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特表2024-539333電力変換器を制御するための方法、装置、記憶媒体、およびシステム
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  • 特表-電力変換器を制御するための方法、装置、記憶媒体、およびシステム 図1
  • 特表-電力変換器を制御するための方法、装置、記憶媒体、およびシステム 図2A
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  • 特表-電力変換器を制御するための方法、装置、記憶媒体、およびシステム 図3A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】電力変換器を制御するための方法、装置、記憶媒体、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241018BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241018BHJP
   G01R 31/389 20190101ALN20241018BHJP
   G01R 31/392 20190101ALN20241018BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H02J7/00 H
H02J7/02 J
H02J7/02 H
G01R31/389
G01R31/392
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525462
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022080080
(87)【国際公開番号】W WO2023073102
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111255352.8
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】21210811.2
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フアン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シアオボー
(72)【発明者】
【氏名】タッキー,アンドリュー・マーク
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
【Fターム(参考)】
2G216BA23
2G216BA56
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB01
5G503DA07
5G503EA08
5G503EA09
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法が開示される。方法は、少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ少なくとも1つの電力変換器を制御することと、少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得することと、少なくとも1つの重畳基準信号および少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーグリッドに結合された少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法であって、前記方法が、
前記パワーグリッドに外部から注入される少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、前記少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、
少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ前記少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、
少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、前記少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ前記少なくとも1つの電力変換器を制御することと、
前記少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得することと、
前記少なくとも1つの重畳基準信号および前記少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ前記少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することと
を含み、
バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)内で採用されたバッテリ管理システム(BMS:battery management system)が、前記少なくとも1つのバッテリモジュールによって生成された前記少なくとも1つの応答信号が取得されるように、前記少なくとも1つのバッテリモジュールに通信可能に結合される、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバッテリモジュールが各々、直列に接続された少なくとも2つのバッテリセルを備え、
前記少なくとも1つの応答信号が各々、前記少なくとも1つのバッテリセルのそれぞれにわたって生成された電圧信号を含み、
前記重畳基準信号に基づく前記バッテリモジュールの前記充電/放電が、充電/放電電流を制御することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのバッテリモジュールが各々、並列に接続された少なくとも2つのバッテリストリングを備え、
各バッテリストリングが少なくとも1つのバッテリセルを含み、
前記少なくとも1つの応答信号が各々、前記少なくとも1つのバッテリストリングのそれぞれから出力された電流信号を含み、
前記重畳基準信号に基づく前記バッテリモジュールの前記充電/放電が、前記少なくとも1つのバッテリストリングにわたって充電/放電電圧を制御することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのEIS基準信号の前記生成が、前記EIS基準信号をパルス幅変調することを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバッテリモジュールの数が2の整数倍であり、2つの電力変換器ごとの前記EIS基準信号が180度の位相シフトで離間される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバッテリモジュールの数が2より大きい奇数であるNであり、前記対応するEIS基準信号が360度をNで割った位相シフトで離間される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの計算されたEISのそれぞれを使用して、前記少なくとも1つのバッテリモジュールの前記それぞれの健全性状態に関する状態情報を導出することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの応答信号を前記取得することが、バッテリ管理システム(BMS:battery management system)によって実行される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電力変換器が各々、炭化ケイ素を含むパワー電子部品を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの制御基準信号が、慣性基準信号、高速周波数サポート基準信号、周波数制御補助サービス基準信号、ネットワークサポート基準信号、および/または充電/放電基準信号を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの制御基準信号に重畳された前記少なくとも1つのEIS基準信号が、前記EIS基準信号の前記注入によって引き起こされる電力変動を軽減または除去するために、位相シフトで生成される補償された電流/電圧信号を有するインターリーブ信号を生成するように調整される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電力変換器の複数の電力変換器がグループ化され、前記少なくとも1つの電力変換器の各個別の電力変換器によって引き起こされた前記高調波電流が、前記グループの別の電力変換器によって補償される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記BMSが、バッテリモジュール内のバッテリセルにそれぞれ対応するサブ管理ユニットを含み、前記管理ユニットが前記応答信号の前記それぞれを取得する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの電力変換器を制御するための装置であって、前記装置が請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行するための手段を備える、装置。
【請求項15】
プロセッサによって実行されると、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を前記プロセッサに実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
少なくとも1つの電力変換器を制御するためのシステムであって、
前記少なくとも1つの電力変換器、
少なくとも1つのバッテリモジュール、
バッテリ管理システム(BMS:battery management system)、
バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)、ならびに
前記パワーグリッドに外部から注入される少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、前記少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、
少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ前記少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、
少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、前記少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ前記少なくとも1つの電力変換器を制御することと、
前記少なくとも1つの重畳基準信号および前記少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ前記少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することと
を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える制御装置
を備え、
前記BMSが、前記BESS内で採用され、前記少なくとも1つのバッテリモジュールに通信可能に結合され、前記少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得するように構成される、
システム。
【請求項17】
前記電力変換器が少なくとも1つのAC/DC変換器を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記パワーグリッドがACグリッドである、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記BESSが、前記グリッドからの電力を貯蔵するように構成され、前記パワーグリッドに電力を供給するように構成された蓄電池を備える、請求項16~18のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、電力変換の分野に関し、より具体的には、少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法、装置、コンピュータ可読記憶媒体、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
近年、電気化学インピーダンススペクトル(EIS:Electrochemical Impedance Spectra)は、その高い精度のおかげでバッテリの健全性状態を監視するために広く使用されている。EISは非破壊測定であり、バッテリ内部の詳細な動力学的情報を提供することができるだけでなく、異なる使用または保存の条件下でバッテリの特性の変化を監視するために使用することもできる。
【0003】
しかしながら、EIS情報について知るためには、特別に設計された機器が通常必要である。特別に設計された機器はEISのみに使用されるので、バッテリの健全性状態はオフライン監視プロセスによってのみ試験することができる。これまで、バッテリの健全性状態のオンラインEIS監視プロセスは開発されておらず、それにより、特に電力変換器を有するバッテリエネルギー貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)におけるEISの用途が制限される。
【0004】
BESS(Battery Energy Storage System:バッテリエネルギー貯蔵システム)は、一般に、1つまたは複数の電力変換器、BMS(Battery Management System:バッテリ管理システム)、およびバッテリモジュールの組合せとして知られている。通常、BESSでは、パワーグリッドとバッテリモジュールとの間に1つまたは複数の電力変換器が接続される。電力変換器の機能の1つは、パワーグリッドとバッテリモジュールとの間で電力を充電または放電することである。BMS(Battery Management System:バッテリ管理システム)はバッテリモジュールに接続されたシステムであり得、それはBESSまたはパワーグリッド管理システム内の電力変換器コントローラまたは上位コントローラと通信することが可能である。BMSの機能は、バッテリモジュールの充電状態(SOC:State of Charge)の推定、バッテリ温度、電流、および電圧の状態監視、異なるバッテリモジュールのSOCの平衡を含む場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概要
本開示は、少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法、装置、コンピュータ可読記憶媒体、およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法が開示される。方法は、少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ少なくとも1つの電力変換器を制御することと、少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得することと、少なくとも1つの重畳基準信号および少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することとを含む。
【0007】
一実施形態によれば、少なくとも1つのバッテリモジュールは各々、直列に接続された少なくとも1つのバッテリセルを備え、少なくとも1つの応答信号は各々、少なくとも1つのバッテリセルのそれぞれにわたって生成された電圧信号を含む。一実施形態によれば、重畳基準信号に基づくバッテリモジュールの充電/放電は、充電/放電電流を制御することを含む。
【0008】
一実施形態によれば、少なくとも1つのバッテリモジュールは各々、並列に接続された少なくとも1つのバッテリストリングを備え、各バッテリストリングは少なくとも1つのバッテリセルを含み、少なくとも1つの応答信号は各々、少なくとも1つのバッテリストリングのそれぞれから出力された電流信号を含む。一実施形態によれば、重畳基準信号に基づくバッテリモジュールの充電/放電は、少なくとも1つのバッテリストリングにわたって充電/放電電圧を制御することを含む。
【0009】
一実施形態によれば、少なくとも1つのEIS基準信号の生成は、EIS基準信号をパルス幅変調することを含む。
【0010】
一実施形態によれば、少なくとも1つのバッテリモジュールの数は2の整数倍であり、2つの電力変換器ごとのEIS基準信号は180度の位相シフトで離間される。
【0011】
一実施形態によれば、少なくとも1つのバッテリモジュールの数は2より大きい奇数であるNであり、対応するEIS基準信号は360度をNで割った位相シフトで離間される。
【0012】
一実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの計算されたEISのそれぞれを使用して、少なくとも1つのバッテリモジュールのそれぞれの健全性状態に関する状態情報を導出することをさらに含む。
【0013】
一実施形態によれば、少なくとも1つの応答信号を取得することは、バッテリ管理システム(BMS:battery management system)によって実行される。
【0014】
一実施形態によれば、少なくとも1つの電力変換器は各々、炭化ケイ素を含むパワー電子部品を備える。
【0015】
一実施形態によれば、少なくとも1つの制御基準信号は、慣性基準信号、高速周波数サポート基準信号、周波数制御補助サービス基準信号、ネットワークサポート基準信号、および/または充電/放電基準信号を含む。
【0016】
本開示のさらなる態様によれば、本開示の一実施形態は、少なくとも1つの電力変換器を制御するための装置を開示する。装置は、上述された方法を実行するための手段を含む。
【0017】
本開示のさらなる態様によれば、本開示の一実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体を開示する。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、上述された方法をプロセッサに実行させる命令を含む。
【0018】
本開示のさらなる態様によれば、本開示の一実施形態は、少なくとも1つの電力変換器を制御するためのシステムを開示する。システムは、少なくとも1つの電力変換器と、少なくとも1つのバッテリモジュールと、上述された方法を実行するための手段を備える制御装置とを含む。
【0019】
本開示は、パワーグリッドに結合された少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法にさらに関し、方法は、パワーグリッドに外部から注入される少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ少なくとも1つの電力変換器を制御することと、少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得することと、少なくとも1つの重畳基準信号および少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することとを含む。バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)内で採用されたバッテリ管理システム(BMS:battery management system)は、少なくとも1つのバッテリモジュールによって生成された少なくとも1つの応答信号が取得されるように、少なくとも1つのバッテリモジュールに通信可能に結合される。
【0020】
一実施形態によれば、少なくとも1つのバッテリモジュールは各々、直列に接続された少なくとも2つのバッテリセルを備え、少なくとも1つの応答信号は各々、少なくとも1つのバッテリセルのそれぞれにわたって生成された電圧信号を含む。一実施形態によれば、重畳基準信号に基づくバッテリモジュールの充電/放電は、充電/放電電流を制御することを含む。
【0021】
一実施形態によれば、少なくとも1つのバッテリモジュールは各々、並列に接続された少なくとも2つのバッテリストリングを備え、各バッテリストリングは少なくとも1つのバッテリセルを含み、少なくとも1つの応答信号は各々、少なくとも1つのバッテリストリングのそれぞれから出力された電流信号を含む。一実施形態によれば、重畳基準信号に基づくバッテリモジュールの充電/放電は、少なくとも1つのバッテリストリングにわたって充電/放電電圧を制御することを含む。
【0022】
一実施形態によれば、少なくとも1つのEIS基準信号の生成は、EIS基準信号をパルス幅変調することを含む。
【0023】
一実施形態によれば、少なくとも1つのバッテリモジュールの数は2の整数倍であり、2つの電力変換器ごとのEIS基準信号は180度の位相シフトで離間される。
【0024】
一実施形態によれば、少なくとも1つのバッテリモジュールの数は2より大きい奇数であるNであり、対応するEIS基準信号は360度をNで割った位相シフトで離間される。
【0025】
一実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの計算されたEISのそれぞれを使用して、少なくとも1つのバッテリモジュールのそれぞれの健全性状態に関する状態情報を導出することをさらに含む。
【0026】
一実施形態によれば、少なくとも1つの応答信号を取得することは、バッテリ管理システム(BMS:battery management system)によって実行される。
【0027】
一実施形態によれば、少なくとも1つの電力変換器は各々、炭化ケイ素を含むパワー電子部品を備える。
【0028】
一実施形態によれば、少なくとも1つの制御基準信号は、慣性基準信号、高速周波数サポート基準信号、周波数制御補助サービス基準信号、ネットワークサポート基準信号、および/または充電/放電基準信号を含む。
【0029】
一実施形態によれば、少なくとも1つの制御基準信号に重畳された少なくとも1つのEIS基準信号は、EIS基準信号の注入によって引き起こされる電力変動を軽減または除去するために、位相シフトで生成される補償された電流/電圧信号を有するインターリーブ信号を生成するように調整される。
【0030】
一実施形態によれば、少なくとも1つの電力変換器の複数の電力変換器がグループ化され、少なくとも1つの電力変換器の各個別の電力変換器によって引き起こされた高調波電流は、グループの別の電力変換器によって補償される。
【0031】
一実施形態によれば、BMSは、バッテリモジュール内のバッテリセルにそれぞれ対応するサブ管理ユニットを含み、管理ユニットは応答信号のそれぞれを取得する。
【0032】
本開示は、少なくとも1つの電力変換器を制御するための装置にさらに関し、装置は上述された方法を実行するための手段を備える。
【0033】
本開示は、プロセッサによって実行されると、上述された方法をプロセッサに実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体にさらに関する。
【0034】
本開示は、少なくとも1つの電力変換器、少なくとも1つのバッテリモジュール、バッテリ管理システム(BMS:battery management system)、バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)、ならびに、パワーグリッドに外部から注入される少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ少なくとも1つの電力変換器を制御することと、少なくとも1つの重畳基準信号および少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することとを行うように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える制御装置を備える、少なくとも1つの電力変換器を制御するためのシステムにさらに関する。BMSは、BESS内で採用され、少なくとも1つのバッテリモジュールに通信可能に結合され、少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得するように構成される。
【0035】
一実施形態によれば、電力変換器は少なくとも1つのAC/DC変換器を含む。
一実施形態によれば、パワーグリッドはACグリッドである。
【0036】
一実施形態によれば、BESSは、グリッドからの電力を貯蔵するように構成され、パワーグリッドに電力を供給するように構成された蓄電池を備える。
【0037】
以下の項目は特定の実施形態を参照する。
1.少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法であって、
少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、
少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、
少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ少なくとも1つの電力変換器を制御することと、
少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得することと、
少なくとも1つの重畳基準信号および少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することと
を含む、方法。
【0038】
2.少なくとも1つのバッテリモジュールが各々、直列に接続された少なくとも1つのバッテリセルを備え、
少なくとも1つの応答信号が各々、少なくとも1つのバッテリセルのそれぞれにわたって生成された電圧信号を含み、
重畳基準信号に基づくバッテリモジュールの充電/放電が、充電/放電電流を制御することを含む、
項目1に記載の方法。
【0039】
3.少なくとも1つのバッテリモジュールが各々、並列に接続された少なくとも1つのバッテリストリングを備え、
各バッテリストリングが少なくとも1つのバッテリセルを含み、
少なくとも1つの応答信号が各々、少なくとも1つのバッテリストリングのそれぞれから出力された電流信号を含み、
重畳基準信号に基づくバッテリモジュールの充電/放電が、少なくとも1つのバッテリストリングにわたって充電/放電電圧を制御することを含む、
項目1に記載の方法。
【0040】
4.少なくとも1つのEIS基準信号の生成が、EIS基準信号をパルス幅変調することを含む、
項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0041】
5.少なくとも1つのバッテリモジュールの数が2の整数倍であり、2つの電力変換器ごとのEIS基準信号が180度の位相シフトで離間される、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0042】
6.少なくとも1つのバッテリモジュールの数が2より大きい奇数であるNであり、対応するEIS基準信号が360度をNで割った位相シフトで離間される、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0043】
7.少なくとも1つの計算されたEISのそれぞれを使用して、少なくとも1つのバッテリモジュールのそれぞれの健全性状態に関する状態情報を導出することをさらに含む、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0044】
8.少なくとも1つの応答信号を取得することが、バッテリ管理システム(BMS:battery management system)によって実行される、
項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0045】
9.少なくとも1つの電力変換器が各々、炭化ケイ素を含むパワー電子部品を備える、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0046】
10.少なくとも1つの制御基準信号が、慣性基準信号、高速周波数サポート基準信号、周波数制御補助サービス基準信号、ネットワークサポート基準信号、および/または充電/放電基準信号を含む、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0047】
11.少なくとも1つの電力変換器を制御するための装置であって、項目1~10のいずれか1項に記載の方法を実行するための手段を備える、装置。
【0048】
12.プロセッサによって実行されると、項目1~10のいずれか1項に記載の方法をプロセッサに実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【0049】
13.少なくとも1つの電力変換器を制御するためのシステムであって、
少なくとも1つの電力変換器と、
少なくとも1つのバッテリモジュールと、
項目1~10のいずれか1項に記載の方法を実行するための手段を備える制御装置と
を備える、システム。
【0050】
本開示によれば、BESS内のオンラインEIS監視プロセスは、EISのために特別に設計された機器なしで実現することができ、したがってEISを実行するためのコストを削減することができる。
【0051】
このセクションに記載された内容は、本開示の実施形態の重大または重要な特徴を識別するものではなく、本開示の範囲を限定するためにも使用されないことを理解されたい。本開示の他の特徴は、以下の明細書を通して容易に理解されるであろう。
【0052】
図面の簡単な説明
図面は、実施形態を例示的に示し、明細書の一部を形成し、明細書の記述とともに実施形態の例示的な実装を示すために使用される。示されている実施形態は、単に例示目的であり、特許請求の範囲を限定しない。図面全体を通して、同様の参照符号は、同様であるが必ずしも同一ではない要素を表記する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本開示の1つまたは複数の例による、少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法を示すフローチャートである。
図2A】本開示の1つまたは複数の例による、DC/AC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。
図2B】本開示の1つまたは複数の例による、DC/AC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。
図3A】本開示の1つまたは複数の例による、DC/DC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。
図3B】本開示の1つまたは複数の例による、DC/DC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。
図4】本開示の1つまたは複数の例による、複数のDC/AC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。
図5】本開示の1つまたは複数の例による、複数のDC/DC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。
図6】本開示の1つまたは複数の例による、少なくとも1つの電力変換器を制御するための装置を示す構造ブロック図ある。
図7】本開示の1つまたは複数の例を実装するために使用され得る例示的なシステムを示す構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施形態の詳細説明
図面および実施形態を参照して、本開示が以下で詳細にさらに記載される。本明細書に記載された実施形態は、本開示を限定するのではなく、単に関連する開示を説明するために使用されることが理解され得る。説明を容易にするために、関連する開示に関係する部分のみが図面に示されていることにさらに留意されたい。
【0055】
本開示の実施形態および実施形態の特徴は、矛盾することなく互いに組み合わせることができることに留意されたい。要素の数が具体的に定義されていない場合、文脈において特に明示的に示されていない限り、1つまたは複数の要素が存在してもよい。加えて、本開示で使用される工程または機能モジュールの数は、工程を実行する順序または機能モジュール間の接続関係のいずれかを限定するのではなく、単に工程または機能モジュールを識別するために使用される。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。「に基づいて」という用語は、「に少なくとも部分的に基づいて」と解釈されるべきである。
【0056】
従来技術では、EISは、EIS用に特別に設計された機器を介してオフライン監視プロセスによって実装され、それは、電力変換器を有するバッテリエネルギー貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)に適用されるときにコストと設計の両方の問題をもたらす。
【0057】
この問題に狙いを定めて、本開示は、EIS用に特別に設計された機器なしでBESS内のオンラインEIS監視プロセスを実現するために、少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法を提供する。
【0058】
図1は、本開示の1つまたは複数の例による、少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法100を示すフローチャートである。図1に示されたように、方法100は、以下でさらに詳細に記載される工程S102~S110を含む場合がある。
【0059】
工程S102において、少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号が生成される場合があり、少なくとも1つのEIS基準信号は各々、EIS用に選択された周波数を有する場合がある。
【0060】
EIS基準信号は、例えば、正弦波、方形波、三角波などの特定の波形を有する場合がある。EIS基準信号の波形は、実際の用途に基づいて決定される場合があり、それは上記の例に限定されなくてもよい。
【0061】
EIS用に選択された周波数は、監視される特性またはバッテリについての関心特性に基づいて決定される場合がある。EISによって測定されたインピーダンスは、電解質のオーム抵抗、固体電解質界面(SEI:solid electrolyte interphase)容量、電子移動速度、およびバッテリの挿入材料内の種の拡散プロセスなどの、バッテリの様々な特性に密接に関係するので、EIS用に選択された周波数は、実際の用途に基づいて関心特性に対応する場合があり、それは上記の例に限定されない場合がある。特性の各々は、約数μHzから数MHzまでの特定の周波数または周波数範囲に対応する場合がある。例えば、電解質のオーミム抵抗を監視するために、超高周波数範囲から選択された周波数が採用される場合がある。
【0062】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのEIS基準信号の生成は、EIS基準信号をパルス幅変調することを含む場合がある。このようにして、オンラインEIS監視方法を実現するために、様々な変調を介して様々な関心周波数を取得することができる。パルス幅変調は、パルス幅変調(PWM:pulse-width modulation)変調器によって実現される場合があるか、または(例えば、FPGA(field programmable gate array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)を介する)ソフトウェア/ファームウェア/(例えば、DSP(digital signal processor:デジタル信号プロセッサ)を介する)ハードウェアベースで実行される場合がある。
【0063】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電力変換器は各々、炭化ケイ素(SiC:silicon carbide)を含むパワー電子部品を含む場合がある。パワー電子部品は、スイッチングデバイスを含む場合がある。SiCスイッチングデバイスは、Siベースのスイッチングデバイスよりもはるかに高い周波数で切り替えることができる。より高い切替え周波数のために、SiCスイッチングデバイスは、Siベースのスイッチングデバイスよりも高い周波数帯域幅を実現することができる。SiCスイッチングデバイスはまた、フィルタサイズ/コストの削減による費用効果をもたらすことができる。加えて、より高い周波数帯域幅は、健全性状態監視の精度を高め、バッテリ内のより多くの要素の健全性状態監視を実現するのに役立つことができる。
【0064】
工程S104において、少なくとも1つのEIS基準信号は、少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ重畳される場合がある。
【0065】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの制御基準信号は、慣性基準信号、高速周波数サポート基準信号、周波数制御補助サービス基準信号、ネットワークサポート基準信号、および/または充電/放電基準信号などを含む場合があるが、それらに限定されない。このようにして、EIS基準信号は、本開示によるオンラインEIS監視方法を実現するために、様々な基準信号のいずれかに柔軟に重畳することができる。
【0066】
工程S106において、少なくとも1つの電力変換器は、少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるために、少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ制御される場合がある。
【0067】
工程S108において、少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号が取得される場合がある。
【0068】
応答信号は、電力変換器がバッテリモジュールの充電電流を制御しているときに、バッテリモジュールの電圧を含む場合がある。あるいは、応答信号は、電力変換器がバッテリモジュールの充電電圧を制御しているときに、バッテリモジュールの電流を含む場合がある。
【0069】
例えば、バッテリモジュールの電圧または電流は、電圧/電流センサおよびBMSのAD(Analog/Digital:アナログ/デジタル)またはADC(Analog to Digital Converter:アナログデジタル変換器)モジュールを使用して測定または取得される場合がある。バッテリモジュールの電圧または電流はまた、BMSとは別個であり得る追加の測定機器によって測定または取得される場合がある。
【0070】
いくつかの実施形態では、重畳基準信号に基づくバッテリモジュールの充電/放電は、充電/放電電流を制御することを含む場合がある。したがって、少なくとも1つのバッテリモジュールは各々、直列に接続された少なくとも1つのバッテリセルを含む場合がある。少なくとも1つの応答信号は各々、少なくとも1つのバッテリセルのそれぞれにわたって生成された電圧信号を含む場合がある。以下、図2Aおよび図3Aがそのような実施形態に関連して記載される。
【0071】
いくつかの実施形態では、重畳基準信号に基づくバッテリモジュールの充電/放電は、少なくとも1つのバッテリストリングにわたって充電/放電電圧を制御することを含む場合がある。したがって、少なくとも1つのバッテリモジュールは各々、並列に接続された少なくとも1つのバッテリストリングを備え、各バッテリストリングは少なくとも1つのバッテリセルを含む場合がある。少なくとも1つの応答信号は各々、少なくとも1つのバッテリストリングのそれぞれから出力された電流信号を含む場合がある。以下、図2Bおよび図3Bがそのような実施形態に関連して記載される。
【0072】
バッテリモジュールの構造に基づいて制御電流または制御電圧を設定することにより、バッテリモジュールへの重畳基準信号の適合を可能にすることができ、その結果、オンラインEIS監視に使用されるEIS基準信号は、バッテリモジュールの充電/放電を介して注入することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバッテリモジュールの数が2の整数倍(例えば、2、4、6など)である場合、2つの電力変換器ごとのEIS基準信号は180度(すなわち、π)の位相シフトで離間される場合がある。
【0074】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバッテリモジュールの数が2より大きい奇数(例えば、3、5など)であるNである場合、対応するEIS基準信号は360度をNで割った(すなわち、2π/Nの)位相シフトで離間される場合がある。
【0075】
このようにして、補償された電流/電圧パルスを有するインターリーブ信号は、位相シフトによって生成される場合があり、その結果、EIS基準信号の注入によって引き起こされる電力変動に起因する電力品質問題を軽減または除去することができる。以下、図4および図5がそのような実施形態に関連して記載される。
【0076】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの応答信号を取得することは、バッテリ管理システム(BMS:battery management system)によって実行される場合がある。BMSは、少なくとも1つのバッテリモジュールに通信可能に結合される場合があり、その結果、少なくとも1つのバッテリモジュールによって生成された少なくとも1つの応答信号が取得される場合がある。BESS内で固有のBMSを採用することにより、追加の信号検出デバイスを導入することなく、オンラインEIS監視方法を容易に実装することができる。
【0077】
BESS(Battery Energy Storage System:バッテリエネルギー貯蔵システム)は、一般に、1つまたは複数の電力変換器、BMS(Battery Management System:バッテリ管理システム)、およびバッテリモジュールの組合せとして知られている。
【0078】
通常、BESSでは、パワーグリッドとバッテリモジュールとの間に1つまたは複数の電力変換器が接続される。電力変換器の機能の1つは、パワーグリッドとバッテリモジュールとの間で電力を充電または放電することである。
【0079】
BMS(Battery Management System:バッテリ管理システム)はバッテリモジュールのバッテリセルに接続されたシステムであり得、それはBESSまたは電力変換器コントローラまたはパワーグリッド管理システム内の電力変換器システム(PCS:power converter system)または任意の他の上位コントローラと通信することが可能である。BMSの機能は、バッテリモジュールの充電状態(SOC:State of Charge)の推定、バッテリ温度、電流、および電圧の状態監視、異なるバッテリモジュールのSOCの平衡を含む場合がある。
【0080】
工程S110において、少なくとも1つのバッテリモジュール向けのそれぞれ少なくとも1つのEISは、少なくとも1つの重畳基準信号および少なくとも1つの応答信号に基づいてそれぞれ計算される場合がある。
【0081】
一例では、少なくとも1つのバッテリモジュールが各々、直列に接続された少なくとも1つのバッテリセルを含む場合、少なくとも1つのバッテリセルのそれぞれのインピーダンスは、それぞれ少なくとも1つの応答信号(すなわち、電圧信号)を重畳基準信号(すなわち、電流信号)で除算することによって取得される場合がある。
【0082】
一例では、少なくとも1つのバッテリモジュールが各々、並列に接続された少なくとも1つのバッテリストリングを含む場合、少なくとも1つのバッテリストリングのそれぞれのインピーダンスは、それぞれ重畳基準信号(すなわち、電圧信号)を少なくとも1つの応答信号(すなわち、電流信号)で除算することによって取得される場合がある。
【0083】
いくつかの実施形態では、工程S110の後、方法100は、少なくとも1つの計算されたEISのそれぞれを使用して、少なくとも1つのバッテリモジュールのそれぞれの健全性状態に関する状態情報が導出される場合がある工程S112をさらに含む場合がある。健全性状態は、バッテリの充電状態(SOC:state of charge)および/または健全性状態(SOH:state of health)などを含む場合がある。
【0084】
本開示によれば、EIS用に特別に設計された機器を導入することなく、BESS内のオンラインEIS監視プロセスを実現するために、少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法が提供される。バッテリモジュールの充電/放電のための機会を通して、オンラインEIS監視プロセスに使用されるEIS基準信号が電力変換器からバッテリモジュールに注入され、その結果、バッテリモジュールの健全性状態をリアルタイムで監視することができる。このようにして、オンラインEIS監視プロセスは、BESSの電力変換器または電力変換器システム(PCS:power converter system)に統合することができ、コストおよび設計の両方の負担が軽減される。
【0085】
図2Aおよび図2Bは、本開示の1つまたは複数の例による、DC/AC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。バッテリモジュールの内部構造が互いに異なり、したがって基準信号(すなわち、EIS基準信号、制御基準信号、および応答信号)が電流信号または電圧信号のいずれかによって表されることを除き、電力変換器を制御するための方法の原理は実質的に同じである。
【0086】
図2Aに示されたように、DC/AC電力変換器210は、制御基準信号Iconに重畳されたEIS基準信号IEISを含む重畳基準信号Isupをバッテリモジュール212に送出して、バッテリモジュール212を充電/放電するように構成される場合がある。電力変換器210は、ユーティリティ側(例えば、パワーグリッド)に結合される場合がある。
【0087】
上述されたように、EIS基準信号IEISは、あらかじめ生成され、次いで制御基準信号Iconに重畳される場合がある。EIS基準信号IEISは、特定の波形(例えば、正弦波、方形波、三角波など)およびEIS用に選択された周波数を有する場合がある。EIS用に選択された周波数は、バッテリについて監視されるべき特性(例えば、電解質のオーム抵抗、SEI容量、電子移動速度、バッテリの挿入材料内の種の拡散プロセスなど)に基づいて決定される場合がある。制御基準信号Iconは、例えば、慣性基準信号、高速周波数サポート基準信号、周波数制御補助サービス基準信号、ネットワークサポート基準信号、および/または充電/放電基準信号を含む場合がある。
【0088】
バッテリモジュール212は、直列に接続された第1~第3のバッテリセル212-1~212-3から構成されるバッテリストリングを含む場合がある。説明のために3つのバッテリセルが示されているが、実際の用途に基づいて、より少ないかまたはより多いバッテリセルが可能である。
【0089】
バッテリモジュールの健全性状態を監視するためにEIS用に選択された周波数を有する所定のEIS基準信号IEISを含む、注入された重畳基準信号Isupに対する応答として、第1~第3のバッテリセル212-1~212-3は、それぞれの応答信号、すなわち応答信号V~Vを生成することができる。応答信号V~Vの各々は、バッテリセルにわたって生成される電圧信号を表すことができる。
【0090】
一実施形態によれば、応答信号V~Vは、第1~第3のバッテリセル212-1~212-3に通信可能に結合されたバッテリ管理システム(BMS:battery management system)214によって取得される場合がある。例えば、BMS214は、それぞれ、第1~第3のバッテリセル212-1~212-3に対応する3つのサブ管理ユニットを含む場合があり、各サブ管理ユニットは、応答信号V~Vのそれぞれを取得することができる。
【0091】
あるいは、応答信号V~Vは、第1~第3のバッテリセル212-1~212-3に通信可能に結合された追加の検出手段によって取得される場合がある。図2Aに示されたような場合、検出手段は、バッテリセルにわたって生成された電圧(すなわち、応答信号V~V)を検出するために、各々が第1~第3のバッテリセル212-1~212-3のそれぞれに並列に接続された3つの電圧検出器を含む場合がある。
【0092】
続いて、第1~第3のバッテリセル212-1~212-3の各々のインピーダンスは、例えば応答信号V~Vの各々を重畳基準信号Isupで除算することにより、重畳基準信号Isupおよび応答信号V~Vの各々に基づいて計算される場合がある。
【0093】
したがって、第1~第3のバッテリセル212-1~212-3の健全性状態は、計算されたEISから導出される場合がある。一例として、健全性状態を判定するための閾値(例えば、バッテリセルの関心特性に対するインピーダンス閾値)は、バッテリセルの健全性状態を判定するために計算されたインピーダンスと比較されるために、事前設定される場合がある。
【0094】
図2Bは、図2Aの方法と同様のDC/AC電力変換器を制御するための方法を示す。それにもかかわらず、図2Bに示されたように、DC/AC電力変換器220は、制御基準信号Uconに重畳されたEIS基準信号UEISを含む重畳基準信号Usupをバッテリモジュール222に送出して、バッテリモジュール222を充電/放電するように構成される場合がある。言い換えれば、基準信号は電流信号ではなく電圧信号である。電力変換器220は、ユーティリティ側(例えば、パワーグリッド)に結合される場合がある。
【0095】
同様に、EIS基準信号UEISは、あらかじめ生成され、次いで制御基準信号Uconに重畳される場合がある。EIS基準信号UEISは、特定の波形(例えば、正弦波、方形波、三角波など)およびEIS用に選択された周波数を有する場合がある。EIS用に選択された周波数は、バッテリについて監視されるべき特性(例えば、電解質のオーム抵抗、SEI容量、電子移動速度、バッテリの挿入材料内の種の拡散プロセスなど)に基づいて決定される場合がある。制御基準信号Uconは、例えば、慣性基準信号、高速周波数サポート基準信号、周波数制御補助サービス基準信号、ネットワークサポート基準信号、および/または充電/放電基準信号を含む場合がある。
【0096】
バッテリモジュール222は、各々が2つのバッテリセルを含む、並列に接続された3つのバッテリストリング222-1~222-3を含む場合がある。説明のために3つのバッテリストリングおよび各ストリング内の2つのバッテリセルが示されているが、実際の用途に基づいて、より少ないかまたはより多いバッテリストリングおよび/またはバッテリセルが可能である。
【0097】
バッテリモジュールの健全性状態を監視するためにEIS用に選択された周波数を有する所定のEIS基準信号UEISを含む、注入された重畳基準信号Usupに対する応答として、第1~第3のバッテリストリング222-1~222-3は、それぞれの応答信号、すなわち応答信号I~Iを生成することができる。応答信号I~Iの各々は、バッテリストリングから出力された電流信号を表すことができる。
【0098】
一実施形態によれば、応答信号I~Iは、第1~第3のバッテリストリング222-1~222-3に通信可能に結合されたバッテリ管理システム(BMS:battery management system)224によって取得される場合がある。例えば、BMS224は、それぞれ、第1~第3のバッテリストリング222-1~222-3に対応する3つのサブ管理ユニットを含む場合があり、各サブ管理ユニットは、応答信号I~Iのそれぞれを取得することができる。
【0099】
あるいは、応答信号I~Iは、第1~第3のバッテリストリング222-1~222-3に通信可能に結合された追加の検出手段によって取得される場合がある。図2Bに示されたような場合、検出手段は、バッテリストリングから出力された電流信号を検出するために、各々が第1~第3のバッテリストリング222-1~222-3のそれぞれに直列に接続された3つの電流検出器を含む場合がある。
【0100】
続いて、第1~第3のバッテリストリング222-1~222-3の各々のインピーダンスは、例えば重畳基準信号Usupを応答信号I~Iの各々で除算することにより、重畳基準信号Usupおよび応答信号I~Iの各々に基づいて計算される場合がある。
【0101】
したがって、第1~第3のバッテリストリング222-1~222-3の健全性状態は、計算されたEISから導出される場合がある。一例として、健全性状態を判定するための閾値(例えば、バッテリストリングの関心特性に対するインピーダンス閾値)は、バッテリストリングの健全性状態を判定するために計算されたインピーダンスと比較されるために、事前設定される場合がある。
【0102】
図3Aおよび図3Bは、本開示の1つまたは複数の例による、DC/DC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。電力変換器のタイプを除き、電力変換器を制御するための方法の原理は、図2Aおよび図2Bの原理と実質的に同じであり、したがって、同じ特徴に関する詳細はここでは省略される。
【0103】
図3Aに示されたように、DC/DC電力変換器310は、制御基準信号Iconに重畳されたEIS基準信号IEISを含む重畳基準信号Isupをバッテリモジュール312に送出して、バッテリモジュール312を充電/放電するように構成される場合がある。DC/DC電力変換器310は、DC/AC電力変換器316を介してユーティリティ側(例えば、パワーグリッド)に結合される場合がある。
【0104】
バッテリモジュール312内の第1~第3のバッテリセル312-1~312-3の応答信号V~Vを取得するための動作、および(もしあれば)BMS314の機能は、図2Aのそれらと実質的に同じである。したがって、第1~第3のバッテリセル312-1~312-3の各々のインピーダンスは、例えば応答信号V~Vの各々を重畳基準信号Isupで除算することにより、重畳基準信号Isupおよび応答信号V~Vの各々に基づいて計算される場合がある。次いで、第1~第3のバッテリセル312-1~312-3の健全性状態は、計算されたEISから導出される場合がある。
【0105】
図3Bに示されたように、DC/DC電力変換器320は、制御基準信号Uconに重畳されたEIS基準信号UEISを含む重畳基準信号Usupをバッテリモジュール322に送出して、バッテリモジュール322を充電/放電するように構成される場合がある。DC/DC電力変換器320は、DC/AC電力変換器326を介してユーティリティ側(例えば、パワーグリッド)に結合される場合がある。
【0106】
バッテリモジュール322内の第1~第3のバッテリストリング322-1~322-3の応答信号I~Iを取得するための動作、および(もしあれば)BMS324の機能は、図2Bのそれらと実質的に同じである。したがって、第1~第3のバッテリストリング322-1~322-3の各々のインピーダンスは、例えば重畳基準信号Usupを応答信号I~Iの各々で除算することにより、重畳基準信号Usupおよび応答信号I~Iの各々に基づいて計算される場合がある。次いで、第1~第3のバッテリストリング322-1~322-3の健全性状態は、計算されたEISから導出される場合がある。
【0107】
図4は、本開示の1つまたは複数の例による、複数のDC/AC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。
【0108】
EIS基準信号は、電力品質の問題をもたらす場合があるオンラインEIS監視方法が実施されている間にパワーグリッドに外部から注入されるべきであるという事実に起因して、本開示は、オンラインEIS監視方法の実施中に電力品質の問題を軽減または除去するためにインターリーブ電流/電圧を生成することによって改善されたEIS測定をさらに提供する。
【0109】
オンラインEIS監視によってバッテリモジュール内のバッテリセルのインピーダンスを測定するために、パワーグリッドに接続された電力変換器がバッテリセルを充電または放電する。結果として生じるパワーグリッドの変化に起因して、パワーグリッドから吸収されるかまたはパワーグリッドに生成された電力を見つけることができる。これは、重畳基準信号に基づく電力変換器の制御に従って実現される場合がある。
【0110】
電力変換器とパワーグリッドとの間の電力潮流は一定でない場合があり、それはまた、EIS基準信号を含む重畳基準信号に基づく電力変換器の制御から生じる高調波を含む場合がある。したがって、EIS基準信号がパワーグリッドに注入される場合もある。電力変換器の動作から生じる高調波は、AC電力システム(パワーグリッド)の性能に影響を及ぼす可能性があり、高調波は、電力変換器によって生成された高調波をシステム(BESS)内の他の電力変換器で補償することにより、電力変換器を制御することによって最小化することができる。
【0111】
図4に示されたように、複数のDC/AC電力変換器410-1~410-n(ここで、nは2以上の自然数である)が、ユーティリティ側(例えば、パワーグリッド)に並列に結合される場合がある。
【0112】
DC/AC電力変換器410-1~410-nの各々は、制御基準信号Icon(例えば、図示されたIcon1およびIcon2)に重畳されたEIS基準信号IEIS(例えば、図示されたIEIS1およびIEIS2)を含む重畳基準信号Isup(例えば、図示されたIsup1およびIsup2)をバッテリモジュール412-1~412-nのそれぞれに送出して、バッテリモジュール412-1~412-nを充電/放電するように構成される場合がある。バッテリモジュール412-1~412-nの各々は、図2Aに示されたバッテリモジュール212と同じように構成される場合がある。したがって、バッテリモジュール412-1~412-nの各々の内部の詳細な構造はここでは省略される。
【0113】
具体的には、電力変換器410-1は、制御基準信号Icon1に重畳されたEIS基準信号IEIS1を含む重畳基準信号Isup1をバッテリモジュール412ー1に送出して、バッテリモジュール412-1を充電/放電するように構成される場合がある。残りの電力変換器410-2~412-nの各々は、インターリーブ電流を生成するためにEIS基準信号IEIS1~IEISnの位相が調整されることを除き、電力変換器410-1と同じように構成される場合がある。
【0114】
上述されたように、EISに対する高調波電流/電圧のさらなる注入は、電力変動を引き起こす。この電力変動は、変換器のDCコンデンサ寿命に影響を及ぼすと同時に、ユーティリティにも影響を及ぼすという欠点を有する可能性がある。この目的に向けて、この問題に対処するために複数の電力変換器がグループ化される場合がある。
【0115】
一実施形態によれば、2つ、4つ、6つなどの電力変換器が一緒にグループ化される場合がある。すなわち、電力変換器の数(したがって、対応するバッテリモジュールの数)は、2の整数倍であり得る。この場合、2つの電力変換器ごとのEIS基準信号は、180度(すなわち、π)の位相シフトで離間される場合がある。例えば、電力変換器が2つ、すなわち電力変換器410-1および410-2である場合、図4に示されたように、対応するEIS基準信号IEIS1およびIEIS2は、位相が反転する場合がある。
【0116】
一実施形態によれば、電力変換器の数(したがって、対応するバッテリモジュールの数)は、2より大きい奇数であるNであり得る。この場合、対応するEIS基準信号は、360度をNで割った(すなわち、2π/Nの)位相シフトで離間される場合がある。例えば、電力変換器が3つ、すなわち電力変換器410-1、410-2、および410-3(nが3のとき)である場合、対応するEIS基準信号IEIS1、IEIS2、およびIEIS3は、120度の位相シフトで離間される場合がある。
【0117】
そのため、各個別の電力変換器によって引き起こされた高調波電流は、同じグループ内の他の電力変換器によって補償され得るので、電力品質の問題に対処するために、高調波電流を制限するために補償電流パルスを有するインターリーブ電流を生成することができる。したがって、変換器のDCコンデンサ寿命を延ばすことができ、ユーティリティ側の高調波電流を制限することができる。
【0118】
インターリーブ電流を生成する上記の実施形態は、図2Aに示された実施形態と同様に、各々が直列に接続された少なくとも1つのバッテリセルを有するバッテリモジュール412-1~412-nを参照する場合がある。したがって、バッテリモジュールの各々の中の少なくとも1つのバッテリセルの応答信号を取得するための動作、および(もしあれば)BMSの機能は、図2Aのそれらと実質的に同じである。
【0119】
したがって、バッテリモジュールの各々の中の少なくとも1つのバッテリセルの各々のインピーダンスは、それぞれの重畳基準信号(例えば、Isup1、Isup2など)およびバッテリセルのそれぞれの応答信号に基づいて計算される場合がある。次いで、バッテリモジュールの各々の中の少なくとも1つのバッテリセルの健全性状態が、計算されたEISから導出される場合がある。
【0120】
あるいは、バッテリモジュール412-1~412-nの内部構造を考慮して、インターリーブ電流がインターリーブ電圧と置き換えられる場合がある。すなわち、バッテリモジュール412-1~412-nの各々は、図2Bに示された実施形態と同様に、並列に接続された少なくとも1つのバッテリストリングを含む場合がある。したがって、バッテリモジュールの各々の中の少なくとも1つのバッテリストリングの応答信号を取得するための動作、および(もしあれば)BMSの機能は、図2Bのそれらと実質的に同じである。
【0121】
したがって、少なくとも1つのバッテリストリングの各々のインピーダンスは、それぞれの重畳基準信号(例えば、Usup1、Usup2など)およびバッテリストリングのそれぞれの応答信号に基づいて計算される場合がある。次いで、バッテリモジュールの各々の中の少なくとも1つのバッテリストリングの健全性状態が、計算されたEISから導出される場合がある。
【0122】
図5は、本開示の1つまたは複数の例による、複数のDC/DC電力変換器を制御するための方法を示す概略図である。
【0123】
図5に示されたように、複数のDC/DC電力変換器510-1~510-n(ここで、nは2以上の自然数である)が、DCバス505に並列に結合される場合がある。DCバス505は、DC/AC電力変換器516を介してユーティリティ側(例えば、パワーグリッド)に結合される。
【0124】
この実施形態では、電力変換器のタイプがDC/DC電力変換器のように修正されたことを除き、複数の電力変換器を制御するための方法の原理は、図4の原理と実質的に同じであり、したがって、同じ特徴に関する詳細はここでは省略される。
【0125】
図6は、本開示の1つまたは複数の例による、少なくとも1つの電力変換器を制御するための装置600を示す構造ブロック図ある。
【0126】
図6に示されたように、装置600は、EISのための少なくとも1つのEIS基準信号を生成するように構成された生成ユニット602であって、少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成ユニット602と、少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ少なくとも1つのEIS基準信号を重畳するように構成された重畳ユニット604と、少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ少なくとも1つの電力変換器を制御するように構成された制御ユニット606と、少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得するように構成された取得ユニット608と、少なくとも1つのEIS基準信号および少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算するように構成された計算ユニット610とを含む場合がある。
【0127】
上述されたユニット602~610の各々の機能は、図1に示された工程S102~S110に対応することができるので、同様の詳細はここでは省略される。
【0128】
いくつかの実施形態では、生成ユニット602は、EIS基準信号をパルス幅変調するように構成されたパルス幅変調(PWM:pulse-width modulating)ユニット6020をさらに含む場合がある。
【0129】
いくつかの実施形態では、装置600は、少なくとも1つの計算されたEISのそれぞれを使用して、少なくとも1つのバッテリモジュールのそれぞれの健全性状態に関する状態情報を導出するように構成された導出ユニット612をさらに含む場合がある。導出ユニット612の機能は、図1に示された工程S112に対応することができるので、同様の詳細はここでは省略される。
【0130】
図7は、本開示の1つまたは複数の例を実装するために使用され得る例示的なシステム700を示す構造ブロック図である。
【0131】
図7に示されたように、システム700は、電力変換器モジュール702およびバッテリモジュール704を含む場合がある。電力変換器モジュール702は少なくとも1つの電力変換器を含む場合があり、したがって、バッテリモジュール704は、少なくとも1つの電力変換器に対応する少なくとも1つのバッテリモジュールを含む場合がある。
【0132】
システム700は、少なくとも1つの電力変換器を制御するための制御装置706をさらに含む場合がある。一実施形態では、制御装置706は、上述された方法を実行するための手段、例えば、図1に記載された工程S102~S112を含む場合がある。一実施形態では、装置706は、図6に記載された装置600と同様に実装される場合があるので、同様の詳細はここでは省略される。
【0133】
本開示によれば、プロセッサによって実行されると、上述された方法をプロセッサに実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体がさらに提供される。
【0134】
本開示によれば、プロセッサによって実行されると、上述された方法を実施するコンピュータプログラム製品がさらに提供される。
【0135】
添付図面のフローチャートおよびブロック図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の実装される可能性があるアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、モジュール、プログラムセグメント、またはコードの一部を表すことができ、モジュール、プログラムセグメント、またはコードの一部は、論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む。いくつかの代替の実装形態では、ブロック内でマークされた機能はまた、添付図面内でマークされた順序とは異なる順序で行われる場合があることにも留意されたい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には実質的に並行して実行することができ、またはそれらは、含まれる機能に応じて時々逆の順序で実行することができる。ブロック図および/またはフローチャート内の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート内のブロックの組合せは、機能または動作を実行する専用のハードウェアベースのシステムによって実施される場合があるか、または専用のハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実施される場合があることにも留意されたい。
【0136】
本開示の実施形態に記載された関連するユニット/モジュールは、ソフトウェアによって実装されてもよく、ハードウェアによって実装されてもよい。記載されたモジュールはまた、プロセッサ内に配置される場合があり、プロセッサは、例えば、生成モジュールと、重畳モジュールと、制御モジュールと、取得モジュールと、計算モジュールとを備えるプロセッサとして記載される場合がある。これらのモジュールの名称は、特定の状況下でモジュール自体を限定するものではない。
【0137】
前述の説明は、本開示の好ましい実施形態および適用された技術的原理の説明にすぎない。当業者は、本開示の実施形態に含まれる本開示の範囲が、前述の技術的特徴の特定の組合せによって形成される技術的解決策に限定されず、前述の発明概念から逸脱することなく、前述の技術的特徴またはそれらの同等の特徴の任意の組合せによって形成される他の技術的解決策も包含することを理解するべきである。例えば、(それらに限定されないが)本開示の実施形態で開示された技術的特徴において同様の機能を有する技術的特徴と前述の特徴を置き換えることによって形成される技術的解決策も、本開示の範囲内に入る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーグリッドに結合された少なくとも1つの電力変換器を制御するための方法であって、前記方法が、
前記パワーグリッドに外部から注入される少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、前記少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、
少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ前記少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、
少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、前記少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ前記少なくとも1つの電力変換器を制御することと、
前記少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得することと、
前記少なくとも1つの重畳基準信号および前記少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ前記少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することと
を含み、
バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)内で採用されたバッテリ管理システム(BMS:battery management system)が、前記少なくとも1つのバッテリモジュールによって生成された前記少なくとも1つの応答信号が取得されるように、前記少なくとも1つのバッテリモジュールに通信可能に結合される、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバッテリモジュールが各々、直列に接続された少なくとも2つのバッテリセルを備え、
前記少なくとも1つの応答信号が各々、前記少なくとも1つのバッテリセルのそれぞれにわたって生成された電圧信号を含み、
前記重畳基準信号に基づく前記バッテリモジュールの前記充電/放電が、充電/放電電流を制御することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのバッテリモジュールが各々、並列に接続された少なくとも2つのバッテリストリングを備え、
各バッテリストリングが少なくとも1つのバッテリセルを含み、
前記少なくとも1つの応答信号が各々、前記少なくとも1つのバッテリストリングのそれぞれから出力された電流信号を含み、
前記重畳基準信号に基づく前記バッテリモジュールの前記充電/放電が、前記少なくとも1つのバッテリストリングにわたって充電/放電電圧を制御することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのEIS基準信号の前記生成が、前記EIS基準信号をパルス幅変調することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバッテリモジュールの数が2の整数倍であり、2つの電力変換器ごとの前記EIS基準信号が180度の位相シフトで離間される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバッテリモジュールの数が2より大きい奇数であるNであり、前記対応するEIS基準信号が360度をNで割った位相シフトで離間される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの計算されたEISのそれぞれを使用して、前記少なくとも1つのバッテリモジュールの前記それぞれの健全性状態に関する状態情報を導出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの応答信号を前記取得することが、バッテリ管理システム(BMS:battery management system)によって実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電力変換器が各々、炭化ケイ素を含むパワー電子部品を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの制御基準信号が、慣性基準信号、高速周波数サポート基準信号、周波数制御補助サービス基準信号、ネットワークサポート基準信号、および/または充電/放電基準信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの制御基準信号に重畳された前記少なくとも1つのEIS基準信号が、前記EIS基準信号の前記注入によって引き起こされる電力変動を軽減または除去するために、位相シフトで生成される補償された電流/電圧信号を有するインターリーブ信号を生成するように調整される、請項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電力変換器の複数の電力変換器がグループ化され、前記少なくとも1つの電力変換器の各個別の電力変換器によって引き起こされた前記高調波電流が、前記グループの別の電力変換器によって補償される、請項1に記載の方法。
【請求項13】
前記BMSが、バッテリモジュール内のバッテリセルにそれぞれ対応するサブ管理ユニットを含み、前記管理ユニットが前記応答信号の前記それぞれを取得する、請項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの電力変換器を制御するための装置であって、前記装置が請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行するための手段を備える、装置。
【請求項15】
プロセッサによって実行されると、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を前記プロセッサに実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
少なくとも1つの電力変換器を制御するためのシステムであって、
前記少なくとも1つの電力変換器、
少なくとも1つのバッテリモジュール、
バッテリ管理システム(BMS:battery management system)、
バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)、ならびに
前記パワーグリッドに外部から注入される少なくとも1つの電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectra)基準信号を生成することであって、前記少なくとも1つのEIS基準信号が各々EIS用に選択された周波数を有する、生成することと、
少なくとも1つの重畳基準信号を生成するために、少なくとも1つの制御基準信号にそれぞれ前記少なくとも1つのEIS基準信号を重畳することと、
少なくとも1つのバッテリモジュールをそれぞれ充電/放電させるように、前記少なくとも1つの重畳基準信号に基づいてそれぞれ前記少なくとも1つの電力変換器を制御することと、
前記少なくとも1つの重畳基準信号および前記少なくとも1つの応答信号に基づいて、それぞれ前記少なくとも1つのバッテリモジュールについてそれぞれ少なくとも1つのEISを計算することと
を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える制御装置
を備え、
前記BMSが、前記BESS内で採用され、前記少なくとも1つのバッテリモジュールに通信可能に結合され、前記少なくとも1つのバッテリモジュールによってそれぞれ生成された少なくとも1つの応答信号を取得するように構成される、
システム。
【請求項17】
前記電力変換器が少なくとも1つのAC/DC変換器を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記パワーグリッドがACグリッドである、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記BESSが、前記グリッドからの電力を貯蔵するように構成され、前記パワーグリッドに電力を供給するように構成された蓄電池を備える、請求項16~18のいずれか1項に記載のシステム。
【国際調査報告】