IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケア、ストラテジック、ディー.アイ.アール.ホールディングス、プロプライエタリー、リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】隔離室装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 10/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61G10/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526700
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 AU2022051320
(87)【国際公開番号】W WO2023077191
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】2021903505
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519334085
【氏名又は名称】ケア、ストラテジック、ディー.アイ.アール.ホールディングス、プロプライエタリー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CARE STRATEGIC D.I.R. HOLDINGS PTY. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン、ダグラス、バランタイン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ、エドワード、ロバート、バークウッド
(72)【発明者】
【氏名】アンナ、ルイーズ、バランタイン
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341KK07
4C341KL10
(57)【要約】
折畳み構成と立設構成との間で移動可能なフレームであって、
第1の前部フレーム部材および第2の前部フレーム部材;第1の後部フレーム部材および第2の後部フレーム部材;各フレーム部材に据え付けられたキャノピー据付け部;ならびに、立設構成において、出入口を画定する開口部の上方で、第1の前部フレーム部材と第2の前部フレーム部材との間にカーテンレールが延在するように、第1の前部フレーム部材および第2の前部フレーム部材の上端に近接して据え付けられたカーテンレールを含む、フレームと、立設構成において、フレームによって支持されるように構成されたキャノピーであって、対象を内包するための内部容積を画定し、それによって、対象を周囲環境から実質的に隔離する、キャノピーとを含む、対象を隔離するように構成された隔離室装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)折畳み構成と立設構成との間で移動可能なフレームであって、
i)第1の前部フレーム部材および第2の前部フレーム部材;
ii)第1の後部フレーム部材および第2の後部フレーム部材;
iii)以下を相互接続する展開可能なアーム:
(1)前記第1の前部フレーム部材および前記第1の後部フレーム部材;
(2)前記後部フレーム部材;ならびに、
(3)前記第2の前部フレーム部材および前記第2の後部フレーム部材;
iv)各フレーム部材に据え付けられたキャノピー据付け部;ならびに、
v)前記立設構成において、出入口を画定する開口部の上方で、前記第1の前部フレーム部材と前記第2の前部フレーム部材との間にカーテンレールが延在するように、前記第1の前部フレーム部材および前記第2の前部フレーム部材の上端に近接して据え付けられたカーテンレール;
を含む、フレームと、
b)前記立設構成において、前記フレームによって支持されるように構成されたキャノピーであって、対象を内包するための内部容積を画定し、それによって、前記対象を周囲環境から実質的に隔離し、前記内部容積へのアクセスを選択的に提供するためにカーテンを開位置と閉位置との間で移動させることを可能にする前記レールによって支持された1つまたは複数のカーテンを含む、キャノピーと
を含む、対象を隔離するように構成された隔離室装置。
【請求項2】
前記前部フレーム部材および前記カーテンレールが、前記前部フレーム部材の上昇または伸長を必要とせずに前記カーテンレールが支持されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カーテンレールが、前記第1の前部フレーム部材の上端に近接して枢動可能に据え付けられ、前記レールを動作位置に支持するのに十分な高さで前記第2の前部フレーム部材の上端に据え付けられるように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記カーテンレールが、前記第2の前部フレーム部材に摺動可能に据え付けられ、その結果、前記フレームが前記折畳み構成から前記立設構成に移動するにつれて前記カーテンレールが引き上げられる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記カーテンレールが、前記フレームが前記折畳み構成にあるときに前記第1の前部フレーム部材に当接するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記カーテンレールが、前記フレームが前記折畳み構成にあるときに、前記第1の前部フレーム部材に取外し可能に据え付けられて保管され、前記フレームが前記立設構成にあるときに、前記カーテンレールが、前記第1のフレーム部材および前記第2のフレーム部材の上端に近接して取外し可能に取り付けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記カーテンレールが伸長可能であり、その結果、
a)前記立設構成における前記フレームの幅が調節可能である;および、
b)前記出入口の幅が調節可能である
の少なくとも1つである、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、異なる幅を有する隔離室を提供するために、異なるサイズのキャノピーと共に使用されるように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
キャノピー据付け部が、
a)各フレーム部材に移動可能に据え付けられ、下降位置と上昇位置との間で移動可能である;
b)前記フレーム部材の表面に摺動可能に据え付けられる;および、
c)フレーム部材に対して引き上げることができるシャフトによって支持される
の少なくとも1つである、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
キャノピー据付け部が、リニアアクチュエータを使用して下降位置と上昇位置との間で移動される、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記フレームが、
a)第1の前室フレーム部材および第2の前室フレーム部材と;
b)前室出入口を画定する開口部の上方で前記第1の前室フレーム部材と前記第2の前室フレーム部材との間に前記カーテンレールが延在するように、前記立設構成において、前記第1の前室フレーム部材および前記第2の前室フレーム部材の上端に近接して据え付けられた前室カーテンレールとを含み、前記キャノピーが、前記対象を内包するように構成された第1の内部容積と、前室を画定するように構成された第2の内部容積とを画定するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記フレームが、
a)第1の前室フレーム部材および第2の前室フレーム部材と;
b)以下を相互接続する伸長可能アームと:
i)前記第1の前部フレーム部材および前記第1の前室フレーム部材;
ii)前記第2の前部フレーム部材および前記第2の前室フレーム部材;
iii)前記第1の前室フレーム部材および前記第1の後部フレーム部材;ならびに、
iv)前記第2の前室フレーム部材および前記第2の後部フレーム部材;
c)前室出入口を画定する開口部の上方で前記第1の前室フレーム部材と前記第2の前室フレーム部材との間に前記カーテンレールが延在するように、前記立設構成において、前記第1の前室フレーム部材および前記第2の前室フレーム部材の上端に近接して据え付けられた前室カーテンレールとを含み、前記キャノピーが、前記対象を内包するための、前記後部フレーム部材と前記前室フレーム部材との間の第1の内部容積と、前室を画定する前記前室フレーム部材と前記前部フレーム部材との間の第2の内部容積とを画定するように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、前記立設構成において前記キャノピーに係合するようにフレーム部材間に延在する1つまたは複数のキャノピーレールを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つまたは複数のキャノピーレールが、前記キャノピーを上昇位置で支持し、
a)前記後部フレーム部材の上端間;
b)前記第1の前部フレーム部材と前記第1の後部フレーム部材の上端間;
c)前記第2の前部フレーム部材および前記第2の後部フレーム部材の上端間;
d)前記第1の前部フレーム部材および前記第1の前室フレーム部材の上端間;
e)前記第2の前部フレーム部材および前記第2の前室フレーム部材の上端間;
f)前記第1の前室フレーム部材および前記第1の後部フレーム部材の上端間;ならびに、
g)前記第2の前室フレーム部材および前記第2の後部フレーム部材の上端間
の少なくとも1つに延在する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記1つまたは複数のキャノピーレールが、前記キャノピーを床に対して付勢し、
a)前記後部フレーム部材の下端間;
b)前記第1の前部フレーム部材と前記第1の後部フレーム部材の下端間;
c)前記第2の前部フレーム部材および前記第2の後部フレーム部材の下端間;
d)前記第1の前部フレーム部材および前記第1の前室フレーム部材の下端間;
e)前記第2の前部フレーム部材および前記第2の前室フレーム部材の下端間;
f)前記第1の前室フレーム部材および前記第1の後部フレーム部材の下端間;ならびに、
g)前記第2の前室フレーム部材および前記第2の後部フレーム部材の下端間
の少なくとも1つに延在する、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記展開可能なアームが、前記1つまたは複数のキャノピーレールを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
a)フィルタと;
b)前記フィルタを介して前記内部容積に空気を流入および/または流出させるように構成されたファンと
を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記キャノピーが、床に対して少なくとも部分的に封止するように構成される、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置が、前記内部容積が少なくとも部分的に負圧になるように、前記内部容積から空気を圧送するように構成された空気ポンプを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記折畳み構成において、前記フレームが、
a)1400mmを超える;
b)1500mmを超える;
c)1600mmを超える;
d)1750mmを超える;
e)2100mm未満;
f)2000mm未満;
g)標準的な出入口開口部未満;および、
h)約1895mm
の少なくとも1つである最大高さを有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
伸長していない場合、前記前部フレーム部材が、
a)1400mmを超える;
b)1500mmを超える;
c)1600mmを超える;
d)1750mmを超える;
e)2100mm未満;
f)2000mm未満;
g)標準的な出入口開口部未満;および、
h)約1895mm
の少なくとも1つである高さに到達する、請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
a)カーテンレールの伸長;
b)伸長可能アームの伸長;
c)フィルタファンの動作;および、
d)空気ポンプの動作
の少なくとも1つを制御するように構成されたコントローラを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記装置が、キャノピーサイズを検知するように構成されたセンサを含み、前記コントローラが、検知されたキャノピーサイズに従って前記カーテンレールおよび1つまたは複数の伸長可能アームの伸長を制御するように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記キャノピーが、前記キャノピーサイズを示す符号化データを含み、前記センサが、前記キャノピーに設けられた前記符号化データを検知するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記カーテンレールによって支持されたカーテンの開放および閉鎖の少なくとも1つのためのアクチュエータを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記アクチュエータが、
a)フットペダル;
b)前記カーテンに物理的に接続されたフットペダル;および、
c)前記アクチュエータを制御するように構成されたコントローラ
の少なくとも1つを含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
a)個人を検知するように構成されたセンサと;
b)前記センサからの信号に基づいて前記アクチュエータを制御するように構成されたコントローラと
を含む、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記センサが、
a)前記内部容積に入室または退室しようとする個人を検知するように構成される;
b)前記カーテンを開放または閉鎖しようとする個人を検知するように構成される;および、
c)前記個人に関連付けられたタグを検出するように構成されたRFIDセンサを含む
の少なくとも1つである、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記フレームが、前室フレームに着脱可能に結合されてもよく、前記前室フレームが、
a)折畳み構成と立設構成との間で移動可能なフレームであって、
i)第1の前部前室フレーム部材および第2の前部前室フレーム部材;
ii)第1の後部前室フレーム部材および第2の後部前室フレーム部材;
iii)以下を相互接続する展開可能なアーム:
(1)前記第1の前部前室フレーム部材および前記第1の後部前室フレーム部材;
(2)前記後部前室フレーム部材;ならびに、
(3)前記第2の前部前室フレーム部材および前記第2の後部前室フレーム部材;
を含む、フレームと、
b)各前室フレーム部材に据え付けられた前室キャノピー据付け部と、
c)前記立設構成において、出入口を画定する開口部の上方で、前記第1の前部前室フレーム部材と前記第2の前部前室フレーム部材との間に前室カーテンレールが延在するように、前記第1の前部前室フレーム部材および前記第2の前部前室フレーム部材の上端に近接して据え付けられた前室カーテンレールと、
d)前記立設構成において、前記前室フレームによって支持されるように構成され、内部容積を画定する前室キャノピーと
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象を隔離するように構成された隔離室装置に関し、特定の一例では、病棟などの保健施設内の患者を隔離するように構成された隔離室装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における任意の先行刊行物(もしくはそれに由来する情報)または任意の公知の事項への言及は、先行刊行物(もしくはそれに由来する情報)または公知の事項が、本明細書が関連する努力の分野における共通の一般知識の一部を形成することの自認または承認または任意の形態の示唆として解釈されるものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0003】
病院および他の保健施設における感染制御は、感染症、薬剤耐性感染症などの発生率の上昇に伴ってますます重要になってきている。そのような感染症は、特に既に免疫系が損なわれている患者において重篤な結果をもたらす可能性があり、入院期間の延長、治療費の増加および死亡率の増加をもたらす。推定では、いくつかの保健機関において、感染レベルが10~20%の領域にあり得ることが示されており、医療施設において獲得される感染が年間医療費のかなりの割合を占めることを意味する。
【0004】
感染は、典型的には、接触伝播、液滴伝播および空気伝播を含むいくつかの異なる機構を介して伝播される。感染率を低減するための現在の最良の手法は、典型的には、定期的な手指洗浄、表面消毒、および機器滅菌などの基本的な衛生手段に依存し、それによって他の患者の感染を防止する。しかしながら、そのような手段の有効性は限定されており、世界保健機構の基準は、感染症を有するかまたは感染症を有すると疑われる患者を他の患者から隔離すべきであることを示している。これは、感染した患者を分離するのに十分な資源および利用可能な空間を持たない多くの施設では困難であることが判明し得る。
【0005】
このような問題に対処するために、いくつかの解決策が提案されている。
【0006】
欧州特許出願公開第0619108号明細書は、外部フレームと、フレームから懸吊され、フレーム内に懸下された可撓性外皮とを含む患者を隔離するための外囲を記載している。外皮は、底部、上部、2つの側部、前壁部分および後壁部分を有する。側壁部分または前壁部分の1つには、患者の進入を可能にする閉鎖可能な進入手段が備え付けられている。空気から感染性粒子を濾過して除去し、ポンプ手段と協働するように適合された一体型フィルタ手段と、外囲の外側から内側への一方向の空気通過を可能にする弁手段とが備え付けられた開口部が、壁部分の1つに存在する。ポンプ手段は、外囲の内側に負圧を作り出す前記フィルタ手段を介して空気を引き込み、それによって空気が弁-外囲-フィルタ手段の方向に流れ、汚染作用物質が外囲内から外側に漏れないことを確実にする。
【0007】
米国特許出願公開第2004074212号明細書は、折重ね可能なフレーム本体と、組み立てられたフレーム本体に取り付けることができる可燃性樹脂シートで作製された可撓性外皮と、外皮から空気を排出または排気するための排気機とを含む患者隔離ユニットを記載している。排気機は、UVランプと、HEPA(High-Efficiency Particulate Air)フィルタと、送風機とを含む。
【0008】
しかしながら、これらの配置は、いくつかの欠点を抱えている。例えば、気密封止された外皮を維持する必要性は、装置を複雑にし、したがって高価にする。これらの配置はまた、立設させることが困難であるとともに、配置を立設させてその後に患者を外皮内に移動させることを必要とし、これは不都合な場合があり、いくつかの状況でこれらの配置を使用することを妨げる可能性がある。最後に、これらの配置は、典型的には、ドアを手で、手動で開くことを必要とし、これは、ドアを開くときに感染性材料がドアに伝達され、その後の前方への伝播につながる可能性があり、それによってこれらの配置の有効性が限定されることを意味する。
【0009】
国際公開第2014019022号パンフレットは、対象を隔離する際に使用するための装置を記載しており、装置は、折畳み構成と立設構成との間で移動可能なフレームと、フレームによって支持された本体とを含み、立設構成において、本体は、対象を内包し、それによって対象を周囲環境から実質的に隔離するための内部容積を画定し、ドアを開位置と閉位置との間で移動させ、それによって内部容積へのアクセスを提供するために、ドアアクチュエータがフレームによって支持されている。
【0010】
上記の配置のフレームは、患者および医療従事者を収容するのに十分な高さにカーテンレールおよびキャノピーを引き上げるために、上昇させる必要がある。これは次に、フレームの全体的な重量および複雑さを増し、特にフレームが1人で展開されている場合、フレームを展開することが困難になる可能性がある。
【0011】
国際公開第2018165715号パンフレットは、隔離を提供する際に使用するための装置を記載しており、装置は、屋根部材を含む本体と、支持面と使用時の屋根部材との間に延在し、それによって周囲環境から実質的に隔離された内部容積を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの壁と、本体に結合された複数のコネクタであって、本体をフレームに物理的に取り付けるように適合された複数のコネクタと、複数のコネクタの少なくとも1つに電気的に接続された電気部品であって、電気信号がコネクタを介して電気部品に、または電気部品から伝達されることを可能にする電気部品とを有する、隔離テントを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0619108号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004074212号明細書
【特許文献3】国際公開第2014019022号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2018165715号パンフレット
【発明の概要】
【0013】
広範な一形態では、本発明の一態様は、対象を隔離するように構成された隔離室装置であって、折畳み構成と立設構成との間で移動可能なフレームであって、第1の前部フレーム部材および第2の前部フレーム部材;第1の後部フレーム部材および第2の後部フレーム部材;以下を相互接続する展開可能なアーム:第1の前部フレーム部材および第1の後部フレーム部材;後部フレーム部材;ならびに、第2の前部フレーム部材および前記第2の後部フレーム部材;各フレーム部材に据え付けられたキャノピー据付け部;ならびに、立設構成において、出入口を画定する開口部の上方で、第1の前部フレーム部材と第2の前部フレーム部材との間にカーテンレールが延在するように、第1の前部フレーム部材および第2の前部フレーム部材の上端に近接して据え付けられたカーテンレール;を含む、フレームと、立設構成において、フレームによって支持されるように構成されたキャノピーであって、対象を内包するための内部容積を画定し、それによって、対象を周囲環境から実質的に隔離し、内部容積へのアクセスを選択的に提供するためにカーテンを開位置と閉位置との間で移動させることを可能にするレールによって支持された1つまたは複数のカーテンを含む、キャノピーとを含む、対象を隔離するように構成された隔離室装置を提供しようとするものである。
【0014】
一実施形態では、前部フレーム部材およびカーテンレールは、前部フレーム部材の上昇または伸長を必要とせずにカーテンレールが支持されるように構成される。
【0015】
一実施形態では、カーテンレールは、第1の前部フレーム部材の上端に近接して枢動可能に据え付けられ、レールを動作位置に支持するのに十分な高さで第2の前部フレーム部材の上端に据え付けられるように構成される。
【0016】
一実施形態では、カーテンレールは、第2の前部フレーム部材に摺動可能に据え付けられ、その結果、フレームが折畳み構成から立設構成に移動するにつれてカーテンレールが引き上げられる。
【0017】
一実施形態では、カーテンレールは、フレームが折畳み構成にあるときに第1の前部フレーム部材に当接するように構成される。
【0018】
一実施形態では、カーテンレールは、フレームが折畳み構成にあるときに、第1の前部フレーム部材に取外し可能に据え付けられて保管され、フレームが立設構成にあるときに、カーテンレールは、第1のフレーム部材および第2のフレーム部材の上端に近接して取外し可能に取り付けられる。
【0019】
一実施形態では、カーテンレールは伸長可能であり、その結果、立設構成における前記フレームの幅が調節可能である;および、出入口の幅が調節可能である、の少なくとも1つである。
【0020】
一実施形態では、装置は、異なる幅を有する隔離室を提供するために、異なるサイズのキャノピーと共に使用されるように構成される。
【0021】
一実施形態では、キャノピー据付け部は、各フレーム部材に移動可能に据え付けられ、下降位置と上昇位置との間で移動可能である;前部フレーム部材の表面に摺動可能に据え付けられる;および、フレーム部材に対して引き上げることができるシャフトによって支持される、の少なくとも1つである。
【0022】
一実施形態では、キャノピー据付け部は、リニアアクチュエータを使用して下降位置と上昇位置との間で移動される。
【0023】
一実施形態では、フレームは、第1の前室フレーム部材および第2の前室フレーム部材と;前室出入口を画定する開口部の上方で第1の前室フレーム部材と第2の前室フレーム部材との間にカーテンレールが延在するように、立設構成において、第1の前室フレーム部材および第2の前室フレーム部材の上端に近接して据え付けられた前室カーテンレールとを含み、キャノピーは、対象を内包するように構成された第1の内部容積と、前室を画定するように構成された第2の内部容積とを画定するように構成される。
【0024】
一実施形態では、フレームは、第1の前室フレーム部材および第2の前室フレーム部材と;以下を相互接続する伸長可能アームと:第1の前部フレーム部材および第1の前室フレーム部材;第2の前部フレーム部材および第2の前室フレーム部材;第1の前室フレーム部材および第1の後部フレーム部材;ならびに、第2の前室フレーム部材および第2の後部フレーム部材;前室出入口を画定する開口部の上方で第1の前室フレーム部材と第2の前室フレーム部材との間に前室カーテンレールが延在するように、立設構成において、第1の前室フレーム部材および第2の前室フレーム部材の上端に近接して据え付けられた前室カーテンレールとを含み、キャノピーは、対象を内包するための、後部フレーム部材と前室フレーム部材との間の第1の内部容積と、前室を画定する、前室フレーム部材と前部フレーム部材との間の第2の内部容積とを画定するように構成される。
【0025】
一実施形態では、装置は、立設構成においてキャノピーに係合するようにフレーム部材間に延在する1つまたは複数のキャノピーレールを含む。
【0026】
一実施形態では、1つまたは複数のキャノピーレールは、キャノピーを上昇位置で支持し、後部フレーム部材の上端間;第1の前部フレーム部材および第1の後部フレーム部材の上端間;第2の前部フレーム部材および第2の後部フレーム部材の上端間;第1の前部フレーム部材および第1の前室フレーム部材の上端間;第2の前部フレーム部材および第2の前室フレーム部材の上端間;第1の前室フレーム部材および第1の後部フレーム部材の上端間;ならびに、第2の前室フレーム部材および第2の後部フレーム部材の上端間の少なくとも1つに延在する。
【0027】
一実施形態では、1つまたは複数のキャノピーレールは、キャノピーを床に対して付勢し、後部フレーム部材の下端間;第1の前部フレーム部材および第1の後部フレーム部材の下端間;第2の前部フレーム部材および第2の後部フレーム部材の下端間;第1の前部フレーム部材および第1の前室フレーム部材の下端間;第2の前部フレーム部材および第2の前室フレーム部材の下端間;第1の前室フレーム部材および第1の後部フレーム部材の下端間;ならびに、第2の前室フレーム部材および第2の後部フレーム部材の下端間の少なくとも1つに延在する。
【0028】
一実施形態では、展開可能なアームは、1つまたは複数のキャノピーレールを含む。
【0029】
一実施形態では、装置は、フィルタと;フィルタを介して内部容積に空気を流入/流出させるように構成されたファンとを含む。
【0030】
一実施形態では、キャノピーは、床に対して少なくとも部分的に封止するように構成される。
【0031】
一実施形態では、装置は、内部容積が少なくとも部分的に負圧になるように、内部容積から空気を圧送するように構成された空気ポンプを含む。
【0032】
一実施形態では、折畳み構成において、フレームは、1400mmを超える;1500mmを超える;1600mmを超える;1750mmを超える;2100mm未満;2000mm未満;標準的な出入口開口部未満;および約1895mmの少なくとも1つである最大高さを有する。
【0033】
一実施形態では、伸長していない場合、前部フレーム部材は、1400mmを超える;1500mmを超える;1600mmを超える;1750mmを超える;2100mm未満;2000mm未満;標準的な出入口開口部未満;および約1895mmの少なくとも1つである高さに到達する。
【0034】
一実施形態では、装置は、カーテンレールの伸長;伸長可能アームの伸長;フィルタファンの動作;空気ポンプの動作の少なくとも1つを制御するように構成されたコントローラを含む。
【0035】
一実施形態では、装置は、キャノピーサイズを検知するように構成されたセンサを含み、コントローラは、検知されたキャノピーサイズに従ってカーテンレールおよび1つまたは複数の伸長可能アームの伸長を制御するように構成される。
【0036】
一実施形態では、キャノピーは、キャノピーサイズを示す符号化データを含み、センサは、キャノピーに設けられた符号化データを検知するように構成される。
【0037】
一実施形態では、フレームは、前室フレームに着脱可能に結合されてもよく、前室フレームは、折畳み構成と立設構成との間で移動可能なフレームであって、第1の前部前室フレーム部材および第2の前部前室フレーム部材;第1の後部前室フレーム部材および第2の後部前室フレーム部材;以下を相互接続する展開可能なアーム:第1の前部前室フレーム部材および第1の後部前室フレーム部材;後部前室フレーム部材;ならびに、第2の前部前室フレーム部材および第2の後部前室フレーム部材;を含む、フレームと、各フレーム部材に据え付けられた前室キャノピー据付け部と、立設構成において、出入口を画定する開口部の上方で、第1の前部前室フレーム部材と第2の前部前室フレーム部材との間に前室カーテンレールが延在するように、第1の前室前部フレーム部材および第2の前室前部フレーム部材の上端に近接して据え付けられた前室カーテンレールと、立設構成において、前室フレームによって支持されるように構成され、内部容積を画定する前室キャノピーとを含む。
【0038】
本発明の広範な形態およびそれらのそれぞれの特徴は、併せておよび/または独立して使用することができ、別個の広範な形態への言及は限定を意図するものではないことが理解されよう。さらに、方法の特徴は、システムまたは装置を使用して実行することができ、システムまたは装置の特徴は、方法を使用して実施することができることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
次に、本発明の様々な例および実施形態を添付の図面を参照して説明する。
図1A】折畳み構成の隔離室装置用フレームの一例の概略斜視図である。
図1B】立設構成の図1Aのフレームの概略斜視図である。
図2A】折畳み構成の図1Aのフレームの概略平面図である。
図2B】折畳み構成の図1Aのフレームの概略正面図である。
図2C】折畳み構成の図1Aのフレームの概略右側面図である。
図2D】立設構成の図1Aのフレームの概略平面図である。
図2E】立設構成の図1Aのフレームの概略正面図である。
図2F】立設構成の図1Aのフレームの概略側面図である。
図3A図1Aのフレームを含む隔離室装置を立設するプロセスの一例を示す概略図である。
図3B図1Aのフレームを含む隔離室装置を立設するプロセスの別の一例を示す概略図である。
図3C図1Aのフレームを含む隔離室装置を立設するプロセスのさらに別の一例を示す概略図である。
図3D図1Aのフレームを含む隔離室装置を立設するプロセスのさらに別の一例を示す概略図である。
図3E図1Aのフレームを含む隔離室装置を立設するプロセスのさらに別の一例を示す概略図である。
図3F図1Aのフレームを含む隔離室装置を立設するプロセスのさらに別の一例を示す概略図である。
図4A】折畳み構成の隔離室装置用フレームのさらなる例の概略左側面図である。
図4B】第1の立設構成の図4Aのフレームの概略左側面図である。
図4C】第2の立設構成の図4Aのフレームの概略左側面図である。
図5A】折畳み構成の隔離室装置用フレームのさらなる例の概略左側面図である。
図5B】第1の立設構成の図5Aのフレームの概略左側面図である。
図5C】第2の立設構成の図5Aのフレームの概略左側面図である。
図6A】折畳み構成の隔離室装置用フレームのさらなる例の概略左側面図である。
図6B】第1の立設構成の図6Aのフレームの概略左側面図である。
図6C】第2の立設構成の図6Aのフレームの概略左側面図である。
図6D】キャノピーレールが展開された第2の立設構成の、図6Aのフレームの概略左側面図である。
図7】立設構成のフレームのさらなる例の概略正面図である。
図8】立設構成のフレームのさらなる例の概略正面図である。
図9A】折畳み構成の隔離室装置用フレームのさらなる例の概略左側面図である。
図9B】折畳み構成の前室室用フレームの概略左側面図である。
図9C】立設構成の図9Aのフレームの概略左側面図である。
図9D】立設構成の図9Bのフレームの概略左側面図である。
図9E】立設構成の図9Aのフレームおよび図9Bのフレームの概略左側面図である。
図9F】立設構成で互いに結合された図9Aのフレームおよび図9Bのフレームの概略左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、図1Aおよび図1Bを参照し、図2A図2Eをさらに参照して、患者などの対象を隔離する際に使用するための隔離室装置の一例を説明する。
【0041】
この例では、装置は、使用時に、図1Aおよび図1Bにそれぞれ示す折畳み構成と立設構成との間で移動可能なフレーム100を含む。キャノピー(図示せず)をフレーム100によって支持することができ、その結果、フレーム100が立設構成にあるとき、キャノピーは、ベッド190上の患者などの対象を内包するための内部容積を画定し、それによって、病棟などの周囲環境から対象を実質的に隔離する。
【0042】
折畳み可能なフレーム100を使用することにより、対象を隔離する必要がある場合に、フレーム100を立設し、キャノピーを取り付けた(図示せず)、図1Bに示す動作構成で装置を提供することが可能になる。しかしながら、フレーム100はまた、対象の隔離が必要とされない場合に、フレーム100が折り畳まれた、図1Aに示す保管構成で提供することもできる。これにより、装置を便利に保管し、必要なときに迅速に立設することが可能になる。
【0043】
さらに、車輪141、142、142、144などの使用により、隔離室として使用されていないときにフレームが台車として機能することが可能になる。例えば、台車は、マスク、手袋、オーバーオール、ガウン、エプロン、および/または清掃および殺菌用品、例えば、殺菌剤、消毒器、手指もしくは機器の滅菌器、ワイプ、空調ユニット、コントローラ、例えば、患者およびデバイスの情報を表示するタッチスクリーンモニタを含むコントローラ、空気濾過システム、コントローラなどを含むがこれらに限定されない、医療またはPPE(個人防護具)などの品目を支持することができる開口部161、162、163または位置を含むことができる。台車は、対象に関する情報などを保管または表示するための表面または開口部を含むことができる。したがって、運搬または保管することができる品目への言及は広く解釈されることを意図しており、医療品および/またはPPEへの言及は限定を意図するものではないことが理解されよう。さらに、これにより、隔離室が必要とされる場所にフレームをより容易に移動させることが可能になる。
【0044】
したがって、一例では、装置は、対象を隔離するために、または感染制御のPPE(個人防護具)台車、機器台車もしくは他の適切な台車として機能することができる。二重の使用構成を提供することによって、装置が保管室を不必要に占有しないように台車として機能させて、装置を病棟に設けることを可能にする。患者が感染性であると分かった場合、または感染性であると疑われる場合、装置は、以下でより詳細に説明するように、患者の周りに迅速に立設することができる。したがって、このことから、装置は、使用されない間はアクセス可能な機器台車として病棟に保持することができ、または動作構成にある間は患者を隔離するために使用することができることが理解されよう。動作構成においても、機器台車上に設けられた機器および他の品目は依然としてアクセス可能であり、これは、装置が動作構成にある間であっても、装置によって提供される保管機能が影響を受けないことを意味する。
【0045】
適切なキャノピーを使用することにより、感染率を大幅に低減するのに十分な程度の隔離を提供することを可能にすることができる。例えば、装置は気密封止することができるが、これは必須ではなく、より典型的には、装置は、固体、接触、流体および液滴媒介汚染物質の少なくとも1つによる汚染に対するバリアを提供するのを助けるように設計されているにすぎない。この一部として、キャノピーの下縁部は、装置が配置される床などの表面と係合するように適合されてもよく、それによって汚染物質がキャノピーと床との間を通過するのを防止する。これは、以下でより詳細に説明するように、接着配置、加重配置、梁、キャノピーレールなどの使用などの様々な技術を使用して達成することができる。
【0046】
さらに、装置は、隔離された対象が感染性であるかまたは感染性であると疑われることを個人に警告するように作用し、それによって、手指洗浄などの衛生要件に関して個人に注意喚起するのに役立ち、これは、接触伝播に対する保護をさらに助ける。したがって、気密封止がなくても、装置は、例えば接触または液滴伝播による感染の機会を大幅に低減するように動作する。
【0047】
上記の配置は、キャノピーを耐水性布、プラスチックシートなどの適切な可撓性シート材料で形成することを可能にし、これは、キャノピーを軽量かつ安価に製造することができ、使用後のキャノピーの廃棄を可能にすることを意味する。使い捨てキャノピーの使用は、感染の発生率を低減するのにさらに役立ち得るが、再使用可能なキャノピーも使用することができることが理解されよう。
【0048】
したがって、上述の配置は、医療施設、病棟などの環境内の対象を隔離するための装置を提供する。これは、その内容が相互参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014019022号パンフレットおよび国際公開第2018165715号パンフレットに記載されている配置と広く同様であることが理解されよう。
【0049】
本例では、フレームは、第1および第2の前部フレーム部材111、112ならびに第1および第2の後部フレーム部材113、114を含み、展開可能なアーム121、122、123は、第1の前部フレーム部材111および第1の後部フレーム部材113、後部フレーム部材113、114、ならびに第2の前部フレーム部材114および第2の後部フレーム部材112をそれぞれ相互接続する。この例では、フレーム部材111、112、113、114は、金属ストラットなどの1つまたは複数の構造要素を任意選択的に含む成形されたポリマー体で作製することができるが、これは必須ではなく、板金および押出しなどの他の配置を使用することもできる。この例では、展開可能なアーム121、122、123は、各端部でそれぞれのフレーム部材111、112、113、114に取り付けられたシザーアームの形態であるが、これは必須ではなく、以下でより詳細に説明するように、他の配置を使用することができる。
【0050】
フレーム100は、各フレーム部材111、112、113、114に移動可能に据え付けられたキャノピー据付け部131、132、133、134を含み、キャノピー据付け部は、下降位置と上昇位置との間で移動可能である。下降位置では、これにより、キャノピーをキャノピー据付け部に容易に取り付けることが可能になり、引上げ位置では、キャノピーは、内部容積内のほとんどの個人に上部空間を提供するのに十分な高さで懸吊される。これに関して、キャノピー据付け部は、前部フレーム部材111、112などの他の構成要素の高さを超える高さまで引き上げられるように構成することができ、それによって内部容積内に十分な上部空間が確保されることに留意されたい。
【0051】
フレーム100は、出入口を画定する開口部の上方でカーテンレールが第1および第2の前部フレーム部材111、112の間に延在するように、立設構成において、第1および第2の前部フレーム部材の上端に近接して据え付けられたカーテンレール124をさらに含む。使用時、キャノピーは、内部容積へのアクセスを選択的に提供するためにカーテンが開位置と閉位置との間で移動することを可能にするようにレール124によって支持された1つまたは複数のカーテンを含む。これに関して、カーテンという用語は、出入口を閉じるように作用することができる任意の部材を包含することを意図しており、膜または布タイプの材料がより典型的であるが、カーテンは、垂直シャッタ、ドア、仕切りなどを含むことができることに留意されたい。
【0052】
前部直立フレーム部材111、112および/またはカーテンレール124は、前部直立フレーム部材の上昇または伸長を必要とせずにカーテンレールが支持されるように構成される。
【0053】
本例では、これは、カーテンレールが出入口としての使用に適するように支持されることを可能にする高さに前部フレーム部材111、112を到達させることによって達成される。それにもかかわらず、前部フレーム部材111、112は、典型的には、フレームが建物内の通常の内部出入口を通って運ばれることを可能にするのに十分低いサイズである。この例では、フレームが折畳み構成と立設構成との間で移動されるときに、前部フレーム部材は伸長または収縮する必要がなく、同様に下降も引き上げられもしない。したがって、フレームは、病院などの施設内で容易に移動され、折畳み構成で出入口を通ってこれを運び、次いで、出入口を形成するのに適した高さにカーテンレールが支持された状態で立設することができる。
【0054】
これを達成するために、前部フレーム部材は、典型的には、従来の出入口の高さに近い高さを有し、例えば、1750mmを超える、1800mmを超える、1850mmを超える、2100mm未満、2040mm未満、2000mm未満、標準的な出入口開口部未満、特定の一例では、約1895mmまたは2000mmの高さを有し得る。
【0055】
しかしながら、他の配置も可能である。例えば、図7に示すように、フレームは、より低い高さの前部パネル部材711、712を含むことができ、カーテンレールの少なくとも一部が前部パネル711、712の上部よりも高くなるように、湾曲したまたはU字形のカーテンレール724を含むことができる。この例では、前部パネルはより低くてもよく、例えば、1400mmを超える、1500mmを超える、または1600mmを超える高さに到達し得る。
【0056】
同様の理由で、折畳み構成において、フレームは、1400mmを超える、1500mmを超える、1600mmを超える、1750mmを超える、2100mm未満、2000mm未満、標準的な出入口開口部未満、約1895mmの最大高さを有する。
【0057】
したがって、上記の例では、国際公開第2014019022号パンフレットに記載されているように、キャノピーとカーテンレールとを連動して引き上げる必要はない。上記の例では、カーテンレールは引き上げる必要がなく、一度に上昇させる必要がある全体的な重量が低減され、次に、隔離室を展開しやすくし、構造全体をより軽量にすることを可能にする。したがって、カーテンレールを支持する前部フレーム部材の一部を上昇させる必要性を回避し、隔離室を立設するために持ち上げる必要がある重量が低減される。これはまた、配置を均衡させて持ち上げる必要性を除去する。これは、隔離室をより容易に立設することを可能にし、また、追加の強化構成要素の必要性を低減し、フレームを立設位置および折畳み位置の両方においてより小さくかつより軽量にし、次に、フレームの台車構成の操作をより容易にする。さらに、これは、フレームを製造するために使用される構成要素の全体的な数および/またはサイズおよび強度を低減し、フレームを著しく安価にする。しかしながら、他の配置では、カーテンは全体的にまたは部分的に上昇されてもよく、これはキャノピーの引上げとは無関係に実行され、それによってキャノピーおよびカーテンレールの両方が引き上げられたとしても上述の利益を達成することを可能にする。
【0058】
以下でより詳細に説明するように、後部フレーム部材113、114は前部フレーム部材111、112よりも低くてもよいが、これは必須ではなく、前部フレーム部材と同様の高さを有する後部フレーム部材を使用することもできる。
【0059】
次に、いくつかのさらなる特徴について説明する。
【0060】
本例では、カーテンレール124は、枢動据付け部124.1を介して、第1の前部フレーム部材111の上端に近接して枢動可能に据え付けられている。さらに、カーテンレール124は、レールを動作位置に支持するのに十分な高さで第2の前部フレーム部材112の上端に据え付けられるように構成されている。一例では、カーテンレール124は、例えば、第2の前部フレーム部材112内のチャネル124.3内を摺動する摺動据付け部124.2を使用して、第2の前部フレーム部材112に摺動可能に据え付けられ、その結果、以下でより詳細に説明するように、カーテンレールは、フレームが折畳み構成から立設構成に移動するにつれて引き上げられる。この配置では、カーテンレール124は、フレームが折畳み構成にあるときに第1の前部フレーム部材111に当接するように構成することができ、および/または第1の前部フレーム部材111もしくはフレーム部材112内のキャビティもしくはチャネル内の凹部に収まってもよい。
【0061】
しかしながら、他の配置を使用することができることが理解されよう。例えば、カーテンレールは、フレームに取外し可能に据え付けることができる。例えば、カーテンレール124は、フレーム100が折畳み構成にあるときに、第1のフレーム部材111に取外し可能に取り付けて保管することができ、フレーム100が立設構成にあるときに、カーテンレール124は、第1および第2のフレーム部材111、112の上端に近接して取外し可能に取り付けることができる。この事例では、カーテンレールは、前部フレーム部材に取り付けるために手動で上昇させる必要があるが、このステップは、キャノピーまたはフレームの他の部分の持ち上げとは無関係に実行することができ、一度に持ち上げるのに必要な重量が低減され、また、他のフレーム部分と共に持ち上げる必要がある重量が低減され、したがって、上述したように、必要なフレーム強度、したがって重量が低減されることが理解されよう。
【0062】
一例では、カーテンレールは、例えば伸縮配置を使用して伸長可能であり、そのため、フレーム100の幅および/または立設構成における出入口の幅が調節可能である。一例では、異なる幅を有する隔離室を提供するために、異なるサイズのキャノピーと併せて異なる長さの伸長部を使用することができ、次に、隔離室を異なるシナリオに適合させることが可能になる。例えば、施設内の空間が限定されている場合、より狭い隔離室構成を使用することができるが、患者が複数の個人からの注意を必要とする可能性が高い場合、より広い隔離室を使用することができる。例えば国際公開第2014019022号パンフレットに記載されているように、ヒンジ付きレールなどの他の配置を使用することができることが理解されよう。また、台車の高さによって設定されるカーテンレールの保管長さの限界を越えて、達成可能であったよりも広い出入口を形成することができることも理解されよう。
【0063】
カーテンレールの伸長は、手動で実行することができ、異なる長さのレールを手動で選択することを可能にするロック配置を含むことができる。あるいは、これは、リニアアクチュエータなどを使用して電子的に制御することができ、フレームの幅をコントローラによって制御することを可能にする。あるいは、手動および自動アプローチの組合せを使用することができ、レールは手動で伸長され、制御されたソレノイドなどを使用して定位置にロックされる。
【0064】
一例では、前部キャノピー据付け部131、132は、前部フレーム部材111、112の後面などの表面に摺動可能に据え付けられる。これにより、前部キャノピー据付け部131、132を容易に支持して引き上げることが可能になる。対照的に、本例では、後部据付け部133、134は、第1および第2の後部フレーム部材113、114内に摺動可能に据え付けられたシャフト133.1、134.1に支持されている。いずれの場合も、キャノピー据付け部は、様々な機構を使用して下降位置と上昇位置との間で移動させることができる。例えば、これは、ユーザが据付け部を物理的に引き上げることによって達成することができるか、またはリニアアクチュエータなどを使用して実行することができ、据付け部131、132、133、134を電子的に引き上げることが可能になる。
【0065】
しかしながら、前部キャノピー据付け部を支持するためにシャフトを使用するなど、他の配置を使用することができることが理解されよう。これに関して、独立して移動可能なキャノピー据付け部を設けることができることが理解されよう。この例では、カーテンレールは、例えば、前部フレーム部材の一部を引き上げることによって引き上げることができる。この事例では、国際公開第2014019022号パンフレットに記載されているように連動してではなく、キャノピーおよびカーテンレールを独立して引き上げることにより、一度に上昇させる必要がある全体的な重量が低減され、次に、隔離室を展開しやすくし、構造全体をより軽量にすることを可能にする。
【0066】
空気伝播またはエアロゾル化された液滴に対する保護を提供するために、例えばHEPAフィルタを使用して空気濾過システムを提供し、それによって内部容積から引き出された空気を濾過することが典型的である。したがって、装置は、フィルタと、フィルタを介して内部容積に空気を流入/流出させるように構成されたファンとを含むことができる。これはまた、例えば、エアロゾル化された液滴の拡散を低減しながら、患者の快適さのための空気流を提供するために有用である。これは任意の適切な様式で達成することができるが、フィルタはキャノピーの一部として設けることができ、ファンはフレーム、例えば第1の後部フレーム部材113に据え付けられる。これに関して、後部フレーム部材113は、ファンおよび駆動ユニットおよび関連するコントローラを内包するハウジングを含むことができ、したがって、図に示すように、第2の後部フレーム部材114よりも幅が広くなり得る。別の例では、ファンは、他のフレーム部材111、112または114のいずれかに据え付けられてもよい。
【0067】
キャノピーは、以下でより詳細に説明するように、例えば接着剤または他の配置を使用して、床に対して少なくとも部分的に封止するように構成することができる。これは、内部容積内に負圧を作り出すことを可能にするために使用することができ、これは次に、内部容積を越えた空気感染の拡散の防止を助けることができる。内部容積内からの空気の十分な封止および連続的な圧送を提供することによって、内部容積が気密封止されていなくても負圧を維持することができることが理解されよう。ファンを使用して負圧を生成することができるが、別の例では、内部容積からの空気の十分な引出し速度を確保するために、内部容積から空気を圧送するように構成された空気ポンプを設けることができる。
【0068】
一例では、装置は、1つまたは複数の機能構成要素を制御するように構成されたコントローラを含み、例えば、カーテンレールの伸長、伸長可能アームの伸長、フィルタファンの動作または空気ポンプの動作を制御する。コントローラは、任意の適切な形態とすることができるが、典型的には、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、論理ゲート構成、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの論理の実装に任意選択的に関連付けられるファームウェアなどの電子処理デバイス、または任意の他の電子デバイス、システムもしくは配置を含む。コントローラは、好ましい実施態様に応じて、第1の前部または後部フレーム部材111、113などのフレーム部材の1つまたは複数に組み込むことができる。
【0069】
一例では、コントローラは、キャノピーサイズを決定するように構成され、コントローラは、決定されたキャノピーサイズに従ってカーテンレールおよび1つまたは複数の伸長可能アームの伸長を制御するように構成される。キャノピーサイズは、任意の適切な様式で決定することができ、これは、例えばユーザインターフェースを使用して、ユーザに手動でキャノピーサイズを入力させることを含むことができる。あるいは、装置は、キャノピーサイズを検知するように構成されたセンサを含むことができる。これは、例えば視覚的マーキング、RFIDタグなどの遠隔読取り可能なデータストアなどを使用して、隔離テントのキャノピーに印刷された、または他の様態で提示された機械読取り可能なコードを検知することなど、任意の適切な配置を使用して達成することができる。符号化データは、センサによって読み取ることができ、センサは、スキャナもしくは他の適切な撮像デバイス、無線RFIDタグリーダ、または有線IDタグなどとすることができ、その結果、キャノピーがフレームに接続されたときに符号化データを読み取ることができ、コントローラがキャノピーサイズを決定し、それに応じてフレームの開放を制御することを可能にする。
【0070】
フレーム部材111、112、113、114はラッチ151、152、153、154を含むことができ、ラッチは、フレームが折り畳まれたときにフレーム部材111、112、113、114の間にまたがり、それらを係合し、それによってフレームを折畳み構成に保持する。この例では、ユーザは、フレームを立設構成に移動させるときにラッチ151、152、153、154を解放することができ、それによってフレーム部材111、112、113、114を解放し、フレームを拡張することを可能にする。これは、ソレノイドなどの自動化された電気的に制御されたラッチ機構によっても達成され得る。
【0071】
上述したように、フレームは、フレーム部材111、112、113、114の各々に据え付けられたキャスタ車輪などの1つまたは複数の車輪141、142、143、144を含むことができ、フレームの台車構成を容易に移動させることを可能にし、フレーム100の立設中にフレーム部材111、112、113、114を相対移動させることも可能にする。これに加えて、各車輪または車輪の群141、142、143、144は、この例では、車輪を選択的に係合し、それによってロックするように構成されたフットペダル141.1、142.1、143.1、144.1の形態であるそれぞれのロック機構に関連付けることができる。フットペダル141.1、142.1、143.1、144.1は、図示のように、フレーム部材111、112、113、114の下縁部の凹部に配置することができるが、フットペダルを車輪に直接据え付けるなどの他の配置を使用することもできる。これは、ソレノイドなどの自動化された電気的に制御されたロック機構によっても達成され得る。
【0072】
装置100はまた、キャノピーのカーテンを開放または閉鎖することを可能にする、フレーム100によって支持され、特にフレームにまたはフレーム内に据え付けられたドアアクチュエータ(図示せず)を含むことができる。この例では、カーテンが閉鎖されているとき、これは内部容積を閉鎖し、一方、カーテンが開位置にあるとき、これは内部容積へのアクセスを提供し、それによって、必要に応じて医療従事者などのユーザが対象にアクセスすることを可能にし、他のときには対象を隔離する。さらに、適切なドアアクチュエータの使用は、ユーザがキャノピーに触れる必要なしに進入および退出することを可能にすることができ、感染性材料の拡散を低減するのをさらに支援することができる。
【0073】
カーテンは、レール124に移動可能に据え付けることができ、アクチュエータは、ケーブルなどを介してカーテンに結合されたフットペダル124.4を含む。これにより、カーテンドアのハンズフリー動作を可能にするフットペダルシステムを提供することができ、ユーザがドアに触れることなくドアを開放および閉鎖することができるようにする。しかしながら、他のアクチュエータ配置も使用することができることが理解されよう。特定の一例では、これは、フレームによって支持され、アクチュエータスイッチまたはセンサの少なくとも1つに結合された電気モータを使用して達成される。さらなる例では、センサは、例えばRFID(無線周波数識別)センサおよび個人によって装着された関連タグを使用することによって、ドアを開放しようとする個人の身元を検出するように適合されてもよい。次いで、これは、例えば感染追跡において使用され得る、入室もしくは退室する個人の身元を記録するために、または当業者によって理解されるように、権限を与えられた人員にのみアクセスを可能にするために使用することができる。
【0074】
次に、隔離室装置を立設するためのプロセスの一例を、図3A図3Fを参照して説明する。
【0075】
この例では、フレームは図1A図1Bおよび図2A図2Eのフレームであると仮定する。しかしながら、本明細書に記載の他のフレームを用いて同様のプロセスを使用することができることが理解されよう。
【0076】
この例では、フレーム100は、最初に台車構成で設けられ、隔離室に設けられるベッド(任意選択的に患者を内包する)に近接して配置される。最初に、折り重ねられたキャノピー170をフレーム部材111、112、113、114間の開口部に挿入することによって、キャノピーがフレームに装填され、キャノピーのコネクタ171がキャノピー据付け部131、132、133、134に取り付けられる。これが達成される様式は、コネクタ171およびキャノピー据付け部131、132、133、134の性質に依存し、クリップ嵌合コネクタなどを使用して、キャノピー据付け部の直立ペグ上に材料のループを配置することを含み得る。
【0077】
ユーザがキャノピーを容易に接続して引き上げることを可能にするために、コネクタ171は、図3Aに示すように、前部フレーム部材111より低い高さでキャノピー据付け部131、132、133、134に取り付けられてもよい。キャノピーの取付けの高さを低くすることにより、様々な高さの人が困難なくこのステップを行うことができることが保証される。
【0078】
これが完了すると、図3Bに示すように、キャノピー据付け部131、132、133、134を引き上げることができ、それによってキャノピーを後部フレーム部材113、114の高さより上などの適切な高さまで、または展開され得る高さまで持ち上げることができる。キャノピー据付け部131、132、133、134の持上げは、例えば据付け部を解放し、後部キャノピー据付け部133、134の下側のハンドル133.2、134.2を使用してこれらを持ち上げるなど、手動で実行することができる。この段階で、キャノピー据付け部131、132、133、134は当接状態であることができ、プラグ/ソケット配置、引込み式または磁気コネクタなどのインターロックを使用して隣接する据付け部に接続されてもよく、その結果、据付け部はすべてまとめて持ち上げられる。キャノピー据付け部131、132、133、134は、例えば適切なユーザインターフェースを介してユーザ入力コマンドを提供することによって、任意選択的にコントローラの制御下で、リニアアクチュエータを使用して引き上げることができることも理解されよう。
【0079】
次に、ラッチ152、153が解放され、後部フレーム部材113、114と前部フレーム部材111、112とを係合解除し、離れて移動させることが可能になる。これは、典型的には、図示のように、フレームがベッド190の背後で伸長し、図示のように、キャノピー170がベッド190の背後で広げられることを可能にするように実行される。
【0080】
このプロセスの間に、カーテンレール124は展開され始め、レールは、典型的には任意選択的に部分的に伸長し、摺動据付け部124.2は、チャネル124.3内で少なくとも部分的に上向きに摺動する。伸長プロセスが継続するとき、上向きの圧力がレール124に典型的に加えられ、その結果、レール124は、摺動据付け部124.2がチャネル124.3の上部に到達し、例えばラッチまたは他の同様のロック機構を使用して所定の位置にロックされるまで、前部フレーム部材111、112を離れさせるのを助ける。この時点で、設置されたキャノピーの幅に応じて、必要に応じてレールをさらに伸長することもできる。
【0081】
これに続いて、ラッチ151、154が解放され、第1の前部および後部フレーム部材111、113ならびに第2の前部および後部フレーム部材112、114を解放することが可能になり、その結果、前部フレーム部材111、112を前方に移動させることができ、それによって、図3Eに示すように、キャノピーを完全に展開することができ、側壁172、後壁(図示せず)、屋根173およびカーテン174が、ベッド190を内包する内部容積を画定する。
【0082】
図3Fに示すさらなる実施形態では、装置は、キャノピーの下側のフレーム100からある角度でキャノピー据付け部132から揺動または枢動する天井支持アーム175を含むことができる。天井屋根支持体は、フレーム100が台車構成にあるときにカーテンレール124に平行な位置に収納されてもよい。キャノピーは、天井支持アーム175の角度がキャノピーの天井の高さを上昇させるように、クリップまたは磁気コネクタ176を用いて天井屋根支持体175に接続することができる。
【0083】
いくつかの例では、さらなる封止を提供するために、ならびに衣類などの汚染材料を除去および保持することができる場所を提供するために、出入口に隣接して前室を設けることもできる。前室バージョンでは、フレームは、第1および第2の前室フレーム部材と、前室出入口を画定する開口部の上方で前室カーテンレールが第1および第2の前室フレーム部材の間に延在するように、立設構成において、第1および第2の前室フレーム部材の上端に近接して据え付けられた前室カーテンレールとを含むことができる。したがって、この配置では、キャノピーは、対象を内包するように構成された第1の内部容積と、前室を画定するように構成された第2の内部容積とを画定し、前室へのアクセスおよびそこから内部容積へのアクセスが提供されるカーテン付き出入口を有する。さらに、前室は、キャノピーの入口に隣接して配置することができる別個のキャノピーを有する別個の構造に設けられてもよく、本体、フレーム、またはそれらの任意の組合せの間の接続を介して任意選択的に取り付けられてもよい。
【0084】
隔離室フレームの出入口はベッドの足に隣接してもよいが、出入口はベッドの長辺に隣接する隔離室フレームの側面に配置されてもよいことも想定される。この例では、前室は、出入口に隣接してベッドの長辺と同じ側に設けられ得る。前室へのカーテン出入口はまた、前室フレームの長辺にあってもよく、あるいは短辺にあってもよい。
【0085】
次に、図4A図4Cを参照して、特定の例示的な配置を説明する。この例では、類似の特徴は、300だけ増加した類似の参照番号によって示され、したがって、これらは詳細に説明されない。
【0086】
この例では、フレーム400は、第1の前室フレーム部材415と、第2の前室フレーム部材(これらの側面図には図示せず)とを含む。第1の前部フレーム部材411と第1の前室フレーム部材415とを相互接続する第1のアーム425と、第2の前部フレーム部材と第2の前室フレーム部材とを相互接続する同様の第2のアーム(これらの側面図には図示せず)とを含む伸長可能アームが設けられる。第1のアーム421は、第1の前室フレーム部材415と第1の後部フレーム部材413とを相互接続するように設けられ、同様の第2のアーム(これらの側面図には図示せず)は第2の前室フレーム部材と第2の後部フレーム部材とを相互接続する。車輪441、443、445は、第1の前部、後部および前室フレーム部材411、413、415に設けられており、同等の配置が第2の前部、後部および前室フレーム部材にある。低摩擦グライドまたは他の同様の機構を車輪の代替として使用することができ、一方、前室フレーム部材はシザーアームによって支持することができる。
【0087】
この例では、図4Bに示すように、後部フレーム部材と前室フレーム部材とを接続する第1および第2のアームを伸長させて、単一の内部容積を提供することができる。そうではなく、図4Cに示すように、前室フレーム部材と前部フレーム部材とを相互接続する第1および第2のアームを伸長させて、追加の前室を提供することもできる。
【0088】
前室出入口を画定する開口部の上方で前室カーテンレールが第1および第2の前室フレーム部材の間に延在するように、立設構成において、第1および第2の前室フレーム部材の上端に近接して据え付けられた前室カーテンレール(図示せず)が設けられる。これは、第1および第2の前部フレーム部材の間に延在する上述のカーテンレール124と略同様であり、この例では同等のレールも設けられることが理解されよう。したがって、キャノピーは、接続されたときに、対象を内包するための後部フレーム部材と前室フレーム部材との間の第1の内部容積と、前室を画定する前室フレーム部材と前部フレーム部材との間の第2の内部容積とを画定する。
【0089】
したがって、この事例では、追加の前室フレーム部材が、前部フレーム部材と後部フレーム部材との間に設けられているが、前室フレーム部材は、代替的に、前部フレーム部材の前方に設けられてもよいことが理解されよう。
【0090】
図4A図4Cの例では、前室フレーム部材は、後部フレーム部材と略同様の形態である。しかしながら、これは必須ではなく、他の配置を使用することもできる。
【0091】
例えば、図5A図5Cの配置では、前の例と同様の特徴は100だけ増加した参照番号によって示され、前室フレーム部材515はより深く、前部フレーム部材511の後部の対応する傾斜外形と整列する傾斜特徴を含む。
【0092】
図6A図6Cの例では、同様の特徴がさらに100だけ増加した参照番号によって再び示され、後部および前室フレーム部材613、615は、前部フレーム部材611の高さと同様の高さを有する。
【0093】
この配置は、キャノピー据付け部に追加の支持を提供することができ、追加的および/または代替的に、キャノピーレールを支持するために使用することができることが理解されよう。これに関して、立設構成において、キャノピーレールは、フレーム部材間で延在してキャノピーに係合し、例えばキャノピー屋根を支持し、および/またはキャノピー壁縁部を床に対して付勢し、それによってキャノピーを少なくとも部分的に封止するように構成される。
【0094】
例えば、キャノピーレールは、フレーム構成に応じて、後部フレーム部材の上端間、第1の前部フレーム部材および第1の後部フレーム部材の上端間、第2の前部フレーム部材および第2の後部フレーム部材の上端間、第1の前部フレーム部材および第1の前室フレーム部材の上端間、第2の前部フレーム部材および第2の前室フレーム部材の上端間、第1の前室フレーム部材および第1の後部フレーム部材の上端間、または第2の前室フレーム部材および第2の後部フレーム部材の上端間に延在するキャノピーレールを使用して、キャノピーを上昇位置で支持することができる。
【0095】
この例では、後部および前室フレーム部材613、615の上端に近接して枢動可能に取り付けられたキャノピーレール677、675が設けられており、これらが後部および前室フレーム部材613、615の上端間、ならびに前室および前部フレーム部材615、611の上端間に延在するように、これらを展開することを可能にする。これによって、区間容積および前室の側壁および屋根をそれぞれ支持する。これらは、カーテンレールに関して上述したのと同様の様式で、例えば摺動据付け部を使用して展開することができ、フレームが展開されるときにキャノピーレールを所定の位置に持ち上げることを可能にすることが理解されよう。あるいは、キャノピーレールは取外し可能であってもよく、例えば、フレームが折畳み構成にあるときにフレーム部材に取り付けられてもよく、フレームが立設されたときにレールは取り外され、動作位置に再取り付けされることが理解されよう。同様のキャノピーレールを、キャノピーの後壁を支持するために、後部フレーム部材間に延在するように設けることもできる。
【0096】
同様に、キャノピーレールは、フレーム構成に応じて、後部フレーム部材の下端間、第1の前部フレーム部材および第1の後部フレーム部材の下端間、第2の前部フレーム部材および第2の後部フレーム部材の下端間、第1の前部フレーム部材および第1の前室フレーム部材の下端間、第2の前部フレーム部材および第2の前室フレーム部材の下端間、第1の前室フレーム部材および第1の後部フレーム部材の下端間、または第2の前室フレーム部材および第2の後部フレーム部材の下端間に延在するキャノピーレールを使用して、キャノピーを床に対して付勢することができる。
【0097】
したがって、例えば、この事例では、後部および前室フレーム部材613、615の下端に近接して枢動可能に取り付けられたキャノピーレール673、671が設けられており、これらが後部および前室フレーム部材613、615の下端間、ならびに前室および前部フレーム部材615、611の下端間に延在するように、これらを展開することを可能にする。この際、内部容積および前室の側壁を床に対して付勢することにより、内部値および/または前室を部分的に封止するのを支援することができ、負圧を維持するのを助けることができる。ここでも、これらは、カーテンレールに関して上述したのと同様の様式で、例えば摺動据付け部を使用して展開することができ、フレームが展開されるときにキャノピーレールを所定の位置に下降させることを可能にすることが理解されよう。
【0098】
また、明らかなように、上部キャノピーレールおよび下部キャノピーレールが設けられている場合、これらは、フレームに十分な支持を提供してシザーアームの必要性をなくすことができる。したがって、この例では、キャノピーレールは、展開可能なアームとして作用し、したがって展開可能なアームに取って代わる。また、全体を通してシザーアームの例は限定を意図するものではなく、他の展開可能なアームを使用することができることも理解されよう。
【0099】
さらなる実施形態では、第2の空気濾過システムが、前室に配置され、フィルタを介して前室の内部容積に空気を流入/流出させるように構成されてもよい。例えば、フィルタは、前室のキャノピーの一部として設けることができ、ファンはフレーム、例えば、前室フレーム部材411、511、611に据え付けられる。
【0100】
次に、図9A図9Fを参照して、例示的な配置を説明する。この例では、類似の特徴は、800だけ増加した類似の参照番号によって示され、したがって、これらは詳細に説明されない。この例では、前室995は、別個の構造として、フレーム900の入口に隣接して配置することができる別個のキャノピーを有するフレーム900に設けられている。
【0101】
前室995は、第1および第2の前部フレーム部材961ならびに第1および第2の後部フレーム部材965を含み、展開可能なアーム996は、第1の前部フレーム部材961および第1の後部フレーム部材965、後部フレーム部材、ならびに第2の前部フレーム部材および第2の後部フレーム部材をそれぞれ相互接続する。この例では、展開可能なアーム996は、各端部でそれぞれのフレーム部材961、965に取り付けられたシザーアームの形態である。
【0102】
前室995は、各フレーム部材961、965に移動可能に据え付けられたキャノピー据付け部981、985を含み、前室キャノピー据付け部は、下降位置と上昇位置との間で移動可能である。下降位置では、これにより、キャノピーを前室据付け部に容易に取り付けることが可能になり、引上げ位置では、前室キャノピーは、内部容積内のほとんどの個人に上部空間を提供するのに十分な高さで懸吊される。
【0103】
任意選択的に、前室995は、図9Eおよび図9Fに示すように、適切な接続部を介してフレーム900に取り付けられるか、または結合されてもよい。
【0104】
次に、図7を参照して、さらなる例示的な配置を説明する。
【0105】
この例では、フレームは、前の例のフレーム部材と比較して高さが低減された前部フレーム部材711、712を含む。この事例では、カーテンレール724は、略U字形であり、前部フレーム部材711、712によって支持されており、その結果、カーテンレールは、出入口にまたがる前に、前部フレーム部材711、712から上向きに延在し、カーテンを動作高さで支持することを可能にする。カーテンレールは、ヒンジ式に据え付けることができるが、より典型的には取外し可能であり、フレームが他の方法で立設されたときに、カーテンレールを前部フレーム部材711、712に配置することを可能にする。これは、カーテンレールを持ち上げる持上げ機構を含む必要性を回避し、軽量配置の利益を得ることを可能にする一方、カーテン出入口を設けることを可能にする。
【0106】
次に、図8を参照して、さらなる例示的な配置を説明する。
【0107】
この例では、フレームは、図1図6のフレーム部材と比較してわずかに高さが低減された前部フレーム部材811、812を含む。この事例では、カーテンレール824は、略L字形であり、前部フレーム部材811、812によって支持されており、その結果、カーテンレールは、出入口にまたがる前に、前部フレーム部材811から上向きに延在し、カーテンを動作高さで支持することを可能にする。カーテンレールは、第1のフレーム部材811にヒンジ式に据え付けられ、摺動据付け部824.2を使用して第2のフレーム部材812に摺動可能に据え付けられ得る。この事例では、第2のフレーム部材812は、カーテンレールを全高で支持することを可能にするように、わずかに延在することができる。
【0108】
上記の説明は、感染症を有する患者を隔離することに焦点を当てているが、例えば免疫不全患者を周囲の患者から隔離するなど、他のシナリオでもシステムを使用することができることが理解されよう。一例では、患者を潜在的な感染性材料に晒すことを防止するために患者を隔離するとき、患者は隔離装置内に置かれ得る。さらなる例では、これを周囲環境に対して正に加圧することができ、それによって、例えば作業または手順を行う目的で、外部汚染物質を排除する衛生的な環境を囲まれた空間内に提供することができるが、加圧は必須ではなく、加圧が使用されるかどうかにかかわらず、少なくともいくらかの隔離が提供されることが理解されよう。
【0109】
上記の例は、患者の形態の対象を隔離する際の隔離装置の使用に焦点を当てているが、任意の形態の隔離が必要とされる場合にはいつでも、上記の配置を使用することができることが理解されよう。例えば、隔離装置を使用して、塗装される物体または物品の周りに立設または配置することができる携帯型スプレー塗装ブースを設けることができ、装置は、台車構成にもたらされたとき、スプレー塗装機器を支持するように作用する。この事例では、装置は、物体または物品の形態の対象を隔離する際に依然として使用され、スプレー塗料が周囲環境に衝突するのを防止する。したがって、装置は広範囲の状況で使用することができ、任意の物体または物品を隔離するために使用することができ、好ましい例としての患者への特定の言及は限定を意図するものではないことが理解されよう。
【0110】
上記の説明を通して、いくつかの特徴が単一の例で説明されている。しかしながら、異なる特徴は独立して使用することができ、それらを併せて使用することは有益であるが、必ずしも必須ではないことが理解されよう。
【0111】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprise)」という語および「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数もしくは整数の群またはステップを含むが、任意の他の整数または整数の群を排除しないことを意味すると理解される。
【0112】
対象という用語は、隔離されるべきであり、患者ならびに他の個人を含み得る任意の実体に適用されると理解される。対象はまた、霊長類、家畜、競走馬などの興行動物などを含むがこれらに限定されない、動物などの非ヒト対象であり得る。これに加えて、例えば機器または他の品目が汚染物質に晒された場合に、これらのために隔離装置を使用することもできる。したがって、患者が隔離装置から除去された場合でも、例えばそこに内包された任意の機器が洗浄および/または廃棄され得るまで、隔離装置は依然としてそれらの任意の機器を隔離し続ける。したがって、上記の技術が生物学的実体と共に使用するのに特に有利であることは理解されようが、対象という用語は、任意の品目を包含すべきであり、生物学的実体に限定されるべきではない。
【0113】
当業者は、多数の変形および修正が明らかになることを理解するであろう。当業者に明らかになるすべてのそのような変形および修正は、本発明が先んじて広く訴えた趣旨および範囲内にあると見なされるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
【国際調査報告】