(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】波エネルギー変換装置
(51)【国際特許分類】
F03B 13/14 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
F03B13/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529163
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 US2022078276
(87)【国際公開番号】W WO2023091832
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511203466
【氏名又は名称】コロンビア パワー テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ハンマグレン、 エリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レニー-ブルーム、 プカ
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ-オハーン、 ケレン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】オンドゥスコ、 マイケル エル.
(72)【発明者】
【氏名】プルデル、 ジョセフ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ルンメル、 レオナード ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ツァン、 ツェ
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA12
3H074AA15
3H074BB11
3H074CC50
(57)【要約】
ナセルを含む中央本体を含む波エネルギー変換装置が提供される。このナセルは、少なくとも1つの動力取出装置を収容する。波エネルギー変換装置はまた、第1の側においてナセルに結合される第1のフロートアーム及び第1のフロートと、第2の側においてナセルに結合される第2のフロートアーム及び第2のフロートを含む。第1のフロートは、ナセルに回転可能に結合され、第1のフロート及び第1のフロートアームは、回転するように構成される第1の本体を形成し、第1の本体は、少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合され、第1の本体と中央本体との間の相対運動が、少なくとも1つの動力取出装置においてエネルギーを生成する。一実施形態では、中央本体は、低い予備浮力を有し、中央本体の予備浮力は、第1のフロート及び第2のフロートのいずれの予備浮力よりも低く、第1のフロートに対する中央本体のヒーブ応答を最小にして、波エネルギー変換装置の出力を増加させる。一実施形態では、中央本体は、ナセルから下方に延びるヨークと、ヨークのベース部に取り付けられる複数のラインと、複数のラインの各々の下部末端に取り付けられるヒーブプレートとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナセルを含む中央本体であって、前記ナセルは、第1の側、第2の側及び長手軸を有し、前記ナセルは、少なくとも1つの動力取出装置を収容する、中央本体と、
前記第1の側において前記ナセルに結合される第1のフロートアーム及び第1のフロートと、
前記第2の側において前記ナセルに結合される第2のフロートアーム及び第2のフロートと
を備える波エネルギー変換装置であって、
前記第1のフロートは、前記ナセルに回転可能に結合され、前記第1のフロート及び前記第1のフロートアームは、前記長手軸の周りを回転するように構成される第1の本体を形成し、
前記第1の本体は、前記第1の本体と前記中央本体との間の相対運動が前記少なくとも1つの動力取出装置においてエネルギーを生成するように、前記少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合され、
前記中央本体は、低い予備浮力を有し、
前記第1のフロートに対する前記中央本体のヒーブ応答を最小化して、前記波エネルギー変換装置の出力を増加させるように、前記中央本体の前記予備浮力は、前記第1のフロート及び前記第2のフロートのいずれの予備浮力よりも低い、波エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記第2のフロートは、前記ナセルに回転可能に結合され、前記第2のフロート及び前記第2のフロートアームは、前記長手軸の周りを回転するように構成される第2の本体を形成し、
前記第2の本体は、前記第2の本体と前記中央本体との間の相対運動が前記少なくとも1つの動力取出装置においてエネルギーを生成するように、前記少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合される、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項3】
前記中央本体は、前記第1のフロートが前記ナセルの前記第2の側に回転した場合に、前記第1のフロートが前記第1の側に自己復帰するように、低い予備浮力を有する、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項4】
前記中央本体は、前記第1のフロートが前記ナセルの前記第2の側に回転するか、又は前記第2のフロートが前記ナセルの前記第1の側に回転するかのいずれかの場合に、前記第1のフロート及び前記第2のフロートの両方がそれぞれの第1及び第2の側に自己復帰するように、低い予備浮力を有する、請求項2に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項5】
前記中央本体の少なくとも55%が静水位線の下に位置するように、前記中央本体の前記予備浮力は45%未満である、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項6】
前記ナセル、前記第1のフロート及び前記第2のフロートは、それぞれ実質的に円筒形の本体を有する、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項7】
前記第2のフロートアームは、前記第1のフロートアームよりも長い、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項8】
前記第1のフロートは、前記第2のフロート内にネスト可能である、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項9】
前記ナセルは、前記ナセルの第1の側から外向きに延びる第1の端部、及び前記ナセルの第2の側から外向きに延びる第2の端部を有するナセル管をさらに備え、
前記第1のフロートアームは、前記ナセル管の前記第1の側に回転可能に結合される一次的な第1のフロートアーム、及び前記ナセル管の前記第2の側に回転可能に結合される二次的な第1のフロートアームを含み、
前記第2のフロートアームは、前記ナセル管の前記第1の側に回転可能に結合される一次的な第2のフロートアーム、及び前記ナセル管の前記第2の側に回転可能に結合される二次的な第2のフロートアームを含む、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項10】
前記中央本体は、
前記ナセルから下方に延びる複数のラインと、
前記複数のラインに取り付けられるヒーブプレートと
をさらに備える、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項11】
前記中央本体は、前記ナセルから下方に延びるヨークをさらに備え、
前記複数のラインは前記ヨークのベース部に取り付けられ、前記複数のラインの各々は下部末端を有し、前記ヒーブプレートは前記複数のラインの各々の前記下部末端に取り付けられる、請求項10に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項12】
前記中央本体は、前記ヨークの長さに実質的に延びるヨークプレートをさらに備える、請求項11に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項13】
エネルギー貯蔵装置をさらに備え、
前記エネルギー貯蔵装置は、前記少なくとも1つの動力取出装置に結合されるように構成される、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項14】
前記ナセルから下方に延びる少なくとも1つのラインをさらに備え、
前記少なくとも1つのラインは、係留ライン及び電気光学機械(EOM)ケーブルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項15】
ベースユニットが前記波エネルギー変換装置と組み合わされており、
前記ベースユニットは、
前記ベースユニットを海底に位置決めするように構成される固定要素と、
前記固定要素に関連付けられるエネルギー貯蔵装置であって、前記電気光学機械ケーブルに結合されるように構成されるエネルギー貯蔵装置と、
前記固定要素に関連付けられるペイロードインターフェースユニットであって、電力、有線信号及び/又は無線信号を分配するように構成されるペイロードインターフェースユニットと
を備え、
前記波エネルギー変換装置と前記ベースユニットとを組み合わせることにより、発電、エネルギー貯蔵、及びリアルタイムデータ通信を提供することが可能な自律型洋上電力システム(AOPS)が形成される、請求項14に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの動力取出装置は、第1の動力取出装置及び第2の動力取出装置を含み、
前記第1の本体は、前記第1のフロートアームを介して前記第1の動力取出装置に動作可能に結合され、前記第2の本体は、前記第2のフロートアームを介して前記第2の動力取出装置に動作可能に結合される、請求項2に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項17】
前記第1及び第2の動力取出装置はそれぞれ、ロータアセンブリ及びステータアセンブリを有し、
前記第1の動力取出装置及び前記第2の動力取出装置の前記ロータアセンブリは、前記長手軸の周りを回転する、請求項16に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項18】
ナセルを含む中央本体であって、前記ナセルは、第1の側、第2の側及び長手軸を有し、前記ナセルは、少なくとも1つの動力取出装置を収容する、中央本体と、
前記第1の側において前記ナセルに結合される第1のフロートアーム及び第1のフロートと、
前記第2の側において前記ナセルに結合される第2のフロートアーム及び第2のフロートと
を備え、
前記第1のフロートは前記ナセルに回転可能に結合され、前記第1のフロート及び前記第1のフロートアームは、前記長手軸の周りを回転するように構成される第1の本体を形成し、
前記第1の本体は、前記第1の本体と前記中央本体との間の相対運動が前記少なくとも1つの動力取出装置においてエネルギーを生成するように、前記少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合され、
前記中央本体は、
前記ナセルから下方に延びるヨークと、
前記ヨークのベース部に取り付けられ、かつ下方に延びる複数のラインであって、各々が下部末端を有する複数のラインと、
前記複数のラインの各々の前記下部末端に取り付けられるヒーブプレートと
をさらに備え、
前記ヨークの下部に取り付けられる前記ライン及び前記ヒーブプレートは、前記ナセルの回転を減少させる傾向がある、波エネルギー変換装置。
【請求項19】
前記中央本体は、前記ヨークの長さに実質的に延びるヨークプレートをさらに備える、請求項18に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項20】
前記第2のフロートは、前記ナセルに回転可能に結合され、前記第2のフロート及び前記第2のフロートアームは、前記長手軸の周りを回転するように構成される第2の本体を形成し、
前記第2の本体は、前記第2の本体と前記中央本体との間の相対運動が前記少なくとも1つの動力取出装置においてエネルギーを生成するように、前記少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合される、請求項18に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項21】
前記中央本体は低い予備浮力を有し、
前記第1のフロートが前記ナセルの前記第2の側に回転するか、又は前記第2のフロートが前記ナセルの前記第1の側に回転する場合に、前記第1のフロート及び前記第2のフロートの両方がそれぞれの第1及び第2の側に自己復帰するように、前記ナセルの前記予備浮力は、前記第1のフロート及び前記第2のフロートのいずれの予備浮力よりも低い、請求項20に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項22】
前記ナセル、前記第1のフロート及び前記第2のフロートは、それぞれ実質的に円筒形の本体を有する、請求項18に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項23】
前記第2のフロートアームは、前記第1のフロートアームよりも長い、請求項18に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項24】
前記第1のフロートは、前記第2のフロート内にネスト可能である、請求項18に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項25】
前記ナセルは、前記ナセルの第1の側から外向きに延びる第1の端部、及び前記ナセルの第2の側から外向きに延びる第2の端部を有するナセル管をさらに備え、
前記第1のフロートアームは、前記ナセル管の前記第1の側に回転可能に結合される第1の前方フロートアーム、及び前記ナセル管の第2の側に回転可能に結合される第2の前方フロートアームを含み、
前記第2のフロートアームは、前記ナセル管の前記第1の側に回転可能に結合される第1の後方フロートアーム、及び前記ナセル管の第2の側に回転可能に結合される第2の後方フロートアームを含む、請求項18に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項26】
エネルギー貯蔵装置をさらに備え、
前記エネルギー貯蔵装置は、前記少なくとも1つの動力取出装置に結合されるように構成される、請求項18に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項27】
前記ナセルから前記ヒーブプレートまで下方に延びる少なくとも1つのラインをさらに備え、
前記少なくとも1つのラインは、係留ライン及び電気光学機械(EOM)ケーブルのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項28】
ベースユニットが波エネルギー変換装置と組み合わされており、
前記ベースユニットは、
前記ベースユニットを海底に位置決めするように構成される固定要素と、
前記固定要素に関連付けられるエネルギー貯蔵装置であって、前記電気光学機械ケーブルに結合されるように構成されるエネルギー貯蔵装置と、
前記固定要素に関連付けられるペイロードインターフェースユニットであって、電力、有線信号及び/又は無線信号を分配するように構成されるペイロードインターフェースユニットと
を備え、
前記波エネルギー変換装置と前記ベースユニットとを組み合わせることにより、発電、エネルギー貯蔵、及びリアルタイムデータ通信を提供することが可能な自律型洋上電力システム(AOPS)が形成される、請求項27に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの動力取出装置は、第1の動力取出装置及び第2の動力取出装置を含み、
前記第1の本体は、前記第1のフロートアームを介して前記第1の動力取出装置に動作可能に結合され、前記第2の本体は、前記第2のフロートアームを介して前記第2の動力取出装置に動作可能に結合される、請求項20に記載の波エネルギー変換装置。
【請求項30】
前記第1及び第2の動力取出装置はそれぞれ、ロータアセンブリ及びステータアセンブリを有し、
前記第1の動力取出装置及び前記第2の動力取出装置の前記ロータアセンブリは、前記長手軸の周りを回転する、請求項29に記載の波エネルギー変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、波サージ及びヒーブ力をエネルギーに変換することに関し、より詳細には、波エネルギー変換装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
海洋エネルギー、特に波エネルギーは、広く利用可能な一貫性があり、信頼性があり、予測可能なエネルギー資源である。環境面においても、波は、クリーンな再生可能エネルギーの最も安全な資源の1つもある。この一連の特性は、最も広く利用可能な世界的な再生可能エネルギー資源の中でも、波エネルギーに特有のものである。
【0003】
波エネルギーは、世界的に望ましい資源であり、コスト競争力があり、多様なクリーンな再生可能エネルギー資源の重要な構成要素となる可能性がある。
【0004】
信頼性及び生存性を達成しつつ、海洋の波エネルギーを効率的かつ費用効果的に利用可能な動力に変換する波エネルギー変換装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様によれば、波エネルギー変換装置は、ナセルを含む中央本体を含み、ナセルは、第1の側、第2の側及び長手軸を有し、ナセルは、少なくとも1つの動力取出装置を収容する。波エネルギー変換装置はまた、第1の側においてナセルに結合される第1のフロートアーム及び第1のフロートと、第2の側においてナセルに結合される第2のフロートアーム及び第2のフロートを含む。第1のフロートは、ナセルに回転可能に結合され、第1のフロート及び第1のフロートアームは、長手軸の周りを回転するように構成される第1の本体を形成し、第1の本体は、少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合され、第1の本体と中央本体との間の相対運動が、少なくとも1つの動力取出装置においてエネルギーを生成する。中央本体は、低い予備浮力を有し、中央本体の予備浮力は、第1のフロート及び第2のフロートのいずれの予備浮力よりも低く、第1のフロートに対する中央本体のヒーブ応答を最小にして、波エネルギー変換装置の出力を増加させる。
【0006】
本開示の別の態様によれば、波エネルギー変換装置は、ナセルを含む中央本体を含み、ナセルは、第1の側、第2の側及び長手軸を有し、ナセルは、少なくとも1つの動力取出装置を収容する。波エネルギー変換装置はまた、第1の側においてナセルに結合される第1のフロートアーム及び第1のフロートと、第2の側においてナセルに結合される第2のフロートアーム及び第2のフロートを含む。第1のフロートは、ナセルに回転可能に結合され、第1のフロート及び第1のフロートアームは、長手軸の周りを回転するように構成される第1の本体を形成し、第1の本体は、少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合され、第1の本体と中央本体との間の相対運動が、少なくとも1つの動力取出装置においてエネルギーを生成する。中央本体は、ナセルから下方に延びるヨークと、ヨークのベース部に取り付けられ、かつ下方に延びる複数のラインであって、各々が下部末端を有する複数のラインと、複数のラインの各々の下部末端に取り付けられるヒーブプレートとをさらに含み、ヒーブプレート及びヨークの下部に取り付けられるラインは、ナセルの回転を減少させる傾向がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】一実施形態による波エネルギー変換装置の表面構成要素の斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示す波エネルギー変換装置に結合され得るヒーブプレートの斜視図である。
【
図2】海洋に配置された波エネルギー変換装置を含む洋上電力システムの概略図である。
【
図3】ヒーブプレートを含む波エネルギー変換装置の一実施形態の斜視図である。
【
図4】波エネルギー変換装置の一実施形態の側面図である。
【
図5A】
図1に示す波エネルギー変換装置の上面図である。
【
図5B】
図1に示す波エネルギー変換装置の斜視図である。
【
図5C】
図1に示す波エネルギー変換装置の背面図である。
【
図5D】
図1に示す波エネルギー変換装置の側面図である。
【
図6】
図1に示す波エネルギー変換装置の底面斜視図である。
【
図7】
図1に示す波エネルギー変換装置の断面図である。
【
図8】波エネルギー変換装置の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。
【
図9A】シミュレートされた波における波エネルギー変換装置の動きを示すために異なる時間に取られた波エネルギー変換装置の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。
【
図9B】シミュレートされた波における波エネルギー変換装置の動きを示すために異なる時間に取られた波エネルギー変換装置の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。
【
図9C】シミュレートされた波における波エネルギー変換装置の動きを示すために異なる時間に取られた波エネルギー変換装置の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。
【
図9D】シミュレートされた波における波エネルギー変換装置の動きを示すために異なる時間に取られた波エネルギー変換装置の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。
【
図9E】シミュレートされた波における波エネルギー変換装置の動きを示すために異なる時間に取られた波エネルギー変換装置の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。
【
図10】
図10A~
図10Dは、オーバートップ時にフロートがどのように通常の動作位置に自己回復するかを示すために異なる時間に取られた波エネルギー変換装置の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の技術は、波のヒーブ及びサージに関連するエネルギーを動力に変換するのに有用な波エネルギー変換装置(WEC)に関する。以下により詳細に説明するように、WECは波の方向に依存しないように設計され得る。本開示は、WECに関する出願人の先行特許に開示された技術に基づいており、これらは、2013年9月30日に出願された米国特許第9,587、620号、2012年10月22日に出願された米国特許第8,508,063号、2010年2月22日に出願された米国特許第8,314,506号、及び2013年8月12日に出願された米国特許第8,659,179号に説明されており、これらは全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの先行特許は、波エネルギー変換装置技術を開示し、WECの内部構成要素を詳細に記載している。
【0009】
全体的な概要として、波エネルギー変換装置(WEC)は、限定されないが、低電力センサ、海上船舶、海水淡水化、養殖、沖合石油及びガスプラットフォーム、電気分解、及びミニグリッド及びマイクログリッド用途を含むグリッド及び非グリッド接続用途の範囲で使用され得る。WECは、水面上に浮力で支持可能なナセルを有する浮遊式多体システムであり、沖合のうねり及び嵐波のヒーブ及びサージを有用な動力に変換する。
【0010】
波エネルギー変換装置(WEC)の最終的な目的は、ある形態のエネルギーを別の形態に変換することであり、この場合、機械的トルクへ、最終的には電気又は他の輸送可能及び/又は使用可能な形態への流体力学的変換を含む連鎖にある。エネルギー資源の性質は、とりわけ非常に低い速さ、非常に高い力、周期的、突発的、確率的な動きを含んでおり、WECのための独自の設計要件のセットを必要とする。WECの動作要件は、この問題を複雑にする。例えば、遠隔電力用途では、限定されないが、低質量、高出力対重量、及び非複雑なロジスティクスを含む品質が重要な特性である。非複雑なロジスティクスの例には、WECが標準的な海洋コンテナに適合することが可能であり、フォークリフトでリフト可能であり、最小限の現場組み立てを必要とし、少数の乗組員を有する小型船舶で展開可能であることが含まれる。生存性及び信頼性等の全体的な設計要件は、動作要件と相まって、新しいWEC設計の必要性を生じている。
【0011】
以下により詳細に説明するように、本開示はWECに関するものであり、これは、一実施形態では、標準的な海洋コンテナに適合する低質量、高出力、迅速に展開可能なWECである。一実施形態では、WECは、ドックサイドでの最小限の組み立て作業のために構成され、より小型で小人数の船舶を使用することができる。一実施形態では、WECは完全に統合されたエネルギー貯蔵装置を含み、係留、データ、及び通信は全て1つのラインに結合され得る。WECは、必要に応じて連続的に動力を供給することが可能であり、複数のサイト用に設計されてもよい。
【0012】
一実施形態では、WECは波の方向及び/又は水深に依存しない。コンピュータモデリングは、米国海軍の2kW WECの波エネルギー試験サイト(WETS)において、波の方向に対する平均性能の差異が5%以内であることを示している。言い換えれば、WECは波の方向に対して特定の方向に向ける必要はなく、WECは広範囲の水深で動作することができる。また、WECは波の方向に依存しないため、単一の係留ラインが使用されてもよい。いくつかの実施形態において、WECは、船首側、船尾側、右舷側、及び左舷側を有すると記述され得る。当業者であれば、これらの慣用語は、一方の側を他方の側に対して参照するためのものである(すなわち、船首側が船尾側の反対側であり、右舷側が左舷側の反対側である)ことを認識するであろう。また、当業者であれば、WECは波の方向に対して任意の方向に向けることができるため、これらの用語は限定するものではないことを認識するであろう。
【0013】
本開示の態様は、従来のWEC設計と比較して価値のあるコスト削減を伴って設計された改良型WECに関する。第1に、WECは、過酷な海域での係留スナップ荷重によるナセルのピークピッチ速度を最小限に抑えるように設計されてもよく、これにより、動力取出装置(PTO)のピーク速度が低下し、堅牢性の低い(すなわち低コスト)PTOが可能になる。これは、ナセルのピッチ運動を減衰させるヨークプレートによって、及び係船ケーブルが緩んでいるときに安定したナセルのピッチ運動のために浮力の中心に対するナセルの重心配置を低くすることによって達成され得る。例えば、米国海軍エネルギー試験サイト(WETS)のコンピュータモデリングは、ヨークプレートが前部PTOのピーク速度を28%、後部PTOのピーク速度を3%減少させることを示している。第2に、ケーブル接続されたナセルとヒーブプレートとの接続を有することにより、ナセルとヒーブプレートとの間の堅固な構造的接続が回避され、資本費用及び運転費用を減少させることができる。これらの改善は、以下により詳細に検討される。
【0014】
次に
図1Aを参照すると、中央長手軸20を有するナセル102を含む波エネルギー変換装置(WEC)100の表面構成要素の一実施形態が示されている。以下により詳細に説明するように、ナセル102は、少なくとも1つの動力取出装置を収容する。WEC100は、ナセルの第1の側においてナセル102に回転可能に結合される第1のフロート30及び第1のフロートアーム32を含む第1の本体を有する。第1のフロート30及び第1のフロートアーム32は、長手軸20の周りを回転するように構成されている。以下により詳細に説明するように、第1の本体は、第1の本体とナセル102との間の相対運動が少なくとも1つの動力取出装置において動力を変換するように、少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合される。
【0015】
図1Aに示すように、WEC100は、第2のフロート40及び第2のフロートアーム42を含む第2の本体も有する。一実施形態では、第2のフロート40及び第2のフロートアーム42は、ナセル102に固定される。別の実施形態では、第2のフロート40及び第2のフロートアーム42は、ナセルの第2の側でナセル102に回転可能に結合される。第2のフロート40及び第2のフロートアーム42は、ナセル102の長手軸20の周りを回転するように構成されてもよい。以下により詳細に説明するように、第2の本体は、第2の本体とナセル102との間の相対運動が少なくとも1つの動力取出装置においてエネルギーを生成するように、少なくとも1つの動力取出装置に動作可能に結合されてもよい。
【0016】
図1Aに示すように、一実施形態では、ナセル102、第1のフロート30及び第2のフロートはそれぞれ、互いに実質的に平行である実質的に円筒形の本体を有する。他の形状及び構成については、以下により詳細に説明する。
【0017】
本開示の態様は、変わりやすく予測不可能なことが多い海洋環境に耐えるように設計されたWEC100に関する。例えば、以下により詳細に説明するように、一実施形態では、WEC100は、いずれかのフロートがオーバートップした場合に、第1のフロート30及び第2のフロート40の両方がナセル102のそれぞれの側に自己復帰するように構成される。言い換えれば、第1のフロート30がナセル102の第2の側に回転した場合に、WEC100は、第1のフロートがナセル102の第1の側に回転して戻るように自己復帰するように構成される。同様に、一実施形態では、第2のフロート40がナセル102の第1の側に回転した場合に、WEC100は、第2のフロート40がナセル102の第2の側に回転して戻るように自己復帰するように構成される。これらの自己復帰フロート30、40に関する詳細、及び
図1Aに示される追加の構成要素の説明は、以下でさらに説明される。以下により詳細に説明するように、ナセル102は、中央本体の一部を形成してもよく(例えば、中央本体は、ヒーブプレート及びヒーブプレート接続部と組み合わせたナセルであってもよい)、中央本体は、フロート30、40が自己復帰するのを支援し得る低い予備浮力を有してもよい。
【0018】
本開示の態様は、従来のWEC構成と比較して、性能特性が改善され、資本及び/又は運転コストが低減されたWEC設計に関する。例えば、本発明者らは、ナセル102の動きを最小化して、第1及び第2のフロート30、40の各々とナセル102との間の相対的な動きを最大化することによって、エネルギー捕捉を改善し得ることを認識した。これは、ナセルの動きが望ましいいくつかの従来のWEC設計とは対照的である。以下により詳細に説明するように、本発明者らは、低い予備浮力を有する中央本体によっても、WEC性能を改善し得ることも認識した。これらのWECの改善については、以下により詳細に説明する。
【0019】
図1Bは、WEC100の下部構成要素であり得るヒーブプレート70を示す。以下により詳細に説明するように、ヒーブプレート70は、WEC100が改善された性能特性を有することを可能にし得る。例えば、ヒーブプレート70は、ナセル102の移動を最小限に抑えるのに役立つ大きな表面積及び質量を提供してもよい。ナセル/ヨークとヒーブプレートとの間のこの質量配分は、ヒーブ応答を低減する。
【0020】
一実施形態では、WECは、所望の定格出力に対して可能な限り小さく軽量であり、所望の乾舷を達成するのに十分な質量を有するヒーブプレートと整合する浮力のある低質量のナセルを有するように設計される。一実施形態では、WECは、ヒーブプレートの質量に対してナセルの質量が低いように設計される。
【0021】
図1Aに示すように、WEC100は、ナセル102から下方に延びるヨーク50を含んでもよい。複数のライン(
図3のケーブル210等)によって、ヨークがヒーブプレート70に結合される。ラインは、剛性(すなわち、スパー)又は可撓性(すなわち、ケーブル210)であってもよいことを理解されたい。本発明者らは、ヨークによって、WECが改善された性能特性を有することが可能になり、ヨークが製造コストを低減し得ることも認識した。この特定の設計では、1つの目標は、ナセル質量を低く維持し、ヒーブプレート質量を高く維持することであり、これにより、水面での全体質量が低くなる。そうすることによって、一貫して張力のかかったケーブル接続されたナセルとヒーブプレートとの接続を得ることができ、流体力学的抗力によってヒーブ応答を減衰させ、かつ追加された質量によってもヒーブ応答を低減させる固定又は剛性構造に近づけることができる。ヨーク50のさらなる利点については、以下により詳細に説明する。いくつかの実施形態では、WEC100は、WECの性能及び耐久性を改善し、かつ製造コストを低減し得るヨークプレート52を含んでもよい。
【0022】
図2に示すように、本開示の態様は、海洋に配備され得る自律型沖合電力システム300に関する。一実施形態では、システム300は、現場発電、エネルギー貯蔵のために構成され、リアルタイムデータ及び通信システムを含む。
図2に示すように、システム300は、3つの主要な構成要素を含む。第1の構成要素は、水面構成要素であるWEC100であり、これは波エネルギー捕捉及び変換を含む。WEC100は、パワーエレクトロニクス、通信機器(例えば、LTE、衛星通信、Wi-Fi通信)、及びエネルギー貯蔵装置を含んでもよい。WEC100は、SCADA(Supervisory control and data acquisition)及び/又は表面ペイロードインターフェースを含んでもよい。洋上電力システム300の第2の構成要素は、WEC100を第3の構成要素である海底ベース構造200に結合する1つ以上のライン/ケーブルを含み得るライン204である。ライン204は、1つ以上の電力ライン及びデータラインを含んでもよい。洋上電力システムの第3の構成要素である海底ベースユニット200は、重力固定要素として作用してもよく、エネルギー貯蔵用のバッテリ、ならびに海底機器を支持するための電力及びデータインターフェースを含んでもよい。海底ベースユニット200は、(
図4に示すように)ガレージ200とも呼ばれ得る。一実施形態では、ベースユニット200は、海底にベースユニットを位置決めするように構成される固定要素(フレーム等)を含み、エネルギー貯蔵装置(すなわち、バッテリ)が固定要素内に位置決めされてもよい。エネルギー貯蔵装置は、WEC100から生成されたエネルギーを貯蔵するためにケーブル204に結合されることを認識されたい。一実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、英国のEC-0Gによって製造される。また、海底ベース構造200は、ペイロードインターフェースユニット(電力、データ、通信)を含み、ペイロードインターフェースユニットは、電力、有線信号、無線及び/又は音響信号を分配するように構成されてもよい。
図2に示すように、この洋上電力システム300は、限定されないが、衛星206及び遠隔無線装置208等の様々な外部通信システムと相互作用してもよい。一実施形態では、WEC100、ケーブルライン204、及びベースユニット200の組み合わせは、発電、エネルギー貯蔵、及びリアルタイムデータ通信を提供することができる自律型洋上電力システム(AOPS)を形成する。例示的な一実施形態では、システム300は、AOPSと統合され、かつ、例えば、BioSonics社から入手され得る海底センサパッケージ230も含む。別の実施形態では、エネルギー貯蔵装置がヒーブプレート70上又は水面上に配置され得ることを理解されたい。エネルギー貯蔵装置は、WECによって生成されたエネルギーを貯蔵するために、少なくとも1つの動力取出装置に結合されてもよい。
【0023】
一実施形態では、洋上電力システム300は、車両、データ収集システム、及び操作装置を含む様々な移動式及び静的な表面及び表面下ペイロードを支持するように設計される。一実施形態では、洋上電力システム300は、複数のペイロードを同時に支持することができる。洋上電力システム300は、係留又は漂流し得ると考えられる。一実施形態では、洋上電力システム300は、数十ワットから数百キロワット、又はメガワットの発電が可能である。
【0024】
図3及び
図4は、ヒーブプレート70を含むWEC100の一実施形態を示す。ヒーブプレート70は、ナセル102を安定させるのに役立つ大きな表面積を提供する。図示のように、複数のケーブル202,210がヨーク50のベース部に取り付けられ、ヒーブプレート70まで下方に延びる。図示のように、ケーブル202,210の各々は下部末端を有し、ヒーブプレート70はケーブル202,210の下部末端に取り付けられる。ヒーブプレート70は、ヒーブプレート70上のヒーブ励起力を低減するために、水柱の活性波作用から外れるように設計される。例示的な一実施形態では、ヒーブプレート70は、それが活性波の中に位置しないことを確実にするために、ヨーク50の下方約20-30メートルにある。
図3に示すように、例示的な一実施形態では、ケーブル202,210は、約65フィートの長さである。
図4に示す実施形態では、ヒーブプレート70は、海洋の静水位線の約25メートル下にある。一実施形態では、ヨーク50の下部に取り付けられるケーブル210及びヒーブプレート70は、長手軸20を中心としたナセル102の回転を減少させる傾向がある。
【0025】
一実施形態では、ケーブル202は、電気光学機械(EOM)ケーブルであり、例えば、マサチューセッツ州ポカセットのEOM Offshore社によって供給される3インチODアルミニウム、銅、及び光ファイバラインであってもよい。図示のように、ケーブル202の上端は、ヨーク50の底部の中央にある結合部56に取り付けられ、ケーブル202の下端は、ヒーブプレート70の中央にある結合部72に取り付けられてもよい。
図4に示すように、上部ケーブル202は、ヒーブプレート70から下方に延びる下部EOMケーブル204に結合されてもよい。下部EOMケーブル204は、WEC100から発生したエネルギーを貯蔵するために、海底ベースユニット200(すなわちガレージ)内のエネルギー貯蔵装置に結合されてもよい。また、別の実施形態では、ケーブル202及び/又は204は、電力及び/又はデータ伝送能力を含まず、係留ラインとして機能してもよいことも理解されるべきである。
【0026】
図3に示すように、ケーブル210は、4本のポリエステルブライドルラインを含んでもよく、2本がヨーク50の一方の側(すなわち右側)で互いにペアをなし、2本がヨーク50の他方の側(すなわち左側)で互いにペアをなしてもよい。図示するように、2本のケーブル210の上端は、ヨーク50の底部の一方の結合部54に取り付けられてもよく、ケーブル210の他方の下端は、ヒーブプレート70上で間隔を置いて配置された結合部74に取り付けられてもよい。一般的に、スナップ荷重を回避し、及び/又は絡まりリスクがないことを保証するために、各ケーブル210が張力を受けたままであることが望ましい。また、WECは、ヒーブプレートに対する表面構成要素のねじれを防止するように構成され得ることも認識されるべきである。一実施形態では、可撓性ケーブル210を剛性スパーに置き換えてもよい。
【0027】
本発明者らは、ヨーク50の利点の1つは、(ケーブル202,210をナセル102の円筒状本体に直接取り付けるのと比較して)それがナセルとヒーブプレートとの接続を低くすることであることを認識した。換言すれば、接続点をヨーク50の下部へと下に移動させることによって、モーメントアーム長が増加し、それによってヒーブプレート70からの反力トルクが増加し、長手軸20を中心としたナセルの回転が減少し、それによってフロート30、40のナセルに対する速度/動きが増加する。
【0028】
本発明者らは、ヨーク50の別の利点は、それが構成要素質量の最適化に役立つことを認識した。ヨーク50を追加することは、ナセルにおける必要な構造補強が少なくなるため、ナセル102の質量を減らすのに役立ち、それによって、ナセル質量が減少し、ヒーブプレート質量が増加することが可能になる。この質量配分は、ナセルのヒーブ及びピッチ応答を減少させる。特に、より重いヒーブプレート70と併せて、低い予備浮力及び減少したナセル質量を有する中央本体は、固定又は剛性構造に近づけるように、一貫して張力のかかったケーブル接続されたナセルとヒーブプレートとの接続を維持するのに役立つ。これは、流体力学的抗力によってヒーブ応答を減衰させ、追加された質量によって応答を減少させる。
【0029】
さらに、本発明者らは、ナセルとヒーブプレートとの接続を低くすることによって、ヨーク50が、ナセルに対する各フロート30、40の運動範囲及び速度を最大化することも認識した。特に、この接続点をナセル102から離して低くすることによって、ケーブル202,210とフロート30、40との接触の可能性が回避される。フロート運動のこの増加した範囲は、エネルギー捕捉を改善するのに役立ち、衝突を回避するための追加構造又は機械的手段に必要なコストを回避し、ナセルとヒーブプレートとの接続部との衝突の可能性を最小化することにより、生存性が改善される。また、フロートアーム32、42の長さを最小化して、ヒーブ運動から得られるフロート回転速度を増加させてもよく、これにより、より高い動力取出装置(PTO)効率を通じて性能が改善されることも理解されるべきである。
【0030】
過酷な海域では、PTOがフリーホイールの場合、フロート30、40がヨーク50の片側又は両側に接触する可能性があることを認識されたい。しかしながら、当業者であれば、この接触を防止し得ることも認識されるであろう。さらに、WECは、通常の運用海域では、フロート30、40とヨーク50との間に接触がないように設計され得る。
【0031】
図1A、
図3、
図5及び
図6に示すように、一実施形態では、ヨーク50は、ナセル102から延びる下方延長フレームである。
図6に示すように、一実施形態では、ヨーク50は、ナセル102の長さに沿って間隔を置いて配置された複数の垂直支持バーを含む。
図6に示すように、ヨーク50は、複数の垂直支持バーを接続する下部水平バーを含んでもよい。図示するように、結合部54、56は、ヨーク50の下部水平バーに固定されてもよい。また、
図6に示すように、一実施形態では、複数の垂直支持バーは、ナセル102の曲率に従うY字型であり、フロートのより大きな運動範囲も可能にする。一実施形態では、ヨーク50は、実質的にヨーク50の長さに延び得るヨークプレート52をさらに含む。ヨークプレート52は、ナセルの抗力を増加させ、かつナセル102のピッチ回転に対して付加的な質量を提供することによって、両方のフロート30、40が同じ側にあるときの性能損失を最小限に抑えるように構成されてもよい。さらに、浮力の中心に対してナセルの重心の配置を低くすることは、緊張ケーブルを維持するためにナセルピッチ運動を安定させるために望ましい場合がある。一実施形態では、ヨークプレート52は、ナセルからヒーブプレートへのケーブルの絡み合いの傾向を低減する安定性をナセル102に提供する。例示的な一実施形態では、ヨークプレート52は、実質的に平面状の長方形の本体を有する。他の実施形態では、ヨークプレート52は、他の固体構造として構成されてもよいが、本開示はそれに限定されない。
【0032】
一実施形態では、ヨーク50及び/又はヨークプレート52は、システムの浮力を調整及び微調整するように構成されてもよい。例えば、複数のモジュール式浮力要素をヨーク50及び/又はヨークプレート52に選択的に追加して、浮力を調整することが考えられる。一実施形態では、これらのモジュール式浮力要素は、ガラス繊維の立方体又はバブルであってもよく、ヨーク50及び/又はヨークプレート52は、これらのモジュール式浮力要素を固定するための複数の取り付け機構を含んでもよい。モジュール式浮力要素は、その場で追加されるように設計され得ることが考えられる。
【0033】
図5~
図7を参照すると、WEC100のさらなる詳細がここでより十分に説明される。
図5及び
図7に示すように、ナセル102は、ナセル102の第1の側から外向きに延びる第1の端部と、ナセル102の第2の反対側から外向きに延びる第2の端部とを有するナセル管104をさらに含んでもよい。図示されるように、第1のフロートアーム32は、ナセル管104の一方の側に回転可能に結合される一次的な第1のフロートアーム32と、ナセル管104の他方の側に回転可能に結合される二次的な第1のフロートアーム32’とを含んでもよい。同様に、
図5A、
図5B及び
図7に示すように、第2のフロートアーム42は、ナセル管104の第1の側に回転可能に結合される一次的な第2のフロートアーム42と、ナセル管104の他方の側に回転可能に結合される二次的な第2のフロートアーム42’とを含んでもよい。一実施形態では、一次的なフロートアームは駆動アームとして作用してもよく、二次的なフロートアームはアイドラアームとして作用してもよいことを認識されたい。
図7の断面図に示されるように、一次的な第1のフロートアーム32及び/又は一次的な第2のフロートアーム42は、駆動アームとして作用し、ナセル102の内部に配置された第1の駆動シャフト80に動作可能に結合されてもよい。さらに、二次的な第1のフロートアーム32’及び/又は二次的な第2のフロートアーム42’は、ナセル102の内部に配置された第2の駆動シャフト82に動作可能に結合されてもよい。上記の出願人の先行特許に詳細に記載されているように、フロートアーム32、32’、42、42’の移動は、次に駆動シャフト80、82を動かし、それにより次に、ナセルの内部の少なくとも1つの動力取出装置において動力を変換する。例示的な一実施形態では、第1の駆動シャフト80に関連する第1の動力取出装置90と、第2の駆動シャフト82に関連する第2の動力取出装置92とがある。一実施形態では、第1の本体(すなわち、第1のフロート30及び第1のフロートアーム32、32’)の移動は、第1の動力取出装置において動力を変換し、第2の本体(すなわち、第2のフロート40及び第2のフロートアーム42、42’)の移動は、第2の動力取出装置において動力を変換する。別の実施形態において、第1のフロート30及び第2のフロート40は、同じ動力取出装置に結合されることも考えられるが、本開示はそれに限定されない。
【0034】
特定の動力取出装置(PTO)構成に関する詳細は、2013年9月30日に出願された米国特許第9,587、620号、2012年10月22日に出願された米国特許第8,508,063号、2010年2月22日に出願された米国特許第8,314,506号及び2013年8月12日に出願された米国特許第8,659,179号等のWECに関する出願人の先行特許に見出され得る。一実施形態では、PTOは、機械式又は磁気式ギアシステムを含む。当業者であれば、いくつかの実施形態において、そのようなPTOが、1つ以上の直接駆動発電機、ギアボックス駆動発電機、油圧システム、ポンプシステム、水ポンプ、水淡水化装置、空気圧ポンプ、油圧ポンプ、電解装置等を含んでもよいことを理解するであろう。様々なポンプ及び油圧関連の実施形態において、駆動シャフト/ハブは、例えば、羽根車、圧縮機ロータ、及び/又は機械式タービンロータに直接又は間接的に接続されてもよい。いくつかの発電実施形態において、駆動シャフト/ハブは、例えば、1つ以上のロータ及び/又はステータに直接又は間接的に接続されてもよい。しかしながら、本開示を考慮すると、ナセル内に取り付けられるPTO構成要素については、上記に対する多くの設計代替案が存在し、これらの代替案も本開示の範囲内にあることが理解されるであろう。
【0035】
当業者であれば、発電用途において、回転駆動式PTO90、92が、1つ以上のステータセグメントに対して回転可能な1つ以上のロータセグメントを含んでもよいことを理解するであろう。上記に列挙された本出願人の先行特許においてより詳細に説明されているように、ロータセグメントとステータセグメントとの間の相対回転は、駆動軸受、又は1つ以上の構成要素が別の構成要素の周り又は内部で自由に回転することを可能にする任意の他の軸受又は同様の機構によって達成されてもよい。ロータは、任意の適切な手段を介して任意の駆動シャフト/ハブに動作可能に接続されてもよい。
【0036】
図7に示すように、駆動シャフト80、82は、一般に、駆動軸受又は他の適切な構造上で長手軸20の周りを回転し得る。様々な実施形態において、駆動シャフト80、82は、海水及び/又は有害な異物/破片の侵入を防止するために、1つ以上のシールによってシールされてもよい。一実施形態では、第1及び第2の動力取出装置90、92は、それぞれロータアセンブリ及びステータアセンブリを有し、第1の動力取出装置及び第2の動力取出装置のロータアセンブリは、長手軸20の周りを回転する。
【0037】
いくつかの実施形態において、回転駆動PTOは、機械式又は磁気式ギアシステムを含んでもよい。しかしながら、本明細書に記載される技術は、限定されないが、直接駆動システム、(複数の)発電機、(複数の)ギアボックス及び発電機、(複数の)油圧及び発電機、(複数の)水ポンプ、及び/又は任意の他の適切な回転PTO装置を含む、任意のタイプの回転駆動PTOを使用して実装されてもよい。
【0038】
上述のように、本開示の態様は、低い予備浮力を有するナセル102に関する。簡単な概要として、予備浮力は、静水位線上の本体の水密容積であり、全浮力(容積)のパーセンテージとして表される。例えば、50%の予備浮力を有する仮想ナセルは、その水密容積の50%が静水位線上にあり、その容積の他の50%が静水位線下にあるように構成される。このような仮想構成において、静水位線がナセルの長手軸を通過することは理解され得る。
【0039】
上述のように、ナセル102、ヒーブプレート70、ヨーク50及びケーブル210の組み合わせは、WEC100の中央本体を形成し得る。本発明者らは、中央本体(すなわち、ナセル102、ヒーブプレート70、ヨーク50、及びナセルとヒーブプレートとの接続を提供するケーブル210)の低い予備浮力(LRB)が、流体力学的力に対してヒーブ応答を最小化するために望ましいことを認識した。この概念は
図4に示されており、中央本体(すなわち、ナセル102、ヒーブプレート70及びヨーク50)の少なくとも50%が静水位線の下に配置されていることを示している。
図4に示されるように、静水位線250は、ナセル102の長手軸より上にある。一実施形態では、フロート浮力は、時計回り及び反時計回りの両方の方向で同じ力が作用するように、50%の予備浮力で最適化される。
【0040】
一実施形態では、ナセル中央本体(すなわち、ナセル102、ヒーブプレート70及びヨーク50)の予備浮力は、45%未満である。換言すれば、中央本体の少なくとも55%が静水位線の下に配置される。他の実施形態では、ナセル中央本体(すなわち、ナセル102、ヒーブプレート70及びヨーク50)の予備浮力は、40%、30%、20%、10%、5%、又は3%未満である。換言すれば、中央本体の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、又は97%が静水位線の下に配置される。ある特定の実施形態では、ナセル中央本体(すなわち、ナセル102、ヒーブプレート70及びヨーク50)の予備浮力は、約2.3%である。換言すれば、中央本体の約97.7%が静水位線の下に配置される。
【0041】
中央本体の低い予備浮力のこの概念は、静水位線250を有する海洋に展開された波エネルギー変換装置100の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである
図8にも示されている。さらに、
図4及び
図8に示すように、ナセル102の予備浮力は、第1のフロート30又は第2のフロート40のいずれの予備浮力よりも低い。図示のように、WECが水中に配置されると、これにより、WECは実質的にV字型の形状となり、下部ナセル102は「V」の底部にあり、第1及び第2のフロート30、40は上方に傾斜して「V」の上部を形成する。
【0042】
図9A~
図9Eは、シミュレートされた波における波エネルギー変換装置100の動きを示すために、約6秒の時間間隔にわたって異なる時間に取られた波エネルギー変換装置100の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。
図9Aに示すように、3:06.66分の初期位置において、第1のフロート30及び第2のフロート40は、それぞれ、ナセル102に対する通常の静止位置にある。
図9Aは、ナセル102の予備浮力が、第1のフロート30及び第2のフロート40のいずれの予備浮力よりも低いことも示す。さらに、水位線260は、ナセル102の長手軸20より十分上にある。
【0043】
図9Bは、3:08.90分において第1の側からWEC100に接近する波を示す。図示されているように、波は水位線260を上昇させ、それによって第1のフロート30がナセル102に対して反時計回りに上方に回転し、また、第2のフロート40がナセル102に対して反時計回りに上方に回転する。図示されているように、第1のフロート30及び第2のフロート40の両方が、ナセル102の長手軸20の周りを回転する。
図9Cに示されているように、3:10.26分において、この波は、ピーク位置に到達するまで、フロート30、40を上方に移動させ続けてもよい。
図9Dに示すように、3:11.42分において、波がWEC100を通過すると、両方のフロート30、40が回転して元の静止位置に戻り、第1のフロート30が時計回り方向に回転し、第2のフロート40が反時計回り方向に回転する。
図9Eは、3:12.90分において、第1の側から別の波が接近し、これにより再び水位線260が上昇し、第1のフロート30がナセル102に対して反時計回り方向に回転し、第2のフロート40がナセル102に対して反時計回り方向に回転することを示す。上述したように、ナセル102に対する第1及び第2のフロート30、40の各々のこの移動は、ナセル102の内部に収容された1つ以上の動力取出装置90、92においてエネルギーを生成する。また、
図9A~
図9Eは、低い予備浮力ナセル102の制限された移動と、ヒーブプレートがエネルギー捕捉に重要なナセルのヒーブ及びピッチをどのように制限するかを示している。
【0044】
発明者らは、低質量ナセル102及び高質量ヒーブプレート70の組み合わせの低い予備浮力が、オーバートップ時にフロート30、40が公称作動位置に自己復帰することを可能にするために望ましいことを認識した。言い換えれば、低い予備浮力は、フロート30、40がそれらの指定された側に自己復帰することを可能にする。出願人は、物理モデリングソフトウェアANSYS Aqwaを用いて広範なシミュレーションを行った。特定の海洋状態におけるあるシミュレーション研究では、フロートのオーバートップ事象が年間約3000回発生し得ると推定されている。このシミュレーション研究は、上記のWEC100は、約95%の時間において、第1及び第2のフロート30、40がそれらの好ましい(すなわち指定された)側で動作することを示した。これは、いずれかのフロート30、40がオーバートップすると、それはすぐに指定された側に回転して戻ることを意味する。従来のWEC設計は、フロート30、40を復帰するために機械的介入を必要とした。これは、WECフロート30、40がオーバートップしたときに自己修正する本開示とは対照的である。
【0045】
図10A~
図10Dは、中央本体の低い予備浮力が、どのようにして、フロート30、40が、オーバートップの際に通常の動作位置に自己回復することを可能にするかを示すために、約20秒の時間間隔にわたって異なる時間に取られた、WEC100の一実施形態のシミュレーションのスクリーンショットである。特に、
図10Aは、ナセル102の第2の側に回転したオーバートップ位置にある第1のフロート30を示す。
図10B~
図10Dは、自動的にナセル102の第1の側に戻る第1のフロート30を示す。
図10Bに示すように、ナセル102は、中央本体の低い予備浮力のために、並びに第1のフロートの浮力中心及び重心配置の力のために、水位線の下に押される。これにより、第1のフロート30は、オーバートップ位置で不安定になり、
図10Cに示すように、第1のフロート30は、
図10Dに示す平衡位置に達するまで、第1の側に戻るように回転し続ける。
【0046】
本発明者らは、浮力中心に対する重心配置により、各フロート30、40の通常動作位置が唯一の安定位置となり、これにより、通常動作位置への自己復帰を強制することも認識した。本発明者らは、これは、駆動アーム32、42が各フロート30、40の中心からオフセットされ、各フロート30、40内の固体バラストも中心からオフセットされる結果であり得ることを認識した。
【0047】
フロート30、40の一方がオーバートップしてもエネルギー生成は継続し得るが、エネルギー捕捉は、二つのフロート30、40が通常動作位置にある(すなわち、第1のフロート30がナセル102の第1の側にあり、第2のフロートが第1のフロート30の反対側のナセル102の第2の側にある)ときに最適化される。この構成では、フロート30、40は、ナセル102に対して等しい反対のトルクを加え、ナセルの動きを最小にし、フロート対ナセルの相対的な動きを最大にする。上述のように、別の実施形態では、第2のフロート40はナセル102に固定されてもよい。
【0048】
一実施形態では、第2のフロートアーム42、42’は、第1のフロートアーム32、32’よりも長い。例えば、一実施形態では、第2のフロートアーム42は、第1のフロートアーム32よりも約2倍長い。アーム長比は、例えば、1.8:1であってもよく、PTO減衰比は、約2:1であってもよい。この結果、トルク比は、約1:1(又は1:0.9)となる。第1のフロート30と第2のフロート40との間のトルク平衡は、電気的に行われえることを理解されたい。一実施形態では、第1のフロートアーム32及び/又は第2のフロートアーム42の予備浮力は、WECが水中に置かれるとき、ナセル102の予備浮力よりも大きい。
【0049】
図示するように、WEC100は、第1のフロート30が第2のフロート40内にネストされるように構成されてもよい。言い換えれば、第1のフロート30は、ナセル102の外面及び第2のフロート40の半径方向遠位端により境界付けされる半径方向スパン内で、長手軸20の周りを回転するように構成される。このネストされたフロートの設計は、一方のフロートが他方のフロートの動きに干渉することを防止し、これは、エネルギー捕捉、性能及びコストを改善するのに役立ち得ることを理解されたい。このネストされたフロートの構成では、一方のフロートが他方のフロートと相互作用することを防止するために、機械的なエンドストップ及び/又は可動範囲制限装置が必要とされない。さらに、ネストされたフロートは、フロートがオーバートップすることを許容する。上述したように、本開示は、いずれかのフロートがオーバートップする場合に、各フロートが自己復帰するネストされたフロートの構成に関する。
【0050】
一実施形態では、ナセル102は、実質的に水密なハウジングとして説明されてもよく、その中に1つ以上の回転駆動式動力取出装置90、92が収容されてもよい。一実施形態では、ナセル102は、発電、保守、及び/又は他の機器を収容し得る又は他の任意の適切な目的のために使用され得る空の浮力シェルを含んでもよい。また、一実施形態では、中央本体の一部が開放され得ることも考えられる。
【0051】
ナセル102は、複合材料(例えば、炭素繊維、ケブラー(登録商標)、ガラス繊維等)、コンクリート、圧延鋼、アルミニウム、及び/又は他の任意の適切な金属又は合金から製造されてもよい。一実施形態では、ナセル102は、(例えば、維持及び修理のための)機器及び人員の積み込み及び積み下ろしのためのナセルアクセスハッチ110を含んでもよい。別の実施形態では、WEC100の構成要素は比較的小規模であってもよく、したがって、どのアクセスハッチ110も小規模であり、人員の進入を意図していなくてもよいことを理解されたい。
【0052】
一実施形態では、第1及び第2のフロート30、40は共に独立気泡フォーム材料で充填され、水侵入のための空隙を含まない。別の実施形態では、第1及び第2のフロート30、40は、ガス充填ブラダー等の他の低密度、非吸収性材料又は構成要素で充填されてもよく、別の実施形態では、フロート30、40は充填されていなくてもよい。一実施形態では、万一ナセルが水で充填されても、第1及び第2のフロート30、40が正の浮力を維持するため、WEC100は水面に留まる。浮力フォーム材料は、フロート30、40がナセル102の予備浮力よりも高い予備浮力を有することを可能にし得ることを理解されたい。当業者であれば、ナセル102の予備浮力が第1のフロート30及び第2のフロート40のいずれの予備浮力よりも低くなるように、ナセル102及びフロート30、40の材料選択を変更し得ることを理解されたい。
【0053】
上述のように、一実施形態では、ナセル102、第1のフロート30及び第2のフロートは、それぞれ実質的に円筒形の本体を有する。円筒形は、材料に対する強度を最適化することができ、容易に製造することができ、製造コストを低減し得る。限定されないが、長方形、球状及び不規則な形状の本体等の他の形状も、ナセル102並びに第1及び第2のフロート30、40について考えられる。
【0054】
図5A、
図5C及び
図5Dは、一実施形態によるWEC100の寸法を示す。この特定の実施形態では、ナセル102、第1のフロート30及び第2のフロート40は、それぞれ約19フィートの長さである。他の実施形態では、寸法が変化し得ることを認識されたい。
【0055】
いくつかの実施形態では、1つ以上の通信マスト60が、アクセサリ(例えば、アンテナ、ソーラーパネル、警告灯等)を動作させるために、ヨーク50から上方に延びてもよい。
図1Aに示すように、一実施形態では、通信マスト60は、ヨーク50の各端部から上方に延びる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書に記載されかつ図示されているが、当業者は、本明細書に記載された機能を実行し、及び/又は結果及び/又は1つ以上の利点を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に思い描くことができ、そのような変更及び/又は修正の各々は、本発明の範囲内にあると見なされる。当業者は、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態との多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験のみを用いて確認することができる。したがって、前述の実施形態は、例としてのみ提示され、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で提示されることを理解されたい。
【0057】
本発明は、具体的に記載され、特許請求の範囲に記載された以外の方法で実施され得る。本発明は、本明細書に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法に関する。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法の任意の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれる。
【0058】
本明細書で定義されかつ使用される全ての定義は、辞書の定義、参照によって組み込まれる文書の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味に優先するものと理解されるべきである。
【0059】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」及び「an」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0060】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書において使用される語句「及び/又は」は、そのように結合される要素、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解されるべきである。他の要素は、明確に反対の指示がない限り、具体的に識別される要素に関連するか否かにかかわらず、「及び/又は」節によって具体的に識別される要素以外に任意選択的に存在してもよい。
【0061】
本明細書において引用又は言及される全ての参考文献、特許、特許出願及び刊行物は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】