(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】サンプルをがん特異的免疫細胞について分析する方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20241018BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20241018BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20241018BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C12Q1/06
C12Q1/6869 Z ZNA
G01N33/50 K
G01N33/68
G01N33/50 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525931
(86)(22)【出願日】2022-10-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022078953
(87)【国際公開番号】W WO2023077113
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524161575
【氏名又は名称】イミュノラクル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シー, ユージアン ジェノ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
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2G045CA26
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(57)【要約】
本出願は、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプルを分析する方法であって、前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを有する呈示部分を有するベイト組成物とを、免疫細胞が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、ならびに前記免疫細胞を単離すること、および分析することを含む方法を提供する。がん(例えば、残存がん)を検出する方法および処置方法もまた提供される。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプルを分析する方法であって、
a)前記サンプルと、がんネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、
b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、および
c)前記単離された免疫細胞を分析すること
を含む方法。
【請求項2】
前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記呈示部分が、2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記呈示部分が4つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドが同じである、請求項3~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ネオ抗原ペプチドが、
下記特徴:
a)約1nM~約5000nMの結合親和性をMHC分子に対して有すること;
b)約1nM~約5000nMの結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;
c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;
d)疎水性であること;および
e)高い含有量の芳香族残基を有すること
の1つまたはそれを超えるものを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ネオ抗原ペプチドが低い免疫原性を有する、請求項1~6に記載の方法。
【請求項8】
前記呈示部分が、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記MHC分子がMHCクラスI分子である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記MHCクラスI分子が、HLA-A、HLA-BおよびHLA-Cからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ペプチドが約8個~約10個のアミノ酸の長さである、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記MHCがMHCクラスII分子である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記MHCクラスII分子が、HLA-DQおよびHLA-DRからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ネオ抗原ペプチドが約10個~約20個のアミノ酸の長さである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記呈示部分が、HLA-A
*24:02、HLA-A
*11:01、HLA-A
*02:01およびHLA-A
*03:01からなる群から選択される2またはそれを超える異なる種類のMHCクラスI分子を含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記呈示部分が粒子を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子が、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子がデキストラン粒子である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記粒子が磁性ナノ粒子またはポリスチレンナノ粒子である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子がアガロースビーズまたはセファロースビーズである、請求項16または17に記載の方法。
【請求項21】
前記ネオ抗原ペプチドまたはMHCを前記粒子に直接付着させる、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ネオ抗原ペプチドまたはMHCを、前記ネオ抗原ペプチドに付着する第1の結合成分と、前記粒子に結合する第2の結合成分とを含む結合対を介して前記粒子に付着させる、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記呈示部分が細胞を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞が、前記ネオ抗原ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリヌクレオチドが複数のネオ抗原ペプチドをコードする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記呈示部分がさらに、検出可能な標識を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記検出可能な標識が蛍光体である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記単離する工程が、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記単離する工程が、前記呈示部分と会合する免疫細胞を前記サンプルの残部から分離することを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記単離された免疫細胞が、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞および腫瘍浸潤T細胞からなる群から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記単離された免疫細胞がB細胞である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記単離された免疫細胞が、単離された単一の免疫細胞である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記単離された免疫細胞が免疫細胞の混合物の中に存在する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
免疫細胞の前記混合物が、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出することを含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を定量することを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記1またはそれを超える核酸がTCR配列である、請求項37または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、RNAseq配列決定を含む、請求項37~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、
a)前記1またはそれを超える核酸について富化される富化サンプルを前記単離された免疫細胞から得ること、および
b)前記富化サンプルにおける前記1またはそれを超える核酸を配列決定すること
を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾を特定することを含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記1またはそれを超えるエピジェネティック修飾がDNAメチル化および/またはヒストングリコシル化を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記個体は、がんを有すると以前に診断されたことがない、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記個体は、がんを有するリスクがある、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記個体はがんについて以前に処置されたことがあり、前記処置の後ではがんの病理学的症状を全く示していない、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記個体がヒトである、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記個体が少なくとも約50歳である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記サンプルが、血液、血漿、および末梢血単核細胞(PMBC)サンプルからなる群から選択される、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することをさらに含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
がん状態に関する前記情報が、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ベイト組成物が複数の異なる呈示部分を含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分が、異なるMHC分子をそれぞれが含む少なくとも2つの異なる呈示部分を含む、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分が、異なるMHC分子をそれぞれが含む少なくとも4つの異なる呈示部分を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分が、異なるMHC分子をそれぞれが含む少なくとも100個の異なる呈示部分を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識を含む、請求項56~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記検出可能な標識が蛍光体である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記単離する工程が、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記単離する工程が、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含む、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
複数の異なる呈示部分のそれぞれを前記個体からのサンプルと別々に接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
請求項48~63のいずれか一項に記載の方法であって、
a)抗がん治療前における前記個体からの処置前サンプルと、前記個体からの処置後サンプルとを、請求項48~56に記載の方法のいずれか1つに従って分析すること、および
b)前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴における違いを特定すること
を含む方法。
【請求項65】
個体におけるがんを検出する方法であって、前記個体からのサンプルを請求項1~64のいずれか一項に従って分析することを含み、
前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体におけるがんが示される、方法。
【請求項66】
前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴が、前記単離された免疫細胞の存在を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴が、閾値レベルを超える前記単離された免疫細胞の量を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴が、遺伝子発現プロフィルシグネチャー、遺伝子変異プロフィルシグネチャー、および/またはエピジェネティック修飾シグネチャーを含む、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記シグネチャーエピジェネティック修飾が、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシル化シグネチャー、ならびにヒストンアセチル化シグネチャー、ヒストンメチル化シグネチャーおよび/またはヒストングリコシル化シグネチャーを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
抗がん治療により以前に処置されたことがあり、処置後はがんの病理学的症状を全く示していない個体における残存がんを検出する方法であって、前記個体からの処置後サンプルを請求項48~56のいずれか一項に記載の方法に従って分析することを含み、
前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体における残存がんが示される、方法。
【請求項71】
請求項70に記載の方法であって、
a)抗がん治療前における前記個体からの処置前サンプルと、前記個体からの処置後サンプルとを、請求項48~56のいずれか一項に記載の方法に従って分析すること、および
b)前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴を比較すること
を含み、
前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴における所定の違いにより、前記個体における残存がんが示される、方法。
【請求項72】
個体におけるがんを処置する方法であって、
a)前記個体を、請求項65~71のいずれか一項に記載の方法に従って、がんを有するとして診断すること、および
b)前記個体に抗がん治療を受けさせること
を含む方法。
【請求項73】
前記抗がん治療が免疫療法ではない、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記がんが固形腫瘍である、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記がんが、癌、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、胚細胞腫瘍、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記がんが扁平上皮癌または腺癌である、請求項1~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記がんが、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、鼻咽頭がん、結腸直腸がん、肛門がん、肝臓がん、膀胱がん、精巣がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がん、甲状腺がん、メラノーマがんおよび乳がんからなる群から選択される、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は米国仮特許出願第63/273,768号(2021年10月29日出願;その内容はその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)の優先権利益を主張する。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表(230062000140SEQLIST.xml;サイズ:74,317バイト;作成日:2022年10月25日)の内容はその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0003】
分野
本出願は、サンプルをがん特異的免疫細胞について分析する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
がんの患者についての生存の見込みが、疾患が早期臨床段階で診断され、処置されるならば、実質的に改善される。このことが、予後を改善するために早期検出が有望であることを裏付けている。残念ながら、早期検出のための効果的なスクリーニング試験が多くのがんについては存在しない。
【0005】
一方で、がんの処置に成功した患者の有意な割合が、転移性再発に進行する可能性がある微小残存病変(MRD)を有する。MRDは、再発のリスクを予測する際、および寛解後の治療を選ぶ際の必須の予後因子であると考えられる。しかしながら、MRDは多くの場合、微小すぎて、CTシステムまたはMRIシステムを含めた最も高感度な医用画像化モダリティーによってでさえ明らかにすることができない。そのため、微小残存病変の評価は、患者における、とりわけ、疾患再発のリスクが高い患者における腫瘍の監視および管理の非常に重要な側面である必要がある。
【0006】
本明細書中で参照されるすべての刊行物、特許、特許出願および公開された特許出願の開示は、それらの全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。
【発明の概要】
【0007】
簡単な概要
本出願は1つの局面において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプルを分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は4つのネオ抗原ペプチドを含む。
【0008】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは同じである。
【0009】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を(例えば、MHC分子に結合したときには)同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。
【0010】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。
【0011】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記呈示部分は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子である。いくつかの実施形態において、前記MHCクラスI分子は、HLA-A、HLA-BおよびHLA-Cからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記ペプチドは約8個~約10個のアミノ酸の長さである。いくつかの実施形態において、前記MHCはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記MHCクラスII分子は、HLA-DQおよびHLA-DRからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは約10個~約20個のアミノ酸の長さである。
【0012】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記呈示部分は粒子を含む。いくつかの実施形態において、前記粒子は、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記粒子はデキストラン粒子である。いくつかの実施形態において、前記粒子は磁性ナノ粒子またはポリスチレンナノ粒子である。いくつかの実施形態において、前記粒子はアガロースビーズまたはセファロースビーズである。
【0013】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドまたはMHCを前記粒子に直接付着させる。
【0014】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドまたはMHCを、前記ネオ抗原ペプチドに付着する第1の結合成分と、前記粒子に結合する第2の結合成分とを含む結合対を介して前記粒子に付着させる。
【0015】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記呈示部分は細胞を含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、前記ネオ抗原ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは複数のネオ抗原ペプチドをコードする。
【0016】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用することを含む。
【0017】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離する工程は、前記呈示部分と会合する免疫細胞を前記サンプルの残部から分離することを含む。
【0018】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞および腫瘍浸潤T細胞からなる群から選択される。
【0019】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。
【0020】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、樹状細胞、またはそれらの組み合わせを含む混合物である。
【0021】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出することを含む。
【0022】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、(例えば、免疫細胞の前記異なるタイプのそれぞれをひとまとめにして、または別々に定量することを含めて)前記単離された免疫細胞をサンプルまたは富化サンプルにおいて定量することを含む。
【0023】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸は、TCR配列である核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における複数の核酸を配列決定して、所望の核酸のプロフィル(例えば、遺伝子発現プロフィル、遺伝子変異プロフィル、またはエピジェネティック修飾プロフィル(例えば、メチル化プロフィル))を得ることを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、複数の単離された免疫細胞においてける1またはそれを超える核酸を配列決定することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、複数の単離された免疫細胞における複数の核酸を配列決定して、所望の核酸のプロフィル(例えば、遺伝子発現プロフィル、遺伝子変異プロフィル、またはエピジェネティック修飾プロフィル(例えば、メチル化プロフィル))を得ることを含む。
【0024】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定を含む。
【0025】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、RNAseq配列決定を含む。
【0026】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、a)前記1またはそれを超える核酸について富化される富化サンプルを前記単離された免疫細胞から得ること、およびb)前記富化サンプルにおける前記1またはそれを超える核酸を配列決定することを含む。
【0027】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供して、例えば、前記単離された免疫細胞のエピジェネティック修飾プロフィルを得ることを含む。
【0028】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾を特定することを含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるエピジェネティック修飾は、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化および/またはグリコシル化)を含む。
【0029】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記個体は、がんを有すると以前に診断されたことがない。いくつかの実施形態において、前記個体は、がんを発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、前記個体はがんについて以前に処置されたことがあり、前記処置の後ではがんの病理学的症状を全く示していない。
【0030】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記個体はヒトである。いくつかの実施形態において、前記個体は、少なくとも約50歳、少なくとも約55歳、少なくとも約60歳、少なくとも約65歳、少なくとも約70歳、少なくとも約75歳、または少なくとも約80歳のいずれかである。
【0031】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記サンプルは、血液、血漿、および末梢血単核細胞(PMBC)サンプルからなる群から選択される。
【0032】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記方法は、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。
【0033】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は、複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分は、異なるMHC分子をそれぞれが含む少なくとも2つの異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分は、異なるMHC分子をそれぞれが含む少なくとも4つの異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分は、異なるMHC分子をそれぞれが含む少なくとも100個の異なる呈示部分を含む。
【0034】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれは、異なる検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は、蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用することを含む。
【0035】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離する工程は、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含む。
【0036】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記方法は、複数の異なる呈示部分のそれぞれを前記個体からのサンプルと別々に接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記方法は、a)抗がん治療前における前記個体からの処置前サンプルと、前記個体からの処置後サンプルとを、本明細書中に記載される方法のいずれか1つに従って分析すること、およびb)前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴における違いを特定することを含む。
【0038】
本出願は別の局面において、個体におけるがんを検出する方法であって、前記個体からのサンプルを本明細書中に記載される方法のいずれか1つに従って分析することを含み、前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体におけるがんが示される、方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、前記単離された免疫細胞の存在を含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、閾値レベルを超える前記単離された免疫細胞の量を含む。
【0039】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、遺伝子発現プロフィルシグネチャー、遺伝子変異プロフィルシグネチャー、および/またはエピジェネティック修飾シグネチャーを含む。いくつかの実施形態において、前記シグネチャーエピジェネティック修飾は、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化シグネチャー、および/またはヒストン修飾シグネチャーを含む。
【0040】
本明細書中に記載される個体におけるがんを検出する方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態であって、前記個体が、抗がん治療により以前に処置されたことがあり、処置後はがんの病理学的症状を全く示していない実施形態において、前記方法は、前記個体からの処置後サンプルを本明細書中に記載される方法に従って分析することを含み、ここで、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体における残存がんが示される。いくつかの実施形態において、前記方法は、a)抗がん治療前における前記個体からの処置前サンプルと、前記個体からの処置後サンプルとを、本明細書中に記載される方法に従って分析すること、およびb)前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴を比較することを含み、ここで、前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴における所定の違いにより、前記個体における残存がんが示される。
【0041】
いくつかの実施形態において、個体におけるがんを処置する方法であって、a)前記個体を、本明細書中に記載される方法に従って、がんを有するとして診断すること、およびb)前記個体に抗がん治療を受けさせることを含む方法。いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は免疫療法ではない。
【0042】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記がんは、固形腫瘍である。
【0043】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記がんは、癌、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、胚細胞腫瘍、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0044】
本明細書中に記載される方法のいずれか1つによるいくつかの実施形態において、前記がんは、扁平上皮癌または腺癌である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、6つの最も一般的なKras変異(Kras G12V、Kras G12D、Kras G12R、Kras G12C、Kras G12I、Kras G12A)から生じる新たに予測されたKrasネオ抗原(配列番号57~76)を例示する。
【0046】
【
図2】
図2は、HLA-A:0201、HLA-A:2402、HLA-A:0301、HLA-A:1101を含めた4つの最も一般的なHLA-A、ならびにβ2mを大腸菌(Ecoli)から発現し、精製したことを示す。これらの標的タンパク質が不溶性の封入体(DPE)で発現した。
【0047】
【
図3】
図3は、5つの一般的な変異体Krasネオ抗原ライブラリーの構築を示す。4つのタイプのHLA(HLA-A:0201、HLA-A:2402、HLA-A:0301、HLA-A:1101)、および4つの最も一般的なKras変異(Kras G12V、Kras G12D、Kras G12R、Kras G12C)。この図は、Kras G12V変異の結果の一部を提示しただけである。
【0048】
【
図4】
図4は、構築された膵臓腫瘍細胞系におけるルシフェラーゼ強度の確認を明らかにする。D-ルシフェリンが基質として使用された。シグナルがD-ルシフェリンの腹腔内注射の15分後に捕捉された。
【0049】
【
図5】
図5は、1×10
5個または1×10
6個のPano2-Luc-GFP腫瘍細胞の接種後12日での腫瘍サイズ(パネルA)、および1×10
6個の腫瘍細胞が皮下に負荷された後のC57BL/6JマウスにおけるPano2-Luc-GFP腫瘍の、腫瘍体積によって測定されるような腫瘍成長曲線(パネルB)を示す。
【0050】
【
図6】
図6は、5つの一般的なKras変異を過剰発現するプラスミドの構築を示す。バンドサイズが約750bpであった。二つの複製物がロードされ、50bp未満のバンドは非特異的バンドであった。
【0051】
【
図7A】
図7Aおよび
図7Bは、Kras変異のネオ抗原特異的CD8
+T細胞が4×10
5個または1×10
6個の細胞の静脈内腫瘍細胞負荷の後の早くも4日目にマウスの末梢血において検出されたことを示す。
【
図7B】
図7Aおよび
図7Bは、Kras変異のネオ抗原特異的CD8
+T細胞が4×10
5個または1×10
6個の細胞の静脈内腫瘍細胞負荷の後の早くも4日目にマウスの末梢血において検出されたことを示す。
【0052】
【
図8】
図8は、Kras変異のネオ抗原特異的CD8
+T細胞が1×10
4個または1×10
5個の細胞の静脈内腫瘍細胞負荷の後の早くも4日目にマウスの末梢血において検出されたことを示す。
【0053】
【
図9A】
図9Aおよび
図9Bは、Kras変異のネオ抗原特異的CD8
+T細胞が4×10
5個の細胞の皮下腫瘍負荷の後の早くも4日目にマウスの末梢血において検出されたことを示す。示されるように、テトラマー
+CD8
+T細胞集団(0.042%から0.22までの範囲、中央値:0.0866%)が、Pan02-nペプチドが負荷されたマウスにおいて検出可能であり、しかし、テトラマー
+CD8
+T細胞は、Pan02-EV細胞が負荷されたマウスにおいては検出可能でなかった。
【
図9B】
図9Aおよび
図9Bは、Kras変異のネオ抗原特異的CD8
+T細胞が4×10
5個の細胞の皮下腫瘍負荷の後の早くも4日目にマウスの末梢血において検出されたことを示す。示されるように、テトラマー
+CD8
+T細胞集団(0.042%から0.22までの範囲、中央値:0.0866%)が、Pan02-nペプチドが負荷されたマウスにおいて検出可能であり、しかし、テトラマー
+CD8
+T細胞は、Pan02-EV細胞が負荷されたマウスにおいては検出可能でなかった。
【0054】
【
図10A】
図10Aおよび
図10Bは、4×10
5個の細胞のPan02-EV腫瘍細胞(Kras変異を発現するネオ抗原を有しない)およびPan02-n腫瘍細胞(Kras変異を発現するネオ抗原を有する)が接種されるマウスの、バイオルミネセンスによって評価されるような腫瘍成長曲線(
図9A)、ならびに接種部位(赤色円)において腫瘍が全く観察されないことの証拠となる腫瘍負荷後4日目でのマウスの写真(
図9B)を示す。
【
図10B】
図10Aおよび
図10Bは、4×10
5個の細胞のPan02-EV腫瘍細胞(Kras変異を発現するネオ抗原を有しない)およびPan02-n腫瘍細胞(Kras変異を発現するネオ抗原を有する)が接種されるマウスの、バイオルミネセンスによって評価されるような腫瘍成長曲線(
図9A)、ならびに接種部位(赤色円)において腫瘍が全く観察されないことの証拠となる腫瘍負荷後4日目でのマウスの写真(
図9B)を示す。
【0055】
【
図11A】
図11A~
図11Cは、膵臓がん患者(患者#1~#13)の末梢血における、Kras変異特異的テトラマーライブラリーに対してのKras変異のネオ抗原特異的CD8
+T細胞の有無を示す。
【
図11B】
図11A~
図11Cは、膵臓がん患者(患者#1~#13)の末梢血における、Kras変異特異的テトラマーライブラリーに対してのKras変異のネオ抗原特異的CD8
+T細胞の有無を示す。
【
図11C】
図11A~
図11Cは、膵臓がん患者(患者#1~#13)の末梢血における、Kras変異特異的テトラマーライブラリーに対してのKras変異のネオ抗原特異的CD8
+T細胞の有無を示す。
【0056】
【
図12】
図12は、Kras変異および特異的HLA-A表現型の有無とともに、13名の確認された膵臓患者におけるCD8
+T細胞の有無の要約を示す。この実験では、20個のG12Dネオ抗原ペプチド関連MHCテトラマーがベイト組成物に含まれ、しかし、G12Rネオ抗原ペプチド関連テトラマーは4個だけが含まれた。
【発明を実施するための形態】
【0057】
詳細な説明
本出願は、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプルを分析する様々な方法を提供する。本出願は、腫瘍ネオ抗原によって活性化される免疫細胞が、がんの何らかの病理学的症状が示される前でさえ、がんを有する個体において検出可能であり得るという、したがって、早期がん検出のための有用なマーカーとして役立つという本発明者らの他に類を見ない洞察に基づいている。実施例の節において示されるように、例示的なKras変異関連ネオ抗原特異的T細胞が、Kras変異関連ネオ抗原を発現する(10
4個もの少ない)腫瘍細胞を静脈内または皮下に接種したマウスにおいて(例えば、
図8を参照のこと)、また、接種後早くも4日目に(例えば、
図9A~
図9Bを参照のこと)、しかも、バイオルミネセンスを介したどのような検出にも先立って(例えば、
図10A~
図10Bを参照のこと)、またはKras変異を有している膵臓がん患者において(例えば、
図11A~
図11C、および
図12を参照のこと)首尾よく検出された。これらのデータは、提供された方法が、早期がん検出を含めたがん検出のために、同様にまた、残存微小がん細胞を有するかもしれない個体においてがん細胞をモニターするために両方で首尾よく使用され得ることを明らかにした。
【0058】
本出願は、がんの病理学的症状を全く示していない個体における免疫細胞を単離し、分析する方法、同様にまた、そのようにして得られる情報を健常な個体におけるがんスクリーニングのために、がんを有することが疑われる個体を診断するために、またはそのような個体の診断を助けるために、および抗がん治療により以前に処置されたことがあり、処置後はがんの病理学的症状を全く示していない個体における微小残存がん(MRD)を検出するために利用する方法を提供する。単離された免疫細胞に関するより詳細な分析がさらに、個体のがんを分類するために使用されることが可能である。
【0059】
したがって、本出願は1つの局面において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプルを分析する方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記個体はがんについて以前に処置されたことがあり、前記処置の後ではがんの病理学的症状を全く示していない。いくつかの実施形態において、方法は、a)抗がん治療前における前記個体からの処置前サンプルと、前記個体からの処置後サンプルとを分析すること、およびb)前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴における違いを特定することを含む。
【0060】
本出願は別の局面において、がんの病理学的症状を全く示していない個体におけるがんを検出する方法であって、前記個体からのサンプルを分析することを含み、前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体におけるがんが示される、方法を提供する。
【0061】
本出願は別の局面において、抗がん治療により以前に処置されたことがあり、処置後はがんの病理学的症状を全く示していない個体における残存がんを検出する方法であって、前記個体からの処置後サンプルを分析することを含み、前記単離された免疫細胞の所定の特徴(predetermined characterics)により、前記個体における残存がんが示される、方法を提供する。処置後サンプルは、がん処置を受けたことがある個体から採取されるサンプルを示す。いくつかの実施形態において、処置後サンプルは、処置後約1週間~3週間の範囲内で採取される。いくつかの実施形態において、処置後サンプルは、処置後約1ヶ月~3ヶ月の範囲内で採取される。いくつかの実施形態において、処置後サンプルは、処置後約6ヶ月以内、9ヶ月以内、または12ヶ月以内に採取される。
【0062】
本出願は別の局面において、個体におけるがんを処置する方法であって、a)前記個体を、本明細書中に記載される診断方法に従って、がんを有するとして診断すること、およびb)前記個体に抗がん治療を受けさせることを含む方法を提供する。
【0063】
定義
一般に、特許請求項および明細書において使用される用語は、当業者によって理解される平易な意味を有するとして解釈されることが意図される。ある特定の用語は、さらなる明瞭さを提供するために以下において定義される。平易な意味と、提供された定義との間に矛盾がある場合には、提供された定義が使用されるものとする。
【0064】
本明細書中で使用される場合、用語「抗原」は、免疫応答を誘導する物質である。
【0065】
本明細書中で使用される場合、用語「ネオ抗原」は、例えば、腫瘍細胞における変異または腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾を介して、対応する野生型の親抗原とは別個なものにする少なくとも1つの変化を有する抗原である。ある1つのネオ抗原はポリペプチド配列を含み得る。ネオ抗原をもたらすある1つの変異は、フレームシフト型インデルもしくは非フレームシフト型インデル、ミスセンス置換もしくはナンセンス置換、スプライス部位変化、ゲノム再編成もしくは遺伝子融合、またはどのような変化であれネオORF(neoORF)を生じさせるゲノム変化もしくは発現変化を含み得る。ある1つの変異はまた、スプライスバリアントを含み得る。腫瘍細胞に特異的である翻訳後修飾は、異常なリン酸化を含み得る。腫瘍細胞に特異的である翻訳後修飾はまた、プロテアソームによって生じるスプライシングされた抗原を含み得る。Liepe et al.,A large fraction of HLA class I ligands are proteasome-generated spliced peptides;Science.2016 Oct 21;354(6310):354-358を参照のこと。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「腫瘍ネオ抗原」または用語「がんネオ抗原」は、対象の腫瘍細胞または腫瘍組織に存在し、しかし当該対象の対応する正常な細胞または組織には存在しないネオ抗原である。
【0067】
本明細書中で使用される場合、用語「ミスセンス変異」は、あるアミノ酸から別のアミノ酸への置換を引き起こす変異である。
【0068】
本明細書中で使用される場合、用語「ナンセンス変異」は、アミノ酸から終止コドンへの置換を引き起こす変異である。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「フレームシフト変異」は、タンパク質の枠における変化を引き起こす変異である。
【0070】
本明細書中で使用される場合、用語「インデル」は、1またはそれを超える核酸の挿入または欠失である。
【0071】
本明細書中で使用される場合、パーセント「同一性」の用語は、2またはそれを超える核酸配列またはポリペプチド配列の文脈では、最大限対応させるために比較してアラインメントさせるときに、下記において記載される配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTNまたは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)の1つを使用して測定する場合、または目視検査によって測定する場合、同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の指定された割合を有する2またはそれを超える配列または部分配列を指す。出願に応じて、パーセント「同一性」が、比較されている配列の領域にわたって、例えば、機能的ドメインにわたって存在する場合があり、またはあるいは、比較される2つの配列の全長にわたって存在する場合がある。
【0072】
配列比較のために、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用するときには、試験配列および参照配列がコンピューターに入力され、部分配列座標が、必要ならば指定され、配列アルゴリズムのプログラムパラメーターが指定される。その後、配列比較アルゴリズムにより、参照配列に対する試験配列(1つまたは複数)についてのパーセント配列同一性が、指定されたプログラムパラメーターに基づいて算出される。あるいは、配列の類似性または非類似性が、特定のヌクレオチドの組み合わされた存在または非存在によって、あるいは翻訳された配列については選択された配列位置におけるアミノ酸(例えば、配列モチーフ)によって確立され得る。
【0073】
本明細書中で使用される場合、用語「エピトープ」は、抗体またはT細胞受容体が典型的には結合する抗原の特異的部分である。
【0074】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫原性(の)」は、免疫応答を、例えば、T細胞、B細胞、またはそれらの両方を介して誘発することができることである。
【0075】
本明細書中で使用される場合、用語「HLA結合親和性」「MHC結合親和性」は、特異的な抗原と、特異的なMHC対立遺伝子との間における結合の親和性を意味する。
【0076】
本明細書中で使用される場合、用語「ベイト組成物」は、当該ベイト(bait)に特異的に結合する細胞をサンプルから富化するために使用される分子(例えば、ネオ抗原ペプチド)を含む組成物である。
【0077】
本明細書中で使用される場合、用語「バリアント」は、対象の核酸と、対照として使用される参照ヒトゲノムとの間における差違である。
【0078】
本明細書中で使用される場合、用語「対立遺伝子」は、遺伝子のバージョン、または遺伝子配列のバージョン、またはタンパク質のバージョンである。
【0079】
本明細書中で使用される場合、用語「HLAタイプ」はHLA遺伝子対立遺伝子の相補体である。
【0080】
本明細書中で使用される場合、用語「エクソーム」は、タンパク質についてコードするゲノムのサブセットである。エクソームはゲノムの集合的なエクソンであり得る。
【0081】
本明細書中で使用される場合、用語「プロテオーム」は、細胞、細胞群または個体によって発現および/または翻訳されるすべてのタンパク質のセットである。
【0082】
本明細書中で使用される場合、用語「デキストラマー」は、フローサイトメトリーにおける抗原特異的免疫細胞染色のために使用される、デキストランに基づくペプチド-MHCマルチマーである。
【0083】
本明細書中で使用される場合、用語「MHCマルチマー」は、複数のペプチド-MHCモノマーユニットを含むペプチド-MHC複合体である。
【0084】
本明細書中で使用される場合、用語「MHCテトラマー」は、4つのペプチド-MHCモノマーユニットを含むペプチド-MHC複合体である。
【0085】
本明細書中で使用される場合、「サンプル」は、免疫細胞を含有する、対象から得られる体液のアリコートまたは組織を指す。
【0086】
用語「哺乳動物」はヒトおよび非ヒトの両方を包含し、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ科動物、ウシ、ウマおよびブタを含んでおり、しかし、これらに限定されない。
【0087】
本明細書中で使用される場合、「処置」または「処置すること」は、臨床結果を含めた有益な結果または所望の結果を得るためのアプローチである。本出願の目的のために、有益な臨床結果または所望の臨床結果は下記のうちの1つまたはそれを超えるものを含んでおり、しかし、これらに限定されない:疾患から生じる1またはそれを超える症状を緩和すること、疾患の範囲を漸減すること、疾患を安定化させること(例えば、疾患の悪化を防止すること、または遅らせること)、疾患の拡大(例えば、転移)を防止すること、または遅らせること、疾患の再発を防止すること、または遅らせること、疾患の増悪を遅らせること、または遅くすること、疾患状態を改善すること、疾患の寛解(部分的または完全)をもたらすこと、疾患を処置するために要求される1またはそれを超える他の薬物療法の用量を減らすこと、疾患の増悪を遅らせること、生活の質を向上させること、または改善すること、体重増加を増大させること、ならびに/あるいは生存を延ばすこと。「処置」によって、がんの病理学的結果(例えば、腫瘍体積など)の減少もまた包含される。本出願の方法では、処置のこれらの局面のいずれか1つまたはそれを超えるものが意図される。
【0088】
「参照」は本明細書中で使用される場合、比較目的のために使用される任意のサンプル、標準、またはレベルを指す。参照が健常サンプルおよび/または非罹患サンプルから得られる場合がある。いくつかの例において、参照が非処置サンプルから得られる場合がある。いくつかの例において、参照が個体の非罹患サンプルまたは非処置サンプルから得られる。いくつかの例において、参照が、前記個体または患者ではない1またはそれを超える健常な個体から得られる。
【0089】
用語「対象」、用語「個体」、および用語「患者」は、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、げっ歯類または霊長類(これらに限定されない)を含めた哺乳動物を指すために本明細書中では交換可能に使用される。いくつかの実施形態において、個体はヒトである。
【0090】
本明細書中に記載される本出願の実施形態は、様々な実施形態「からなる」こと、および/または様々な実施形態「から本質的になる」ことを含んでいることが理解される。
【0091】
本明細書中における「約」の値またはパラメーターに対する言及は、その値自体またはそのパラメーター自体に向けられる変動を含んでいる(記載している)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の記載を含んでいる。
【0092】
本明細書中で使用される場合、値またはパラメーター「でない」への言及は、一般に、値またはパラメーター「意外」を意味し、記載する。例えば、方法が、タイプXのがんを処置するために使用されないとは、方法が、X以外のタイプのがんを処置するために使用されることを意味する。
【0093】
本明細書中で使用される用語「約X~Y」は、「約X~約Y」と同じ意味を有する。
【0094】
本明細書および添付された特許請求項において使用される場合、「a」、「an」および「the」の単数形態は、そうでないことが文脈上明らかに示される場合を除き、複数の参照対象を含んでいることに留意しなければならない。
【0095】
本明細書中に直接に定義されていないどのような用語も、本発明の技術分野の中で理解されるような、それらに一般的に関連する意味を有すると理解されなければならない。ある特定の用語が、本発明の様々な局面の組成物、デバイス、方法など、ならびにそれらがどのようにしてなされるか、または使用されるかを説明する際においてさらなる手引きを専門家に提供するために本明細書中で論じられる。同じことが2通り以上で述べられる場合があることが理解される。その結果、代替となる言語および同義語が、本明細書中で論じられる用語のいずれか1つまたはそれを超えるもののために使用される場合がある。用語が本明細書中で詳しく説明されるか否か、あるいは論じられるか否かは重要視されることはない。いくつかの同義語または代用可能な方法、材料などが提供される。1つまたは少数の同義語または同等物の列挙は、明示的に述べられる場合を除き、他の同義語または同等物の使用を排除しない。様々な用語の様々な例を含めて様々な例の使用は例示目的のためであり、本明細書中の本発明の局面の範囲および趣旨を限定するものではない。
【0096】
がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプルを分析する方法
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記呈示部分が2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは同じである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記呈示部分が、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子である。いくつかの実施形態において、前記MHCクラスI分子は、HLA-A、HLA-BおよびHLA-Cからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、MHCクラスI分子と複合体形成する前記ペプチドは約8個~約10個のアミノ酸の長さである。いくつかの実施形態において、前記MHCはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記MHCクラスII分子は、HLA-DQおよびHLA-DRからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記MHCクラスII分子と複合体形成する前記ネオ抗原ペプチドは約10個~約20個のアミノ酸の長さである。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞が免疫細胞の混合物を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞および/または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じて、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、a)前記1またはそれを超える核酸について富化される富化サンプルを前記単離された免疫細胞から得ること、およびb)前記富化サンプルにおける前記1またはそれを超える核酸を配列決定することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、さらには、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記ベイト組成物が複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを前記個体からのサンプルと別々に接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞がT細胞である、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記T細胞は細胞傷害性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記T細胞はヘルパーT細胞である。いくつかの実施形態において、前記T細胞はメモリーT細胞である。いくつかの実施形態において、前記T細胞は腫瘍浸潤T細胞である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、がんの病理学的症状を全く示していない個体のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、ネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記呈示部分が、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含み、前記MHC分子が、HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01、またはHLA-A*03:01である、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01およびHLA-A*03:01からなる群から選択される2またはそれを超える(例えば、2つ、3つ、および4つ)異なる種類のMHCクラスI分子を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、MHCクラスII分子を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はMHCクラスII分子を含まない。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、個体(例えば、がんの病理学的症状を全く示していない個体)のサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)を分析する方法であって、a)前記サンプルと、複数のネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記呈示部分が、前記複数のネオ抗原ペプチドと複合体形成する1またはそれを超えるMHC分子を含み、必要に応じて前記MHC分子が、HLA-A
*24:02、HLA-A
*11:01、HLA-A
*02:01、またはHLA-A
*03:01である、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドの少なくとも1つ(例えば、それぞれ)が、がんに関連づけられる1またはそれを超える公知の変異(例えば、Kras G12C変異、G12D変異、G12R変異、G12V変異、G12I変異および/またはG12A変異)を含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、がんに関連づけられる単一の知られている変異(例えば、Kras G12C変異、G12D変異、G12R変異、G12V変異、G12I変異および/またはG12A変異)をそれぞれが含む少なくとも5個、10個、15個または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。単一の知られている変異に関連づけられる複数のネオ抗原ペプチドの例示された設計について
図1を参照のこと。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12C変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12D変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12R変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12V変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12I変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12A変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、HLA-A
*24:02、HLA-A
*11:01、HLA-A
*02:01およびHLA-A
*03:01からなる群から選択される2またはそれを超える(例えば、2つ、3つ、および4つ)異なる種類のMHCクラスI分子を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、MHCクラスII分子を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はMHCクラスII分子を含まない。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、がん細胞(例えば、微小残存がん細胞、例えば、固形腫瘍細胞)の存在を個体(例えば、がんの病理学的症状を全く示していない個体)において検出する(または特定する、または評価する)方法であって、a)前記個体に由来するサンプル(例えば、血液、血漿、またはPBMCサンプル)と、複数のネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記呈示部分が、前記複数のネオ抗原ペプチドと複合体形成する1またはそれを超えるMHC分子を含み、必要に応じて前記MHC分子が、HLA-A
*24:02、HLA-A
*11:01、HLA-A
*02:01、またはHLA-A
*03:01である、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記個体は、少なくとも1つのがん関連変異を有する。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドの少なくとも1つ(例えば、それぞれ)が、がんに関連づけられる1またはそれを超える公知の変異(例えば、Kras G12C変異、G12D変異、G12R変異、G12V変異、G12I変異および/またはG12A変異)を含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、がんに関連づけられる単一の知られている変異(例えば、Kras G12C変異、G12D変異、G12R変異、G12V変異、G12I変異および/またはG12A変異)をそれぞれが含む少なくとも5個、10個、15個または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。単一の知られている変異に関連づけられる複数のネオ抗原ペプチドの例示された設計について
図1を参照のこと。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12C変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12D変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12R変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12V変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12I変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、(例えば、
図1に示されるような)Kras G12A変異に関連づけられる少なくとも5個、10個、15個、または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、HLA-A
*24:02、HLA-A
*11:01、HLA-A
*02:01およびHLA-A
*03:01からなる群から選択される2またはそれを超える(例えば、2つ、3つ、および4つ)異なる種類のMHCクラスI分子を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、MHCクラスII分子を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はMHCクラスII分子を含まない。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される粒子はデキストラン粒子である。いくつかの実施形態において、前記粒子は磁性ナノ粒子またはポリスチレンナノ粒子である。いくつかの実施形態において、前記粒子はアガロースビーズまたはセファロースビーズである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドまたはMHCを前記粒子に直接付着させる。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドまたはMHCを、前記ネオ抗原ペプチドに付着する第1の結合成分と、前記粒子に結合する第2の結合成分とを含む結合対を介して前記粒子に付着させる。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は細胞を含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、前記ネオ抗原ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは複数のネオ抗原ペプチドをコードする。
【0110】
いくつかの実施形態において、前記個体はヒトである。いくつかの実施形態において、前記個体は、少なくとも約50歳(例えば、少なくとも50歳、60歳、70歳または80歳)である。
【0111】
いくつかの実施形態において、(本セクションおよび本出願のいずれかの他のセクションを含めて)本明細書中に記載されるサンプルは、前記個体からのサンプルがどのようなものであれ可能である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるサンプルは血液サンプルである。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるサンプルは血漿サンプルである。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるサンプルは末梢血単核細胞(PMBC)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるサンプルは、前記個体の組織または器官から得られるサンプル(例えば、生検サンプル)である。いくつかの実施形態において、前記サンプルは前記個体のリンパ節から得られる。
【0112】
がんを個体において検出する方法
いくつかの実施形態において、がんを個体(例えば、がんの病理学的症状を示していない個体、例えば、がんを有すると診断されたことがない個体、例えば、がんを発症するリスクがある個体、例えば、がんについて処置されたことがない個体、例えば、がんを処置されたことがあり、かつ、微小残存がん細胞を有することが疑われる個体)において検出する方法であって、前記個体からのサンプルを本明細書中に記載される方法のいずれかに従って分析することを含み、前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体におけるがんが示される、方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、前記単離された免疫細胞の存在を含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、閾値レベルを超える前記単離された免疫細胞の量を含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、遺伝子発現プロフィルシグネチャー、遺伝子変異プロフィルシグネチャー、および/またはエピジェネティック修飾シグネチャーを含む。いくつかの実施形態において、前記シグネチャーエピジェネティック修飾は、DNAメチル化シグネチャーおよびヒストングリコシル化シグネチャーを含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、がんを個体(例えば、がんを有すると診断されたことがない個体、例えば、がんを発症するリスクがある個体、例えば、がんについて処置されたことがある個体)において検出する方法であって、a)前記サンプルと、がんネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体におけるがんが示され、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴が、前記単離された免疫細胞の存在を含み、必要に応じて、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴が、閾値レベルを超える前記単離された免疫細胞の量を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴はさらに、遺伝子発現プロフィルシグネチャー、遺伝子変異プロフィルシグネチャー、および/またはエピジェネティック修飾シグネチャー(例えば、DNAメチル化シグネチャーおよびヒストングリコシル化シグネチャー)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは同じである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、がんを個体(例えば、がんを有すると診断されたことがない個体、例えば、がんを発症するリスクがある個体、例えば、がんについて処置されたことがある個体)において検出する方法であって、a)前記サンプルと、がんネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体におけるがんが示され、かつ、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴が遺伝子発現プロフィルシグネチャーを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴はさらに、遺伝子変異プロフィルシグネチャー、および/またはエピジェネティック修飾シグネチャー(例えば、DNAメチル化シグネチャーおよびヒストングリコシル化シグネチャー)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは同じである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、がんを個体(例えば、がんを有すると診断されたことがない個体、例えば、がんを発症するリスクがある個体、例えば、がんについて処置されたことがある個体)において検出する方法であって、a)前記サンプルと、がんネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体におけるがんが示され、かつ、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴が遺伝子変異プロフィルシグネチャーおよび/またはエピジェネティック修飾シグネチャー(例えば、DNAメチル化シグネチャーおよびヒストングリコシル化シグネチャー)を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは同じである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、抗がん治療により以前に処置されたことがあり、かつ、処置後はがんの病理学的症状を全く示していない個体において残存がんを検出する方法であって、前記個体からの処置後サンプルを分析することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法はさらに、a)抗がん治療前における前記個体からの処置前サンプルと、前記個体からの処置後サンプルとを本明細書中に記載される方法のいずれかに従って分析すること、およびb)前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴を比較することを含む。いくつかの実施形態において、前記処置前サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴と、前記処置後サンプルからの前記単離された免疫細胞の特徴における所定の違いにより、前記個体における残存がんが示される。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は前記単離された免疫細胞の存在を含み、必要に応じてさらに、閾値レベルを超える前記単離された免疫細胞の量を含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、遺伝子発現プロフィルシグネチャー、遺伝子変異プロフィルシグネチャー、および/またはエピジェネティック修飾シグネチャー(例えば、DNAメチル化シグネチャーおよび/またはヒストングリコシル化シグネチャー)を含む。いくつかの実施形態において、方法は、a)前記処置前サンプルおよび/または処置後サンプルと、がんネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、b)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびc)前記単離された免疫細胞を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは同じである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0117】
処置方法
いくつかの実施形態において、がんを個体(例えば、がんを有すると診断されたことがない個体、例えば、がんを発症するリスクがある個体、例えば、がんについて処置されたことがある個体)において処置する方法であって、a)前記個体を、本明細書中に記載される方法に従ってがんを有すると診断すること、およびb)前記個体に抗がん治療を受けさせることを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記個体を診断することが、a)サンプルを前記個体から得ること、b)前記サンプルと、がんネオ抗原ペプチドを含む呈示部分を含むベイト組成物とを、免疫細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞および/または腫瘍浸潤T細胞)が前記呈示部分に結合するために十分な条件のもとで接触させること、c)前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、およびd)前記単離された免疫細胞を分析することを含み、前記単離された免疫細胞の所定の特徴により、前記個体におけるがんが示される。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、前記単離された免疫細胞の存在を含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、閾値レベルを超える前記単離された免疫細胞の量を含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞の前記所定の特徴は、遺伝子発現プロフィルシグネチャー、遺伝子変異プロフィルシグネチャー、および/またはエピジェネティック修飾シグネチャー(例えば、DNAメチル化シグネチャーおよび/またはヒストングリコシル化シグネチャー)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、4つの)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは同じである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは下記特徴の1つまたはそれを超えるものを有する:a)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有すること;b)約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有すること;c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有すること;d)疎水性であること;およびe)高い含有量の芳香族残基を有すること。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成するMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出すること、および/または定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含み、必要に応じてさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列(例えば、TCR関連配列)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超えるエピジェネティック修飾(例えば、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシメチル化、および/またはヒストン修飾(例えば、アセチル化、メチル化、グリコシル化))を特定することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの分類;がんのタイプ;がんの性質;がんの起源;がんのステージ;がん増悪の可能性;1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性;分子診断;NGS病理;ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む(例えば、少なくとも約2個、4個、10個、25個、50個、75個または100個の異なる呈示部分がそれぞれ、異なるMHC分子を含む)。いくつかの実施形態において、異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれが、異なる検出可能な標識(例えば、蛍光体)を含む。いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用すること、および/または異なるMHC分子を含む前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する免疫細胞を異なる集団に分離することを含み、必要に応じてさらに、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、粒子(例えば、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される粒子)を含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定、RNAseq配列決定、および/または前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は、がん(例えば、特定のがん)を処置するための標準的な、または一般に使用される薬剤または治療である。いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は化学療法剤を含む。いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は手術を含む。いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は放射線療法を含む。いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は免疫療法を含む。いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は細胞療法(例えば、免疫細胞(例えば、CAR T細胞)を含む細胞療法など)を含む。いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は血管新生阻害剤を含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、前記抗がん治療は免疫療法ではない。
【0120】
いくつかの実施形態において、前記個体は微小残存病変(MRD)を有する。いくつかの実施形態において、前記個体は微小残存がんを有する。いくつかの実施形態では、前記微小残存がんは、前記がんが外科切除された後、または治癒した後で認められる。いくつかの実施形態において、前記微小残存病変は微小すぎて、画像化機器(例えば、前記がんを検出するために日常的に使用される、または標準的な画像化機器)によって検出することができない。いくつかの実施形態において、前記微小残存病変の場所は多様である。いくつかの実施形態において、前記微小残存がんは、免疫回避または処置に対する抵抗性の結果である。いくつかの実施形態において、前記個体はがんについて以前に処置されたことがあり、前記処置の後ではがんの病理学的症状を全く示していない。
【0121】
ベイト組成物、呈示部分およびネオ抗原ペプチド
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるベイト組成物は、1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超える呈示部分を含み、この場合、免疫細胞(例えば、T細胞)が前記呈示部分および/またはネオ抗原ペプチドに結合する(例えば、同族的に結合する)。
【0122】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される呈示部分は、ネオ抗原ペプチド(例えば、トランカル(truncal)ネオ抗原ペプチド)と複合体形成するMHC分子を含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスI分子である。
【0124】
いくつかの実施形態において、前記MHCクラスI分子は、HLA-A、HLA-B、HLA-CおよびHLA-Dからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記MHCクラスI分子は、HLA-A、HLA-BおよびHLA-Cからなる群から選択される。好ましい実施形態において、前記MHCクラスI分子は、HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01およびHLA-A*03:01からなる群から選択される。好ましい実施形態において、前記MHCクラスI分子は、HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01およびHLA-A*03:01を含む複数の種類のMHCクラスI分子を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、MHC I分子と複合体形成する前記ネオ抗原ペプチドは約8個~約10個のアミノ酸の長さである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、少なくとも8個(例えば、8個、9個または10個)のアミノ酸の長さである。
【0126】
いくつかの実施形態において、前記MHC分子は、組換えMHC I分子である。
【0127】
いくつかの実施形態において、前記MHC分子はMHCクラスII分子である。
【0128】
いくつかの実施形態において、前記MHCクラスII分子は、HLA-DR、HLA-DQおよびHLA-DFからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記MHCクラスII分子は、HLA-DQおよびHLA-DRからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、MHCクラスII分子と複合体形成する前記ネオ抗原ペプチドは約10個~約20個のアミノ酸の長さである。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、少なくとも10個(例えば、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個)のアミノ酸の長さである。
【0129】
いくつかの実施形態において、前記MHC分子は、組換えMHC II分子である。
【0130】
いくつかの実施形態において、前記MHC分子は、MHC I分子と、MHC II分子との両方を含む。
【0131】
好ましい実施形態において、前記MHC分子は、前記サンプルが得られる前記個体の少なくとも1つのHLAタイプと一致する。例えば、HLA-A*24:02またはHLA-A*11:01を含むMHC I分子が、前記個体がHLA-A*24:02およびHLA-A*11:01の両方を有するときに使用される。WGS、WESまたはRNA-seqからの患者特異的なNGSデータを、HLAタイプを計算ツール(例えば、OptiptypeおよびPolysolver(多型遺伝子座リゾルバ))により予測するために使用することができる。例えば、Szolet et al.,Bioinformatics 30,3310-3316、例えば、Shukla et al.,Nat.Biotechnol.33,1152-1158を参照のこと。HLA領域に潜在的に由来する読み取りデータをNGSデータから選択することができ、その後、すべての知られているHLA対立遺伝子の全長ゲノムライブラリーに対して完全にアラインメントすることができる。例えば、Nucleic Acids Res.41,D1222-D1227を参照のこと。
【0132】
いくつかの実施形態において、前記MHC分子は、前記ネオ抗原ペプチドと複合体形成する前にシャペロン分子と結合する。例えば、Overall et al.,Nat Commun.2020 Apr 20;11(1):1909を参照のこと。
【0133】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、2またはそれを超える(例えば、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、1000個、10,000個、または100,000個の)ネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は4つのネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは同じである、または類似している。いくつかの実施形態において、前記呈示部分における前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは別個なものである。いくつかの実施形態では、前記2またはそれを超えるネオ抗原ペプチドの少なくとも1つがトランカルネオ抗原ペプチドである。
【0134】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分はMHC/ペプチドテトラマーを含む。いくつかの実施形態では、MHC/ペプチド複合体が、呈示部分に結合する1つ、2つ、3つ、または4つのMHC/ペプチド複合体を含むテトラマーに構築される。いくつかの実施形態において、前記MHC/ペプチドテトラマーはさらに、検出可能な標識を含む。前記検出可能な標識は蛍光体であり、例えば、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、またはこの技術分野で知られている任意の蛍光体である。
【0135】
いくつかの実施形態において、前記MHC/ペプチド複合体は、マルチマー(例えば、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、ヘキサマー、または高次マルチマー)に構築される。いくつかの実施形態において、前記マルチマーは、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のMHC/ペプチド複合体を含むことができる。いくつかの実施形態において、ハイスループット・ペプチド-MHC(pMHC)テトラマーライブラリーが構築される。例えば、Overall et al.,Nat Commun.2020 Apr 20;11(1):1909を参照のこと。
【0136】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、バーコード(例えば、DNAバーコード)を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える呈示部分のそれぞれが、特有のバーコード(例えば、特有のDNAバーコード)を含む。例えば、Overall et al.,Nat Commun.2020 Apr 20;11(1):1909を参照のこと。
【0137】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は粒子を含む。いくつかの実施形態において、前記粒子は、表面、ナノ粒子、ビーズおよびポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記粒子は、磁性ナノ粒子、例えば、磁石を使用する単離のための磁性ナノ粒子である。例えば、Peng et al.,Cell Rep.2019 Sep 3;28(10):2728-2738.e7を参照のこと。いくつかの実施形態において、前記磁性粒子は磁性酸化鉄を含む。いくつかの実施形態において、前記粒子は、ポリスチレンナノ粒子、例えば、重力による単離のためのポリスチレンナノ粒子である。いくつかの実施形態において、前記粒子はアガロースビーズである。いくつかの実施形態において、前記粒子はセファロースビーズである。いくつかの実施形態において、前記粒子はデキストラン粒子である。いくつかの実施形態では、粒子はビオチン化デキストランまたはストレプトアビジン被覆デキストランである。
【0138】
いくつかの実施形態において、前記粒子は検出可能である。いくつかの実施形態において、前記粒子は蛍光性である。いくつかの実施形態において、前記粒子を蛍光体に直接的または間接的に付着させる。いくつかの実施形態において、前記粒子は、さらなる分子を付着させるための結合部分(attachment moiety)により改変される。
【0139】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドまたはMHCを前記粒子に直接付着させる。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドまたはMHCを、前記ネオ抗原ペプチドに付着する第1の結合成分と、前記粒子に結合する第2の結合成分とを含む結合対を介して前記粒子に付着させる。いくつかの実施形態では、前記結合成分は、この技術分野で知られている任意の好適な部分(例えば、チオール、マレイミド、シクロデキストリン、アミン、アダマンチン、カルボキシ、アジドおよびアルキン)である。
【0140】
いくつかの実施形態において、複数の呈示部分(例えば、MHC/ペプチド複合体)を単一の粒子に付着させる。
【0141】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は細胞(例えば、抗原提示細胞、例えば、樹状細胞、例えば、マクロファージ)を含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、前記ネオ抗原ペプチド(例えば、トランカルネオ抗原ペプチド)をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは複数のネオ抗原ペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは前記細胞の表面に呈示される。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、MHC分子との複合体で前記細胞の表面に呈示される。
【0142】
いくつかの実施形態において、前記細胞は前記個体から得られる。いくつかの実施形態において、前記細胞は、前記個体のHLAタイプと同じ少なくとも1つ(または2つ)のHLAタイプを有する。例えば、前記個体がHLA-A*24:02を有するならば、前記呈示部分における前記細胞もまた、HLA-A*24:02を有する。
【0143】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分はさらに、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、前記検出可能な標識は蛍光体である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は自身が蛍光性であり、あるいは前記呈示部分を直接的または間接的に蛍光体に付着させる。いくつかの実施形態において、前記蛍光体は、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、またはこの技術分野で知られている任意の蛍光体である。
【0144】
複数の呈示部分
いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は複数の異なる呈示部分を含む。前記複数の異なる呈示部分の使用は、異種のネオ抗原特異的免疫細胞(例えば、T細胞)の特定を容易にすることができ、または促進することができる。いくつかの実施形態において、複数の呈示部分が、少なくとも2つ、3つ、または4つの種類のMHC分子を含む。いくつかの実施形態において、複数の呈示部分が、少なくとも2つ(例えば、2つ、または3つ、または4つ)の異なる種類のMHCクラスI分子を含み、必要に応じて、前記少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、または4つ)の異なる種類のMHCクラスI分子は、HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01およびHLA-A*03:01からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、複数の呈示部分が、HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01およびHLA-A*03:01を含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分の少なくとも2つが、異なるネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物における前記複数の異なる呈示部分のそれぞれが、異なるネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分は、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)の異なるネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてネオ抗原ペプチドの少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%が、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。いくつかの実施形態において、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)について特定の種類のMHC分子(例えば、HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01、またはHLA-A*03:01)についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。
【0146】
いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分は、HLA-A*24:02である少なくとも1つの種類のMHC分子を含み、この場合、HLA-A*24:02は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*24:02が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)について少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分はさらに、HLA-A*11:01を含み、必要に応じてこの場合、HLA-A*11:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*11:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*11:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分はさらに、HLA-A*02:01を含み、必要に応じてこの場合、HLA-A*02:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*02:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*02:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分はさらに、HLA-A*03:01を含み、必要に応じてこの場合、HLA-A*03:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*03:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*03:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。
【0147】
いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分は、HLA-A*11:01である少なくとも1つの種類のMHC分子を含み、この場合、HLA-A*11:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*11:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*11:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分はさらに、HLA-A*02:01を含み、必要に応じてこの場合、HLA-A*02:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*02:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*02:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分はさらに、HLA-A*03:01を含み、必要に応じてこの場合、HLA-A*03:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*03:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*03:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。
【0148】
いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分は、HLA-A*02:01である少なくとも1つの種類のMHC分子を含み、この場合、HLA-A*02:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*02:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*02:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分はさらに、HLA-A*03:01を含み、必要に応じてこの場合、HLA-A*03:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*03:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*03:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。
【0149】
いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分は、HLA-A*03:01である少なくとも1つの種類のMHC分子を含み、この場合、HLA-A*03:01は、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、HLA-A*03:01が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)についてHLA-A*03:01についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。
【0150】
いくつかの実施形態において、前記複数の異なる呈示部分は、少なくとも4つの種類のMHC分子を含み、この場合、前記少なくとも4つの種類のMHC分子は、HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01およびHLA-A*03:01を含む。いくつかの実施形態において、前記MHC分子のそれぞれの種類(HLA-A*24:02、HLA-A*11:01、HLA-A*02:01)が、少なくとも2つの異なるネオ抗原ペプチドと複合体形成する。いくつかの実施形態において、前記MHC分子のそれぞれの種類が、多く(例えば、約10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個)のネオ抗原ペプチドと複合体形成し、必要に応じてこの場合、ネオ抗原データベースにおけるがん(例えば、特定のがん)について前記特定のMHC分子についての少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のネオ抗原ペプチドが、前記多くの異なるネオ抗原ペプチドに含まれる。
【0151】
いくつかの実施形態において、方法は、複数の異なる呈示部分のそれぞれを別々に前記個体からのサンプルと別々に接触させること、および前記異なる呈示部分のそれぞれと会合する前記免疫細胞を別々に単離することを含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、方法は、前記複数の異なる呈示部分を前記個体からのサンプルと接触させること、および免疫細胞の前記プールを分析することを含む。例えば、多重フローサイトメトリーのための多色標識MHCテトラマー、マスサイトメトリー分析のために標識されるpMHCテトラマー、および配列決定分析のために設計されるDNA標識テトラマーの使用もまた報告されている。例えば、Andersen et al.Nat Protoc.2012 Apr 12;7(5):891-902を参照のこと。
【0153】
ネオ抗原ペプチド
ネオ抗原が様々な機構を介して形成され得る。アミノ酸コード配列を変化させることができる非同義的な体細胞変異は、ネオエピトープの主たる原因である。体細胞の非同義的なタンパク質を変化させる変異を除いて、腫瘍ネオ抗原が選択的スプライシングのバリエーションから生じ得る。多数の計算方法およびデータベースが、選択的スプライシング事象をRNA-seqデータから特定するために開発されている(例えば、SplAdderおよびCancerSplicingQTL2)。例えば、Kahles et al.,Bioinformatics 32 1840-1847;Tian et al.,Nucleic Acids Res.47 D909-D916を参照のこと。計算戦略が、腫瘍トランスクリプトームにおけるイントロン保持事象から生成するネオエピトープを特定するために開発され、これらのネオエピトープがプロセシングされ、MHC-I上に提示されることが確認された。例えば、Smart et al.Nat.Biotechnol.36 1056-1058を参照のこと。
【0154】
ネオ抗原の検出およびスクリーニング
様々な方法が、ネオ抗原を検出し、スクリーニングするための利用可能である。小型化システムにおけるサンドイッチ免疫アッセイにより、腫瘍抗原が、患者から取り出された血清サンプルにおいて首尾よく特定され得る。例えば、Pollard et al.,Proteomics Clin.Appl.1 934-952(2007);Yang et al.,Biosens.Bioelectron.40 385-392(2013)を参照のこと。血清学的プロテオーム分析(SERPA)または2Dウエスタンブロットと呼ばれる別のツールが、一次元目における等電点電気泳動(IEF)ゲル泳動と、二次元目におけるSDS-PAGEゲル泳動とからなる。SERPAでは、タンパク質がその等電点(IP)および分子量によってゲルの中で分離され、その後、タンパク質がゲルから、抗体をスクリーニングするためのキャリアメンブランに転写される。最後に、抗原タンパク質のスポットがMSによって特定され得る。例えば、Tjalsma et al.,Proteomics Clin.Appl.2 167-180(2008)を参照のこと。このアプローチが、抗原を異なる腫瘍タイプにおいて特定するために使用されている。組換えcDNA発現ライブラリーの血清学的分析(SEREX)が、これは血清学的分析を抗原クローニング技術と組み合わせているので、腫瘍の抗原レパートリーを探索するために広く使用されている技術である。SEREXでは、最初に、cDNAライブラリーががん細胞系または新鮮な腫瘍サンプルから構築され、その後、このcDNAライブラリーががん患者の自己血清によりスクリーニングされ、最後に、免疫反応性クローンが配列決定される。SEREXにより、CTA、分化抗原、変異抗原、スプライスバリアント抗原および過剰発現抗原を含めて様々な腫瘍抗原が特定されている。例えば、Chen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94 1914-1918(1997)を参照のこと。さらに、他の方法、例えば、多重親和性タンパク質プロファイリング(MAPPing)およびナノプラズモンバイオセンサーもまた、腫瘍抗原を特定するために開発されている。例えば、Lee et al.,Biosens.Bioelectron.74 341-346(2015)を参照のこと。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、ネオ抗原データベース(例えば、本明細書中に記載されるネオ抗原データベースのいずれか)から得られる。例えば、Tanらは、下記のような4つの基準に基づくヒト腫瘍ネオ抗原ペプチドのための手作業により精選されたデータベース(「dbPepNeo」)を構築した:(i)ペプチドがヒト腫瘍組織またはヒト腫瘍細胞系から単離された;(ii)ペプチドが非同義的な変異をアミノ酸配列に含有した;(iii)ペプチドにはHLA-I分子が結合し得る;(iv)ペプチドにより、CD8+T細胞応答が誘導され得る。Tan et al.,Database(Oxford).2020 Jan 1;2020:baaa004を参照のこと。Xiaらは、16,745個の共有のがん体細胞変異に由来する全がんレベルの予測されたHLA-Iネオエピトープを提供する別のデータベースNEPdbを、最先端の予測因子を使用して構築した。Xia et al.,Front Immunol.2021;12:644637を参照のこと。Wuらは、The Cancer Genome Atlas(TCGA)およびThe Cancer Immunome Atlas(TCIA)からの7748個の腫瘍サンプルを用いた、16個の腫瘍タイプについての体細胞変異データおよびヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子情報の全がん免疫ゲノム分析に基づいて、包括的な腫瘍特異的ネオ抗原データベース(TSNAdb v1.0)を開発した。Wu et al.,enomics Proteomics Bioinformatics.2018 Aug;16(4):276-282を参照のこと。
【0156】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、前記個体(例えば、がんを有した患者)の生物学的情報を分析することから得られる。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドはがん患者の腫瘍ゲノムのコンピューター解析から得られる。例えば、Roudko et al.Front Immunol.2020;11:27を参照のこと。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドはがん患者のトランスクリプトームのコンピューター解析から得られる。例えば、Caushi et al.,Nature.2021 Aug;596(7870):126-132を参照のこと。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドはがん患者のプロテオームのコンピューター解析から得られる。例えば、Wen et al.Nat Commun.2020 Apr 9;11(1):1759を参照のこと。
【0157】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは患者データから選択される。いくつかの実施形態において、前記患者データは、特定のタイプのがん(例えば、ここで記載されるがんのいずれか)を有する一群の患者からのデータに由来する。いくつかの実施形態において、前記患者データは、いずれかのがんを有する一群の患者からのデータに由来する。いくつかの実施形態において、前記一群の患者は、同じ性別(例えば、男性または女性)の患者である。いくつかの実施形態において、前記一群の患者は、同じ民族性の患者である。いくつかの実施形態において、前記一群の患者は1またはそれを超えるバイオマーカー(例えば、特定の遺伝子における異常、例えば、KRASにおける異常、例えば、PTENにおける異常)を有する。
【0158】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、腫瘍特異的変異を含有することが知られているいずれかのポリペプチド、または腫瘍特異的変異を含有することが見出されているポリペプチドに由来する。前記ネオ抗原ペプチドが由来し得る好適なポリペプチドが、例えば、この分野で利用可能な様々なデータベース(例えば、COSMICデータベース)において見出され得る。これらのデータベースは、ヒトがんにおける体細胞変異に関する包括的情報を精選する。いくつかの実施形態において、前記ペプチドは腫瘍特異的変異を含有する。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的変異は、特定のがんタイプについてのドライバー変異である。
【0159】
いくつかの実施形態において、腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドのライブラリーが、(例えば、上記で記載されるような患者の一人または一群に基づいて)合成される。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドはエクソームのハイスループット配列決定によって得られ、エピトープ予測アルゴリズムにより予備スクリーニングされる。
【0160】
ネオ抗原ペプチドの選択
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される前記ベイト組成物において使用される前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドはさらに、1またはそれを超える選択基準に基づいて最適化される。
【0161】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドはさらに、細胞表面HLA分子でプロセシングおよび/または提示されるそれらの可能性に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、インシリコ予測アルゴリズム(例えば、本明細書中に記載されるアルゴリズムのいずれか)が選択のための基礎として使用される。いくつかの実施形態において、免疫ペプチドミクス分析が選択のための基礎として使用される。
【0162】
計算アルゴリズム、例えば、大きいインビトロ実験データセットで訓練されるNetMHC(例えば、Andreatta et al.,Bioinformatics 32,511-517,2016を参照のこと)、NetMHCpan(例えば、Rammensee et al.,Immunogenetics 50,213-219,1999を参照のこと)、およびMHCflurry(O’Donnell et al.,Cell Syst.7,129-132.e124,2018)を使用して、予測されたHLAタイプに高い親和性で結合する候補ネオ抗原を優先順位付けし得る。例えば、NeopepseeおよびpVAC-Seqが、腫瘍体細胞変異についての代表的な分析パイプラインである(Hundal et al.,Genome Med.8,11,2016;Kim et al.,Ann.Oncol.29,1030-1036,2018)。最近では、新しい予測モデル、すなわち、腫瘍HLAペプチド質量分析(MS)データセットに基づくEDGEは、陽性予測値が最大で9倍増加している。(Bulik-Sullivan et al.,Nat.Biotechnol.18:4313)。
【0163】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、a)MHC分子および/またはb)同族TCR分子に対するその結合親和性に基づいて選択される。
【0164】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、5000nM(IC50)未満である結合親和性をMHC分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、約500nM~5000nM(IC50)の結合親和性をMHC分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、500nM(IC50)未満である結合親和性をMHC分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、約250nM~500nM IC50の結合親和性をMHC分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、250nM(IC50)未満である結合親和性をMHC分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、100nM(IC50)未満である結合親和性をMHC分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、約50nM~500nM IC50の結合親和性をMHC分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、50nM(IC50)未満である結合親和性をMHC分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、約1nM~50nM IC50の結合親和性をMHC分子に対して有する。
【0165】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、5000nM(IC50)未満である結合親和性を同族TCR分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、約500nM~5000nM(IC50)の結合親和性を同族TCR分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、約50nM~500nM IC50の結合親和性を同族TCR分子に対して有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、約1nM~50nM IC50の結合親和性を同族TCR分子に対して有する。
【0166】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、その変異状態に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、野生型ペプチドと比較して、N末端から数えて3番目のアミノ酸位置に変異を有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、2またはそれを超える(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つの)体細胞変異を含む場合がある。
【0167】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、その疎水性状態に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは疎水性である。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、高い含有量の芳香族残基を有する。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、少なくとも約10%、20%、30%、または40%の芳香族残基を有する。
【0168】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは、約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性をMHC分子に対して有し、約1nM~約5000nM(例えば、約1nM~約50nM、約50nM~約500nM、約500nM~約5000nM)の結合親和性を同族TCR分子に対して有し、野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有し、疎水性であり、かつ、高い含有量の芳香族残基を有する。
【0169】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは低い免疫原性を有する。前記ネオ抗原ペプチドの免疫原性が、この目的のために開発されるアルゴリズムによって予測され得る。例えば、Riley et al.,Front Immunol.2019 Aug 28;10:2047;例えば、Schmidt et al.,Cell Rep Med.2021 Feb 6;2(2):100194を参照のこと。
【0170】
いくつかの実施形態において、前記がん抗原ペプチドはユニバーサル配列またはその一部に挟まれている場合がある。いくつかの実施形態において、ユニバーサル配列または一部は、ポリヌクレオチドMHCテンプレート内の抗原ペプチドをコードするヌクレオチドを置き換えるための、または挿入するための迅速なハイスループット方法を可能にする。
【0171】
いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドはさらに、それぞれの別個ポリペプチドの同一性と作動可能に関連する特有の定義されたバーコード配列を含む。いくつかの実施形態において、前記特有の定義されたバーコードは、前記免疫細胞の分析中に特定のための抗原特異的配列を提供する。例えば、Peng et al.,Cell Rep.2019 Sep 3;28(10):2728-2738.e7を参照のこと。
【0172】
ネオ抗原ペプチドのサイズは、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約23個、約24個、約25個、約26個、約27個、約28個、約29個、約30個、約31個、約32個、約33個、約34個、約35個、約36個、約37個、約38個、約39個、約40個、約41個、約42個、約43個、約44個、約45個、約46個、約47個、約48個、約49個、約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、約100個、約110個、約120個またはそれを超えるアミノ分子残基、およびその中から導き出せる範囲を含むことができ、しかしこれらに限定されない。好ましい実施形態において、前記ネオ抗原ペプチド分子は50個のアミノ酸に等しいか、または50個未満のアミノ酸である。
【0173】
いくつかの実施形態において、MHCクラスI分子と複合体形成する前記ネオ抗原ペプチドは15残基またはそれ未満の長さを有し、通常の場合には約8個~約11個の間の残基からなり、特に9個または10個の残基からなる。いくつかの実施形態において、MHCクラスII分子と複合体形成する前記ネオ抗原ペプチドは6個~30個の残基を有する。
【0174】
望ましいならば、より長いペプチドが幾通りかの方法で設計され得る。例えば、HLA対立遺伝子上におけるペプチドの提示可能性が予測されるとき、または知られているときには、より長いペプチドが下記のどちらかからなり得る:(1)2個~5個のアミノ酸の伸長をそれぞれの対応する遺伝子産物のN末端およびC末端に向かって有する個々の提示されたペプチド;(2)伸長配列をそれぞれについて有する提示されたペプチドの一部またはすべての連結。
【0175】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは長さが約8個~50個のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは長さが約8個~10個のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは長さが10個超のアミノ酸であり、長さが15個超のアミノ酸であり、長さが20個超のアミノ酸であり、または長さが30個超のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、前記ネオ抗原ペプチドは長さが約24個~40個のアミノ酸である。
【0176】
いくつかの実施形態において、方法では、複数のネオ抗原ペプチドペプチドを構築すること(例えば、実施例1および
図1などにおいてライブラリーを組み立てること)が伴う。いくつかの実施形態において、前記複数のネオ抗原ペプチドは、知られている変異(例えば、Kras変異)に基づく。いくつかの実施形態において、1つの知られている変異(例えば、点変異、例えば、Kras G12D、G12V、G12C、G12R、G12A、またはG12I)に基づく前記複数のネオ抗原ペプチドは、少なくとも5個、10個、12個、15個、18個または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、1つの知られている変異に基づく前記複数のネオ抗原ペプチドは、a)約1nM~約5000nMの結合親和性をMHC分子に対して有し、b)約1nM~約5000nMの結合親和性を同族TCR分子に対して有し、c)野生型ペプチドと比較して変異を、必要に応じてN末端から数えて3番目のアミノ酸位置に有し、d)疎水性であり、かつ/またはe)高い含有量の芳香族残基を有する少なくとも約5個、10個、12個、15個、18個または20個の別個のネオ抗原ペプチドを含む。
【0177】
ベイト組成物設計のための例示的な考慮すべき事項
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、下記に記載されるような1またはそれを超える工程を介して選択される。
【0178】
1.最適化された数の腫瘍サブクローンを網羅する一組のペプチドの決定
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドはトランカルペプチドを含む。本明細書中に記載されるトランカルペプチドは、すべてまたはほとんどの腫瘍サブクローンによって提示されるペプチドを示し、ベイト組成物に含めることが優先される。
【0179】
高い確率で提示されることが予測されるトランカルペプチドが存在しないならば、または高い確率で提示されることが予測されるトランカルペプチドの数が、追加の非トランカルペプチドが呈示部分に含められ得るほど十分に少ないならば、さらにペプチドを、腫瘍サブクローンの数および同一性を推定し、網羅される腫瘍サブクローンの数を最大化するようにペプチドを選ぶことによって優先付けすることができる。
【0180】
2.ネオ抗原選択
ネオ抗原ペプチドが様々な方法またはプロセスを介して選択され得る。いくつかの実施形態においては、候補ネオ抗原を下記軸の少なくとも1つまたはそれを超えるものを有する空間に配置し、統合的アプローチを使用して選択を最適化する、下記に記載される統合多次元モデルを適用する。例えば、国際公開WO2019050994Aを参照のこと。
【0181】
1.配列決定のアーチファクトの確率(アーチファクトのより低い確率が典型的には好ましい)。
【0182】
2.提示確率(より高い提示確率が典型的には好ましい)。
【0183】
3.遺伝子発現(より高い発現が典型的には好ましい)。
【0184】
4.HLA遺伝子の網羅(一組のネオ抗原の提示に関わるより多くの数のHLA分子が典型的には好ましい)。
【0185】
5.両MHCクラスの網羅(MHC-IおよびMHC-IIの両方を網羅することが好ましい)。
【0186】
例示的なベイト組成物、呈示部分およびネオ抗原(例えば、個体からの免疫細胞を肺がん(例えば、NSCLC)の存在について分析するためのもの)
例示的なベイト組成物が、本明細書中に記載される方法論を使用して決定された。
【0187】
【0188】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、配列番号1~配列番号56からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、少なくとも2個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個または50個の)配列を含む。
【0189】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、配列番号1~配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドはさらに、配列番号6~配列番号50からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、少なくとも2個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個または40個の)配列、ならびに/あるいは配列番号51~配列番号56からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個、5個または6個の)配列を含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、配列番号6~配列番号50からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、少なくとも2個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個または40個の)配列を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、配列番号6~配列番号50に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドはさらに、配列番号1~配列番号5からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個または5個の)配列、ならびに/あるいは配列番号51~配列番号56からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個、5個または6個の)配列を含む。
【0191】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、配列番号51~配列番号56に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドはさらに、配列番号6~配列番号50からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、少なくとも2個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個または40個の)配列、ならびに/あるいは配列番号1~配列番号5からなる群から選択される1またはそれを超える1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個または5個の)配列を含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の)ネオ抗原ペプチドは、配列番号1、配列番号6、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号35~配列番号37、配列番号40および配列番号48からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える(例えば、5個、10個、15個、20個、25個または30個の)ネオ抗原ペプチドは、配列番号9~配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号19、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28~配列番号34、配列番号38、配列番号39、配列番号41~配列番号47、配列番号49および配列番号50からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個または4個の)ネオ抗原ペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号5および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0195】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個または5個の)ネオ抗原ペプチドは、配列番号3、配列番号14、配列番号17、配列番号20および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個または4個の)ネオ抗原ペプチドは、配列番号53、配列番号55、配列番号51および配列番号52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える(例えば、1個または2個の)ネオ抗原ペプチドは、配列番号54および配列番号56からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドは、配列番号1~配列番号56に示されるアミノ酸配列を含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は、表1に示されるように対形成する1またはそれを超える(例えば、少なくとも2個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個または50個の)MHC-ペプチド複合体(すなわち、pMHC)を含む1またはそれを超える呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は、表1によるMHC分子と複合体形成する、配列番号1~配列番号5に示される1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドを含むpMHCを含む1またはそれを超える呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は、表1によるMHC分子と複合体形成する、配列番号6~配列番号50からなる群から選択されるアミノ酸を含む1またはそれを超える(例えば、少なくとも2個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個または40個の)ネオ抗原ペプチドを含むpMHCを含む1またはそれを超える呈示部分を含む。いくつかの実施形態において、前記ベイト組成物は、表1によるMHC分子と複合体形成する、配列番号51~配列番号56からなる群から選択されるアミノ酸を含む1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個、5個または6個の)ネオ抗原ペプチドを含むpMHCを含む1またはそれを超える呈示部分を含む。
【0200】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号1、配列番号6、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号35~配列番号37、配列番号40および配列番号48からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の)アミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-A*24:02である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号1、配列番号6、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号35~配列番号37、配列番号40および配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-A*24:02である。
【0201】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号9~配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号19、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28~配列番号34、配列番号38、配列番号39、配列番号41~配列番号47、配列番号49および配列番号50からなる群から選択される(例えば、5個、10個、15個、20個、25個または30個の)アミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-A*11:01である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号9~配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号19、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28~配列番号34、配列番号38、配列番号39、配列番号41~配列番号47、配列番号49および配列番号50に示されるアミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-A*11:01である。
【0202】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号2、配列番号4、配列番号5および配列番号8からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個または4個の)アミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-A*02:01である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号2、配列番号4、配列番号5および配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-A*02:01である。
【0203】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号3、配列番号14、配列番号17、配列番号20および配列番号21からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個、4個または5個の)アミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-A*03:01である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号3、配列番号14、配列番号17、配列番号20および配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-A*03:01である。
【0204】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号53、配列番号55、配列番号51および配列番号52からなる群から選択される1またはそれを超える(例えば、1個、2個、3個または4個の)アミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-B分子である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号53、配列番号55、配列番号51および配列番号52に示されるアミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-B分子である。
【0205】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号54および配列番号56からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-C分子である。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号54および配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含む1またはそれを超えるMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記MHC分子はHLA-C分子である。
【0206】
いくつかの実施形態において、前記呈示部分は、配列番号1~配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むネオ抗原ペプチドを含むMHC-ペプチド複合体を含み、この場合、前記ネオ抗原ペプチドのそれぞれが表1によるMHC分子と複合体形成する。
【0207】
ネオ抗原ペプチドの改変
所望の活性または特性を有するネオ抗原ペプチドが、ある特定の所望の属性をもたらすように、一方で、所望のMHC分子と結合し、適切な免疫細胞(例えば、T細胞)を活性化するために未改変ペプチドの生物学的活性の実質的にすべてを増加させるように、または少なくとも保持するように改変され得る。例えば、本明細書中に記載されるネオ抗原ペプチドを、様々な変化、例えば、保存的または非保存的のいずれかの置換に供することができ、そのような変化により、その使用におけるある特定の利点、例えば、改善されたMHC結合、安定性または提示がもたらされる可能性がある。保存的置換によって、あるアミノ酸残基を、生物学的および/または化学的に類似する別のアミノ酸残基により置き換えること、例えば、1つの疎水性残基を別の疎水性残基に、または1つの極性残基を別の極性残基に置き換えることが意味される。前記置換は、様々な組み合わせ、例えば、Gly、Ala;Val、Ile、Leu、Met;Asp、Glu;Asn、Gin;Ser、Thr;Lys、Arg;およびPhe、Tyrを含んでいる。単一のアミノ酸置換の影響もまた、D-アミノ酸を使用して確かめることができる。そのような改変を、例えば、Merrifield,Science 232:341-347(1986);Barany&Merrifield,The Peptides,Gross&Meienhofer編(N.Y.,Academic Press),pp.1-284(1979);およびStewart&Young,Solid Phase Peptide Synthesis(Rockford,111.,Pierce),第2版(1984)に記載されるような広く知られているペプチド合成手順を使用して行うことができる。
【0208】
本明細書中に記載されるタンパク質またはペプチドを、標準的な分子生物学的技術によるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの発現、天然供給源からのタンパク質またはペプチドの単離、あるいはタンパク質またはペプチドの化学合成を含めて、どのような技術であれ当業者に知られている技術によって作製することができる。様々な遺伝子に対応するヌクレオチド配列およびタンパク質配列、ポリペプチド配列およびペプチド配列が以前に開示されており、これらの配列を、当業者に知られているコンピューター化されたデータベースで見出すことができる。1つのそのようなデータベースが、国立衛生研究所のウェブサイトにある国立バイオテクノロジー情報センターのGenbankデータベースおよびGenPeptデータベースである。知られている遺伝子についてのコード領域が、本明細書中に開示される技術を使用して、または当業者には公知であろうように増幅され得る、かつ/または発現され得る。あるいは、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドの様々な市販調製物が当業者には知られている。
【0209】
呈示部分に結合する免疫細胞を単離すること、培養することおよび/または分析すること
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法は、前記呈示部分と会合する免疫細胞を単離すること、および前記単離された免疫細胞を分析することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法はさらに、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養することを含む。
【0210】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法は、前記単離された免疫細胞を、前記分析する工程に先立って培養する工程を含まない。
【0211】
いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、前記呈示部分と会合する免疫細胞を前記サンプルの残部から分離することを含む。
【0212】
いくつかの実施形態において、前記単離する工程は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用することを含む。いくつかの実施形態において、前記呈示部分を、1またはそれを超える蛍光性の結合部分、例えば、蛍光分子に付着または結合するストレプトアビジンコアに付着させてもよい。いくつかの実施形態において、前記呈示部分は蛍光性であり、または直接蛍光体にコンジュゲートする。いくつかの実施形態において、前記呈示部分の内部における複数の要素(例えば、粒子、結合部分、結合成分)が、異なる蛍光体をそれぞれが含むことを含めて蛍光性であり得る。いくつかの実施形態において、使用される前記呈示部分は磁性または非磁性である。いくつかの実施形態において、磁気分離方法が、FACSとともに、(例えば、FACSの前において、FACSの後において、またはFACSの前および後において)使用され得る。いくつかの実施形態において、磁気活性化細胞選別、親和性クロマトグラフィー、またはこの技術分野で知られている細胞選別の様々な方法のいずれかが使用される。
【0213】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞(例えば、CD8+T細胞)、ヘルパーT細胞(例えば、CD4+T細胞)メモリーT細胞および腫瘍浸潤T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞はヘルパーT細胞である。
【0214】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞はB細胞である。いくつかの実施形態において、前記B細胞はメモリーB細胞である。
【0215】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は、単離された単一の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞は免疫細胞の混合物の中に存在する。例えば、前記単離された免疫細胞(例えば、T細胞)は、前記呈示部分と接触したときには免疫細胞の混合物(例えば、T細胞および抗原提示細胞の両方を含有する混合物)の中に存在し得る。いくつかの実施形態において、免疫細胞の前記混合物は、T細胞、メモリーT細胞、マクロファージ細胞、または樹状細胞、あるいはそれらの組み合わせを含む混合物である。
【0216】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を培養することが、前記単離された免疫細胞(例えば、T細胞)を本明細書中に記載される1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドとともにインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞(例えば、T細胞)を培養することが、前記単離された免疫細胞(例えば、T細胞)を本明細書中に記載される1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドとともに少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞(例えば、T細胞)を培養することが、前記単離された免疫細胞(例えば、T細胞)を本明細書中に記載される1またはそれを超えるネオ抗原ペプチドとともに5日未満の間、4日未満の間、3日未満の間、2日未満の間、または1日未満の間、インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を培養することが、前記単離された免疫細胞(例えば、T細胞)を1またはそれを超えるサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-15)とともにインキュベートすることを含む。
【0217】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を検出することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞を定量することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記単離された免疫細胞における1またはそれを超える核酸を配列決定することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸は、TCR配列からなる群から選択される核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、全ゲノム配列決定を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、RNA配列決定を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、単一細胞配列決定(例えば、scRNAseqなど)を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、前記バーコード配列を解読することを含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、前記腫瘍特異的ネオ抗原活性化免疫細胞における再編成された遺伝子を特定することを含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、再編成されたT細胞受容体(TCR)遺伝子を特定することを含む。
【0218】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、前記ベイト組成物に結合する免疫細胞の数または割合を算出し、免疫細胞の前記数または割合が閾値レベルを超えているかどうかを判定することを含み、この場合、閾値レベルを超える免疫細胞の前記数または割合により、前記個体におけるがんが示される。いくつかの実施形態において、前記免疫細胞はT細胞(例えば、総T細胞)である。いくつかの実施形態において、前記免疫細胞は、CD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、前記免疫細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの実施形態において、前記免疫細胞はメモリーT細胞である。いくつかの実施形態において、前記閾値は、前記個体からの前記サンプル(例えば、血液)において得られる合計で約1×105個、5×105個、1×106個、2×106個、6×106個、1×107個、2×107個、5×107個、または1×108個の細胞(例えば、免疫細胞)内の、前記ベイト組成物に結合する少なくとも約10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、150個、200個、250個、500個、1000個、2000個、3000個、4000個または5000個の免疫細胞である。いくつかの実施形態において、少なくとも約1×105個のCD8細胞が分析され、カットオフが、0.001%超(例えば、約0.001%超、0.002%超、0.003%超、0.004%超または0.005%超のCD8細胞、および少なくとも2超、3超、4超、5超、6超、7超、8超、9超または10超の事象に設定される。いくつかの実施形態において、少なくとも約1×105個のCD8細胞が分析され、カットオフが、0.005%超のCD8細胞および少なくとも約10超の事象に設定される。
【0219】
前記免疫レパートリーの分析では通常、異なるTCR配列の増幅状態を評価し、少数のT細胞クローンの大きな拡大があるかどうかを判定するために使用される1またはそれを超える多様性指数、例えば、シャノンエントロピー、クローン性、および高拡大クローン(HEC)比が伴う。例えば、Li et al.,Cancer Commun(Lond).2020 Oct;40(10):473-483を参照のこと。最大の多様性が、シャノンエントロピーの算出結果に一致して健常集団の末梢血サンプルにおいて見出されたことが見出されている。そのうえ、腫瘍を有する患者からのセンチネルリンパ節におけるTCRレパートリー多様性が、腫瘍組織での場合よりも大きかった。
【0220】
いくつかの実施形態において、免疫細胞を分析することが、前記個体から得られるT細胞のレパートリー多様性(例えば、シャノン多様性)を分析することを含む。いくつかの実施形態において、レパートリー多様性を分析することが、前記個体から得られるT細胞のレパートリー多様性を参照個体(例えば、健常個体、または一群の健常個体)からのT細胞のレパートリー多様性と比較すること、および前記レパートリー多様性が閾値よりも小さいかを判定することを含み、この場合、前記レパートリー多様性(例えば、シャノン多様性)が、閾値となる多様性よりも小さいことにより、前記個体におけるがんが示される。いくつかの実施形態において、前記閾値は、参照個体からのT細胞のシャノン多様性よりも低い(例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、または30%)低いシャノン多様性であり、これにより、前記個体におけるがんが示される。
【0221】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、シグネチャープロフィルを生成することを含む。いくつかの実施形態において、前記シグネチャープロフィルは特定のがんに関連づけられる。いくつかの実施形態において、前記がんは肝細胞癌(HCC)であり、前記シグネチャープロフィルは三遺伝子シグネチャーを含み、この場合、前記3つの遺伝子が、CXCR2、CCR2およびEP400である。例えば、Shi et al.,Eur J Cancer.2014 Mar;50(5):928-36を参照のこと。
【0222】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、CD8および/またはCD4 T細胞のシグネチャープロフィル(例えば、遺伝子発現プロフィル(RNA-seq)、遺伝子再編成、5mC、5hmCまたは5caCのプロフィル)を生成することを含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することが、1またはそれを超える核酸を配列決定し、ライブラリーを生成することを含む。いくつかの実施形態では、前記1またはそれを超える核酸はレパートリー関連核酸(例えば、VDJ遺伝子関連のDNAまたはRNA)である。いくつかの実施形態において、前記単離している免疫細胞を分析することがさらに、前記T細胞のレパートリーを上記で記載されるように分析することを含む。
【0224】
いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超える核酸の前記配列を分析することが、a)前記1またはそれを超える核酸について富化される富化サンプルを前記単離された免疫細胞から得ること、およびb)前記富化サンプルにおける前記1またはそれを超える核酸を配列決定することを含む。
【0225】
いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞を質量分析法による分析に供することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞を、配列決定を使用するトランスポザーゼアクセス可能クロマチンのためのアッセイ(Assay for Transposase-Accessible Chromatin using sequencing)(ATAC)-配列決定に供することを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、前記単離された免疫細胞をクロマチン免疫沈降(ChIP)-配列決定に供することを含む。
【0226】
腫瘍特異的免疫細胞(例えば、T細胞、例えば、CD8+T細胞)のエピジェネティック修飾が報告されている。例えば、Yang et al.,Genome Biol 21,2(2020);Villanueva et al.,Trends Immunol.2020 Aug;41(8):676-691を参照のこと。いくつかの実施形態において、前記単離された免疫細胞を分析することがさらに、1またはそれを超えるエピジェネティック修飾を前記単離された免疫細胞のT細胞受容体遺伝子において特定することを含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるエピジェネティック修飾は、ヒストンアセチル化、ヒストンユビキチン化、および/またはヒストンメチル化を含む。いくつかの実施形態において、前記1またはそれを超えるエピジェネティック修飾は、DNAまたはRNAのメチル化、ヒドロキシル化、および/またはヒストングリコシル化を含む。
【0227】
個体
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される個体は、哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、ネコまたはウマ)である。いくつかの実施形態において、前記個体はヒトである。
【0228】
いくつかの実施形態において、前記個体は、がん(例えば、任意のがん、または特定のタイプのがん)を有すると以前に診断されたことがない。
【0229】
いくつかの実施形態において、前記個体は、がんを有すると以前に診断されたことがある。
【0230】
いくつかの実施形態において、前記個体は微小残存病変(MRD)を有する。いくつかの実施形態において、前記個体は微小残存がんを有する。いくつかの実施形態では、前記微小残存がんは、前記がんが外科切除された後、または治癒した後で認められる。いくつかの実施形態において、前記微小残存病変は微小すぎて、画像化機器(例えば、前記がんを検出するために日常的に使用される、または標準的な画像化機器)によって検出することができない。いくつかの実施形態において、前記微小残存病変の場所は多様である。いくつかの実施形態において、前記微小残存がんは、免疫回避または処置に対する抵抗性の結果である。いくつかの実施形態において、前記個体はがんについて以前に処置されたことがあり、前記処置の後ではがんの病理学的症状を全く示していない。
【0231】
いくつかの実施形態において、前記個体は、がんを発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、がんを有する前記リスクは、家族歴、変異、環境要因および年齢からなる群から選択されるいずれか1またはそれを超える要因に基づく。いくつかの実施形態において、前記個体は、家族歴、変異、環境要因および年齢からなる群から選択されるいずれか1またはそれを超える要因に基づいて、がん(例えば、いずれかの特定の種類のがん)を発症するリスクが、少なくとも20%、30%、40%または50%であると医師によって予測される。
【0232】
いくつかの実施形態において、前記個体はヒトであり、少なくとも約50歳(例えば、少なくとも約50歳、60歳、70歳または80歳)である。
【0233】
いくつかの実施形態において、前記個体は14歳以下である。
【0234】
いくつかの実施形態において、前記個体は雄性(男性)である。いくつかの実施形態において、前記個体は雌性(女性)である。
【0235】
がん
本明細書中に記載されるがんは、一般のがん、またはいずれかのタイプのがんであり得る。いくつかの実施形態において、前記がんは固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、前記がんは液性がんである。
【0236】
いくつかの実施形態において、前記がんは、癌、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、胚細胞腫瘍、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記がんは扁平上皮癌または腺癌である。
【0237】
いくつかの実施形態において、前記がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、鼻咽頭がん、結腸直腸がん、肛門がん、肝臓がん、膀胱がん、精巣がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がん、甲状腺がん、メラノーマがんおよび乳がんからなる群から選択される。
【0238】
いくつかの実施形態において、前記がんは再発がんである。
【0239】
レポートを作成すること
いくつかの実施形態において、個体のサンプルを分析する前記方法はさらに、前記個体におけるがん状態に関する情報を含むレポートを作成することを含む。
【0240】
いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、がんの存在の可能性、がんの分類、がんのタイプ、がんの性質、がんの起源、がんのステージ、がん増悪の可能性、1またはそれを超えるがん症状を発症する可能性、ならびに/あるいは前記個体のための処置選択肢を含む。
【0241】
前記がん状態に関する前記情報は、前記ベイト組成物に結合する前記免疫細胞を上記で議論されるように分析することから集められる結果に基づく。いくつかの実施形態において、がんの存在の可能性は、前記ベイト組成物に結合する免疫細胞(例えば、T細胞)の数および/または割合に全面的に、または少なくとも部分的に基づく。例えば、前記ベイト組成物に結合する免疫細胞(例えば、T細胞、例えば、CD8 T細胞、例えば、CD4 T細胞)の数および/または割合が閾値レベル(例えば、上記で記載される閾値レベル)を有意に超えているとき、作成されたレポートは、前記がんが前記個体に存在しているという情報を含む。免疫細胞(例えば、T細胞、例えば、CD8 T細胞、例えば、CD4 T細胞)の数および/または割合が閾値に近いか、または閾値を超えており、しかし、閾値を有意に超えていないとき、作成されたレポートは、前記がんの存在の可能性が中位または高いという情報を含む。
【0242】
いくつかの実施形態において、がんの存在の可能性は、前記ベイト組成物に結合するT細胞のレパートリー多様性に全面的に、または少なくとも部分的に基づく。例えば、前記ベイト組成物に結合するT細胞(例えば、CD8 T細胞、例えば、CD4 T細胞)のレパートリー多様性(例えば、シャノン多様性)が前記閾値を有意に下回るとき、作成されたレポートは、前記がんが前記個体に存在しているという情報を含む。前記ベイト組成物に結合するT細胞(例えば、CD8 T細胞、例えば、CD4 T細胞)のレパートリー多様性(例えば、シャノン多様性)が前記閾値に近いか、または前記閾値を下回り、しかし、前記閾値を有意に下回らないとき、作成されたレポートは、前記がんの存在の可能性が中位または高いという情報を含む。
【0243】
いくつかの実施形態において、がん状態に関する前記情報は、遺伝子発現プロフィルシグネチャー、遺伝子変異プロフィルシグネチャー、および/またはエピジェネティック修飾シグネチャーを含む。いくつかの実施形態において、前記シグネチャーエピジェネティック修飾は、DNAメチル化シグネチャーおよびヒストングリコシル化シグネチャーを含む。
【実施例】
【0244】
以下の実施例は、本発明を純粋に例示していることが意図され、そのため、本発明をいかなる点でも限定するように見なしてはならない。下記の実施例および詳細な説明は例示として提供されており、限定としては提供されていない。
【0245】
実施例1.
A.方法
HLA精製
HLA-A:02:01、HLA-A:24:02、HLA-A:11:01、HLA-A:03:01およびβ-2Mを大腸菌において発現させた。精製されたサブユニットをクーマシーブルー染色によって確認した。例えば、
図2を参照のこと。
【0246】
Kras変異特異的ネオ抗原ライブラリー
Kras G12V、Kras G12D、Kras G12R、Kras G12Cを含めた4つの最も一般的なKras変異の1つを含むネオ抗原を、例示されたネオ抗原ライブラリーを組み立てるために選択した。それぞれの変異について20個の予測されたネオ抗原をネオ抗原の特徴に従って設計した。これらの特徴は、MHC分子および/またはT細胞との結合親和性、結合安定性、変異の配列、および公開されているネオ抗原ライブラリーを含んでいる。例えば、
図1を参照のこと。
【0247】
ネオ抗原合成
ネオ抗原ライブラリーが、Nanjing Peptide Biotech Ltd.によって合成された。ペプチドの純度が95%超であった。
【0248】
特異的ネオ抗原のためのテトラマーはインビトロでの構築であった。簡単な手順が下記の通りであった。
【0249】
1.滅菌された磁極を備える100mLのビーカーを予冷のために4℃の冷蔵庫に入れる。還元型グルタチオンを加えて、その最終濃度を5mMにする;酸化型グルタチオンを加え、その最終濃度が0.5mMである;貯蔵濃度が100mMであり(イソプロパノールを用いて調製される)、最終濃度が-20℃の冷蔵庫において0.2mMである。
【0250】
2.100nmolのMHC重鎖と、200nmolのMHC軽鎖とをそれぞれ採取し、(6Mのグアニジン塩酸塩で前もって溶解した)それらを解凍する。5mLの注入緩衝液(溶液構成を参照のこと)を加え、ピペットを使用して、高い局所的タンパク質濃度によって引き起こされる沈殿を避けるために均一に混合する。
【0251】
3.100ulのDMSOを使用して、95%以上の純度を有するペプチドの混合物(例えば、G12V、G12D、G12RまたはG12Cを含むネオ抗原の混合物)を完全に溶解する。ペプチドの溶解度に依存して、30mgのペプチドを最小量(例えば、1mL)のDMSOに溶解した。
【0252】
4.フォールディング系(すなわち、MHC-ペプチドテトラマー混合物を構築するための系)を4℃における磁気撹拌機に入れ、高速度で撹拌する。1mLのピペットを使用して、ペプチドを撹拌中のフォールディング系にゆっくり滴下する。過度な局所的ペプチド濃度を避け、ペプチドを1滴ずつ加える。
【0253】
5.調製されたMHC重鎖およびMHC軽鎖を氷上に置き、使用のために予冷する。調製が完了した後、1mLの無菌ピペットを使用して、5mLの軽鎖および重鎖の懸濁物を高速度で撹拌された反応系に加える。過度な局所的タンパク質濃度によって引き起こされる沈殿を避ける。同じ方法を、重鎖をフォールディング系に加えるときに使用し、フォールディング緩衝液を可能な限り混合棒の近くに加える。
【0254】
6.フォールディング反応系を4℃に戻し、12時間(一晩)インキュベートする。この期間中に、磁気撹拌機を使用して、フォールディング反応をより完全にするために穏やかに撹拌した(回転速度を150~200rpm/分で制御した)。
【0255】
7.インキュベーション(すなわち、MHC-ペプチド混合物の構築)の後、工程2でのように調製される1μMのMHC重鎖を工程5で記載される方法によって加え、4℃で10時間にわたって十分にインキュベートする。
【0256】
8.インキュベーション後(例えば、夕方に離れる前に)、追加の1μMの重鎖を上記(工程5)で記載されるように加え、少なくとも一晩、最大でも5日間にわたって10℃に戻す。
【0257】
9.構築されたテトラマーをアニオン交換クロマトグラフィーによって精製する。例えば、G12V変異を含むネオ抗原ペプチドを有する例示された首尾よく構築されたMHCテトラマーについて
図3を参照のこと。G12R、G12DまたはG12Cを含むネオ抗原ペプチドを有するMHCテトラマーもまた生成させた。複数のKras変異特異的ネオ抗原を発現する膵臓腫瘍細胞系の構築。
【0258】
膵臓がんにおける5つの最も一般的なKras変異を1つのプラスミドにおいて共過剰発現させ、膵臓腫瘍細胞Pan02-Luc-GFPまたは266-6-lucにおける安定的発現のために細胞にトランスフェクトして、過剰なKras変異特異的ネオ抗原を産生させた。トランスフェクトされたKras変異体配列の発現をPCRおよびマススペクトルによって検出した。例えば、
図6を参照のこと。
【0259】
5つの最も一般的なKras変異を共過剰発現する腫瘍細胞の動物モデル
皮下腫瘍モデル:異なる勾配抗原ペプチド(gradient antigen peptide)組み合わせを有する腫瘍細胞Pan02-Luc-GFP(例えば、4×10
5個)をC57BL/6Jマウスに皮下接種した。Kras変異を含むネオ抗原を標的とするT細胞の存在を、末梢血細胞を接種後の様々な日にそれぞれ、上記のように調製される特異的抗原ライブラリーを標的とするテトラマーと接触させることによって評価して、腫瘍サイズおよび免疫刺激時間に関して早期診断の時点を決定した。腫瘍サイズをバイオルミネセンスによって記録した。
図5を参照のこと。
【0260】
静脈内モデル:異なる勾配過剰発現ネオ抗原ペプチド組み合わせを有する腫瘍細胞を、尾静脈を介して接種した。Kras変異を含むネオ抗原を標的とするT細胞の存在を、上記のように調製される特異的ネオ抗原ライブラリーを標的とするテトラマーを、0日目、1日目、4日目、8日目、16日目および24日目にそれぞれインキュベートすることによって評価して、その結果、腫瘍サイズおよび免疫刺激時間に関して早期診断の時点を決定した。末梢系における残存腫瘍細胞の数を接種細胞の自己蛍光によりリアルタイムでモニターした。
【0261】
膵臓がん患者からの末梢血の収集およびT細胞の捕獲
新鮮な血液を膵臓がん患者から収集し、赤血球を室温で5分間、ACK溶解緩衝液によって溶解した。その後、白色細胞ペレットを細胞染色の前に2回、氷上で冷PBSにより洗浄した。Fcblock抗体を使用して、サンプルを4℃で10分間にわたって前処理し、CD45、CD3eまたはCD8を標的とする蛍光コンジュゲート化一次抗体をテトラマーとともに細胞特異的染色のために30分間、暗所において4℃で加えた。染色後、細胞を2回、(2%のFBSを含有する)冷PBSによって洗浄した。最後に、細胞を直ちにフローサイトメトリーによって検出し、データを、Flow Jo V10ソフトウェアによって分析した。
【0262】
B.結果
図7A~
図7B、
図8、
図9A~
図9Bに示されるように、Kras変異関連ネオ抗原特異的T細胞が、Kras変異関連ネオ抗原を発現する腫瘍細胞が静脈内または皮下に接種されるマウスにおいて(10
4個もの少ない細胞の、例えば、
図8を参照のこと)、接種後早くも4日目に(例えば、
図9A~
図9Bを参照のこと)、しかも、バイオルミネセンスを介したどのような検出にも先立って(例えば、
図10A~
図10Bを参照のこと)、またはKras変異を有している膵臓がん患者において首尾よく検出された(例えば、
図11A~
図11C、および
図12を参照のこと)。これらの結果から、テトラマーに基づいたスクリーニングプラットフォームが早期がんスクリーニングのために首尾よく適用されることが明らかにされた。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【配列表】
【国際調査報告】