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  • 特表-シーラント材の多段加工 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】シーラント材の多段加工
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/10 20060101AFI20241018BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20241018BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20241018BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20241018BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20241018BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20241018BHJP
   C08L 9/02 20060101ALI20241018BHJP
   C08L 23/28 20060101ALI20241018BHJP
   C08K 5/23 20060101ALI20241018BHJP
   C08J 9/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C09K3/10 Z
C08L23/06
C08L23/00
C08L23/08
C08L23/16
C08L9/06
C08L9/02
C08L23/28
C08K5/23
C08J9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526663
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022048810
(87)【国際公開番号】W WO2023081275
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/275,164
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508036075
【氏名又は名称】ゼフィロス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】チャプリツキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヘバル,クリス
(72)【発明者】
【氏名】アプファル,ジェフ
【テーマコード(参考)】
4F074
4H017
4J002
【Fターム(参考)】
4F074AA20
4F074AA20L
4F074AA21
4F074AA22
4F074AA25
4F074AA54
4F074AA98
4F074AB05
4F074AC24
4F074AD01
4F074AD08
4F074AG01
4F074AG02
4F074AG06
4F074BA13
4F074DA39
4H017AB07
4H017AC13
4H017AD03
4J002AC071
4J002AC081
4J002BB031
4J002BB061
4J002BB151
4J002BB241
4J002EQ016
4J002FD326
4J002GJ02
4J002GN00
(57)【要約】
本教示は一般に、発泡、硬化、またはこれらのいくつかの組合せに適合されるシーラント組成物、活性化可能なシーラント組成物を製造する方法、およびそれを使用する方法に関する。活性化可能なシーラント組成物は、1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料と、1種または複数の発泡剤と、1種または複数の発泡剤活性剤と、1種または複数の炭化水素樹脂とを含み、シーリング、バッフル、減衰、補強、またはこれらの組合せなどの機能的属性を提供するために製造品に供給される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント組成物において、
i.1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料と、
ii.1種または複数の発泡剤と、
iii.1種または複数の発泡剤活性剤と、
iv.1種または複数の温度加工助剤と
を含む、シーラント組成物。
【請求項2】
前記1種または複数の加工助剤が、炭化水素樹脂、ワックス、液状エラストマー、低分子量ポリマー、およびこれらの組合せから選択される、請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項3】
アクリレート、メタクリレート、またはマレイミドから選択される助剤を含む、請求項1または2に記載のシーラント組成物。
【請求項4】
前記1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料が、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項5】
前記1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料が、ポストインダストリアルまたはポストコンシューマーの供給源からリサイクルされる、請求項1から4のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項6】
前記1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料が、活性化可能なシーラントの全組成の少なくとも約50%以上を構成する、請求項1から5のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項7】
前記1種または複数の発泡剤が、アゾジカルボンアミドである、請求項1から6のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項8】
前記1種または複数の発泡剤活性剤が、酸化亜鉛、ジシアンジアミド、カルシウム塩、尿素類、または置換尿素類から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項9】
プロセス油を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項10】
顔料を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項11】
不活性充填剤を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項12】
熱活性化される、請求項1から11のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項13】
シート、ストリップ、パッチ、リング、ディスク、またはこれらの組合せとして製造品に供給される、請求項1から12のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項14】
前記製造品が、自動車両用シーリングバッフルである、請求項1から13のいずれか一項に記載のシーラント組成物。
【請求項15】
体積膨張性シーラント組成物を含む製造品において、
(i)ポリオレフィン、
好ましくはポリエチレン、
より好ましくは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびこれらの組合せからなる群から選択されるポリエチレン
を含むか、または本質的にそれらからなるポリマー材料と、
(ii)1種または複数の発泡剤と、
(iii)1種または複数の発泡剤活性剤と、
(iv)1種または複数の温度加工助剤と
を含む、製造品。
【請求項16】
前記ポリマー材料が、ポリエチレンを含むか、または本質的にそれからなる、請求項15に記載の製造品。
【請求項17】
前記ポリエチレンが、ISO1133に従って190℃、2.16kgで測定して、少なくとも5g/10分、好ましくは少なくとも10g/10分、より好ましくは少なくとも20g/10分、さらにより好ましくは少なくとも30g/10分、さらにより好ましくは少なくとも40g/10分、さらにより好ましくは少なくとも50g/10分以上、最も好ましくは少なくとも60g/10分、特に少なくとも70g/10分であるメルトフローレート(MFR)を有する、請求項16に記載の製造品。
【請求項18】
前記ポリエチレンが、ISO1133に従って190℃、2.16kgで測定して、最大で70g/10分、好ましくは最大で60g/10分、より好ましくは最大で50g/10分、さらにより好ましくは最大で40g/10分、さらにより好ましくは最大で30g/10分以下、さらにより好ましくは最大で20g/10分、最も好ましくは最大で10g/10分、特に最大で5g/10分であるメルトフローレート(MFR)を有する、請求項16または17に記載の製造品。
【請求項19】
前記ポリエチレンが、高密度ポリエチレン(HDPE)を含むか、または本質的にそれからなる、請求項16から18のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項20】
前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレン(LDPE)を含むか、または本質的にそれからなる、請求項16から19のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項21】
前記ポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含むか、または本質的にそれからなる、請求項16から20のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項22】
前記ポリエチレンが、ポリマー材料全体の少なくとも約30重量%、好ましくは少なくとも約40重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%、さらにより好ましくは少なくとも約60重量%を構成する、請求項16から21のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項23】
前記ポリエチレンが、体積膨張性シーラント組成物全体の少なくとも約30重量%、好ましくは少なくとも約40重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%、さらにより好ましくは少なくとも約60重量%を構成する、請求項16から22のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項24】
前記ポリエチレンが、ポストインダストリアルまたはポストコンシューマーの供給源からリサイクルされる、請求項16から23のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項25】
前記ポリマー材料が、コポリマー、好ましくはエチレン酢酸ビニルコポリマーを含むか、または本質的にそれからなる、請求項15から24のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項26】
前記コポリマー、好ましくはエチレン酢酸ビニルコポリマーが、ポリマー材料全体の少なくとも約1.0重量%、好ましくは少なくとも約2.0重量%、より好ましくは少なくとも約3.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも約4.0重量%を構成する、請求項25に記載の製造品。
【請求項27】
前記コポリマー、好ましくはエチレン酢酸ビニルコポリマーが、体積膨張性シーラント組成物全体の少なくとも約1.0重量%、好ましくは少なくとも約2.0重量%、より好ましくは少なくとも約3.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも約4.0重量%を構成する、請求項25または26に記載の製造品。
【請求項28】
前記ポリマー材料が、体積膨張性シーラント組成物全体の少なくとも約30重量%、好ましくは少なくとも約40重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%、さらにより好ましくは少なくとも約60重量%を構成する、請求項15から27のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項29】
前記1種または複数の発泡剤が、好ましくは、アゾジカルボンアミド、ジニトロソ-ペンタ-メチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルヒドラジド、およびp,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選択され、より好ましくはアゾジカルボンアミドである化学発泡剤である、請求項15から28のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項30】
前記1種または複数の発泡剤活性剤が、酸化亜鉛、ジシアンジアミド、カルシウム塩、尿素類、または置換尿素類から選択される、請求項15から29のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項31】
前記1種または複数の炭化水素樹脂が、C9炭化水素樹脂および混合C5/C9炭化水素樹脂から選択される、請求項15から30のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項32】
前記1種または複数の炭化水素樹脂が、体積膨張性シーラント組成物全体の少なくとも約1.0重量%、好ましくは少なくとも約2.0重量%、より好ましくは少なくとも約3.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも約4.0重量%を構成する、請求項31に記載の製造品。
【請求項33】
前記1種または複数の炭化水素樹脂が、体積膨張性シーラント組成物全体の最大で約10重量%、好ましくは最大で約9.0重量%、より好ましくは最大で約8.0重量%、さらにより好ましくは最大で約7.0重量%を構成する、請求項31または32に記載の製造品。
【請求項34】
前記体積膨張性シーラント組成物が、助剤を含む、請求項15から33のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項35】
前記助剤が、アクリレート、メタクリレート、またはマレイミドから選択され、好ましくは、フェニルメタンマレイミドホルムアルデヒド縮合物、脂肪族ビスマレイミド、芳香族ビスマレイミド、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクトリレート、およびジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ヘキサアクリレートブレンドから選択される、請求項34に記載の製造品。
【請求項36】
前記体積膨張性シーラント組成物が、プロセス油を含む、請求項15から35のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項37】
前記体積膨張性シーラント組成物が、顔料を含む、請求項15から36のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項38】
前記体積膨張性シーラント組成物が、不活性充填剤を含む、請求項15から37のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項39】
前記体積膨張性シーラント組成物が、エラストマー材料を含む、請求項15から38のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項40】
前記エラストマー材料が、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、およびブロモブチルゴムから選択される、請求項39に記載の製造品。
【請求項41】
前記体積膨張性シーラント組成物が、有機過酸化物、好ましくは、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-バレレート、または1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンを含む、請求項15から40のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項42】
前記1種または複数の温度加工助剤が、炭化水素樹脂、ワックス、液状エラストマー、低分子量ポリマーおよびこれらの任意の組合せから選択される、請求項15から41のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項43】
前記体積膨張性シーラント組成物が、シート、ストリップ、パッチ、リング、ディスク、またはこれらの組合せとして存在する、請求項15から42のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項44】
自動車両用シーリングバッフルである、請求項15から43のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項45】
活性化可能なシーラント組成物を加工するための、好ましくは請求項1から14のいずれか一項に記載の活性化可能なシーラント組成物を加工するための、または
製造品を製造するための、好ましくは請求項15から44のいずれか一項に記載の製造品を製造するための、
多段階方法において、
前記方法が、
i.最初の工程で、1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料を、1種または複数の改質成分と配合して、結果として生じた第1の混合物を得る工程と、
ii.第2のまたはそれ以降の工程で、結果として生じた第1の混合物を1種または複数の活性化可能な成分と配合して、活性化可能なシーラント組成物を得る工程と
を含み、
第2のまたはそれ以降の工程が、結果として生じた第1の混合物の温度が前記活性化可能な成分が活性化される温度を下回るまで開始されない、
多段階方法。
【請求項46】
第2のまたはそれ以降の工程が、最初の工程よりも低い温度で行われる、請求項45に記載の多段階方法。
【請求項47】
第2のまたはそれ以降の工程が、最初の工程よりも継続時間が短いものである、請求項45または46に記載の多段階方法。
【請求項48】
前記1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料が、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から選択される、請求項45から47のいずれか一項に記載の多段階方法。
【請求項49】
前記1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料が、ポストインダストリアルまたはポストコンシューマーの供給源からリサイクルされる、請求項45から48のいずれか一項に記載の多段階方法。
【請求項50】
前記改質成分が、低融点ポリマー材料、低軟化点ポリマー材料、低分子量ポリマー材料、ワックス、炭化水素樹脂、可塑剤、プロセス油、またはこれらの組合せのうちの1種または複数から選択される、請求項45から49のいずれか一項に記載の多段階方法。
【請求項51】
前記活性化可能な成分が、発泡剤、発泡剤活性剤、助剤、またはこれらの組合せのうちの1種または複数から選択される、請求項45から50のいずれか一項に記載の多段階方法。
【請求項52】
シーラント組成物において、
i.1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料と、
ii.1種または複数の発泡剤と、
iii.1種または複数の発泡剤活性剤と、
iv.炭化水素樹脂、プロセス油、ワックス、EPDM、液状エラストマー、高メルトフローコポリマーまたは低融点コポリマーから選択される、1種または複数の成分と
を含む、シーラント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は一般に、単工程プロセスを使用する配合中に熱によってそうでなければ活性化される、活性化可能なシーリング材の多段階加工方法および組成物の種類に関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたり、自動車業界では、騒音、燃料煙、ならびに雨、雪、過度の熱、および湿度などの過酷な天候条件から車両を密閉することが関心事であった。適切なシーリングは、車両の室内空間を外部の騒音から隔離し、電子機器などの内部コンポーネントを湿気および塩分から保護し、車両パネルの空洞内にあるコンポーネントの腐食を防ぎ、車両全体の快適性を補助することができる。自動車業界で採用されているシーリング戦略の中には、架橋性であり得る熱活性型発泡性または非発泡性の予備成形されたシーラント(密閉剤、封水剤)の使用がある。これらのシーラントは、車両のコーティング中に塗料のさまざまな層を硬化させるために使用される1つまたは複数の処理工程中に活性化される。したがって、熱反応性シーラントは、必要に応じて、利用される塗料コーティングと同様の時間および温度で接着性および発泡性を発揮させなければならない。これらの時間および温度は、典型的には、それぞれ約20~40分および約150~200℃の範囲である。したがって、シーラント材の早期活性化(例えば、発泡および/または架橋)を回避するために、シーラントの配合および形成は、典型的には、これらの温度範囲を十分に下回って行わなければならない。
【0003】
本教示は、より高い初期配合温度を有し得るポリマー材料の幅広い選択を可能にする多段加工方法を提供するので、これらの種類の活性化可能なシーラントには従来使用されていない。これには、より低コストでより幅広い供給元およびより多様な供給源から、より容易に入手できるポリマー材料が含まれる場合がある。いくつかの場合では、ポリマー材料は、従来の成分を使用した場合には得ることが難しい機械的および物理的特性を有する可能性がある。さらに、本教示によるシーラント材の加工は、リサイクルされたポストインダストリアルまたはポストコンシューマーの供給源から容易に入手できるポリマー材料の使用を可能にし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の観点から、多段階加工方法を利用して発泡性/硬化性シーラント組成物を形成する方法を提供することが望ましい。従来この分野では利用されていなかったポリマー材料を使用する発泡性/硬化性シーラント組成物を提供し、より幅広い供給元およびより多様な供給源からポリマー材料を選択できるようにすることが望ましい。さらに、より安価で環境にやさしい(例えば、リサイクル材料の利用による)発泡性/硬化性シーラント組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本教示は一般に、上記の必要性のうちの1つまたは複数に対処し得る、発泡性/硬化性シーラント組成物において、1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料と、1種または複数の発泡剤と、1種または複数の発泡剤活性剤と、1種または複数の温度加工助剤とを含み、シーリング、バッフル、減衰、補強、またはこれらの組合せなどの機能的属性を提供するために製造品に供給される、発泡性/硬化性シーラント組成物に関する。
【0006】
本明細書に記載の発泡性/硬化性シーラント組成物は、以下の態様のうちの1つまたは複数を含んでもよい。発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数の助剤、プロセス油、顔料、および/または不活性充填剤を含んでもよい。1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料は、リサイクルされたポストインダストリアルまたはポストコンシューマーの供給源由来であってもよい。
【0007】
一態様では、本明細書の教示は、発泡性/硬化性シーラント組成物において、1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料と、1種または複数の発泡剤と、1種または複数の発泡剤活性剤と、炭化水素樹脂、プロセス油、ワックス、EPDM、液状エラストマー、高メルトフローコポリマーまたは低融点コポリマーから選択される、1種または複数の温度加工助剤とを含む、組成物を開示する。発泡性/硬化性シーラント組成物は製造品に供給される。
【0008】
組成物は、助剤を含んでもよい。助剤は、アクリレート、メタクリレート、またはマレイミドから選択されてもよい。助剤は、フリーラジカル反応性を有する任意の構成成分であってもよい。
【0009】
1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から選択されてもよい。1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料は、ポストインダストリアルまたはポストコンシューマーの供給源からリサイクルされてもよい。1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料は、発泡性/硬化性シーラントの全組成の少なくとも約50%以上を構成してもよい。
【0010】
1種または複数の発泡剤は、アゾジカルボンアミドであってもよい。
【0011】
1種または複数の発泡剤活性剤は、酸化亜鉛、ジシアンジアミド、カルシウム塩、尿素類、または置換尿素類から選択されてもよい。
【0012】
組成物は、プロセス油を含んでもよい。組成物は、顔料を含んでもよい。組成物は、不活性充填剤を含んでもよい。組成物は熱活性化され得る。
【0013】
組成物はシート、ストリップ、パッチ、リング、ディスク、またはこれらの組合せとして製造品に供給されてもよい。製造品は、自動車両のシーリングバッフルであってもよい。
【0014】
別の態様では、本明細書の教示は、発泡性/硬化性シーラント組成物を加工するための多段階方法であって、最初の工程で、1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料を1種または複数の改質成分と配合して、結果として生じた第1の混合物を得る工程と、第2のまたはそれ以降の工程で、結果として生じた第1の混合物を1種または複数の発泡性/硬化性成分と配合して、発泡性/硬化性シーラント組成物を得る工程とを含む、方法を対象とする。第2のまたはそれ以降の工程は、結果として生じた第1の混合物の温度が発泡性/硬化性成分が活性化される温度を下回るまで開始されなくてもよい。
【0015】
第2のまたはそれ以降の工程は、最初の工程よりも低い温度で行われ得る。第2のまたはそれ以降の工程は、最初の工程よりも短い期間であり得る。
【0016】
1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から選択されてもよい。1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料は、ポストインダストリアルまたはポストコンシューマーの供給源からリサイクルされてもよい。改質成分は、低融点ポリマー材料(融点は好ましくは100℃未満)、低軟化点ポリマー材料(軟化点は好ましくは100℃未満)、低分子量ポリマー材料(分子量は好ましくは500g/mol未満)、ワックス、炭化水素樹脂、可塑剤、プロセス油、またはこれらの組合せのうちの1種または複数から選択されてもよい。発泡性/硬化性成分は、発泡剤、発泡剤活性剤、助剤、またはこれらの組合せのうちの1種または複数から選択されてもよい。
【0017】
本明細書の教示は、1種または複数の、好ましくは高軟化点または高融点の、ポリマー材料と、1種または複数の発泡剤と、1種または複数の発泡剤活性剤と、炭化水素樹脂、プロセス油、ワックス、EPDM、液状エラストマー、高メルトフローコポリマーまたは低融点コポリマーから選択される、1種または複数の成分とを含む、シーラント組成物をさらに対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】極端な湿度に曝露された従来技術の材料を示す図である。
図2A】本教示に従った材料を示す図である。
図2B】本教示に従った材料を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に提示される説明および実例は、他の当業者に本教示、その原理、およびその実際的適用を熟知させることを意図している。当業者は、特定の使用の要件に最も適し得るように、多数の形態の教示を適応させ、適用することができる。したがって、記載されている本教示の具体的実施形態は、本教示を網羅するかまたは限定することを意図するものではない。したがって、本教示の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、むしろ、添付の「特許請求の範囲」が権利を有する均等物の全範囲とともに、「特許請求の範囲」を参照して決定されるべきである。特許出願および公報を含むすべての記事および参考文献の開示は、すべての目的のために参照により組み込まれる。以下の「特許請求の範囲」から収集されるように、他の組合せも可能であり、これらはまた、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
この出願は、2021年11月3日に出願された米国特許仮出願第63/275,164号の利益を主張し、その出願の内容は、すべての目的のために参照によりその全体が完全に組み込まれる。
【0021】
本教示は、発泡性/硬化性シーラント組成物、発泡性/硬化性シーラント組成物を製造する方法およびそれを使用する方法を提供する。本教示の発泡性/硬化性シーラント組成物は、シーリング、バッフル、減衰、補強、またはこれらの組合せなどの機能的属性を提供するための部品を形成するのに採用することができる。発泡性/硬化性シーラント組成物は、建物、器具、および/または輸送車両(例えば、ボート、列車、自動車両)などの製造品の構造に有用であり得る。
【0022】
シーラント組成物の活性化は、典型的には、圧力、湿気、熱、放射線などの刺激への曝露によって引き起こされる。活性化により、シーラント組成物が化学的および/または物理的に変化し得る。この変化には、流動、発泡、膨張などの形状の変化が含まれ得る。この変化によって物理的な障壁が形成され得る一方、基材への接着および/またはキャビティのシーリングが発揮される。好ましくは、発泡性/硬化性シーラント組成物は、熱に曝露されると活性化する。発泡性/硬化性シーラント組成物が熱活性化される場合、活性化のための熱は、種々の供給源、例えば、それらに限定されないが、マイクロ波エネルギー、電離放射線、炉、熱電デバイス、電気エネルギー、化学反応、および/またはこれらの組合せなどから供給され得る。好ましい実施形態では、発泡性/硬化性シーラント組成物は、製造品とともに加工され、物品を作製するために採用される固有の処理または組立工程によって熱が提供される。例えば、発泡性/硬化性シーラント組成物は、自動車両の構造に適用されてもよく、そのような自動車両のための電着塗装炉焼き付け(e-coat oven bake)、プライマー炉焼き付け(primer oven bake)、塗装乾燥炉焼き付け(paint oven bake)、それらの組合せなどにおいて頻繁に受ける温度に曝露されると活性化され得る。自動車用コーティングの典型的な硬化条件は、約150℃以下から約200℃以上の範囲であるが、これらの温度を下げることが望まれる。
【0023】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、架橋を経てもよい。架橋は、発泡剤からのガスの捕捉を助け、シーラント組成物が接触する表面への接着を助け、かつ/またはシーラント組成物の弾性率を高めて、材料がそのシーリング機能を果たすために指定された位置からの変形または移動により良く抵抗するようにすることができる。
【0024】
組成物
発泡性/硬化性シーラント組成物は、複数の異なる構成成分または成分、例えば、ポリマー材料、コポリマー材料、発泡剤、発泡剤活性剤、助剤、樹脂、プロセス油、有機過酸化物、酸化防止剤、顔料、充填剤、およびこれらの組合せなどを含んでもよい。複数の異なる構成成分または成分は、ポリマー材料の1つまたは複数の物理的特性(例えば、融点、軟化点、粘度)を修正し、かつ/またはシーラント組成物の活性化を補助するように機能することができる。
【0025】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数のポリマー材料を含んでもよい。1種または複数のポリマー材料は、非晶質、結晶性、または両方の組合せであってもよい。好適な非晶質ポリマー材料には、それらに限定されないが、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、およびアクリロニトリルブタジエンスチレンが含まれる。発泡性/硬化性シーラント組成物に組み込むのに好適な結晶性ポリマー材料には、それらに限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンテレフタレートグリコールが含まれる。
【0026】
好ましくは、発泡性/硬化性シーラント組成物には、エチレンのホモポリマー、コポリマー、および/またはターポリマーが含有されてもよい。例として、発泡性/硬化性シーラント組成物は、高密度ポリエチレン(HDPE)(密度0.941~0.965g/cm)、低密度ポリエチレン(LDPE)(密度0.91~0.925g/cm)、エチレンのコポリマーならびに/または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(密度0.91~0.94g/cm)とも称されるブテン、ヘキセン、およびオクテンなどのアルファオレフィンを含有し得る。表1~表4および表5の例示的実施例は、約7g/10分以下~約70g/10分以上のメルトフローレート(MFR)の範囲の好適なエチレンコポリマーを示す。別段に明記されていない限り、MFRはISO1133に従って、190℃、2.16kgで測定される。明確化する目的のために、メルトフローレート(MFR)はメルトフローインデックス(MFI)の同義語として使用される。
【0027】
発泡性/硬化性シーラント組成物に含まれる1種または複数のポリマー材料は、高軟化点または高融点を示し得る。高軟化点および高融点材料は、軟化点および/または融点が100~120℃の材料である。この範囲で軟化または溶融する材料は、典型的な塗装焼き付け炉で受ける温度に接近する配合または加工温度(例えば、110~140℃以上)を必要とするため、そのような炉で膨張および/または硬化することを目的とした材料での使用には典型的には選択されない。これらの高軟化点および高融点材料を、配合された発泡性シーラントに従来の方法で加工するには高温が必要であり、早期の活性化および硬化につながる恐れがある。本明細書に記載のポリマーの軟化点は、ASTM-D1525に従って測定することができる。
【0028】
好ましくは高軟化点または高融点のポリマー材料は、発泡性/硬化性シーラント組成物に含まれるポリマー材料の総量の約30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、または60重量%以上を構成してもよい。好ましくは高軟化点または高融点の高分子材料は、好ましくは、発泡性/硬化性シーラント組成物全体の約30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、または60重量%以上を構成してもよい。
【0029】
好ましくは高軟化点または高融点の高分子材料は、熱可塑性材料であり、好ましくはポリオレフィン、より好ましくはエチレンのホモポリマーまたはコポリマーである。
【0030】
好ましい実施形態では、ポリマー材料は、ポリエチレンを含むか、または本質的にポリエチレンからなる。
【0031】
好ましい実施形態では、ポリエチレンは、ISO1133に従って190℃、2.16kgで測定して、少なくとも5g/10分、好ましくは少なくとも10g/10分、より好ましくは少なくとも20g/10分、さらにより好ましくは少なくとも30g/10分、さらにより好ましくは少なくとも40g/10分、さらにより好ましくは少なくとも50g/10分、最も好ましくは少なくとも60g/10分、特に少なくとも70g/10分であるメルトフローレート(MFR)を有する。
【0032】
好ましい実施形態では、ポリエチレンは、ISO1133に従って190℃、2.16kgで測定して、最大で70g/10分、好ましくは最大で60g/10分、より好ましくは最大で50g/10分、さらにより好ましくは最大で40g/10分、さらにより好ましくは最大で30g/10分、さらにより好ましくは最大で20g/10分、最も好ましくは最大で10g/10分、特に最大で5g/10分であるメルトフローレート(MFR)を有する。
【0033】
1つの非限定的な例として、好ましくは高軟化点または高融点の高分子材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂である。
【0034】
1つの非限定的な例として、好ましくは高軟化点または高融点の高分子材料は、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂である。
【0035】
別の非限定的な例として、好ましくは高軟化点または高融点の高分子材料は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂である。
【0036】
別の非限定的な例として、好ましくは高軟化点または高融点の高分子材料は、コモノマーの割合が低いエチレンコポリマーである。
【0037】
好ましい実施形態では、ポリマー材料は、コポリマー、好ましくはエチレン酢酸ビニルコポリマーを含むか、または本質的にそれからなる。
【0038】
好ましい実施形態では、このコポリマー、好ましくはエチレン酢酸ビニルコポリマーは、ポリマー材料全体の少なくとも約1.0重量%、好ましくは少なくとも約2.0重量%、より好ましくは少なくとも約3.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも約4.0重量%を構成する。
【0039】
好ましい実施形態では、このコポリマー、好ましくはエチレン酢酸ビニルコポリマーは、体積膨張性シーラント組成物全体の少なくとも約1.0重量%、好ましくは少なくとも約2.0重量%、より好ましくは少なくとも約3.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも約4.0重量%を構成する。
【0040】
上記のように、他のポリマー材料の使用が予期される。
【0041】
発泡性/硬化性シーラント組成物に含まれる1種または複数のポリマー材料は、種々の原料から製造され得る。発泡性/硬化性シーラント組成物に含まれる1種または複数のポリマー材料は、リサイクルされた供給源に由来してもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートのポストコンシューマーの供給源のグレードは、水および炭酸飲料ボトルのリサイクルから容易に入手できる。高密度ポリエチレン(HDPE)のグレードは、リサイクルされた牛乳容器から容易に入手できる。低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のグレードは、プラスチック製の買い物袋および射出成形された瓶の蓋を含む多くの種類のリサイクルフィルムから容易に入手できる。リサイクルグレードの低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含有する発泡性/硬化性シーラント組成物の例示的実施例を表6、実施例I-18およびI-19に示す。
【0042】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数の発泡剤を含んでもよい。1種または複数の発泡剤は、所望に応じて、発泡性/硬化性シーラント組成物内に連続および/または独立気泡構造を形成する不活性ガスを生成するように機能することができる。発泡性/硬化性シーラント組成物は、物理的または化学的発泡剤を含有してもよい。
【0043】
物理的発泡剤は、ポリマーシェルに封入された低沸点溶媒からなってもよく、加熱するとポリマーシェルが軟化し、低沸点溶媒が沸騰してポリマーシェルが膨張し、体積が増加して密度が低下する。本明細書での使用に好適な1つの例示的な物理的発泡剤は、Nouryon,Inc.から市販されている商品名EXPANCEL(登録商標)として入手可能である。
【0044】
化学的発泡剤は、熱に曝露されると分解してガスを放出し、それらが組み込まれているポリマー組成物の体積の変化および密度の低下を引き起こす。発泡性/硬化性シーラント組成物に含まれる化学発泡剤は、吸熱性でも発熱性でもよい。
【0045】
吸熱発泡剤は、活性化中にマトリックスから熱を吸収することができる。好適な吸熱発泡剤には、それらに限定されないが、炭酸および重炭酸イオンの金属塩が含まれる。本明細書での使用に好適な2つの例示的な吸熱発泡剤は、Rit-Chemから市販されている商品名KYCEROL(商標)、およびClariantから市販されているHYDROCEROL(登録商標)である。
【0046】
発熱発泡剤は、活性化中に熱を放出し得る。好適な発熱発泡剤には、それらに限定されないが、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルヒドラジド、またはp,p’-オキシビス(ベネゼンスルホニルヒドラジド)が含まれる。好ましくは、発熱発泡剤としてアゾジカルボンアミドが利用される。
【0047】
1種または複数の発泡剤は、発泡性/硬化性シーラント組成物の総重量の0.5%以下から約11%以上の量で存在してもよい。1種または複数の発泡剤の正確な量は、特定のシーラント用途に対する所望の体積変化量および所望の活性化の温度に基づいて選択されてもよい。1つの非限定的な例として、2%のアゾジカルボンアミドを含有する低密度ポリエチレン(LDPE)をベースとする組成物は、約162.78~204.44℃(325~400°F)の温度範囲で約20~40分間加熱すると、約200~300%の体積の増加を実現することができる。このレベルの体積増加を伴う材料は、止水などの用途、およびある程度の機械的強度が必要な場合に好ましい。本教示に従って製造され、約200~400%の膨張の範囲であるポリエチレンベースの組成物は、ディーゼル燃料またはガソリンなどの炭化水素系燃料へのある程度の曝露が予期される場合のシーリングに好適である。同様に、4.2%のアゾジカルボンアミド発泡剤を組み込む低密度ポリエチレン(LDPE)をベースとするシーラント組成物は、約162.78~204.44℃(325~400°F)の温度範囲で約20~40分間加熱すると、1000~1200%の体積増加を実現することができる。アゾジカルボンアミドを8.4%のレベルで組み込むと、表3の例示的実施例I-12およびI-13に示されるように、2000%もの体積の増加が生じる。
【0048】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数の発泡剤活性剤を含んでもよい。1種または複数の発泡剤活性剤は、発泡剤がガスを生成して組成物を発泡させる温度を低下させるように機能することができる。1種または複数の発泡剤活性剤は、発泡性/硬化性シーラント組成物の発泡温度を低下させるため、それらを使用するには、発泡剤および付随する発泡剤活性剤を添加する前に、配合温度をさらに下げる必要がある。1種または複数の発泡剤活性剤には、亜鉛塩もしくはカルシウム塩、および/または窒素含有化合物が含まれ得る。好ましくは、発泡剤活性剤は、金属塩、または酸化物、例えば、酸化亜鉛などの金属酸化物である。他の好ましい発泡剤活性剤には、尿素類および置換尿素類などが含まれる。ジシアンジアミドも発泡剤活性剤として使用してもよい。
【0049】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、発泡性/硬化性シーラント材の融解温度もしくは軟化点のいずれかを下げるか、粘度を下げるか、または融解温度もしくは軟化点および粘度の両方を下げるように機能する1種または複数の成分を含んでもよい。本明細書では温度加工助剤として定義され、融解温度、軟化点および/または粘度を低下させるための1種または複数の成分は、好ましくは、固相、溶融相、またはその両方で発泡性/硬化性シーラント組成物の他のポリマー成分と完全に適合するか、または少なくとも部分的に適合する。1種または複数の温度加工助剤は、好ましくは、熱に敏感な成分が添加され得る後続の加工段階で発生する温度およびせん断発熱を低下させるために、加工の初期段階において発泡性/硬化性シーラント組成物に添加される。1種または複数の温度加工助剤には、それらに限定されないが、炭化水素樹脂、プロセス油、液状エラストマー、ワックスまたは低分子量ポリマーおよびコポリマーが含まれる。1種または複数の温度加工助剤の合計は、好ましくは約10%以上、より好ましくは20%以上、さらにより好ましくは30%以上の量で存在する。1種または複数の温度加工助剤の合計は、好ましくは約50%以下の量で存在する。1種または複数の温度加工助剤には、炭化水素樹脂、ワックス、液状エラストマー、および低分子量ポリマーが含まれ得る。
【0050】
1種または複数の温度加工助剤には、1種または複数の炭化水素樹脂が含まれてもよい。1種または複数の炭化水素樹脂は、発泡性/硬化性シーラント組成物の融解温度または軟化点を低下させるように機能することができる。1種または複数の炭化水素樹脂は、発泡性/硬化性シーラント組成物の溶融粘度を低下させるように機能することができる。1種または複数の炭化水素樹脂は、基材(例えば、金属)への発泡性/硬化性シーラント組成物の接着性を改善するように機能することができる。さらに、1種または複数の炭化水素樹脂は、全体的な耐食性を改善するように機能することができる。炭化水素樹脂は、発泡性/硬化性シーラント組成物の総重量の約5%以下から約15%以上の量で存在してもよい。好適な炭化水素樹脂には、それらに限定されないが、本明細書に提示する例示的な表1および表2に示されるような芳香族C-9樹脂、脂肪族C-5樹脂、および/またはこれらの組合せが含まれ得る。また、好適な炭化水素樹脂には、クマロン-インデン樹脂およびファルネセンをベースとするものが含まれ得る。また、好適な炭化水素樹脂には、バイオ資源由来のロジン酸およびエステルが含まれ得る。
【0051】
好ましい実施形態では、1種または複数の炭化水素樹脂は、体積膨張性シーラント組成物全体の少なくとも約1.0重量%、好ましくは少なくとも約2.0重量%、より好ましくは少なくとも約3.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも約4.0重量%を構成する。
【0052】
好ましい実施形態では、1種または複数の炭化水素樹脂は、体積膨張性シーラント組成物全体の最大で約10重量%、好ましくは最大で約9.0重量%、より好ましくは最大で約8.0重量%、さらにより好ましくは最大で約7.0重量%を構成する。
【0053】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数の炭化水素樹脂を欠くことも考えられる。表2の比較例C2(炭化水素樹脂を一切含有せずに調製したもの)からわかるように、膨張の結果は、発泡性/硬化性シーラント組成物への炭化水素樹脂の含有は、良好な膨張特性を得るために必須ではないことを示している。したがって、炭化水素樹脂を含まない組成物は、当業者に公知のさまざまな用途に好適であることが考えられる。しかしながら、加工を容易にし、金属への接着性の改善および/または耐食性の改善など、本明細書に列挙した改善のうちの1つまたは複数を得るために、適切な量の1種または複数の炭化水素樹脂の組み込みが有益であることが証明され得る。
【0054】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、プロセス油を含んでもよい。プロセス油は、ベースポリマーの融点または軟化点を下げるように機能することができる。プロセス油は、発泡性/硬化性シーラント組成物の粘度を下げるように機能することができる。さらに、プロセス油は、発泡性/硬化性シーラント組成物の全体的なコストを下げるように機能することができる。プロセス油は、発泡性/硬化性シーラント組成物の総重量の約5%以下~約15%以上の量で存在してもよい。好適なプロセス油は、パラフィン油、または本明細書での使用に好適な当技術分野および文献における他の任意の公知であるプロセス油であってもよい。発泡性/硬化性シーラント組成物は、プロセス油を欠くことも考えられる。
【0055】
ワックスは、親油性で硬質であるが、可鍛性のある低分子量の固体である。これらには、パラフィン系ワックス、ならびに植物ベースおよび動物ベースのワックスが含まれ得る。液状エラストマーには、それらに限定されないが、ポリイソブチレン、ポリブタジエン(INEOSから商品名Indopol(登録商標)として入手可能)、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)およびエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム(Lion Elastomersから商品名Trilene(登録商標)として入手可能)が含まれる。融点および/または粘度を下げるのに好適な低分子コポリマーには、それらに限定されないが、ポリオレフィンエラストマーおよびプラストマー(例えば、190℃で500~1500g/10分、2.16Kg、のメルトインデックスを有する、Dowから入手可能な商品名Affinity(登録商標)GAシリーズとして入手可能なエチレンオクテンコポリマー)が含まれる。また、エチレンメタクリレート、エチレンブチルアクリレートおよびエチレン酢酸ビニルコポリマー、特に、それらが改質しているポリマーよりも高いメルトフローレートおよび/または低い融点を有するものも好適である。
【0056】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数の助剤を含んでもよい。1種または複数の助剤は、発泡性/硬化性シーラント組成物の架橋性を改善するように機能することができる。1種または複数の助剤は、ガスの捕捉を改善するように機能することができる。典型的には、助剤は、フリーラジカル機構(free radial mechanism)によって反応する反応性二重結合を有する低分子量モノマー材料またはオリゴマー材料であり得る。1種または複数の助剤は、マレイミド系であってもよいか、またはアリル、ビニル、アクリレート、もしくはメタクリレート官能基を含んでいてもよい。助剤に関する一般的な要素は、フリーラジカル発生剤および発泡性/硬化性シーラント組成物のポリマー材料と反応するように機能するフリーラジカル硬化性二重結合の存在である。1種または複数の助剤は、単官能性、二官能性、または多官能性であってもよく、これらは助剤の各分子の二重結合の数を示す。好適な助剤には、それらに限定されないが、フェニルメタンマレイミドホルムアルデヒド縮合物、脂肪族ビスマレイミド、芳香族ビスマレイミド、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクトリレート(trimetholyl propane trimethactrylate)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ヘキサアクリレートブレンド、および/またはこれらの組合せなどが含まれ得る。好ましい助剤は、マレイミド官能基に基づくものであるが、その理由は非常に低濃度、すなわち、配合物全体の0.2重量%という低い濃度で良好に作用する能力を有するためである。発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数の助剤を欠くことも考えられる。しかしながら、表1の例示的実施例は、すべての焼き付け条件で、特に助剤を含まない比較例C-1と比較して、204.44℃(400°F)である高温の焼き付けで、膨張が増加する有益な効果を示している。
【0057】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数のフリーラジカル発生剤を含んでもよい。フリーラジカルの発生が、熱または紫外線放射などの外部刺激によって開始または促進されるフリーラジカル発生剤が好ましい。好ましい実施形態では、フリーラジカルの発生は熱によって促進される。フリーラジカル発生剤には、それらに限定されないが、過硫酸塩、アゾ化合物、およびヒドロペルオキシドが含まれる。好ましい実施形態では、フリーラジカル発生剤は有機過酸化物である。1種または複数のフリーラジカル発生剤は、組成物中に含有される1種または複数の助剤および1種または複数のポリマー材料と相互作用することにより、発泡性/硬化性シーラント組成物の架橋に影響を及ぼすのに十分な量のフリーラジカルを発生させるように機能することができる。配合の最終段階で使用される1種または複数のフリーラジカル発生剤は、周囲温度およびやや高温で長い半減期を有し得る。1種または複数の有機過酸化物は、組成物が配合されてガスを発生させる温度付近またはそれより高い温度で、より短い半減期を示す場合がある。1種または複数のフリーラジカル発生剤は、発泡性/硬化性シーラント組成物の総重量の約0.5%以下から約1.5%以上の量で存在してもよい。有機過酸化物タイプの好適なフリーラジカル発生剤には、それらに限定されないが、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-バレレート、および1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、または本明細書での使用に好適な当技術分野および文献における他の任意の公知である有機過酸化物が含まれる。
【0058】
表2に示す比較例C-3は、有機過酸化物を一切使用せずに配合されている。より低い温度の焼き付け条件での膨張は、有機過酸化物を含む膨張と同様であるが、組成物の垂直上昇がより低いため、組成物は改善された流動性を有する。より重要なことに、約204.44℃(400°F)の高温での体積膨張は、有機過酸化物を添加しない場合に大幅に減少する。したがって、高い焼き付け温度で体積膨張を増加させるには、有機過酸化物の添加が有益であることが証明される。
【0059】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤は、配合中のポリマー材料の劣化を防止し、かつ/または発泡性/硬化性シーラント組成物の配合中に発生する可能性のあるフリーラジカルを除去するように機能することができる。酸化防止剤は、製造業者によって発泡性/硬化性シーラント組成物のポリマー材料にすでに組み込まれているか、または発泡性/硬化性シーラント組成物に個別に添加されてもよい。好適な酸化防止剤は、当技術分野および文献において公知の任意の好適な酸化防止剤であってもよい。本明細書での使用に好適な酸化防止剤のレベルは、製造業者によってポリマー材料に存在し、添加されたものであってもよい。発泡性/硬化性シーラント組成物は、酸化防止剤を欠くことも考えられる。
【0060】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数の顔料を含んでもよい。1種または複数の顔料は、シーラントを識別および/または検出して、組立作業中のシールの適切な設置を確認するために、発泡性/硬化性シーラント組成物をマーキングするのに有用であり得る。好適な顔料には、それらに限定されないが、さまざまな有機および無機顔料、金属酸化物、カーボンブラックなどが含まれ得る。
【0061】
発泡性/硬化性シーラント組成物は、1種または複数の不活性充填剤を含んでもよい。1種または複数の不活性充填剤は、発泡特性を改善するために気泡壁を補強するように機能することができる。1種または複数の不活性充填剤は、特に組成物が加熱されている際に、発泡性/硬化性シーラント組成物のレオロジーを変化させて、硬化前または硬化中のシーラントのサギングまたは滑りを低減するように機能することができる。さらに、不活性充填剤は、発泡性/硬化性シーラント組成物の全体的なコストを下げるように機能することができる。好適な不活性充填剤には、それらに限定されないが、炭酸カルシウム、タルク、珪灰石、さまざまな種類のクレー、金属酸化物、シリカ、マイカなどが含まれ得る。1種または複数の不活性充填剤には、ガラス繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、ポリマー繊維など、繊維の形態の材料が含まれ得る。1種または複数の不活性充填剤は、円形もしくは実質的に円形の粒子として、かつ/またはフレーク状、針状、および小板として存在してもよい。発泡性/硬化性シーラント組成物は、不活性充填剤を欠くことも考えられる。
【0062】
形成
発泡性/硬化性シーラント組成物の形成は、多段または多段階加工方法によって達成され得る。第1の配合工程では、ポリマー材料を改質成分と配合する。ポリマー材料は、本明細書に上述したように、高融点または高軟化点を示し得る。改質成分は、ポリマー材料の融点もしくは軟化点を下げるか、粘度を下げるか、または融点もしくは軟化点および粘度の両方を下げるように機能することができる。改質成分は、本明細書に記載の低融点ポリマー材料、低軟化点ポリマー材料、低分子量ポリマー材料、ワックス、炭化水素樹脂、可塑剤、プロセス油、またはこれらの組合せなどから選択され得る。好ましくは、改質成分は、高融点または高軟化点のポリマー材料よりも低いレベルで添加される。好ましくは、改質成分は、高融点または高軟化点のポリマー材料と少なくとも部分的に適合する。高融点または高軟化点のポリマー材料と改質成分との配合は、所望の結果として生じた第1の混合物が得られるように、必要に応じて、1つまたは複数の初期の第1の工程で行われ得ることが考えられる。結果として生じた第1の混合物は、低融点または低軟化点、低粘度、またはその両方を有する混合物を含んでもよい。重要なことに、発泡性/硬化性シーラント組成物の活性化に役割を果たす成分は、これらの第1の配合工程には含まれない。
【0063】
安全な配合のために(すなわち、部品を形成する過程で望ましくない活性化を避けるために)、配合温度を発泡性/硬化性シーラント組成物が活性化する温度より十分に低く維持する必要があり得る。効果的な混合のためには、軟化点または融点を超える温度でポリマー材料を配合する必要があり得る。例えば、結晶性ポリマー材料の場合、配合温度は材料の溶融温度より少なくとも10℃高いことが好ましい。明確な溶融温度を持たない非晶質ポリマー材料の場合、軟化点より少なくとも10℃高い温度で材料を配合する必要があり得る。好ましくは、配合は、材料の軟化点より少なくとも20℃高い温度で行われ得る。約150℃以下で発泡および/または硬化する本明細書の教示に従った材料の場合、約120℃以下、または好ましくは約110℃以下、またはより好ましくは105℃以下でそのような材料を配合する必要があり得る。したがって、単工程または単段プロセスを使用する場合、使用可能なポリマー材料は、融点または軟化点が100℃未満のものに限定される可能性がある。この種類のいくつかの例示的なポリマー材料には、それらに限定されないが、18%以上のコモノマーのレベルで、エチレンモノマー、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルのコポリマーが含まれる。このような材料は、ポリマー鎖の規則性を破壊し、したがってその結晶化能力を破壊するのに有効である。さらに、識別可能な融点または軟化点を持たない好適な例示的エラストマー材料には、それらに限定されないが、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、およびブロモブチルゴムが含まれる。
【0064】
第2のまたはそれ以降の配合工程で、生成混合物は、1種または複数の発泡性/硬化性成分と配合される。発泡性/硬化性成分は、本明細書に記載の発泡剤、発泡剤活性剤、助剤など、またはこれらの組合せから選択されてもよい。この第2のまたはそれ以降の配合工程は、第1の配合工程よりも低い温度で行われ、典型的には、または好ましくは、第1の配合工程よりも短い継続時間である。重要なことに、この第2のまたはそれ以降の配合工程は、熱に敏感な成分を活性化しないように、混合物の加工温度が下がるまで行われない。
【0065】
場合により、多段階加工方法中にマスターバッチを生成してもよい。最終製品の一部が配合され、さらに加工するために収集される場合、材料は典型的には、マスターバッチと呼ばれる。ただし、マスターバッチを生成して分離することは必須ではない。例えば、第1の配合工程と第2のまたはそれ以降の配合工程の両方を、バッチ混合プロセスを使用して実施する場合、第1の配合工程の生成混合物をミキサーから排出するか、または周囲温度まで冷却する必要はない。その代わりに、第2のまたはそれ以降の配合工程中に添加された反応性成分の活性化が起こらないように、第1の生成混合物から十分な熱エネルギーを除去する必要がある。
【0066】
表5の例示的実施例は、マスターバッチを使用せずに調製されており、本教示の発泡性/硬化性シーラント組成物が、むしろ成分の慎重な段階的添加に従って調製され得ることを実証している。別個のマスターバッチの形成がなされるか否かにかかわらず、配合された成分の温度は、最終的な発泡性組成物を製造するために使用される発泡剤または架橋剤を活性化しないように、十分に低い温度にすることが重要である。
【0067】
混合および成形
本明細書に提示される多段階加工方法では、さまざまな種類の混合技術を採用することができる。第1の配合工程で、第2のまたはそれ以降の配合工程での使用に好適な混合物を生成することを条件として、当技術分野および文献において公知の任意の好適な混合技術を利用して、発泡性/硬化性シーラント組成物を調製し得ることが考えられる。例えば、バッチ配合法、連続配合法、またはこれらの組合せを採用してもよい。本明細書での使用に好適なバッチ混合装置には、それらに限定されないが、ダブルアームシグマブレードミキサー(double arm sigma blade mixer)、バンバリーミキサー、Shaw社製ミキサー、プラネタリーミキサーなどが含まれる。本明細書での使用に好適な連続加工装置は、それらに限定されないが、共回転または逆回転の二軸押出機、Buss社製ニーダー、ミキシングエレメントを備えた単軸押出機などが含まれる。
【0068】
従来のワンステップのバッチコンパウンドプロセスでは、溶融処理を必要とするすべての成分は、熱反応性成分の活性化温度よりも低い温度で溶融処理可能である必要があった。結晶性材料の溶融処理は、融点を少なくともわずかに上回る温度(例えば、10℃超)で行わなければならない。非晶質材料の溶融処理は、軟化点を少なくともわずかに上回る温度で行わなければならない。溶融処理可能な成分には、熱可塑性ポリマー、ゴムまたはエラストマー、固体炭化水素樹脂、固体エポキシ樹脂などが含まれる。ワンステップコンパウンドプロセスでは、最低処理温度は、融点または軟化点が最も高い成分によって決定される。熱活性成分の活性化の可能性を回避するために、最高処理温度は、熱活性化成分(例えば、発泡剤および潜在性過酸化物)の活性化温度より少なくとも10℃低く、より好ましくは20℃低く、より好ましくは30℃低くなる。
【0069】
多段階加工方法によって形成された発泡性/硬化性シーラント組成物/材料は、当技術分野および文献において公知のさまざまな技術に従って成形され得る。例えば、発泡性/硬化性シーラント材は、予備成形されていてもよい。予備成形は、活性化前に明確な形状および安定した寸法で供給されるものとして本明細書で定義される。材料は、シート、ストリップ、パッチ、リング、ディスクなどとして供給されてもよい。一実施形態では、発泡性/硬化性シーラント材は、射出成形されてもよい。別の実施形態では、発泡性/硬化性シーラント材は、(例えば、シート状に)押し出されてもよいか、または、複雑な幾何学的形状を有する材料の連続的な流れを生成するプロファイルダイを介してもよい。次いで、材料を所望の長さの切片に切断して、3次元形状の部品を作製することができる。材料は、単独で供給してもよいか、または金属、複合材料、熱硬化性樹脂、熱可塑性プラスチックなどの他の構成成分と組み合わせて供給してもよい。好ましい実施形態では、材料は、成形されたポリアミドまたはポリエステルに供給され、シーリングバッフルを形成する。
【0070】
本明細書ではバッフルという用語は、空気、湿気、塵埃、騒音、これらの組合せなどの運動に対する障壁を形成するように設計された構造体を意味すると定義される。典型的な設計では、熱可塑性プラスチック、熱硬化性樹脂、金属、複合材料などからなる不活性成分に、発泡して種々の表面に接着する発泡性/硬化性材料を組み合わせる。発泡性/硬化性材料は、不活性材料の周囲に配置されてもよい。バッフルには、発泡性/硬化性材料の活性化前にバッフルの位置決め、およびバッフルの設置のためのピンまたはタブが含まれてもよい。例えば自動車のAピラー、Bピラー、またはCピラーのキャビティに挿入すると、バッフルとキャビティの壁の間にバッフルが密閉することが意図される空間があり、これにより、さまざまな洗浄溶液、リン酸塩処理溶液、および電着塗装溶液が車両から排出される。しかしながら、活性化すると、バッフルの周囲に配置されたシーラント材は、キャビティの壁に接触してキャビティの壁に接着するまで発泡するため、キャビティを密閉し、バッフルをしっかりと設置する。
[実施例]
【0071】
本教示は、表形式で提示された以下の非限定的な実施例によってさらに説明され得る。例示的実施例および比較対照で使用した成分を、下記表7に列挙する。さらに、本明細書の以下に提示する表6は、例示的実施例で使用したマスターバッチ組成物を示す。
【0072】
表1に、例示的実施例I-1からI-7、および比較対照C-1を示す。比較対照C-1は、助剤を使用せずに調製した。
【0073】
【表1】
【0074】
表2に、例示的実施例I-8からI-11、および比較例C2およびC3を示す。比較例C2は、炭化水素樹脂を使用せずに調製した。比較例C3は、有機過酸化物を使用せずに調製した。
【0075】
【表2】
【0076】
表3に、例示的実施例I-12およびI-13のより大きい体積膨張を示す。
【0077】
【表3】
【0078】
表4に、例示的実施例I-14からI-17を示す。
【0079】
【表4】
【0080】
表5に、例示的実施例I-18およびI-19におけるリサイクルポリエチレンの使用を示す。例示的実施例で使用した成分を、下記表7に列挙する。
【0081】
【表5】
【0082】
表6は、例示的実施例で使用したマスターバッチ組成物A~Eを示す。
【0083】
【表6】
【0084】
表7に、例示的実施例および比較例で使用した成分を列挙する。
【0085】
【表7】
【0086】
表8から表10のデータは、上記の本発明の実施例の組成物に関連するいくつかの肯定的な性能上の利点を示す。表8のデータは、本明細書の教示の組成物が、活性化直前の1週間、35℃での厳しい湿度に曝露された後でさえ、示された焼き付け条件で非常に良好な発泡性能を維持できることを実証する。材料は、この湿度曝露条件の後、このような曝露なしの体積膨張と比較した場合、体積膨張の85%超を維持する。湿度に曝露された後の発泡挙動の改善は、特により高い焼き付け温度条件で明白である。本発明による材料は、同様の膨張を有する市販のシーラントと比較して、湿度曝露後に活性化された場合に表面欠陥が少なく、より良好な気泡構造を有することも有利である。曝露後の生成L-2811市販シーラントを図1に示し、実施例I-2およびI-5を図2Aおよび図2Bに示す。各図では、左側の試料を204.44℃(400°F)の温度に40分間、中央の試料を171.11℃(340°F)の温度に20分間、右側の試料を162.78℃(325°F)の温度に30分間曝露した。
【0087】
【表8】
【0088】
本明細書の教示に従った材料は、活性化後の性能上の利点も実証する。表9のデータは、本明細書の教示に従った材料が、同様の体積膨張レベルを有する市販の材料と比較して、活性化後の吸水率が低いことを実証する。
【0089】
【表9】
【0090】
表10のデータは、本明細書の教示に従った材料が、自動車燃料などの疎水性流体への曝露に対する改善された耐性も実現できることを実証する。いくつかの本発明材料および市販の対照のデュロメーターを活性化後に測定し、続いて70重量%のイソオクタンおよび30重量%のトルエンの混合物であるFord Fuel Bに24時間浸漬する。24時間の曝露の直後に、各材料のデュロメーターを再測定する。本明細書の教示に従った材料は、Fuel Bに24時間浸漬した後、初期デュロメーターの読み取り値の少なくとも半分を維持する一方、市販の高膨張材料のデュロメーターの読み取り値は0に低下した。より高膨張な実施例I-12およびI-13でさえ、初期デュロメーター値の50%以上を維持している。
【0091】
【表10】
【0092】
別段に明記されていない限り、すべての範囲には、端点および端点の間のすべての数の両方が含まれる。範囲に関連して「約」または「おおよそ」を使用することは、範囲の両端に適用される。したがって、「約20~30」は、少なくとも特定された端点を含む「約20~約30」を包含することを意図する。
【0093】
角度測定を説明するための「概して」または「実質的に」という用語は、約+/-10°以下、約+/-5°以下、またはさらに約+/-1°以下を意味し得る。角度測定を説明するための「概して」または「実質的に」という用語は、約+/-0.01°以上、約+/-0.1°以上、またはさらに約+/-0.5°以上を意味し得る。長さ測定、百分率、または比率を説明するための「概して」または「実質的に」という用語は、約+/-10%以下、約+/-5%以下、またはさらに約+/-1%以下を意味し得る。長さ測定、百分率、または比率を説明するための「概して」または「実質的に」という用語は、約+/-0.01%以上、約+/-0.1%以上、またはさらに約+/-0.5%以上を意味し得る。
【0094】
別段に明記されていない限り、本明細書に記載の任意の数値は、任意の下限値と任意の上限値との間に少なくとも2単位の間隔があることを条件として、1単位の増分で下限値から上限値までのすべての値を含む。一例として、成分の量、特性、またはプロセス変数の値、例えば温度、圧力、時間などが、例えば、1から90まで、20から80まで、または30から70までである場合、中間範囲の値(例えば、15~85、22~68、43~51、30~32など)は、この明細書の教示の範囲内にあることが意図される。同様に、個々の中間値も本教示の範囲内にある。1未満の値の場合、1単位は適宜0.0001、0.001、0.01、または0.1と考えられる。これらは、具体的に意図されているものの単なる例に過ぎず、列挙された最低値と最高値の間の数値のすべての可能な組合せは、同様の方法でこの出願において明示的に述べられていると考えられるべきである。別段に明記されていない限り、すべての範囲には、端点および端点の間のすべての数の両方が含まれる。
【0095】
明らかなように、本明細書で「重量部」として表される量の教示は、重量パーセントで表される同様の範囲も考慮している。したがって、「生成組成物の少なくとも「x」重量部」としての範囲における表現は、同様に記載される生成組成物の「「x」重量パーセント」の量の範囲の教示も考慮している。
【0096】
組合せを説明するための「本質的に~からなる」という用語は、特定された要素、成分、構成成分、または工程、および他のそのような要素、成分、構成成分、または工程であって、組合せの基本的および新規な特性に実質的に影響を及ぼさないものが含まれるものとする。本明細書の要素、成分、構成成分、または工程の組合せを説明するための「含む(comprising)」または「含む(including)」という用語の使用はまた、要素、成分、構成成分、または工程から本質的になる実施形態を考慮している。
【0097】
複数の要素、成分、構成要素、または工程は、単一の統合された要素、成分、構成要素、または工程によって提供することができる。或いは、単一の統合された要素、成分、構成要素、または工程は、別々の複数の要素、成分、構成要素、または工程に分割されてもよい。要素、成分、構成要素、または工程を説明するための「a」または「one」の開示は、追加の要素、成分、構成要素、または工程を排除することを意図しない。
【0098】
上記の説明は、例示的であることを意図しており、限定的なものではないことが理解される。提供された実施例以外の多くの用途と同様に、手段としての多くの実施形態は、上記の説明を読めば当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、むしろ、添付の「特許請求の範囲」が権利を有する均等物の全範囲とともに、「特許請求の範囲」を参照して決定されるべきである。特許出願および公報を含むすべての記事および参考文献の開示は、すべての目的のために参照により組み込まれる。本明細書に開示される発明主題の任意の態様の以下の「特許請求の範囲」における省略は、そのような主題の否認でもなく、また発明者らがそのような主題を開示された発明主題の一部であると考えていなかったと見なされるべきでもない。
図1
図2A
図2B
【国際調査報告】