(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】プラグインコネクタ、プラグインコネクタ装置およびプラグインコネクタを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/2406 20180101AFI20241018BHJP
H01R 12/77 20110101ALI20241018BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01R4/2406
H01R12/77
H01R43/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525595
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2022080565
(87)【国際公開番号】W WO2023078939
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】102021128888.6
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523441706
【氏名又は名称】エルニ インタナツィオナール アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼーミリア,カイレーネ
【テーマコード(参考)】
5E012
5E223
【Fターム(参考)】
5E012AA22
5E012AA38
5E012AA43
5E223AA21
5E223AC05
5E223BA04
5E223BB11
5E223CB52
5E223EA02
5E223EA33
(57)【要約】
膜絶縁導体(21)を有する可撓性導体膜(20)のためのプラグインコネクタは、導体膜(20)のための受入れ領域を有し、受入れ領域は、受入れ方向(R)を有する。さらに、プラグインコネクタ(10)は、複数のブレードが導電可能に接続されている少なくとも1つのプラグインコンタクト要素を有する第1のハウジング部(30)と、受入れ領域を有する第2のハウジング部(40)とを有する。第1のハウジング部(30)および第2のハウジング部(40)は、互いに押し込まれている。第2のハウジング部(40)は、受入れ領域(41)において受入れ方向(R)の左手側にばね作用を伴って配置されている2つのばね要素(42、43)と、受入れ領域において受入れ方向(R)の右手側にばね作用を伴って配置されている2つのばね要素(44、45)とを有する。プラグインコネクタ装置において、導体膜(20)は、少なくとも1つのばね要素(42、43)が導体膜(20)の第1の側部を押圧し、少なくとも1つのばね要素(44、45)が導体膜(20)の第2の側部を押圧するように、受入れ領域に配置されており、第2の側部は、第1の側部とは反対側に位置している。
【選択図】
図1c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜絶縁導体(21)を有する可撓性導体膜(20)のためのプラグインコネクタ(10)であって、前記導体膜(20)のための受入れ領域(41)を備え、前記受入れ領域(41)は、受入れ方向(R)を有するプラグインコネクタ(10)において、
前記プラグインコネクタ(10)は、
- 複数のブレード(33、34)が導電可能に接続されている少なくとも1つのプラグインコンタクト要素(31)を備える第1のハウジング部(30)と、
- 前記受入れ領域(41)を備える第2のハウジング部(40)とを備え、
前記第1のハウジング部(30)および前記第2のハウジング部(40)は、互いに押し込まれており、
前記第2のハウジング部(40)は、前記受入れ領域(41)において前記受入れ方向(R)の左手側に弾性的に配置されている2つのばね要素(42、43)と、前記受入れ領域(41)において前記受入れ方向(R)の右手側に弾性的に配置されている2つのばね要素(44、45)とを備える
ことを特徴とするプラグインコネクタ(10)。
【請求項2】
前記受入れ領域(41)は、前記導体膜(20)のための受入れ開口部(46)とは反対側の、前記導体膜(20)のための止め部(47)を備え、前記止め部(47)が視認可能な少なくとも1つの開口部(48)が、前記第2のハウジング部(40)に配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ(10)。
【請求項3】
前記ばね要素(42~45)は各々、前記受入れ方向(R)に実質的に平行に配置されているばねアーム(421)と、前記ばねアーム(421)から前記受入れ方向(R)に直交して前記受入れ領域(41)へと突出する位置決め要素(422)とを備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のプラグインコネクタ(10)。
【請求項4】
前記ばねアーム(421)および前記位置決め要素(422)は、一体の中実なキャスティングとして構成されている
ことを特徴とする、請求項3に記載のプラグインコネクタ(10)。
【請求項5】
前記ばね要素(42~45)は、前記プラグインコネクタ(10)の前記第2のハウジング部(40)と一体に形成されている
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプラグインコネクタ(10)。
【請求項6】
請求項5に記載のプラグインコネクタ(10)を製造するための方法であって、
前記ばね要素(42~45)を備える前記第2のハウジング部(40)は、前記ばね要素(42~45)がキャスティングコンパウンドから型の充填の最後に形成されないように、キャスティングプロセスにより前記型で製造される、
方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載のプラグインコネクタ(10)と、膜絶縁導体(21)を有する可撓性導体膜(20)とを備え、
前記可撓性導体膜は、少なくとも1つのばね要素(42、43)が前記導体膜(20)の第1の側部を押圧し、少なくとも1つのばね要素(44、45)が前記導体膜(20)の第2の側部を押圧するように、前記受入れ領域(41)に配置されており、前記第2の側部は、前記第1の側部とは反対側である、
プラグインコネクタ装置。
【請求項8】
前記導体膜(20)は、前記ばね要素(42~45)により前記受入れ領域(41)において中心合わせされている
ことを特徴とする、請求項7に記載のプラグインコネクタ装置。
【請求項9】
前記プラグインコネクタ(10)は、請求項2に記載のプラグインコネクタ(10)であり、
前記導体膜(20)は、受入れ開口部(46)を通して前記受入れ領域(41)へと案内され、前記受入れ開口部(46)とは反対側の止め部(47)に当たる
ことを特徴とする、請求項7または8に記載のプラグインコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性導体膜のためのプラグインコネクタに関する。さらに、本発明は、プラグインコネクタを製造するための方法、およびプラグインコネクタを備えるプラグインコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
膜絶縁導体を有する可撓性導体膜は、現在、娯楽および民生用電子機器、ならびに車両製造における広範な分野で用いられている。導体膜は、特に、可能な限り小さい重量および限られた空間条件を伴う、非常に可撓性の高い導体構造が要求される場合に用いられる。可撓性導体膜は、複数の別個のストリップ導体を順序付けて並列に誘導することを可能にし、さらに大きい屈曲も可能であるため、極限られた設置スペースに配置される部品同士を導電可能に接続することができる。特に車両製造において、そのような導体膜は、振動などのより大きい機械的作用に耐えることができる必要もある。
【0003】
ここで、個々の膜絶縁導体の接触が特に重要である。特に車両製造において、この接触は、外部の機械的影響に加えてあらゆる種類の温度影響および環境影響に対しても安定であり耐性を有する必要がある。
【0004】
DE 10 2015 100 401 84は、少なくとも1つのプラグインコンタクト要素が配置されるプラグインコネクタハウジングを有する、膜絶縁導体を有する可撓性導体膜のためのプラグインコネクタについて記載している。接続領域において、少なくとも1つのプラグインコンタクト要素に導電可能に接続されるブレードが、少なくとも1つの膜絶縁導体を貫通し固定することができ、電気的接触を確立する。プラグインコネクタハウジングは、互いに押し込むことが可能な2つのハウジング部を備える。第1のハウジング部は、ブレード、およびそれらに導電可能に接続される少なくとも1つのプラグインコンタクト要素を保持する。第2のハウジング部は、可撓性導体膜を受け入れて保持する。
さらに、第2のハウジング部は、ブレードに適合する少なくとも1つのブレードホルダを有し、その境界面は、2つのハウジング部が互いに押し込まれたときにブレードの少なくともいくつかが膜絶縁導体の方向に屈曲するように構成される。ブレードを屈曲させることにより、ブレードと導体膜との間の接触面に圧力が及ぼされ、それにより電気的接触面が大きくなる。同時に、ブレードがプラグインコネクタハウジング内で一定の張力下に保たれる。これにより、良好な電気的かつ気密な接触をプラグインコネクタにおいて実現することができる。
【0005】
可撓性導体膜を第2のハウジング部に受け入れるために、可撓性導体膜は受入れ開口部を通してプラグインコネクタに挿入される。しかしながら、この場合、導体膜は大きい公差を有し、それに起因して、コネクタハウジングの中央に常に保持されるわけではない。ブレードが、導体膜に切り込むために、不適切に保持された導体膜に向かって移動すると、ブレードは、導体の縁部領域に切り込む場合がある。このとき、ブレードの一部分は依然として導体と電気的に接触するが、別の部分は導体膜の絶縁材料を単に通過する。これにより、導体とプラグインコンタクト要素との間の電気的接触が損なわれる。
【0006】
DE 199 20 981 A 1は、電気コネクタについて記載している。これは、接続部を受け入れるための開口部を、複数のコンタクトの上方の所定の位置に有する絶縁体を有する。押圧部が、絶縁体により回転可能に支持される。ロックアセンブリが、ロック部が所定の位置に正しく配置されているときにのみ押圧部を絶縁体にロックするために用いられる。検出アセンブリが、ロック部の不適切な配置を検出する。ロックアセンブリは、絶縁体に形成されるロック部と、ロック部と係合するように押圧部に形成される係合突起とを有する。検出アセンブリは、絶縁体に形成される一対のロックアームと、押圧部に形成される検出突出部とを有する。接続部がロックアームの間に部分的に挿入されると、ロックアームが外方に押圧されて変形し、それにより押圧部の回転を妨げる。
【0007】
DE 11 2013 003 215 T5は、可撓性の一体型マルチワイヤプラグインコネクタについて記載している。これは、一対の係合フックを備え、係合フックの各々は、装着面の幅方向の両端面に形成され、一対の係合孔に係合し、係合孔の各々は、端子部の幅方向の両端面に開けられている。
【0008】
米国特許第4,577,920号は、ケーブル保持基部を有するシールドコネクタハウジングへとケーブルを案内するための一体の金属要素を開示している。ケーブルロケータが、それらの間に様々な絶縁導体およびケーブルシースを配置するために、ケーブル保持基部から上方に突出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、プラグインコネクタの全てのブレードが常に導体膜を通して導体を完全に貫通することが確実になるような精度で導体膜を配置することが可能な、膜絶縁導体を有する可撓性導体膜のためのプラグインコネクタを提供することである。本発明のさらなる目的は、そのようなプラグインコネクタを製造するための方法を提供すること、ならびに、プラグインコネクタおよび可撓性導体膜を備えるプラグインコネクタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様においては、これらの課題のうちの1つが、導体膜のための受入れ領域を有する、膜絶縁導体を有する可撓性導体膜のためのプラグインコネクタにより解決される。受入れ領域は、受入れ方向を有する。ここで、受入れ方向は、導体膜をプラグインコネクタの外側からプラグインコネクタの受入れ領域に押し込むことが可能な方向として理解される。ばね要素または弾性要素が、受入れ方向に直交してはね返るように受入れ領域に配置される。特に、これらは、受入れ方向に直交してばね付勢される。これは、受入れ方向に沿って受入れ領域に挿入される導体膜が、受入れ方向に直交して働くばね力を受けるという効果を有する。これにより、導体膜を受入れ方向に直交して所望の位置に配置することが可能となる。
それにより、導体膜の幅と受入れ領域の幅との間の公差が問題にならなくなる。したがって、受入れ領域を、導体膜を容易に挿入できるような幅に構成することができる。これはまた、導体膜における導体の位置が全ての導体膜で同一である限り、様々な幅の導体膜に適合させることができる。
【0011】
プラグインコネクタは、第1のハウジング部および第2のハウジング部を有するように構成されている。第1のハウジング部は、複数のブレードが導電可能に接続されている少なくとも1つのプラグインコンタクト要素を有する。第2のハウジング部は、受入れ領域およびばね要素を有する。ハウジング部は、互いに押し込まれている。プラグインコネクタのこの構成により、導体膜がまず第2のハウジング部の受入れ領域に挿入され、次いでハウジング部が互いにさらに押し込まれることで、ブレードが受入れ領域へと移動し導体膜を貫通することが可能となる。
この場合、受入れ領域におけるばね要素により、導体膜の各導体が同じプラグインコンタクト要素に接続されている複数のブレードの上方で静止するように導体膜を受入れ領域に配置することが可能となり、ブレードは各々、導体の中央に配置される。これにより、ブレードが導体のみを貫通し、導体の縁部の絶縁材料に切り込まないことが確実になる。
【0012】
受入れ領域は、導体膜の前側を受入れ方向に沿って押し込むために設けられ、一方でその後側はプラグインコネクタの外側に留まる。プラグインコネクタは、受入れ方向の左手側に配置されている2つのばね要素と、受入れ方向の右手側に配置されている2つのばね要素とを有する。各側において2つの異なる位置で導体膜に圧力を及ぼすことにより、導体膜が受入れ領域において中心合わせされるのみならず、導体膜の長手軸が受入れ方向に対してねじれることも防止される。加えて、各側における2つのばね要素により、導体膜の多重の接触が可能となる。これは、ばね要素のうちの1つが損傷を受けた場合であっても中心合わせが可能であることを意味する。
【0013】
プラグインコネクタが複数のばね要素を有する場合、圧力が導体膜に均等に及ぼされるように、全てのばね要素が等しくばね付勢されることが好ましい。
【0014】
さらに、受入れ領域が、導体膜のための受入れ開口部とは反対側の、導体膜のための止め部を有することが好ましい。このとき、導体膜の前側が受入れ開口部を通して受入れ領域へと案内されたときに、前側が止め部に当たるまでのみこれを受入れ領域に押し込むことができる。導体膜が実際に止め部に当たったか否かについての視覚的確認を可能とするために、止め部が視認可能な少なくとも1つの開口部が第2のハウジング部に配置されることが好ましい。開口部は、特に受入れ方向に直交して延びるスロットとして構成される。その長さは、特に受入れ領域の幅に対応する。
【0015】
ばね要素は、受入れ方向に実質的に平行に配置されるばねアームを有するように構成されることが好ましい。実質的に平行ということにより、特にばねアームの長手軸が受入れ方向と最大10度の角度をなすことが理解される。さらに、ばね要素は、ばねアームから受入れ領域へと受入れ方向に直交して突出する位置決め要素を有する。導体膜が受入れ領域に挿入されると、ばね要素は、位置決め要素により規定の位置で導体膜に接触する。ばねアームは、その長手軸に対して撓み、ばね力を導体膜に働かせる。
【0016】
導体膜が受入れ領域に挿入されたときにばねアームが破損するリスクなしで高いばね力を実現することを可能とするために、ばねアームおよび位置決め要素は、一体の中実なキャスト部品として構成されることが好ましい。
【0017】
ばね要素は、プラグインコネクタにおける別個の構成要素として設置することが原則的に可能である場合であっても、プラグインコネクタと一体に形成されることが好ましい。一方では、これによりプラグインコネクタの製造が簡略になり、他方では、ばね要素の位置の公差のリスクが低減する。プラグインコネクタが2つのハウジング部を有する場合、ばね要素は、第2のハウジング部と一体に形成されることが好ましい。
【0018】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に係るプラグインコネクタを製造するための方法に関する。本方法において、ばね要素を備える第2のハウジング部は、キャスティングプロセスにより型で製造される。キャスティングプロセスは、特に射出成形プロセスである。キャスティングプロセスにおいて、型は、キャスティングコンパウンド、特にプラスチック溶融物で充填される。この過程において、充填は、ばね要素が型の充填の最後に充填されないように行われる。ばね要素を形成するために用いられる型の部分をキャスティングプロセスの初期段階で充填し、ハウジング部の異なる位置にゲート形成することにより、型のこの部分の完全かつ一様な充填が確実になる。
結果として、この箇所での不均一な充填に起因するばね要素の形状の公差を排除することができる。ばね要素の誤りのない形状および配置は、プラグインコネクタにおける導体膜の正確な配置のために重要であるため、そのような公差は回避されるべきである。
【0019】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に係るプラグインコネクタと、膜絶縁導体を有する可撓性導体膜とを備えるプラグインコネクタ装置に関する。導体膜は、少なくとも1つのばね要素が導体膜の第1の側部、例えば左側部を押圧し、少なくとも1つのばね要素が第1の側部とは反対側の導体膜の第2の側部、例えば右側部を押圧するように、受入れ領域に配置される。導体膜がばね要素に押圧されて受入れ領域において中心合わせされることが特に好ましい。
【0020】
導体膜が受入れ開口部を通して受入れ領域へと案内され、受入れ開口部とは反対側の止め部に当たることが好ましい。止め部およびばね要素により、受入れ方向に沿って、および受入れ方向に直交しての両方で、導体膜の正確な配置が可能となる。
【0021】
本発明の実施形態を図面に示し、以下の説明においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】第1の組立てステップにおける本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置の構成要素を示す等角図である。
【
図1b】第1の組立てステップにおける本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置の構成要素を示す断面等角図である。
【
図1c】第1の組立てステップにおける本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置の構成要素を示す上面図である。
【
図1d】第1の組立てステップにおける本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置の構成要素を示す等角断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタのばね要素の上面図である。
【
図3a】第2の組立てステップにおける本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置を示す等角図である。
【
図3b】第2の組立てステップにおける本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置を示す断面等角図である。
【
図3c】第2の組立てステップにおける本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置を示す上面図である。
【
図3d】第2の組立てステップにおける本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置を示す等角断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1a~
図1dは、本発明の一実施形態に係るプラグインコネクタ装置の第1の組立てステップを示す。プラグインコネクタ10、および膜絶縁導体21を有する平板状の可撓性導体膜20が設けられる。プラグインコネクタ10は、第1のハウジング部30および第2のハウジング部40を有する。複数のプラグインコンタクト要素31が、ハウジング部30に配置される。各プラグインコンタクト要素31は、ブレードストリップ32を介して5つのブレード33に導電可能に接続される。第2のハウジング部40は、導体膜20のための受入れ領域41を有する。この受入れ領域は、導体膜20の挿入を容易にするために、プラグインコネクタ10の外側に向かって漏斗状に幅が広がっている。
【0024】
導体膜20は、受入れ方向Rに沿って受入れ領域41に挿入されてよい。2つのばね要素42、43が、受入れ領域41の左手側に受入れ方向Rに沿って配置される。2つのさらなるばね要素44、45が、受入れ領域41の右手側に受入れ方向Rに沿って配置される。受入れ領域41への導体膜20の挿入は、スロット形状の受入れ開口部46を通して行われる。受入れ領域41は、止め部47において終端し、導体膜20は、受入れ開口部46を通して受入れ領域41に押し込まれると、その前側が止め部47に当たる。第2のハウジング部40は、止め部47が視認可能なスロット形状の開口部48をその上面に有する。
【0025】
図2は、ばね要素42のうちの1つを示す。これは、受入れ領域41において受入れ方向Rに平行に配置されるばねアーム421を有する。位置決め要素422が、ばねアーム421の一端部から受入れ方向に直交して導体膜20の方向に受入れ領域41へと突出する。位置決め要素422とは反対側のばねアーム421の端部は、第2のハウジング部40の基体に接続される。結果として、ばね要素42がばね付勢される。全てのばね要素42~45のばねアームおよび位置決め要素を含む、第2のハウジング部40の全ての要素は、プラスチック材料から一体に形成される。
【0026】
プラグインコネクタ装置の第2の組立てステップを、
図3a~
図3dに示す。導体膜20は、止め部47に当たるまでプラグインコネクタ10の受入れ領域41に押し込まれており、それにより、導体膜20が受入れ領域41において支持される。導体膜の止め部47との接触を視認することが可能な開口部48を通して、導体膜20が止め部47に当たることを視覚的に確認することができる。このとき、全てのばね要素42~45は、各々一点で導体膜20の側部に当接している。この過程において、第1の2つのばね要素42、43の位置決め要素が導体膜20の左側部を押圧し、他方のばね要素44、45の位置決め要素が導体膜20の右側部を押圧する。
導体膜20が挿入される前には、位置決め要素により挟まれる受入れ領域41における空き領域は、導体膜20よりもわずかに幅狭であった。したがって、導体膜20は、受入れ領域41に挿入されたときに、位置決め要素を導体膜20から離れるように移動させ、これにより受入れ領域41に挿入されることが可能となるように、全てのばね要素42~45のばねアームを変形させた。このとき、全てのばね要素42~45が、そのばね力により導体膜20を押圧し、導体膜20を受入れ領域41の中心に配置する。結果として、各ストリップ導体21が、正確にブレードストリップ32の上方に配置される。
不図示の第3の組立てステップにおいて、ブレード33が導体膜20を貫通するように、2つのハウジング部30、40が互いに向かって移動した場合、これにより、各ブレード33がストリップ導体21のうちの1つの中心を貫通することが確実になる。
【0027】
プラグインコネクタ10の2つのハウジング部30、40の製造は、射出成形プロセスを用いて行われてよい。この目的で、溶融した熱可塑性材料が型に注入される。第2のハウジング部40をキャスティングするとき、第2のハウジング部40の他の領域が形成される前、型の充填の最初に、キャスティングコンパウンドから全てのばね要素42~45が完全に形成されるように、ゲートが配置される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜絶縁導体(21)を有する可撓性導体膜(20)のためのプラグインコネクタ(10)であって、前記
可撓性導体膜(20)のための受入れ領域(41)を備え、前記受入れ領域(41)は、受入れ方向(R)を有するプラグインコネクタ(10)において、
前記プラグインコネクタ(10)は、
- 複数のブレード(33、34)が導電可能に接続されている少なくとも1つのプラグインコンタクト要素(31)を備える第1のハウジング部(30)と、
- 前記受入れ領域(41)を備える第2のハウジング部(40)とを備え、
前記第1のハウジング部(30)および前記第2のハウジング部(40)は、互いに押し込まれており、
前記第2のハウジング部(40)は、前記受入れ領域(41)において前記受入れ方向(R)の左手側に弾性的に配置されている2つのばね要素(42、43)と、前記受入れ領域(41)において前記受入れ方向(R)の右手側に弾性的に配置されている2つのばね要素(44、45)とを備える
ことを特徴とするプラグインコネクタ(10)。
【請求項2】
前記受入れ領域(41)は、前記
可撓性導体膜(20)のための受入れ開口部(46)とは反対側の、前記
可撓性導体膜(20)のための止め部(47)を備え、前記止め部(47)が視認可能な少なくとも1つの開口部(48)が、前記第2のハウジング部(40)に配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ(10)。
【請求項3】
前記ばね要素(42~45)は各々、前記受入れ方向(R)に実質的に平行に配置されているばねアーム(421)と、前記ばねアーム(421)から前記受入れ方向(R)に直交して前記受入れ領域(41)へと突出する位置決め要素(422)とを備える
ことを特徴とする、請求項
1に記載のプラグインコネクタ(10)。
【請求項4】
前記ばねアーム(421)および前記位置決め要素(422)は、一体の中実な
キャスト部品として構成されている
ことを特徴とする、請求項3に記載のプラグインコネクタ(10)。
【請求項5】
前記ばね要素(42~45)は、前記プラグインコネクタ(10)の前記第2のハウジング部(40)と一体に形成されている
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプラグインコネクタ(10)。
【請求項6】
請求項5に記載のプラグインコネクタ(10)を製造するための方法であって、
前記ばね要素(42~45)を備える前記第2のハウジング部(40)は、前記ばね要素(42~45)がキャスティングコンパウンドから型の充填の最後に形成されないように、キャスティングプロセスにより前記型で製造される、
方法。
【請求項7】
請求項1から
4のいずれか一項に記載のプラグインコネクタ(10)と、膜絶縁導体(21)を有する可撓性導体膜(20)とを備え、
前記可撓性導体膜は、少なくとも1つのばね要素(42、43)が前記
可撓性導体膜(20)の第1の側部を押圧し、少なくとも1つのばね要素(44、45)が前記
可撓性導体膜(20)の第2の側部を押圧するように、前記受入れ領域(41)に配置されており、前記第2の側部は、前記第1の側部とは反対側である、
プラグインコネクタ装置。
【請求項8】
前記
可撓性導体膜(20)は、前記ばね要素(42~45)により前記受入れ領域(41)において中心合わせされている
ことを特徴とする、請求項7に記載のプラグインコネクタ装置。
【請求項9】
請求項2に記載のプラグインコネクタ(10)と、膜絶縁導体(21)を有する可撓性導体膜(20)とを備え、
前記可撓性導体膜は、少なくとも1つのばね要素(42、43)が前記可撓性導体膜(20)の第1の側部を押圧し、少なくとも1つのばね要素(44、45)が前記可撓性導体膜(20)の第2の側部を押圧するように、前記受入れ領域(41)に配置されており、前記第2の側部は、前記第1の側部とは反対側であり、
前記
可撓性導体膜(20)は、受入れ開口部(46)を通して前記受入れ領域(41)へと案内され、前記受入れ開口部(46)とは反対側の止め部(47)に当たる
ことを特徴とする
、プラグインコネクタ装置。
【請求項10】
前記可撓性導体膜(20)は、前記ばね要素(42~45)により前記受入れ領域(41)において中心合わせされている
ことを特徴とする、請求項9に記載のプラグインコネクタ装置。
【国際調査報告】