IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シナタ バイオ、インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-539341水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法
<>
  • 特表-水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法 図1
  • 特表-水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法 図2
  • 特表-水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法 図3
  • 特表-水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法 図4
  • 特表-水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法 図5
  • 特表-水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法 図6
  • 特表-水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法 図7
  • 特表-水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】水素富化合成ガスから製品を製造するグリーン方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/06 20060101AFI20241018BHJP
   C12P 7/16 20060101ALI20241018BHJP
   C12P 7/52 20060101ALI20241018BHJP
   C12P 7/54 20060101ALI20241018BHJP
   A23K 10/12 20160101ALI20241018BHJP
【FI】
C12P7/06
C12P7/16
C12P7/52
C12P7/54
A23K10/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525541
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022078933
(87)【国際公開番号】W WO2023077103
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/273,594
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/050,910
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519225303
【氏名又は名称】シナタ バイオ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】ドゥー、ジャンシン
【テーマコード(参考)】
2B150
4B064
【Fターム(参考)】
2B150AC01
4B064AC02
4B064AC03
4B064AC04
4B064AD02
4B064AD04
4B064AD05
4B064CA02
4B064CB17
4B064CC08
4B064CD01
4B064DA11
4B064DA16
(57)【要約】
含酸素生成物、動物飼料、および肥料を調製する「グリーン」方法が開示される。所望の含酸素生成物は、エタノール、酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。本方法は、石炭、天然ガス、および/またはバイオマスの処理から製造され得る合成ガス(合成ガス)を使用する。合成ガスは、水素、一酸化炭素、および/または二酸化炭素のいくつかの組み合わせを含む。本方法は、合成ガスを工業プロセスからのパージ(テール)ガスと、および/または、例えば、再生可能資源から製造される水素ガスと混合することを必然的に伴う。得られる混合物は、水素-豊富ガスを発酵させるのに良く適した微生物によって発酵されるH2-富化合成ガスである。本方法からの副生成物もまた回収され得る。本開示はまた、それぞれ肥料および動物飼料の物質を調製する方法を提供する。パージガスを転用することによって、それらは環境に排出されず、および/または再生可能資源からの水素を使用することによって、開示した方法は環境に優しい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2
b. 合成ガス中のH2含有量を富化してH2-富化合成ガスを形成すること;および
c. H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌で発酵させて含酸素生成物を含む培養液を製造すること
を含む、含酸素生成物を調製する方法。
【請求項2】
a. 以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2
b. 合成ガス中のH2含有量を富化して少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を有するH2-富化合成ガスを形成すること;
c. H2-富化合成ガスを液体媒体中、バクテリアで発酵させて含酸素生成物を含む培養液を製造すること
を含む、含酸素生成物を調製する方法。
【請求項3】
a. 以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2
b. 合成ガス中のH2含有量を富化して少なくとも約5.7、例えば、約5.7~約8.0のe/Cを有するH2-富化合成ガスを形成すること;
c. H2-富化合成ガスを液体媒体中、バクテリアで発酵させて含酸素生成物を含む培養液を製造すること
を含む、含酸素生成物を調製する方法。
【請求項4】
a. 以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2
b. 再生可能資源からのH2を合成ガスに加えてH2-富化合成ガスを形成すること;
c. H2-富化合成ガスを液体媒体中、バクテリアで発酵させて含酸素生成物を含む培養液を製造すること
を含む、含酸素生成物を再生可能に調製する方法。
【請求項5】
合成ガスが約5 vol. %~約80 vol.%のH2、または約50 vol.%~約80 vol.%のH2を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
合成ガスが約3 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
合成ガスが約0 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
H2-富化合成ガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約50 vol.%のCO、例えば、約25 vol.%~約35 vol.%のCOを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
H2-富化合成ガスが約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
合成ガスが少なくとも約2.0、例えば、約2.0~約8または約2.0~約6.0のe/Cを有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
H2-富化合成ガスが約6以下、例えば、約5.7~約6.0のe/Cを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
含酸素生成物がエタノールである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
含酸素生成物が酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
含酸素生成物を、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって培養液から分離することをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
バクテリアが一酸化炭素資化性である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
バクテリアが、Clostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
富化することが、合成ガスをH2-豊富テールガスと混合することを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
H2-豊富テールガスが、少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含み、および石炭からメタノールの製造からのパージガス、石炭から合成アンモニアの製造からのパージガス、石炭から酢酸の製造からのパージガス、石炭からエチレングリコールの製造からのパージガス、石炭から合成天然ガスの製造からのパージガス、石炭から液体の製造からのパージガスなどの石炭由来化学製造プロセスからのパージガス、コークス炉ガス、またはそれらの任意の組み合わせ由来である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスを合成ガスに加えて逆水性ガスシフト反応を引き起こし、CO2をCOへと変換すること、および必要に応じて過剰のH2を加えてH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
合成ガスが石炭由来合成ガスである、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに加えてe/Cを約5.7~約8.0の値に増加させることを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
H2のための再生可能資源が電気を発生して電気分解を行い、再生可能水素を製造する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
合成ガス中のH2の濃度が硫化水素を除去することなく富化される、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
H2の再生可能資源が都市廃棄物から形成される、請求項4および22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
水性ガスシフト反応を排除する、請求項4、21、22および25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
発酵および電気分解工程が共存する、請求項23~26に記載の方法。
【請求項28】
a. 以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2
b. 合成ガス中のH2含有量を富化して、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%または約60 vol.%~約70 vol.%のH2まで、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約8のe/CまでのH2-富化合成ガスを形成すること;
c. H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を製造すること;
d. 培養液から含酸素生成物を除去して含酸素生成物-枯渇培養液を製造すること;および
e. 培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液から固体副生成物を除去してケーキおよび浄化したストリーム濾液を製造すること、該ケーキは動物飼料としての使用に有効である、
を含む、動物飼料を調製する方法。
【請求項29】
a. 以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2
b. 合成ガス中のH2含有量を富化して、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2まで、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約8のe/CまでのH2-富化合成ガスを形成すること;
c. H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を製造すること;
d. 培養液から含酸素生成物を除去して含酸素生成物-枯渇培養液を製造すること;および培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液から固体副生成物を除去してケーキおよび浄化したストリーム濾液を製造すること、該ケーキは肥料としての使用に有効である、
を含む、肥料を調製する方法。
【請求項30】
ケーキを乾燥することをさらに含む、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに加えてe/Cを約5.7~約8の値に増加させることを含む、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに加えてH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
H2のための再生可能資源が、太陽光、風、またはそれらの組み合わせである、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
合成ガスが石炭由来である、請求項28~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
肥料が、タンパク質、脂質、炭水化物、および/またはミネラル、例えば、約30 wt.%~約90 wt.%のタンパク質、約1 wt.%~約12 wt.%の脂質、約5 wt.%~約60 wt.%の炭水化物(例えば、約15 wt.%~約60 wt.%、または約5 wt.%~約15 wt.%)、および/または約1 wt.%~約20 wt.%のナトリウム、カリウム、銅などのミネラル、例えば約86%のタンパク質、約2%の脂質、約2%のミネラル、および/または約10%の炭水化物を含む、請求項29~34に記載の方法。
【請求項36】
動物飼料が、タンパク質、脂質、炭水化物、および/またはミネラル、例えば、約30 wt.%~約90 wt.%のタンパク質、約1 wt.%~約12 wt.%の脂質、約5 wt.%~約60 wt.%の炭水化物(例えば、約15 wt.%~約60 wt.%、または約5 wt.%~約15 wt.%)、および/または約1 wt.%~約20 wt.%のナトリウム、カリウム、銅などのミネラル、例えば約86%のタンパク質、約2%の脂質、約2%のミネラル、および/または約10%の炭水化物を含む、請求項28および30~35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2022年10月28日に出願されたU.S.特許出願No. 18/050,910を優先権主張し、これは2021年10月29日に出願されたU.S.仮特許出願63/273,594の利益を主張するものであり、これらは全て参照によりそれらの全体が本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
グルコースやスクロースなどの特定の炭水化物を、発酵を用いて燃料や化学品などの種々の製品に変換するために微生物を用いることが望ましい。炭水化物の発酵によるエタノールの製造の代替案は、合成ガス(合成ガス)発酵である。合成ガスは、典型的には、炭素物質のガス化、天然ガスの精製および/または嫌気性バイオリアクター(発酵槽)から、または種々の工業方法からのバイオガスに由来する。ガス基質は一般に一酸化炭素、水素、および二酸化炭素を含み、そして通常水蒸気、窒素、メタン、軽質炭化水素、アンモニア、および硫化水素などの他の成分を含む。
【0003】
合成ガス発酵は、微生物プロセスであり、ここで1級炭素およびエネルギー源は合成ガスから提供される。一般に酢酸生成菌と呼ばれるこれらの微生物は、還元的アセチル-CoA経路(Wood-Ljungdahl経路)において、合成ガス中に存在する小さな化学ビルディングブロックを利用してエタノールおよび/または酢酸を生成する。合成ガスの発酵は、優位にエタノールおよび酢酸の形成を生じる。このプロセスは、相当量の水素および/または一酸化炭素を必要とする。一酸化炭素、二酸化炭素、および水素のエタノールおよび酢酸への全体の変換についてのバランスのとれた化学反応式は以下の通りである:
エタノール生成
6CO+3HO→COH+4CO
6H+2CO→COH+3H
酢酸生成
4CO+2HO→CHCOOH+2CO
4H+2CO→CHCOOH+2H
バランスのとれた化学反応式によって示されるように、一酸化炭素および二酸化炭素の両方が炭素の一次源として使用され得、一酸化炭素および水素中に存在する電子によって促進される。
【0004】
気候変動は高まる関心の問題である。温室効果ガスは、地球の表面での平均温度の上昇に寄与する製造業部門によって排出される。気候変動に関する関心の増加のため、我々のカーボンフットプリントを低減する化学品および燃料を製造するためのさらなる方法の必要がある。
【0005】
この背景の記載は、読者を補助するために本発明者らによって作成されたものであり、そして先行技術への言及としても、指摘した問題のいずれかがそれ自体当該分野において認識されたとの指示としても解釈されないことが理解されるであろう。記載された原理は、いくつかの点および実施形態において、他のシステムに固有の問題を軽減することができるが、保護されるイノベーションの範囲は、本明細書に記載されている任意の特定の問題を解決するための本開示の任意の実施形態の能力によってではなく、添付の特許請求の範囲によって規定されることが理解されるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要約
本開示は、微生物による発酵を用いて、エタノール、酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせなどの含酸素生成物を調製する方法を提供する。本開示はまた、肥料などの土地利用用途のための物質を調製する方法、ならびに動物飼料を調製する方法を提供する。本方法は、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、および/または二酸化炭素(CO2)のいくつかの組み合わせを含む合成ガス(合成ガス)を用いる。合成ガスは、石炭、天然ガス、石油誘導体、都市固体廃棄物(以下、「MSW」)、および/またはバイオマスの処理を含む、種々の源から製造され得る。石炭-由来H2-富化合成ガスは、一般に川下製品の製造のための原料として製造されることを意味する「故意(on purpose)」合成ガスの形態であり得る。対照的に、「パージガス」は、一般的に単位操作からの副生成物として製造される排ガスをいう。パージガスは(燃焼して熱を生成することによる)その燃料価のために用いられ得るが、分離プロセスによりパージガスをさらに処理することは一般的に経済的ではない。
【0007】
驚くべきことにおよび予想外に、合成ガスは水素(H2)ガスで富化されてH2-富化合成ガスを形成し得る。いくつかの実施態様において、そうでなければ温室効果排出を作り出すであろう工業パージガスは、合成ガスを富化して水素富化合成ガスを製造するために転用される。
【0008】
有利には、本開示の方法は、「グリーン」技術として用いられ得る。この関連で、種々の工業プロセスからの水素豊富パージガス(プロセスの最後での廃棄物ストリームであるので、「テールガス」と呼ばれることもある)は、H2-富化合成ガスを調製するために任意の源(例えば、石炭)由来の合成ガスと混合され得る。水素-豊富パージガスは、混合すると、合成ガス単独と比較してH2-富化合成ガス中の水素ガスのより高い割合(他のガスに対して)を可能にするガスをいう。合成ガスと水素豊富工業パージ(テール)ガスとの混合物は、本明細書中、H2-富化合成ガス(または基質ガス)と呼ばれ、これは本明細書に記載の通りに発酵され得る。工業パージ(テール)ガスの例は、例えば、アンモニア合成、メタノール合成、酢酸、エチレンオキシドへのエチレン酸化などの製造プロセスにおいて排出されるパージガスを含むが、これらに限定されない。これらの工業テールガスは、石炭が原料として利用可能である場合、製造され得る。これらのプロセスは、石炭処理プラントと共存し、石炭-由来合成ガスおよび工業テールガスの混合を容易にし得る。従って、共存は、合成ガス製造および工業テールガス製造がパイプラインの距離内で位置し、その結果、それらがフロースルーパイプを介して移動させ得ることを意味する。
【0009】
いくつかの実施態様において、風、太陽光、またはそれらの組み合わせなどの環境に優しい再生可能資源によって製造される水素ガスは、合成ガスを水素ガスで富化するために用いられ得る。例えば、再生可能資源(例えば、日光または風)は、電気を発生させて電気分解を行い、水から水素を製造するために用いられ得る。再生可能電気の使用は、全ての化合物が再生可能資源から供給され得るという点で「グリーン」技術と考えられ得る。
【0010】
H2-富化合成ガスは、任意の適切な方法で(例えば、圧縮機または送風機を介して)発酵液および微生物を含むバイオリアクターに送達され、発酵培養液を形成する。H2-富化ガスは、望ましくは微生物を用いて発酵され得、これは、培養液中で含酸素生成物を生成するのに十分なH2-富化合成ガスの発酵に良く適しているように選択される。例えば、微生物は、例えば、Clostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせなどの酢酸生成一酸化炭素資化性菌の形態であり得る。
【0011】
含酸素生成物は、当該分野で理解されるであろうように、任意の適切な手段によって培養液から分離され得る。例えば、含酸素生成物は、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって分離され得る。バクテリアは、遠心分離または濾過などの任意の適切な固/液分離技術によって培養液から除去される。培養液の残りの構成成分は、生成物ストリームを精製するために、蒸留などの液/液または液/蒸気分離プロセスによって処理され得る。残りの固体は、固化され、そして例えば、市況および規制当局の承認に応じて、肥料および/または動物飼料のために使用され得る。
【0012】
結果として、本開示の方法は、「グリーン」であり、そして環境に優しい。いくつかの実施態様において、工業テールガスは、汚染防止に関して転用される。大気中に放出するために工業テールガスを燃焼する代わりに、テールガスは、含酸素生成物、動物飼料、および/または肥料の製造において使用される合成ガス中に蓄積すること(その中の相対水素ガス含有量を増加させるため)によって捕捉されそして転用される。テールガス中の水素は、例えば、メタノールまたはアンモニアに由来し得る。いくつかの実施態様において、水素含有量は、風および/または太陽光などの環境に優しい源から水素を挿入することによって合成ガス中で増加される。さらに、含酸素生成物がエタノールである場合、エタノールが非毒性でかつ大気汚染を低減するのでグリーン燃料と考えられるという事実を鑑みて、さらなる環境上の利点がある。この点に関し、燃料におけるエタノールの使用は、温室効果ガス排出を低減することが見い出されている。
【0013】
従って、1つの局面において、本開示は、含酸素生成物を調製する方法を提供し、ここで当該方法は酢酸生成一酸化炭素資化性菌を用いる。本方法は、以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供することを含む:CO、CO2、およびH2。特に、合成ガスは、例えば、合成ガスをH2豊富ガス(例えば、工業テールガスおよび/または再生可能に製造された水素ガス)と混合することによって水素ガスで富化され、H2-富化合成ガスを形成する。H2-富化合成ガスは、酢酸生成一酸化炭素資化性菌で発酵され(例えば、液体媒体中、バイオリアクター中で培養液を形成する)、培養液中で含酸素生成物を生成する。含酸素生成物は、本明細書中で開示されるような公知の技術によって培養液から分離され得る。
【0014】
別の局面において、本開示は含酸素生成物を調製する方法を提供し、ここで合成ガス中のH2含有量は少なくとも約50 vol.%のH2に富化される。本方法は、以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供することを含む:CO、CO2、およびH2。合成ガスからのH2含有量は、富化されて少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を有するH2-富化合成ガスを形成する。特に、合成ガスは、例えば、合成ガスをH2豊富ガス(例えば、工業テールガスおよび/または再生可能に製造された水素ガス)と混合することによって水素ガスで富化され、H2-富化合成ガスを形成する。H2-富化合成ガスは、バクテリアで発酵され(例えば、液体媒体中、バイオリアクター中で培養液を形成する)、培養液中で含酸素生成物を生成する。含酸素生成物は、本明細書中で開示されるような公知の技術によって培養液から分離され得る。
【0015】
別の局面において、本開示は含酸素生成物を調製する方法を提供し、ここでH2-富化合成ガスは少なくとも約5.7のe/Cを有する。本明細書中で言及するように、e/Cは、合成ガス成分、すなわちH2およびCOから提供される反応に利用可能な電子の合計数を、合成ガス中のC-炭素の合計モルで割った、計算比である。H2およびCOはそれぞれ、化学反応に利用可能な、分子あたり2つの電子を含む。CO2は、炭素収支中に含まれるが、化学反応のための電子を提供しない。CH4もまた「C」および電子を含むが、合成ガス発酵において不活性化合物と見なされ、そしてそれ故e/C計算に含まれない。e/Cは、水素は電子を与えるが炭素は与えないので、ガス混合物中の水素含有量を示す。本方法は、以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供することを含む:CO、CO2、およびH2。基質ガス中のH2含有量は富化され、その結果、H2-富化合成ガスは少なくとも約5.7、例えば、約5.7~約8.0のe/Cを有する。特に、合成ガスは、例えば、合成ガスをH2豊富ガス(例えば、工業テールガスおよび/または再生可能に製造された水素ガス)と混合することによって水素ガスで富化され、H2-富化合成ガスを形成する。H2-富化合成ガスは、バクテリアで発酵され(液体媒体中、バイオリアクター中で培養液を形成する)、培養液中で含酸素生成物を生成する。含酸素生成物は、本明細書中で開示されるような公知の技術によって培養液から分離され得る。
【0016】
別の局面において、本開示は、含酸素生成物を再生可能に調製する方法を提供する。本方法は、以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供することを含む:CO、CO2、およびH2。再生可能資源からのH2は、合成ガスと混合されてH2-富化合成ガスを形成する。H2のための再生可能資源は、電気を発生して電気分解を行い、再生可能水素を生成する。H2のための再生可能資源は、例えば、太陽光、風、またはそれらの組み合わせであり得る。H2-富化合成ガスは、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵され(例えば、液体媒体中、バイオリアクター中で培養液を形成する)、培養液中で含酸素生成物を生成する。含酸素生成物は、本明細書中で開示されるような公知の技術によって培養液から分離され得る。
【0017】
別の局面において、本開示は動物飼料を調製する方法を提供する。本明細書中で使用される動物飼料は、例えば、水文化(魚飼料)、鶏試料、牛飼料、豚飼料、鳥飼料などの任意の適切なタイプであり得る。本方法は、以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供することを含む:CO、CO2、およびH2。H2-富化合成ガス中のH2含有量は富化され、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約8.0のe/Cを有するH2-富化合成ガスを形成する。特に、合成ガスは、例えば、合成ガスをH2豊富ガス(例えば、工業テールガスおよび/または再生可能に製造された水素ガス)と混合することによって水素ガスで富化され、H2-富化合成ガスを形成する。H2-富化合成ガスは、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵され(例えば、液体媒体中、バイオリアクター中で培養液を形成する)、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を生成する。含酸素生成物は培養液から分離され、含酸素生成物-枯渇培養液を生成する。含酸素生成物は、本明細書中で開示されるような公知の技術によって培養液から分離され得る。培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液からの固体副生成物は、(例えば、遠心分離または濾過によって)除去され、濃縮されたバイオソリッド画分および浄化したストリーム濾液を生成し、濃縮されたバイオソリッドは動物飼料としての使用に効果的である。浄化したストリーム濾液は、必要に応じて廃水として処理され得るか、または所望であればプロセスに再循環され得る。
【0018】
別の局面において、本開示は肥料を調製する方法を提供する。本方法は、以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供することを含む:CO、CO2、およびH2。合成ガスはH2で富化され、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%または約60 vol.%~約70 vol.%のH2、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約8.0のe/Cを有するH2-富化合成ガスを形成する。特に、合成ガスは、例えば、合成ガスをH2豊富ガス(例えば、工業テールガスおよび/または再生可能に製造された水素ガス)と混合することによって水素ガスで富化され、H2-富化合成ガスを形成する。H2-富化合成ガスは、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵され(例えば、液体媒体中、バイオリアクター中で培養液を形成する)、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を生成する。含酸素生成物は培養液から分離され、含酸素生成物-枯渇培養液を生成する。含酸素生成物は、本明細書中で開示されるような公知の技術によって培養液から分離され得る。培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液からの固体副生成物は、(例えば、遠心分離または濾過によって)除去され、濃縮されたバイオソリッド画分および浄化したストリーム濾液を生成し、濃縮されたバイオソリッドは肥料としての使用に効果的である。浄化したストリーム濾液は、必要に応じて廃水として処理され得るか、または所望であればプロセスに再循環され得る。
【0019】
前述の局面は上記の説明によって限定されないことが理解されるであろう。下位の局面は、図面および実施例などを用いて以下の詳細な説明に記載される。さらに、本明細書に記載される成分、成分の種類、量、特性、ならびに他のパラメータ、範囲、および他の詳細を含む様々な下位の局面が、上記の局面に関連して十分に考慮されており、そしてそれらは直接矛盾するか明示的に除外されない限り、必要に応じて前の段落の局面に組み込まれ得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本開示の実施態様に従う合成ガス製造および浄化の処理を描写するフローチャートである。
図2図2は、本開示の実施態様に従うメタノールを用いる酢酸製造のプロセスを描写するフローチャートである。
図3図3は、本開示の実施態様に従う石炭ガス化によるエチレングリコール製造のプロセスを描写するフローチャートである。
図4図4は、本開示の実施態様に従う水素豊富工業テールガスを石炭-由来合成ガスと混合することによる微生物発酵によるエタノール製造のプロセスを描写するフローチャートである。
図5図5は、本開示の実施態様に従う水素豊富工業テールガスを廃棄二酸化炭素含有ストリームで改質することによる微生物発酵によるエタノール製造のプロセスを描写するフローチャートである。
図6図6は、本開示の実施態様に従う一酸化炭素豊富工業テールガスの発酵への直接供給による微生物発酵によるエタノール製造のプロセスを描写するフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施態様に従う一酸化炭素豊富工業テールガスを水性ガスシフトによって改質することによる微生物発酵によるエタノール製造のプロセスを描写するフローチャートである。
図8図8は、本開示の実施態様に従う一酸化炭素豊富工業テールガスを再生可能水素(再生可能水素での炭素固定)によって混合改質することによる微生物発酵によるエタノール製造のプロセスを描写するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本開示の実施態様は、含酸素生成物、肥料、および/または動物飼料などの土地応用物質を調製する「グリーン」方法を提供する。いくつかの実施態様において、炭素排出は、特定の工場廃棄物排出を転用することによって低減され得、その結果、それらは、自然環境に排出される代わりに、バイオ燃料、化学品、動物飼料、および肥料などの所望の製品の製造に使用される。
【0022】
いくつかの実施態様において、太陽光および風などの「グリーン」再生可能資源からの水素ガスは、燃料、化学品、動物飼料、および肥料の製造に使用される。いくつかの実施態様において、動物飼料は、魚飼料、鶏試料、牛飼料、豚飼料、鳥飼料などの形態であり得る。驚くべきことにおよび予想外に、本発明者らは、水から水素を形成するための電気分解における電気の「グリーン」源の使用が、汚染物質としてCO2を発生する水性ガスシフト反応(石炭-ベースの合成ガス中の水素含有量を富化するために慣習的に使用される)の必要性を有利に回避することを見い出した。有利には、水性ガスシフト反応の使用を回避することおよび微生物発酵を用いることにより、とりわけH2SおよびCO2を合成ガスから除去することを確保する追加の工程の必要性がそれによって不必要になる。驚くべきことにおよび予想外に、本開示の実施態様に従って、本発明者らは、H2Sの存在が、硫黄の補給源の必要性を相殺するために使用され得るので、プロセスの効率を向上させることを見い出した。本発明者らはまた、プロセスがCO2の存在によって必ずしも望ましくなく影響を及ぼされず、さらに「浄化」工程の必要性を不必要にすることを見い出した。
【0023】
含酸素生成物、動物飼料および肥料を調製する方法
石炭由来の特定の組成を有する合成ガス(合成ガス)は、出発原料として用いられ得る。この点に関し、一般に、石炭はガス化プロセスの間に酸化されるので、合成ガスを生成する。合成ガスは、例えば、ガス化プロセスのタイプに応じて一酸化炭素、水素、および/または二酸化炭素をある割合で含む。本発明者らは、驚くべきことにおよび予想外に、合成ガスを工業パージガス(廃ガス)と混合し、発酵させるべき得られるH2-富化合成ガス中の水素ガス含有量の割合を上昇させ得る、および/または特定のより高いe/C(CO/H2:CO2の比におけるより高い水素含有量を示す)を達成し得ることを発見した。パージガスは、H2-富化合成ガス中の水素含有量またはe/Cを増大させるように選択される。例として、しかし限定されないが、パージガスは、メタノール、アンモニア、および/またはコークス炉ガスの製造に由来し得る。いくつかの実施態様において、酢酸、エチレングリコールの製造からのパージガス、製鋼所ガス、および/または炭化カルシウム炉テールガスを合成ガスに加えて水素含有量を制御し得る。いくつかの実施態様において、合成ガスは、所望の水素ガス含有量および/またはe/Cを達成するために、例えば、風、太陽光、またはそれらの組み合わせなどの再生可能資源を用いる電気分解によって得られる水素ガスと混合される。
【0024】
一般に、H2-富化合成ガスは、発酵液およびバクテリアを含む任意の所望のサイズまたはタイプのバイオリアクターに供給され、発酵培養液を形成する。いくつかの実施態様において、バイオリアクターは工業サイズであり、例えば、数万、数十万、または百万リットル以上の容量を有する。バイオリアクターは、当該分野で理解されるであろうように任意の適切なタイプの設計であり得る。バイオリアクターは、任意の適切な形態、例えば、適切な混合能力を有するタンクであり得る。いくつかの実施態様において、バイオリアクターは、攪拌器(例えば、羽根車)を含み、バイオリアクターに添加された構成成分の混合を容易にする。あるいは、混合は、液体のポンプによる揚水および/またはガスのバイオリアクターへの注入によって、羽根車なしで達成され得る。例えば、タンクは、円筒形または他の形状であり得、そして攪拌器(例えば、羽根車)はモーター駆動であり得る。例えば、ガス発酵について、バイオリアクターは、連続攪拌槽反応器(CSTR)、気泡塔、空気揚水反応器などの形態であり得る。
【0025】
少なくとも水、H2-富化合成ガス、微生物、栄養素、およびビタミンを含む成分がバイオリアクターに添加され、その中で発酵培養液を形成し、発酵プロセスを可能にする。各成分は、任意の適切な方法、例えば、ポンプ、ガスノズル、固体測定または他の所望の技術の援助により再生または新規ストリームを介してバイオリアクターに送達され得る。水は、栄養素および他の成分を送達することにより移動剤として有用である。水は、容易に攪拌され得、そして懸濁液中の微生物の増殖を可能とし、一方でまた種々の成分の続く分離を提供するので、バイオリアクター中の媒体としても良く適している。
【0026】
いくつかの実施態様において、発酵液は、約95%~約99%の水、約0.01%以下の量のビタミン、約1%~約2.5%の量の栄養素を含む(ここで全ての量は、当業者に理解されるように、100 ml当たりの成分の重量である)。発酵液に含めるのに有用なビタミンおよび栄養素は公知である(例えば、U.S.特許No. 6,340,581 B1を参照、このビタミンおよび栄養素の記載は本明細書中に参考として援用される)。
【0027】
発酵の間、バクテリアは、含酸素生成物、ならびに副生成物としてバイオソリッドを形成するために、H2-富化合成ガス中に存在するH2、CO、およびCO2をWood-Ljungdahl経路に従って変換するよう機能する。この点に関し、炭素はCOおよび/またはCO2によって提供される。エネルギーはCOおよび/またはH2によって提供される。
【0028】
バクテリアおよび含酸素生成物はそれぞれ発酵培養液から分離される。バクテリアは遠心分離または濾過によって分離され得る。いくつかの実施態様において、含酸素生成物は、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって分離される。バイオソリッドおよび含酸素生成物の除去後、得られる浄化されたストリームは、反応器に戻され得るか、または好気性消化または嫌気性消化によって処理され得る。
【0029】
温室効果排出に加えるおよびカーボンフットプリントを上げる代わりに、パージガスは、H2-富化合成ガス中に混合され、そして本明細書に記載のように発酵され、化学品および燃料を生成する。このように、本開示の実施態様は、炭素捕捉ならびに温室効果ガスおよびそれ故カーボンフットプリントの低減を介した有意なグリーン技術を提供する。
【0030】
本開示の方法は、例えば、含酸素生成物を調製する方法、動物飼料を調製する方法、および肥料を製造する方法を含む。本方法は、以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供することを含む:CO、CO2、およびH2。合成ガスは水素で富化され(本明細書に記載のように、合成ガスを工業テールガスまたは再生可能資源からの水素ガスと混合することによって)、その結果、(a)H2-富化合成ガス中のH2含有量は少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2であり;および/または(b)H2-富化合成ガスは少なくとも約5.7、例えば、約5.7~約8.0のe/Cを有する。H2-富化合成ガスは、液体媒体中でH2-富化合成ガスを発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成するのに適した微生物(例えば、酢酸生成一酸化炭素資化性菌)によって発酵され、培養液中で含酸素生成物を生成する。含酸素生成物は、例えば、本明細書に記載のような公知の技術によって培養液から回収され得る。
【0031】
いくつかの実施態様において、H2-富化合成ガスは少なくとも約5.7、例えば、約5.7~約8.0のe/Cを有する。H2-富化合成ガスは任意の適切なe/C、例えば、約5.7~6.0、または5.7~6.1、または5.7~6.2、または5.7~6.3、または5.7~6.4、または5.7~6.5、または5.7~6.6、または5.7~6.7、または5.7~6.8、または5.7~6.9、または5.7~7.0、または5.7~7.1、または5.7~7.2、または5.7~7.3、または5.7~7.4、または5.7~7.5、または5.7~7.6、または5.7~7.7、または5.7~7.8、または5.7~7.9、または5.7~8のe/Cを有し得る。
【0032】
いくつかの実施態様において、含酸素生成物を調製する方法は、再生可能H2を使用する。この点に関し、H2ガスは再生可能資源から(代わりに、またはそれに加えて、工業パージガスから)合成ガスに添加され、H2-富化合成ガスを形成する。H2ガスは、太陽光、風、またはそれらの組み合わせなどの適切な再生可能資源によって提供され得る。H2のための再生可能資源は、電気を発生して電気分解を行い、再生可能水素を生成する。従って、本方法は、以下の化合物の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;再生可能資源からのH2をH2-富化合成ガスに加えてH2-富化合成ガスを形成すること;H2-富化合成ガスを液体媒体中、微生物(例えば、酢酸生成一酸化炭素資化性菌)で発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中に含酸素生成物を生成することを含む。含酸素生成物は、例えば、本明細書に記載のような公知の技術によって培養液から回収され得る。
【0033】
いくつかの実施態様に従って、含酸素化合物を製造するためのプロセスの副生成物は、捕捉され得、そして肥料および/または動物飼料などの用途に用いられ得る。この点に関し、H2-富化合成ガスが微生物(例えば、酢酸生成一酸化炭素資化性菌)によって発酵された後、含酸素生成物とバイオソリッドを含む固体副生成物とが培養液中で生成される。含酸素生成物は培養液から回収され得、そうして、意図した用途のために用いられ得る。固体副生成物は、例えば、例えば、遠心分離およびフィルタープレスなどによる含酸素生成物の除去前または後に除去され、ケーキおよび浄化したストリーム濾液を生成し得る。浄化したストリーム濾液は、さらなる発酵サイクルのために発酵液に戻され得る。ケーキはバイオソリッド粒子の塊であり、そして肥料および/または動物飼料(必要に応じて、乾燥工程後)としての使用に有効であり得る。動物飼料および肥料のそれぞれの組成物は、主として微生物タンパク質および/または炭水化物からなるので、一般に類似している。いくつかの実施態様において、動物飼料および/または肥料は、タンパク質(例えば約30 wt.%~約90 wt.%、約60 wt.%~約90 wt.%など)、脂肪(例えば約1 wt.%~約12 wt.%、約1 wt.%~約3 wt.%など)、炭水化物(例えば約5 wt.%~約60 wt.%、約15 wt.%~約60 wt.%、または約5 wt.%~約15 wt.%など)および/またはナトリウム、カリウム、銅などのミネラル(例えば約1 wt.%~約20 wt.%、約1 wt.%~約3 wt.%など)を含む。例えば、動物飼料および/または肥料は、約86%のタンパク質、約2%の脂質、約2%のミネラル、および約10%の炭水化物を含み得る。
【0034】
従って、動物飼料を調製する方法において、本方法は:(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を(合成ガスを、例えば、本明細書に記載のように、工業テールガスおよび/または再生可能資源からの水素ガスと混合することによって)、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%または約60 vol.%~約70 vol.%のH2まで、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約8.0のe/Cまで富化すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を生成すること;(d)培養液から含酸素生成物を除去して含酸素生成物-枯渇培養液を生成すること;および(e)培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液から固体副生成物を除去してケーキおよび浄化したストリーム濾液を生成することを含み、このケーキは湿潤または乾燥動物飼料としての使用に有効である。工程(d)および(e)はいずれかの順序で行い得ることが理解されるであろう。いくつかの実施態様において、本方法は、ケーキを乾燥することをさらに含み、乾燥したケーキは乾燥動物飼料として有効である。いくつかの実施態様において、ケーキは安定性を増強するためおよび/または輸送および/または保存の容易さのために乾燥されるが、必要に応じて使用前に水と混合され得る。
【0035】
動物飼料は、水文化(魚飼料)、鶏試料、牛飼料、豚飼料、鳥飼料などの形態であり得る。魚飼料の場合、いくつかの実施態様において、有利には、魚飼料は水銀などの金属の高い含有量を回避し得る。いくつかの実施態様において、望ましくは、魚飼料は、水銀などの金属の高い含有量なしで、一方アミノ酸の比較的高い含有量を有して調製され得る。
【0036】
肥料を調製する方法において、本方法は:(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を(合成ガスを、本明細書に記載のように、工業テールガスまたは再生可能資源からの水素ガスと混合することによって)、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%または約60 vol.%~約70 vol.%のH2まで、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約8.0のe/Cまで富化すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を生成すること;(d)培養液から含酸素生成物を除去して含酸素生成物-枯渇培養液を生成すること;および(e)培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液から固体副生成物を除去してケーキおよび浄化したストリーム濾液を生成することを含み、このケーキは湿潤または乾燥肥料としての使用に有効である。工程(d)および(e)はいずれかの順序で行われ得る。いくつかの実施態様において、本方法は、ケーキを乾燥することをさらに含み、乾燥したケーキは乾燥肥料として有効である。いくつかの実施態様において、ケーキは安定性を増強するためおよび/または輸送および/または保存の容易さのために乾燥されるが、必要に応じて使用前に水と混合され得る。
【0037】
合成ガス
合成ガスは、炭素、水素、および酸素を含む種々の源から形成され得る。例えば、有用な炭素/水素/酸素物質は、天然ガスおよび石炭、バイオマスなどのガス化され得る物質、MSWなどの廃棄物質を含む。ある源、例えば、富化天然ガスは、長距離にわたって有益に輸送するために液化され得るが、現地でその場でおよびパイプに流して発生させることもできる。
【0038】
任意の適切な源からの、一酸化炭素/水素/二酸化炭素の任意の適切な比を含む合成ガスが使用され得る。しかし、一般に、合成ガスは、本明細書に記載のように、水素含有量がH2-富化合成ガスよりも少ない。典型的には、合成ガス源は少なくとも約2、例えば、約2~約5.7のe/Cを有する。この点に関し、e/Cは、電子の合計数の炭素原子に対する比を示し、そして合成ガスは通常(H2-富化合成ガスと比較して)より低いe/Cを有する。本明細書で議論するように、合成ガスは、例えば、工業テールガスおよび/または再生可能資源からの水素と混合され、そうして、得られるH2-富化合成ガスは、合成ガス単独の水素含有量および/またはe/Cよりも高い水素含有量および/またはe/Cによって特徴付けられる。
【0039】
合成ガスは、望ましくは石炭依存プロセス由来であり得る。H2富化のためのこの方法は、石炭由来合成ガスが低下したe/Cを有するので、特に有用である。合成ガス中のCO:H2:CO2の正確な割合は、出発原料および、例えば、存在する場合、ガス化後に実施される水性ガスシフトの度合いに依存して変化するであろう。
【0040】
合成ガスは一般に任意の適切な水素含有量を有し得るが、水素含有量はH2-富化合成ガス(すなわち、合成ガスが工業テールガスおよび/または再生可能資源からの水素ガスと混合された後)の水素含有量よりも少ない。例えば、いくつかの実施態様において、合成ガスは約5 vol. %~約80 vol.%のH2、または約50 vol.%~約80 vol.%のH2を含む。
【0041】
合成ガスは一般に任意の適切な一酸化炭素含有量を有し得る。例えば、いくつかの実施態様において、合成ガスは約3 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む。いくつかの実施態様において、合成ガスは、混合したH2-富化合成ガスと比較して一酸化炭素のより高い相対体積百分率を有する。
【0042】
合成ガスは一般に任意の適切な二酸化炭素含有量を有し得る。例えば、いくつかの実施態様において、合成ガスは約0 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約45 vol.%のCO2または約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む。いくつかの実施態様において、合成ガスは、混合したH2-富化合成ガスと比較して二酸化炭素のより高い相対体積百分率を有する。
【0043】
工業パージ(テール)ガス
いくつかの実施態様において、合成ガスは工業パージガスと混合されてH2-富化合成ガスを形成する。パージガスは、一般に、多くの化学品または物質の製造において排出される排気ガスである。パージガスは、排気ストリームの一部であるので、しばしばテールガスと呼ばれる。石炭-由来パージガスの使用は、その豊富さおよび継続的供給のために、本開示の実施態様において特に有用である。
【0044】
例えば、化学反応収支、高効率、および通常かつ安全な操作を維持するために、化学プロセス中の副反応によって発生するガスまたは原料の混合ガスの残りの成分は、化学プロセスにもはや使用され得ない低級のガスの全てまたは一部分のために、しばしば製造ユニットの外に連続的または周期的に排出される。低級ガス成分は、低い含有量の有効なガス成分および高い含有量の不純物に言及する。プロセス中に排出されるガスの一部分は、パージガスと呼ばれる。例えば、多数のパージガスは、アンモニア合成、メタノール合成、酢酸、エチレンオキシドへのエチレン酸化などの製造プロセスにおいて排出される。パージガスは、事故、異常な製造、設備の洗浄、交換および他のプロセスのせいで一時的に排出されるガスとは異なる。
【0045】
例えば、パージガスはメタノール製造に由来し得る。メタノール製造からのパージガスの例示的な組成を表1に示す。メタノール製造由来のパージガスの潜在的な体積は、メタノール1トン当たり約300 Nm3(メタノール1トン当たり約0.05トンのエタノールに等しい)である。メタノール製造由来のパージガスの中国単独における潜在的エタノール製造体積は、250万トンまでのエタノール(2019年の5000万トンのメタノール製造に基づいて)である。メタノール製造由来のパージガスの現在の使用は、フレアにおける燃焼、エネルギー回収(BTU値)のための廃熱ボイラーにおける燃焼、および水素回収を含む。メタノール製造からのパージガスの代表的な組成は、本開示のいくつかの実施態様に従い、表1に提供される。
【0046】
【表1】
【0047】
別の例として、パージガスは合成アンモニア製造由来でもあり得る。合成アンモニア製造からのパージガスの組成を表2に示す。合成アンモニア製造由来のパージガスの潜在的体積は、アンモニア1トン当たり約100 Nm3(アンモニア1トンあたり約0.02トンのエタノールに等しい)である。合成アンモニア製造由来のパージガスの中国単独における潜在的エタノール製造体積は、150万トンまで(2019年の7000万トンのアンモニア製造に基づいて)である。合成アンモニア製造由来のパージガスの現在の使用は、フレアにおける燃焼、エネルギー回収(BTU値)のための廃熱ボイラーにおける燃焼、および水素回収を含む。合成アンモニア製造からのパージガスの代表的な組成は、本開示のいくつかの実施態様に従い、表2に提供される。
【0048】
【表2】
【0049】
石炭のガス化から合成ガスを調製するための実施態様は図1に示される。図1で見られるように、石炭110は酸素130の導入でガス化120に供され、CO-豊富合成ガス140を生成する。この合成ガスは水性ガスシフト150に供されてH2含有量を増加させ、続いて酸性ガス除去160に供される。酸性ガスは、硫化水素(H2S)、二酸化炭素(CO2)、または関連する酸性ガスを含むガス混合物をいう。酸性ガス除去は3つのストリーム:化学変換190に適した合成ガスの精製形態、H2S豊富ストリーム170、およびCO2が富化された酸性ガスストリーム180を生じる。酸性ガスの組成を表3に記載する。原料酸性ガスのための現在の使用は、大気中への排出(石炭化学工業からの主要な温室効果ガスとして)を含む。さらに、精製した酸性ガスは飲料用、ドライアイス製造用のCO2として使用される。酸性ガスの代表的な組成は、本開示のいくつかの実施態様に従い、表3に提供される。
【0050】
【表3】
【0051】
いくつかの実施態様において、パージガスは酢酸製造に由来し得る。メタノールを用いる酢酸製造のプロセスは、いくつかの実施態様に従い、図2に見られ得る。図2で見られるように、メタノール210およびCO 220はカルボニル化230および精製240を受け、酢酸250を生成する。高圧パージガス260はカルボニル化230の間に生成され、そして低圧パージガス270は精製240の間に生成される。酢酸製造由来のパージガスの現在の使用は、フレアにおける燃焼およびエネルギー回収(BTU値)のための廃熱ボイラーにおける燃焼を含む。高圧パージガスおよび低圧パージガスの代表的な組成は、本開示のいくつかの実施態様に従い、それぞれ表4および5に提供される。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
パージガスは、いくつかの実施態様に従い、エチレングリコール製造に由来し得る。石炭ガス化によるエチレングリコール製造のプロセスは、いくつかの実施態様に従い、図3に見られ得る。空気305は空気分離310に供され、そして石炭315のガス化320において使用される。ガス化した物質は次いでガス分離350に供され、そしてCO 365と混合されてカルボニル化375を行い、これはCO-豊富パージガス370ストリームを生成する。カルボニル化後、物質は亜硝酸メチル回収380に供されるかまたはH2 355を用いる水素化330に供されるかのいずれかであり、これはH2豊富パージガス345を生成する。生成物は次いで精製335され、エチレングリコール340を生成する。CO-豊富パージガスおよびH2-豊富パージガスの代表的な組成は、本開示のいくつかの実施態様に従い、それぞれ表6および7に提供される。エチレングリコール製造由来のパージガスの現在の使用は、フレアにおける燃焼およびエネルギー回収(BTU値)のための廃熱ボイラーにおける燃焼を含む。
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】
いくつかの実施態様において、炭化カルシウム炉テールガスはパージガスとして使用され得る。炭化カルシウム炉テールガスの代表的な組成は、本開示のいくつかの実施態様に従い、表8に示される。炭化カルシウム炉テールガスの潜在的体積は、炭化カルシウム1トン当たり約400 Nm3(エタノール約0.1トン/炭化カルシウム1トンに等しい)である。炭化カルシウム炉テールガスの中国単独における潜在的エタノール製造体積は、300万トンまで(2019年の3000万トンの炭化カルシウム製造に基づいて)である。炭化カルシウム炉テールガスの現在の使用は、エネルギー回収(BTU値)のための廃熱ボイラーにおける燃焼、コークス乾燥、および発電を含む。
【0058】
【表8】
【0059】
いくつかの実施態様において、コークス炉ガス(COG)はパージガスとして使用され得る。コークス炉ガスの代表的な組成は、本開示のいくつかの実施態様に従い、表9に示される。コークス炉ガスの潜在的体積は、コークス1トン当たり約420 Nm3(エタノール約0.08トン/炭化カルシウム1トンに等しい)である。コークス炉ガスの中国単独における潜在的エタノール製造体積は、360万トンまで(2019年の45000万トンの炭化カルシウム製造に基づいて)である。コークス炉ガスの現在の使用は、熱コークス炉への燃焼(BTU値)-合計COGの40-45%、発電、およびアンモニア/メタノール/NG合成を含む。
【0060】
【表9】
【0061】
いくつかの実施態様において、製鋼所ガス(SMG)が使用され、例えば、e/Cを低下させ得る。製鋼所ガスの代表的な組成は、本開示のいくつかの実施態様に従い、表10に示される。例えば、製鋼所ガスは、鋼生産の間に高炉から生成され得る。それはCOおよびCO2を少量のH2とともに含む。いくつかの実施態様において、SMGは合成ガスおよび水素豊富ガスとともに追加の(第3の)入力ガスとして使用され、特定のe/Cを達成し得る。
【0062】
【表10】
【0063】
本開示の実施態様に従い、工業テールガスは微生物発酵によるエタノール製造のために使用され得る。含酸素生成物(例えば、エタノール)は、メタノールパージガス、アンモニアパージガス、コークス炉ガス(COG)などのH2-豊富工業テールガスを用いて微生物発酵により生成され得る。水素豊富工業テールガスを石炭-由来合成ガスと混合することによる微生物発酵によってエタノールを製造するプロセスの実施態様を図4に示す。図4で見られるように、H2-豊富工業テールガス410は石炭-由来合成ガス420と混合され、例えば、少なくとも約5.7(約5.7~約8.0など)のe/Cを有するガス430を発生する。水素-富化合成ガス430は次いで微生物発酵440のための炭素源およびエネルギー源として使用され、エタノール450および微生物タンパク質460の生成をもたらす。培養液は反応器から除去され、そしてエタノール450は蒸留などの技術によって回収される。微生物タンパク質が富化されたバイオソリッド460もまた除去された培養液から回収される。
【0064】
水素豊富工業テールガスおよび酸性ガスなどの廃CO2-含有ストリームでの改質による微生物発酵によってエタノールを製造するプロセス(逆水性ガスシフトによる炭素固定)を図5に示す。逆水性ガスシフトは、可逆水性ガスシフト反応の平衡を逆に移動させることをいい、そして高温での出発平衡における高いH2およびCO2含有量のため、平衡においてより高いCO濃度を生じる。図5で見られるように、H2-豊富工業テールガス510は廃CO2含有ストリーム520と混合され、そして逆水性ガスシフトを受けて6.0のe/Cを有するガス530を発生させる。スチーム540は放出される。ガスは、本開示の実施態様に従って微生物発酵550を受け、そして培養液は反応器から除去され、そしてエタノール560は蒸留などの技術によって回収される。微生物タンパク質が富化されたバイオソリッド570もまた除去された培養液から回収される。
【0065】
エタノールは、酢酸パージガス、炭化カルシウム炉テールガス、製鋼所ガスなどのCO-豊富工業テールガスを用いる微生物発酵によって製造され得る。一酸化炭素豊富工業テールガスの発酵への直接供給による微生物発酵によってエタノールを製造するプロセスを図6に示す。図6で見られるように、CO-豊富工業テールガス610は、本開示の実施態様に従って微生物発酵620を受ける。培養液は反応器から除去され、そしてエタノール630は蒸留などの技術によって回収される。微生物タンパク質が富化されたバイオソリッド640もまた除去された培養液から回収される。
【0066】
水性ガスシフトにより一酸化炭素豊富工業テールガスを改質することによる微生物発酵によってエタノールを製造する代表的なプロセスを図7に示す。水性ガスシフトは、COおよび水蒸気をH2およびCO2に変換することをいい、そして平衡においてより高いH2濃度を生じる。水性ガスシフト反応の反転は「逆水性ガスシフト」と呼ばれ、ここでCO2およびH2は反応してCOおよびH2Oを形成する。この点に関し、逆水性ガスシフトのためにH2を添加することは、それが反応で全て消費される場合、直接的にH2を増加させないであろう。CO2の量は、逆水性ガスシフト反応の結果として減少し、そして必要に応じて過剰のH2が添加された場合、H2はその添加により増加し、その結果、水素の全体の相対量は増加する。図7で見られるように、CO-豊富工業テールガス710はスチーム720と合わされ、そして水性ガスシフトを受けて、例えば、少なくとも約5.7(約5.7~約8.0など)のe/Cを有するガス730を発生する。ガスは、本開示の実施態様に従って微生物発酵740を受ける。培養液は反応器から除去され、そしてエタノール750は蒸留などの技術によって回収される。微生物タンパク質が富化されたバイオソリッド760もまた除去された培養液から回収される。
【0067】
再生可能H2と混合することによる微生物発酵によってエタノールを製造するプロセス(再生可能H2での炭素固定)を図8に示す。図8で見られるように、CO-豊富工業テールガス810は再生可能H2(太陽光/風)820と合わされ、そして混合されて、例えば、少なくとも約5.7(約5.7~約8.0など)のe/Cを有するガス830を発生させる。CO2 840は放出される。ガスは、本開示の実施態様に従って微生物発酵850を受ける。培養液は反応器から除去され、そしてエタノール860は蒸留などの技術によって回収される。微生物タンパク質が富化されたバイオソリッド870もまた除去された培養液から回収される。
【0068】
水素ガスの再生可能資源
合成ガスは水素ガスで富化され、少なくとも一部は「グリーン」技術に由来するH2-富化合成ガスを形成し得る。合成ガスは任意の適切な方法で任意の適切な源からの水素と混合され、H2-富化合成ガスを調製し得、これは次いで本明細書に記載のように発酵される。
【0069】
本開示の実施態様に従い、工業パージガスは転用されて水素富化合成ガスを生成する。さらに、いくつかの実施態様において、環境に優しい再生可能資源(例えば、風、太陽光、またはそれらの組み合わせ)によって製造される水素ガスは、合成ガスを水素ガスで富化するために使用され得る。驚くべきことにおよび予想外に、本発明者らは、本プロセスが、軽減されるべき過剰のCO2を望ましくなく形成する水性ガスシフト反応の使用を有益に回避し得ることを発見した。
【0070】
この点に関し、水性ガスシフトは、合成ガス中の水素含有量を改善するために従来より使用されている。例えば、バイオマス、MSW、または石炭-ベースの合成ガスにともなう従来の問題は、高いCO含有量および比較的低い水素含有量を有することであり、これは多くのプロセスの数を複雑にする。伝統的に、この問題を回避するために、水性ガスシフト反応を採用し、COのCO2への変換を犠牲にして合成ガスの水素含有量を増加させる。この点に関し、水性ガスシフト反応は、COおよび水蒸気をH2およびCO2に変換することをいい、そして平衡においてより高いH2濃度を生じる。
【0071】
水性ガスシフト反応は一酸化炭素とスチームとの間の発熱反応であり、二酸化炭素および水素を形成する。一般に、典型的な工業用途において、水性ガスシフト反応は2段階プロセスとして行われる。これらの段階は、「高温」段階と「低温」段階との間で従来分割される。高温段階は、約320-450℃の範囲で鉄ベースの触媒上で行われる。低温段階は、約150-250℃の範囲で銅ベースの触媒上で行われる。
【0072】
水性ガスシフト反応の使用は、水素のレベルの増加を生じる;しかし、CO2の量もまた不可避的に生成される。CO2は温室効果ガスであり、そしてその捕捉および使用には限られた選択肢しか存在しない。水性ガスシフト反応によって生成したCO2の全てが消費されない場合、プロセスは正味のCO2生産者になる危険を冒す。それゆえ、追加のプロセス(例えば、炭素捕捉)を介して余剰のCO2を軽減する必要があり、それによってプロセスにさらなる複雑さおよび工程を導入する。
【0073】
本開示の実施態様に従い、本発明者らは、水性ガスシフト技術が再生可能水素の使用により水素の量を直接調整することによって回避され得ることを見い出した。このプロセスにより、再生可能水素の添加が水素含有量の特定の調整を可能にするので、水性ガスシフト反応は回避され得る。これは、通常余剰のCO2を生成する水性ガスシフト反応の使用なしで、水素の量を許容範囲に調整することを可能にする。重要なことには、合成ガスの変換のための再生可能の以前の使用(Wangら)とは異なり、一酸化炭素資化菌(carboxytrophs)を介した発酵のための再生可能水素富化合成ガスの使用はH2SまたはCO2の富化合成ガスストリームからの除去を必要としない。実際、H2Sは、ホモ酢酸生成一酸化炭素資化菌(homoacetogenic carboxytrophs)によって使用されて硫黄の補給源の必要性を相殺するのを助け得るという点で、プロセスの効率を向上させる。
【0074】
いくつかの実施態様において、再生可能水素は、廃棄物原料、例えば、MSWから形成される合成ガスに添加される。MSWは、そのように使用されない場合、通常埋め立てられるかまたは焼却されるので、すぐに入手できかつ容易に供給される原料である。MSWの焼却は、CO2および粒子(例えば、すす)の放出を生じ、一方埋め立てはMSWの微生物変換を可能にし、これは結果として「バイオガス」を放出する。バイオガスはH2S、CO2、およびメタン(CH4)の混合物である。本明細書で記載されるように、CO2は汚染物質であり、H2Sは可燃性、腐食性および有毒であり、そしてCH4はCO2よりも危険な温室効果ガスと考えられる。例えば、MSWの形態のバイオマスから形成される合成ガスの調製は、そうでなければ埋め立ておよび/または焼却によって放出されるであろうこのような汚染物質および粒子の放出を望ましく防止し得る。
【0075】
MSWのガス化は、ガス化のためのほとんどの基質(例えば、石炭およびバイオマス)と一致して、典型的にはH2:CO比が1:1(約≦3のe/Cを有する)に近い合成ガスを生じ、これはまた1:1付近のH2:CO比を生じる。この点に関し、MSWから調製された合成ガスは、エタノール製造のために望ましく効率的と考えられるように、そのH2含有量が増強されることを必要とする。
【0076】
任意の適切な量の水素が合成ガスに添加され、H2-富化合成ガスを形成し得る。例えば、いくつかの実施態様において、富化は、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加し、H2-富化合成ガス中のH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む。
【0077】
いくつかの実施態様において、合成ガスは水素ガスと混合され、少なくとも約5.7の値、例えば、約5.7~約8.0の値のe/Cによって特徴付けられるH2-富化合成ガスを調製する。
【0078】
水素ガスの製造は、本開示の実施態様に従い、任意の再生可能資源からであり得る。例えば、再生可能資源は、ソーラーパネルアレイまたは風力タービンを含む農場の形態、またはそれらの組み合わせであり得る。一般に、再生可能資源は電気を生成し得、これは次いで電気分解プロセスが行われる場所に送られて水を水素および酸素に変換し得る。水素は、例えば、水素配管、水素液化およびタンク車輸送、及び他の水素保管および輸送技術によって合成ガス製造の場所に送達され得る。
【0079】
一般に、ソーラーパネルおよび風力タービンなどの源は、電気の再生可能資源として使用され得る。風力および太陽光は、公知の技術を用いて任意の適切な方法で生成され得る。例えば、陸上または海上風力タービンは、ローターのまわりのタービンのプロペラ様ブレードによって使用され得る。タービンのブレードは、ローターを回転させる空気力を作り出す。ジェネレーターは、ローターの機械(動力学的)エネルギーを電気エネルギーに変換する。太陽光技術の場合、日光は、光起電性パネルなどの任意の適切な方法で、または太陽放射を集中させるミラーを用いることによってなどで電気エネルギーに変換される。エネルギーは、セル中の内部電場に応答して移動する電荷を作り出し、それによって電気が流れることを可能にする。再生可能資源から電気を形成するための技術は、当該分野で周知であり、そして再生可能に電気を形成するための任意の適切な技術または配置は、本開示の実施態様に従って使用され得る。例えば、U.S.特許および特許公開Nos. 2,360,791 A; 7,709,730 B2; 7,381,886 B1; 7,821,148 B2; 8,866,334 B2; 9,871,255 B2; 9,938,627 B2;および2022/0145479 A1を参照。
【0080】
いくつかの実施態様において、本開示による方法において使用される電気は、適切な機関によって文書化されそして望ましくは「クリーン」電力と表されるその再生可能性を有し得る。再生可能エネルギーについて、好ましくは、使用されるのと同量の電力はグリッドに戻される。水は望ましくは再生可能と考えられるので、本開示のいくつかの実施態様に従って、再生可能電力とともに使用される場合、生成した水素もまた再生可能と考えられる。
【0081】
一旦調達されると、電気は、例えば、水を所望の水素ならびに酸素に分割する電気分解によって水素を生成するために使用される。この方法は、電気分解による再生可能水素の製造を可能にし、ここで水素は合成ガスを富化するために使用され、その結果、水性ガスシフトの使用およびその余剰のCO2生成を軽減する必要性なく、含酸素生成物(エタノールなど)を製造するために使用され得る。
【0082】
本開示の実施態様に従い、本発明者らは、水性ガスシフト技術が再生可能水素の使用により水素の量を直接調整することによって回避され得ることを見い出した。再生可能水素の添加は、水性ガスシフト反応を使用することなく、および余剰のCO2を生成することなく、水素の量の許容範囲への特定の調整を可能にする。さらに、実施態様に従い、H2SおよびCO2などの成分の合成ガスからの除去を確保するための追加の工程の必要性は不必要である。例えば、H2Sは触媒経路によってメタノールの生成に悪影響を与え得るが、実施態様に従い、本明細書に開示したプロセスに悪影響を与えない。特に、H2Sの存在は有機体のための硫黄源として使用され得、それによって本プロセスに関連するコストおよび労力を望ましく低減する。有利には、結果として、本プロセスにおいてエタノールなどの含酸素生成物をより少ない工程および障害で製造するのにより適切である合成ガスが形成される。
【0083】
H2-富化合成ガス
本開示の実施態様に従い、合成ガスは再生可能資源からの工業パージガスおよび/または水素ガスと混合され、H2-富化合成ガスを形成する。結果として、H2-富化合成ガス中の水素含有量および/またはe/Cは、合成ガス単独中の水素含有量および/またはe/Cよりも高い。いくつかの実施態様において、H2-豊富テールガスは、石炭からメタノールの製造からのパージガス、石炭から合成アンモニアの製造からのパージガス、石炭から酢酸の製造からのパージガス、石炭からエチレングリコールの製造からのパージガス、石炭から合成天然ガスの製造からのパージガス、石炭から液体の製造からのパージガスなどの石炭由来化学製造プロセスからのパージガス、コークス炉ガス、またはそれらの任意の組み合わせ由来である。
【0084】
H2-富化合成ガスは一般に任意の適切な水素含有量を有し得るが、H2-富化合成ガス中の水素含有量は、相対体積基準で、合成ガスと比較してより大きい。例えば、いくつかの実施態様において、H2-富化合成ガスは、少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む。
【0085】
典型的には、H2-富化合成ガスは少なくとも約5.7のe/Cを有する。いくつかの実施態様において、H2-富化合成ガスは約8以下、例えば、約5.7~約8.0のe/Cを有する。この点に関し、H2-富化合成ガスは通常、H2-富化合成ガス中のより高いH2含有量のため、合成ガスと比較してより高いe/Cを有する。
【0086】
H2-富化合成ガスは一般に、任意の適切な一酸化炭素含有量を有し得る。例えば、いくつかの実施態様において、H2-富化合成ガスは、約3 vol.%~約50 vol.%のCO、例えば、約25 vol.%~約35 vol.%のCOを含む。いくつかの実施態様において、H2-富化合成ガスは、水素富化していない合成ガスと比較して一酸化炭素のより低い相対体積百分率を有する。
【0087】
H2-富化合成ガスは一般に、任意の適切な二酸化炭素含有量を有し得る。例えば、いくつかの実施態様において、合成ガスは、約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約15 vol.%のCO2または約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む。いくつかの実施態様において、H2-富化合成ガスは、合成ガスと比較して二酸化炭素のより低い相対体積百分率を有する。
【0088】
微生物
任意の適切な微生物、例えば、より高い含有量の水素ガスを含む(例えば、少なくとも約50体積%の水素ガスを含む)ガスを発酵させるのに良く適しているバクテリアは、本開示の方法における発酵のために使用される。例えば、いくつかの実施態様において、バクテリアは酢酸生成一酸化炭素資化性である。このような微生物は、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中のU.S.出願番号63/136,025および63/136,042に記載されており、これらは本明細書中に参考として援用される。
【0089】
例えば、いくつかの実施態様において、本開示の方法における発酵において使用される微生物は、Clostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせを含むバクテリアの形態である。これらのバクテリアは、U.S.特許No. 6,340,581 B1において議論されているように、Wood-Ljungdahl代謝経路の存在によって特徴付けられる。
【0090】
含酸素生成物
本明細書に記載されるように、発酵により、微生物は本開示の実施態様において含酸素生成物を生成する。含酸素生成物は、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な技術によって培養液から回収され得る。
【0091】
所望のように本明細書に記載の方法から調製され得る任意の適切な含酸素生成物が生成され得る。例えば、いくつかの実施態様において、含酸素生成物はエタノールである。いくつかの実施態様において、含酸素生成物は、酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様において、本方法は、培養液から含酸素生成物を分離することをさらに含む。
【0092】
特に所望の含酸素生成物の製造は、当業者に理解されるように、発酵プロセスを用いて達成され得る。例えば、酢酸生成一酸化炭素資化性微生物は、それらの自然状態でアセテートを作製し得るが、条件はエタノールを作製するように操作され得る。例として、発酵培養液のpHは約5.3以下(約4.8以下など)に下げられ得、そしてビタミンB5の量は、それによって微生物の増殖を抑制しかつより多くのエタノールの製造を可能とするよう限定され得る。プロピオネート、ブチラート、酢酸、ブタノール、およびプロパノールなどの他の含酸素化合物は、当業者のレベル内であるように、別の一酸化炭素資化性有機体を用い、酢酸生成一酸化炭素資化性微生物を操作する(例えば、U.S.特許公報No. 2011/0236941 A1を参照)ことによって、共培養の使用(例えば、U.S.特許No. 9,469,860 B2およびU.S.特許公報No. 2014/0273123 A1を参照)または成分の添加または改変によって製造され得る。
【0093】
共存
要求されないが、共存は、含酸素および/または飼料製品を形成するために、いくつかの実施態様において製造プロセスで使用され得る。本明細書で使用されるように、共存は再生可能水素の使用を含み得るが、そのように限定されない。共存は、異なる成分プロセスを1つの集中領域に単一の位置で、あるいは互いに近接して(例えば、約10マイル以内または約5マイル以内などの約50マイル以内)設置することを含む。例えば、これは、合成ガス製造、パージ(テール)ガスの製造、合成ガスの水素富化、発酵、電気分解(存在する場合)、電気製造(存在する場合、例えば、太陽光および/または風によって)、および/または含酸素生成物の分離を1つの位置にまたは互いに近接して配置することを含み得る。
【0094】
実施態様において、合成ガス製造、パージ(テール)ガスの製造、合成ガスの水素富化、発酵、および/または含酸素生成物の分離プロセスは、任意の適切な配置で共存し得る。例えば、実施態様において、合成ガス製造およびパージ(テール)ガスの製造プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガス製造および合成ガスの水素富化プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガス製造および発酵プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガス製造および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。実施態様において、パージ(テール)ガスの製造および合成ガスの水素富化プロセスは、共存する。実施態様において、パージ(テール)ガスの製造および発酵プロセスは、共存する。実施態様において、パージ(テール)ガスの製造および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガスの水素富化および発酵プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガスの水素富化および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。実施態様において、発酵および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。
【0095】
再生可能水素が合成ガスに添加されてH2-富化合成ガスを形成する実施態様において、合成ガス製造、合成ガスの水素富化、発酵、電気分解、電気製造、および/または含酸素生成物の分離プロセスは、任意の適切な配置で共存し得る。例えば、実施態様において、合成ガス製造および合成ガスの水素富化プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガス製造および発酵プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガス製造および電気分解プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガス製造および電気製造プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガス製造および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガスの水素富化および発酵プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガスの水素富化および電気分解プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガスの水素富化および電気製造プロセスは、共存する。実施態様において、合成ガスの水素富化および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。実施態様において、発酵および電気分解プロセスは、共存する。実施態様において、発酵および電気製造プロセスは、共存する。実施態様において、発酵および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。実施態様において、電気分解および電気製造プロセスは、共存する。実施態様において、電気分解および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。実施態様において、電気製造および含酸素生成物の分離プロセスは、共存する。
【0096】
実施態様において、合成ガス製造、パージガス製造、水素での合成ガス富化、および発酵プロセスは、共存する。実施態様において、発酵、電気分解、合成ガス製造、および水素での合成ガス富化、ならびに電気の源は、共存する。実施態様において、合成ガス製造、合成ガスの水素富化、発酵プロセス、および含酸素生成物の分離は、共存する。実施態様において、製造プロセスの全ての局面は、共存する。
【0097】
いくつかの実施態様において、共存方法は、電気を調達して(例えば、非-再生可能または再生可能資源のいずれかから)電気分解を用いる水素の生成を発生させることを含む。しかし、電気は効率的に製造されて送電線を介して長距離にわたって輸送され得るので、このプロセスにおいて調達される電気は、現場で、近接地で製造され得るか、または送電線によって輸送され得るかのいずれかであり、そして本開示の実施態様に従って製品を製造するための共存プロセスと依然として考えられる。所望であれば、直接送電線は、例えば、プラント自体のグリッドの保守管理が経済的に有益である場所(例えば、供給停止の影響を受けやすい負担がかかりすぎるまたは不安定なローカルグリッド)で使用され得る。
【0098】
局面
本発明は、以下の例示的局面によってさらに説明される。しかし、本発明は以下の局面によって限定されない。
【0099】
(1)(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を富化してH2-富化合成ガスを形成すること;および(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌で発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物を製造すること:を含む、含酸素生成物を調製する方法。
【0100】
(2)合成ガスが約5 vol. %~約80 vol.%のH2、または約50 vol.%~約80 vol.%のH2を含む、局面1の方法。
【0101】
(3)合成ガスが約3 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む、局面1または2の方法。
【0102】
(4)合成ガスが約3 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約0 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面1または2のいずれか1の方法。
【0103】
(5)合成ガスが約0 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面1~4のいずれか1の方法。
【0104】
(6)H2-富化合成ガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面1~5のいずれか1の方法。
【0105】
(7)H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約50 vol.%のCO、例えば、約25 vol.%~約35 vol.%のCOを含む、局面1~6のいずれか1の方法。
【0106】
(8)H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約0 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面1~7のいずれか1の方法。
【0107】
(9)H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面1~7のいずれか1の方法。
【0108】
(10)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約8または約2~約6.0のe/Cを有する、局面1~9のいずれか1の方法。
【0109】
(11)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約8または約2~約5.7のe/Cを有する、局面1~9のいずれか1の方法。
【0110】
(12)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約6または約2~約5.7のe/Cを有する、局面1~9のいずれか1の方法。
【0111】
(13)H2-富化合成ガスが約6以下、例えば、約5.7~約6のe/Cを有する、局面1~12のいずれか1の方法。
【0112】
(14)含酸素生成物がエタノールである、局面1~13のいずれか1の方法。
【0113】
(15)含酸素生成物が酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせである、局面1~14のいずれか1の方法。
【0114】
(16)含酸素生成物を培養液から分離することをさらに含む、局面1~15のいずれか1の方法。
【0115】
(17)含酸素生成物が分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって分離される、局面16の方法。
【0116】
(18)バクテリアがClostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせを含む、局面1~17のいずれか1の方法。
【0117】
(19)富化することが合成ガスをH2-豊富テールガスと混合することを含む、局面1~18のいずれか1の方法。
【0118】
(20)H2-豊富テールガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面19の方法。
【0119】
(21)H2-豊富テールガスが、石炭からメタノールの製造からのパージガス、石炭から合成アンモニアの製造からのパージガス、石炭から酢酸の製造からのパージガス、石炭からエチレングリコールの製造からのパージガス、石炭から合成天然ガスの製造からのパージガス、石炭から液体の製造からのパージガスなどの石炭由来化学製造プロセスからのパージガス、コークス炉ガス、またはそれらの任意の組み合わせ由来である、局面18または19の方法。
【0120】
(22)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面1~18のいずれか1の方法。
【0121】
(23)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスを合成ガスに添加して逆水性ガスシフト反応を引き起こしてCO2をCOに変換し、および必要に応じて過剰のH2を添加してH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面1~18のいずれか1の方法。
【0122】
(24)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面1~18のいずれか1の方法。
【0123】
(25)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面1~18のいずれか1の方法。
【0124】
(26)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してe/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面1~18のいずれか1の方法。
【0125】
(27)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面1~18のいずれか1の方法。
【0126】
(28)合成ガスが石炭由来合成ガスである、局面1~27のいずれか1の方法。
【0127】
(29)H2のための再生可能資源が太陽光、風、またはそれらの組み合わせであり、例えば、再生可能資源(すなわち、日光または風)が電気を発生して電気分解を行い、再生可能水素を生成する、局面26または27の方法。
【0128】
(30)(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を富化して、少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を有するH2-富化合成ガスを形成すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、バクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物を製造すること:を含む、含酸素生成物を調製する方法。
【0129】
(31)合成ガスが約5 vol.%~約80 vol.%のH2、または約50 vol.%~約80 vol.%のH2を含む、局面30の方法。
【0130】
(32)合成ガスが約3 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む、局面30または31の方法。
【0131】
(33)合成ガスが約3 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約0 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面30~32のいずれか1の方法。
【0132】
(34)合成ガスが約3 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面30~32のいずれか1の方法。
【0133】
(35)H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約50 vol.%のCO、例えば、約25 vol.%~約35 vol.%のCOを含む、局面30~34のいずれか1の方法。
【0134】
(36)H2-富化合成ガスが約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面30~35のいずれか1の方法。
【0135】
(37)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約8のe/Cを有する、局面30~36のいずれか1の方法。
【0136】
(38)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約6のe/Cを有する、局面30~36のいずれか1の方法。
【0137】
(39)H2-富化合成ガスが約6以下、例えば、約5.7~約6のe/Cを有する、局面30~38のいずれか1の方法。
【0138】
(40)含酸素生成物がエタノールである、局面30~39のいずれか1の方法。
【0139】
(41)含酸素生成物が酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせである、局面30~40のいずれか1の方法。
【0140】
(42)含酸素生成物を培養液から分離することをさらに含む、局面30~41のいずれか1の方法。
【0141】
(43)含酸素生成物が、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって分離される、局面42の方法。
【0142】
(44)バクテリアがClostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせを含む、局面30~43のいずれか1の方法。
【0143】
(45)富化することが、合成ガスをH2-豊富テールガスと混合することを含む、局面30~44のいずれか1の方法。
【0144】
(46)H2-豊富テールガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面45の方法。
【0145】
(47)H2-豊富テールガスが、石炭からメタノールの製造からのパージガス、石炭から合成アンモニアの製造からのパージガス、石炭から酢酸の製造からのパージガス、石炭からエチレングリコールの製造からのパージガス、石炭から合成天然ガスの製造からのパージガス、石炭から液体の製造からのパージガスなどの石炭由来化学製造プロセスからのパージガス、コークス炉ガス、またはそれらの任意の組み合わせ由来である、局面45または46の方法。
【0146】
(48)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面30~44のいずれか1の方法。
【0147】
(49)合成ガスが少なくとも約0 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面30~44のいずれか1の方法。
【0148】
(50)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスを合成ガスに添加して逆水性ガスシフト反応を引き起こし、CO2をCOに変換すること、および必要に応じて過剰のH2を添加してH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面30~44のいずれか1の方法。
【0149】
(51)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面30~44のいずれか1の方法。
【0150】
(52)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面30~44のいずれか1の方法。
【0151】
(53)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してe/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面30~44のいずれか1の方法。
【0152】
(54)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面30~44のいずれか1の方法。
【0153】
(55)H2のための再生可能資源が、太陽光、風、またはそれらの組み合わせであり、例えば、再生可能資源(すなわち、日光または風)が電気を発生して電気分解を行い、再生可能水素を生成する、局面53または54の方法。
【0154】
(56)合成ガスが石炭由来合成ガスである、局面30~54のいずれか1の方法。
【0155】
(57)バクテリアが一酸化炭素資化性である、局面30~56のいずれか1の方法。
【0156】
(58)(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を富化して、少なくとも約5.7、例えば、約5.7~約8のe/Cを有するH2-富化合成ガスを形成すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、バクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物を製造すること:を含む、含酸素生成物を調製する方法。
【0157】
(59)(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を富化して、少なくとも約5.7、例えば、約5.7~約6のe/Cを有するH2-富化合成ガスを形成すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、バクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物を製造すること:を含む、含酸素生成物を調製する方法。
【0158】
(60)合成ガスが約5 vol.%~約80 vol.%のH2、または約50 vol.%~約80 vol.%のH2を含む、局面58の方法。
【0159】
(61)合成ガスが約3 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む、局面58または60の方法。
【0160】
(62)合成ガスが約0 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面58~61のいずれか1の方法。
【0161】
(63)合成ガスが約3 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約0 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面58~61のいずれか1の方法。
【0162】
(64)H2-富化合成ガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面58~63のいずれか1の方法。
【0163】
(65)H2-富化基質ガスが約3 vol.%~約50 vol.%のCO、例えば、約25 vol.%~約35 vol.%のCOを含む、局面58~64のいずれか1の方法。
【0164】
(66)H2-富化合成ガスが約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面58~65のいずれか1の方法。
【0165】
(67)H2-富化合成ガスが約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面58~65のいずれか1の方法。
【0166】
(68)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約6のe/Cを有する、局面58~67のいずれか1の方法。
【0167】
(69)含酸素生成物がエタノールである、局面58~68のいずれか1の方法。
【0168】
(70)含酸素生成物が酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせである、局面58~69のいずれか1の方法。
【0169】
(71)水を含酸素生成物から分離することをさらに含む、局面58~70のいずれか1の方法。
【0170】
(72)含酸素生成物が、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって分離される、局面71の方法。
【0171】
(73)バクテリアがClostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせを含む、局面58~72のいずれか1の方法。
【0172】
(74)富化することが、合成ガスをH2-豊富テールガスと混合することを含む、局面58~73のいずれか1の方法。
【0173】
(75)H2-豊富テールガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面74の方法。
【0174】
(76)H2-豊富テールガスが、石炭からメタノールの製造からのパージガス、石炭から合成アンモニアの製造からのパージガス、石炭から酢酸の製造からのパージガス、石炭からエチレングリコールの製造からのパージガス、石炭から合成天然ガスの製造からのパージガス、石炭から液体の製造からのパージガスなどの石炭由来化学製造プロセスからのパージガス、コークス炉ガス、またはそれらの任意の組み合わせ由来である局面74または75の方法。
【0175】
(77)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面58~73のいずれか1の方法。
【0176】
(78)合成ガスが少なくとも約0 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面58~73のいずれか1の方法。
【0177】
(79)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面71~73のいずれか1の方法。
【0178】
(80)合成ガスが少なくとも約0 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスを合成ガスに添加して逆水性ガスシフトを引き起こし、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面71~73のいずれか1の方法。
【0179】
(81)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面58~73のいずれか1の方法。
【0180】
(82)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面58~73のいずれか1の方法。
【0181】
(83)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してe/Cを約5.7~約8の値に増加させることを含む、局面58~73のいずれか1の方法。
【0182】
(84)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してe/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面58~73のいずれか1の方法。
【0183】
(85)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2の値に増加させることを含む、局面58~73のいずれか1の方法。
【0184】
(86)H2のための再生可能資源が太陽光、風、またはそれらの組み合わせであり、例えば、再生可能資源(すなわち、日光または風)が電気を発生して電気分解を行い、再生可能水素を生成する、局面83または84の方法。
【0185】
(87)合成ガスが石炭由来合成ガスである、局面58~73のいずれか1の方法。
【0186】
(88)バクテリアが一酸化炭素資化性である、局面58~87のいずれか1の方法。
【0187】
(89)(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してH2-富化合成ガスを形成すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、バクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物を製造すること:を含む、含酸素生成物を再生可能に調製する方法。
【0188】
(90)バクテリアが一酸化炭素資化性である、局面89の方法。
【0189】
(91)合成ガスが約5 vol. %~約80 vol.%のH2、または約50 vol.%~約80 vol.%のH2を含む、局面90の方法。
【0190】
(92)合成ガスが約3 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む、局面89~91のいずれか1の方法。
【0191】
(93)合成ガスが約0 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面89~92のいずれか1の方法。
【0192】
(94)合成ガスが約3 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面89~92のいずれか1の方法。
【0193】
(95)H2-富化合成ガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面89~94のいずれか1の方法。
【0194】
(96)H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約50 vol.%のCO、例えば、約25 vol.%~約35 vol.%のCOを含む、局面89~95のいずれか1の方法。
【0195】
(97)H2-富化合成ガスが約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面89~96のいずれか1の方法。
【0196】
(98)H2-富化合成ガスが約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面89~96のいずれか1の方法。
【0197】
(99)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約6のe/Cを有する、局面89~98のいずれか1の方法。
【0198】
(100)H2-富化合成ガスが約6以下、例えば、約5.7~約6のe/Cを有する、局面89~99のいずれか1の方法。
【0199】
(101)含酸素生成物がエタノールである、局面89~100のいずれか1の方法。
【0200】
(102)含酸素生成物が酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせである、局面89~101のいずれか1の方法。
【0201】
(103)含酸素生成物を培養液から分離することをさらに含む、局面89~102のいずれか1の方法。
【0202】
(104)含酸素生成物が、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって分離される、局面103の方法。
【0203】
(105)バクテリアがClostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせを含む、局面89~104のいずれか1の方法。
【0204】
(106)再生可能資源のためのH2が太陽光、風、またはそれらの任意の組み合わせであり、例えば、再生可能資源(すなわち、日光または風)が電気を発生して電気分解を行い、再生可能水素を生成する、局面89~105のいずれか1の方法。
【0205】
(107)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、およびH2を合成ガスに添加することが、e/Cを約5.7~約6の値に増加させる、局面89~106のいずれか1の方法。
【0206】
(108)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、およびH2を合成ガスに添加することが、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させる、局面89~107のいずれか1の方法。
【0207】
(109)合成ガスが石炭由来合成ガスである、局面89~108のいずれか1の方法。
【0208】
(110)(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を富化して、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2まで、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約6のe/CまでのH2-富化合成ガスを形成すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を製造すること;(d)培養液から含酸素生成物を除去して含酸素生成物-枯渇培養液を製造すること;および(e)培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液から固体副生成物を除去してケーキおよび浄化したストリーム濾液を製造すること、該ケーキは動物飼料としての使用に有効である:を含む、動物飼料を調製する方法。
【0209】
(111)ケーキを乾燥することをさらに含み、乾燥したケーキが乾燥動物飼料として有効である、局面110の方法。
【0210】
(112)動物飼料が、タンパク質、脂質、炭水化物、および/またはミネラル、例えば、約30 wt.%~約90 wt.%のタンパク質、約1 wt.%~約12 wt.%の脂質、約5 wt.%~約60 wt.%(例えば、約15 wt.%~約60 wt.%、または約5 wt.%~約15 wt.%)の炭水化物、および/または約1 wt.%~約20 wt.%のナトリウム、カリウム、銅などのミネラル、例えば約86%のタンパク質、約2%の脂質、約2%のミネラル、および/または約10%の炭水化物を含む、局面110または111の方法。
【0211】
(113)合成ガスが約5 vol. %~約80 vol.%のH2、または約50 vol.%~約80 vol.%のH2を含む、局面110~112のいずれか1の方法。
【0212】
(114)合成ガスが約3 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む、局面110~113のいずれか1の方法。
【0213】
(115)合成ガスが約0 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面110~114のいずれか1の方法。
【0214】
(116)合成ガスが約3 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面110~114のいずれか1の方法。
【0215】
(117)H2-富化合成ガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面110~116のいずれか1の方法。
【0216】
(118)H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約50 vol.%のCO、例えば、約25 vol.%~約35 vol.%のCOを含む、局面110~117のいずれか1の方法。
【0217】
(119)H2-富化合成ガスが約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面110~118のいずれか1の方法。
【0218】
(120)H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面110~118のいずれか1の方法。
【0219】
(121)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約6のe/Cを有する、局面110~120のいずれか1の方法。
【0220】
(122)H2-富化合成ガスが約6以下、例えば、約5.7~約6のe/Cを有する、局面110~121のいずれか1の方法。
【0221】
(123)含酸素生成物がエタノールである、局面110~122のいずれか1の方法。
【0222】
(124)含酸素生成物が酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせである、局面110~123のいずれか1の方法。
【0223】
(125)含酸素生成物を培養液から分離することをさらに含む、局面110~124のいずれか1の方法。
【0224】
(126)含酸素生成物が、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって分離される、局面125の方法。
【0225】
(127)バクテリアがClostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせを含む、局面110~126のいずれか1の方法。
【0226】
(128)富化することが、合成ガスをH2-豊富テールガスと混合することを含む、局面110~127のいずれか1の方法。
【0227】
(129)H2-豊富テールガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面128の方法。
【0228】
(130)H2-豊富テールガスが、石炭からメタノールの製造からのパージガス、石炭から合成アンモニアの製造からのパージガス、石炭から酢酸の製造からのパージガス、石炭からエチレングリコールの製造からのパージガス、石炭から合成天然ガスの製造からのパージガス、石炭から液体の製造からのパージガスなどの石炭由来化学製造プロセスからのパージガス、コークス炉ガス、またはそれらの任意の組み合わせ由来である、局面128または129の方法。
【0229】
(131)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面110~129のいずれか1の方法。
【0230】
(132)合成ガスが少なくとも約0 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面110~129のいずれか1の方法。
【0231】
(133)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面110~132のいずれか1の方法。
【0232】
(134)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面110~129のいずれか1の方法。
【0233】
(135)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面110~129のいずれか1の方法。
【0234】
(136)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してe/Cを約5.7~約8の値に増加させることを含む、局面110~129のいずれか1の方法。
【0235】
(137)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してe/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面110~129のいずれか1の方法。
【0236】
(138)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面110~129のいずれか1の方法。
【0237】
(139)合成ガスが石炭由来合成ガスである、局面110~138のいずれか1の方法。
【0238】
(140)H2のための再生可能資源が太陽光、風、またはそれらの組み合わせである、局面138または139の方法。
【0239】
(141)(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を富化して、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2まで、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約8のe/CまでのH2-富化合成ガスを形成すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を製造すること;(d)培養液から含酸素生成物を除去して含酸素生成物-枯渇培養液を製造すること;および(e)培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液から固体副生成物を除去してケーキおよび浄化したストリーム濾液を製造すること、該ケーキは肥料としての使用に有効である:を含む、肥料を調製する方法。
【0240】
(142)(a)以下の成分の少なくとも2つを含む合成ガスを提供すること:CO、CO2、およびH2;(b)合成ガス中のH2含有量を富化して、例えば、(i)少なくとも約50 vol.%のH2、例えば約50 vol.%~約85 vol.%、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2まで、および/または(ii)少なくとも約5.7、例えば約5.7~約6のe/CまでのH2-富化合成ガスを形成すること;(c)H2-富化合成ガスを液体媒体中、酢酸生成一酸化炭素資化性菌などのバクテリアで発酵させてバイオリアクター中で培養液を形成し、培養液中で含酸素生成物および固体副生成物を製造すること;(d)培養液から含酸素生成物を除去して含酸素生成物-枯渇培養液を製造すること;および(e)培養液および/または含酸素生成物-枯渇培養液から固体副生成物を除去してケーキおよび浄化したストリーム濾液を製造すること、該ケーキは肥料としての使用に有効である:を含む、肥料を調製する方法。
【0241】
(143)ケーキを乾燥することをさらに含み、乾燥したケーキが乾燥肥料として有効である、局面141の方法。
【0242】
(144)肥料が、タンパク質、脂質、炭水化物、および/またはミネラル、例えば、約30 wt.%~約90 wt.%のタンパク質、約1 wt.%~約12 wt.%の脂質、約5 wt.%~約60 wt.%(例えば、約15 wt.%~約60 wt.%、または約5 wt.%~約15 wt.%)の炭水化物、および/または約1 wt.%~約20 wt.%のナトリウム、カリウム、銅などのミネラル、例えば約86%のタンパク質、約2%の脂質、約2%のミネラル、および/または約10%の炭水化物を含む、局面141または143の方法。
【0243】
(145)合成ガスが約5 vol. %~約80 vol.%のH2、または約50 vol.%~約80 vol.%のH2を含む、局面141~144のいずれか1の方法。
【0244】
(146)合成ガスが約0 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む、局面141~145のいずれか1の方法。
【0245】
(147)合成ガスが約3 vol.%~約85 vol.%のCO、例えば、約10 vol.%~約50 vol.%のCOを含む、局面141~145のいずれか1の方法。
【0246】
(148)合成ガスが約0 vol.%~約45 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約25 vol.%のCO2を含む、局面141~147のいずれか1の方法。
【0247】
(149)H2-富化合成ガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面141~148のいずれか1の方法。
【0248】
(150)H2-富化合成ガスが約3 vol.%~約50 vol.%のCO、例えば、約25 vol.%~約35 vol.%のCOを含む、局面141~149のいずれか1の方法。
【0249】
(151)H2-富化合成ガスが約0 vol.%~約15 vol.%のCO2、例えば、約3 vol.%~約5 vol.%のCO2を含む、局面141~150のいずれか1の方法。
【0250】
(152)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約8のe/Cを有する、局面141~151のいずれか1の方法。
【0251】
(153)合成ガスが少なくとも約2、例えば、約2~約6のe/Cを有する、局面141~151のいずれか1の方法。
【0252】
(154)H2-富化合成ガスが約6以下、例えば、約5.7~約6のe/Cを有する、局面141~153のいずれか1の方法。
【0253】
(155)含酸素生成物がエタノールである、局面141~154のいずれか1の方法。
【0254】
(156)含酸素生成物が酢酸、ブチラート、ブタノール、プロピオネート、プロパノール、またはそれらの任意の組み合わせである、局面141~155のいずれか1の方法。
【0255】
(157)含酸素生成物を培養液から分離することをさらに含む、局面141~156のいずれか1の方法。
【0256】
(158)含酸素生成物が、分留、蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピング、相分離、および例えば、液-液抽出を含む抽出発酵、またはそれらの任意の組み合わせによって分離される、局面157の方法。
【0257】
(159)バクテリアがClostridium、Moorella、Pyrococcus、Eubacterium、Desulfobacterium、Carboxvdothermus、Acetogenium、Acetobacterium、Acetoanaerobium、Butyribacterium、Peptostreptococcus、またはそれらの任意の組み合わせを含む、局面141~158のいずれか1の方法。
【0258】
(160)富化することが、合成ガスをH2-豊富テールガスと混合することを含む、局面141~159のいずれか1の方法。
【0259】
(161)H2-豊富テールガスが少なくとも約50 vol.%のH2、例えば、約50 vol.%~約85 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2を含む、局面160の方法。
【0260】
(162)H2-豊富テールガスが、石炭からメタノールの製造からのパージガス、石炭から合成アンモニアの製造からのパージガス、石炭から酢酸の製造からのパージガス、石炭からエチレングリコールの製造からのパージガス、石炭から合成天然ガスの製造からのパージガス、石炭から液体の製造からのパージガスなどの石炭由来化学製造プロセスからのパージガス、コークス炉ガス、またはそれらの任意の組み合わせ由来である、局面160または161の方法。
【0261】
(163)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して水性ガスシフト反応を引き起こし、CO2をCOに変換し、および必要に応じて過剰のH2を添加してe/Cを約5.7~約8の値に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0262】
(164)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して水性ガスシフト反応を引き起こし、CO2をCOに変換し、および必要に応じて過剰のH2を添加してe/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0263】
(165)合成ガスが少なくとも約0 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して水性ガスシフト反応を引き起こし、CO2をCOに変換し、および必要に応じて過剰のH2を添加してe/Cを約5.7~約8の値に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0264】
(166)合成ガスが少なくとも約0 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスおよびスチームを合成ガスに添加して水性ガスシフト反応を引き起こし、CO2をCOに変換し、および必要に応じて過剰のH2を添加してe/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0265】
(167)合成ガスが少なくとも約15 vol.%のCO2を含み、および富化することが、H2-豊富工業テールガスを合成ガスに添加して水性ガスシフト反応を引き起こし、CO2をCOに変換し、および必要に応じて過剰のH2を添加してH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0266】
(168)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約8の値に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0267】
(169)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、e/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0268】
(170)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、スチームを合成ガスに添加して水性ガスシフトを引き起こし、H2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0269】
(171)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してe/Cを約5.7~約6の値に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0270】
(172)合成ガスが少なくとも約35 vol.%のCOを含み、および富化することが、再生可能資源からのH2を合成ガスに添加してH2の量を少なくとも約50 vol.%、例えば、約50 vol.%~約70 vol.%、または約60 vol.%~約70 vol.%のH2に増加させることを含む、局面141~161のいずれか1の方法。
【0271】
(173)合成ガスが石炭由来合成ガスである、局面141~161のいずれか1の方法。
【0272】
(174)H2のための再生可能資源が太陽光、風、またはそれらの組み合わせである、局面171または172の方法。
【0273】
前述の局面は例示的なものであり、限定的なものではないことに留意されたい。他の例示的な組み合わせは、本明細書中の記載全体から明らかである。また、様々な局面が、本明細書中で提供される他の局面と様々に組み合わせて使用され得ることも当業者には理解されるであろう。
【0274】
以下の実施例は、本開示をさらに説明するが、もちろん、いかなる方法によってもその範囲を限定すると解釈されないべきである。
【0275】
実施例1
この実施例は、合成メタノール製造に関連するパージガスを使用して石炭由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0276】
合成メタノールの製造は、65-80%のH2(例えば、表1において見られる)を含むパージガスを伴う。石炭ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ37:38:21:4%)を合成メタノール製造由来のパージガスと混合し、5.96のe/Cを有する混合合成ガスを発生させる。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌(homoacetogen)を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、除去した培養液から蒸留によって回収する。
【0277】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0278】
結果は、石炭由来合成ガスと合成メタノールパージガスとの混合物由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0279】
実施例2
この実施例は、合成メタノール製造に関連するパージガスを使用して再生可能資源由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0280】
合成メタノールの製造は、65-80%のH2(例えば、表1において見られる)を含むパージガスを伴う。バイオマスまたは都市廃棄物ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ37:38:21:4%)を合成メタノール製造由来のパージガスと混合し、5.96のe/Cを有する混合合成ガスを発生させる。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、除去した培養液から蒸留によって回収する。
【0281】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0282】
結果は、再生可能資源由来合成ガスと合成メタノールパージガスとの混合物由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0283】
実施例3
この実施例は、合成アンモニア製造に関連するパージガスを使用して石炭由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0284】
合成アンモニアの製造は60-70%のH2(例えば、表2において見られる)を含むパージガスを伴う。石炭ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ37:38:21:4%)を合成アンモニア製造由来のパージガスと混合し、5.96のe/Cを有する混合合成ガスを発生させる。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、除去した培養液から蒸留によって回収する。
【0285】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0286】
結果は、石炭由来合成ガスと合成アンモニアパージガスとの混合物由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0287】
実施例4
この実施例は、合成アンモニア製造に関連するパージガスを使用して再生可能資源由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。合成アンモニアの製造は60-70%のH2(例えば、表2において見られる)を含むパージガスを伴う。バイオマスまたは都市固体廃棄物ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ 37:38:21:4%)を合成アンモニア製造由来のパージガスと混合し、5.96のe/Cを有する混合合成ガスを発生させる。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0288】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0289】
結果は、再生可能資源由来合成ガスと合成アンモニアパージガスとの混合物由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0290】
実施例5
この実施例は、合成エチレングリコール製造に関連するパージガスを使用して石炭由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0291】
合成酢酸エチレングリコールの製造は70-80%のH2(例えば、表7において見られる)を含むH2-豊富パージガスを伴う。石炭ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ 37:38:21:4%)を合成エチレングリコール製造由来のH2-豊富パージガスと混合し、5.96のe/Cを有する混合合成ガスを発生させる。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、除去した培養液から蒸留によって回収する。
【0292】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0293】
結果は、石炭由来合成ガスとエチレングリコール製造由来H2-豊富パージガスとの混合物由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0294】
実施例6
この実施例は、合成エチレングリコール製造に関連するH2-豊富パージガスを使用して再生可能資源由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0295】
合成酢酸エチレングリコールの製造は70-80%のH2(例えば、表7において見られる)を含むH2-豊富パージガスを伴う。バイオマスまたは都市固体廃棄物ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ 37:38:21:4%)を合成エチレングリコール製造由来のH2-豊富パージガスと混合し、5.96のe/Cを有する混合合成ガスを発生させる。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0296】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0297】
結果は、再生可能資源由来合成ガスと合成エチレングリコール製造由来H2-豊富パージガスとの混合物由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0298】
実施例7
この実施例は、コークス炉ガスを使用して石炭由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0299】
コークス炉ガスは55-60%のH2(例えば、表9において見られる)を含む。石炭ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ37:38:21:4%)をコークス炉ガスと混合し、5.96のe/Cを有する混合合成ガスを発生させる。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、除去した培養液から蒸留によって回収する。
【0300】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0301】
結果は、石炭由来合成ガスとコークス炉ガスとの混合物由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0302】
実施例8
この実施例は、コークス炉ガスを使用して再生可能資源由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0303】
コークス炉ガスは55-60%のH2(例えば、表9において見られる)を含む。バイオマスまたは都市固体廃棄物ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ37:38:21:4%)をコークス炉ガスと混合し、5.96のe/Cを有する混合合成ガスを発生させる。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0304】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0305】
結果は、再生可能資源由来合成ガスとコークス炉ガスとの混合物由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0306】
実施例9
この実施例は、CO2-豊富パージガスおよび高H2パージガスを使用して効率的なエタノール製造に適した合成ガスを製造するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0307】
石炭のガス化は、95-99%のCO2%(例えば、表3において見られる)を含む「酸性ガス」パージガスを伴う。合成メタノールの製造は65-80%のH2(例えば、表1において見られる)を含むパージガスを伴う。このCO2-豊富パージガスを、次いでH2-豊富パージストリームと混合し、そして逆水性ガスシフトに供して5.96のe/Cを有するCO-富化ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、除去した培養液から蒸留によって回収する。
【0308】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0309】
結果は、CO2-豊富酸性ガスおよび合成メタノール製造からのパージガス由来の混合合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0310】
実施例10
この実施例は、CO2-豊富パージガスおよび高H2パージガスを使用して効率的なエタノール製造に適した合成ガスを製造するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0311】
石炭のガス化は、95-99%%のCO2%(例えば、表3において見られる)を含む「酸性ガス」パージガスを伴う。合成アンモニアの製造は60-70%のH2(例えば、表2において見られる)を含むパージガスを伴う。このCO2-豊富酸性ガスを、次いでH2-豊富パージストリームと混合し、そして逆水性ガスシフトに供して5.96のe/Cを有するCO-富化ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、除去した培養液から蒸留によって回収する。
【0312】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0313】
結果は、CO2-豊富酸性ガスおよび合成アンモニア製造からのパージガス由来の混合逆水性ガスシフト合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0314】
実施例11
この実施例は、CO2-豊富パージガスおよび高H2パージガスを使用して効率的なエタノール製造に適した合成ガスを製造するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0315】
石炭のガス化は、98.8%のCO2%(例えば、表3において見られる)を含む「酸性ガス」パージガスを伴う。コークス炉ガスは55-60%のH2(例えば、表9において見られる)を含む。CO2-豊富酸性ガスを、次いでH2-豊富コークス炉ガスと混合し、そして逆水性ガスシフトに供して5.96のe/Cを有するCO-富化ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、除去した培養液から蒸留によって回収する。
【0316】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0317】
結果は、CO2-豊富酸性ガスおよびコークス炉ガス由来の混合逆水性ガスシフト合成ガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0318】
実施例12
この実施例は、エタノール製造のためにCO-豊富炭化カルシウム炉テールガスを使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0319】
炭化カルシウム炉パージガスは75-85%のCO(例えば、表8において見られる)を含む。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0320】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0321】
結果は、炭化カルシウム炉テールガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0322】
実施例13
この実施例は、エタノール製造のために逆水性ガスシフトCO-豊富炭化カルシウム炉テールガスを使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0323】
炭化カルシウム炉パージガスは75-85%のCO(例えば、表8において見られる)を含む。この合成ガスを、スチームと混合し、そして水性ガスシフトに供して5.96のe/Cを有する合成ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0324】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0325】
結果は、炭化カルシウム炉テールガスが水性ガスシフトによって、エタノールに効率的に変換される合成ガスに変換されることを実証する。
【0326】
実施例14
この実施例は、エタノール製造のためにCO-豊富炭化カルシウム炉テールガスおよび再生可能H2を使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0327】
炭化カルシウム炉パージガスは75-85%のCO(例えば、表8において見られる)を含む。このガスを、グリーンエネルギーを用いる電気分解由来の再生可能H2と混合して5.96のe/Cを有する合成ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0328】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0329】
結果は、炭化カルシウム炉テールガスと再生可能H2とを混合することに由来する合成ガスがエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0330】
実施例15
この実施例は、エタノール製造のために合成酢酸製造由来のCO-豊富パージガスを使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0331】
合成酢酸の製造に関連する高圧パージガスは、70-80%のCO(例えば、表4において見られる)を含む。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0332】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0333】
結果は、合成酢酸製造由来のパージガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0334】
実施例16
この実施例は、エタノール製造のために酢酸の合成に由来する逆水性ガスシフトCO-豊富パージガスを使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0335】
酢酸の合成製造由来の高圧パージガスは、70-80%のCO(例えば、表4において見られる)を含む。この合成ガスを、スチームと混合し、そして水性ガスシフトに供して5.96のe/Cを有する合成ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0336】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0337】
結果は、合成酢酸パージガスが水性ガスシフトによって、エタノールに効率的に変換される合成ガスに変換されることを実証する。
【0338】
実施例17
この実施例は、エタノール製造のために合成酢酸製造由来のパージガスおよび再生可能H2を使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0339】
炭化カルシウム炉パージガスは70-80%のCO(例えば、表8において見られる)を含む。このガスを、グリーンエネルギーを用いる電気分解由来の再生可能H2と混合して5.96のe/Cを有する合成ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0340】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0341】
結果は、酢酸合成からのカルシウムパージガスと再生可能H2とを混合することに由来する合成ガスがエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0342】
実施例18
この実施例は、エタノール製造のために合成エチレングリコール製造に由来するCO-豊富パージガスを使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0343】
合成エチレングリコールの製造に関連するパージガスは、65-75%のCO(例えば、表6において見られる)を含む。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0344】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0345】
結果は、合成エチレングリコール製造由来のパージガスが発酵によってエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0346】
実施例19
この実施例は、エタノール製造のために酢酸の合成に由来する逆水性ガスシフトCO-豊富パージガスを使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0347】
エチレングリコールの合成製造由来のパージガスは、65-75%のCO(例えば、表6において見られる)を含む。この合成ガスを、スチームと混合し、そして水性ガスシフトに供して5.96のe/Cを有する合成ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0348】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0349】
結果は、合成エチレングリコールパージガスが水性ガスシフトによって、エタノールに効率的に変換される合成ガスに変換されることを実証する。
【0350】
実施例20
この実施例は、エタノール製造のために合成エチレングリコール製造由来のパージガスおよび再生可能H2を使用するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0351】
エチレングリコール製造からのパージガスは65-75%のCO(例えば、表6において見られる)を含む。このガスを、グリーンエネルギーを用いる電気分解由来の再生可能H2と混合して5.96のe/Cを有する合成ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0352】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0353】
結果は、エチレングリコール合成からのパージガスと再生可能H2とを混合することに由来する合成ガスがエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0354】
実施例21
この実施例は、再生可能H2を使用して石炭由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0355】
石炭ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ37:38:21:4%)を、グリーンエネルギーを用いる電気分解由来の再生可能H2と混合して5.96のe/Cを有する合成ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0356】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0357】
結果は、石炭-由来合成ガスと再生可能H2とを混合することに由来する合成ガスがエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0358】
実施例22
この実施例は、再生可能H2を使用して再生可能資源由来の合成ガスの水素含有量を富化するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0359】
バイオマスまたは都市廃棄物ガス化からの合成ガス(H2:CO:CO2:CH4はそれぞれ37:38:21:4%)を、グリーンエネルギーを用いる電気分解由来の再生可能H2と混合して5.96のe/Cを有する合成ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0360】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0361】
結果は、再生可能H2を使用して再生可能資源由来の合成ガスの水素含有量を富化すること、およびこの合成ガスがエタノールに効率的に変換されることを実証する。
【0362】
実施例23
この実施例は、石炭ガス化由来のCO2-豊富パージガスおよび再生可能H2を使用して効率的なエタノール製造に適した合成ガスを製造するためのプロセスを実証する試験および比較実験を説明する。
【0363】
石炭のガス化は、98.8%のCO2%(例えば、表3において見られる)を含む「酸性ガス」パージガスを伴う。このCO2-豊富パージガスを、次いで再生可能エネルギーを用いる加水分解由来のH2と混合し、そして逆水性ガスシフトに供して5.96のe/Cを有するCO-富化ガスを生成する。この合成ガスを、次いで一酸化炭素資化性ホモ酢酸生成菌を含むバイオリアクター中、定常状態連続発酵に供給し、pH<6および≦3日間の水理学的滞留時間(HRT)で操作する。次いでエタノールを、反応器から蒸留によって除去する。
【0364】
除去した培養液および細胞を廃水処理に供し、またはバイオソリッドを除去し、そして培養液を反応器に戻す。回収したバイオソリッドを廃水処理または埋め立て地への添加によって処分する。あるいは、バイオソリッドを濃縮し、乾燥し、そして動物飼料として、または肥料として土地応用のために使用する。
【0365】
結果は、石炭ガス化および再生可能H2に関連するCO2豊富パージガスを逆水性ガスシフトに供して、エタノールに効率的に変換される合成ガスを製造し得ることを実証する。
【0366】
本明細書中で引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別かつ具体的に示され、その全体が本明細書中に記載されるのと同じ範囲で、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0367】
本発明を記載する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における「a」および「an」、「the」および「少なくとも1つの」および同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がある場合、または文脈と明らかに矛盾する場合を除き、単数形と複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。1つ以上の項目のリストに続く「少なくとも1つ」という用語の使用(例、「AおよびBの少なくとも1つ」)は、本明細書に別段の記載がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、リストされた項目(AまたはB)から選択された1つの項目、またはリストされた項目(AおよびB)の2つ以上の任意の組み合わせを意味すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」という用語は、特に断りのない限り、無制限の用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の記載がない限り、その範囲内にあるそれぞれの個別の値を個別に参照する簡略的な方法として機能することを単に意図しており、個別の各値は、あたかも本明細書に個別に記載されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるあらゆる例、または例示的な表現(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く理解することを目的としており、別段の請求がない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書のいかなる文言も、請求項に記載されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0368】
本発明の好ましい実施態様は、本発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態を含めて、本明細書に記載される。これらの好ましい実施態様の変形は、前述の記載を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜採用することを予想しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることを意図している。従って、本発明には、適用される法律で許可されている、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正および均等物が含まれる。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、あらゆる可能な変形における上記要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】