(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】垂直農場システム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/18 20060101AFI20241018BHJP
A01G 9/00 20180101ALI20241018BHJP
A01G 7/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A01G9/18
A01G9/00 C
A01G7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525224
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 IB2022060328
(87)【国際公開番号】W WO2023073602
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021000027740
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520046443
【氏名又は名称】オーエヌオー エクスポネンシャル ファーミング ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,アンブロージ
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
2B327
【Fターム(参考)】
2B022DA12
2B022DA17
2B022DA20
2B029JA01
2B029JA02
2B029JA10
2B327NE01
2B327TA04
2B327TA09
2B327TA22
2B327TC07
2B327TC09
2B327UA04
2B327UB03
2B327VA20
(57)【要約】
垂直農場システム(1)は、少なくとも2つのモジュールであって、それらの各々が外部環境に対して閉じた容積を有し、第1のモジュールが作物栽培装置(3)を備え、第2のモジュールが閉位置と開位置との間で構成可能な収集開口部(4)を備えた少なくとも2つのモジュール(2)と、移送通路(7)を介して栽培装置(3)から収集開口部(4)まで作物を搬送するように構成された移動手段と、作物の少なくとも1つの成長モジュール(C)を規定するように第1のモジュールに所定量の二酸化炭素を吹き込むように構成された二酸化炭素源(5)と、作物の収集モジュール(P)を規定するように第2のモジュールに含まれる二酸化炭素を吸引するように構成された二酸化炭素強制回収ダクト(6)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直農場システム(1)であって、
-少なくとも1つの成長モジュール(C)に所定量の二酸化炭素を吹き込むように構成された二酸化炭素源(5)と、
-少なくとも1つの収集モジュール(P)に含まれる二酸化炭素を吸引するように構成された二酸化炭素強制回収ダクト(6)と、
-少なくとも2つのモジュール(2)であって、それらの各々が外部環境に対して閉じた容積を有する、少なくとも2つのモジュール(2)であって、
第1のモジュールが作物栽培装置(3)を備え、作物を栽培するように構成された成長モジュール(C)を規定するように前記二酸化炭素源(5)と流体接続して配置され、
第2のモジュールが閉位置と開位置との間で構成可能な収集開口部(4)を備え、その内部容積が前記外部環境からアクセス可能であり、前記第2のモジュールが前記作物を収集するように構成された収集モジュール(P)を規定するように前記強制回収ダクト(6)と流体接続して配置される、少なくとも2つのモジュール(2)と、
-前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間に形成された移送通路(7)を介して、前記栽培装置(3)から前記収集開口部(4)まで前記作物を搬送するように構成された移動手段と、を備える垂直農場システム(1)。
【請求項2】
前記第1のモジュールは、開位置と閉位置との間で構成可能な収集開口部(4)を備え、前記作物の栽培と収集の両方のために構成された二機能モジュールを規定するように前記強制回収ダクト(6)と流体接続して配置され、前記移動手段は、前記作物を前記栽培装置(3)から任意の収集開口部(4)に向かって搬送するように構成される、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記第2のモジュールは、作物栽培装置(3)を備え、前記作物の栽培と収集の両方のために構成された二機能モジュールを規定するように前記二酸化炭素源(5)と流体接続して配置され、前記移動手段は、前記作物を任意の栽培装置(3)から前記収集開口部(4)に向かって搬送するように構成される、請求項1または2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記複数のモジュールの各モジュールは、作物栽培装置(3)と、前記作物の栽培と収集の両方のために構成された二機能モジュールを規定するように開位置と閉位置との間で構成可能な収集開口部(4)とを備え、前記移動手段は、前記作物を任意の栽培装置(3)から任意の収集開口部(4)に向かって搬送するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
受信した関連する外部入力に応じて、以下の動作ステップを実行するように、すなわち、
-それぞれの第1の成長モジュールであって、そこに含まれる前記作物の栽培のためのそれぞれの第1の成長モジュールを規定するように、前記複数の二機能モジュールの1つまたは複数のモジュールに所定量の二酸化炭素を吹き込むために前記二酸化炭素源(5)を作動させ、
-所定の時間間隔の後に、少なくとも1つの第1の収集モジュール(P)を規定するように、前記第1の成長モジュールの対応するモジュールに収容された栽培装置(3)から前記複数の二機能モジュールの対応するモジュールの少なくとも1つの収集開口部(4)に向けて前記作物の少なくとも一部を移動させ、
-前記作物の収集を可能にするために、前記第1の収集モジュール(P)から前記二酸化炭素を吸引するように前記強制回収ダクト(6)を作動させるように構成された制御ユニットを備える、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記第1の収集モジュール(P)は前記第1の成長モジュールの1つから選択される、請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記強制回収ダクト(6)が前記第1の収集モジュール(P)から吸引された前記二酸化炭素を前記二酸化炭素源(5)および/または前記第1の成長モジュールの少なくとも1つのモジュールおよび/または二酸化炭素収集タンクに向かって搬送するように、前記強制回収ダクト(6)を制御するように構成される、請求項5または6に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記制御ユニットは、受信した関連するさらなる外部入力に応じてさらなる動作ステップを実行するように、すなわち、
-前記第1の収集モジュール(P)からの吸引から前記強制回収ダクト(6)の作動を解除し、
-それぞれの第2の成長モジュールであって、そこに含まれる前記作物の栽培のためのそれぞれの第2の成長モジュールを規定するように、前記第1の成長モジュールの少なくとも1つのモジュールおよび/または前記第1の収集モジュール(P)に所定量の二酸化炭素を吹き込むために前記二酸化炭素源(5)を作動させ、
-所定の時間間隔の後に、少なくとも1つの第2の収集モジュール(P)を規定するように、前記第2のモジュールの対応するモジュールに収容された前記栽培装置(3)から前記複数の二機能モジュールの対応するモジュールの少なくとも1つの収集開口部(4)に向けて前記作物の少なくとも一部を移動させ、
-前記作物の収集を可能にするために、前記第2の収集モジュール(P)から前記二酸化炭素を吸引するように前記強制回収ダクト(6)を作動させるように構成される、請求項5から7のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記第2の収集モジュール(P)は、前記第2の成長モジュールの1つから選択される、請求項8に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記制御ユニットは、前記強制回収ダクト(6)が前記第2の収集モジュール(P)から吸引された前記二酸化炭素を前記二酸化炭素源(5)および/または前記第2の成長モジュールの少なくとも1つのモジュールおよび/または二酸化炭素収集タンクに向かって搬送するように、前記強制回収ダクト(6)を制御するように構成される、請求項8または9に記載のシステム(1)。
【請求項11】
各成長モジュール(C)内および各収集モジュール(P)内の少なくとも二酸化炭素濃度を検出するように構成された複数の空気組成分析センサを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記複数のセンサが前記収集モジュール(P)内の二酸化炭素の安全な量を検出したときに、当該収集モジュール(P)の収集開口部(4)を開くことを可能にするように構成される、請求項11および請求項5から10のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記二酸化炭素源(5)は、前記複数のセンサが少なくとも1つの成長モジュール(C)においてそれぞれ所定の動作限界値よりも低いまたは高い二酸化炭素値を検出するときに、作動または解除され、
前記強制回収ダクト(6)は、前記複数のセンサが少なくとも1つの収集モジュール(P)において所定の安全値よりも高い二酸化炭素値を検出するときに、作動される、請求項11または12に記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記二酸化炭素源(5)は、前記成長モジュール(C)の前記閉じた容積内に結果として生じる圧力が少なくとも大気圧値に等しくなるような量の二酸化炭素を吹き込むように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項15】
前記二酸化炭素源(5)は、前記成長モジュール(C)の前記閉じた容積に結果として生じる圧力が大気圧値よりも高くなるような量の二酸化炭素を吹き込むように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項16】
前記強制回収ダクト(6)は、二酸化炭素の再循環を伴う閉回路を規定するように、各収集モジュール(P)から吸引された量の二酸化炭素を前記二酸化炭素源(5)および/または二酸化炭素収集タンクおよび/または成長モジュール(C)に搬送するように構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項17】
少なくとも1つの収集モジュール(P)の前記閉じた容積は、各成長モジュール(C)の前記閉じた容積よりも小さい容積の展開を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項18】
前記収集モジュール(P)は、前記移送通路(7)と前記収集開口部(4)との間に配置されたコンベヤベルトを備える、請求項17に記載のシステム(1)。
【請求項19】
前記第1のモジュールおよび前記第2のモジュールは、前記外部環境に対して閉じた容積を有する単一モジュールにおいて互いに一致し、前記単一モジュールは、作物栽培装置(3)と、閉位置と開位置との間で構成可能な収集開口部(4)であって、その内部容積が前記外部環境からアクセス可能である収集開口部(4)と、前記作物を前記栽培装置(3)から前記収集開口部(4)に搬送するように構成された移動手段とを備え、前記単一モジュールは、作物の栽培および収集のために構成された二機能モジュールを規定するように前記二酸化炭素源(5)および前記強制回収ダクト(6)と流体接続して配置され、
前記単一モジュールには前記移送通路(7)がない、請求項1に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直農場システムに関する。特に、本発明は、自動管理および実質的に垂直な展開を備えた、特に水耕作物または類似の作物用の、垂直農場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間が引き起こすプロセス、例えば、化石燃料の大量使用、食肉用または酪農用の家畜の集約的飼育は、大量の二酸化炭素を発生させ、それは大気中に放出されると、地球の気候に影響を及ぼすことを含む地球温暖化の主な原因の一つとなる。
【0003】
さまざまな国際的な政府機関が、二酸化炭素の排出を大幅に削減するために、もっと言えば、大気中にすでに存在する二酸化炭素の削減に着手するために、ガイドラインおよびプロトコルの提供に長い間携わってきた。
【0004】
このため、栽培植物の生産を促進し向上させるために、温室作物に予め設定された量の二酸化炭素を導入することが現在では標準的なプラクティスとなっている。換気システムが、工業プラントからの二酸化炭素の流れを豊富に含んだ所定量の外気を分配するように構成される。このプラクティスは、植物の生産性を向上させることを可能にし、結果としてバイオマスを得るための有用時間を短縮する。
【0005】
しかしながら、播種、配置、収集作業は専門の作業員によって管理されるので、特に大量の二酸化炭素を導入することがいつでも許可されるわけではない。実際、人々の安全を確保するために、二酸化炭素の導入は主に、作業員が温室内で作業していない夜間に行われなければならない。
【発明の概要】
【0006】
これに関連して、本発明の基礎となる技術的課題は、上述のような既知の技術の欠点を解消する垂直農場システムを提案することである。
【0007】
特に、本発明の目的は、ユーザが安全に使用できる垂直農場システムを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、作物の各成長段階を自動的に管理するように構成された垂直農場システムを提供することである。したがって、具体的には、本発明は、作物の各成長段階において人間の存在を必ずしも必要としない垂直農場システムを提供することを目的とする。
【0009】
本発明のさらなる目的は、環境中に存在する二酸化炭素の少なくとも一部および/または産業によって生成される二酸化炭素の少なくとも一部をリサイクルするように構成された垂直農場システムを提供することである。
【0010】
示された技術的課題および特定された目的は、独立請求項に開示された技術的特徴を備える垂直農場システムによって実質的に達成される。従属請求項は、本発明のさらなる有利な態様に対応する。
【0011】
本発明は、垂直農場システムに関する。
【0012】
特に、垂直農場システムは、少なくとも2つのモジュールを備え、それらの各々が外部環境に対して閉じた容積を有し、第1のモジュールは作物栽培装置を備え、作物を栽培するように構成された成長モジュールを規定するように二酸化炭素源と流体接続して配置され、第2のモジュールは、閉位置と開位置との間で構成可能な収集開口部を備え、その内部容積は外部環境からアクセス可能であり、第2のモジュールは、作物を収集するように構成された収集モジュールを規定するように強制回収ダクトと流体接続して配置される。
【0013】
したがって、垂直農場システムは、少なくとも1つの成長モジュールに所定量の二酸化炭素を吹き込むように構成された二酸化炭素源と、少なくとも1つの収集モジュールに含まれる二酸化炭素を吸引するように構成された二酸化炭素強制回収ダクトとを備える。
【0014】
さらに、垂直農場システムは、成長モジュールと収集モジュールとの間に形成された移送通路を介して栽培装置から収集開口部まで作物を搬送するように構成された移動手段を備える。
【0015】
有利なことに、成長モジュール内に二酸化炭素を導入することは、作物の生産を促進し向上させることができ、結果としてバイオマスの生産に必要な時間を短縮する。
【0016】
有利なことに、作物に使用可能な二酸化炭素は、外部環境から直接回収することができる、および/または処理プロセスで二酸化炭素を廃棄物として生成する産業から直接回収することができる。これにより、したがって、一般に廃棄物とみなされ、地球にとって有害ですらあると考えられる生成物を、栄養になる生成物として、また作物の成長を促進することができる生成物として使用することが可能である。
【0017】
結果として、二酸化炭素の濃度を、人体に有害でない濃度まで(好ましくは完全に除去できるように)下げることができる収集モジュールを作ることにより、ユーザは作物を完全に安全に収集することができる。
【0018】
さらに、二酸化炭素強制回収ダクトと、栽培された作物の収集のための補償チャンバとして収集モジュールを使用する可能性とにより、二酸化炭素は、(物理的にシステム1内にいないが、特定の収集開口部を通して作物を収集する)ユーザの存在による中断の必要なく、一日中連続的に成長モジュールに吹き込むことができる。
【0019】
本概要および以下の詳細な説明は、垂直農場システムの個々のモジュールの各内部容積における二酸化炭素の吹き込み、および/または吸引の可能性について説明する。この点に関して、二酸化炭素は、前述のモジュールに存在する唯一の可能性のあるガスとみなされてはならないことが明記される。通常、実際のところ、垂直農場システムの各モジュールには、周囲の空気または(そこに含まれる作物に依存する)特定のガス混合物があり、作物の発育および栽培に有用な所定量の二酸化炭素を吹き込むことによって周囲の空気またはガス混合物を補強することができる。したがって、本発明の可能な態様によれば、収集モジュール内に存在する二酸化炭素を完全に吸引した後、収集開口部を所定の時間間隔にわたって開いたままにしながら、前述のモジュール内の標準状態(すなわち、周囲の空気の存在)を回復させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に示される垂直農場システムの好ましいが排他的ではない実施形態の例示的な、したがって、非限定的な説明からより明らかになるであろう。
【
図1】本発明による垂直農場システムの全体図を示す。
【
図2】垂直農場システムの第1の実施形態を概略斜視図で示す。
【
図3】垂直農場システムの第2の実施形態を概略斜視図で示す。
【
図4】垂直農場システムの第3の実施形態を概略斜視図で示す。
【
図5】垂直農場システムの第4の実施形態を概略斜視図で示す。
【
図6】垂直農場システムの第5の実施形態を概略斜視図で示す。
【
図7】垂直農場システムの第6の実施形態を概略斜視図で示す。
【
図8a】箱状本体有りで成長モジュールおよび/または収集モジュールの可能な実施形態を斜視図で示す。
【
図8b】箱状本体無しで成長モジュールおよび/または収集モジュールの可能な実施形態を斜視図で示す。
【
図9】本発明による垂直農場システム内に配置可能な棚を正面図で示す。
【0021】
図面は、本発明の基礎となる発明原理を、明細書と組み合わせてより明確にすることを目的として、本発明の実施形態を単に説明するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、図を参照すると、概して番号1で示される垂直農場システムに関する。
【0023】
本明細書に照らして当業者にとって明らかないかなる修正または変形も、技術的同等性の考慮に従って、本発明によって確立される保護範囲に含まれるとみなされなければならない。
【0024】
図1は、少なくとも2つのモジュール2であって、それらの各々が外部環境に対して閉じた容積を有し、第1のモジュールが作物栽培装置3を備え、第2のモジュールが閉位置と開位置との間で構成可能な収集開口部4を備え、その内部容積が外部環境からアクセス可能である、少なくとも2つのモジュール2を備える垂直農場システム1を示す。
図2-6をより理解しやすくするために、作物栽培装置3は、前述の図のいくつかのモジュール2にのみ描かれている。いずれにせよ、以下でよりよく説明されるように、栽培装置3は、垂直農場システム1のモジュール2の各々に、すなわち、第1のモジュール(以降、成長モジュールCと呼ぶ)および第2のモジュール(以降、収集モジュールPと呼ぶ)の両方に、ならびに第1および第2のモジュールとして動作するように構成されたモジュール(以降、二機能モジュールBと呼ぶ)に、実質的に設置することができる(したがって、描写することもできる)。
図8a、8b、9は、作物栽培装置3の可能な実施形態を示す。
【0025】
第1のモジュールは、作物を栽培するように構成された成長モジュールCを規定するように二酸化炭素源5と流体連通して配置され、第2のモジュールは、作物を収集するように構成された収集モジュールPを規定するように強制回収ダクト6と流体連通して配置される。
【0026】
詳細には、二酸化炭素源5は、少なくとも1つの成長モジュールCに所定量の二酸化炭素を吹き込むように構成され、一方、二酸化炭素強制回収ダクト6は、少なくとも1つの収集モジュールPに含まれる二酸化炭素を吸引するように構成される。
【0027】
例えば、二酸化炭素源5は、また、成長モジュールC内に10,000ppmの量の二酸化炭素分子を吹き込むように構成される。
【0028】
これにより、二酸化炭素源5は、作物の成長を(通常の成長および発育速度を基準として)最大50%増加させるように、成長モジュールC内の二酸化炭素レベルを大幅に増加させることができる。
【0029】
好ましくは、二酸化炭素の吹き込み中でも、成長モジュールC内の圧力は、大気圧と実質的に同程度、または以下でより詳しく説明されるように大気圧よりわずかに高い圧力に維持される。
【0030】
加えて、垂直農場システム1は、第1のモジュールと第2のモジュールとの間に形成された移送通路7を介して栽培装置3から収集開口部4に向かって作物を搬送するように構成された移動手段(図示せず)を備える。
【0031】
有利なことに、成長モジュールC内に二酸化炭素を導入することにより、作物の生産を促進し、向上させることができ、結果として、バイオマスの生産に必要な時間が短縮される。
【0032】
有利なことに、作物に使用可能な二酸化炭素は、外部環境から直接回収することができる、および/または処理プロセスで廃棄物として二酸化炭素を生成する産業から直接回収することができる。これにより、したがって、一般に廃棄物とみなされ、地球にとって有害ですらあると考えられる生成物を、栄養になる生成物として、また作物の成長を促進することができる生成物として使用することが可能となる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、二酸化炭素強制回収ダクト6は、ユーザが作物を安全に収集することを可能にするように、少なくとも収集モジュールP内の二酸化炭素濃度を低下(可能であればほぼゼロにまで低下)させることを可能にする。
【0034】
好ましくは、移送通路7は、隣接する2つのモジュール2の間に配置された隔壁8に設けられる。さらに好ましくは、移送通路7は、異なる領域間の機械化された開口部であって、有利なことに、隣接するモジュール2のそれぞれの内部容積を密閉して分離するように閉じることができる開口部である。すなわち、閉じられたとき、通路7は、前述の隣接するモジュール2間での物質(すなわち、野菜作物、二酸化炭素、または任意のガス流)の交換を防止するように、密閉される。
【0035】
本発明の好ましい態様によれば、収集開口部4は、作物の収集のためにユーザが容易に使用するのに適した高さに設けられた窓として成形される。
【0036】
本発明の一態様によれば、二酸化炭素源5は、成長モジュールCの閉じた容積内に結果として生じる圧力が少なくとも大気圧値に等しくなるような量の二酸化炭素を吹き込むように構成される。
【0037】
好ましくは、二酸化炭素源5は、成長モジュールの閉じた容積内に結果として生じる圧力が大気圧値を上回るような量の二酸化炭素を吹き込むように構成される。
【0038】
さらに好ましくは、各モジュール内の圧力値と周囲の圧力値との差は少なくとも0.2バールである。
【0039】
これにより、各モジュール内の圧力が周囲の圧力値以上となるので、システム1は、当該システム1の外部環境からの起こり得る汚染を回避するような状態で動作することができる。特に、亀裂または特に欠陥のある/摩耗したガスケットがある場合、過圧状態は著しく有利で且つ信頼性が高く、過圧は外部からの空気の進入を効果的に阻止することができる。
【0040】
本発明の別の態様によれば、強制回収ダクト6は、二酸化炭素の再循環を伴う閉回路を規定するように、各収集モジュールPから吸引された量の二酸化炭素を二酸化炭素源、および/または二酸化炭素収集タンク(図示せず)、および/または成長モジュールCに搬送するように構成される。
【0041】
有利なことに、二酸化炭素の再循環が可能な閉回路が存在することで、廃棄物が回避され、二酸化炭素が環境に(再)導入されないことが保証される。
【0042】
さらに有利なことに、強制回収ダクト6から吸引された二酸化炭素は、二酸化炭素源5および垂直農場システム1のいかなるモジュール2とも異なるタンクに搬送および貯蔵され得る(加圧下で)。前述のタンクの存在は、収集モジュールPから吸引された二酸化炭素をさらなるモジュール2に再導入することが不可能または不便である場合、有利である。なぜなら、そのような「リサイクルされた」濃度は、作物の成長を最大化するために生成(および、以下でより詳しく説明されるように、空気組成を分析するためのセンサが存在する場合には当該センサの遡及的動作を通じて取得)される平衡状態を変化させる可能性があるからである。
【0043】
場合により、前述のタンクに貯蔵された二酸化炭素は、二酸化炭素源5の作動、したがって、そこに含まれる二酸化炭素の使用よりも優先して使用され得る。
【0044】
以下でより詳しく説明されるように、強制回収ダクト5から吸引された二酸化炭素の搬送は、検出された二酸化炭素濃度と他の各モジュール内部で望まれる二酸化炭素濃度との比較に応じて管理される。
【0045】
図2は、本発明の第1の実施形態を示し、当該実施形態では、第1のモジュールは、開位置と閉位置との間で構成可能な収集開口部4を備え、さらに、このような第1のモジュールは、二機能モジュールBを規定するように強制回収ダクト6と流体接続して配置される。より正確には、二機能モジュールBは、そこに含まれる作物の栽培と収集の両方のために構成された成長および収集モジュールである。特に、移動手段は、栽培装置3から任意の収集開口部4に向かって作物を搬送するように構成される。
【0046】
したがって、第1のモジュール、すなわち二機能モジュールBが主に成長モジュールCとして使用されるように構成される場合、栽培された作物は、ユーザによって安全に収集されるために、移送通路7を介して第2のモジュール、すなわち収集モジュールPに移送される。
【0047】
そうでなければ、第1のモジュール、すなわち二機能モジュールBが成長モジュールCとしても収集モジュールPとしても使用される場合、作物は、移送通路7を通過する必要なく、栽培装置3から第2のモジュールの収集開口部4に移送され、したがって、移送通路7を二酸化炭素の一部がその中に移送されるのを防ぐために閉じたままにできる。このような場合、二機能モジュールBが成長モジュールCとして構成されている限り、強制回収ダクト6が無効にされて収集開口部4が閉じられたまま、二酸化炭素源5は二酸化炭素を吹き出すように構成される。その後、(収集開口部4への作物の移動に続いて)二機能モジュールBが作物の収集のための収集モジュールPとして構成されるとき、強制回収ダクト6が作動して二酸化炭素を吸引する(結果として、二酸化炭素源5は無効になる)。二機能モジュールBの二酸化炭素の量が安全閾値を下回ると、ユーザが作物を安全に収集することを可能にするように収集開口部4が開く。
【0048】
図3は、本発明の第2の実施形態を示し、当該実施形態では、第2のモジュールは、作物栽培装置3を備え、さらに、このような第2のモジュールは、二機能モジュールBを規定するように二酸化炭素源5と流体接続して配置される。より正確には、二機能モジュールBは、そこに含まれる作物の栽培と収集の両方のために構成された成長および収集モジュールである。特に、移動手段は、任意の栽培装置3から収集開口部4に向かって作物を搬送するように構成される。
【0049】
したがって、
図2に示される実施形態を参照して表現されたことと同様に、第2のモジュール、すなわち二機能モジュールBは、主に成長モジュールCとして、または収集モジュールPとして、あるいは(最初に作物の栽培用の)成長モジュールCとして、(次に、そこで以前に栽培された作物の収集用の)収集モジュールPとして動作するように構成することができる。
【0050】
図3の実施形態では、二機能モジュールBは、成長モジュールCとして構成された第1のモジュールに接続される。したがって、このような第1のモジュールでは、第2のモジュール、すなわち二機能モジュールBにおいて移送通路7を経由した後にのみ収集できる作物を栽培することのみが可能である。
【0051】
図4は、本発明の第3の実施形態を示し、当該実施形態では、複数のモジュール2の各モジュール2はそれぞれの二機能モジュールBを規定するように、その作物栽培装置3と、開位置と閉位置との間で構成可能なその収集開口部4とを備える。より正確には、二機能モジュールBは、そこに含まれる作物の栽培と収集の両方のために構成された成長および収集モジュールである。特に、移動手段は、任意の栽培装置3から任意の収集開口部4に向かって作物を搬送するように構成される。
【0052】
すなわち、
図4は、各モジュール2が二機能モジュールBであるシステム1の実施形態を示す。
【0053】
さらに言い換えれば、モジュール2は、それらの各々が成長モジュールCとして、収集モジュールBとして、または成長および収集モジュールC、Pとして動作するように構成可能であるので、互いに同等であり且つ交換可能である。
【0054】
有利なことに、各二機能モジュールBは他のモジュール2に対して分離されており、その結果、異なる作物または同一作物であっても成長段階が異なる作物を栽培するために、モジュールの各々に他とは異なる微気候を発生させることができる。微気候という用語は、作物の成長に影響を与える温度、湿度、空気の濃度、その他の気候要因の特定の組み合わせを指す。
【0055】
有利なことに、収集開口部4は、好ましくは、閉位置に構成されたときにモジュール2の内部の閉じた容積と外部環境との間で物質(すなわち、例えば、作物および/または二酸化炭素)の交換が行われないことを保証するように、密閉可能である。
【0056】
さらに有利なことに、移送通路7は、閉じられたときに物質(すなわち、例えば、作物および/または二酸化炭素)が、それが得られる第1のモジュールと第2のモジュールとの間で交換されないことを保証するように、密閉可能なダンパを備える。
【0057】
一般に、システム1全体は、二酸化炭素の漏れを防止するように構成された複数のガスケットによって、外部環境に対して密閉されている。
【0058】
図5は、本発明の第4の実施形態を示し、当該実施形態では、3つの異なるモジュール、より正確には、収集モジュールP、二機能モジュールBおよび成長モジュールCが存在する。特に、モジュール2は、同一の長手方向に沿って並んで配置されている。しかしながら、モジュールは、有利なことに、システム1が、例えば倉庫のような、ユーザがその構築および使用のために利用できるスペースを最適化できるように、任意の所望の形状を形成するように配置することができる。
【0059】
したがって、システム1は、ユーザの好みに応じて、収集モジュールP、成長モジュールCおよび二機能モジュールBに分割された複数のモジュール2を備えることができる。例えば、モジュール2は、実質的に正方形の経路であって、その角に収集モジュールPが配置される経路を形成するように並べて配置することができ、残りのモジュール2は二機能モジュールBとして構成される。
【0060】
図6は、本発明の第4の実施形態を示し、当該実施形態では、少なくとも1つの収集モジュールPの閉じた容積は各成長モジュールCの閉じた容積よりも小さい容積展開を有する。
【0061】
すなわち、収集モジュールPは、システム1に備えられる他のモジュール2よりも、特に成長モジュールCおよび/または二機能モジュールBに対して、低い容積容量を有する。
【0062】
これにより、低減された容積展開を持つ収集モジュールPは、有利なことに、補償チャンバとして機能するように構成される。すなわち、収集される作物をこのような収集モジュールPに移送した後、強制回収ダクト6から吸引されなければならない二酸化炭素の量は、強制回収ダクト6自体が通常の収集モジュールPおよび/または収集モジュールPとして動作する二機能モジュールBから回収しなければならない二酸化炭素の量よりもかなり少ない。
【0063】
したがって、有利なことに、収集モジュールPの低減された容積展開は、そこに含まれる二酸化炭素の吸引ステップをより単純且つ迅速にすることを可能にする。すなわち、低減された容積展開を持つ収集モジュールPは、作物の収集のためのユーザのアクセスを安全にするように、その中に存在する二酸化炭素の改善に必要な時間を大幅に短縮することを可能にする。
【0064】
好ましくは、低減された容積を持つ前述の収集モジュールPは、移送通路7と収集開口部4との間に配置されたコンベヤベルト(図示せず)を備える。
【0065】
すなわち、前述の収集モジュールPは、隣接する成長モジュールC(または二機能モジュールB)の収集開口部4を囲むトンネルとして形成される。移送通路7に関連付けられたコンベヤベルトは、同一の収集モジュールPの収集開口部4に案内されるべき作物を受け取るように構成される。
【0066】
さらに好ましくは、システム1の外側に、さらなるコンベヤベルトまたは棚が、ユーザによるその後の収集のために作物を配置することを可能にするように、収集開口部4に配置される。
【0067】
本発明の一態様によれば、特に
図4および
図5に示される実施形態を参照すると、システム1は、ユーザから受信した関連する外部入力に応じて以下の動作ステップを実行するように構成された制御ユニットを備える。すなわち、
-それぞれの第1の成長モジュールCであって、そこに含まれる作物の栽培のためのそれぞれの第1の成長モジュールCを規定するように、複数の二機能モジュールBの1つまたは複数のモジュール2に所定量の二酸化炭素を吹き込むために二酸化炭素源5を作動させ、
-所定の時間間隔の後に、少なくとも1つの第1の収集モジュールPを規定するように、第1の成長モジュールCの対応するモジュールに収容された栽培装置3から複数の二機能モジュールBの対応するモジュール2の少なくとも1つの収集開口部4に向けて作物の少なくとも一部を移動させ、
-作物の収集を可能にするために、第1の収集モジュールPから二酸化炭素を吸引するように強制回収ダクト6を作動させる。
【0068】
すなわち、制御ユニットは、上述したシステム1の動作を実行するように、実質的にシステム1の各構成要素(移動手段、二酸化炭素源...)に接続される。
【0069】
特に、制御ユニットは、制御パネル10(
図8a)を介してユーザによって生成された特定の入力信号の受信に続いて、モジュール2が成長モジュールCとしておよび/または収集モジュールPとして動作しなければならないかどうかを規定するように、作物を移動させ、二酸化炭素の吹き込みおよび/または吸引を作動/作動解除にするための特定の制御信号を生成し、送信するように構成される。
【0070】
本発明の別の態様によれば、制御ユニットは、受信した関連するさらなる外部入力に応じてさらなる動作ステップを実行するように構成される。すなわち、
-第1の収集モジュールPからの吸引から強制回収ダクト6の作動を解除し、
-それぞれの第2の成長モジュールCであって、そこに含まれる作物の栽培のためのそれぞれの第2の成長モジュールCを規定するように、第1の成長モジュールCの少なくとも1つのモジュール2内および/または第1の収集モジュールP内に所定量の二酸化炭素を吹き込むために二酸化炭素源5を作動させ、
-所定の時間間隔の後に、少なくとも1つの第1の収集モジュールPを規定するように、第2の成長モジュールCの対応するモジュール2に収容された栽培装置から複数の二機能モジュールBの対応するモジュール2の少なくとも1つの収集開口部4に向けて作物の少なくとも一部を移動させ、
-作物の収集を可能にするために、第2の収集モジュールPから二酸化炭素を吸引するように強制回収ダクト6を作動させる。
【0071】
好ましくは、制御ユニットは、人工知能および機械学習アルゴリズムを使用してプログラムされている。
【0072】
図4および
図5に示される実施形態を参照すると、すでに述べられたように、二機能モジュールは、有利なことに、成長モジュールCとしてのみ、または収集モジュールPとしてのみ、または成長モジュールおよび収集モジュールとして構成可能であり、したがって、互いに同等であり且つ交換可能である。実際には、当初成長モジュールCとして使用されたモジュールは、それが強制回収ダクト6に接続され且つその収集開口部4を備えている限り、収集モジュールPに変更することができる。逆に、当初収集モジュールPとして使用されたモジュールは、それがその栽培装置3を含み且つ二酸化炭素源5に接続されている限り、成長モジュールCに変更することができる。
【0073】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、第1の収集モジュールPは第1の成長モジュールCのうちの1つから選択可能であり、および/または第2の収集モジュールPは第2の成長モジュールCのうちの1つから選択可能である。
【0074】
好ましくは、前述のように、制御ユニットは、強制回収ダクト6が第1の収集モジュールPおよび/または第2の収集モジュールPから吸引された二酸化炭素を二酸化炭素源5および/または第1および/または第2の成長モジュールCの少なくとも1つのモジュールおよび/または二酸化炭素収集タンクに向かって搬送するように、強制回収ダクト6を管理するように構成される。
【0075】
本発明の一態様によれば、システム1は、各成長モジュールCおよび各収集モジュールP内に存在し得る二酸化炭素、酸素およびその他の気体物質の濃度を検出するように構成された、空気組成を分析するための複数のセンサ(図示せず)を備える。
【0076】
代替的にまたは追加的に、二酸化炭素の異常な漏出を検出するために、前述のセンサの少なくとも一部を各成長モジュールCおよび/または各収集モジュールPの外側に設置することができる。
【0077】
したがって、有利なことに、空気組成分析センサは、検出され且つ(作動/作動解除/調整される必要があるシステム1の部品に応じて可変である)基準値と比較された値に応じて、二酸化炭素源5、強制回収ダクト6、およびアクセス開口部(すなわち、収集窓4および移送通路7)の動作を作動/作動解除/調整するように、システム1の各モジュール2内に存在する二酸化炭素のレベルを監視し続けることを可能にする。
【0078】
各成長モジュールCおよび/または各収集モジュールPの外側に(も)設置された前述のセンサの少なくとも一部が二酸化炭素の異常な漏出を検出した場合、それらは、当該漏出は潜在的に危険なので、是正する必要があるそのような異常な漏出の存在をユーザに警告するように、制御ユニットおよび/または視覚的および/または音響的フィードバック装置(サイレンなど)に警報信号を送信するように構成される。
【0079】
本発明の別の態様によれば、制御ユニットは、複数の空気組成分析センサが収集モジュールP内の安全な量の二酸化炭素を検出したとき、当該収集モジュールPの収集開口部4を開くことができるように構成される。
【0080】
これにより、制御ユニットは、2.5%未満、好ましくは0.08%未満の量の二酸化炭素が検出された場合にのみ、ユーザが作物を安全に収集すること(したがって、収集窓4を通して収集モジュールPの内部容積に接触すること)を可能にする。前述のレベルを超える二酸化炭素の濃度は、人のパフォーマンス、集中力、および健康を損なう可能性があり、最悪の場合、人体に有害となる可能性があるためである。
【0081】
本発明のさらなる態様によれば、複数の空気組成分析センサが少なくとも1つの成長モジュールCにおいて、それぞれ所定の動作限界値よりも低いまたは高い二酸化炭素値を検出する場合、二酸化炭素源5が作動または作動解除される。加えて、強制回収ダクト6は、複数のセンサが少なくとも1つの収集モジュールPにおいて所定の安全値よりも高い二酸化炭素値を検出する場合、作動される。好ましくは、二酸化炭素源5および強制回収ダクト6は、個々の関連するモジュール2(それぞれ成長モジュールCおよび収集モジュールP)内の空気組成分析センサによって検出された二酸化炭素濃度値に応じて、作動/作動解除/調整される。より詳細には、二酸化炭素源5は、例えば、ガス収容タンクと、タンクへのガスの供給および/またはタンクからのガスの回収を調節するように適合された1つまたは複数のソレノイドバルブとを備えることができる。すなわち、二酸化炭素の吹き込み/抽出は、個々の成長モジュールC内に存在する複数のセンサによって検出された二酸化炭素濃度または圧力値によって制御される。例えば、検出された濃度値が最適値よりも低い場合、またはモジュール内の圧力値が周囲の圧力値よりも低い場合、二酸化炭素源5が作動して吹き込みを開始する。逆に、二酸化炭素濃度または圧力が過剰である場合、強制回収ダクト6を介して強制回収が作動する。特に、収集モジュールPでは、二酸化炭素の回収はほぼ完全であるか、少なくともユーザによる安全な収集が保証される程度である必要がある。
【0082】
図7は本発明の第6の実施形態を示し、当該実施形態では、第1のモジュールと第2のモジュールが、外部環境に対して閉じた容積を有する単一モジュールにおいて互いに一致している。特に、単一モジュールは、作物栽培装置3と、閉位置と開位置との間で構成可能な収集開口部4であって、その内部容積が外部環境からアクセス可能な収集開口部4と、個々の栽培装置3から当該収集開口部4に向かって作物を搬送するように構成された移動手段とを備える。さらに、単一モジュールは、作物の栽培および収集用に構成された二機能モジュールBを規定するように二酸化炭素源5および強制回収ダクト6と流体接続して配置される。特に、内部隔壁8がないので、単一モジュールには移送通路7がない。
【0083】
図8aおよび8bは、それぞれ、外部環境に対してモジュールの閉じた容積を画定する箱状本体11を有する、および有しない成長モジュールおよび/または収集モジュールの可能な実施形態を示す。
【0084】
特に、
図8aに見られる箱状本体11は、収集開口部4および/または移送通路7を設けることができる複数の側壁からなる。したがって、このような側壁の1つは、このような側壁が並んだモジュール2の間に配置される場合、移送通路7が設けられた前述の隔壁8と一致し得る。
【0085】
図8bでは、代わりに、作物栽培装置3がよりよく見える。
【0086】
本発明の一態様によれば、栽培装置3は、少なくとも1つの棚12を備え、好ましくは互いに対向し且つ間隔を空けて配置された、複数の成長区画13に分割された2つの棚12を備える。
【0087】
各成長区画13には、作物を載置可能な可動トレイ14を配置することができる。
【0088】
可動トレイ14は、そこに収容された作物の成長状態に応じて、同一の棚12の異なる成長区画13間を、異なる棚の異なる成長区画13間を、または収集モジュールPの収集開口部4に移動できるように、好ましくは、前述の移動手段に接続される。
【0089】
同一モジュール2内に互いに対向し且つ間隔を空けて配置された少なくとも2つの棚12がある場合、その間には、移動手段による移動中に可動トレイ14の通過を可能にするのに十分な大きさの空き隙間15が存在する。
【0090】
図9は、栽培装置3を参照して本発明のさらなる態様を示す。特に、
図9は、それぞれの成長区画13に配置された個々の可動トレイ14上に配置されたさまざまな作物を含む棚の前面を示す。
【0091】
各成長区画13は、作物の照明手段16および/または灌漑手段17および/または加熱/冷却手段18を備える。
【0092】
これにより、各成長区画13は、その中に収容された作物の正しい栽培を可能にするために、可動トレイ14に最も有用な手段のいくつかを利用可能にし、好ましくは、少なくとも前述の手段すべて、すなわち、昼/夜サイクルをシミュレートする照明手段16、さまざまな必要な栄養化合物を提供する灌漑手段17、および加熱/冷却手段18を利用可能にする。
【0093】
好ましくは、照明手段16は、同一の波長または異なる波長を有する光線を放射するように構成された複数のLED光源を備える。
【0094】
これにより、各成長区画は、問題となっている可動トレイ14内に配置された作物の種類に適した昼/夜サイクルをシミュレートすることができる。実際、作物の種類によっては、単一の光スペクトルを吸収する必要があるものもあれば、異なる重なり合う光スペクトルを受け取ることを好むものもある。
【0095】
好ましくは、灌漑手段17は、水分補給/栄養液、例えば水および/または肥料、を供給するように構成される。
【0096】
有利なことに、加熱/冷却手段18は、昼/夜サイクル中の温度変化をシミュレートするのに有用である。
【0097】
本発明の一態様によれば、複数の空気組成分析センサは、温度、湿度、光強度を含む、成長モジュールCのそれぞれの環境パラメータを検出するように構成されたさらなる環境センサも備える。特に、環境センサは、有利なことに、前述の環境パラメータの変動を検出し監視するようにも構成される。
【0098】
好ましくは、二酸化炭素源5、および/または照明手段16、および/または灌漑手段17、および/または加熱/冷却手段18は、前述のさらなる環境センサによって検出された環境パラメータに応じて、作動/作動解除/調整されるように構成される。すなわち、二酸化炭素源5および/または照明手段16および/または灌漑手段17および/または加熱/冷却手段18は、例えば制御ユニットを介して、環境センサに接続され、その結果、検出された環境パラメータと事前に設定された環境基準パラメータとの差に基づいてそれらの動作が調整される。
【0099】
本発明のさらなる態様によれば、システム1は複数の接続導管を備え、それらの各々は、さまざまな成長モジュールCとさまざまな収集モジュールPを互いに流体接続するように構成される。これにより、システム1内部での二酸化炭素の移送が保証され、さらに、二酸化炭素をリサイクルする閉回路の形成が保証される。
【国際調査報告】