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特表2024-539322一体型バッテリ車体構造及び電気自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】一体型バッテリ車体構造及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20241018BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/20 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525273
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 CN2021127686
(87)【国際公開番号】W WO2023070588
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジエン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジーンジーン
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA01
3D203AA31
3D203BB12
3D203BB20
3D203BB22
3D203CA25
3D203DB05
3D235AA01
3D235BB05
3D235BB17
3D235BB25
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF09
3D235HH42
(57)【要約】
一体型バッテリ車体構造及び電気自動車を提供する。一体型バッテリ車体構造は車体フレーム及びバッテリパックを含む。車体フレームは、平行に配置された2つのロッカーと、2つのロッカーの間に位置する収容空間とを有する。バッテリパックは、エンクロージャーと、エンクロージャー内に配置されたバッテリセルコンポーネント及びクロスビームを含む。クロスビームはエンクロージャーに接続されている。電気自動車全体が組み立てた後、エンクロージャーはロッカーに設置され、エンクロージャーの頂部は車体フロアとして機能することができるため、車体構造が簡素化され、電気自動車が軽量化される。加えて、車両全体のサイズを変更することなく、収容空間に位置するバッテリパックにより、バッテリパックのボリュームを増やすことができるため、バッテリパックの容量を増やし、全体的な航続性能を向上できる。力が加えられることによりロッカーが変形した場合、クロスビームがロッカに押し付けられて支持し、ロッカが過度な変形によりバッテリセルコンポーネントを押しつぶすのを防止することにより、一体型バッテリ車体構造のねじり剛性及び耐力長手方向荷重を向上させ、電気自動車の安全性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム及びバッテリパックを含む一体型バッテリ車体構造であって、
前記車体フレームは収容空間及び2つのロッカーを有し、該2つのロッカーは平行に配置され、該収容空間は該2つのロッカーの間に位置し、
前記バッテリパックは前記収容空間に配置され、前記バッテリパックはエンクロージャー、バッテリセルコンポーネント及びクロスビームを含み、
前記バッテリセルコンポーネント及び前記クロスビームは前記エンクロージャー内に配置され、前記クロスビームは前記エンクロージャーに固定接続され、前記エンクロージャーは前記2つのロッカー上に設置され、前記クロスビームは前記2つのロッカーに対して垂直である、一体型バッテリ車体構造。
【請求項2】
前記クロスビームは、前記クロスビームの長さ方向に沿って前記ロッカーに少なくとも部分的に突出している、請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項3】
前記エンクロージャーの、ロッカーに面する側面に凸状エッジが配置され、該凸状エッジは前記ロッカーにねじ接続されている、請求項1又は2に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項4】
前記バッテリパックは複数のクロスビームを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項5】
前記クロスビームはアルミニウムプロファイルである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項6】
前記エンクロージャーの、車両内装部を支持するために用いられる面は平面であるか又は該面は前記クロスビームから離れる方向に突出する突出部を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項7】
前記バッテリパックと前記ロッカーとの間に組み立て隙間があり、該組み立て隙間にはシール材又はシールストリップが充填されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項8】
前記組み立て隙間の幅dは5mm以上である、請求項7に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項9】
補強材をさらに含み、該補強材は前記ロッカーと前記バッテリパックのエンクロージャーとを接続する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の一体型バッテリ車体構造を含む電気自動車。
【請求項11】
車両内装部をさらに含み、該車両内装部は前記バッテリパックのクロスビーム上に設置されている、請求項10に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は新エネルギー車の技術の分野に関し、具体的には一体型バッテリ車体構造及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー車として、電気自動車は省エネルギー及び環境性を誇る。電気自動車は電源としてバッテリパックを用いる。現在、バッテリパックは主にパッケージ構造を有する。具体的には、バッテリエンクロージャー内にセルモジュールが組み付けれている。したがって、電気自動車全体が組み立てられる際に、パッケージ構造のバッテリパックを車体フロアに直接組み付けることができる。
【0003】
電気自動車の設計の間、大容量バッテリパックの実際の厚さ及び最低地上高が考慮される。通常、車体フロアには比較的大きな最低地上高を設定する必要がある。しかしながら、電気自動車の全高は限られている。したがって、車体フロアの最低地上高を大きくすると、電気自動車内の乗員空間が狭くなり、乗員の乗り心地及び車両の安全性が損なわれる。したがって、現在、一部の電気自動車ではバッテリパックの厚さを増やすことが困難であり、バッテリパックの容量が比較的小さく、車両の航続性能を向上させることが困難である。
【発明の概要】
【0004】
本願は、電気自動車の車体構造を簡素化し、バッテリパックの厚さを増やすことができ、それによりバッテリパックの容量を増やし、電気自動車の全体的な航続性能を向上させるために、一体型バッテリ車体構造及び電気自動車を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、本願は、一体型バッテリ車体構造を提供する。一体型バッテリ車体構造は車体フレーム及びバッテリパックを含む。車体フレームは収容空間及び2つのロッカーを有する。2つのロッカーは平行に配置され、収容空間は該2つのロッカーの間に位置し得る。バッテリパックはエンクロージャー、バッテリセルコンポーネント及びクロスビームを具体的に含む。バッテリセルコンポーネント及びクロスビームはエンクロージャー内に配置される。クロスビームはエンクロージャーに固定接続され、2つのロッカーに対して垂直である。
【0006】
一体型バッテリ車体構造では、バッテリパックは収容空間に配置されている。具体的には、エンクロージャーは2つのロッカー上に設置されている。車体フレームは、2つのロッカーの間に位置する収容空間を有する。電気自動車全体が組み立てられた後、バッテリパックも2つのロッカーの間に位置する。したがって、具体的には、バッテリパックが設置される際、バッテリパックのエンクロージャーの頂部は車体フロアとして機能し、電気自動車の内装部を支えるのに用いられ得る。このように、車体フロア及び補強されたクロスビームが省略され得るため、電気自動車の車体構造が簡素化され、電気自動車の軽量化が図られる。
【0007】
一体型バッテリ車体構造を用いることにより、電気自動車の車両全体のサイズを変更することなくバッテリパックを収容空間に配置することで、バッテリパックの厚さを大きくすることができる。このように、バッテリパックのエンクロージャーの頂部は補強されたクロスビームの頂部の位置に配置され、バッテリパックのボリュームを増やし、それによりバッテリパックの容量を増やし、電気自動車の全体的な航続性能が向上する。一方で、電気自動車の車両全体のサイズ及びバッテリパックのサイズが変わらないことを前提として、バッテリパックが収容空間に配置されると、バッテリパックに比較的大きな最低地上高を設定できる。このように、電気自動車はバッテリパックをぶつけることなく凹凸路面又は比較的大きな物体が置かれた路面を走行できる。他方で、車体フロア及び補強されたクロスビームが省略され得るため、電気自動車内部の乗客空間が拡大され、乗員の乗り心地が向上する。
【0008】
加えて、電気自動車の側面が特定の衝撃を受けると、ロッカーは外力によりバッテリパックの方に変形し、ロッカーがクロスビームに押し付けられる。クロスビームをロッカーに押し付けて支持させることで、ロッカーによってバッテリパックに伝達される作用力に対抗できる。これにより、ロッカーが過度の変形によりバッテリパック内のバッテリセルコンポーネントを押しつぶすのを防止できるため、一体型バッテリ車体構造のねじり剛性及び耐力長手荷重が向上し、電気自動車の安全性が向上する。
【0009】
ロッカーが変形した後も、クロスビームがロッカーを支持することを確実にするために、クロスビームは、クロスビームの長さ方向に沿って少なくとも部分的にロッカーに突出する。したがって、外力が加えられることによりロッカーが変形すると、クロスビームの端面がロッカーに押し付けられ、ロッカーテールの作用力がクロスビームに伝達され得る。これにより、衝突によるバッテリパックのエンクロージャーの変形又は損傷が防止されるため、電気自動車の安全性が向上する。
【0010】
具体的には、バッテリパックのエンクロージャーをロッカーに設置する方法としては、ネジ接続、クランプ、リベット止め等があり得る。例えば、具体的な技術的解決策では、エンクロージャーの、ロッカーに対する側面に凸状エッジが配置され、凸状エッジには取付孔が設けられている。ロッカーにはネジ孔も設けられ得る。ボルトは凸状エッジの取付孔を貫通し、ロッカーのネジ孔に貫通することにより、凸状エッジとロッカーとを組み付ける。このような設置方法を用いることにより、バッテリパックを直接分解できる。これは、将来必要に応じてバッテリパックを修理及び交換するのに便利である。
【0011】
バッテリパックは代替的に複数のクロスビームを含み得る。これらのクロスビームの特定の数及び配置は電気自動車のサイズ、バッテリセルコンポーネントの配置、電気自動車の耐衝突性能要求等に基づいて設定され得る。例えば、特定の技術的解決策では、バッテリパックは4つのクロスビームを含み得る。隣接するクロスビームの間隔は等間隔であっても不等間隔であってもよい。等間隔で配置される場合、これらのクロスビームは荷重を均等に受けることにより、一体型バッテリ車体構造のねじり剛性を高める。
【0012】
さらに、クロスビームの具体的な材料も限定されない。例えば、クロスビームの質量を低減し、クロスビームが衝突に耐えるのに十分な剛性を有することを確かなものにするために、クロスビームはアルミニウムプロファイル製であってもよい。
【0013】
エンクロージャーの具体的な形状は限定されない。例えば、通常の構造又は小型のバッテリパックの場合、エンクロージャーの、車両の内装部を支持するために用いられる面は平面構造であり得る。あるいは、大型又は特定の構造のバッテリパックの場合、該面は突起部を有し得る。突起部は、バッテリセルコンポーネントの一部を収容するためにクロスビームから離れる方向に突出する。
【0014】
加えて、バッテリパックとロッカーとの間に組み立て隙間がさらに存在し得る。組み立て隙間から水分、塵埃等が電気自動車に侵入するのを防止するために、組み立て隙間にシール材又はシールストリップが充填され得る。
【0015】
具体的な技術的解決策では、組み立て隙間の幅dは、d≧5mmを満たし得る。ロッカーが僅かに変形した場合、クロスビームは可能な限り早くロッカーを押圧し、ロッカーに加えられた衝突力をクロスビームに伝達することもできる。加えて、ロッカーとバッテリパックとの間の組み立て隙間は通常25mm~40mmである。しかしながら、本願では、組み立て隙間を最小5mmまで小さくすることができるため、バッテリパックの幅を大きくできる。組み立て隙間の幅dが小さいということは、バッテリパックに大きな幅を設定して、バッテリパックのボリュームを大きくすることができるため、バッテリパックの容量を大きくし、電気自動車の全体的な航続性能が向上する。
【0016】
一体型バッテリ車体構造は補強材をさらに含み得る。補強材はロッカーとバッテリパックのエンクロージャーとを接続する。これにより、ロッカーとバッテリパックとの間の接続の信頼性を高めることができ、さらにロッカーが衝突したときに外部衝突力の一部を補強材に伝達できるため、ロッカーの変形の程度を小さくでき、一体型バッテリ車体構造のねじり剛性を向上できる。
【0017】
第2の態様によれば、本願は電気自動車を提供する。電気自動車は第1の態様に係る一体型バッテリ車体構造を含む。車体フレームは2つのロッカーの間に位置する収容空間を有する。電気自動車全体が組み立てられた後、バッテリパックも2つのロッカーの間に位置する。したがって、具体的には、バッテリパックが設置される際、バッテリパックのエンクロージャーの頂部は車体フロアとして機能し、電気自動車の内装部を支えるのに用いられ得る。このように、一部の車種に存在する車体フロア及び補強されたクロスビームが省略され得るため、電気自動車の車体構造が簡素化され、電気自動車の軽量化が図られる。
【0018】
電気自動車の車両全体のサイズを変更することなくバッテリパックを収容空間に配置することで、バッテリパックの厚さを大きくすることができる。このように、バッテリパックのエンクロージャーの頂部は補強されたクロスビームの頂部の位置に配置され、バッテリパックのボリュームを増やし、それによりバッテリパックの容量を増やし、電気自動車の全体的な航続性能が向上する。一方で、電気自動車の車両全体のサイズ及びバッテリパックのサイズが変わらないことを前提として、バッテリパックが収容空間に配置されると、バッテリパックに比較的大きな最低地上高を設定できる。このように、電気自動車はバッテリパックをぶつけることなく凹凸路面又は比較的大きな物体が置かれた路面を走行できる。他方で、車体フロア及び補強されたクロスビームが省略され得るため、電気自動車内部の乗客空間が拡大され、乗員の乗り心地が向上する。
【0019】
加えて、電気自動車の側面が特定の衝撃を受けると、ロッカーは外力によりバッテリパックの方に変形し、ロッカーがクロスビームに押し付けられる。クロスビームをロッカーに押し付けて支持させることで、ロッカーによってバッテリパックに伝達される作用力に対抗できる。これにより、ロッカーが過度の変形によりバッテリパック内のバッテリセルコンポーネントを押しつぶすのを防止できるため、一体型バッテリ車体構造のねじり剛性及び耐力長手荷重が向上し、電気自動車の安全性が向上する。
【0020】
電気自動車は車両内装部をさらに含み得る。車両内装部はバッテリパックのクロスビームに設置される。バッテリパックのクロスビームは側面衝突に耐えることができ、車両内装部も支持することができるため、電気自動車の構造を簡素化し、電気自動車の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本願の実施形態に係る電気自動車の構造の概略図である。
図2図2は、本願の実施形態に係る一体型バッテリ車体構造の概略図である。
図3図3は、本願の実施形態に係る車体フレームの構造の概略図である。
図4図4は、本願の実施形態に係るバッテリパックの構造の概略図である。
図5図5は、図2における一体型バッテリ車体構造のA-A方向に沿った断面図である。
図6図6は、本願の実施形態に係るバッテリパックの別の構造の概略図である。
図7図7は、本願の実施形態に係るバッテリパックの別の構造の概略図である。
図8図8は、本願の実施形態に係るバッテリパックの別の構造の概略図である。
図9図9は、本願の実施形態に係る電気自動車の別の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[符号の説明]
10:電気自動車
11:一体型バッテリ車体構造;
12:車両内装部品
111:車体フレーム
112:バッテリパック
113収容空間
14:ロッカー
115:エンクロージャー
116:補強材
117:クロスビーム
118:凸状エッジ
【0023】
本願の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、添付の図面を参照しながら本願を以下でさらに詳細に説明する。
【0024】
電気自動車の車体フロア構造は長手方向に延びる2つのロッカーと、2つのロッカーの間に配置されたフロア及び補強クロスビームとを含む。補強クロスビームはロッカーに対して垂直であり、ロッカーに固定接続され、車体フロア構造のねじり剛性及び耐荷重を改善するために用いられる。
【0025】
電気自動車の全体的な組み立ての間、バッテリパックは車体フロア構造のフロアの底部に設置される。電気自動車の走行の間のバッテリパックの安全性を確保するために、バッテリパックが地面又は地面上の物体に衝突しないようバッテリパックのために最低地上高を比較的大きく設定する必要がある。したがって、車体フロアも比較的大きい最低地上高を有するように設計する必要がある。加えて、バッテリパックの容量がより大きいことはバッテリパックのボリュームがより大きくなることを意味する。電気自動車の耐久走行距離を増やす必要がある場合、バッテリパックの厚さ、幅及び長さのうちの少なくとも1つを増やすことにより、バッテリパックのサイズも大きくする必要がある。
【0026】
しかしながら、乗員の快適性を確保するために、電気自動車の内部空間を可能な限り大きくする必要がある。したがって、全体的な車高が変わらないことを前提とすると、車体フロア構造の厚さ並びにバッテリパックのサイズ及び最低地上高を小さくする必要があることは、バッテリパックの容量を大きくすることと矛盾する。
【0027】
電気自動車の実際の設計では、バッテリパックのボリュームは限られている。その結果、バッテリパックの容量を効果的に増やすことができない。これは、電気自動車の耐久走行距離を向上させる上で好ましくない。加えて、車体フロア構造は車体及び電気自動車の内装部を支持するように構成され、強化クロスビームは側面衝突に耐えるように構成されている。したがたって、車体フロア構造は特定の強度を有するように設定する必要があり、サイズを大幅に小さくすることはできない。これも、バッテリパックのボリュームを大きくすることを制限する。
【0028】
したがって、本願は、電気自動車の車体構造を簡素化し、バッテリパックの厚さを増やすことができ、それによりバッテリパックの容量を増やし、電気自動車の全体的な航続性能を向上させるために、一体型バッテリ車体構造及び電気自動車を提供する。
【0029】
図1は、本願の実施形態に係る電気自動車の構造を示す概略図である。図1に示すように、電気自動車10は、一体型バッテリ車体構造11、シャーシ(図示せず)、電気駆動制御システム(図示せず)、アシスタントシステム(図示せず)等を含む。一体型バッテリ車体構造11は車体フレーム及びバッテリパックを含む。バッテリパックは車体フレームに設置される。本願のこの実施形態では、電気自動車10の具体的な種類は限定されない。例えば、電気自動車10は、スポーツ用多目的車(Sport Utility Vehicle、SUV)、多目的車(multi-purpose vehicle、MPV)、トラック、バス、乗用車又は清掃車等の車両であり得る。なお、本願のこの実施形態では、電気自動車10は、全ての動作条件又は一部の動作条件でバッテリを電源として用いる車両である。例えば、電気自動車10は、ハイブリッド自動車(hybrid vehicle)、純電気自動車、水素燃料自動車、プラグインハイブリッド電気自動車又は長距離ハイブリッド電気自動車であり得る。本願ではこれに限定されない。
【0030】
添付の図面を参照しながら、本願の一体型バッテリ車体構造11について以下で詳細に説明する。
【0031】
図2は、本願の実施形態に係る一体型バッテリ車体構造の構造の概略図である。一体型バッテリ車体構造11は車体フレーム111と、車体フレーム111に設置されるバッテリパック112とを含む。図3は、本願のこの実施形態に係る車体フレームの構造の概略図である。車体フレーム111は収容空間113を有する。車体フレーム111は2つのロッカー114を含む。2つのロッカー114は長手方向Yに沿って延び、平行に配置されている。収容空間113は2つのロッカー114の間に位置する。図4は、本願のこの実施形態に係るバッテリパックの構造の概略図である。バッテリパック112は、エンクロージャー115、バッテリセルコンポーネント(図示せず)及びクロスビーム117(点線で示す)を含む。バッテリセルコンポーネント及びクロスビーム117はエンクロージャー115内に配置されている。クロスビーム117はエンクロージャー115に固定接続されている。
【0032】
なお、本願のこの実施形態では、長手方向Yは、電気自動車10の資料の長さに沿った方向、例えば、車両の先頭から車両末尾の方向又は車両の末尾から車両の先頭の方向である。横方向Xは電気自動車10の車幅方向、例えば、運転席から助手席方向の方向又は助手席から運転席方向である。高さ方向Zは電気自動車10の車高に沿った方向、例えば、車両の頂部から車両の底部の方向又は車両の底部から車両の頂部の方向である。
【0033】
図3に示すように、本願では、収容空間113は2つのロッカー114の間の空間である。具体的には、例えば、収容空間113は、図3の2つのロッカー114の間の中空部であり得る。あるいは、収容空間113は凹部構造の中空部であり得る。例えば、具体的な実施形態では、一体型バッテリ車体構造11は2つのロッカー114の間に位置する薄板をさらに含み得る。この薄板は、2つのロッカー114に接続されて凹部構造を形成する。該薄板と2つのロッカー114とによって取り囲まれた中空部が収容空間113である。凹部構造の開口は上向きであり得るか又は下向きであり得る。
【0034】
電気自動車10が全体として組み立てられた後、バッテリパック112のエンクロージャー115はロッカー114に設置されるため、バッテリパック112も2つのロッカー114の間に位置する。エンクロージャー115の上部は車体フロアとして機能し、電気自動車10の内装部を支えるために用いられ得る。例えば、電気自動車10の車両シート部はエンクロージャー115の上部に設置され得る。加えて、バッテリパック112のクロスビーム117はロッカー114に対して垂直であり得る。すなわち、クロスビーム117は電気自動車10の横方向Xに沿って延びる。電気自動車10が側面衝突を受けると、ロッカー114が外力によりバッテリパック112に面する方向に変形するため、ロッカー114はクロスビーム117に対して押圧される。このように、クロスビーム117はロッカー114の継続的な変形に抗し、ロッカー114がバッテリパック112のバッテリセルコンポーネントを押しつぶすことを防止することにより、一体型バッテリ車体構造11のねじり剛性及び耐長荷重をさらに改善する。
【0035】
したがって、一体型バッテリ車体構造11は、電気自動車10の車体フロア構造として機能し得る。バッテリパック112のエンクロージャー115の頂部が車体フロア構造とて用いられ、車体フロア構造のねじり剛性を高めるためにバッテリパック112のクロスビーム117は横方向補強構造として用いられる。一部の車種では、車体フレームは補強されたクロスビーム及びフロアを有し、バッテリパックはフロアに設置されている。本願では、補強されたクロスビーム及びフロアを配置する必要がないため、電気自動車10の車体構造が簡素化され、電気自動車10の軽量化が図られる。
【0036】
加えて、補強されたクロスビームの厚さは一般的に30mm~40mmであり、40mmを超える場合もある。したがって、本願では、バッテリパック112の厚さを大きくすることにより、車体フロア012及び補強されたクロスビーム013の合計の厚さを大きくすることができる。すなわち、バッテリパック112の最低地上高が変わらない場合、バッテリパック112のエンクロージャー115の頂部は補強されたクロスビームの頂部の位置に配置され得る。加えて、バッテリパック112の厚さが大きくなるにつれて、高さ方向Zに沿ったクロスビーム117の厚さも増加し得る。
【0037】
電気自動車10の全体的な車両サイズを変えることなく、バッテリパック112を収容空間113に配置することにより、バッテリパック112の厚さを大きくし、バッテリパック112のボリュームを大きくすることができるため、バッテリパック112の容量を増やし、電気自動車10の全体的な走行性能を向上させることができる。加えて、一体型バッテリ車体構造11により、異なるサイズの電気自動車は同じサイズのバッテリパックを用いることができる。例えば、セダンカーはSUVのバッテリパックを用いり得る。このように、異なる車種で同じサイズのバッテリパックを用いることができる。これにより、異なる車種へのバッテリパックの汎用性を向上でき、電気自動車の製造コスト及び製造時間を削減できる。
【0038】
一方で、電気自動車10の車両全体のサイズ及びバッテリパック112のサイズが変わらないことを前提として、バッテリパック112に対して比較的大きな最低地上高を設定できる。このように、電気自動車10は、バッテリパック112をぶつけることなく、凹凸のある路面又は比較的大きな物体が置かれた路面を走行できる。他方、一部の車種に存在する車体フロア及び補強されたクロスビームを省略することにより、電気自動車10の車内空間を拡大し、乗員の乗り心地を向上できる。
【0039】
なお、本願のこの実施形態では、説明を容易にするために、上側、下側、頂部及び底部等の局所性の名詞を導入する。これらの局所性の名詞は、図示された物体の位置及び向きを具体的に限定するのではなく、図示された物体の位置をより簡単に説明し、読者が特定するのを助けるためのものにすぎない。例えば、バッテリパック112の上面は、バッテリパック112の、電気自動車10が全体として組み立てられた後の地面から離れた側にある面であり、例えば、図2及び図4に示す上面Sである。バッテリパック112の下面は、バッテリパック112の、電気自動車10が全体として組み立てられた後の地面から近い側にある面であり、例えば、図4に示す下面Sである。ロッカー114の上面は、ロッカー114の、電気自動車10全体の組み立て後に地面から離れた方の側にある面であり、例えば図2及び図3に示す上面SU’である。ロッカー114の下面は、ロッカー114の、電気自動車10全体の組み立て後に地面から近い方の側にある面SL’である。別の例として、エンクロージャー115の頂部は、エンクロージャー115の、電気自動車10全体の組み立て後に地面に遠い方の部分である。エンクロージャー115の底部は、エンクロージャー115の、電気自動車10全体の組み立て後に地面に近い方の部分である。
【0040】
バッテリパック112とロッカー114との間の具体的な設置方法は限定されない。例えば、図4に示すように、バッテリパック112のエンクロージャー115の、ロッカー114に面する側面に凸状エッジ118が設けられ得る。凸状エッジ118はロッカー114に着脱自在に接続され得る。例えば、凸状エッジ118はボルトを用いることによりロッカー114に接合され得るか又は凸状エッジ118はロッカー114にクランプ又はリベット留めされ得る。具体的な実施形態では、ロッカー114の下面及び凸状エッジ118の両方に取付孔が設けられる。ボルトは凸状エッジ118の取付孔を貫通してロッカー114のねじ孔を貫通し、凸状エッジ118とロッカー114とを固定接続する。
【0041】
図5は、図2の一体型バッテリ車体構造のA-A方向に沿った断面図である。バッテリパック112とロッカー114との間に組み立て隙間が存在し得る。この隙間はロッカー114が変形していない場合にバッテリパック112がロッカー114に衝突しないようにするだけでなく、ロッカー114が変形した場合にバッテリパック112のクロスビーム117をロッカー114に押し付けて支持することができるようにする。電気自動車10全体が組み立てられた後、バッテリパック112のエンクロージャー115の頂部は車体フロアとして機能する。したがって、エンクロージャー115の上面は電気自動車10の内部空間に面する。組み立て隙間から水分、塵埃等が電気自動車10に侵入するのを防止するために、組み立て隙間にシール材又はシールストリップが設けられ得る。具体的には、バッテリパック112の側面とロッカー114の側面との間にシール材又はシールストリップが配置され得る。あるいは、凸状エッジ118の上面とロッカー114の下面との間にシール材又はシールストリップが配置され得る。
【0042】
なお、本願の実施形態では、押圧は直接接触であり得るか又は間接接触であり得る。例えば、上記の実施形態では、クロスビーム117がロッカー114に押し付けられているということは、クロスビーム117がエンクロージャー115に直接接触し、エンクロージャー115がロッカー114に直接接触していることを意味する。
【0043】
組み立て隙間の具体的な大きさは限定されない。例えば、組み立て隙間の幅dは、d≧5mmを満たし得る。具体的には、バッテリパック112の側面とロッカー114との間の最小間隔は5mmである。ロッカー114が変形した場合、クロスビーム117はロッカー114を可能な限り早く押圧し、ロッカー114に加えられた衝突力をクロスビーム117に伝達することにより、ロッカー114の変形の程度を低減できる。加えて、組み立て隙間の幅dを小さくすることにより、バッテリパック112の幅を大きくすることができるため、バッテリパック112のボリュームを大きくすることができ、それにより、バッテリパック112の容量を大きくし、電気自動車10の全体的な走行性能を向上できる。本願の一部の他の実施形態では、組み立て精度によって許容される場合、組み立て隙間の幅dは5mmよりも小さくして、バッテリパック112の幅をさらに大きくしてもよい。
【0044】
バッテリパック112のエンクロージャー115の形状は、バッテリセルコンポーネントの構造設計によって変化し得る。例えば、大きなサイズ又は特定の構造の一部のバッテリパック112の場合、エンクロージャー115の頂部は図4に示すように突出部であり得る。この突出部は、バッテリセルコンポーネントの一部を収容するためにクロスビーム117から離れる方向に突出する。あるいは、図6に示すように、通常の構造又は小型のバッテリパック112の場合、エンクロージャー115の頂部は平面構造であり得る。
【0045】
図7は、一体型バッテリ車体構造の他の構成の概略図である。ロッカー114とバッテリパック112との間の接続の信頼性を高めるために、一体型バッテリ車体構造11は補強材116をさらに含み得る。補強材116はロッカー114とバッテリパック112のエンクロージャー115とを接続する。これにより、ロッカー114とバッテリパック112との間の接続の信頼性を高めることができるとともに、ロッカー114の衝突時に外部からの衝突力の一部を補強材116に伝達することで、ロッカー114の変形の程度を低減し、一体型バッテリ車体構造11のねじり剛性を向上させることができる。
【0046】
補強材116の具体的な数は特に限定されず、例えば、クロスビーム117の数と同じであっても、異なっていてもよい。あるいは、ロッカー114毎に、クロスビーム117と同じ数の補強材116をロッカー114とエンクロージャー115との間に配置してもよい。
【0047】
加えて、補強材116を配置するための具体的な位置も限定されない。例えば、特定の実施形態では、補強材116はロッカー114の側面及びエンクロージャー115の側面を接続し得る。図7に示すように、別の特定の実施形態では、補強材116はロッカー114の上面とエンクロージャー115の上面とを接続し得る。補強材116はZ字状であり得る。図8は一体型バッテリ車体構造の他の構造の概略図である。図8に示すように、補強材116は、代替的にロッカー114の側面とエンクロージャー115の上面とを接続し得る。補強材116はボルトを用いることによりエンクロージャー115に固定される。
【0048】
補強材116は、帯、板又は梁の形状であり得る。これは、本願では具体的に限定されない。
【0049】
バッテリパック112は1つ以上のクロスビーム117を含み得る。例えば、3つ、4つ、6つ又は7つのクロスビーム117があってもよい。特定の数は電気自動車10のサイズ、バッテリセルコンポーネントの配置、電気自動車10の耐衝突性能要求等に基づいて設定され得る。隣接するクロスビーム117の間隔は限定されず、等しくても等しくなくてもよい。等間隔で配置された場合、これらのクロスビーム117は荷重を均等に受けることにとり、一体型バッテリ車体構造11のねじり剛性を高めることができる。
【0050】
クロスビーム117はアルミプロファイル製であってもよい。これにより、クロスビーム117の質量を低減できるとともにクロスビーム117の高い剛性及び強度も保証されるため、クロスビーム117は良好な衝突防止効果を有する。これにより、ロッカー114の変形によりバッテリパック112が潰れる現象が緩和され、電気自動車10の安全性が改善される。同様に、車体フレーム111の剛性及び強度を高め、車体フレーム111の質量を低減するために、車体フレーム111をアルミプロファイル製であってもよい。
【0051】
クロスビーム117とエンクロージャー115との具体的な固定接続位置及び方法は限定されない。例えば、クロスビーム117の端部は、例えば、ネジ接続、接着、溶接又は他の方法によりエンクロージャー115に固定接続され得る。あるいは、クロスビーム117の上面は、例えば、ネジ接続、接着、溶接又は他の方法によりエンクロージャー115の頂部の内面に固定接続され得る。
【0052】
図5を再度参照されたい。力が加えられることによりロッカー114が変形した場合に、クロスビーム117がロッカー114を押圧し支持することを確実にするために、クロスビーム117は、クロスビーム117の長さ方向(すなわち横方向X)に沿ってロッカー114に少なくとも部分的に突出させることができる。すなわち、クロスビーム117が横方向Xに沿って延びている場合、クロスビーム117の端面がロッカー114に少なくとも部分的に接触できる。
【0053】
具体的には、特定の実施形態では、電気自動車10の高さ方向Zに沿って、クロスビーム117の上面はロッカー114の上面と下面との間に位置し、クロスビーム117の下面はロッカー114の上面と下面との間に位置し得る。この実施形態では、ロッカー114が変形した場合、クロスビーム117の端面はロッカー114に完全に押し付けることができる。これにより、クロスビーム117とロッカー114との接触面積が増加するため、クロスビーム117のスラスト面の面積が増加する。ロッカー114がクロスビーム117に特定量の作用力を伝達すると、この解決策はクロスビーム117に小さな圧力強度を達成できるため、一体型バッテリ車体構造11の剛性が向上する。
【0054】
別の具体的な実施形態では、クロスビーム117の上面はロッカー114の上面と下面との間に位置し、クロスビーム117の下面はロッカー114の下面の、ロッカー114の上面から離れた側に位置する。つまり、クロスビーム117の下面はロッカー114の下面の下に位置し得る。ロッカー114が変形した場合、クロスビーム117の端面がロッカー114に部分的に押し付けられ、ロッカー114から伝達される作用力に抵抗し得る。この実施形態では、クロスビーム117の下面はロッカー114の下面の下に位置し得る。このように、バッテリパック112に比較的大きな厚さを設定っしてバッテリパック112のボリュームを大きくすることにより、バッテリパック112の容量を増やし、電気自動車10の全体的な航続性能を向上できる。
【0055】
具体的な実施形態では、バッテリパック112のエンクロージャー115の上面はロッカー114の上面と同じ高さにあり、エンクロージャー115の上面とロッカー114の上面との間にシール材又はシールストリップが配置され得る。この実施形態では、クロスビーム117の上面はエンクロージャー115の頂部に固定接続されている。クロスビーム117の下面はロッカー114の下面と同じ高さにあり得るか又はクロスビーム117の下面はロッカー114の下面の下に位置し、エンクロージャー115の底部に固定接続され得る。これは、一方で、クロスビーム117の厚さを大きくしてクロスビーム117の剛性を向上させることができ、他方で、収容空間113のスペースを最大限に利用してバッテリパック112のボリュームを大きくすることができる。
【0056】
図9は、本願のこの実施形態に係る電気自動車の別の構造の概略図である。図9に示すように、電気自動車10は車両内装部12を含み得る。車両内装部12は一体型バッテリ車体構造11上に設置される。
【0057】
具体的には、車両内装部12の設置方法は特に限定されず、例えば、ねじ接続、クランプ、ボンディング、リベット止め等であり得る。例えば、具体的な実施形態では、車両内装部12はボルトを用いることによりバッテリパック112のエンクロージャー115に設置される。ボルトはエンクロージャー115を貫通してクロスビーム117に固定され得るため、クロスビーム117及びエンクロージャー115は共に車両内装部12を支える。加えて、車両内装部品12はエンクロージャー115を貫通してクロスビーム117に設置され得るため、クロスビーム117は車両内装部品12を支持する。あるいは、車両内装部品12はエンクロージャー115に直接固定され得る。
【0058】
車両内装部品12は、車両シート部、補助ダッシュボードシステム、ガードボード等であり得る。車両シート部を例として用いて、車両シート部は車両シート本体及びスライドブラケットを含み得る。スライドブラケットはバッテリパックのクロスビーム117に固定される。車両シート本体はスライドブラケットに接続され、スライドブラケットに沿ってスライドできる。この種の車両シート部を用いることにより、乗員は必要に応じて車両シート本体の位置を調整し、快適性を向上できる。
【0059】
上記の実施形態で用いられる用語は特定の実施形態を説明することを意図したものにすぎず、本願を限定することを意図していない。本願の明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる、「1つの」、「a」、「the」、「上記の」、「これ」及び「その1つ」といった単数表現は、その文脈において反対のことが明確に示されない限り「1つ以上」等の表現を含むことも意図する。
【0060】
本明細書に記載の「一実施形態」、「一部の実施形態」への言及は、本願の1つ以上の実施形態が、実施形態を参照して説明した特定の特徴、構造又は特性を含むことを意味する。したがって、本明細書の異なる箇所に現れる「一実施形態で」、「別の実施形態で」、「一部の実施形態で」、「他の実施形態で」及び「一部の他の実施形態で」等の記載は必ずしも同じ実施形態への言及を意味しておらず、特に強調しない限り、それらは「全てではないが1つ以上の実施形態」を意味する。「含む」、「備える」、「有する」及びそれらの変形等の用語の全ては、特に強調しない限り、「限定されないが含む」を意味する。
【0061】
上記の説明は本願の特定の実施にすぎず、本願の保護範囲を限定することを意図していない。本願に開示された技術的範囲内で当業者が容易に理解できるいかなる変形又は置換も本願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム及びバッテリパックを含む一体型バッテリ車体構造であって、
前記車体フレームは収容空間及び2つのロッカーを有し、該2つのロッカーは平行に配置され、該収容空間は該2つのロッカーの間に位置し、
前記バッテリパックは前記収容空間に配置され、前記バッテリパックはエンクロージャー、バッテリセルコンポーネント及びクロスビームを含み、
前記バッテリセルコンポーネント及び前記クロスビームは前記エンクロージャー内に配置され、前記クロスビームは前記エンクロージャーに固定接続され、前記エンクロージャーは前記2つのロッカー上に設置され、前記クロスビームは前記2つのロッカーに対して垂直である、一体型バッテリ車体構造。
【請求項2】
前記クロスビームは、前記クロスビームの長さ方向に沿って前記ロッカーに少なくとも部分的に突出している、請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項3】
前記エンクロージャーの、ロッカーに面する側面に凸状エッジが配置され、該凸状エッジは前記ロッカーにねじ接続されている、請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項4】
前記バッテリパックは複数のクロスビームを含む、請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項5】
前記クロスビームはアルミニウムプロファイルである、請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項6】
前記エンクロージャーの、車両内装部を支持するために用いられる面は平面であるか又は該面は前記クロスビームから離れる方向に突出する突出部を有する、請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項7】
前記バッテリパックと前記ロッカーとの間に組み立て隙間があり、該組み立て隙間にはシール材又はシールストリップが充填されている、請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項8】
前記組み立て隙間の幅dは5mm以上である、請求項7に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項9】
補強材をさらに含み、該補強材は前記ロッカーと前記バッテリパックのエンクロージャーとを接続する、請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造。
【請求項10】
請求項1に記載の一体型バッテリ車体構造を含む電気自動車。
【請求項11】
車両内装部をさらに含み、該車両内装部は前記バッテリパックのクロスビーム上に設置
【国際調査報告】