(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】医用画像における患者の胸部の回転の決定
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241018BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241018BHJP
G06T 7/68 20170101ALI20241018BHJP
【FI】
A61B6/00 550C
A61B6/00 560
A61B6/00 550D
G06T7/00 612
G06T7/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527489
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2022081040
(87)【国際公開番号】W WO2023088720
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】フォン ベルグ イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ポール ソウブヒック
(72)【発明者】
【氏名】チャクラバルティ ビスワループ
(72)【発明者】
【氏名】チャウドフリー スディプタ
(72)【発明者】
【氏名】クローンケ ヒル スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤング スチュワート マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ウィーベルネイト ナタリー
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA26
4C093FF16
4C093FF21
4C093FF22
5L096BA06
5L096CA18
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA11
(57)【要約】
医用画像における患者の胸部の回転を決定するためのコンピュータ実現方法が提供される。方法は、患者の医用画像を受信することと、医用画像を処理して患者の肩甲骨に関する肩甲骨空間データを決定することと、肩甲骨空間データを使用して少なくとも1つの基準軸に対する患者の胸部の回転を決定することとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像における患者の胸部の回転を決定するためのコンピュータ実現方法であって、
前記患者の前記医用画像を受信するステップと、
前記医用画像を処理して、前記患者の肩甲骨に関する肩甲骨空間データを決定するステップと、
前記肩甲骨空間データを処理して、前記患者の肩甲骨の対称性を確認するステップと、
前記肩甲骨空間データを使用して、少なくとも1つの基準軸に対する患者の胸部の回転を決定するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記患者の肩甲骨の対称性を確認する前記ステップが、
左右肩甲骨の肩峰及び烏口突起を識別し、それらの長さを決定するステップと、
左右肩甲骨のそれぞれについて、肩峰の長さに対する烏口骨の長さの比を計算するステップと、
前記計算された比に基づいて前記肩甲骨の対称性を確認するステップと、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算された比に基づいて前記肩甲骨の対称性を確認する前記ステップは、左肩甲骨の前記比が右肩甲骨の前記比と許容可能な範囲内で一致することを決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記肩甲骨の対称性を確認する前記ステップが、肩甲骨の下角、鎖骨と肩峰との間の角度、肩甲骨の外側境界と上腕骨との間の角度、及びそれらの任意の組み合わせを有する群から選択される1つ又は複数のパラメータに基づく、請求項1乃至3のいずれか1に記載の方法。
【請求項5】
前記肩甲骨の対称性を確認する前記ステップが、左肩甲骨及び右肩甲骨について前記パラメータの1つ又は複数の値を比較することに基づく、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記医用画像を処理して前記肩甲骨空間データを決定する前記ステップが、前記患者の肩甲骨の輪郭を決定するために前記医用画像をセグメント化することを含む、請求項1乃至5のいずれか1に記載の方法。
【請求項7】
前記セグメント化を実行するために、注釈付きサンプル画像で訓練された畳み込みニューラルネットワークを使用することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者の肩甲骨の前記輪郭を決定するために前記医用画像をセグメント化する前に、前記画像を処理して前記セグメント化を容易にするための1つ又は複数のランドマークを位置特定することを更に含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記患者の胸部の回転を決定する前記ステップは、
前記肩甲骨空間データを使用して、前記患者の左右の肩甲骨上の対応する点を接続する肩甲骨線を計算するステップと、
前記肩甲骨線と前記少なくとも1つの基準軸との間の変位を使用して前記回転を決定するステップと、
を有する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記肩甲骨線は、左右の肩甲骨の輪郭上の2つの点を接続する線であり、前記2つの点の各々は、各肩甲骨の下角の輪郭上の頂点である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの基準軸は、検出器平面軸を含み、前記変位は、前記肩甲骨線と前記検出器平面軸との間の角度変位を含み、前記回転を決定する前記ステップは、前記角度変位を使用して、前記患者の面内回転を決定することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの基準軸が、前記患者の身体の中心軸を有し、前記変位が、前記肩甲骨線の中間点と前記中心軸との間の線形変位を有し、前記回転を決定する前記ステップが、前記線形変位を使用して前記患者の面外回転を決定することを含む、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記肩甲骨空間データを使用して前記少なくとも1つの基準軸に対する前記患者の胸部の回転を決定する前記ステップが、訓練された機械学習モデルを使用して前記回転を決定することを含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたコンピューティングシステム。
【請求項15】
コンピューティングシステムによって実行される場合に、前記コンピューティングシステムに請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像における患者胸部の回転を決定する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の回転されていないポジショニングを確実にすることは、胸部背腹方向(PA、posteroanterior)X線撮影において重要な品質側面であり、なぜなら、そうでなければ、画像内の関連する解剖学的構造のロケーションが、外観においてずれて見える、又は視界から遮られることがあるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、解析すべき肺実質は、正しい角度で取得されない場合に胸郭構造によって影になることがある。従来の解決策は、ランドマーク、特に鎖骨先端及び棘突起を位置特定して回転角度を推定すること、及び対称コンステレーションからのずれを測定することを含む。場合によっては(例えば、脊柱側弯症)、これは、全体的な胸部回転の良好な指標ではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの懸念のうちの1つ又は複数をより良く対処するために、本発明の第1の態様では、医用画像における患者胸部の回転を決定するためのコンピュータ実現方法が提供される。本方法は、患者の医用画像を受信するステップと、医用画像を処理して、患者の肩甲骨に関する肩甲骨空間データを決定するステップと、肩甲骨空間データを使用して、少なくとも1つの基準軸に対する患者胸部の回転を決定するステップとを有する。
【0005】
従って、本明細書で提案される患者回転の検出に対するアプローチは、脊椎側弯症のような重篤な場合でも、患者の胸部(すなわち胸郭)の回転、特に心臓や肺などの内臓の回転が正確に反映されることを可能にする。
【0006】
本方法は、回転を決定する前に、肩甲骨空間データを処理して、患者の肩甲骨の対称性、すなわち肩甲骨の外旋運動に関して肩甲骨の位置の対称性を確認することを更に含むことができる。これは、「健全性チェック」の一形態として実施されてもよい。患者の肩甲骨の対称性を確認することは、肩甲骨の肩峰及び烏口突起を識別し、それらの長さを決定することと、左右の肩甲骨のそれぞれについて、肩峰の長さに対する烏口突起の長さの比を計算することと、計算された比に基づいて肩甲骨の対称性を確認することとを含むことができる。計算された比に基づいて肩甲骨の対称性を確認することは、左肩甲骨の比が右肩甲骨の比と許容範囲内で一致することを決定することを含むことができる。いくつかの例では、類似性又は距離メトリックを使用して、比を比較し、それによって対称性又は他のものを確認することができる。追加的又は代替的に、肩甲骨の対称性を確認することは、肩甲骨の下角、鎖骨と肩峰との間の角度、肩甲骨の外側縁と上腕骨との間の角度、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の他のパラメータに基づいてもよい。従って、大まかに言えば、この方法は、1つ又は複数の肩甲骨位置パラメータ、特に肩甲骨内又は肩甲骨周囲の骨構造の相対位置に関するパラメータの、左右の肩甲骨についての値を比較することに基づいて、肩甲骨の対称性を確認するステップを含むことができる。別の言い方をすれば、肩甲骨空間データを処理して患者の肩甲骨の対称性を確認することは、両方の肩甲骨における肩甲骨外旋運動がないこと、又は不均等な肩甲骨外旋運動がないことを確認することを含むことができる。
【0007】
医用画像を処理して肩甲骨空間データを決定することは、患者の肩甲骨の輪郭(すなわち、境界(boundaries)又は境界線(borders))を決定するために医用画像をセグメント化することを含むことができる。本方法は、画像セグメンテーションを実行するために、注釈付きサンプル画像で訓練された畳み込みニューラルネットワークを使用することを含むことができる。本方法は、医用画像をセグメント化する前に、画像を処理して、画像セグメンテーションを容易にするための1つ又は複数のランドマークを位置特定することを更に含むことができる。
【0008】
患者の回転は、幾何学的に決定されることができる。従って、患者の胸部の回転を決定することは、肩甲骨空間データを使用して、患者の肩甲骨上の対応する点を接続する肩甲骨線を計算することと、肩甲骨線と少なくとも1つの基準軸との間の変位を使用して回転を決定することとを含むことができる。一例では、肩甲骨線は、それぞれの肩甲骨の輪郭上の2つの点を接続し、各点は、それぞれの肩甲骨の境界の下角、言い換えれば患者に対して最も下側の頂点である。他の例では、肩甲骨線に対して他の適切な解剖学的基準点が選択される。回転を決定することは、画像平面内の患者回転を決定すること、及び/又は画像平面外の患者回転を決定することを含むことができる。面内の患者回転が決定される場合、少なくとも1つの基準軸は、検出器平面軸を含み、変位は、肩甲骨線と検出器面軸との間の角度変位を含み、回転の決定は、角度変位を使用して患者の面内回転を決定することを含む。検出器平面軸は、例えば、画像又は検出器に対して水平であってもよいが、少なくとも垂直軸を含む、検出器平面軸に対する任意の向きが選択されうることが理解されよう。面外の患者回転が決定される場合、少なくとも1つの基準軸は、例えば、患者の身体の中心軸(medial axis)を有することができ、変位は、肩甲骨線の中点と前記中心軸との間の線形変位を含み、回転の決定は、前記線形変位を使用して患者の面外回転を決定することを含む。
【0009】
患者の回転の幾何学的決定に加えて、又はその代わりに、患者の回転(及び/又は肩甲骨の対称性)は、例えば機械学習を使用して経験的に決定されてもよい。従って、方法は、肩甲骨空間データを使用して少なくとも1つの基準軸に対する患者の胸部の回転を決定するために、訓練された機械学習モデルを使用することを含むことができる。
【0010】
従って、第2の態様では、第1の態様の機械学習モデルを訓練する方法が提供される。モデルを訓練する際に使用するための訓練データは、患者の回転を様々な程度で示しかつ資格のある放射線撮影技師によって適切にラベル付けされた医用画像を含むことができる。訓練データは、モデルをよりロバストにするために、異なる年齢群、性別群、及び異なる地理の医用画像を更に含むことができる。訓練データはまた、元の患者データと同様に見える人工的に修正されたそのようなデータ又は合成データを含むことができる。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「肩甲骨空間データ」は、肩甲骨の位置及び/又は形状を決定するために使用することができるデータを指す。特に、肩甲骨空間データは、例えば、画像セグメンテーションのプロセスから生じる肩甲骨の輪郭の位置を示すデータを含むことができる。
【0012】
第1及び/又は第2の態様の方法は、コンピュータで実施することができる。
【0013】
第3の態様によれば、第1及び/又は第2の態様の方法を実行するように構成されたコンピューティングシステムが提供される。
【0014】
第4の態様によれば、コンピューティングシステムによって実行される場合に、コンピューティングシステムに第1及び/又は第2の態様の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラム製品が提供される。
【0015】
第5の態様によれば、コンピューティングシステムによって実行される場合に、コンピューティングシステムに第1及び/又は態様の方法を実行させる命令を有するコンピュータ可読媒体が提供される。本発明は、その組み合わせ又は単独で具体的に開示されているか否かにかかわらず、1つ又は複数の側面、例、又は特徴を単独又は組み合わせで含むことができる。上記の態様のうちの1つの任意の特徴又は下位の態様は、他の態様のうちのいずれかに適切に適用される。
【0016】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。
【0017】
ここで、添付の図面を参照して、単なる例として、詳細な説明が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】患者の肩甲骨を含む解剖学的構造を位置特定するための画像セグメンテーションを示す図。
【
図2】肩甲骨位置の対称性を確認するために両肩甲骨の肩峰と烏口突起の相対的な長さを決定することを示す図
【
図3A】肩甲骨空間データを用いた患者の面内回転及び面外回転の決定を示す図。
【
図3B】肩甲骨空間データを用いた患者の面内回転及び面外回転の決定を示す図。
【
図4】本発明に従って使用されることができるコンピューティングシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示によれば、医用画像における患者胸部の回転は、医用画像を処理して患者の肩甲骨に関する肩甲骨空間データを決定し、肩甲骨空間データを使用して少なくとも1つの基準軸に対する患者胸部の回転を決定することによって決定される。
【0020】
図1は、医用画像100内の患者の肩甲骨を含む解剖学的構造を位置特定し、それにより肩甲骨空間データを取得するための画像セグメンテーションの使用を示す。図示されるように、画像セグメンテーションの結果は、肩甲骨及びそれらの輪郭102の位置特定することである。加えて、肺104及び鎖骨106の輪郭が配置されてもよい。画像セグメンテーションの出力は、肩甲骨の形状及び位置を示す少なくとも肩甲骨空間データを含む空間データである。画像100は、注釈付きサンプル画像で訓練された畳み込みニューラルネットワークを使用してセグメント化されることができる。同程度の量の注釈努力でより良い性能を達成するために、例えばVON BERG, J. et al. Robust chest x-ray quality assessment using convolutional neural networks and atlas regularization. In: Medical Imaging 2020: Image Processing, International Society for Optics and Photonics. 2020. p.113131Lに記載されているように、ランドマークは、輪郭を決定する前に、最初に位置特定されうる。
【0021】
肩甲骨空間データを使用して、少なくとも1つの基準軸に対する患者の胸部の回転が決定されることができる。肩甲骨の形状及びポジショニングならびに任意には肺野を使用して、患者の回転を評価することは、胸部全体の回転のより良好な反映を提供する。しかし、肩甲骨は、鎖骨及び脊椎と比較してより高い可動性を有し、より自由度をもって内旋、外旋、外転、内転などが可能である。従って、本開示は、肩甲骨空間データを使用して患者の回転を決定する前に、肩甲骨が患者に対して対称であること(すなわち、肩甲骨の外旋運動がないこと)を確認するために、任意の健全性チェックを実行することを想定する。
【0022】
図2に肩甲骨位の対称性の確認を示す。肩甲骨の肩峰と烏口突起は両側で識別され、セグメンテーションによりそれらの端点が識別され、それらの長さが決定される。
図2に示すのは、左肩峰の長さ202L、左烏口突起の長さ204L、右肩峰の長さ202R、右烏口突起の長さ204Rである。比、
R
L = 左烏口突起の長さ/左肩峰の長さ
及び
R
R = 右烏口突起の長さ/右肩峰の長さ
が計算される。外旋方向の肩甲骨運動がない場合、左側の比R
Lは、所与の精度内で右側の比R
Rに一致する。肩甲骨の対称性、すなわち肩甲骨の下角、鎖骨と肩峰との間の角度、肩甲骨の側縁境界と上腕骨との間の角度などを評価するために、他のパラメータが追加的に又は代替的に利用されうることが理解されよう。
【0023】
図3A及び
図3Bは、肩甲骨空間データを用いた患者の面内回転及び面外回転の決定を示している。
【0024】
患者の面外回転は、適切な基準軸(この場合、
図3Aに線Aとして示されている患者の身体の中心軸)を中心に決定されことができる。このような回転軸は、VON BERG, J. et al. Robust chest x-ray quality assessment using convolutional neural networks and atlas regularization. In: Medical Imaging 2020: Image Processing, International Society for Optics and Photonicsに記載されている技法と同様に、このような軸が注釈付けされた画像に胸部アトラスを登録することによってロバストに決定されることができる。肩甲骨の下境界上の最低点[P1、P2]を計算する。
図3Aにおいて線Bとして示される肩甲骨線は、点P1と点P2とを接続する。線Bの中点が見つけられ、これは
図3Aに点P3と示されている。線Aと線Bとの交点が見つけられ、これは点P4と示されている。P3とP4との間の距離は、面外の患者回転の成分に対応する。これは、X線システム300のソース302及び検出器304に関する現象を示す
図3Bにも示されている。患者がより大きく回転するほど、点P3と点P4との間の線形変位が大きくなる。
【0025】
患者の面内回転は、検出器平面軸を基準に決定されることができる。
図3Aは、例えば、画像又は検出器平面における水平軸として線Cを示す。線Bと線Cとの間の角度変位は、患者の面内回転に対応する。
【0026】
そのような画像情報は、患者の回転決定の精度を改善するために回帰畳み込みニューラルネットワークを訓練するために使用されることができる。例えば、訓練された回帰畳み込みニューラルネットワークを使用して、肩甲骨空間データによって表される輪郭102から回転角度を推定することができる。このアプローチは、KRONKE et al. CNN-based pose-estimation of musculoskeletal X-ray images. Philips ocupai conference. 2021に説明されている方法に従うことができ、これによると、1つのX線撮影画像から足関節の姿勢と屈曲を推定するという同様のタスクに適用して成功している。
【0027】
上述のシステム及び方法に対する多数の変形例が、本開示によって想定される。例えば、本明細書に開示される患者回転決定方法は、独立して、又は鎖骨及び脊椎を使用する既存の方法と組み合わせて使用されることができる。別の例では、本明細書に開示されるシステム及び方法によって使用される肩甲骨空間データは、独立した「肩甲骨チェッカー」の目的のために、両肩甲骨を位置特定し、それらを形状及びポジショニングで分析するために使用されるプロセスから生じる。また、肺野が、この目的のために位置特定されてもよい。別の例では、許容可能な帯域を有するノモグラムを生成するために、比RL及びRRがプロットされてもよい。検査中の患者について計算された値がノモグラム上に現れる場合、肩甲骨は患者に対して対称であると仮定することができる。更に別の例では、胸部回転は、肩甲骨の輪郭に加えて、又はそれに代わって、冗長X線輪郭に基づいて推定される。
【0028】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、X線品質評価の文脈において適用されることができる。
【0029】
図4は、本明細書に開示されるシステム及び方法に従って使用することができる例示的なコンピューティングシステム800を示す。コンピューティングシステム800は、任意のデスクトップ、ラップトップ、サーバ、又はクラウドベースのコンピューティングシステムの一部を形成するか、又はそれらを有することができる。コンピューティングシステム800は、メモリ804に記憶された命令を実行する少なくとも1つのプロセッサ802を有する。命令は、例えば、上記で説明した1つ又は複数のコンポーネントによって実行されるものとして説明した機能を実現するための命令、又は上記で説明した方法のうちの1つ又は複数を実現するための命令でありうる。プロセッサ802は、システムバス806を介してメモリにアクセスすることができる。実行可能命令を記憶することに加えて、メモリ804はまた、会話入力、会話入力に割り当てられるスコアなどを記憶することができる。
【0030】
コンピューティングシステム800は、システムバス806を介してプロセッサ802によってアクセス可能なデータストア808を更に有する。データストア808は、実行可能命令、ログデータなどを含むことができる。コンピューティングシステム800はまた、外部装置がコンピューティングシステム800と通信することを可能にする入力インタフェース810を有する。例えば、入力インタフェース810は、外部コンピュータ装置、ユーザ等からの命令を受信するために使用されることができる。コンピューティングシステム800はまた、コンピューティングシステム800を1つ又は複数の外部装置とインタフェースする出力インタフェース812を有する。例えば、コンピューティングシステム800は、出力インタフェース812を介してテキスト、画像などを表示することができる。
【0031】
入力インタフェース810及び出力インタフェース812を介してコンピューティングシステム800と通信する外部装置は、ユーザが対話することができる実質的に任意の種類のユーザインターフェースを提供する環境に含められることができることが企図される。ユーザインターフェースタイプの例は、グラフィカルユーザインタフェース、固有ユーザインターフェースなどを含む。例えば、グラフィカルユーザインタフェースは、キーボード、マウス、リモートコントロールなどの入力デバイスを使用するユーザからの入力を受け入れ、ディスプレイなどの出力デバイス上に出力を提供することができる。更に、固有ユーザインターフェースは、ユーザが、キーボード、マウス、リモートコントロールなどの入力デバイスによって課される制約を受けない方法で、コンピューティングシステム800と対話することを可能にし得る。むしろ、自然なユーザインターフェースは、音声認識、タッチ及びスタイラス認識、スクリーン上及びスクリーンに隣接するジェスチャー認識、エアジェスチャー、ヘッド及びアイトラッキング、音声及びスピーチ、視覚、タッチ、ジェスチャー、機械知能などに依存することができる。
【0032】
更に、コンピューティングシステム800は単一のシステムとして示されているが、分散システムであってもよいことを理解されたい。従って、例えば、いくつかのデバイスは、ネットワーク接続によって通信可能であるとともに、コンピューティングシステム800によって実行されるものとして説明されるタスクを集合的に実行することができる。
【0033】
本明細書で説明される様々な機能は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組合せで実現されることができる。ソフトウェアで実現される場合、上述の機能は、1つ又は複数の命令又はコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されるか、又はコンピュータ可読媒体を介して伝送されることができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされることができる任意の利用可能な記憶媒体でありうる。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、フラッシュ記憶媒体、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、又は命令もしくはデータ構造の形成で所望のプログラムコードを担持もしくは記憶するために使用されることができ、コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むことができる。ディスク(disk)及びディスク(disc)は、本明細書で使用される場合、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピーディスク、及びブルーレイディスク(BD)を含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、通常、レーザを用いてデータを光学的に再生する。更に、伝播される信号は、コンピュータ可読記憶媒体の範囲内に含まれない。コンピュータ可読媒体はまた、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含む。接続は、例えば、通信媒体でありうる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線、無線、及びマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、又は赤外線、無線、及びマイクロ波などのワイヤレス技術は、通信媒体の定義に含まれる。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0034】
代替的に、又は追加的に、本明細書に説明される機能は、少なくとも部分的に、1つ又は複数のハードウェア論理コンポーネントによって実行されることができる。限定ではなく例として、使用することができる例示的なタイプのハードウェア論理コンポーネントは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定プログラム集積回路(Program-specific Integrated Circuits)(ASIC)、特定プログラム標準製品(Program-specific Standard Products)(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)などを含む。
【0035】
上述の回路が、上述の機能に加えて他の機能を有してもよく、これらの機能が同じ回路によって実行されてもよいことを理解されたい。
【0036】
本願出願人は、本明細書に記載された個々の特徴及び2以上のそのような特徴の任意の組合せを、そのような特徴又は組合せが、そのような特徴又は特徴の組合せが本明細書に開示された任意の問題を解決するかどうかにかかわらず、かつ特許請求の範囲に限定されることなく、当業者の共通の一般的知識に照らして、全体として本明細書に基づいて実施することができる程度に、単独で開示する。本願出願人は、本発明の態様が、任意のそのような個々の特徴又は特徴の組み合わせからなり得ることを示す。
【0037】
本発明の実施形態は、異なるカテゴリを参照して説明されていることに留意されたい。特に、いくつかの例は、方法を参照して説明され、他の例は、装置を参照して説明される。しかしながら、当業者であれば、説明から、特に断りのない限り、1つのカテゴリに属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なるカテゴリに関連する特徴間の任意の組み合わせも本出願によって開示されるものとみなされることを理解するであろう。しかしながら、すべての特徴が組み合わされることで、特徴の単純な合計よりも大きい相乗効果が提供されることができる。
【0038】
本発明は図面及び前述の説明において詳しく図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は例示的又は説明的であり、限定的なものではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、当業者によって理解され、達成されることができる。
【0039】
用語「有する、含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを除外しない。
【0040】
不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外しない。加えて、本明細書で使用される冠詞「a」及び「an」は、特に明記しない限り、又は文脈から単数形を対象とすることが明らかでない限り、「1つ又は複数」を意味すると一般に解釈されるべきである。
【0041】
単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。
【0042】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0043】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布されることができるが、インターネット又は他の有線又は無線通知システム等を介して、他の形態で配信されることもできる。
【0044】
請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0045】
特に明記しない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される「A、B及びCのうちの1つ又は複数」、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、ならびに「A、B及び/又はC」というフレーズは、列挙された項目のうちの1つ又は複数のすべての可能な置換を意味することが意図される。すなわち、「Xは、A及び/又はBを有する」というフレーズは、以下の例のいずれかによって満たされる:Xは、Aを有する;Xは、Bを有する;又はXは、A及びBの両方を有する。
【国際調査報告】