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特表2024-539427自動車両、特に自動車用の電気駆動システム
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  • 特表-自動車両、特に自動車用の電気駆動システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】自動車両、特に自動車用の電気駆動システム
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/02 20060101AFI20241018BHJP
   F16H 3/48 20060101ALI20241018BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20241018BHJP
【FI】
F16H3/02 Z
F16H3/48
F16H57/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529108
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022082140
(87)【国際公開番号】W WO2023088970
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021005711.2
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523285085
【氏名又は名称】ダイムラー トラック アーゲー
【氏名又は名称原語表記】DAIMLER TRUCK AG
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】シュトルーリン, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ルックマン, イェンス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, マーティン
【テーマコード(参考)】
3J063
3J528
【Fターム(参考)】
3J063AA04
3J063AB02
3J063AB12
3J063AC03
3J063BA11
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD38
3J063XD62
3J063XE12
3J063XH12
3J063XH22
3J528EB63
3J528EB66
3J528EB76
3J528FA42
3J528FA52
3J528FC02
3J528FC13
3J528FC32
3J528GA08
3J528HA22
3J528JA01
3J528JE02
3J528JJ02
(57)【要約】
本発明は、ロータ(24)を有する電気機械(20)を備える自動車両用の電気駆動システム(10)に関する。ディファレンシャルギヤ(40)を有するディファレンシャルギヤ(38)が提供され、電気機械(20)から始まるトルクの流れに関して、トルクの流れにおいてロータ(24)とディファレンシャルギヤ(40)との間に配置され、第1の入力シャフト(60)と、第1の入力シャフト(60)に平行で軸方向にオフセットされた出力シャフト(68)と、第1の入力シャフト(60)と同軸である少なくとも2つのギヤ(72、74)、すなわち第1のギヤ(72)および第2のギヤ(74)と、出力シャフト(68)と同軸である2つのギヤ(76、78)、すなわち第3のギヤ(76)および第4のギヤ(78)とを有する変速機(58)が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の電気駆動システム(10)であって、
第1の電気機械(20)によってトルクを供給することができる第1のロータ(24)を有する第1の電気機械(20)と、
前記トルクをディファレンシャル(38)に導入することができるディファレンシャルギヤ(40)を有するディファレンシャル(38)と、
前記ディファレンシャル(38)に加えて設けられ、前記第1の電気機械(20)から発するトルクの流れに対して前記第1のロータ(24)と前記ディファレンシャルギヤ(40)との間のトルクの流れに配置され、前記トルクを前記第1のロータ(24)から前記ディファレンシャルギヤ(40)に伝達でき、前記ディファレンシャルギヤ(40)を介して前記ディファレンシャル(38)および第1の入力シャフト(60)と、前記第1の入力シャフト(60)に平行で軸方向にオフセットして配置された出力シャフト(68)と、前記第1の入力シャフト(60)と同軸に配置された少なくとも2つのギヤホイール(72、74)、すなわち第1のギヤホイール(72)および第2のギヤホイール(74)と、前記出力シャフト(68)と同軸に配置された2つのギヤホイール(76、78)、すなわち第3のギヤホイール(76)および第4のギヤホイール(78)とに導入することができるギヤユニット(58)と、
一体に形成された駆動ハウジング(84)であって、前記第1の電気機械(20)および前記ギヤユニット(58)がそれぞれ少なくとも部分的に収容された、駆動ハウジング(84)と、
前記ディファレンシャル(38)が収容されるアクスルハウジング(86)と
を備え、
前記第1のロータ(24)の回転軸(32)、前記出力シャフト(68)の回転軸(70)、および前記ディファレンシャルギヤ(40)の回転軸(42)は、互いに平行に、軸方向にオフセットして配置され、
前記駆動ハウジング(84)および前記アクスルハウジング(86)は、第1のフランジ継手(88)によって互いに直接接続され、
前記第1のフランジ継手(88)の第1のフランジ面(F1)は、前記ディファレンシャルギヤ(40)の前記回転軸(42)と平行に配置されており、
前記第1のロータ(24)と前記ギヤユニット(58)の前記ギヤホイール(72、74、76、78)とは、完全に前記駆動ハウジング(84)内部に配置され、
第1のカバー(94)および第2のカバー(96)が設けられ、
前記第1のカバー(94)および前記駆動ハウジング(84)は、第2のフランジ継手(98)によって互いに直接接続され、
前記第2のカバー(96)および前記駆動ハウジング(84)は、第3のフランジ継手(104)によって互いに直接接続され、
前記第2のフランジ継手(98)の第2のフランジ面(F2)および前記第3のフランジ継手(104)の第3のフランジ面(F3)は、前記ディファレンシャルギヤ(40)の前記回転軸(42)に対して垂直に配置される
ことを特徴とする、自動車両用の電気駆動システム(10)。
【請求項2】
前記ギヤユニット(58)は、前記第1の入力シャフト(60)に平行で軸方向にオフセットして配置され、前記出力シャフト(68)に平行で軸方向にオフセットして配置されたカウンタシャフト(110)を有し、前記第1のギヤホイール(72)と、前記カウンタシャフト(110)と同軸に配置された第1のカウンタシャフトギヤホイール(114)と、を備える第1の切換可能な平ギヤ対(117)が設けられ、前記第2のギヤホイール(74)と、前記カウンタシャフト(110)と同軸に配置された第2のカウンタシャフトギヤホイール(116)と、を備える第2の切換可能な平ギヤ対(118)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項3】
前記カウンタシャフト(110)の回転軸(112)、前記出力シャフト(68)の前記回転軸(70)、および前記ディファレンシャルギヤ(40)の前記回転軸(42)は、第1の共通平面(E1)に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項4】
前記ギヤユニット(58)は、前記第1の平ギヤ対(117)および前記第2の平ギヤ対(118)を備える第1の部分ギヤ(128)と、前記トルクの流れに配置され、前記トルクの流れに対して前記第1の部分ギヤ(128)の下流に接続された第2の部分ギヤ(130)とを有し、前記第2の部分ギヤは、前記出力シャフト(68)と、前記出力シャフト(68)と同軸に配置された遊星ギヤセット(132)とを備えることを特徴とする、請求項2または3に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項5】
前記遊星ギヤセット(132)は、前記第1のロータ(24)と軸方向に重なるように配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項6】
前記駆動ハウジング(84)の内側に配置された第2のロータ(30)を有する第2の電気機械(26)であって、そこから前記ギヤユニット(58)を介して前記ディファレンシャルギヤ(40)を駆動することができることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項7】
前記第1の部分ギヤ(128)は、前記第2のロータ(30)と同軸に配置された第2の入力シャフト(64)を備え、
前記第2の入力シャフト(64)と同軸に配置された第5のギヤ(80)と、前記第1のカウンタシャフトギヤ(114)と、を備える第3の切換可能な平ギヤ対(120)が設けられ、
前記第2の入力シャフト(64)と同軸に配置された第6のギヤ(82)と、前記第2のカウンタシャフトギヤ(116)と、を備える第4の切換可能な平ギヤ対(122)が設けられる
ことを特徴とする、請求項4または5に戻って参照する請求項6に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項8】
前記第1のロータ(24)の前記回転軸(32)と前記第2のロータ(30)の回転軸(36)とは、第2の共通平面(E2)に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項9】
前記第2の共通平面(E2)は、前記第1の共通平面(E1)に対して垂直に配置されていることを特徴とする、請求項8または請求項3に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項10】
前記第1のロータ(24)を冷却および潤滑するために形成された第1の油室(148)と、前記第1の油室(148)とは別体に形成され、前記ギヤユニット(58)および前記ディファレンシャル(38)を冷却および潤滑するために形成された第2の油室(150)とを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項11】
前記第2の油室(150)に油を供給するための機械式オイルポンプ(152)であって、前記第1のカバー(94)の前記ギヤユニット(58)とは反対を向く側(S3)に配置され、前記ギヤユニット(58)により駆動可能な機械式オイルポンプ(152)を特徴とする、請求項10に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項12】
前記機械式オイルポンプ(152)は、ポンプハウジング(158)と、前記ポンプハウジング(158)の内側に配置され、前記出力シャフト(68)と同軸に配置され、前記遊星ギヤセット(132)のシャフトにねじり剛性の方法で接続されたポンプインペラ(154)とを有することを特徴とする、請求項11または4に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項13】
前記油を冷却する第1のオイルクーラが前記ポンプハウジング(158)の内側に配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項14】
前記アクスルハウジング(86)の前記ギヤユニット(48)とは反対を向く側(S4)に配置され、前記第1の油室(148)に油を供給するための電動ポンプと第2のオイルクーラとを備える冷却モジュール(160)を特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の電気駆動システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の総称による、自動車両、特に自動車用の電気駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第10/2018/009,582号明細書は、少なくとも1つの電気モータと、電気モータによって駆動され得るディファレンシャルと、ディファレンシャルギヤを少なくとも部分的に取り囲む第1のハウジング部とを有する、既知の自動車両用の電気車軸駆動装置を記載している。第1のハウジング部とは別個であり、電気モータを少なくとも部分的に取り囲む第2のハウジング部も設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10/2018/009,582号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特にコンパクトな設計を実現できるように自動車両用の電気駆動システムを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する自動車両用の電気駆動システムによって達成される。本発明の有用なさらなる実施形態を有する有利な実施形態は、残りの特許請求の範囲に記載されている。
【0006】
本発明は、自動車両、特に自動車用の電気駆動システムに関する。これは、最も好ましくは自動車、特に商用車両として設計される自動車両が、完全に製造された状態で電気駆動システムを有し、電気駆動システムによって電気的に、特に純粋に電気的に駆動され得ることを意味する。特に、完全に製造された状態では、自動車両は、少なくともまたは正確に2つの車軸を有し、車軸は、車両の長手方向に前後に配置され、したがって連続している。それぞれの車軸は、特に車両の横方向において自動車両の両側に配置された、車輪とも呼ばれる少なくともまたは正確に2つの車輪を有する。それによって、電気駆動システムは、例えば、電気駆動システムが割り当てられた1つの車軸の車輪が電気駆動システムによって駆動され得るように、車軸の1つに割り当てられる。車輪が以下で言及される場合、別段の指定がない限り、これは、電気駆動システムによって駆動されることができ、電気駆動システムが割り当てられる1つの車軸の車輪を意味する。車輪は、自動車両の接地要素であり、車両の垂直方向に接地要素を介して地面に支持または固定することができる。自動車両が車両の垂直方向に車輪を介して地面に支持されている間に自動車両が地面に沿って駆動される場合、車輪は地面で転動する。自動車両を地面に沿って駆動するために、例えば車輪、したがって自動車両は電気駆動システムによって駆動される。したがって、電気駆動システムは、特に純粋に電気的に、車輪、したがって自動車両を駆動するための電気駆動装置である。
【0007】
また、「第1」、「第2」などの、序数と呼ばれる順序を示す数が本開示の文脈で使用される場合、特に別段の指示がない限り、序数は必ずしも順序を示すものではない。特に明記しない限り、序数は、いくつかの要素が設けられなければならないことを必ずしも意味しているのではない。換言すれば、例えば、第1の要素への言及は、必ずしも第2の要素が設けられていること、または設けられなければならないことを意味するものではない。むしろ、序数は、本開示の文脈において、特に、序数が参照する同一の用語を区別するために使用され、したがって、明確に矛盾なくそれらに対処することができる。
【0008】
電気駆動システムは、第1のロータを有する第1の電気機械を有する。例えば、第1の電気機械は第1のステータを有し、第1のステータによって第1のロータを駆動することができ、それによって、第1の機械の回転軸とも呼ばれる第1のロータの回転軸の周りで第1のステータに対して回転させることができる。第1の電気機械は、特に自動車両を駆動するために、特に車輪を駆動するために、第1のロータを介してトルクを供給することができる。電気駆動システムはまた、単にディファレンシャルとしても知られる、例えばクラウンホイールまたは平ギヤの形態のディファレンシャルギヤを有する差動変速機を有する。ディファレンシャルギヤは、歯、特に外側の歯を有するギヤホイールである。第1の機械によって供給され得るまたは供給されるトルクは、ディファレンシャルギヤを介してディファレンシャルに供給され、ディファレンシャルを駆動することを可能にする。特に、これにより、ディファレンシャルギヤは、例えば、特にステータに対して、ディファレンシャルギヤ回転軸とも呼ばれるディファレンシャルギヤの回転軸を中心に回転することができる。特に、ディファレンシャルは、電気駆動システムも割り当てられる前述の1つの車軸に割り当てられるように設けることができる。これは、例えば、1つの車軸の車輪を、ディファレンシャルを介して電気機械、特にロータによって駆動することができることを意味する。一般的な従来技術から既に十分に知られているように、ディファレンシャルは、例えば、第1の電気機械によって供給されるそれぞれのトルクを第1のロータを介して車輪に伝達または分配するように設計される。さらに、一般に知られているように、ディファレンシャルは、好ましくは、例えば自動車両がコーナリングしているときに、特に車輪がディファレンシャルを介して第1の電気機械によって、特に第1のロータによって駆動され得るかまたは駆動される間に、車輪の異なる速度を可能にするように設計される。特に、ディファレンシャルは、例えば、屈曲部の外側の車輪が屈曲部の内側の車輪よりも高速で回転することを可能にする。
【0009】
電気駆動システムはまた、ディファレンシャルに加えて設けられたギヤユニットを有し、これは、第1の電気機械から、特に第1のロータから発するトルクの流れに関して、第1のロータとディファレンシャルギヤとの間のトルクの流れに配置され、これを介してトルクを第1のロータからディファレンシャルギヤに伝達することができ、ディファレンシャルギヤを介してディファレンシャルに導入することができる。これは、ギヤユニットが、第1のロータの下流かつディファレンシャルギヤの上流で、トルクの流れに対してトルクの流れに配置されることを意味する。ギヤユニットは、第1の変速機入力シャフトとも呼ばれる第1の入力シャフトを有する。ギヤユニットはまた、変速機出力シャフトとも呼ばれる出力シャフトを有する。変速機出力シャフトは、第1の入力シャフトと平行に軸方向にオフセットして配置される。これは、特に、第1の入力シャフトを、特にステータからオフセットされた第1の入力シャフト回転軸を中心に回転させることができ、変速機出力シャフトを、特にステータに対して、出力シャフト回転軸とも呼ばれる出力シャフトの回転軸を中心に回転させることができ、第1の入力シャフト回転軸および出力シャフト回転軸は、互いに平行に延び、互いに離隔していることを意味する。
【0010】
ギヤユニットはまた、第1の入力シャフトと同軸に、好ましくは互いに同軸に配置された2つのギヤホイール、すなわち第1のギヤホイールおよび第2のギヤホイールを有する。ギヤユニットはまた、出力シャフトと同軸に、したがって互いに同軸に配置された2つのギヤホイール、すなわち第3のギヤホイールおよび第4のギヤホイールを有する。例えば、第3のギヤホイールは、第1のギヤホイールと噛み合う。代替的または追加的に、第4のギヤホイールは、第2のギヤホイールと噛み合う。これは、例えば、第3のギヤホイールが第1のギヤホイールによって駆動され得ることを意味する。代替的または追加的に、第4のギヤホイールは、第2のギヤホイールによって駆動され得る。例えば、第1のギヤホイールおよび/または第2のギヤホイールは、第1の入力シャフトによって駆動することができる。この目的のために、例えば、第1のギヤホイールおよび/または第2のギヤホイールは、トルクを伝達する、特にねじり剛性の方法で第1の入力シャフトに接続することができ、または接続される。さらに、第1のギヤホイールおよび/または第2のギヤホイールは、第1の入力シャフトに配置されることが考えられる。さらに、出力シャフトは、第3のギヤホイールおよび/または第4のギヤホイールによって駆動され得ることが考えられる。第3のギヤホイールおよび/または第4のギヤホイールは、出力シャフト上に配置することができる。特に、第3のギヤホイールおよび/または第4のギヤホイールは、ねじり剛性の方法で出力シャフトに接続することができるか、または接続されることが考えられる。
【0011】
電気駆動システムはまた、第1の電気機械およびギヤユニットがそれぞれ少なくとも部分的に、特に少なくとも主に、したがって半分以上または完全に収容される、一体型駆動ハウジングを備える。特に、第1のロータ、ディファレンシャルギヤ、第1の入力シャフト、出力シャフト、およびギヤホイールは、駆動ハウジングに対して回転可能であることが規定される。特に、第1のステータは、ねじり剛性の方法で駆動ハウジングに接続される、すなわち、ねじり剛性の方法で駆動ハウジングに固定されるように規定することができる。駆動ハウジングが一体に設計されているという特徴は、特に、駆動ハウジングが、互いに別個に設計され、互いに接続されたハウジング部品から構成および構築されておらず、むしろ、駆動ハウジングが、好ましくは、一体に、特に単一部品から形成され、したがって、モノブロックとして設計されているということを意味すると理解することができる。言い換えれば、駆動ハウジングは、一体型本体、すなわち、そのため一体的に製造または形成された一体型本体である。特に、それによって、駆動ハウジングは鋳造および/または成形によって製造されることが考えられる。
【0012】
電気駆動システムはまた、特に駆動ハウジングに加えて設けられ、好ましくは駆動ハウジングとは別個に設計され、1つまたは複数の部品で設計することができるアクスルハウジングを備える。アクスルハウジングがいくつかの部分で設計され得るという特徴は、特に、アクスルハウジングが、互いに別々に設計され、互いに接続されたいくつかのハウジング要素から構築または組み立てられ得ることを意味する。ディファレンシャルは、特に、ディファレンシャルギヤおよびディファレンシャルギヤの回転軸をアクスルハウジングに対して回転させることができるように、アクスルハウジング内に収容される。特に、第1のロータ、ディファレンシャルギヤ、第1の入力シャフト、出力シャフト、およびギヤホイールは、アクスルハウジングに対して回転可能であることが考えられる。
【0013】
第1のロータの回転軸、すなわち機械の回転軸、出力シャフトの回転軸、すなわち出力シャフトの回転軸、およびディファレンシャルギヤの回転軸、すなわちディファレンシャルギヤの回転軸は、互いに平行およびオフセットして配置される。機械の回転軸、出力シャフトの回転軸、およびディファレンシャルギヤの回転軸は、まとめて第1の回転軸とも呼ばれる。したがって、第1の回転軸は互いに平行に延び、互いに距離を置いて離隔されることが実現される。
【0014】
駆動ハウジングおよびアクスルハウジングは、第1のフランジ継手によって互いに直接接続される。特に、これは、駆動ハウジングおよびアクスルハウジングが、駆動ハウジングとは別個であり、アクスルハウジングとは別個のさらなるハウジング要素によって互いに接続されておらず、駆動ハウジングおよびアクスルハウジングが、第1のフランジ継手によって互いに直接接続されていることを意味する。これにより、第1のフランジ継手の第1のフランジ面は、ディファレンシャルギヤの回転軸に平行に配置される。例えば、駆動ハウジングは、少なくとも1つの第1のフランジを有し、それによって駆動ハウジングは、例えば、少なくとも1つの第2のフランジを有する。第1のフランジおよび第2のフランジは、接続フランジとも呼ばれ、第1のフランジ継手のフランジであり、駆動ハウジングおよびアクスルハウジングは、例えば、第1のフランジおよび第2のフランジが互いに、特に直接接続されるように、第1のフランジおよび第2のフランジを介して互いに直接接続される。特に、第1のフランジおよび第2のフランジが、特に直接的に互いにねじ止めされ、したがって互いに接続されるように規定することができる。特に、第1のフランジおよび第2のフランジは、特に第1のフランジおよび第2のフランジが第1のフランジ面において互いに、特に直接支持されるように、第1のフランジ面において互いに接続される。したがって、例えば、第1のフランジ面は、第1のフランジおよび第2のフランジが互いに、特に直接支持および/または接続される第1の分離面である。
【0015】
特にコンパクトな設計を実現し、シール面の数を特に低く保つために、および/または有利な平坦なシール面を一体化することができるようにするために、本発明によれば、第1のロータおよび特にすべてのギヤユニットのギヤホイールが駆動ハウジングの完全に内側に配置されることが規定される。
【0016】
要素が「駆動ハウジングの内側」であるという表現は、要素が駆動ハウジングの外側包囲面を通って突出しないことを意味し、外側包囲面は、駆動ハウジングの壁の外面と、駆動ハウジングが開口部またはフランジを有する場合には、フランジ面または開口面とによって形成される。
【0017】
駆動ハウジングおよびアクスルハウジングを総称してハウジングともいう。さらに、本発明によれば、第1のカバーおよび第2のカバーが設けられ、好ましくは、第1のカバーおよび第2のカバーが互いに別個に形成されることが規定される。さらに、好ましくは、第1のカバーおよび第2のカバーは、ハウジングとは別個に形成されることが規定される。第1のカバーおよび駆動ハウジングは、第2のフランジ継手によって互いに直接接続され、それによって、第1のフランジ継手に関する前述および後述の説明は、それに応じて第2のフランジ継手にも適用することができ、逆もまた同様である。第2および駆動ハウジングは、第3の継手によって互いに直接接続され、それによって、第1のフランジ継手および第2のフランジ継手に関する前述および後述の説明は、第3のフランジ継手にも適宜適用することができ、逆もまた同様である。したがって、例えば、カバーは第3のフランジを有し、駆動ハウジングは少なくとも1つの第4のフランジを有し、第3のフランジおよび第4のフランジは第2のフランジ継手のフランジである。これにより、第3のフランジおよび第4のフランジは、特に、第3のフランジおよび第4のフランジが例えば互いにねじ込まれ、それによって互いに接続されるように、互いに直接接続される。第2のカバーは、例えば、第5のフランジを有し、駆動ハウジングは、例えば、少なくとも1つの第6のフランジを有し、第5のフランジおよび第6のフランジは、第3のフランジ継手のフランジである。例えば、第5のフランジおよび第6のフランジは、特に、第5のフランジおよび第6のフランジが互いに直接ねじ止めされ、それによって互いに接続されるように、互いに直接接続される。
【0018】
さらに、本発明によれば、第2のフランジ継手の第2のフランジ面および第3のフランジ継手の第3のフランジ面が、ディファレンシャルギヤの回転軸、すなわちディファレンシャルギヤの回転軸に対して垂直に配置されることが規定される。第1のフランジ継手について既に説明したように、第3のフランジおよび第4のフランジは、第2のフランジ面において、特に直接、互いに接続および/または支持されることが考えられる。したがって、第3のフランジ面の第5のフランジおよび第6のフランジは、特に直接、互いに接続および/または支持されることが考えられる。例えば、第2のフランジ面および第3のフランジ面は互いに平行に延び、第2のフランジ面および第3のフランジ面は互いに離隔している。また、第2のフランジ面および第3のフランジ面は、例えば、第1のフランジ面に対して垂直に延びている。本発明は、部品の数、したがって電気駆動システムのコスト、重量、および設置スペース要件を特に低く保つことを可能にする。さらに、シール面の数を最小限に抑えることができ、それによってシールの労力、したがってコストを最小限に保つことができる。特に、ハウジングのうちの少なくとも1つは、特に、例えば、第1の電気機械および/またはギヤユニットを駆動ハウジング内に、特にそれぞれの貫通孔開口部を通して押し込むことができるように、スライドイン式ハウジングとして設計することができ、例えば、貫通孔開口部のうちの第1の貫通孔開口部は、第1のカバーによって閉じられ、第2の貫通孔開口部は第2のカバーによって閉じられる。代替的に、または追加的に、ディファレンシャルは、例えば、アクスルブリッジとも呼ばれるアクスルハウジングに、特に、例えばハウジングが互いに接続されることによって閉じられる第3の貫通孔開口部を介して挿入することができる。したがって、第1の貫通孔開口部および第2の貫通孔開口部は、駆動ハウジングの貫通孔開口部であることが考えられ、それによって、例えば、駆動ハウジングの貫通孔開口部は、特に機械の回転軸に沿って見たときに、駆動ハウジングの両側に配置することができる。
【0019】
特に、本発明は、例えば車軸駆動装置として設計されるか、または車軸駆動装置とも呼ばれる、ディファレンシャルを含むギヤユニットの形態の第1の電気機械とギヤユニットとの簡単で省スペースの組み合わせを可能にする。それによって、駆動ハウジングおよびそれに接続されたカバー、ならびに第1の電気機械およびギヤユニットは、ユニットまたはモジュール式ユニットまたは複合構造を形成し、それによってユニットまたは複合構造は、アクスルブリッジに、したがってアクスルハウジングに、特にボルト締めで簡単に接続することができることが考えられる。さらに、いわゆるスタンドアロンの解決策として、フランジによって第1の電気機械をシステムに取り付けることが考えられる。
【0020】
電気駆動システムの特にコンパクトな設計を実現するために、本発明の一実施形態では、ギヤユニットは、第1の入力シャフトに平行および軸方向にオフセットして配置され、出力シャフトに平行および軸方向にオフセットして配置されたカウンタシャフトを有することが規定される。これは、特に、カウンタシャフトが、カウンタシャフト回転軸とも呼ばれるカウンタシャフトの回転軸を中心にしてハウジングに対して回転することができることを意味し、カウンタシャフト回転軸は、第1の入力シャフト回転軸に平行で、出力シャフト回転軸に平行に延び、第1の入力シャフト回転軸および出力シャフト回転軸から距離を置いて離隔している。これにより、第1のギヤホイールと、カウンタシャフトと同軸に配置された第1のカウンタシャフトギヤとを備える切換可能な平ギヤ対が設けられ、カウンタシャフトギヤは、ギヤユニットのギヤホイールに加えて、すなわち、第1、第2、第3および第4のギヤホイールに加えて設けられる。さらに、第2の切換可能な平ギヤ対が設けられ、これは、第2のギヤホイールと、カウンタシャフトと同軸に配置された第2のカウンタシャフトギヤとを備え、第2のカウンタシャフトギヤは、第1のカウンタシャフトギヤに加えて、ギヤユニットの第1、第2、第3および第4のギヤホイールに加えて設けられる。特に、これにより、第1のギヤホイールが第1のカウンタシャフトギヤと噛み合い、好ましくは第2のギヤホイールが第2のカウンタシャフトギヤと噛み合うことが規定される。第1のギヤホイールと第1のカウンタシャフトギヤとをまとめて第1の平ギヤ対とも呼び、第2のギヤホイールと第2のカウンタシャフトギヤとをまとめて第2の平ギヤ対とも呼ぶ。それぞれの平ギヤ対が切換可能であるという特徴は、特に以下、すなわちそれぞれの平ギヤ対の少なくとも1つまたは正確に1つは、例えば、第1の入力シャフトまたはカウンタシャフト上に配置されて回転できるアイドラギヤとして設計されることを意味すると理解することができる。特に、それにより、第1のギヤホイールおよび第2のギヤホイールは、それぞれのアイドラギヤとして設計され、アイドラギヤは、それらが回転できるように、それらは第1の入力シャフト上に配置されることが考えられる。さらに、カウンタシャフトギヤは、ねじり剛性の方法で、特に恒久的にカウンタシャフトに接続されることが考えられる。
【0021】
それぞれのカウンタシャフトギヤおよびカウンタシャフトなどの2つの要素がねじれ剛性の方法で互いに接続されるという特徴は、要素が互いに同軸に配置され、次いで、それらがねじれ剛性の方法で互いに接続されると、特に要素が駆動されるときに同じ角速度で回転することを意味すると理解されるべきである。
【0022】
それぞれのカウンタシャフトギヤおよびカウンタシャフトなどの2つの要素がねじれ剛性の方法で互いに恒久的に接続されているという特徴は、特に、ねじれ剛性の方法で要素を互いに接続する接続状態と、接続要素が、特に共通の回転軸を中心とした要素間の相対回転を可能にする解放状態との間で切換えることができるスイッチング要素が設けられておらず、むしろ、要素が恒久的に、すなわち恒久的に、または常にねじれ剛性の方法で互いに接続されていることを意味すると理解されるべきである。言い換えれば、2つの要素間のねじり剛性接続は、これらの2つの要素が互いに同軸に配置され、特に駆動されたときに同じ角速度で回転するまたは回転されるように接続されることを意味する。
【0023】
それぞれの切換可能な平ギヤ対に関して、それぞれの平ギヤ対が切換可能であるという特徴は、特に、好ましくは少なくとも1つの第1の結合状態と、少なくとも1つの第2の結合状態と、例えば少なくとも1つの分離状態との間で切換可能な切換装置が設けられることを意味する。第1の結合状態では、アイドラギヤのうちの1つは、切換装置によってねじり剛性の方法で第1の入力シャフトまたはカウンタシャフトに接続されるが、特に他のアイドラギヤは、第1の入力シャフトに対して、またはカウンタシャフトに対して、特に第1の入力シャフト回転軸を中心に、またはカウンタシャフト回転軸を中心に回転することができ、これは切換装置が、他のアイドラギヤと第1の入力シャフトまたはカウンタシャフトとの間の、特に第1の入力シャフト回転軸を中心に、またはカウンタシャフト回転軸を中心とした相対回転を可能にすることを意味する。第2の結合状態では、他方のアイドラホイールは、切換装置によってねじり剛性の方法で第1の入力シャフトまたはカウンタシャフトに接続され、特に一方のアイドラホイールは、第1の入力シャフトの回転軸を中心にして、または第1の入力シャフトに対してもしくはカウンタシャフトに対してカウンタシャフトの回転軸を中心にして回転することができる。例えば、分離状態を省くことができる。
【0024】
切換装置の好ましくは、ただし任意選択的に設けられた分離状態では、一方のアイドラギヤと他方のアイドラギヤの両方は、特に第1の入力シャフト回転軸を中心にして、または第1の入力シャフトに対してもしくはカウンタシャフトに対してカウンタシャフト回転軸を中心にして回転することができる。したがって、分離状態の切換装置は、第1のアイドラギヤと第1の入力シャフトまたはカウンタシャフトとの間、特に第1の入力シャフト回転軸またはカウンタシャフト回転軸の周りの相対回転、および他方のアイドラギヤと第1の入力シャフトまたはカウンタシャフトとの間、特に第1の入力シャフト回転軸またはカウンタシャフト回転軸の周りの相対回転の両方を可能にすることが好ましい。このようにして、例えば、有利な切換性、したがって駆動システムの有利な駆動性を特に省スペースで実現することができる。
【0025】
さらなる実施形態は、カウンタシャフトの回転軸、すなわちカウンタシャフト回転軸、出力シャフトの回転軸、すなわち出力シャフト回転軸、およびディファレンシャルギヤの回転軸、すなわちディファレンシャルギヤ回転軸がすべて、少なくとも本質的に第1の共通平面に配置または延在するという事実を特徴とする。その結果、電気駆動システムの設置スペース要件を特に低いレベルに保つことができる。
【0026】
電気駆動システムの特にコンパクトで、したがって省スペースの設計を実現することを可能にするために、本発明のさらなる実施形態では、ギヤユニットは、第1の平ギヤ対および第2の平ギヤ対を含む第1の部分ギヤと、第2の部分ギヤとを有することが規定される。第2の部分ギヤは、トルクの流れに配置され、第1の部分ギヤの下流に接続される。これは、第2の部分ギヤが、トルクの流れにおいて、第1の部分ギヤの下流に、特にディファレンシャル、特にディファレンシャルギヤの上流に配置されることを意味する。したがって、例えば、ディファレンシャルギヤ、したがってディファレンシャルは、第2の部分ギヤを介して第1の部分ギヤによって駆動することができ、例えば、第2の部分ギヤは、第1の部分ギヤを介して第1のロータによって駆動することができ、第1の部分ギヤは、第1のロータによって駆動することができる。第2の部分ギヤは、出力シャフトと、出力シャフトと同軸に配置された遊星ギヤセットとを備え、それは、特にギヤホイールに加えて、およびカウンタシャフトギヤに加えて設けられる。特に、カウンタシャフトギヤも駆動ハウジングに配置されることが好ましい。さらに、カウンタシャフトは、駆動ハウジングに配置されることが好ましい。また、好ましくは、第1の部分ギヤおよび第2の部分ギヤが駆動ハウジングに配置されることが規定される。非常に好ましくは、遊星ギヤセットも駆動ハウジングに配置される。
【0027】
電気駆動システムの設置スペース要件を特に低く保つことができるようにするために、本発明のさらなる実施形態では、遊星ギヤセットが第1のロータと軸方向に重なるように配置されることが規定される。特に、これは、遊星ギヤセットが遊星ギヤセットの半径方向に少なくとも部分的に重なり合うかまたは覆われること、すなわち、特に遊星ギヤセットの軸方向に延びる遊星ギヤセットの少なくとも1つの長手方向領域が、第1のロータの軸方向に延びる第1のロータの長手方向領域によって外側に重なり合うかまたは覆われることを意味する。さらに、このようにして、特に、例えば、第1の電気機械および遊星ギヤセットが駆動ハウジングの第1の側から取り付けられ、残りのギヤユニットが第1の側とは反対側の駆動ハウジングの第2の側から取り付けられ、特に駆動ハウジング内部に移動され、したがって駆動ハウジングに配置されるという点において、高度の組み立て易さを実現することができる。
【0028】
特に省スペースで自動車両に特に有利な駆動を実現することを可能にするために、本発明のさらなる実施形態では、電気駆動システムは、駆動ハウジングの内側に配置された第2のロータを有する第2の電気機械を有し、そこからギヤユニットを介してディファレンシャルギヤを駆動することができることを規定する。特に、ロータは、第2の機械の回転軸とも呼ばれる第2のロータの回転軸の周りで駆動ハウジングに対して回転することができる。例えば、第2の電気機械は第2のステータを備え、それによって第2のロータを駆動し、それによって第2のステータおよび駆動ハウジングに対して第2の機械の回転軸を中心に回転させることができる。特に、機械の回転軸は互いに平行に延び、互いに距離を置いて離隔していることが考えられる。
【0029】
電気駆動システムの設置スペース要件を特に低く保つために、本発明のさらなる実施形態では、第1の部分ギヤが、第2のロータと同軸に配置された第2の入力シャフトを備えることが規定される。特に、第2の入力シャフトは、第2の入力シャフトの回転軸とも呼ばれる第2の入力シャフトの回転軸の周りで駆動ハウジングに対して回転することができる。特に、第1の入力シャフトは、第1のロータによって駆動することができ、したがって、駆動ハウジングに対して第1の入力シャフト回転軸を中心に回転することができる。例えば、第1のロータは、ねじり剛性の方法で、特に恒久的に第1の入力シャフトに接続されるか、または接続することができる。代替的に、または追加的に、例えば、第2のロータは、ねじり剛性の方法で、特に恒久的に第2の入力シャフトに接続されるか、または接続することができる。特に、第2の入力シャフトは、第2のロータによって駆動され、それによって駆動ハウジングに対して第2の入力シャフト回転軸で回転することができる。
【0030】
好ましくは、第2の入力シャフトおよび第1のカウンタシャフトギヤと同軸に配置された第5のギヤホイールを備える第3の切換可能な平ギヤ対が設けられる。非常に好ましくは、第2の入力シャフトおよび第2のカウンタシャフトギヤホイールと同軸に配置された第6のギヤホイールを備える第4の切換可能な平ギヤ対が設けられる。第1の平ギヤ対または第2の平ギヤ対についての前後の説明は、第3の平ギヤ対および第4の平ギヤ対に容易に適用することができる。特に、第5のギヤホイールは、第1のカウンタシャフトギヤホイールと噛み合う。代替的または追加的に、第6のギヤホイールは、第2のカウンタシャフトギヤと噛み合う。特に、第1のギヤホイールおよび第2のギヤホイールに関する前述および後述の説明は、第5のギヤホイールおよび第6のギヤホイールに適用することができ、その逆も可能である。第5のギヤホイールおよび第6のギヤホイールならびに第2の入力シャフトもまた、好ましくは駆動ハウジングに配置される。
【0031】
設置スペース要件を特に低く保つために、本発明のさらなる実施形態では、第1のロータの回転軸、すなわち第1の機械の回転軸と、第2のロータの回転軸、すなわち第2の機械の回転軸とは、第2の共通平面に配置または走行されることが規定される。
【0032】
特に低い設置スペース要件を実現するために、第2の平面が第1の平面に対して少なくとも本質的に垂直に配置または走行する場合、特に有利であることが分かっている。
【0033】
本発明のさらなる特に有利な実施形態では、電気駆動システムは、第1のロータを冷却して潤滑するように設計された第1の油室を有する。また、電気駆動システムは、第1の油室とは別体に形成され、ギヤユニットおよびディファレンシャルを冷却および潤滑するための第2の油室を有することが好ましい。それぞれの油室は、特に、それぞれの油室に潤滑剤および/または冷却剤として作用する油が供給され得ることを意味し、特に、油がそれぞれの油室に導入され得るように、特に、油ミストおよび/または油溜めがそれぞれの油室に形成されるようにする。それぞれの油室に配置された構成要素は、例えば、油溜め内の跳ね返り、および/または少なくとも部分的に油ミストによって取り囲まれ、したがって、それぞれの油室に含まれる油が供給され、続いて油によって潤滑になる、および/または冷却される。これは、特に省スペースで必要に応じて冷却および潤滑を供給できることを意味する。
【0034】
特に省スペースで費用効果の高い方法で特に有利な潤滑および冷却を実現することを可能にするために、本発明のさらなる実施形態で、電気駆動システムは、第2の油室に油を供給するために、ギヤユニットによってまたはギヤユニットを介して、特に機械的に駆動することができる機械式オイルポンプを有し、機械式オイルポンプは、第1のカバーのギヤユニットとは反対側に配置されることが規定される。これは、油が第2の油室に供給され得るように、特に第1の油室に導入され得るように、オイルポンプによって油が搬送され得ることを意味する。
【0035】
機械式オイルポンプが、ポンプハウジングと、ポンプハウジングの内側に配置されたポンプインペラとを有し、ポンプインペラが、出力シャフトと同軸に配置されることが有利であり、第2の部分ギヤのシャフトに特に有利に接続されることが特に有利であることが示されている。したがって、例えば、ポンプインペラは、出力シャフトまたはそれと同軸に配置された第2の部分ギヤの別のシャフトによって機械的に駆動することができ、したがって、ハウジングに対して、特に出力シャフトの回転軸の周りで回転することができる。ポンプハウジングは、好ましくは、カバーとは別個にかつハウジングとは別個に形成され、少なくとも間接的に、特に直接的にハウジングの1つに接続される。
【0036】
電気駆動システムの設置スペース要件を特に低く保つために、本発明のさらなる実施形態では、油を冷却するための第1のオイルクーラがポンプハウジングの内部に配置されることが規定される。その結果、特に電気駆動システムの外形寸法を小さく保つことができ、同時に油を有利に冷却することができる。
【0037】
最終的に、電気駆動システムが、第1の油室に油を供給するための冷却モジュールを有する場合、特に有利であることが示されている。これにより、冷却モジュールは電動ポンプを有し、電動ポンプによって油を第1の油室に供給することができ、すなわち第1の油室に搬送することができる。電動ポンプは、電気的に駆動可能である。特に、これは、電動ポンプが第2のポンプインペラおよび電気モータを有し、それによって第2のポンプインペラを駆動して、油を第1の油室に、特に第1の油室の中に搬送することができることを意味すると理解することができる。さらに、冷却モジュールは、特に電動ポンプによって搬送される油を冷却するために使用することができる第2のオイルクーラを有することが好ましい。冷却モジュールは、アクスルハウジングのギヤユニットとは反対を向く側に配置され、これは、設置スペース要件を特に低く保つことができることを意味する。
【0038】
本発明による電気駆動システムを有し、したがって電気駆動システムによって、特に純粋に電気的に駆動することができる、好ましくは自動車、特に商用車両として設計された自動車両も開示される。電気駆動システムの利点および有利な実施形態は、自動車両の利点および有利な実施形態とみなされるべきであり、逆もまた同様である。
【0039】
好ましくは、例えば、機械式オイルポンプによって送達された油を特に第2の油室に案内し、特に第2の油室に分配するために、油が流れることができる少なくとも1つまたは複数のオイルチャネルが第1のカバーの内側および駆動ハウジングの内側に延在するように規定される。
【0040】
少なくとも第1のロータ、特にロータに、特に電動オイルポンプによって搬送される油を供給するために、例えばオイルホースとして設計され、電動オイルポンプによって搬送される油が流れることができる少なくとも1つまたは複数のライン要素が、冷却モジュールから少なくとも第1のロータ、特にロータに導かれることも考えられる。特に、特に電動オイルポンプによって搬送される油をステータ巻線ヘッドに供給するために、1つまたは複数のライン要素が冷却モジュールからステータの巻線ヘッドに通じることが考えられる。したがって、それぞれのライン要素は、それぞれのロータおよびそれぞれのステータのステータ巻線ヘッドに油を供給するために使用される。さらに、例えばオイルホースとして設計され、例えばロータおよびステータ巻線ヘッドから油を排出し、特に冷却モジュールに戻すための戻りラインとして使用される少なくとも1つまたは複数のさらなるライン要素が設けられることが考えられる。さらに、例えば、ホースとして設計された、またはホースとも呼ばれる、特に水用ホースとして設計されたライン、または特に冷却モジュールからの少なくとも1つのラインが、1つまたは複数のステータに通じ、それによって、特に水および好ましくは液体を含む冷却剤がラインを通って流れることができ、それによって、例えばそれぞれのステータに冷却剤を供給することができ、それによって冷却することができる。これにより、特に有利なステータの冷却が可能になる。
【0041】
機械式オイルポンプのポンプハウジングに配置された第1のオイルクーラは、機械式オイルポンプの別個のオイルクーラであり、その結果、機械式ポンプによって搬送され、特に第2の油室に搬送される油は、第1のオイルクーラによって冷却することができる。言い換えれば、機械式ポンプによって搬送される油は、特に機械式オイルポンプから第2の油室への途中で第1のオイルクーラを通って流れることができ、その結果、機械式オイルポンプによって搬送される油は、第1のオイルクーラによって機械式オイルポンプから第2の油室への途中で冷却される。
【0042】
本開示の文脈において、駆動ハウジングの内部に完全に配置される要素は、これらの要素が駆動ハウジングのフランジ半体によって画定されるフランジ面を通って駆動ハウジングから部分的に突出するのではなく、ハウジング壁およびフランジ面によって画定される駆動ハウジングの空間の内部に完全に配置されることを意味すると理解されるべきである。第3の切換可能な平ギヤ対および第4の切換可能な平ギヤ対ならびに遊星ギヤセットもまた、駆動ハウジング内部に完全に配置されることが好ましい。特に、前述のフランジ半体は、前述のフランジとして理解されるべきであり、したがって、それぞれのフランジは、フランジ半体の各々であるか、またはフランジ半体の各々を形成する。
【0043】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好ましい例示的な実施形態の以下の説明および図面から見ることができる。本発明の範囲から逸脱することなく、説明において上述した特徴および特徴の組み合わせ、ならびに図面の説明において後述する特徴および特徴の組み合わせ、ならびに/または図面に単独で示される特徴および特徴の組み合わせは、それぞれの場合に示される組み合わせだけでなく、他の組み合わせで、または単独でも使用され得る。
【0044】
図面は以下のように示されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】自動車両用の電気駆動システムを概略的に表したものを示す。
図2】駆動システムの概略側面図を示す。
図3】電気駆動システムをさらに概略的に表したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
同一または機能的に同一の要素は、図面において同じ参照符号で示されている。
【0047】
図1は、自動車両用の電気駆動システム10を概略的に表したものを示す。これは、好ましくは自動車、特に商用車両として設計される自動車両が、完全に製造された状態で電気駆動システム10を有し、電気駆動システム10によって電気的に、特に純粋に電気的に駆動され得ることを意味する。図1から、駆動システム10は、車両車軸とも呼ばれる自動車両の車軸12の一部であることが分かる。車軸12は、特に車両の横方向において自動車両の両側に配置された、車輪とも呼ばれる少なくともまたは正確に2つの車輪14を有する。車両の横方向は、y方向とも呼ばれることがあり、図1では二重矢印16で示されている。車輪14、したがって自動車両1は、電気駆動システム10によって、特に純粋に電気的に駆動することができ、したがって、例えば図1の矢印18によって示されるように、特に図に詳細に示されていない自動車両の構造に対して回転することができる。
【0048】
電気駆動システム10は、第1のステータ22および第1のロータ24を有する第1の電気機械20を有する。さらに、図示の実施形態では、駆動システム10は、第2のステータ28および第2のロータ30を有する第2の電気機械26を有する。明確にするために、また、電気機械20および26は、特に自動車両の運転に関して、それらの機能に関して非常に類似しているか、または同一でさえあるため、電気機械20および26は、図1には別々には示されていないが、合同的に示されている。第1のロータ24は、第1のステータ22によって駆動可能であり、駆動システム10のハウジング装置34に対して第1の機械の回転軸32を中心に回転可能である。第2のロータ30は、第2のステータ28によって駆動されることができ、ハウジング装置34に対して第2の機械の回転軸36を中心に回転されることができる。明確かつ簡単にするために、機械の回転軸32および36は、図1に合同的に、すなわち一致するように示されている。しかしながら、実際には、電気機械20および26は別個の構成要素であるため、電気機械26は電気機械20に加えて設けられ、逆もまた同様である。これにより、ロータ24および30は、互いに平行に軸方向にオフセットして配置され、その結果、機械の回転軸32および36は実際には一致せず、互いに距離を置いて離隔され、互いに平行に延びる。それぞれの機械の回転軸32または36は、それぞれのロータ24または30のそれぞれの回転軸とも呼ばれる。それぞれの電気機械20または26は、特に車輪14、したがって自動車両を駆動するために、特に純粋に電気的に、そのそれぞれのロータ24または30を介してトルクを供給することができる。駆動システム10は、車軸12に関連付けられ、2つの電気機械20および26に割り当てられたディファレンシャル38をさらに有し、これは単に「ディファレンシャル」とも呼ばれる。図に示す実施形態では、ディファレンシャル38はベベルギヤディファレンシャルとして設計されている。ディファレンシャル38は、車軸12の一部である。ディファレンシャル38は、例えば入力平ギヤの形態のディファレンシャルギヤ40を有し、これを介して、それらのロータ24、30を介して電気機械20、26によって供給されるトルクをディファレンシャル38に導入することができ、それによってディファレンシャル38を駆動することができる。言い換えれば、電気機械20および26は、特に前述のトルクによって、それらのロータ24および30を介してディファレンシャルギヤ40、したがってディファレンシャル38を駆動することができ、それによってディファレンシャルギヤ40またはディファレンシャル38全体を、ハウジング装置34に対してディファレンシャルギヤ回転軸42を中心に回転させることができる。ディファレンシャルギヤ回転軸42は、ディファレンシャルギヤ40の回転軸とも呼ばれる。
【0049】
ここで、有利には、ディファレンシャルギヤ回転軸42は、機械の回転軸32、36と平行に延在し、機械の回転軸32、36から離隔していることが規定される。それらのロータ24および30を介して電気機械20および26によって供給されるトルクを、ディファレンシャル38を介して車輪14に伝達することができ、特に分割または分配することができ、その結果、車輪14をディファレンシャル38によって駆動することができ、ディファレンシャル38を介してロータ24および30によって駆動することができることが分かる。ディファレンシャル38は、特にねじり剛性の方法でディファレンシャルギヤ40に恒久的に接続され、したがってディファレンシャルギヤ40と共にハウジング装置34に対してディファレンシャルギヤ回転軸42を中心に回転することができるディファレンシャルケージ41を有する。この場合、ディファレンシャル38は、ベベルギヤの形態の出力ギヤ44および46を有する。出力ギヤ44、46の第1の出力ギヤ44は、第1の車軸シャフト48にねじり剛性の方法で特に恒久的に接続され、それにより、図1の画像平面に対して左側の車輪14は、車軸シャフト48を介して第1の出力ギヤ44によって駆動され得る。出力ギヤ44、46の第2の出力ギヤ46は、第2の車軸シャフト50にねじり剛性の方法で特に恒久的に接続され、その結果、図1の画像平面に対して右側の車輪14は、車軸シャフト50を介して第2の出力ギヤ46によって駆動され得る。出力ギヤ44および46は、例えばベベルギヤとして設計されたディファレンシャル38の補償ギヤ52および54と噛み合う。補償ギヤ52および54は、ハウジング装置34に対してディファレンシャルギヤ回転軸42を中心としてディファレンシャルケージ41およびディファレンシャルギヤ40と共に回転することができるように、ディファレンシャルケージ41に保持される。したがって、出力ギヤ44および46、ならびにそれらと共に車軸シャフト48および50は、補償ギヤ52および54によって、ならびにこれらを介してディファレンシャルケージ41およびディファレンシャルギヤ40によって駆動することができる。
【0050】
図に示す実施形態では、ディファレンシャル38は、有利には、ディファレンシャルロック56を有し、これにより、特に完全にディファレンシャル38をロックすることができ、それにより、補償ギヤ52および54ならびに出力ギヤ44および46は、次に、ディファレンシャルケージ41およびディファレンシャルギヤ40をブロックとして回転する。
【0051】
さらに、電気駆動システム10は、ディファレンシャル38に加えて設けられたギヤユニット58を有し、これは、それぞれの電気機械20または26から発するトルクの流れに関してロータ24および30とディファレンシャルギヤ40との間のトルクの流れに配置され、これを介してトルクをそれぞれのロータ24または30からディファレンシャル38に、それによってディファレンシャルギヤ40に伝達することができ、ディファレンシャルギヤ40を介してディファレンシャル38に導入され得る。これは、ギヤユニット58が、ロータ24および30の下流かつディファレンシャルギヤ40の上流のトルクの流れに配置されることを意味する。
【0052】
ギヤユニット58は、この場合には第1のロータ24によって駆動されることができ、したがってハウジング装置34に対して第1の入力シャフト回転軸62を中心に回転されることができる第1の入力シャフト60を有する。図1に示す実施形態の例では、第1の入力シャフト60が第1のロータ24と同軸に配置されるため、第1の入力シャフト回転軸62は第1の機械の回転軸32と一致する。特に、第1の入力シャフト60は、ねじり剛性の方法で、特に恒久的に、第1のロータ24に接続されるように規定される。
【0053】
図1に示す実施形態では第2の電気機械26も設けられているため、ギヤユニット58はまた、ハウジング装置34に対して第2の入力シャフト回転軸66を中心に回転することができる第2の入力シャフト64を有する。図1の簡略化した表現により、入力シャフト回転軸62および66は、一致して示されている。しかしながら、実際には、図2に示す側方の見え方で分かるように、入力シャフト回転軸62および66は互いに平行に延び、互いに距離を置いて離隔されることが意図されている。好ましくは、入力シャフト回転軸66が第2の機械の回転軸36と一致するように規定され、好ましくは、第2の入力シャフト64は第2のロータ30と同軸に配置される。特に、第2の入力シャフト64は、ねじり剛性の方法で、特に恒久的に、第2のロータ30に接続されているものと規定される。第2の入力シャフト64は、第2のロータ30によって駆動されることが可能であり、したがって、ハウジング装置34に対して第2の入力シャフト回転軸66を中心に回転されることが可能であることが規定される。
【0054】
ギヤユニット58はまた、入力シャフト60および64に対して平行および軸方向にオフセットして配置された出力シャフト68を有し、出力シャフトは、ハウジング装置34に対して出力シャフト回転軸70を中心に回転することができる。したがって、出力シャフト回転軸70は、機械の回転軸32および36と平行に、入力シャフト回転軸62および66と平行に延び、出力シャフト回転軸70は、機械の回転軸32および36から、ならびに入力シャフト回転軸62および66から距離を置いて離隔している。
【0055】
ギヤユニット58は、第1の入力シャフト60と同軸に配置された2つのギヤホイール72、74を有し、ギヤホイール72は第1のギヤホイールとも呼ばれ、ギヤホイール74は第2のギヤホイールとも呼ばれる。さらに、ギヤユニット58は、出力シャフト68と同軸に配置されたギヤホイール76および78を備え、ギヤホイール76は第3のギヤホイールとも呼ばれ、ギヤホイール78は第4のギヤホイールとも呼ばれる。図1に示す実施形態では、ギヤユニット58はまた、第5のギヤホイール80および第6のギヤホイール82を有する。ギヤホイール80および82は、第2の入力シャフト64と同軸に配置されている。
【0056】
電気駆動システム10はまた、車軸スライドインハウジングとも呼ばれる一体に形成された駆動ハウジング84を有する。電気機械20および26ならびにギヤユニット58はそれぞれ、少なくとも部分的に、特にいずれの場合も少なくとも主に、したがっていずれの場合も少なくとも半分を超えて、またはいずれの場合も完全に、駆動ハウジング84に収容される。
【0057】
さらに、駆動システム10は、好ましくは駆動ハウジング84とは別個に形成され、駆動ハウジング84に接続されるアクスルブリッジとも呼ばれるアクスルハウジング86を備える。ディファレンシャル38は、アクスルハウジング86に、特に完全に収容されている。第1のロータ24の回転軸とも呼ばれる第1の機械の回転軸32と、第2のロータ30の回転軸とも呼ばれる第2の機械の回転軸36と、出力シャフト68の回転軸とも呼ばれる出力シャフトの回転軸70と、ディファレンシャルギヤ40の回転軸とも呼ばれるディファレンシャルギヤの回転軸42とは、互いに平行に配置され、互いに軸方向にオフセットされ、したがって互いに平行に延び、互いに距離を置いて離隔される。
【0058】
さらに、駆動ハウジング84とアクスルハウジング86とは、第1のフランジ継手88によって互いに直接接続されるように規定される。第1のフランジ継手88は、駆動ハウジング84の正確に1つの第1のフランジ90と、アクスルハウジング86の正確に1つの第2のフランジ92とを備え、フランジ90および92は、第1のフランジ継手88の第1のフランジ面F1において互いに直接接続され、特に互いに直接ボルト締めされる。第1のフランジ継手88の第1のフランジ面F1は、ディファレンシャルギヤ回転軸42に平行であり、ディファレンシャルギヤ回転軸42から距離を置いて離隔されていることが分かる。さらに、好ましくは、第1のフランジ面F1は、機械の回転軸32および36に平行に、入力シャフトの回転軸62および66に平行に、出力シャフトの回転軸70に平行に延び、機械の回転軸32および36から、入力シャフトの回転軸62および66から、ならびに出力シャフトの回転軸70から距離を置いて離隔されることが規定される。
【0059】
ここで、電気駆動システム10の特にコンパクトな設計を実現することができるようにするために、第1のロータ24、第2のロータ30、ならびに特にギヤユニット58のすべてのギヤホイール72、74、76、78、80および82が完全に駆動ハウジング84内部に配置されることがさらに規定される。
【0060】
これにより、電気駆動システムは、第1のカバー94および第2のカバー96を備える。駆動ハウジング84およびアクスルハウジング86は、ハウジングまたはハウジング部品とも呼ばれ、駆動ハウジング84およびアクスルハウジング86は、ハウジング装置34の構成要素、したがってハウジングである。カバー94、96は、ハウジング装置34の構成要素でもあり、互いに別体に形成されており、ハウジングとは別体、すなわち、駆動ハウジング84と別体に、アクスルハウジング86と別体に形成されている。第1のカバー94は、駆動ハウジング84の第1の側S1に配置され、第2のカバー96は、駆動ハウジング84の第2の側S2に配置され、側S1およびS2は、ギヤユニット58の軸方向に、したがってそれぞれの入力シャフト回転軸62または66に沿って、出力シャフト回転軸70に沿って見たときに、互いに対向しているか、または互いに反対を向いていることが分かる。カバー94は、側S1に配置された駆動ハウジング84の第1の貫通孔開口部を完全に塞ぐ。また、第2の側S2に配置された駆動ハウジング84の第2の貫通孔開口部は、第2のカバー96によって完全に閉塞されている。
【0061】
第1のカバー94および駆動ハウジング84は、第2のフランジ継手98によって互いに直接接続されている。第2のフランジ継手98は、カバー94の正確に1つの第3のフランジ100と、アクスルハウジング84の正確に1つの第2の第4のフランジ102とを備え、フランジ100および102は、第2のフランジ継手98の第2のフランジ面F2において、互いに直接接続され、特に互いに直接ボルト締めされる。第2のカバー96と駆動ハウジング84とは、第3のフランジ継手104によって互いに直接接続されている。第3のフランジ継手104は、第2のカバー96の正確に1つの第5のフランジ106と、アクスルハウジング84の正確に1つの第6のフランジ108とを備え、フランジ106および108は、第3のフランジ継手104の第3のフランジ面F3において、互いに直接接続され、特に互いに直接ボルト締めされる。
【0062】
図1から、第2のフランジ継手98の第2のフランジ面F2および第3のフランジ継手104の第3のフランジ面F3が、ディファレンシャルギヤ回転軸42に対して垂直に延びることが分かる。
【0063】
また、第2のフランジ継手98の第2のフランジ面F2と、第3のフランジ継手104の第3のフランジ面F3とは、互いに平行で、離れて配置されている。
【0064】
ギヤユニット58は、ハウジング装置34に対してカウンタシャフト回転軸112を中心に回転することができるカウンタシャフト110を有する。カウンタシャフト回転軸112は、機械の回転軸32および63に平行に、入力シャフト回転軸62および66に平行に、出力シャフト回転軸70に平行に、ディファレンシャルギヤ回転軸42に平行に延び、機械の回転軸32および36から、入力シャフト回転軸62および66から、出力シャフト回転軸70から、およびディファレンシャルギヤ回転軸42から距離を置いて離隔していることが分かる。これにより、第1のギヤホイール72と、カウンタシャフト110と同軸に配置された第1のカウンタシャフトギヤ114とを備える、第1の切換可能な平ギヤ対117が設けられる。
【0065】
図1に示す実施形態では、第1のカウンタシャフトギヤ114は、ねじり剛性の方法でカウンタシャフト110に恒久的に接続されている。また、カウンタシャフトギヤホイール114は、第1のギヤホイール72と噛み合っている。言い換えると、ギヤホイール72は、第1のカウンタシャフトギヤ114と噛み合っている。
【0066】
さらに、第2の切換可能な平ギヤ対118が設けられ、第2の切換可能な平ギヤ対は、第2のギヤホイール74および第2のカウンタシャフトギヤ116を備える。第2のカウンタシャフトギヤ116は、カウンタシャフト110と同軸に、したがって第1のカウンタシャフトギヤ114と同軸に配置されている。図1に示す実施形態では、第2のカウンタシャフトギヤ116は、ねじり剛性の方法で、特に恒久的にカウンタシャフト110に接続されている。また、第2のギヤホイール74は、第2のカウンタシャフトギヤ116と噛み合っている。
【0067】
図1に示す実施形態では、第5のギヤホイール80と第1のカウンタシャフトギヤ114とを備える第3の切換可能な平ギヤ対120が設けられている。これにより、第5のギヤホイール80はカウンタシャフトギヤ114と噛み合い、好ましくは第5のギヤホイール80は第1のギヤホイール72と噛み合わない。さらに、第6のギヤホイール82と第2のカウンタシャフトギヤ116とを備える第4の切換可能な平ギヤ対122が設けられている。これにより、第6のギヤホイール82は、第2のカウンタシャフトギヤ116と噛み合い、好ましくは、第6のギヤホイール82が第2のギヤホイール74と噛み合わないように規定される。
【0068】
図1に示す実施形態では、ギヤホイール72、74、80、および82は、切換可能なアイドラギヤとして設計されている。あるいは、当業者に知られているように、カウンタシャフトギヤ114、116は、切換可能なアイドラギヤとして設計することもできる。2つのギヤホイールが互いに噛み合う切換可能な平ギヤ対の場合、2つの噛み合うギヤホイールの少なくとも一方は切換可能なアイドラギヤとして設計されなければならず、これらの2つのギヤホイールの他方は通常固定のギヤとして設計されることが、当業者に知られている。
【0069】
図1に示す実施形態では、ギヤホイール72および74は、第1の入力シャフト60と同軸に回転可能に配置され、ギヤホイール80および82は、第2の入力シャフト64と同軸に回転可能に配置される。
【0070】
少なくとも第1の結合状態、少なくとも第2の結合状態、および少なくとも第1の分離状態の間で切り換えることができる第1の切換装置124が、アイドラギヤとして設計されたギヤホイール72および74に割り当てられる。第1の結合状態では、第1のギヤホイール72は、切換装置124によってねじり剛性の方法で入力シャフト60に結合され、第2のギヤホイール74は、入力シャフト60に対して入力シャフト回転軸62を中心にして回転することができる。第2の結合状態では、ギヤホイール74は、切換装置124によってねじり剛性の方法で入力シャフト60に結合され、ギヤホイール72は、入力シャフト60に対して入力シャフト回転軸62を中心にして回転することができる。第1の分離状態では、両方のギヤホイール72および74は、入力シャフト60に対して入力シャフト回転軸62を中心に回転することができる。このように、本実施形態では、第1の切換装置124は、両ギヤホイール72、74の複合切換装置として構成されている。あるいは、それ自体も既知の方法で、2つのギヤホイール72および74の各々にそれ自体の切換装置を設けることができる。
【0071】
第3の結合状態、第4の結合状態および第2の分離状態の間で切換可能な第2の切換装置126が、アイドラギヤとして設計されたギヤホイール80および82に割り当てられている。第3の結合状態では、第5のギヤホイール80は、切換装置126によってねじり剛性の方法で入力シャフト64に結合され、第6のギヤホイール82は、入力シャフト64に対して入力シャフト回転軸62を中心に回転することができる。第4の結合状態では、第5のギヤホイール82は、切換装置126によってねじり剛性の方法で入力シャフト64に結合され、第6のギヤホイール80は、入力シャフト64に対して入力シャフト回転軸66を中心に回転することができる。第2の分離状態では、両方のギヤホイール80および82は、入力シャフト64に対して入力シャフト回転軸66を中心に回転することができる。特に、例えば、それぞれの切換装置124、126は、それぞれのセレクタスリーブを備え、これは特に、それぞれの入力シャフト60、64に対してそれぞれの入力シャフト回転軸62、66に沿って、特にそれぞれの結合状態をもたらすそれぞれの結合位置とそれぞれの分離状態をもたらすそれぞれの分離位置との間で移動することができる。
【0072】
さらに、好ましくは、カウンタシャフト回転軸110とも呼ばれるカウンタシャフト112の回転軸、出力シャフト回転軸70、およびディファレンシャルギヤ回転軸42は、第1の共通平面に配置されることが規定される。
【0073】
ギヤユニット58は、少なくとも第1の切換可能な平ギヤ対117と第2の切換可能な平ギヤ対118とを備える第1の部分ギヤ128を有する。図1に示す実施形態では、第1の部分ギヤ128が、第3の切換可能な平ギヤ対120および第4の切換可能な平ギヤ対122も備える場合がある。
【0074】
カウンタシャフト110ならびにカウンタシャフトギヤ114および116もまた、特にいずれの場合も完全に駆動ハウジング84に配置されていることが分かる。
【0075】
図1に示す実施形態では、ギヤユニット58はまた、トルクの流れに配置され、トルクの流れに対して第1の部分ギヤ128の下流に接続された第2の部分ギヤ130を有する。これは、部分ギヤ128および130がトルクの流れに配置され、部分ギヤ130が部分ギヤ128の下流かつディファレンシャルギヤ40の上流に配置されていることを意味する。
【0076】
第2の部分ギヤ130は、出力シャフト68と、特に有利には、出力シャフト68と同軸に配置された遊星ギヤセット132とを備える。
【0077】
遊星ギヤセット132は、順次、特に有利には、出力シャフト68と同軸に配置された正確に1つのサンギヤ134を有する。サンギヤ134は、ねじり剛性の方法でサンギヤシャフト135に恒久的に接続されるか、または接続することができる。遊星ギヤセット132はまた、スパイダとも呼ばれる正確に1つのリングギヤ136および正確に1つの遊星キャリア138を有し、リングギヤ136は第2の伝達要素であり、遊星キャリア138は遊星ギヤセット132の第3の伝達要素である。遊星ギヤセット132の伝達要素は、互いに同軸に配置され、特に、それらがねじり剛性の方法でハウジング装置34に接続されていない場合、ハウジング装置34に対して遊星ギヤセット回転軸140を中心に回転することができる。さらに、特に、伝達要素がねじり剛性の方法で互いに接続されていない場合、伝達要素は、遊星ギヤセットの回転軸140を中心にして互いに対して回転することができる。伝達要素は互いに同軸に、出力シャフト68と同軸に配置されているため、遊星ギヤセットの回転軸140は出力シャフトの回転軸70と一致する。
【0078】
図1に示す実施形態では、遊星キャリア138は、ねじり剛性の方法で出力シャフト68に恒久的に接続されている。これにより、出力シャフト68は、ソーラーギヤシャフト135が通過する中空シャフトである。リングギヤ136は、有利には、第2の中空シャフトとして設計されるか、または特に、ねじり剛性の方法で第2の中空シャフトに恒久的に接続され、それによって、サンギヤシャフト135はまた、有利にも、第2の中空シャフトを通過する。
【0079】
第3の切換装置142は、好ましくは、遊星ギヤセット132に割り当てられる。第3の切換装置142によって、遊星ギヤセット132は、遊星ギヤセットによって2つの異なるギヤ比を表すことができるように切換えることができる。好ましくは、第3の切換装置によって、一方では遊星ギヤセット132のロックと呼ばれる遊星ギヤセット132の要素の2つの要素のねじれ剛性接続と、他方では遊星ギヤセットの要素の1つの要素のハウジング装置34へのねじれ剛性接続との2つの切換状態を実現することができる。
【0080】
図1に示す実施形態では、第3の切換装置142は、少なくとも第5の結合状態、少なくとも第6の結合状態、および少なくとも第3の分離状態の間で切換えることができる。第5の結合状態では、リングギヤ136は、第3の切換装置142によって、特に第2の中空シャフトを介してねじり剛性の方法でハウジング装置34、特に駆動ハウジング84に接続され、特に一方で、サンギヤ134および遊星キャリア138は、遊星ギヤセット回転軸140を中心にして、互いに対して、およびハウジング装置34に対して、およびリングギヤ136に対して回転することができる。したがって、第5の結合状態では、リングギヤ136はハウジング装置34にねじり剛性の方法で接続されているため、切換装置142は、第5の結合状態では、ブレーキまたはブレーキ切換要素であり、あるいはブレーキまたはブレーキ切換要素として機能する。
【0081】
第6の結合状態では、サンギヤ134は、第3の切換装置142によって、特にサンギヤシャフト135を介してねじり剛性の方法でリングギヤ136に接続され、その結果、第6の結合状態では、遊星ギヤセット132、すなわち遊星ギヤセット132の伝達要素は、切換装置142によって一緒にロックされる。したがって、第6の結合状態では、切換装置142は、遊星ギヤセット132の伝達要素が一緒にロックされるロック切換要素であるか、またはロック切換要素として機能し、その結果、特に遊星ギヤセット132が、特にサンギヤ134を介して駆動されると、伝達要素は一緒に回転し、したがってブロックとして回転し、したがってハウジング装置134に対して遊星ギヤセット回転軸140を中心に一緒に回転する。
【0082】
しかしながら、第3の分離状態では、リングギヤ136は、第3の切換装置142によってねじり剛性の方法でハウジング装置34またはサンギヤ134のいずれにも接続されておらず、その結果、第3の分離状態では、第3の切換装置142は、遊星ギヤセット132の伝達要素間、特に対で、遊星ギヤセットの回転軸140を中心とした相対回転を可能にする。遊星ギヤセット132はまた、スパイダに回転可能に保持された遊星ギヤ144を有することが分かる。それぞれの遊星ギヤ144は、リングギヤ136およびサンギヤ134と噛み合っている。
【0083】
図1に示す実施形態では、第3のギヤホイール76は、特に恒久的にねじり剛性の方法でサンギヤシャフト135に接続されるか、または接続することができる。さらに、第4のギヤホイール87は、ねじり剛性の方法で、特に恒久的に出力シャフト68に接続されているか、または接続することができる。第3のギヤホイール76は、ギヤユニット58の出力ギヤホイール146と噛み合い、出力ギヤホイール146は、単に出力ギヤとも呼ばれ、ねじり剛性の方法で、特に恒久的にカウンタシャフト110に接続されるか、または接続することができる。
【0084】
サンギヤシャフト135は、駆動ハウジング84に少なくとも部分的に収容されていることが分かる。ギヤホイール76および78ならびに出力ギヤ146もまた、特にいずれの場合も完全に駆動ハウジング84に収容される。遊星ギヤセット132、したがってその伝達要素もまた、特に完全に駆動ハウジング84に収容される。さらに、カウンタシャフト110は、それぞれのカウンタシャフトギヤ114、116を介してそれぞれのギヤホイール72、74、80、82によって駆動することができ、それぞれのギヤホイール72、74、80、82は、入力シャフト60、64によって、したがって特に切換装置124、126を介してロータ24、30によって駆動することができることが分かる。
【0085】
これにより、出力ギヤ146をカウンタシャフト110によって駆動することができ、第3のギヤホイール76を出力ギヤ146によって駆動することができ、サンギヤシャフト135を第3のギヤホイール76によって駆動することができる。したがって、それぞれの電気機械20、26によってそのロータ24、30を介して供給されるそれぞれのトルクは、ギヤホイール76を介してサンギヤシャフト135に、これを介してサンギヤ134に伝達することができ、それによってサンギヤシャフト135、したがってサンギヤ134を駆動することができ、したがってハウジング装置34に対して遊星ギヤセット回転軸140を中心に回転させることができる。
【0086】
したがって、第3のギヤホイール76は、第2の部分ギヤ130の入力ギヤである。それぞれの電気機械20、26によって供給されるそれぞれのトルクは、この入力ギヤを介して第2の部分ギヤ130に導入することができる。
【0087】
第4のギヤホイール78は、第2の部分ギヤ130の出力ギヤである。それぞれの電気機械20、26によって供給されるそれぞれのトルクは、この出力ギヤを介して部分ギヤ130から伝達することができ、特に、ディファレンシャルギヤ40に伝達することができ、したがってディファレンシャルギヤ40を介してディファレンシャル38に導入することができ、それによってディファレンシャルギヤ40またはディファレンシャル38を駆動することができ、したがってハウジング装置34に対してディファレンシャルギヤ回転軸42を中心に回転させることができる。
【0088】
設置スペース要件を特に低く保つことができるように、遊星ギヤセット132は、少なくとも第1のロータ24に対して、好ましくは第2のロータ30に対しても、軸方向に重なるように配置される。さらに、好ましくは、第1のロータ24の回転軸とも呼ばれる第1の機械の回転軸32と、第2のロータ30の回転軸とも呼ばれる第2の機械の回転軸36とが、共通の第2の平面に配置されるように規定される。好ましくは、第1の平面および第2の平面は互いに垂直に規定される。iとも呼ばれるギヤ比は、好ましくは、ディファレンシャルギヤ40からそれぞれの車軸シャフト48、50に向かって開始して1と見なされ、その結果、特にディファレンシャルロック56が作動したときに、ディファレンシャルギヤ40および車軸シャフト48、50が好ましくは同じ速度で回転する。
【0089】
この場合、第1の部分ギヤ128はまた、カウンタシャフト110と、カウンタシャフトギヤ114および116と、出力ギヤホイール146とを備え、したがって順次出力ギヤとも呼ばれる第1の部分ギヤ128の出力ギヤである。したがって、それぞれの電気機械20、26によって供給されるそれぞれのトルクは、出力ギヤ146を介して第1の部分ギヤ128から伝達され、ギヤホイール76に伝達され、これを介して第2の部分ギヤ130に導入される。
【0090】
上述の第1の共通平面は、図2に見ることができ、E1と呼ばれる。第2の共通平面は、図2にも見ることができ、E2と呼ばれる。
【0091】
図3から、電気駆動システム10は、ロータ24および30を冷却して潤滑するように設計された第1の油室148を有することが分かる。電気駆動システム10はまた、ギヤユニット58およびディファレンシャル38を冷却および潤滑するために形成された、第1の油室148とは別個に形成された第2の油室150を備える。これは、特に、油室148および150にそれぞれ潤滑剤および冷却剤を油の形態で、特に油をそれぞれの油室148、150に導入することができるように供給することができることを意味する。好ましくは、第1の油室148には第1のオイル供給システムが設けられ、第2の油室150には第1のオイル供給システムとは別の第2のオイル供給システムが設けられる。
【0092】
あるいは、ここには示されていないが、それぞれの油室148、150が供給される油は、それぞれの油室148、150を介してまたはそれぞれの油室148、150を通ってロータ24および30に、またはギヤユニット58およびディファレンシャル38に導かれ、それによってロータ24および30、ギヤユニット58およびディファレンシャル38に油を供給し、それによってそれらを潤滑および冷却することができる。この代替形態では、両方の油室148、150は、同一の油供給システムによって供給される。
【0093】
図3に示す実施形態では、電気駆動システム10は、ギヤユニット58によって、特に機械的に駆動することができ、それによって第2の油室150に油を供給することができる機械式オイルポンプ152を有する。これは、機械式オイルポンプ152を駆動することによって、油を、またはさらに、特に第2の油室150に、および/または油室150を通って搬送することができることを意味する。これにより、オイルポンプ152は、図3に概略的に示されるポンプインペラ154を有し、これは、ハウジング装置34に対してポンプインペラ回転軸156を中心に回転することができる。ポンプインペラ154は、ギヤユニット58によって機械的に駆動され、したがって、ハウジング装置34に対してポンプインペラ回転軸156を中心に回転することができ、それによって、油が搬送され、第2の油室150に、ポンプインペラ154によって搬送された油が供給される。これは、ポンプインペラ154を駆動することにより、ポンプインペラ154によって油が搬送されることを意味する。機械式オイルポンプ152は、ハウジング装置34の構成要素とすることができるポンプハウジング158を有する。ポンプハウジング158は、駆動ハウジング84とは別個に、アクスルハウジング86とは別個に、またカバー94および96とも別個に形成されることが有利である。例えば、ポンプハウジング158は、特に直接的に、駆動ハウジング84に接続される。これにより、ポンプインペラ154は、ポンプハウジング158に、特に回転可能に収容される。
【0094】
図示の実施形態では、ポンプインペラ154は、ねじり剛性の方法でサンギヤシャフト135に恒久的に接続される。したがって、ポンプインペラ154は、ポンプインペラ回転軸156が出力シャフト回転軸70および遊星ギヤセット回転軸140と一致するように、出力シャフト68またはサンギヤシャフト135と同軸に配置される。
【0095】
さらに、図1および図3から、機械式オイルポンプ152、したがってポンプハウジング158、および好ましくはポンプインペラ154も、ギヤユニット58とは反対側の第1のカバー94の側S1、したがって側S3に配置されることが分かる。したがって、カバー94は、好ましくは、ポンプインペラ回転軸156の方向に見て、ポンプハウジング158と駆動ハウジング84との間に、したがって好ましくはポンプインペラ154と駆動ハウジング84との間にも配置される。これは、例えば、ポンプハウジング158が、特に第4のフランジ継手によって、および/または例えばポンプインペラ回転軸156に垂直に延びる第4のフランジ面で、特に直接的にカバー94に接続されることが特に考えられることを意味する。さらに、好ましくは、図に示されていない別個のオイルクーラが機械式オイルポンプ152のポンプハウジング158に配置され、それによって、ポンプインペラ154によって、したがって機械式オイルポンプ152によって搬送される油を、特にポンプインペラ154またはオイルポンプ152から第2の油室150への途中で冷却することができることが規定される。
【0096】
さらに、電気駆動システム10は、機械式オイルポンプ152に加えて設けられた冷却モジュール160を有し、それは、アクスルハウジング86のギヤユニット58とは反対を向く側S4に配置され、側S4は、側S1、S2、およびS3から外方を向く。特に、冷却モジュール160は、ハウジング装置134とは別個に、カバー94および96とは別個に形成されることが考えられる。例えば、冷却モジュール160は、特にアクスルハウジング86に直接接続される。冷却モジュール160は、好ましくは、電動オイルポンプとも呼ばれる、図示されていない電動ポンプを有する。油は、電動ポンプによって、特に第1の油室148に搬送することができる。すなわち、電動オイルポンプによって油を搬送することができるので、電動オイルポンプによって搬送された油を第1の油室148に供給することができる。言い換えれば、電動ポンプ、したがって冷却モジュール160は、したがって第1の油室148に油を供給するように設計されている。冷却モジュール160は、特に第1のオイルクーラに加えて設けられた第2のオイルクーラを有し、これにより、電動オイルポンプによって搬送された油を、特に第1の油室148への途中で冷却することができる。第1の油室148と第2の油室150とは、2つの油室148、150の一方から2つの油室148、150の他方へ油を交換できないように、完全に分離されていることが好ましい。2つの油室148、150には、異なる種類の油が用いられることが好ましい。
【符号の説明】
【0097】
10 電気駆動システム
12 車軸
14 車輪
16 二重矢印
18 矢印
20 第1の電気機械
22 第1のステータ
24 第1のロータ
26 第2の電気機械
28 第2のステータ
30 第2のロータ
32 第1の機械の回転軸
34 ハウジング装置
36 第2の機械の回転軸
38 ディファレンシャル
40 ディファレンシャルギヤ
41 ディファレンシャルケージ
42 ディファレンシャルギヤ回転軸
44 出力ギヤ
46 出力ギヤ
48 車軸シャフト
50 車軸シャフト
52 補償ギヤ
54 補償ギヤ
56 ディファレンシャルギヤ
58 ギヤユニット
60 第1の入力シャフト
62 第1の入力シャフト回転軸
64 第2の入力シャフト
66 第2の入力シャフト回転軸
68 出力シャフト
70 出力シャフト回転軸
72 第1のギヤホイール
74 第2のギヤホイール
76 第3のギヤホイール
78 第4のギヤホイール
80 第5のギヤホイール
82 第6のギヤホイール
84 駆動ハウジング
86 アクスルハウジング
88 第1のフランジ継手
90 第1のフランジ
92 第2のフランジ
94 第1のカバー
96 第2のカバー
98 第2のフランジ継手
100 第3のフランジ
102 第4のフランジ
104 第3のフランジ継手
106 第5のフランジ
108 第6のフランジ
110 カウンタシャフト
112 カウンタシャフト回転軸
114 カウンタシャフトギヤ
116 カウンタシャフトギヤ
117 第1の平ギヤ対
118 第2の平ギヤ対
120 第3の平ギヤ対
122 第4の平ギヤ対
124 切換装置
126 切換装置
128 第1の部分ギヤ
130 第2の部分ギヤ
132 遊星ギヤセット
134 サンギヤ
135 サンギヤシャフト
136 リングギヤ
138 遊星キャリア
140 遊星ギヤセットの回転軸
142 切換要素
144 遊星ギヤ
146 出力ギヤ
148 第1の油室
150 第2の油室
152 機械式オイルポンプ
154 ポンプインペラ
156 ポンプインペラ回転軸
158 ポンプハウジング
160 冷却モジュール
E1 第1の平面
E2 第2の平面
F1 第1のフランジ面
F2 第2のフランジ面
F3 第3のフランジ面
S1 第1の側面
S2 第2の側
S3 第3の側
S4 第4の側
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の電気駆動システム(10)であって、
第1の電気機械(20)によってトルクを供給することができる第1のロータ(24)を有する第1の電気機械(20)と、
前記トルクをディファレンシャル(38)に導入することができるディファレンシャルギヤ(40)を有するディファレンシャル(38)と、
前記ディファレンシャル(38)に加えて設けられ、前記第1の電気機械(20)から発するトルクの流れに対して前記第1のロータ(24)と前記ディファレンシャルギヤ(40)との間のトルクの流れに配置され、前記トルクを前記第1のロータ(24)から前記ディファレンシャルギヤ(40)に伝達でき、前記ディファレンシャルギヤ(40)を介して前記ディファレンシャル(38)および第1の入力シャフト(60)と、前記第1の入力シャフト(60)に平行で軸方向にオフセットして配置された出力シャフト(68)と、前記第1の入力シャフト(60)と同軸に配置された少なくとも2つのギヤホイール(72、74)、すなわち第1のギヤホイール(72)および第2のギヤホイール(74)と、前記出力シャフト(68)と同軸に配置された2つのギヤホイール(76、78)、すなわち第3のギヤホイール(76)および第4のギヤホイール(78)とに導入することができるギヤユニット(58)と、
一体に形成された駆動ハウジング(84)であって、前記第1の電気機械(20)および前記ギヤユニット(58)がそれぞれ少なくとも部分的に収容された、駆動ハウジング(84)と、
前記ディファレンシャル(38)が収容されるアクスルハウジング(86)と
を備え、
前記第1のロータ(24)の回転軸(32)、前記出力シャフト(68)の回転軸(70)、および前記ディファレンシャルギヤ(40)の回転軸(42)は、互いに平行に、軸方向にオフセットして配置され、
前記駆動ハウジング(84)および前記アクスルハウジング(86)は、第1のフランジ継手(88)によって互いに直接接続され、
前記第1のフランジ継手(88)の第1のフランジ面(F1)は、前記ディファレンシャルギヤ(40)の前記回転軸(42)と平行に配置されており、
前記第1のロータ(24)と前記ギヤユニット(58)の前記ギヤホイール(72、74、76、78)とは、完全に前記駆動ハウジング(84)内部に配置され、
第1のカバー(94)および第2のカバー(96)が設けられ、
前記第1のカバー(94)および前記駆動ハウジング(84)は、第2のフランジ継手(98)によって互いに直接接続され、
前記第2のカバー(96)および前記駆動ハウジング(84)は、第3のフランジ継手(104)によって互いに直接接続され、
前記第2のフランジ継手(98)の第2のフランジ面(F2)および前記第3のフランジ継手(104)の第3のフランジ面(F3)は、前記ディファレンシャルギヤ(40)の前記回転軸(42)に対して垂直に配置される
ことを特徴とする、自動車両用の電気駆動システム(10)。
【請求項2】
前記ギヤユニット(58)は、前記第1の入力シャフト(60)に平行で軸方向にオフセットして配置され、前記出力シャフト(68)に平行で軸方向にオフセットして配置されたカウンタシャフト(110)を有し、前記第1のギヤホイール(72)と、前記カウンタシャフト(110)と同軸に配置された第1のカウンタシャフトギヤホイール(114)と、を備える第1の切換可能な平ギヤ対(117)が設けられ、前記第2のギヤホイール(74)と、前記カウンタシャフト(110)と同軸に配置された第2のカウンタシャフトギヤホイール(116)と、を備える第2の切換可能な平ギヤ対(118)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項3】
前記カウンタシャフト(110)の回転軸(112)、前記出力シャフト(68)の前記回転軸(70)、および前記ディファレンシャルギヤ(40)の前記回転軸(42)は、第1の共通平面(E1)に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項4】
前記ギヤユニット(58)は、前記第1の平ギヤ対(117)および前記第2の平ギヤ対(118)を備える第1の部分ギヤ(128)と、前記トルクの流れに配置され、前記トルクの流れに対して前記第1の部分ギヤ(128)の下流に接続された第2の部分ギヤ(130)とを有し、前記第2の部分ギヤは、前記出力シャフト(68)と、前記出力シャフト(68)と同軸に配置された遊星ギヤセット(132)とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項5】
前記遊星ギヤセット(132)は、前記第1のロータ(24)と軸方向に重なるように配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項6】
前記駆動ハウジング(84)の内側に配置された第2のロータ(30)を有する第2の電気機械(26)であって、そこから前記ギヤユニット(58)を介して前記ディファレンシャルギヤ(40)を駆動することができることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項7】
前記第1の部分ギヤ(128)は、前記第2のロータ(30)と同軸に配置された第2の入力シャフト(64)を備え、
前記第2の入力シャフト(64)と同軸に配置された第5のギヤ(80)と、前記第1のカウンタシャフトギヤ(114)と、を備える第3の切換可能な平ギヤ対(120)が設けられ、
前記第2の入力シャフト(64)と同軸に配置された第6のギヤ(82)と、前記第2のカウンタシャフトギヤ(116)と、を備える第4の切換可能な平ギヤ対(122)が設けられる
ことを特徴とする、請求項4に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項8】
前記第1のロータ(24)の前記回転軸(32)と前記第2のロータ(30)の回転軸(36)とは、第2の共通平面(E2)に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項9】
前記第2の共通平面(E2)は、前記第1の共通平面(E1)に対して垂直に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項10】
前記第1のロータ(24)を冷却および潤滑するために形成された第1の油室(148)と、前記第1の油室(148)とは別体に形成され、前記ギヤユニット(58)および前記ディファレンシャル(38)を冷却および潤滑するために形成された第2の油室(150)とを特徴とする、請求項9に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項11】
前記第2の油室(150)に油を供給するための機械式オイルポンプ(152)であって、前記第1のカバー(94)の前記ギヤユニット(58)とは反対を向く側(S3)に配置され、前記ギヤユニット(58)により駆動可能な機械式オイルポンプ(152)を特徴とする、請求項10に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項12】
前記機械式オイルポンプ(152)は、ポンプハウジング(158)と、前記ポンプハウジング(158)の内側に配置され、前記出力シャフト(68)と同軸に配置され、前記遊星ギヤセット(132)のシャフトにねじり剛性の方法で接続されたポンプインペラ(154)とを有することを特徴とする、請求項11に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項13】
前記油を冷却する第1のオイルクーラが前記ポンプハウジング(158)の内側に配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の電気駆動システム(10)。
【請求項14】
前記アクスルハウジング(86)の前記ギヤユニット(48)とは反対を向く側(S4)に配置され、前記第1の油室(148)に油を供給するための電動ポンプと第2のオイルクーラとを備える冷却モジュール(160)を特徴とする、請求項10に記載の電気駆動システム(10)。
【国際調査報告】