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特表2024-539382優れたバリア性能を有する積層体及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】優れたバリア性能を有する積層体及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/085 20060101AFI20241018BHJP
   B32B 15/09 20060101ALI20241018BHJP
   B32B 15/095 20060101ALI20241018BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20241018BHJP
   C08J 7/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B32B15/085 Z
B32B15/09 Z
B32B15/095
C08J5/18 CES
C08J7/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526600
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2021129194
(87)【国際公開番号】W WO2023077496
(87)【国際公開日】2023-05-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】バイ、チェンイェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ガン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ、ジェー
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ファンジー
(72)【発明者】
【氏名】ユン、シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】パン、ジャンピン
(72)【発明者】
【氏名】シュー、ジンイー
(72)【発明者】
【氏名】ワン、カイリ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、リャンジャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ガオビン
【テーマコード(参考)】
4F071
4F073
4F100
【Fターム(参考)】
4F071AA16
4F071AA18
4F071AA19
4F071AG13
4F071BA01
4F071BB09
4F071BC01
4F073AA17
4F073BA07
4F073BB01
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4F073GA09
4F073HA03
4F100AA17D
4F100AB01D
4F100AB10D
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4F100AB13D
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4F100AB24D
4F100AB25D
4F100AK04A
4F100AK07B
4F100AK41C
4F100AK42B
4F100AK51C
4F100AK62A
4F100AK64B
4F100AK66B
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
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4F100CA19E
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4F100CB03E
4F100EJ37A
4F100GB15
4F100JA07C
4F100JD01
4F100JD03
4F100JL11C
4F100JL12E
4F100JN06A
4F100YY00A
4F100YY00C
4F100YY00E
(57)【要約】
積層体、積層体を含む物品、及び積層体を調製する方法が提供される。本開示は、積層体であって、金属化ポリエチレン系(PE系)フィルムを含む第1の基材と、ポリエチレンテレフタレート系フィルム又はポリプロピレン系フィルムを含む第2の基材と、第1の基材を第2の基材に接着する接着剤層であって、2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物に由来する接着剤層とを含み、金属化PE系フィルム中の脂肪酸又は脂肪酸誘導体の濃度が、金属化PE系フィルムの総重量に基づいて、300ppm未満であり、2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物が、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含み、ポリエステルポリオール成分は、ポリエステルポリオールの総重量に基づいて約40重量%~60重量%の芳香環を主鎖中に有し、分子量(Mw)が5000~50000であり、ポリエステルポリオール成分とポリイソシアネート成分との重量比が、100:5~100:30である、積層体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体であって、
金属化ポリエチレン系(PE系)フィルムを含む第1の基材と、
ポリエチレンテレフタレート系フィルム又はポリプロピレン系フィルムを含む第2の基材と、
前記第1の基材を前記第2の基材に接着する接着剤層であって、2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物に由来する接着剤層とを含み、
前記金属化PE系フィルム中の脂肪酸又は脂肪酸誘導体の濃度が、前記金属化PE系フィルムの総重量に基づいて、300ppm未満であり、
前記2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物が、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含み、
前記ポリエステルポリオール成分が、前記ポリエステルポリオールの総重量に基づいて、約40重量%~60重量%の芳香環を主鎖中に有し、分子量(Mw)が5,000~50,000であり、
前記ポリエステルポリオール成分対前記ポリイソシアネート成分の重量比が、100:5~100:30である、積層体。
【請求項2】
前記ポリエステルポリオール成分対前記ポリイソシアネート成分の重量比が、100:10~100:20である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記金属化PE系フィルムが、PE系フィルム及び金属層を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記金属化PE系フィルム中の前記PE系フィルムが、スキン層、コア層、及びシーラント層を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
粘着防止剤が、シーラント層の総重量に基づいて少なくとも200ppmの量でシーラント層中に存在する、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
滑り剤が、前記シーラント層の総重量に基づいて500ppm未満の量で前記シーラント層中に存在する、請求項4に記載の積層体。
【請求項7】
前記金属化PE系フィルムが、少なくとも1.5かつ4.0以下の光学密度(OD)を有する、請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
前記金属化PE系フィルム層中の酸化防止剤の濃度が、前記金属化PE系フィルムの総重量に基づいて3000ppm未満である、請求項1に記載の積層体。
【請求項9】
前記金属化PE系フィルム層の前記PE系フィルムが、吹込フィルム、キャストフィルム、縦方向延伸フィルム、又は二軸延伸フィルムである、請求項1に記載の積層体。
【請求項10】
前記金属層が、Al、Zn、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Ti、Sn、又はそれらの酸化物を含む、請求項3に記載の積層体。
【請求項11】
前記PP系フィルムが、前記PP系フィルムの50重量%~100重量%のPP成分を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の積層体を含む、物品。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の積層体を調製する方法であって、
1)金属化PE系フィルムを含む第1の基材と、PET系フィルム又はPP系フィルムを含む第2の基材とを提供することと、
2)2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物を使用することによって、前記第1の基材を前記第2の基材に接着することとを含み、
前記金属化PE系フィルム中の脂肪酸又は脂肪酸誘導体の濃度が、前記金属化PE系フィルムの総重量に基づいて300ppm未満であり、
前記2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物が、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含み、
前記ポリエステルポリオール成分が、前記ポリエステルポリオールの総重量に基づいて、40重量%~60重量%の芳香環を主鎖中に有し、Mwが5,000~50,000であり、
前記ポリエステルポリオール成分対前記ポリイソシアネート成分の重量比が、100:5~100:30である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体、積層体を含む物品、及び積層体を調製する方法に関する。積層体は、優れたバリア性能を示す。
【背景技術】
【0002】
今日、消費者、食品安全性、及びeコマースなどの市場動向は、包装機能に対する需要を増大させており、包装機能は、貯蔵寿命の延長及び/又は包装完全性の向上を伴うより高い性能の包装構造を必要とする。したがって、これらの変化は、より長い貯蔵寿命を確実にするために外部環境からの内容物の重要な保護を提供する高バリアフィルムの市場を急速に成長させている。
【0003】
フレキシブル包装産業において、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、及びポリプロピレン(PP)は、所望の機械的特性及びバリア特性を提供するための基材フィルムの典型的な材料である。高い剛性、良好な光学特性、及び耐熱性を有するPET又はPPフィルムは、印刷基材としてラミネートフィルムのスキン層に広く使用されている。一方、PEフィルムは、通常、PET又はPPよりも良好な靭性及びヒートシール特性を有し、積層フィルムの内側ヒートシール層として非常に一般的である。しかしながら、ポリマー特性に基づいて、PET、PP、及びPEフィルムは、典型的には、一部の肉、キャンディ、スナック、又はクッキーのようなデリケートな内容物の保護に重要である所望の高い酸素バリアを提供することができない。したがって、業界では、バリア性能を得るための様々なアプローチ、例えば、共押出によるポリマーバリア樹脂の組み込み、フィルム基材上への真空金属化、又はフィルム表面上へのバリア材料のコーティングなどが存在するが、酸素透過率(OTR)に関して積層体の高いバリア性能を達成することは、包装業界において依然として課題である。
【0004】
上記の理由から、包装産業において、優れたバリア性能を有する包装材を開発する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、優れたバリア性能を示す独自の積層体、積層体を含む物品、及び積層体を調製する方法を提供する。
【0006】
第1の態様では、本開示は、積層体であって、
金属化ポリエチレン系(PE系)フィルムを含む第1の基材と、
ポリエチレンテレフタレート系(PET系)フィルム又はポリプロピレン系(PP系)フィルムを含む第2の基材と、
第1の基材を第2の基材に接着する接着剤層であって、2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物に由来する接着剤層とを含み、
金属化PE系フィルム中の脂肪酸又は脂肪酸誘導体の濃度が、金属化PE系フィルムの総重量に基づいて、300ppm未満であり、
2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物が、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含み、
ポリエステルポリオール成分が、ポリエステルポリオールの総重量に基づいて、約40重量%~60重量%の芳香環を主鎖中に有し、分子量(Mw)が5,000~50,000であり、
ポリエステルポリオール成分対ポリイソシアネート成分の重量比が、100:5~100:30である、積層体を提供する。
【0007】
第2の態様では、本開示は、本開示の積層体を含む物品を提供する。
【0008】
第3の態様では、本開示は、本開示の積層体を調製するための方法であって、
1)金属化PE系フィルムを含む第1の基材と、PET系フィルム又はPP系フィルムを含む第2の基材とを提供することと、
2)2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物を使用することによって、第1の基材を第2の基材に接着することとを含み、
金属化PE系フィルム中の脂肪酸又は脂肪酸誘導体の濃度が、金属化PE系フィルムの総重量に基づいて300ppm未満であり、
2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物が、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含み、
ポリエステルポリオール成分が、ポリエステルポリオールの総重量に基づいて、40重量%~60重量%の芳香環を主鎖中に有し、Mwが5,000~50,000であり、
ポリエステルポリオール成分対ポリイソシアネート成分の重量比が、100:5~100:30である、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0010】
本明細書に開示されるように、全ての範囲は、特に指示がない限り、端点を含む。
【0011】
本開示の一実施形態によれば、接着剤組成物は、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含む「2成分」又は「2パート」組成物である。別の実施形態によれば、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分は、別個に包装、輸送、及び保管され、積層体の製造のために使用のすぐ前又は直前に組み合わせられる。
【0012】
「ポリエチレンポリマー」、「ポリエチレン系ポリマー」、「PE系ポリマー」、「ポリエチレン」、又は「エチレン系ポリマー」は、エチレンモノマーに由来する単位の大部分(>50モル%、又は>60モル%、又は>70モル%、又は>80モル%、又は>90モル%、又は>95モル%、又は>97モル%)を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマー又はコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において周知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、直鎖状低密度樹脂及び実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含む、シングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)が挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリエチレン材料は、一般に、当該技術分野において周知である。しかしながら、以下の記載は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの間の差異を理解するのに役立つ場合がある。
【0013】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、又は「高分岐ポリエチレン」とも称されてもよいが、ポリマーが、過酸化物などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブ又は管状反応器中で、部分的に又は完全に、ホモ重合又は共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第4,599,392号を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cm3の範囲内の密度を有する。
【0014】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系及びクロム系触媒、並びにビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)及び幾何拘束型触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される樹脂の両方を含み、線状、実質的に線状、又は不均質なポリエチレンコポリマー又はホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、同第5,582,923号、及び同第5,733,155号に更に定義されている、実質的に直鎖状エチレンポリマー;米国特許第3,645,992号のものなどの、均質に分岐した線状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、及び/又はこれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は同第5,854,045号に開示されているものなど)が挙げられる。LLDPEは、当技術分野で既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はこれらの任意の組み合わせを介して作製することができる。
【0015】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム若しくはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、又はビス-メタロセン触媒及び幾何拘束型触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製され、典型的には、2.5を超える分子量分布(「MWD」)を有する。
【0016】
「HDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.935g/cm3超~約0.970g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。
【0017】
「ULDPE」という用語は、一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒で調製される、0.880~0.912g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。
【0018】
「ポリプロピレン系ポリマー」、「PP系ポリマー」、又は「ポリピレン系ポリマー」は、ポリピレンモノマーに由来する単位の大部分(>50モル%、又は>60モル%、又は>70モル%、又は>80モル%、又は>90モル%、又は>95モル%)を含むポリマーを意味するものとする。
【0019】
「ポリエチレンテレフタレート系ポリマー」又は「PET系ポリマー」は、過半量(>50重量%、又は>60重量%、又は>70重量%、又は>80重量%、又は>90重量%、又は>95重量%)のエチレンテレフタレートを含むポリマーを意味するものとする。
【0020】
「ポリオレフィンプラストマー」は、ポリエチレンプラストマー又はポリプロピレンプラストマーであり得る。ポリオレフィンプラストマーには、例えば、メタロセン及び拘束幾何触媒などのシングルサイト触媒を使用して作製されたポリマーが含まれる。ポリオレフィンプラストマーは、0.885~0.915g/cmの密度を有する。0.885g/cm~0.915g/cmの全ての個々の値及び下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、プラストマーの密度は、0.895、0.900、又は0.905g/cmの上限から0.905、0.910、又は0.915g/cmの下限までであり得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、0.890~0.910g/cmの密度を有する。
【0021】
「ポリオレフィンエラストマー」は、ポリエチレンエラストマー又はポリプロピレンエラストマーであり得る。ポリオレフィンエラストマーは、0.857~0.885g/cmの密度を有する。0.857g/cm~0.885g/cmの全ての個々の値及び下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、低密度ポリエチレンの密度は、0.857、0.860、0.865、0.870、又は0.875g/cmの下限から0.870、0.875、0.880、又は0.885g/cmの上限までであり得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、0.860~0.880g/cmの密度を有する。
【0022】
「ポリエチレン系フィルム」又は「PE系フィルム」は、フィルムの総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセントのポリエチレン、少なくとも95重量パーセントのポリエチレン、少なくとも97重量パーセントのポリエチレンを含むフィルムを指す。
【0023】
「ポリプロピレン系フィルム」又は「PP系フィルム」は、フィルムの総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセントのポリプロピレン、少なくとも95重量パーセントのポリプロピレン、少なくとも97重量パーセントのポリプロピレンを含むフィルムを指す。
【0024】
「ポリエチレンテレフタレート系フィルム」又は「PET系フィルム」は、フィルムの総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセントのポリエチレンテレフタレート、少なくとも95重量パーセントのポリエチレンテレフタレート、少なくとも97重量パーセントのポリエチレンテレフタレートを含むフィルムを指す。
【0025】
第1の基材
第1の基材は、金属化PE系フィルムを含む。金属化PE系フィルムは、PE系フィルムと金属層とを含む。
【0026】
金属化PE系フィルム中のPE系フィルムは、ポリエチレンを含む少なくとも1つの層を有する。ポリエチレンを含む1つの層が設けられ得る。あるいは、ポリエチレンを含む2つ以上の層が設けられ得る。これらの2つ以上の層を一緒に押出して、PE系フィルムを形成することができる。ポリエチレンを含む3つ(又は3つ以上)の層が設けられ得る。ポリエチレンを含む3つ(又は3つ以上)の層が設けられる場合、金属層に隣接する層は本明細書ではスキン層と呼ばれ、PE系フィルムの外側の金属層と反対側の層はシーラント層と呼ばれ、スキン層とシーラント層との間の1つ又は複数の層は、1つ又は複数のコア層である。ポリエチレンを含む層が1つしか設けられていない場合、本明細書でスキン層、コア層、又はシーラント層として説明したポリエチレン組成物のいずれかを使用することができる。ポリエチレンを含む層が2つしか設けられていない場合、スキン層とコア層、スキン層とシーラント層、又はコア層とシーラント層の任意の組み合わせを使用することができる。2つ以上のポリエチレン含有層が設けられる場合、各ポリエチレン含有層は、少なくとも1つの他のポリエチレン含有層に直接隣接する場合があり、又は接着剤層又は他の中間層を2つ以上のポリエチレン含有層の間に使用することができる。一実施形態では、金属化PE系フィルム中のPE系フィルムは、シーラント層を含む。一実施形態では、金属化PE系フィルム中のPE系フィルムは、スキン層、コア層、及びシーラント層を含む。
【0027】
金属化PE系フィルム中のPE系フィルムは、は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、並びに前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを含むことができる。好ましくは、金属化PE系フィルム中のPE系フィルムは、チーグラー・ナッタ触媒、シングルサイト触媒(限定されないが、メタロセンを含む)、又はクロム触媒直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、オートクレーブ生成又は管状生成低密度ポリエチレン(LDPE)、並びに前述のものの2つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0028】
金属化PE系フィルム中のPE系フィルムは、超低密度ポリエチレン、ポリオレフィンプラストマー、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンビニルアルコール、及び少なくとも50%のエチレンモノマーを含む任意のポリマー、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを更に含むことができる。
【0029】
スキン層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、並びに前述のもののうちの2つ以上の組み合わせ、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)又はそれらの組み合わせを含むことができる。このLLDPEは、シングルサイト触媒されたポリエチレン(m-LLDPEなどであるが、これには限定されない)であり得る。スキン層は、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、滑り剤、粘着防止剤、顔料又は着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤及び発泡剤などの添加剤を更に含むことができる。コア層又はシーラント層と組み合わせて使用される場合、スキン層は、金属化され、その場合、有利には滑り剤を含まないが、粘着防止剤(例えば、タルク、二酸化ケイ素など)、酸化防止剤、及び加工助剤を含み得る層である。一実施形態では、滑り剤及び粘着防止剤などの添加剤は、典型的にはスキン層に使用されない。
【0030】
コア層は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、並びに前述のものの2つ以上の組み合わせを含むことができる。コア層は、好ましくは、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。コア層は、スキン層について述べたような添加剤を含むこともできる。好ましくは、滑り剤及び粘着防止剤などの添加剤は、典型的にはコア層に使用されない。この層は、スキン層における金属層とは反対側で、スキン層に隣接することができる。
【0031】
シーラント層は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリオレフィンエラストマー又はプラストマー、並びに前述のものの2つ以上の組み合わせを含むことができる。好ましくは、シーラント層は、チーグラー・ナッタ触媒、シングルサイト触媒(メタロセンを含む)、又はクロム触媒直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、オートクレーブ製造又は管状製造低密度ポリエチレン(LDPE)、並びに前述のものの2つ以上の組み合わせを含むことができ、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、又はそれらの組み合わせを含む。LLDPEは、シングルサイト触媒されたポリエチレン(mLLDPEなど)であり得る。これは、フィルムの外部層であり得る。シーラント層は、粘着防止剤を有利に含んでもよい。例えば、粘着防止剤は、少なくとも約200ppm、少なくとも約1000ppm又は少なくとも約1500ppm、好ましくは約6000ppm以下、又は約5000ppm以下の量でシーラント層中に存在してもよい。更に、滑り剤(例えば、エルカミド)が有用である可能性がある。例えば、滑り剤は、シーラント層の総重量に基づいて、500ppm未満、又は300ppm未満、又は200ppm未満、100ppm未満、好ましくは50ppm未満、又は0ppmに等しい量でシーラント層中に存在してもよい。
【0032】
金属化PE系フィルムのPE系フィルムは、吹込フィルム、キャストフィルム、縦方向延伸フィルム、又は二軸延伸フィルムであり得る。金属化PE系フィルム層のPE系フィルムは、吹込、キャスト、水冷、ダブルバブル、又はFilm Processing Advances,Toshitaka Kanai and Gregory A.Campbell(編),Chapter 7(Biaxial Oriented Film Technology),pp.194-229に記載されているような当業者に公知の他の技術によって製造することができる。いくつかの実施形態では、製造後、フィルムを縦方向延伸(MDO)又は二軸延伸プロセスに供して、それぞれ縦方向延伸フィルム又は二軸延伸フィルムを提供してもよい。
【0033】
金属化PE系フィルム層のPE系フィルムは、ポリエチレンフィルムを金属化するための任意の既知の方法によって金属化することができる。例えば、金属層を、真空金属化を使用して塗布することができる。これには、金属源を提供し、それを真空環境で蒸発させて、フィルムの表面に凝縮させることが含まれる場合がある。金属は、PE系フィルムのスキン層上に堆積される。
【0034】
適切な金属としては、Al、Zn、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Ti、Sn、又はそれらの酸化物が挙げられる。いくつかの実施形態では、金属層は、アルミニウム又は酸化アルミニウム(Al)から形成することができる。
【0035】
金属化後、金属化PE系フィルムは、簡便にロール状に保管することができる。このプロセスでは、金属化された表面層がフィルムの反対側のポリエチレン層と接触している。
【0036】
金属化フィルムの全体の厚さは、少なくとも10ミクロン、少なくとも20ミクロン、又は少なくとも30ミクロンであり得る。特定の実施形態による金属化フィルムの総厚は、200ミクロン以下、150ミクロン以下、120ミクロン以下、100ミクロン以下、80ミクロン以下、70ミクロン以下、又は60ミクロン以下である。
【0037】
金属化PE系フィルムは、少なくとも1.5、又は少なくとも1.8、及び4.0以下、3.5以下、又は3.0以下の光学密度(OD)を有することができる。いくつかの実施形態では、ODは2.0である。金属化PE系フィルム(例えば、その上に金属層が堆積したポリエチレンフィルムを備える多層構造体)の光学密度は、光学密度計(Shenzhen Linshang Technology製のモデル番号LS177)を使用して測定することができる。
【0038】
金属化PE系フィルムは、金属化から少なくとも1週間又は少なくとも2週間、少なくとも34ダイン/cm、少なくとも38ダイン/cm、少なくとも40ダイン/cm、少なくとも42ダイン/cm、又は少なくとも46ダイン/cmの金属化表面の表面エネルギーを保持することができる。
【0039】
金属化PE系フィルムは、脂肪酸又はその誘導体が存在しない(0ppm)又は実質的に存在しないことによって特徴付けることができる。存在しない又は実質的に存在しないそのような脂肪酸又はその誘導体には、4~28個の偶数の炭素原子を有する飽和脂肪酸、例えば、ステアリン酸(18個の炭素原子)及びパルミチン酸(16個の炭素原子)など、並びにそれぞれの脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウムなどが含まれる。具体的には、金属化PE系フィルム中の脂肪酸又はその誘導体の濃度は、金属化PE系フィルムの総重量に基づいて、300ppm以下、250ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、又は50ppm以下、又は0ppmに等しくすることができる。
【0040】
金属化PE系フィルム層中の酸化防止剤の濃度は、金属化PE系フィルムの総重量に基づいて、3000ppm未満、又は2000ppm未満、又は1500ppm未満、又は1300ppm未満である。
【0041】
添加剤
酸化防止剤は、ポリマー(複数可)を安定化させるか、又はポリマー(複数可)の酸化分解を防止するためにポリマーフィルム中に含まれる化合物である。酸化防止剤は、当業者によく知られている。
【0042】
粘着防止剤は、フィルムの2つの隣接する層の間の粘着(すなわち、接着)を最小限に抑える、又は防止する化合物である。粘着は、例えばフィルムロールの巻き戻し中に問題を引き起こす可能性がある。粘着防止剤の使用は、当業者によく知られている。好適な粘着防止剤の例としては、限定されないが、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
滑り剤は、フィルム間及び/又はフィルムと機器との間の摩擦を低減するためにフィルムに添加される化合物である。典型的な滑り剤としては、移行性及び非移行性滑り剤が挙げられ、当業者によく知られている。
【0044】
接着剤層
接着剤層は、2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物に由来し、2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物は、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含む。
【0045】
A.ポリエステルポリオール成分
ポリエステルポリオールは、典型的には、2~12個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子を有する多官能性アルコールと、2~12個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子を有する多官能性カルボン酸、又はその無水物/エステルとを反応させることによって得られる。ポリエステルポリオールを調製するための典型的な多官能性アルコールは、好ましくは、ジオール、トリオール、テトラオールであり、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、トリメチロールベンゼン、及びそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。ポリエステルポリオールを調製するための典型的な多官能性カルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、又は複素環式であり得、例えば、ハロゲン原子で置換されてもよく、及び/又は飽和又は不飽和であってもよい。好ましくは、多官能性カルボン酸は、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルコハク酸、トリメリット酸、それらの無水物、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。アジピン酸又はアジピン酸とイソフタル酸との混合物が好ましい。別の実施形態では、ポリエステルポリオールは、2~30mg KOH/g、好ましくは5~25mg KOH/g、より好ましくは8~20mg KOH/gのOH価を有する。
【0046】
本開示の一実施形態によれば、ポリエステルポリオールは、少なくとも1.8、又は少なくとも1.9、又は少なくとも2.0、又は少なくとも2.1、又は少なくとも2.2、又は最大2.3、又は最大2.4、又は最大2.5、又は最大2.6、又は最大2.7、又は最大2.8、又は最大2.9、又は最大3.0、又は上記の端点のいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のヒドロキシル官能価を有する。ポリエステルポリオールは、5000~50000g/mol、又は5500~30000g/mol、又は6000~25000g/mol、又は10,000~15000g/mol、又は上記の端点のいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の分子量を有してもよい。ポリエステルポリオールの起源、製造方法、カテゴリー、分子構造、及び種々のパラメータに関する上記の説明は、この第2のポリエステルポリオールにも適用される。
【0047】
本開示の一実施形態によれば、ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオールの乾燥重量に基づいて、約40重量%~約60重量%、又は約45重量%~約55重量%、又は約47重量%~約55重量%の芳香環含有量を有する。
【0048】
例えば、例示的な一実施形態としては、ポリエステルポリオールの含有量は、ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、40重量%~85重量%、又は50重量%~80重量%、又は60重量%~77重量%、又は65重量%~75重量%とすることができる。
【0049】
ポリエステルポリオール成分の固形分は、40~85重量%、好ましくは50~80重量%、より好ましくは55~75重量%とすることができ、ポリエステルポリオールのために使用される溶媒は、酢酸エチル若しくはMEK、又は組み合わせ、好ましくは酢酸エチルであり得る。
【0050】
B.ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基及びそれらの混合物を有する任意の分子を含んでもよい。そのようなポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香族、又はそれらの混合物であり得る。ポリイソシアネートは、>2又は2.5~10の平均官能性を有し得る。好適なポリイソシアネートの例としては、C-C12脂肪族ジイソシアネート、並びにその二量体及び三量体、例えば、テトラメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,12-ドデカンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネートなどのC-Cアルキレンジイソシアネート;C-C15脂環式ジイソシアネート、並びにその二量体及び三量体、例えば、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate、IPDI)及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexyl methane diisocyanate、HMDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、及び1,3-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン;C-C12芳香族ジイソシアネート、並びにその二量体及び三量体、例えば、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(diphenyl methane diisocyanate、MDI);C-C15芳香脂肪族ジイソシアネート、並びにその二量体及び三量体が挙げられる。
【0051】
好ましくは、ポリイソシアネートは、脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートを含む。より好ましくは、ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネート付加物、イソホロンジイソシアネートホモポリマー、イソホロンジイソシアネート付加物、トルエンジイソシアネート(TDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)付加物、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)付加物、又はそれらの混合物である。ポリイソシアネート中の三量体(又はイソシアヌレート)は、当技術分野において既知の方法によって、例えば、米国特許公開第2006/0155095(A1)号に開示されているように、1つ以上の三量体化触媒、例えば、三級アミン若しくはホスフィン、又は不均一系触媒の存在下で、そして、必要に応じて、溶媒及び/又は補助剤、例えば共触媒の存在下で、好都合には高温において、所望のNCO含有量に達するまで、脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート)を三量体化し、次いで、無機酸及び有機酸、対応する酸ハロゲン化物及びアルキル化剤を使用して触媒を不活性化し、好ましくは加熱することによって調製することができる。同様に、脂肪族ジイソシアネートからのイソシアヌレートを含有するイソシアヌレート組成物は、1つ以上のトリマー化触媒の存在下で脂肪族ジイソシアネートを環化し、次いで触媒を不活性化することによって形成され得る。イソシアヌレートはいずれも、ウレタン、尿素、イミノ-s-トリアジン、ウレトニミン、又はカルボジイミド部分を含有させるために従来の方法によって更に修飾することができる。好ましくは、本発明において有用なポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート、その二量体及び三量体、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0052】
本発明において有用なポリイソシアネートは、1つ以上のポリイソシアネートプレポリマーを含んでもよく、それは、モノール、ジオール、ジアミン、又はモノアミンとの反応によって形成することができ、次いで、それは、追加のイソシアネートの反応によって修飾されて、アロファネート又はビウレット修飾プレポリマーを形成する。そのようなプレポリマーは、ポリアルコキシ又はポリエーテル鎖を更に含んでもよい。あるいは、次いで、そのようなプレポリマーを三量体化触媒と混合して、アロファネート又はビウレット修飾ポリイソシアネート組成物を得ることができる。そのようなアロファネート又はビウレットプレポリマーの調製と、それに続く三量体化とは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第5,663,272号及び同第6,028,158号を参照されたい。なお更に、好適なポリイソシアネートは、アミノスルホン酸などのイオン性化合物によって修飾され得る。
【0053】
市販のポリイソシアネートとしては、例えば、Desmodur L75、N3300、N3600、及びN3900ポリイソシアネート、並びにBayhydur XP 2655、401-60、及び401-70ポリイソシアネート(Covestro);Tolonate HDT、HDT-LV及びHDT-LV2、及びEasaqua L 600ポリイソシアネート(Vencorex Chemicals);DURANATE TLA-100及びTMA-100ポリイソシアネート(AsahiKASEI);及びAquolin 268、269及び270ポリイソシアネート(Wanhua Chemicals)を挙げることができる。
【0054】
本発明において有用なポリイソシアネートは、ポリオール成分と混合する前に、単独で使用することができる、又は1つ以上の溶媒で希釈してポリイソシアネート溶液を形成することができる。そのような溶媒(「希釈溶媒」としても)は、ポリイソシアネートの粘度を低下させることができ、ポリイソシアネートとの反応性を有さない。溶媒は、ポリイソシアネートの重量に基づいて、5重量%~150重量%、15重量%~130重量%、20重量%~120重量%、又は30重量%~100重量%の量で使用することができる。好適な希釈溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、MEK、又はこれらの混合物を挙げることができる。ポリイソシアネート成分の固体分は、40~100重量%、好ましくは50~90重量%、より好ましくは55~80%とすることができる。本発明のポリウレタン接着剤組成物は、いくつかの異なるポリイソシアネートを含有し得るポリイソシアネート中のイソシアネート基当量の総数と、ポリエステルポリオール成分中のヒドロキシル基当量の総数との当量比が、例えば、1:1~2.0:1、又は1:1~1.8:1、又は1:1~1.5:1、又は1:1~1.2:1の範囲であってもよい。本開示の好ましい実施形態によれば、ポリイソシアネート化合物の量は、ポリエステルポリオール成分に含まれるヒドロキシル基の総モル量に対して、イソシアネート基が化学量論的モル量で存在するように適切に選択される。
【0055】
本発明のポリウレタン接着剤組成物は、例えば、硬化を促進する触媒、顔料、光安定剤、紫外線(UV)吸収化合物、レベリング剤、湿潤剤、分散剤、中和剤、消泡剤、若しくはレオロジー調整剤、又はそれらの混合物などの従来の添加剤を更に含んでもよい。これらの添加物は、ポリウレタン組成物の重量に基づいて、0~20重量%、1~10重量%の量で存在してもよい。
【0056】
本開示の一実施形態によれば、ポリエステルポリオール成分対ポリイソシアネート成分の重量比は、約100:5~約100:30、好ましくは約100:8~約100:25、より好ましくは約100:10~約100:20である。
【0057】
ポリウレタン系接着剤は、ポリエステルポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合して均一に混合し、所望の固形分となるように一定量の溶剤を添加することによって調製することができる。
【0058】
第2の基材
第2の基材は、ポリエチレンテレフタレート系(PET系)フィルム又はポリプロピレン系(PP系)フィルムを含む。
【0059】
3つの一般的なタイプのPPポリマーであるホモポリマー、ランダムコポリマー、及びブロックコポリマーが存在する。コモノマーは、典型的にはエチレン又はブチレンと共に使用される。PPに適した供給業者/製品としては、Sinopec Chemicalsを挙げることができる。
【0060】
PP系フィルムは、PP系フィルムの50重量%~100重量%のPP成分を含み得る。好ましくは、PP系フィルムは、PP系フィルムの70重量%~99重量%、好ましくは80重量%~95重量%、あるいは90重量%~98重量%のPP成分を含む。PP成分は、少なくとも1つのPPポリマー、任意選択的に2つ以上のPPポリマー(すなわち、異なるグレードのPP)を有する。
【0061】
好ましくは、PP系フィルムは、ホモポリマーPP又はランダムコポリマーPP又はそれらの組み合わせの50重量%~100重量%のPP成分を含む。好ましくは、PP系フィルムは、ホモポリマーPP又はPPランダムコポリマーのいずれかの100重量%のPP成分を含む。
【0062】
PPグレードの一例は、ホモポリマーPPである。好ましくは、ホモポリマーPPは、2.6~3.0g/10分、好ましくは2.7~2.9g/10分、より好ましくは約2.8g/10分のメルトフローレート(230℃/2.16Kg)(「MFR」)を有する。好ましくは、ホモポリマーPPは、26~36MPa、好ましくは28~35MPa、より好ましくは約30MPa以上の降伏点引張強度を有する。好ましくは、ホモポリマーPPは、93%以上、より好ましくは94%以上、更により好ましくは95%以上、あるいは98%以下のアイソタクチック指数を有する。
【0063】
PPグレードの一例は、ランダムコポリマーPP(RCPP)である。好ましくは、RCPPは、2.6~3.0g/10分、好ましくは2.7~2.9g/10分、より好ましくは2.8g/10分のメルトフローレート(230℃/2.16Kg)(「MFR」)を有する。好ましくは、ランダムコポリマーPPは、27~37MPa、好ましくは29~36MPa、より好ましくは31MPa以上の降伏点引張強度を有する。好ましくは、ランダムコポリマーPPは、96%以上、より好ましくは97%以上、更により好ましくは98%以上のアイソタクチック指数を含む。
【0064】
第2の基材中のPP系フィルムは、吹込フィルム、キャストフィルム、縦方向延伸フィルム、又は二軸延伸フィルムであり得る。第2の基材中のPP系フィルムは、吹込、キャスト、水冷、ダブルバブル、又はFilm Processing Advances,Toshitaka Kanai and Gregory A.Campbell(編),Chapter 7(Biaxial Oriented Film Technology),pp.194-229に記載されているような当業者に公知の他の技術によって製造することができる。いくつかの実施形態では、製造後、フィルムを縦方向延伸(MDO)又は二軸延伸プロセスに供して、それぞれ縦方向延伸フィルム又は二軸延伸フィルムを提供してもよい。
【0065】
PETは、ポリエチレンテレフタレートを指す。ポリエチレンテレフタレートは、ジオール成分(すなわちエチレングリコール)とジカルボン酸成分(すなわちテレフタル酸)とを重縮合する従来の既知の方法によって得ることができる。具体的には、ジオール成分とジカルボン酸成分とのエステル化及び/又はエステル交換後、減圧下で重縮合する一般的な溶融重合法や、有機溶媒を用いた既知の溶液加熱脱水縮合により製造することができる。
【0066】
PETの製造プロセスは、縦方向延伸フィルム又は二軸延伸フィルムを含み得る。
【0067】
PETを製造する際に用いられるジオール成分の量は、ジカルボン酸又はその誘導体100モルに対して実質的に等モル量であるが、エステル化及び/又はエステル交換及び/又は重縮合の際に生じる蒸留のため、通常、0.1モル%以上20モル%以下過剰である。
【0068】
また、重縮合は、好ましくは、重合触媒の存在下で実行される。重合触媒の添加タイミングは、重縮合前であれば特に限定されず、原料の充填時に添加してもよいし、減圧開始時に添加してもよい。
【0069】
第2の基材中のPET系フィルム又はPP系フィルムは、1~10層、又は1~8層、又は1~5層を含むことができる。
【0070】
積層体
積層体は、
1)(上述のように)金属化PE系フィルムを含む第1の基材と、(上述のように)ポリエチレンテレフタレート系フィルム又はポリプロピレン系フィルムを含む第2の基材とを提供する工程と、
2)2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物を使用することによって、第1の基材を第2の基材に一緒に接着することとを含む、方法であって、
金属化PE系フィルム中の脂肪酸又は脂肪酸誘導体の濃度が、金属化PE系フィルムの総重量に基づいて300ppm未満であり、
2成分溶剤系ポリウレタン接着剤組成物が、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含み、
ポリエステルポリオール成分が、ポリエステルポリオールの総重量に基づいて、40重量%~60重量%の芳香環を主鎖中に有し、Mwが5,000~50,000であり、
ポリエステルポリオール成分対ポリイソシアネート成分の重量比が、100:5~100:30である、方法によって調製され得る。
【0071】
本開示の積層体は、本明細書に記載の試験方法を用いて測定した場合、23℃及び0%の相対湿度の条件下で24時間測定して2.3cc/m未満のOTR、又は本明細書に記載の試験方法を用いて測定した場合、24時間で2.0cc/m未満若しくは24時間で1.9cc/m未満若しくは24時間で1.8cc/m以下のOTRを有する。
【0072】
積層体を使用して、包装材などの物品を形成することができる。本発明の積層体から形成することができる包装材の例には、可撓性包装、パウチ、自立型パウチ、及び既製の包装材又はパウチが含まれ得る。本発明の積層体は、食品包装材に使用することができる。そのような包装材に含まれ得る食品の例としては、肉、チーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソースなどが挙げられる。このような包装材は、本明細書の教示に基づいて、かつ包装材の特定の用途(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技法を使用して形成され得る。
【実施例
【0073】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例において説明する。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に示される配合に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明に関する。
【0074】
実施例で使用された原材料の情報を以下の表1に列挙する。
【0075】
【表1】
【0076】
IPAはイソフタル酸を表し、PAはフタル酸を表し、AdAはアジピン酸を表し、EGはエチレングリコールを表し、DEGはジエチレングリコールを表し、SAはセバシン酸を表し、NPGはネオペンチルグリコールを表す。
【0077】
全てのPE系フィルムは、吹込プロセスによって製造した。配合を表2に挙げる。フィルム-1及びフィルム-2の厚さは50μmであった。真空金属化は、OD=2.0の工業用金属化装置(Machine type K5 EXPERT、BOBST Company)で行った。MET-1及びMET-2は、それぞれ金属化フィルム-1及びフィルム-2を示す記号である。接着積層の前に、製造された真空蒸着フィルムをフィルムロールの様式で23℃及び湿度50%の環境下で2週間保管した。金属化フィルム-1(MET-1)の金属層の表面エネルギーは34ダイン未満に減少し、金属化フィルム-2(MET-2)の金属層の表面エネルギーは依然として46ダイン/cm超である。その後、Nordmeccanica製のLabo-Combi 400機で接着積層を行った。
【0078】
【表2】
【0079】
接着積層の前に、製造されたVMPEフィルムをフィルムロールの様式で23℃及び湿度50%の環境下で2週間保管した。MET-1の金属層の表面エネルギーは34ダイン未満に減少し、MET-2の金属層の表面エネルギーは依然として46ダイン/cm超である。その後、表3及び表4に記載された接着剤を使用して、全てのVMPEフィルムをPETフィルム(厚さ=12μm、製品タイプ:PETフラットフィルム、Anhui Guofeng Plastic Industry Co.,Ltd.)又はBOPPフィルム(厚さ=18μm、製品タイプ:PP、Guangdong Weifu Packaging Material Co., Ltd)と積層した。加えて、VMPETを含む3層積層構造体(厚さ=12μm、製品タイプ:P11、Jiaxing Pengxiang Packaging Materials CO.)を、比較のために表3に示すように調製した。
【0080】
表3及び4に示されるように、本発明の試料は全て、比較試料よりも低いOTRを有する。結果は、積層構造体の酸素バリアを高めることに関して、本発明の化学組成物を有する接着剤と、金属層の良好な表面エネルギーを有する本発明のVMPEフィルムとの間に良好な相乗効果があることを実証した。
【0081】
実施例1
【0082】
【表3】

全てのコーティング重量は、3.0gsmである。
【0083】
実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3、及び実施例1-4は、本発明の2成分SB(溶媒系)PU接着剤及び本発明の金属化PE系フィルム(MET-2)を使用し、これらは良好なOTR結果を示した。
【0084】
実施例1-1、実施例1-2、及び実施例1-4は、同じ本発明の金属化PE系フィルム(MET-2)を使用したが、ポリエステルポリオール系であるが、より低い芳香環主鎖又は高すぎるMwのいずれかを有する2成分SB PU接着剤を使用し、本発明の範囲外であり、これらは本発明の実施例に対して劣ったOTRを示した。
【0085】
比較例1-3は、同じ本発明の金属化PE系フィルム(MET-2)を使用したが、ポリエステルポリオール主鎖ではなくポリエーテルポリオール主鎖を使用した2成分SB PU接着剤を使用し、そのOTRは本発明の実施例ほど良好ではなかった。
【0086】
比較例1-5は、接着剤による積層を伴わない純粋なPETフィルムであり、本発明の実施例に対して非常に高いOTR結果を示し、これは、金属化及び接着剤の両方が良好なOTRを達成するために重要であることを示した。
【0087】
比較例1-6は、接着剤による積層を伴わない純粋な金属化PEフィルムであり、本発明の実施例に対して非常に高いOTR結果を示し、これは、接着剤が良好なOTRを達成するために重要であることを示した。
【0088】
比較例1-7は、接着剤による積層を伴わないPEフィルムであり、本発明の実施例に対して極めて高いOTR結果を示し、これは、金属化及び接着剤の両方が良好なOTRを達成するために重要であることを示した。
【0089】
実施例2
【0090】
【表4】

全てのコーティング重量は、3.0gsmである。
【0091】
実施例2-1及び実施例2-2は、本発明の2成分SB(溶媒系)PU接着剤及び本発明の金属化PE系フィルム(MET-2)を使用し、これらは良好なOTR結果を示した。
【0092】
比較例2-1及び比較例2-2は、本発明の接着剤を使用したが、異なる金属化PEフィルム(MET-1)を使用し、劣ったOTR結果を示した。
【0093】
比較例2-3は、同じ本発明の金属化PE系フィルム(MET-2)を使用したが、ポリエステルポリオール主鎖ではなくポリエーテルポリオール主鎖を使用した2成分SB PU接着剤を使用し、そのOTRは本発明の実施例ほど良好ではなかった。
【0094】
比較例2-4は、同じ本発明の金属化PE系フィルム(MET-2)を使用したが、本発明の接着剤ではなく、ポリアクリル系WB接着剤を使用し、これらは、劣ったOTR結果を示した。
【0095】
比較例2-5は、OPP//VMPET//PE及びポリアクリルベースのWB接着剤を使用し、それらは劣ったOTR結果を示した。
【0096】
比較例2-6は、PET//VMPET//PE及びポリアクリル系WB接着剤を使用し、それらは劣ったOTR結果を示した。
【0097】
比較例2-7は、接着剤による積層を伴わないPETフィルムであり、本発明の実施例に対して非常に高いOTR結果を示した。
【0098】
比較例2-8は、接着剤による積層を伴わないOPPフィルムであり、本発明の実施例に対して非常に高いOTR結果を示した。
【0099】
比較例2-9は、接着剤による積層を伴わない純粋な金属化PEフィルム(MET-1)であり、本発明の実施例に対して非常に高いOTR結果を示した。
【0100】
比較例2-10は、接着剤による積層を伴わない純粋な金属化PEフィルム(MET-2)であり、本発明の実施例に対して非常に高いOTR結果を示した。
【0101】
比較例2-11は、接着剤による積層を伴わないPEフィルムであり、本発明の実施例に対して非常に高いOTR結果を示した。
【0102】
本発明の実施例のポリエステル(IE-PES)及び比較例のポリエステル(CE-PES)を調製するための標準プロセス:
全ての原料(IPA、AdA、EG及びDEGなど)を反応器に投入し、100℃で加熱し、この温度で30分間保持し、次いで175℃に加熱し、更に45分間保持し、次いで温度を225℃に上昇させ、酸価が25mg KOH/g未満になるまで保持する。次いで、真空(約500mmHg)を適用し、15~30分間保持する。次いで、温度を維持し、真空を約200mmHgまで徐々に低下させる。酸価が10KOH/g未満である場合、真空を約50mmHgまで低下させ、酸価が2KOH/g未満である場合、真空を約10mmHgまで低下させ、次いで160℃まで冷却し始め、Nで真空を破壊し、温度が160℃未満である場合、次いで酢酸エチルを添加し始めて所望の固形分を達成し、70℃まで冷却し続け充填する。
【0103】
ポリウレタン接着剤組成物の調製
溶媒系(SB)接着剤を、以下の手順に従って調製した。一定量のポリエステルポリオール及び共反応物Fを秤量し、設計された混合比に従ってそれらを一緒に混合し、次いで撹拌を開始し、計算された量の酢酸エチルを添加して30%固形分を達成し、撹拌を続けて接着剤が均質であることを確実にした。調製されたSB接着剤を、Nordmeccanica製のLabo-Combi 400機で積層プロセスを行い、乾燥コーティング重量が3.0~3.5gsmであることを確認した。
【0104】
無溶媒(SL)接着剤:一定量のNCOプレポリマー及びポリオール共反応物を秤量し、それらを一緒に混合して均質な接着剤を得て、次に接着剤をNordmeccanicaからのLabo-Combi 400機械上のコーティングローラーに注ぎ、積層を行い、乾燥コーティング重量が1.8~2.0gsmコーティング重量であることを確実にする。
【0105】
水性(WB)接着剤:WB接着剤は、乾燥コーティング重量が2.0~2.5gsmとなるように確保するため、NordmeccanicaからのLabo-Combi 400機械上で直接積層を行った。
【0106】
試験方法
酸素透過率(OTR)
酸素透過率は、ASTM D-3985に従い、精製酸素を使用し、23℃の温度、0%の相対湿度で、MOCON OX-TRANモデル2/21測定デバイスを使用して測定した。試料のバリアデータが200cc/m/日以上である場合、試験領域を50cmから5cmに低減するためにマスクを適用して、より広い試験範囲でデータを取得した。
【0107】
光学密度(OD)試験
OD試験は、分光光度計(タイプLS117、Shenzhen Linshang Technology Co.,Ltd)を用いて行った。金属化フィルムを、金属化表面がエミッタに面するように、光エミッタとレセプタとの間に配置した。ODを読み取り、記録した。
【0108】
表面エネルギー試験
試験は、バルブチップアプリケータに基づくACCU DYNE TEST(商標)マーカーペンの使用に基づいた。原理は、ペンの試験部分をペンの流体保管部分から離しておくことであった。
【0109】
ペンを用いたダインレベル試験手順は以下の通りであった。
【0110】
金属化フィルム試料片を平坦なガラスプレート上に置く。
【0111】
周囲温度及び相対湿度を記録する。試料温度が周囲温度と異なる場合、安定化させる。
【0112】
試料全体で少なくとも以下の3点;フィルムセクションにわたって1/4、1/2、及び3/4の点を試験する。
【0113】
濡れの判定
1.試験試料のダインレベルよりわずかに低いと思われるダインレベルのマーカーペンを選択する。
【0114】
2.先端がインクで飽和するまで、アプリケータ先端を対象材料上にしっかりと押し下げる。
【0115】
3.軽いタッチで、2回又は3回の平行なパスで試験試料を横切ってペンを引く。第1のパスを無視する。先端から汚染物を洗い流し、試験流体層が正確な測定にとって十分に薄いことを確実にするために、最後のパスのみを評価する。
【0116】
4.最後のインクスワス(帯状区画)が試験試料上で3秒以上濡れたままである場合、次により高いダインレベルマーカーを用いて工程2及び3を繰り返す。最後のインクスワスが1秒以内に玉状になるか、引き裂かれるか、又は細線に収縮する場合、次のより低いダインレベルマーカーを用いて工程2及び3を繰り返す。
【0117】
5.インクスワスがその完全性を失う前に1~3秒間保持される場合、マーカーのダインレベルは試料のダインレベルと厳密に一致する。そして、対応するペンの値が記録される。
【0118】
脂肪酸含有量の判定
脂肪酸含有量は、CHCIを使用してフィルムから添加剤を抽出し、続いてろ過し、LC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析)で分析することによって分析した。標準液を、適切な濃度範囲の脂肪酸で作製した。
【0119】
粘着防止剤含有量の判定
粘着防止剤を熱重量(TGA)分析によって分析した。TGAをTA Q500機器上で実施した。フィルム試料をN環境下で試験した。試験プロトコルは以下の通りである。
-10℃/分で25℃から800℃に加熱
-800℃で3分間等温
【0120】
残留物重量を粘着防止添加剤量として記録した。
【0121】
滑り剤含有量及び酸化防止剤含有量の判定
滑り剤及び酸化防止剤の含有量を全溶解法によって分析した。130℃でo-キシレン中0.075%トリエチルホスファイトによってフィルム試料を溶解した。溶液を冷却し、メタノールを添加し、続いて撹拌する。固体が沈降した後、溶液を、酸化防止剤分析のための液体クロマトグラフィー(LC)オートサンプラー及び滑り添加剤分析のためのガスクロマトグラフィー(GC)に注入した。
【国際調査報告】