(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】拡散装置用の取り外し可能なアセンブリ及び拡散装置
(51)【国際特許分類】
A01M 1/02 20060101AFI20241018BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20241018BHJP
A01M 29/12 20110101ALI20241018BHJP
【FI】
A01M1/02 B
A61L9/12
A01M29/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525259
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2022079910
(87)【国際公開番号】W WO2023073004
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520497874
【氏名又は名称】カエリンプ
【氏名又は名称原語表記】CAELIMP
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダン アルノー
(72)【発明者】
【氏名】デュフォー サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】リヴィエール フィリップ
【テーマコード(参考)】
2B121
4C180
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CA04
2B121CA16
2B121CA44
2B121CA54
2B121CC14
2B121CC27
2B121CC31
2B121EA01
2B121FA11
2B121FA13
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA10
4C180AA18
4C180CA03
4C180CA06
4C180EB05X
4C180EB06X
4C180EB08X
4C180EB21X
4C180EC01
4C180EC02
4C180HH05
4C180JJ01
(57)【要約】
本発明は、拡散装置用の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)に関し、前記取り外し可能なアセンブリは、
-ドレンオリフィス(61;261;361;461)を含む貯蔵容器(60;260;360;460)と、
-前記ドレンオリフィスの出口に配置され、前記ドレンオリフィスに接続されたディスペンシング部材であって、前記貯蔵容器の外側に位置する蒸発面を有する中空体(70、270、370、470)を含むディスペンシング部材と、
を含む。
前記貯蔵容器(60;260;360;460)は、中央の自由空間(62;262;362;462)を少なくとも部分的に取り囲む凹状外形を有し、前記多孔質体の前記蒸発面とは反対側の接触面を露出させ、前記接触面には前記中央の自由空間(62;262;362;462)を介してアクセスできる。
本発明は更に、ハウジング(31)内に前記取り外し可能なアセンブリを収容するように構成された拡散装置(10;710;810;910;1910;2010)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散装置(10;710;810;910;1910;2010)用の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)であって、前記拡散装置は周囲温度で液体又は固体の物質を蒸気状態で空気中に分散することを目的としており、前記取り外し可能なアセンブリは、
-前記物質を収容しドレンオリフィス(61;261;361;461)を含む貯蔵容器(60;260;360;460)であって、前記取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)が使用位置にあるとき、前記ドレンオリフィス(61;261;361;461)は下向きになる、前記貯蔵容器と、
-前記ドレンオリフィス(61;261;361;461)の出口に配置され、前記ドレンオリフィスに接続されたディスペンシング部材であって、前記物質を周囲の空気中に蒸発させるために、前記貯蔵容器(60、260、360、460)の外側に位置する蒸発面を有する多孔質体(70、270、370、470)を含むディスペンシング部材と、
を含み、
前記貯蔵容器(60;260;360;460)は、中央の自由空間(62;262;362;462)を少なくとも部分的に取り囲む凹状外形を有し、前記多孔質体(70、270、370、470)の前記蒸発面とは反対側の接触面を露出させ、前記接触面には前記中央の自由空間(62;262;362;462)を介してアクセスでき、
前記多孔質体(70;270;370;470)は、前記貯蔵容器によって囲まれた前記中央の自由空間と一直線に並んで位置する空隙(75;275;375;475)、好ましくは非貫通空隙を含み、前記接触面は前記空隙(75、275、375、475)の内面を含む、取り外し可能なアセンブリ。
【請求項2】
前記多孔質体(70;270;370;470)は、円筒部分(72;272;372)を含む、請求項1に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)。
【請求項3】
前記中央の自由空間(62;262;362;462)は、前記多孔質体(70;270;370;470)の前記円筒部分(72;272;372)と同軸方向に延在する、請求項2に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)。
【請求項4】
前記空隙(75;275;375;475)は、前記多孔質体(70;270;370;470)の前記円筒部分(72;272;372)の軸方向に延在する、請求項3に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)。
【請求項5】
前記多孔質体は、更に、半球状又は球状のドーム状の突出部分(73;273;373)を備え、
前記突出部分(73;273;373)は、前記中央の自由空間(62;262;362)とは反対側の前記円筒部分(72;272;373)の軸方向端部に配置される、請求項3又は4に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350)。
【請求項6】
前記空隙(75;275;375)は、前記突出部分(73;273;373)内に延在する、請求項4に従属する請求項5に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350)。
【請求項7】
前記多孔質体(70)は、前記中央の自由空間に係合するスピゴット(77)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の取り外し可能なアセンブリ(50)。
【請求項8】
前記貯蔵容器(60;260;360;460)の前記凹状外形は環状である、請求項1~7のいずれか1項に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)。
【請求項9】
前記貯蔵容器の前記凹状外形は、「C」字形である、請求項1~7のいずれか1項に記載の取り外し可能なアセンブリ。
【請求項10】
前記ドレンオリフィス(61;361;461)は、フォイル(65B;365B;465B)によってブロックされる、請求項1~9のいずれか1項に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;350;450)。
【請求項11】
前記取り外し可能なアセンブリ(50)は、前記多孔質体(70)と前記フォイル(65B)との間に配置された穿孔装置(140)を更に含み、
前記穿孔装置(140)は、前記多孔質体(70)が前記フォイル(65B)の方向に動かされるときに前記フォイル(65B)を穿孔するように構成された複数の歯(142)及び/又は針を含む、請求項10に記載の取り外し可能なアセンブリ(50)。
【請求項12】
前記取り外し可能なアセンブリ(350;450)は、更に、前記貯蔵容器(360;460)に組み立てられるように構成された芯支持要素(380;480)を備え、
前記芯支持要素は、支持部(381;481)を含み、
前記支持部(381;481)は、前記多孔質体(370;470)を支持するように構成され、貫通穴(382;482)を含み、前記多孔質体(370;470)は前記貫通穴(382;482)を通り、
前記支持部(381;481)は、前記芯支持要素(380;480)を前記貯蔵容器(360;460)に組み付けるとき前記フォイル(365B;465B)を穿孔するように構成される複数の歯(388)及び/又は針を含む、請求項10に記載の取り外し可能なアセンブリ(350;450)。
【請求項13】
前記物質は、温度の関数として粘度が変化する液体物質であり、
前記粘度は、前記使用位置において前記物質が第1の温度未満のいかなる周囲温度においても前記多孔質体(70;270;370;470)を通過できず、前記第1の温度は0℃を超え、前記物質が前記第1の温度より高い第2の温度で前記多孔質体(70;270;370;470)を流れる、ような粘度である、請求項1~12のいずれか1項に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)。
【請求項14】
異なる物質を収容する複数の貯蔵容器を備え、
前記貯蔵容器のそれぞれには、前記ディスペンシング部材と連通するドレンオリフィスが設けられている、請求項1~13のいずれか1項に記載の取り外し可能なアセンブリ。
【請求項15】
周囲温度で液体又は固体の物質を蒸気状態で空気中に分散することを目的とする拡散装置(10;710;810;910;1910;2010)であって、
前記拡散装置(10;710;810;910;1910;2010)は、
-請求項1~14のいずれか1項に記載の取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)と、
-前記取り外し可能なアセンブリ(50;250;350)が挿入されることができるハウジング(31)を画定する拡散モジュール(30)を含む固定部(20)と、
-加熱部材(100)と、
を備え、
前記加熱部材(100)は、前記取り外し可能なアセンブリ(50;250;350;450)が前記使用位置で前記ハウジング(31)内に挿入されたときに、前記貯蔵容器の中央の自由空間に係合し、前記取り外し可能なアセンブリの前記多孔質体(70;270;370;470)上の前記接触面と接触するように、前記ハウジング(31)内に配置され、
前記加熱部材(100)は、前記接触面と接触するように、前記多孔質体(70;270;370;470)内の前記空隙(75;275;375;475)内に部分的に収容される、拡散装置。
【請求項16】
更に、電子回路カード(130)を備え、
前記加熱部材(100)には、前記電子回路カード(130)から電気エネルギーが供給される、請求項15に記載の拡散装置(10;710;810;910;1910;2010)。
【請求項17】
更に、前記多孔質体(70;270;370;470)の温度を定義する設定温度の関数として前記加熱部材(100)を制御するように構成された制御装置を備える、請求項15又は16に記載の拡散装置(10;710;810;910;1910;2010)。
【請求項18】
前記制御装置は、前記電子回路カード(130)上に備えられる、請求項16に従属する17に記載の拡散装置(10;710;810;910;1910;2010)。
【請求項19】
前記固定部(20)は、更に、吸気口(99)と、前記吸気口(99)から前記中空体の前記蒸発面への空気の流れを作り出すように構成された曝気システムと、を含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の拡散装置(10;710;810;910;1910;2010)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲温度で液体又は固体状態の物質を蒸気状態で空気中に分散させることを目的とした拡散装置の分野に関する。本発明は、より具体的には、そのような拡散装置に使用できる取り外し可能なアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
前述のタイプの拡散装置は、例えば国際公開第2019/243734号から知られている。その装置では、物質を含む貯蔵容器がディスペンシング部材に接続される。ディスペンシング部材は、チャネル内に物質蒸発ゾーンを構成するためにチャネル内に配置された出口を形成するマイクロチャネルを含む。加熱部材は、ディスペンシング部材を通る物質の流れを制御するようにディスペンシング部材上又はディスペンシング部材内に配置される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の背後にある1つのアイデアは、ディスペンシング部材に対する加熱部材の配置を容易にするディスペンシング部材及び貯蔵容器の配置を提案することにある。
【0004】
本発明は、従って、拡散装置用の取り外し可能なアセンブリを提案し、前記取り外し可能なアセンブリは、前記拡散装置は周囲温度で液体又は固体の物質を蒸気状態で空気中に分散することを目的としており、
-前記物質を収容しドレンオリフィスを含む貯蔵容器であって、前記取り外し可能なアセンブリが使用位置にあるとき、前記ドレンオリフィスは下向きになる、前記貯蔵容器と、
-前記ドレンオリフィスの出口に配置され、前記ドレンオリフィスに接続されたディスペンシング部材であって、前記物質を周囲の空気中に蒸発させるために、前記貯蔵容器の外側に位置する蒸発面を有する多孔質体を含むディスペンシング部材と、
を含み、
前記貯蔵容器は、中央の自由空間を少なくとも部分的に取り囲む凹状外形を有し、前記多孔質体の前記蒸発面とは反対側の接触面を露出させ、前記接触面には前記中央の自由空間を介してアクセスできる。
【0005】
加熱部材は、多孔質体を加熱するか否かだけで、多孔質体を通る物質の流れを制御することを可能にする。多孔質体を通る物質の流れを制御するための物理的原理は、上記で既に引用した国際公開第2019/243734号又は国際公開第2020/254733号に記載されている。
【0006】
貯蔵容器は、多孔質体の接触面を露出させるように中央の自由空間を少なくとも部分的に取り囲む凹状外形を有しているため、加熱部材は、貯蔵容器の中央の自由空間を通過するだけで、ディスペンシング部材の接触面上に配置することができる。これは特に、取り外し可能なアセンブリを収容することを意図した装置のハウジング内に加熱部材を配置することによって達成することができる。これによって、加熱部材をディスペンシング部材に対して配置することが特に簡単になる。
【0007】
このような取り外し可能なアセンブリの実施形態は、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい。
【0008】
一実施形態によれば、多孔質体は、多孔質体の内部部分の多孔率が、内部部分を囲む多孔質体の外部部分の多孔率よりも低い。
【0009】
一実施形態によれば、多孔質体は、木材、織物、セラミック、ポリマー、又は金属粉末又は金属合金粉末を焼結して得られる多孔質金属で作られる芯を含む。
【0010】
一実施形態によれば、多孔質体は、貯蔵容器によって囲まれる中央の自由空間と一直線に並ぶ空隙を含み、接触面は、空隙の内面である。
【0011】
従って、加熱部材は、接触面と接触するように、多孔質体内の空隙内に部分的に収容される。その結果、加熱部材と多孔質体との間の接触は、平面接触よりも広い表面にわたって行われる。これにより、多孔質体の温度を制御しやすくなり、多孔質体を通る物質の流れを制御しやすくなる。
【0012】
空隙は、好ましくは非貫通である。或いは、空隙は非貫通ではない、つまり、多孔質体を通して開いていてもよい。
【0013】
一実施形態によれば、多孔質体は、円筒部分を含む。
【0014】
一実施形態によれば、中央の自由空間は、多孔質体の円筒部分と同軸方向に延在する。
【0015】
一実施形態によれば、空隙は、多孔質体の円筒部分の軸方向に延在する。
【0016】
一実施形態によれば、多孔質体は、更に、半球状又は球状のドーム状の突出部分を備え、突出部分は、中央の自由空間とは反対側の円筒部分の軸方向端部に配置される。
【0017】
一実施形態によれば、空隙は、突出部分内に延在する。
【0018】
貯蔵容器の外部形状は多様に設計可能です。
【0019】
一実施形態によれば、貯蔵容器は主軸に沿って延びている。
【0020】
一実施形態によれば、多孔質体の円筒部分の軸は主軸と一致する。
【0021】
一実施形態によれば、中央の自由空間が延在する方向は主軸と平行である。
【0022】
一実施形態によれば、空隙が延在する軸方向は主軸と平行である。
【0023】
一実施形態によれば、多孔質体は主軸を中心に回転対称性を示す。
【0024】
一実施形態によれば、使用位置では、主軸は重力による加速の方向と平行である。
【0025】
一実施形態によれば、貯蔵容器は下壁を含み、下壁は主軸に沿って貯蔵容器の下端に位置する。
【0026】
一実施形態によれば、ドレンオリフィスは下壁にある。
【0027】
一実施形態によれば、下壁にはザグリが設けられ、中央の自由空間はザグリに開口し、ドレンオリフィスはザグリに形成されている。
【0028】
一実施形態によれば、貯蔵容器の凹状外形は環状である。例えば、貯蔵容器の主軸に垂直な断面は環状である。
【0029】
一実施形態によれば、貯蔵容器は主軸を中心に回転対称性を示す。
【0030】
一実施形態によれば、貯蔵容器の凹状外形は、「C」字形である。例えば、貯蔵容器の主軸に垂直な断面は、「C」字形である。
【0031】
一実施形態によれば、ドレンオリフィスは、フォイルによってブロックされる。
【0032】
一実施形態によれば、取り外し可能なアセンブリは、多孔質体とフォイルとの間に配置された穿孔装置を更に含み、穿孔装置は、多孔質体がフォイルの方向に動かされるときにフォイルを穿孔するように構成された複数の歯及び/又は針を含む。
【0033】
一実施形態によれば、取り外し可能なアセンブリは、更に、貯蔵容器に組み立てられるように構成された芯支持要素を備え、芯支持要素は、支持部を含み、支持部は、多孔質体を支持するように構成され、貫通穴を含み、多孔質体は貫通穴を通り、支持部は、芯支持要素を貯蔵容器に組み付けるときフォイルを穿孔するように構成される複数の歯及び/又は針を含む。
【0034】
一実施形態によれば、芯支持要素は、貯蔵容器にねじ込むことによって貯蔵容器に組み立てられるように構成されている。この場合、芯支持要素が貯蔵容器にねじ込まれると、複数の歯及び/又は針がフォイルに穴を開ける。例えば、芯支持要素は、貯蔵容器の外側のねじ山と協働するように構成された内側のねじ山を含むアセンブリ部分を含んでもよい。
【0035】
一実施形態によれば、芯支持要素は、複数の歯及び/又は針がフォイルを穿孔しない中間位置と、複数の歯及び/又は針がフォイルを穿孔する最終位置で、貯蔵容器にねじ込むことによって貯蔵容器に組み立てられるように構成されており、中間位置から最終位置への通過には、芯支持要素を中間位置までねじ込むために必要な締め付け力よりも大きな締め付け力が必要である。例えば、アセンブリ部分は、貯蔵容器の外部突起と協働するように構成された内部突起を含み、中間位置から最終位置への通過には、内部突起が外部突起を通り抜けることができるのに十分な締め付け力が必要となる。
【0036】
一実施形態によれば、物質は、天然又は合成起源の情報化学物質分子、フェロモン、アロモン、カイロモン、シノモンから選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0037】
一実施形態によれば、物質は、標的種に肯定的又は否定的な反応を引き起こすことを意図した、少なくとも1つの性的又は非性的フェロモン、アロモン、シノモン、又はカイロモンを含む溶液であり、その行動の結果は、クモ形類を含む節足動物、又は有害な昆虫を含む六脚動物において、性的混乱、別の種類の混乱、性的魅力、別の種類の魅力、あらゆる種類の嫌悪感となってもよい。
【0038】
一実施形態によれば、物質は、標的種に肯定的又は否定的な結果を引き起こすことを意図した、少なくとも1つのフェロモン又は性的フェロモン、アロモン、シノモン又はカイロモンを含む溶液であり、その行動の結果は、特に哺乳類及び鳥類において鎮静、リラックス、多幸感又は威嚇となってもよい。
【0039】
一実施形態によれば、物質は、イソプロピルミリステート、グリコールジプロピレン、モノメチルグリコールジプロピレンエーテル、及び例えばL型又はP型又はN型又はV型イソパラフィンなどのイソパラフィン炭化水素から選択される溶媒を含む。
【0040】
一実施形態によれば、物質は、人又は動物に使用可能な芳香剤、情報化学物質、化粧品、精油、香水、消毒剤、植物検疫及び農業用薬剤からなる群の少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態によれば、物質は、上記群の少なくとも1つの化合物を含む溶液である。
【0041】
一実施形態によれば、物質は、人体に使用可能な芳香剤、化粧品、精油、香水、消毒剤からなる群の化合物を少なくとも1つ含む。一実施形態によれば、物質は、上記群の少なくとも1つの化合物を含む溶液である。
【0042】
一実施形態によれば、動物に使用可能な臭気剤は、オレイン酸メチル、パルミチン酸メチル、アゼライン酸ジメチル、ピメリン酸ジメチルなどの脂肪酸又は前記脂肪酸のエステル化形態から選択される。
【0043】
一実施形態によれば、物質は、液体状態では25℃で1cPa.sを超える粘度を持ち、それは例えば25℃で8cPa.sを超え、60℃で1cPa.s未満である。
【0044】
一実施形態によれば、物質は、大気圧下では沸点が30°Cから400°Cの間である。
【0045】
一実施形態によれば、物質は、常温で液体状態にあり、貯蔵容器は更に、液体状態の物質が含浸された内部セル状保持部材を含む。
【0046】
一実施形態によれば、セル状保持部材は、例えばウールフェルトなどのフェルト及びメラミンフォームから選択される材料を含む。
【0047】
一実施形態によれば、複数のセル状保持部材が接触して貯蔵容器内に配置されている。
【0048】
一実施形態によれば、貯蔵容器にはドレンオリフィス以外の開口部がなく、貯蔵容器には物質に加えて貯蔵容器の容積の少なくとも20%を占める気相が含まれている。
【0049】
第1の温度は、様々な範囲で設定できる。拡散装置を屋外で使用することを意図している場合、第1の温度は特に、地域の気候データに応じて選択される。実施形態によれば、第1の温度は、例えば、1℃以上50℃以下、5℃以上40℃以下、10℃以上35℃以下、15℃以上25℃以下である。
【0050】
一実施形態によれば、物質は、温度の関数として粘度が変化する液体物質であり、粘度は、使用位置において物質が第1の温度未満のいかなる周囲温度においても多孔質体を通過できず、第1の温度は0℃を超え、物質が第1の温度より高い第2の温度で多孔質体を流れる、ような粘度である。
【0051】
一実施形態によれば、物質は室温で液体の状態にある。例えば、物質の融点は、大気圧下で-70℃以上0℃以下である。
【0052】
一実施形態によれば、物質は室温で固体である。例えば、物質は大気圧下で30℃を超える融点を有してもよく、それは例えば30℃以上40℃以下である。
【0053】
一実施形態によれば、取り外し可能なアセンブリは、異なる物質を収容するための複数の貯蔵容器を含み、各貯蔵容器には、ディスペンシング部材と連通するドレンオリフィスがある。このような貯蔵容器は、例えば、単一の貯蔵容器の内部を仕切るか、又は複数の別個の貯蔵容器によって製造されるなど、様々な方法で製造することができる。
【0054】
本発明はまた、周囲温度で液体又は固体の物質を蒸気状態で空気中に分散することを目的とする拡散装置を提案し、
前記拡散装置は、
-上記実施形態のいずれかに記載の取り外し可能なアセンブリと、
-前記取り外し可能なアセンブリが挿入されることができるハウジングを画定する拡散モジュールを含む固定部と、
-加熱部材と、
を備え、
前記加熱部材は、前記取り外し可能なアセンブリが前記使用位置で前記ハウジング内に挿入されたときに、前記貯蔵容器の中央の自由空間に係合し、前記取り外し可能なアセンブリの前記多孔質体上の前記接触面と接触するように、前記ハウジング内に配置される。
【0055】
実施形態によれば、そのような拡散装置は、以下の特徴の1つ以上を有していてもよい。
【0056】
一実施形態によれば、前記加熱部材は、前記接触面と接触するように、前記多孔質体内の前記空隙内に部分的に収容される。
【0057】
一実施形態によれば、加熱部材は、接触面と接触する電気抵抗を備える。
【0058】
一実施形態によれば、更に、電子回路カードを備え、前記加熱部材には、前記電子回路カードから電気エネルギーが供給される。
【0059】
一実施形態によれば、前記拡散装置は、更に、前記多孔質体の温度を定義する設定温度の関数として前記加熱部材を制御するように構成された制御装置を備える。
【0060】
一実施形態によれば、前記制御装置は、前記電子回路カード上に備えられる。
【0061】
一実施形態によれば、前記固定部は、更に、吸気口と、前記吸気口から中空体の蒸発面への空気の流れを作り出すように構成された曝気システムと、を含む。
【0062】
一実施形態によれば、曝気システムは、少なくとも1つのファンを含む。
【0063】
一実施形態によれば、制御装置は、前記少なくとも1つのファンを制御するように構成される。
【0064】
一実施形態によれば、固定部は、更に、電力供給モジュールを含む。このような電力供給モジュールは、1つ以上のバッテリ、主電源プラグ、直流電気コネクタ、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0065】
一実施形態によれば、拡散モジュールは電源モジュールに固定することができる。
【0066】
一実施形態によれば、吸気口は、電源モジュールと拡散モジュールとの間に隙間を含む。
【0067】
添付の図面を参照しながら、限定されない例示としてのみ示される本発明の特定の実施形態に関する以下の説明を通じて、本発明がより良く理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、第1の実施形態による拡散装置の全体斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、
図1及び
図2の拡散装置のハウジング内に受け入れられるように意図された取り外し可能なアセンブリの貯蔵容器の断面図である。
【
図4】
図4は、ディスペンシング部材と組み合わせた
図3Aの貯蔵容器の断面図である。
【
図5】
図5は、
図4の詳細Vの拡大図であり、部分的に断面図、部分的に斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、
図4及び
図5の貯蔵容器及びディスペンシング部材を支持体とともに示す斜視図である。
【
図7】
図7は、貯蔵容器と支持体との間の所定の位置に不正開封防止インジケータを更に示す、
図6Aに類似した斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1の矢印VIIIの方向に上から見た、
図1のディスペンシング装置のケーシングの部分斜視図である。
【
図9】
図9は、第2の変形例に係る拡散装置の部分斜視図である。
【
図10】
図10は、第3の変形例に係る拡散装置の部分斜視図である。
【
図11】
図11は、第4の変形例に係る拡散装置の部分斜視図である。
【
図12】
図12は、第5の変形例に係る拡散装置の部分斜視図である。
【
図17】
図17は、第6の変形例に係る拡散装置を示す、
図2と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、周囲温度で液体状態の物質を蒸気状態で空気中に分散させることを目的とした拡散装置の第1の変形例の斜視図である。この拡散装置には、図面では参照番号10が付けられている。便宜上、この拡散装置は、以下では「装置10」と呼ぶことにする。
【0070】
装置10は、全体的に参照番号20で示される固定部を含む。
【0071】
まず、固定部20について説明する。固定部20は、拡散モジュール30と電力供給モジュール40とを含む。
図2は、装置10の断面図であり、拡散モジュール30及び電力供給モジュール40の内部に配置された装置10の構成要素を明らかにしている。
【0072】
拡散モジュール30は、ここでは全体的に円筒形の断面を有するハウジング31を画定する。ハウジング31は、以下に説明する取り外し可能なアセンブリ50を受け入れるように適合されている。
【0073】
電力供給モジュール40は、拡散モジュール30の電気コンポーネントに電力を供給するために、1つ又は複数のバッテリ41を含む。電源ケーブル42は、装置10に電力を供給するために、太陽電池パネル(図示せず)などの外部電源に接続される。
【0074】
装置10は、2つの吊り下げリング1001によって、タイインケーブルなどのピンと張ったケーブル1000(
図1には示されていないが、
図2に示されている)から吊り下げられている。吊り下げリング1001は、
図1及び
図2に示すように、拡散モジュール30の両側にそれぞれ配置される。
【0075】
次に、
図3Aから
図7を参照して、取り外し可能なアセンブリ50について説明する。取り外し可能なアセンブリ50は、貯蔵容器60及び芯70を含む。芯70は、取り外し可能なアセンブリ50を保持するときに、取り外し可能なアセンブリ50をハウジング31内に一体的に挿入できるように、貯蔵容器60に固定される。
【0076】
図3Aは、貯蔵容器60自体の断面図である。
図3Aに見られるように、貯蔵容器60は、主軸P-Pに沿って延在する環状円筒形の外形を有する。「環状円筒」とは、
図3Bに概略的に示されているように、軸P-Pに垂直な貯蔵容器60の断面が環状であることを意味する。従って、貯蔵容器60は、その中心及び軸P-Pの近くに、中央の自由空間62を有する。中央の自由空間62は、貯蔵容器60の近位壁63によって画定される。貯蔵容器60の内部容積69は、近位壁63と、近位壁63よりも軸P-Pから遠い遠位壁64と、上壁66と、下壁65とによって画定される。
【0077】
図3Aでよりよくわかるように、下壁65はザグリ65Aを含む。中央の自由空間62はザグリ65Aに開口している。ザグリ65Aの底面の全部又は一部には、ドレンオリフィス61が形成されている。ドレンオリフィス61は、取り外し可能なアセンブリ50の使用位置において下向きに配向されており、この使用位置は
図2に示されている。
【0078】
「下方」(downward)、「下側」(lower)、「上側」(upper)という用語は、使用位置における重力による加速度を基準として理解されるべきである。
【0079】
貯蔵容器60は、軸P-Pを中心とする回転対称性を示しうる。
【0080】
一実施形態では、貯蔵容器60は、例えばポリプロピレン(PP)などの適切なプラスチック材料を射出成形することによって作製される。貯蔵容器60が空になるまで、貯蔵容器60に含まれる液体物質が流れ続けることができることを保証するため、1つ又は複数の加圧ベント(図示せず)が上壁66及び/又は遠位壁64に形成されうる。或いは、貯蔵容器60は、ドレンオリフィス61以外の開口を備えず、液状物質に加えて、貯蔵容器60の容積の少なくとも20%を占める気相を収容する。
【0081】
近位壁63は、貯蔵容器60の上端近くに、中央の自由空間62の断面積が貯蔵容器60の上端に向かって増加するように傾斜部分63Aを有してもよい。また、遠位壁64は、貯蔵容器60の上端に向かうにつれて軸P-Pに近づくように傾斜部64Aを有していてもよい。
【0082】
別の実施形態では、下壁65の一部又は全部を例外として、貯蔵容器60の壁は柔軟であってもよく、これにより、貯蔵容器60が空になるときの大気圧の影響によって貯蔵容器60の内部容積69が減少する。このような可撓性の壁を製造する技術自体は知られており、ここでは詳細に説明しない。
【0083】
更なる実施形態では、軸P-Pに垂直な貯蔵容器60の断面は、必ずしも環状である必要はない。貯蔵容器60の外形が凹面であり、中央の自由空間62を少なくとも部分的に囲んでおり、後述するように加熱部材100を中央の自由空間62に収容できるという条件において、貯蔵容器60の任意の外形を想定することができる。特に、貯蔵容器60は、
図3Cの上から見た図に概略的に表される「C」字形の凹状外形、又はより複雑な凹状外形を有してもよい。
【0084】
貯蔵容器60の内部容積69は、オプションとして、液体物質を含浸させたポリマー発泡体(図示せず)で少なくとも部分的に充填することができる。或いは、内部容積69を単に液体物質で満たすこともできる。図中、符号69Lは液状物質の自由表面を示す。
【0085】
図示されていない幾つかの変形例では、内部容積69は複数の異なる液体物質を含んでもよい。この目的のために、内部容積69は、複数の内部サブ容積を画定するように分割されてもよく、各内部容積69は液体物質を含み、その液体物質用のドレンオリフィス61を有する。図示されていない他の変形例によれば、取り外し可能なアセンブリ50は、複数の貯蔵容器60を備えてもよく、複数の貯蔵容器60は同一であってもよく、それぞれは液体物質を含み、全てが下記に説明する芯70に接続されている。これらの変形例により、装置10によって拡散される瞬間まで混合されない複数の液体物質を含む取り外し可能なアセンブリ50を提供することが可能になる。
【0086】
貯蔵容器60は、芯70とともに
図4及び
図5に断面図で示されている。
【0087】
芯70は、ドレンオリフィス61の出口に位置し、これによって、液体物質は、貯蔵容器60の内部容積69から芯70へ、そしてそこから芯70の外壁からなる蒸発表面へと通過することができる。ここで、芯70は、円筒状の中央部分72と、ここでは半球状であるが、同様に球状のドームの形状であってもよい突出部分73とを含む。更に、空隙75が芯70内に延在しており、ここでは空隙75は、軸P-Pに平行であり、従って中央の自由空間62と一直線になっている。空隙75は、図に示されているように非貫通空隙であることが好ましい。空隙75は、芯70内で突出部分73まで延在してもよく、延在していなくてもよい。或いは、空隙75は非貫通ではなく、つまり突出部分73を通って排出されてもよい。
【0088】
芯70は、軸P-Pを中心とした回転対称性を示してもよい。
【0089】
芯70は、様々な方法で貯蔵容器60に取り付けることができる。
図4及び
図5に示される例では、芯70は、中央の自由空間62の下端を閉鎖するように円筒形のスピゴット(spigot)77を含む。スピゴット77は、例えば、中央の自由空間62に圧入される。スピゴット77の上面には、図では参照符号77Aが付けられている。
【0090】
芯70は、部分的又は全体的に、例えば木材、織物、セラミック又はポリマーなどの多孔質材料で作られている。多孔質材料の別の例としては、金属粉末又は金属合金粉末を焼結して得られる多孔質金属が挙げられる。このような多孔質金属はそれ自体知られており、それらを得る技術についてはここでは詳しく説明しない。
【0091】
既に上述したように、貯蔵容器60は、取り外し可能なアセンブリ50の使用位置において下向きに配向されたドレンオリフィス61を含む。芯70は、このドレンオリフィス61の出口に位置しており、芯70は、貯蔵容器60の内部容積69に含まれる液体物質を受け取り、また多孔性があるため、それを含浸させる。
【0092】
図5は、
図4の詳細Vの部分的に斜視図及び部分的に断面図で示す拡大図であり、従って、芯70とドレンオリフィス61との間の接続をよりよく示す図である。図示の実施形態では、芯70は、ドレンオリフィス61に面するフランジ79を含む。ドレンオリフィス61はフォイル65Bによって塞がれている。取り外し可能なアセンブリ50は、フランジ79とドレンオリフィス61との間に穿孔装置140を更に含む。穿孔装置140は、芯70のスピゴット77がその中心を通過できるような寸法を有する環状の本体141を含む。本体141は、複数の歯142と、歯142間の複数のギャップ143とを含む。歯142は、フォイル65Bを貫通可能に配置されている。フォイル65Bが歯142によって穿孔されると、液体物質は歯142によって作られた穴を通って流れ、次にギャップ143を通って、毛細管現象によってフランジ79を濡らし、次に芯70の残りの部分を濡らす。
【0093】
穿孔装置140は、例えば、適切なポリマーを射出成形することによって作製することができる。或いは、金属部品、例えば鋳物やセラミック部品であってもよい。更に、穿孔装置140は、必ずしも必要ではないが、互いに固定された複数の環状セクターから構成されてもよい。
【0094】
歯142及びギャップ143は、液体物質による芯70への均一な含浸を促進するために、好ましくは規則的な間隔をあけて配置される。
【0095】
図5に示される歯142及びギャップ143の幾何学的形状は、単なる一例にすぎない。他の多くの構成が可能である。更に、歯142に加えて、又は歯142の代わりに、中空又は中実の歯を穿孔装置140上に配置して、上記説明したようにフォイル65Bを穿孔することができる。
【0096】
ドレンオリフィス61を介した芯70と貯蔵容器60の内部容積69との間の上記説明した接続は、単なる一例にすぎない。他にも多数の接続が可能である。特に、貯蔵容器60の内部容積69が少なくとも部分的に液体物質を含浸させたポリマー発泡体で満たされている場合には、芯70はドレンオリフィス61を通過してこのポリマー発泡体と接触する1つ以上のスピゴットを含んでもよい。次に、芯70とドレンオリフィス61との間の密封接続を保証するような方法で、1つ以上のシール(図示せず)を配置することができる。
【0097】
図2に戻ると、取り外し可能なアセンブリ50が、拡散モジュール30によって画定されるハウジング31内の使用位置にあるのが見られる。全体的に参照番号100で示される加熱部材は、拡散モジュール30内に配置される。加熱部材100は、その下端に電気抵抗110を担持するロッド101を含む。中央の自由空間62の存在により、ロッド101は中央の自由空間62を通って延在することができ、これにより、取り外し可能なアセンブリ50がハウジング31内の所定の位置にあるときに、電気抵抗110が空隙75の壁と接触するようになる。電気抵抗110に電気を供給するか否かによって、国際公開第2019/243734号及び国際公開第2020/254733号に記載されている物理原理に従って、芯70を通る液体物質の流れを制御することができる。
【0098】
上面77Aは、空隙75へのロッド101及び電気抵抗110の挿入を容易にするために、傾斜したスピゴット77Bによって空隙75に任意に接続されてもよい。
【0099】
加熱部材100は、電気抵抗110への電力の供給及び電気抵抗110の制御のための電子回路カード130を含んでもよい。例えば、芯70の設定温度の関数として電気抵抗110を制御するために、マイクロプロセッサなどの制御装置(図示せず)を電子回路カード130上に配置することができる。この設定点温度は、例えばロッド101に搭載された温度センサー(図示せず)によって測定してもよい。電子回路カード130は、装置10内の様々な場所に配置されてもよい。単に一例として、
図2では、電子回路カード130は、取り外し可能なアセンブリ50の上のハウジング31内に配置されているように表されている。
【0100】
装置10は更に、吸気口99から芯70の外壁からなる蒸発面に向かう空気の流れを作り出すように構成された曝気システムを含む。この曝気システムはファン120を含む。図示の例では、ファン120は、取り外し可能なアセンブリ50の上に配置されている。ファン120は、吸気口99から芯70まで空気の流れを取り込む。吸気口99は、好ましくは、拡散モジュール30と拡散モジュール30に固定されたカバー33との間の隙間である。
図1の一点鎖線矢印Fは、この隙間からの空気の進入方向を示している。
【0101】
外部からの望ましくない粒子によって芯70が汚れるリスクを制限するために、エアフィルタ(図示せず)を吸気口99とファン120との間に好ましくは配置してもよい。
【0102】
更に、
図8に見られるように、拡散モジュール30は、拡散モジュール30の内壁と、貯蔵容器60を受け入れるように意図されたケーシング39との間にフィン309を含んでもよい。フィン309は、空気の流れを芯70に向けて案内するような方法で適合されてもよい。更に、
図8から分かるように、ケーシング39の底部には、電子回路カード130を支持する底板39Fが設けられてもよい。次に、底板39Fにロッド101及び電気抵抗110を通すための貫通孔39FFを形成する。
【0103】
ファン120は、電子回路カード130によって担持される上述の制御装置によって制御されてもよい。
【0104】
取り外し可能なアセンブリ50は、貯蔵容器60に収容された液状物質が全て使用されたときに同じように交換されるために取り外し可能なアセンブリ50がハウジング31から取り外せることを条件として、様々な方法でハウジング31内の所定の位置に保持されてもよい。例えば、取り外し可能なアセンブリ50は、ハウジング31にねじ止めされるか、又はクリップ留めされてもよい。
【0105】
取り外し可能なアセンブリ50のハウジング31内への配置を容易にする、取り外し可能なアセンブリ50の特定の変形例について、
図2、6A、6B、及び7を参照して以下に説明する。これらの図に表されているように、取り外し可能なアセンブリ50は、貯蔵容器60及び芯70に加えて、支持体80を含む。
【0106】
支持体80は、中心体81と周辺体82とを含む。
【0107】
中心体81は、少なくとも1つの中心部分81Aを含み(
図6Aを参照)、中心部分81Aは、貯蔵容器60の下部及び芯70のフランジ79をその上に置くようにテーパになっている(
図2参照)。更に、中心体81は、特に
図2及び6Bに見られるように、芯70が通過できるように寸法が選択された貫通オリフィス81AAを含む。より正確には、
図6Bに見られるように、少なくとも突出部分73、場合によっては中央部分72の一部が貫通オリフィス81AAを通過できるようになっている。
【0108】
周辺体82は、環状であり、中心体81に固定されている。周辺体82は、拡散モジュール30の内壁に固定されるようになっている。例えば、周辺体82はバヨネット結合によって拡散モジュール30の内壁に固定され、バヨネット結合は、ここでは、周辺体82によって担持されるノッチ89(
図6A及び7)を含み、ノッチ89は、拡散モジュール30の内壁に担持される対応するピン30A(
図8)と協働する。ここで、周辺体82は、中心体81と周辺体82との間に配置されたリブ812と一体に形成されることによって、中心体81に固定される。リブ812は、少なくとも部分的に、空気の流れを芯70に向かって誘導するような形状にされてもよい。
【0109】
中心体81は、そのテーパにされた中心部分81Aのレベルでのみ、貯蔵容器を支持することができる。しかし、若しくは、中心体81は、貯蔵容器60の溝68に収容される環状のベアリングバンド81Rを更に備える。
【0110】
溝68及びベアリングバンド81Rは、
図7に示されている不正開封防止インジケータ150をオプションとして取り付けることを可能にする。示されているように、不正開封防止インジケータ150は、溝68に、より正確にはベアリングバンド81Rの上にも受け入れられる「C」字型の少なくとも1つの部分152を備えている。不正開封防止インジケータ150は、ユーザーが簡単に取り外しできるように、つかむことができる舌状部151も含む。
【0111】
明らかに、
図7に示すように、不正開封防止インジケータ150が所定の位置に留まっている限り、部分152はベアリングバンド81Rが溝68の上壁に当接するのを防ぐ。逆に、例えば、舌状部151を引っ張ることにより、不正開封防止インジケータ150が取り外されると、支持体80は、ベアリングバンド81Rが溝68の上壁に当接するまで、貯蔵容器60の上壁66の方向に移動できる。
図2と
図5を比較するとより明らかになるが、この支持体80の動きによって、特に、穿孔装置140の歯142によって、上記で説明したフォイル65Bの穿孔が引き起こされる可能性がある。不正開封防止インジケータ150がない場合は、フォイル65Bが穿孔されている可能性があり、従って、貯蔵容器60から液体物質が放出され始めていることが示されている。
【0112】
図1~8に示した装置10の構造は単なる一例に過ぎず、他の多数の構造も考えられる。
【0113】
装置710の第2の変形例は、
図9に部分的に透視図で示されている。この図では、
図2から
図8を参照して上で説明した要素と同じ要素には同じ参照番号が付けられており、再度詳細には説明しない。装置710は、電力供給モジュール740が拡散モジュール30の反対側に主電源プラグ741を備えている点で装置10と異なる。従って、装置710は主電源から電力を供給でき、特に、温室や建物などの閉鎖された場所での使用が可能になる。
【0114】
装置810の第3の変形例が、
図10に部分的に透視図で示されている。この図では、
図2から
図8を参照して上で説明した要素と同じ要素には同じ参照番号が付けられており、再度詳細には説明しない。装置810は、電力供給モジュール840が拡散モジュール30の反対側に直流電源プラグ841(ここではポゴピンと呼ばれる)を備えている点で装置10と異なる。従って、装置810には、バッテリなどの直流電源から電力を供給できる。
【0115】
装置910の第4の変形例が
図11に透視図で示されている。この図では、
図2から
図8を参照して上で説明した要素と同じ要素には同じ参照番号が付けられており、再度詳細には説明しない。装置810は、共通の電力供給モジュール1040のそれぞれの反対側に配置された2つの拡散モジュール30備えている点で装置10と異なる。電力供給モジュール1040は、例えばバッテリ(図示せず)を含み、上記で説明したように電源ケーブル42によって電力が供給される。装置910は、2つの拡散モジュール30に異なる物質を含む2つの取り外し可能なアセンブリ50を挿入することによって、2つの異なる物質を拡散するために使用されてもよい。
【0116】
装置1910の第5の変形例は、
図12の分解図で示されている。この図では、
図2から
図8を参照して上で説明した要素と同じ要素には同じ参照番号が付けられており、再度詳細には説明しない。装置1910は、屋外及び高所で使用するように設計されている。このため、拡散モジュール30は、例えばジュビリークリップ(Jubilee clip)1991によって垂直ポスト2000に固定される。拡散モジュール30の上には、電力供給モジュール1940が配置されており、ここでは、円筒形で、拡散モジュール30と同じ直径である。電力供給モジュール1940も、例えばジュビリークリップ1995によってポスト2000に固定される。拡散モジュール30は、例えばネジ止め又はクリップ留めによって電力供給モジュール1940に固定される。電力供給モジュール1940は、装置1910に電力を供給するために、バッテリ(図示せず)を含んでもよく、及び/又は、太陽光発電パネル(図示せず)に接続されてもよい。しかし、装置1910には、他の方法、特に主電源によって電力が供給されてもよい。好ましくは、吸気口99は、拡散モジュール30と電力供給モジュール1940との間の隙間(図示せず)であってもよい。
図12の矢印F12は、この隙間を介した空気の流入方向を示している。
【0117】
図2~
図7に示した取り外し可能なアセンブリ50の形状は単なる一例に過ぎず、他の多数の形状も考えられる。
【0118】
取り外し可能なアセンブリ250の別の例が、
図13に断面図で示されている。
図14は、この取り外し可能なアセンブリ250の貯蔵容器260の分解図である。これらの図では、
図2から
図12を参照して上で説明した要素と同じ要素には、200を加算した参照番号が付けられており、必要な場合を除き、再度詳細には説明しない。
【0119】
この例では、貯蔵容器260は、例えばポリプロピレン(PP)などの適切なプラスチック材料を射出成形することによって作られた非常に長い円筒形の部品の形状をしている。貯蔵容器260の内部容積269には、液体物質が含浸されたポリマーフォーム268が充填されている。貯蔵容器260の上端付近、例えばその上壁266及び/又は遠位壁264に、1つ又は複数の圧力ベント(図示せず)が形成されてもよい。或いは、貯蔵容器260には、ドレンオリフィス261以外の開口部がなく、液体物質に加えて、貯蔵容器260の容積の少なくとも20%を占めるガス相が含まれる。
【0120】
図14でよりよくわかるように、貯蔵容器260の下端には外ねじ291が設けられており、対応する内ねじ(図示せず)を備えたストッパー290をねじ込むことができる。従って、ストッパー290は、取り外し可能なアセンブリ250の使用前、特にその輸送中に液体物質が失われるのを防ぐ。好ましくは、芯270は、ストッパー290によって貯蔵容器260上に保持され、これにより、取り外し可能なアセンブリ250を使用する前に芯270が紛失したり損傷したりするのを防ぐことができる。貯蔵容器260の下端にフォイル296を配置して、ドレンオリフィス261を塞ぐことができる。
【0121】
芯270を貯蔵容器260に取り付けるには、ストッパー290を緩め、その後フォイル296を取り外し、その後芯270をドレンオリフィス261に押し込んで、芯270に付いているスピゴット279がポリマーフォーム268と接触するようにする。この場合、
図13に示すように、ストッパー290は、芯270がこのように挿入された後に、ストッパー290をねじ山291にねじ戻すことができるような寸法に任意に設定することができ、これにより、芯270とポリマーフォーム268との接合部のシール性が向上する。
【0122】
図示されていない別の変形例では、スピゴット279は、芯270を貯蔵容器260のドレンオリフィス261にねじ込むことができるように構成されてもよい。この場合、オプションとして、スピゴット279は、芯をねじ込むときにフォイル296に穴を開けるマイクロニードル(図示せず)を含んでもよい。
【0123】
取り外し可能なアセンブリ350の別の例が、
図15A、15B、15C、16A、及び16Bに示されている。この取り外し可能なアセンブリ350は、貯蔵容器360、芯370、及び芯支持要素380を含んでもよい。
【0124】
まず、貯蔵容器360について説明する。
図15Aは貯蔵容器360単体の側面図であり、
図15Bは貯蔵容器360の断面図である。貯蔵容器360は、主軸Q-Qに沿って延在する環状円筒状の外形を有している。言い換えれば、貯蔵容器360の軸Q-Qに垂直な断面は環状である。従って、貯蔵容器360は、その中心に、軸Q-Qの近くに中央の自由空間362を有する。中央の自由空間362は、貯蔵容器360の近位壁363によって区切られる。貯蔵容器360の内部容積369は、近位壁363、近位壁363よりも軸Q-Qから遠い遠位壁364、上壁366、及び下壁365によって区切られる。
【0125】
下壁365にはドレンオリフィス361が形成されている。ドレンオリフィス361は、
図17に示す取り外し可能なアセンブリ350の使用位置では下向きに向いている。
【0126】
貯蔵容器360は、軸Q-Qを中心に回転対称性を示してもよい。
【0127】
一実施形態によれば、貯蔵容器360は、例えばポリプロピレン(PP)などの適切なプラスチック材料を射出成形することによって製造される。貯蔵容器360が空になるまで貯蔵容器360内に含まれる液体物質が流れ続けることを保証するために、上壁366及び/又は遠位壁364に1つ以上の加圧通気口(図示せず)が形成されてもよい。或いは、貯蔵容器360には、ドレンオリフィス361以外の開口部が存在せず、液体物質に加えて、貯蔵容器360の容積の少なくとも20%を占める気相が含まれる。
【0128】
貯蔵容器360の上端付近では、近位壁363に丸みを帯びた部分363Aが設けられ、中央の自由空間362の断面積が貯蔵容器360の上端に向かう方向に増加するようになっている。遠位壁364は、更に、遠位壁364が貯蔵容器360の上端に向かう方向に軸Q-Qに近づくように、丸みを帯びた部分364Aを有していてもよい。
【0129】
別の実施形態では、下壁365の一部又は全部を除いて、貯蔵容器360の壁は柔軟であり、貯蔵容器360が空になると大気圧の影響で貯蔵容器360の内部容積369が減少する。このような柔軟な壁を製造する技術は既知であり、ここでは詳細には説明しない。
【0130】
更なる実施形態では、軸P-Pに垂直な貯蔵容器360の断面は必ずしも環状である必要はない。貯蔵容器360の外部形状は、凹状であり、中央の自由空間362を少なくとも部分的に囲み、且つ、後述するように加熱部材100を中央の自由空間362に収容できる限り、どのような形状でも想定できる。特に、貯蔵容器360は、「C」字型の凹状外形、又はより複雑な凹状外形を有していてもよい。
【0131】
貯蔵容器360の内部容積369は、液体物質を含浸させたポリマーフォーム(図示せず)で少なくとも部分的に充填されてもよい。或いは、内部容積369は、単に液体物質で充填されてもよい。
【0132】
図示されていない幾つかの変形例によれば、内部容積369には複数の異なる液体物質が収容される。このために、内部容積369は複数の内部サブ容積を定義するように分割され、各内部容積369には液体物質が収容され、その液体物質用のドレンオリフィス361が設けられる。図示されていない他の変形例によれば、取り外し可能なアセンブリ350は、複数の貯蔵容器360を含み、これらの貯蔵容器は同一であってもよく、それぞれに液体物質が収容され、すべてが以下で説明する芯370に接続されている。これらの変形例により、拡散する瞬間まで混合されない複数の液体物質を含む取り外し可能なアセンブリ350を提供することが可能となる。
【0133】
次に、芯370、芯支持要素380、並びに芯支持要素380と芯370及び貯蔵容器360との連携について説明する。
【0134】
芯支持要素380は、
図15Cの側面図で単独で表されている。芯支持要素380は、芯370を収容し、貯蔵容器360に組み立てられるように構成されており、これにより、芯支持要素380は、貯蔵容器360に対して芯370を所定の位置に保持する。取り外し可能なアセンブリ350を保持することにより、取り外し可能なアセンブリ350をハウジング31内に一体的に挿入することができる。
図16Aは、このように組み立てられた取り外し可能なアセンブリ350の側面図であり、
図16Bは、このように組み立てられた取り外し可能なアセンブリ350の断面図である。
【0135】
芯370は、円筒形の中央部分372と、ここでは半球状であるが、同様に球状のドームの形状であってもよい突出部分373とを含む。更に、空隙375が芯370内に延在しており、ここでは空隙375は、軸Q-Qに平行であり、従って中央の自由空間362と一直線になっている。空隙375は、図に示されているように非貫通空隙であることが好ましい。空隙375は、芯370内で突出部分373まで延在してもよく、延在していなくてもよい。或いは、空隙375は非貫通ではなく、つまり突出部分373を通って排出されてもよい。
【0136】
芯370は、軸Q-Qを中心とした回転対称性を示してもよい。
【0137】
芯支持要素380は、支持部381とアセンブリ部分386とを含む。支持部381とアセンブリ部分386は、例えばポリプロピレン(PP)などの適切なプラスチック材料を射出成形して芯支持要素380を製造することによって、一体に形成されてもよい。或いは、芯支持要素380は、鋳造品などの金属部品、又はセラミック部品であってもよい。
【0138】
支持部381は、中央貫通オリフィス382を含む(
図15Cを参照)。ここで、オリフィス382は、中央の自由空間362と一直線になっている。オリフィス382の寸法は、
図16Bに示すように、芯370の上部が通過できるように選択されている。芯370を支持部381上に保持するために、芯370はフランジ379を含み、フランジの下面は、オリフィス382の周囲の支持部381の肩部383に載っている。支持部381は、更に、フランジ379の側面と協働する肩部383の周囲の内部突起384及び/又はフランジ379の下の芯370の面取りと協働するオリフィス382と一直線上の外部突起385を含んでもよい。
【0139】
ここで、支持部381は、貯蔵容器360の下壁365と支持部381との間にフランジ379のための十分なスペースを確保するための円錐台形部分を含んでもよい。支持部381は、軸Q-Qを中心に円対称性を示してもよい。
【0140】
ここで、アセンブリ部分386は、軸Q-Qに沿って延在する円筒状の外形を有し、貯蔵容器360よりも直径が大きい。従って、アセンブリ部分386は、貯蔵容器360の下部に組み立てることができる。
【0141】
例えば、アセンブリ部分386は、貯蔵容器360の遠位壁364上の外ねじ364A(
図15A、
図15B、及び
図16B参照)に対応する内ねじ386A(
図16B参照)を含み、内ねじ386Aと外ねじ364Aとの協働により、アセンブリ部分386を貯蔵容器360にねじ込むことができる。
【0142】
貯蔵容器360は、軸Q-Qに対して垂直に遠位壁364から突出し、アセンブリ部分386の最終位置を定義する上部フランジ367を含んでもよい。更に又は代替的に、貯蔵容器360は、軸Q-Qに対して垂直に下壁365から突出し、アセンブリ部分386上の内部突起386Bと連携してアセンブリ部分386をアセンブリ部分386の最終位置に保持する下フランジ365Aを含んでもよい。
【0143】
図示の実施形態では、ドレンオリフィス361はフォイル365Bによって塞がれている。アセンブリ部分386は複数の歯388を含んでもよく、そのうちの1つだけが
図16Bに示されている。歯388はフォイル365Bを穿孔できるように構成されている。より正確には、アセンブリ部分386を貯蔵容器360にねじ込むときに、歯388がフォイル365Bを穿孔する。歯388によってフォイル365Bが穿孔されると、液体物質は歯388によって開けられた穴を通って流れ、毛細管現象によってフランジ379を湿らせ、次に芯370の残りの部分を湿らせる。支持部381とフランジ379は、前述のように液体物質が芯370以外を流れることができないような寸法でなければならないことは明らかである。支持部381とフランジ379の間にシール(図示せず)を挿入することもできる。
【0144】
歯388は、好ましくは、液体物質による芯370の均一な含浸を促進するために、一定の間隔で配置される。
【0145】
更に、歯388に加えて、又は歯388の代わりに、中空又は中実の針をアセンブリ部分386に配置して、前述のようにフォイル365Bに穴を開けることもできる。
【0146】
更に
図15Aから16Bを参照すると、貯蔵容器360は、外ねじ364Aに加えて、遠位壁364から軸Q-Qに垂直に突出する2つの外部突起364P(
図15A、
図15B、及び
図16Bを参照)を含むことが好ましい。アセンブリ部分386は、内部突起386Pを含んでもよい(
図16Bを参照)。アセンブリ部分386は、内部突起386Pが外部突起364Pと連動するまで、ねじ364A及び386Aによって貯蔵容器360に部分的にねじ込むことができる。アセンブリ部分386は、歯388又は針がまだフォイル365Bを穿孔していない中間位置にある。取り外し可能なアセンブリ350は、芯支持要素380が芯370を受け、それをねじ込むことによって貯蔵容器360上に保持され、フォイル385Bが穿孔されていない、組み立て済みの状態で輸送できる。
【0147】
その後、取り外し可能なアセンブリ350を使用する場合は、内部突起386Pが外部突起364Pを越えて押し込まれるように十分な締め付け力を加えることにより、アセンブリ部分386のねじ込みが完了する。内部突起386Pが外部突起364Pを通過するために必要な締め付け力は、アセンブリ部分386を中間位置までねじ込むために必要な締め付け力よりも大きいことは明らかである。従って、歯388又は針はフォイル365Bを穿孔し、アセンブリ部分386は
図16Bに示される最終位置に到達する。内部突起386Pが外部突起364Pを通り抜けやすくするために、内部突起386Pを担うアセンブリ部分386の上部386S(
図15C、16A、及び16Bを参照)は、大きな断面を有し、及び/又は、ある程度の弾力性があり、これは、例えば、ポリプロピレン(PP)などの適切なプラスチック材料を射出成形することによって、アセンブリ部分380を製造することによってなされる。
【0148】
或いは、アセンブリ部分386は、スナップフィット、クリップ留め、バヨネットカップリング、又はギロチン型閉鎖手段など、他の方法で貯蔵容器360に組み立てられてもよい。この場合、アセンブリ部分386を組み立てると、歯388及び/又は針によって、フォイル365Bに前述の穿孔も発生する。
【0149】
図17を参照すると、第6の変形例に係る装置2010が示されている。この図では、
図2から
図8を参照して上述したものと同一の要素には同一の参照番号が付されており、再度詳細には説明しない。中央の自由空間362が存在するため、ロッド101は中央の自由空間362を貫通して伸びることができ、取り外し可能なアセンブリ350がハウジング31内に配置されているときに、電気抵抗110が空隙375の壁と接触するようになる。電気抵抗110に電気を供給するか供給しないかによって、国際公開第2019/243734号及び国際公開第2020/254733号に記載されている物理的原理に従って、芯370を通る液体物質の流れを制御することができる。
【0150】
空隙375には、ロッド101及び電気抵抗110を空隙375に挿入しやすくするために、オプションで肩部375A(
図16B及び
図17を参照)を含んでいてもよい。
【0151】
装置2010の拡散モジュール30は、オプションとして、取り外し可能なアセンブリ350をハウジング31内の所定の位置に保持するための保持部分2080を含んでもよい。例えば、
図17に示すように、保持部分2080は、ここでは取り外し可能なアセンブリ350の芯支持要素380によって、取り外し可能なアセンブリ350を支持することによって、取り外し可能なアセンブリ350を保持する。この場合、保持部分2080は、芯370が通過できるようにする貫通孔2081を含む。この貫通孔2081は、ファン120によって生成された空気の流れを、芯370の外壁からなる蒸発面に沿って誘導するのに役立つかもしれない。
【0152】
装置2010の拡散モジュール30は、芯370の周囲に環状部分2090を更に備えていてもよい。環状部分2090は、
図17に示す取り外し可能なアセンブリ350の使用位置では、芯370の下で開いている。従って、芯370の外壁レベルで蒸発する物質は空気中に拡散される一方、環状部分2090は、芯370を、例えば機械的損傷(例えば、装置2010の輸送中)及び/又は外部からの望ましくない粒子との接触から保護する傾向がある。
【0153】
好ましくは、環状部分2090と保持部分2080は、
図17に示すように、一体に形成される。
【0154】
取り外し可能なアセンブリ450の別の例が、
図18の断面図に示されている。この図では、取り外し可能なアセンブリ350の要素と同じ要素には、同じ参照番号に100を加えた番号が付けられており、必要な場合を除き、再度説明されない。取り外し可能なアセンブリ450は、芯470が軸Q-Qに垂直な円筒形の環状セクションをその全長にわたって有する点で、取り外し可能なアセンブリ350と異なる。従って、芯470は、その全長にわたって、中央の自由空間462と一直線に並ぶ円筒形の空隙475を含む。芯470の一部は、貯蔵容器460の中央の自由空間462に収容される。取り外し可能なアセンブリ450がハウジング31内に配置されているときの電気抵抗110の位置が、
図18に破線で示されている。
【0155】
図18には示されていないが、芯470は、例えば、ねじ止め、スナップフィット、クリップ留め、バヨネットカップリング、又はギロチン型閉鎖手段によって、芯370を芯支持要素381上に保持するのと同様の方法で芯支持要素481上に保持されてもよく、及び/又は、中央の自由空間462内に保持することもできる。
【0156】
これまで、物質が常温で液体状態にある実施形態について説明してきたが、代わりに、物質が常温で固体状態にある実施形態もある。例えば、物質は大気圧下では30℃を超える融点、例えば30℃から40℃までの範囲の融点を持ってもよい。この場合、貯蔵容器60(又は260、360、460のそれぞれ)には、周囲温度で固体状態の物質が入っている。加熱部材100による芯70(又は270、370、470のそれぞれ)の加熱により、ドレンオリフィス61(又は261、361、461のそれぞれ)付近の物質が局所的に溶融する。この場合に液体となった物質は、上述のように芯70(又は270、370、470のそれぞれ)を通って流れることができる。
【0157】
本発明は特定の実施形態に関連して説明されているが、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の範囲内にある限り、説明されている手段の技術的均等物及び組み合わせのすべてを包含することは明らかである。
【0158】
「含む」("include")又は「備える」("comprise")という動詞及びその活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0159】
請求項において、括弧内の参照記号は、請求項の制限として解釈されるべきではない。
【国際調査報告】