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特表2024-539414抗膵臓がんのワクチン、及びその医薬的使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】抗膵臓がんのワクチン、及びその医薬的使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20241018BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20241018BHJP
   C07K 14/46 20060101ALI20241018BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K38/17
C07K19/00 ZNA
C07K14/46
C12N15/62 Z
A61P1/18
A61P35/00
A61K39/39
A61K39/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527148
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 CN2022114956
(87)【国際公開番号】W WO2023077924
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111301004.X
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524170681
【氏名又は名称】元本(珠海横琴)生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】蔡炯
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA06
4C084BA01
4C084BA41
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA03
4C085BB01
4C085CC21
4C085EE06
4C085FF02
4C085FF12
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
抗腫瘍の融合タンパク質であって、当該融合タンパク質は、MUC1陽性の腫瘍細胞成長を阻害することができると共に、膵臓がんの腫瘍細胞成長を阻害することができる。当該融合タンパク質は、膵臓がんの予防及び/又は治療に対する応用の見込みが広い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を予防及び/又は治療するための薬物の製造における融合タンパク質の使用であって、
前記腫瘍は、MUC1陽性の腫瘍、MUC1を発現する腺がん又はMUC1を発現する血液腫瘍であり、好ましくは、前記腫瘍は膵臓がんである、
ことを特徴とする、使用。
【請求項2】
膵臓がんを予防及び/又は治療する薬物の製造における融合タンパク質の使用。
【請求項3】
前記融合タンパク質は、タンパク質MBP遺伝子及び/又はタンパク質MUC1-N遺伝子を含み、好ましくはマルトース結合タンパク質MBP遺伝子及び/又はムチンMUC1-N遺伝子である、
ことを特徴とする、請求項1~2の何れか一項に記載の使用。
【請求項4】
前記融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質MBP遺伝子とムチンMUC1-N遺伝子とのタンデムからなる、
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記MUC1-N遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、前記MBP遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.2に示され、
好ましくは、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO.3に示される、
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の使用。
【請求項6】
サプリメント、化粧品、食品又は食品添加剤における融合タンパク質の応用であって、
前記融合タンパク質は、タンパク質MBP遺伝子若しくはタンパク質及び/又はMUC1-N遺伝子若しくはタンパク質を含み、好ましくはマルトース結合タンパク質MBP遺伝子若しくはタンパク質及び/又はムチンMUC1-N遺伝子若しくはタンパク質であり、
好ましくは、前記サプリメント、化粧品、食品又は食品添加剤は腫瘍の阻害に使用でき、
より好ましくは、前記腫瘍は、MUC1陽性の腫瘍、MUC1を発現する腺がん又はMUC1を発現する血液腫瘍であり、更に好ましくは、前記腫瘍は膵臓がんである、
ことを特徴とする、応用。
【請求項7】
前記融合タンパク質は、結合タンパク質MBP遺伝子とムチンMUC1-N遺伝子とのタンデムからなり、
好ましくは、そのうち前記MUC1-N遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、好ましくは、前記MBP遺伝子はSEQ ID NO.2に示され、
好ましくは、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO.3に示される、
ことを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
腫瘍を予防及び/又は治療する薬物の製造におけるMBP遺伝子若しくはタンパク質及び/又はMUC1-N遺伝子の使用であって、
前記MUC1-N遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、前記MBP遺伝子はSEQ ID NO.2に示され、
好ましくは、前記がんは、MUC1を発現する全てのがんを含み、MUC1を発現する腺がん又はMUC1を発現する血液腫瘍を含み、更に好ましくは膵臓がんである、
ことを特徴とする、使用。
【請求項9】
膵臓がんを予防及び/又は治療する薬物の製造におけるタンパク質MBP遺伝子及び/又はタンパク質MUC1-N遺伝子の使用であって、
前記MUC1-N遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、前記MBP遺伝子はSEQ ID NO.2に示される、
ことを特徴とする、使用。
【請求項10】
腫瘍を予防及び/又は治療するための医薬組成物であって、
マルトース結合タンパク質MBP遺伝子とムチンMUC1-N遺伝子とのタンデムからなる融合タンパク質と、水酸化アルミニウムアジュバント及びCpGアジュバントと、を含み、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO.3に示され、好ましくは前記CpGアジュバントは、一部又は全てのチオ修飾である、
医薬組成物。
【請求項11】
膵臓がんを予防及び/又は治療する薬物の製造における請求項10に記載の組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年11月4日に中国国家知識産権局に提出された、特許出願番号が202111301004X、発明名称が「抗膵臓がんのワクチン、及びその医薬的使用」である先行出願の優先権を主張する。上記先行出願は全体として援用により本願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、融合タンパク質の応用に関し、具体的には、膵臓がんを予防及び治療する薬物の製造におけるヒトMUC1を含有する融合タンパク質の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
膵臓がんは5年生存率が5%未満であり、「がん王」と呼ばれている。膵臓がんは、早期症状が顕著ではなく、容易に見逃され、膵臓がんと診断されるまでにがんの進行した段階に達したのが一般的である。膵臓周辺には血管、神経や腎臓、肝臓などの重要な臓器が豊富に存在し、手術が困難であり、また、一般的には発見が遅いため、10~15%の初期の患者のみが手術治療に適している。大部分の患者は、ゲムシタビンでのみ治療でき、カルボプラチン、カペシタビンなどを併用するが、何れの治療法も治療効果が治療しない場合より若干高いだけである。進行段階及び転移の膵臓がん患者の生存期間は、一般に数か月に過ぎない。膵臓がんは進行すると、周囲組織マトリックスの免疫性、血管性、結合組織損傷後の修復反応を利用して、腫瘍成長を促進する有利な腫瘍微小環境を作り出す。免疫部位モニタリング療法は多くの種類のがんの治療に有効であるが、膵臓がんでは治療応答性が非常に悪い。
【0004】
腫瘍細胞ワクチンは免疫系を活性化し、がん細胞を直面する可能性がある。腫瘍ワクチンは腫瘍特異的な免疫反応を誘導し、免疫系を活性化し、特異抗原を有するがん細胞を攻撃する。多くの免疫抗原において、ムチンMUC1が望ましい。MUC1は元々、上皮を保護及び潤滑する機能を有することが見出された。その後、それは、細胞シグナル伝達及び悪性細胞から腫瘍拡散への転換における腫瘍発生の全ての段階において重要な役割を果たすことは、続いて分かった。MUC1は高グリコシル化膜貫通タンパク質であり、細胞表面から200~500ナノメートルの間に伸長した高グリコシル化細胞外ドメインを有するI型膜貫通タンパク質である。全長は、細胞外区域、膜貫通区域及び細胞内区域に分けられる。細胞外区域は、プロリン、スレオニン並びにセリン豊富(PTS)ドメイン及びSEAドメインからなる。縦列反復配列多型(VNTR)区域とも呼ばれるPTSドメインは、高度に多型性のエクソンによってコードされているが、当該エクソンは、複数即ち20~21アミノ酸配列反復配列をコードしてなり、MUC1の細胞内区域(CT)は高度に保存的である。MUC1の過剰発現は一般に、結腸がん、乳がん、卵巣がん、肺がん及び膵臓がんに関連する。MUC1は、様々な腺がんに存在することが証明されている。原発性肝臓がんの患者治療研究において、MUC1高発現患者の割合は高く68%に達ている。同時に、手術後の再発率も、MUC1発現強度と正の相関があるため最も高い。また、MUC1は、一部の血液悪性腫瘍においても過剰発現される。腫瘍組織及び正常組織のMUC1は発現量が異なるだけでなく、腫瘍及び正常組織のMUC1グリコシル化にも差別がある。低グリコシル化MUC1は、腫瘍細胞の表面全体にわたって過剰発現され、腫瘍細胞の接着力を低下させ、腫瘍の転移を容易にする。既に形成された腫瘍において、多量のMUC1は、NK細胞による腫瘍細胞の殺傷作用を抑制するに加えて、細胞障害性リンパ球(CTL)の増殖を抑制し、更にCTLのアポトーシスを誘導することができる。
【0005】
ワクチン接種は、宿主に長期的な保護作用を提供することができ、且つ副作用がほとんどなく、がんを治療するための重要な方法の1つである。MUC1は理論上、非常に良好なワクチン抗原であるはずだが、ヒト臨床試験における臨床効果は、理想的ではない。ワクチンが産生する抗体の多くは、腫瘍細胞にうまく結合できず、腫瘍を死滅させるために生体を効果的に保護することができない。
【0006】
本発明者らの研究は、MUC1が細菌又はウイルス上のタンパク質に結合されて、がん細胞に対するT細胞応答を生成し、抗腫瘍効果を生じ得ることを示している。現在研究されているネオアンチゲン(neoantigen)ワクチンは、ハイスループットの配列決定及びバイオインフォマティクスのスクリーニングを必要とし、多くの時間及び資源が必要となるため、患者に利益をもたらすことが困難である。開発費用が比較的安価であり、効果が更に高い治療用がんワクチンの開発が望まれている。本発明は、安価な治療用がんワクチンの製造に使用可能であり、大腸菌の生産に適し、且つ膵臓がん細胞の成長を抑制する組換えタンパク質の遺伝子最適化方法を開示する。
【発明の概要】
【0007】
膵臓がんを予防及び治療する更に効果的な生物製剤を提供するために、本発明は、抗腫瘍薬物、特に膵臓がん薬物の製造における融合タンパク質の使用を提供する。本発明は、以下の技術案によって実現される。
【0008】
腫瘍を予防及び/又は治療する薬物の製造における融合タンパク質の使用である。
【0009】
本発明によれば、上記腫瘍はMUC1陽性の腫瘍であり、例えばMUC1を発現する腺がん又はMUC1を発現する血液腫瘍であり、更に好ましくは上記腫瘍は膵臓がんである。
【0010】
本発明は、膵臓がんを予防及び/又は治療する薬物の製造における融合タンパク質の使用を更に提供する。
【0011】
本発明によれば、上記融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質MBP及び/又はタンパク質MUC1-Nを含む。
【0012】
本発明によれば、上記融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質MBP及び/又はタンパク質MUC1-Nのタンデムからなる。
【0013】
更に、上記MUC1-Nの遺伝子ヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、上記MBPの遺伝子ヌクレオチド配列はSEQ ID NO.2に示される。
【0014】
更に、上記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO.3に示される。
【0015】
本発明は、膵臓がんの腫瘍細胞成長を阻害する方法であって、本発明に記載の融合タンパク質を投与することを含む、方法を更に提供する。
【0016】
本発明は、本発明の融合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明によれば、上記薬物は腫瘍の治療に使用され、好ましくは、上記腫瘍はMUC1陽性の腫瘍であり、例えばMUC1を発現する腺がん又はMUC1を発現する血液腫瘍であり、更に好ましくは膵臓がんである。
【0018】
本発明によれば、上記薬物は乳がんの治療に使用される。
【0019】
本発明によれば、上記融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質MBP及び/又はタンパク質MUC1-Nを含む。
【0020】
本発明によれば、上記融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質MBP及び/又はムチンMUC1-Nのタンデムからなる。
【0021】
更に、上記MUC1-Nの遺伝子ヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、上記MBPの遺伝子ヌクレオチド配列はSEQ ID NO.2に示される。
【0022】
更に好ましくは、上記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO.3に示される。
【0023】
本発明は、サプリメント、化粧品、食品又は食品添加剤における融合タンパク質の応用であって、そのうち上記融合タンパク質はマルトース結合タンパク質MBP及び/又はタンパク質MUC1-Nを含むことを特徴とする、応用を更に提供する。
【0024】
本発明によれば、上記サプリメント、化粧品、食品又は食品添加剤は腫瘍の阻害に使用できる。
【0025】
好ましくは、上記腫瘍はMUC1陽性の腫瘍であり、例えばMUC1を発現する腺がん又はMUC1を発現する血液腫瘍であり、更に好ましくは膵臓がんである。
【0026】
本願の好ましい実施形態によれば、上記融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質MBPとタンパク質MUC1-Nとのタンデムからなる。
【0027】
更に、上記MUC1-N遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、上記MBP遺伝子ヌクレオチド配列はSEQ ID NO.2に示される。
【0028】
更に好ましくは、上記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO.3に示される。
【0029】
本発明は、腫瘍を予防及び/又は治療する薬物の製造におけるタンパク質MBP遺伝子及び/又はタンパク質MUC1-N遺伝子の使用であって、上記MUC1-N遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、上記MBP遺伝子はSEQ ID NO.2に示されることを特徴とする、使用を更に提供する。
【0030】
本発明によれば、上記がんは全てのMUC1を発現するがんを含み、MUC1を発現する腺がん又はMUC1を発現する血液腫瘍を含み、更に好ましくは膵臓がんである。
【0031】
本発明は、膵臓がんを予防及び/又は治療する薬物の製造におけるタンパク質MBP遺伝子及び/又はタンパク質MUC1-N遺伝子の使用であって、上記MUC1-N遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、上記MBP遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.2に示されることを特徴とする、使用を更に提供する。
【0032】
本発明の有益な効果:
本発明は、動物実験によって、本発明の融合タンパク質及び遺伝子が、異なる用量の膵臓がん細胞の成長に何れも顕著な阻害作用を有し、膵臓がんに顕著な予防及び治療効果を有することを証明している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】タンパク質発現及び精製後のゲルグラフである。
図2】MBP-Muc1-Nによる膵臓がん細胞増殖の阻害実験である。
図3】MBP-Muc1-Nによる膵臓がん細胞増殖の阻害実験である。
図4-1】二重アジュバントワクチン単剤によるpan-02膵臓がんの治療実験の結果である。
図4-2】図4-1の続き。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施例によって本発明を説明する。しかし、当業者には周知である。下記の実施例は、本発明の請求範囲を制限するものではなく、本発明の実施例に基づいて行われた任意の変形や変更が本発明の請求範囲に含まれる。
【0035】
実施例1、融合タンパク質の構築及び発現
1.遺伝子の最適化
最適化後のMUC1-Nタンパク質のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示される:
【0036】
【表1】

最適化後のMBPタンパク質のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.2に示される:
【0037】
【表2】

MUC1-N融合MBPの最適化遺伝子配列の合成
MBPとMuc1-Nとの連続タンデム発現を実現するために、得られた融合タンパク質配列はSEQ ID NO.3に示される:
KIEEGKLVIWINGDKGYNGLAEVGKKFEKDTGIKVTVEHPDKLEEKFPQVAATGDGPDIIFWAHDRFGGYAQSGLLAEITPDKAFQDKLYPFTWDAVRYNGKLIAYPIAVEALSLIYNKDLLPNPPKTWEEIPALDKELKAKGKSALMFNLQEPYFTWPLIAADGGYAFKYENGKYDIKDVGVDNAGAKAGLTFLVDLIKNKHMNADTDYSIAEAAFNKGETAMTINGPWAWSNIDTSKVNYGVTVLPTFKGQPSKPFVGVLSAGINAASPNKELAKEFLENYLLTDEGLEAVNKDKPLGAVALKSYEEELVKDPRIAATMENAQKGEIMPNIPQMSAFWYAVRTAVINAASGRQTVDEALKDAQTNSSSNNNNNNNNNNLGIEGRISGVTSAPDTRPAPGSTAPPAHGVTSAPDTRPAPGSTAPPAHGVTSAPDTRPAPGSTAPPAHGVTSAPDTRPAPGSTAPPAHGVTSAPDTRPAPGSTAPPAHGVTSAPDTRPAPGSTAPPAHGVTSAPDTRPAPGSTAPPAH。
【0038】
MBP及びMuc1-N融合タンパク質の遺伝子配列によってタンデム合成を行った。そのために、まず1a_1、1a_2、1a_3、1a_4、1a_5、1a_6、1a_7、1a_8、1a_9、1a_10、1a_11、1a_12、1a_13、1a_14、1a_15、1a_16、1a_17、1a_18、1a_19、1a_20、1a_21、1a_22、1a_23、1a_24、1a_25、1a_26、1a_27、1a_28、1a_29、1a_30オリゴヌクレオチド配列を合成し、更に1b_1、1b_2、1b_3、1b_4配列を合成し、1-seq2、1-R配列を利用して遺伝子増幅を行い、MUC1-N融合MBP最適化遺伝子配列を得た。
【0039】
【表3】

【表4】

2、タンパク質の組換え発現及び精製
融合遺伝子の5’PCRプライマーにNcoI酵素切断部位を付加し、3’PCRプライマーにEcoI酵素切断部位を付加し、増幅された遺伝子は二重酵素切断され、同様に二重酵素切断されたpET26b(+)大腸菌発現ベクターに挿入した。耐性細菌培養プレートのスクリーニング及びモノクローナルの選択後、カナマイシン耐性培地による培養及びIPTGによるオペロン発現の誘導を行った。最適化されていない配列、最適化された配列を実験に供した。最後に得られた全菌液を、SDS含有の緩衝液で95℃で前処理し、5%~12%のポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析した。結果は、最適化前の配列MBP-Muc1-Nの発現量が総タンパク質の2%のみを占め、最適化後の配列1のMBP-Muc1-Nの発現量が総タンパク質の51%を占め、25.5倍上昇したことを示した。アフィニティーカラム精製後、最適化されていない遺伝子によって発現されたタンパク質を10倍濃縮した場合のみ、ローディングして観察することができ、濃縮後の精製タンパク質の収量は培養物100 mL当たり0.8 mgであるが、最適化後の配列MBP-Muc1-Nの収量は9.6 mgであり、12倍上昇した。
【0040】
実施例2、MBP-Muc1-N融合タンパク質の活性試験
1.材料
実験試薬:本願の方法を使用してMBP-MUC1-N融合タンパク質を組換え、Pan-02膵臓がん細胞は国家実験細胞資源センターから購入し、注射用生理食塩水は北京天壇生物製品股フン有限公司から購入した。
【0041】
実験動物:C57 BL/6Jマウスは北京華阜康生物科技有限公司から購入した。
【0042】
2.方法
(1)各群6匹のC57BL/6J、雄、6~8週齢。Pan-02膵臓がん細胞の数を1.75×105個/匹、接種位置を右腋窩皮下に接種し、MBP-Muc1-Nを1回で50 μg接種した。接種後の7日目、目に見える腫瘍は約5 mm程度であり、脚の筋肉に1回目のMBP-Muc1-Nを注射し、接種後の50日目、2回目のMBP-Muc1-Nを注射し、その後、接種後の54日目、57日目、3回目、4回目のMBP-Muc1-Nを注射した。
【0043】
(2)各群6匹のC57BL/6J、雄、6~8週齢。Pan-02膵臓がん細胞の数を1.0×106個/匹、接種位置を右腋窩皮下に接種し、MBP-Muc1-Nを1回で50 μg接種した。接種後の7日目、目に見える腫瘍は約5 mm程度であり、接種後の17日目、2回目のMBP-Muc1-Nを注射し、その後、接種後の20日目、24日目、27日目、31日目に3回目、4回目、5回目、6回目のMBP-Muc1-Nを注射した。
【0044】
3.検出結果
3.1 方法1において、図2から分かるように、Pan-02膵臓がん細胞の数を1.75×105個/匹で接種した後の7日目、目に見える腫瘍は約5 mm程度であり、脚の筋肉に1回目のMBP-Muc1-Nを注射し、その後、目に見える腫瘍がゆっくりと成長し、接種後の50日目から、腫瘍が急速に成長し、2回目のMBP-Muc1-Nを注射し、その後、接種後の54日目、57日目に3回目、4回目のMBP-Muc1-Nを注射した。3回目、4回目のMBP-Muc1-Nを注射した後、目に見える腫瘍の成長は顕著に阻害された。
【0045】
【表5】

3.2 方法2において、図3から分かるように、接種後の7日目、目に見える腫瘍は約5 mm程度であり、その後、腫瘍がゆっくりと成長し、接種後の17日目から、2回目のMBP-Muc1-Nを注射し、その後、接種後の20日目、24日目、27日目、31日目に3回目、4回目、5回目、6回目のMBP-Muc1-Nを注射した。2回目、3回目、4回目、5回目、6回目のMBP-Muc1-Nを注射した後、目に見える腫瘍の成長は顕著に阻害された。
【0046】
【表6】

以上から分かるように、本発明は、改変されたMBP-Muc1-N動物実験によって、改変された融合タンパク質が、異なる濃度の膵臓がん細胞の成長に対して、何れも顕著な阻害作用を有し、膵臓がんを効果的に予防及び/又は治療することができると試験した。
【0047】
実施例3、単一アジュバントワクチンの単剤によるpan-02膵臓がんの治療
1.材料
実験試薬:本願の方法を使用してMBP-MUC1-N融合タンパク質発現株を組換えた。抗PD-1抗体はBioxcell社から購入し、pan-02膵臓がん細胞は国家実験細胞資源センターから購入し、水酸化アルミニウムアジュバントは禾大公司から購入した。
【0048】
実験動物:C57 BL/6Jマウスは北京華阜康生物科技有限公司から購入した。
【0049】
2.方法
2.1 MBP-MUC1-N融合タンパク質の製造
本願の方法を使用してMBP-MUC1-N融合タンパク質発現株を組換えて発酵し、発酵液を収集し、菌体清澄及び破砕を完了させ、遠心分離して上清amylose-resinを収集し、マルトースで溶出してMBP-MUC1-N融合タンパク質のアフィニティー精製を完了させた。続いて透析して緩衝液を交換し、Q-sepharoseをかけ、高濃度NaClを用いて陰イオン交換精製を完了させた。更にクエン酸緩衝液で交換し、SP-sepharoseをかけ、高濃度アルギニンを用いて陽イオン交換精製を完了させた。製品を精製するエンドトキシン、残留宿主DNA、残留タンパク質は、何れも原液の要件に達する。透析して緩衝液を20 mMの酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液、150 mMのアルギニンで交換した。
【0050】
2.2マウスの免疫
マウスの体重を秤量し、各群に10匹のマウスでランダムに群分けし、pan-02膵臓がん細胞を、1×106細胞/匹でPBSで希釈し、総量100 μL/匹でC57BL/Jマウスの右腋窩下に接種し、モデリングした。腫瘍直径が5 mmに達した後(10日)、それぞれ水酸化アルミニウム対照群(100 μL、週に2回、筋肉注射)、MNRvax低用量群(0.2 mg/kg、100 μL、週に2回、筋肉注射)、MNRvax中用量群(2 mg/kg、100 μL、週に2回、筋肉注射)、MNRvax高用量群(8 mg/kg、100 μL、週に2回、皮下注射)、免疫チェックポイント阻害剤抗PD-1抗体群(10 mg/kg、100 μL、週に2回、腹腔注射)の5群に分けた。
【0051】
腫瘍担持後の10日目、13日目、17日目、20日目に薬物を注射し、10日目、13日目、17日目、20日目、24日目に腫瘍サイズを測定した。各群の皮下膵臓がん移植腫瘍の阻害率及び腫瘍阻害率を計算した。式:[腫瘍阻害率=(対照群平均腫瘍重量-実験群平均腫瘍重量)/対照群平均腫瘍重量×100%]。[腫瘍治癒率=(腫瘍のないマウスの数/10匹)×100%]。
【0052】
3.結果
【表7】
【0053】
【表8】

表3及び表4から分かるように、低、中、高用量のMBP-Muc1-Nワクチン治療群は対照群に対して、腫瘍を顕著に除去することができる。腫瘍担持後の20日、24日に腫瘍が顕著に縮小した。それぞれ0.359±0.079 mm3から0.286±0.062、0.295±0.072、0.291±0.083 mm3に縮小し、0.408±0.091 mm3から0.332±68、0.327±0.091、0.320±0.112 mm3に縮小し、p値は、それぞれ0.077、0.036、0.081及び0.049、0.062、0.069であり、有意差があった。一方、PD-1抗体治療群の腫瘍は0.359±0.079 mm3から0.301±0.075 mm3に縮小し、0.408±0.091 mm3から0.338±0.087 mm3に縮小し、MBP-Muc1-Nワクチンの効果がPD-1抗体の効果より良いことを示した。
【0054】
実施例4、二重アジュバントワクチンの単剤によるpan-02膵臓がんの治療
1.材料
実験試薬:組換えMBP-MUC1-N融合タンパク質の製造方法は上記と同じである。水酸化アルミニウムアジュバントは禾大公司から購入し、CpG1826アジュバント(5’-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3’)、チオ*CpG1826*アジュバント(5’-T*C*C*A*T*G*A*C*G*T*T*C*C*T*G*A*C*G*T*T-3’)は上海生物工程公司から購入した。
【0055】
実験動物:C57 BL/6Jマウスは北京華阜康生物科技有限公司から購入した。
【0056】
2.方法
2.1 MBP-MUC1-N融合タンパク質の製造
3ステップ精製法により組換えMBP-MUC1-N融合タンパク質を得た。製品を精製するエンドトキシン、残留宿主DNA、残留タンパク質は、何れも原液の要件に達する。
【0057】
2.2マウスの免疫
マウスの体重を秤量し、各群に6匹のマウスでランダムに群分けし、pan-02膵臓がん細胞を1×106細胞/匹でPBSで希釈し、総量100 μL/匹でC57BL/Jマウスの右腋窩下に接種し、モデリングした。腫瘍直径が5 mmに達した後(10日)、それぞれPBS対照群(100 μL、週に2回、筋肉注射)、MNRvax群(2 mg/kg、100 μL、週に2回、筋肉注射)、CpG群(10 μg/匹、100 μL、週に2回、筋肉注射)、*CpG*群(10 μg/匹、100 μL、週に2回、筋肉注射)、MNRvax+CpG群、MNRvax+*CpG*群の6群に分けた。
【0058】
腫瘍担持後の8日目、21日目、29日目、36日目に薬物を注射し、43日目に腫瘍サイズを測定した。各群の皮下膵臓がん移植腫瘍の阻害率及び腫瘍阻害率を計算した。式:[腫瘍阻害率=(対照群平均腫瘍重量-実験群平均腫瘍重量)/対照群平均腫瘍重量×100%]。[腫瘍治癒率=(腫瘍のないマウスの数/10匹)×100%]。
【0059】
3.結果
【0060】
【表9】

4.結論
酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液系で製造した組換えMBP-MUC1-N融合タンパク質ワクチンは腫瘍への阻害作用が比較的に低く、一方でCpG1826の添加によりこのような阻害作用を向上させることができる。
【0061】
実施例5.ワクチン単剤によるpan-02膵臓がんの治療の作用機序の研究
1.材料
実験試薬:組換えMBP-MUC1-N融合タンパク質を自製した。抗PD-1抗体はBioxcell社から購入し、pan-02膵臓がん細胞は国家実験細胞資源センターから購入し、水酸化アルミニウムアジュバントは禾大公司から購入した。PE/DAZZLIE594-CD3抗体(17A2クローン、ラットIgG2b、κ)、BV421-CD4抗体(GK1.5クローン、ラットIgG2b、κ)、APC-FIRE75-CD8a(53-6.7クローン、ラットIgG2a、κ)、APC-CD335(29A1.4クローン、ラットIgG2a、κ)、PE-CD19(6D5クローン、ラットIgG2a、κ)、PE-CY7-F4/80(BM8クローン、ラットIgG2a、κ)、FITC CD45(30-F11クローン、ラットIgG2b、κ)、BV711-CD11c(N418クローン、アルメニアンハムスターIgG)は、Biolegend社から購入し、eFluor 506-L/DはInvitrogen社から購入し、BB700CD11b(M1/70クローン、ラットIgG2b、κ)はBD社から購入した。マウス腫瘍解離試薬キットはMiltenyi社から購入した。
【0062】
実験動物:C57 BL/6Jマウスは北京華阜康生物科技有限公司から購入した。
【0063】
2.方法
2.1マウスの免疫
マウスの体重を秤量し、各群に10匹のマウスでランダムに群分けし、pan-02膵臓がん細胞を3×106細胞/0.1 mL 匹でPBSで希釈し、総量100 μL/匹でC57BL/Jマウスの右腋窩下に接種し、モデリングした。腫瘍直径が5 mmに達した後(10日)、それぞれ水酸化アルミニウム対照群(100 μL、週に2回、筋肉注射)、MNRvax低用量群(0.2 mg/kg、100 μL、週に2回、筋肉注射)、MNRvax中用量群(2 mg/kg、100 μL、週に2回、筋肉注射)、MNRvax高用量群(8 mg/kg、100 μL、週に2回、皮下注射)、免疫チェックポイント阻害剤抗PD-1抗体群(10 mg/kg、100 μL、週に2回、腹腔注射)の5群に分けた。
【0064】
2.2マウスサンプルの分離
2.2.1マウス腫瘍サンプルの分離
チューブにMiltenyiの酵素D、R及びA混合酵素溶液を加え、サイズが直径3 mmの腫瘍塊を加え、gentleMACS組織プロセッサのカニューレに装着し、加熱モジュールを備えたgentleMACS Octo組織プロセッサを使用し、プログラム37C_m-TDK1を実行した。サンプルを再懸濁し、70 μmの細胞スクリーンでろ過し、50 mLの遠心分離管で細胞懸濁液を収集した。20 mLのRPMI 1640でスクリーンを洗浄した。細胞懸濁液を1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。20 mLのPBSを加えて細胞を再懸濁し、ボルテックスして均一に混合し、1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。細胞を適切な体積のPBSに再懸濁し、ボルテックスして均一に混合し、10 μLの細胞懸濁液を取って細胞カウンターでカウントし、次に残りの細胞懸濁液を1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。カウント結果に応じて適切な体積のPBSを加えて細胞を再懸濁し、ボルテックスして均一に混合し、細胞濃度を2×107/mLに調整して使用に備えた。
【0065】
2.2.2マウス脾臓/リンパ節細胞の解離
収集した脾臓/リンパ節を、3 mLのRPMI 1640培地を含有する6ウェルプレートに置き、注射器で脾臓を圧迫して、単細胞懸濁液に分解させた。細胞スクリーンを15 mLのテーパーチューブ頂部に置き、細胞塊及び破片を除去するために、6ウェルプレート内の細胞懸濁液をスクリーンに通した。5 mLのRPMI 1640でスクリーンを洗浄し、細胞懸濁液を1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。2 mLの赤血球溶解液を加えて細胞を再懸濁し、ボルテックスして均一に混合し、1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。10 mLのRPMI 1640を加えて細胞を再懸濁し、ボルテックスして均一に混合し、1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。適切な体積のFACS緩衝液を加えて細胞を再懸濁し、カウントし、次に1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。カウント結果に応じて適切な体積のFACS緩衝液を加えて細胞を再懸濁し、細胞濃度を2×107/mLに調整して使用に備えた。
【0066】
2.3マウス腫瘍/血液サンプルの染色
実験終了後に腫瘍細胞、脾臓細胞、リンパ節細胞及び血液細胞を分離してCD3、CD4、CD8、CD11、CD19、CD45、CD335のフローサイトメトリーによる免疫細胞亜集団の分析を行った。CD45+は白血球を表し、CD45+CD19+はB細胞を表し、CD45+CD19-CD3+はT細胞を表し、CD45+CD19-CD3+CD8+は細胞傷害性T細胞を表し、CD45+CD19-CD3+CD4+はヘルパーT細胞を表し、CD45+CD19-CD3-CD11b+F4/80+はマクロファージを表し、CD45+CD19-CD3-CD11c+は星細胞を表し、CD45+CD19-CD3-CD335+はナチュラルキラー細胞を表した。
【0067】
再懸濁した腫瘍/脾臓/リンパ節/血液細胞をボルテックスして均一に混合し、FcR Blocking Reagentを加え、4℃で暗所で10分間インキュベートした。全ての抗体(死活染料を含む)を、抗体推奨量に従って抗体混合液を製造し、十分且つ均一に混合した。対応するフローチューブに適切な体積の抗体混合液を加え、同時に必要に応じてFMOチューブ、ブランクチューブ及びシングルポジティブチューブを作製し、穏やかにボルテックスして抗体と細胞とを十分に混合し、4℃で暗所で30分間インキュベートした。2 mLの赤血球溶解液を全てのフローチューブに加え、ボルテックスして均一に混合し、室温で暗所で10分間インキュベートした。インキュベート完了後、1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。2 mLのFACS緩衝液を全てのフローチューブに加え、ボルテックスして均一に混合し、1500 rpmで5分間遠心分離し、上清を捨てた。1回繰り返した。50 μLのFACS緩衝液を加えて細胞を再懸濁し、ボルテックスして均一に混合し、ローディングに備えた。
【0068】
2.4データ分析
フローサイトメトリーによって生成された全てのデータはKaluzaソフトウェアによって分析された。異なる処置群の免疫細胞亜集団を比較するために、本発明者らはまず、Bartlett検定によって全ての群間の分散均一性仮定を検証した。Bartlett検定のp値が0.05以上である場合、一元配置分散分析は、全ての群の平均値が等しいかどうかの検証に使用された。一元配置分散分析のp値が0.05未満である場合、本発明者らは、Tukey HSD検定を用いて全ての群間でペアごとに比較するか、又はDunnett’s t検定を用いて各治療群と対照群との間でペアごとに比較した。Bartlett検定のp値が0.05未満である場合、Kruskal Wallis検定は、全ての群の中央値が等しいかどうかの検証に使用された。Kruskal Wallis検定のp値が0.05未満である場合、本発明者らは、Conover検定を用いて全ての群間でペアごとに比較するか、又は各治療群と対照群との間でペアごとに比較し、複数の検定の群数に基づいて対応するp値を校正した。全ての統計分析及びグラフィック描画はR言語環境で実行された。特に明記しない限り、全ての検定は両側検定であり、p値が0.05未満である場合は、統計的に有意であると見なされた。
【0069】
3.結果
がんワクチン投与後の35日、腫瘍内の白血球の百分率は、27.06±4.61から34.44±5.61(p=0.005)に上昇した(図4A)。総T細胞に対する腫瘍組織内のCD8+T細胞の比率は、対照群の25.99±5.84%から32.75±9.74%(p<0.01)に上昇し(図4B)、総白血球に対する比率は、2.24±0.58%から4.33±2.95%(p<0.05)に上昇した(図4C)。がんワクチン投与後の35日、リンパ節内の白血球の百分率は、99.81±0.12から99.93±0.06(p=0.011)に上昇した(図4D)。総T細胞に対するリンパ節内のCD4+T細胞の比率は、対照群の29.85±5.96%から37.75±4.71%(p<0.01)に上昇し(図4E)、総白血球に対する比率は、19.22±3.73%から26.70±3.3-%(p<0.001)に上昇した(図4F)。がんワクチン投与後の35日、脾臓内のT細胞の百分率は、20.91±3.55から26.03±4.93(p=0.017)に上昇した(図4G)。総T細胞に対する脾臓内のCD4+T細胞の比率は、対照群の47.00±2.96%から48.64±4.88%(p>0.05)に上昇し(図4H)、総白血球に対する比率は、9.80±1.69%から12.63±2.66%(p<0.05)に上昇した(図4I)。
【0070】
4.結論
MNRVaxワクチン接種後、膵臓がん内のCD8+Tリンパ球は顕著に増加し、がん細胞を直接死滅させた。一方、リンパ節内のCD8+Tリンパ球は顕著に増加し、脾臓内の総T細胞は顕著に増加した。MNRVaxワクチンの接種により、免疫細胞を腫瘍内に動員することができることを示唆した。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の精神及び原則の範囲内でなされた何れの修正、同等置換、改良なども、本発明の請求範囲内に含まれるものとする。

図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
【配列表】
2024539414000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膵臓がんを予防及び/又は治療するための薬学的組成物の製造方法であって、
前記組成物は、融合タンパク質を含み、前記融合タンパク質はタンパク質MBP及びタンパク質MUC1-Nを含み、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO.3に示される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質MBP遺伝子及びムチンMUC1-N遺伝子をタンデムに結合することによって発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MUC1-N遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示され、前記MBP遺伝子のヌクレオチド配列はSEQ ID NO.2に示される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
膵臓がんを予防及び/又は治療するための前記薬学的組成物は、前記融合タンパク質、水酸化アルミニウムアジュバント及びCpGアジュバントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
融合タンパク質、水酸化アルミニウムアジュバント及びCpGアジュバントを含み、前記融合タンパク質のアミノ酸配列はSEQ ID NO.3に示される、膵臓がんを予防及び/又は治療するための薬学的組成物。
【請求項6】
前記CpGアジュバントは、一部又は全てのチオ修飾である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記CpGアジュバントは、CpG1826又は全てチオ修飾されたCpG1826である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【国際調査報告】