(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】硝子体疾患重症度測定のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525090
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 IB2022060853
(87)【国際公開番号】W WO2023089459
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ポール アール.ハレン
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA11
4C316AB02
4C316AB06
4C316AB12
4C316AB16
4C316FB21
4C316FC14
4C316FC15
(57)【要約】
本明細書で提示される特定の態様は、硝子体疾患、特に硝子体混濁の重症度を判定する際に1つ以上の機械学習モデルを利用するシステム及び方法を提供する。このような機械学習モデルは、現在の患者が患う硝子体混濁の重症度を判定するために、過去の患者データに基づいて訓練される。その後、重症度判定は、特定のタイプの治療に対する患者の適性を含む、現在の患者のための治療の決定を知らせるために利用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝子体混濁重症度測定値を生成するためのシステムであって、
現在の患者の硝子体混濁状態の1つ以上の測定値を生成するように構成された1つ以上の眼科診断デバイスと、
実行可能命令を含むメモリと、
前記1つ以上の眼科診断デバイスと通信可能に結合されたプロセッサであって、前記メモリとデータ通信し、且つ1つ以上の訓練された機械学習モデルを使用して、前記現在の患者の前記硝子体混濁状態の前記1つ以上の測定値に基づいて、前記硝子体混濁状態の重症度評価を生成するために前記命令を実行するように構成されたプロセッサと、
を含み、
前記1つ以上の訓練された機械学習モデルは、少なくとも1つの過去のデータセットに基づいて訓練され、前記少なくとも1つの過去のデータセットにおける各エントリは、過去の患者に関する硝子体混濁状態の1つ以上の測定値を含み、前記測定値は、前記過去の患者の1つ以上の硝子体混濁の数、サイズ、形状、表面積、相対透明度、移動、場所、並びに、網膜及び/又は水晶体までの距離の1つ以上を示す、システム。
【請求項2】
前記重症度評価は、1~100のスケールの重症度スコアを含み、1の重症度スコアは、最も低い重症度に対応し、及び100の重症度スコアは、最も高い重症度に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記現在の患者の前記硝子体混濁状態の前記測定値は、前記現在の患者の眼の2次元断面画像、前記現在の患者の眼の2次元広角画像、前記現在の患者の眼の3次元画像及び前記現在の患者の眼の2次元トポグラフィックマップの1つ以上から導出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記眼科診断デバイスは、光干渉断層撮影(OCT)デバイス、走査型レーザ眼底検査(SLO)デバイス、暗視野顕微鏡、超音波デバイス及びマルチスペクトルイメージングデバイスの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記重症度評価を生成することは、前記現在の患者の人口統計学的情報に更に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの過去のデータセットにおける各エントリは、前記過去の患者の人口統計学的情報を更に含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記重症度評価を生成することは、前記現在の患者の自らの硝子体混濁状態の自己評価を示す自己申告データに更に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記現在の患者の自らの硝子体混濁状態の自己評価を示す前記自己申告データは、前記現在の患者によって視覚機能質問票(VFQ)で提供された回答に基づく、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの過去のデータセットにおける各エントリは、前記過去の患者の自らの硝子体混濁状態の自己評価を示す自己申告データを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記過去の患者の自らの硝子体混濁状態の自己評価を示す前記自己申告データは、前記過去の患者によって視覚機能質問票(VFQ)で提供された回答に基づく、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの過去のデータセットにおける各エントリは、前記過去の患者に関する治療後情報を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記治療後情報は、治療後の前記過去の患者の前記硝子体混濁状態の1つ以上の測定値を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記治療後情報は、治療後の前記過去の患者の自らの硝子体混濁状態の自己評価を示す自己申告データを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記治療後情報は、治療後の前記過去の患者の硝子体混濁状態における改善を示す改善スコアを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記重症度評価は、治療後の前記現在の患者の硝子体混濁状態における予測される改善を示す改善スコアを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記メモリは、
前記現在の患者の前記硝子体混濁状態の前記1つ以上の測定値を前記重症度評価にマッピングすることと、
前記現在の患者の前記硝子体混濁状態の前記1つ以上の測定値及び前記重症度評価を、前記1つ以上の機械学習モデルを再訓練するためのサンプルに変換することと
を行うために前記命令を実行するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
硝子体は、水晶体と網膜との間に位置する親水性ゲルであり、人間の眼の最大の体積を有する構成要素を構成する。健康な硝子体は、光学的に透明であり、ほとんど水で構成され、眼球を構造的に支え、急速な眼球運動及び激しい身体活動で安定性をもたらす巨大分子(コラーゲン、可溶性タンパク質及びヒアルロナン)を低濃度で含む。硝子体の光学的透明度は、これらの分子成分から構成される組織によってもたらされる。眼球を構造的に支え、光の透過を容易にすることに加えて、硝子体は、抗酸化物質のレポジトリとして且つ水晶体、毛様体及び網膜が利用する栄養素の経路として視覚生理学で重要である。
【0002】
加齢とともに、硝子体は、線維性変性及びゲル液化を起こし、その結果、場合により後部硝子体剥離(PVD)として知られる過程で網膜から硝子体が剥離することもある。分子変化によって線維化した硝子体の液化により、ヒアルロナンからコラーゲンが解離し、液状の硝子体が形成され、コラーゲン線維が架橋して視認可能な線維になる。このような分子変化の発症を早め得る他の条件としては、近視(近眼)、眼外傷及び過去の白内障手術が挙げられる。
【0003】
液化したポケットが形成され、コラーゲン線維が凝集して大きい線維になり、硝子体が網膜から剥離することにより、「飛蚊症」としても知られる混濁が硝子体に生じる。硝子体混濁は、眼に入る光を散乱させ得るため、視力の質を悪化させ、これにより患者の視野内を動き回るように見えるスポット、影、クモの巣又は他の様々な形状として現れる。硝子体混濁は、最も一般的な眼疾患の1つであるが、ほとんど治療されない。症状は、ほとんどの患者でわずかであり、治療を必要としないが、硝子体混濁は、場合により著しい視力障害を引き起こすことがあり、それにより一部の患者では視力に関連した生活の質(QOL)を損なうことがある。視力障害の重症度が大きい場合、硝子体混濁は、例えば、レーザ硝子体索切断及び小切開硝子体手術で治療されることもある。
【0004】
現在、硝子体混濁を臨床的に特徴付け及び類別するために、患者の自己申告に加えて、様々な光学的技法が利用されている。このような光学的技法は、硝子体混濁を光学的に観察するために、例えばスリット照明と組み合わせた手持ちレンズの利用を含む。しかしながら、これらの技法が提供するのは、最低限で変わりやすい結果であり、硝子体混濁による視力障害の程度の客観的な定量化をもたらすものではなく、その特性付け及び類別を一貫性のないものにする。患者の自己申告は、主観的なものでもあり、場合により視力障害の真の程度を示すことができない。そのため、患者の硝子体混濁発生に治療を適用するか否かを判定することは、困難であることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当技術分野では、治療に関する患者の適性を知らせるために硝子体疾患の重症度を判定するための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施形態によれば、硝子体混濁状態の重症度を判定する方法が提供される。本方法は、1つ以上の診断デバイスを使用して、現在の患者の硝子体混濁状態の物理的パラメータの測定値に関連する1つ以上のデータポイントを生成することと、1つ以上の訓練された機械学習モデルを使用して、現在の患者の硝子体混濁状態の物理的パラメータの測定値に関連する1つ以上のデータポイントに少なくとも部分的に基づいて、硝子体混濁状態の重症度スコアを含む1つ以上の診断判定を生成することとを含み、1つ以上の訓練された機械学習モデルは、少なくとも1つの過去のデータセットに基づいて訓練され、過去のデータセットにおける各エントリは、過去の患者に関連する診断判定にマッピングされた過去の患者に関する硝子体混濁状態の物理的パラメータの測定値に関連する1つ以上のデータポイントを含み、過去の患者に関連する診断判定は、過去の患者に関する硝子体混濁状態の重症度スコアを含み、過去の患者に関する硝子体混濁状態の物理的パラメータは、1つ以上の硝子体混濁の数、サイズ、形状、表面積、相対透明度、移動、場所並びに網膜及び/又は水晶体までの距離の1つ以上を含む。
【0007】
上記の本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上記の簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって行われ得、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態を示すにすぎないため、その範囲を限定するものとみなされるべきではなく、他の均等に効果的な実施形態が認められ得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A-1C】本明細書で説明される特定の態様による、患者の硝子体混濁状態の重症度を判定する際に使用するために1つ以上の機械学習モデルが訓練及びデプロイされる例示的な環境を示す。
【
図2】本明細書で説明される特定の態様による、患者の硝子体混濁発生の重症度を判定するために1つ以上の機械学習モデルを訓練する、1つ以上のコンピューティングシステムによって実行され得る例示的な動作を示す。
【
図3】本明細書で説明される特定の態様による、患者の硝子体混濁状態の重症度を判定する、1つ以上のコンピューティングシステムによって実行され得る例示的な動作を示す。
【
図4】本開示の実施形態が実行され得る例示的なシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするために、図面間で共通の同一要素を示すために、可能な場合には同一の参照符号が使用される。更なる説明を伴わずに、1つの実施形態の要素及び特徴を他の実施形態に有益に組み込み得ることが企図される。
【0010】
以下の説明では、開示される主題の理解を容易にするために、詳細が例として記載される。しかしながら、開示される実装形態が例であり、すべての可能な実装形態を網羅するものではないことが当業者に明らかなはずである。したがって、説明される例への言及は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。説明されるデバイス、器具、方法に対する任意の変更形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の更なる任意の応用形態は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するであろうことが完全に想定される。特に、1つの実装形態に関して説明される特徴、構成要素及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して説明される特徴、構成要素及び/又はステップと組み合わされ得ることが十分に想定される。
【0011】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、公称値からの+/-10%の変動を指し得る。このような変動は、本明細書で提供されるいずれの値にも含まれ得ることを理解されたい。
【0012】
本開示は、一般に、硝子体疾患の重症度を判定するためのシステム及び方法に関し、より詳細には、硝子体混濁の重症度を判定するためのシステム及び方法に関する。
【0013】
上述のように、硝子体混濁の存在は、その重症度を効果的に特徴付けることが困難であることが多い一般的な眼の状態である。「飛蚊症」としても知られる硝子体混濁は、一般に、加齢とともに自然に生じ得る線維性変性及びゲル液化によって引き起こされる。健康な眼では、ヒアルロナン(すなわちヒアルロン酸)は、硝子体腔内でコラーゲン線維が凝集するのを防止し、これにより硝子体の構造及び透明性を維持し得る。しかしながら、眼が老化するにつれて、ヒアルロナンは、コラーゲンから解離し、コラーゲン線維の架橋及び凝集を引き起こし、液状の硝子体のポケットを形成する。これらの構造は、眼に入る光を散乱させ、様々な形状及び影として患者の視野に現れることがある。
【0014】
現在、顕微鏡、超音波イメージング及び動的光散乱(DLS)を含む様々な光学的技法は、硝子体混濁を特性付け及び類別することを促進するために利用されている。しかしながら、このような技法は、硝子体混濁の構造的特徴付けを容易にするのみであり、それにより引き起こされる視力障害の程度の定量化はできない。現在、患者に関連する画像データ又は他の情報に基づいて、患者の硝子体混濁によって引き起こされる視力障害の程度を客観的に定量化することができる眼科システムは、存在しない。上述のように、患者の自己申告は、主観的なものでもあり、場合により視力障害の真の程度を示すことができない。そのため、患者の硝子体混濁状態に治療を適用するか否かを判定することは困難であることが多い。
【0015】
本明細書で提示される態様は、治療に関する患者の適性を知らせるために、患者が患う硝子体混濁の重症度を判定する際に1つ以上の機械学習モデルを利用するシステム及び方法を提供する。このような機械学習モデルは、同一又は類似の状態の様々な重症度を有する過去の患者に関連する過去の患者のデータに基づいて訓練される。これらの機械学習モデルを使用することにより、多数の過去の患者のデータを活用して、現在の患者が患う硝子体混濁の重症度のより正確な又は客観的な指標を求めることができる。本明細書で定義される場合、現在の患者とは、一般に、硝子体混濁の症状を患う患者であり、現在の患者の情報(例えば、画像データ)に基づいて、重症度測定値、例えば重症度スコアを提供するためにこれらの機械学習モデルが使用され得る患者である。重症度測定値を使用して、医師、例えば眼科外科医は、患者の状態が、レーザ硝子体索切断及び小切開硝子体手術などの治療に適するか否かを判定することができる。したがって、本明細書における技法は既存の眼科システムを改善して、患者に関連する画像データ又は他の情報に基づいて、患者の硝子体混濁状態によって引き起こされる視力障害の程度を客観的に定量化することを可能にする。
【0016】
硝子体疾患診断を改善するための例示的なコンピューティング環境
図1A~
図1Cは、患者の硝子体混濁又は硝子体混濁状態(以下では「混濁状態」)の重症度を判定する際に、1つ以上の機械学習モデルが訓練され、使用される例示的なコンピューティング環境を示す。一般に、これらの機械学習モデルは、過去の患者のデータに対応する記録を含む訓練データのコーパスを使用して訓練され、患者の混濁状態の重症度を判定する際に使用するためにデプロイされ得る。過去の患者ごとの過去の患者のデータは、患者の人口統計学的情報、治療前の患者の混濁状態の物理的パラメータの記録された測定値、治療前の自己申告重症度データ、患者の硝子体混濁重症度測定値、治療の種類などの治療に関する情報がある場合にはその情報及び/又は治療後の自己申告重症度データ並びに治療後の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値などの他の治療後情報を含み得る。
【0017】
これらの機械学習モデルは、更に詳細に後述するように、入力として、現在の患者の混濁状態の物理的パラメータの少なくとも測定値を使用し、且つ出力として、現在の患者の混濁状態の重症度スコアを含む1つ以上の硝子体混濁重症度測定値(以下では「混濁重症度測定値」)を生成するように構成され得る。本明細書では、重症度とは、混濁状態によって引き起こされる視力障害(例えば、患者の視覚機能への悪影響)の範囲又は程度をいう。硝子体混濁が重度である場合、そうでない場合と比べて視力障害が重くなり、それを矯正するためにはより集中的な形態の治療が必要になり得る。特定の実施形態では、重症度スコアは、1~100のスケール上の値に対応するスケールスコアであり、1が最低限の重症度であり(すなわち最も低い重症度)、100が最も重症である(すなわち最も高い重症度)。
【0018】
結果として、外科医は、現在の患者の混濁状態の重症度のより客観的且つより正確な判定を提供され得る。この情報を使用して、外科医は、現在の患者のための最適な治療の形態を決定することができる。更に詳細に後述するように、これらの機械学習モデルへの入力は、現在の患者の人口統計学的情報に関連するデータポイント、治療前の自己申告重症度データ及び現在の患者の混濁状態に関する他の情報などの追加情報を含み得ることに留意されたい。
【0019】
現在の患者に関する混濁重症度測定値を生成する機械学習モデルを訓練し、デプロイするために様々な技法が使用され得る。様々なデプロイ方式を
図1A~
図1Cに示す。例えば、
図1Aは、機械学習モデルがリモートサーバ上で訓練され、患者の診察中に外科医が使用するユーザコンソールにデプロイされるデプロイ方式を示す。
図1Bは、機械学習モデルが、ユーザコンソールを通してアクセス可能なリモートサーバ上で訓練及びデプロイされるデプロイ方式を示す。最後に、
図1Cは、機械学習モデルがリモートサーバ上で訓練され、診断デバイス、例えばイメージングデバイスに組み込まれたコンピューティングシステムにデプロイされるデプロイ方式を示す。しかしながら、現在の患者に関する混濁重症度測定値を生成する機械学習モデルを訓練し、デプロイするための他の様々な技法が企図され得、
図1A~
図1Cに示されるデプロイ方式は非限定的な説明のための例であることを認識されたい。
【0020】
図1Aは、例示的なコンピューティング環境100Aを示し、ここでは、診断デバイス110、サーバ120及びユーザコンソール130は、現在の患者に関する混濁重症度測定値を生成する際に使用される1つ以上の機械学習モデルを、診断デバイス110によって提供される現在の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値に少なくとも部分的に基づいて訓練するためにネットワークを介して接続される。読みやすくするために、本明細書では、1つ以上の機械学習モデルを「MLモデル」と呼び、単一のMLモデル及び複数のMLモデルの両方を指す。
【0021】
診断デバイス110は、一般に、現在の患者が患う硝子体混濁の物理的パラメータの測定値など、硝子体に関する情報を生成し得るか又は生成することを容易にし得る任意の適切なデバイスの代表である。本明細書では、硝子体混濁の物理的パラメータとは、数、サイズ、形状(例えば、ワイスリング、クモの巣又は雲)、表面積、密度又は相対透明度、移動、場所(例えば、視軸に沿った又はその周辺における場所)、網膜及び/又は水晶体までの距離など、個別(例えば、単一の混濁又は複数の混濁のうちの個々の混濁)又は集合(例えば、複数の集合体である)パラメータを指す。測定値は、いくつかの実施形態では、例えば、対応する物理的パラメータの測定値を含み得る。特定の実施形態では、測定値は、現在の患者が患う硝子体混濁の物理的パラメータの1つ以上の測定値に関連するデータポイントを含む。
【0022】
特定の実施形態では、診断デバイス110は、測定値が導出され得る生データを生成し得る。このような場合、生データは、例えば、眼の2次元断面画像、眼の2次元広角画像、眼の3次元画像、眼の2次元トポグラフィックマップ又は物理的パラメータの測定値が導出され得る他のデータを含み得る。一般に、任意の数の診断デバイス1101~110nがコンピューティング環境100Aに含まれ得、混濁重症度測定値を生成するMLモデルへの入力として使用され得る異なる種類のデータを生成するために使用され得る。コンピューティング環境100Aにおける各診断デバイス110は、患者の混濁状態、より一般的には患者の眼の1つ以上の物理的パラメータの測定値又は関連するデータポイントを生成し、且つ測定値又は関連するデータポイントをユーザコンソール130、サーバ120及び/又はレポジトリ140に提供することができる。
【0023】
1つの例では、診断デバイス110の1つは、時間又は周波数領域OCTデバイス、フーリエOCTデバイスなどの光干渉断層撮影(OCT)デバイスを含み得る。例えば、診断デバイス110は、現在の患者の混濁状態の様々な個別又は集合的な物理的パラメータの測定値が導出され得る、現在の患者の眼に関する1次元(例えば、中心点から)、2次元及び/又は3次元のデータ(例えば、画像データ)を生成し得るOCTデバイスを含み得る。OCTデバイスは、データから、数、サイズ、形状(例えば、ワイスリング、クモの巣又は雲)、表面積、密度又は相対透明度、移動、場所(例えば、視軸に沿った又はその周辺における場所)、網膜及び/又は水晶体までの距離などを含む、現在の患者の混濁状態の重症度を特徴付けるための様々な関連測定値を導出し得る。
【0024】
診断デバイス110の別の1つは、現在の患者の眼底の高品質で広角の2次元画像をリアルタイムで生成し得る走査型レーザ眼底検査(SLO)デバイスを含み得る。OCTと同様に、SLOデバイスは、数、サイズ、形状、表面積、密度又は相対透明度、移動、場所及びその網膜及び/又は水晶体までの距離などを含む、現在の患者の混濁状態の重症度を特徴付けるための様々な関連測定値を導出し得る。このような実施形態では、現在の患者の眼における硝子体混濁の存在は、広範な2次元SLO画像における焦点の合っていない構造の存在によって示され得る。
【0025】
診断デバイス110の更に他の例としては、暗視野顕微鏡、超音波デバイス及び8バンド又は10バンドのマルチスペクトル網膜イメージングシステムなどのマルチスペクトルイメージングシステムが挙げられる。一般に、現在の患者の混濁状態の様々な物理的パラメータの測定値を導出するために、任意の適切な診断デバイス110が、単独で又は組み合わされて利用され得る。
【0026】
サーバ120は、一般に、単一のコンピューティングデバイス又はコンピューティングデバイスのクラスタの代表であり、その上で訓練データセットが生成され、混濁重症度測定値を生成するためにMLモデルを訓練するために使用され得る。サーバ120は、過去の患者のデータレポジトリ140(以下では「レポジトリ140」)に通信可能に結合され、そこに過去の患者の記録が格納される。特定の実施形態では、レポジトリ140は、サーバ120、ユーザコンソール130及び/又は診断デバイス110からの情報を受信し、対応する患者の記録に情報を構造化及び組織化して格納するためのデータベースサーバであり得るか又はそれを含み得る。
【0027】
特定の態様では、レポジトリ140における各患者の記録は、患者の人口統計学的情報、治療前の患者の混濁状態の物理的パラメータの記録された測定値、治療前の自己申告重症度データ、患者の混濁重症度測定値、治療の種類などの治療に関する情報がある場合にはその情報及び/又は治療後の自己申告重症度データ並びに治療後の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値などの他の治療後情報などの情報を含む。例えば、各患者の人口統計学的情報は、患者の年齢、性別、民族及びその他を含み得る。患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値は、上述のように、OCTデバイス、SLOデバイス、暗視野顕微鏡、マルチスペクトルイメージングシステムなどによって生成又は提供された生データ又は測定値を含み得る。各患者記録は、自らの混濁状態の結果として得られた患者の自らの視力障害の自己評価を示す1つ以上のデータポイントを含む、治療前の自己申告重症度データも含み得る。例えば、特定の実施形態では、自己申告重症度データは、「軽度」、「中等度」若しくは「重度」の3段階のスケール又は上記のように1~100のスケールでの主観的な重症度スコアを含む。特定の場合、自己申告重症度データは、患者の自らの視力関連の生活の質(QOL)の評価を評価し得る視覚機能質問票(VFQ)で患者が提供した回答に基づくものである。治療前の自己申告重症度データと同様に、治療後の自己申告重症度データは、治療後の患者の自らの視力障害の自己評価を示す1つ以上のデータポイントを含む。例えば、特定の実施形態では、治療後の重症度データは、主観的な重症度スコア(例えば、軽度、中等度、重度)であり得、且つ/又は患者が自らの混濁状態の治療後に提供したVFQ回答に基づくものであり得る。レポジトリ140における他の治療後情報は、患者の混濁状態の治療後の物理的パラメータの測定値を含み得る。
【0028】
サーバ120は、過去の患者のこれらの記録を使用して、現在の患者のための適切な治療戦略を知らせるために混濁重症度測定値を外科医に提供し得るMLモデルを訓練するために使用するためのデータセットを生成する。より具体的には、
図1Aに示すように、サーバ120は訓練データ生成器122(以下では「TDG 122」)とモデル訓練器124とを含む。TDG122は、レポジトリ140でデータを取得して、モデル訓練器124がMLモデル125を訓練するために使用するためのデータセットを生成する。
【0029】
モデル訓練器124は、訓練データセットを使用してMLモデル125を訓練するように構成された1つ以上の機械学習アルゴリズム(以下では「MLアルゴリズム」と呼ぶ)を含むか又は指す。特定の実施形態では、訓練されたMLモデルとは、ある入力群に対する混濁重症度測定値を生成するために使用される、例えば重み及びパラメータを用いた関数をいう。ある入力群に対して異なる種類の出力を生成するために各種のMLアルゴリズムが使用され得る。
【0030】
MLアルゴリズムは、一般に、教師あり学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム及び/又は半教師あり学習アルゴリズムを含み得る。教師なし学習は、ラベル付き回答のない入力データから構成されるデータセットから推論を引き出すために使用されるタイプの機械学習アルゴリズムである。教師あり学習は、例えば入力を出力に、例としての入力-出力ペアに基づいてマッピングする関数を学習する機械学習タスクである。教師あり学習アルゴリズムは、一般に、回帰アルゴリズム、分類アルゴリズム、決定木、ニューラルネットワークなどを含む。ラベル付きデータセットについて以下に説明する。
【0031】
訓練及びデプロイされると、患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値、人口統計学的情報及び治療前の自己申告重症度データを含む、現在の患者に関連する特定の入力群に基づいて、MLモデル125は、出力として、現在の患者に関する混濁重症度測定値を生成又は予測することができる。特定の態様では、モデル訓練器124は、現在の患者に関連する入力群を取り込み、且つ客観的な硝子体混濁重症度スコアを含む混濁重症度測定値を外科医に提供するように構成されたMLモデル125を訓練する。次いで、外科医は、重症度測定値を利用して、現在の患者のための適切な治療戦略を選択し得る。MLモデル125を訓練するために、モデル訓練器124は、人口統計学的情報、いくつかの診断デバイス(例えば、OCTデバイス、SLOデバイス、暗視野顕微鏡及び/又はマルチスペクトルイメージングシステム)によって生成された混濁状態の物理的パラメータの測定値、治療前及び治療後の自己申告重症度データ、改善スコア(例えば、治療前と治療後とでの自己申告重症度データの違い)などに関連する複数の特徴量を含む複数の特徴量化データサンプルを含む、TDG122によって提供されたラベル付きデータセットを利用し得る。
【0032】
このラベル付きデータセットに基づいて、様々なMLモデルが訓練され得る。1つの例では、MLモデル125は、客観的な治療前の重症度評価を予測するように訓練され得る。このような例では、このようなモデルを訓練するために、モデル訓練器124は、MLモデル125を介して、過去の患者に関連するデータセットにおける各サンプルから特定の又はすべての特徴量を実行し得る。特徴量は、過去の患者の人口統計学的情報(例えば、年齢、性別、民族、人種など)、患者の混濁状態に関連する治療前情報(例えば、いくつかの診断デバイスによって生成された過去の患者の個々又は集合的な硝子体混濁について、数、サイズ、形状、表面積、密度又は相対透明度、移動、場所、網膜及び/又は水晶体までの距離など)、視覚機能質問票又は同様の検査で過去の患者によって提供された治療前の自己申告重症度データなどを含み得る。各サンプルをMLモデル125で処理すると、客観的な重症度スコアの予測が得られ、これが患者の自己報告重症度スコアと比較される。多数のサンプルをMLモデル125で処理し、それに基づいて重みを調整し続けた後、ある時点で、MLモデル125は、データセットの外れ値ではない患者によって提供された主観的な重症度スコアとより一致する客観的な重症度スコアを予測し始める。
【0033】
別の例では、異なるMLモデル125が、治療され、各患者の治療前と治療後との自己報告重症度評価の比較に基づく改善スコアによって示されたときに治療後に視力障害の改善が見られた患者に関連するデータセットにおけるサンプルを最初に選択することにより、モデル訓練器124によって訓練され得る。治療され、治療後に視力障害に改善がみられた患者は、治療前の自己申告による視力障害の評価が混濁状態と高い相関がある患者である可能性が高い。一方で、治療され、視力障害に改善がみられないか低下した患者は、治療前の自己申告による視力障害の評価が混濁状態と低い相関がある患者である可能性が高いことに留意されたい。したがって、より客観的な重症度評価を予測することができるMLモデル125を訓練するために、治療後の視力障害に改善(例えば、特定の閾値を上回る改善スコアによって示される改善)が見られた患者に関連するサンプルが選択される。
【0034】
適切なサンプルを選択した後、モデル訓練器124は、MLモデル125で各サンプルからの特定の特徴量を処理することができ、特徴量は、過去の患者の人口統計学的情報、患者の混濁状態に関連する情報、過去の患者が視覚機能質問票又は同様の検査で提供した治療前の自己申告重症度データを含み得る。
【0035】
各サンプルをMLモデル125で処理すると、客観的な重症度評価の予測が得られ、これは、過去の患者が提供した実際の治療前の自己申告重症度スコアと比較される。2つの間のいかなる差異も誤差とみなされ、モデル訓練器124は、MLモデル125における様々な特徴量又は変数に関連する重みを調整することにより、その誤差を減らすように動作し得る。MLモデル125で多数のサンプルを処理し、ある時点以降もそれに基づく重みの調整を続けることにより、MLモデル125は客観的な重症度スコアを正確に判定し始める。
【0036】
別の例では、MLモデル125は、特定の治療を行うことによって現在の患者の視力障害が改善する可能性を示す改善スコアを予測するように訓練され得る。このようなモデルの場合、モデル訓練器124は、まず、選択された治療で治療された過去の患者に関連するデータセットにおけるサンプルを選択し、次に、MLモデル125で各サンプルからの特定の特徴量を処理することができ、特徴量は、過去の患者の人口統計学的情報、患者の混濁状態に関連する情報、過去の患者が視覚機能質問票又は同様の検査で提供した治療前の自己申告重症度データ、改善スコアなどを含み得る。各サンプルをMLモデル125で処理すると、改善の予測が得られ、それが過去の患者の実際の改善スコアと比較される。2つの間のいかなる差異も誤差とみなされ、モデル訓練器124は、MLモデル125における様々な特徴量又は変数に関連する重みを調整することにより、その誤差を減らすように動作し得る。
【0037】
様々な他のMLモデルも訓練され、利用され得る。MLモデル125が訓練されると、現在の患者に関する入力群を取り込み、混濁重症度測定値(例えば、現在の患者のための治療戦略を知らせるために利用され得る客観的な重症度評価、改善スコアの予測など)を生成するためにデプロイする準備が整う。
図1Aの例では、次いで、訓練されたMLモデル125は、更に詳細に後述するように、現在の患者のための混濁重症度測定値を生成するためにユーザコンソール130で使用するためにデプロイされ得る。
【0038】
いくつかの態様では、MLモデル125は、混濁重症度測定値を生成するように訓練される深層学習モデルであり得る。深層学習モデルは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、敵対的学習アルゴリズム、生成ネットワーク又はこのようなモデルの訓練に使用されるデータ内で明確に定義されないこともあるデータセット間の関係を学習し得る他の深層学習アルゴリズムを含み得る。このような場合、MLモデル125は、診断デバイス110により取り込まれた生データ、例えば2次元又は3次元画像(そこから硝子体混濁の物理的パラメータの典型的な数値的測定値を導出することができる)を使用して訓練され得る。MLモデル125は例えば、入力を深層学習モデルの1つ又は複数の層における異なるニューロンにマッピングし得る(例えば、MLモデルがニューラルネットワークを使用して生成される場合)。この場合、MLモデル125における各ニューロンは入力の内部表現における、時間とともに学習された新しい特徴量を表す。次いで、これらのニューロンは、上述のように、混濁重症度測定値を表す出力にマッピングされ得る。
【0039】
MLモデル125が訓練された後、モデル訓練器124は、MLモデル125を、現在の患者に関する混濁重症度測定値を生成する際に使用されるようにユーザコンソール130にデプロイする。診断デバイス110は、現在の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値を生成し、これらの測定値をサーバ120、ユーザコンソール130及び/又はレポジトリ140に送信する。診断デバイス110がデータポイントをサーバ120又はユーザコンソール130に送信する実施形態では(これらをレポジトリ140に直接送信する場合と異なり)、データポイントは、後のある時点で、サーバ120又はユーザコンソール130によってレポジトリ140に移され得、レポジトリ140が現在の患者の記録に測定値を格納する点に留意されたい。
【0040】
次いで、ユーザコンソール130は、データポイントを(レポジトリ140及び/又はユーザコンソール130の一時メモリから)取得し、データポイント及び他の患者情報(例えば、現在の患者の人口統計学的情報、自己申告重症度データなど)をMLモデル125に入力する。次いで、ユーザコンソール130は、MLモデル125によって生成された重症度測定値を出力する。その後、MLモデル125によって生成された重症度測定値にマッピングされた現在の患者の混濁状態の1つ以上の物理的パラメータの測定値を含むレポジトリ140における記録は、MLモデル125を再訓練するために使用される訓練データセットにおける新しいサンプルに変換される。より一般的には、新しい(すなわち現在の)患者が診察されるたびに、その新しい患者に関する情報がレポジトリ140内に保存されて、訓練データセットに補足され、補足された訓練データセットは、MLモデル125の再訓練に使用され得る。
【0041】
訓練されたMLモデル125がデプロイされると、後で詳細に説明するように、TDG122は引き続き、デプロイされたMLモデル125が混濁重症度測定値を提供した患者に関連する情報で訓練データセットを拡充する。例えば、
図1Aの実施形態では、外科医は、ユーザコンソール130を使用して、デプロイされたMLモデル125を使用して、新しい患者について、混濁重症度測定値(例えば、硝子体混濁予測された客観的な重症度評価、予測された改善スコアなどを含む)を生成し得る。この例では、上述のように、次に人口統計学的情報、患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値、自己申告重症度データ及び/又は治療後情報などの患者の混濁状態に関連する他の情報を含む、新しい患者に関する情報を含み得る新しい記録がレポジトリ140に追加される。すると、TDG122は、MLモデル125を再訓練するためにデータセットを拡充する。特定の態様では、TDG122は、新しい(すなわち現在の)患者に関する情報が入手可能となるたびにデータセットを拡充する。他の特定の態様では、TDG122は、新しい患者の記録のバッチでデータセットを拡充し、それにより資源効率が向上し得る。例えば、新しい患者の記録の数が100(又はより一般的にある閾値数)に達すると、TDG122は、100の新しい患者の記録に関連する情報を使用してデータセットを拡充し得る。このような例では、100の新しいサンプルは、MLモデル125を再訓練するためにモデル訓練器124にとって利用可能となる。
【0042】
ユーザコンソール130は、一般に、サーバ120、レポジトリ140及び/又は診断デバイス110に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス又はシステムを代表する。特定の実施形態では、ユーザコンソール130は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン又は他のコンピューティングデバイスであり得る。例えば、ユーザコンソール130は、外科医のオフィス又はクリニックで使用されるコンピューティングシステムであり得る。別の例では、ユーザコンソール130は、診察室で外科医が現在の患者の診察を行うために使用するデバイスコンソールであり得る。例えば、ユーザコンソールは、診断デバイス110の1つ以上におけるコンソールであり得る。更に別の例では、ユーザコンソール130は、レーザ硝子体索切断及び小切開硝子体手術を行うことができる手術コンソールであり得る。
【0043】
図1Aの例では、訓練されたMLモデル125は、現在の患者のための治療戦略の決定を知らせるために、例えば外科医によって利用され得る現在の患者に関する混濁重症度測定値を生成するために、サーバ120によってユーザコンソール130にデプロイされる。図示のように、ユーザコンソール130は、患者データ記録器(「PDR」)132と重症度測定値生成器(「SMG」)134とを含む。SMG134は、一般に、現在の患者に関する入力群を取り込み、出力として混濁重症度測定値を生成する、MLモデル125を含むソフトウェアモジュール又はソフトウェア命令若しくはアルゴリズムの集合を指す。特定の実施形態では、SMG134は、レポジトリ140、診断デバイス110、ユーザコンソール130のユーザインタフェース又は何らかの他のコンポーネント及び医療技術者/医務室が現在の患者に関する情報を記録するために使用し得る他のコンピューティングデバイスの少なくとも1つから入力群を受け取るように構成される。特定の実施形態では、SMG134は、ユーザコンソール130に通信可能に結合された表示デバイスに混濁重症度測定値を出力する、重症度測定値を印刷する、重症度測定値を含む1つ以上の電子メッセージを生成し、宛先デバイス(例えば、タブレット、スマートフォン、ウェアラブルデバイスなどの接続されたデバイス)に送信することなどを行う。
【0044】
ユーザコンソール130は、現在の患者の混濁状態に関するデータ及び現在の患者に関する他の患者データを受信又は生成するPDR132も含む。上述のように、患者データは、現在の患者に関する自己申告重症度データ、人口統計学的データ及び治療後情報などの任意の追加的な関連情報を含み得る。
図1Aの実施形態では、PDR132は、現在の患者データをレポジトリ140及び/又はサーバ120に送信し、現在の患者データは、TDG122により、MLモデル125を再訓練するために使用される訓練データセットにおける新しいサンプルに変換され得る。
【0045】
図1Bは、混濁重症度測定値を生成するための機械学習モデルの訓練及び使用が行われる別の例示的なコンピューティング環境100Bを示す。図示のように、コンピューティング環境100Bは、1つ以上の診断デバイス110、サーバ120、ユーザコンソール130及び過去の患者のデータレポジトリ140を含む。
図1Bの例では、TDG122、モデル訓練器124、PDR132及びSMG134は、すべてサーバ120上で実行される。これらのソフトウェアモジュールのすべては、
図1Aに関して説明したものと同じか又は少なくとも実質的に同様に機能する。
図1Bの例では、診断デバイス110は、現在の患者に関する硝子体混濁の物理的パラメータの測定値を、サーバ120及び/又はレポジトリ140に送信し得る。SMG134は、現在の患者に関連する入力群に基づいて混濁重症度測定値を生成し、混濁重症度測定値をユーザコンソール130に送信する。次いで、ユーザコンソール130は、患者データをPDR132に送り返し、PDR132は、対応する情報を処理してレポジトリ140に格納する。
【0046】
図1Cは、混濁重症度測定値の生成が診断デバイス110上で実行される例示的なコンピューティング環境100Cを示す。図示のように、コンピューティング環境100Cは、診断デバイス110、サーバ120及び過去の患者のデータレポジトリ140を含む。
図1Cの例では、PDR132及びSMG134は、すべて診断デバイス110上で実行される。これらのソフトウェアモジュールのすべては、
図1A及び
図1Bに関して説明したものと同じか又は少なくとも実質的に同様に機能する。
【0047】
図示のように、診断デバイス110は、診断ハードウェア/ソフトウェア112を含み、これは、一般に、OCTデバイス、SLOデバイス、マルチスペクトルイメージングシステムなどのいずれかに関連するハードウェア及びソフトウェアのコンポーネント及びモジュールを指す。診断デバイス110は、PDR132及びSMG134の機能に関連する場合にその情報をユーザが入力及び/又は閲覧することを可能にするユーザインタフェース及び/又は表示デバイスも含み得る。
【0048】
機械学習モデルを使用して混濁重症度測定値を生成するための例示的な方法
図2は、本明細書で説明される特定の態様による、少なくとも現在の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値に基づいて、現在の患者の混濁状態に関する客観的な硝子体混濁重症度スコアを含む混濁重症度測定値を生成するためにMLモデルを訓練し、使用するコンピューティングシステムによって実行され得る例示的な動作200を示す。動作200は、
図1A~
図1Cに示すユーザコンソール130、サーバ120又は診断デバイス110の1つ以上によって実行され得る。
【0049】
図示のように、動作200は、ブロック210で開始し得る。ここで、システムは、過去の患者の記録のセットを取得する。過去の患者の記録のセットにおける各記録は、特定の過去の患者に関する情報を含む。上述のように、例えば、各記録は、人口統計学的情報、治療前の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値、治療前の自己申告重症度データ、治療及び治療後情報など患者の混濁状態に関連する他の情報並びに過去の患者に関して記録された任意の混濁重症度測定値を含む。特定の実施形態では、患者の混濁状態に関連する他の情報は、治療の種類及び/又は治療後の自己申告重症度データ並びに治療後の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値などの他の治療後情報を含む。
【0050】
ブロック220では、システムは、いくつかの過去の患者のうちの過去の患者ごとに、患者の人口統計学的情報、治療前の患者の混濁状態の物理的パラメータの記録された測定値、治療前の自己申告重症度データ、治療に関する情報(存在する場合)及び治療後のデータを患者の混濁重症度測定値にマッピングすることにより、訓練データセットを生成する。一般に、これらの過去の患者のデータポイント及びパラメータを、その混濁重症度測定値にマッピングすることにより、訓練データセットは、MLモデルが、将来(すなわち現在)の患者に関する硝子体混濁の物理的パラメータの測定値の少なくとも入力が与えられたならば混濁重症度測定値を生成するように訓練されることを可能にし得る。
【0051】
ブロック230では、システムは、訓練データセットに基づいて1つ以上のMLモデルを訓練する。訓練されたMLモデルは、現在の患者の混濁状態に関する客観的な硝子体混濁重症度スコアを含む1つ以上の重症度測定値を生成するように訓練され得る。MLモデルは、MIMOモデル又はMIMOモデルのセットであり得る。
【0052】
ブロック240では、システムは、使用のために訓練されたMLモデルをデプロイする。訓練されたMLモデルは、例えば、
図1A~
図1Cに示されるような1つ以上のサーバコンピュータ、ユーザコンソール、コンピューティングデバイスが組み込まれた診断デバイスなど又は更に
図1A~
図1Cには示されないコンピューティングデバイスにデプロイされ得る。
【0053】
図3は、本明細書で説明される特定の態様による、少なくとも現在の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値に基づいて、現在の患者の混濁状態に関する客観的な硝子体混濁重症度スコアを含む混濁重症度測定値を生成するために、1つ以上のコンピューティングシステムによって実行され得る例示的な動作300を示す。動作300は、
図1A~
図1Cに示されるSMG134などの重症度測定値生成器によって実行され得る。
【0054】
ブロック310では、システムは、人口統計学的情報、現在の患者の混濁状態の物理的パラメータの測定値、治療前の自己申告重症度データ及び現在の患者の混濁状態に関連する他の情報など、患者に関連する情報を受信する。
【0055】
ブロック320では、システムは、訓練されたMLモデルを使用して、客観的な重症度スコアを含む1つ以上の混濁重症度測定値を生成する。生成された混濁重症度測定値は、上記のデータポイントに少なくとも部分的に基づき得る。次いで、混濁重症度測定値は、現在の患者に関連する他の関連するデータポイントのすべてとともに、MLモデルを再訓練するために、上記の訓練データセットに追加され得る。
【0056】
ブロック330では、システムは、指定された宛先デバイスに、生成された混濁重症度測定値を送信する。指定された宛先デバイスは、それを通して眼科治療の計画が行われるユーザコンソール(これは、1つ以上の診断デバイスに、ネットワーク又はポイントツーポイント接続を介して通信可能に結合され得るか又は診断デバイスに組み込まれ得る)又は別のデバイスから電子メッセージを受信することのできるデバイスであり得る。
【0057】
機械学習モデルを使用して混濁重症度測定値を生成するための例示的なシステム
図4は、眼科的診断及び手術を実行する際に支援するための機械学習モデルを使用する例示的システム400を示す。例えば、システム400は、
図1に示す診断デバイス110、サーバ120及び/又はユーザコンソール130の1つ以上を含み得る。
【0058】
図示のように、システム400は、中央処理ユニット(CPU)402、各種のI/Oデバイス414(例えば、キーボード、ディスプレイ、マウスデバイス、ペン入力など)をシステム400に接続できるようにし得る1つ以上のI/Oデバイスインタフェース404、それを通してシステム400がネットワーク490(これは、ローカルネットワーク、イントラネット、インターネット又は相互に通信可能に接続される任意の他のコンピューティングデバイスの群であり得る)に接続されるネットワークインタフェース406、メモリ408、ストレージ410及びインタコネクト412を含む。
【0059】
CPU 402は、メモリ408に格納されたプログラミング命令を取得し、実行し得る。同様に、CPU 402は、メモリ408内にあるアプリケーションデータを取得し、格納し得る。インタコネクト412は、プログラミング命令及びアプリケーションデータをCPU 402、I/Oデバイスインタフェース404、ネットワークインタフェース406、メモリ408及びストレージ410間で送信する。
【0060】
CPU 402は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPUなどの代表として含まれる。
【0061】
メモリ408は、ランダムアクセスメモリなどの揮発性メモリ及び/又は不揮発性ランダムアクセスメモリ若しくは相変化ランダムアクセスメモリなどの不揮発性メモリを代表する。図示のように、メモリ408は、診断ソフトウェア又は命令420、SMG430、PDR440、TDG450、モデル訓練器460及びレポジトリ470を含む。診断ソフトウェア420は、一般に、システム400の一部である光学ハードウェア(例えば、OCT又はSLOスキャナなど)又は接続された測定デバイス(例えば、OCTデバイス、SLOデバイス、暗視野顕微鏡、マルチスペクトルイメージングデバイスなど)から生画像又は反射データを受信し、そこから硝子体混濁の1つ以上の物理的パラメータの測定値に関連するデータポイントを生成するように構成される。診断ソフトウェア420は、患者の混濁状態に関する客観的な重症度スコアの提供を含む重症度測定値を提供する際に使用するために、物理的パラメータの測定値に関連するデータポイントをSMG430に出力し得る。
【0062】
SMG430は、モデル訓練器460によって訓練された1つ以上の訓練及びデプロイされたMLモデルを含むか又は使用する。SMG430は、一般に、診断ソフトウェア420又は外部ソースから受信した物理的パラメータの測定値に関連する少なくとも1つ以上のデータポイント並びに患者の人口統計データ、自己申告された患者パラメータ及び他の関連情報を処理し、1つ以上のMLモデルを使用して、1つ以上の重症度測定値を生成する。
【0063】
PDR440により、一般に、システム400のユーザは、以前に定義した患者データを記録することができる。PDR440は、格納されて、将来、SMG430にデプロイされ、それにより使用される1つ以上のMLモデルを訓練するために使用される訓練データセットを生成する際に使用されるようにレポジトリ470にデータを出力し得る。
【0064】
上述のように、TDG450は、一般に、過去の患者の情報(例えば、過去の患者のデータレポジトリ470に格納された情報)を使用して、SMG430にデプロイされ、それにより使用される1つ以上のMLモデルを訓練するためにモデル訓練器460が使用し得る訓練データセットを生成する。
【0065】
モデル訓練器460は、一般に、現在の患者に関する混濁重症度測定値を生成する際にSMG430が使用した1つ以上のMLモデルを訓練する。上述のように、モデル訓練器460は、訓練データ生成器450により生成された訓練データセットを使用して、MLモデルを訓練し得、訓練されたMLモデルを使用のためにSMG430(又はリモートシステム)にデプロイし得る。
【0066】
上述のように、本開示の実施形態は、現在の患者が患う硝子体混濁の重症度を判定する際に1つ以上の機械学習モデルを利用するシステム及び方法を提供する。本明細書におけるシステム及び方法を使用することにより、医師、例えば眼科外科医は、多数の過去の患者のデータを活用して、現在の患者が患う硝子体混濁のより正確な重症度を判定することができ、そして、より正確な重症度は、現在の患者のための最適化された治療戦略を決定するために利用され得る。したがって、本明細書における技法は、硝子体疾患診断の精度を高めることによって医療分野を改善し、それにより治療戦略のより良い情報に基づく選択をもたらす。
【0067】
本明細書で使用される場合、項目のリスト「の少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b又はcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c及びa-b-c並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c並びにc-c-c又はa、b及びcの他の任意の順序)を網羅することを意図される。
【0068】
本明細書で使用される場合、「決定する」という用語は、多様な作用を包含する。例えば、「決定する」は、算出すること、計算すること、処理すること、導出すること、調査すること、検索すること(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造で検索すること)、確認することなどを含み得る。「決定する」は、受信する(例えば、情報を受信する)こと、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスする)ことなども含み得る。「決定する」は、解くこと、選択すること、選定すること、定めることなども含み得る。
【0069】
本明細書に開示される方法は、方法を実現するための1つ以上のステップ又は作用を含む。方法ステップ及び/又は作用は、特許請求の範囲から逸脱することなく、相互交換可能であり得る。換言すれば、ステップ又は作用の具体的な順序の指定がない限り、具体的なステップ及び/又は作用の順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。更に、上記の方法の種々の動作は、対応する機能を実行することができる任意の適切な手段によって実行され得る。これらの手段は、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)又はプロセッサを含むが、これらに限定されない種々のハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素及び/又はモジュールを含み得る。一般に、図面に示される動作がある場合、それらの動作には、同様の番号が付けられた対応する同等のミーンズプラスファンクションの構成要素が含まれ得る。
【0070】
本開示に関連して記載される種々の図示する論理ブロック、モジュール及び回路は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラマブルロジックデバイス(PLD)、個別ゲート若しくはトランジスタロジック、個別ハードウェアコンポーネント又は本明細書に記載される機能を実行するように設計されるそれらの任意の組み合わせでも実装又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ又はステートマシンであり得る。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ又は任意の他のそのような構成としても実装され得る。
【0071】
処理システムは、バスアーキテクチャで実装することができる。バスは、処理システムの特定の用途と全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続するバス及びブリッジを含み得る。バスは、とりわけ、プロセッサ、機械可読媒体及び入出力デバイスを含む様々な回路を相互にリンクすることができる。ユーザインタフェース(例えば、キーパッド、ディスプレイ、マウス、ジョイスティックなど)もバスに接続され得る。バスは、タイミングソース、周辺機器、電圧レギュレータ、電力管理回路など、当技術分野でよく知られている(したがってこれ以上説明しない)他の様々な回路をリンクすることもできる。プロセッサは、1つ以上の汎用及び/又は特殊目的のプロセッサで実装することができる。例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSPプロセッサ及びソフトウェアを実行できる他の回路が挙げられる。当業者は、特定の用途及びシステム全体に課せられる全体的な設計上の制約に応じて、処理システムについて説明された機能をどのように実装するのが最善であるかを認識されよう。
【0072】
ソフトウェアに実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令又はコードとして格納又は送信され得る。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード又はハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、データ又はそれらの任意の組み合わせを意味するように広く解釈されるものとする。コンピュータ可読媒体には、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体などの通信媒体との両方が含まれる。プロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されたソフトウェアモジュールの実行を含む、バス及び一般的な処理の管理を担当することができる。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合され得る。代替的には、記憶媒体はプロセッサに統合することができる。例として、コンピュータ可読媒体は、伝送線路、データによって変調された搬送波及び/又は無線ノードとは別にその上に格納された命令を備えたコンピュータ可読記憶媒体を含み得、これらは、すべてプロセッサによってバスインタフェースを介してアクセスされ得る。代わりに又は更に、コンピュータ可読媒体又はその任意の部分は、キャッシュ及び/又は一般的なレジスタファイルを伴い得る場合などのプロセッサに統合され得る。機械可読記憶媒体の例としては、例として、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、ROM(読み出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ若しくは任意の他の適切な記憶媒体又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。機械可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化することができる。
【0073】
ソフトウェアモジュールは、単一の命令又は多くの命令を含み得、いくつかの異なるコードセグメントにわたって、異なるプログラム間で且つ複数の記憶媒体にわたって分散され得る。コンピュータ可読媒体は、いくつかのソフトウェアモジュールを含み得る。ソフトウェアモジュールは、プロセッサなどの装置によって実行されると処理システムに様々な機能を実行させる命令を含む。ソフトウェアモジュールは、送信モジュール及び受信モジュールを含み得る。各ソフトウェアモジュールは、単一のストレージデバイスに常駐し得るか又は複数のストレージデバイスにわたって分散され得る。例として、トリガーイベントが発生したときにソフトウェアモジュールをハードドライブからRAMに読み込むことができる。ソフトウェアモジュールの実行中に、プロセッサはアクセス速度を上げるために命令のいくつかをキャッシュに読み込むことができる。次に、1つ以上のキャッシュラインを汎用レジスタファイルに読み込んで、プロセッサで実行することができる。ソフトウェアモジュールの機能に言及するとき、そのような機能は、そのソフトウェアモジュールからの命令を実行するときにプロセッサによって実装されることが理解されよう。
【0074】
以下の特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図されず、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。特許請求の範囲では、単数形での要素への言及は、具体的にそのような定めがない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。具体的に別段の定めがない限り、「いくつか」という用語は、1つ以上を指す。請求項のいかなる要素も、要素が語句「するための手段」を用いて明示的に記載されない限り又は方法クレームの場合には要素が語句「するためのステップ」を用いて記載されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されない。当業者に知られているか又は後に知られることになる、本開示全体を通して記載された種々の態様の要素に対するすべての構造的及び機能的均等物は、本明細書に参照により明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。更に、本明細書に開示したいずれのものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆に提供されることを意図されない。
【国際調査報告】