(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】軸受材料並びにその製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
F16C 33/12 20060101AFI20241018BHJP
F16C 33/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F16C33/12 A
F16C33/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525760
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2022084225
(87)【国際公開番号】W WO2023099744
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508298237
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テイル,ベアテ
(72)【発明者】
【氏名】ワルドエフナー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィユエルム,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】パブセク,ヴォイコ
(72)【発明者】
【氏名】ジグラー,ジュリア
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA06
3J011BA06
3J011BA11
3J011DA01
3J011KA02
3J011KA04
3J011QA04
3J011QA05
3J011SB03
3J011SB04
3J011SB05
3J011SB20
3J011SC03
3J011SC05
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3J011SC13
3J011SC14
3J011SD01
3J011SE04
3J011SE10
(57)【要約】
【解決手段】 基材と、基材を覆う摺動層と、を含む軸受材料であって、摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、軸受材料。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受材料であって、
基材と、
前記基材を覆う摺動層であって、前記摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、摺動層と、を含む、軸受材料。
【請求項2】
アセンブリであって、
第1の構成要素と、
第2の構成要素と、
前記第1の構成要素と前記第2の構成要素との間に位置した軸受であって、
基材と、
前記基材を覆う摺動層であって、前記摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、摺動層と、を含む、軸受と、を備える、アセンブリ。
【請求項3】
方法であって、
基材を提供することと、
前記基材を覆う摺動層を軸受材料に提供するために、前記基材に摺動層を適用することであって、前記摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、適用することと、を含む、方法。
【請求項4】
前記軸受は、プレートセットアップ上の3つのボールにおける摩擦計試験に従って、0.1~0.4の摩擦係数を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項5】
前記軸受は、プレートセットアップ上の3つのボールにおける摩擦計試験に従って、0.05μm/時~0.15μm/時の摩耗速度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項6】
前記摺動層はフルオロプロイマーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項7】
前記基材は金属を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項8】
前記基材は、多孔質金属を含み、メッシュ材料、グリッド、エキスパンドシート、又は穿孔シートから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項9】
前記基材は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、銅、スズ、鉄、又はそれらの合金を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項10】
前記摺動層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、又はそれらの混合物を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項11】
前記摺動層はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項12】
前記摺動層は、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、エチレンプロピレンジエン、芳香族ポリエステル、又はそれらの混合物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項13】
前記摺動層は、セラミック材料、炭素、ガラス、グラファイト、酸化アルミニウム、硫化モリブデン、青銅、及び炭化ケイ素を含む充填剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項14】
前記基材は前記摺動層に埋め込まれる、請求項1~13のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項15】
前記軸受材料からブランクを切断することと、
前記ブランクから半完成軸受を形成することと、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基材と、摺動層と、を含む、軸受材料に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
金属支持材料又は基材と、それに適用された摺動層と、を有する層構造を含む軸受材料は、従来技術から様々な形態で長く知られており、多種多様な技術分野、例えば自動車工学の分野で使用されている。現在、軸受材料と別の構成要素の合わせ面との間の摩擦係数を最小にし、耐摩耗性を最大にするために特定の組成物を使用する軸受材料を得る必要性が存在する。したがって、改良された軸受材料に対する引き続く必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかにされ得る。
【0004】
【
図1】
図1は、例示的な滑り軸受を概略断面図で例解する。
【
図2A】
図2Aは、圧延によって形成することができる円筒形軸受を例解する。
【
図2B】
図2Bは、圧延及びフランジ加工によって形成することができるフランジ付き軸受を例解する。
【
図2C】
図2Cは、テーパ部分を圧延し、端部をフランジ加工することによって形成することができるテーパ付き円筒状部分を有するフランジ付き軸受を例解する。
【
図2D】
図2Dは、フランジ付き軸受を貫通して装着されたシャフトピンを有するハウジング内に装着されたフランジ付き軸受を例解する。
【
図2E】
図2Eは、両面フランジ付き軸受を貫通して装着されたシャフトピンを有するハウジング内に装着された両面フランジ付き軸受を例解する。
【
図2F】
図2Fは、圧延及びフランジ加工ではなく、スタンピング及び冷間深絞りプロセスを使用して形成することができるL型軸受を例解する。
【
図3】
図3は、当該技術分野で既知の軸受材料に対する、本明細書の実施形態による軸受材料の摩擦係数対時間の線グラフを例解する。
【
図4】
図4は、当該技術分野で既知の軸受材料に対する、本明細書の実施形態による軸受材料の摩耗深さ(μm)対時間の線グラフを例解する。
【
図5】
図5は、当該技術分野で既知の軸受材料に対する、本明細書の実施形態による軸受材料と接触して稼働していた摩耗した鋼球の写真を例解する。
【0005】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
当業者は、図中の要素が簡略化及び明瞭化を目的として例解されており、必ずしも縮尺どおりに描画されていないことを認識している。例えば、図中の一部の要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるのに役立つように、他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の部材を示す。
【0007】
図面と組み合わされた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を補助するために提供される。以下の考察は、教示の特定の実施態様及び実施形態に焦点を当てている。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供されており、教示の範囲又は適用性に関する限定として解釈されるべきではない。しかしながら、本出願に開示される教示に基づいて他の実施形態を使用することができる。
【0008】
「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」 という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではないが、明示的に列挙されていない他の特徴、又はそのような方法、物品、若しくは装置に固有の他の特徴を含み得る。更に、矛盾する記載がない限り、「又は(or)」は、包含的な又はを指し、排他的な又はを指すのではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)、Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)、Bが真である(又は存在する)、及び、AとBとの両方が真である(又は存在する)。
【0009】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を記載するために用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、他に意味することが明らかでない限り、1つ、少なくとも1つ、又は単数形が複数形も含むものとして、又はその逆として理解されるべきである。例えば、単一の実施形態が本明細書に記載されている場合、単一の実施形態の代わりに2つ以上の実施形態を使用することができる。同様に、2つ以上の実施形態が本明細書に記載されている場合、単一の実施形態を2つ以上の実施形態に置き換えることができる。
【0010】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実施例は、例解的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に記載されていない程度まで、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、軸受材料の技術分野における教科書及び他の情報源に見出すことができる。
【0011】
例示的な軸受材料100の構造を
図1に示す。軸受材料100は、当該技術分野で知られている従来の方法を使用して軸受を形成するために使用することができる。
図1に示すように、基材は101で示される一方で、102はそれに適用された摺動層を示す。一実施形態では、基材101が提供され、摺動層102が、基材101を覆うように基材101に適用される。一実施形態では、摺動層102は、基材101を覆って直接接触するように、基材101に適用される。一実施形態では、摺動層102は、介在層を間に挟んで基材101の上に重なるように基材101に適用される。軸受材料100は追加の層及び組成物を含んでもよいことが、本明細書において企図される。
【0012】
一実施形態では、基材101は、金属を少なくとも部分的に含み得る。ある特定の実施形態によれば、金属は、鉄、銅、チタン、スズ、アルミニウム、それらの合金を含んでもよく、又は別の種類の金属であってもよい。より具体的には、基材101は、ステンレス鋼、炭素鋼、又はバネ鋼などの鋼を少なくとも部分的に含み得る。例えば、基材101は、301ステンレス鋼を少なくとも部分的に含み得る。301ステンレス鋼は、焼きなまし、1/4硬、1/2硬、3/4硬、又は完全硬であってもよい。更に、鋼は、クロム、ニッケル、又はそれらの組み合わせを含むステンレス鋼を含み得る。ある特定の実施形態では、基材101は、織布メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドを含んでもよい。代替的に、織布メッシュは、織布ポリマーメッシュであり得る。更に、これらの代替的な実施形態では、基材101のメッシュ構造は、摺動層102に埋め込まれてもよい。基材101は、伝導性材料を含んでもよい。
【0013】
多数の実施形態では、基材101はバネ鋼であってもよい。バネ鋼基材101は、焼きなまし、1/4硬、1/2硬、3/4硬、又は完全硬であってもよい。バネ鋼基材101は、600MPa以上、例えば700MPa以上、例えば750MPa以上、例えば800MPa以上、例えば900MPa以上、又は例えば1000MPa以上の引張強度を有してもよい。バネ鋼基材101は、1500MPa以下、又は例えば1250MPa以下などの引張強度を有し得る。
【0014】
一実施形態では、基材101は冷間圧延鋼である。別の実施形態では、基材101は、冷間圧延され、続いて亜鉛メッキ鋼、アルミニウム、アルミニウムメッキ鋼、又はステンレス鋼であり得る。生態学的に問題があり、かつ廃棄集約的な湿式化学前処理プロセス、特にクロメート処理は省くことができることが、企図される。
【0015】
基材101は、任意の構造又は形状のものであってもよい。実施形態では、基材101は、プレート、シート、織布、メッシュ、若しくは金属発泡体であってもよい。一実施形態では、基材は、鋼、冷間圧延鋼材料番号1.0338、冷間圧延鋼材料番号1.0347、亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼材料番号1.4512、ステンレス鋼材料番号1.4720、ステンレス鋼材料番号1.4310、アルミニウム、合金、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0016】
別の実施形態では、基材101はコーティングを有することができる。コーティングは、別の金属又は合金の層であってもよい。一実施形態では、コーティングは、以下の金属:クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、及びビスマスのうちの少なくとも1つを含有する金属又は合金である。更に別の実施形態では、コーティングは、銅合金、銅-スズ合金、銅-亜鉛合金、青銅、リン青銅、ケイ素青銅、黄銅、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0017】
更なる一実施形態では、基材101は、様々な性質の表面を有することができる。基材101は、平滑な表面、粗面化された表面、又は構造化された表面(例えば、ブラッシング、サンドブラスト、構造のエンボス加工によって達成されるような)のいずれかを有することができる。表面粗さにかかわらず、表面は、亜鉛メッキ表面又はアルミニウムメッキ表面などのメッキ表面を形成するように改質することもできる。
【0018】
例えば、基材101の表面粗さは、少なくとも約0.01ミクロン、少なくとも約0.02ミクロン、少なくとも約0.05ミクロン、少なくとも約0.1ミクロン、少なくとも約0.5ミクロン、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約50ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約200ミクロン、又は少なくとも約400ミクロンであってもよい。
【0019】
別の実施形態では、表面粗さは、約400ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約50ミクロン未満、約25ミクロン未満、約20ミクロン未満、約15ミクロン未満、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、又は更に約1ミクロン未満であってもよい。更に別の実施形態では、基材は、約0.1ミクロン~約400ミクロン、約0.5ミクロン~約100ミクロン、又は約1ミクロン~約50ミクロンの範囲の表面粗さを有することができる。
【0020】
基材101の表面は、メッキ又はコーティングによって処理して、表面を粗面化、アップグレード、又はコーティングすることができる。別の実施形態では、基材101の表面積は、機械的構造化によって増加させることができる。構造化には、ブラシ仕上げ、サンドブラスト、エッチング、穿孔、酸洗い、パンチング、プレス、カール、深絞り、反り低減、インクリメンタルシート形成、アイロン、レーザ切断、圧延、ハンマリング、エンボス加工、アンダーカット、及びこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、構造体のエンボス加工は、噛み合う実現性を可能にし、これは、結果として生じる結合力にプラスの効果を有する。
【0021】
基材101は、少なくとも約0.05mm、例えば少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、又は少なくとも約0.45mmの厚さTsを有することができる。基材101は、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、例えば、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、約0.55mm以下、又は約0.5mm以下の厚さTsを有することができる。基材101の厚さTsは、上述の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。基材101の厚さは均一であってもよく、すなわち、基材101の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくなり得る。基材101の厚さは均一でなくてもよく、すなわち、基材101の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さとは異なり得る。
【0022】
多数の実施形態では、軸受材料100は、摺動層102を含み得る。摺動層102は、低摩擦材料を含むことができる。低摩擦材料は、例えば、ポリケトン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、フルオロプロイマー(fluoroploymer)、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、又はそれらの任意の組み合わせなどのポリマーを含んでもよい。一例では、摺動層102は、ポリケトン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、フルオロポリマー、ポリベンズイミダゾール、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。特定の例では、低摩擦/耐摩耗層は、ポリケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせなどの、ポリマーを含む。更なる例では、低摩擦/耐摩耗層は、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせなどの、ポリケトンを含む。追加の例では、低摩擦/耐摩耗層は、超高分子量ポリエチレンであってもよい。例示的なフルオロポリマーには、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy、PFA)、ポリオキシメチレン(polyoxymethylene、POM)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのターポリマー(vinylidene fluoride、THV)、ポリクロロトリフルオロエチレン(polychlorotrifluoroethylene、PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ethylene tetrafluoroethylene copolymer、ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ethylene chlorotrifluoroethylene copolymer、ECTFE)を挙げることができる。更に、低摩擦/耐摩耗層は、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリスルホン、ポリアミド(polyamide、PA)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(liquid crystal polymers、LCP)、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。摺動層102は、リチウム石鹸、黒鉛、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、窒化炭素、炭化タングステン、若しくはダイヤモンド状炭素、金属(アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、白金、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、バネ鋼、ステンレス鋼など)、金属合金(列挙された金属を含む)、陽極酸化金属(列挙された金属を含む)、又はそれらの任意の組み合わせを含む固体ベースの材料を含んでもよい。特定の実施形態によれば、フルオロポリマーが使用されてもよい。本明細書で使用されるように、「低摩擦材料」は、鋼に対して測定される、0.5未満、例えば0.4未満、0.3未満、又は更に0.2未満の乾燥静止摩擦係数を有する材料であり得る。「高摩擦材料」は、鋼に対して測定される、0.6より大きい、例えば0.7より大きい、0.8より大きい、0.9より大きい、又は更に1.0より大きい乾燥静止摩擦係数を有する材料であり得る。摺動層102は、非伝導性摺動材料又は低伝導性摺動材料であってもよく、例えば、非伝導性又は低伝導性である材料を含む。
【0023】
軸受材料の機械的及び一般的な物理的特性を改善するために、摺動層102は、充填剤、顔料及び/又は染料を含有することができる。充填剤は、熱伝導性及び/又は摩耗特性を向上及び/又は改善することができる。充填剤は、繊維、無機材料、熱可塑性材料、鉱物材料、又はそれらの混合物であり得る。例えば、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、及びアラミドを含むことができる。無機材料は、セラミック材料、炭素、ガラス、グラファイト、酸化アルミニウム、硫化モリブデン、青銅、及び炭化ケイ素を含むことができる。無機材料は、織布、粉末、球体又は繊維の形態にあり得る。熱可塑性材料の例としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンスルホン(polyphenylene sulfone、PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)、ポリエーテルケトン(polyetherketone、PEK)、及び芳香族ポリエステル(Ekonol)、又はこれらの混合物を挙げることができる。鉱物材料の例としては、珪灰石及び硫酸バリウムを挙げることができる。充填剤は、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はそれらの任意の組み合わせの形態にあり得る。充填剤は、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はそれらの任意の組み合わせの形態にあり得る。
【0024】
充填剤は、摺動層102の総体積に基づいて、少なくとも約1体積%、少なくとも約5体積%、少なくとも約10体積%、少なくとも約15体積%、少なくとも約20体積%、少なくとも約25体積%、少なくとも約30体積%、少なくとも約35体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約60体積%、少なくとも約70体積%、少なくとも約80体積%、又は少なくとも約90体積%の量で摺動層中に存在し得る。
【0025】
充填剤は、摺動層102の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%の量で摺動層中に存在し得る。
【0026】
多数の実施形態では、摺動層102は、摺動層102の総重量に基づいて少なくとも0.1重量%、例えば、摺動層102の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は更に30重量%の重量%で珪灰石を含む充填剤を含んでもよい。多数の実施形態では、摺動層102は、摺動層102の総重量の10~30%の重量%の珪灰石を含む充填剤を含んでもよい。
【0027】
多数の実施形態では、摺動層102は、摺動層102の総重量に基づいて少なくとも0.1重量%、例えば、摺動層102の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は更に30重量%の重量%で硫酸バリウムを含む充填剤を含んでもよい。多数の実施形態では、摺動層102は、摺動層102の総重量の5~15%の重量%の硫酸バリウムを含む充填剤を含んでもよい。
【0028】
多数の実施形態では、摺動層102は、摺動層102の総重量に基づいて少なくとも0.1重量%、例えば、摺動層102の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は更に30重量%の重量%で顔料を含む充填剤を含んでもよい。多数の実施形態では、摺動層102は、摺動層102の総重量の5~15%の重量%で顔料を含む充填剤を含んでもよい。
【0029】
一実施形態では、充填剤は、連続相中の粒子の形態にあり得る。粒子は、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、又は少なくとも約5:1の一次アスペクト比を有する。一次アスペクト比は、2番目に長い寸法に対する最も長い寸法の比を意味し、これら2つの寸法は互いに直交関係にある。
【0030】
更に別の実施形態では、充填剤粒子は、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、又は少なくとも約4:1の二次アスペクト比を有する。二次アスペクト比は、第3の最長寸法に対する第2の最長寸法の比を意味し、これら2つの寸法は互いに直交関係にある。
【0031】
更なる一実施形態では、粒子の少なくとも50パーセントは、約30ミクロン以下、約25ミクロン以下、約20ミクロン以下、約18ミクロン以下、約15ミクロン以下、約13ミクロン以下、又は更には約10ミクロン以下の一次寸法を有する。
【0032】
更に別の実施形態では、充填剤粒子の少なくとも50パーセントは、約20ミクロン以下、約18ミクロン以下、約15ミクロン以下、約13ミクロン以下、約10ミクロン以下、約8ミクロン以下、約5ミクロン以下、又は約3ミクロン以下の二次寸法を有する。
【0033】
更なる一実施形態では、充填剤粒子の少なくとも50パーセントは、約20ミクロン以下、約18ミクロン以下、約15ミクロン以下、約13ミクロン以下、約10ミクロン以下、約8ミクロン以下、約5ミクロン以下、約3ミクロン以下の三次寸法を有する。
【0034】
特定の一実施形態では、充填剤粒子は、摺動層全体にわたって不均一なサイズ分布を有する。摺動層における不均一なサイズ分布は、摺動層の中心から摺動層の縁部への一次寸法の勾配が存在する場合に確立される。例えば、一実施形態では、中心領域、例えば、摺動層の中心線から50ミクロン以内にある粒子は、縁部領域、すなわち、摺動層の表面又は縁部から50ミクロン以内にある粒子よりも大きい平均液滴サイズを有することができる。一例では、中心領域における平均液滴サイズは7ミクロンであり得、エッジ領域における1ミクロンの平均液滴サイズまで徐々に減少する。
【0035】
基材101に適用された摺動層102は、包接化合物として埋め込まれたフルオロポリマーを含むことができる。そのような化合物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又はそれらの混合物から作製することができる。特定の実施形態では、摺動層102は、PTFE包接化合物を含むことができる。
【0036】
一実施形態では、摺動層102は、少なくとも約0.05mm、例えば少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、又は少なくとも約0.45mmの厚さTSLを有することができる。一実施形態では、摺動層102は、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、例えば、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、約0.55mm以下、又は約0.5mm以下の厚さTSLを有することができる。摺動層102の厚さTSLは、上述の任意の最小値及び最大値のうちの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。摺動層102の厚さは均一であってもよく、すなわち、摺動層102の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくなり得る。摺動層102の厚さは均一でなくてもよく、すなわち、摺動層102の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さとは異なり得る。異なる摺動層102は異なる厚さを有してもよいことが理解されよう。摺動層102は、図示される基材101の一方の主表面の上にあってもよく、又は両方の主表面の上にあってもよい。基材101は、摺動層102によって少なくとも部分的に封入されてもよい。すなわち、摺動層102は、基材102の少なくとも一部分を覆ってもよい。基材102の軸方向表面は、摺動層102から露出してもよい。
【0037】
一実施形態では、摺動層102は接着剤を含んでもよい。接着剤は、限定するものではないが、フルオロポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFEコポリマー、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、軸受技術に一般的な任意の既知の接着材料を含んでもよい。加えて、接着剤は、-C=O、-C-O-R、-COH、-COOH、-COOR、-CF2=CF-OR、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を含み得、式中、Rは、1~20個の炭素原子を含有する環状又は直鎖状有機基である。加えて、接着剤はコポリマーを含み得る。一実施形態では、ホットメルト接着剤は、250℃以下、例えば220℃以下の溶融温度を有し得る。別の実施形態では、接着剤は、200℃超、例えば220℃超で分解し得る。更なる実施形態では、ホットメルト接着剤の溶融温度は、250℃超、又は更には300℃超であり得る。一実施形態では、ホットメルト接着剤は、250℃以下、例えば220℃以下の溶融温度を有し得る。別の実施形態では、接着剤は、200℃超、例えば220℃超で分解し得る。更なる実施形態では、ホットメルト接着剤の溶融温度は、250℃超、又は更には300℃超であり得る。
【0038】
一プロセスでは、基材と摺動層の両方が、各々の場合に、連続材料としてロールから巻き出される。接着剤ポリマーを基材に適用し、層を積層装置中で加圧下かつ高温で互いに接合することができる。基材の改善された腐食特性と共に、基材への接着剤層の更に改善された接着を達成するために、本プロセスの一実施形態は、基材の表面を粗面化及び/又は表面改質することを提供する。他の実施形態では、本方法は、金属表面をコーティングすることを含むことができる。
【0039】
一実施形態では、上述のような軸受材料100上の層のうちのいずれかは、各々ロール内に配置され、そこから剥離されて、圧力下で、高温で(熱間又は冷間プレス又は圧延)、接着剤によって、又はそれらの任意の組み合わせによって一緒に接合され得る。上述のように、軸受材料100の層のうちのいずれかは、少なくとも部分的に互いに重なり合うように一緒に積層されてもよい。上述のように、軸受材料100上の層のうちのいずれかは、例えば、物理的体積若しくは蒸着、噴霧、メッキ、粉末コーティングなどのコーティング技術を使用して、又は他の化学的若しくは電気化学的技術を通して、一緒に適用されてもよい。特定の実施形態では、摺動層102は、例えば押出コーティングを含むロールツーロールコーティングプロセスによって適用されてもよい。摺動層102は、溶融状態又は半溶融状態に加熱され、スロットダイを通して基材101の主表面上に押し出されてもよい。別の実施形態では、摺動層102は、鋳造又は成形されてもよい。
【0040】
一実施形態では、摺動層102又は任意の層が、接着剤を使用して基材101に接着されて、積層体を形成し得る。一実施形態では、材料又は軸受材料100上の介在層又は突出層のうちのいずれかは、積層体を形成してもよい。積層体は、軸受に形成され得るストリップ又はブランクに切断され得る。積層体の切断は、スタンプ、プレス、パンチ、鋸の使用を含んでもよく、又は異なる方式で機械加工されてもよい。積層体を切断すると、基材101の露出部分を含む切断縁部を作成することができる。
【0041】
他の実施形態では、上述のように、軸受材料100上の層のうちのいずれかは、例えば、物理的堆積若しくは蒸着、噴霧、メッキ、粉末コーティングなどのコーティング技術によって、又は他の化学的又は電気化学的技術を通して適用されてもよい。特定の実施形態では、摺動層102は、例えば押出コーティングを含むロールツーロールコーティングプロセスによって適用されてもよい。摺動層102は、溶融状態又は半溶融状態に加熱され、スロットダイを通して基材101の主表面上に押し出されてもよい。別の実施形態では、摺動層102は、鋳造又は成形されてもよい。
【0042】
ある特定の実施形態によれば、軸受材料100は軸受に形成されてもよい。軸受材料100を軸受に形成することは、軸受材料100のブランクを切断し、次にブランクを完成軸受又は半完成軸受に形成する切断動作を含むことができる。軸受は、平面軸受、環状軸受、玉継手軸受(半球)、滑り軸受、アキシャル軸受、スラスト軸受、リニア軸受、軸受シェル、軸受カップ、及びそれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、切断動作は、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、深絞りの使用を含んでもよく、又は異なる方式で機械加工されてもよい。軸受を成形した後、軸受は、形成及び成形プロセスで使用された任意の潤滑剤及び油を除去するために洗浄されてもよい。加えて、洗浄することは基材の露出面にコーティングの塗布の準備をし得る。洗浄することは、溶媒を用いた化学的洗浄及び/又は超音波洗浄などの機械的洗浄を含んでもよい。
【0043】
図2A~
図2Fは、本明細書に記載の軸受材料から形成することができるいくつかの軸受200の形状を例解する。
図2Aは、圧延によって形成することができる円筒形軸受200を例解する。
図2Bは、圧延及びフランジ加工によって形成することができるフランジ付き軸受200を例解する。
図2Cは、テーパ部分を圧延し、端部をフランジ加工することによって形成することができるテーパ付き円筒状部分を有するフランジ付き軸受200を例解する。
図2Dは、ハウジング内に装着されたフランジ付き軸受300を例解し、シャフトピンがフランジ付き軸受200を貫通して装着されている。
図2Eは、両面フランジ付き軸受200を貫通して装着されたシャフトピンを有するハウジング内に装着された両面フランジ付き軸受200を例解する。
図2Fは、圧延及びフランジ加工ではなく、スタンピング及び冷間深絞りプロセスを使用して形成することができるL型軸受200を例解する。
図2D及び
図2Eに示すように、軸受200は、第1の構成要素(例えば、シャフト)250と第2の構成要素(例えば、ハウジング)260との間に配置され、アセンブリ内の隣接する部品のうちの少なくとも1つに合わせ面を提供することができる。
【0044】
実施形態の用途は、例えば、ヒンジ及び他の車両構成要素のためのアセンブリを含む。更に、軸受材料又はアセンブリの使用は、限定されないが、ドア、フード、テールゲート、及びエンジン室ヒンジ、シート、ステアリングコラム、フライホイール、ドライブシャフトアセンブリ、パワートレイン用途(ベルトテンショナなど)、又は車両構成要素以外の他の種類の用途などのいくつかの用途において、増加した利益を提供することができる。軸受材料は、重金属産業から自動車産業及び自転車産業、更にはベーキング産業、ラップトップ/携帯電話のヒンジ、ソーラー用途の軸受などに及ぶ広範囲の商業産業において適用されている。本明細書の特定の実施形態によれば、軸受材料は、驚くべきことに、軸受材料とアセンブリ内の合わせ面との間の摩耗性能及び摩擦係数を最適化することができる。更に、本明細書のいくつかの実施形態における顔料充填剤は、改善された審美的外観を有し得る。加えて、本明細書の実施形態による軸受材料は、軸受材料表面及び対合する構成要素の摩耗を低減し、それによって寿命を延ばし、外観を改善し、アセンブリ、軸受材料、及びその他の構成要素の有効性及び性能を改善する。
【0045】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態のいくつかを以下に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施形態が例解的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙される実施形態のうちのいずれか1つ以上に従い得る。
【0046】
実施形態1:基材と、基材を覆う摺動層と、を含む軸受材料であって、摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、軸受材料。
【0047】
実施形態2:第1の構成要素と、第2の構成要素と、第1の構成要素と第2の構成要素との間に位置した軸受であって、基材と、基材を覆う摺動層と、を含み、摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、軸受と、を備える、アセンブリ。
【0048】
実施形態3:基材を提供することと、基材を覆う摺動層を軸受材料に提供するために、基材に摺動層を適用することであって、摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、適用することと、を含む、方法。
【0049】
実施形態4:軸受は、プレートセットアップ上の3つのボールにおける摩擦計試験に従って、0.1~0.4の摩擦係数を有する、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0050】
実施形態5:軸受は、プレートセットアップ上の3つのボールにおける摩擦計試験に従って、0.05μm/時~0.15μm/時の摩耗速度を有する、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0051】
実施形態6:摺動層はフルオロプロイマーを含む、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0052】
実施形態7:基材は金属を含む、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0053】
実施形態8:基材は、多孔質金属を含み、メッシュ材料、グリッド、エキスパンドシート、又は穿孔シートから選択される、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0054】
実施形態9:基材は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、又はそれらの合金を含む、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0055】
実施形態10:摺動層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、又はそれらの混合物を含む、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0056】
実施形態11:摺動層はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0057】
実施形態12:摺動層は、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、エチレンプロピレンジエン、芳香族ポリエステル、又はそれらの混合物を含む、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0058】
実施形態13:摺動層は、セラミック材料、炭素、ガラス、グラファイト、酸化アルミニウム、硫化モリブデン、青銅、及び炭化ケイ素を含む充填剤を含む、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0059】
実施形態14:摺動層は、少なくとも約0.05mm、例えば少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、又は少なくとも約0.45mmの厚さを有する、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0060】
実施形態15:摺動層は、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、例えば、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、約0.55mm以下、又は約0.5mm以下の厚さを有する、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0061】
実施形態16:基材は、少なくとも約0.05mm、例えば、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、又は少なくとも約0.45mmの厚さを有する、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0062】
実施形態17:基材は、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、例えば、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、約0.55mm以下、又は約0.5mm以下の厚さを有する、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0063】
実施形態18:基材は摺動層に埋め込まれる、先行実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0064】
実施形態19:軸受材料からブランクを切断することと、ブランクから半完成軸受を形成することと、を更に含む、実施形態3による方法。
【0065】
上述の特徴の全てが必要とされるわけではなく、特定の特徴の領域が必要とされなくてもよく、記載した特徴に加えて1つ以上の特徴が提供されてもよいことに留意されたい。なおも更に、特徴が記載される順序は、必ずしも特徴が導入される順序ではない。
【0066】
ある特定の特徴が、明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されており、単一の実施形態において組み合わされて提供され得る。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴は、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。
【0067】
利益、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して上述されているが、しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策をもたらすかより顕著にする可能性がある任意の特徴は、特許請求の範囲のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0068】
一般的な説明又は実施例において、上で説明された活動の全てが必要とされるわけではなく、特定の活動の一部分は必要とされない場合があり、記載される活動に加えて1つ以上の更なる活動が行われ得ることに留意されたい。なおも更に、活動が列挙される順序は、必ずしもそれらが行われる順序ではない。
【0069】
本明細書を読んだ後、当業者には、ある特定の特徴が、明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されており、単一の実施形態において組み合わされて提供され得ることが理解されよう。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴は、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。更に、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。
【0070】
本明細書に記載の実施形態の明細書及び例解図は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。明細書及び例解図は、本明細書に記載の構造又は方法を使用するアセンブリ及びシステムの全ての要素及び特徴の網羅的かつ包括的な説明として役立つことを意図するものではない。別個の実施形態が単一の実施形態中に組み合わされて提供され得、逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている様々な特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供され得る。更に、範囲に記載された値への言及は、その範囲内ありとあらゆる値を含む。多くの他の実施形態が、本明細書を読んだ後にのみ当業者に明らかとなり得る。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、又は任意の変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、本開示から導出することができる。したがって、本開示は、限定的ではなく、例解的なものとみなされるべきである。
【実施例】
【0071】
本明細書に記載の実施形態による軸受材料を、摩擦係数及び耐摩耗性について試験した。本明細書に開示される実施形態による軸受材料Cが試験され、軸受材料は、金属基材と、基材を覆う摺動層と、を含み、摺動層は、ポリテトラフルオロエチレンと、軸受材料の総重量の10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤と、を含むものであった。具体的には、珪灰石は19重量%の珪灰石であり、硫酸バリウムは8重量%の硫酸バリウムであり、顔料は3重量%のウルトラマリンバイオレットである。
【0072】
軸受材料を、摩擦力、法線力、温度、及び摩耗深さを測定するハウジング内に回転シャフトを有するジャーナル軸受において測定した。軸受材料を収容する円筒形ブッシングは、約25mmの内径、約25mmの幅、約0.5~1.5mmの厚さ、及び約50~約80μmのクリアランスを有していた。合わせ面は、58HRCを超える硬度及び約0.1~約0.2μmの表面粗さを有するSteel 1.1228であった。シャフトを、約23℃で約300時間、4つの異なる圧力及び速度条件で連続的に回転させた。本明細書の実施形態による軸受材料C及び当該技術分野で既知の軸受材料Aの4つの異なるPV条件及び結果は、以下の表1の通りであった。
【表1】
【0073】
従来、より低い摩耗速度は多くの場合、より高い摩擦係数値に結び付けられる。しかしながら、表1に示されているように、本明細書の実施形態による軸受材料Cは、試験下で、当該技術分野で既知の軸受材料Aに対して、驚くほど低い摩耗速度及び同等の摩擦係数を示している。
【0074】
図3は、当該技術分野で既知の軸受材料Aに対する軸受材料Cの摩擦係数対時間の線グラフを例解する。この線グラフを提供するために4回の試験を行い、軸受材料を、各々が6mmの直径及びステンレス鋼グレード(1.3505)を有する3つの鋼球(プレートセットアップ摩擦計試験上の3つの球)に対して試験した。約0.3m/sの回転速度及び約50時間の時間の下で、ボール軸受力は約4Nであった。
図3に示すように、軸受材料Cは、既知の軸受材料Aに対して驚くほど改善された摩擦係数を示す。
【0075】
図4は、当該技術分野で既知の軸受材料Aに対する軸受材料Cの摩耗深さ(μm)対時間の線グラフを例解する。この線グラフを提供するために4回の試験を行い、軸受材料を、各々が6mmの直径及びステンレス鋼グレード(1.3505)を有する3つの鋼球(プレートセットアップ摩擦計試験上の3つの球)に対して試験した。約0.3m/sの回転速度及び約50時間の時間の下で、ボール軸受力は約4Nであった。
図4に示すように、軸受材料Cは、既知の軸受材料Aに対して驚くほど改善された摩耗深さを示す。
【0076】
図5は、材料C及びA(鋼球)の対応物の摩耗の表面を示す。材料Cに対して走行する鋼球は、プレートセットアップ上の3つのボール(プレートセットアップ摩擦計試験における3つのボール)における摩擦計試験に従って、0.2μm/時~0.4μm/時の摩耗速度を有する。材料Aに対して走行する鋼球は、プレートセットアップ上の3つのボール(プレートセットアップ摩擦計試験における3つのボール)における摩擦計試験によれば、0.8μm/時~1.2μm/時の摩耗速度を有する。したがって、
図5に示すように、軸受材料Cは、既知の軸受材料Aに対して、対応物(鋼)の驚くほど改善された摩耗性能を示す。更に、
図5に示すように、線が引かれていない全表面は、摩耗速度に比例する。したがって、
図5に示すように、試験後の残存表面(線なし)が大きいほど、摩耗速度が高いことを示す。したがって、
図5に示すように、軸受材料Cは、既知の軸受材料Aに対して驚くほど改善された摩耗速度を示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受材料であって、
基材と、
前記基材を覆う摺動層であって、前記摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、摺動層と、を含む、軸受材料。
【請求項2】
アセンブリであって、
第1の構成要素と、
第2の構成要素と、
前記第1の構成要素と前記第2の構成要素との間に位置した軸受であって、
基材と、
前記基材を覆う摺動層であって、前記摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、摺動層と、
を含む、軸受と、を備える、アセンブリ。
【請求項3】
方法であって、
基材を提供することと、
前記基材を覆う摺動層を軸受材料に提供するために、前記基材に摺動層を適用することであって、前記摺動層は、10~30%の重量%範囲の珪灰石、5~15%の重量%範囲の硫酸バリウム、及び0.1~5%の重量%範囲の顔料を含む充填剤を含む、適用することと、
を含む、方法。
【請求項4】
前記軸受は、プレートセットアップ上の3つのボールにおける摩擦計試験に従って、0.1~0.4の摩擦係数を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項5】
前記軸受は、プレートセットアップ上の3つのボールにおける摩擦計試験に従って、0.05μm/時~0.15μm/時の摩耗速度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項6】
前記摺動層はフルオロプロイマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項7】
前記基材は金属を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項8】
前記基材は多孔質金属を含み、メッシュ材料、グリッド、エキスパンドシート、又は穿孔シートから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項9】
前記基材は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、銅、スズ、鉄、又はそれらの合金を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項10】
前記摺動層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、又はそれらの混合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項11】
前記摺動層はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項12】
前記摺動層は、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、エチレンプロピレンジエン、芳香族ポリエステル、又はそれらの混合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項13】
前記摺動層は、セラミック材料、炭素、ガラス、グラファイト、酸化アルミニウム、硫化モリブデン、青銅、及び炭化ケイ素を含む充填剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項14】
前記基材は前記摺動層に埋め込まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項15】
前記軸受材料からブランクを切断することと、
前記ブランクから半完成軸受を形成することと、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【国際調査報告】