(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】磁気共鳴画像を取得するための磁気共鳴撮像デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20241018BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61B5/055 355
A61B5/055 350
G01N24/00 580H
G01N24/00 580Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525895
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 FR2022052002
(87)【国際公開番号】W WO2023073311
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524160981
【氏名又は名称】マルチウェーブ テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルク デュボワ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンフランコ アンディア ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー コスカー
(72)【発明者】
【氏名】トリフォン アントナカキス
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB07
4C096AD10
4C096CC15
4C096CC37
(57)【要約】
本発明は、無線周波数信号を送信及び受信するように構成された無線周波数アセンブリ(7)を備える磁気共鳴撮像デバイス(1)であって、無線周波数アセンブリは、固有帯域幅及び固有共振周波数を特徴とし、かつ無線周波数信号を送信及び受信するように意図されている無線周波数コイル(8)と、無線周波数コイル(8)に関連付けられ、かつ無線周波数アセンブリの等価インピーダンスを所与のインピーダンスレンジ内で調整することを可能にするように構成されている同調可能回路(9)であって、等価インピーダンスの調整は、無線周波数アセンブリ(7)の調整周波数と称される共振周波数及び調整帯域幅と称される帯域幅を調整することを可能にし、調整周波数及び調整帯域は各々、無線周波数アセンブリ(7)が無線周波数コイル(8)単独の品質係数よりも高い品質係数を有するように固有帯域幅に含まれる、同調可能回路(9)と、を備える、磁気共鳴撮像デバイス(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数信号を送信及び受信するように構成された無線周波数アセンブリ(7)を備える磁気共鳴撮像デバイス(1)であって、
前記無線周波数アセンブリは、
-ボア(3)を画定する磁石(2)と、
-前記ボア(3)内に配置された無線周波数コイル(8)であって、前記無線周波数コイル(8)の内部は、前記磁石(2)が静磁場を課す分析ゾーンと呼ばれるゾーンを形成し、前記無線周波数コイルは、固有帯域幅及び固有共振周波に関して特徴付けられ、無線周波数信号を送信及び受信するように意図されている、無線周波数コイル(8)と、
-前記無線周波数コイル(8)に関連付けられ、所与のインピーダンスレンジ内で前記無線周波数アセンブリの等価インピーダンスを調整することを可能にするように構成された同調可能回路(9)であって、前記等価インピーダンスの調整は、前記無線周波数アセンブリ(7)の動作周波数と呼ばれる周波数レンジ内で、調整周波数と称される前記共振周波数を調整することを可能にし、前記動作周波数の範囲は、前記固有帯域幅の範囲よりも大きい、同調可能回路(9)と、
-前記撮像デバイスによる画像の取得中に、前記等価インピーダンスを動的に調整するように前記同調可能回路に命令するように構成された調整手段(9A)と、
-無線周波数処理手段であって、前記無線周波数処理手段は、前記無線周波数コイル(8)が受信することが可能な無線周波数信号を処理するように適合されている、無線周波数処理手段と、
-前記分析ゾーンの位置の各々を空間的に符号化するように意図された勾配コイル(6)であって、前記空間符号化は、前記静磁場と組み合わせて、前記位置の各々と、前記位置に位置決めされる可能性が高い水素原子核のスピンに対する自然周波数と呼ばれる共振周波数とを関連付けるように意図されている、勾配コイル(6)と、を備える、磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項2】
前記調整手段(9A)は、ラーモア周波数と呼ばれる所与の周波数での無線周波数送信と、前記調整周波数が動作レンジの中で動的に同調される無線周波数信号の受信とを可能にするように構成されている、請求項1に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項3】
前記無線周波数コイル(8)は、メインセグメント化コンデンサと呼ばれる、コンデンサを備える、請求項1又は2に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項4】
前記同調可能回路(9)は、L字型トポロジに従って配置された少なくとも2つの構成要素を備えており、前記少なくとも2つの構成要素は、前記同調可能回路において互いに組み合わされてリアクタンスを生成し、これら2つの構成要素のうちの一方及び/又は他方は、前記無線周波数アセンブリの前記等価インピーダンスの調整を可能にするように同調可能であり、有利には、前記2つの構成要素は、2つのコンデンサ、又は2つのインダクタ、又は1つのコンデンサ及び1つのインダクタを含む、請求項1又は3に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項5】
前記同調可能回路(9)は、2つの入力部及び2つの出力部を備え、それぞれ第1の入力部及び第2の入力部と呼ばれる前記2つの入力部は、電流パルスの生成器によって電力供給されるように意図され、それぞれ第1の出力部及び第2の出力部と呼ばれる前記2つの出力部は各々、前記無線周波数コイル(8)の前記端部のうちの1つに接続されている、請求項4に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項6】
前記無線周波数アセンブリ(7)は、前記第1の入力部及び前記第2の入力部それぞれのレベルに並列に接続された2つの分岐、すなわち、第1の分岐及び第2の分岐をそれぞれ備え、前記第1の分岐は、直列に接続された、前記無線周波数コイル(8)及び前記2つの構成要素のうちの一方を備え、前記第2の分岐は、前記2つの構成要素のうちの他方を備える、請求項5に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項7】
前記無線周波数アセンブリ(7)は、無線周波数パルス生成手段(10)を更に備え、前記無線周波数パルス生成手段(10)は、前記同調可能回路(9)を介して、前記無線周波数コイル(8)における電流パルスの循環を課すように適合されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項8】
前記磁石は、永久磁石であり、有利には、前記永久磁石は、100mT未満、更により有利には50mT未満の静磁場を生成することが可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項9】
前記デバイスはまた、前記分析ゾーンの前記位置の各々を空間的に符号化するように意図された勾配コイル(6)を備え、前記空間符号化は、前記静磁場と組み合わせて、前記位置の各々と、前記位置に位置決めされる可能性が高い水素原子核のスピンに対する前記自然周波数と呼ばれる共振周波数を関連付けるように意図される、請求項8に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項10】
前記調整周波数は、前記等価インピーダンスを調整することにより、前記分析ゾーンの前記位置の各々に存在する可能性が高い前記水素原子核スピンの前記自然周波数の全てをカバーすることができる、請求項9に記載の磁気共鳴撮像デバイス(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の撮像デバイス(1)を用いて磁気共鳴画像を取得するための方法であって、前記方法は、
a)前記無線周波数コイル内に配設された身体を前記静磁場に曝すことと、
b)前記勾配コイルを用いて前記身体に空間符号化を課すことであって、前記勾配コイルは、前記身体の前記位置の各々と、前記水素原子核の前記スピンの自然周波数と呼ばれる共振周波数を関連付けるために、合成磁場を形成するように前記静磁場に加えられる勾配磁場に前記身体を曝し、前記自然周波数の全ては、前記動作レンジにわたって広がる、課すことと、
c)前記勾配コイルによる空間符号化を受ける前記身体の全ての位置にわたって、前記水素原子核スピンを励起するように、前記無線周波数コイルを用いて無線周波数信号を送信することと、
d)前記勾配コイルによる前記空間符号化を受ける前記身体の前記位置のうちの少なくともいくつかによって放出される水素原子核スピンのエコーを測定することであって、前記測定は、前記同調可能回路及び前記無線周波数コイルによって形成される前記アセンブリの前記等価インピーダンスの動的調整を含む、測定することと、を含む、磁気共鳴画像を取得するための方法。
【請求項12】
前記勾配コイルによって課される前記空間符号化は、前記合成磁場に関して、動作スライスと呼ばれるスライスへの分解によって反映され、前記動作スライス自体は、相互に平行な動作ラインに細分化され、前記動作ラインに沿って前記合成磁場が変化する、請求項11に記載の磁気共鳴画像を取得するための方法。
【請求項13】
前記スピンエコーの前記測定は、一度に1つの動作ラインで実施される、請求項12に記載の磁気共鳴画像を取得するための方法。
【請求項14】
動作ラインに沿って測定される可能性が高い前記スピンエコーは、前記無線周波数コイルの帯域幅よりも広い範囲の周波数レンジをカバーし、動作ラインに沿った前記測定は、前記動作ラインに関連付けられる前記スピンエコーの全てを収集するように、前記同調可能回路及び前記無線周波数コイルによって形成される前記アセンブリの前記等価インピーダンスを動的に調整することによって実行される、請求項13に記載の磁気共鳴画像を取得するための方法。
【請求項15】
1つのラインの前記スピンエコーに関連付けられる前記周波数レンジは、前記無線周波数コイルの前記固有帯域幅よりも少なくとも5倍大きい、有利には10倍大きい範囲である、請求項14に記載の磁気共鳴画像を取得するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴撮像の分野に関する。より詳細には、本発明は、磁気共鳴撮像装置に関し、具体的には、送信/受信無線周波数コイルを装備する無線周波数アセンブリが設けられた磁気共鳴撮像装置に関する。より詳細には、本発明による無線周波数アセンブリはまた、狭帯域幅を有する無線周波数コイルと、当該コイルの帯域幅よりも更に広がる動作周波数のレンジにおいて無線周波数アセンブリの共振周波数を調整するための手段と、が設けられる。このように提案される構成は、比較的小さな静磁場が考慮されなければならない場合に、画像の品質を改善することを可能にする。
【0002】
本発明は、携帯型磁気共鳴撮像デバイスを考慮する場合に特に有利である。
【背景技術】
【0003】
磁気共鳴撮像(Magnetic resonance imaging、MRI)は、身体、具体的には人体の内部を非侵襲的に撮像するために現在広く使用されている。具体的には、磁気共鳴撮像は、検査される身体の一部を形成する水分子の水素原子核、具体的にはそれらの核スピンを探査することを可能にする。
【0004】
この点において、MRI装置は、身体に静磁場(「主磁場」と呼ばれる)を課すように意図された磁石が設けられ、静磁場の影響下で、この身体の一部を形成する水分子に含まれる水素原子核に関連付けられる核スピンが偏極する。
【0005】
具体的には、これらのスピンに関連付けられる磁気モーメントは、身体の磁化を生み出すように主磁場の向きによって決定されるz軸と呼ばれる軸に沿って優先的に整列される。
【0006】
MRI装置は、また、電流が印加されるときに小振幅で空間的に変化する磁場を生じさせるように構成された勾配コイルを備える。より詳細には、勾配コイルは、主磁場に平行に整列され、軸x、y又はz(軸x、y及びzの各対は垂直である)のうちの1つに沿った位置とともに振幅が線形に変化する磁場成分を生じさせるように設計される。
【0007】
このように、勾配コイルによって課される磁場の組み合わされた効果は、探査されることが意図される身体の位置の各々を空間的に符号化することを可能にする。
【0008】
MRI装置は、また、無線周波数(radiofrequency、RF)送受信機として機能するように意図された少なくとも1つのRFコイルを備える。具体的には、少なくとも1つの無線周波数コイルは、水素原子核スピンの共振周波数に等しいか又は近い周波数のRFエネルギーパルスを放出するように構成され、RFエネルギーパルスは、これらの原子核によって少なくとも部分的に吸収される。
【0009】
RF放出が中断されるとすぐに、核スピンは、それらの初期エネルギー状態に戻るために緩和し、次に、少なくとも1つのRFコイルによって収集されることが可能なRF信号を放出する。次いで、このRF信号は、身体の画像を得るために、コンピュータ及び再構成アルゴリズムを使用して処理される。
【0010】
一般的に、1.5テスラ~3テスラの間に含まれる主磁場は、比較的妥当な信号対ノイズ比を達成することを可能にし、その結果、十分な品質の人体の画像を1分以上のオーダーの持続時間にわたって形成することを可能にする。
【0011】
しかしながら、そのような強度の主磁場を実装することが不可能な状況がある。携帯型MRI装置は、その一例である。後者は、一般に、限られた能力の永久磁石又は電磁石を含み、考慮されるMRI装置の質量又は容積に悪影響を及ぼすことなく、60mTよりも大きい、又は更に200mTよりも大きい強度を有する主磁場を課すことができない。
【0012】
主磁場強度に関するこの制限は、MRI装置の性能に直接影響を及ぼす。具体的には、そのようなMRIデバイスを用いて得られる画像の品質は、好ましくない信号対ノイズ比によって著しく劣化する場合がある。この好ましくない信号対ノイズ比は、部分的に、組織に存在する磁化の著しい減少を反映する。
【0013】
本発明の1つの目的は、信号対ノイズ比を改善し、結果として画像の品質を改善することを可能にする無線周波数アセンブリが設けられた、有利には低い強度の主磁場を実装する、磁気共鳴撮像デバイスを提案することである。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、無線周波数信号を送信及び受信するように構成された無線周波数アセンブリを備える磁気共鳴撮像デバイスであって、本アセンブリは、
-無線周波数コイルであって、固有帯域幅及び固有共振周波数を特徴とし、かつ無線周波数信号を送信及び受信するように意図されている、無線周波数コイルと、
-無線周波数コイルに関連付けられ、所与のインピーダンスレンジ内で無線周波数アセンブリの等価インピーダンスを調整することを可能にするように構成された同調可能回路であって、等価インピーダンスの調整は、無線周波数アセンブリの動作周波数と呼ばれる周波数レンジ内で、調整周波数と呼ばれる共振周波数を調整することを可能にし、動作周波数の範囲は、固有帯域幅の範囲よりも大きい、同調可能回路と、
-撮像デバイスによる画像の取得中に、等価インピーダンスを動的に調整するように同調可能回路に命令するように構成された調整手段と、を備える、磁気共鳴撮像デバイスに関する。
【0015】
一実施形態によれば、調整手段(9A)は、ラーモア周波数と呼ばれる所与の周波数での無線周波数送信と、調整周波数が動作レンジの中で動的に同調される無線周波数信号の受信とを可能にするように構成されている。
【0016】
一実施形態によれば、無線周波数コイルは、メインセグメント化コンデンサと呼ばれる、コンデンサを備える。
【0017】
一実施形態によれば、同調可能回路は、L字型トポロジに従って配置された少なくとも2つの構成要素を備え、少なくとも2つの構成要素は、同調可能回路において互いに組み合わされてリアクタンスを生成し、これら2つの構成要素のうちの一方及び/又は他方は、無線周波数アセンブリの等価インピーダンスの調整を可能にするように同調可能であり、有利には、2つの構成要素は、2つのコンデンサ、又は2つのインダクタ、又は1つのコンデンサ及び1つのインダクタを含む。
【0018】
一実施形態によれば、同調可能回路は、2つの入力部及び2つの出力部を備え、それぞれ第1の入力部及び第2の入力部と呼ばれる2つの入力部は、電流パルスの生成器によって電力供給されるように意図され、それぞれ第1の出力部及び第2の出力部と呼ばれる2つの出力部は各々、無線周波数コイルの端部のうちの1つに接続されている。
【0019】
一実施形態によれば、無線周波数アセンブリは、それぞれ、第1の入力部及び第2の入力部それぞれのレベルに並列に接続された2つの分岐、すなわち、第1の分岐及び第2の分岐をそれぞれ備え、第1の分岐は、直列に接続された、無線周波数コイル及び2つの構成要素のうちの一方を備え、第2の分岐は、2つの構成要素のうちの他方を備える。
【0020】
一実施形態によれば、無線周波数アセンブリは、無線周波数パルスを生成するための手段を更に備え、無線周波数パルスを生成するための手段は、同調可能回路を介して、無線周波数コイルにおける電流パルスの循環を課すように適合されている。
【0021】
一実施形態によれば、当該撮像デバイスは無線周波数処理手段を備え、無線周波数処理手段は、無線周波数コイルが受信することが可能な無線周波数信号を処理するように構成されている。
【0022】
一実施形態によれば、当該撮像デバイスは、無線周波数コイルが配置されるボアを画定する磁石を備え、無線周波数コイルの内部は、分析ゾーンと呼ばれるゾーンを形成し、磁石は、静磁場を課す。
【0023】
一実施形態によれば、磁石は、永久磁石であり、有利には、永久磁石は、100mT未満、更により有利には50mT未満の静磁場を生成することが可能である。
【0024】
一実施形態によれば、当該デバイスは、分析ゾーンの位置の各々を空間的に符号化するように意図された勾配コイルも備え、空間符号化は、静磁場と組み合わせて、位置の各々と、当該位置に位置決めされる可能性が高い水素原子核のスピンに対する自然周波数と呼ばれる共振周波数を関連付けるように意図される。
【0025】
一実施形態によれば、調整周波数は、等価インピーダンスを調整することにより、分析ゾーンの位置の各々に存在する可能性が高い水素原子核スピンの自然周波数の全てをカバーすることができる。
【0026】
本発明はまた、本発明の撮像デバイスを用いて、磁気共鳴によって身体の画像を取得するための方法であって、本方法は、以下のステップ、
a)無線周波数コイル内に配設された身体を静磁場に曝すことと、
b)勾配コイルを用いて身体に空間符号化を課すことであって、勾配コイルは、身体の位置の各々と、水素原子核のスピンの自然周波数と呼ばれる共振周波数を関連付けるために、合成磁場を形成するように静磁場に加えられる勾配磁場に身体を曝し、自然周波数の全ては、動作レンジにわたって広がる、課すことと、
c)勾配コイルによる空間符号化を受ける身体の全ての位置にわたって、水素原子核スピンを励起するように、無線周波数コイルを用いて無線周波数信号を送信することと、
d)勾配コイルによる空間符号化を受ける身体の位置のうちの少なくともいくつかによって放出される水素原子核スピンのエコーを測定することであって、測定は、同調可能回路及び無線周波数コイルによって形成されるアセンブリの等価インピーダンスの動的調整を含む、測定することと、を含む方法に関する。
【0027】
一実施形態によれば、勾配コイルによって課される空間符号化は、合成磁場に関して、動作スライスと呼ばれるスライスへの分解によって反映され、動作スライス自体は、相互に平行な動作ラインに細分され、動作ラインに沿って合成磁場が変化する。
【0028】
一実施形態によれば、スピンエコーの測定は、一度に1つの動作ラインで実施される。
【0029】
一実施形態によれば、動作ラインに沿って測定される可能性が高いスピンエコーは、無線周波数コイルの帯域幅よりも広い範囲の周波数レンジをカバーし、動作ラインに沿った測定は、当該動作ラインに関連付けられるスピンエコーの全てを収集するように、同調可能回路及び無線周波数コイルによって形成されるアセンブリの等価インピーダンスを動的に調整することによって実行される。
【0030】
一実施形態によれば、1つのラインのスピンエコーに関連付けられる周波数レンジは、無線周波数コイルの固有帯域幅よりも少なくとも5倍大きい、有利には10倍大きい範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる詳細な記載から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、磁気共鳴撮像デバイスの分解図による概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の観点による無線周波数アセンブリの概略図である。
【
図3】
図3は、無線周波数コイルを備えた、本発明の観点による、無線周波数アセンブリの応答のグラフ表示であり、
図3は、具体的には、30kHzの動作レンジ(水平軸はMHz単位の周波数を表す)における共振周波数の異なる調整に対するアセンブリの特性(すなわち、垂直軸上のdB単位の反射係数)を表し、より詳細には、
図3は、同調可能回路の4つの異なる設定(曲線「A」、「B」、「C」、及び「D」)に対する4つの強度プロファイルを示す図である。
【
図4】
図4は、第1の分岐が無線周波数コイルとコンデンサC1との直列接続によって形成され、第2の分岐がインダクタL1によって形成される無線周波数アセンブリを示す図である。
【
図5】
図5は、第1の分岐が無線周波数コイル及びインダクタL1の直列接続によって形成され、第2の分岐がコンデンサC1によって形成される無線周波数アセンブリを示す図である。
【
図6】
図6は、第1の分岐が無線周波数コイルとコンデンサC2との直列接続によって形成され、第2の分岐がコンデンサC1によって形成される無線周波数アセンブリを示す図である。
【
図7】
図7は、得られた画像に対する無線周波数コイルの品質係数の影響を示し、画像(1)及び画像(2)は、それぞれ標準品質係数及び高品質係数(標準品質係数よりも大きい)を有する無線周波数コイルを備える撮像デバイスを用いて得られる図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、無線周波数信号を送信及び受信するように構成された無線周波数アセンブリを備える磁気共鳴撮像デバイスに関する。
【0033】
具体的には、無線周波数アセンブリは、無線周波数コイルであって、固有帯域幅及び固有共振周波数を特徴とし、かつ無線周波数信号を送信及び受信するように意図されている、無線周波数コイルを備える。
【0034】
無線周波数アセンブリはまた、無線周波数コイルに関連付けられ、無線周波数アセンブリの等価インピーダンスを所与のインピーダンスレンジ内に調整することを可能にするように構成された同調可能回路であって、等価インピーダンスの調整は、無線周波数アセンブリの動作レンジと呼ばれる周波数レンジ内で、調整周波数と呼ばれる共振周波数を調整することを可能にする、同調可能回路を備える。この点において、動作レンジの範囲は、固有帯域幅の範囲よりも大きい。
【0035】
無線周波数アセンブリは、撮像デバイスによる画像の取得中に、等価インピーダンスを動的に調整するように同調可能回路に命令するように構成された調整手段を更に備える。
【0036】
同調可能回路と調整手段とを関連付けることにより、動作レンジよりも狭い帯域幅を有する無線周波数コイルを考慮することが可能になる。この後者の考慮は、より詳細には、その品質係数が通常考慮されるコイルの品質係数よりも大きく、かつ少なくとも動作レンジをカバーする帯域幅を有することが一般に必要とされる無線周波数コイルを実装することを可能にする。このように、本発明の原理は、磁気共鳴撮像デバイスによって得られる画像の品質を改善することを可能にし、低振幅、具体的には100mテスラ未満、又は更に50mテスラ未満の主磁場の実装を想定することを可能にする。主磁場に関するこれらの条件によれば、無線周波数コイルの品質係数は、有利には90~120である(当該コイルの品質係数は、コイルの帯域幅に対するコイルの共振周波数の比として定義される)。
【0037】
このように、
図1は、本発明による磁気共鳴撮像デバイス1の概略図である。
【0038】
撮像デバイス1は、磁石、具体的には永久磁石2を備える。永久磁石2は、具体的には伸長軸zに沿って延在し得る。
【0039】
より詳細には、永久磁石2は、伸長軸zに沿って互いに対向する第1の開口部4及び第2の開口部5を通って開口するボア3を画定する。
【0040】
この点において、永久磁石2は、伸長軸zに沿って第1の開口部4を通してボア3内への身体、より詳細には人体の挿入を可能にするように配置される。
【0041】
永久磁石2は、より詳細には、ボア3の分析ゾーンと呼ばれるゾーンにおいて、伸長軸zに垂直な軸に沿って配向された静磁場を課すように構成される。
【0042】
この点において、永久磁石2は、基本磁石のアセンブリを備えてもよく、具体的には、一連のハルバッハリングに配置されてもよい。文献欧州特許第3368914(B1)号明細書は、その実施例を示している。しかしながら、本発明は、本明細書に記載の構成のみに限定されるものではない。
【0043】
実施例として、永久磁石2は、100mT未満、有利には65mT未満、更に有利には50mT以下の振幅を有する静磁場を課すように構成される。
【0044】
撮像システム1はまた、一組の勾配コイル6を備える。勾配コイル6は、詳細には、電流が印加されると、小振幅の磁場を生じさせ、かつ空間的に変化するように構成されている。
【0045】
より詳細には、勾配コイル6は、静磁場に平行に整列され、軸x、y又はz(軸x、y及びzは直交基準座標系を形成する)のうちの1つに沿った位置とともに振幅が線形に変化する磁場成分を生じさせるように設計される。
【0046】
このように、勾配コイル6によって課される磁場の組み合わされた効果は、ボア3の中に存在し、かつ探査されることが意図される身体から来る信号を空間的に符号化することを可能にする。空間符号化は、具体的には、探査されることが意図される身体の中に含まれ、かつ分析ゾーンに存在する水素原子核の核スピンの共鳴エネルギーの変化によって明らかにされる。換言すれば、水素原子核の核スピンは、位置ごとに異なる磁場を受ける。
【0047】
撮像システム1は、無線周波数アセンブリ7を更に備える。
【0048】
図2に示すように、無線周波数アセンブリ7は、無線周波数コイル8を備える。無線周波数コイル8は、具体的にはボア3の中に配置され、少なくとも部分的に分析ゾーンを画定する。無線周波数コイル8は、探査されることが意図される身体を収容するように更に構成されている。
【0049】
無線周波数コイル8はまた、メインセグメント化コンデンサと呼ばれるコンデンサを備え得る。
【0050】
無線周波数コイル8は、固有共振周波数fi及び固有帯域幅Δfiによって特徴付けられる。この点において、これらの2つの特性は、無線周波数コイルの品質係数Qiを定量化することを可能にする。この品質係数Qiは、具体的には、固有帯域幅Δfiに対する固有共振周波数fiの比に対応する。
【0051】
本発明による無線周波数アセンブリ7は、同調可能回路9を更に備える。
【0052】
より詳細には、同調可能回路9は、無線周波数コイル8に関連付けられており、かつ所与のインピーダンスレンジ内で無線周波数アセンブリの等価インピーダンスの調整を可能にするように構成されている。
【0053】
本発明の観点による同調可能回路は、それに課せられる条件の関数として可変インピーダンスを有することが理解される。例えば、この態様は、本開示の残りの部分においてより明らかになるが、同調可能回路は、インピーダンスを調整及び/又は設定することができる電子構成要素を備え得る。
【0054】
具体的には、等価インピーダンスの調整は、無線周波数アセンブリ7の、動作レンジと呼ばれる周波数レンジにおいて、調整周波数と呼ばれる共振周波数を調整することを可能にする。
【0055】
具体的には、動作レンジの範囲は固有帯域幅範囲よりも大きい。
【0056】
最後に、撮像デバイスは、撮像デバイスによる画像の取得中に等価インピーダンスを動的に調整するように同調可能回路に命令するように構成された調整手段9Aを更に備える。
【0057】
調整手段9Aは、当該撮像デバイスによる画像の取得中に同調可能回路が等価インピーダンスを動的に調整するためのコマンドを実装することができる任意のデジタルデバイスを備え得る。
【0058】
同調可能回路9及び調整手段9Aの実装は、比較的高い品質係数を有し、より詳細には動作レンジよりもはるかに低い帯域幅に関連付けられる無線周波数コイルを考慮することを可能にする。この点において、無線周波数コイル8は、本発明の観点によれば、15kHz未満、有利には10kHz未満の帯域幅を有し得る。
【0059】
図3は、無線周波数アセンブリ7の共振周波数の調整を示すグラフである。図示の実施例では、無線周波数コイル8は、動作レンジよりもはるかに低い固有帯域幅を有しており、それは、約30kHzである。曲線「A」、「B」、「C」、及び「D」は、同調可能回路の4つの異なるインピーダンス調整に対する無線周波数アセンブリの、無線周波数コイルにおける共振プロファイルを表す。より詳細には、これら4つのプロファイルの各々は、動作レンジによって画定される間隔内に共振周波数を有する。アセンブリのインピーダンスを連続的に変化させることにより、動作レンジに含まれる周波数の全てをカバーすることが可能になることが理解される。
【0060】
このように、動作中、身体は無線周波数コイル8の内側に導入される。次いで、この身体は、磁石2によって生成される静磁場と勾配コイル6によって生成される勾配磁場との和から生じる磁場を受ける。
【0061】
基準座標系(x、y、z)によって定義される座標x、y、及びzの関数として可変である合成磁場は、具体的には、探査されることが意図される身体の位置(x、y、z)の各々から来る信号を空間的に符号化することを可能にし、それによって、これらの位置の各々に特定の合成磁場を課すことを可能にする。所与の位置における合成磁場は、この点において、当該合成磁場を受ける水素原子核のスピンの共振周波数を決定する。換言すれば、空間符号化は、位置の各々と、当該位置における水素原子核のスピンの自然周波数と呼ばれる共振周波数とを関連付けることを可能にする。空間符号化は、合成磁場に関して、動作スライスと呼ばれる「スライス」(軸zに対して垂直な)への分解によって反映され、当該動作スライス自体は、動作ラインと呼ばれる互いに平行なラインに分解され、ラインに沿って合成磁場が有利には線形に変化することが理解される。このように、各動作ラインは、当該動作ラインに属する水素原子核のスピンの全ての共振周波数をカバーする、動作レンジと呼ばれる自然周波数のレンジを画定する。
【0062】
測定中、無線周波数アセンブリ7は、具体的には、所与の動作ラインに対応する水素コアのラーモア周波数と呼ばれる所与の周波数で無線周波数信号を送信するように調整される。次いで、この調整に続いて、対象の動作ラインの全ての水素原子核に対して吸収されるように、当該ラーモア周波数での放出が行われる。
【0063】
RF送信が中断されるとすぐに、対象の動作ラインの核スピンは、それらの初期エネルギー状態に戻るために緩和し、次に、無線周波数コイル8によって収集されることが可能なRF信号を放出する。これらの全ての信号を収集するために、調整手段9Aは、対象の動作ラインの動作レンジにおいて無線周波数アセンブリの共振周波数の動的変化を課す。
【0064】
次いで、このプロセスは、動作ラインの各々を探査するために必要な回数だけ繰り返され得る。
【0065】
このように、本発明の観点による無線周波数アセンブリ7は、対象の動作レンジよりも低い帯域幅を有する無線周波数コイルを考慮しながら、広い周波数レンジをカバーすることを可能にする。換言すれば、共振周波数の動的調整は、はるかに大きい帯域幅に関連付けられる、具体的には動作レンジを含むコイルの品質係数よりも大きい品質係数を有する無線周波数コイルを考慮することを可能にする。
【0066】
一実施形態によれば、同調可能回路9は、L字型トポロジに従って配置された少なくとも2つの構成要素を備え得、少なくとも2つの構成要素は、同調可能回路内で互いに組み合わされてリアクタンスを生成し、これらの2つの構成要素の一方及び/又は他方は、無線周波数アセンブリの等価インピーダンスの調整を可能にするように同調可能である。
【0067】
有利には、2つの構成要素は、2つのコンデンサ、又は2つのインダクタ、又は1つのコンデンサ及び1つのインダクタを含む。
【0068】
本開示の残りの部分は、コンデンサCl及びインダクタL1によって形成される同調可能回路に限定される。しかしながら、当業者は、2つのインダクタ又は2つのコンデンサのいずれかによって形成される同調可能回路を考慮するように、本記載を適合させることができる。実施例として、当業者は、各々が(
図6に例解されるような)コンデンサC1及びC2によって、又は各々がインダクタ(図示せず)によって形成される2つの構成要素を考慮することができることになる。
【0069】
特に有利な実施形態によれば、同調可能回路9は、インダクタL1及びコンデンサC1を備え、L字型トポロジを有する(
図4及び
図5)。具体的には、同調可能回路9は、インダクタL1及びコンデンサC1を備える集積回路によって形成され得る。
【0070】
より詳細には、インダクタL1及びコンデンサC1のうちの一方及び/又は他方は同調可能である。
【0071】
このように、第1の変形形態によれば、同調可能なコンデンサC1を考慮することが可能である。換言すれば、無線周波数アセンブリの等価インピーダンスは、コンデンサC1の容量を変化させることによって調整することができる。
【0072】
第2の変形形態によれば、調整可能なインダクタL1を考慮することが可能である。言い換えれば、無線周波数アセンブリの等価インピーダンスは、インダクタL1のインダクタンスを変化させることによって調整することができる。
【0073】
更に、この有利な実施形態によれば、同調可能回路9は、2つの入力部及び2つの出力部を備える。具体的には、それぞれ第1の入力部E1及び第2の入力部E2と呼ばれる2つの入力部は、電流パルスの生成器によって電力供給されるように意図されており、それぞれ第1の出力部S1及び第2の出力部S2と呼ばれる2つの出力部は各々、無線周波数コイル8の端部のうちの1つに接続されている。第2の入力部E2及び第2の出力部S2のうちの一方及び/又は他方が、接地され得る。
【0074】
より詳細には、無線周波数アセンブリ7は、第1の入力部E1及び第2の入力部E2にそれぞれ並列に接続された2つの分岐、すなわち第1の分岐及び第2の分岐をそれぞれ備える。第1の分岐は、直列に接続された、無線周波数コイル8と、インダクタL1又はコンデンサC1のいずれかと、を備え、第2の分岐は、インダクタL1及びコンデンサC1のうちの他方を備える。
【0075】
より詳細には、
図4は、第1の分岐が無線周波数コイル8及びコンデンサC1の直列接続によって形成されており、第2の分岐がインダクタL1によって形成されている無線周波数アセンブリを示している。
【0076】
同様に、
図5は、第1の分岐が無線周波数コイル8及びインダクタL1の直列接続によって形成されており、第2の分岐がコンデンサC1によって形成されている無線周波数アセンブリを示している。
【0077】
磁気共鳴撮像デバイスは、同調可能回路9を介して、無線周波数コイル8において電流パルスの循環を課すように適合された無線周波数パルス生成手段10を更に備え得る。有利には、無線周波数パルス生成手段10は、また、同調可能回路を制御し、その結果、等価インピーダンスの調整を可能にするように構成することができる。しかしながら、本発明は、この態様に限定されるものではなく、当業者は、自身の一般的知識に基づいて、等価インピーダンスを調整するために、任意の他の手段、例えばデジタルコントローラを考慮し得る。
【0078】
磁気共鳴撮像デバイスは、無線周波数処理手段11を更に備え得て、無線周波数処理手段11は、無線周波数コイル8が受信することが可能な無線周波数信号を処理するように適合されている。
【0079】
より詳細には、無線周波数パルス生成手段10は、また、ボア3の中に存在する可能性が高い身体の位置の各々を空間的に符号化するために、勾配コイル6に電力を供給するように実装することができる。
【0080】
撮像デバイス1は、パルス生成手段10と勾配コイル6との間のリンクを提供するインターフェース12を更に備え得る。
【0081】
調整手段9A、パルス生成手段10、無線周波数処理手段11、インターフェース12は、制御ユニット13、例えばコンピュータによって制御することができる。
【0082】
調整手段9A、パルス生成手段10、無線周波数処理手段11、インターフェース12は、撮像デバイスの制御コンソールに統合することができる。
【0083】
更に、本発明の観点によれば、無線周波数コイル8は、50cmの長さ及び27cmの直径を有する(身体又は身体の一部を受容するための)受容ボアを形成するように寸法決めすることができる。
【0084】
本発明による撮像デバイスは、有利には、例えば100kg未満(具体的には75kgに等しい)の質量を有する携帯型撮像システムに実装することができる。
【0085】
最後に、
図7は、得られた画像に対する無線周波数コイルの品質係数の影響を示している。より詳細には、画像(1)及び画像(2)は、それぞれ標準品質係数及び高品質係数(標準品質係数よりも大きい)を有する無線周波数コイルを備える撮像デバイスを用いて得られる。画像(2)は、高い品質係数に関連付けられ、読み取り軸に沿った信号対ノイズ比の空間的変化をもたらすアーチファクトを明らかにする。このアーチファクトは、画像の臨床解釈にとって有害である。本発明の目的は、画像全体にわたって信号対ノイズ比を維持することである。
【0086】
本発明はまた、撮像デバイス1を用いて磁気共鳴を介して身体の画像を取得する方法に関する。
【0087】
本方法は、詳細には以下のステップ、
a)無線周波数コイル内に配設された身体を静磁場に曝すことと、
b)勾配コイルを用いて身体に空間符号化を課すことであって、勾配コイルは、身体の位置の各々と、水素原子核のスピンの自然周波数と呼ばれる共振周波数とを関連付けるために、合成磁場を形成するように静磁場に加えられる勾配磁場に身体を曝し、自然周波数の全ては、動作レンジにわたって広がる、課すことと、
c)勾配コイルによる空間符号化を受ける身体の全ての位置にわたって、水素原子核スピンを励起するように、無線周波数コイルを用いて無線周波数信号を送信することと、
d)勾配コイルによる空間符号化を受ける身体の位置のうちの少なくともいくつかによって放出される水素原子核スピンのエコーを測定することであって、測定は、同調可能回路及び無線周波数コイルによって形成されるアセンブリの等価インピーダンスの動的調整を含む、測定することと、を含む方法に関する。
【0088】
有利には、勾配コイルによって課される空間符号化は、合成磁場に関して、動作スライスと呼ばれるスライスへの分解によって反映され、動作スライス自体は、相互に平行な動作ラインに細分化され、動作ラインに沿って合成磁場が変化する。
【0089】
より有利には、スピンエコーの測定は、一度に1つの動作ラインで実施される。
【0090】
具体的には、動作ラインに沿って測定される可能性が高いスピンエコーは、無線周波数コイルの帯域幅よりも広い範囲の周波数レンジをカバーし、動作ラインに沿った測定は、当該動作ラインに関連付けられる全てのスピンエコーを収集するように、同調可能回路及び無線周波数コイルによって形成されるアセンブリの等価インピーダンスを動的に調整することによって実行される。
【0091】
1つのラインのスピンエコーに関連付けられる周波数レンジは、無線周波数コイルの固有帯域幅よりも少なくとも5倍大きい、有利には10倍大きい範囲であり得る。
【0092】
ステップc)はまた、同調可能回路及び無線周波数コイルによって形成されるアセンブリの等価インピーダンスの動的調整を考慮することによって実行することができる。
【0093】
代替的に、動的調整は、身体の複数の領域を集合的にエクスポートするように、ステップc)の実行中に実装されなくてもよい。
【0094】
当然ながら、本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変形実施形態が想定され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数信号を送信及び受信するように構成された無線周波数アセンブ
リを備える磁気共鳴撮像デバイ
スであって、
前記無線周波数アセンブリは、
-ボ
アを画定する磁
石と、
-前記ボ
ア内に配置された無線周波数コイ
ルであって、前記無線周波数コイ
ルの内部は、前記磁
石が静磁場を課す分析ゾーンと呼ばれるゾーンを形成し、前記無線周波数コイルは、固有帯域幅及び固有共振周波
数に関して特徴付けられ、無線周波数信号を送信及び受信するように意図されている、無線周波数コイ
ルと、
-前記無線周波数コイ
ルに関連付けられ、所与のインピーダンスレンジ内で前記無線周波数アセンブリの等価インピーダンスを調整することを可能にするように構成された同調可能回
路であって、前記等価インピーダンスの調整は、前記無線周波数アセンブ
リの動作周波数と呼ばれる周波数レンジ内で、調整周波数と称される前記共振周波数を調整することを可能にし、前記動作周波数の範囲は、前記固有帯域幅の範囲よりも大きい、同調可能回
路と、
-前記
磁気共鳴撮像デバイスによる画像の取得中に、前記等価インピーダンスを動的に調整するように前記同調可能回路に命令するように構成された調整手
段と、
-無線周波数処理手段であって、前記無線周波数処理手段は、前記無線周波数コイ
ルが受信することが可能な無線周波数信号を処理するように適合されている、無線周波数処理手段と、
-前記分析ゾーンの位置の各々を空間的に符号化するように意図された勾配コイ
ルであって、前記空間
的な符号化は、前記静磁場と組み合わせて、前記位置の各々と、前記位置に位置決めされる可能性が高い水素原子
核スピンに対する自然周波数と呼ばれる共振周波数とを関連付けるように意図されている、勾配コイ
ルと、を備える、磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項2】
前記調整手
段は、ラーモア周波数と呼ばれる所与の周波数での無線周波数送信と、前記調整周波数が動作レンジの中で動的に同調される無線周波数信号の受信とを可能にするように構成されている、請求項1に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項3】
前記無線周波数コイ
ルは、メインセグメント化コンデンサと呼ばれる、コンデンサを備える、請求項
1に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項4】
前記同調可能回
路は、L字型トポロジに従って配置された少なくとも2つの構成要素を備えており、前記少なくとも2つの構成要素は、前記同調可能回路において互いに組み合わされてリアクタンスを生成し、これら2つの構成要素のうちの一方及び/又は他方は、前記無線周波数アセンブリの前記等価インピーダンスの調整を可能にするように同調可能であり、有利には、前記2つの構成要素は、2つのコンデンサ、又は2つのインダクタ、又は1つのコンデンサ及び1つのインダクタを含む、請求項
1に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項5】
前記同調可能回
路は、2つの入力部及び2つの出力部を備え、それぞれ第1の入力部及び第2の入力部と呼ばれる前記2つの入力部は、電流パルスの生成器によって電力供給されるように意図され、それぞれ第1の出力部及び第2の出力部と呼ばれる前記2つの出力部は各々、前記無線周波数コイ
ルの端部のうちの1つに接続されている、請求項4に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項6】
前記無線周波数アセンブ
リは、前記第1の入力部及び前記第2の入力部それぞれのレベルに並列に接続された2つの分岐、すなわち、第1の分岐及び第2の分岐をそれぞれ備え、前記第1の分岐は、直列に接続された、前記無線周波数コイ
ル及び前記2つの構成要素のうちの一方を備え、前記第2の分岐は、前記2つの構成要素のうちの他方を備える、請求項5に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項7】
前記無線周波数アセンブ
リは、無線周波数パルス生成手
段を更に備え、前記無線周波数パルス生成手
段は、前記同調可能回
路を介して、前記無線周波数コイ
ルにおける電流パルスの循環を課すように適合されている、請求項
1に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項8】
前記磁石は、永久磁石であり、有利には、前記永久磁石は、100mT未満、更により有利には50mT未満の静磁場を生成することが可能である、請求項
1に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項9】
前記
磁気共鳴撮像デバイスは、また、前記分析ゾーンの前記位置の各々を空間的に符号化するように意図された勾配コイ
ルを備え、前記空間符号化は、前記静磁場と組み合わせて、前記位置の各々と、前記位置に位置決めされる可能性が高い水素原子
核スピンに対する前記自然周波数と呼ばれる共振周波数を関連付けるように意図される、請求項8に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項10】
前記調整周波数は、前記等価インピーダンスを調整することにより、前記分析ゾーンの前記位置の各々に存在する可能性が高い前記水素原子核スピンの前記自然周波数の全てをカバーすることができる、請求項9に記載の磁気共鳴撮像デバイ
ス。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の
磁気共鳴撮像デバイ
スを用いて磁気共鳴画像を取得するための方法であって、前記方法は、
a)前記無線周波数コイル内に配設された身体を前記静磁場に曝すことと、
b)前記勾配コイルを用いて前記身体に空間符号化を課すことであって、前記勾配コイルは、前記身体の前記位置の各々と、前記水素原子
核スピンの自然周波数と呼ばれる共振周波数を関連付けるために、合成磁場を形成するように前記静磁場に加えられる勾配磁場に前記身体を曝し、前記自然周波数の全ては
、動作レンジにわたって広がる、課すことと、
c)前記勾配コイルによる空間符号化を受ける前記身体の全ての位置にわたって、前記水素原子核スピンを励起するように、前記無線周波数コイルを用いて無線周波数信号を送信することと、
d)前記勾配コイルによる前記空間符号化を受ける前記身体の前記位置のうちの少なくともいくつかによって放出される水素原子核スピンのエコーを測定することであって、前記測定は、前記同調可能回路及び前記無線周波数コイルによって形成される前記
無線周波数アセンブリの前記等価インピーダンスの動的調整を含む、測定することと、を含む、磁気共鳴画像を取得するための方法。
【請求項12】
前記勾配コイルによって課される前記空間符号化は、前記合成磁場に関して、動作スライスと呼ばれるスライスへの分解によって反映され、前記動作スライス自体は、相互に平行な動作ラインに細分化され、前記動作ラインに沿って前記合成磁場が変化する、請求項11に記載の磁気共鳴画像を取得するための方法。
【請求項13】
前記
水素原子核スピン
のエコーの前記測定は、一度に1つの動作ラインで実施される、請求項12に記載の磁気共鳴画像を取得するための方法。
【請求項14】
動作ラインに沿って測定される可能性が高い前記
水素原子核スピン
のエコーは、前記無線周波数コイルの帯域幅よりも広い範囲の周波数レンジをカバーし、動作ラインに沿った前記測定は、前記動作ラインに関連付けられる前記
水素原子核スピン
のエコーの全てを収集するように、前記同調可能回路及び前記無線周波数コイルによって形成される前記アセンブリの前記等価インピーダンスを動的に調整することによって実行される、請求項13に記載の磁気共鳴画像を取得するための方法。
【請求項15】
1つのラインの前記
水素原子核スピン
のエコーに関連付けられる前記周波数レンジは、前記無線周波数コイルの前記固有帯域幅よりも少なくとも5倍大きい、有利には10倍大きい範囲である、請求項14に記載の磁気共鳴画像を取得するための方法。
【国際調査報告】