(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】冷蔵冷凍装置およびその熟成装置
(51)【国際特許分類】
F25D 17/04 20060101AFI20241018BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20241018BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F25D17/04 302
F25D17/06 304
F25D17/06 308
F25D25/00 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526764
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-06
(86)【国際出願番号】 CN2022129273
(87)【国際公開番号】W WO2023078300
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111315305.8
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522029969
【氏名又は名称】青島海爾電氷箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No. 1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101, China
(71)【出願人】
【識別番号】521161200
【氏名又は名称】海爾智家股分有限公司
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park, No.1 Haier Road, Laoshan District, Qingdao, Shandong 266101, China
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】チェン トン
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ ハオチュェン
(72)【発明者】
【氏名】ツゥイ ヂャンポン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チュンリー
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA30
3L345BB07
3L345CC01
3L345DD16
3L345DD21
3L345DD52
3L345DD70
3L345KK04
(57)【要約】
冷蔵冷凍装置およびその熟成装置に関する。この熟成装置は、内部に被熟成物を収容するための熟成室が画定された内側ハウジングと、内側ハウジングの外部に設けられた外側ハウジングであって、外側ハウジングの少なくとも一部の周方向側壁は内側ハウジングの少なくとも一部の周方向側壁から間隔を置いて設けられ、内側ハウジングの外側であって外側ハウジングの内側に位置する送風エアダクトを形成し、送風エアダクトは内側ハウジングの周方向側壁上に設けられた複数の送風口を介して熟成室と連通する外側ハウジングと、送風エアダクト内に気流を発生させて送風口を介して熟成室に流れるように制御される循環ファンと、を備える。複数の送風口は内側ハウジングの周方向側壁において上部が疎に、下部が密になるように分布している。これにより、送風エアダクト内のより多くの気流が熟成室の下部に流入して被熟成物の底部に吹き付けられ、微生物の増殖及び繁殖が抑制され、底部の湿度が比較的高いため被熟成物が腐敗しやすいという問題が回避され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵冷凍装置用の熟成装置であって、その中で被熟成物を熟成させるために使用され、
内部に被熟成物を収容するための熟成室が画定された内側ハウジングと、
前記内側ハウジングの外部に設けられた外側ハウジングであって、前記外側ハウジングの少なくとも一部の周方向側壁は前記内側ハウジングの少なくとも一部の周方向側壁から間隔を置いて設けられ、前記内側ハウジングの外側であって前記外側ハウジングの内側に位置する送風エアダクトを形成し、前記送風エアダクトは前記内側ハウジングの周方向側壁に設けられた複数の送風口を介して前記熟成室と連通する外側ハウジングと、
前記送風エアダクト内に気流を発生させて前記送風口を介して前記熟成室に流れるように制御される循環ファンと、を備え、
複数の前記送風口は、前記内側ハウジングの周方向側壁において上部が疎に、下部が密になるように分布している、熟成装置。
【請求項2】
複数の前記送風口は、垂直に延びた複数の垂直方向送風口および水平に延びた複数の水平方向送風口を含み、
前記水平方向送風口の垂直方向の高さは、最下方の前記垂直方向送風口の中央部以下であって、最下方の前記垂直方向送風口の底部以上に位置する、請求項1に記載の熟成装置。
【請求項3】
前記内側ハウジング内に被熟成物を載置するための載置網棚が、前記内側ハウジングの底板から間隔を置いて設けられ、
前記水平方向送風口の高さは前記載置網棚の高さと同じまたは前記載置網棚の高さよりもわずかに低い、請求項2に記載の熟成装置。
【請求項4】
前記外側ハウジングの後壁、および2つの横方向側壁が、それぞれ前記内側ハウジングの後壁および2つの横方向側壁から間隔を置いて設けられて、U字形の前記送風エアダクトが形成され、
前記循環ファンが前記送風エアダクト内に配置され、前記複数の送風口は前記内側ハウジングの2つの横方向側壁のそれぞれに設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の熟成装置。
【請求項5】
前記送風エアダクトは、前記内側ハウジング後方にある第1送風セグメント、および前記内側ハウジング横方向両側にそれぞれ形成された第2送風セグメントと第3送風セグメントを含み、
前記循環ファンは前記第1送風セグメントに配置され、前記内側ハウジングの後壁に還気口が設けられ、前記循環ファンの気流入口は前記還気口と連通し、前記循環ファンの2つの対向する気流出口はそれぞれ前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメントと連通する、請求項4に記載の熟成装置。
【請求項6】
前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメントは両方ともその内部における気流流動方向に沿って先細りになっている、請求項5に記載の熟成装置。
【請求項7】
前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメント内の上流側であって、一部の前記送風口の外側に隣接してエアガイドプレートが設けられている、請求項5または6に記載の熟成装置。
【請求項8】
前記還気口は円形空気口であり、前記還気口の円の中心は前記循環ファンの中心と重なり合い、前記還気口の直径は前記循環ファン直径の3/4~1倍であり、および/または
前記循環ファンの気流出口の高さは前記循環ファン直径の2/3~5/3である、請求項5または6に記載の熟成装置。
【請求項9】
前記循環ファンは、ブロワ出口ケーシングおよび前記ブロワ出口ケーシング内に配置された羽根車を含み、前記ブロワ出口ケーシングの頂部は中央部が上方に突出した円弧状構造である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熟成装置。
【請求項10】
内部に物品を収納するための貯蔵室が画定された庫体と、
その中で被熟成物を熟成させるために使用される請求項1~9のいずれか1項に記載の熟成装置であって、前記貯蔵室に配置された熟成装置と、を備える、冷蔵冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵冷凍技術に関し、特に冷蔵冷凍装置用の熟成装置および冷蔵冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熟成とは、酸抜き後の食肉を一定の温度、湿度、風速を有する熟成間室内に入れ、ゆっくりと自然発酵させることにより、最終的に深い風味を生み出し、食肉の柔らかさ、風味、ジューシーさ等を向上させる工程である。既存の熟成装置は一般的に独立しており、特別な温度制御装置や湿度制御装置の設計が必要で、構造も比較的複雑である。また、熟成間室に被熟成物を入れた後、その底部は通常棚板と接触し、底部の湿度が大きいため、底部の風速が不足すると、高湿度による微生物の増殖及び繁殖を引き起こしやすく、最終的に被熟成物が腐敗するという問題がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1側面の1つの目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を克服するために、冷蔵冷凍装置に用いられ被熟成物の腐敗を防止することができる熟成装置を提供することである。
【0004】
本発明の第1側面のさらなる目的は熟成室内の各所の送風均一性を向上させることである。
【0005】
本発明の第2側面の目的は、上記熟成装置の冷蔵冷凍装置を提供することである。
【0006】
本発明の第1側面によれば、本発明は、冷蔵冷凍装置用の熟成装置を提供し、その中で被熟成物を熟成させるために使用され、前記熟成装置は、
内部に被熟成物を収容するための熟成室が画定された内側ハウジングと、
前記内側ハウジングの外部に設けられた外側ハウジングであって、前記外側ハウジングの少なくとも一部の周方向側壁は前記内側ハウジングの少なくとも一部の周方向側壁から間隔を置いて設けられ、前記内側ハウジングの外側であって前記外側ハウジングの内側に位置する送風エアダクトを形成し、前記送風エアダクトは、前記内側ハウジングの周方向側壁に設けられた複数の送風口を介して前記熟成室と連通する外側ハウジングと、
前記送風エアダクト内に気流を発生させて前記送風口を介して前記熟成室に流れるように制御される循環ファンと、を備え、
複数の前記送風口は、前記内側ハウジングの周方向側壁において上部が疎に、下部が密になるように分布している。
【0007】
選択的に、複数の前記送風口は、垂直に延びた複数の垂直方向送風口および水平に延びた複数の水平方向送風口を含み、
前記水平方向送風口の垂直方向の高さは、最下方の前記垂直方向送風口の中央部以下であって、最下方の前記垂直方向送風口の底部以上に位置する。
【0008】
選択的に、前記内側ハウジング内に被熟成物を載置するための載置網棚が、前記内側ハウジングの底板から間隔を置いて設けられ、
前記水平方向送風口の高さは前記載置網棚の高さと同じまたは前記載置網棚の高さよりもわずかに低い。
【0009】
選択的に、前記外側ハウジングの後壁、および2つの横方向側壁が、それぞれ前記内側ハウジングの後壁および2つの横方向側壁から間隔を置いて設けられて、U字形の前記送風エアダクトが形成され、
前記循環ファンが前記送風エアダクト内に配置され、前記複数の送風口は前記内側ハウジングの2つの横方向側壁のそれぞれに設けられる。
【0010】
選択的に、前記送風エアダクトは、前記内側ハウジング後方にある第1送風セグメント、および前記内側ハウジング横方向両側にそれぞれ形成された第2送風セグメントと第3送風セグメントを含み、
前記循環ファンは前記第1送風セグメントに配置され、前記内側ハウジングの後壁に還気口が設けられ、前記循環ファンの気流入口は前記還気口と連通し、前記循環ファンの2つの対向する気流出口はそれぞれ前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメントと連通する。
【0011】
選択的に、前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメントは両方ともその内部における気流流動方向に沿って先細りになっている。
【0012】
選択的に、前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメント内の上流側であって、一部の前記送風口の外側に隣接してエアガイドプレートが設けられる。
【0013】
選択的に、前記還気口は円形空気口であり、前記還気口の円の中心は前記循環ファンの中心と重なり合い、前記還気口の直径は前記循環ファン直径の3/4~1倍であり、および/または
前記循環ファンの気流出口の高さは前記循環ファン直径の2/3~5/3である。
【0014】
選択的に、前記循環ファンは、ブロワ出口ケーシングおよび前記ブロワ出口ケーシング内に配置された羽根車を含み、前記ブロワ出口ケーシングの頂部は中央部が上方に突出した円弧状構造である。
【0015】
本発明の第2側面によれば、本発明は冷蔵冷凍装置をさらに提供し、
内部に物品を貯蔵するための貯蔵室が画定された庫体と、
上記任意の解決策に記載の熟成装置であって、その中で被熟成物を熟成させるために使用され、前記貯蔵室に設けられた熟成装置と、を備える。
【0016】
本発明の熟成装置は冷蔵冷凍装置に適用されることにより、冷蔵冷凍装置内の低温高湿環境を効果的に利用して熟成装置内の被熟成物の熟成を促進することができ、特別な温度制御装置および湿度制御装置を設ける必要がなく、熟成装置の構造を簡素化し、そのコストを削減することができる。さらに、本発明の熟成装置は、内側ハウジングおよび外側ハウジングの2層構造を有し、内側ハウジング内に熟成室が画定され、内側ハウジングと外側ハウジング間に送風エアダクトが画定され、循環ファンの駆動下で、送風エアダクト内の気流は内側ハウジング周方向側壁に設けられた送風口を介して熟成室に運ばれる。しかも、送風口は、内側ハウジングの周方向側壁において上部が疎に、下部が密になるように分布し、すなわち、上部の送風口は疎に、下部の送風口は密に分布し、送風エアダクト内のより多くの気流が熟成室の下部に流れ、被熟成物の底部に吹き付けられ、微生物の増殖及び繁殖が抑制され、底部の湿度が比較的高いため被熟成物が腐敗しやすいという問題が回避され得る。
【0017】
さらに、本発明の送風エアダクトは、内側ハウジングと外側ハウジングの2つの横方向側壁と後壁間に設けられ、送風口は内側ハウジングの2つの横方向側壁に設けられ、これにより、送風エアダクト内の気流はそれぞれ内側ハウジングの2つの横方向側壁に設けられた送風口を介して熟成室に運ばれる。すなわち、気流は熟成室の2つの横方向側部から同時に熟成室に流入し、熟成室横方向への送風均一性が向上し、被熟成物の熟成効果が向上する。
【0018】
さらに、送風エアダクトは、後部にある第1送風セグメントおよび両側にある第2送風セグメントと第3送風セグメントを含み、第2送風セグメントと第3送風セグメントは両方ともその内部における気流流動方向に沿って先細りになり、オーバーフロー面積の先細りを利用して第2送風セグメントと第3送風セグメント内の気速度度が気流流動方向において徐々に低下するという現象を回避し、熟成室の縦方向の各所の送風均一性を向上させ、被熟成物について縦方向の表面の各領域でも均一な気流吹付効果が得られる。
【0019】
このように、被熟成物は横方向および縦方向の両方において均一な気流吹付効果が得られ、被熟成物の熟成効果が向上する。
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本出願の具体的な実施例を詳細に説明することにより、当業者は本出願の上記および他の目的、利点および特徴をより良く理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本出願のいくつかの具体的な実施例を例示的かつ非限定的に説明する。添付図面中の同一の符号は同一または類似の部材または部分を示す。これらの添付図面は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを当業者は理解すべきである。
【0022】
【
図1】本発明の一実施例による熟成装置の構造概略分解図である。
【
図2】本発明の一実施例による熟成装置の一方向から見た概略断面図である。
【
図3】本発明の一実施例による熟成装置の異なる方向から見た概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施例による循環ファンの内部構造の構造概略図である。
【
図5】本発明の一実施例による冷蔵冷凍装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、まず、冷蔵冷凍装置用の熟成装置を提供し、その中で被熟成物を熟成させるために使用される。すなわち、本発明の熟成装置は冷蔵冷凍装置に適用されることにより、冷蔵冷凍装置内の低温高湿環境を効果的に利用して熟成装置内の被熟成物の熟成を促進し、特別な温度制御装置および湿度制御装置を設ける必要がなく、熟成装置の構造を簡素化し、そのコストを削減することができる。
【0024】
図1は、本発明の一実施例による熟成装置の構造概略分解図であり、
図2および
図3は本発明の一実施例による熟成装置の異なる方向から見た概略断面図である。
図1~
図3を参照すると、本発明の冷蔵冷凍装置用の熟成装置20は、外側ハウジング21、内側ハウジング22および循環ファン23を備える。
【0025】
内側ハウジング22の内部に、被熟成物を収容するための熟成室221が画定されている。外側ハウジング21は内側ハウジング22の外部に設けられ、外側ハウジング21の少なくとも一部の周方向側壁は内側ハウジング22の少なくとも一部の周方向側壁から間隔を置いて設けられ、内側ハウジング22の外側であって外側ハウジング21の内側には送風エアダクト24が形成されている。送風エアダクト24は、内側ハウジング22の周方向側壁に設けられた複数の送風口を介して熟成室221と連通する。循環ファン23は、送風エアダクト24内に気流を発生させて送風口を介して熟成室221に流れるように制御される。複数の送風口は内側ハウジング22の周方向側壁において上部が疎に、下部が密になるように分布している。
【0026】
すなわち、本発明の熟成装置20は内側ハウジング22および外側ハウジング21の2層構造を有し、内側ハウジング22内に熟成室221が画定され、内側ハウジング22と外側ハウジング21間に送風エアダクト24が画定されている。循環ファン23の駆動下で、送風エアダクト24内の気流は、内側ハウジング22周方向側壁に設けられた送風口を介して熟成室221に運ばれる。さらに、送風口は内側ハウジング22の周方向側壁において上部が疎に、下部が密になるように分布している。すなわち、上部の送風口は疎に、下部の送風口は密に分布し、送風エアダクト24内のより多くの気流が熟成室221の下部に流れ、被熟成物の底部に吹き付けられ、微生物の増殖及び繁殖が抑制され、底部の湿度が比較的高いため被熟成物が腐敗しやすいという問題が回避され得る。
【0027】
具体的に、複数の送風口は、内側ハウジング22の周方向側壁において上部空気口と下部空気口の2つの領域に分布し、上部空気口の総面積と下部空気口の総面積間の比は好ましくは1:2~1:3間であり、熟成室221の上部領域および下部領域を流れる気流量を合理的に分配することができ、一方では、被熟成物の底部水分の蒸発を促進するために熟成室221の下部の風速を大きく確保することができ、他方では、気流が被熟成物の他の領域にも吹き付けられ、良好な熟成効果を得ることができる。
【0028】
いくつかの実施例では、熟成装置20は、シリンダ20aと、外側ハウジング21、内側ハウジング22および循環ファン23などから形成された頂部が開放された引き出し20bをさらに含む。該引き出し20bはシリンダ20a内で押し引きすることができ、比較的閉鎖された熟成室221を形成する。同時に、熟成室221に対して被熟成物のアクセスを容易にすることができ、ユーザの操作利便性が向上する。
【0029】
なお、送風口は、内側ハウジング22の周方向側壁に具体的に様々な形態で分布し得ることが理解されたい。
【0030】
具体的に、いくつかの実施例では、複数の送風口は、垂直に延びた複数の垂直方向送風口222および水平に延びた複数の水平方向送風口223を含んでもよい。すなわち、垂直方向送風口222および水平方向送風口223はいずれも棒状空気口であり、棒状空気口は大きなオーバーフロー面積を有し、熟成室221内に流入する気流の気流抵抗が低減され、被熟成物への気流速度が確保される。さらに、互いに異なる方向に延びた垂直方向送風口222および水平方向送風口223の分布によって、熟成室221全体の互いに異なる方向への均一な送風または特定の送風を達成することができる。
【0031】
さらに、水平方向送風口223の垂直方向の高さは、最下方の垂直方向送風口222の中央部以下であって、最下方の垂直方向送風口222の底部以上に位置する。これにより、熟成室221の上部領域の送風は、垂直方向送風口222によって実現され、熟成室222の下部領域の送風は、垂直方向送風口222と水平方向送風口223の協働によって実現され、熟成室221の下部領域において上部領域よりも多くの送風量が確保され、被熟成物の底部を標的に空気を吹き付けることができる。
【0032】
具体的に、複数の垂直方向送風口222は1列に配置されてもよく、複数列に配置されてもよい。複数の水平方向送風口223は1列に配置される。
【0033】
いくつかの実施例では、内側ハウジング22内に被熟成物を載置するための載置網棚25が設けられ、載置網棚25は内側ハウジング22の底板から間隔を置いて設けられ、載置網棚25の下方に気流流動スペースを残し、載置網棚25に載置された被熟成物の下面に気流を吹き付けやすく、被熟成物の下面の迅速な風乾効果を得ることができる。
【0034】
具体的に、載置網棚25には複数のくりぬかれた綱孔が形成され、くりぬかれた載置網棚25により、被熟成物と載置網棚25との間の接触面積が小さくなり、被熟成物の表面の一部が気流に接触できずに腐敗することを回避することができる。
【0035】
さらに、水平方向送風口223の高さは、載置網棚25の高さに匹敵するか、または載置網棚25の高さよりもわずかに低い。これにより、水平方向送風口223を介して熟成室221に吹き付けられた気流は、載置網棚25に載置された被熟成物の底部に面して吹き付けられ、被熟成物の熟成速度を速めることができる。
【0036】
いくつかの実施例では、複数の垂直方向送風口222と複数の水平方向送風口223は交互に配置される。これにより、前後方向に熟成室221内の均一な送風が確保される。
【0037】
具体的に、各垂直方向送風口222の大きさは同じであり、各水平方向送風口223の大きさは同じである。複数の垂直方向送風口222の分布密度が均一であり、複数の水平方向送風口223の分布密度が均一である。これにより、熟成室221内の同一高さの領域内の均一な送風が確保される。
【0038】
いくつかの代替的な実施例では、複数の送風口は、内側ハウジング22の周方向側壁に他の形態で分布してもよい。例えば、複数の送風口は均一な大きさの円形空気口であり、上部の円形空気口の分布密度が小さく、下部の円形空気口の分布密度が大きい。
【0039】
いくつかの実施例では、外側ハウジング21の後壁21a、および2つの横方向側壁21bはそれぞれ内側ハウジング22の後壁22aおよび2つの横方向側壁22bから間隔を置いて設けられ、U字形の送風エアダクト24を形成している。循環ファン23は送風エアダクト24内に配置され、複数の送風口はそれぞれ内側ハウジング22の2つの横方向側壁22b上に設けられている。これにより、送風エアダクト24内の気流はそれぞれ内側ハウジング22の2つの横方向側壁22b上に設けられた送風口を介して熟成室221に運ばれる。すなわち、気流が熟成室221の2つの横方向側部から同時に熟成室221に流入し、熟成室221の横方向の送風均一性が向上し、被熟成物の熟成効果が向上する。
【0040】
いくつかの実施例では、送風エアダクト24は、内側ハウジング22後方にある第1送風セグメント241、およびそれぞれ内側ハウジング22の横方向両側に設けられた第2送風セグメント242と第3送風セグメント243を含む。循環ファン23は第1送風セグメント241に配置され、内側ハウジング22の後壁に還気口224が設けられ、循環ファン23の気流入口は還気口224と連通し、循環ファン23の2つの対向する気流出口233はそれぞれ第2送風セグメント242と第3送風セグメント243と連通する。これにより、熟成室221内に流入した気流は熟成室221内で比較的長い経路を経って還気口224から流れ出ることになり、被熟成物の表面に対する気流吹付時間が長く、被熟成物に対する気流風乾作用が十分に発揮される。
【0041】
循環ファン23が作動すると、熟成室221内の気流が還気口224から循環ファン23の気流入口に流入し、循環ファン23の2つの対向する気流出口からそれぞれ第2送風セグメント242と第3送風セグメント243に流入する。第2送風セグメント242と第3送風セグメント243内の気流はそれぞれ内側ハウジング22の2つの横方向側壁に設けられた送風口を介して同方向に熟成室221内に流入し、送風エアダクト24と熟成室221間の気流循環流動が実現される。
【0042】
しかも、循環ファン23が後方の第1送風セグメント241に配置されている。すなわち、熟成装置20が冷蔵冷凍装置1に配置されると、循環ファン23が冷蔵冷凍装置1内の背面側に位置するため、ユーザが循環ファン23の作動による騒音を感じにくい。
【0043】
具体的に、循環ファン23は一方向吸気、双方向吹出の遠心ファンである。したがって、還気口224の気流を同時に2つの反対方向にそれぞれ2つの送風路24に送風することができるだけでなく、循環ファン23の占有スペースを低減するため、熟成装置20の構造がよりコンパクトかつ小型化され、冷蔵冷凍装置1内の占有スペースが大きくなりすぎるのを回避することができる。
【0044】
いくつかの実施例では、第2送風セグメント242と第3送風セグメント243は両方ともその内部における気流流動方向に沿って先細りになっている。具体的に、第2送風セグメント242と第3送風セグメント243内の気流流動方向はいずれも後から前へであり、第2送風セグメント242と第3送風セグメント243の断面積が後から前へ徐々に小さくなり、流動面積の先細りにより第2送風セグメント242と第3送風セグメント243内の気流速度が気流流動方向に徐々に低下するという現象を回避し、熟成室221の縦方向の各所の送風均一性が確保され、被熟成物について縦方向の表面の各領域での均一な気流吹付効果が確保される。
【0045】
このように、被熟成物は横方向および縦方向の両方とも(すなわち前後方向)均一な気流吹付効果が得られ、被熟成物の熟成効果が向上する。
【0046】
出願人は、気流が第2送風セグメント242と第3送風セグメント243に最初に流入するときの速度が速いため、第2送風セグメント242と第3送風セグメント243の上流側と連通する送風口の吸気量が小さくなり、熟成室221の後部領域の吹付量が小さくなることがあると認識している。
【0047】
このため、いくつかの実施例では、第2送風セグメント242と第3送風セグメント243内の上流に、一部の送風口外側に隣接するエアガイドプレート26が設けられる。すなわち、エアガイドプレート26は送風エアダクト24に設けられ、送風エアダクト24を流れる気流の一部を遮断して該部分気流を対応する送風口に導くことができる。そのため、上流の送風口にも十分な吸気量が確保され、熟成室221内の前後方向の送風均一性がさらに向上し、熟成効果が向上する。
【0048】
具体的に、エアガイドプレート26は送風口の外側から内側ハウジング221の横方向側壁に垂直な方向に沿って送風エアダクト24内に延びており、その延在長さはその位置の送風エアダクト24の幅の3分の1以下であり、より多くの気流が送風エアダクト24の下流側に向かって流れるのが確保される。
【0049】
いくつかの代替的な実施例では、エアガイドプレート26は、送風口の外側から送風エアダクト24内に傾斜して延びていてもよく、その傾斜方向は、エアガイドプレート26の風上面と内側ハウジング221の横方向側壁間に鋭角が形成されるように設定され、エアガイドプレート26の気流遮断能力を向上させる。
【0050】
いくつかの実施例では、還気口224は円形空気口であり、還気口224の円の中心は循環ファン23の中心と重なり合い、還気口224の直径は循環ファン23直径の3/4~1倍である。すなわち、還気口224は循環ファン23の直径よりもわずかに小さいか等しくてもよく、循環ファン23の直径を超えない。これにより、還気のスムーズさを確保し、空気量に影響を与えることがなく、また、還気口224が大きすぎることにより気流の一部が送風エアダクトを通過せずに還気口224によって吸い戻される現象が生じず、空気量に影響を与えないようにすることができる。
【0051】
いくつかの実施例では、循環ファン23の気流出口233の高さは循環ファン23の直径の2/3~5/3である。これにより、気流出口が低すぎて気流流出抵抗が大きくなり、空気量に影響を与えるという問題を回避することができ、気流出口の高さが高すぎると、空気量の向上に意義がないだけでなく、構造寸法が大きくなり、熟成装置20の占有スペースが大きくなるという問題が生じる。
【0052】
図4は、本発明の一実施例による循環ファンの内部構造の構造概略図である。いくつかの実施例では、循環ファン23はブロワ出口ケーシング231およびブロワ出口ケーシング231内に配置された羽根車232を含み、ブロワ出口ケーシング231の頂部は中央部が上方に突出した円弧状構造である。すなわち、ブロワ出口ケーシング231内の頂部に円弧状のエアガイド構造が形成され、気流がそれぞれ横方向の両側の2つの気流出口233に向かって流動するように案内され、気流流動抵抗および空気量損失が低減される。
【0053】
さらに、循環ファン23の底部はほぼ平面または中央部が下方に窪んだ円弧状構造であり、循環ファン23の底部の凹み程度は頂部の上方への突出程度よりも小さく、循環ファン23の占有スペースを最小限に抑えることができる。
【0054】
本発明は、冷蔵冷凍装置をさらに提供する。
図5は本発明の一実施例による冷蔵冷凍装置の構造概略図である。本発明の冷蔵冷凍装置1は庫体10を備え、庫体10内に物品を貯蔵するための貯蔵室11が画定されている。特に、冷蔵冷凍装置1は上記任意の実施例に記載の熟成装置20をさらに備えている。熟成装置20は、その中で被熟成物を熟成させるために使用され、熟成装置20は貯蔵室11に配置されている。熟成装置20が統合された冷蔵冷凍装置1は、従来の低温環境下での保存や鮮度保持の機能だけでなく、熟成の機能も有しており、冷蔵冷凍装置1の機能を充実させることができる。
【0055】
さらに、貯蔵装置11は、貯蔵温度範囲が0~8℃間の冷蔵室であってもよく、冷蔵室は被熟成物の熟成温度の要求により適している。さらに、冷蔵室内の貯蔵湿度は通常室内環境の湿度よりも高く、被熟成物の熟成湿度の要求により適している。熟成装置20内の湿度が適切でない場合でも、冷却蔵室内の気流によって容易に調整することができる。したがって、熟成装置20を冷蔵室に設けることで、冷蔵室自体の温度湿度条件を十分に活用することができ、コストを最大限に抑えることができる。
【0056】
さらに、庫体10には、冷凍室および/または温度可変室がさらに画定されてもよい。冷蔵室、冷凍室および温度可変室はそれぞれ庫体10の前面側の扉体に枢動可能に設けられ、選択的に開閉されてもよい。
【0057】
本発明の冷蔵冷凍装置1はクロスドア冷蔵庫であってもよく、熟成装置20は上部にある冷蔵室内に設けられることが、当業者には理解されるべきである。
【0058】
別のいくつかの実施例では、冷蔵冷凍装置1は、
図5に示す冷蔵庫構造に限定されず、両扉式冷蔵庫であってもよく、熟成装置20は上部にある冷蔵室内に設けられてもよい。
【0059】
別のいくつかの実施例では、冷蔵冷凍装置1は、
図5に示す冷蔵庫構造に限定されず、3ドア式冷蔵庫であってもよく、熟成装置20は上部にある冷蔵室に設けられてもよい。
【0060】
別のいくつかの実施例では、冷蔵冷凍装置1は
図5に示す冷蔵庫構造に限定されず、両扉式冷蔵庫であってもよく、熟成装置20は冷蔵貯蔵環境を有する貯蔵室に設けられてもよい。
【0061】
別のいくつかの実施例では、冷蔵冷凍装置1は
図5に示す冷蔵庫構造に限定されず、冷凍庫、横型冷凍庫、その他種々の形状の冷蔵冷凍装置であってもよく、熟成装置20は冷蔵貯蔵環境を有する空間に設けられてもよい。
【0062】
本発明の実施例で言及される「上」、「下」、「前」、「後」、「頂」、「底」などの方位または位置関係を示す用語は、熟成装置20と冷蔵冷凍装置1の実際の使用状態に基づいて使用されることは、当業者には理解されるべきであり、これらの用語は、発明の説明および本発明の技術的解決策の理解を容易にする目的でのみ使用され、かかる装置またはデバイスが必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作される必要があることを指示または暗示するものではないため、本発明の限定として解釈されない。
【0063】
ここまでは、本明細書では、本出願の複数の例示的な実施例が詳細に示され、説明されたが、本出願の精神および範囲から逸脱することなく、本出願の開示内容に基づいて本出願の原理の多くの変形または修正を直接的に決定または推論することができることを、当業者は認識すべきである。したがって、本出願の範囲は、すべての他の変形または修正をカバーするものと理解され、定義されるべきである。
【図】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵冷凍装置用の熟成装置であって、その中で被熟成物を熟成させるために使用され、
内部に被熟成物を収容するための熟成室が画定された内側ハウジングと、
前記内側ハウジングの外部に設けられた外側ハウジングであって、前記外側ハウジングの少なくとも一部の周方向側壁は前記内側ハウジングの少なくとも一部の周方向側壁から間隔を置いて設けられ、前記内側ハウジングの外側であって前記外側ハウジングの内側に位置する送風エアダクトを形成し、前記送風エアダクトは前記内側ハウジングの周方向側壁に設けられた複数の送風口を介して前記熟成室と連通する外側ハウジングと、
前記送風エアダクト内に気流を発生させて前記送風口を介して前記熟成室に流れるように制御される循環ファンと、を備え、
複数の前記送風口は、前記内側ハウジングの周方向側壁において上部が疎に、下部が密になるように分布している、熟成装置。
【請求項2】
複数の前記送風口は、垂直に延びた複数の垂直方向送風口および水平に延びた複数の水平方向送風口を含み、
前記水平方向送風口の垂直方向の高さは、最下方の前記垂直方向送風口の中央部以下であって、最下方の前記垂直方向送風口の底部以上に位置する、請求項1に記載の熟成装置。
【請求項3】
前記内側ハウジング内に被熟成物を載置するための載置網棚が、前記内側ハウジングの底板から間隔を置いて設けられ、
前記水平方向送風口の高さは前記載置網棚の高さと同じまたは前記載置網棚の高さよりもわずかに低い、請求項2に記載の熟成装置。
【請求項4】
前記外側ハウジングの後壁、および2つの横方向側壁が、それぞれ前記内側ハウジングの後壁および2つの横方向側壁から間隔を置いて設けられて、U字形の前記送風エアダクトが形成され、
前記循環ファンが前記送風エアダクト内に配置され、前記複数の送風口は前記内側ハウジングの2つの横方向側壁のそれぞれに設けられている、請求項
1に記載の熟成装置。
【請求項5】
前記送風エアダクトは、前記内側ハウジング後方にある第1送風セグメント、および前記内側ハウジング横方向両側にそれぞれ形成された第2送風セグメントと第3送風セグメントを含み、
前記循環ファンは前記第1送風セグメントに配置され、前記内側ハウジングの後壁に還気口が設けられ、前記循環ファンの気流入口は前記還気口と連通し、前記循環ファンの2つの対向する気流出口はそれぞれ前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメントと連通する、請求項4に記載の熟成装置。
【請求項6】
前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメントは両方ともその内部における気流流動方向に沿って先細りになっている、請求項5に記載の熟成装置。
【請求項7】
前記第2送風セグメントおよび前記第3送風セグメント内の上流側であって、一部の前記送風口の外側に隣接してエアガイドプレートが設けられている、請求項
5に記載の熟成装置。
【請求項8】
前記還気口は円形空気口であり、前記還気口の円の中心は前記循環ファンの中心と重なり合い、前記還気口の直径は前記循環ファン直径の3/4~1倍であり、および/または
前記循環ファンの気流出口の高さは前記循環ファン直径の2/3~5/3である、請求項
5に記載の熟成装置。
【請求項9】
前記循環ファンは、ブロワ出口ケーシングおよび前記ブロワ出口ケーシング内に配置された羽根車を含み、前記ブロワ出口ケーシングの頂部は中央部が上方に突出した円弧状構造である、請求項
1に記載の熟成装置。
【請求項10】
内部に物品を収納するための貯蔵室が画定された庫体と、
その中で被熟成物を熟成させるために使用される請求項1~9のいずれか1項に記載の熟成装置であって、前記貯蔵室に配置された熟成装置と、を備える、冷蔵冷凍装置。
【国際調査報告】