(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】都市におけるヒューマンマシンインタラクションの試験環境
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526698
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 AT2022060388
(87)【国際公開番号】W WO2023081948
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513131176
【氏名又は名称】アーファオエル・リスト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・シュイル
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181CC04
5H181EE02
5H181LL01
(57)【要約】
本発明は、シミュレーション手段とモーションキャプチャシステムとを用いて車両用の試験台を運用するための方法に関するものであり、以下の作業ステップを有している、すなわち、シミュレーション手段を用いて、少なくとも1つの仮想生物と少なくとも1つの仮想車両とを有する仮想試験環境を形成する作業ステップであって、仮想生物の内1つは現実の生物を仮想的に表現したものであり、仮想車両の内1つは運転支援システムを備えた車両を仮想的に表現したものであり、付加的に、車両の少なくとも一部が試験台上で現実の試験対象物として動作し、運転支援システムは仮想試験環境に基づいて稼働し、特に刺激される作業ステップ、形成された仮想環境に基づいて、モーションキャプチャシステム内の現実の生物を刺激によって刺激する作業ステップ、モーションキャプチャシステムを用いてモーションデータをキャプチャする作業ステップであって、モーションデータは、現実の生物の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述する作業ステップ、及び、キャプチャされたモーションデータを記録する作業ステップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シミュレーション手段(11)とモーションキャプチャシステム(12)とを用いて車両用の試験台(1)を運用するための方法(100)であって、以下の作業ステップ、すなわち、
前記シミュレーション手段(11)を用いて、少なくとも1つの仮想生物(2‘)と少なくとも1つの仮想車両(3‘)とを有する仮想試験環境を形成する作業ステップであって、前記仮想生物(3‘)の内1つは現実の生物(3)を仮想的に表現したものであり、前記仮想車両(3‘)の内1つは運転支援システムを備えた車両(3)を仮想的に表現したものであり、付加的に、前記車両(3)の少なくとも一部が前記試験台(1)上で現実の試験対象物として動作し、前記運転支援システムは前記仮想試験環境に基づいて稼働し、特に刺激される作業ステップ(101)、
形成された仮想環境に基づいて、前記モーションキャプチャシステム(12)内の現実の生物(2)を刺激によって刺激する作業ステップ(102)、
前記モーションキャプチャシステム(12)を用いてモーションデータをキャプチャする作業ステップであって、前記モーションデータは、前記現実の生物(2)の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述する作業ステップ(103)、及び、
キャプチャされた前記モーションデータを記録する作業ステップ(104)、
を有する方法(100)。
【請求項2】
キャプチャされた前記モーションデータが、前記モーションキャプチャシステム(12)内の前記現実の生物(2)に対する刺激と結びつけられており、キャプチャされた前記モーションデータに付属する刺激も同様に記憶される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
キャプチャされた前記モーションデータと、キャプチャされた前記モーションデータに対する運転支援システムの反応とが、仮想試験環境を形成する際に考慮される、請求項1又は2に記載の方法(100)。
【請求項4】
特に請求項1又は2に記載の、車両用の試験台(1)を運用するための方法(200)であって、以下の作業ステップ、すなわち、
シミュレーション手段(21)を用いて、少なくとも1つの仮想生物(2‘)と少なくとも1つの仮想車両(3‘)とを備えた仮想試験環境を形成する作業ステップであって、前記仮想生物(2‘)の内1つは現実の生物(2)を仮想的に表現したものであり、前記仮想車両(3‘)の内1つは運転支援システムを備えた車両(3)を仮想的に表現したものであり、前記車両(3)の少なくとも一部が前記試験台(1)上で現実の試験対象物として動作し、前記運転支援システムは前記仮想試験環境に基づいて稼働し、特に刺激される作業ステップ(201)、
特に、モーションキャプチャシステム(22)を用いてモーションデータをキャプチャする作業ステップであって、前記モーションデータは、前記現実の生物(3)の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述する作業ステップ(202)、
キャプチャされた前記モーションデータに対する前記運転支援システムの反応によって生成されるシナリオを記録する作業ステップであって、キャプチャされた前記モーションデータ及びキャプチャされた前記モーションデータに対する前記運転支援システムの反応が、前記仮想試験環境を形成する際に考慮される作業ステップ(203)、
を有する方法(200)。
【請求項5】
記録されたシナリオがキャプチャされたモーションデータと結びつけられ、生成されたシナリオに付属するモーションデータは同様に記憶される、請求項4に記載の方法(200)。
【請求項6】
キャプチャされた前記モーションデータが、仮想試験環境を形成する際に反復して考慮される、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法(100、200)。
【請求項7】
試験対象物(3)をハードウェアインザループ、特にビークルインザループとして動作させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(100、200)。
【請求項8】
キャプチャされたモーションデータの反復する考慮が、解剖学的構造の少なくとも1つの部分の変更、及び/又は前記解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスの変更を含んでいる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(100、200)。
【請求項9】
解剖学的構造の少なくとも1つの部分の変更が、前記解剖学的構造の部分の経験的分位に基づいて行われる、請求項8に記載の方法(100、200)。
【請求項10】
仮想試験環境の時間的シーケンスが、モーションデータを反復して考慮する場合、前記モーションデータの時間的シーケンスよりも速いか、若しくは遅く、又はリアルタイムよりも速いか、若しくは遅い、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法(100、200)。
【請求項11】
さらに以下の作業ステップ、すなわち、
第1のキャプチャされたモーションデータとは異なる第2のキャプチャされたモーションデータを、仮想試験環境を形成する際に反復して考慮する作業ステップ(107、206)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法(100、200)。
【請求項12】
さらに以下の作業ステップ、すなわち、
第1のキャプチャされたモーションデータから第2のキャプチャされたモーションデータへの遷移データを決定する作業ステップであって、前記遷移データは、前記第1のキャプチャされたモーションデータから前記第2のキャプチャされたモーションデータへの時間的及び/又は空間的遷移を記述する作業ステップ(105、204)、
仮想試験環境を形成する際に、前記第1のキャプチャされたモーションデータと前記第2のキャプチャされたモーションデータとの間の遷移データを時間的に再現する作業ステップ(106、205)を有する、請求項11に記載の方法(100、200)。
【請求項13】
第1のキャプチャされたモーションデータと第2のキャプチャされたモーションデータとがランダム化された方法で組み合わされる、
又は、
前記第1のキャプチャされたモーションデータ及び前記第2のキャプチャされたモーションデータは、前記第1のキャプチャされたモーションデータ及び前記第2のキャプチャされたモーションデータの組み合わせに基づいて組み合わされ、特に、前記第1のキャプチャされたモーションデータ及び前記第2のキャプチャされたモーションデータの組み合わせは、機械学習に基づいている、請求項11又は12に記載の方法(100、200)。
【請求項14】
試験技師が、キャプチャされたモーションデータの反復を開始することができる、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法(100、200)。
【請求項15】
コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品が、特にコンピュータ可読及び/又は不揮発性記憶媒体に記憶された命令を含んでおり、前記命令は、1つ若しくは複数のコンピュータによって実行される場合、前記コンピュータに、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法(100、200)を実行させる、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
少なくとも1つの仮想生物(2‘)と少なくとも1つの仮想車両(3‘)とを備えた仮想試験環境であって、前記仮想生物(2‘)の内1つは現実の生物(2)を仮想的に表現したものであり、前記仮想車両(3‘)の内1つは運転支援システムを備えた車両を仮想的に表現したものであり、付加的に、前記車両(3)の少なくとも一部が試験台(1)上で現実の試験対象物として動作する仮想試験環境を形成するように設定されていると共に、前記仮想試験環境に基づいて前記運転支援システムを稼働させる、特に刺激するように設定されているシミュレーション手段(11)、
モーションデータをキャプチャするためのモーションキャプチャシステム(12)であって、前記モーションデータは、前記現実の生物(2)の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述するモーションキャプチャシステム(12)、
刺激を用いて、形成された仮想環境に基づいて、前記モーションキャプチャシステム(12)内の前記現実の生物(2)を刺激するように設定されている刺激手段(13)、及び、
キャプチャされたモーションデータを記録するための記憶手段(14)を有する、車両用の試験台(1)を運用するためのシステム(10)。
【請求項17】
少なくとも1つの仮想生物(2)と少なくとも1つの仮想車両(3)とを備えた仮想試験環境であって、前記仮想生物(2)の内1つは現実の生物を仮想的に表現したものであり、前記仮想車両(3‘)の内1つは運転支援システムを備えた車両(3)を仮想的に表現したものであり、前記車両(3)は付加的に、少なくとも部分的に試験台上で現実の試験対象物として動作する仮想試験環境を形成するように設定されていると共に、前記仮想試験環境に基づいて前記運転支援システムを稼働させる、特に刺激するように設定されているシミュレーション手段(11)、
モーションデータをキャプチャするように設定された手段(12)、特にモーションキャプチャシステム又はインターフェースであって、前記モーションデータは、現実の生物の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述する手段(12)、及び、
キャプチャされたモーションデータに対する運転支援システムの反応によって生成されるシナリオを記録するための記憶手段(14)であって、キャプチャされたモーションデータ及び仮想生物(2‘)に対する運転支援システムの反応が、仮想試験環境を生成する際に考慮される記憶手段(14)を有する、特に請求項16に記載の車両用の試験台(1)を運用するためのシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション手段及びモーションキャプチャシステムを用いた車両用の試験台を運用するための方法、試験台を運用するための方法、試験台を運用するためのシステム、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行又は半自律走行車両には、多数のセンサと、センサからの信号を周囲の画像に変換するアルゴリズムとが設けられている。
【0003】
ABS(アンチロックブレーキシステム)及びESP(エレクトロニックスタビリティプログラム)など、特に安全走行のために用いられるシステムに加えて、乗用車及び商用車の領域では、多くの運転支援システムが提供されている。
【0004】
能動的な交通安全性を高めるためにすでに用いられている運転支援システムには、駐車支援システム、ドライバーが選択した所望の速度を前方車両との距離に適応させて調整するACC(アダプティブクルーズコントロール)などがある。このような運転支援システムのさらなる例としては、ACCに加えて、渋滞又は車両が停止している場合に自動的に車両の運転を継続するACCストップ&ゴーシステム、車両を自動的に車線内に維持する車線維持又は車線支援システム、及び、例えば、車両から運動エネルギーを除去するために、衝突の可能性がある場合にブレーキを準備又は開始し、必要に応じて、衝突が避けられない場合にはさらなる措置を開始するプリクラッシュシステムがある。
【0005】
これらの運転支援システムは、危機的な状況においてドライバーに警告を発し、例えば緊急ブレーキ機能を作動させるなど、事故を防止又は最小限に抑えるための自律的介入を開始することによって、交通における安全性を高める。加えて、自動駐車、自動車線維持及び自動車間距離制御などの機能によって、運転の快適性も向上する。
【0006】
運転支援システムの安全性及び快適性に関する利点は、運転支援システムによる支援が安全かつ確実に、また、可能な限り快適に行われる場合にのみ、車両乗員によってポジティブに認識される。
【0007】
さらに、すべての運転支援システムは、機能に応じて、自身の車両に関する最大限の安全性をもって、他の車両又は他の交通参加者を危険にさらすことなく、交通で発生するシナリオを遂行できなければならない。
【0008】
この際、車両のそれぞれの自動化の程度は、いわゆる自動化レベル1から5に区分される(例えば、規格SAE J3016を参照)。本発明は、特に自動化レベル3~5の運転支援システムを搭載した車両に関するもので、当該自動化レベルは、一般に高度な自動運転(3及び4)又は自律走行(5)とみなされる。
【0009】
このようなシステムを試験する際の課題は多様である。特に、試験の負担と試験の対象範囲との均衡を見つける必要がある。ADAS/AD機能(ADAS‐先進運転支援システム、AD‐自動運転)を試験する際の主な課題は、考えられるすべての状況、特に危機的な運転状況においても、運転支援システムの機能が保証されていることを実証することである。このような危機的な運転状況は、各運転支援システムの無反応又は誤った反応が事故につながる可能性があるので、ある程度の危険性を有する。
【0010】
これまで、人間に関する運転支援システムの挙動を試験する試験は、ダミーを用いて行われてきた。一般に、ダミーは解剖学的なスケール及びプロポーションに関して平均的な、多くの場合男性である人間の像である。ダミーは高価であるだけではなく、取り扱いが難しいので、運転支援システムの挙動に関して、一回限りの、特に現実的ではない結果しか得られない。
【0011】
従来技術からは、運転支援システムを実証及び検証するために、現実の試験車両群の現実の試験走行データを使用し、記録されたデータからシナリオを抽出することが知られている。
【0012】
さらに、特許文献1には、歩行者を含む状況において車両とそのアルゴリズムとを試験するための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】英国特許出願公開第2563400号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、試験台を運用するための改良された方法、シミュレーション手段を用いて試験台を運用するための改良された方法、並びに対応するシステム、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品を提供することにある。特に、生物及びそのモーションパターンの現実に近い表現を実現することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本課題は、独立請求項によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項において請求される。
【0016】
本発明の第1の態様は、シミュレーション手段とモーションキャプチャシステムとを用いて車両用の試験台を運用するための方法に関し、当該方法は以下の作業ステップを有する。
【0017】
シミュレーション手段を用いて、少なくとも1つの仮想生物と少なくとも1つの仮想車両とを有する仮想試験環境を形成する作業ステップであって、仮想生物の内1つは現実の生物を仮想的に表現したものであり、仮想車両の内1つは運転支援システムを備えた車両を仮想的に表現したものであり、付加的に車両の少なくとも一部が試験台上で現実の試験対象物として動作し、運転支援システムが仮想試験環境に基づいて稼働し、特に刺激される作業ステップ。現実の車両が、特に少なくとも部分的に試験台上で試験対象物として動作し得る。
【0018】
当該方法はさらに、形成された仮想環境に基づいてモーションキャプチャシステム内の現実の生物を刺激によって刺激することと、モーションキャプチャシステムを用いてモーションデータをキャプチャすることとを有し、モーションデータは、現実の生物の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述する。
【0019】
さらに、当該方法は、キャプチャされたモーションデータを記録することを有する。特に、当該方法は、仮想試験環境を備えた試験台を運用することを含み得る。
【0020】
本発明の第2の態様は、特に本発明の第1の態様による、シミュレーション手段を用いて試験台を運用するための方法に関し、当該方法は、以下を有する。
【0021】
シミュレーション手段を用いて、少なくとも1つの仮想生物と少なくとも1つの仮想車両とを備えた仮想試験環境を形成することであり、仮想生物の内1つは現実の生物を仮想的に表現したものであり、仮想車両の内1つは運転支援システムを備えた車両を仮想的に表現したものである。運転支援システムを有する車両の仮想表現である一方の車両(自己オブジェクト又は自己車両とも呼ばれる)は、少なくとも部分的に試験台上で試験対象物として動作する。言い換えると、車両の少なくとも一部が試験台上で現実の試験対象物として動作する。運転支援システムは、仮想試験環境に基づいて稼働し、特に刺激される。
【0022】
さらに、当該方法は、特にモーションキャプチャシステムを用いてモーションデータをキャプチャすることを含む。モーションデータは、現実の生物の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述又は表現する。
【0023】
当該方法はさらに、特に、キャプチャされたモーションデータに対する運転支援システムの反応によって生成されるシナリオを記録することを含み、キャプチャされたモーションデータ及び仮想生物に対する運転支援システムの反応が、仮想試験環境を形成する際に考慮される。
【0024】
好ましくは、当該方法はさらに、車両用の運転支援システムを試験するための試験シナリオを生成することを含む。
【0025】
本発明の第3の態様は、車両用の試験台を運用するためのシステムに関し、当該システムは特に、方法を実施するために、特に上記の態様による方法を実施するために設定され、及び/又は、含まれ、提供される。
【0026】
当該システムは、好ましくはシミュレーション手段を有し、当該シミュレーション手段は、少なくとも1つの仮想生物と少なくとも1つの仮想車両とを備えた仮想試験環境を形成するため、及び仮想試験環境に基づいて運転支援システムを稼働させる、特に刺激するために設定されており、仮想生物の内1つは、現実の生物の表現であり、仮想車両の内1つは、運転支援システムを備えた車両の仮想的な表現であり、付加的に、車両の少なくとも一部が試験台上で現実の試験対象物として動作する。
【0027】
さらに、システムは、好ましくは、モーションデータをキャプチャするためのモーションキャプチャシステムを有しており、モーションデータは、現実の生物の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述する。
【0028】
システムは、好ましくは、さらに刺激手段を有しており、刺激手段は、刺激によって、形成された仮想環境に基づいて、モーションキャプチャシステム内の現実の生物を刺激するように設定されている。さらに、システムは、好ましくは、キャプチャされたモーションデータを記録するための記憶手段を備える。
【0029】
本発明の第4の態様は、特に第3の態様のシステムによる、試験台を運用するためのシステムに関し、当該システムは、少なくとも1つの仮想生物と少なくとも1つの仮想車両とを備えた仮想試験環境を形成するように設定されたシミュレーション手段を有する。この際、仮想生物の内1つは、現実の生物の仮想的な表現である。仮想車両の内1つは、さらに、運転支援システムを備えた車両の仮想的な表現でもある。
【0030】
当該システムはさらに、車両を付加的に、少なくとも部分的に試験台上で現実の試験対象物として動作させ、仮想試験環境に基づいて運転支援システムを稼働させる、特に刺激するように設定されている。さらに、当該システムは、手段、特にモーションキャプチャシステム又はインターフェースを有しており、当該手段は、モーションデータをキャプチャするように設定されており、当該モーションデータは、現実の生物の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスを記述する。
【0031】
さらに、当該システムは、キャプチャされたモーションデータに対する運転支援システムの反応によって生成されるシナリオを記録するための記憶手段を有し、キャプチャされたモーションデータ及び仮想生物に対する運転支援システムの反応が、仮想試験環境を形成する際に考慮される。
【0032】
本発明の意味におけるシステム及び/又は手段は、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして構成されていてよく、特に、少なくとも1つの、好ましくは、記憶システム及び/若しくはバスシステムにデータ又は信号によって接続された、特にデジタルな、処理ユニット、特にマイクロプロセッサユニット(CPU)、グラフィックカード(GPU)など、並びに/又は1つ若しくは複数のプログラム若しくはプログラムモジュールを有する。処理ユニットは、記憶システムに格納されたプログラムとして実装される命令を処理し、データバスから入力信号を検出し、及び/又はデータバスに出力信号を送出するように構成されていてよい。記憶システムは、1つ又は複数の、特に異なる記憶媒体、特に光学、磁気、ソリッドステート及び/又は他の不揮発性媒体を有することができる。プログラムは、処理ユニットがそのような方法のステップを実行し、したがって、特にデバイスを動作させる又は監視することができるように、本明細書に記載された方法を具現化するか、又は実行することができる性質のものであってよい。
【0033】
本発明の第5の態様は、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品に関し、当該コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品は、特にコンピュータ可読及び/又は不揮発性記憶媒体に記憶された命令を含んでおり、この命令は、1つ若しくは複数のコンピュータ又は特に車両用の試験台を運用するためのシステムによって実行される場合、コンピュータ又はシステムに、特に上述した実施形態に従って、シミュレーション手段及びモーションキャプチャシステムを用いて、車両用の試験台を運用するための方法を実行させる。
【0034】
一実施形態において、コンピュータプログラム製品は、プログラム若しくは命令を記憶するための、又はプログラム若しくは命令が記憶された記憶媒体、特にコンピュータ可読及び/又は不揮発性の記憶媒体を有し、特に当該記憶媒体であってよい。一実施形態では、システム若しくは制御装置、特にコンピュータ若しくは複数のコンピュータのアセンブリによる、当該プログラム若しくは命令の実行は、システム若しくは制御装置、特にコンピュータに、本明細書に記載の方法若しくはそのステップの1つ以上を実行させるか、又はプログラム若しくは命令は、この目的のために設定される。
【0035】
本発明の意味におけるシナリオは、好ましくは、特に静的なシーンの時間的シーケンスから形成される。この際、シーンは、例えば自己オブジェクトに対する少なくとも1つのオブジェクト、特に少なくとも1つの仮想生物の空間的配置、特に交通参加者の配置及び/又は特に不動の仮想オブジェクト、仮想生物、特に仮想交通参加者の配置を示す。特に、シナリオは、運転支援システムが、運転支援システムを備える自己車両と呼ばれる車両を少なくとも部分的に制御し、例えば自己車両の少なくとも1つの車両機能を自律的に実行する運転状況を含むことができる。
【0036】
本発明の意味における現実の生物の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のモーションデータとは、好ましくは、関節及び/又は筋肉によって動かすことができる現実の生物の身体の部分の少なくとも最小の部分がモーションデータによって表され、当該モーションデータがこの最小の部分の時間的シーケンスを記述することであると理解される。特に、これによって、現実の生物の少なくとも略すべてのあり得るモーションを記録し、モーションデータによって表現し、現実の生物の仮想的な表現によって仮想試験環境において表現することが可能になる。
【0037】
本発明の意味での運転状況は、好ましくは、特定の時点における運転支援システムの適切な挙動パターンの選択のために考慮されるべき状況を記述する。したがって、運転状況は、好ましくは、自己車両の視点を表すという点で主観的である。運転状況はさらに、好ましくは、行動に関連する条件、可能性、及び影響を及ぼす要因を含む。運転状況はさらに、好ましくは、例えばミッション固有の一時的なもの、また、持続的な目標及び価値にも基づいて、情報選択のプロセスによってシーンから導出される。
【0038】
本発明の意味での運転挙動は、好ましくは、車両の環境における行動及び反応による運転支援システムの挙動である。
【0039】
本発明の意味での品質は、好ましくは、シミュレーションが行われたシナリオを特徴付ける。品質とは、好ましくは、運転支援システムを試験するための適合性に関してシミュレーションが行われたシナリオの品質又は性質であると理解される。この際、より危機的なシナリオは、好ましくは、より高い品質を有する。好ましくは、試験された運転支援システムのためのそれぞれのシナリオから生じる運転状況の危険度は、シナリオの品質の尺度である。
【0040】
本発明の意味でのポーズとは、オブジェクト、特に生物の解剖学的構造の一部の空間的位置、特に位置と方向付けとの組み合わせである。特に、ポーズは、生物の別個に可動である解剖学的部分に関連していてよく、当該ポーズは、モーションキャプチャシステムを用いて、特に生物のポーズの全体的な関連の中でキャプチャされ得る。キャプチャは、特にステレオカメラ、赤外線トラッキング、画像認識、又は同等のシステム、特に3次元ボリュームにおけるモーションキャプチャシステム及びモーションキャプチャのための方法を用いて行われ得る。
【0041】
本発明の意味におけるモーションキャプチャシステムは、特に、パターン認識、シルエットトラッキング、及び/又はそのようなものを通じて、マーカー、特に能動的又は受動的なマーカーを用いて、又はマーカーを用いずに、モーションをキャプチャできる。モーションキャプチャシステムは、特に無線又は有線のデータ通信において、特に試験台に接続されていてよい。モーションキャプチャシステムは、試験台から局所的に分離していてよい。
【0042】
本発明は、運転支援システムを有する車両の試験台での動作における現実の生物を、現実に忠実に仮想的に表現するという理念に基づいている。キャプチャされたモーションデータを記録することによって、キャプチャされたモーションデータを備えたデータベースを作成することができる。この記録されたモーションデータにアクセスし、試験シナリオ、特にシナリオを生成することができる。記録されたモーションデータは、他のモーションデータと組み合わせる、及び/又は補足することができる。記録されたモーションデータは、特に、仮想生物又はアバターのモーションのシミュレーションの基礎として用いられるモーションアトラスを形成することができる。
【0043】
さらに、本発明によって、生物とのインタラクションを目指した運転支援システムを試験又は最適化することを可能にする試験環境が形成され得る。さらに、現実の車両と現実の生物とのインタラクションに際して、特に少なくとも生物にとって危険な状況が描写され得る。言い換えると、運転支援システムを最適化及び/又は訓練することができるように、特に、好ましくはコンピュータによって生成又は算出されたモーションデータに対するわずかな変更を繰り返しながら、生物の生命にとって危険な可能性のある状況を作り出すことが可能である。これによって、仮想試験環境、特にシナリオの品質を、特に生物に関して向上させることができる。
【0044】
有利な実施形態では、キャプチャされたモーションデータは、モーションキャプチャシステム内の現実の生物に対する刺激と関連付けることが可能であり、キャプチャされたモーションデータに付属する刺激も同様に記憶することができる。さらなる有利な実施形態では、仮想試験環境を形成する際に、キャプチャされたモーションデータ及びキャプチャされたモーションデータに対する運転支援システムの反応が考慮され得る。
【0045】
さらなる有利な実施形態では、記録されたシナリオをキャプチャされたモーションデータと関連付けることが可能であり、その結果得られるシナリオに付属するモーションデータを記憶することも同様に可能である。
【0046】
さらなる有利な実施形態では、仮想試験環境を形成する際に、キャプチャされたモーションデータを反復して考慮することができる。
【0047】
これによって、モーションデータを1回のみ記録すればよいこと、及び/又は、特に、モーションキャプチャシステムがモーションをキャプチャできる領域の外側におけるポーズの時間的シーケンスが、モーションキャプチャシステムのキャプチャ可能なボリュームよりも特に大きくてもよい仮想試験環境において、モーションデータと共に反復されることが可能になる。有利なことに、これによって、モーションキャプチャシステムを仮想試験環境よりも小さく設計しながらも、仮想試験環境における現実の生物の仮想シミュレーション(表現)によって現実の生物のモーションデータを表現することができる。
【0048】
キャプチャされたモーションデータを少なくとも1つの、特に視覚的、触覚的及び/又は聴覚的な刺激と結びつけることによって、モーションアトラスは、状況に応じて、現実の生物の、特に自己オブジェクトとの反応及び/又はインタラクションを記憶することが可能である。これらは、特に、好ましくは触る、押すなどの、自己オブジェクトとの生物の直接的なインタラクションを含むことが可能であり、特に、例えば触覚的な手袋(英語では「フィードバックグローブ」)などの対応するインターフェースを介して、モーションキャプチャシステム内の現実の生物を刺激することができる。さらに、キャプチャされたモーションデータは、仮想試験環境における仮想生物に対する自己オブジェクトの距離、仮想試験環境におけるオブジェクトの位置、及び/又は、特にそれらの速度若しくは加速度などの時間的導関数、自己オブジェクトの部分に関するデータ、又は自己オブジェクトに含まれる部分の全体に関するデータを含み得る。
【0049】
仮想試験環境におけるキャプチャされたモーションデータの反復は、特に、現実の生物の解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズのシーケンスを表すモーションデータに関連し得る。キャプチャされたモーションデータの反復によって、特に、仮想試験環境内の異なる場所又は同じ場所でのポーズの時間的シーケンスの反復を通じて、運転支援システムに対して変化した刺激を生成することが可能になる。有利なことに、これによって、運転支援システムは、反復的及び/又は仮想試験環境内の異なる場所で発生する、特に同種の刺激に対する反応を最適化することができる。特に、これによって、ポーズ、特に一般には異常であると知覚されるポーズ、又は特に異常なポーズの時間的シーケンスを、好ましくは、運転支援システムに対する刺激として、反復することが可能になる。仮想試験環境においてキャプチャされたモーションデータの反復によって、特に機械学習法を用いて、反復不可能なモーションデータと比較して、運転支援システムを(より良好に)訓練することが可能になる。
【0050】
この際、可能なシナリオのバリエーション空間は、一般に、例えば様々な道路特性、他の交通参加者の挙動、天候など、多くの次元によって構成されている。モーションデータによって、さらなる次元が構成され得る。この無限に近い多次元的なパラメータ空間から、特に異常又は危険な運転状況につながり得る特に危機的なシナリオに関するパラメータ群を抽出することは、運転支援システムの試験にとって特に重要である。これは特に、モーションデータを少なくとも1つの刺激と結びつけることによって特定され得る。
【0051】
さらなる有利な実施形態では、試験対象物をハードウェアインザループ(Hardware-in-the-Loop)、特にビークルインザループ(Vehicle-in-the-Loop)として動作させることができる。
【0052】
これによって、試験対象物のハードウェアが仮想試験環境のシナリオに反応し、他方では仮想試験環境が試験対象物のハードウェアに反応することが可能になる。有利なことに、「ループ」はリアルタイムで動作可能になる。これによって、試験対象物のハードウェアをリアルタイム条件下で、特に試験及び/又は最適化することができる。
【0053】
さらなる有利な実施形態において、キャプチャは、仮想試験環境からのモーションキャプチャシステムにおける生物に対する少なくとも1つの、特に視覚的、触覚的及び/又は聴覚的刺激と結びつけられ得る。
【0054】
モーションキャプチャシステムは、特に、1つ又は複数の刺激、特に1つの刺激又は複数の異なる刺激が同時に、モーションキャプチャシステム内の現実の生物に提示され得る、又は記録され得るように構成されていてよい。これらは、特に聴覚的刺激である場合、現実の生物にとって位置が特定可能である1つ又は複数の方向からの聴覚的刺激、又は特に低周波刺激などの、概ね位置が特定不可能な聴覚的刺激のように、指向性を有していてよい。
【0055】
これによって、モーションデータを、特にそれらのリンクを用いてクラスタ化することができる。これによって、有利には、特に試験シナリオ、特に仮想試験環境のバリエーションを生成するために、特にクラスタ化されたモーションデータを有するシナリオが変更され得る。
【0056】
さらなる有利な実施形態において、キャプチャされたモーションデータの反復する考慮、特にキャプチャされたモーションデータの反復は、解剖学的構造の少なくとも1つの部分の変更を含むことができる。代替的又は付加的に、モーションデータの反復は、解剖学的構造の少なくとも1つの部分のポーズの時間的シーケンスの変更を含み得る。
【0057】
これによって、仮想生物を、特に、解剖学的構造の少なくとも1つの部分の様々な特徴に適応させることが可能であり、これらの特徴は、現実の生物と比較可能である現実の生物において生物学的に生じ得る。さらに、ポーズの時間的シーケンスを変化させることによって、モーションの一部を強調し、特に加速又は減速させることが可能である。これによって、有利には、運転支援システムは、モーションの特に様々な特徴、特にポーズの時間的シーケンスに対して、特に訓練及び/又は最適化され得る。
【0058】
有利な実施形態において、解剖学的構造の少なくとも1つの部分を、解剖学的構造の部分の経験的分位に基づいて変更することができる。
【0059】
これによって、現実の生物の経験的分位に従って、特に、解剖学的構造の少なくとも1つの部分の対応するパーセンタイルに従って、シナリオを特に、解剖学的構造の少なくとも1つの部分の特徴に適合させることが可能になる。これによって、特に、モーションデータのキャプチャによって、特に、1つのシナリオ及び/又は多数のシナリオに関して、特に多数の仮想生物を生成することが可能になる。
【0060】
さらなる有利な実施形態では、仮想試験環境の時間的シーケンスは、考慮を反復する場合、特にモーションデータを反復する場合、モーションデータの時間的シーケンスよりも速く若しくは遅くてよく、又はリアルタイムよりも速く若しくは遅くてよい。これによって、特に、時間的シーケンスがリアルタイムよりも遅い場合、例えば、計算が複雑なシミュレーション、特に構造最適化のための有限要素シミュレーション、形状最適化のための数値流体力学シミュレーション、又はシステム最適化のための熱力学シミュレーションを実行することが可能になる。
【0061】
これによって、特に、試験環境におけるシナリオのより良い理解が得られ、及び/又は運転支援システムの調整若しくは設定が改善される。さらに、これによって、特に、生物に関連する自己オブジェクトに対する機械的及び/又は構成的な設計/変更を試行及び/又は特にシミュレーションによって試験することができる。さらに、仮想試験環境の時間的シーケンスが変更可能であることによって、特に、時間的シーケンスがリアルタイムよりも速い場合、特に、仮想生物のポーズの時間的シーケンスの変更に伴う多数のシナリオ、特に、多数のシナリオのバリエーションを試験することが可能になる。
【0062】
さらなる有利な実施形態では、反復される考慮、特に反復は、仮想試験環境を形成する際に、第1のキャプチャされたモーションデータとは異なる第2のキャプチャされたモーションデータの反復する考慮、特に反復、をさらに含み得る。
【0063】
これによって、特に、異なる構成要素を有するモーションシーケンスの反復をシナリオに導入することができる。特に、ジェスチャーを別のジェスチャーと異なる構成で反復することができる。これによって、特に運転支援システムは、ポーズの特定の時間的シーケンスに対して訓練又は最適化されるのではなく、ポーズの異なる時間的シーケンスと対比され、特に対応して最適化され得る。
【0064】
さらなる有利な実施形態において、当該方法はさらに、特に、以下の作業ステップを有し得る、すなわち、第1のキャプチャされたモーションデータから第2のキャプチャされたモーションデータへの遷移データを決定する作業ステップであって、遷移データは、第1のキャプチャされたモーションデータから第2のキャプチャされたモーションデータへの時間的及び/又は空間的遷移を記述するステップ。
【0065】
当該方法は、以下をさらに含み得る、すなわち、仮想試験環境において、第1のキャプチャされたモーションデータと第2のキャプチャされたモーションデータとの間の遷移データを時間的に再現すること。
【0066】
これによって、特に、それ自体がポーズの非連続的な時間的シーケンスを表すモーションデータを、仮想試験環境において組み合わせて描写及び/又は表示することが可能になる。特に、これによって、モーションキャプチャシステムにおいて関連してはキャプチャ及び/又は記録されていないモーションデータを組み合わせることが可能になる。有利には、これによって、様々な現実の生物のモーションデータを互いに組み合わせること、特に2つ以上のモーションデータの組み合わせから、特に仮想試験環境における観察者及び/又は車両の仮想的な表現、特に少なくとも部分的に試験台上で試験対象物として動作する自己オブジェクトに関して、仮想試験環境における仮想生物のモーション全体を形成することが可能になる。
【0067】
さらなる有利な実施形態において、当該方法は、第1のキャプチャされたモーションデータと第2のキャプチャされたモーションデータとをランダム化された方法で組み合わせることを含んでいる。
【0068】
これによって、特に、運転支援システムを、特に第1のキャプチャされたモーションデータと第2のキャプチャされたモーションデータとからランダムに組み合わされるモーション、特に異常なモーションに対して最適化及び/又は訓練することができる。代替的に、第1のキャプチャされたモーションデータ及び第2のキャプチャされたモーションデータは、第1のキャプチャされたモーションデータ及び第2のキャプチャされたモーションデータの組み合わせに基づいて組み合わせることが可能であり、特に、第1のキャプチャされたモーションデータ及び第2のキャプチャされたモーションデータの組み合わせは、機械学習に基づくことが可能である。特に、機械学習は、現実の生物の自然なモーションに対応する方法で、第1のモーションデータと第2のモーションデータとを組み合わせることを可能にする。有利なことに、これによって、特に、モーションキャプチャシステムを使用して異なる場所でキャプチャされた、特に、異なる現実の生物、しかしながら特に、同じ種に属する生物に割り当てられたモーションデータを組み合わせることができる。特に、当該方法は、異なる現実の生物のキャプチャされたモーションデータが、キャプチャされたモーションデータが仮想生物のモーションデータとして仮想試験環境において表現され得るように、特に、モーションデータが仮想生物の解剖学的な所与条件に対応するように適応し得ることを含むことができる。これは、特に機械学習プロセスによって行われ得る。
【0069】
さらなる有利な実施形態において、当該方法はさらに、試験技師が、キャプチャされたモーションデータの反復を開始することができることを含み得る。これによって、試験技師が仮想試験環境に介入すること、及び/又は、シナリオを個別に変更、適応及び/又は操作することが可能になる。特に、これは時間的及び/又は空間的なものであってよい。
【0070】
本発明の意味における試験技師は、好ましくは、仮想現実、拡張現実、又は複合現実システムを用いて仮想試験環境内で移動及び/又は介入できる技師である。特に、試験技師は、特に時間的にも空間的にも、シナリオ内のオブジェクトを配置、除去及び/又は操作することができる。
【0071】
当該方法のさらなる有利な実施形態では、シナリオの記録は、試験される運転支援システムの種類に応じて、以下の群から選択されるシナリオのパラメータを含み得る、すなわち、車両の速度、特に初期速度、車両の軌道、照明条件、天候条件、路面条件、静的及び/又は動的オブジェクト、特に仮想生物の数及び位置、さらに特に車両との関係、動的オブジェクトの速度及び移動方向、特に仮想生物のモーションデータ、信号設備、特に発光信号設備の状態、交通標識、車線の標高、幅及び/又は走行可能性、車線の延在状態、車線の数、例えば、視界を妨げる道路工事などの重要なインフラ。
【0072】
本発明の第1の態様に関連して上述した特徴及び利点は、本発明の他の態様にも適宜適用され、その逆もまた同様である。
【0073】
さらなる特徴及び利点は、図を参照した以下の説明から明らかになる。図には、少なくとも部分的に概略的に以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1a】試験台を運用するための方法の第1の実施例のブロック図である。
【
図2】試験台を運用するための方法の第2の実施例のブロック図である。
【
図3】仮想試験環境におけるシナリオの一例を示す図である。
【
図4】試験台を運用するためのシステムの一実施例を示す図である。
【
図5a】試験台を運用するためのシステム及び試験台の様々な構成要素の実施例を示す図である。
【
図5b】試験台を運用するためのシステム及び試験台の様々な構成要素の実施例を示す図である。
【
図5c】試験台を運用するためのシステム及び試験台の様々な構成要素の実施例を示す図である。
【
図5d】試験台を運用するためのシステム及び試験台の様々な構成要素の実施例を示す図である。
【
図5e】試験台を運用するためのシステム及び試験台の様々な構成要素の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、車両用の試験台1を運用するための方法100の一実施例を示すブロック図である。
【0076】
作業ステップ101は、仮想試験環境の形成、作業ステップ102は、現実の生物の刺激、作業ステップ103は、モーションデータのキャプチャ、作業ステップ104は、キャプチャしたモーションデータの記録に関する。
【0077】
方法100は、特に運転支援システムを試験するための新しい及び/又は変更された試験シナリオを生成することができるように、図示されたように、実施例に従って反復され得る。
【0078】
方法100は、特に、形成された仮想環境に基づいて現実の生物を刺激する作業ステップ102、モーションキャプチャシステムでモーションデータをキャプチャする作業ステップ103、キャプチャされたモーションデータを記録する、特に記憶する作業ステップ104を含んでおり、キャプチャされたモーションデータは、仮想試験環境からモーションキャプチャシステム12内の現実の生物2に対する少なくとも1つの刺激と結びつけられる。
【0079】
遷移データを決定する作業ステップ105と、遷移データを再現する作業ステップ106と、特に遷移データを用いてモーションデータを反復して考慮する作業ステップ107とが、
図1において破線で示されている。特に、図示したように、当該方法は、その一部又は少なくとも略全体を反復することができる。特に、運転支援システムを試験及び/又は最適化するための様々なシナリオをこのようにして生成することが可能であり、それに応じて試験台を運用することができる。破線で示した作業ステップは任意である。
【0080】
図2は、試験台を運用するためのさらなる方法200のブロック図である。
【0081】
作業ステップ201において、仮想試験環境が形成される。作業ステップ202では、特にモーションキャプチャシステムを用いてモーションデータがキャプチャされ、作業ステップ203ではシナリオが記録される。作業ステップ204、205、206は、方法100の作業ステップ105、106、107に対応し、任意であるゆえに破線で示されており、作業ステップにおいて遷移データが決定され、遷移データが再現され、モーションデータが反復して考慮される。
【0082】
図2に係る方法200は、主に、シナリオを特徴付けるシナリオデータが記録される点で、
図1に係る方法100とは異なる。インターフェース22、特にモーションキャプチャシステムのようなユーザインターフェースを用いて、モーションデータがキャプチャされ、運転支援システムの反応とともに、仮想試験環境を形成する際に考慮される。
【0083】
好ましくは、方法200を方法100に基づいて実行することも可能であり、方法100でキャプチャされたモーションデータが伝送される。
【0084】
図3は、試験台を運用するための方法100、200によって形成され得る例示的な仮想試験環境を示している。
【0085】
運転支援システムによって制御される仮想車両3‘が右側車線を走行している。さらに、当該車線の隣には、さらなる車両5b、5c、5dが駐車しており、当該車両によって、仮想歩行者2‘が、運転支援システムのセンサにとって検知不可能又は検知困難になっている。
【0086】
仮想歩行者2‘及び駐車車両5b、5c、5dに加えて、運転支援システムによって制御される車両3‘(自己車両とも呼ばれる)の周辺には、他車線を運転支援システムによって制御される車両3‘に向かって走行している別の車両5aが存在する。
【0087】
このさらなる車両5aの後方を二輪車4が走行している。この二輪車が運転支援システムによって制御される仮想車両3‘の周囲において認識可能であるかは、
図3からは説明できない。図示された試験環境では、二輪車4は他車線のさらなる車両5aを追い越そうとしている。図示されたシナリオでは、同時に、仮想歩行者2‘が道路を横断している。
【0088】
試験環境において運転支援システムがどのように反応するか、又はどのように行動するか、すなわち、仮想車両3‘の試験環境において運転支援システムがどのような運転挙動を示すかによって、危険なシナリオ又は危険がより少ないシナリオが得られる。
【0089】
図4は、仮想試験環境を備えた試験台1を運用するためのシステム10の一実施例を示している。
【0090】
システム10は、好ましくは、少なくとも1つの仮想生物2‘と少なくとも1つの仮想車両3‘とを備えた仮想試験環境を形成するためのシミュレーション手段11を有している。
【0091】
仮想生物2‘(図示の例では歩行者)を、第1のユーザ2によって交通参加者2‘として制御可能にするために、システム10は、さらに、第1のユーザインターフェース13と、好ましくは第2のユーザインターフェース12とを有することができる。
【0092】
少なくとも1つの第1のユーザインターフェース13は、仮想歩行者2‘の仮想環境を第1のユーザ2に出力するために使用され得る。ユーザインターフェース13は、光学的ユーザインターフェース、特にヘッドマウントデバイス又はスクリーンなどの刺激手段、及び/又はラウドスピーカーなどのオーディオインターフェース、場合によっては各ユーザの平衡感覚に影響を与えることができるデバイスであってよい。
【0093】
第2のユーザインターフェース12は、好ましくは、各ユーザ2の入力を検出するように設定される。この際、ユーザ2のポーズ及びモーションを様々なセンサ及び例えばトレッドミルを介して検出できるモーションキャプチャシステム12が好ましい。
【0094】
さらに、システム10は、好ましくは、キャプチャされたモーションデータを記録するための記憶手段14を有する。
【0095】
さらに、システム10は、好ましくは、仮想歩行者2‘が位置するシナリオを特徴付けるシナリオデータを提供するためのデータ記憶装置15を有する。
【0096】
シミュレーション手段11は、好ましくは、シナリオデータに基づいて仮想車両3‘の仮想試験環境のシミュレーションを行うように設定されている。さらに、シミュレーション手段11は、好ましくは、当該環境をレンダリングするようにも設定されている。
【0097】
最後に、試験台1のインターフェース6は、仮想試験環境を車両3の運転支援システムに出力するように設定されている。運転支援システムが光学カメラKを有する場合、このようなインターフェース6は、
図4に示すように、スクリーンであってよい。
【0098】
シミュレーション手段11は、検出信号S及びシミュレーション環境に基づいて応答信号S‘を算出し、応答信号S‘は運転支援システムのカメラKに出力される。このようにして、運転支援システムの機能を試験することができる。応答信号S‘は、レーダ刺激装置を介して運転支援システムのレーダに出力することもできる。ライダー、超音波、又は赤外線カメラに関して、さらなる環境のシミュレーションを行うことが可能である。
【0099】
運転支援システムのいずれの構成要素を試験するかによって、
図4に示すように、シミュレーションされた仮想試験環境が、信号のエミュレーションによって運転支援システムのセンサKに出力され得る。代替的に、運転支援システムのデータ処理ユニットに直接入力される信号、又は運転支援システムのソフトウェアによってのみ処理される信号を生成してもよい。
【0100】
好ましくは、記憶手段14及びシミュレーション手段11は、データ処理ユニットの一部である。
【0101】
図5aから
図5eは、モーションキャプチャシステム12を備えたシステム10の実施例を示しており、システム10は、特に、歩行者2のモーションがセンサによってキャプチャされる、モーションデータをキャプチャする作業ステップ103、202において示されている。
【0102】
図5aでは、現実の生物2として、歩行者が、そのモーション、特にその解剖学的な部分のモーションが記録され得るように与えられている。
【0103】
図示された人間はトレッドミルに乗っており、トレッドミルは特に進む際のモーションシーケンスのシミュレーションを行うために使用され得る。さらに、(解剖学的構造の少なくとも1つの部分の)特にポーズの時間的シーケンスをキャプチャ及び/又は記録することができる。
【0104】
このポーズの時間的シーケンスは、モーションデータとしてキャプチャ及び/又は記録され得る。このモーションデータは、次に、
図5bに示すように、仮想生物2‘、特にアバターに伝送され得る。仮想生物2‘は、現実の生物2と同じ、又は少なくとも概ね同じモーションを実行する。言い換えると、現実の生物2のキャプチャされたモーションデータは、仮想の生物2‘、特にアバターに伝送され、これによって、アバターが現実の生物2と同じモーションを実行する。
【0105】
仮想試験環境を形成する作業ステップ101、201において、仮想生物2‘は、仮想生物2‘、特にアバターが仮想試験環境において、ポーズの少なくとも概ね同じ時間的シーケンスを表すように、試験環境に埋め込まれる。
【0106】
図5cには、横断歩道と、2つの車線であって、反対車線にバス及びその後方にさらなる車両が配置されている車線と、横断歩道の始点にいて、自己車両の車線を横切る仮想歩行者2‘と、を含む例示的な仮想試験環境が示されている。さらに、図示された仮想試験環境では、運転支援システムによって、既に知られている、又は認識されているオブジェクトが枠で囲まれている。
【0107】
仮想歩行者2‘の視界は、モーションキャプチャシステム12における現実の人間2の視界と相関しており、人間2には、この視界は、特に拡張現実メガネ、仮想現実メガネ、又は複合現実メガネ(
図5cには示されていない)を用いて示され得る。
【0108】
現実の生物2は、仮想試験環境における状況又はシナリオに反応することが可能であり、この反応は、仮想試験環境において、仮想生物2‘を用いた現実の生物2のキャプチャされたモーションデータによって表現される。
【0109】
図5dには、スクリーン6を使用した試験台1上の試験対象物3のセンサ、特にカメラセンサ用の仮想試験環境の映像が示されている。そこに示された試験環境では、仮想生物2‘を車線上に認識することができる。
【0110】
一実施例として
図5eに示すように、試験環境を試験対象物3に提示することが可能であり、これによって、試験対象物3と関連付けられている運転支援システムが、そのセンサを用いて仮想生物2‘をキャプチャすることができる。
図5eは、試験台1上の試験対象物3としての現実の車両の一部と、車両3の前方に配置された仮想車両3‘の視点からの仮想試験環境の映像6とを示している。
【0111】
これらの実施例は、保護範囲、適用範囲及び構造を何ら限定することを意図しない例に過ぎないことを指摘しておく。むしろ、当業者には、上述の説明によって、少なくとも1つの実施例を実施するための手引きが与えられており、特許請求の範囲及び特徴の等価な組み合わせから生じる保護範囲を離れることなく、特に、記載された構成要素の機能及び配置に関して様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0112】
1 試験台
2 現実の生物
2‘ 仮想生物
3 車両
3‘ 仮想車両
4 二輪車
5a、5b、5c、5d さらなる車両
6 インターフェース
10 システム
11 シミュレーション手段
12 モーションキャプチャシステム
13 刺激手段
14 記憶手段
15 データ記憶装置
22 インターフェース
100、200 方法
101、201 仮想試験環境を形成する作業ステップ
102 現実の生物を刺激する作業ステップ
103、202 モーションデータをキャプチャする作業ステップ
104 キャプチャしたモーションデータを記録する作業ステップ
105、204 遷移データを決定する作業ステップ
106、205 遷移データを再現する作業ステップ
107、206 遷移データを用いてモーションデータを繰り返し考慮する作業ステップ
203 シナリオを記録する作業ステップ
K 光学カメラ
S 検出信号
S‘ 応答信号
【国際調査報告】