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特表2024-539306使用済み飲料用紙パックから精製繊維画分を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】使用済み飲料用紙パックから精製繊維画分を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20241018BHJP
   D21H 11/14 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
D21H11/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525072
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 IB2022060221
(87)【国際公開番号】W WO2023073538
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】2151330-4
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リュングヴィスト, カール-ヘンリック
(72)【発明者】
【氏名】トールネリウス, レナ
(72)【発明者】
【氏名】バックフォルク, カイ
【テーマコード(参考)】
4F401
4L055
【Fターム(参考)】
4F401AA02
4F401AA08
4F401AA09
4F401AB07
4F401AD01
4F401AD03
4F401AD05
4F401BA13
4F401CA02
4F401CA03
4F401CA22
4F401CA31
4F401FA07Z
4F401FA20Z
4L055AC09
4L055BB00
4L055BB02
4L055BB03
4L055EA04
4L055EA05
4L055EA32
4L055FA30
(57)【要約】
本発明は、使用済みの飲料用紙パック(UBC)から精製繊維画分を製造するための方法であって、該方法は、a)UBCポリマーとアルミニウム画分及び未加工のUBC繊維画分を得るために、UBC出発材料を、ポリマーとアルミニウム膜の分離法に供する工程と、b)任意選択的に、未処理のUBC繊維画分を粗大粒子を除去するための粗スクリーニング法に供する工程と、c)セルロースファイン及びファイン汚染物質を除去するために、未加工のUBC繊維画分をファインスクリーニング法に供する工程であって、ファインスクリーニング法は、少なくとも1つのファインスクリーニング工程と少なくとも1つの洗浄工程とを含む、ファインスクリーニング法に供する工程と、d)任意選択的に、さらに汚染物質を除去するために、ファインスクリーニングされたUBC繊維画分を洗浄方法に供する工程と、e)任意選択的に、ファインスクリーニングされたUBC繊維画分を漂白方法に供される工程と、f)ファインスクリーニングされた、任意選択的に漂白されたUBC繊維画分を、少なくとも20重量%の濃度になるまで脱水方法に供する工程と、g)精製されたUBC繊維画分を得るために、脱水されたUBC繊維画分を不活性化に供する工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの飲料用紙パック(UBC)由来の精製繊維画分を製造するための方法であって、前記方法は、
a)UBCポリマーとアルミニウム画分及び未加工のUBC繊維画分を得るために、UBC出発材料を、ポリマーとアルミニウム膜の分離法に供する工程と、
b)任意選択的に、未加工のUBC繊維画分を粗大粒子を除去するための粗スクリーニング法に供する工程と、
c)セルロースファイン及びファイン状物質を除去するために、未加工のUBC繊維画分をファインスクリーニング法に供する工程であって、ファインスクリーニング法は、少なくとも1つのファインスクリーニング工程と少なくとも1つの希釈工程とを含む、ファインスクリーニング法に供する工程と、
d)任意選択的に、さらに汚染物質を除去するために、ファインスクリーニングされたUBC繊維画分を洗浄方法に供する工程と、
e)任意選択的に、ファインスクリーニングされたUBC繊維画分を漂白方法に供する工程と、
f)ファインスクリーニングされ、任意選択的に漂白されたUBC繊維画分を、少なくとも20重量%の濃度になるまで脱水方法に供する工程と、
g)精製されたUBC繊維画分を得るために、脱水されたUBC繊維画分を不活性化に供する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)におけるUBC出発材料が、乾燥重量に基づいて、少なくとも15重量%のプラスチック及び少なくとも0.3重量%のアルミニウム又はアルミニウム化合物、好ましくは少なくとも20重量%のプラスチック及び少なくとも1重量%のアルミニウム又はアルミニウム化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)におけるUBC出発材料が、1重量%未満の蛍光増白剤(OBA)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)における未加工のUBC繊維画分が、乾燥重量に基づいて、少なくとも90重量%のセルロース繊維、好ましくは少なくとも95重量%のセルロース繊維を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(g)における精製されたUBC繊維画分が、規格ISO 5267-1によって決定された、15~35の範囲、好ましくは18~30の範囲のショッパー・リーグラー(SR)値を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(g)における精製されたUBC繊維画分が、規格ISO 23714によって決定された、110~200%の範囲、好ましくは120~180%の範囲、より好ましくは125~175%の範囲の保水値(WRV)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(g)における精製されたUBC繊維画分が、乾燥重量に基づいて、少なくとも96重量%のセルロース繊維、好ましくは少なくとも98重量%のセルロース繊維を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(g)における精製されたUBC繊維画分が、乾燥重量に基づいて、0.5重量%未満のプラスチック、好ましくは0.1重量%未満のプラスチックを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(g)における精製されたUBC繊維画分が、乾燥重量に基づいて、0.5重量%未満のアルミニウム、好ましくは0.1重量%未満のアルミニウムを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(g)における精製されたUBC繊維画分が、乾燥重量に基づいて、0.1重量%未満のOBA、好ましくは0.05重量%未満のOBAを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(g)における精製されたUBC繊維画分が、2%を下回る灰分(525℃)及び/又は1%を下回る灰分(925℃)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(c)のファインスクリーニング法が、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのスクリーニング工程を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(c)のファインスクリーニング法が、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの希釈工程を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)のファインスクリーニング工程及び希釈工程が、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回連続して繰り返される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)のファインスクリーニング法が、UBC繊維画分中のファインの含有量を少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%減少させる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程(c)のファインスクリーニング法が、UBC繊維画分中のファインの含有量を少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%減少させ、ファインの含有量は、FS5光ファイバーアナライザー(バルメット)を使用して測定された「FInes A」の含有量である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(f)におけるUBC繊維画分が、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%の濃度まで脱水される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
UBC繊維画分が、不活性化方法に供される前、供される間、又は供された後に、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の濃度まで高温で乾燥することに供される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
高温で乾燥することがUBC繊維画分の変質をもたらす、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程(g)の不活性化方法が、熱不活性化、化学的不活性化、及び/又は照射不活性化を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用済みの飲料用紙パック(UBC)から繊維画分をリサイクルする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料用紙パックの多層構造は、再生可能な資源から作ることができる、資源効率が高く、軽量でリサイクル可能な包装ソリューションを提供する。持続的に調達されたバージンセルロース繊維は強度と剛性を提供し、他の層は液体、水蒸気、オイル/グリース、酸素、光に対するバリアを提供し、梱包された内容物を保護する。材料を正しく組み合わせることで、食品の輸送と保管の安全性が確保され、内容物を劣化から保護することで食品の腐敗と廃棄を防ぐ。これらのバリア層は、梱包される製品の種類、製品が冷蔵保存されているかどうか、又は室温で流通及び保管されている場合に応じて、様々ポリマー、又はポリマーとアルミニウム箔又はコーティングの組み合わせからなる。
【0003】
最も単純な形状の飲料用紙パックは、少なくとも1つの板紙層と少なくとも1つの液体バリア層、通常はポリオレフィン層を含む。飲料用紙パックは、追加のバリア層、典型的にはアルミニウム箔又はコーティング層、又はポリアミド又はEVOHなどの高バリアポリマー層をさらに含んでもよい。このような飲料用紙パックは、無菌包装によく使用されるため、無菌飲料用紙パックと呼ばれることが多い。
【0004】
無菌紙パックの一般的な構造は、ポリオレフィン、通常はLDPE(低密度ポリエチレン)の外層を含み、これが湿気と液体のバリアを提供し、基材に適用された印刷インク層を保護し、パッケージのヒートシールを可能にする。使用される板紙の種類は、梱包される製品、販売される市場、製造条件によって異なるが、通常は2層又は3層、又は最大5層の材料で、外層が漂白されているか又はクレイでコーティングされており、多くの場合、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、褐色パルプ、又は高収率パルプを含み、板紙はパッケージに必要な機械的剛性を与え、通常、パッケージの全重量の約65~75%を占める。板紙の内側はLDPEでコーティングされ、臭気、光、ガスバリアを提供するアルミ箔層と結合する。最内プラスチック層へのアルミニウム箔の接着は、例えば、EMAA(ポリ(エチレン-コ-メタクリル酸))の結合層の使用によって達成される。最後に、LDPEの内層を適用して、紙パックのヒートシールを可能にする。
【0005】
使用済み飲料用紙パック(UBC)という用語は、本明細書では、使用後に回収された容器及び包装材料から得られる、消費後の飲料用紙パック、特に消費後の無菌飲料用紙パックを示すために使用される。
【0006】
UBCの組成は、他の多くのリサイクル資源と比べて異なる。UBCは、典型的に、以下によって特徴付けられる。
・大量の漂白又は未漂白の化学繊維、半化学繊維、又は機械繊維
・高いプラスチック含有量
・箔及びコーティング由来の高いアルミニウム含有量
・食品又は液体の残留物
・高い細菌(microbe)(微生物(microorganism))含有量
・様々な油脂を含む高い量の有機材料
・単価及び多価のイオン又は塩の高い含有量
・重金属の存在の可能性
・非意図的添加物質(NIAS)
・使い捨て部品(キャップ、ストロー及び梱包ワイヤなどの長い紐状物質)などの包装及び包装品を含む混合廃棄物
【0007】
収集されたUBCには、印刷インキ及びワニスを含み得る。通常、繊維の大部分は印刷インキに直接曝されないが、溶解したインキ又はインキの破片が分解工程中に繊維上に再付着する可能性がある。
【0008】
リサイクルは一次リサイクル、二次リサイクル、三次リサイクル、四次リサイクルに分類できる。一次リサイクルとは、材料を再処理して元の用途、又は同等以上の品質の同等の製品に戻すことを指すが、使用済みの紙パックは元の用途に直接戻すことができないため、これは現在選択肢ではない。二次リサイクルは、材料が処理され、未使用の材料特性を必要としない用途で使用される、UBCにとって最も普及しているリサイクル選択肢である。紙繊維は、ポリマー及びアルミニウム残留物(本明細書ではポリAl残留物とも呼ばれる)から分離され、繊維は紙製品に組み込まれる。もう1つの二次リサイクルプロセスは、細断されたUBCを建設資材に変換することを含む。三次リサイクルは、製品を化学構成要素に分解し、その後それらの化学物質を様々な製品にリサイクルすることを含む。UBCの四次リサイクルは、エネルギー回収を伴う焼却を含むが、このプロセスは多くの国ではリサイクルとはみなされていない。
【0009】
UBCはその多層構造と特徴的な組成により、効率的にリサイクルして再利用することが困難である。その結果、今日、UBCは多くの場合収集され、埋め立てとして処分されるか、焼却されるか、又は様々な低価値画分(ポリマーに富む画分、繊維に富む画分、及び廃水又は汚泥画分など)に加工される。繊維に富む画分は、典型的に、複合材料、食品以外の包装用途、及びティッシュ、タオル、ライナー、筆記用紙など、より高い不純物含有量が許容されるその他のグレードで使用される。
【0010】
板紙は、典型的に、紙パックの全重量の65~75%を構成するため、この画分の回収が紙パックのリサイクルアプローチの主な焦点となっている。リサイクルは、製紙工場で従来のハイドラパルパー又はドラムパルパーを使用して紙の繊維を回収することによって達成できる。ハイドラパルパーは、底部に羽根車を備えた大きな円筒形の容器で、紙の繊維を粉砕し、ミル内でさらに処理できる比較的希薄な繊維のスラリーを生成する。ハイドラパルパー内で水と紙層の接触が起こり、パルパー内部の水力によって層が分離する。化学薬品は必要ではないが、分離効率を向上させるために溶媒や酸又はアルカリ溶液が使用される場合がある。ハイドラパルパー内のパルプの濃度()は、典型的に、15重量%未満である。ハイドラパルパーには、概して、PolyAl残留物、キャップ、ストロー、及び梱包ワイヤなどの長い糸状物質をスラリーから除去するラガーが装備されている。パルパーからconsistency of取り出した後、PolyAl残留物は穴のあいた回転シリンダー内で洗浄され、混入した繊維が回収される。ドラムパルパーは基本的に、バッフルを備えた回転する傾斜ドラムであり、パルプ化セクション及びスクリーニングセクションで繊維の損失を最小限に抑えて繊維から破片を分離する。
【0011】
多くの製紙工場はUBCをリサイクルできるハイドラパルパーを有しているが、理論上の最大収率が、他の紙パッケージの85%以上に比べて、75%にすぎないという事実は、PolyAl残留物を経済的に処理するという課題と同様に、意欲を阻害している。さらに、回収されたUBC繊維には、特に食品残渣や非意図的添加物質(NIAS)からの不純物が多量に含まれているため、バージンパルプ流又は汚染の少ないパルプ流への混合には不適切となる可能性がある。現在、板紙製造プロセスにおけるリサイクル材料の使用には厳しい規制と制限がある。UBCから得られた繊維には、板紙製造プロセスに戻すべきではない成分が含まれている可能性がある。例は、プラスチック粒子、金属、金属化合物、蛍光増白剤(OBA)又は蛍光増白剤(FWA)、インキ残留物又は鉱物油、特に微生物、有毒成分、及び食品残留物を含む。これらの不純物は、ウェットエンドの化学的性質(プロセス性能)を妨げる可能性があるが、最終製品の特性(機械的又は製品の性能、バリア特性、不純物、微生物の増殖など)にも影響を与える可能性がある。
【0012】
UBCから得られる繊維は、多くの場合、高い微生物活性又は高い微生物負荷を示すことがあり、再利用する前に繊維又はパルプの微生物の不活性化又は滅菌が典型的に必要とされる。
【0013】
リサイクルUBCのもう1つの課題は、UBCから得られる繊維がリサイクル及び再利用されるときに格下げされたとみなされたとみなされることである。この格下げは、過剰な機械的及び化学的処理によって引き起こされる機械的特性の低下が部分的に原因である。リサイクル繊維は、機械的に損傷を受けたり、強度及び機械的性能などに影響を与える方法で処理されたりする可能性がある。
【0014】
一般に、食品又は飲料の包装用途の板紙の製造には、未使用の紙繊維のみが使用される。食品包装用途の板紙に含まれる再生繊維の量を増やす必要がある。高度の汚染、微生物負荷、リサイクル材料の劣化のため、UBCの繊維は食品や飲料の包装用ラミネートや製品に効率的に再利用できないと一般に考えられている。
【0015】
したがって、基材及びラミネートの機械的特性に影響を与えたり、包装された内容物の汚染の危険を引き起こしたりすることなく、UBCからのパルプを食品又は飲料の包装基材及びラミネートに、特に高内容物で使用できるようにする方法を見つける必要がある。
【発明の概要】
【0016】
本開示の目的は、使用済みの飲料用紙パック(UBC)からのパルプを、食品又は飲料の包装基材及びラミネートなど、通常バージン紙繊維のみが使用される用途及び製品で再利用できる方法を提供することである。
【0017】
本開示の目的は、食品又は飲料の包装基材及びラミネートで再利用するのに適した化学純度を有するUBCからの繊維画分を提供することである。
【0018】
本開示の目的は、食品又は飲料の包装基材及びラミネートで再利用するのに適した又は必要とされる生物学的純度を有するUBCからの繊維画分を提供することである。
【0019】
本開示の目的は、食品又は飲料の包装基材及びラミネートで再利用するのに適した機械的性質を有するUBCからの繊維画分を提供することである。
【0020】
上述の目的、並びに本開示を考慮して当業者によって実現されるであろう他の目的は、本開示の様々な態様によって達成される。
【0021】
本発明は、PolyAl残留物を除去した後に得られた生のUBC繊維画分をファインスクリーニング法に供してファイン及びファイン材料を除去すると、その後のUBC繊維画分の洗浄、漂白及び不活性化が著しく促進されることが判明したという認識に基づいている。
【0022】
リサイクルUBC繊維画分中の比較的少量のファインが、繊維画分の高レベルの不純物、高い保水性及び/又は高いドレイン抵抗の原因となっている。ファイン及びファイン状物質を除去するファインスクリーニングにより、粒子状汚染物質のかなりの部分を除去でき、ドレイン抵抗が減少することで、繰り返しの洗浄工程をより短時間で実行できるようになり、その結果、より高い純度の繊維画分が得られる。
【0023】
ファイン及びファイン状物質を除去するファインスクリーニング法は、それぞれ必要な漂白又は不活性化の結果を達成するために必要な漂白又は不活性化化学薬品の量を減らすことによって、UBC繊維画分の漂白及び不活性化も促進する。さらに、ファイン、ファイン状物質、及び汚染物質の除去により、UBC繊維画分がパルプ化プロセス又は紙、板紙、又は成形可能な繊維の製造プロセスで再利用される場合のウェットエンド化学物質への干渉も軽減され得る。
【0024】
本明細書に示される第1の態様によれば、使用済みの飲料用紙パック(UBC)からリサイクル可能な繊維画分を製造する方法が提供され、該方法は、
a)UBC出発材料を、ポリマーとアルミニウム膜の分離法に供して、UBCポリマーとアルミニウム画分及び未加工のUBC繊維画分を得る工程と、
b)任意選択的に、未処理のUBC繊維画分を粗大粒子を除去するための粗スクリーニング法に供する工程と、
c)セルロースファイン及びファイン汚染物質を除去するために、未加工のUBC繊維画分をファインスクリーニング法に供する工程であって、ファインスクリーニング法は、少なくとも1つのファインスクリーニング工程と少なくとも1つの希釈工程とを含む、ファインスクリーニング法に供する工程と、
d)任意選択的に、さらに汚染物質を除去するために、細目スクリーンされたUBC繊維画分を洗浄方法に供する工程と、
e)任意選択的に、細目スクリーンされたUBC繊維画分を漂白方法に供される工程と、
f)細目スクリーンされた、任意選択的に漂白されたUBC繊維画分を、少なくとも20重量%の濃度になるまで脱水方法に供する工程と、
g)脱水されたUBC繊維画分を不活性化方法に供して、精製されたUBC繊維画分を得る工程と
を含む、方法。
【0025】
本発明の方法に従って得られる精製されたUBC繊維画分は、好ましくは、食品との直接的又は間接的な接触などの要求の厳しい最終用途に適している。
【0026】
セルロース繊維に加えて、収集されたUBC(本明細書ではUBC出発材料と呼ぶ)は、高含有量のプラスチック材料、主にポリオレフィン、及び箔及び/又はコーティング由来の高含有量のアルミニウムも含む。いくつかの実施形態では、工程(a)におけるUBC出発材料は、乾燥重量に基づいて少なくとも15重量%、いくつかの実施形態では少なくとも20重量%のプラスチックを含む。いくつかの実施形態では、工程(a)におけるUBC出発材料は、乾燥重量に基づいて、少なくとも0.3重量%、好ましくは少なくとも1重量%のアルミニウム又はアルミニウム化合物を含む。いくつかの実施形態では、工程(a)におけるUBC出発材料が、乾燥重量に基づいて、少なくとも15重量%のプラスチック及び少なくとも0.3重量%のアルミニウム又はアルミニウム化合物、好ましくは少なくとも20重量%のプラスチック及び少なくとも1重量%のアルミニウム又はアルミニウム化合物を含む。
【0027】
UBC出発材料は、UBC中の蛍光増白剤の含有量が高すぎないように選択又は選別することが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、工程(a)におけるUBC出発材料は、1重量%未満の蛍光増白剤(OBA)を含む。
【0028】
さらなる洗浄及び不活性化に適した未加工繊維画分を得るために、プラスチック及び/又はアルミニウム含有量が最初に除去される。これは、a)UBC出発材料を、ポリマーとアルミニウム膜の分離法に供して、UBCポリマーとアルミニウム画分及び未加工のUBC繊維画分を得る工程によって行われる。UBC出発材料がアルミニウムを含まない場合、UBCポリマー及びアルミニウム画分はポリマーのみを含み、アルミニウムを含まない場合がある。得られた未加工のUBC繊維画分は、主にセルロース系材料で構成され、UBC出発材料よりも大幅に少ないプラスチックとアルミニウムを含む。ポリマーとアルミニウムフィルムの分離方法は、UBC出発材料を細断することと、細断されたUBC出発材料を水又は水溶液と混合することとを含み得る。混合物を撹拌すると、繊維が水分を吸収し、ラミネートのプラスチック層とアルミニウム層がばらばらになる。機械的ろ過及び/又は浮遊選別により、様々な画分が分離され、UBCポリマー及びアルミニウム画分と未加工のUBC繊維画分が得られる。
【0029】
工程(a)で得られた未加工のUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、好ましくは、少なくとも80重量%のセルロース繊維を含む。いくつかの実施形態では、工程(a)で得られる未加工のUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、好ましくは少なくとも90重量%のセルロース繊維、好ましくは少なくとも95重量%のセルロース繊維を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未加工のUBC繊維画分は、標準ISO 5267-1によって決定される、15~35の範囲、好ましくは18~30の範囲のショッパー・リーグラー(SR)値を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未加工のUBC繊維画分は、規格ISO 23714によって決定された、110~200%の範囲、好ましくは120~180%の範囲、より好ましくは125~175%の範囲の保水値(WRV)を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未処理のUBC繊維画分は、FS5光ファイバーアナライザー(バルメット)を使用して測定したとき、22%を超える、好ましくは25%を超える「Fines A」含有量を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未加工のUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて1重量%を超えるプラスチック、好ましくは1.2重量%を超えるプラスチックを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未加工のUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて0.2重量%を超えるアルミニウム、好ましくは0.5重量%を超えるアルミニウムを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未処理のUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、20mg/kgを超える鉱油飽和炭化水素(MOSH)、好ましくは50mg/kgを超えるMOSHを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られる未加工UBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、20mg/kgを超える鉱油芳香族炭化水素(MOAH)、好ましくは50mg/kgを越えるMOAHを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られる未加工UBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、5000mg/kgを超える抽出物、好ましくは10000mg/kgを超える抽出物を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未加工のUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、1000mg/kgを超える不飽和脂肪酸、好ましくは2000mg/kgを超える不飽和脂肪酸を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未加工のUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、400mg/kgを超える樹脂酸、好ましくは500mg/kgを超える樹脂酸を含む。
【0040】
抽出剤、不飽和脂肪酸、及び樹脂酸の量は、酢酸を使用してパルプをpH<3に酸性化するSCAN-CM49法を使用して測定された。抽出は、温度100℃、圧力2000psi、2サイクルでアセトンを使用するASE(加速溶媒抽出)によって行われた。抽出物はGC-FIDで分析され、内部標準に対して計算された。
【0041】
いくつかの実施形態では、工程(a)で得られた未加工のUBC繊維画分は、4%を超える灰分(525℃)及び/又は4%を超える灰分(925℃)を有する。いくつかの種類の供給源、例えば、鉱物又は顔料でコーティングされた紙パックを含む供給源から得られる生のUBC繊維画分もまた、著しく高い灰分含有量を有し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、未加工のUBC繊維画分を粗大粒子を除去するための粗スクリーニング法に供される。本明細書で使用される粗粒子という用語は、一般に、1mmを超える直径又は幅を有する粒子を指す。
【0043】
未加工のUBC繊維画分には、依然として少量のプラスチックとアルミニウムが、主に従来のポリマーとアルミニウムフィルムの分離方法では除去されなかったファインの形で含まれている可能性がある。これらのファインは、セルロース系材料の分解によって形成されるセルロースファインとともに、繊維部分の高レベルの不純物の保持、高い保水性、及び/又は高いドレイン抵抗に大きく関与する。
【0044】
本明細書で使用されるセルロースファインという用語は、一般に、セルロース繊維よりもサイズが著しく小さいセルロース粒子を指す。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用されるセルロースファインという用語は、セルロース系ファインを指し、これは、従来の実験室分別装置(SCAN-CM66:05)の200メッシュスクリーン(相当孔直径76μm)を通過することができる。2つの主要な繊維ファイン、すなわち、一次ファインと二次ファインがある。一次ファインは、パルプ化及び漂白中に生成され、化学的及び機械的処理によって細胞壁マトリックスから除去される。それらの起源(すなわち、複合中間ラメラ、線条細胞、実質細胞)の結果として、一次ファインは、線維状物質の割合がほんのわずかしかないフレーク状の構造を示す。対照的に、二次ファインはパルプの精製中に生成される。一次ファインと二次ファインの両方がパルプのドレイン抵抗を増加させ、抄紙機の成形セクションでの脱水速度を低下させる。パルプ繊維と比較してファインは比表面積が大きいため、プロセス化学薬品の保持力に影響を及ぼし、プロセスの安定性と最終製品の性能に大きな影響を与える。
【0046】
従来のワイヤ脱水による抄紙法とは異なり、この系におけるファインの滞留は、その後の洗浄、漂白及び不活性化における脱水/排水がより効率的になるように、好ましくは低く保たれる。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される微粒子汚染物質という用語は、セルロース系材料に由来しない微粒子を指し、従来の実験室用分別装置(SCAN-CM66:05)の200メッシュスクリーン(相当孔直径76μm)を通過することができる。
【0048】
未加工のUBC繊維画分からセルロースファイン及び微粒子汚染物質の一部を除去するために、原料UBC繊維画分は、セルロースファイン及び微粒子汚染物質を除去するためにファインスクリーニング法に供され、このファインスクリーニング法は、少なくとも1つのファインスクリーニング工程及び少なくとも1つの希釈工程を含む。
【0049】
未加工UBC繊維画分からセルロースファイン及び微粒子汚染物質を除去するために使用されるファインスクリーニング法は、少なくとも1つのファインスクリーニング工程を含む。ファインスクリーニングステップは、1つ又は複数の圧力スクリーン、1つ又は複数の液体サイクロン、1つ又は複数のベルトフィルタ、又はそれらの組み合わせを使用するスクリーニングを含むことができる。繊維混合物からファインを除去するための当業者に知られている他のスクリーニング法も使用することができる。
【0050】
未加工のUBC繊維画分からセルロースファイン及び微粒子汚染物質を除去するために使用されるファインスクリーニング法は、少なくとも1つの希釈工程を含む。希釈工程は、UBC繊維画分の濃度を低下させるために、好ましくは、希釈液、好ましくは水又は水溶液を添加することを含む。希釈工程は、ファインスクリーニング工程の前及び/又は後に実行されてもよい。好ましくは、ファインスクリーニング工程の前にUBC繊維画分の濃度を低下させるために、少なくともファインスクリーニング工程の前に希釈が行われる。希釈後のUBC繊維画分の濃度は、使用するスクリーニング又は分画方法によって異なり得る。いくつかの実施形態では、希釈率(DF)は>2、好ましくは>2.5、>3.0、>3.5、>4、>4.5又は>5である。好ましくは、希釈工程は、UBC繊維画分を0.1~7重量%の範囲、好ましくは0.3~5重量%の範囲、より好ましくは0.5~2重量%の範囲の濃度に希釈することを含む。また、特に複数のスクリーニング工程を含むファインスクリーニング法の最後に、より高い一貫性でスクリーニングを実行することも可能である。
【0051】
本発明の方法は、好ましくは、少なくとも2つのファインスクリーニング工程及び/又は少なくとも2つの希釈工程が実行される拡張されたファインスクリーニングシーケンスを含むことができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、工程(c)におけるファインスクリーニング法は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのファインスクリーニング工程を含む。ファインスクリーニング工程は同じでも異なっていてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、工程(c)におけるファインスクリーニング法は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの希釈工程を含む。洗浄ステップは同じでも異なっていてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、工程(c)におけるファインスクリーニング及び希釈工程は、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回、連続して繰り返される。
【0055】
可能なファインスクリーニング/希釈シーケンスの例:
スクリーニング-希-スクリーニング
スクリーニング-希釈-スクリーニング-希釈
スクリーニング-希釈-スクリーニング-希釈-スクリーニング
希釈-スクリーニング-希釈
希釈-スクリーニング-希釈-スクリーニング-希釈
希釈-スクリーニング-希釈-スクリーニング-希釈-スクリーニング
【0056】
いくつかの実施形態では、工程(c)におけるファインスクリーニング法は、UBC繊維画分中のファイン及び微粒子汚染物質の含有量を少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%低減する。より詳細には、いくつかの実施形態では、工程(c)におけるファインスクリーニング法は、UBC繊維画分中のファイン含有量を少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%低減させ、ここでファイン含有量は、「Fines A」は、FS5光ファイバーアナライザー(バルメット)を使用して測定した。
【0057】
いくつかの実施形態では、工程(c)におけるファインスクリーニング法は、FS5光ファイバーアナライザー(バルメット)を使用して測定した「Fine A」を20%未満、好ましくは17%未満、より好ましくは15%未満に低減する。
【0058】
いくつかの実施形態では、工程(c)におけるファインスクリーニング法は、未処理のUBC繊維画分の固形分の0.1~10重量%、又は0.1~7.5重量%、又は0.1~5重量%を除去する。
【0059】
細かく選別されたUBC繊維画分は、任意選択的に、さらなる汚染物質を除去するためのさらなる洗浄方法に供され、さらなる汚染物質、特に溶解、分散、可溶性又は抽出可能な汚染物質を除去するための洗浄方法に供される。パルプ混合物から汚染物質を除去するための任意の適切なパルプ洗浄方法を使用することができる。UBC繊維画分からさらなる汚染物質を除去するために使用される洗浄方法には、1つ又は複数の回転真空洗浄機、回転圧力洗浄機、加圧及び常圧拡散洗浄機、水平ベルト洗浄機及び希釈/抽出装置、又はそれらの組み合わせを使用する洗浄が含まれ得る。繊維混合物から汚染物質を除去するために当業者に知られている他の洗浄方法も使用することができる。洗浄方法は、2以上の洗浄工程を含むことが好ましい。
【0060】
いくつかの実施形態では、ファインスクリーニングされたUBC繊維画分は漂白法に供される。漂白方法は、例えば、過酸化水素漂白、オゾン漂白、酸素漂白、塩化物漂白、次亜塩素酸漂白、及び抽出漂白からなる群から選択することができる。好ましい実施形態では、漂ファインスクリーニングクリニングされたUBC繊維画分を50℃以上、例えば80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上の温度に加熱することと組み合わされる。漂白方法は、例えば、加熱と過酸化水素漂白、又は加熱と次亜塩素酸漂白の組み合わせを含んでもよい。このような漂白方法は、好ましくは、UBC繊維画分の少なくとも部分的な不活性化にもつながり得る。
【0061】
ファインスクリーニングされ、任意選択的に漂白されたUBC繊維画分は、少なくとも20重量%の濃度になるまで脱水方法に供される。いくつかの実施形態では、工程(f)におけるUBC繊維画分は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%の濃度まで脱水される。脱水により、その後の不活性化方法の効率が向上する。
【0062】
本発明者らはさらに、UBC繊維部分を少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%の濃度で熱処理することによって、食品又は飲料の包装基材及び積層体に使用するためにUBC繊維部分の機械的特性をさらに改善できることを見出した。熱処理は、例えば、UBC繊維画分を高温で乾燥させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、UBC繊維画分は、不活性化方法に供される前、供される間、又は供された後に、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の濃度まで高温で乾燥される。いかなる特定の科学理論にも束縛されることを望まないが、高濃度での熱処理によって引き起こされるUBC繊維画分の変質(hornification)は、食品又は飲料の包装基材又はラミネートに使用される場合、繊維画分の機械的特性を改善できると考えられている。したがって、いくつかの実施形態では、高温での乾燥は、UBC繊維画分の変質をもたらす。高温は、好ましくは80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上である。
【0063】
いくつかの実施形態では、熱処理は、加熱分散機(熱分散機としても知られる)内で行われる。加熱分散機は、熱と繊維の機械的処理を高濃度で組み合わせて使用し、粘着性の目に見える汚染物質を液化、分解、分散させる装置である。加熱分散機内の温度は、好ましくは80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、例えば110~180℃の範囲である。加熱分散機における熱処理は、通常、5秒~120分間、好ましくは5秒~30分間行うことができる。加熱分散機での熱処理により、デンプン及び残留バリアポリマー及び添加剤などの溶解を改善することができる。加熱分散機での熱処理も、好ましくは、UBC繊維画分の少なくとも部分的な不活性化をもたらし得る。
【0064】
脱水されたUBC繊維画分を不活性化法にかけて、精製されたUBC繊維画分を得る。本明細書で使用される「不活性化」という用語は、微生物の不活性化、すなわち、UBC繊維画分の微生物活性又は微生物負荷を低減する方法又は処理を指す。不活化法は、UBC繊維画分に存在する微生物及びその他の潜在的な病原体を死滅させるか又は不活化する。不活性化方法は、繊維画分の完全な滅菌又は部分的な不活性化、すなわち消毒又は衛生化をもたらし得る。
【0065】
不活性化は、UBC繊維画分の微生物活性を少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%、例えば60~100%の範囲で低下させることが好ましい。好ましくは、不活性化方法は、UBC繊維画分中に存在する微生物及び他の潜在的病原体を、食品又は飲料の包装基材及びラミネートに使用する繊維として通常許容されるレベルまで減少させる。不活性化精製されたUBC繊維画分は、食品又は飲料の包装基材及びラミネートで再利用するのに適切な化学的純度、適切な生物学的純度、及び適切な機械的特性を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、不活性化方法は、熱不活性化、化学的不活性化、及び/又は放射線照射による不活性化を含む。熱失活は、例えば、蒸気失活及び乾熱失活からなる群から選択することができる。化学的不活性化は、例えば、エチレンオキシド、二酸化窒素、オゾン、グルタルアルデヒド及びホルムアルデヒド、過酸化水素、及び過酢酸の不活性化からなる群から選択され得る。照射不活性化は、例えば、非電離放射線不活性化及び電離放射線不活性化からなる群から選択され得る。不活性化方法は、2つ以上の不活性化技術の組み合わせを含んでもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、不活性化方法は、紙及び板紙に使用される繊維の漂白に従来から使用されている化学薬品を使用して実行される。不活性化は、例えば、過酸化水素又はオゾンを使用して実行され得る。繊維の漂白に従来から使用されている化学薬品を使用したそのような不活性化は、UBC繊維部分の少なくとも部分的な漂白にもつながる可能性があるため、有利である可能性がある。
【0068】
いくつかの実施形態では、不活性化方法が高温を伴う場合、熱処理と不活性化方法を組み合わせることができる。例えば、121℃でのオートクレーブによる不活性化も、UBC繊維部分の熱処理となる。別の例として、繊維画分の不活性化をもたらす温度での分散機内での熱処理も、不活性化方法を構成し得る。
【0069】
本発明の方法に従って得られる精製されたUBC繊維画分は、好ましくは、食品との直接的又は間接的な接触などの要求の厳しい最終用途に適している。工程(g)で得られた精製されたUBC繊維画分は、食品又は飲料の包装基材及び積層体で再利用するのに適している。精製されたUBC繊維画分は、食品又は飲料の包装基材及びラミネートに有利に再利用され得るが、繊維画分は、ライナー又はティッシュなどの他の種類の製品にも再利用され得ることが理解される。
【0070】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、少なくとも96重量%のセルロース繊維、好ましくは少なくとも98重量%のセルロース繊維を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、規格ISO 5267-1によって決定される、15~35の範囲、好ましくは18~30の範囲のショッパー・リーグラー(SR)値を有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、規格ISO 23714によって決定される、110~200%の範囲、好ましくは120~180%の範囲、より好ましくは125~175%の範囲の保水値(WRV)を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、FS5光ファイバーアナライザー(バルメット)を使用して測定したとき、20%未満、好ましくは17%未満、より好ましくは15%未満の「Fines A」含有量を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、規格ISO 302:2015に従って測定した場合、5を超える、好ましくは10を超える、より好ましくは20を超えるカッパ価を有する。一部の種類の供給源、例えば、機械パルプを含む供給源から得られる精製UBC繊維画分は、規格ISO 302:2015に従って測定されるカッパ価が30以上又は40以上など、著しく高い場合もある。
【0075】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、0.5重量%未満のプラスチック、好ましくは0.1重量%未満のプラスチックを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、0.5重量%未満のアルミニウム、好ましくは0.1重量%未満のアルミニウムを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、0.1重量%未満のOBA、好ましくは0.05重量%未満のOBAを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、50mg/kg未満の鉱油飽和炭化水素(MOSH)、好ましくは20mg/kg未満のMOSHを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、50mg/kg未満の鉱油芳香族炭化水素(MOAH)、好ましくは20mg/kg未満のMOAHを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、5000mg/kg未満の抽出物、好ましくは4000mg/kg未満の抽出物を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、800mg/kg未満の不飽和脂肪酸、好ましくは600mg/kg未満の不飽和脂肪酸を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、乾燥重量に基づいて、200mg/kg未満の樹脂酸、好ましくは100mg/kg未満の樹脂酸を含む。
【0083】
抽出剤、不飽和脂肪酸、及び樹脂酸の量は、酢酸を使用してパルプをpH<3に酸性化するSCAN-CM49法を使用して測定された。抽出は、温度100℃、圧力2000psi、2サイクルでアセトンを使用するASE(加速溶媒抽出)によって行われた。抽出物はGC-FIDで分析され、内部標準に対して計算された。
【0084】
いくつかの実施形態では、工程(g)における精製されたUBC繊維画分は、2%を下回る灰分(525℃)及び/又は1%を下回る灰分(925℃)を有する。いくつかの種類の供給源、例えば鉱物又は顔料でコーティングされた紙パックを含む供給源から得られる精製UBC繊維画分も、著しく高い灰分含有量を有する場合がある。
【0085】
好ましくは、工程(g)で得られた精製されたUBC繊維画分の少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、最もより好ましくは少なくとも99.9重量%が、化学分析によって同定され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、工程(g)で得られた精製されたUBC繊維画分は、化学パルプ、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、高温ケミサーモメカニカルパルプ(HT-CTMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)から得られる非UBC繊維、又はブローク(broke)と混合される。繊維は、針葉樹繊維、広葉樹繊維、又は非木材繊維であってもよく、漂白されていても、漂白されていなくてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、工程(g)で得られた精製されたUBC繊維画分は、化学パルプ、CMP、CTMP、HT-CTMP、TMP、又はブロークから得られる非UBC繊維と共精製される。
【0088】
本明細書に例示される第2の態様によれば、第1の態様の方法に従って得られる精製されたUBC繊維画分を含む紙又は板紙製品が提供される。好ましい実施形態では、紙又は板紙製品は、食品又は飲料の包装基材又はラミネートである。いくつかの実施形態では、紙又は板紙製品は液体包装板紙(LPB)である。
【0089】
本発明を様々な例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を加え、その要素を等価物で置き換えることができることは当業者には理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】未精製及び精製されたリサイクルUBCパルプに適用された精製比エネルギーに対してプロットされたショッパー・リーグラー値を示す図です。
図2】未精製及び精製リサイクルUBCパルプの保水値、WRVに対してプロットされたショッパー・リーグラー値を示す図である。
図3】未精製及び精製リサイクルUBCパルプのシート密度に対する引張指数をプロットした図である。
図4】未精製及び精製リサイクルUBCパルプのシート密度に対してプロットした引裂指数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
実施例1-未加工のUBCパルプの調製
収集された使用済みUBC出発材料をポリマー及びアルミニウムフィルム分離法に供して、ポリマー及びアルミニウム画分及び繊維画分を得た。UBCを、ドラムパルパー(ドラム速度10.7U/分)中、約50℃で25分間、約18~20重量%の濃度で水で処理した。ポリマーアルミニウム画分はUBCから分離され、残りのパルプはここでは未加工のUBCパルプ(1)として示される。スクリーニングドラムには8mmの穴を備えていた。ポリマー及びアルミニウム画分は、UBC出発材料の乾燥重量の約30~35重量%を構成していた。未加工のUBCパルプの繊維組成は次のとおりである。
漂白針葉樹クラフト:12重量%
未漂白針葉樹クラフト:25重量%
未漂白広葉樹クラフト:20重量%
針葉樹材CTMP:33重量%
広葉樹材CTMP:10重量%
【0092】
試料(1)として示される未加工のUBCパルプの繊維及び水分分析の結果を表1、2及び3に示す。
【0093】
このパルプ試料中の抽出物の量は13900mg/kg(アセトン抽出物)であったが、不飽和脂肪酸(遊離及び結合)の量は2365mg/kgであった。樹脂酸の量は511mg/kgであり、そのうち遊離ステロールは49mg/kg、結合ステロールは37mg/kgであった。
【0094】
ろ液のpHは6.74であり、懸濁固体の量は33mg/リットルであり、5日後のBODは500mg/リットルであり、CODは820mg/リットルであった。ろ液のリン含量及び全窒素含量は、それぞれ2.1mg/l及び26mg/lであった。
【0095】
実施例2-未加工のUBCの粗スクリーニング
次いで、実施例1で調製した未加工のUBCパルプを希釈し、1.6重量%の濃度で粗いふるいにかけた。スクリーナーには輪郭穴スクリーンバスケットの横にステップローターが備えられており、大きな平坦な汚染物質が効率的に除去される(ロータ速度730m/分)。スクリーンの穴の直径は1.6mmであった。次に、受け入れられたストリーム(出力、濃度1.4重量%)を収集し、分析した。不合格品(不合格率14重量%)を、2.4mmのスクリーニング穴を有する別のスクリーニング及び剥離ユニットに供した。次いでアクセプトを収集して出力ストリームとして使用し、一方、不合格物を、スクリーンに2.4mmの穴を有する不合格品選別機に供した(不合格品選別機、ロータ速度1600m/分、濃度2.2重量%、希釈水50L/分))。得られたアクセプト流(濃度1.4重量%)の温度は約37℃であった。試料(2)として示される出力ストリームを分析し、結果を表1~3に示す。
【0096】
実施例3-ファインスクリーニングと洗浄
実施例2で得られた出力ストリームを熱水(68℃)で1重量%の濃度に希釈し、次いでベルト型洗浄機の滑らかなロールの周りにワイヤ張力によってパルプ懸濁液を供給することにより、高速洗浄/脱水及び分別が行われる。洗浄及び排水後のパルプの稠度は約12重量%であり、パルプの温度は約60℃であった。ベルト式洗濯機での洗浄/脱水により、繊維部分の灰分が49%減少した。脱水された繊維基材の坪量は約31gsmであった。
【0097】
処理されたUBCをさらに希釈工程に供し、次いで2台のフォワードスクリーニングクリーナー(ハイドロサイクロン)を1.4重量%の濃度(排除量4.7重量%、希釈水60リットル/分)で使用するファインスクリーニングに供し、その後1.2重量%の濃度での第2の前方洗浄工程(排除量5.7重量%、希釈水65l/分)に、及び1.3重量%の濃度でカスケードモードで操作される遠心スクリーニング原理に基づく2つのロータスクリーナー(マルチフォイルロータ)に供し、その後、増粘工程(入口濃度1.2重量%及びアクセプト濃度6.1重量%。アクセプトは2.1重量%の灰分を有していた)に供した。パルプの温度は約60~70℃であった。スクリーンのスリットサイズは0.15mmであった。試料(3)として示される、得られた精製されたUBCパルプを分析し、結果を表1~3に示す。
【0098】
実施例4-増粘、熱分散、脱水
実施例3で得られた、ファインスクリーニングし、洗浄し、増粘した材料をさらにスクリュープレス及び加熱スクリュー及びヒーターに供給し(入口濃度3.4重量%、アクセプト濃度40重量%、スクリュー速度50U/分)、続いて、約115℃で加熱分散機を運転した(ロータ速度1500U/分、入口濃度35重量%、ギャップ4.4mm、アクセプト濃度10.5重量%)。分散機後のパルプの濃度は10.5重量%であった。低濃度での希釈及び洗浄を(高速洗浄/脱水ユニットを使用して)実行した後、スクリュープレスで約30重量%の濃度まで脱水した。
【0099】
試料(4)として示される洗浄及び選別された材料を分析し、結果を表1~3に示す。結果は、参照試料1(未加工のUBCパルプ)と比較して、かなりの量の抽出物を除去できることを示した。このパルプ試料中の抽出物の量は3200mg/kg(アセトン抽出物)であったが、不飽和脂肪酸(遊離及び結合)の量は591mg/kgであった。樹脂酸の量は62mg/kgであり、そのうち遊離及び結合ステロールの量はそれぞれ15及び8mg/kgであった。
【0100】
ろ液のpHは8.4であり、懸濁固体の量は16mg/lであり、5日後のBODは13mg/lであり、CODは44mg/lであった。ろ液のリン含量及び全窒素含量は、それぞれ0.7mg/l及び<1mg/lであった。
【0101】
実施例5-加熱と高濃度不活性化
実施例4で得られた材料をさらに、T>80℃で操作されるスクリーニングプレス及び加熱スクリーンに供し、さらに、これも高温で操作される高濃度分散機に供した。その目的は、パルプをさらに脱水し、より高い濃度で微生物の活動を不活性化することであった。高濃度分散機の後、パルプは、約85℃の温度で3.3%過酸化物、NaOH及びケイ酸塩を使用して高濃度で失活させた。この処理の目的は、残っている微生物の活動を不活化することであった。
【0102】
試料(5)として示される、得られた不活性化UBCパルプを分析し、結果を表1~3に示す。結果は、例えば抽出物の量をさらに低減することができるが、微生物の活動が大幅に減少されることも示している。このパルプ試料中の抽出物の量は2500mg/kg(アセトン抽出物)であったが、不飽和脂肪酸(遊離及び結合)の量は495mg/kgであった。樹脂酸の量は49mg/kgであり、遊離ステロール及び結合ステロールはそれぞれ11mg/kg及び8mg/kgに減少した。
【0103】
実施例6 比較-OCCプラントにおけるUBC処理
この場合、収集されたUBCパルプを、従来のOCCプラントの概念に基づいてドラムパルパーと分別に供した。得られたUBCパルプ(試料(6)として示す)を分析し、結果を表1~2に示す。結果は、プラスチック含有量が比較的高く、Al及びCa濃度も高レベルのままであることを示している。
【0104】
実施例7 比較-OCCプラントにおけるUBC処理
実施例6と同様であるが、パルプを、OCCの処理を目的として設計された加熱分散機でさらに処理した。得られたUBCパルプ(試料(7)として示す)を分析し、結果を表1~2に示す。繊維収量のわずかな改善と、プラスチック含有量のわずかな減少が見られた。(6)と比較すると、金属塩は依然として高いレベルにあるが、わずかな改善が見られた。
【0105】
この懸濁液の固形分濃度は7.6重量%、SR値は33、WRV値は163であり、高い排水抵抗を示した。
(乾燥物ベース。%(平均重量%)
【0106】
実施例8-3層液体板紙の製造試験
板紙製造試験は、プレスセクション、乾燥及び表面サイジング及びカレンダー加工セクションに続き、最後に巻き取りステーションに続いて、3本のワイヤと3つのヘッドボックスを備えた長網抄紙技術に基づくパイロットマシンで実行された。上層と中間層の間、及び中間層と裏面層の間に、層結合剤としてデンプンを1.8gsmの量で添加した。
【0107】
パルプ混合物及び層の組成を表4に示し、得られた3層ボードの試験結果を表5に示す。3層ボードの全坪量は250g/mであった。目標含水率は7.5%であった。
【0108】
未加工のUBCパルプを使用した試験は、細菌の活動性が高く、不快な臭いがあり、不純物の含有量が多いため、実行されなかった。代わりに、参照として、高カッパ(褐色)パルプをブローク(内部完成紙料、つまり再利用パルプ)とともに中間層に使用した。
【0109】
実施例9-中間層のUBCからの大量のパルプ
実施例4で得られた精製されたUBCパルプを3層液状板紙の板紙製造試験に使用した。精製されたUBCパルプを固形分35重量%で調製した。試験中、異臭は観察されず、この特定のパルプの細菌活動は製紙条件では正常であった。
【0110】
板紙中のUBCパルプの全量は、板紙総坪量(繊維)の30%に相当したが、中間層の割合は53%であった。
【0111】
該板の一部の強度特性のわずかな低下が見られたが、例えば、Z強度は依然としてベンチマークを上回っていた。この例では、高収率パルプ又は高カッパパルプをUBCのパルプに置き換えることができることを確認している。
【0112】
実施例10-中間層のUBCからのパルプの量が少ない
この場合、UBCパルプを、前の実施例よりも低量で、且つより高い含有量のパルプと混合するように、中間層の組成を変更した。該板内のUBCからのパルプの全量は約15%であった。この実施例では、高収率パルプ又は高カッパパルプをUBCのパルプに置き換えることができることを確認している。
【0113】
実施例11-高度に精製されたUBCからの大量のパルプ
この場合、UBC由来のより高度に精製されたパルプが、ブロークパルプ及び高収率パルプとともに中間層(53%)に追加された。この量は、板構造全体におけるUBC由良のパルプの30%の使用に相当する。多量のUBCパルプにもかかわらず、光学的特性又は機械的特性への影響は見られなかった(表IIを参照)。実際、Z強度の大幅な向上が得られた。
【0114】
実施例12-高度に精製されたUBC由来の少量のパルプ
この場合、UBC由来のより高度に精製されたパルプが、前の実施例よりも少ない量で高収率パルプの含有量が多く混合されるよう、中間層の組成を変更した。該板内のUBCからのパルプの全量は約15%であった。この実施例は、UBCパルプが高収率パルプのより高い含有量で使用可能であり、スコットボンド及びZ強度などのいくつかの強度特性を実際に改善することを確認する。
【0115】
実施例13-処理されたUBCパルプの強度特性に対する洗浄と精製の影響
実施例1、4及び5から得られたUBCパルプを出発材料として使用した。各パルプの試料を3つ用意し、1つは未精製、2つはVoith LR40リファイナーで2つの異なるレベルの精製を行った(濃度4%、充填材3-1、0-60℃、比エッジロード2.5J/m)。各試料パルプの160gsmシートを標準手順に従って準備し、シートの強度と物理的特性を検査した。結果を図1~4に示す。図中、「RAW UBC」は実施例1で得られたUBCパルプを示し、「UBC+WT」は実施例4で得られたUBCパルプを示し、「UBC WB」は実施例5で得られたUBCパルプを示す。
【0116】
不純物及び微粉は、実施例4及び5から得られたUBCパルプの大規模な精製及び熱処理中に除去されるが、この結果は、驚くべきことに、再生パルプ及び精製パルプの強度特性を維持又は改善できることを示している。
【0117】
他に指定がない限り、以下のパラメータは指定された標準方法に従って測定された。
乾燥物含有量:ISO 638
WRV 100メッシュ:ISO 23714
繊維長 Lc(l) FS5 ISO:ISO 16065
排水性 (SR):ISO 5267-1
pH:DIN 38404-C5:2009-7
懸濁された固体:DIN EN 872:2005-04
BOD:DIN EN 1899-1:1998-05
COD:DIN 38409-H41/SFS 5504:1988
リンの合計:DIN EN ISO 11885:2009-09
窒素の合計:DIN EN 25663:1993-11
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】