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特表2024-539334電気化学的センサのための電極システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】電気化学的センサのための電極システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1486 20060101AFI20241018BHJP
   A61B 5/1473 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61B5/1486
A61B5/1473
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525469
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022078818
(87)【国際公開番号】W WO2023077027
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/263,277
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524047486
【氏名又は名称】ウィロー・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マッシ・ジョー・イー・キアーニ
(72)【発明者】
【氏名】フン・ザ・ヴォ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ヒューズ・ポーリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカトラマナン・クリシュナマニ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KY08
(57)【要約】
グルコースセンサなどのような電気化学的センサのための電極システムが開示されている。電極システムは、作用電極、基準電極、及びカウンター電極を含むことが可能である。作用電極は、金及び白金などのような異なる金属の2つの層を含むことが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的センサのための電極システムであって、
金を含む第1の層、及び、白金を含む第2の層を含む作用電極と、
銀を含む基準電極と、
金を含むカウンター電極と
を含む電極システムであって、
金を含む前記第1の層は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有しており、白金を含む前記第2の層は、約80Å~120Åの厚さを有しており、
前記作用電極及び前記基準電極は、基板の一方の側に位置決めされており、
前記カウンター電極は、前記作用電極及び前記基準電極に対して前記基板の反対側に位置決めされている、電極システム。
【請求項2】
前記電気化学的センサは、グルコースセンサである、請求項1に記載の電極システム。
【請求項3】
金を含む前記第1の層の前記厚さは、約3μmである、請求項1又は2に記載の電極システム。
【請求項4】
白金を含む前記第2の層の前記厚さは、約100Åである、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項5】
前記基準電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有している、請求項1から4のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項6】
前記カウンター電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有している、請求項1に記載の電極システム。
【請求項7】
前記基準電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有している、請求項1から6のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項8】
前記基板は、2つのベース層を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項9】
前記2つのベース層のうちの少なくとも1つは、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項8に記載の電極システム。
【請求項10】
前記作用電極及び前記基準電極の一部をカバーする第1のポリマー層をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項11】
第1のポリマー層は、ポリイミド(PI)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項12】
前記カウンター電極の一部をカバーする第2のポリマー層をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項13】
第2のポリマー層は、ポリイミド(PI)を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の電極システム。
【請求項14】
電極システムを含むグルコースセンサであって、
前記電極システムは、
基板と、
前記基板の一方の側に位置決めされている作用電極と、
前記作用電極と前記基板の同じ側に位置決めされている基準電極と、
前記作用電極及び前記基準電極に対して前記基板の反対側に位置決めされているカウンター電極と
を含み、
前記作用電極は、第1の金層及び第2の白金層を含む、グルコースセンサ。
【請求項15】
前記第1の金層は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有している、請求項14に記載のグルコースセンサ。
【請求項16】
前記第2の白金層は、約80Å~120Åの厚さを有している、請求項14又は15に記載のグルコースセンサ。
【請求項17】
前記基準電極は、銀を含む、請求項14から16のいずれか一項に記載のグルコースセンサ。
【請求項18】
前記カウンター電極は、金を含む、請求項14から17のいずれか一項に記載のグルコースセンサ。
【請求項19】
前記基準電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有している、請求項14から18のいずれか一項に記載のグルコースセンサ。
【請求項20】
前記カウンター電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有している、請求項14から19のいずれか一項に記載のグルコースセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月29日に出願された「ELECTRODE SYSTEMS FOR ELECTROCHEMICAL SENSORS」と題する米国仮出願第63/263,277号の優先権を主張し、その内容全体は、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれており、本明細書の一部を形成している。
【0002】
本開示は、生理学的モニタリングデバイスに関する。より詳細には、本開示は、グルコースモニタリングデバイス及びそれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、成人と子供の両方の、多くの個人に影響を与える慢性の疾患である。糖尿病の管理は、患者の血液及び/又は間質液を含む間質空間の中のグルコースの測定、並びに、患者へのインスリンの投与を含むことが可能である。閉ループインスリン投与システムは、患者の血液及び/又は間質液を含む間質空間からグルコース測定値を採取するためのセンサと、グルコース測定値に基づいて患者にインスリンを投与するインスリン投与デバイスの両方を含む。閉ループインスリン投与システムは、糖尿病によって影響を及ぼされる個人が、自分のインスリン又はグルコースレベルについてはるかに少ない心配で日常生活を送ることを可能にし、それは、糖尿病患者の生活の質を大幅に改善することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0236729号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、電気化学的センサのための電極システムを提供する。電極システムは、金を含む第1の層、及び、白金を含む第2の層を含む作用電極と、銀を含む基準電極と、金を含むカウンター電極とを含むことが可能である。金を含む第1の層は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有することが可能であり、白金を含む第2の層は、約80Å~120Åの厚さを有することが可能である。作用電極及び基準電極は、基板の一方の側に位置決めされることが可能である。カウンター電極は、作用電極及び基準電極に対して基板の反対側に位置決めされることが可能である。
【0006】
幾つかの態様において、電気化学的センサは、グルコースセンサであることが可能である。幾つかの態様において、金を含む第1の層の厚さは、約3μmであることが可能である。幾つかの態様において、白金を含む第2の層の厚さは、約100Åであることが可能である。幾つかの態様において、基準電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有することが可能である。幾つかの態様において、カウンター電極は、約2.5~3.5μmの厚さを有することが可能である。幾つかの態様において、基準電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有することが可能である。幾つかの態様において、基板は、2つのベース層を含むことが可能である。幾つかの態様において、2つのベース層のうちの少なくとも1つは、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことが可能である。
【0007】
幾つかの態様において、電極システムは、作用電極及び基準電極の一部をカバーする第1のポリマー層をさらに含むことが可能である。幾つかの態様において、第1のポリマー層は、ポリイミド(PI)を含むことが可能である。幾つかの態様において、電極システムは、カウンター電極の一部をカバーする第2のポリマー層をさらに含むことが可能である。幾つかの態様において、第2のポリマー層は、ポリイミド(PI)を含むことが可能である。
【0008】
幾つかの態様において、グルコースセンサが提供される。グルコースセンサは、電極システムを含むことが可能であり、電極システムは、基板と、基板の一方の側に位置決めされている作用電極と、作用電極と基板の同じ側に位置決めされている基準電極と、作用電極及び基準電極に対して基板の反対側に位置決めされているカウンター電極とを含む。作用電極は、第1の金層及び第2の白金層を含むことが可能である。幾つかの態様において、第1の金層は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有することが可能である。幾つかの態様において、第2の白金層は、約80Å~120Åの厚さを有することが可能である。幾つかの態様において、基準電極は、銀を含むことが可能である。幾つかの態様において、カウンター電極は、金を含むことが可能である。幾つかの態様において、基準電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有することが可能である。幾つかの態様において、カウンター電極は、約2.5μm~3.5μmの厚さを有することが可能である。
【0009】
さまざまな態様が、添付の図面を参照して以降で説明されることとなる。これらの態様は、例によってのみ図示及び説明されており、本開示の範囲を限定するように意図されていない。図面において、同様の要素は、同様の参照番号を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】患者に対するインスリン投与システムのインターリーブ式動作(interleaved operation)の図である。
図1B】疾患管理環境の一部であり得るか又はインターリーブ式デバイスとして使用され得る例示的な疾患管理システムを図示する図である。
図2】疾患管理システムの例示的な実装形態を図示する図である。
図3】疾患管理システムの構成要素の例示的なレイアウトを図示する図である。
図4】疾患管理システムの実装形態のための例示的な分析物センサシール及びマウントを図示する図である。
図5A】分析物センサのための例示的な電極システムの異なる図である。
図5B】分析物センサのための例示的な電極システムの異なる図である。
図5C】分析物センサのための例示的な電極システムの異なる図である。
図5D】分析物センサのための例示的な電極システムの異なる層を図示する図である。
図6A】例示的な電極システムの作用電極及び基準電極を示す図である。
図6B】例示的な電極システムにおける作用電極及び基準電極の寸法を図示する図である。
図7A】例示的な電極システムにおけるポリマー層によって部分的にカバーされた作用電極及び基準電極を示す図である。
図7B】例示的な電極システムにおけるポリマー層によって部分的にカバーされた作用電極及び基準電極の寸法を図示する図である。
図8A】例示的な電極システムにおけるポリマー層によって部分的にカバーされたカウンター電極を示す図である。
図8B】例示的な電極システムにおけるポリマー層によって部分的にカバーされたカウンター電極の寸法を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、本開示は、添付の図を参照して説明されることとなり、図では、同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。以下の説明は、本質的に単なる例示的なものに過ぎず、決して、本開示、その適用、又は使用を限定するように意図されていない。そのうえ、本明細書で開示されているデバイス、システム、及び/又は方法は、幾つかの新規な特徴を含むことが可能であり、そのうちの単一のものだけが、その望ましい属性の原因であるわけでもなければ、本明細書で開示されているデバイス、システム、及び/又は方法を実践するのに必須であるわけでもない。
【0012】
ここで、本開示の態様が、図及びさまざまな例に関して詳細に記載されることとなる。しかし、本明細書で開示されているデバイス及び方法の他の構成は、同じように詳細に説明されていない場合でも、本開示の範囲の中に依然として入ることとなるということを当業者は認識することとなる。議論されているさまざまな構成の態様は、本明細書における開示の範囲を限定するものではなく、それは、その代わりに、本明細書に続く特許請求の範囲によって定義される。
【0013】
定義
本明細書で使用されているときに、共通の略語が、以下のように定義される。
℃ 摂氏温度
CE カウンター電極
RE 基準電極
WE 作用電極
CGM 連続的グルコースモニタリング
DAN ジアミノナフタレン
GO グルコースオキシダーゼ
過酸化水素
【0014】
本明細書で開示されているのは、電気化学的センサ、たとえば、分析物センサ、たとえば、グルコースセンサなどのための電極システムである。幾つかの構成では、分析物センサは、患者の状態をモニタリングして断続的に又は一時的に医薬品を送達するように構成されている疾患管理システム又は他のデバイスの中へ一体化されることが可能である。特定の疾患(たとえば、糖尿病など)に言及されていることがあるが、本明細書で説明されているシステム及び方法は、他の疾患及び条件にも適用可能であり得る。
【0015】
幾つかの例において、本明細書で説明されているシステム及び方法は、特定のパラメーター又は血液分析物(たとえば、グルコースなど)のモニタリング又はセンシングに言及することがあるが、他の生理学的条件、生理学的状態、生理学的パラメーター、生理学的マーカー、血液分析物など、又は、それらの組み合わせが、グルコースに加えて又はグルコースの代替として、モニタリング又は決定されることが可能である。同様に、幾つかの例において、特定のタイプのセンサ(たとえば、グルコースセンサなど)に言及することがあるが、他の分析物センサも追加的に又は代替的に使用されることが可能である。たとえば、グルコースセンサは、他の分析物を追加的に測定するように構成されることが可能である。追加的に又は代替的に、特定のタイプの侵襲性の又は非侵襲性のセンサ(たとえば、侵襲性グルコースセンサなど)に言及することがあるが、任意のタイプの侵襲性の又は非侵襲性のセンサが使用されることも可能である(たとえば、非侵襲性の分析物センサなど)。
【0016】
A.例示的な疾患管理システム
図1Aは、スタンドアロンの又は組み合わせられたグルコースセンサ及び/又はインスリン投与システムを含むことが可能である1つ又は複数の冗長な疾患管理システムを含むことが可能である疾患管理システムを図示している。疾患管理システムは、第1の疾患管理システム1002及び第2の疾患管理システム1004を含むことが可能である。
【0017】
図1Bは、例示的な疾患管理システム1101のブロック図を示している。疾患管理システム1101は、患者の1つ又は複数の生理学的パラメーター(たとえば、パルス、皮膚温度、又は他の値など)を測定し、患者の血液の中に存在する1つ又は複数の分析物(たとえば、グルコース、脂質、又は他の分析物など)を測定し、医薬品(たとえば、インスリン、グルカゴン、又は他の医薬品など)を投与するように構成されることが可能である。幾つかの例において、疾患管理システム1101は、疾患管理システム1101の外部にあることが可能である1つ又は複数のハードウェアプロセッサー(たとえば、クラウドベースのプロセッサー又はユーザデバイスなど)と通信するように構成されることが可能である。
【0018】
図1Bに図示されているように、疾患管理システム1101は、分析物センサ1120を含むことが可能である。分析物センサ1120は、患者の血液の中の分析物を検出するように構成されることが可能である。たとえば、分析物センサ1120は、皮膚の表面1121を穿孔するように構成されているグルコースセンシングプローブを含むことが可能である。幾つかの例において、疾患管理システム1101は、1つ又は複数の分析物を検出するための複数の分析物センサ1120を含むことが可能である。幾つかの例において、分析物センサ1120は、複数の分析物を検出するように構成されることが可能である。センシングされた分析物は、それに限定されないが、グルコース、インスリン、及び他の分析物を含むことが可能である。分析物センサ1120は、分析物検出器1126と通信するように構成されることが可能である。分析物検出器1126は、患者の血液の中の1つ又は複数の分析物を測定するために、1つ又は複数の分析物センサ1120の信号を受信するように構成されることが可能である。分析物検出器1126は、コントローラ1138と通信するように構成されることが可能である。たとえば、分析物検出器1126は、たとえば、分析物値をコントローラ1138に送信し、制御信号をコントローラから受信するように構成されることが可能である。疾患管理システム1101の他の詳細な説明は、特許文献1に見出されることが可能であり、その文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0019】
図2は、疾患管理システム1103と、疾患管理システム1103を患者に適用するためのアプリケータ1190との例示的な実装形態を図示している。図示されている例では、アプリケータ1190は、疾患管理システム1103と嵌合するように構成されることが可能である。幾つかの例において、疾患管理システム1103は、1つ又は複数の針1158を含むことが可能であり、1つ又は複数の針1158は、1つ又は複数の分析物センサ(たとえば、グルコースセンサなど)1156を含むことが可能である。幾つかの例において、疾患管理システム1103は、ベースプレート1166を含むことが可能であり、また、患者の皮膚への疾患管理システム1103の接着を提供するためにベースプレート1166の下方に接着剤層1168を含むことが可能である。疾患管理システム1103のハウジングは、可撓性の及びリジッドな材料の組み合わせから構成されることが可能であり、疾患管理システム1103の構成要素のための支持を提供するとともに、患者の皮膚に疾患管理システム1103を(少なくとも部分的に)適合させることを可能にするようになっている。
【0020】
上記に説明されている実装形態のうちの1つ若しくは複数に加えて、又は、その代替として、疾患管理システムは、コンパクトな設計(図3に図示されているようなものなど)の中へ組み合わせられることが可能である。図3は、疾患管理システム100の例示的な実施形態の断面図及び斜視図を図示している。疾患管理システム100は、組み合わせられたグルコースモニター及びインスリンポンプを含むことが可能である。図3によって図示されているように、疾患管理システム100は、バッテリ4204、PCBA4202、分析物センサ及び針マウント4206、接着剤ラッチメカニズム4208、ブザー4210及び耐水性フィルム又は層、振動モータ4209、医薬品ポーチアッセンブリ4216、ポーチ穿刺アッセンブリ4214、1つ又は複数の光パイプ4218、カニューレ及び針4222、並びにポンプアッセンブリ4220を含むことが可能である。
【0021】
図4は、疾患管理システムの例示的な分析物センサ及びマウント4206を図示している。幾つかの例において、分析物センサ及び針マウント4206は、ガスケット4450を含むことが可能である。ガスケットは、外部流体からセンサをシールするように構成されることが可能であり、外部流体は、そうでなければ、疾患管理システムに流入する可能性がある。幾つかの例において、分析物センサ及び針マウント4206は、分析物センサ及び針を適正に位置決めするための特徴を含むことが可能である。たとえば、分析物センサ及び針マウント4206は、挿入の前に、挿入の間に、又は挿入の後に、センサの上向きのシフトを回避するように、センサを適正に位置決めするように構成された部分4454を含むことが可能である。幾つかの例において、針及びセンサのうちの1つ又は複数は、針が引き抜かれるときにセンサが針に触れて損傷することを防止することを助けるためにディンプル4456又は他の位置決め特徴を含むことが可能である。
【0022】
B.電気化学的センサのための例示的な電極システム
分析物センサ(たとえば、グルコースセンサなど)は、作用電極(WE)の上のグルコースとグルコースオキシダーゼ層との間の電気化学反応から電流を発生させるアンペロメトリック電気化学的バイオセンサである。基準電極(RE)は、溶液媒体から生じる電位を排除する。カウンター電極(CE)は、電気化学反応のために必要とされる電流を供給するための参照ハーフセルとして作用し、一方では、WEは、電流を作り出すためのセンシングハーフセルとして作用する。本明細書で説明されているグルコースモニタリングデバイスは、少なくとも2つの電極(作用電極及び基準電極)を含む。
【0023】
図5A図5Cは、作用電極510、基準電極520、及びカウンター電極530を含む例示的な電極システム500の異なる図を図示している。図5Aは、基板の一方の側にある作用電極510及び基準電極520を示している。図5Bは、基板の他方の側にあるカウンター電極530を示している。図5Cは、例示的な電極システム500の側面図、並びに、異なる層のサイズ及び厚さを図示している。非限定的な例として、例示的な電極システムの長さlは、約8mmであることが可能であり、層540及び550の厚さhは、約120μmであることが可能であり、すべての層の厚さhは、約170μmであることが可能であり、層550、530、及び570の厚さhは、約60μmであることが可能であり、層570の厚さhは、約20μmであることが可能である。
【0024】
センサデバイスを使用しなければならないユーザの快適性に対処するために、身体的に活発な患者の過酷さに耐えるためのプローブ設計の耐久性、並びに、典型的な患者にとって合理的なCGMユニットコストを維持するためのこれらのプローブの再現精度及び経済的な生産の重要性と同様に、センサ電極のサイズ(直径)の低減が重要である。本明細書で説明されているシステム及び方法は、上記の懸念に対処することを助ける。
【0025】
有利には、カウンター電極に対して基板の反対側に作用電極及び基準電極を設置することは、基板の一方の側にすべての3つの電極を設置することと比較して、グルコースセンサを小型化することを助けることが可能であり、それは、ユーザの快適性にとって重要である。たとえば、グルコースセンサが、患者の身体の中へ挿入されることとなる針の中に(たとえば、疾患管理システム1103のようなウェアラブルデバイスの中などに)設置されている場合には、グルコースセンサのサイズは、針の直径を部分的に決定することが可能であり、小型化されたセンサは、特に、患者が比較的に長い時間にわたってデバイスを着用する必要があるときに、患者の痛みを軽減し、快適性レベルを改善するのを助けることが可能である。
【0026】
図5Dは、例示的な電極システム500の異なる層を図示している。図5Dに示されているように、電極システム500は、第1のポリマー層560、作用電極510、基準電極520、第2のポリマー層540、第3のポリマー層550、カウンター電極530、及び第4のポリマー層570を含むことが可能である。
【0027】
幾つかの態様において、第1のポリマー層560の厚さは、約10μm~30μm、約15μm~25μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、又は任意の他の厚さである。幾つかの態様において、第1のポリマー層560は、ポリイミド(PI)又は他の同等のポリマーを含むことが可能である。
【0028】
幾つかの態様において、作用電極510及び/又は基準電極520は、1つ又は複数の金属を含むことが可能である。幾つかのさらなる態様において、作用電極510及び/又は基準電極520は、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、又はそれらの組み合わせを含むことが可能である。
【0029】
1つの態様では、作用電極510は、Ptを含むことが可能である。幾つかの態様において、作用電極510は、PtとAuの両方を含むことが可能である。別の態様において、作用電極510は、PtとIrの両方を含む。幾つかの態様において、作用電極510は、2つの異なる金属層を含むことが可能である。幾つかの態様において、作用電極510の底部金属層は、Auであることが可能であり、作用電極510の上部金属層は、Ptであることが可能である。幾つかの態様において、底部金属層の厚さは、約2μm~4μm、約2.5μm~3.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、又は任意の他の厚さであることが可能である。幾つかの態様において、上部金属層の厚さは、約50Å~150Å、約80Å~120Å、約50Å、約70Å、約90Å、約100Å、約120Å、約150Å、又は任意の他の厚さであることが可能である。幾つかの態様において、上部金属層の厚さは、底部金属層の厚さよりもはるかに小さくなっていることが可能である。底部金属層の厚さに対する上部金属層の厚さの比は、約1/500、1/300、1/100よりも小さいか、又は、任意の他の比よりも小さくなっていることが可能である。そのような2層の作用電極構成は、グルコース検出のための白金電極表面及び他のより良好な品質(たとえば、純粋な白金電極と比較してより高い電気伝導度など)を提供することが可能である。また、この2層の電極を製造することは、純粋な白金電極を製造することと比較して、よりコストが低くなる可能性がある。
【0030】
幾つかの態様において、基準電極520は、銀を含むことが可能である。幾つかの態様において、基準電極における基準電極の厚さは、約2μm~4μm、約2.5μm~3.5μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、又は任意の他の厚さであることが可能である。幾つかの態様において、作用電極510及び基準電極520の厚さは、同様であることが可能である。別の態様において、基準電極は、銀及び塩化銀(Ag/AgCl)を含むことが可能である。
【0031】
図6Aは、例示的な電極システム500における作用電極510及び基準電極520を示している。幾つかの態様において、基準電極520は、電極パーツ812と、コネクタパーツ820と、電極パーツ812及びコネクタパーツ820を接続するワイヤーパーツ816とを含むことが可能である。幾つかの態様において、コネクタパーツ820は、システムの電気回路に接続するために使用されることが可能である。幾つかの態様において、ワイヤーパーツ816の幅wは、約0.06mm~0.12mm、約0.06mm~0.10mm、約0.06mm、0.08mm、0.10mm、0.12mm、又は任意の他の幅であることが可能である。幾つかの態様において、ワイヤーパーツ816の長さは、約6.5mm~7.4mm、約6.5mm~7.0mm、約6.5mm、6.8mm、7.1mm、7.4mm、又は任意の他の長さである。幾つかの態様において、コネクタパーツ820及び電極パーツ812は、非対称になっていることが可能である。幾つかの態様において、コネクタパーツ820の幅は、約0.24mm~0.36mm、約0.28mm~0.32mm、約0.24mm、約0.30mm、約0.36mm、又は任意の他の幅であることが可能である。幾つかの態様において、コネクタパーツ820の長さlは、約0.5~mm0.7mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、又は任意の他の長さであることが可能である。幾つかの態様において、電極パーツ812の長さlは、約1.4mm~1.6mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、又は任意の他の長さであることが可能である。幾つかの態様において、基準電極520は、他の形状を有することが可能である。
【0032】
引き続き図6Aを参照すると、幾つかの態様において、作用電極510は、電極パーツ810と、コネクタパーツ818と、電極パーツ810及びコネクタパーツ818を接続するワイヤーパーツ814とを含むことが可能である。幾つかの態様において、コネクタパーツ818は、システムの電気回路に接続するために使用されることが可能である。幾つかの態様において、作用電極510は、基準電極520に接触することなく、基準電極520を包含するように配置されることが可能である。幾つかの態様において、ワイヤーパーツ814の長さは、約8.5mm~9.5mm、約8.5mm、約9.0mm、約9.5mm、又は任意の他の長さであることが可能である。幾つかの態様において、電極パーツ810の長さlは、約1.3mm~1.5mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、又は任意の他の長さであることが可能である。幾つかの態様において、コネクタパーツ818の長さlは、約0.5mm~0.7mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、又は任意の他の長さであることが可能である。幾つかの態様において、作用電極510は、他の形状を含むことが可能である。
【0033】
図6Bは、例示的な電極システムにおける作用電極510及び基準電極520の寸法を図示している。非限定的な例として、電極パーツ812の長さlは、約1.5mmであり、コネクタパーツ818の長さlは、約0.6mmであり、電極パーツ810の長さlは、約1.4mmであり、長さlは、約0.06であり、長さlは、約0.6mmであり、電極システムの幅wは、約0.36mmであり、幅wは、約0.06mmであり、幅wは、約0.08mmである。
【0034】
図7Aは、第1のポリマー層560の側から見られた例示的な電極システム500の平面図及び寸法を図示している。幾つかの態様において、第1のポリマー層560は、作用電極510及び基準電極520のワイヤーパーツ814及び816をそれぞれカバーすることが可能である。幾つかの態様において、第1のポリマー層560の長さは、約3.5mm~3.9mm、約3.5mm、約3.7mm、約3.9mm、又は任意の他の長さであることが可能である。第1のポリマー層560は、電極の保護を提供することが可能である。
【0035】
図7Bは、例示的な電極システムにおける第1のポリマー層560の寸法を図示している。非限定的な例として、長さlは、約1.4mmであり、長さlは、約3mmである。
【0036】
図5Dに戻って参照すると、幾つかの態様において、第2のポリマー層540の厚さは、約50μm~70μm、約55μm~65μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、又は任意の他の厚さである。幾つかの態様において、第2のポリマー層540は、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は他の同等のポリマーを含むことが可能である。
【0037】
引き続き図5Dを参照すると、幾つかの態様において、第3のポリマー層550の厚さは、約50μm~70μm、約55μm~65μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、又は任意の他の厚さである。幾つかの態様において、第3のポリマー層550は、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は他の同等のポリマーを含むことが可能である。幾つかの態様において、第2及び第3のポリマー層の厚さは、同様であることが可能である。幾つかの態様において、第2及び第3のポリマー層は、一緒に基板としての役割を果たすことが可能である。幾つかの態様において、第2及び第3のポリマー層は、1つの単一の層として組み合わせられることが可能であり、この単一の層の厚さは、第2及び第3のポリマー層の厚さの総和であることが可能である。幾つかの態様において、第3のポリマー層は、電極システムから省略されることが可能である。
【0038】
引き続き図5Dを参照すると、カウンター電極530は、本明細書で説明されている1つ又は複数の金属を含むことが可能である。1つの態様では、カウンター電極は、金を含む。幾つかの態様において、カウンター電極530の厚さは、約2μm~4μm、約2.5μm~3.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、又は他の厚さであることが可能である。幾つかの態様において、カウンター電極530は、電極システムから省略されることが可能である。
【0039】
引き続き図5Dを参照すると、幾つかの態様において、第4のポリマー層570の厚さは、約15μm~30μm、約25μm~35μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、又は任意の他の厚さであることが可能である。幾つかの態様において、第4のポリマー層570は、ポリイミド(PI)又は他の同等のポリマーを含むことが可能である。
【0040】
図8Aは、第4のポリマー層570及びカウンター電極530の側から見られた例示的な電極システムの平面図を図示している。図8Aに示されているように、幾つかの態様において、カウンター電極530は、長方形形状を含むことが可能である。幾つかの態様において、長方形形状の長さは、約7mm~10mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、又は任意の他の長さであることが可能である。幾つかの態様において、長方形形状の幅wは、約0.2mm~0.36mm、約0.20mm、0.26mm、0.3mm、0.36mm、又は任意の他の幅であることが可能である。幾つかの態様において、第4のポリマー層570は、カウンター電極530の一部をカバーすることが可能である。幾つかの態様において、第4のポリマー層570の長さは、約4.0mm~4.9mm、約4.0mm~4.5mm、約4.0mm、約4.3mm、約4.6mm、又は任意の他の長さであることが可能である。第4のポリマー層570は、カウンター電極の保護を提供することが可能である。
【0041】
図8Bは、第4のポリマー層570及びカウンター電極530の寸法を図示している。非限定的な例として、カウンター電極530の幅wは、約0.26mmであり、長さlは、約0.7であり、長さl10は、約3mmである。
【0042】
C.例示的な電極システムの表面特質
作用電極の表面特質は、CGMセンサの製作のすべての後続のステップにとって重要である。有機材料、化学的不純物、及び酸化金属の任意の堆積は、(電気化学的堆積、電解重合、電気化学的な面積決定などのための)分析物に向けた異なる表面吸着特質、内側選択的層(PoPD、セルロースアセテート、Nafion(商標)、ポリフェノールなど)の不規則な物理的な吸着、又は、Ptワイヤー表面の上でのヒドロキシルグループの分布の不規則性(それは、Hの均一な酸化速度にとって重要である)に起因して、表面に沿った不規則な電気伝導度につながる可能性がある。作用電極の表面をクリーニングするさまざまなプロトコルが存在しており、それは、それに限定されないが、a)チタンチップソニケーションを使用した100%アセトン及び脱イオン水の中での機械的撹拌、b)残留有機物質を溶解させるための、及び、白金表面をわずかにエッチングするための、濃硝酸の中への浸漬、並びに、c)1M硫酸(HSO)の中での-0.2[V]から1.145[V]の間のサイクリックボルタンメトリーの複数のサイクルを実施することによる表面の電気化学的なコンディショニング/活性化を含む。
【0043】
したがって、ほとんどの酸化還元種の電気化学的酸化反応は、最大の応答に関して、白金酸化物(Pt(O))表面形成の電位に近い電位において好適である。
【0044】
電気化学的な種は、酸素との反応を通して、Pt表面において電極触媒酸化を受け、酸素は、バルク水から来るか、又は、Pt表面の陽極活性化によって形成された電極の上の表面酸化物から来ることが可能である。Pt表面の上に酸化物層を有することは、容易に利用可能な白金酸化物に起因して、電気化学的な電荷移送反応を加速させる。このサイクリックメカニズムの第1のステップにおいて、Hは、Ptの表面と反応し、Pt(O)を形成し、HOの1つの分子を解放する。第2のステップにおいて、Hの第2の分子が、Pt(O)を金属Ptに還元し、第2のHO及びOの第2の分子を解放する。第1の反応は、この2パートの反応における律速段階である。表面においてPt(O)を組み込む(活性化)ことは、H分解のより速い速度を示す。その理由は、反応の律速段階が、第1のサイクルにおいてスキップされるからである。
【0045】
多くの潜在的に並行する/競合するPtベースのH電気化学的酸化反応メカニズムが存在している。Ptの陽極活性化は、サイクリックボルタンメトリーの適用によって実現されることが可能であり、サイクリックボルタンメトリーでは、陽極領域における電位をスキャンすることによって、及び/又は、いくらかの時間にわたって陽極限界において電位を保持することによって、電極が陽極酸化される。1つの例において、1M HSOによるPtクリーニング手順の間に、サイクリックボルタンメトリースキャンは、1.145V vs Ag/AgClの最終的な高い陽極電位において停止された。この電位において、均一なPt(O)層及び活性化された作用電極表面が形成される。
【0046】
を検出するために、GOx酵素層が、グルコース信号を正規化するための他の層とともに白金電極の上に堆積されることとなり、それは、作用電極(WE)として作用することとなる。3電極構成は、2つの他の電極を含み、それは、基準電極(RE)(作用電極の電位は、基準電極(RE)に対して一定の値に維持される)としての固体状態の銀/塩化銀(Ag/AgCl)、及び、任意の安定した/貴金属(Au、Pt、ステンレス鋼、又はその他)から作製されたカウンター電極(CE)(それは、作用電極とカウンター電極自身との間に電流を通すための導管として作用する)である。作用電極表面がAg/AgClに対してCGMの動作電位(+0.6V)に保持されるときに、Hは、酸化してOになり、Hの1分子当たり2つの電子を放出する。
2AgCl+2e → 2Ag+2Cl
【0047】
しかし、この電位において、他の内因性の酸化還元活性種(たとえば、アスコルビン酸、尿酸など)及び外因性の酸化還元活性種(たとえば、アセトアミノフェンなど)も、電極表面において還元/酸化を受ける。これは、アンペロメトリック信号の増加又は減少につながる可能性がある。本明細書で説明されているように、第2の透過性層及び/又は酸素補充層の組み込みは、これらの干渉種が電極表面に到達することを阻止することによって、干渉によって引き起こされる信号を実質的に低減させるか又は排除することが可能である。本明細書で説明されているように、CGMセンサ干渉は、以下の干渉分子が電極に到達する前に、センサの外側層の中の干渉分子の分解に特異的に触媒作用を及ぼす酵素の組み合わせを追加することによって、低減/排除されることが可能である:アスコルビン酸、尿酸、又はアセトアミノフェン、ヒドロキシ尿素、コレステロール、クレアチニン、ドーパミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ゲンチジン酸、ヘパリン、若しくはサリチル酸、又はそれらの組み合わせ。干渉分子のそれぞれに特異的な酵素は、第2の透過性選択的層(内側選択的層)、GOx酵素層、第1の透過性選択的層(外側パーマ選択的層(outer perm-selective layer))、又は外側保護層のうちの1つ又は複数に追加されることが可能である。
【0048】
酵素GOxは、電着、電解重合、及び、ポリマー(たとえば、o-フェニレンジアミン、アニリン、又は他のポリマーなど)の物理的な吸着の何らかの組み合わせを使用して、WEワイヤーの表面の上に堆積及び捕捉されることが可能である。ポリマーを含むことは、複数の目的を有する可能性がある。たとえば、ポリマー化されたメッシュは、GOx酵素を物理的に捕捉し、それをWE表面に吸着させることが可能である。別の例では、ポリマーバックボーンは、導電性であり、WEへの電子の移送を促進させることが可能である。追加的に又は代替的に、GOx堆積層の下方又は上方に堆積された、たとえば、Nafion、セルロースアセテートなど、又はそれらの組み合わせから構築された他のポリマー層が、グルコース及び酸素のレベルを正常化することが可能である。これらの他のポリマー層は、生理学的に適切なグルコース濃度に対する電流応答を線形化することを助けることが可能である。追加的に又は代替的に、他のポリマー層(たとえば、セルロースアセテートなど)は、活性化されたWE金属表面を保護することが可能である。この保護は、有益である。その理由は、作用電極表面と過酸化水素との反応が、システムの電気回路によって測定される電気信号の生成に主に関与するので、WEの活性化された表面が、高感度のグルコースセンサを開発する際に重要であるからである。
【0049】
別の例では、センサは、溶存酸素へのCGMの依存性を除去又は低減させ、小分子(「メディエーター」と称される場合もある)の使用によって酸素の機能を代替することを助けるように構成されることが可能である。メディエーターは、酵素(GOx)触媒中心から電極への電子の移送を促進させるために、センサシステムの文脈において酸素と同様の方式で機能することが可能である。メディエーターは、この機能性を可能にすることができる割合で、センサヘッドの中へ製作されることが可能である。幾つかの例において、その割合は、経験的に決定されることが可能である。メディエーターは、安定した様式で電子を受け入れ、及び/又は、特定の条件において(たとえば、電極表面においてなど)電子を放棄することができる、分子から構築されることが可能である。メディエーターは、任意の数の材料(たとえば、フェロセン、フェリシアン化物、又は、オスミウムベースの遷移金属錯体など)を含むことが可能である。幾つかの例において、酵素(GOx)、メディエーター、及び/又はポリマーは、金属電極に共有結合され、グルコースを検出するためのセンサを形成することが可能である。このセンサ構成では、構築体は、ポリマー(たとえば、Nafionなど)の複数の層によってカプセル化されることも可能である。ポリマーの層は、特定の目的を果たすことが可能である。追加的に又は代替的に、ポリマーは、酵素におけるグルコースの濃度を制限し、さまざまな濃度のグルコースに対する電流応答を線形化することが可能である。幾つかの例において、メディエーターの追加は、侵襲的な移植の後に分子がリーチング(leeching)しないように維持するために、センサ製作の安定性とともにメディエーター分子の生体適合性を確保するための追加的なステップを含むことが可能である。幾つかの例において、メディエーターを含む電極は、金(Au)、Pt/Ir、又はPt/Au電極を使用して構築されることが可能である。
【0050】
有利には、選択されるポリマー層及びGOxは、生体適合性である。同様に、Pt、Au、及びAgは、優れた生体適合性を有する貴金属である。
【0051】
電気信号を記録するさまざまな方法が使用されることが可能である。たとえば、サイクリックボルタンメトリー、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、又は、電気信号を記録する別の方法が使用されることが可能である。センサの寿命時間にわたるグルコース濃度の再現性及び正確さなどのようなパラメーターに基づいて、方法が選択されることが可能である。
【0052】
CGMセンサは、グルコースの濃度を検出して、GOx、FAD、過酸化物分子、及び、最後に作用電極の間の一連の電子移送ステップによって、比例電気信号(電流又は電位)に変換することが可能である。しかし、この比例定数は、広範な物理的な及び生化学的なパラメーターに敏感である。これらのパラメーターは、より一貫した信号を作り出すことを助けるために、製作の間に制御及び標準化されることが可能である。たとえば、そのようなパラメーター、及び、製作のためにこれらのパラメーターを標準化する例示的な(しかし、排他的ではない)方法は、それに限定されないが:1)センサヘッドの幾何学形状及びサイズ(それは、一貫性のためにフェロセン又はフェロシアン化カリウムのような既知で挙動の良い酸化還元化合物のサイクリックボルタンメトリーによって評価されることが可能である);2)センサヘッドに捕獲されるグルコースオキシダーゼ酵素の量(それは、既知の濃度の過酸化物に対して作用電極の上で検出される電気信号によって評価され、グルコース応答と比較されることが可能である);3)作用電極と基準電極との間に印加される電圧(作用電圧は、既知の濃度のグルコースに関してさまざまな電圧の循環(cycling through)又はプロービングによって決定されることが可能である);4)グルコース及び酸素の濃度を正常化することができるポリマーコーティング(それは、さまざまな濃度のポリマーコーティングによるグルコース濃度に対する電気的な応答の線形化に基づいて評価されることが可能である);5)過酸化水素を酸化する白金電極の表面「活性化」及び保存(作用電極のセルロースアセテートポリマーコーティングを含むことは、標準化及び一貫性の目的のために機能的なグルコースセンサにおける表面「活性化」を保護することが可能である);6)アスコルビン酸、尿素、アセトアミノフェンなどのような干渉種を濾過するポリマーコーティング(Nafionポリマーコーティングが、電気的な測定における干渉を低減させるために利用されることが可能である);7)電子が白金電極に到達するための効率的な「経路」を提供する導電性ポリマー(PANI、PoPD、及び、導電性ポリマーを含むことが可能である他のポリマーなどのような幾つかのポリマーが、この目的のために使用されることが可能である);8)センサの近くでのグルコース及び酸素の局所的な拡散挙動(拡散挙動は、構築されたセンサの電気的な応答を電気化学の標準方程式と比較することによって特徴付けられることが可能である);9)ポリマー層、メディエーター、及びグルコースオキシダーゼ酵素のリーチング又は劣化(センサの構成要素の結合強度は、インビトロバッファー又は血液/プラズマの中でのセンサの長期の使用及び培養の間にこれらの構成要素の「漏出」を追跡することによって特徴付けられることとなる。UV/Vis分光法、化学的定量法、Raman分光法、及び原子間力顕微鏡法は、この現象を特徴付けるために使用され得る生物物理学的な方法のうちのいくつかである。);10)基準電極(Ag/AgCl)のドリフト/安定性(Ag/AgCl基準電極は、任意の数の方法によって構築され、電極は、業界をリードする低ノイズで長期の安定した市販のAg/AgCl電極に対して較正されることが可能である);11)測定場所の温度及びpH(それは、人体と一貫した温度及びpH(pH7.4及び37℃)に関してテストするために電気化学セルにおける試験において考慮されることが可能である);12)ISFの中へのセンサの侵入の深さ、を含むことが可能である。理想的には、センサヘッドの挿入の深さは、アプリケータを使用してかなり精密に制御されるべきである。この深さは、血液とISFとの間のグルコース値のラグタイムを部分的に決定することとなる。CGMの場所(腹部対腕部)は、ラグを決定する別の要因である。
【0053】
電気化学的なプローブを構成するときに、所望の信号リターンを実現するために、特定の金属の使用及び電極表面メッキが使用されることが可能である。この目的のために使用され得る幾つかの金属は、それに限定されないが、白金、金、銀、及び塩化銀を含む。金属及び表面メッキの他の組み合わせも可能である可能性がある。他の反復は、たとえば、炭素ナノチューブから作製された電極、グラフェン電極、他の金属表面の上に堆積された金ナノ粒子、グラッシーカーボン、酸化亜鉛ナノロッド、酸化インジウムスズなど、又は、それらの組み合わせなどのような、他の材料を含むことが可能である。
【0054】
プローブが、金属電極の正しい組み合わせから構築されると、多くのプローブ設計は、所望の分子(このケースでは、グルコース)をターゲットとする電気化学反応のゲインを誇張するか又は管理するかのいずれかのために、化学剤及びバッファーの適用も必要とする。
【0055】
D.専門用語
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的な及び科学的な用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。「含む(including)」という用語及び他の形態(たとえば、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」など)の使用は、限定的なものではない。「有する(having)」という用語及び他の形態(たとえば、「有する(have)」、「有する(has)」、及び「有していた(had)」など)の使用は、限定的なものではない。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」などの用語は、同義であり、オープンエンディッドの方式で包含的に使用され、追加的な要素、特徴、行為、及び動作などを除外するものではない。すなわち、上記の用語は、「少なくとも~を有する」又は「少なくとも~を含む」という語句と同義に解釈されるべきである。たとえば、プロセスの文脈において使用されるときに、「含む(comprising)」という用語は、プロセスが、少なくとも記載されたステップを含むが、追加的なステップを含むことも可能であるということを意味している。デバイスの文脈において使用されるときに、「含む(comprising)」という用語は、デバイスが、少なくとも記載された特徴又は構成要素を含むが、追加的な特徴又は構成要素を含むことも可能であるということを意味している。また、「又は」という用語は、その包含的な意味で(及び、その排他的な意味ではなく)使用され、たとえば、要素のリストを接続するために使用されるときに、「又は」という用語が、リストの中の要素のうちの1つ、いくつか、又はすべてを意味するようになっている。さらに、本明細書で使用されているときに、「それぞれ」という用語は、その通常の意味を有することに加えて、「それぞれ」という用語が適用される要素のセットの任意のサブセットを意味することが可能である。
【0056】
条件付き言語(たとえば、「can」、「could」、「might」、又は「may」など)は、具体的に別段の記述がない限り、又は、使用されるような文脈の中で別段の理解がない限り、一般的に、特定の態様が、特定の特徴、要素、又はステップを含むが、他の態様が、それを含まないということを伝えるように意図されている。したがって、そのような条件付き言語は、一般的には、特徴、要素、若しくはステップが、何らかの形で1つ若しくは複数の態様に必要とされるということ、又は、1つ若しくは複数の態様が、ユーザ入力若しくはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素、若しくはステップが任意の特定の実施形態の中に含まれているか若しくは実施されるべきであるということを決定するためのロジックを必ず含むということを、暗示するように意図されていない。
【0057】
語句「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」などのような接続的な言語は、具体的に別段の記述がない限り、アイテム、用語などが、X、Y、又はZのいずれかであることが可能であるということを伝えるために、一般的に使用されるように通常は文脈とともに理解される。したがって、そのような接続的な言語は、一般的に、特定の態様が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及び、Zのうちの少なくとも1つの存在を必要とするということを暗示するように意図されていない。
【0058】
本明細書で使用される、程度の言語(たとえば、本明細書で使用されているような「おおよそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語など)は、依然として所望の機能を果たすか又は所望の結果を実現する、記述された値、量、又は特質に近い値、量、又は特質を表す。たとえば、「おおよそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、記述された量の10%未満の中にある、記述された量の5%未満の中にある、記述された量の1%未満の中にある、記述された量の0.1%未満の中にある、及び、記述された量の0.01%未満の中にある量を指すことが可能である。
【0059】
本明細書で使用されているような「及び/又は」という用語は、その開示が、単独でAを含むか、単独でBを含むか、AとBの両方を一緒に含むか、又は、A若しくはBを交互に含むが、AとBの両方を必要としない、又は、Aのうちの1つ若しくはBのうちの1つを必要としない、その最も広範で最も限定的でない意味を有する。本明細書で使用されているように、A、B、「及び」Cのうちの「少なくとも1つ」という語句は、非排他的な論理的な「又は」を使用して、論理的なA又はB又はCを意味するように解釈されるべきである。
【0060】
本明細書で使用されているような「温度非依存性の」という用語は、グルコースモニタリングデバイスによるグルコースレベルの読み取り若しくは測定、又は、グルコースセンサの応答が、温度の変化によって影響を受けないか又は実質的に影響を受けないということを意味する。換言すれば、センサは、温度の変化(たとえば、低体温及び高体温などのような生理学的条件の結果としての体温の変化)に鈍感である。幾つかの態様において、グルコースモニタリングデバイスの温度非依存性の特性は、デバイスの動作温度の範囲(たとえば、約30℃から約45℃、約33℃から約43℃、約35℃から約41℃、又は、約36℃から約40℃)の中に維持される。幾つかの態様において、(1℃当たりの)温度の変化は、すべての他のパラメーターが同じままであるときに(たとえば、グルコース濃度が一定であるときに)センサの応答において、又は、デバイスによって提供される測定値/読み取り値において、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、又は0.01%未満の変化を結果として生じさせる。
【0061】
本明細書で開示されている任意の方法は、記載されている順序で実施される必要はない。本明細書で開示されている方法は、施術者によって行われる特定の行為を含む。しかし、それらは、明示的に又は暗示的に、それらの行為の任意の第三者インストラクションを含むことも可能である。
【0062】
本明細書で説明されている方法及びタスクは、コンピューターシステムによって実施され、完全に自動化されることが可能である。コンピューターシステムは、幾つかのケースでは、説明されている機能を果たすためにネットワークを介して通信して相互運用する複数の個別のコンピューター又はコンピューティングデバイス(たとえば、物理的なサーバー、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティングリソースなど)を含むことが可能である。それぞれのそのようなコンピューティングデバイスは、典型的に、メモリー又は他の非一時的なコンピューター可読のストレージ媒体又はデバイス(たとえば、ソリッドステートストレージデバイス、ディスクドライブなど)の中に記憶されているプログラムインストラクション又はモジュールを実行するプロセッサー(又は、複数のプロセッサー)を含む。本明細書で開示されているさまざまな機能は、そのようなプログラムインストラクションの中で具現化されることが可能であり、及び/又は、コンピューターシステムの特定用途向け回路(たとえば、ASIC又はFPGA)において実装されることが可能である。コンピューターシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、共同設置されることが可能であるが、共同設置される必要はない。開示されている方法及びタスクの結果は、物理的なストレージデバイス(たとえば、ソリッドステートメモリーチップ及び/又は磁気ディスクなど)を異なる状態に変換することによって、永続的に記憶されることが可能である。コンピューターシステムは、クラウドベースのコンピューティングシステムであることが可能であり、その処理リソースは、複数の個別のビジネスエンティティ又は他のユーザによって共有されている。
【0063】
上記の詳細な説明は、新規の特徴を示し、説明し、指摘してきたが、図示されているデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細におけるさまざまな省略、置換、及び変更が、本開示の趣旨から逸脱することなく行われ得るということが理解されることが可能である。認識され得るように、本明細書における説明の特定の部分は、幾つかの特徴が他の特徴とは別個に使用又は実践され得るので、本明細書に記載されている特徴及び利益のすべてを提供はしない形態の中で具現化されることが可能である。本明細書で開示されている特定の実装形態の範囲は、先述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の均等の意味及び範囲の中に入るすべての変更は、特許請求の範囲の中に包含されることとなる。
【符号の説明】
【0064】
100 疾患管理システム
500 電極システム
510 作用電極
520 基準電極
530 カウンター電極
540 第2のポリマー層
550 第3のポリマー層
560 第1のポリマー層
570 第4のポリマー層
810 電極パーツ
812 電極パーツ
814 ワイヤーパーツ
816 ワイヤーパーツ
818 コネクタパーツ
820 コネクタパーツ
1002 第1の疾患管理システム
1004 第2の疾患管理システム
1101 疾患管理システム
1103 疾患管理システム
1106 ベースプレート
1120 分析物センサ
1121 皮膚の表面
1122 医薬品カテーテル
1124 パルスセンサ
1126 分析物検出器
1128 医薬品ブラダー
1130 ポンプ
1132 バブル検出
1134 脈拍数検出
1136 ローカルユーザインターフェース
1138 コントローラ
1140 ユーザのスマートフォンアプリケーションへの通信Bluetooth(登録商標)ラジオ
1142 NFCタグ
1146 コネクタテストポイント
1152 空気バブルセンサ
1154 パルスセンサ、カニューレ
1156 分析物センサ
1158 針
1160 LED
1162 針
1166 ベースプレート
1168 接着剤層
1170 触覚
1172 PCBA
1174 バッテリ
1176 ブザー
1178 圧力アプリケータ
1180 ポーチ
1182 アクチュエータ
1184 ギア
1186 ポンプ
1188 チュービング
1190 アプリケータ
1192 安全ボタン
4202 PCBA
4204 バッテリ
4206 分析物センサ及び針マウント
4208 接着剤ラッチメカニズム
4209 振動モータ
4210 ブザー
4214 ポーチ穿刺アッセンブリ
4216 医薬品ポーチアッセンブリ
4218 光パイプ
4220 ポンプアッセンブリ
4222 カニューレ及び針
4450 ガスケット
4454 センサを適正に位置決めするように構成された部分
4456 ディンプル
層540及び550の厚さ
すべての層の厚さ
層550、530、及び570の厚さ
層570の厚さ
電極システムの長さ
電極パーツ812の長さ
コネクタパーツ818の長さ
電極パーツ810の長さ
長さ
長さ
長さ
長さ
長さ
10 長さ
電極システムの幅


カウンター電極530の幅
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
【国際調査報告】