(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】集積回路、その製造方法、電力増幅器、および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20241018BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20241018BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 C
H01L21/205
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525500
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2021126984
(87)【国際公開番号】W WO2023070428
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】胡 彬
(72)【発明者】
【氏名】段 ▲煥▼涛
(72)【発明者】
【氏名】倪 茹雪
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲敏▼
【テーマコード(参考)】
5F045
5F102
【Fターム(参考)】
5F045AA04
5F045AB14
5F045AB17
5F045DA67
5F045HA16
5F102FA01
5F102GB01
5F102GC01
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5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GK04
5F102GK08
5F102GK09
5F102GL04
5F102GL09
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GS04
5F102HC01
5F102HC21
(57)【要約】
集積回路、その製造方法、電力増幅器、および電子デバイスが提供される。集積回路は、基板(1)、基板(1)上に位置される第1の核生成層(2)、第1の核生成層(2)上に位置されるバッファ層(3)、バッファ層(3)上に位置されるチャネル層(4)、チャネル層(4)上に位置されるバリア層(5)、ならびにバリア層(5)上に別々に位置されるソース(6)、ドレイン(7)、およびゲート(8)を含む。バッファ層(3)の転位密度が1e8cm-2未満であるため、結晶品質が改善されることができ、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
基板と、
前記基板上に位置される第1の核生成層と、
前記第1の核生成層上に位置されるバッファ層と、
前記バッファ層上に位置されるチャネル層と、
前記チャネル層上に位置されるバリア層と、
前記バリア層上に別々に位置されるソース、ドレイン、およびゲートと、
を含み、
前記バッファ層の転位密度が1e8cm
-2未満である、集積回路。
【請求項2】
前記バッファ層の前記転位密度は、1e6cm
-2未満である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記第1の核生成層と前記バッファ層の間の格子不整合が2%未満である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項4】
前記バッファ層はドープされたGaNまたはドープされたAlGaNを備え、前記第1の核生成層はAlScNまたはAlInNを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項5】
前記第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率が40%未満である、請求項4に記載の集積回路。
【請求項6】
前記第1の核生成層中のScまたはInの前記原子百分率が15%から20%の範囲である、請求項5に記載の集積回路。
【請求項7】
前記第1の核生成層中のScの前記原子百分率が18.75%であるか、または前記第1の核生成層中のInの前記原子百分率が17%である、請求項6に記載の集積回路。
【請求項8】
前記第1の核生成層のものであり、前記基板と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率が、前記第1の核生成層のものであり、前記バッファ層と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率よりも小さい、請求項4に記載の集積回路。
【請求項9】
前記第1の核生成層中のScの原子百分率が0%から18%に変化するか、または前記第1の核生成層中のInの原子百分率が0%から17%に変化する、請求項8に記載の集積回路。
【請求項10】
前記第1の核生成層と前記バッファ層の間に位置される第2の核生成層をさらに備え、前記第2の核生成層中の粒界の量は、前記第1の核生成層中の粒界の量よりも少ない、請求項1から9のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項11】
前記バリア層を使用して形成される2次元電子ガスの表面密度が、1e13cm
-2より大きい請求項1から10のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項12】
前記バリア層を使用して形成された前記2次元電子ガスの前記表面密度が、2e13cm
-2より大きい、請求項11に記載の集積回路。
【請求項13】
前記チャネル層はGaNを備え、前記バリア層はAlScN、AlInN、またはAlNを備える、請求項11または12に記載の集積回路。
【請求項14】
前記基板が、SiまたはSiCを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項15】
前記集積回路が、高電子移動度トランジスタである、請求項1から14のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の集積回路の製造方法であって、
物理気相成長PVDプロセスまたはパルスレーザ堆積PLDプロセスを通して基板上に第1の核生成層を形成するステップと、
有機金属化学気相成長MOCVDプロセスを通して前記第1の核生成層上にバッファ層を形成するステップと、
前記MOCVDプロセスを通して前記バッファ層上にチャネル層を形成するステップと、
前記MOCVDプロセスまたは分子線エピタキシMBEプロセスを通して前記チャネル層上にバリア層を形成するステップと、
前記バリア層上にソース、ドレイン、およびゲートを別々に形成するステップと
を含む、製造方法。
【請求項17】
基板上に第1の核生成層を形成する前記ステップの後に、前記方法が、
前記MOCVDプロセスを通して前記第1の核生成層上に第2の核生成層を形成するステップ、
をさらに含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
基板上に第1の核生成層を形成する前記ステップの後に、前記方法が、
不活性ガスの保護下で前記第1の核生成層に対して高温アニーリングプロセスを実施するステップ、
をさらに含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
基板上に第1の核生成層を形成する前記ステップが、
前記基板上に前記第1の核生成層を形成するために、AlScNまたはAlInNターゲットを使用して直接スパッタリングを行うステップ、Alターゲット、Scターゲット、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングを行うステップ、あるいはAlターゲット、Inターゲット、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングを行うステップ、
を具体的に含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記Alターゲット、前記Scターゲット、および前記アンモニアガスまたは前記窒素ガスが使用され反応性スパッタリングを行い、あるいは前記Alターゲット、前記Inターゲット、および前記アンモニアガスまたは前記窒素ガスが使用され反応性スパッタリングを行い、前記基板上に前記第1の核生成層を形成するときに、前記Scターゲットまたは前記Inターゲットの反応性スパッタリング百分率が徐々に増加され、前記第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率を前記基板から前記バッファ層に向かう方向に徐々に増加させる、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
回路基板および前記回路基板上に配置された請求項1から15のいずれか一項に記載の集積回路を備える、電子デバイス。
【請求項22】
回路基板および前記回路基板上に配置された請求項1から15のいずれか一項に記載の集積回路を備える、電力増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、半導体技術の分野に関し、特に、集積回路、その製造方法、電力増幅器、および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、有機金属化学気相成長(Metal organic Chemical Vapor Deposition,MOCVD)法に基づくヘテロ基板上へのヘテロエピタキシャル成長を通して取得される集積回路では、集積回路の性能および信頼性を改善される必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本出願は、性能および信頼性を改善するための集積回路、その製造方法、電力増幅器、および電子デバイスを提供する。
【0004】
第1の態様によれば、本出願は、基板1、基板上に位置される第1の核生成層、第1の核生成層上に位置されるバッファ層、バッファ層上に位置されるチャネル層、チャネル層上に位置されるバリア層、ならびにバリア層上に別々に位置されるソース、ドレイン、およびゲートを含む集積回路を提供する。バッファ層の転位密度は、1e8cm-2未満である。具体的には、集積回路は、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor,HEMT)であってもよい。
【0005】
本願のこの実施形態で提供される集積回路では、バッファ層の転位密度が1e8cm-2未満であるため、結晶品質が改善されることができ、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【0006】
本出願の可能な実装形態では、バッファ層の転位密度が1e6cm-2未満にさらに制御され得、結晶品質がさらに改善されることができ、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【0007】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層とバッファ層の間の格子不整合を2%未満に制御され得るので、結晶品質が改善されることができ、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【0008】
本出願の可能な実装形態では、バッファ層は、ドープされたGaNまたはドープされたAlGaNを含み得、第1の核生成層は、AlScN材料、AlInN材料などを含み得る。バッファ層のドーピング材料は、Fe、Cなどであり得、バッファ層の抵抗率は、FeまたはCをドーピングすることによって改善され得る。第1の核生成層がAlScN材料を使用するとき、AlScN中のSc原子は、AlとNの間の原子間隔を増加させ、格子定数を増加させて、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小格子不整合を達成し得る。同様に、本出願では、第1の核生成層がAlInN材料を使用するとき、AlInN中のIn原子は、AlとNの間の原子間隔を増加させ、格子定数を増加させて、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小格子不整合を達成し得る。加えて、具体的には、第1の核生成層の材料中のScまたはInの百分率が調整され、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小の格子不整合を達成し得る。
【0009】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率は通常40%未満なので、第1の核生成層とバッファ層の間の格子不整合は2%未満であり得る。加えて、第1の核生成層中のScまたはInの百分率が0%から徐々に増加するにつれて、GaNとの格子不整合が徐々に減少する。
【0010】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率は、15%から20%の範囲であり得る。具体的には、第1の核生成層中のScの原子百分率が18.75%、すなわちAl0.8125Sc0.1875Nに達すると、AlScN材料の格子とGaN材料の格子とが完全に一致し、原子間の不整合が最も小さくなる。第1の核生成層中のInの原子百分率が17%、すなわちAl0.83In0.17Nに達すると、AlInN材料の格子とGaN材料の格子とが完全に一致し、原子間の不整合が最も小さくなる。
【0011】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層がAlScNまたはAlInNを使用することによって製造されるとき、第1の核生成層は、PVDまたはPLDプロセスによって特に製造され得る。AlNがMOCVDプロセスを通して核生成層として製造される場合と比較して、PVDおよびPLDプロセスを通して製造される第1の核生成層は、基板上の選択性がより低く、すなわち、基板の品質に対する要求が低減され、その結果、後続のチャネル層の材料の成長は基板に依存しない。第1の核生成層は、わずかに低品質または通常品質の基板上への堆積によって取得され得る。取得された第1の核生成層が使用され、バッファ層としてドープされたGaN材料を直接成長され得、次いでチャネル層としてのバッファ層に基づいて高品質のGaN材料がエピタキシャル成長され得る。したがって、基板はSiCまたはSi材料を直接使用し得、その結果、大きな格子不整合を伴うSi基板上に高品質のGaNエピタキシャル成長も実施されることができる。
【0012】
本出願の可能な実装形態では、基板がSiC材料を使用するとき、第1の核生成層がAlScN材料、AlInN材料などを使用する場合と比較して、SiCの格子定数はAlNの格子定数により近い。したがって、第1の核生成層の異なる位置におけるScまたはInの原子百分率が調整され得、具体的には、第1の核生成層のものである、基板と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率は、第1の核生成層のものである、バッファ層と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率よりも小さくなるように調整され、その結果、第1の核生成層のものである、基板と接触している表面の格子定数は、第1の核生成層のものである、バッファ層と接触している表面の格子定数よりも小さくなる。このようにして、第1の核生成層のものであり、基板と接触している表面の格子定数はSiCの格子定数により近く、その結果、第1の核生成層と基板の間の接触界面における格子整合はより良好であり、第1の核生成層のものであり、バッファ層と接触している表面の格子定数はバッファ層の格子定数に近く、その結果、第1の核生成層とバッファ層の間の接触界面における格子整合はより良好であり、第1の核生成層およびバッファ層の格子欠陥を低減し、結晶品質を改善する。
【0013】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層がAlScN材料などを使用するとき、第1の核生成層中のScの原子百分率は0%から18%に変化し得るので、第1の核生成層は勾配層として使用される。勾配層のものありであり、基板と接触している表面の材料は、SiCの格子と最も一致するために、AlNである。勾配層中のScの原子百分率は徐々に増加する。勾配層のものであり、バッファ層と接触している表面上のAlScN中のScの原子百分率は、GaNの格子と一致するために、最大である。第1の核生成層がAlInN材料などを使用するとき、第1の核生成層中のInの原子百分率は0%から17%に変化し得るので、第1の核生成層は勾配層として使用される。勾配層のものありであり、基板と接触している表面の材料は、SiCの格子と最も一致するために、AlNである。勾配層中のInの原子百分率は徐々に増加し、勾配層のものであり、バッファ層と接触している表面上のAlInN中のInの原子百分率は、GaNの格子と一致するために、最大である。
【0014】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層を製造するためにMOCVDプロセスを使用することと比較して、第1の核生成層を製造するためにPVDまたはPLDプロセスを使用することは、第1の核生成層の生成中に高い堆積速度をもたらし、20%を超える生産能力を節約し、生産コストを大幅に削減することができる。加えて、PVDまたはPLDプロセスは、8インチから12インチ以上の基板を支持し得る。具体的には、基板上に第1の核生成層を形成するために、AlScNまたはAlInNターゲットを使用して直接スパッタリングが行われてもよいし、あるいはAlターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングが行われてもよい。前述のプロセスを通して形成された第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率は固定され得る。代替的に、Alターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスが使用されて反応性スパッタリングを行い、基板上に第1の核生成層を形成するとき、ScターゲットまたはInターゲットの反応性スパッタリング百分率が徐々に増加され、第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率を基板からバッファ層に向かう方向に徐々に増加させ、勾配層を形成してもよい。漸進的な増加は、直線的な増加、段階的な増加、放物線的な増加などを含む、複数の増加傾向として理解され得る。厚い第1の核生成層は、PVDまたはPLDプロセスを通して製造され得、第1の核生成層の厚さは、10nmから500nm以内に制御さえ得る。
【0015】
PVDまたはPLDを通して製造された第1の核生成層は、多結晶材料(多結晶材料は、複数の柱状材料からなり、柱状材料の間に粒界が存在し、粒界が欠陥を形成する)で作られているため、第1の核生成層は、多くの粒界を有し、結晶品質が悪く、結晶は主に垂直方向に配置される。したがって、核生成層の結晶品質を改善するために、PVDまたはPLDプロセスを通して第1の核生成層が製造された後、不活性ガスの保護下で第1の核生成層に対して高温アニーリングプロセスが実行され、第1の核生成層の材料の結晶品質を改善し得る。代替的に、核生成層の結晶品質を改善するために、第1の核生成層がPVDまたはPLDプロセスを通して製造された後、第2の核生成層がMOVCDプロセスを通して製造され得る。第2の核生成層は、準単結晶材料で作られ得る。本出願の可能な実装形態では、集積回路は、第1の核生成層とバッファ層の間に位置される第2の核生成層をさらに含み得る。第2の核生成層は、MOCVDプロセスを通して製造され、その結果、第2の核生成層内の粒界の量は第1の核生成層中の粒界の量よりも少なくなる。言い換えれば、第2の核生成層は結晶欠陥がより少なく、結晶品質がより良好である。このようにして、バッファ層が第2の核生成層上にエピタキシャル成長されると、より良好な結晶品質が取得されることができる。
【0016】
良好な結晶品質を伴う第2の核生成層が取得されることができることを確実にするために、第2の核生成層によって使用される材料は、第1の核生成層によって使用される材料と同じである必要がある。例えば、AlScNがPVDまたはPLDプロセスを通して第1の核生成層として基板上に堆積された後、AlScNはMOCVDプロセスを通して第2の核生成層として成長され続け得る。加えて、第1の核生成層と第2の核生成層のものであり、互いに接触している表面におけるScまたはInの原子百分率は同じであることが好ましく、その結果、第1の核生成層と第2の核生成層の格子が完全に一致し、新たな格子欠陥が現れない。例えば、第1の核生成層中のScの原子百分率が18%である場合、第2の核生成層中のScの原子百分率も18%である。別の例では、第1の核生成層中のScの原子百分率が0%から18%に変化する場合、第2の核生成層中のScの原子百分率は18%である。加えて、MOVCDプロセスが使用されると膜層が遅く成長されるため、第2の核生成層の厚さは薄くてもよく、100nm未満、具体的には数nmから数十nmに制御される。
【0017】
本出願の可能な実装形態では、バリア層の厚さが薄いときに2次元電子ガスのより高い表面密度を実現し、高周波での無線周波数HEMTデバイスの適用を容易にするために、バリア層を使用して形成された2次元電子ガスの表面密度は1e13cm-2より大きい。さらに、バリア層を使用して形成される2次元電子ガスの表面密度は、2e13cm-2より大きく、バリア層の2次元電子ガスの表面密度をさらに改善する。
【0018】
本出願の可能な実装形態では、バリア層は、AlScN材料、AlInN材料、AlN材料などを含み得る。これらの材料は、良好な圧電効果を有するため、バリア層の2次元電子ガス濃度が増大されることができ、デバイスにおけるバリア層の厚さの減少に起因するデバイス短チャネル効果が効果的に低減されることができる。加えて、バリア層としてAlScNまたはAlInN材料が使用されることで、チャネル層とバリア層の間の格子不整合がさらに低減されることができ、結晶品質が改善されることができ、より高品質なエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。具体的には、バリア層としてAlScNまたはAlInN材料が使用されるとき、ScまたはInの原子百分率は、第1の核生成層におけるScまたはInの原子百分率と同じである。原子百分率は、格子不整合を低減するために、通常40%未満、好ましくは15%から20%の範囲である。Scの最適原子百分率は18%であり、Inの最適原子百分率は17%である。
【0019】
第2の態様によれば、本出願は、基板1、基板上に位置される第1の核生成層、第1の核生成層上に位置されるバッファ層、バッファ層上に位置されるチャネル層、チャネル層上に位置されるバリア層、ならびにバリア層上に別々に位置されるソース、ドレイン、およびゲートを含む集積回路を提供する。バッファ層は、ドープされたGaNまたはドープされたAlGaNを含み得、第1の核生成層は、AlScN材料、AlInN材料などを含み得る。バッファ層のドーピング材料は、Fe、Cなどであり得、バッファ層の抵抗率は、FeまたはCをドーピングすることによって改善され得る。第1の核生成層がAlScN材料を使用するとき、AlScN中のSc原子は、AlとNの間の原子間隔を増加させ、格子定数を増加させて、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小格子不整合を達成し得、その結果、バッファ層の転位密度は、1e8cm-2未満、さらには1e6cm-2未満に低減される。同様に、本出願では、第1の核生成層がAlInN材料を使用するとき、AlInN中のIn原子は、AlとNの間の原子間隔を増加させ、格子定数を増加させて、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小格子不整合を達成し得る。加えて、具体的には、第1の核生成層の材料中のScまたはInの百分率が調整され、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小の格子不整合を達成し得、その結果、バッファ層の転位密度は1e8cm-2未満、さらには1e6cm-2未満に低減される。バッファ層と第1の核生成層の間の格子不整合が低減され、バッファ層の転位密度が低減されるので、結晶品質が改善されることができ、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【0020】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率は通常40%未満なので、第1の核生成層とバッファ層の間の格子不整合は2%未満であり得る。加えて、第1の核生成層中のScまたはInの百分率が0%から徐々に増加するにつれて、GaNとの格子不整合が徐々に減少する。
【0021】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率は、15%から20%の範囲であり得る。具体的には、第1の核生成層中のScの原子百分率が18.75%、すなわちAl0.8125Sc0.1875Nに達すると、AlScN材料の格子とGaN材料の格子とが完全に一致し、原子間の不整合が最も小さくなる。第1の核生成層中のInの原子百分率が17%、すなわちAl0.83In0.17Nに達すると、AlInN材料の格子とGaN材料の格子とが完全に一致し、原子間の不整合が最も小さくなる。
【0022】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層がAlScNまたはAlInNを使用することによって製造されるとき、第1の核生成層は、PVDまたはPLDプロセスによって特に製造され得る。AlNがMOCVDプロセスを通して核生成層として製造される場合と比較して、PVDおよびPLDプロセスを通して製造される第1の核生成層は、基板上の選択性がより低く、すなわち、基板の品質に対する要求が低減され、その結果、後続のチャネル層の材料の成長は基板に依存しない。第1の核生成層は、わずかに低品質または通常品質の基板上への堆積によって取得され得る。取得された第1の核生成層が使用され、バッファ層としてドープされたGaN材料を直接成長され得、次いでチャネル層としてのバッファ層に基づいて高品質のGaN材料がエピタキシャル成長され得る。したがって、基板はSiCまたはSi材料を直接使用し得、その結果、大きな格子不整合を伴うSi基板上に高品質のGaNエピタキシャル成長も実施されることができる。
【0023】
本出願の可能な実装形態では、基板がSiC材料を使用するとき、第1の核生成層がAlScN材料、AlInN材料などを使用する場合と比較して、SiCの格子定数はAlNの格子定数により近い。したがって、第1の核生成層の異なる位置におけるScまたはInの原子百分率が調整され得、具体的には、第1の核生成層のものである、基板と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率は、第1の核生成層のものである、バッファ層と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率よりも小さくなるように調整され、その結果、第1の核生成層のものである、基板と接触している表面の格子定数は、第1の核生成層のものである、バッファ層と接触している表面の格子定数よりも小さくなる。このようにして、第1の核生成層のものであり、基板と接触している表面の格子定数はSiCの格子定数により近く、その結果、第1の核生成層と基板の間の接触界面における格子整合はより良好であり、第1の核生成層のものであり、バッファ層と接触している表面の格子定数はバッファ層の格子定数に近く、その結果、第1の核生成層とバッファ層の間の接触界面における格子整合はより良好であり、第1の核生成層およびバッファ層の格子欠陥を低減し、結晶品質を改善する。
【0024】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層がAlScN材料などを使用するとき、第1の核生成層中のScの原子百分率は0%から18%に変化し得るので、第1の核生成層は勾配層として使用される。勾配層のものありであり、基板と接触している表面の材料は、SiCの格子と最も一致するために、AlNである。勾配層中のScの原子百分率は徐々に増加する。勾配層のものであり、バッファ層と接触している表面上のAlScN中のScの原子百分率は、GaNの格子と一致するために、最大である。第1の核生成層がAlInN材料などを使用するとき、第1の核生成層中のInの原子百分率は0%から17%に変化し得るので、第1の核生成層は勾配層として使用される。勾配層のものありであり、基板と接触している表面の材料は、SiCの格子と最も一致するために、AlNである。勾配層中のInの原子百分率は徐々に増加し、勾配層のものであり、バッファ層と接触している表面上のAlInN中のInの原子百分率は、GaNの格子と一致するために、最大である。
【0025】
本出願の可能な実装形態では、第1の核生成層を製造するためにMOCVDプロセスを使用することと比較して、第1の核生成層を製造するためにPVDまたはPLDプロセスを使用することは、第1の核生成層の生成中に高い堆積速度をもたらし、20%を超える生産能力を節約し、生産コストを大幅に削減することができる。加えて、PVDまたはPLDプロセスは、8インチから12インチ以上の基板を支持し得る。具体的には、基板上に第1の核生成層を形成するために、AlScNまたはAlInNターゲットを使用して直接スパッタリングが行われてもよいし、あるいはAlターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングが行われてもよい。前述のプロセスを通して形成された第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率は固定され得る。代替的に、Alターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスが使用されて反応性スパッタリングを行い、基板上に第1の核生成層を形成するとき、ScターゲットまたはInターゲットの反応性スパッタリング百分率が徐々に増加され、第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率を基板からバッファ層に向かう方向に徐々に増加させ、勾配層を形成してもよい。漸進的な増加は、直線的な増加、段階的な増加、放物線的な増加などを含む、複数の増加傾向として理解され得る。厚い第1の核生成層は、PVDまたはPLDプロセスを通して製造され得、第1の核生成層の厚さは、10nmから500nm以内に制御さえ得る。
【0026】
PVDまたはPLDを通して製造された第1の核生成層は、多結晶材料(多結晶材料は、複数の柱状材料からなり、柱状材料の間に粒界が存在し、粒界が欠陥を形成する)で作られているため、第1の核生成層は、多くの粒界を有し、結晶品質が悪く、結晶は主に垂直方向に配置される。したがって、核生成層の結晶品質を改善するために、PVDまたはPLDプロセスを通して第1の核生成層が製造された後、不活性ガスの保護下で第1の核生成層に対して高温アニーリングプロセスが実行され、第1の核生成層の材料の結晶品質を改善し得る。代替的に、核生成層の結晶品質を改善するために、第1の核生成層がPVDまたはPLDプロセスを通して製造された後、第2の核生成層がMOVCDプロセスを通して製造され得る。第2の核生成層は、準単結晶材料で作られ得る。本出願の可能な実装形態では、集積回路は、第1の核生成層とバッファ層の間に位置される第2の核生成層をさらに含み得る。第2の核生成層は、MOCVDプロセスを通して製造され、その結果、第2の核生成層内の粒界の量は第1の核生成層中の粒界の量よりも少なくなる。言い換えれば、第2の核生成層は結晶欠陥がより少なく、結晶品質がより良好である。このようにして、バッファ層が第2の核生成層上にエピタキシャル成長されると、より良好な結晶品質が取得されることができる。
【0027】
良好な結晶品質を伴う第2の核生成層が取得されることができることを確実にするために、第2の核生成層によって使用される材料は、第1の核生成層によって使用される材料と同じである必要がある。例えば、AlScNがPVDまたはPLDプロセスを通して第1の核生成層として基板上に堆積された後、AlScNはMOCVDプロセスを通して第2の核生成層として成長され続け得る。加えて、第1の核生成層と第2の核生成層のものであり、互いに接触している表面におけるScまたはInの原子百分率は同じであることが好ましく、その結果、第1の核生成層と第2の核生成層の格子が完全に一致し、新たな格子欠陥が現れない。例えば、第1の核生成層中のScの原子百分率が18%である場合、第2の核生成層中のScの原子百分率も18%である。別の例では、第1の核生成層中のScの原子百分率が0%から18%に変化する場合、第2の核生成層中のScの原子百分率は18%である。加えて、MOVCDプロセスが使用されると膜層が遅く成長されるため、第2の核生成層の厚さは薄くてもよく、100nm未満、具体的には数nmから数十nmに制御される。
【0028】
本出願の可能な実装形態では、バリア層の厚さが薄いときに2次元電子ガスのより高い表面密度を実現し、高周波での無線周波数HEMTデバイスの適用を容易にするために、バリア層を使用して形成された2次元電子ガスの表面密度は1e13cm-2より大きい。さらに、バリア層を使用して形成される2次元電子ガスの表面密度は、2e13cm-2より大きく、バリア層の2次元電子ガスの表面密度をさらに改善する。
【0029】
本出願の可能な実装形態では、バリア層は、AlScN材料、AlInN材料、AlN材料などを含み得る。これらの材料は、良好な圧電効果を有するため、バリア層の2次元電子ガス濃度が増大されることができ、デバイスにおけるバリア層の厚さの減少に起因するデバイス短チャネル効果が効果的に低減されることができる。加えて、バリア層としてAlScNまたはAlInN材料が使用されることで、チャネル層とバリア層の間の格子不整合がさらに低減されることができ、結晶品質が改善されることができ、より高品質なエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。具体的には、バリア層としてAlScNまたはAlInN材料が使用されるとき、ScまたはInの原子百分率は、第1の核生成層におけるScまたはInの原子百分率と同じである。原子百分率は、格子不整合を低減するために、通常40%未満、好ましくは15%から20%の範囲である。Scの最適原子百分率は18%であり、Inの最適原子百分率は17%である。
【0030】
第3の態様によれば、本出願は、第1の態様または第2の態様のいずれかの事例で提供される集積回路のための製造方法を提供する。本方法は、物理気相成長PVDプロセスまたはパルスレーザ堆積PLDプロセスを通して基板上に第1の核生成層を形成するステップ、有機金属化学気相成長MOCVDプロセスを通して第1の核生成層上にバッファ層を形成するステップ、MOCVDプロセスを通してバッファ層上にチャネル層を形成するステップ、MOCVDプロセスまたは分子線エピタキシMBEプロセスを通してチャネル層上にバリア層を形成するステップ、およびバリア層上にソース、ドレイン、およびゲートを別々に形成するステップを含む。
【0031】
AlNがMOCVDプロセスを通して核生成層として製造される場合と比較して、PVDおよびPLDプロセスを通して製造される第1の核生成層は、基板上の選択性がより低く、すなわち、基板の品質に対する要求が低減され、その結果、後続のチャネル層の材料の成長は基板に依存しない。第1の核生成層は、わずかに低品質または通常品質の基板上への堆積によって取得され得る。取得された第1の核生成層が使用され、バッファ層としてドープされたGaN材料を直接成長され得、次いでチャネル層としてのバッファ層に基づいて高品質のGaN材料がエピタキシャル成長され得る。したがって、基板はSiCまたはSi材料を直接使用し得、その結果、大きな格子不整合を伴うSi基板上に高品質のGaNエピタキシャル成長も実施されることができる。
【0032】
加えて、第1の核生成層を製造するためにMOCVDプロセスを使用することと比較して、第1の核生成層を製造するためにPVDまたはPLDプロセスを使用することは、第1の核生成層の生成中に高い堆積速度をもたらし、20%を超える生産能力を節約し、生産コストを大幅に削減することができる。加えて、PVDまたはPLDプロセスは、8インチから12インチ以上の基板を支持し得る。
【0033】
本出願の可能な実装形態では、具体的には、基板1上に第1の核生成層を形成するために、AlScNまたはAlInNターゲットを使用して直接スパッタリングが行われてもよいし、あるいはAlターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングが行われてもよい。前述のプロセスを通して形成された第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率は固定され得る。代替的に、Alターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスが使用されて反応性スパッタリングを行い、基板上に第1の核生成層を形成するとき、ScターゲットまたはInターゲットの反応性スパッタリング百分率が徐々に増加され、第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率を基板からバッファ層に向かう方向に徐々に増加させ、勾配層を形成してもよい。厚い第1の核生成層は、PVDまたはPLDプロセスを通して製造され得、第1の核生成層の厚さは、10nmから500nm以内に制御さえ得る。
【0034】
本出願の可能な実装形態では、PVDまたはPLDを通して製造された第1の核生成層は多結晶材料で作られているため、第1の核生成層は多くの粒界を有し、結晶品質が悪く、結晶は主に垂直方向に配置される。したがって、核生成層の結晶品質を改善するために、第1の核生成層がPVDまたはPLDプロセスを通して製造された後、第2の核生成層がMOVCDプロセスを通して製造され得る。第2の核生成層は、準単結晶材料で作られ得る。第2の核生成層の粒界の量は、第1の核生成層の粒界の量よりも少ない。言い換えれば、第2の核生成層は結晶欠陥がより少なく、結晶品質がより良好である。このようにして、バッファ層が第2の核生成層上にエピタキシャル成長されると、より良好な結晶品質が取得されることができる。
【0035】
良好な結晶品質を伴う第2の核生成層が取得されることができることを確実にするために、第2の核生成層によって使用される材料は、第1の核生成層によって使用される材料と同じである必要がある。例えば、AlScNがPVDまたはPLDプロセスを通して第1の核生成層として基板上に堆積された後、AlScNはMOCVDプロセスを通して第2の核生成層として成長され続け得る。加えて、第1の核生成層と第2の核生成層のものであり、互いに接触している表面におけるScまたはInの原子百分率は同じであることが好ましく、その結果、第1の核生成層と第2の核生成層の格子が完全に一致し、新たな格子欠陥が現れない。例えば、第1の核生成層中のScの原子百分率が18%である場合、第2の核生成層中のScの原子百分率も18%である。別の例では、第1の核生成層中のScの原子百分率が0%から18%に徐々に遷移する場合、第2の核生成層中のScの原子百分率は18%である。加えて、MOVCDプロセスが使用されると膜層が遅く成長されるため、第2の核生成層の厚さは薄くてもよく、100nm未満、具体的には数nmから数十nmに制御される。
【0036】
本出願の可能な実装形態では、基板上に第1の核生成層を形成した後、不活性ガスの保護下で第1の核生成層に対して高温アニーリングプロセスがさらに実行され、第1の核生成層の材料の結晶品質を改善し得る。具体的には、アニーリング温度は1500度から1900度内に制御されればよく、アニーリング温度は1600度から1800度内に制御されることが好ましい。アニーリング継続時間は、1時間から5時間以内、好ましくは2時間から3時間以内である。不活性ガスは、具体的には、アルゴンガスまたは窒素ガスであり得る。
【0037】
第4の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、回路基板、および回路基板上に配置された第1の態様または第2の態様の実装形態による集積回路を含む。
【0038】
第5の態様によれば、電力増幅器が提供される。電力増幅器は、回路基板、および回路基板上に配置された第1の態様または第2の態様の実装形態による集積回路を含む。
【0039】
第3の態様から第5の態様のいずれか1つによって達成され得る技術的効果については、第1の態様または第2の態様の任意の可能な設計によって達成され得る技術的効果の説明を参照されたい。本明細書では詳細は再び説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1a】無線周波数用途のためのデプリーションモードのHEMTデバイスの構造の概略図である。
【
図1b】電力印加のためのエンハンスメントモードのHEMTデバイスの構造の概略図である。
【
図2】ヘテロエピタキシャル構造の格子不整合および熱不整合の概略図である。
【
図3a】ヘテロエピタキシャル構造に勾配層を追加する構造の概略図である。
【
図3b】ヘテロエピタキシャル構造にバッファ層を追加する構造の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による集積回路の断面構造の概略図である。
【
図5b】第1の核生成層の厚さと第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率の関係の概略図である。
【
図5c】第1の核生成層の厚さと第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率の関係の別の概略図である。
【
図5d】多結晶材料で作られた第1の核生成層の構造の概略図である。
【
図6a】本発明の一実施形態による別の集積回路の断面構造の概略図である。
【
図6b】核生成層の厚さと核生成層中のScまたはInの原子百分率の関係の概略図である。
【
図6c】核生成層の厚さと核生成層中のScまたはInの原子百分率の関係の別の概略図である。
【
図7】本出願の一実施形態による集積回路のための製造方法の概略フローチャートである。
【
図8】
図7で提供された製造方法の各ステップが完了した後の構造の概略図である。
【
図9】本出願の一実施形態による集積回路のための別の製造方法の概略フローチャートである。
【
図10】
図9で提供された製造方法の各ステップが完了した後の構造の概略図である。
【
図11】本出願の一実施形態による集積回路のための別の製造方法の概略フローチャートである。
【
図12】
図11で提供された製造方法の各ステップが完了した後の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本出願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下は、添付図面を参照して本出願を詳細にさらに説明する。
【0042】
GaN半導体材料は、ワイドバンドギャップ、高い破壊電界強度、高い分極係数、高い電子移動度、高い飽和電子ドリフト速度などの性能上の利点を有し、パワーエレクトロニクスおよび無線周波数の分野での大きな応用の見込みを有する。GaN系HEMTデバイスは、AlGaN/GaNヘテロ接合界面での分極効果により発生した2次元電子ガスを主に使用して、高い電子移動度を実現している。このデバイスは、高耐電圧、高電力密度、高加工速度などの利点を有する。
【0043】
本出願は、マイクロ波無線周波数デバイス、電力電子デバイスなどを含むマイクロエレクトロニクスの分野に適用されてもよく、光電子デバイスまたはマイクロエレクトロニクスの別の分野に拡張されてもよい。マイクロ波無線周波数デバイスは、主に電力増幅器としてGaNデバイスを使用する。電力増幅器の機能は、基地局のアクティブアンテナユニット(active antenna unit、AAU)内の無線周波数信号を増幅し、次いでアンテナを通して無線周波数信号を送信することである。電力電子デバイスは、主にGaNデバイスを電力スイッチとして使用し、携帯電話などの端末製品のための高速充電を可能にし、LIDARのスイッチなどとして機能する。
【0044】
図1aを参照されたい。現在主にデプリーションモード(D-Mode)HEMTデバイスである、無線周波数(RF)用途のためのHEMTデバイスは、通常、基板として半絶縁SiCを使用する。次いで、核生成層としてAlN材料がエピタキシャル成長され、最後に電極が製造されRF HEMTデバイスを取得する。
【0045】
図1bを参照されたい。電力用途のためのHEMTデバイスは、基板の材料として主にSiを使用する。核生成層としてSi材料に基づいて厚さ50 nmから300 nmの厚いAlN材料がエピタキシャル成長される。次いで、AlGaN材料がバッファ層としてエピタキシャル成長されたり、AlN/GaNの超格子がバッファ層としてエピタキシャル成長されたりして、Siと窒化物の格子不整合および熱膨張係数不整合をバッファする。次いで、GaN材料、AlGaN材料などがエピタキシャル成長され、さらにAlGaNバリア層上にp-GaN層が製造され、エンハンスメントモード(E-mode)のHEMTを実現する。
【0046】
図2を参照されたい。現在量産されているすべてのGaN系HEMTデバイスは、ヘテロ基板を使用しており、MOCVD法を使用してGaN材料がヘテロエピタキシャル成長される。RF HEMTデバイスは、通常、半絶縁SiCを基板として使用する。SiCとGaNの間の格子不整合は約3.5%であり、GaNとSiCの間の熱不整合は33.1%であるため、転位およびエピタキシャル層の亀裂の問題が引き起こされる可能性がある。この転位欠陥などもデバイス中に残り、デバイスの性能および長期信頼性に影響する。電力用途のためのHEMTデバイスは、通常、基板としてSiを使用する。GaNとSiの間の格子不整合率は16.9%に達し、GaNとSiの間の熱膨張係数不整合(すなわち、熱的不整合)は56%に達する。したがって、Si基板上へのGaNのエピタキシャル成長およびGaNのヘテロ構造は、応力制御および欠陥制御に関して厳しい課題に直面している。
【0047】
エピタキシャル層材料の格子定数の違いにより、基板とGaNエピタキシャル層の間の界面に高密度転位欠陥が生じる。エピタキシャル成長プロセスでは、ほとんどの転位がエピタキシャル層を貫通し、これはエピタキシャル層の結晶品質に深刻に影響する。加えて、2つの層の熱膨張係数が一致しないため、エピタキシャル層が高温で成長した後の冷却プロセスにおいて、エピタキシャル層全体の内部応力が大きく蓄積し、反りが発生してエピタキシャル層に亀裂が発生する。基板のサイズが大きくなるにつれて、反りおよび亀裂現象はますます明白になる。
【0048】
現在、GaNが基板上にヘテロエピタキシャル成長される際に存在する応力問題を解決するために、挿入層およびバッファ層が広く使用されている。2つの主流の応力調整解決策については、
図3aおよび
図3bを参照されたい。このエピタキシャル構造は複雑であり、過度に厚いバッファ層または勾配層を必要とする。加えて、エピタキシャル成長したGaN層のエッジ上に亀裂が容易に生成され、亀裂が中央まで連続的に延びている。
【0049】
前述の課題は、エピタキシに大きな課題をもたらす。欠陥部分が検出されることができれば、エッジの使用面積が低減され得る。欠陥部分が検出または傍受されない場合、デバイスが製造された後にデバイスの信頼性に対するリスクがもたらされ得る。加えて、前述の課題は、将来の8インチのシリコン基板、または12インチなどのより大きなシリコン基板のエピタキシにも大きな課題をもたらす。
【0050】
したがって、本出願の実施形態は、前述の問題を解決することができる集積回路、その製造方法、電力増幅器、および電子デバイスを提供する。以下では、特定の添付図面および実施形態を参照して、集積回路、その製造方法、電力増幅器、および電子デバイスを詳細に説明する。
【0051】
以下の実施形態で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本出願を限定するためのものではない。本明細書および本出願の添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「one」、「a」、「the foregoing」、「this」、および「the one」という用語は、文脈において明確に特に指定されない限り、「one or more(1つまたは複数)」などの表現も含むことが意図されている。
【0052】
本明細書で説明される「一実施形態」、「いくつかの実施形態」などへの言及は、本出願の1つまたは複数の実施形態が、実施形態を参照して説明される特定の特徴、構造、または特性を含むことを示す。したがって、本明細書の様々な箇所に現れる「一実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「いくつかの他の実施形態において」、および「他の実施形態において」などの記述は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。代わりに、これらの記述は、別の方法で特に強調されない限り、「すべてではないが1つまたは複数の実施形態」を意味する。「含む」、「備える」、「有する」という用語、およびそれらの変形はすべて、特に明記しない限り、「含むが限定されない」ということを意味する。
【0053】
図4は、本出願の一実施形態による集積回路の断面構造の概略図の一例を示す。
図4を参照されたい。本出願のこの実施形態において、集積回路は、基板1、基板1上に位置される第1の核生成層2、第1の核生成層2上に位置されるバッファ層3、バッファ層3上に位置されるチャネル層4、チャネル層4上に位置されるバリア層5、ならびにバリア層5上に別々に位置されるソース6、ドレイン7、およびゲート8を含み得る。バッファ層3の転位密度は、1e8cm
-2未満である。
【0054】
本願のこの実施形態で提供される集積回路では、バッファ層3の転位密度が1e8cm-2未満であるため、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【0055】
さらに、本出願のこの実施形態では、バッファ層3の転位密度が1e6cm-2未満にさらに制御され得、結晶品質がさらに改善されることができ、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【0056】
本出願のこの実施形態では、第1の核生成層2とバッファ層3の間の格子不整合を2%未満に制御され得るので、結晶品質が改善されることができ、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【0057】
具体的には、本出願のこの実施形態では、集積回路は、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor,HEMT)であってもよい。
【0058】
具体的には、本出願のこの実施形態では、バッファ層3は、ドープされたGaNまたはドープされたAlGaNを含み得、第1の核生成層2は、AlScN材料、AlInN材料などを含み得る。バッファ層3のドーピング材料は、Fe、Cなどであり得、FeまたはCをドーピングすることによってバッファ層3の抵抗率が改善され得る。以下では、バッファ層3が説明のためにGaN材料を使用する一例を使用する。
図5aは、異なる材料間の格子定数の比較図の一例を示す。
図5aを参照されたい。AlNの格子定数は、GaNの格子定数よりも小さい。従来技術では、核生成層としてAlNが使用され、AlNとGaNの間には格子不整合が存在する。エピタキシャル成長したGaNには格子転位が存在し、格子欠陥の原因となり結晶品質に影響する。本出願では、第1の核生成層2がAlScN材料を使用するとき、AlScN中のSc原子は、AlとNの間の原子間隔を増加させ、格子定数を増加させて、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小格子不整合を達成し得る。同様に、本出願では、第1の核生成層2がAlInN材料を使用するとき、AlInN中のIn原子は、AlとNの間の原子間隔を増加させ、格子定数を増加させて、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小格子不整合を達成し得る。加えて、具体的には、第1の核生成層2の材料中のScまたはInの百分率が調整され、GaN材料との良好な格子整合を実現し、最小の格子不整合を達成し得る。
【0059】
具体的には、本出願のこの実施形態では、第1の核生成層2中のScまたはInの原子百分率は通常40%未満なので、第1の核生成層2とバッファ層3の間の格子不整合は2%未満であり得る。加えて、第1の核生成層2中のScまたはInの百分率が0%から徐々に増加するにつれて、GaNとの格子不整合が徐々に減少する。さらに、本出願のこの実施形態では、第1の核生成層2中のScまたはInの原子百分率は、15%から20%の範囲であり得る。好ましくは、本出願のこの実施形態では、
図5aを参照すると、第1の核生成層2中のScの原子百分率が18.75%、すなわちAl
0.8125Sc
0.1875Nに達すると、AlScN材料の格子とGaN材料の格子とが完全に一致し、原子間の不整合が最も小さくなる。第1の核生成層2中のInの原子百分率が17%、すなわちAl
0.83In
0.17Nに達すると、AlInN材料の格子とGaN材料の格子とが完全に一致し、原子間の不整合が最も小さくなる。
【0060】
本出願のこの実施形態では、第1の核生成層2がAlScNまたはAlInNを使用して製造されるとき、第1の核生成層2は、具体的には物理気相成長(physical vapor deposition、PVD)またはパルスレーザ堆積(Pulsed Laser Deposition、PLD)プロセスを通して製造され得る。AlNがMOCVDプロセスを通して核生成層として製造される場合と比較して、PVDおよびPLDプロセスを通して製造される第1の核生成層2は、基板1上の選択性がより低く、すなわち、基板1の品質に対する要求が低減され、その結果、後続のチャネル層4の材料の成長は基板1に依存しない。第1の核生成層2は、わずかに低品質または通常品質の基板1上への堆積によって取得され得る(これは、基板1の表面上の欠陥要件が厳密ではなく、マクロ欠陥が許容され得ることを意味する)。取得された第1の核生成層2が使用され、バッファ層3としてドープされたGaN材料を直接成長され得、次いでチャネル層4としてのバッファ層3に基づいて高品質のGaN材料がエピタキシャル成長され得る。したがって、基板1はSiCまたはSi材料を直接使用し得、その結果、大きな格子不整合を伴うSi基板上に高品質のGaNエピタキシャル成長も実施されることができる。
【0061】
図5aを参照されたい。本出願の別の実施形態では、基板1がSiC材料を使用するとき、第1の核生成層2がAlScN材料、AlInN材料などを使用する場合と比較して、SiCの格子定数はAlNの格子定数により近い。したがって、第1の核生成層2の異なる位置におけるScまたはInの原子百分率が調整され得、具体的には、第1の核生成層2のものである、基板1と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率は、第1の核生成層2のものである、バッファ層3と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率よりも小さくなるように調整され、その結果、第1の核生成層2のものである、基板1と接触している表面の格子定数は、第1の核生成層2のものである、バッファ層3と接触している表面の格子定数よりも小さくなる。このようにして、第1の核生成層2のものであり、基板1と接触している表面の格子定数はSiCの格子定数により近く、その結果、第1の核生成層2と基板1の間の接触界面における格子整合はより良好であり、第1の核生成層のものであり、バッファ層3と接触している表面の格子定数はバッファ層3の格子定数に近く、その結果、第1の核生成層2とバッファ層3の間の接触界面における格子整合はより良好であり、第1の核生成層2およびバッファ層3の格子欠陥を低減し、結晶品質を改善する。
【0062】
図5bおよび
図5cは、第1の核生成層の厚さと第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率の関係の概略図の例を示す。
図5bおよび
図5cを参照されたい。本出願のこの実施形態では、第1の核生成層2がAlScN材料などを使用するとき、第1の核生成層2中のScの原子百分率は0%から18%に変化し得るので、第1の核生成層2は勾配層として使用される。勾配層のものありであり、基板1と接触している表面の材料は、SiCの格子と最も一致するために、AlNである。勾配層中のScの原子百分率は徐々に増加する。漸進的な増加は、直線的な増加、
図5bを参照した段階的な増加、
図5cを参照した放物線的な増加などを含む、複数の増加傾向として理解され得る。勾配層のものであり、バッファ層3と接触している表面上のAlScN中のScの原子百分率は、GaNの格子と一致するために、最大である。第1の核生成層2がAlInN材料などを使用するとき、第1の核生成層2中のInの原子百分率は0%から17%に変化し得るので、第1の核生成層2は勾配層として使用される。勾配層のものありであり、基板1と接触している表面の材料は、SiCの格子と最も一致するために、AlNである。勾配層中のInの原子百分率は徐々に増加する。漸進的な増加は、直線的な増加、
図5bを参照した段階的な増加、
図5cを参照した放物線的な増加などを含む、複数の増加傾向として理解され得る。勾配層のものであり、バッファ層3と接触している表面上のAlInN中のInの原子百分率は、GaNの格子と一致するために、最大である。
【0063】
本出願のこの実施形態では、第1の核生成層2を製造するためにMOCVDプロセスを使用することと比較して、第1の核生成層2を製造するためにPVDまたはPLDプロセスを使用することは、第1の核生成層2の生成中に高い堆積速度をもたらし、20%を超える生産能力を節約し、生産コストを大幅に削減することができる。加えて、PVDまたはPLDプロセスは、8インチから12インチ以上の基板を支持し得る。具体的には、基板1上に第1の核生成層2を形成するために、AlScNまたはAlInNターゲットを使用して直接スパッタリングが行われてもよいし、あるいはAlターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングが行われてもよい。前述のプロセスを通して形成された第1の核生成層2中のScまたはInの原子百分率は固定され得る。代替的に、Alターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスが使用されて反応性スパッタリングを行い、基板1上に第1の核生成層2を形成するとき、ScターゲットまたはInターゲットの反応性スパッタリング百分率が徐々に増加され、第1の核生成層2中のScまたはInの原子百分率を基板1からバッファ層3に向かう方向に徐々に増加させ、勾配層を形成してもよい。厚い第1の核生成層2は、PVDまたはPLDプロセスを通して製造され得、第1の核生成層2の厚さは、10nmから500nm以内に制御さえ得る。
【0064】
図5dは、多結晶材料で作られた第1の核生成層の構造の概略図の一例を示す。
図5dを参照されたい。PVDまたはPLDを通して製造された第1の核生成層2は、多結晶材料(多結晶材料は、複数の柱状材料からなり、柱状材料の間に粒界が存在し、粒界が欠陥を形成する)で作られているため、第1の核生成層2は、多くの粒界を有し、結晶品質が悪く、結晶は主に垂直方向に配置される。したがって、核生成層の結晶品質を改善するために、PVDまたはPLDプロセスを通して第1の核生成層2が製造された後、不活性ガスの保護下で第1の核生成層2に対して高温アニーリングプロセスが実行され、第1の核生成層2の材料の結晶品質を改善し得る。代替的に、核生成層の結晶品質を改善するために、第1の核生成層2がPVDまたはPLDプロセスを通して製造された後、第2の核生成層がMOVCDプロセスを通して製造され得る。第2の核生成層は、準単結晶材料で作られ得る。
図6aは、本出願の一実施形態による別の集積回路の断面構造の概略図の一例を示す。
図6aを参照されたい。本出願の別の実施形態では、集積回路は、第1の核生成層2とバッファ層3の間に位置される第2の核生成層9をさらに含み得る。第2の核生成層9は、MOCVDプロセスを通して製造され、その結果、第2の核生成層9内の粒界の量は第1の核生成層中の粒界の量よりも少なくなる。言い換えれば、第2の核生成層9は結晶欠陥がより少なく、結晶品質がより良好である。このようにして、バッファ層3が第2の核生成層9上にエピタキシャル成長されると、より良好な結晶品質が取得されることができる。
【0065】
図6bおよび
図6cは、核生成層の厚さと核生成層中のScまたはInの原子百分率の関係の概略図の例を示す。良好な結晶品質を伴う第2の核生成層9が取得されることができることを確実にするために、第2の核生成層9によって使用される材料は、第1の核生成層1によって使用される材料と同じである必要があることは注目に値する。例えば、AlScNがPVDまたはPLDプロセスを通して第1の核生成層2として基板1上に堆積された後、AlScNはMOCVDプロセスを通して第2の核生成層9として成長され続け得る。加えて、第1の核生成層2と第2の核生成層9のものであり、互いに接触している表面におけるScまたはInの原子百分率は同じであることが好ましく、その結果、第1の核生成層2と第2の核生成層9の格子が完全に一致し、新たな格子欠陥が現れない。例えば、第1の核生成層2中のScの原子百分率が18%である場合、第2の核生成層9中のScの原子百分率も18%である。別の例については、
図6bおよび
図6cを参照されたい。第1の核生成層2中のScの原子百分率が0%から18%に変化する場合、第2の核生成層9中のScの原子百分率は18%である。加えて、MOVCDプロセスが使用されると膜層が遅く成長されるため、第2の核生成層9の厚さは薄くてもよく、100nm未満、具体的には数nmから数十nmに制御される。
【0066】
本出願のこの実施形態では、チャネル層4はGaN材料を含み得る。バッファ層3、チャネル層4、およびバリア層5はすべて、単結晶材料を取得するためにMOCVDプロセスによって製造され得る。バッファ層3およびチャネル層4の厚さは、5μm未満であり得る。
【0067】
本出願のこの実施形態では、バリア層5の厚さが薄いときに2次元電子ガスのより高い表面密度を実現し、高周波での無線周波数HEMTデバイスの適用を容易にするために、バリア層5を使用して形成され得る2次元電子ガスの表面密度は1e13cm-2より大きい。さらに、バリア層5を使用して形成され得る2次元電子ガスの表面密度は、2e13cm-2より大きく、バリア層5の2次元電子ガスの表面密度をさらに改善する。
【0068】
本出願のこの実施形態では、バリア層5は、AlScN材料、AlInN材料、AlN材料などを含み得る。これらの材料は、良好な圧電効果を有するため、バリア層5の2次元電子ガス濃度が増大されることができ、デバイスにおけるバリア層5の厚さの減少に起因するデバイス短チャネル効果が効果的に低減されることができる。加えて、バリア層5としてAlScNまたはAlInN材料が使用されることで、チャネル層4とバリア層5の間の格子不整合がさらに低減されることができ、結晶品質が改善されることができ、より高品質なエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。具体的には、バリア層5としてAlScNまたはAlInN材料が使用されるとき、ScまたはInの原子百分率は、第1の核生成層におけるScまたはInの原子百分率と同じである。原子百分率は、格子不整合を低減するために、通常40%未満、好ましくは15%から20%の範囲である。Scの最適原子百分率は18%であり、Inの最適原子百分率は17%である。
【0069】
本出願の実施形態で提供される集積回路の理解を容易にするために、以下は、添付の図面を参照してその製造方法を詳細に説明する。
図7は、本出願の一実施形態による集積回路の製造方法の概略フローチャートの一例を示す。
図8は、
図7で提供された製造方法の各ステップが完了した後の構造の概略図の一例を示す。
図7および
図8を参照されたい。集積回路は、以下の製造方法を使用して製造され得、本方法は、以下のステップを含む。
【0070】
S1:PVDプロセスまたはPLDプロセスを通して基板1上に第1の核生成層2を形成する。
図8のaを参照されたい。
【0071】
AlNがMOCVDプロセスを通して核生成層として製造される場合と比較して、PVDおよびPLDプロセスを通して製造される第1の核生成層2は、基板1上の選択性がより低く、すなわち、基板1の品質に対する要求が低減され、その結果、後続のチャネル層4の材料の成長は基板1に依存しない。第1の核生成層2は、わずかに低品質または通常品質の基板1上への堆積によって取得され得る。取得された第1の核生成層2が使用され、バッファ層3としてドープされたGaN材料を直接成長され得、次いでチャネル層4としてのバッファ層3に基づいて高品質のGaN材料がエピタキシャル成長され得る。したがって、基板1はSiCまたはSi材料を直接使用し得、その結果、大きな格子不整合を伴うSi基板上に高品質のGaNエピタキシャル成長も実施されることができる。
【0072】
加えて、第1の核生成層2を製造するためにMOCVDプロセスを使用することと比較して、第1の核生成層2を製造するためにPVDまたはPLDプロセスを使用することは、第1の核生成層2の生成中に高い堆積速度をもたらし、20%を超える生産能力を節約し、生産コストを大幅に削減することができる。加えて、PVDまたはPLDプロセスは、8インチから12インチ以上の基板を支持し得る。
【0073】
具体的には、基板1上に第1の核生成層2を形成するために、AlScNまたはAlInNターゲットを使用して直接スパッタリングが行われてもよいし、あるいはAlターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングが行われてもよい。前述のプロセスを通して形成された第1の核生成層2中のScまたはInの原子百分率は固定され得る。代替的に、Alターゲット、Scターゲット(またはInターゲット)、およびアンモニアガスまたは窒素ガスが使用されて反応性スパッタリングを行い、基板1上に第1の核生成層2を形成するとき、ScターゲットまたはInターゲットの反応性スパッタリング百分率が徐々に増加され、基板1からバッファ層3に向かう方向で第1の核生成層2中のScまたはInの原子百分率を徐々に増加させて勾配層を形成し得る。厚い第1の核生成層2は、PVDまたはPLDプロセスを通して製造され得、第1の核生成層2の厚さは、10nmから500nm以内に制御さえ得る。
【0074】
S2:MOCVDプロセスを通して第1の核生成層2上にバッファ層3を形成する。
図8のbを参照されたい。
【0075】
具体的には、ドープされたGaNまたはドープされたAlGaNが選択されバッファ層3を形成し得る。バッファ層3のドーピング材料はFe、Cなどであってもよく、FeまたはCをドーピングすることによってバッファ層3の抵抗率が改善され得る。第1の核生成層2の材料の格子がバッファ層3の材料の格子と一致すると、その結果、第1の核生成層2上に成長したバッファ層3の転位欠陥などが低減されることができ、結晶品質が改善されることができ、より高品質のエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。具体的には、MOCVDを通して製造されたバッファ層3の厚さは5μm未満に制御され得る。
【0076】
S3:MOCVDプロセスを通してバッファ層3上にチャネル層4を形成する。
図8のbを参照されたい。
【0077】
具体的には、GaN材料が選択されチャネル層4を形成し得る。MOCVDを通して製造されたチャネル層4の厚さは5μm未満に制御され得る。
【0078】
S4:MOCVDプロセスまたは分子線エピタキシ(molecular beam epitaxy、MBE)プロセスを通してチャネル層4上にバリア層5を形成する。
図8のcを参照されたい。
【0079】
具体的には、AlScN材料、AlInN材料、AlN材料などが選択されバリア層5を形成し得る。これらの材料は、良好な圧電効果を有するため、バリア層5の2次元電子ガス濃度が増大されることができ、デバイスにおけるバリア層5の厚さの減少に起因するデバイス短チャネル効果が効果的に低減されることができる。加えて、バリア層5としてAlScNまたはAlInN材料が使用されることで、チャネル層4とバリア層5の間の格子不整合がさらに低減されることができ、結晶品質が改善されることができ、より高品質なエピタキシャル成長材料が取得されることができ、集積回路のデバイス性能および長期信頼性を改善する。
【0080】
S5:バリア層5上にソース6、ドレイン7、およびゲート8を別々に形成する。
図8のdを参照されたい。
【0081】
図9は、本出願の一実施形態による集積回路の別の製造方法の概略フローチャートの一例を示す。
図10は、
図9で提供された製造方法の各ステップが完了した後の構造の概略図の一例を示す。
図9および
図10を参照されたい。本出願で提供される別の製造方法では、基板上に第1の核生成層を形成するステップS1の後に、本方法は、S11をさらに含み得る、すなわち、MOCVDプロセスを通して第1の核生成層上に第2の核生成層を形成する。
図10のa1を参照されたい。
【0082】
PVDまたはPLDを通して製造された第1の核生成層2は多結晶材料で作られているため、第1の核生成層2は多くの粒界を有し、結晶品質が悪く、結晶は主に垂直方向に配置される。したがって、核生成層の結晶品質を改善するために、第1の核生成層2がPVDまたはPLDプロセスを通して製造された後、第2の核生成層9がMOVCDプロセスを通して製造され得る。第2の核生成層9は、準単結晶材料で作られ得る。第2の核生成層9の粒界の量は、第1の核生成層の粒界の量よりも少ない。言い換えれば、第2の核生成層9は結晶欠陥がより少なく、結晶品質がより良好である。このようにして、バッファ層3が第2の核生成層9上にエピタキシャル成長されると、より良好な結晶品質が取得されることができる。
【0083】
良好な結晶品質を伴う第2の核生成層9が取得されることができることを確実にするために、第2の核生成層9によって使用される材料は、第1の核生成層1によって使用される材料と同じである必要があることは注目に値する。例えば、AlScNがPVDまたはPLDプロセスを通して第1の核生成層2として基板1上に堆積された後、AlScNはMOCVDプロセスを通して第2の核生成層9として成長され続け得る。加えて、第1の核生成層2と第2の核生成層9のものであり、互いに接触している表面におけるScまたはInの原子百分率は同じであることが好ましく、その結果、第1の核生成層2と第2の核生成層9の格子が完全に一致し、新たな格子欠陥が現れない。例えば、第1の核生成層2中のScの原子百分率が18%である場合、第2の核生成層9中のScの原子百分率も18%である。別の例では、第1の核生成層2中のScの原子百分率が0%から18%に徐々に遷移する場合、第2の核生成層9中のScの原子百分率は18%である。加えて、MOVCDプロセスが使用されると膜層が遅く成長されるため、第2の核生成層9の厚さは薄くてもよく、100 nm未満、具体的には数nmから数十nmに制御される。
【0084】
図11は、本出願の一実施形態による集積回路の別の製造方法の概略フローチャートの一例を示す。
図12は、
図11で提供された製造方法の各ステップが完了した後の構造の概略図の一例を示す。任意選択の解決策では、
図11および
図12を参照されたい。基板上に第1の核生成層を形成するステップS1の後、本方法は、S12をさらに含み得る、すなわち、第1の核生成層2の材料の結晶品質を改善するために、不活性ガスの保護下で第1の核生成層2に対して高温アニーリングプロセスが実行される。
図12のa2を参照されたい。
【0085】
具体的には、アニーリング温度は1500度から1900度内に制御されればよく、アニーリング温度は1600度から1800度内に制御されることが好ましい。アニーリング継続時間は、1時間から5時間以内、好ましくは2時間から3時間以内である。不活性ガスは、具体的には、アルゴンガスまたは窒素ガスであり得る。
【0086】
本出願の一実施形態は、電子デバイスをさらに提供する。電子デバイスは、本出願の前述の実施形態で提供される回路基板および任意の集積回路を含み得る。集積回路は、回路基板上に配置される。電子デバイスの問題解決原理は、前述の集積回路と同様である。したがって、電子デバイスの実装形態については、前述の集積回路の実装形態を参照されたく、詳細は再び記載されない。
【0087】
本出願の一実施形態は、電力増幅器をさらに提供する。電力増幅器は、本出願の前述の実施形態で提供される回路基板および任意の集積回路を含み得る。集積回路は、回路基板上に配置される。電力増幅器の問題解決原理は、前述の集積回路と同様である。したがって、電力増幅器の実装形態については、前述の集積回路の実装形態を参照されたく、詳細は再び記載されない。
【0088】
おそらく、当業者は、この出願の範囲から逸脱することなく、この出願に対して様々な変更および変形を成すことができる。本出願は、本出願のそれらの改変および変形を、それらが本出願の特許請求の範囲およびその均等な技術の範囲内にある限りにおいて範囲として含むことを意図されている。
【符号の説明】
【0089】
1 基板
2 第1の核生成層
3 バッファ層
4 チャネル層
5 バリア層
6 ソース
7 ドレイン
8 ゲート
9 第2の核生成層
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
通常、有機金属化学気相成長(MOCVD)法に基づくヘテロ基板上へのヘテロエピタキシャル成長を通して取得される集積回路では、集積回路の性能および信頼性を改善される必要がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
第1の態様によれば、本出願は、基板1、基板上に位置される第1の核生成層、第1の核生成層上に位置されるバッファ層、バッファ層上に位置されるチャネル層、チャネル層上に位置されるバリア層、ならびにバリア層上に別々に位置されるソース、ドレイン、およびゲートを含む集積回路を提供する。バッファ層の転位密度は、1e8cm-2未満である。具体的には、集積回路は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)であってもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
本出願は、マイクロ波無線周波数デバイス、電力電子デバイスなどを含むマイクロエレクトロニクスの分野に適用されてもよく、光電子デバイスまたはマイクロエレクトロニクスの別の分野に拡張されてもよい。マイクロ波無線周波数デバイスは、主に電力増幅器としてGaNデバイスを使用する。電力増幅器の機能は、基地局のアクティブアンテナユニット(AAU)内の無線周波数信号を増幅し、次いでアンテナを通して無線周波数信号を送信することである。電力電子デバイスは、主にGaNデバイスを電力スイッチとして使用し、携帯電話などの端末製品のための高速充電を可能にし、LIDARのスイッチなどとして機能する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
具体的には、本出願のこの実施形態では、集積回路は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)であってもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
本出願のこの実施形態では、第1の核生成層2がAlScNまたはAlInNを使用して製造されるとき、第1の核生成層2は、具体的には物理気相成長(PVD)またはパルスレーザ堆積(PLD)プロセスを通して製造され得る。AlNがMOCVDプロセスを通して核生成層として製造される場合と比較して、PVDおよびPLDプロセスを通して製造される第1の核生成層2は、基板1上の選択性がより低く、すなわち、基板1の品質に対する要求が低減され、その結果、後続のチャネル層4の材料の成長は基板1に依存しない。第1の核生成層2は、わずかに低品質または通常品質の基板1上への堆積によって取得され得る(これは、基板1の表面上の欠陥要件が厳密ではなく、マクロ欠陥が許容され得ることを意味する)。取得された第1の核生成層2が使用され、バッファ層3としてドープされたGaN材料を直接成長され得、次いでチャネル層4としてのバッファ層3に基づいて高品質のGaN材料がエピタキシャル成長され得る。したがって、基板1はSiCまたはSi材料を直接使用し得、その結果、大きな格子不整合を伴うSi基板上に高品質のGaNエピタキシャル成長も実施されることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
基板と、
前記基板上に位置される第1の核生成層と、
前記第1の核生成層上に位置されるバッファ層と、
前記バッファ層上に位置されるチャネル層と、
前記チャネル層上に位置されるバリア層と、
前記バリア層上に別々に位置されるソース、ドレイン、およびゲートと、
を含み、
前記バッファ層の転位密度が1e8cm
-2未満である、集積回路。
【請求項2】
前記バッファ層の前記転位密度は、1e6cm
-2未満である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記第1の核生成層と前記バッファ層の間の格子不整合が2%未満である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項4】
前記バッファ層はドープされたGaNまたはドープされたAlGaNを備え、前記第1の核生成層はAlScNまたはAlInNを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項5】
前記第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率が40%未満である、請求項4に記載の集積回路。
【請求項6】
前記第1の核生成層中のScまたはInの前記原子百分率が15%から20%の範囲である、請求項5に記載の集積回路。
【請求項7】
前記第1の核生成層中のScの前記原子百分率が18.75%であるか、または前記第1の核生成層中のInの前記原子百分率が17%である、請求項6に記載の集積回路。
【請求項8】
前記第1の核生成層のものであり、前記基板と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率が、前記第1の核生成層のものであり、前記バッファ層と接触している表面におけるScまたはInの原子百分率よりも小さい、請求項4に記載の集積回路。
【請求項9】
前記第1の核生成層中のScの原子百分率が0%から18%に変化するか、または前記第1の核生成層中のInの原子百分率が0%から17%に変化する、請求項8に記載の集積回路。
【請求項10】
前記第1の核生成層と前記バッファ層の間に位置される第2の核生成層をさらに備え、前記第2の核生成層中の粒界の量は、前記第1の核生成層中の粒界の量よりも少ない、請求項1から9のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項11】
前記バリア層を使用して形成される2次元電子ガスの表面密度が、1e13cm
-2より大きい請求項1から10のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項12】
前記バリア層を使用して形成された前記2次元電子ガスの前記表面密度が、2e13cm
-2より大きい、請求項11に記載の集積回路。
【請求項13】
前記チャネル層はGaNを備え、前記バリア層はAlScN、AlInN、またはAlNを備える、請求項11または12に記載の集積回路。
【請求項14】
前記基板が、SiまたはSiCを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項15】
前記集積回路が、高電子移動度トランジスタである、請求項1から14のいずれか一項に記載の集積回路。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の集積回路の製造方法であって、
物理気相成長PVDプロセスまたはパルスレーザ堆積PLDプロセスを通して基板上に第1の核生成層を形成するステップと、
有機金属化学気相成長MOCVDプロセスを通して前記第1の核生成層上にバッファ層を形成するステップと、
前記MOCVDプロセスを通して前記バッファ層上にチャネル層を形成するステップと、
前記MOCVDプロセスまたは分子線エピタキシMBEプロセスを通して前記チャネル層上にバリア層を形成するステップと、
前記バリア層上にソース、ドレイン、およびゲートを別々に形成するステップと
を含む、製造方法。
【請求項17】
基板上に第1の核生成層を形成する前記ステップの後に、前記方法が、
前記MOCVDプロセスを通して前記第1の核生成層上に第2の核生成層を形成するステップ、
をさらに含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
基板上に第1の核生成層を形成する前記ステップの後に、前記方法が、
不活性ガスの保護下で前記第1の核生成層に対して高温アニーリングプロセスを実施するステップ、
をさらに含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
基板上に第1の核生成層を形成する前記ステップが、
前記基板上に前記第1の核生成層を形成するために、AlScNまたはAlInNターゲットを使用して直接スパッタリングを行うステップ、Alターゲット、Scターゲット、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングを行うステップ、あるいはAlターゲット、Inターゲット、およびアンモニアガスまたは窒素ガスを使用して反応性スパッタリングを行うステップ、
を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記Alターゲット、前記Scターゲット、および前記アンモニアガスまたは前記窒素ガスが使用され反応性スパッタリングを行い、あるいは前記Alターゲット、前記Inターゲット、および前記アンモニアガスまたは前記窒素ガスが使用され反応性スパッタリングを行い、前記基板上に前記第1の核生成層を形成するときに、前記Scターゲットまたは前記Inターゲットの反応性スパッタリング百分率が徐々に増加され、前記第1の核生成層中のScまたはInの原子百分率を前記基板から前記バッファ層に向かう方向に徐々に増加させる、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
回路基板および前記回路基板上に配置された請求項1から15のいずれか一項に記載の集積回路を備える、電子デバイス。
【請求項22】
回路基板および前記回路基板上に配置された請求項1から15のいずれか一項に記載の集積回路を備える、電力増幅器。
【国際調査報告】