(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】レーダー透過性であり光学的に反射性の半導体エフェクト顔料
(51)【国際特許分類】
C09C 1/28 20060101AFI20241018BHJP
C09C 1/62 20060101ALI20241018BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20241018BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C09C1/28
C09C1/62
C09D7/61
C09D201/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024525821
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 IB2022059270
(87)【国際公開番号】W WO2023089388
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522495636
【氏名又は名称】エッカート アメリカ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】デビン シュミット
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ヒルブリッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンラク チェ
【テーマコード(参考)】
4J037
4J038
【Fターム(参考)】
4J037AA17
4J037DD05
4J037DD10
4J037EE23
4J037EE29
4J037FF03
4J037FF11
4J038DB001
4J038DG001
4J038KA08
4J038NA01
4J038PB07
(57)【要約】
【課題】幅広い光学的な汎用性及びエフェクトを有しておりかつ同時に十分なレーダー透過性を有するコーティング配合物及びペイントをコーティング産業に提供することができるエフェクト顔料を提供する。
【解決手段】光学活性層としての単一の小板を含むフレーク状のエフェクト顔料であって、この単一の小板は、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料からなり、かつ(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は(d)Si(1-m-n)GemSnn、0<m<1.00、0<n<1.00、ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00、の平均原子組成を有する、フレーク状のエフェクト顔料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学活性層としての単一の小板を含むフレーク状エフェクト顔料であって、この単一の小板が、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料からなり、かつ:
(a)Si
(1-x)Ge
x、0<x<1.00、又は
(b)Si
(1-y)Sn
y、0<y<0.90、又は
(c)Ge
(1-z)Sn
z、0<z≦0.60、又は
(d)Si
(1-m-n)Ge
mSn
n、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00、
の平均原子組成を有する、
フレーク状エフェクト顔料。
【請求項2】
前記バンドギャップが、0.2~1.4eVの範囲である、請求項1に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項3】
前記単一の小板半導体が:
(a)Si
(1-x)Ge
x、0.01<x<0.9、好ましくは0.02≦x≦0.8、又は
(b)Si
(1-y)Sn
y、0.02≦y≦0.75、又は
(c)Ge
(1-z)Sn
z、0.02≦z≦0.5、又は
(d)Si
(1-m-n)Ge
mSn
n、0.02≦m≦0.8、0.02≦n<0.75
の平均原子組成を有する、請求項1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項4】
前記単一の小板半導体が:
(a)Si
(1-x)Ge
x、0.05≦x≦0.65、又は
(b)Si
(1-y)Sn
y、0.05≦y≦0.55、又は
(c)Ge
(1-z)Sn
z、0.05≦z≦0.4、又は
(d)Si
(1-m-n)Ge
mSn
n、0.05≦m≦0.65、0.05≦n<0.55
の平均原子組成を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項5】
前記単一の半導体小板の平均厚みt
aが、5~160nmの範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項6】
前記エフェクト顔料が、15~40nmの範囲の前記単一の半導体小板の平均厚みt
aを有し、銀色の外観を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項7】
前記エフェクト顔料が、40超~160nmの範囲の前記単一の半導体小板の平均厚みt
aを有し、色付いた外観を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項8】
粒子サイズ分布のd
50が、2~100μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項9】
アスペクト比d
50/t
aが、30~2000の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項10】
前記単一の半導体小板が、透過性で光学的に活性でないn<1.8の屈折率を有する金属酸化物、好ましくはSiO
2、でコーティングであり又は包囲されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項11】
前記エフェクト顔料が、表面改質剤、例えば、有機官能性シラン、チタネート、アルミネート又はジルコネート、ホスフェートエステル、ホスホネートエステル、ホスファイトエステル、及びこれらの組み合わせ、でさらにコーティングされている、請求項1~10のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料の製造方法であって、
(a)離剤でコーティングされた柔軟な基材を提供すること、
(b)0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料を、前記柔軟な基材(a)に、超高真空条件下で蒸着すること、
(c)前記半導体フィルムを、前記柔軟な基材から、適切な溶媒中で剥離し、分散体中で粒子粉砕して、半導体フレークを得ること、
(d)前記半導体フレークを、前記溶媒から分離すること、並びに、
(e)随意に、さらなる工程、例えば、前記半導体フレークをさらにサイズ分級すること又は前記半導体フレークを異なる溶媒中に分散させること、及びさらなる表面処理工程、を行うこと
の工程を含む、方法。
【請求項13】
工程(b)を、ロールツーロールプロセスによって行う、請求項12に記載の、フレーク状エフェクト顔料の製造方法。
【請求項14】
工程(b)を、電子ビームプロセスで行う、請求項12又は13に記載の、フレーク状エフェクト顔料の製造方法。
【請求項15】
バインダ、及び請求項1~11のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料を含む、コーティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唯一の光学活性層としての特定の半導体小板に基づくエフェクト顔料、その製造方法、及び魅力的な光学特性を有するレーダー透過性エフェクト顔料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムの高い表面反射性は、その高い電気的伝導性から得られ、これは、高い表面プラズマ周波数をもたらす。表面に入射する光の周波数が表面プラズマ周波数より小さい場合、入射光は、表面から効率的に反射する。アルミニウムでは、表面プラズマ周波数は、光周波数≧近UV光を反射でき、これは、可視光、IR、マイクロウェーブ、及びラジオ波を含む。したがって、アルミニウム、及び多くの金属は、広範囲の波長範囲にわたって高い反射性を示す。不利なことに、可視光反射を支配する同じ効果が、IR、マイクロウェーブ、及びRADARの波長の反射においても有効である。したがって、アルミニウム及び他の金属の小板(プレートレット)は、不十分なレーダー(RADAR)透過性を有し、しかしながら同時に、可視範囲における金属効果(金属エフェクト)のための標準的なエフェクト顔料として世界中で用いられており、特に自動車コーティングとして用いられている。
【0003】
真珠光沢顔料などの誘電体を微細なアルミニウムフレークとともに利用して、それによって複合体のRADAR透過性を増加させることが、WO2020/208134A1、US2010/0022696A1、又はWO2021/030197A1で開示されている。
【0004】
この場合、金属フレーク及び典型的なアルミニウムフレークは、コーティング中になおも存在し、レーダー減衰は、最終的なコーティングの想定される光学特性とバランスされる必要がある。多くの場合、レーダー減衰はなおも過度に高く、かつ/又は特定の色調を実現できない。
【0005】
US2002/0041047A1は、PVDプロセスによる薄金属フレークの効果的な製造方法に焦点を当てている。これは、主にアルミニウムフレークを取り扱っているが、1つの実施例において、35nmの厚みを有するSiフレークも開示している。
【0006】
誘電体は、非電気伝導性であり、したがって、アルミニウムの同じ高い表面プラズマ周波数反射性の問題は生じない。誘電体は、フレネル反射を介して反射性及び不透明度を達成しており、上部単表面の反射率等式は:
rtop=(nmat-nmed1)/(nmat+nmed1)
として規定され、
(上記入射光を参照して)底部表面の反射率等式は、
rbottom=(nmed2-nmat)/(nmed2+nmat)
として規定され、
rtopは、上部表面からの反射率振幅であり、rbottomは、底部表面からの反射率振幅であり、nmatは、材料の屈折率であり、nmed1は、材料の上方の媒体の屈折率であり、かつnmed2は、材料の下方の媒体の屈折率である(上記入射光nmed1)。
【0007】
反射強度(R)は、R=r2として規定される。
【0008】
バインダシステムでは、典型的には、1.35<nmed1=nmed2<1.6とみなすことができる。誘電体材料、例えばTiO2及びSiO2は、典型的にn誘電体≦2.7を示すので、両方の表面からの合計の反射率の上限は(建設的干渉とみなして)、<25%である。したがって、誘電体顔料は、粒子サイズ<<Iレーダーに均一化されたときに高いレーダー(RADAR)透過性を示す一方で、その利用は、低い光学的反射性及び低い不透明度(隠ぺい力)に起因して、限定的である。
【0009】
半導体は、典型的に、スペクトル範囲にわたって高いnmatを示し、バンドギャップ超では増加したnmatを示す。例えば、ケイ素は、λ~4000nmで~3.4のnsemiを示し、λ~370nmで~6.7の頂部nsemiを有する。この関係は、大部分の元素半導体及び化合物半導体に当てはまる。上記した誘電体と同じ条件(1.35<nmed1=nmed2<1.6とみなして)を用いて、しかしながら可視範囲で~5.0のnsemiを有して、合計の反射率は、(建設的干渉とみなして)>50%を達成しうる。
【0010】
ケイ素、ゲルマニウム、又はそれらのアロイなどの半導体フィルムの使用は、自動運転自動車の開発のためのランダム系の製造に関する文献で知られている。その例は、WO2021/018422A1又はUS2010/0207842A1に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、幅広い光学的な汎用性及びエフェクトを有しておりかつ同時に十分なレーダー透過性を有するコーティング配合物及びペイントを提供することをコーティング産業に可能にさせるエフェクト顔料をも開発することについて、緊急の必要性が存在する。
【0012】
特に、金属外観を有しているが、金属エフェクト顔料と誘電体顔料との混合物よりもはるかに高いレーダー透過性を有する新たなエフェクト顔料への需要が存在する。それらは、容易に利用可能でありかつ種々の色調を有する必要がある。特別に所望されるものとしては、銀外観エフェクト顔料が挙げられ、なぜならば、これらは、特に自動車市場において、最も高い魅力を有するからである。
【0013】
顔料は、良好な隠ぺい力、金属グロス、及び高い金属フロップを有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの目的は、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有しておりかつ下記の平均原子組成を有する半導体材料からなる単一の小板を光学活性層として含むフレーク状のエフェクト顔料を提供することによって解決される:
(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は
(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、ただし0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
さらに好ましい実施例が、請求項2~11に開示される。
【0016】
目的は、さらに、下記の工程を含むエフェクト顔料の製造方法を提供することによって解決される:
(a)離剤でコーティングされた柔軟な基材を提供すること、
(b)超高真空条件下で、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料を、柔軟な基材(a)の上に蒸着すること、
(c)柔軟な基材から、半導体フィルムを、適切な溶媒中で剥離し、分散体中で粒子粉砕して半導体フレークを得ること、
(d)半導体フレークを溶媒から分離すること、
(e)随意に、さらなる工程、例えば、半導体フレークを更にサイズ分級すること、又は半導体フレークを異なる溶媒中に分散すること、及び更なる表面処理工程、を行うこと。
【0017】
さらなる好ましい態様が、請求項13~14に開示される。
【0018】
最後に、本発明の目的は、バインダ及びフレーク状エフェクト顔料を含むコーティングシステムを提供することによって解決される。
【0019】
この発明において、単一の小板(単一のプレートレット、single platelet)半導体は、下記の平均原子組成を有する:
(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は
(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00である。
【0020】
x、y、n及びmは、モル分率である。さらなる好ましい実施態様において、(a)に係る単一の小板半導体は、0.01<x<0.9の組成、より好ましくは0.02≦x≦0.8、最も好ましくは0.05≦x≦0.65の組成を有する。これらの材料は、ケイ素及びゲルマニウムのアロイである。ゲルマニウムは、興味深い色エフェクト(色効果)をもたらし、なぜならば、この材料は、可視波長領域で吸収性だからである。これは、また、純粋なケイ素フレークと比較して不透明性を増加させる。この材料の高いコストに起因して、ゲルマニウムの含有量は、可能な限り低いことが好ましい。
【0021】
さらなる好ましい実施態様において、(b)に係る単一の小板半導体は、0.02≦y≦0.75の組成を有し、より好ましくは0.05≦y≦0.55の組成を有する。これらの材料は、ケイ素及びスズのアロイである。
【0022】
さらなる好ましい実施態様において、(c)に係る単一の小板半導体は、0.02≦z≦0.5の組成を有し、より好ましくは0.05≦z≦0.4の組成を有する。これらの材料は、ゲルマニウム及びスズのアロイである。
【0023】
さらなる好ましい実施態様において、(d)に係る単一の小板半導体は、0.02≦m≦0.8及び0.02≦n≦0.75によって特徴づけられる組成を有し、より好ましくは0.05≦m≦0.65、0.05≦n≦0.55によって特徴づけられる組成を有する。
【0024】
小板半導体粒子は、材料の製造によって発生する通常の不純物を更に含有してよく、例えば、炭素、窒素、又は酸素を含有してよい。これらの材料は、上記の式中には含まれていない。
【0025】
上記の式中に含有されていない他の金属又は他の半導体材料の不純物は、典型的には、小板半導体材料の、0.1重量%未満であり、好ましくは0.05重量%未満であり、より好ましくは0.005重量%未満であり、これらもまた、上記式中には含まれていない。
【0026】
小板半導体粒子は、表面酸化に起因して、ある程度の量の酸素をさらに含有してもよい。例えば、小板アロイ半導体フレークは、その表面で酸化されていてよい。このタイプの酸素は、明確性のために、式には含められていない。好ましくは、小板半導体粒子は、その内部に、検出可能な量の酸素を有しない。
【0027】
好ましい実施態様において、フレーク状のエフェクト顔料のバンドギャップは、0.2~1.4eVの範囲であり、より好ましくは0.4~1.2eVの範囲である。そのようなバンドギャップは、半導体材料に関して典型的である。
【0028】
半導体小板は、中実の構成を有しており、その内部構造中における空隙率は低いか、あるいはその内部構造中に空隙を有しない。水銀空隙率測定によって決定される空隙率は、本質的にゼロであるか、又は、空隙がないことに起因して全く決定することができない。エフェクト顔料は、好ましくは、PVD法によって製造される。それらの主表面(上部及び下部)は、PVDエフェクト顔料に関して典型的であるように、比較的平坦かつ平滑である。そのような平滑な構造及び検出可能な内部空隙の不存在は、小板が最適な反射率で機能することを可能にする。
【0029】
可視波長範囲におけるこれらの材料の高い屈折率に起因して、小板半導体粒子は、比較的高い反射を示す。半導体小板の厚みに応じて、種々の色が生じうる。
【0030】
したがって、単一の半導体小板の平均厚みtaは、好ましくは5~160nmの範囲、より好ましくは10nm~140nm未満の範囲、最も好ましくは15~130nmの範囲である。「平均厚み」によって意味されているのは、顔料サンプルの厚みの算術平均である。
【0031】
160nmの平均厚みtaよりも上では、小板半導体は、最終的なコーティングシステムにおいて良好に方向づけされないことがあり、隠ぺい力が大幅に低減される。5nmよりも下の平均厚みtaでは、小板は、機械的に不安定になることがあり、十分な品質で再現することが困難であることがある。
【0032】
ta値は、メジアン値の代わりに算術平均が決定されることを除いてはWO2004/087816A2に記載されているようにSEMを用いて小板の厚み分布を数えることによって決定される。
【0033】
好ましい実施態様において、フレーク状のエフェクト顔料は、12~40nmの範囲の、好ましくは18~35nmの範囲の、単一の半導体小板の平均厚みtaで、銀外観を有する。そのようなタイプのフレーク状のエフェクト顔料に関して特に好ましいのは、上記のSi-Ge又はSi-Snのアロイである。
【0034】
本発明において「銀外観」又は「ニュートラル色調」で意味されているのは、これらのエフェクト顔料の用途において、すべての計測角度(―15°、15°、25°、45°、75°及び110°)にわたる色ニュートラル彩度であり、これは、CIELab色スペースにおいてa*値及びb*値の絶対値が独立に6.5ユニット未満、より好ましくは4.0ユニット未満、最も好ましくは2.0ユニット未満である場合に達成される。好ましくは、実験例の項でドローダウンにおいて記載されるような用途が、この場合に用いられる。
【0035】
他の好ましい実施態様において、フレーク状のエフェクト顔料は、40超から160nmの範囲の単一の半導体小板のメジアン厚みh50で、色づいた外観を有する。この場合に、a*値範囲及びb*値範囲の絶対値は、独立に、CIELab色空間において6.5ユニット以上である。
【0036】
フレーク状のエフェクト顔料のサイズ及びサイズ分布に関して、自動車産業におけるコーティング又は工業的なコーティングにおける典型的なサイズ範囲が選択される。好ましくは、フレーク状のエフェクト顔料は、粒子サイズ分布のd50を有し、2~100μmの範囲、より好ましくは5~40μmの範囲、さらにより好ましくは6~35μmの範囲、最も好ましくは7~30μmの範囲である。
【0037】
顔料サイズは、典型的には、体積平均粒子サイズ分布からの分位数(d値)を用いて示される。この場合、数は、体積平均粒子サイズ分布に含有される特定のサイズよりも小さい粒子の割合を示す。例えば、d50値は、粒子の50%がこの値よりも小さいサイズを示す。これらの測定は、例えば、Horibaによって製造される粒子サイズ分析器(Horiba LA950装置)を用いたレーザー粒度分布分析によって行われる。測定は、等価球体に関するフラウンホーファー近似及び製造者からの情報に従った適切なパラメータを用いて行われる。
【0038】
d10値は、微細な粒子の量を特徴づけ、典型的には、2~20μm、好ましくは4~15μmの範囲である。
【0039】
d90値は、粗い粒子の量を特徴づけ、典型的には、15μm~140μm、好ましくは20μm~50μmの範囲である。
【0040】
粒子サイズ分布の幅は、(d90-d10)/d50によって定義される距離によって特徴づけることができ、好ましくは、この距離が、1.50~2.2であり、より好ましくは1.6~2.0である。
【0041】
理論によって限定する意図はないが、本件発明者らが想定するところでは、エフェクト顔料の粒子サイズがレーダーマイクロ波よりもはるかに小さいことに起因して、レーダー波の減衰が、対応する半導体材料の巨視的な膜におけるよりもさらに比較的低いと考えられる。
【0042】
本発明に係るフレーク状のエフェクト顔料は、好ましくは、d50/h50で定義されるアスペクト比を有し、これは、30~2000の範囲であり、より好ましくは40~1500の範囲であり、最も好ましくは50~1000の範囲である。
【0043】
本発明の範囲において、フレーク状エフェクト顔料の唯一の光学活性層が、上記の半導体小板からなる。このエフェクト顔料の、金属フレークと比較した、特には広く用いられるアルミニウムフレークと比較した、さらなる利点は、それらの優れたガス発生安定性である。通常は、これらの小板は、さらなる腐食防止層でコーティングされる必要がない。
【0044】
しかしながら、いくつかの場合には、そのようなコーティングが必要となることがある。さらに多くの場合には、光学的に不活性な材料を有する特定のコーティングが有用でありうる。
【0045】
したがって、さらなる実施態様において、単一の半導体小板が、n<1.8の屈折率、好ましくは<1.6の屈折率の、透過性であり光学的に活性でない金属酸化物でさらに包囲されている。
【0046】
光学的に不活性な層で意味されているのは、本発明の範囲内において、可視波長範囲において、入射光の20%未満、又は好ましくは10%未満を反射する層である。追加的に、これは、彩度反応を変化させない。特に、外側の光学的に不活性な層は、実験例の項で記載されるようなニトロセルロースラッカーにおける用途の場合に、外側の光学的に不活性な層を有しない同一の層スタックエフェクト顔料と比較して、そのようなコーティングされたエフェクト顔料の変化を示し、これは、ΔC*
15°が≦2.0かつ/又はΔH*
15°が≦10°好ましくは≦5°かつ/又はΔL*
15°が≦10である。
【0047】
典型的には、そのような不活性層は、可視波長範囲における、1.7未満の、より好ましくは1.6未満の、平均屈折率を有する。典型的には、そのような不活性層は、可視波長範囲において、34nm未満の光学密度を有し、より好ましくは32nm未満の光学密度を有する。この場合、屈折率は、層の実効屈折率ではなく、それぞれの材料の文献上のバルク値に言及している。
【0048】
好ましい実施態様において、光学的に不活性な層は、半導体小板の本質的に全体を包囲し、Mo酸化物、SiO2、Al2O3、B2O3、又はこれらの混合物の層からなる。ガス発生安定性のさらなる向上のために用いられない場合には、典型的な光学的に不活性な層は、表面改質剤であり、例えば、有機官能性シラン、チタネート、アルミナート、又はジルコネート、ホスフェートエステル、ホスホネートエステル、ホスファイトエステル、アルコール、又はアミン系添加剤、及びこれらの組み合わせである。
【0049】
そのような表面改質剤は、トップコーティングとして用いられて、エフェクト顔料の、最終用途のバインダ媒体との化学的適合性が調節され、これについては例えばEP1084198A1に記載されている。これらは、単一の半導体小板顔料に直接にコーティングされてもよく、又は光学的に不活性な層に直接にコーティングされてもよい。
【0050】
表面改質剤として最も好ましいのは、有機官能性シランである。別の好ましい実施態様では、半導体小板が、第一に、SiO2の薄層でコーティングされ、次いで、適切な表面改質剤、最も好ましくは有機官能性シラン、でコーティングされる。この場合、SiO2層は、有機官能性シランの、半導体小板の表面への接着性を向上させるために、主に用いられる。
【0051】
適切な有機官能性シランは、市販されており、例えば、Evonik、ラインフェルデン、ドイツ、によって製造されており、「Dynasylan(商標)」の商品名の下で販売されている。さらなる製品を、OSi Specialties(Silquest(商標)シラン)又はWacker(Genosil(商標)シラン)から購入できる。
【0052】
適切な有機官能性シランの例は、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan MEMO)、ビニルトリ(メ)エトキシシラン(Dynasylan VTMO又はVTEO)、3-メルカプトプロピルトリ(メ)エトキシシラン(Dynasylan MTMO又は3201)、3-グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan GLYMO)、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(Siquest Y-11597)、ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Silquest A-189)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Silquest A-1289)、ビス(3-トリエトキシシリル)ジスルフィド(Silquest A-1589)、ベータ(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリ-メトキシシラン(Silquest A-186)、ガンマ-イソシアナトプロピル-トリメトキシシラン(Silquest A-Link 35、Genosil GF40)、(メタクリロイロキシメチル)トリメトキシシラン(Genosil XL 33)及び(イソシアナトメチル)トリメトキシシラン(Genosil XL43)である。
【0053】
1つの好ましい実施態様では、SiO2層を修飾(改質)する有機官能性シラン混合物が、少なくとも1つのアミノ官能性シランを含む。アミノ官能基は、バインダ中に存在する大部分の基と化学的相互作用できる官能基である。この相互作用としては、共有結合、例えば、バインダのイソシアナート又はカルボキシレート基との共有結合、又は、水素結合、例えば、OH又はCOOR基との水素結合、又はさらにはイオン性相互作用、などが挙げられうる。したがって、これは、エフェクト顔料の、種々のバインダへの化学的な付着の目的のために非常に良く適している。
【0054】
下記の化合物が、好ましくはこの目的のために用いられる:
アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan AMMO)、アミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan AMEO)、N-(2-アミノエチル)
-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノ官能性トリメトキシシラン(Silquest A-1130)、ビス(ガンマ-トリメトキシシリルプロピル)アミン(Silquest A―1170)、N-エチル-ガンマ-アミノイソブチルトリメトキシシラン(Silquest A-Link 15)、N-フェニル-ガンマ-ジアミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest Y-9669)、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシ-シラン(Silquest Y-11637)、(N-シクロヘキシルアミノメチル)-トリエトキシシラン(Genosil XL 926)、(N-フェニルアミノメチル)-トリメトキシシラン(Genosil XL 973)及びこれらの混合物。
【0055】
別の態様では、事前加水分解型及び事前縮合型の有機官能性シランを用いることができ、これについてはEP3080209B1等に記載されている。
【0056】
フレーク状のエフェクト顔料を製造する方法
フレーク状エフェクト顔料を製造する方法は、下記の工程を含む:
(a)離剤でコーティングされた柔軟な基材を提供すること、
(b)超高真空条件下で、0.1eV~2.5eVの範囲のバンドギャップを有しておりかつ下記の平均原子組成を有する半導体材料を、柔軟な基材(a)の上に蒸着すること:
(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は
(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00である、
(c)半導体フィルムを、柔軟な基材から、適切な溶媒中で剥がし、分散体中で粒子粉砕して、半導体フレークを得ること。
(d)半導体フレークを、溶媒から分離すること、並びに、
(e)随意の、さらなる工程、例えば、半導体フレークをさらなるサイズ分級に供すること、又は、半導体フレークを異なる溶媒中に分散させること、及び、さらなる表面処理工程、を行うこと。
【0057】
工程(a):この工程は、PVD金属顔料、特にはアルミニウムエフェクト顔料、の製造で知られているのと本質的に同じ様式で実行される。柔軟な基材は、通常は、ポリマーから形成されたウェブであり、最も好ましくは、PETポリマーである。離剤として、従来公知のものを用いてよい。通常は、離剤は、ポリマーであり、例えば、アクリル、メタクリル、又はポリスチロールである。離剤は、他の有機材料であってもよく、これについては、US2004/0131776A1又はUS20100062244A1等に記載されている。
【0058】
好ましい実施態様では、工程(b)を、ロールツーロール(roll-to-roll)プロセスによって行う。工程(b)において、1つの実施態様では、所定の組成の半導体アロイ(半導体合金)を、バルク材料として用いて、これを、適切な手段で蒸発させて、それぞれのガス分子を生成し、これらを、超高真空条件下で、離層でコーティングされた柔軟な基材に移す。別の態様では、所定の純度の2又は3の適切なバルク半導体材料を用い、それらの蒸気雲が基材に到達する前に、重なり合うことができるようにする。
【0059】
工程(b)は、電子ビームプロセス、マグネトロンスパッタリング、抵抗性蒸着、又は誘導加熱として行ってよい。最も好ましいものは、電子ビームプロセスによる半導体バルク材料の蒸着である。
【0060】
工程(c)、(d)、及び(e)については、同様に、公知である。
【0061】
本発明の別の実施態様は、バインダ、及び本発明のフレーク状のエフェクト顔料を含有するコーティングシステムに関する。バインダシステムは、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、及びこれらのコポリマーであってよい。好ましくは、コーティングシステムは、自動車の基本コーティングである。
【0062】
そのようなコーティングシステムは、追加的に、他の顔料、例えば、色顔料、真珠光沢顔料、又は金属エフェクト顔料を含有してもよい。
【0063】
さらに、コーティングシステムは、溶媒又は溶媒混合物を含む。好ましくは、それらは水系コーティングシステムである。追加的に、それらは、公知技術で慣用的なように、フィラー又は添加剤を含有してよい。
【0064】
そのようなコーティング中でのエフェクト顔料体積濃度は、好ましくは、0.1~100%、より好ましくは1~20%、最も好ましくは1.5~15%である。
【0065】
さらなる態様:
顔料又はコーティング(顔料及びバインダ)に直接に帰属される特定波長での電磁減衰(attn)は、基材又は基材及びバインダの計測された電磁減衰を、基材、バインダ、及び顔料を含む完全なコーティングシステムのそれから差し引くことによって計算できる。単純化のために、attnは、ここでは、デシベル(dB)の単位で示される。輝度対減衰比は、L*15/attnとして定義され、attnは、特定の電磁周波数又は周波数範囲、例えばIR、マイクロウェーブ、及びラジオ周波数、におけるdBでの減衰である。本発明のエフェクト顔料のさらなる態様は、下記のとおりである:
態様1:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、このフレーク状の顔料は、光学活性層として、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップ及び下記の平均原子組成を有する半導体材料からなる単一の小板を含み:
(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は
(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00である、
ここで、
0.3THz~300THz(IR)の周波数範囲における減衰の、5dB未満、好ましくは4dB未満、最も好ましくは3dB未満が、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングに帰属する、コーティングシステム。
態様2:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングが、0.3THz~300THz(IR)の周波数範囲において、85超の輝度を示し、かつ15超、好ましくは25超、最も好ましくは50超の、輝度対減衰比を示す、コーティングシステム。
態様3:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、3~300GHz(マイクロウェーブ)の周波数範囲における減衰の、3dB未満、好ましくは2dB未満、最も好ましくは1dB未満が、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングに帰属される、コーティングシステム。
態様4:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングが、3~300GHz(マイクロウェーブ)の周波数範囲において、85超の輝度を示し、かつ25超、好ましくは50超、最も好ましくは100超の、輝度対減衰比を示す、コーティングシステム。
態様5:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、23~79GHz(RADAR、マイクロウェーブの一部)の周波数範囲における減衰の、3dB未満、好ましくは2dB未満、最も好ましくは1dB未満が、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングに帰属される、コーティングシステム。
態様6:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングが、23~79GHz(RADAR、マイクロウェーブの一部)の周波数範囲において、85超の輝度を示し、かつ25超、好ましくは50超、最も好ましくは100超の、輝度対減衰比を示す、コーティングシステム。
態様7:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、0.3MHz~3GHz(RF)の周波数範囲における減衰の、3dB未満、好ましくは2dB未満、最も好ましくは1dB未満が、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングに帰属する、コーティングシステム。
態様8:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングが、0.3MHz~3GHz(RF)の周波数範囲において、85超の輝度を示し、かつ25超、好ましくは50超、最も好ましくは100超の、輝度対減衰比を示す、コーティングシステム。
態様9:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、上記単一の小板半導体が、下記の平均原子組成を有する、コーティングシステム:
(a)Si(1-x)Gex、0.01<x<0.9、好ましくは0.02≦x≦0.8、又は
(b)Si(1-y)Sny、0.02≦y≦0.75、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0.02≦z≦0.5、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0.02≦m≦0.8、0.02≦n≦0.75。
態様10:フレーク状の顔料を有するコーティングシステムであって、上記単一の小板半導体が、下記の平均原子組成を有する、コーティングシステム:
(a)Si(1-x)Gex、0.05≦x≦0.65、又は
(b)Si(1-y)Sny、0.05≦y≦0.55、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0.05≦z≦0.4、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0.05≦m≦0.65、0.05≦n≦0.55。
【実施例】
【0066】
比較例1:
市販のMetalure Liquid Black(Eckart GmbH)、これは、高いフロップ特性を有する黒色PVD金属エフェクト顔料である。
【0067】
比較例2:
市販のMetalure L-55700(Eckart GmbH)、これは、標準的なPVDアルミニウムエフェクト顔料である。
【0068】
実施例1:ケイ素-ゲルマニウム複合体
ケイ素とゲルマニウムの配合物を、離剤でコーティングされた30cm幅のクリアポリエステルフィルムの上に、eビームPVD蒸着を用いて、堆積した。eビーム源は、プロセスの間に、ウェブよりも36cm下方に配置され、条件を調節して、最終顔料に関して銀の色が得られるようにした。eビーム源加速電圧は、作動を通じて、定圧10kVで保持された。
【0069】
実施例1で得られた材料を、ポリエステルフィルムからすべて剥がし、ホモゲナイズ処理して、~19μmの粒子サイズ(D50値)とした。顔料は、プロピルグリコールメチルエーテルアセテート中における10重量%の不揮発含有量(NVM)で調製された。SEM分析を介して得られた、平均粒子厚taは、23+/-3nmである。エネルギー分散スペクトロスコピーから決定された元素ケイ素:ゲルマニウム原子比は、45:55である。
【0070】
顔料サンプルを、プロピルグリコールメチルエーテルアセテートで5%NVMに調節して、Deltron DBC500 Color Blender中における噴霧用とした。噴霧インクの配合は、目的の顔料体積濃度が約1.8~2.4%となるようにした。サンプルを、二重で適用して、ポリエステルフィルム及びABSプラスチック基材にわたる1~2コーティング内の完全被覆を得た。複数のコーティングの間に、パネルを周囲雰囲気温度で約30分間にわたって乾燥した。
【0071】
グロスデータを、BYK Micro Tri-gloss計測器を用いて得た。追加的な光学データを、BYK Mac計測器を用いて得た。光学データを、ポリエステルフィルム上で、フィルムの前面(コーティング面)及び裏面の両方で得た。フロップは、下記の慣用的な式に従って計算した:
フロップ指標=2.69x(L*15°-L*110°)1.11/L*45°
0.86
【0072】
これらの計測の結果を、下記のTable1a~dにまとめる。
【0073】
表1a~d:
実施例1のケイ素ゲルマニウムアロイエフェクト顔料から、異なるバインダ:顔料比及び異なる基材で得られた光学データ。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
実施例2:
ケイ素-ゲルマニウム顔料対バインダ比変更
ケイ素及びゲルマニウム配合物を、離剤でコーティングされた30cm幅クリアポリエステルフィルム上に、eビームPVD蒸着を用いて、堆積した。eビーム源は、プロセスの間にウェブよりも36cm下方に配置され、条件を調節して、最終顔料に関して銀の色が得られるようにした。eビーム源加速電圧は、作動を通じて、定圧10kVに保持した。
【0079】
実施例2で得た材料を、すべて、ポリエステルフィルムから剥離し、ホモゲナイズ処理して、粒子サイズ~14μm(d50値)にした。顔料を、プロピルグリコールメチルエーテルアセテート中での10重量%不揮発含有量(NVM)で調製した。SEM分析を介して得た平均粒子厚みtaは、29+/-3nmである。エネルギー分散スペクトロスコピーから決定した元素ケイ素:ゲルマニウム原子比は、47:53である。
【0080】
噴霧適用ラダーを設計し、実行した。複数の噴霧インクを配合して、DeltronDBC500 Color Blenderを用いて、算出顔料体積濃度3~61%とした。金属含有量は、すべてのインク配合物を通じて一定に保持された。サンプルは、ABSパネル基材にわたって、二重に適用された。単一のコーティングにおいてそれぞれのインクの全体を適用し、それによって、すべてのパネルにわたる均一な金属分布を維持した。それぞれのセットから選択されたパネルは、Deltron DC4000でクリアコーティングされ、追加的な60分にわたる60℃での強制乾燥に供した。複数のコーティングの間に、パネルを、周囲雰囲気温度で、約30分にわたって、乾燥した。
【0081】
グロスデータを、BYK Micro Tri-gloss計測器を用いて得た。追加的な光学データを、BYK Mac測色計を用いて得た。これらの計測の結果を、下記の表2に示す。
【0082】
表2a、b及びc:異なるバインダ:顔料比での、実施例3に関するグロス、フロップ、L*、a*、及びb*値
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
この例のエフェクト顔料は、比較的ニュートラルな色調を示し、高いフロップ値を有し、金属外観を有する魅力的なエフェクト顔料として観察される。
【0087】
バインダ/顔料比を増加すると、フロップ及びグロスの値が低減される傾向があり、なぜならばこの場合には、低減されたバインダ濃度で、システムが乾燥するとともにフレークの間に比較的少ない空間が生じる。これによって、顔料が、平坦/平行位置において、基材に対して比較的良好に方向づけされて、高い反射性が生じることが確保される。
【0088】
実施例群3:SiSn
ケイ素アロイフレークのさらなるサンプルを、アロイ材料としてゲルマニウムの代わりにスズを用いたこと以外は、実施例2に従って製造した。3つの実験を、異なる条件のもとで行い、それによって、得られるアロイフレークの組成及び厚みを種々とした。Si:Sn組成及びフレーク厚みは、種々の値であり、SEM分析で確認した。これについて表4に示す。この分析では、酸素含有量は排除した。
【0089】
【0090】
複数の噴霧インクを、表4に示されるバインダ:顔料比で、Deltron DBC500 Color Blenderを用いて配合した。金属含有量は、すべてのインク配合物を通じて一定に保持した。サンプルをABSパネル基材にわたって二重で適用した。単一のコーティングにおいてそれぞれのインクの全体を適用して、すべてのパネルにわたって均一の金属分布を維持した。それぞれのセットから選択したパネルを、Deltron DC4000でクリアコーティングし、追加的な60分にわたる60℃での強制乾燥に供した。複数のコーティングの間に、パネルを、周囲雰囲気温度で約30分にわたって乾燥した。
【0091】
グロスデータを、BYK Micro Tri-gloss計測器を用いて得た。追加的な光学データを、BYK Mac測色計を用いて得た。これらの計測の結果を、下記の表4にまとめる。比較例1(市販のMetalure Liquid Black)及び2(市販のMetalure L-55700)のデータを比較として示す。
【0092】
表4a~c:実施例3のケイ素スズアロイエフェクト顔料からの光学データ
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
表4aから、実施例は、比較例1(Metalure Liquid Black)と比較例2(標準PVDアルミニウム顔料)の間のフロップを有することが確認できる。a*値及びb*値は、小さく、本質的にニュートラルな色調を示す。視覚的に、エフェクト顔料は、銀系色調の外観を有し、強い明度フロップを有する。
【0097】
実施例4a、b:SiGe及びSiSn拡張試験
ケイ素ゲルマニウム及びケイ素スズのアロイフレークのサンプルを、実施例1~3に記載のパレメータに従って、ただしわずかに異なる組成で、製造した。実施例4で得られる材料を、それらのポリエステルフィルムから剥離し、ホモゲナイズ処理して、粒子サイズ12~15μm(d50値)とした。顔料分散体を、プロピルグリコールメチルエーテル中で10重量%不揮発含有量(NVM)で調製した。SEM/EDX分析は、それぞれSi46Ge54及びSi66Sn34のアロイ組成を明らかにした。SiGe及びSiSnアロイに関する平均粒子厚み(ta)は、それぞれ28+/-3nm及び29+/-3nmであることがわかった。この分析において、酸素含有量は、排除した。
【0098】
バインダー配合物を、43.5部のNC E1160(ドイツHagederon AG製)バインダ、イソプロピル30中、を、9重量%バインダ含有量で、ブチルアセテート85中において、26.5部のブチルアセテート、26.5部のキシリトール、0.6部のブチルジグリコール、1.6部のブチルグリコール、と混合及び攪拌し、これに、0.3部のByk358N及び1.0部のByk120を添加剤として添加した。
【0099】
複数の噴霧インクを、表5で示すバインダ:顔料比で配合した。粘度を、ブチルアセテートとキシリトールの1:1溶媒混合物を用いて調節した。噴霧インクを、ABSパネルに、ドイツOerter社からの噴霧コーティング装置APL3.3を用いて適用した。それぞれの配合物を、4回、噴霧して、それぞれのエフェクト顔料の全被覆を得た。
【0100】
レーダー透過性測定を、マイクロウェーブ放射線を用いて、76.5GHzの周波数で、計測システムとしてドイツPerisens社からのRMS‐D-77/79G装置を用いて行った。追加的な光学データを、BYK Mac測色計を用いて得た。
【0101】
噴霧パネルのレーダー減衰及び光学結果を、表5に示す。レーダーデータを、バックグラウンド補正して、非コーティング基材によって生じる損失を考慮した。
【0102】
表5a、b、c:実施例3の、比較例に対するレーダー及び光学的特徴づけ
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
ケイ素ゲルマニウム及びケイ素スズのアロイエフェクト顔料が、本質的にゼロのレーダー減衰をもたらし、一方で、いずれの金属エフェクト顔料も、大きな損失を示したことを良く把握できる。すべての適用は、エフェクト顔料の完全な隠ぺい力を有して実現された。
【0107】
全色調隠蔽での比較では、実施例4のエフェクト顔料アロイによって示される光学的フロップは、比較例1及び2のエフェクト顔料のそれと同水準である。L*15値は、典型的に明度指標とみなされるものであり、比較例1と2の間である。
【0108】
実施例5:SiGe、及びSiSn、並びに比較例3:Si
ケイ素ゲルマニウム及びケイ素スズのアロイフレークのさらなるサンプルを、実施例1~3に従って製造した。追加的な比較としてのSiのみのサンプルを、種々のケイ素厚みで製造した。Si:Ge、Si:Sn、及びSiの組成並びに平均粒子厚み(ta)を、SEM分析で確認した。これを表6に示す。酸素含有量は、この分析で排除した。
【0109】
堆積した材料を、すべて、ポリエステルフィルムから剥離し、ホモゲナイズ処理して、粒子サイズ12~15μm(d50値)とした。インクを、Eckartの社内バインダシステムに調製し、これは、エチルアセテート及びプロピレングリコールメトキシエーテルの溶媒ブレンド中におけるHagedornH7ニトロセルロースバインダ(ドイツ・オスナブリュックのHagedorn AGから取得)から構成されていた。配合物は、1.85:1の、バインダ対金属の含有量の重量比に基づいており、1.5%の合計金属含有量を有していた。サンプルを、平坦ポリエステルフィルム上に、ワイヤ巻付ロッドを用いてドローダウンして、40μmの湿フィルム厚とした。
【0110】
グロス及び色データを、それぞれのポリエステルフィルムの裏面から、BYK Micro Tri-gloss計測器及びBYK Mac測色計をそれぞれ用いて得た。不透明度データを、X-rite341C透過濃度計を用いて、コーティングされたポリエステルフィルムに沿う6つの取得点での平均によって、得た。これらの計測の結果を、表6にまとめる。比較例1(市販のMetalure Liquid Black)及び2(市販のMetalure L-55700)のデータを、比較のために示す。
【0111】
表6a、b:実施例5及び比較例のエフェクト顔料からの光学的、厚み、及び組成のデータ
【0112】
【0113】
【0114】
表6から、実施例は、同等の厚みのケイ素のみのサンプル(比較例3)と比較して、はるかにニュートラルな色調を示すことを良く把握できる。さらに、SiSn実施例5bは、比較例2アルミニウムサンプルとほぼ同様の色ニュートラル性である。実施例のグロス値も、また、ケイ素のみのサンプル及び比較例1のいずれに対しても優れている。実施例の不透明度値も、また、ケイ素のみのサンプル及び比較例1のいずれに対しても優れている。したがって、本発明に係るケイ素ゲルマニウム及びケイ素スズのアロイの色ニュートラル性、グロス、及び範囲は、ケイ素のみのサンプルに対して優れていることが示される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唯一の光学活性層としての特定の半導体小板に基づくエフェクト顔料、その製造方法、及び魅力的な光学特性を有するレーダー透過性エフェクト顔料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムの高い表面反射性は、その高い電気的伝導性から得られ、これは、高い表面プラズマ周波数をもたらす。表面に入射する光の周波数が表面プラズマ周波数より小さい場合、入射光は、表面から効率的に反射する。アルミニウムでは、表面プラズマ周波数は、光周波数≧近UV光を反射でき、これは、可視光、IR、マイクロウェーブ、及びラジオ波を含む。したがって、アルミニウム、及び多くの金属は、広範囲の波長範囲にわたって高い反射性を示す。不利なことに、可視光反射を支配する同じ効果が、IR、マイクロウェーブ、及びRADARの波長の反射においても有効である。したがって、アルミニウム及び他の金属の小板(プレートレット)は、不十分なレーダー(RADAR)透過性を有し、しかしながら同時に、可視範囲における金属効果(金属エフェクト)のための標準的なエフェクト顔料として世界中で用いられており、特に自動車コーティングとして用いられている。
【0003】
真珠光沢顔料などの誘電体を微細なアルミニウムフレークとともに利用して、それによって複合体のRADAR透過性を増加させることが、WO2020/208134A1、US2010/0022696A1、又はWO2021/030197A1で開示されている。
【0004】
この場合、金属フレーク及び典型的なアルミニウムフレークは、コーティング中になおも存在し、レーダー減衰は、最終的なコーティングの想定される光学特性とバランスされる必要がある。多くの場合、レーダー減衰はなおも過度に高く、かつ/又は特定の色調を実現できない。
【0005】
US2002/0041047A1は、PVDプロセスによる薄金属フレークの効果的な製造方法に焦点を当てている。これは、主にアルミニウムフレークを取り扱っているが、1つの実施例において、35nmの厚みを有するSiフレークも開示している。
【0006】
誘電体は、非電気伝導性であり、したがって、アルミニウムの同じ高い表面プラズマ周波数反射性の問題は生じない。誘電体は、フレネル反射を介して反射性及び不透明度を達成しており、上部単表面の反射率等式は:
rtop=(nmat-nmed1)/(nmat+nmed1)
として規定され、
(上記入射光を参照して)底部表面の反射率等式は、
rbottom=(nmed2-nmat)/(nmed2+nmat)
として規定され、
rtopは、上部表面からの反射率振幅であり、rbottomは、底部表面からの反射率振幅であり、nmatは、材料の屈折率であり、nmed1は、材料の上方の媒体の屈折率であり、かつnmed2は、材料の下方の媒体の屈折率である(上記入射光nmed1)。
【0007】
反射強度(R)は、R=r2として規定される。
【0008】
バインダ配合物では、典型的には、1.35<nmed1=nmed2<1.6とみなすことができる。誘電体材料、例えばTiO2及びSiO2は、典型的にn誘電体≦2.7を示すので、両方の表面からの合計の反射率の上限は(建設的干渉とみなして)、<25%である。したがって、誘電体顔料は、粒子サイズ<<Iレーダーに均一化されたときに高いレーダー(RADAR)透過性を示す一方で、その利用は、低い光学的反射性及び低い不透明度(隠ぺい力)に起因して、限定的である。
【0009】
半導体は、典型的に、スペクトル範囲にわたって高いnmatを示し、バンドギャップ超では増加したnmatを示す。例えば、ケイ素は、λ~4000nmで~3.4のnsemiを示し、λ~370nmで~6.7の頂部nsemiを有する。この関係は、大部分の元素半導体及び化合物半導体に当てはまる。上記した誘電体と同じ条件(1.35<nmed1=nmed2<1.6とみなして)を用いて、しかしながら可視範囲で~5.0のnsemiを有して、合計の反射率は、(建設的干渉とみなして)>50%を達成しうる。
【0010】
ケイ素、ゲルマニウム、又はそれらのアロイなどの半導体フィルムの使用は、自動運転自動車の開発のためのランダム系の製造に関する文献で知られている。その例は、WO2021/018422A1又はUS2010/0207842A1に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、幅広い光学的な汎用性及びエフェクトを有しておりかつ同時に十分なレーダー透過性を有するコーティング配合物及びペイントを提供することをコーティング産業に可能にさせるエフェクト顔料をも開発することについて、緊急の必要性が存在する。
【0012】
特に、金属外観を有しているが、金属エフェクト顔料と誘電体顔料との混合物よりもはるかに高いレーダー透過性を有する新たなエフェクト顔料への需要が存在する。それらは、容易に利用可能でありかつ種々の色調を有する必要がある。特別に所望されるものとしては、銀外観エフェクト顔料が挙げられ、なぜならば、これらは、特に自動車市場において、最も高い魅力を有するからである。
【0013】
顔料は、良好な隠ぺい力、金属グロス、及び高い金属フロップを有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの目的は、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有しておりかつ下記の平均原子組成を有する半導体材料からなる単一の小板を光学活性層として含むフレーク状のエフェクト顔料を提供することによって解決される:
(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は
(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、ただし0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
さらに好ましい実施例が、請求項2~11に開示される。
【0016】
目的は、さらに、下記の工程を含むエフェクト顔料の製造方法を提供することによって解決される:
(a)離剤でコーティングされた柔軟な基材を提供すること、
(b)超高真空条件下で、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料を、柔軟な基材(a)の上に蒸着すること、
(c)柔軟な基材から、半導体フィルムを、適切な溶媒中で剥離し、分散体中で粒子粉砕して半導体フレークを得ること、
(d)半導体フレークを溶媒から分離すること、
(e)随意に、さらなる工程、例えば、半導体フレークを更にサイズ分級すること、又は半導体フレークを異なる溶媒中に分散すること、及び更なる表面処理工程、を行うこと。
【0017】
さらなる好ましい態様が、請求項13~14に開示される。
【0018】
最後に、本発明の目的は、バインダ及びフレーク状エフェクト顔料を含むコーティング配合物を提供することによって解決される。
【0019】
この発明において、単一の小板(単一のプレートレット、single platelet)半導体は、下記の平均原子組成を有する:
(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は
(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00である。
【0020】
x、y、n及びmは、モル分率である。さらなる好ましい実施態様において、(a)に係る単一の小板半導体は、0.01<x<0.9の組成、より好ましくは0.02≦x≦0.8、最も好ましくは0.05≦x≦0.65の組成を有する。これらの材料は、ケイ素及びゲルマニウムのアロイである。ゲルマニウムは、興味深い色エフェクト(色効果)をもたらし、なぜならば、この材料は、可視波長領域で吸収性だからである。これは、また、純粋なケイ素フレークと比較して不透明性を増加させる。この材料の高いコストに起因して、ゲルマニウムの含有量は、可能な限り低いことが好ましい。
【0021】
さらなる好ましい実施態様において、(b)に係る単一の小板半導体は、0.02≦y≦0.75の組成を有し、より好ましくは0.05≦y≦0.55の組成を有する。これらの材料は、ケイ素及びスズのアロイである。
【0022】
さらなる好ましい実施態様において、(c)に係る単一の小板半導体は、0.02≦z≦0.5の組成を有し、より好ましくは0.05≦z≦0.4の組成を有する。これらの材料は、ゲルマニウム及びスズのアロイである。
【0023】
さらなる好ましい実施態様において、(d)に係る単一の小板半導体は、0.02≦m≦0.8及び0.02≦n≦0.75によって特徴づけられる組成を有し、より好ましくは0.05≦m≦0.65、0.05≦n≦0.55によって特徴づけられる組成を有する。
【0024】
小板半導体粒子は、材料の製造によって発生する通常の不純物を更に含有してよく、例えば、炭素、窒素、又は酸素を含有してよい。これらの材料は、上記の式中には含まれていない。
【0025】
上記の式中に含有されていない他の金属又は他の半導体材料の不純物は、典型的には、小板半導体材料の、0.1重量%未満であり、好ましくは0.05重量%未満であり、より好ましくは0.005重量%未満であり、これらもまた、上記式中には含まれていない。
【0026】
小板半導体粒子は、表面酸化に起因して、ある程度の量の酸素をさらに含有してもよい。例えば、小板アロイ半導体フレークは、その表面で酸化されていてよい。このタイプの酸素は、明確性のために、式には含められていない。好ましくは、小板半導体粒子は、その内部に、検出可能な量の酸素を有しない。
【0027】
好ましい実施態様において、フレーク状のエフェクト顔料のバンドギャップは、0.2~1.4eVの範囲であり、より好ましくは0.4~1.2eVの範囲である。そのようなバンドギャップは、半導体材料に関して典型的である。
【0028】
半導体小板は、中実の構成を有しており、その内部構造中における空隙率は低いか、あるいはその内部構造中に空隙を有しない。水銀空隙率測定によって決定される空隙率は、本質的にゼロであるか、又は、空隙がないことに起因して全く決定することができない。エフェクト顔料は、好ましくは、PVD法によって製造される。それらの主表面(上部及び下部)は、PVDエフェクト顔料に関して典型的であるように、比較的平坦かつ平滑である。そのような平滑な構造及び検出可能な内部空隙の不存在は、小板が最適な反射率で機能することを可能にする。
【0029】
可視波長範囲におけるこれらの材料の高い屈折率に起因して、小板半導体粒子は、比較的高い反射を示す。半導体小板の厚みに応じて、種々の色が生じうる。
【0030】
したがって、単一の半導体小板の平均厚みtaは、5~160nmの範囲、好ましくは10nm~140nm未満の範囲、最も好ましくは15~130nmの範囲である。「平均厚み」によって意味されているのは、顔料サンプルの厚みの算術平均である。
【0031】
160nmの平均厚みtaよりも上では、小板半導体は、最終的なコーティングシステムにおいて良好に方向づけされないことがあり、隠ぺい力が大幅に低減される。5nmよりも下の平均厚みtaでは、小板は、機械的に不安定になることがあり、十分な品質で再現することが困難であることがある。
【0032】
ta値は、メジアン値の代わりに算術平均が決定されることを除いてはWO2004/087816A2に記載されているようにSEMを用いて小板の厚み分布を数えることによって決定される。
【0033】
好ましい実施態様において、フレーク状のエフェクト顔料は、12~40nmの範囲の、好ましくは18~35nmの範囲の、単一の半導体小板の平均厚みtaで、銀外観を有する。そのようなタイプのフレーク状のエフェクト顔料に関して特に好ましいのは、上記のSi-Ge又はSi-Snのアロイである。
【0034】
本発明において「銀外観」又は「ニュートラル色調」で意味されているのは、これらのエフェクト顔料の用途において、すべての計測角度(―15°、15°、25°、45°、75°及び110°)にわたる色ニュートラル彩度であり、これは、CIELab色スペースにおいてa*値及びb*値の絶対値が独立に6.5ユニット未満、より好ましくは4.0ユニット未満、最も好ましくは2.0ユニット未満である場合に達成される。好ましくは、実験例の項でドローダウンにおいて記載されるような用途が、この場合に用いられる。
【0035】
他の好ましい実施態様において、フレーク状のエフェクト顔料は、40超から160nmの範囲の単一の半導体小板のメジアン厚みh50で、色づいた外観を有する。この場合に、a*値範囲及びb*値範囲の絶対値は、独立に、CIELab色空間において6.5ユニット以上である。
【0036】
フレーク状のエフェクト顔料のサイズ及びサイズ分布に関して、自動車産業におけるコーティング又は工業的なコーティングにおける典型的なサイズ範囲が選択される。好ましくは、フレーク状のエフェクト顔料は、粒子サイズ分布のd50を有し、2~100μmの範囲、より好ましくは5~40μmの範囲、さらにより好ましくは6~35μmの範囲、最も好ましくは7~30μmの範囲である。
【0037】
顔料サイズは、典型的には、体積平均粒子サイズ分布からの分位数(d値)を用いて示される。この場合、数は、体積平均粒子サイズ分布に含有される特定のサイズよりも小さい粒子の割合を示す。例えば、d50値は、粒子の50%がこの値よりも小さいサイズを示す。これらの測定は、例えば、Horibaによって製造される粒子サイズ分析器(Horiba LA950装置)を用いたレーザー粒度分布分析によって行われる。測定は、等価球体に関するフラウンホーファー近似及び製造者からの情報に従った適切なパラメータを用いて行われる。
【0038】
d10値は、微細な粒子の量を特徴づけ、典型的には、2~20μm、好ましくは4~15μmの範囲である。
【0039】
d90値は、粗い粒子の量を特徴づけ、典型的には、15μm~140μm、好ましくは20μm~50μmの範囲である。
【0040】
粒子サイズ分布の幅は、(d90-d10)/d50によって定義される距離によって特徴づけることができ、好ましくは、この距離が、1.50~2.2であり、より好ましくは1.6~2.0である。
【0041】
理論によって限定する意図はないが、本件発明者らが想定するところでは、エフェクト顔料の粒子サイズがレーダーマイクロ波よりもはるかに小さいことに起因して、レーダー波の減衰が、対応する半導体材料の巨視的な膜におけるよりもさらに比較的低いと考えられる。
【0042】
本発明に係るフレーク状のエフェクト顔料は、好ましくは、d50/h50で定義されるアスペクト比を有し、これは、30~2000の範囲であり、より好ましくは40~1500の範囲であり、最も好ましくは50~1000の範囲である。
【0043】
本発明の範囲において、フレーク状エフェクト顔料の唯一の光学活性層が、上記の半導体小板からなる。このエフェクト顔料の、金属フレークと比較した、特には広く用いられるアルミニウムフレークと比較した、さらなる利点は、それらの優れたガス発生安定性である。通常は、これらの小板は、さらなる腐食防止層でコーティングされる必要がない。
【0044】
しかしながら、いくつかの場合には、そのようなコーティングが必要となることがある。さらに多くの場合には、光学的に不活性な材料を有する特定のコーティングが有用でありうる。
【0045】
したがって、さらなる実施態様において、単一の半導体小板が、n<1.8の屈折率、好ましくは<1.6の屈折率の、透過性であり光学的に活性でない金属酸化物でさらに包囲されている。
【0046】
光学的に不活性な層で意味されているのは、本発明の範囲内において、可視波長範囲において、入射光の20%未満、又は好ましくは10%未満を反射する層である。追加的に、これは、彩度反応を変化させない。特に、外側の光学的に不活性な層は、実験例の項で記載されるようなニトロセルロースラッカーにおける用途の場合に、外側の光学的に不活性な層を有しない同一の層スタックエフェクト顔料と比較して、そのようなコーティングされたエフェクト顔料の変化を示し、これは、ΔC*
15°が≦2.0かつ/又はΔH*
15°が≦10°好ましくは≦5°かつ/又はΔL*
15°が≦10である。
【0047】
典型的には、そのような不活性層は、可視波長範囲における、1.7未満の、より好ましくは1.6未満の、平均屈折率を有する。典型的には、そのような不活性層は、可視波長範囲において、34nm未満の光学密度を有し、より好ましくは32nm未満の光学密度を有する。この場合、屈折率は、層の実効屈折率ではなく、それぞれの材料の文献上のバルク値に言及している。
【0048】
好ましい実施態様において、光学的に不活性な層は、半導体小板の本質的に全体を包囲し、Mo酸化物、SiO2、Al2O3、B2O3、又はこれらの混合物の層からなる。ガス発生安定性のさらなる向上のために用いられない場合には、典型的な光学的に不活性な層は、表面改質剤であり、例えば、有機官能性シラン、チタネート、アルミナート、又はジルコネート、ホスフェートエステル、ホスホネートエステル、ホスファイトエステル、アルコール、又はアミン系添加剤、及びこれらの組み合わせである。
【0049】
そのような表面改質剤は、トップコーティングとして用いられて、エフェクト顔料の、最終用途のバインダ媒体との化学的適合性が調節され、これについては例えばEP1084198A1に記載されている。これらは、単一の半導体小板顔料に直接にコーティングされてもよく、又は光学的に不活性な層に直接にコーティングされてもよい。
【0050】
表面改質剤として最も好ましいのは、有機官能性シランである。別の好ましい実施態様では、半導体小板が、第一に、SiO2の薄層でコーティングされ、次いで、適切な表面改質剤、最も好ましくは有機官能性シラン、でコーティングされる。この場合、SiO2層は、有機官能性シランの、半導体小板の表面への接着性を向上させるために、主に用いられる。
【0051】
適切な有機官能性シランは、市販されており、例えば、Evonik、ラインフェルデン、ドイツ、によって製造されており、「Dynasylan(商標)」の商品名の下で販売されている。さらなる製品を、OSi Specialties(Silquest(商標)シラン)又はWacker(Genosil(商標)シラン)から購入できる。
【0052】
適切な有機官能性シランの例は、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan MEMO)、ビニルトリ(メ)エトキシシラン(Dynasylan VTMO又はVTEO)、3-メルカプトプロピルトリ(メ)エトキシシラン(Dynasylan MTMO又は3201)、3-グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan GLYMO)、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(Siquest Y-11597)、ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Silquest A-189)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Silquest A-1289)、ビス(3-トリエトキシシリル)ジスルフィド(Silquest A-1589)、ベータ(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリ-メトキシシラン(Silquest A-186)、ガンマ-イソシアナトプロピル-トリメトキシシラン(Silquest A-Link 35、Genosil GF40)、(メタクリロイロキシメチル)トリメトキシシラン(Genosil XL 33)及び(イソシアナトメチル)トリメトキシシラン(Genosil XL43)である。
【0053】
1つの好ましい実施態様では、SiO2層を修飾(改質)する有機官能性シラン混合物が、少なくとも1つのアミノ官能性シランを含む。アミノ官能基は、バインダ中に存在する大部分の基と化学的相互作用できる官能基である。この相互作用としては、共有結合、例えば、バインダのイソシアナート又はカルボキシレート基との共有結合、又は、水素結合、例えば、OH又はCOOR基との水素結合、又はさらにはイオン性相互作用、などが挙げられうる。したがって、これは、エフェクト顔料の、種々のバインダへの化学的な付着の目的のために非常に良く適している。
【0054】
下記の化合物が、好ましくはこの目的のために用いられる:
アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan AMMO)、アミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan AMEO)、N-(2-アミノエチル)
-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノ官能性トリメトキシシラン(Silquest A-1130)、ビス(ガンマ-トリメトキシシリルプロピル)アミン(Silquest A―1170)、N-エチル-ガンマ-アミノイソブチルトリメトキシシラン(Silquest A-Link 15)、N-フェニル-ガンマ-ジアミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest Y-9669)、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシ-シラン(Silquest Y-11637)、(N-シクロヘキシルアミノメチル)-トリエトキシシラン(Genosil XL 926)、(N-フェニルアミノメチル)-トリメトキシシラン(Genosil XL 973)及びこれらの混合物。
【0055】
別の態様では、事前加水分解型及び事前縮合型の有機官能性シランを用いることができ、これについてはEP3080209B1等に記載されている。
【0056】
フレーク状のエフェクト顔料を製造する方法
フレーク状エフェクト顔料を製造する方法は、下記の工程を含む:
(a)離剤でコーティングされた柔軟な基材を提供すること、
(b)超高真空条件下で、0.1eV~2.5eVの範囲のバンドギャップを有しておりかつ下記の平均原子組成を有する半導体材料を、柔軟な基材(a)の上に蒸着すること:
(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は
(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00である、
(c)半導体フィルムを、柔軟な基材から、適切な溶媒中で剥がし、分散体中で粒子粉砕して、半導体フレークを得ること。
(d)半導体フレークを、溶媒から分離すること、並びに、
(e)随意の、さらなる工程、例えば、半導体フレークをさらなるサイズ分級に供すること、又は、半導体フレークを異なる溶媒中に分散させること、及び、さらなる表面処理工程、を行うこと。
【0057】
工程(a):この工程は、PVD金属顔料、特にはアルミニウムエフェクト顔料、の製造で知られているのと本質的に同じ様式で実行される。柔軟な基材は、通常は、ポリマーから形成されたウェブであり、最も好ましくは、PETポリマーである。離剤として、従来公知のものを用いてよい。通常は、離剤は、ポリマーであり、例えば、アクリル、メタクリル、又はポリスチロールである。離剤は、他の有機材料であってもよく、これについては、US2004/0131776A1又はUS20100062244A1等に記載されている。
【0058】
好ましい実施態様では、工程(b)を、ロールツーロール(roll-to-roll)プロセスによって行う。工程(b)において、1つの実施態様では、所定の組成の半導体アロイ(半導体合金)を、バルク材料として用いて、これを、適切な手段で蒸発させて、それぞれのガス分子を生成し、これらを、超高真空条件下で、離層でコーティングされた柔軟な基材に移す。別の態様では、所定の純度の2又は3の適切なバルク半導体材料を用い、それらの蒸気雲が基材に到達する前に、重なり合うことができるようにする。
【0059】
工程(b)は、電子ビームプロセス、マグネトロンスパッタリング、抵抗性蒸着、又は誘導加熱として行ってよい。最も好ましいものは、電子ビームプロセスによる半導体バルク材料の蒸着である。
【0060】
工程(c)、(d)、及び(e)については、同様に、公知である。
【0061】
本発明の別の実施態様は、バインダ、及び本発明のフレーク状のエフェクト顔料を含有するコーティング配合物に関する。バインダ配合物は、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、及びこれらのコポリマーであってよい。好ましくは、コーティング配合物は、自動車の基本コーティングである。
【0062】
そのようなコーティング配合物は、追加的に、他の顔料、例えば、色顔料、真珠光沢顔料、又は金属エフェクト顔料を含有してもよい。
【0063】
さらに、コーティング配合物は、溶媒又は溶媒混合物を含む。好ましくは、それらは水系コーティング配合物である。追加的に、それらは、公知技術で慣用的なように、フィラー又は添加剤を含有してよい。
【0064】
そのようなコーティング中でのエフェクト顔料体積濃度は、好ましくは、0.1~100%、より好ましくは1~20%、最も好ましくは1.5~15%である。
【0065】
さらなる態様:
顔料又はコーティング(顔料及びバインダ)に直接に帰属される特定波長での電磁減衰(attn)は、基材又は基材及びバインダの計測された電磁減衰を、基材、バインダ、及び顔料を含む完全なコーティング配合物のそれから差し引くことによって計算できる。単純化のために、attnは、ここでは、デシベル(dB)の単位で示される。輝度対減衰比は、L*15/attnとして定義され、attnは、特定の電磁周波数又は周波数範囲、例えばIR、マイクロウェーブ、及びラジオ周波数、におけるdBでの減衰である。本発明のエフェクト顔料のさらなる態様は、下記のとおりである:
態様1:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、このフレーク状の顔料は、光学活性層として、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップ及び下記の平均原子組成を有する半導体材料からなる単一の小板を含み:
(a)Si(1-x)Gex、0<x<1.00、又は
(b)Si(1-y)Sny、0<y<0.90、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0<z≦0.60、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00である、
ここで、
0.3THz~300THz(IR)の周波数範囲における減衰の、5dB未満、好ましくは4dB未満、最も好ましくは3dB未満が、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングに帰属する、コーティング配合物。
態様2:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングが、0.3THz~300THz(IR)の周波数範囲において、85超の輝度を示し、かつ15超、好ましくは25超、最も好ましくは50超の、輝度対減衰比を示す、コーティング配合物。
態様3:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、3~300GHz(マイクロウェーブ)の周波数範囲における減衰の、3dB未満、好ましくは2dB未満、最も好ましくは1dB未満が、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングに帰属される、コーティング配合物。
態様4:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングが、3~300GHz(マイクロウェーブ)の周波数範囲において、85超の輝度を示し、かつ25超、好ましくは50超、最も好ましくは100超の、輝度対減衰比を示す、コーティング配合物。
態様5:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、23~79GHz(RADAR、マイクロウェーブの一部)の周波数範囲における減衰の、3dB未満、好ましくは2dB未満、最も好ましくは1dB未満が、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングに帰属される、コーティング配合物。
態様6:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングが、23~79GHz(RADAR、マイクロウェーブの一部)の周波数範囲において、85超の輝度を示し、かつ25超、好ましくは50超、最も好ましくは100超の、輝度対減衰比を示す、コーティング配合物。
態様7:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、0.3MHz~3GHz(RF)の周波数範囲における減衰の、3dB未満、好ましくは2dB未満、最も好ましくは1dB未満が、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングに帰属する、コーティング配合物。
態様8:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、フレーク状の顔料、又はフレーク状の顔料を含むコーティングが、0.3MHz~3GHz(RF)の周波数範囲において、85超の輝度を示し、かつ25超、好ましくは50超、最も好ましくは100超の、輝度対減衰比を示す、コーティング配合物。
態様9:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、上記単一の小板半導体が、下記の平均原子組成を有する、コーティング配合物:
(a)Si(1-x)Gex、0.01<x<0.9、好ましくは0.02≦x≦0.8、又は
(b)Si(1-y)Sny、0.02≦y≦0.75、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0.02≦z≦0.5、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0.02≦m≦0.8、0.02≦n≦0.75。
態様10:フレーク状の顔料を有するコーティング配合物であって、上記単一の小板半導体が、下記の平均原子組成を有する、コーティング配合物:
(a)Si(1-x)Gex、0.05≦x≦0.65、又は
(b)Si(1-y)Sny、0.05≦y≦0.55、又は
(c)Ge(1-z)Snz、0.05≦z≦0.4、又は
(d)Si(1-m-n)GemSnn、0.05≦m≦0.65、0.05≦n≦0.55。
【実施例】
【0066】
比較例1:
市販のMetalure Liquid Black(Eckart GmbH)、これは、高いフロップ特性を有する黒色PVD金属エフェクト顔料である。
【0067】
比較例2:
市販のMetalure L-55700(Eckart GmbH)、これは、標準的なPVDアルミニウムエフェクト顔料である。
【0068】
実施例1:ケイ素-ゲルマニウム複合体
ケイ素とゲルマニウムの配合物を、離剤でコーティングされた30cm幅のクリアポリエステルフィルムの上に、eビームPVD蒸着を用いて、堆積した。eビーム源は、プロセスの間に、ウェブよりも36cm下方に配置され、条件を調節して、最終顔料に関して銀の色が得られるようにした。eビーム源加速電圧は、作動を通じて、定圧10kVで保持された。
【0069】
実施例1で得られた材料を、ポリエステルフィルムからすべて剥がし、ホモゲナイズ処理して、~19μmの粒子サイズ(D50値)とした。顔料は、プロピルグリコールメチルエーテルアセテート中における10重量%の不揮発含有量(NVM)で調製された。SEM分析を介して得られた、平均粒子厚taは、23+/-3nmである。エネルギー分散スペクトロスコピーから決定された元素ケイ素:ゲルマニウム原子比は、45:55である。
【0070】
顔料サンプルを、プロピルグリコールメチルエーテルアセテートで5%NVMに調節して、Deltron DBC500 Color Blender中における噴霧用とした。噴霧インクの配合は、目的の顔料体積濃度が約1.8~2.4%となるようにした。サンプルを、二重で適用して、ポリエステルフィルム及びABSプラスチック基材にわたる1~2コーティング内の完全被覆を得た。複数のコーティングの間に、パネルを周囲雰囲気温度で約30分間にわたって乾燥した。
【0071】
グロスデータを、BYK Micro Tri-gloss計測器を用いて得た。追加的な光学データを、BYK Mac計測器を用いて得た。光学データを、ポリエステルフィルム上で、フィルムの前面(コーティング面)及び裏面の両方で得た。フロップは、下記の慣用的な式に従って計算した:
フロップ指標=2.69x(L*15°-L*110°)1.11/L*45°
0.86
【0072】
これらの計測の結果を、下記のTable1a~dにまとめる。
【0073】
表1a~d:
実施例1のケイ素ゲルマニウムアロイエフェクト顔料から、異なるバインダ:顔料比及び異なる基材で得られた光学データ。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
実施例2:
ケイ素-ゲルマニウム顔料対バインダ比変更
ケイ素及びゲルマニウム配合物を、離剤でコーティングされた30cm幅クリアポリエステルフィルム上に、eビームPVD蒸着を用いて、堆積した。eビーム源は、プロセスの間にウェブよりも36cm下方に配置され、条件を調節して、最終顔料に関して銀の色が得られるようにした。eビーム源加速電圧は、作動を通じて、定圧10kVに保持した。
【0079】
実施例2で得た材料を、すべて、ポリエステルフィルムから剥離し、ホモゲナイズ処理して、粒子サイズ~14μm(d50値)にした。顔料を、プロピルグリコールメチルエーテルアセテート中での10重量%不揮発含有量(NVM)で調製した。SEM分析を介して得た平均粒子厚みtaは、29+/-3nmである。エネルギー分散スペクトロスコピーから決定した元素ケイ素:ゲルマニウム原子比は、47:53である。
【0080】
噴霧適用ラダーを設計し、実行した。複数の噴霧インクを配合して、DeltronDBC500 Color Blenderを用いて、算出顔料体積濃度3~61%とした。金属含有量は、すべてのインク配合物を通じて一定に保持された。サンプルは、ABSパネル基材にわたって、二重に適用された。単一のコーティングにおいてそれぞれのインクの全体を適用し、それによって、すべてのパネルにわたる均一な金属分布を維持した。それぞれのセットから選択されたパネルは、Deltron DC4000でクリアコーティングされ、追加的な60分にわたる60℃での強制乾燥に供した。複数のコーティングの間に、パネルを、周囲雰囲気温度で、約30分にわたって、乾燥した。
【0081】
グロスデータを、BYK Micro Tri-gloss計測器を用いて得た。追加的な光学データを、BYK Mac測色計を用いて得た。これらの計測の結果を、下記の表2に示す。
【0082】
表2a、b及びc:異なるバインダ:顔料比での、実施例3に関するグロス、フロップ、L*、a*、及びb*値
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
この例のエフェクト顔料は、比較的ニュートラルな色調を示し、高いフロップ値を有し、金属外観を有する魅力的なエフェクト顔料として観察される。
【0087】
バインダ/顔料比を増加すると、フロップ及びグロスの値が低減される傾向があり、なぜならばこの場合には、低減されたバインダ濃度で、システムが乾燥するとともにフレークの間に比較的少ない空間が生じる。これによって、顔料が、平坦/平行位置において、基材に対して比較的良好に方向づけされて、高い反射性が生じることが確保される。
【0088】
実施例群3:SiSn
ケイ素アロイフレークのさらなるサンプルを、アロイ材料としてゲルマニウムの代わりにスズを用いたこと以外は、実施例2に従って製造した。3つの実験を、異なる条件のもとで行い、それによって、得られるアロイフレークの組成及び厚みを種々とした。Si:Sn組成及びフレーク厚みは、種々の値であり、SEM分析で確認した。これについて表4に示す。この分析では、酸素含有量は排除した。
【0089】
【0090】
複数の噴霧インクを、表4に示されるバインダ:顔料比で、Deltron DBC500 Color Blenderを用いて配合した。金属含有量は、すべてのインク配合物を通じて一定に保持した。サンプルをABSパネル基材にわたって二重で適用した。単一のコーティングにおいてそれぞれのインクの全体を適用して、すべてのパネルにわたって均一の金属分布を維持した。それぞれのセットから選択したパネルを、Deltron DC4000でクリアコーティングし、追加的な60分にわたる60℃での強制乾燥に供した。複数のコーティングの間に、パネルを、周囲雰囲気温度で約30分にわたって乾燥した。
【0091】
グロスデータを、BYK Micro Tri-gloss計測器を用いて得た。追加的な光学データを、BYK Mac測色計を用いて得た。これらの計測の結果を、下記の表4にまとめる。比較例1(市販のMetalure Liquid Black)及び2(市販のMetalure L-55700)のデータを比較として示す。
【0092】
表4a~c:実施例3のケイ素スズアロイエフェクト顔料からの光学データ
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
表4aから、実施例は、比較例1(Metalure Liquid Black)と比較例2(標準PVDアルミニウム顔料)の間のフロップを有することが確認できる。a*値及びb*値は、小さく、本質的にニュートラルな色調を示す。視覚的に、エフェクト顔料は、銀系色調の外観を有し、強い明度フロップを有する。
【0097】
実施例4a、b:SiGe及びSiSn拡張試験
ケイ素ゲルマニウム及びケイ素スズのアロイフレークのサンプルを、実施例1~3に記載のパレメータに従って、ただしわずかに異なる組成で、製造した。実施例4で得られる材料を、それらのポリエステルフィルムから剥離し、ホモゲナイズ処理して、粒子サイズ12~15μm(d50値)とした。顔料分散体を、プロピルグリコールメチルエーテル中で10重量%不揮発含有量(NVM)で調製した。SEM/EDX分析は、それぞれSi46Ge54及びSi66Sn34のアロイ組成を明らかにした。SiGe及びSiSnアロイに関する平均粒子厚み(ta)は、それぞれ28+/-3nm及び29+/-3nmであることがわかった。この分析において、酸素含有量は、排除した。
【0098】
バインダー配合物を、43.5部のNC E1160(ドイツHagederon AG製)バインダ、イソプロピル30中、を、9重量%バインダ含有量で、ブチルアセテート85中において、26.5部のブチルアセテート、26.5部のキシリトール、0.6部のブチルジグリコール、1.6部のブチルグリコール、と混合及び攪拌し、これに、0.3部のByk358N及び1.0部のByk120を添加剤として添加した。
【0099】
複数の噴霧インクを、表5で示すバインダ:顔料比で配合した。粘度を、ブチルアセテートとキシリトールの1:1溶媒混合物を用いて調節した。噴霧インクを、ABSパネルに、ドイツOerter社からの噴霧コーティング装置APL3.3を用いて適用した。それぞれの配合物を、4回、噴霧して、それぞれのエフェクト顔料の全被覆を得た。
【0100】
レーダー透過性測定を、マイクロウェーブ放射線を用いて、76.5GHzの周波数で、計測システムとしてドイツPerisens社からのRMS‐D-77/79G装置を用いて行った。追加的な光学データを、BYK Mac測色計を用いて得た。
【0101】
噴霧パネルのレーダー減衰及び光学結果を、表5に示す。レーダーデータを、バックグラウンド補正して、非コーティング基材によって生じる損失を考慮した。
【0102】
表5a、b、c:実施例3の、比較例に対するレーダー及び光学的特徴づけ
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
ケイ素ゲルマニウム及びケイ素スズのアロイエフェクト顔料が、本質的にゼロのレーダー減衰をもたらし、一方で、いずれの金属エフェクト顔料も、大きな損失を示したことを良く把握できる。すべての適用は、エフェクト顔料の完全な隠ぺい力を有して実現された。
【0107】
全色調隠蔽での比較では、実施例4のエフェクト顔料アロイによって示される光学的フロップは、比較例1及び2のエフェクト顔料のそれと同水準である。L*15値は、典型的に明度指標とみなされるものであり、比較例1と2の間である。
【0108】
実施例5:SiGe、及びSiSn、並びに比較例3:Si
ケイ素ゲルマニウム及びケイ素スズのアロイフレークのさらなるサンプルを、実施例1~3に従って製造した。追加的な比較としてのSiのみのサンプルを、種々のケイ素厚みで製造した。Si:Ge、Si:Sn、及びSiの組成並びに平均粒子厚み(ta)を、SEM分析で確認した。これを表6に示す。酸素含有量は、この分析で排除した。
【0109】
堆積した材料を、すべて、ポリエステルフィルムから剥離し、ホモゲナイズ処理して、粒子サイズ12~15μm(d50値)とした。インクを、Eckartの社内バインダ配合物に調製し、これは、エチルアセテート及びプロピレングリコールメトキシエーテルの溶媒ブレンド中におけるHagedornH7ニトロセルロースバインダ(ドイツ・オスナブリュックのHagedorn AGから取得)から構成されていた。配合物は、1.85:1の、バインダ対金属の含有量の重量比に基づいており、1.5%の合計金属含有量を有していた。サンプルを、平坦ポリエステルフィルム上に、ワイヤ巻付ロッドを用いてドローダウンして、40μmの湿フィルム厚とした。
【0110】
グロス及び色データを、それぞれのポリエステルフィルムの裏面から、BYK Micro Tri-gloss計測器及びBYK Mac測色計をそれぞれ用いて得た。不透明度データを、X-rite341C透過濃度計を用いて、コーティングされたポリエステルフィルムに沿う6つの取得点での平均によって、得た。これらの計測の結果を、表6にまとめる。比較例1(市販のMetalure Liquid Black)及び2(市販のMetalure L-55700)のデータを、比較のために示す。
【0111】
表6a、b:実施例5及び比較例のエフェクト顔料からの光学的、厚み、及び組成のデータ
【0112】
【0113】
【0114】
表6から、実施例は、同等の厚みのケイ素のみのサンプル(比較例3)と比較して、はるかにニュートラルな色調を示すことを良く把握できる。さらに、SiSn実施例5bは、比較例2アルミニウムサンプルとほぼ同様の色ニュートラル性である。実施例のグロス値も、また、ケイ素のみのサンプル及び比較例1のいずれに対しても優れている。実施例の不透明度値も、また、ケイ素のみのサンプル及び比較例1のいずれに対しても優れている。したがって、本発明に係るケイ素ゲルマニウム及びケイ素スズのアロイの色ニュートラル性、グロス、及び範囲は、ケイ素のみのサンプルに対して優れていることが示される。
本開示は、下記の発明の態様を含む。
<態様1>
光学活性層としての単一の小板を含むフレーク状エフェクト顔料であって、この単一の小板が、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料からなり、かつ:
(a)Si
(1-x)
Ge
x
、0<x<1.00、又は
(b)Si
(1-y)
Sn
y
、0<y<0.90、又は
(c)Ge
(1-z)
Sn
z
、0<z≦0.60、又は
(d)Si
(1-m-n)
Ge
m
Sn
n
、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00、
の平均原子組成を有する、
フレーク状エフェクト顔料。
<態様2>
前記バンドギャップが、0.2~1.4eVの範囲である、態様1に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様3>
前記単一の小板半導体が:
(a)Si
(1-x)
Ge
x
、0.01<x<0.9、好ましくは0.02≦x≦0.8、又は
(b)Si
(1-y)
Sn
y
、0.02≦y≦0.75、又は
(c)Ge
(1-z)
Sn
z
、0.02≦z≦0.5、又は
(d)Si
(1-m-n)
Ge
m
Sn
n
、0.02≦m≦0.8、0.02≦n<0.75
の平均原子組成を有する、態様1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様4>
前記単一の小板半導体が:
(a)Si
(1-x)
Ge
x
、0.05≦x≦0.65、又は
(b)Si
(1-y)
Sn
y
、0.05≦y≦0.55、又は
(c)Ge
(1-z)
Sn
z
、0.05≦z≦0.4、又は
(d)Si
(1-m-n)
Ge
m
Sn
n
、0.05≦m≦0.65、0.05≦n<0.55
の平均原子組成を有する、態様1~3のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様5>
前記単一の半導体小板の平均厚みt
a
が、5~160nmの範囲である、態様1~4のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様6>
前記エフェクト顔料が、15~40nmの範囲の前記単一の半導体小板の平均厚みt
a
を有し、銀色の外観を有する、態様1~5のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様7>
前記エフェクト顔料が、40超~160nmの範囲の前記単一の半導体小板の平均厚みt
a
を有し、色付いた外観を有する、態様1~6のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様8>
粒子サイズ分布のd
50
が、2~100μmである、態様1~7のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様9>
アスペクト比d
50
/t
a
が、30~2000の範囲である、態様1~8のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様10>
前記単一の半導体小板が、透過性で光学的に活性でないn<1.8の屈折率を有する金属酸化物、好ましくはSiO
2
、でコーティングであり又は包囲されている、態様1~9のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様11>
前記エフェクト顔料が、表面改質剤、例えば、有機官能性シラン、チタネート、アルミネート又はジルコネート、ホスフェートエステル、ホスホネートエステル、ホスファイトエステル、及びこれらの組み合わせ、でさらにコーティングされている、態様1~10のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料。
<態様12>
態様1~11のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料の製造方法であって、
(a)離剤でコーティングされた柔軟な基材を提供すること、
(b)0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料を、前記柔軟な基材(a)に、超高真空条件下で蒸着すること、
(c)前記半導体フィルムを、前記柔軟な基材から、適切な溶媒中で剥離し、分散体中で粒子粉砕して、半導体フレークを得ること、
(d)前記半導体フレークを、前記溶媒から分離すること、並びに、
(e)随意に、さらなる工程、例えば、前記半導体フレークをさらにサイズ分級すること又は前記半導体フレークを異なる溶媒中に分散させること、及びさらなる表面処理工程、を行うこと
の工程を含む、方法。
<態様13>
工程(b)を、ロールツーロールプロセスによって行う、態様12に記載の、フレーク状エフェクト顔料の製造方法。
<態様14>
工程(b)を、電子ビームプロセスで行う、態様12又は13に記載の、フレーク状エフェクト顔料の製造方法。
<態様15>
バインダ、及び態様1~11のいずれか一項に記載のフレーク状エフェクト顔料を含む、コーティングシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
唯一の光学活性層としての単一の小板を含むフレーク状エフェクト顔料であって、この単一の小板が、0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料からなり、
この単一の半導体小板の平均厚みt
a
が、5~160nmの範囲であり、
かつ:
(a)Si
(1-x)Ge
x、0<x<1.00、又は
(b)Si
(1-y)Sn
y、0<y<0.90、又は
(c)Ge
(1-z)Sn
z、0<z≦0.60、又は
(d)Si
(1-m-n)Ge
mSn
n、0<m<1.00、0<n<1.00、
ただしx<1.00;y<1.00、z<1.00かつm+n<1.00、
の平均原子組成を有する、
フレーク状エフェクト顔料。
【請求項2】
前記バンドギャップが、0.2~1.4eVの範囲である、請求項1に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項3】
前記単一の小板半導体が:
(a)Si
(1-x)Ge
x、0.01<x<0.9、好ましくは0.02≦x≦0.8、又は
(b)Si
(1-y)Sn
y、0.02≦y≦0.75、又は
(c)Ge
(1-z)Sn
z、0.02≦z≦0.5、又は
(d)Si
(1-m-n)Ge
mSn
n、0.02≦m≦0.8、0.02≦n<0.75
の平均原子組成を有する、請求項1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項4】
前記単一の小板半導体が:
(a)Si
(1-x)Ge
x、0.05≦x≦0.65、又は
(b)Si
(1-y)Sn
y、0.05≦y≦0.55、又は
(c)Ge
(1-z)Sn
z、0.05≦z≦0.4、又は
(d)Si
(1-m-n)Ge
mSn
n、0.05≦m≦0.65、0.05≦n<0.55
の平均原子組成を有する、請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項5】
前記エフェクト顔料が、15~40nmの範囲の前記単一の半導体小板の平均厚みt
aを有し、銀色の外観を有する、請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項6】
前記エフェクト顔料が、40超~160nmの範囲の前記単一の半導体小板の平均厚みt
aを有し、色付いた外観を有する、請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項7】
粒子サイズ分布のd
50が、2~100μmである、請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項8】
アスペクト比d
50/t
aが、30~2000の範囲である、請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項9】
前記単一の半導体小板が、透過性で光学的に活性でないn<1.8の屈折率を有する金属酸化物、好ましくはSiO
2、でコーティング
されており又は包囲されている、請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項10】
前記エフェクト顔料が、表面改質剤、例えば、有機官能性シラン、チタネート、アルミネート又はジルコネート、ホスフェートエステル、ホスホネートエステル、ホスファイトエステル、及びこれらの組み合わせ、でさらにコーティングされている、請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料。
【請求項11】
請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料の製造方法であって、
(a)離剤でコーティングされた柔軟な基材を提供すること、
(b)0.1~2.5eVの範囲のバンドギャップを有する半導体材料を、前記柔軟な基材(a)に、超高真空条件下で蒸着すること、
(c)前記半導体フィルムを、前記柔軟な基材から、適切な溶媒中で剥離し、分散体中で粒子粉砕して、半導体フレークを得ること、
(d)前記半導体フレークを、前記溶媒から分離すること、並びに、
(e)随意に、さらなる工程、例えば、前記半導体フレークをさらにサイズ分級すること又は前記半導体フレークを異なる溶媒中に分散させること、及びさらなる表面処理工程、を行うこと
の工程を含む、方法。
【請求項12】
工程(b)を、ロールツーロールプロセスによって行う、請求項
11に記載の、フレーク状エフェクト顔料の製造方法。
【請求項13】
工程(b)を、電子ビームプロセスで行う、請求項
11に記載の、フレーク状エフェクト顔料の製造方法。
【請求項14】
バインダ、及び請求項
1又は2に記載のフレーク状エフェクト顔料を含む、コーティング
配合物。
【国際調査報告】