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特表2024-539384患者用コンタクトレンズを有する外科用コンタクトレンズシステム
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  • 特表-患者用コンタクトレンズを有する外科用コンタクトレンズシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】患者用コンタクトレンズを有する外科用コンタクトレンズシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/009 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61F9/009
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526633
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2022059479
(87)【国際公開番号】W WO2023089397
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,271
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト ボル
(57)【要約】
特定の実施形態では、レーザービームによる眼科治療のための外科用コンタクトレンズシステムは患者用コンタクトレンズ及び外科用コンタクトレンズを含む。患者用コンタクトレンズは、眼の1つ又は複数の屈折誤差を低減し、凹面と凸面とを有する。凹面は眼の角膜の外側から配置される。外科用コンタクトレンズは、患者用コンタクトレンズの凸面から外側に配置される眼端部を有する。外科用コンタクトレンズは、フレームと、フレームに結合された光学部品とを含む。患者用コンタクトレンズは、外科用コンタクトレンズからの圧力を低減して角膜の後面の角膜のしわを低減する。外科用コンタクトレンズの光学部品及び患者用コンタクトレンズは、眼を治療するためにレーザービームを透過させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザービームによる眼科治療のための外科用コンタクトレンズシステムであって、
眼の1つ又は複数の屈折誤差を低減するように設計された患者用コンタクトレンズであって、前記患者用コンタクトレンズが凹面と凸面とを有し、前記凹面が前記眼の角膜から外側に配置されるように構成される、患者用コンタクトレンズと、
前記患者用コンタクトレンズの前記凸面から外側に配置されるように構成された眼端部を有し、
フレーム、及び
前記フレームに結合された光学部品
を備えている外科用コンタクトレンズと、
を備え、
前記患者用コンタクトレンズが、前記外科用コンタクトレンズからの圧力を低減して前記角膜の後面の角膜のしわを低減するように構成され、前記外科用コンタクトレンズの前記光学部品と前記患者用コンタクトレンズとが、前記眼を治療するために前記レーザービームを透過させるように構成されている、外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項2】
前記患者用コンタクトレンズが、前記レーザービームの波面誤差が低減されるように前記角膜の前記後面の前記角膜のしわを低減するように構成される、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項3】
前記患者用コンタクトレンズが、前記レーザービームの波面誤差が低減されるように前記眼の前記1つ又は複数の屈折誤差を低減するように設計されている、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項4】
前記1つ又は複数の屈折誤差の屈折誤差が球面誤差を含む、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の屈折誤差の屈折誤差が非点収差を含む、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項6】
前記患者用コンタクトレンズが、ヒドロゲル、シリコーン、シリコーンヒドロゲル、又はポリメチルメタクリレート(PMMA)から選択される材料を含む、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項7】
前記患者用コンタクトレンズが、ヒドロゲルコンタクトレンズ、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、気体透過性(GP)レンズ、硬質気体透過性(RGP)レンズ、強膜コンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、又はポリメチルメタクリレート(PMMA)レンズから選択されるレンズを含む、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項8】
前記外科用コンタクトレンズの前記眼端部が、前記患者用コンタクトレンズの前記凸面と前記外科用コンタクトレンズの前記眼端部との間に配置されたコンタクトゲルから外側に配置されるように構成される、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項9】
前記外科用コンタクトレンズが、眼科用Karickhoffの4ミラーレンズ、眼科用Karickhoffの軸外レンズ、眼科用Peymanレンズ、又はSingh中間硝子体レンズから選択されるレンズを含む、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項10】
前記外科用コンタクトレンズの前記光学部品及び前記患者用コンタクトレンズが、前記レーザービームを透過させて前記眼の硝子体内のフロータを照射するように構成されている、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項11】
前記外科用コンタクトレンズが手持ち式である、請求項1に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項12】
レーザービームによる眼科治療のための患者用コンタクトレンズであって、
前記患者用コンタクトレンズが、
眼の角膜から外側に配置されるように構成された凹面と、
外科用コンタクトレンズの眼端部と接触するように構成された凸面であって、前記外科用コンタクトレンズが、フレームに結合された光学部品を含み、前記光学部品が、前記眼を治療するために前記レーザービームを透過させるように構成された、凸面と、
を有し、
前記患者用コンタクトレンズが、
前記眼の1つ又は複数の屈折誤差を低減させることと、
前記外科用コンタクトレンズからの圧力を低減して前記角膜の後面の角膜のしわを低減することと、
前記眼を治療するために前記レーザービームを透過させることと
を行うように構成されている、患者用コンタクトレンズ。
【請求項13】
前記患者用コンタクトレンズが、前記レーザービームの波面誤差が低減されるように前記角膜の前記後面の前記角膜のしわを低減するように構成される、請求項12に記載の患者用コンタクトレンズ。
【請求項14】
前記患者用コンタクトレンズが、前記レーザービームの波面誤差が低減されるように前記眼の前記1つ又は複数の屈折誤差を低減するように設計されている、請求項12に記載の外科用コンタクトレンズシステム。
【請求項15】
レーザービームによる眼科治療のための外科用コンタクトレンズシステムを使用するための方法であって、
患者用コンタクトレンズを眼の角膜から外側に配置することであって、前記患者用コンタクトレンズが、前記眼の1つ又は複数の屈折誤差を低減するように設計され、前記患者用コンタクトレンズが凹面と凸面とを有し、前記凹面が前記眼から外側に配置されるように構成される、配置することと、
外科用コンタクトレンズを前記患者用コンタクトレンズから外側に配置することであって、前記外科用コンタクトレンズが、フレームに結合された光学部品を備え、前記外科用コンタクトレンズが、前記患者用コンタクトレンズの前記凸面から外側に配置されるように構成された眼端部を有し、前記患者用コンタクトレンズが、前記角膜の後面の角膜のしわを低減するために、前記外科用コンタクトレンズからの力を低減するように構成されている、配置することと、
前記眼を治療するために、前記外科用コンタクトレンズの前記光学部品及び前記患者用コンタクトレンズを通して前記レーザービームを向けることと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、外科用コンタクトレンズに関し、より詳細には、患者用コンタクトレンズを備えた外科用コンタクトレンズシステム及びそのシステムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科用レーザー手術では、外科医は、眼を治療するためにレーザービームを眼に向けることができる。例えば、レーザービームを硝子体内に向けて、眼のフロータを治療することができる。眼のフロータは、硝子体内に形成されるコラーゲンタンパク質の塊である。これらの塊は、動く影及び歪みによって視覚を乱す。眼のフロータを治療するために、外科医は、レーザービームを眼の中に向けるために外科用コンタクトレンズを眼の上に配置する。レーザービームは、フロータを分解するために使用され、したがって視覚を改善する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態では、レーザービームによる眼科治療のための外科用コンタクトレンズシステムは、患者用コンタクトレンズ及び外科用コンタクトレンズを含む。患者用コンタクトレンズは、眼の1つ又は複数の屈折誤差を低減させる。患者用コンタクトレンズは、凹面と凸面とを有する。凹面は眼の角膜の外側から配置される。外科用コンタクトレンズは、患者用コンタクトレンズの凸面から外側に配置される眼端部を有する。外科用コンタクトレンズは、フレームと、フレームに結合された光学部品とを含む。患者用コンタクトレンズは、外科用コンタクトレンズからの圧力を低減して角膜の後面の角膜のしわを低減する。外科用コンタクトレンズの光学部品及び患者用コンタクトレンズは、眼を治療するためにレーザービームを透過させる。
【0004】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてもよく、1つ、いくつか、又は全てを含んでもよい。
【0005】
* 患者用コンタクトレンズは、レーザービームの波面誤差が低減されるように角膜の後面の角膜のしわを低減するように構成される。
【0006】
* 患者用コンタクトレンズは、レーザービームの波面誤差が低減されるように眼の屈折誤差を低減する。
【0007】
* 屈折誤差は非点収差である。
【0008】
* 患者用コンタクトレンズは、ヒドロゲル、シリコーン、シリコーンヒドロゲル、又はポリメチルメタクリレート(PMMA)の材料を含む。
【0009】
* 患者用コンタクトレンズは、ヒドロゲルコンタクトレンズ、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、気体透過性(GP)レンズ、硬質気体透過性(RGP)レンズ、強膜コンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、又はポリメチルメタクリレート(PMMA)レンズである。
【0010】
* 外科用コンタクトレンズの眼端部は、患者用コンタクトレンズの凸面と外科用コンタクトレンズの眼端部との間に配置されたコンタクトゲルから外側に配置される。
【0011】
* 外科用コンタクトレンズは、眼科用Karickhoffの4ミラーレンズ、眼科用Karickhoffの軸外レンズ、眼科用Peymanレンズ、又はSingh中間硝子体レンズである。
【0012】
* 外科用コンタクトレンズの光学部品及び患者用コンタクトレンズは、レーザービームを透過させて眼の硝子体内のフロータを照射する。
【0013】
* 外科用コンタクトレンズは手持ち式である。
【0014】
特定の実施形態では、レーザービームによる眼科治療のための外科用コンタクトレンズシステムを使用するための方法は、眼の角膜から外側に患者用コンタクトレンズを配置することを含む。患者用コンタクトレンズは、眼の1つ又は複数の屈折誤差を低減するように設計され、凹面及び凸面を有し、凹面は眼から外側に配置される。外科用コンタクトレンズは、患者用コンタクトレンズから外側に配置される。外科用コンタクトレンズは、患者用コンタクトレンズの凸面から外側に配置される眼端部を有する。外科用コンタクトレンズは、フレームに結合された光学部品を備える。患者用コンタクトレンズは、角膜の後面の角膜のしわを減少させるために外科用コンタクトレンズからの力を減少させる。レーザービームは、眼を治療するために外科用コンタクトレンズの光学部品及び患者用コンタクトレンズを通って向けられる。
【0015】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてもよく、1つ、いくつか、又は全てを含んでもよい。
【0016】
* 本方法は、患者用コンタクトレンズにより、レーザービームの波面誤差が低減されるように角膜の後面の角膜のしわを低減することをさらに含む。
【0017】
* 本方法は、患者用コンタクトレンズにより、レーザービームの波面誤差が低減されるように眼の屈折誤差を低減することをさらに含む。
【0018】
* 屈折誤差は非点収差である。
【0019】
* 本方法は、患者用コンタクトレンズと外科用コンタクトレンズの眼端部との間に患者用コンタクトレンズの凸面から外側にコンタクトゲルを配置することをさらに含む。
【0020】
* 本方法は、外科用コンタクトレンズの光学部品及び患者用コンタクトレンズを通してレーザービームを透過させることによって、眼の硝子体内のフロータを照射することをさらに含む。
【0021】
* 外科用コンタクトレンズは、手によって患者用コンタクトレンズから外側に配置される。
【0022】
特定の実施形態では、レーザービームによる眼科治療のための患者用コンタクトレンズは、凹面と凸面とを有する。凹面は眼の角膜の外側から配置される。凸面は外科用コンタクトレンズの眼端部に接触する。外科用コンタクトレンズは、外科用コンタクトレンズのフレームに結合された光学部品を含む。光学部品は、眼を治療するためにレーザービームを透過させる。患者用コンタクトレンズは、眼の1つ又は複数の屈折誤差を低減し、外科用コンタクトレンズからの圧力を低減して角膜の後面の角膜のしわを低減し、レーザービームを透過させて眼を治療する。
【0023】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてもよく、1つ、いくつか、又は全てを含んでもよい。
【0024】
* 患者用コンタクトレンズは、レーザービームの波面誤差が低減されるように角膜の後面の角膜のしわを低減する。
【0025】
* 患者用コンタクトレンズは、レーザービームの波面誤差が低減されるように眼の屈折誤差を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】特定の実施形態による、レーザービーム波面誤差を低減する外科用コンタクトレンズシステムの一例を示す図である。
図2】特定の実施形態による、図1の外科用コンタクトレンズシステムで使用され得る患者用コンタクトレンズの一例を示す図である。
図3】特定の実施形態による、図1の外科用コンタクトレンズシステムで使用され得る外科用コンタクトレンズの一例を示す図である。
図4】角膜のしわの一例を示す図である。
図5】特定の実施形態による、レーザービーム波面誤差を低減するために図1の外科用コンタクトレンズシステムと共に使用され得る方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を詳細に示す。説明及び図面は、排他的であること、又は別様に、特許請求の範囲を、図面に示され、詳細な説明に開示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。図面は可能な実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために特定の特徴部を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0028】
外科用コンタクトレンズは、手術中にレーザービームを眼内に向けるために重要であるが、レーザービームの波面誤差の一因となり得る。ほとんどの人には知られていないが、外科用コンタクトレンズは眼内に角膜のしわを形成し、これは波面誤差の一因となる。波面誤差は、眼の治療に必要なレーザパルスエネルギー(例えば、フロータを眼から除去するのに必要なエネルギー)を望ましくなく増加させる。したがって、波面誤差を低減すると、必要なパルスエネルギーが低下し、ひいては、網膜の安全性及び治療効率が向上する(例えば、フロータ分解効率)。効率を向上させると、治療に必要なパルスの数が減少し、したがって処理時間が短縮される。
【0029】
本明細書に開示される外科用コンタクトレンズシステムは、レーザービーム波面誤差を低減する患者用コンタクトレンズを含む。患者用コンタクトレンズは、角膜と外科用コンタクトレンズとの間に配置される。レンズは、外科用コンタクトレンズから角膜への圧力を緩和し、したがって角膜のしわを減少させる。患者用コンタクトレンズはまた、眼の屈折誤差を低減し、波面誤差をさらに低減する補正機能を含むことができる。したがって、外科用コンタクトレンズシステムは、レーザービームを劣化させる要因を低減し、眼の治療の改善を可能にする。
【0030】
図1は、特定の実施形態による、レーザービーム波面誤差を低減する外科用コンタクトレンズシステム110の一例を示す。外科用コンタクトレンズシステム110は、眼112の角膜114から外側に配置された患者用コンタクトレンズ120と、患者用コンタクトレンズ120から外側に配置された外科用コンタクトレンズ122とを含む。レーザービーム116は、眼112を治療するために外科用コンタクトレンズ122の光学部品及び患者用コンタクトレンズ120を透過する。
【0031】
患者用コンタクトレンズ120は、角膜114の後面の角膜のしわ及び眼12の屈折誤差を低減し、これにより、レーザービーム116の波面誤差が低減される。患者用コンタクトレンズ120は、角膜114と外科用コンタクトレンズ122の外面124との間に配置される。レンズ120の材料は、角膜114上の外科用コンタクトレンズ122の力を低減及び/又は分散させることによって角膜114上の圧力を緩和し、このことが角膜のしわを減少させる。角膜のしわを減少させることは、しわが除去される程度までしわを減少させることを含む。患者用コンタクトレンズ120はまた、レンズ120が角膜114上に配置されたときに眼12の屈折誤差を低減する(又は補正することさえできる)補正機能を有してもよい。屈折誤差を低減することは、誤差が補正される程度に誤差を低減することを含む。
【0032】
図2は、特定の実施形態による、図1の外科用コンタクトレンズシステム110で使用され得る患者用コンタクトレンズ120の一例を示す図である。患者用コンタクトレンズ120は、凹面126及び凸面128を有する。凹面は、角膜114から外側に配置されるように構成される。患者用コンタクトレンズ120は、眼の屈折誤差を低減するように設計された補正機能(市販の補正コンタクトレンズのものなど)を有してもよい。屈折誤差を低減することは、誤差量を低減することから誤差を実質的に補正することまでの範囲であり得る。患者用コンタクトレンズ120は、球面誤差又は高次誤差、例えば非点収差などの任意の適切な屈折誤差を低減することができる。患者用コンタクトレンズ120はまた、角膜114に対する外科用コンタクトレンズ122の力を低減及び/又は分散させることにより、角膜114の角膜のしわを低減し得る。角膜のしわを減少させることは、患者用コンタクトレンズ120の非存在下で発生したであろう角膜のしわの高さを減少させること又は実質的に排除することの範囲であり得る。
【0033】
患者用コンタクトレンズ120は、角膜114から外側に配置することができる任意の適切なサイズを有することができる。特定の実施形態では、患者用コンタクトレンズ120は、角膜114を外科用コンタクトレンズ122の圧力から保護するために角膜114と外科用コンタクトレンズ122との間にレンズ120が配置され得るように、外科用コンタクトレンズ122の外径よりもわずかに(例えば、最大で例えば5mm大きい直径)大きくてもよい。他の実施形態では、患者用コンタクトレンズ120は、外科用コンタクトレンズ122の外径と同じサイズであってもよく、又はそれよりわずかに小さくてもよい(例えば、最大で例えば5mm未満までの直径)。
【0034】
患者用コンタクトレンズ120は、角膜114に対する外科用コンタクトレンズ122の力を低減及び/又は分散させることができる剛性材料などの任意の適切な材料を含むことができる。適切な材料の例としては、ヒドロゲル、シリコーン、シリコーンヒドロゲル及び/又はポリメチルメタクリレート(PMMA)が挙げられる。レンズ120の例には、ヒドロゲルコンタクトレンズ、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、気体透過性(GP)レンズ、硬質気体透過性(RGP)レンズ、強膜コンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ(硬質GP中心領域がヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲル材料の外側領域で囲まれたレンズ)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)レンズが含まれる。
【0035】
図3は、特定の実施形態による、図1の外科用コンタクトレンズシステム110で使用され得る外科用コンタクトレンズ122の一例を示す図である。外科用コンタクトレンズ122は、眼端部140及びオペレータ端部142を有する。眼端部140は、眼112から外側に配置されることになり、平均角膜+/-5mmの範囲内のサイズとすることができるフランジ134を有する。オペレータ端部142は、外科医等のオペレータが操作するものであり、オペレータが端部142を容易に操作できるようなテクスチャを有していてもよい。外科用コンタクトレンズ122は、1つ又は複数の光学部品130と、環状形状を有するフレーム132とを含む。
【0036】
光学部品130は、フレーム132に結合され、フレーム132内に配置されてもよく、眼112の内部を拡大及び/又は焦点合わせするのに役立つ。一般に、光学部品は、光を透過、屈折、反射、又は他の様態で変調する。特定の実施形態では、光学部品130は、眼112の内部を拡大及び/又は焦点合わせするレンズ及び/又はミラーを含む。特定の実施形態では、光学部品130の外面124は、角膜の曲率よりわずかに小さい曲率を有し、例えば、曲率半径は、角膜の曲率半径よりも0~5ミリメートル(mm)大きくてもよく、約7mmであってもよい。
【0037】
外科用コンタクトレンズ122の例には、Karickhoffの4ミラーレンズ、Karickhoffの軸外レンズ、Peymanレンズ、Sing中間硝子体レンズ、及びオペレータが眼を見ることを可能にする光学部品を有する他のフレームが含まれる。例えば、眼科用Karickhoffの4ミラーレンズは、4つのミラーと、眼の内部のビューを提供する中心軸ビューとを有する。別の例として、眼科用Karickhoffの軸外レンズは軸外ビューを有し、これにより、患者が眼を動かすことなく、オペレータがレンズを回転させて眼の軸外領域を見ることを可能にする。焦点は、治療中の網膜のモニタリングを可能にし得る。別の例として、眼科用Peymanレンズは、眼の異なる領域、例えば、前房から後嚢、硝子体中及び硝子体深部を治療する焦点を有するレンズを含み得る。別の例として、Singh中間硝子体レンズは、網膜の後方のレンズからのビューを提供することができる。
【0038】
特定の実施形態では、外科用コンタクトレンズ122を収容し、患者用コンタクトレンズ120と外科用コンタクトレンズ122との間のより良好な光学的接続を可能にするために、コンタクトゲル(例えば、気泡を含まない光学的に均質なコンタクトゲル)を患者用コンタクトレンズ120に適用することができる。実施形態では、外科用コンタクトレンズ122の眼端部140は、患者用コンタクトレンズ120に適用されたコンタクトゲルから外側に配置されるように構成される。
【0039】
図4は、特定の既知の外科用コンタクトレンズシステムの圧平板152によって引き起こされ得る角膜のしわ150の例を示す。一般に、角膜のしわ150は高感度撮像システム(例えば、OCTシステム)でしか検出できないため、当業者のほとんどは、しわ150が存在することを認識できない。
【0040】
角膜114及び房水154の異なる屈折率は、角膜のしわ150にレーザービームの著しい波面誤差を生じさせる。角膜の屈折率は1.376であり、房水の屈折率は1.336であるので、屈折率の差は1.376-1.336=0.04である。RMS波面誤差は、Hμm×0.04=0.04Hμm=0.04Hλに従って判定することができる。式中、Hは角膜のしわ150の高さを表す。場合によっては、角膜のしわ150の高さHは100μmもの高さであり得る。RMS波面誤差は、異常で完全な位相面を有する焦点におけるピーク強度の比であるストレール比を減少させる。例えば、0.13λのRMS波面誤差は、ストレール比を1から0.5に減少させる、すなわち焦点の強度を50%に減少させる。
【0041】
図5は、特定の実施形態による、レーザービーム波面誤差を低減するために図1の外科用コンタクトレンズシステム110と共に使用され得る方法の一例を示す図である。本方法はステップ310で始まり、ここでは、患者用コンタクトレンズが角膜から外側に配置される。患者用コンタクトレンズは、角膜のしわを低減し、角膜の屈折誤差を低減するように設計されており、これにより、レーザービームの波面誤差が低減される。コンタクトゲルは、患者用コンタクトレンズと外科用コンタクトレンズとの間のより良好な光学的接続を可能にするために、ステップ312において患者用コンタクトレンズから外側に配置される。
【0042】
ステップ314において、外科用コンタクトレンズが、コンタクトゲル及び患者用コンタクトレンズから外側に配置される。外科用コンタクトレンズは、フレームに結合された光学部品を含む。特定の実施形態では、患者用コンタクトレンズは、角膜上の外科用コンタクトレンズの力を低減及び/又は分散させることによって角膜上の圧力を緩和し、これにより角膜のしわ及びレーザービーム波面誤差が低減する。ステップ316において、レーザービームが光学部品及び患者用コンタクトレンズを通って向けられ、眼を治療する。特定の実施形態では、レーザービームを使用してレーザービトレオライシスを実施し、フロータを眼から除去する。レーザービームは、フロータを照射して、フロータを破砕、崩壊、及び/又は除去する。
【0043】
特定の実施形態に関して本開示を説明してきたが、実施形態の修正形態(例えば、変更形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の修正形態)が、当業者には明らかになろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、システム及び装置の構成要素は、統合若しくは分離され得る、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他の構成要素によって実行され得る。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含み得、ステップは、任意の適当な順序で実行され得る。
【0044】
特許請求の範囲を解釈する際に特許庁及び読者を助けるために、本出願人らは、本出願人らが、用語“means for”又は“step for”が特定の請求項において明示的に使用されない限り、請求項又は請求項の要素のいかなるものも合衆国法典第35巻§112条(f)を想起させるように意図してはいないということを注記する。請求項内の任意の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、当業者にとって既知の構造を指すものと本出願人らにより理解され、合衆国法典第35巻§112条(f)を想起させるように意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】