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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】アンテナ装置および端末デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/371 20150101AFI20241018BHJP
   H01Q 9/04 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01Q5/371
H01Q9/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526710
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2022126348
(87)【国際公開番号】W WO2023078090
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111304069.X
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】柳 青
(72)【発明者】
【氏名】施 奇
(72)【発明者】
【氏名】郭 群
(57)【要約】
本出願は、アンテナ装置および端末デバイスを提供する。アンテナ装置は、アンテナパッチと、給電線と、コンデンサと、接地線とを含む。給電線の一端は、アンテナパッチに接続される。給電線の他端は、コンデンサに直列に接続される。接地線の一端は、アンテナパッチに接続される。接地線の他端は、接地平面に接続するように構成される。アンテナパッチおよび接地平面は離隔したままである。アンテナパッチ、給電線、および接地線は、アンテナ装置の低周波数帯域幅を増加させるために、3つの共振に対応する動作モードを励起するように協働する。本出願では、アンテナパッチ、給電線、コンデンサ、および接地線は、アンテナ装置および接地平面が共に3つの共振回路を形成するように協働し得る。言い換えると、3つの共振に対応する動作モードが励起される。結果として、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーすることができる比較的大きな低周波数帯域幅を達成する。加えて、良好な放射性能を保証しながら、アンテナ装置がより単純かつコンパクトであり、小型設計の要件を満たすように、アンテナ装置が簡素化され、アンテナ装置のサイズが縮小される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナパッチと、給電線と、コンデンサと、接地線とを備えるアンテナ装置であって、前記給電線の一端は、前記アンテナパッチに給電するために前記アンテナパッチに接続され、前記給電線の他端は、前記コンデンサに直列に接続され、前記コンデンサは、接地平面の給電点に接続され、前記接地線の一端は、前記アンテナパッチに接続され、前記接地線の他端は、前記接地平面に接続するように構成され、前記アンテナパッチおよび前記接地平面は離隔したままであり、前記アンテナパッチ、前記給電線、および前記接地線は、前記アンテナ装置の低周波数帯域幅を増加させるために、3つの共振に対応する動作モードを励起するように協働する、アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナパッチは、第1の水平放射金属パッチ、第1の垂直放射金属パッチ、および第2の垂直放射金属パッチを備え、前記第1の垂直放射金属パッチおよび前記第2の垂直放射金属パッチは、前記第1の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、前記第1の垂直放射金属パッチおよび前記第2の垂直放射金属パッチは、前記接地平面に向かって延在し、
前記接地平面の反対に向いている前記給電線の前記一端および前記接地線の前記一端は、前記第1の水平放射金属パッチに各々接続され、前記給電線は、前記接地線と前記第1の垂直放射金属パッチとの間に配置される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記接地線は、前記第1の水平放射金属パッチの中心位置に接続され、前記第1の垂直放射金属パッチおよび前記第2の垂直放射金属パッチは、前記接地線の位置に対して対称に分布する、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記3つの共振に対応する動作モードは、第1の共通モード、差動モード、および第2の共通モードであり、前記第2の共通モードでは、局所電流は、前記給電線、前記第1の水平放射金属パッチの、前記給電線と前記第1の垂直放射金属パッチとの間に位置する部分、および前記第1の垂直放射金属パッチを通って順次誘導され、前記給電線の長さ、前記第1の水平放射金属パッチの、前記給電線と前記第1の垂直放射金属パッチとの間に位置する前記部分の長さ、および前記第1の垂直放射金属パッチの長さの和は、前記第2の共通モードの共振波長の1/4である、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
誘電体ブロックをさらに備え、前記誘電体ブロックは前記接地平面に接続され、前記アンテナパッチ、前記給電線、および前記接地線は、前記誘電体ブロックに各々取り付けられる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナパッチは、第2の水平放射金属パッチ、第3の垂直放射金属パッチ、および第4の垂直放射金属パッチを備え、前記第3の垂直放射金属パッチおよび前記第4の垂直放射金属パッチは、前記第2の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、前記第2の水平放射金属パッチ、前記第3の垂直放射金属パッチ、および前記第4の垂直放射金属パッチは、前記誘電体ブロックの上面に各々取り付けられ、前記給電線および前記接地線は、前記誘電体ブロックの、前記上面に隣接する側面に各々取り付けられ、前記接地平面の反対に向いている前記給電線の前記一端および前記接地線の前記一端は、前記第2の水平放射金属パッチに各々接続される、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第3の垂直放射金属パッチの長さは、前記第4の垂直放射金属パッチの長さよりも短い、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記接地線は、前記第3の垂直放射金属パッチに向かう方向で前記第2の水平放射金属パッチの中心位置からの第1の距離にある位置に接続される、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1の距離は3mmである、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記給電線および前記接地線は、予め設定された第2の距離だけ離隔している、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲である、請求項10に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記低周波数帯域幅は、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーする、請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のアンテナ装置を備える端末デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月5日に出願された「アンテナ装置および端末デバイス」と題される中国特許出願第202111304069.X号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、通信技術の分野に関し、特に、アンテナ装置および端末デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の発展に伴い、様々な無線端末製品がますます普及している。無線通信デバイスによってもたらされるあらゆる種類の利便性を享受しながら、人々は、端末の携帯性に対してより高い要求を持ち、これに従ってアンテナは、より多くの周波数帯域を組み込むことが求められる。アンテナ設計のボトルネックは、低周波数帯域の長波長および小さい端末サイズによる低周波数帯域幅拡大にある。
【0004】
従来技術では、低周波数帯域幅を拡大するために、一般にアンテナサイズが増加される。しかしながら、過度に大きいアンテナサイズは、端末製品の寸法の設計の助けにならない。加えて、従来の技術では、低周波数帯域幅をカバーするようにアンテナの動作状態を切り替えるために、アンテナスイッチも使用される。しかしながら、アンテナスイッチを追加すると、追加コストがかかり、アンテナスイッチに関する他の技術的問題を招く。
【発明の概要】
【0005】
本出願の目的は、アンテナサイズが大きすぎて低周波数帯域幅を拡大できない、または低周波数帯域幅を拡大するためにアンテナスイッチを追加することによってコストがかかるという従来技術の問題を解決するために、アンテナ装置および端末デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の第1の態様によれば、アンテナパッチ、給電線、コンデンサ、および接地線を含むアンテナ装置が提供される。給電線の一端は、アンテナパッチに給電するためにアンテナパッチに接続される。給電線の他端は、コンデンサに直列に接続される。コンデンサは、接地平面の給電点に接続される。接地線の一端は、アンテナパッチに接続される。接地線の他端は、接地平面に接続するように構成される。アンテナパッチおよび接地平面は離隔したままである。アンテナパッチ、給電線、および接地線は、アンテナ装置の低周波数帯域幅を増加させるために、3つの共振に対応する動作モードを励起するように協働する。
【0007】
本出願で提供されるアンテナ装置によれば、アンテナパッチ、給電線、コンデンサ、および接地線は、アンテナ装置および接地平面が共に3つの共振回路を形成するように協働し得る。言い換えると、3つの共振に対応する動作モードが励起される。結果として、アンテナ装置は、アンテナスイッチのような追加の構成要素なしに、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーすることができる比較的大きな低周波数帯域幅を達成する。加えて、良好な放射性能を保証しながら、アンテナ装置がより単純かつコンパクトであり、小型設計の要件を満たすように、アンテナ装置が簡素化され、アンテナ装置のサイズが縮小される。
【0008】
可能な実装形態では、アンテナパッチは、第1の水平放射金属パッチ、第1の垂直放射金属パッチ、および第2の垂直放射金属パッチを含む。第1の垂直放射金属パッチおよび第2の垂直放射金属パッチは、第1の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、第1の垂直放射パッチおよび第2の垂直放射金属パッチは、接地平面に向かって延在する。接地平面の反対に向いている給電線の一端および接地線の一端は、第1の水平放射金属パッチに各々接続され、給電線は、接地線と第1の垂直放射金属パッチとの間に配置される。このようにして、アンテナは良好な放射性能を有することができ、低周波数帯域幅拡大が容易になる。
【0009】
可能な実装形態では、接地線は、第1の水平放射金属パッチの中心位置に接続され、第1の垂直放射金属パッチおよび第2の垂直放射金属パッチは、接地線の位置に対して対称に分布する。これは、アンテナ装置が電磁波を均一に放射するのに役立つ。
【0010】
可能な実装形態では、3つの共振に対応する動作モードは、第1の共通モード、差動モード、および第2の共通モードである。第2の共通モードでは、局所電流は、給電線、第1の水平放射金属パッチの、給電線と第1の垂直放射金属パッチとの間に位置する部分、および第1の垂直放射金属パッチを通って順次誘導される。給電線の長さ、第1の水平放射金属パッチの、給電線と第1の垂直放射金属パッチとの間に位置する部分の長さ、および第1の垂直放射金属パッチの長さの和は、第2の共通モードの共振波長の1/4である。したがって、給電線、アンテナパッチ、および接地平面によって形成される共振回路は、放射性能が向上するように、第2の共通モードに対応する周波数帯域内で動作できることが保証され得る。
【0011】
可能な実装形態では、アンテナ装置は、誘電体ブロックをさらに含む。誘電体ブロックは接地平面に接続され、アンテナパッチ、給電線、および接地線は、誘電体ブロックに各々取り付けられる。アンテナ装置は、アンテナ装置がon-boardアンテナを形成するように、誘電体ブロックに取り付けられる。アンテナのためのクリアランス領域はなく、したがって接地平面上のより少ない空間が使用される。これは、より多くの構成要素を配置するのに役立つ。
【0012】
可能な実装形態では、アンテナパッチは、第2の水平放射金属パッチ、第3の垂直放射金属パッチ、および第4の垂直放射金属パッチを含み、第3の垂直放射金属パッチおよび第4の垂直放射金属パッチは、第2の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、第2の水平放射金属パッチ、第3の垂直放射金属パッチ、および第4の垂直放射金属パッチは、誘電体ブロックの上面に各々取り付けられる。給電線および接地線は、誘電体ブロックの、上面に隣接する側面に各々取り付けられ、接地平面の反対に向いている給電線の一端および接地線の一端は、第2の水平放射金属パッチに各々接続される。したがって、前述の構造を有するアンテナ装置のために接地平面上にクリアランス領域を確保する必要はなく、接地平面上のより少ない空間が使用される。加えて、アンテナ装置は、アンテナがより大きい放射量域を有するように、誘電体ブロックに取り付けられ、アンテナ装置の安定性が保証され得る。
【0013】
可能な実装形態では、第3の垂直放射金属パッチの長さは、第4の垂直放射金属パッチの長さよりも短い。これは、アンテナ装置の低周波数帯域幅を拡大するために、3つの異なる共振を励起するのに役立つ。
【0014】
可能な実装形態では、接地線は、第3の垂直放射金属パッチに向かう方向で第2の水平放射金属パッチの中心位置からの第1の距離にある位置に接続される。これは、アンテナ装置の低周波数帯域幅を拡大するために、3つの異なる共振を励起するのに役立つ。
【0015】
可能な実装形態では、第1の距離は3mmである。
【0016】
可能な実装形態では、給電線および接地線は、予め設定された第2の距離だけ離隔している。離隔により、アンテナ装置によって励起される3つの共振は、698MHzから1500MHzをカバーすることができる。
【0017】
可能な実装形態では、第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲である。
【0018】
可能な実装形態では、低周波数帯域幅は、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーする。
【0019】
本出願の第2の態様によれば、本出願の第1の態様によるアンテナ装置を含む端末デバイスがさらに提供される。
【0020】
上記の概要および以下の詳細な説明は例にすぎず、本出願を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本出願の一実施形態による、アンテナ装置が接地平面に接続されている状態の概略図である。
図2図1においてアンテナ装置が位置する位置の拡大図である。
図3】本出願の一実施形態による、アンテナ装置のシミュレーションされたS11曲線の図である。
図4】本出願の一実施形態による、アンテナ装置の効率曲線の図である。
図5】本出願の一実施形態による、第1の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図6】本出願の一実施形態による、差動モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図7】本出願の一実施形態による、第2の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図8】本出願の他の実施形態による、アンテナ装置が接地平面に接続されている状態の概略図である。
図9】本出願の他の実施形態による、接地平面に接続されたアンテナ装置の側面図である。
図10】本出願の他の実施形態による、接地平面に接続されたアンテナ装置の上面図である。
図11】本出願の他の実施形態による、アンテナ装置のシミュレーションされたS11曲線の図である。
図12】本出願の他の実施形態による、アンテナ装置の効率曲線の図である。
図13】本出願の他の実施形態による、第1の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図14】本出願の他の実施形態による、差動モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図15】本出願の他の実施形態による、第2の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書における添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本出願に適合する実施形態を示し、本出願の原理を説明するために本明細書と共に使用される。
【0023】
本出願の目的、技術的解決策、および利点を明確にするために、添付の図面および実施形態を参照しながら、本出願を以下でさらに詳細に説明する。本明細書に記載されている特定の実施形態は、本出願を説明するためにのみ使用され、本出願を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0024】
本出願の説明では、別途明確に指定および限定されない限り、「第1の」および「第2の」という用語は、説明のために使用されているにすぎず、相対的な重要性の指示または暗示として理解されるべきではない。別途指定または明記されない限り、「複数の」という用語は2つ以上を意味する。「接続」、「締結」などの用語は、広い意味で理解されるべきである。例えば、「接続」という用語は、固定的に接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体的に接続されてもよく、または電気的に接続されてもよく、あるいは直接接続されてもよく、または中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者は、具体的な事例に基づいて本出願における用語の具体的な意味を理解し得る。
【0025】
本出願の説明では、本出願の実施形態に記載されている「上」または「下」などの方向用語は、添付の図面に示されている観点から説明されており、本出願の実施形態に対する限定として解釈されるべきではないことに留意されたい。加えて、文脈において、ある要素が別の要素の「上」または「下」に連結されると言及されているとき、その要素は別の要素の「上」または「下」に直接接続されてもよく、あるいは中間要素を介して別の要素の「上」または「下」に間接的に連結されてもよいことをさらに理解されたい。
【0026】
アンテナは、無線信号を送信および受信するための一般的な装置であり、通常は、携帯電話、タブレットコンピュータ、リーダ、およびサウンドボックスなどの様々な端末デバイスに組み込まれる。人々が端末デバイスの携帯性に対してより高い要求を持つにつれて、アンテナは、より多くの周波数帯域を組み込む必要がある。しかしながら、低周波数帯域の長波長により、低周波数帯域幅を拡大するために、アンテナの全体的なサイズを増大させる必要があるが、これは、比較的小さいサイズを有する端末デバイスにとって実現可能ではない。その結果、低周波数帯域幅拡大に対して比較的大きな制限がある。加えて、従来技術では、低周波数帯域幅をカバーするために、アンテナの動作状態を切り替えるためのアンテナスイッチが使用される技術もある。しかしながら、アンテナスイッチの適用には、多大なコストがかかる。
【0027】
したがって、本出願の実施形態は、アンテナ装置を提供する。図1は、本出願の一実施形態による、アンテナ装置が接地平面に接続されている状態の概略図である。図2は、図1においてアンテナ装置が位置する位置の拡大図である。図1および図2に示されるように、アンテナ装置は、アンテナパッチ1と、給電線2と、コンデンサ5と、接地線3とを含む。給電線2の一端は、アンテナパッチ1に給電するためにアンテナパッチ1に接続される。給電線2の他端は、コンデンサ5に直列に接続される。コンデンサ5は、接地平面4の給電点7に接続される。接地線3の一端は、アンテナパッチ1に接続される。接地線3の他端は、接地平面4に接続するように構成される。アンテナパッチ1および接地平面4は離隔したままである。アンテナパッチ1、給電線2、および接地線3は、アンテナ装置の低周波数帯域幅を増加させるために、3つの共振に対応する動作モードを励起するように協働する。
【0028】
アンテナ装置によれば、アンテナパッチ1、給電線2、コンデンサ5、および接地線3は、アンテナ装置および接地平面4が共に3つの共振回路を形成するように協働し得る。言い換えると、3つの共振に対応する動作モードが励起される。このようにして、アンテナ装置の低周波数帯域幅は、アンテナ装置がB12、B17、B5、B8、およびB11などの周波数帯域で動作でき、全ての周波数帯域にわたって良好な放射性能を有することができるように、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーするように拡大される。アンテナ装置は、セルラ通信アンテナとして、車両端末デバイスまたは他のタイプの端末デバイスで使用することができる。セルラ通信アンテナは一般に、低周波数で698MHzから960MHzをサポートする必要がある。したがって、アンテナは、アンテナスイッチのような追加の構成要素なしに、比較的大きな低周波数帯域幅を達成することができる。加えて、良好な放射性能を保証しながら、アンテナ装置がより単純かつコンパクトであり、小型設計の要件を満たすように、アンテナ装置が簡素化され、アンテナ装置のサイズが縮小される。
【0029】
図1および図2に示されるように、この実施形態の容量値は、1.5pFである。コンデンサ5により、アンテナは、帯域幅拡大を実施するために、3つの共振回路を形成することができる。結果として、必要とされる特定の周波数帯域においてアンテナのためのより良いポートマッチングが実施され、共振周波数を変更するためにアンテナの複雑な形状を設計する必要はない。これは、アンテナの形状を簡素化するのに役立つ。
【0030】
具体的には、接地平面4はPCB接地平面4であってもよく、PCB接地平面4は、PCB接地平面4の縁部付近にクリアランス領域を有する。クリアランス領域は、非導電性材料で覆われた領域であり、クリアランス領域は、アンテナ装置を収容するのに十分な大きさであればよい。PCB接地平面4の形状は、長方形、正方形、多角形などであってもよく、クリアランス領域の形状は、長方形、正方形、多角形などであってもよい。これは、この実施形態では特に限定されない。アンテナ装置は、クリアランス領域内に配置され、off-boardアンテナを形成する。
【0031】
特定の実施形態では、図1および図2に示されるように、アンテナパッチ1は、第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13を含む。第1の垂直放射金属パッチ12および第2の垂直放射金属パッチ13は、第1の水平放射金属パッチ11の両端にそれぞれ垂直に接続され、第1の垂直放射パッチおよび第2の垂直放射金属パッチ13は、接地平面4に向かって延在する。接地平面4の反対に向いている給電線2の一端および接地線3の一端は、第1の水平放射金属パッチに11各々接続され、給電線2は、接地線3と第1の垂直放射金属パッチ12との間に配置される。
【0032】
具体的には、第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13は各々、例えば鋼板または銅板など、良好な導電性を有する金属で作られたシート構造である。第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13は、電磁波信号を放射し得る。第1の水平放射金属パッチ11は、接地平面4と平行な方向に延在する。第1の垂直放射金属パッチ12および第2の垂直放射金属パッチ13は、第1の水平放射金属パッチ11に各々直交し、接地平面4に向かって延在し、特定の距離だけ接地平面4から離隔したままである。したがって、第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13は、囲いを介して、片側に開口部を有するT字型ボックス構造を形成する。このようにして、アンテナは良好な放射性能を有することができ、低周波数帯域幅拡大が容易になる。
【0033】
第1の垂直放射金属パッチ12および第2の垂直放射金属パッチ13は、第1の水平放射金属パッチ11にはんだ付けされてもよい。当然ながら、第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13は、代替的に一体構造であってもよい。
【0034】
特定の実装形態では、接地線3は、第1の水平放射金属パッチ11の中心位置に接続され、第1の垂直放射金属パッチ12および第2の垂直放射金属パッチ13は、接地線3の位置に対して対称に分布する。接地線3は、第1の水平放射金属パッチ11の長さの途中の位置で第1の水平放射金属パッチ11に接続される。これは、アンテナ装置が電磁波を均一に放射するのに役立つ。
【0035】
この実施形態では、第1の水平放射金属パッチ11の長さは83mmであり、第1の水平放射金属パッチ11と接地平面4との間の距離は18mmであり、接地線3の幅は3mmであり、給電線2の幅は3mmである。給電線2および接地線3は、予め設定された第2の距離だけ離隔している。具体的には、第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲であってもよい。この実施形態では、給電線2および接地線3は、8mm離隔している。離隔により、アンテナ装置によって励起される3つの共振は、698MHzから1500MHzをカバーすることができる。
【0036】
当然ながら、アンテナパッチ1、給電線2、および接地線3の寸法は、適応的に調整されてもよい。このようにして、アンテナ装置の共振周波数は、アンテナ装置が異なる適用シナリオで使用され得るように調整され得る。
【0037】
図3は、本出願の一実施形態による、アンテナ装置のシミュレーションされたS11曲線の図である。S11は、入力反射損失を表す。図3に示されるように、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの低周波数帯域幅をカバーできる3つの共振を励起する。698MHzの周波数で、反射損失は-8.3233dBである。1500MHzの周波数で、反射損失は-5.498dBである。したがって、698MHzから1500MHzの低周波数帯域幅では、アンテナ装置の反射損失は比較的低く、アンテナ装置は良好な放射性能を有する。図4は、本出願の一実施形態による、アンテナ装置の効率曲線の図である。図4に示されるように、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの周波数帯域において良好な放射性能を有する。
【0038】
この実施形態では、3つの共振に対応する動作モードは、第1の共通モード、差動モード、および第2の共通モードである。図5は、本出願の一実施形態による、第1の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図6は、本出願の一実施形態による、差動モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図7は、本出願の一実施形態による、第2の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図5から図7に示されるように、アンテナパッチ1、給電線2、接地線3、および接地平面4は、3つの異なる共振回路を形成する。3つの共振回路は、異なる低周波数帯域をカバーする。結果として、アンテナ装置は、比較的大きな低周波数帯域幅を達成する。
【0039】
図7に示されるように、第2の共通モードの局所電流は、給電線2、第1の水平放射金属パッチ11の、給電線2と第1の垂直放射金属パッチ12との間に位置する部分、および第1の垂直放射金属パッチを通って順次誘導されることに留意されたい。給電線2の長さ、第1の水平放射金属パッチ11の、給電線2と第1の垂直放射金属パッチ12との間に位置する部分の長さ、および第1の垂直放射金属パッチの長さの和は、第2の共通モードにおける共振波長の1/4である。したがって、給電線2、アンテナパッチ1、および接地平面4によって形成される共振回路は、放射性能が向上するように、第2の共通モードに対応する周波数帯域内で動作できることが保証され得る。
【0040】
他の特定の実装形態では、図8は、本出願の他の実施形態による、アンテナ装置が接地平面に接続されている状態の概略図である。図9は、本出願の他の実施形態による、接地平面に接続されたアンテナ装置の側面図である。図10は、本出願の他の実施形態による、接地平面に接続されたアンテナ装置の上面図である。図8から図10に示されるように、アンテナ装置は、アンテナパッチ1と、給電線2と、接地線3と、誘電体ブロック6とを含む。誘電体ブロック6は接地平面4に接続され、アンテナパッチ1、給電線2、および接地線3は、誘電体ブロック6に各々取り付けられる。誘電体ブロック6および接地平面4は、例えばセラミック、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、FR-4複合材料、またはF4B複合材料など、同じ材料で作られてもよい。
【0041】
アンテナ装置は、アンテナ装置がon-boardアンテナを形成するように、誘電体ブロック6に取り付けられる。アンテナのためのクリアランス領域はなく、したがって接地平面4上のより少ない空間が使用される。これは、より多くの構成要素を配置するのに役立つ。アンテナ装置は、他の構成要素による妨害を回避するために、接地平面4の角に近い位置に配置されてもよい。このようにして、アンテナ装置は、より良好な放射性能を有する。
【0042】
図8および図9に示されるように、この実施形態の容量値は、1.3pFである。コンデンサ5により、アンテナは、帯域幅拡大を実施するために、3つの共振回路を形成することができる。結果として、必要とされる特定の周波数帯域においてアンテナのためのより良いポートマッチングが実施され、共振周波数を変更するためにアンテナの複雑な形状を設計する必要はない。これは、アンテナの形状を簡素化するのに役立つ。
【0043】
具体的には、図8から図10に示されるように、アンテナパッチ1は、第2の水平放射金属パッチ14、第3の垂直放射金属パッチ15、および第4の垂直放射金属パッチ16を含み、第3の垂直放射金属パッチ15および第4の垂直放射金属パッチ16は、第2の水平放射金属パッチ14の両端にそれぞれ垂直に接続され、第2の水平放射金属パッチ14、第3の垂直放射金属パッチ15、および第4の垂直放射金属パッチ16は、誘電体ブロック6の上面61に各々取り付けられる。給電線2および接地線3は、誘電体ブロック6の、上面61に隣接する側面62に各々取り付けられ、接地平面4の反対に向いている給電線2の一端および接地線3の一端は、第2の水平放射金属パッチ14に各々接続される。
【0044】
誘電体ブロック6は、直方体または立方体のような規則的な直方体であってもよく、または当然ながら不規則な直方体であってもよい。この実施形態では、誘電体ブロック6は、好ましくは直方体である。誘電体ブロック6の上面61は、接地平面4の反対に向いている表面であり、接地平面4と平行である。誘電体ブロック6の底面は、接地平面4に接続されている。誘電体ブロック6は、4つの側面62を有する。第2の水平放射金属パッチ14、第3の垂直放射金属パッチ15、および第4の垂直放射金属パッチ16は、誘電体ブロック6の上面61に各々取り付けられる。給電線2および接地線は、好ましくは、誘電体ブロック6の、接地平面4の外側に面する側面62に取り付けられる。これは、電磁波を放射するのに役立つ。
【0045】
この実施形態で提供されるアンテナ装置のために接地平面4上にクリアランス領域を確保する必要はなく、接地平面4上のより少ない空間が使用される。加えて、アンテナ装置は、アンテナがより大きい放射量域を有するように、誘電体ブロック6に取り付けられ、アンテナ装置の安定性が保証され得る。
【0046】
具体的には、図10に示されるように、第3の垂直放射金属パッチ15の長さは、第4の垂直放射金属パッチ16の長さより短い。これは、アンテナ装置の低周波数帯域幅を拡大するために、3つの異なる共振を励起するのに役立つ。
【0047】
具体的には、接地線3は、第3の垂直放射金属パッチ15に向かう方向で第2の水平放射金属パッチ14の中心位置からの第1の距離にある位置に接続される。第3の垂直放射金属パッチ15の長さは第4の垂直放射金属パッチ16の長さよりも短いので、アンテナ装置は対称構造ではない。接地線3の位置は、長さが短い方の第3の垂直放射金属パッチ15により近い。これは、アンテナ装置の低周波数帯域幅を拡大するために、3つの異なる共振を励起するのに役立つ。
【0048】
第1の距離は、3mmであってもよい。この実施形態では、第2の水平放射金属パッチ14の長さは93mmであり、第2の水平放射金属パッチ14と接地平面4との間の距離は18.03mmであり、接地線3の幅は6mmであり、給電線2の幅は3mmである。給電線2および接地線3は、予め設定された第2の距離だけ離隔している。具体的には、第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲であってもよい。この実施形態では、給電線2および接地線3は、6.5mm離隔している。離隔により、アンテナ装置によって励起される3つの共振は、698MHzから1500MHzをカバーすることができる。
【0049】
当然ながら、アンテナパッチ1、給電線2、および接地線3の寸法は、適応的に調整されてもよい。このようにして、アンテナ装置の共振周波数は、アンテナ装置が異なる適用シナリオで使用され得るように、アンテナの帯域幅を制御するように調整され得る。
【0050】
図11は、本出願の他の実施形態による、アンテナ装置のシミュレーションされたS11曲線の図である。S11は、入力反射損失を表す。図11に示されるように、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの低周波数帯域幅をカバーできる3つの共振を励起する。698MHzの周波数で、反射損失は-4.4188dBである。1500MHzの周波数で、反射損失は-3.7739dBである。したがって、698MHzから1500MHzの低周波数帯域幅では、アンテナ装置の反射損失は比較的低く、アンテナ装置は良好な放射性能を有する。図12は、本出願の他の実施形態による、アンテナ装置の効率曲線の図である。図12に示されるように、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの周波数帯域において良好な放射性能を有する。
【0051】
この実施形態では、3つの共振動作モードは、第1の共通モード、差動モード、および第2の共通モードである。図13は、本出願の他の実施形態による、第1の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図14は、本出願の他の実施形態による、差動モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図15は、本出願の他の実施形態による、第2の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図13から図15は、全体的な電流分布が表示されるように、展開状態のアンテナ装置の概略図である。図13から図15に示されるように、アンテナパッチ1、給電線2、接地線3、および接地平面4は、3つの異なる共振回路を形成する。3つの共振回路は、異なる低周波数帯域をカバーする。結果として、アンテナ装置は、比較的大きな低周波数帯域幅を達成する。
【0052】
本出願の実施形態は、本出願の任意の実施形態で提供されるアンテナ装置を含む端末デバイスをさらに提供する。端末デバイスは、無線接続機能を有するハンドヘルドデバイスまたは車載デバイスなどであってもよい。一般的な端末は、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、パームトップコンピュータ、モバイルインターネット装置(mobile internet device、MID)、およびスマートウォッチ、スマートバンド、スマートカード、または歩数計のようなウェアラブルデバイスを含む。
【0053】
本出願の実施形態で提供される端末デバイスによれば、アンテナ装置の放射性能が向上するように、低周波数帯域幅を大幅に拡大するために、アンテナ装置によって励起される3つの共振モードが使用される。
【0054】
上記は、本出願の好ましい実施形態を説明するにすぎず、本出願を限定するように意図されていない。当業者にとって、本出願では様々な修正および変更がなされ得る。本出願の趣旨および原理から逸脱せずに行われるいかなる修正、同等の置換、または改善も、本出願の保護範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0055】
1 アンテナパッチ
11 第1の水平放射金属パッチ
12 第1の垂直放射金属パッチ
13 第2の垂直放射金属パッチ
14 第2の水平放射金属パッチ
15 第3の垂直放射金属パッチ
16 第4の垂直放射金属パッチ
2 給電線
3 接地線
4 接地平面
5 コンデンサ
6 誘電体ブロック
61 上面
62 側面
7 給電点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナパッチと、給電線と、コンデンサと、接地線とを備えるアンテナ装置であって、前記給電線の一端は、前記アンテナパッチに給電するために前記アンテナパッチに接続され、前記給電線の他端は、前記コンデンサに直列に接続され、前記コンデンサは、給電点に接続され、前記接地線の一端は、前記アンテナパッチに接続され、前記接地線の他端は、接地平面に接続するように構成され、前記アンテナパッチおよび前記接地平面は離隔したままであり、前記アンテナパッチ、前記給電線、前記コンデンサ、および前記接地線は、3つの共振に対応する動作モードを励起するように協働し、前記3つの共振は、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーするように構成される、アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナパッチは、第1の水平放射金属パッチ、第1の垂直放射金属パッチ、および第2の垂直放射金属パッチを備え、前記第1の垂直放射金属パッチおよび前記第2の垂直放射金属パッチは、前記第1の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、前記第1の垂直放射金属パッチおよび前記第2の垂直放射金属パッチは、前記接地平面に向かって延在し、
前記接地平面の反対に向いている前記給電線の前記一端および前記接地線の前記一端は、前記第1の水平放射金属パッチに各々接続され、前記給電線は、前記接地線と前記第1の垂直放射金属パッチとの間に配置される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記接地線は、前記第1の水平放射金属パッチの中心位置に接続され、前記第1の垂直放射金属パッチおよび前記第2の垂直放射金属パッチは、前記接地線の位置に対して対称に分布する、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記3つの共振に対応する動作モードは、第1の共通モード、差動モード、および第2の共通モードであり、前記第2の共通モードでは、局所電流は、前記給電線、前記第1の水平放射金属パッチの、前記給電線と前記第1の垂直放射金属パッチとの間に位置する部分、および前記第1の垂直放射金属パッチを通って順次誘導され、前記給電線の長さ、前記第1の水平放射金属パッチの、前記給電線と前記第1の垂直放射金属パッチとの間に位置する前記部分の長さ、および前記第1の垂直放射金属パッチの長さの和は、前記第2の共通モードの共振波長の1/4である、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
誘電体ブロックをさらに備え、前記誘電体ブロックは前記接地平面に接続され、前記アンテナパッチ、前記給電線、および前記接地線は、前記誘電体ブロックに各々取り付けられる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナパッチは、第2の水平放射金属パッチ、第3の垂直放射金属パッチ、および第4の垂直放射金属パッチを備え、前記第3の垂直放射金属パッチおよび前記第4の垂直放射金属パッチは、前記第2の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、前記第2の水平放射金属パッチ、前記第3の垂直放射金属パッチ、および前記第4の垂直放射金属パッチは、前記誘電体ブロックの上面に各々取り付けられ、前記給電線および前記接地線は、前記誘電体ブロックの、前記上面に隣接する側面に各々取り付けられ、前記接地平面の反対に向いている前記給電線の前記一端および前記接地線の前記一端は、前記第2の水平放射金属パッチに各々接続される、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第3の垂直放射金属パッチの長さは、前記第4の垂直放射金属パッチの長さよりも短い、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記接地線は、前記第3の垂直放射金属パッチに向かう方向で前記第2の水平放射金属パッチの中心位置からの第1の距離にある位置に接続される、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1の距離は3mmである、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記給電線および前記接地線は、予め設定された第2の距離だけ離隔している、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲である、請求項10に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
アンテナ装置を備える端末デバイスであって、
前記アンテナ装置は、アンテナパッチと、給電線と、コンデンサと、接地線とを備え、前記給電線の一端は、前記アンテナパッチに給電するために前記アンテナパッチに接続され、前記給電線の他端は、前記コンデンサに直列に接続され、前記コンデンサは、給電点に接続され、前記接地線の一端は、前記アンテナパッチに接続され、前記接地線の他端は、接地平面に接続するように構成され、前記アンテナパッチおよび前記接地平面は離隔したままであり、前記アンテナパッチ、前記給電線、前記コンデンサ、および前記接地線は、3つの共振に対応する動作モードを励起するように協働し、前記3つの共振は、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーするように構成される、端末デバイス。
【請求項13】
前記アンテナ装置は誘電体ブロックをさらに備え、前記誘電体ブロックは前記接地平面に接続され、前記アンテナパッチ、前記給電線、および前記接地線は、前記誘電体ブロックに各々取り付けられる、請求項12に記載の端末デバイス。
【請求項14】
前記アンテナパッチは、第2の水平放射金属パッチ、第3の垂直放射金属パッチ、および第4の垂直放射金属パッチを備え、前記第3の垂直放射金属パッチおよび前記第4の垂直放射金属パッチは、前記第2の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、前記第2の水平放射金属パッチ、前記第3の垂直放射金属パッチ、および前記第4の垂直放射金属パッチは、前記誘電体ブロックの上面に各々取り付けられ、前記給電線および前記接地線は、前記誘電体ブロックの、前記上面に隣接する側面に各々取り付けられ、前記接地平面の反対に向いている前記給電線の前記一端および前記接地線の前記一端は、前記第2の水平放射金属パッチに各々接続される、請求項13に記載の端末デバイス。
【請求項15】
前記第3の垂直放射金属パッチの長さは、前記第4の垂直放射金属パッチの長さよりも短い、請求項14に記載の端末デバイス。
【請求項16】
前記接地線は、前記第3の垂直放射金属パッチに向かう方向で前記第2の水平放射金属パッチの中心位置からの第1の距離にある位置に接続される、請求項14に記載の端末デバイス。
【請求項17】
前記給電線および前記接地線は、予め設定された第2の距離だけ離隔している、請求項12から16のいずれか一項に記載の端末デバイス。
【請求項18】
前記第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲である、請求項17に記載の端末デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通信技術の分野に関し、特に、アンテナ装置および端末デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の発展に伴い、様々な無線端末製品がますます普及している。無線通信デバイスによってもたらされるあらゆる種類の利便性を享受しながら、人々は、端末の携帯性に対してより高い要求を持ち、これに従ってアンテナは、より多くの周波数帯域を組み込むことが求められる。アンテナ設計のボトルネックは、低周波数帯域の長波長および小さい端末サイズによる低周波数帯域幅拡大にある。
【0003】
従来技術では、低周波数帯域幅を拡大するために、一般にアンテナサイズが増加される。しかしながら、過度に大きいアンテナサイズは、端末製品の寸法の設計の助けにならない。加えて、従来の技術では、低周波数帯域幅をカバーするようにアンテナの動作状態を切り替えるために、アンテナスイッチも使用される。しかしながら、アンテナスイッチを追加すると、追加コストがかかり、アンテナスイッチに関する他の技術的問題を招く。
【発明の概要】
【0004】
本出願の目的は、アンテナサイズが大きすぎて低周波数帯域幅を拡大できない、または低周波数帯域幅を拡大するためにアンテナスイッチを追加することによってコストがかかるという従来技術の問題を解決するために、アンテナ装置および端末デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の態様によれば、アンテナパッチ、給電線、コンデンサ、および接地線を含むアンテナ装置が提供される。給電線の一端は、アンテナパッチに給電するためにアンテナパッチに接続される。給電線の他端は、コンデンサに直列に接続される。コンデンサは、接地平面の給電点に接続される。接地線の一端は、アンテナパッチに接続される。接地線の他端は、接地平面に接続するように構成される。アンテナパッチおよび接地平面は離隔したままである。アンテナパッチ、給電線、および接地線は、アンテナ装置の低周波数帯域幅を増加させるために、3つの共振に対応する動作モードを励起するように協働する。
【0006】
本出願で提供されるアンテナ装置によれば、アンテナパッチ、給電線、コンデンサ、および接地線は、アンテナ装置および接地平面が共に3つの共振回路を形成するように協働し得る。言い換えると、3つの共振に対応する動作モードが励起される。結果として、アンテナ装置は、アンテナスイッチのような追加の構成要素なしに、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーすることができる比較的大きな低周波数帯域幅を達成する。加えて、良好な放射性能を保証しながら、アンテナ装置がより単純かつコンパクトであり、小型設計の要件を満たすように、アンテナ装置が簡素化され、アンテナ装置のサイズが縮小される。
【0007】
可能な実装形態では、アンテナパッチは、第1の水平放射金属パッチ、第1の垂直放射金属パッチ、および第2の垂直放射金属パッチを含む。第1の垂直放射金属パッチおよび第2の垂直放射金属パッチは、第1の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、第1の垂直放射パッチおよび第2の垂直放射金属パッチは、接地平面に向かって延在する。接地平面の反対に向いている給電線の一端および接地線の一端は、第1の水平放射金属パッチに各々接続され、給電線は、接地線と第1の垂直放射金属パッチとの間に配置される。このようにして、アンテナは良好な放射性能を有することができ、低周波数帯域幅拡大が容易になる。
【0008】
可能な実装形態では、接地線は、第1の水平放射金属パッチの中心位置に接続され、第1の垂直放射金属パッチおよび第2の垂直放射金属パッチは、接地線の位置に対して対称に分布する。これは、アンテナ装置が電磁波を均一に放射するのに役立つ。
【0009】
可能な実装形態では、3つの共振に対応する動作モードは、第1の共通モード、差動モード、および第2の共通モードである。第2の共通モードでは、局所電流は、給電線、第1の水平放射金属パッチの、給電線と第1の垂直放射金属パッチとの間に位置する部分、および第1の垂直放射金属パッチを通って順次誘導される。給電線の長さ、第1の水平放射金属パッチの、給電線と第1の垂直放射金属パッチとの間に位置する部分の長さ、および第1の垂直放射金属パッチの長さの和は、第2の共通モードの共振波長の1/4である。したがって、給電線、アンテナパッチ、および接地平面によって形成される共振回路は、放射性能が向上するように、第2の共通モードに対応する周波数帯域内で動作できることが保証され得る。
【0010】
可能な実装形態では、アンテナ装置は、誘電体ブロックをさらに含む。誘電体ブロックは接地平面に接続され、アンテナパッチ、給電線、および接地線は、誘電体ブロックに各々取り付けられる。アンテナ装置は、アンテナ装置がon-boardアンテナを形成するように、誘電体ブロックに取り付けられる。アンテナのためのクリアランス領域はなく、したがって接地平面上のより少ない空間が使用される。これは、より多くの構成要素を配置するのに役立つ。
【0011】
可能な実装形態では、アンテナパッチは、第2の水平放射金属パッチ、第3の垂直放射金属パッチ、および第4の垂直放射金属パッチを含み、第3の垂直放射金属パッチおよび第4の垂直放射金属パッチは、第2の水平放射金属パッチの両端にそれぞれ垂直に接続され、第2の水平放射金属パッチ、第3の垂直放射金属パッチ、および第4の垂直放射金属パッチは、誘電体ブロックの上面に各々取り付けられる。給電線および接地線は、誘電体ブロックの、上面に隣接する側面に各々取り付けられ、接地平面の反対に向いている給電線の一端および接地線の一端は、第2の水平放射金属パッチに各々接続される。したがって、前述の構造を有するアンテナ装置のために接地平面上にクリアランス領域を確保する必要はなく、接地平面上のより少ない空間が使用される。加えて、アンテナ装置は、アンテナがより大きい放射量域を有するように、誘電体ブロックに取り付けられ、アンテナ装置の安定性が保証され得る。
【0012】
可能な実装形態では、第3の垂直放射金属パッチの長さは、第4の垂直放射金属パッチの長さよりも短い。これは、アンテナ装置の低周波数帯域幅を拡大するために、3つの異なる共振を励起するのに役立つ。
【0013】
可能な実装形態では、接地線は、第3の垂直放射金属パッチに向かう方向で第2の水平放射金属パッチの中心位置からの第1の距離にある位置に接続される。これは、アンテナ装置の低周波数帯域幅を拡大するために、3つの異なる共振を励起するのに役立つ。
【0014】
可能な実装形態では、第1の距離は3mmである。
【0015】
可能な実装形態では、給電線および接地線は、予め設定された第2の距離だけ離隔している。離隔により、アンテナ装置によって励起される3つの共振は、698MHzから1500MHzをカバーすることができる。
【0016】
可能な実装形態では、第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲である。
【0017】
可能な実装形態では、低周波数帯域幅は、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーする。
【0018】
本出願の第2の態様によれば、本出願の第1の態様によるアンテナ装置を含む端末デバイスがさらに提供される。
【0019】
上記の概要および以下の詳細な説明は例にすぎず、本出願を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本出願の一実施形態による、アンテナ装置が接地平面に接続されている状態の概略図である。
図2図1においてアンテナ装置が位置する位置の拡大図である。
図3】本出願の一実施形態による、アンテナ装置のシミュレーションされたS11曲線の図である。
図4】本出願の一実施形態による、アンテナ装置の効率曲線の図である。
図5】本出願の一実施形態による、第1の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図6】本出願の一実施形態による、差動モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図7】本出願の一実施形態による、第2の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図8】本出願の他の実施形態による、アンテナ装置が接地平面に接続されている状態の概略図である。
図9】本出願の他の実施形態による、接地平面に接続されたアンテナ装置の側面図である。
図10】本出願の他の実施形態による、接地平面に接続されたアンテナ装置の上面図である。
図11】本出願の他の実施形態による、アンテナ装置のシミュレーションされたS11曲線の図である。
図12】本出願の他の実施形態による、アンテナ装置の効率曲線の図である。
図13】本出願の他の実施形態による、第1の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図14】本出願の他の実施形態による、差動モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
図15】本出願の他の実施形態による、第2の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書における添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本出願に適合する実施形態を示し、本出願の原理を説明するために本明細書と共に使用される。
【0022】
本出願の目的、技術的解決策、および利点を明確にするために、添付の図面および実施形態を参照しながら、本出願を以下でさらに詳細に説明する。本明細書に記載されている特定の実施形態は、本出願を説明するためにのみ使用され、本出願を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0023】
本出願の説明では、別途明確に指定および限定されない限り、「第1の」および「第2の」という用語は、説明のために使用されているにすぎず、相対的な重要性の指示または暗示として理解されるべきではない。別途指定または明記されない限り、「複数の」という用語は2つ以上を意味する。「接続」、「締結」などの用語は、広い意味で理解されるべきである。例えば、「接続」という用語は、固定的に接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体的に接続されてもよく、または電気的に接続されてもよく、あるいは直接接続されてもよく、または中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者は、具体的な事例に基づいて本出願における用語の具体的な意味を理解し得る。
【0024】
本出願の説明では、本出願の実施形態に記載されている「上」または「下」などの方向用語は、添付の図面に示されている観点から説明されており、本出願の実施形態に対する限定として解釈されるべきではないことに留意されたい。加えて、文脈において、ある要素が別の要素の「上」または「下」に連結されると言及されているとき、その要素は別の要素の「上」または「下」に直接接続されてもよく、あるいは中間要素を介して別の要素の「上」または「下」に間接的に連結されてもよいことをさらに理解されたい。
【0025】
アンテナは、無線信号を送信および受信するための一般的な装置であり、通常は、携帯電話、タブレットコンピュータ、リーダ、およびサウンドボックスなどの様々な端末デバイスに組み込まれる。人々が端末デバイスの携帯性に対してより高い要求を持つにつれて、アンテナは、より多くの周波数帯域を組み込む必要がある。しかしながら、低周波数帯域の長波長により、低周波数帯域幅を拡大するために、アンテナの全体的なサイズを増大させる必要があるが、これは、比較的小さいサイズを有する端末デバイスにとって実現可能ではない。その結果、低周波数帯域幅拡大に対して比較的大きな制限がある。加えて、従来技術では、低周波数帯域幅をカバーするために、アンテナの動作状態を切り替えるためのアンテナスイッチが使用される技術もある。しかしながら、アンテナスイッチの適用には、多大なコストがかかる。
【0026】
したがって、本出願の実施形態は、アンテナ装置を提供する。図1は、本出願の一実施形態による、アンテナ装置が接地平面に接続されている状態の概略図である。図2は、図1においてアンテナ装置が位置する位置の拡大図である。図1および図2に示されるように、アンテナ装置は、アンテナパッチ1と、給電線2と、コンデンサ5と、接地線3とを含む。給電線2の一端は、アンテナパッチ1に給電するためにアンテナパッチ1に接続される。給電線2の他端は、コンデンサ5に直列に接続される。コンデンサ5は、接地平面4の給電点7に接続される。接地線3の一端は、アンテナパッチ1に接続される。接地線3の他端は、接地平面4に接続するように構成される。アンテナパッチ1および接地平面4は離隔したままである。アンテナパッチ1、給電線2、および接地線3は、アンテナ装置の低周波数帯域幅を増加させるために、3つの共振に対応する動作モードを励起するように協働する。
【0027】
アンテナ装置によれば、アンテナパッチ1、給電線2、コンデンサ5、および接地線3は、アンテナ装置および接地平面4が共に3つの共振回路を形成するように協働し得る。言い換えると、3つの共振に対応する動作モードが励起される。このようにして、アンテナ装置の低周波数帯域幅は、アンテナ装置がB12、B17、B5、B8、およびB11などの周波数帯域で動作でき、全ての周波数帯域にわたって良好な放射性能を有することができるように、698MHzから1500MHzの周波数帯域をカバーするように拡大される。アンテナ装置は、セルラ通信アンテナとして、車両端末デバイスまたは他のタイプの端末デバイスで使用することができる。セルラ通信アンテナは一般に、低周波数で698MHzから960MHzをサポートする必要がある。したがって、アンテナは、アンテナスイッチのような追加の構成要素なしに、比較的大きな低周波数帯域幅を達成することができる。加えて、良好な放射性能を保証しながら、アンテナ装置がより単純かつコンパクトであり、小型設計の要件を満たすように、アンテナ装置が簡素化され、アンテナ装置のサイズが縮小される。
【0028】
図1および図2に示されるように、この実施形態の容量値は、1.5pFである。コンデンサ5により、アンテナは、帯域幅拡大を実施するために、3つの共振回路を形成することができる。結果として、必要とされる特定の周波数帯域においてアンテナのためのより良いポートマッチングが実施され、共振周波数を変更するためにアンテナの複雑な形状を設計する必要はない。これは、アンテナの形状を簡素化するのに役立つ。
【0029】
具体的には、接地平面4はPCB接地平面4であってもよく、PCB接地平面4は、PCB接地平面4の縁部付近にクリアランス領域を有する。クリアランス領域は、非導電性材料で覆われた領域であり、クリアランス領域は、アンテナ装置を収容するのに十分な大きさであればよい。PCB接地平面4の形状は、長方形、正方形、多角形などであってもよく、クリアランス領域の形状は、長方形、正方形、多角形などであってもよい。これは、この実施形態では特に限定されない。アンテナ装置は、クリアランス領域内に配置され、off-boardアンテナを形成する。
【0030】
特定の実施形態では、図1および図2に示されるように、アンテナパッチ1は、第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13を含む。第1の垂直放射金属パッチ12および第2の垂直放射金属パッチ13は、第1の水平放射金属パッチ11の両端にそれぞれ垂直に接続され、第1の垂直放射パッチおよび第2の垂直放射金属パッチ13は、接地平面4に向かって延在する。接地平面4の反対に向いている給電線2の一端および接地線3の一端は、第1の水平放射金属パッチに11各々接続され、給電線2は、接地線3と第1の垂直放射金属パッチ12との間に配置される。
【0031】
具体的には、第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13は各々、例えば鋼板または銅板など、良好な導電性を有する金属で作られたシート構造である。第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13は、電磁波信号を放射し得る。第1の水平放射金属パッチ11は、接地平面4と平行な方向に延在する。第1の垂直放射金属パッチ12および第2の垂直放射金属パッチ13は、第1の水平放射金属パッチ11に各々直交し、接地平面4に向かって延在し、特定の距離だけ接地平面4から離隔したままである。したがって、第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13は、囲いを介して、片側に開口部を有するT字型ボックス構造を形成する。このようにして、アンテナは良好な放射性能を有することができ、低周波数帯域幅拡大が容易になる。
【0032】
第1の垂直放射金属パッチ12および第2の垂直放射金属パッチ13は、第1の水平放射金属パッチ11にはんだ付けされてもよい。当然ながら、第1の水平放射金属パッチ11、第1の垂直放射金属パッチ12、および第2の垂直放射金属パッチ13は、代替的に一体構造であってもよい。
【0033】
特定の実装形態では、接地線3は、第1の水平放射金属パッチ11の中心位置に接続され、第1の垂直放射金属パッチ12および第2の垂直放射金属パッチ13は、接地線3の位置に対して対称に分布する。接地線3は、第1の水平放射金属パッチ11の長さの途中の位置で第1の水平放射金属パッチ11に接続される。これは、アンテナ装置が電磁波を均一に放射するのに役立つ。
【0034】
この実施形態では、第1の水平放射金属パッチ11の長さは83mmであり、第1の水平放射金属パッチ11と接地平面4との間の距離は18mmであり、接地線3の幅は3mmであり、給電線2の幅は3mmである。給電線2および接地線3は、予め設定された第2の距離だけ離隔している。具体的には、第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲であってもよい。この実施形態では、給電線2および接地線3は、8mm離隔している。離隔により、アンテナ装置によって励起される3つの共振は、698MHzから1500MHzをカバーすることができる。
【0035】
当然ながら、アンテナパッチ1、給電線2、および接地線3の寸法は、適応的に調整されてもよい。このようにして、アンテナ装置の共振周波数は、アンテナ装置が異なる適用シナリオで使用され得るように調整され得る。
【0036】
図3は、本出願の一実施形態による、アンテナ装置のシミュレーションされたS11曲線の図である。S11は、入力反射損失を表す。図3に示されるように、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの低周波数帯域幅をカバーできる3つの共振を励起する。698MHzの周波数で、反射損失は-8.3233dBである。1500MHzの周波数で、反射損失は-5.498dBである。したがって、698MHzから1500MHzの低周波数帯域幅では、アンテナ装置の反射損失は比較的低く、アンテナ装置は良好な放射性能を有する。図4は、本出願の一実施形態による、アンテナ装置の効率曲線の図である。図4に示されるように、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの周波数帯域において良好な放射性能を有する。
【0037】
この実施形態では、3つの共振に対応する動作モードは、第1の共通モード、差動モード、および第2の共通モードである。図5は、本出願の一実施形態による、第1の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図6は、本出願の一実施形態による、差動モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図7は、本出願の一実施形態による、第2の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図5から図7に示されるように、アンテナパッチ1、給電線2、接地線3、および接地平面4は、3つの異なる共振回路を形成する。3つの共振回路は、異なる低周波数帯域をカバーする。結果として、アンテナ装置は、比較的大きな低周波数帯域幅を達成する。
【0038】
図7に示されるように、第2の共通モードの局所電流は、給電線2、第1の水平放射金属パッチ11の、給電線2と第1の垂直放射金属パッチ12との間に位置する部分、および第1の垂直放射金属パッチを通って順次誘導されることに留意されたい。給電線2の長さ、第1の水平放射金属パッチ11の、給電線2と第1の垂直放射金属パッチ12との間に位置する部分の長さ、および第1の垂直放射金属パッチの長さの和は、第2の共通モードにおける共振波長の1/4である。したがって、給電線2、アンテナパッチ1、および接地平面4によって形成される共振回路は、放射性能が向上するように、第2の共通モードに対応する周波数帯域内で動作できることが保証され得る。
【0039】
他の特定の実装形態では、図8は、本出願の他の実施形態による、アンテナ装置が接地平面に接続されている状態の概略図である。図9は、本出願の他の実施形態による、接地平面に接続されたアンテナ装置の側面図である。図10は、本出願の他の実施形態による、接地平面に接続されたアンテナ装置の上面図である。図8から図10に示されるように、アンテナ装置は、アンテナパッチ1と、給電線2と、接地線3と、誘電体ブロック6とを含む。誘電体ブロック6は接地平面4に接続され、アンテナパッチ1、給電線2、および接地線3は、誘電体ブロック6に各々取り付けられる。誘電体ブロック6および接地平面4は、例えばセラミック、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、FR-4複合材料、またはF4B複合材料など、同じ材料で作られてもよい。
【0040】
アンテナ装置は、アンテナ装置がon-boardアンテナを形成するように、誘電体ブロック6に取り付けられる。アンテナのためのクリアランス領域はなく、したがって接地平面4上のより少ない空間が使用される。これは、より多くの構成要素を配置するのに役立つ。アンテナ装置は、他の構成要素による妨害を回避するために、接地平面4の角に近い位置に配置されてもよい。このようにして、アンテナ装置は、より良好な放射性能を有する。
【0041】
図8および図9に示されるように、この実施形態の容量値は、1.3pFである。コンデンサ5により、アンテナは、帯域幅拡大を実施するために、3つの共振回路を形成することができる。結果として、必要とされる特定の周波数帯域においてアンテナのためのより良いポートマッチングが実施され、共振周波数を変更するためにアンテナの複雑な形状を設計する必要はない。これは、アンテナの形状を簡素化するのに役立つ。
【0042】
具体的には、図8から図10に示されるように、アンテナパッチ1は、第2の水平放射金属パッチ14、第3の垂直放射金属パッチ15、および第4の垂直放射金属パッチ16を含み、第3の垂直放射金属パッチ15および第4の垂直放射金属パッチ16は、第2の水平放射金属パッチ14の両端にそれぞれ垂直に接続され、第2の水平放射金属パッチ14、第3の垂直放射金属パッチ15、および第4の垂直放射金属パッチ16は、誘電体ブロック6の上面61に各々取り付けられる。給電線2および接地線3は、誘電体ブロック6の、上面61に隣接する側面62に各々取り付けられ、接地平面4の反対に向いている給電線2の一端および接地線3の一端は、第2の水平放射金属パッチ14に各々接続される。
【0043】
誘電体ブロック6は、直方体または立方体のような規則的な直方体であってもよく、または当然ながら不規則な直方体であってもよい。この実施形態では、誘電体ブロック6は、好ましくは直方体である。誘電体ブロック6の上面61は、接地平面4の反対に向いている表面であり、接地平面4と平行である。誘電体ブロック6の底面は、接地平面4に接続されている。誘電体ブロック6は、4つの側面62を有する。第2の水平放射金属パッチ14、第3の垂直放射金属パッチ15、および第4の垂直放射金属パッチ16は、誘電体ブロック6の上面61に各々取り付けられる。給電線2および接地線は、好ましくは、誘電体ブロック6の、接地平面4の外側に面する側面62に取り付けられる。これは、電磁波を放射するのに役立つ。
【0044】
この実施形態で提供されるアンテナ装置のために接地平面4上にクリアランス領域を確保する必要はなく、接地平面4上のより少ない空間が使用される。加えて、アンテナ装置は、アンテナがより大きい放射量域を有するように、誘電体ブロック6に取り付けられ、アンテナ装置の安定性が保証され得る。
【0045】
具体的には、図10に示されるように、第3の垂直放射金属パッチ15の長さは、第4の垂直放射金属パッチ16の長さより短い。これは、アンテナ装置の低周波数帯域幅を拡大するために、3つの異なる共振を励起するのに役立つ。
【0046】
具体的には、接地線3は、第3の垂直放射金属パッチ15に向かう方向で第2の水平放射金属パッチ14の中心位置からの第1の距離にある位置に接続される。第3の垂直放射金属パッチ15の長さは第4の垂直放射金属パッチ16の長さよりも短いので、アンテナ装置は対称構造ではない。接地線3の位置は、長さが短い方の第3の垂直放射金属パッチ15により近い。これは、アンテナ装置の低周波数帯域幅を拡大するために、3つの異なる共振を励起するのに役立つ。
【0047】
第1の距離は、3mmであってもよい。この実施形態では、第2の水平放射金属パッチ14の長さは93mmであり、第2の水平放射金属パッチ14と接地平面4との間の距離は18.03mmであり、接地線3の幅は6mmであり、給電線2の幅は3mmである。給電線2および接地線3は、予め設定された第2の距離だけ離隔している。具体的には、第2の距離は、6.5mmから8mmの範囲であってもよい。この実施形態では、給電線2および接地線3は、6.5mm離隔している。離隔により、アンテナ装置によって励起される3つの共振は、698MHzから1500MHzをカバーすることができる。
【0048】
当然ながら、アンテナパッチ1、給電線2、および接地線3の寸法は、適応的に調整されてもよい。このようにして、アンテナ装置の共振周波数は、アンテナ装置が異なる適用シナリオで使用され得るように、アンテナの帯域幅を制御するように調整され得る。
【0049】
図11は、本出願の他の実施形態による、アンテナ装置のシミュレーションされたS11曲線の図である。S11は、入力反射損失を表す。図11に示されるように、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの低周波数帯域幅をカバーできる3つの共振を励起する。698MHzの周波数で、反射損失は-4.4188dBである。1500MHzの周波数で、反射損失は-3.7739dBである。したがって、698MHzから1500MHzの低周波数帯域幅では、アンテナ装置の反射損失は比較的低く、アンテナ装置は良好な放射性能を有する。図12は、本出願の他の実施形態による、アンテナ装置の効率曲線の図である。図12に示されるように、アンテナ装置は、698MHzから1500MHzの周波数帯域において良好な放射性能を有する。
【0050】
この実施形態では、3つの共振動作モードは、第1の共通モード、差動モード、および第2の共通モードである。図13は、本出願の他の実施形態による、第1の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図14は、本出願の他の実施形態による、差動モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図15は、本出願の他の実施形態による、第2の共通モードのアンテナ装置の電流分布の概略図である。図13から図15は、全体的な電流分布が表示されるように、展開状態のアンテナ装置の概略図である。図13から図15に示されるように、アンテナパッチ1、給電線2、接地線3、および接地平面4は、3つの異なる共振回路を形成する。3つの共振回路は、異なる低周波数帯域をカバーする。結果として、アンテナ装置は、比較的大きな低周波数帯域幅を達成する。
【0051】
本出願の実施形態は、本出願の任意の実施形態で提供されるアンテナ装置を含む端末デバイスをさらに提供する。端末デバイスは、無線接続機能を有するハンドヘルドデバイスまたは車載デバイスなどであってもよい。一般的な端末は、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、パームトップコンピュータ、モバイルインターネット装置(mobile internet device、MID)、およびスマートウォッチ、スマートバンド、スマートカード、または歩数計のようなウェアラブルデバイスを含む。
【0052】
本出願の実施形態で提供される端末デバイスによれば、アンテナ装置の放射性能が向上するように、低周波数帯域幅を大幅に拡大するために、アンテナ装置によって励起される3つの共振モードが使用される。
【0053】
上記は、本出願の好ましい実施形態を説明するにすぎず、本出願を限定するように意図されていない。当業者にとって、本出願では様々な修正および変更がなされ得る。本出願の原理から逸脱せずに行われるいかなる修正、同等の置換、または改善も、本出願の保護範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0054】
1 アンテナパッチ
11 第1の水平放射金属パッチ
12 第1の垂直放射金属パッチ
13 第2の垂直放射金属パッチ
14 第2の水平放射金属パッチ
15 第3の垂直放射金属パッチ
16 第4の垂直放射金属パッチ
2 給電線
3 接地線
4 接地平面
5 コンデンサ
6 誘電体ブロック
61 上面
62 側面
7 給電点
【国際調査報告】