
e.切断順序における各区分種に対するあらかじめ定義された動的レーザビーム形状を読み込む、
f.全ての異なる動的レーザビーム形状の間の遷移区域を定義し読み込む、
3)切断計画に従って切断プログラムを実行する、
4)任意選択で、性能基準に基づいて、必要な場合に遷移区域を評価し適合させる
という流れであってもよい。
【0079】
図1は、概略図において、レーザ切断機Lを制御するためのプログラム可能論理制御(PLC)と対話するための制御部100を示す。
【0080】
制御部100は、レーザ切断機Lによるレーザ切断の間にまたはレーザ切断のために異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定するように構成されている。制御部100は、その上に実装したプロセッサPと、割当工具102と、遷移工具104とを備える。
【0081】
レーザ機Lは、少なくとも1つの光学モデル、好ましくは動的レーザビーム成形モジュールDBSMを備える切断ヘッドCHを有する。時空間ビーム発振は、例えば、レーザ切断ヘッドの視準されたビーム経路への統合が可能な、市販の高度に動的な2次元スキャナユニットによって実現され得る。従って、光学的特性は影響を受けない。上記スキャナは2つの振動鏡からなっていてもよく、各鏡は、特定の周波数および振幅によって定義される時間依存性の位置を有する。両方の鏡の間の位相ずれは、エネルギー分布を明示するための第5のパラメータである。動的レーザビーム成形モジュールDBSMの制御は、制御部100により提供される制御命令CIによって実行される。
【0082】
制御部100は、切断計画インターフェース101を介して切断計画を受け取るようにさらに構成されている。受け取った切断計画に基づいて、制御部100は、レーザ切断機Lの制御装置PLCに転送すべき制御命令CIを提供するようにさらに構成されている。レーザ切断機Lは事前に定義された切断計画に従って加工物を切断するように構成されている。例えば、いくつかの部分が加工物から切り離されてもよい。切断は、レーザビームの適用中にレーザ切断機Lのレーザ切断ヘッドを加工物にわたって移動させることによって実行される。レーザ切断機Lには動的レーザビーム成形モジュールDBSMが装備されていてもよい。動的レーザビーム成形モジュールDBSMは、例えばレーザビームの伝播方向に対する角度方向にレーザビームを発振することによって、レーザビームの形状を動的に変化させるように構成されている。
【0083】
制御部100には、好ましくは3つの異なるインターフェースが装備される:
1.第1に、切断計画を受け取るように構成されている切断計画インターフェース101、
2.第2に、計算され提供された制御命令CIを制御装置PLCに転送するように構成されている制御インターフェース103、および
3.第3に、ユーザとのデータ交換のために構成されているヒューマンマシンインターフェースUI。例えば、中間結果および最終結果がヒューマンマシンインターフェースUIに提供されてもよい。中間結果は、切断区分の列における切断区分のそれぞれに対する決定された特定の動的レーザビーム形状、および/または受け取った切断計画に従って切断すべき全ての部分の切断区分のそれぞれに対する2つの連続する動的レーザビーム形状のそれぞれの間の決定された遷移相に関してもよい。最終結果は制御命令CIを表してもよい。
【0084】
制御部100は割当工具102と遷移工具104とをさらに備える。割当工具102は、あらかじめ定義された割当基準に従って、動的レーザビーム形状の(記憶された)組から特定の動的レーザビーム形状を切断区分の列における各切断区分に割り当てるように構成されている。遷移工具104は、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するように構成されている。従って、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が、特定の遷移時間以内に、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される。
【0085】
図1に示される例示的実施形態において、レーザ切断機Lの制御装置PLCに加えて制御部100が別個のモジュールとして提供されている。例えば、制御部100がクラウドベースサーバに配備され、レーザ切断機Lの局所制御装置PLCとデータ交換してもよい。代替的実施形態において、制御部100をレーザ切断機Lの制御装置PLCに直接的に実装することも可能である。
【0086】
図2は割当工具102のより詳細な図を示す。割当工具102は、あらかじめ定義された割当基準に従って特定の動的レーザビーム形状を各切断区分に割り当てるために、割当アルゴリズムを実行するように構成されていてもよい。割当アルゴリズムは、所与の必要条件(割当基準)の下で割当を決定するための記憶された規則を含む規則ベースにアクセスしてもよい。代替的にまたは加えて、割当アルゴリズムは訓練済み機械学習モデルに基づいていてもよい。割当工具は、割当基準を受け取るように構成されている第1のインターフェース102-1と、切断区分のデジタル表現を(切断計画に従って切断すべき輪郭により画定される切断区分の列から順々に)受け取るように構成されている第2のインターフェース102-2と、動的レーザビーム形状の組を記憶するための記憶装置またはデータベースDBにアクセスするように構成されている第3のインターフェース102-3と、を備える。記憶装置はデータベースとして実装されていてもよい。割当工具102は、割当ステップの結果を提供するための、具体的には特定の切断区分に対して特定の動的レーザビーム形状を提供するための、第4のインターフェース102-4をさらに備える。割当基準は、割当モジュール、および/または手動入力、および/または記憶された割当基準を含む記憶装置にアクセスすること、によって定義されてもよい。
【0087】
図3は遷移工具104のより詳細な図を示す。遷移工具104は、割当工具102により提供された、第1またはi番目およびそれぞれ連続する第2またはi+1番目の特定の動的レーザビーム形状を受け取るための第1のインターフェース104-1を備える。さらに、遷移工具104は、ヒューマンマシンインターフェースHMIとして提供されてもよい第2のインターフェースUIを備える。この第2のインターフェースUIは、決定され適用された特定の動的レーザビーム形状および/または遷移相の手動評価を表す手動評価データセットを受け取るために機能してもよい。評価は、品質評価、性能評価、およびエネルギー消費評価、および/または工程安定性評価であってもよい。第2のインターフェースUIは、
図3で104-2と参照されて示されている自動評価部を使用することによる、自動評価の結果を提供するためにさらに機能してもよい。第2のインターフェースUIは、(ユーザ基準の)確認のための中間結果として、計算された遷移相を提供するためにさらに機能してもよい。遷移工具104は、結果インターフェース104-3として機能し、最終結果として決定された遷移相を提供するように構成されている、他のインターフェースをさらに備える。遷移工具104は、遷移区域または遷移相の決定を構成するための構成パラメータを提供するように構成されている、構成工具104-4をさらに備えていてもよい。例えば、構成工具104-4は、遷移相の決定または計算が速度依存、および/または加速度依存、および/または躍度依存であるべきかどうかを判断するために使用されてもよい。構成工具104-4は、数値入力または分類入力データを受け取ることにより評価を明示するためにヒューマンマシンインターフェースにそれぞれの入力欄を生成するソフトウェアモジュールとして提供されてもよい。
【0088】
図4は、レーザ切断のために異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定するための方法の実施形態のフローチャートを示す。上記方法の開始後、ステップS1において、切断計画が受け取られる。ステップS2において、割当工具102が提供される。ステップS3において、割当工具102は、切断区分の列の各切断区分に対する特定の動的レーザビーム形状を決定するために反復的にアクセスされる。ステップS4において、遷移工具104が提供される。遷移工具104は、決定された2つの特定の連続する動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するように構成されており、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状は、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される。ステップS5において、遷移工具104は、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の全ての遷移相を決定するためにアクセスされる。ステップS6において、決定された特定の動的レーザビーム形状を適用することによって、受け取られた切断計画を実行するためのレーザ切断機Lを制御するために制御命令CIが提供される。特定の動的レーザビーム形状は、割当工具102によって、および切断計画に従って切断すべき加工物の全ての部分の切断区分のそれぞれに対する遷移相を適用することによって決定され、遷移相は遷移工具104によって決定されている。その後、上記方法は終了してもよく、または
図4に点線で示されるように繰り返されてもよい。
【0089】
図5a、
図5b、および
図5cは、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相の、加速度に依存する決定を示す。
図5aの左側に、切断計画に従う切断輪郭の加速度プロファイルが示されている。X平面およびY平面において、X方向およびY方向の位置が示されており、Z軸に速度が表されている。
図5aの右手側に、左手側の加速度プロファイルにおいて(切断輪郭の右上角に)星形で表されている輪郭の位置に対する動的レーザビーム形状(ここでは円形)が示されている。一般に、切断輪郭区分(の点)および動的レーザビーム形状の整合は割当工具102によってもたらされる。
図5bは、
図5aで示されるものと同一の加速度プロファイル、および右側に示され割当工具102によって割り当てられた、他の動的レーザビーム形状を示す。
図5cは、
図5aおよび
図5bで示されるものと同一の加速度プロファイル、および
図5cの右側に示され割当工具102によっても割り当てられた、さらなる他の割当済みの動的レーザビーム形状を示す。
【0090】
図6は、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相の決定が、切断のために加工物表面にわたって移動されるレーザ切断ヘッドの切断速度に基づいて実行される、本発明の他の好ましい実施形態を示す。
図6の左手側で見られるように、速度プロファイルが、
図5で示されるものと同一の切断輪郭に対して示されている。
図6の右手側に、左手側で(切断輪郭の左下角に)星形によって示されている切断輪郭内の切断区分の箇所に対して割当工具102によって割り当てられる、特定の動的レーザビーム形状が示されている。
【0091】
図7は、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相の決定が躍度に依存して実行される、本発明の他の好ましい実施形態をさらに示す。従って、
図7の左手側に、躍度プロファイルが
図5および
図6の基礎でもある輪郭に対して示されている。
図7の右手側に、
図7の左手側に示されるような「星形」を(輪郭の右上角に)含む切断区分に割り当てられる、割当済みの動的レーザビーム形状が示されている。
【0092】
部分は異なる幾何学的寸法および形状を有し、その結果、レーザ切断工程に対する異なる条件(例えば切断速度)が生じる。幾何学的形状を異なる区分に分割することによって、これら区分のそれぞれに対する最適なレーザビーム形状が見つけられ得る。例えば、角区分は、直線区分と比較して別の切断特性を有していてもよく、一般により速い切断速度によって切断され得る。区分間での遷移は円滑な様式(区分間での連続する遷移)で行われる。少なくとも、以下の区分は適切である。
- 直線、
- 設定可能な特定の半径を有する円または円区分、
- 設定可能な特定の角度を有する角、
- パラメータ化された湾曲部、
- 貫入部、
- 導入部、
- 導出部、および/または
- 刻印
【0093】
図8は、主に2つの異なる切断区分および異なる遷移区域または遷移相を有する、例示的な切断輪郭を示す。
図8に示される例に見られるように、切断輪郭は、1つの円切り離し部(circle cut-out)を有する円要素の一部と、切り離し部の上方にあり円切断輪郭の右上部分にある小円切断区分と、を備える。遷移区域は左方斜線模様により
図8に示されている。
【0094】
参照符号81aは、外円切断輪郭に対する「貫入」切断区分を示す。参照符号81a2は、区分81aから区分82aまでの動的レーザビーム成形用遷移区域または模様を表す。後者の区分82aは、「導入直線」切断区分を表す。参照符号82a3は、区分82aと区分83との間の動的レーザビーム成形用遷移区域を示す。後者の区分83は「直線」切断区分を表し、角区分と比較してレーザ切断ヘッドがそこでより迅速に移動されてもよい。参照符号834は、区分83と区分84との間の動的レーザビーム成形用遷移区域または相を表す。区分84は「右回り角」切断区分である。参照符号845は、区分84と区分85との間の動的レーザビーム成形用遷移区域または相を表す。区分85は他の直線切断区分を意味する。参照符号856は、区分85と区分86との間の動的レーザビーム成形用遷移区域または相を表す。区分86は「左回り角」切断区分を表す。
【0095】
図8に見られるように、輪郭は、参照符号87によって
図8に表される他の円切断区分をさらに備える。この円輪郭は、
図8に81bと参照され表される「貫入」切断区分を有する。区分81bと区分82bとの間の動的レーザビーム成形用遷移区域は、参照符号81b2bによって
図8に表される。
【0096】
図9は、異なる動的レーザビーム形状およびそれらの間の遷移相に対する位置基準図を示し、そこでレーザビーム形状は、切断がまずX方向に行われ次いでY方向に行われる切断方向に配向されている。
【0097】
図面に関連して記載される個別の実施形態またはそれらの個別の態様および特徴は、すでに明記されていない全ての場合において、それらの組み合わせまたは交換に意義があり本発明の意味するところであればいつでも、記載される本発明の範囲を限定または拡張することなく互いと組み合わせられるかまたは交換されてもよい。本発明の具体的な実施形態または具体的な図に関して説明される利点は、適切である全ての場合において、本発明の他の実施形態の利点でもある。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ切断機によるレーザ切断のために異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定するためのコンピュータ実装方法であって、前記レーザ切断機が、前記レーザビームの前記形状を動的に変化させるための少なくとも1つの光学モジュール、具体的には動的レーザビーム成形モジュールを備えるコンピュータ実装方法において、
- 加工物の部分を切り離すために処理すべき切断計画を受け取る方法ステップ(S1)であって、各部分が、列になって順序付けられる切断区分からなる切断輪郭によって画定される、方法ステップ(S1)と、
- あらかじめ定義された割当基準に従って、動的レーザビーム形状の組から特定の動的レーザビーム形状を切断区分の前記列における各切断区分に割り当てるように構成されている、割当工具(102)を提供する方法ステップ(S2)と、
- 切断区分の前記列の各切断区分に対する特定の動的レーザビーム形状を決定するために、前記割当工具(102)に反復的にアクセスする方法ステップ(S3)と、
-
決定された2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するための遷移工具(104)を提供する方法ステップ(S4)であって、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が、遷移時間(t)以内に、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形され
、1つの動的レーザビーム形状から直後のまたは連続する形状への急激な切り替えが適用されず、異なる動的レーザビーム形状の間の前記遷移が円滑になり改善されるように、前記遷移時間(t)が0.05msと10.000msとの間の範囲内にある、方法ステップ(S4)と、
-
決定された2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の全ての遷移相を決定するために前記遷移工具(104)にアクセスする方法ステップ(S5)と、
- 前記受け取った切断計画を実行するためのレーザ切断機(L)を制御するために、制御命令(CI)を提供する方法ステップであって、
- 前記割当工具(102)によって決定された、切断区分の前記列における前記切断区分のそれぞれに対する前記特定の動的レーザビーム形状を適用すること、および、
- 前記受け取った切断計画に従って切断すべき全ての部分の前記切断区分のそれぞれに対する2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の前記決定された遷移相であり、前記遷移工具(104)によって決定された前記遷移相、を適用することによって、前記制御命令(CI)を提供する方法ステップと
を含むことを特徴とする、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記切断区分が、
- 直線、
- 設定可能な特定の半径を有する円または円区分、
- 設定可能な特定の角度を有する角、
- パラメータ化された湾曲部、
- 貫入部、
- 導入部、
- 導出部、および/または、
- 刻印
を含む群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の方法であって、前記割当工具(102)および/または前記遷移工具(104)が、訓練済みモデル、具体的にはニューラルネットワークモデルを備え
、前記訓練済みモデルが、2つの連続する切断区分間で動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定するように訓練されており、前記適用される遷移相での切断結果の評価を含む、注釈が付けられたまたは部分的に注釈が付けられた訓練データに基づいた訓練アルゴリズムによってさらに訓練されていることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項
1に記載の方法であって、前記遷移工具(104)が評価工具(104-1)を備え、前記評価工具(104-1)が、ユーザインターフェース(UI)を使用することにより手動で、および/または評価データセットを提供するための知覚自動評価部(104-2)により自動で、前記決定され適用された特定の動的レーザビーム形状および/または遷移相を評価するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記評価データセットが、品質評価、性能評価、エネルギー消費評価、および/または工程安定性評価を含む、様々な評価の共通的な基準の設定可能な分配を設定することを含み、前記様々な評価基準が、ヒューマンマシンインターフェース(UI)で提供されるユーザインターフェース選択ボタンでモデル化される相互依存性を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項
1に記載の方法であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれに対する前記遷移相が、材料特性の種類および/または切断機の種類について具体的に決定されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項
1に記載の方法であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれに対する前記遷移相が、レーザ切断ヘッドの速度、および/もしくは加速度、および/もしくは躍度、ならびに/または切断区分の種類、ならびに/またはレーザ出力および/もしくはドライブの動的限界を含むレーザ切断工程パラメータ、に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項
1に記載の方法であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれに対する前記遷移相が、
- XおよびY方向の、好ましくはX、Y、およびZ方向の周波数、
- XおよびY方向の、好ましくはX、Y、およびZ方向の振幅、ならびに/または、
- X方向と比較したY方向への、好ましくはX方向と比較したYおよびZ方向への位相ずれ
に対する焦点面および/または材料表面にわたるレーザエネルギーの時空間分布による焦点振動方式を生ずることによって決定されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項
1に記載の方法であって、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形される2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の前記遷移相を決定するにあたり、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の前記第1の特定の動的レーザビーム形状を前記第2の特定の動的レーザビーム形状に伝達する伝達関数fが適用され、前記伝達関数fが前記第1の動的レーザビーム形状の周波数、振幅、および/もしくは位相ずれを変化させ、かつ/または前記伝達関数が一次関数もしくは対数関数であってもよいことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項
1に記載の方法であって、2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の前記遷移相を決定するための前記遷移工具(104)が、互いに異なる2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
レーザ切断機(L)のための異なる動的レーザビーム形状を変形させるための遷移相を決定することにより前記レーザ切断機(L)を制御するための制御命令(ci)を提供する制御部(100)であって、前記レーザ切断機(L)が、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法を実行するために、前記レーザビームの前記形状を動的に変化させるための少なくとも1つの光学モジュール、具体的には動的レーザビーム成形モジュール(DBSM)を備える制御部(100)において、
- 加工物の部分を切り離すために処理すべき切断計画を受け取るための切断計画インターフェース(101)であって、各部分が、列になって順序付けられる切断区分からなる切断輪郭によって画定される、切断計画インターフェース(101)と、
- あらかじめ定義された評価基準に従って、動的レーザビーム形状の組から特定の動的レーザビーム形状を切断区分の前記列における各切断区分に割り当てるように構成されている、割当工具(102)と、
- 2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の遷移相を決定するための遷移工具(104)であって、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第1の特定の動的レーザビーム形状が、遷移時間(t)以内に、前記2つの連続する特定の動的レーザビーム形状の第2の特定の動的レーザビーム形状に変形され
、1つの動的レーザビーム形状から直後のまたは連続する形状への急激な切り替えが適用されず、異なる動的レーザビーム形状の間の前記遷移が円滑になり改善されるように、前記遷移時間(t)が0.05msと10.000msとの間の範囲内にある、遷移工具(104)と、
- 切断区分の前記列の各切断区分に対する特定の動的レーザビーム形状を決定するために、前記割当工具(102)に反復的にアクセスするように構成されたプロセッサ(P)であって、前記プロセッサ(P)が、
決定された2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の全ての遷移相を決定するために前記遷移工具(104)にアクセスするようにさらに構成されており、前記プロセッサ(P)が、
- 前記割当工具(102)によって決定された、切断区分の前記列における前記切断区分のそれぞれに対する前記特定の動的レーザビーム形状を適用すること、および、
- 前記受け取った切断計画に従って切断すべき全ての部分の前記切断区分のそれぞれに対する
決定された2つの連続する特定の動的レーザビーム形状のそれぞれの間の前記遷移相であり、前記遷移工具(104)によって決定された前記遷移相、を適用することによって、前記受け取った切断計画を実行するための前記レーザ切断機(L)を制御するために制御命令(ci)を提供するように構成されている、プロセッサ(P)と
を備えることを特徴とする、制御部(100)。
【請求項12】
コンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムコードが、プロセッサ(P)によって実行される際、前記プロセッサ(P)に請求項1から10のいずれか1項に記載の方法のステップを行わせることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶されていることを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】