IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国科学院生物物理研究所の特許一覧

特表2024-539432インターロイキン15を有効成分とする融合タンパク質構築物およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】インターロイキン15を有効成分とする融合タンパク質構築物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20241018BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241018BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20241018BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241018BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241018BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20241018BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20241018BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241018BHJP
   C12N 15/24 20060101ALN20241018BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20241018BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20241018BHJP
   C07K 14/715 20060101ALN20241018BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C12N15/62 Z
C12P21/08
C12P21/02 C
C12P21/02 K
A61K38/20
A61K47/68
A61P35/00
A61K39/395 N
C07K16/28
C07K14/54
C12N15/13
C12N15/24
C12N15/63 Z
C12N5/10
C07K14/715
C12N15/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529257
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 CN2022132019
(87)【国際公開番号】W WO2023083379
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111346279.5
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211013404.5
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】302037630
【氏名又は名称】中国科学院生物物理研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF BIOPHYSICS OF THE CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.15, Datun Road, Chaoyang District Beijing 100101 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】フ、ヤンシン
(72)【発明者】
【氏名】ペン、フア
(72)【発明者】
【氏名】シェン、ジャオ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG03
4B064AG20
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA06
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA41
4C084CA53
4C084DA12
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB41
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG06
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA02
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
インターロイキン15を有効成分とする融合タンパク質構築物およびその使用に関する。具体的には、前記融合タンパク質構築物は、(1)インターロイキン15(IL-15)受容体サブユニットαのsushiドメインである第1の構造単位と、(2)IL-15である第2の構造単位と、(3)抗体Fcまたは変異Fc断片である第3の構造単位と、重要なリンク断片1とを含み、前記リンク断片1のアミノ配列はGGGGSの整数多重反復である。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)インターロイキン15(IL-15)受容体サブユニットαのsushiドメインである第1の構造単位と、
(2)IL-15である第2の構造単位と、
(3)抗体のFc断片または変異Fc断片である融合タンパク質のN末端に位置する第3の構造単位と、
(4)前記第1の構造単位と前記第2の構造単位を連結する第2リンカー、のブロックを含み、
第1リンカーは、前記融合タンパク質のC末端が前記第1の構造単位である場合、前記第2の構造単位と前記第3の構造単位を連結し、
前記第1リンカーは、前記融合タンパク質の前記C末端が前記第2の構造単位である場合、前記第1の構造単位と前記第3の構造単位を連結し、
前記第1リンカーは、(GS)によって表されるGGGGSの整数多重反復であるアミノ酸配列を有し、好ましくはnは1~7の任意の整数であり、より好ましくはnは1~5の任意の整数であり、最も好ましくはnは3である、融合タンパク質。
【請求項2】
さらに
(5)治療用抗体のFabである前記第3の構造単位の前記N末端に連結された第4の構造単位、のブロックを含み、
前記治療用抗体は、特に限定されないが、抗PD1/PD-L1抗体、Her2抗体、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗RANKL抗体、抗VEGFR抗体、および抗EGFR抗体が挙げられ、
好ましくは、前記治療用抗体の前記Fabは、抗PD-1 Fab(PD1抗体のFab)である、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記抗PD-1 Fabは、重鎖(可変領域+定常領域)および軽鎖(可変領域+定常領域)を含み、前記重鎖は前記融合タンパク質の前記N末端に位置する、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記IL-15は、配列番号1または配列番号15に示すアミノ酸配列を有するマウス由来またはヒト由来のIL-15であり、
前記IL-15受容体サブユニットαの前記sushiドメインは、マウス由来またはヒト由来のIL-15受容体サブユニットαのsushiドメインであり、好ましくは、前記マウス由来またはヒト由来のIL-15受容体サブユニットαの前記sushiドメインは配列番号3または配列番号17に示すアミノ酸配列を有し、
前記Fc断片または変異Fc断片は、配列番号2または配列番号16に示すアミノ酸配列を有し、
前記第2リンカーは、配列番号6に示すアミノ酸配列を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記抗PD-1 Fabは、マウス由来またはヒト由来の抗PD-1 Fabであり、
好ましくは、前記抗PD-1 Fabは、配列番号4、配列番号18、または配列番号19に示すアミノ酸配列を有する軽鎖を有し、
前記抗PD-1 Fabは、配列番号5、配列番号20、または配列番号21に示すアミノ酸配列を有する重鎖を有する、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
その単量体同士が前記第3の構造単位の二量体化を介して互いに連結されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の融合タンパク質で構成されるホモ二量体。
【請求項7】
(1)ホモ二量体1(Fc-GS-Rα-IL-15)
前記単量体としての前記融合タンパク質が、N末端からC末端までに、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー(GS)と、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインと、第2リンカーと、IL-15とを含み、好ましくは配列番号7に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体1、
(2)ホモ二量体2(Fc-GS-IL-15-Rα)
前記単量体としての前記融合タンパク質が、N末端からC末端までに、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー(GS)と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号8に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体2、
(3)ホモ二量体3(抗PD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15)
前記単量体としての前記融合タンパク質が、N末端からC末端までに、抗PD-1 Fabと、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー(GS)と、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインと、第2リンカーと、IL-15とを含み、好ましくは、配列番号9に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体3、
(4)ホモ二量体4(抗PD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα)
前記単量体としての前記融合タンパク質が、N末端からC末端までに、抗PD-1 Fabと、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー(GS)と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号10に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体4、
(5)ホモ二量体5(Fc-(GS)-IL-15-Rα)
前記単量体が、N末端からC末端までに、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー((GS))と、マウス由来またはヒト由来IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号11に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体5、
(6)ホモ二量体6(抗PD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα)
前記単量体が、N末端からC末端までに、抗PD-1 Fabと、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー((GS))と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号12に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体6、
(7)ホモ二量体7(Fc-(GS)-IL-15-Rα)
前記単量体が、N末端からC末端までに、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー((GS))と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号13に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体7、または
(8)ホモ二量体8(抗PD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα)
前記単量体が、N末端からC末端までに、抗PD-1 Fabと、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー((GS))と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号14に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体8、である請求項6に記載のホモ二量体。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードするヌクレオチド断片。
【請求項9】
医薬の製造における、請求項1~5のいずれか一項に記載の融合タンパク質または請求項6~7のいずれか一項に記載のホモ二量体の使用であって、好ましくは、前記医薬が抗腫瘍医薬であり、最も好ましくは、前記医薬がB細胞リンパ腫、結腸直腸癌、黒色腫または肺癌に対する医薬である。
【請求項10】
(1)融合タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターを構築する工程であって、好ましくは、前記発現ベクターがpEE12.4発現ベクターである工程と、
(2)宿主細胞を一過性にトランスフェクトすることによって前記発現ベクターを含む宿主細胞を構築する工程であって、好ましくは、前記宿主細胞が293F細胞である工程と、
(3)前記宿主細胞を培養し、細胞上清を回収する工程と、
(4)タンパク質Aアフィニティクロマトグラフィーカラムにより融合タンパク質を精製する工程と、を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の融合タンパク質の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医学および生物学の分野に属し、具体的には、インターロイキン15を有効成分とする融合タンパク質構築物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫チェックポイント療法の急速な発展に伴い、PD-1/PD-L1遮断抗体は、臨床治療における重要な方法の1つとなっている。PD-1/PD-L1免疫遮断抗体は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)上の腫瘍の阻害を軽減し、リンパ球の機能を再開して腫瘍を認識し、死滅させる。しかしながら、治療の後期段階では、過剰な活性化のために、T細胞は徐々に消耗状態に入り、その機能を失う。臨床試験において、腫瘍を有する患者は一般的に、PD-1/PD-L1療法に対する応答率が低く、耐性または再発のリスクがある。したがって、PD-1/PD-L1の臨床適用におけるボトルネックをいかに除去するかが、現在の免疫療法における最も重要な課題となっている。
【0003】
T細胞増殖因子は、Tリンパ球を増殖させる能力のため、免疫療法の重要な標的となっている。その中でも、IL-2はT細胞の増殖に必要なサイトカインであり、悪性黒色腫および腎臓癌に対して米国食品医薬品局(FDA)によって承認された最も古い免疫療法薬の1つである。しかしながら、IL-2は、(1)半減期の短さ、(2)免疫抑制調節性T細胞(Treg)の活性化、(3)活性化誘導細胞死(AICD)による活性化エフェクターT細胞の排除、(4)血管内皮細胞の活性化によって引き起こされる重度の毒性副作用の理由から、臨床で広く使用されていない。IL-15は別の重要なT細胞増殖因子かつ多面的サイトカインであり、自然免疫応答および適応免疫応答を維持および活性化することができる。IL-15はCD8+T細胞の活性化、増殖および生存を促進することができ、記憶T細胞を活性化および維持することができる。IL-15はまた、NKおよびNKT細胞の活性化および増殖を促進することができる。さらに、IL-15はまた、自己分泌方式で樹状細胞の活性化、増殖および分化を促進し、MHC-IIおよびCD80/CD86の発現を促進し、樹状細胞の抗原交差提示を改善することができる。IL-2と比較して、IL-15は腫瘍治療において、(1)IL-15は活性化誘導性細胞死を回避し、長寿命記憶T細胞の生成および定常状態増殖を誘導することができる、(2)IL-15はTregを増殖しない、(3)IL-2は血管内皮細胞に作用することにより全身毒性を引き起こすが、IL-15はこの副作用を引き起こさない、という利点を有する。したがって、IL-15は、現在、腫瘍免疫療法のための潜在的なサイトカインである。
【0004】
IL-15の臨床使用は、主にその短い半減期および低い治療効果によって制限される。一部の研究者は、半減期を延長するためにIL-15変異をIL-15RαおよびIgG1 Fcドメイン(ALT-803)に連結した。しかしながら、免疫チェックポイント阻害療法と比較して、ALT-803との併用は大きな利点をもたらさない。同時に、全患者において、全身循環NK数およびCD8+T細胞数の増加が検出され、治療用量でのIL-15の有意な毒性副作用を示した。現在、多くの前臨床研究は、IL-15のその受容体への結合を減少させるためにIL-15変異を使用する。それにより末梢NK細胞へのIL-15の結合を減少させることができるが、IL-15の抗腫瘍活性にも影響を及ぼす。さらに、人工修飾IL-15は、人体において抗IL-15抗体を誘導する可能性も高く、それによって、IL-15の治療効果をさらに損なう。
【0005】
一般的な標的として、PD-1自体は大きな利点を有する。PD-1は、全身の他の組織と比較して、腫瘍での発現がより高い。より重要なことには、腫瘍中のCD8+T細胞が高レベルのPD-1を発現することにより、αPD-1抗体がキラーT細胞集団に直接作用することができる。同時に、αPD-1遮断抗体はまた、PD-1およびPD-L1の結合を遮断し、T細胞の阻害を軽減し、T細胞の抗腫瘍能力をさらに増強することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、PD-1/PD-L1抗体遮断療法の効果は、おそらく漸進的なT細胞枯渇のため、有意ではない。T細胞アゴニストとして、IL-15はCD8+T細胞の増殖を促進することができるため、PD-1/PD-L1抗体遮断療法中のT細胞の死滅能力を増強し得る。PD-1/PD-L1抗体-サイトカイン融合タンパク質の概念は非常に一般的であるが、融合タンパク質のほとんどの形態は依然として有意な毒性副作用を生じる。その理由は、サイトカイン受容体(T細胞やNK細胞に発現するIL-15受容体など)が広く分布していることと、サイトカインの受容体への親和性が高いこと(Kd~10-9M)にある。結果として、抗体-サイトカイン融合タンパク質において、サイトカインと受容体との間の親和性は抗体と抗原との間の親和性よりも大きい可能性が高いため、有効な腫瘍標的化効果を生じさせることができず、全身注射中に有意な毒性副作用をもたらす。
【0007】
本開示において構築される融合タンパク質の利点は、hIgGグロブリンとIL-15との間の第1リンカーの長さが、立体障害効果によってIL-15のその受容体IL-2/15Rβ(CD122)への結合を妨げるように調節されることである。末梢循環する場合、融合タンパク質標的薬は、IL-15受容体発現NK細胞への結合を減少させることにより、末梢毒性副作用を減少させる。腫瘍微小環境において、融合タンパク質はαPD-1抗体を介してPD-1を高発現するCD8+T細胞に特異的に結合し、同時に、αPD-1抗体の高親和性を利用することによってCD8+T細胞上の受容体へのIL-15の結合を補助するが、これによりCD8+T細胞を特異的に活性化する。αPD-1抗体を利用してT細胞上のPD-1/PD-L1の阻害を遮断する一方で、融合タンパク質はT細胞の増殖をさらに促進してIL-15のシグナル伝達を介してT細胞の死滅能力を増強するため、末梢毒性副作用を排除しながら、融合タンパク質標的薬の抗腫瘍効果を増強することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、融合タンパク質に関し、前記融合タンパク質は、
(1)インターロイキン15(IL-15)受容体サブユニットαのsushiドメインである第1の構造単位と、
(2)IL-15である第2の構造単位と、
(3)抗体のFc断片または変異Fc断片である融合タンパク質のN末端に位置する第3の構造単位と、
(4)前記第1の構造単位と前記第2の構造単位を連結する第2リンカー、のブロックを含み、
第1リンカーは、前記融合タンパク質のC末端が前記第1の構造単位である場合、前記第2の構造単位と前記第3の構造単位を連結し、
前記第1リンカーは、前記融合タンパク質の前記C末端が前記第2の構造単位である場合、前記第1の構造単位と前記第3の構造単位を連結する。
【0009】
前記第1リンカーは、(GS)によって表されるGGGGSの整数多重反復であるアミノ酸配列を有し、好ましくはnは1~7の任意の整数であり、より好ましくはnは1~5の任意の整数であり、最も好ましくはnは3である。
【0010】
前記融合タンパク質はさらに
(5)治療用抗体のFabである前記第3の構造単位の前記N末端に連結された第4の構造単位、のブロックを含み、
前記治療用抗体は、特に限定されないが、抗PD1/PD-L1抗体、Her2抗体、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗RANKL抗体、抗VEGFR抗体、および抗EGFR抗体が挙げられ、
好ましくは、前記治療用抗体の前記Fabは、抗PD-1 Fab(PD1抗体のFab)である。
【0011】
前記抗PD-1 Fabは、重鎖(可変領域+定常領域)および軽鎖(可変領域+定常領域)を含み、前記重鎖は前記融合タンパク質の前記N末端に位置し、
好ましくは、前記抗PD-1 Fabは、マウス由来またはヒト由来の抗PD-1 Fabであり、
より好ましくは、前記マウス由来またはヒト由来の抗PD-1 Fabは、配列番号4、配列番号18、または配列番号19に示すアミノ酸配列を有する軽鎖を有し、前記抗PD-1 Fabは、配列番号5、配列番号20、または配列番号21に示すアミノ酸配列を有する重鎖を有する。
配列番号4:
YELTQPPSASVNVGETVKITCSGDQLPKYFADWFHQRSDQTILQVIYDDNKRPSGIPERISGSSSGTTATLTIRDVRAEDEGDYYCFSGYVDSDSKLYVFGSGTQLTVLGRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号18:
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASKGVSTSGYSYLHWYQQKPGQAPRLLIYLASYLESGVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQHSRDLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASWCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号19:
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号5:
EVRLLESGGGLVKPEGSLKLSCVASGFTFSDYFMSWVRQAPGKGLEWVAHIYTKSYNYATYYSGSVKGRFTISRDDSRSMVYLQMNNLRTEDTATYYCTRDGSGYPSLDFWGQGTQVTVSSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSC
配列番号20:
QVQLVQSGVEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYMYWVRQAPGQGLEWMGGINPSNGGTNFNEKFKNRVTLTTDSSTTTAYMELKSLQFDDTAVYYCARRDYRFDMGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSWTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRV
配列番号21:
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESK
【0012】
前記IL-15は、配列番号1または配列番号15に示すアミノ酸配列を有するマウス由来またはヒト由来のIL-15である。
配列番号1:
NWIDVRYDLEKIESLIQSIHIDTTLYTDSDFHPSCKVTAMNCFLLELQVILHEYSNMTLNETVRNVLYLANSTLSSNKNVAESGCKECEELEEKTFTEFLQSFIRIVQMFINTS
配列番号15:
NWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
【0013】
前記マウス由来またはヒト由来のIL-15受容体サブユニットαのsushiドメインは、配列番号3または配列番号17に示すアミノ酸配列を有する。
配列番号3:
GTTCPPPVSIEHADIRVKNYSVNSRERYVCNSGFKRKAGTSTLIECVINKNTNVAHWTTPSLKCIRDPSLAHYSPVPT
配列番号17:
ITCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIRDPALVHQRPAPP
【0014】
前記Fc断片または変異Fc断片は、配列番号2または配列番号16に示すアミノ酸配列を有する。
配列番号2:
EPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQK
配列番号16:
EPKSSDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALGAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQK
【0015】
前記第2リンカーは、配列番号6に示すアミノ酸配列を有する。
配列番号6:
SGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQ
【0016】
また、本開示は、融合タンパク質で構成されるホモ二量体に関し、好ましくは、前記ホモ二量体の単量体同士が前記第3の構造単位の二量体化を介して互いに連結されている。
【0017】
より好ましくは、前記ホモ二量体は、
(1)ホモ二量体1(Fc-GS-Rα-IL-15)
前記単量体としての前記融合タンパク質が、N末端からC末端までに、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー(GS)と、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインと、第2リンカーと、IL-15とを含み、好ましくは配列番号7に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体1、
配列番号7:
KLATMETDTLLLWVLLLWVPGSTGEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKGGGGSGTTCPPPVSIEHADIRVKNYSVNSRERYVCNSGFKRKAGTSTLIECVINKNTNVAHWTTPSLKCIRDPSLAHYSPVPTSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQNWIDVRYDLEKIESLIQSIHIDTTLYTDSDFHPSCKVTAMNCFLLELQVILHEYSNMTLNETVRNVLYLANSTLSSNKNVAESGCKECEELEEKTFTEFLQSFIRIVQMFINTS
(2)ホモ二量体2(Fc-GS-IL-15-Rα)
前記単量体としての前記融合タンパク質が、N末端からC末端までに、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー(GS)と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号8に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体2、
配列番号8:
KLATMETDTLLLWVLLLWVPGSTGEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKGGGGSNWIDVRYDLEKIESLIQSIHIDTTLYTDSDFHPSCKVTAMNCFLLELQVILHEYSNMTLNETVRNVLYLANSTLSSNKNVAESGCKECEELEEKTFTEFLQSFIRIVQMFINTSSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQGTTCPPPVSIEHADIRVKNYSVNSRERYVCNSGFKRKAGTSTLIECVINKNTNVAHWTTPSLKCIRDPSLAHYSPVPT
(3)ホモ二量体3(抗PD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15)
前記単量体としての前記融合タンパク質が、N末端からC末端までに、抗PD-1 Fabと、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー(GS)と、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインと、第2リンカーと、IL-15とを含み、好ましくは、配列番号9に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体3、
配列番号9:
YELTQPPSASVNVGETVKITCSGDQLPKYFADWFHQRSDQTILQVIYDDNKRPSGIPERISGSSSGTTATLTIRDVRAEDEGDYYCFSGYVDSDSKLYVFGSGTQLTVLGRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECKLATMETDTLLLWVLLLWVPGSTGEVRLLESGGGLVKPEGSLKLSCVASGFTFSDYFMSWVRQAPGKGLEWVAHIYTKSYNYA300
TYYSGSVKGRFTISRDDSRSMVYLQMNNLRTEDTATYYCTRDGSGYPSLDFWGQGTQVTVSSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCRTEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKGGGGSGTTCPPPVSIEHADIRVKNYSVNSRERYVCNSGFKRKAGTSTLIECVINKNTNVAHWTTPSLKCIRDPSLAHYSPVPTSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQNWIDVRYDLEKIESLIQSIHIDTTLYTDSDFHPSCKVTAMNCFLLELQVILHEYSNMTLNETVRNVLYLANSTLSSNKNVAESGCKECEELEEKTFTEFLQSFIRIVQMFINTS
(4)ホモ二量体4(抗PD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα)
前記単量体としての前記融合タンパク質が、N末端からC末端までに、抗PD-1 Fabと、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー(GS)と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号10に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体4、
配列番号10:
YELTQPPSASVNVGETVKITCSGDQLPKYFADWFHQRSDQTILQVIYDDNKRPSGIPERISGSSSGTTATLTIRDVRAEDEGDYYCFSGYVDSDSKLYVFGSGTQLTVLGRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECKLATMETDTLLLWVLLLWVPGSTGEVRLLESGGGLVKPEGSLKLSCVASGFTFSDYFMSWVRQAPGKGLEWVAHIYTKSYNYATYYSGSVKGRFTISRDDSRSMVYLQMNNLRTEDTATYYCTRDGSGYPSLDFWGQGTQVTVSSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCRTEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKGGGGSNWIDVRYDLEKIESLIQSIHIDTTLYTDSDFHPSCKVTAMNCFLLELQVILHEYSNMTLNETVRNVLYLANSTLSSNKNVAESGCKECEELEEKTFTEFLQSFIRIVQMFINTSSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQGTTCPPPVSIEHADIRVKNYSVNSRERYVCNSGFKRKAGTSTLIECVINKNTNVAHWTTPSLKCIRDPSLAHYSPVPT
(5)ホモ二量体5(Fc-(GS)-IL-15-Rα)
前記単量体が、N末端からC末端までに、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー((GS))と、マウス由来またはヒト由来IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号11に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体5、
配列番号11:
KLATMETDTL LLWVLLLWVP GSTGEPKSSD KTHTCPPCPA PELLGGPSVF LFPPKPKDTL MISRTPEVTC VVVDVSHEDP EVKFNWYVDG VEVHNAKTKP REEQYNSTYR VVSVLTVLHQ DWLNGKEYKC KVSNKALPAP IEKTISKAKG QPREPQVYTL PPSRDELTKN QVSLTCLVKG FYPSDIAVEW ESNGQPENNY KTTPPVLDSD GSFFLYSKLT VDKSRWQQGN VFSCSVMHEA LHNHYTQKGG GGSGGGGSGG GGSNWIDVRY DLEKIESLIQ SIHIDTTLYT DSDFHPSCKV TAMNCFLLEL QVILHEYSNM TLNETVRNVL YLANSTLSSN KNVAESGCKE CEELEEKTFT EFLQSFIRIV QMFINTSSGG GSGGGGSGGG GSGGGGSGGG SLQGTTCPPP VSIEHADIRV KNYSVNSRER YVCNSGFKRK AGTSTLIECV INKNTNVAHW TTPSLKCIRD PSLAHYSPVP T
(6)ホモ二量体6(抗PD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα)
前記単量体が、N末端からC末端までに、抗PD-1 Fabと、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー((GS))と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号12に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体6、
配列番号12:
YELTQPPSASVNVGETVKITCSGDQLPKYFADWFHQRSDQTILQVIYDDNKRPSGIPERISGSSSGTTATLTIRDVRAEDEGDYYCFSGYVDSDSKLYVFGSGTQLTVLGRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECKLATMETDTLLLWVLLLWVPGSTGEVRLLESGGGLVKPEGSLKLSCVASGFTFSDYFMSWVRQAPGKGLEWVAHIYTKSYNYATYYSGSVKGRFTISRDDSRSMVYLQMNNLRTEDTATYYCTRDGSGYPSLDFWGQGTQVTVSSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCRTEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKGGGGSGGGGSGGGGSNWIDVRYDLEKIESLIQSIHIDTTLYTDSDFHPSCKVTAMNCFLLELQVILHEYSNMTLNETVRNVLYLANSTLSSNKNVAESGCKECEELEEKTFTEFLQSFIRIVQMFINTSSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQGTTCPPPVSIEHADIRVKNYSVNSRERYVCNSGFKRKAGTSTLIECVINKNTNVAHWTTPSLKCIRDPSLAHYSPVPT
(7)ホモ二量体7(Fc-(GS)-IL-15-Rα)
前記単量体が、N末端からC末端までに、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー((GS))と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号13に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体7、または
配列番号13:
KLATMETDTLLLWVLLLWVPGSTGEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSNWIDVRYDLEKIESLIQSIHIDTTLYTDSDFHPSCKVTAMNCFLLELQVILHEYSNMTLNETVRNVLYLANSTLSSNKNVAESGCKECEELEEKTFTEFLQSFIRIVQMFINTSSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQGTTCPPPVSIEHADIRVKNYSVNSRERYVCNSGFKRKAGTSTLIECVINKNTNVAHWTTPSLKCIRDPSLAHYSPVPT
(8)ホモ二量体8(抗PD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα)
前記単量体が、N末端からC末端までに、抗PD-1 Fabと、ヒト由来IgG1-Fcと、第1リンカー((GS))と、IL-15と、第2リンカーと、IL-15受容体サブユニットαのsushiドメインとを含み、好ましくは、配列番号14に示すアミノ酸配列を有するホモ二量体8
配列番号14:
YELTQPPSASVNVGETVKITCSGDQLPKYFADWFHQRSDQTILQVIYDDNKRPSGIPERISGSSSGTTATLTIRDVRAEDEGDYYCFSGYVDSDSKLYVFGSGTQLTVLGRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECKLATMETDTLLLWVLLLWVPGSTGEVRLLESGGGLVKPEGSLKLSCVASGFTFSDYFMSWVRQAPGKGLEWVAHIYTKSYNYATYYSGSVKGRFTISRDDSRSMVYLQMNNLRTEDTATYYCTRDGSGYPSLDFWGQGTQVTVSSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCRTEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSNWIDVRYDLEKIESLIQSIHIDTTLYTDSDFHPSCKVTAMNCFLLELQVILHEYSNMTLNETVRNVLYLANSTLSSNKNVAESGCKECEELEEKTFTEFLQSFIRIVQMFINTSSGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQGTTCPPPVSIEHADIRVKNYSVNSRERYVCNSGFKRKAGTSTLIECVINKNTNVAHWTTPSLKCIRDPSLAHYSPVPT
である。
【0018】
本開示はまた、前記融合タンパク質をコードするヌクレオチド断片に関する。
【0019】
本開示はまた、医薬の製造における融合タンパク質および前記融合タンパク質から構成されるホモ二量体の使用に関し、好ましくは、前記医薬は抗腫瘍医薬であり、最も好ましくは、前記医薬はB細胞リンパ腫、結腸直腸癌、黒色腫または肺癌に対する医薬である。
【0020】
また、本開示は、融合タンパク質の調製方法に関し、前記融合タンパク質の調製方法は、
(1)融合タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターを構築する工程であって、好ましくは、前記発現ベクターがpEE12.4発現ベクターである工程と、
(2)宿主細胞を一過性にトランスフェクトすることによって前記発現ベクターを含む宿主細胞を構築する工程であって、好ましくは、前記宿主細胞が293F細胞である工程と、
(3)前記宿主細胞を培養し、細胞上清を回収する工程と、
(4)タンパク質Aアフィニティクロマトグラフィーカラムにより融合タンパク質を精製する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本開示は、以下の有益な効果を有する。
1.類似の構造を有する2つの形態のIL-15融合タンパク質が設計され、IL-15の位置およびIL-15受容体サブユニットαのsushiドメインが、FcのC末端で交換される。2つのIL-15融合タンパク質の生物学的活性は約10,000倍異なる。
2.様々なリンカー(第1リンカー)は、FcのC末端をIL-15受容体サブユニットαのIL-15/sushiドメインに連結するように設計される。第1リンカーの基本単位は、5つのアミノ酸GGGGSから構成される。第1リンカーの長さはIL-15の生物学的活性に直接影響を及ぼし得る。
3.MC38小腫瘍モデル(腫瘍細胞の接種の7日後、腫瘍サイズは約30mm)において、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα融合タンパク質の全身注射後に腫瘍を完全に排除することができ、MC38大腫瘍モデル(腫瘍細胞の接種の14日後、腫瘍サイズは約100mm)において、αPD-1 Fab Fc -GS-IL-15-Rα融合タンパク質の全身注射後に腫瘍を実質的にコントロールすることができる。
4.融合タンパク質標的薬で治療されたマウスは、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα融合タンパク質を治療量の3倍で全身注射した後に体重が減少しない。
5.CD34+ヒト化マウスのA549肺癌腫瘍モデルにおいて、抗ヒトPD-1 Fab Fc-GS-ヒトIL-15-Rαまたは抗ヒトPD-1 Fab Fc-(GS)-ヒトIL-15-Rα融合タンパク質の全身注射後、腫瘍を実質的にコントロールすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[用語の定義]
「融合タンパク質」という用語は、遺伝子組換え、化学的方法または他の適切な方法によって2つ以上の遺伝子のコード領域を連結し、同じ調節配列の制御下でこれらの遺伝子を組換え発現させることによって得られるタンパク質産物を指す。別段の指定がない限り、融合タンパク質のN末端における第1のブロック(ポリペプチド)のC末端は、次のブロック(またはリンカー)のN末端に連結され、以下同様に続く。したがって、融合タンパク質のN末端のブロックのN末端は融合タンパク質のN末端であり、融合タンパク質のC末端のブロックのC末端は、融合タンパク質のC末端である。
【0023】
「IL-15野生型」または「野生型IL-15」という用語は、天然由来のヒトIL-15または非ヒト哺乳動物IL-15または非哺乳動物IL-15を指す。「IL-15野生型」または「野生型IL-15」という用語はまた、当技術分野における一般的なIL-15ポリペプチドを指してもよい。
【0024】
「IL-15Rサブユニットα」という用語は、ヒトIL-15Rαまたは非ヒト哺乳動物IL-15Rαまたは非哺乳動物IL-15Rαなどの任意の種のIL-15Rαまたはその機能的断片であってもよい。例示的な非ヒト哺乳動物としては、ブタ、ウサギ、サル、チンパンジー、マウスなどが挙げられる。非哺乳動物としては、ニワトリなどが挙げられる。好ましくは、IL-15RサブユニットαはヒトIL-15Rα、好ましくはヒトIL-15Rαの細胞外ドメイン断片である。
【0025】
「sushiドメイン」という用語は少なくとも1つのsushiポリペプチド含有IL-15Rαまたはその断片の細胞外領域がIL-15Rα sushiドメインを含み、IL-15Rαの細胞外領域がsushiドメインと呼ばれるドメインを含むことを定義する(Wei et al.2001,J.Immunol.167:277-282)。IL-15Rαのsushiドメインはβシート構造を有し、第1のエクソン2によってコードされるシステイン残基(C1)から始まり、第4のエクソン2によってコードされるシステイン残基(C4)で終わるIL-15Rαのエクソン2によってコードされる。標準的なN末端からC末端方向におけるIL-15Rαのタンパク質配列を考慮する場合、「IL-15Rサブユニットαのsushiドメイン」はシグナルペプチドの後の第1のシステイン残基(C1)から始まり、シグナルペプチドの後の第4のシステイン残基(C4)で終わるものとして定義することができ、残基C1および残基C4の両方をsushiドメインの配列に含めることができる。
【0026】
「Fc」という用語は免疫グロブリンのFc領域の略語であり、免疫グロブリンの定常領域、特に、抗原結合活性を有さず、抗体がエフェクター分子および細胞と相互作用する部位である、免疫グロブリンの重鎖定常領域のカルボキシ末端、またはその一部を指す。本開示における「Fc」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物に由来する任意のFcまたはその変異体であり得る。例えば、Fcは、重鎖のCH1、CH2、CH3およびCH4の2つ以上のドメインの組合せおよび免疫グロブリンヒンジ領域を含んでもよい。Fcは、異なる種、好ましくはヒト免疫グロブリンに由来し得る。重鎖定常領域のアミノ酸配列によれば、免疫グロブリンは、異なるクラス、主にIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMを含む5つのクラスに分けることができる。いくつかのクラスは、IgG-1、IgG-2、IgG-3およびIgG-4、またはIgA-1およびIgA-2などのサブクラス(アイソタイプ)にさらに分けることができる。「Fc領域」は、好ましくはIgGの少なくとも1つの免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3ドメインを含む。より好ましくは、「Fc領域」は、IgG1のCH2ドメインおよびCH3ドメイン、ならびにヒンジ領域の最初のアミノ酸位置を変更することができる免疫グロブリンヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態において、Fcは、CD16a、CD16b、CD32a、CD16b、CD64およびC1qタンパク質などのFc受容体との結合親和性の増強または弱化に起因して、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、または補体依存性細胞傷害(CDC)活性が増加したFcを含む。他の実施形態においては、ADCCまたはCDC活性を低下させるために、変異をFcドメインに含ませている。これらの変異は、Fcドメインにおいて、(1)限定されないがN297AおよびN297GなどのN297における変異、(2)例えば、L234AおよびL234GなどのL234における変異および/または例えば、L235AまたはL235GなどのL235における変異、(3)例えば、P329GなどのP329における変異、または(4)D265AなどのD265における変異、またはこれらの位置のいずれかまたはすべてにおける置換の組合せを含み得るが、これらに限定されない。他の実施形態において、Fc変異(全ての番号付けはKabat番号付けシステムのEuインデックスである)は、血清半減期を増加させる変異を含む。1つの実施形態において、FcはCH3におけるT250Q、またはM428L、またはT250Q/M428L二重変異の置換(Hinton et al.,J Biol Chem.279(8):6213-6,2004)を有する。他の実施形態において、Fcは、M252Y/S254T/T256E三重変異(Dall’Acqua WF et al.,J Immunol 169(9):5171-80,2002)を有する。他の実施形態において、FcはN434A変異(Petkova SB et al.,International Immunology 18(12):1759-1769,2006)、M428L/N434S二重変異、またはM428/N434A二重変異(Zalevsky J et al.,Nat Biotechnol.28(2):157-159,2010)を有する。他の実施形態において、Fc領域はその血清半減期を増加させるように改変されている。いくつかの実施形態において、血清半減期を増加させる修飾は、M428Lである。
【0027】
「抗体(Ab)」という用語は標的抗原に特異的に結合するか、または標的抗原との免疫反応性を有する免疫グロブリン分子を指し、これにはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、遺伝子組み換え抗体およびその他の改変抗体(キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、異種結合抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体および四重特異性抗体、二特異性抗体、三特異性抗体および四特異性抗体)、抗体コンジュゲートおよび抗体の抗原結合断片(例えば、Fab’、F(Ab’)2、Fab、Fv、rIgGおよびscFv断片)が含まれるが、これらに限定されない)が含まれる。
【0028】
「Fab」断片という用語はパパインによる抗体の消化によって生成された2つの同一の抗原結合断片のうちの1つを指し、各Fabは、重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域、ならびに軽鎖の定常領域および重鎖の第1定常領域(CH1)を含む。したがって、本明細書における「Fab」という用語は、軽鎖のVL領域および定常領域(CL)ならびに重鎖のVH領域および第1定常領域(CH1)を含む抗体断片を指す。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域から1つ以上のシステインを含む重鎖のCH1領域のカルボキシ末端における少数の残基の付加においてFabとは異なる。Fab’-SHは、重鎖の定常領域中のシステイン残基が遊離チオール基を保有するFab’断片である。F(ab’)2は2つの抗原結合部位(2つのFab)およびFc領域の一部を有する抗体断片であり、インタクト抗体のペプシン処理によって産生される。
【0029】
「融合タンパク質」という用語は、遺伝子組換え、化学的方法または他の適切な方法によって2つ以上の遺伝子のコード領域を連結し、同じ調節配列の制御下でこれらの遺伝子を組換え発現させることによって得られるタンパク質産物を指す。本開示の融合タンパク質において、2つ以上の遺伝子のコード領域は、ペプチドリンカーまたはリンカーペプチドをコードする配列によって、1つまたはいくつかの位置で融合され得る。本開示の「融合タンパク質」という用語は、抗体/Fc融合タンパク質構築物/複合体、または非共有結合手段によって形成される抗体/Fc融合タンパク質構築物/複合体の成分をさらに含む。
【0030】
「第1/第2リンカー」という用語は本開示におけるタンパク質の正確なフォールディングおよび安定性を確実にするためにIL-15を別のタンパク質分子またはタンパク質断片と連結するペプチドを指す。前記別の分子としてはIL-15Rα、Fc、Fc変異、抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「PD1抗体」および「αPD-1」という用語は、プログラム死タンパク質1(PD1)に対する抗体を指す。例示的な抗体としては、米国特許第7029674号明細書、米国特許第7488802号明細書、米国特許第7521051号明細書、米国特許第8008449号明細書、米国特許第8354509号明細書、米国特許第8617546号明細書および米国特許第8709417号明細書に列挙されている抗体が挙げられるが、これらに限定されない。抗体の具体的な実施形態としては、BGB-A317、nivolumab(Bristol-Myers Squibb社)、labrolizumab(Merck社)、およびpembrolizumab(Merck社)が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、融合タンパク質の構造の概略図であり、図1AはFc-GS-IL-15-Rα融合タンパク質の構造の概略図であり、図1BはαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα融合タンパク質の構造の概略図であり、図1CはFc-GS-Rα-IL-15融合タンパク質の構造の概略図であり、図1DはαPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15融合タンパク質の構造の概略図である。
【0033】
図2図2は、異なる第1リンカーを有するいくつかの融合タンパク質の生物活性の比較を示す。
【0034】
図3図3は、異なる第1リンカーを有するいくつかの融合タンパク質の受容体結合能の比較を示す。
【0035】
図4図4は、Fc-GS-IL-15-Rα、Fc-(GS)3-IL-15-Rα、αPD-1 Fab Fc-(GS)3-IL-15-Rα、およびaEGFR Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα融合タンパク質のCD8+T細胞に対する結合能の比較を示す。
【0036】
図5図5は、MC38腫瘍モデルマウスにFc-GS-IL-15-RαおよびFc-GS-Rα-IL-15を腹腔内投与治療した結果を示す。
【0037】
図6図6は、Fc-GS-IL-15-RαおよびFc-GS-Rα-IL-15を腹腔内投与治療したMC38腫瘍モデルマウスの体重の変化を示す。
【0038】
図7図7は、Fc-GS-IL-15-RαおよびFc-GS-Rα-IL-15を腹腔内投与治療したMC38腫瘍モデルマウスの生存曲線を示す。
【0039】
図8図8は、Fc-GS-IL-15-RαおよびFc-GS-Rα-IL-15を腹腔内投与治療したMC38腫瘍モデルマウスの末梢血リンパ球数を示す。図中の縦軸は「#/μl」であり、血液1μl当たりの細胞数を指す。
【0040】
図9図9は、MC38腫瘍モデルマウスにαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαおよびFc-GS-IL-15-Rαを腹腔内投与治療した結果を示す。
【0041】
図10図10は、MC38腫瘍モデルマウスにαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab混合Fc-GS-IL-15-Rαを腹腔内投与治療した結果を示す。
【0042】
図11図11は、MC38腫瘍モデルマウスにαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15を腹腔内投与治療した結果を示す。
【0043】
図12図12は、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15を腹腔内投与治療したMC38腫瘍モデルマウスの体重の変化を示す。
【0044】
図13図13は、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15を腹腔内投与治療したMC38腫瘍モデルマウスの末梢血リンパ球数を示す。
【0045】
図14図14は、7日目に異なる第1リンカーおよびFc断片を有するαPD-1-IL-15融合タンパク質を腹腔内投与治療したMC38小腫瘍モデルマウスの結果を示す。
【0046】
図15図15は、7日目に異なる第1リンカーおよびFc断片を有するαPD-1-IL-15融合タンパク質を腹腔内投与治療したMC38小腫瘍モデルマウスの体重の変化を示す。
【0047】
図16図16は、14日目に異なる第1リンカーおよびFc断片を有するαPD-1-IL-15融合タンパク質を腹腔内投与治療したMC38大腫瘍モデルマウスの結果を示す。
【0048】
図17図17は、14日目に異なる第1リンカーを有するαPD-1-IL-15融合タンパク質を腹腔内投与治療したMC38大腫瘍モデルマウスの結果を示す。
【0049】
図18図18は、14日目に異なる第1リンカーを有するαPD-1-IL-15融合タンパク質を腹腔内投与治療したMC38大腫瘍モデルマウスの体重の変化を示す。
【0050】
図19図19は、14日目に異なる第1リンカーを有するαPD-1-IL-15融合タンパク質を腹腔内投与治療したMC38大腫瘍モデルマウスの末梢血リンパ球数を示す。
【0051】
図20図20は、B16腫瘍モデルマウスにαPD-1 Fab-Fc-(GS)-IL-15-Rαを腫瘍内投与治療した結果を示す。
【0052】
図21図21は、A549肺癌腫瘍CD34+ヒト化マウスに抗ヒトPD-1 Fab-Fc-GS-ヒトIL-15-Rαおよび抗ヒトPD-1 Fab-Fc-(GS)-ヒトIL-15-Rαを全身投与治療した結果を示す。
【0053】
図22図22は、αPD-1 Fab-Fc-(GS)-Rα-IL-15、Fc-GS-Rα-IL-15、αPD-1 Fab-Fc-(GS)-IL-15-RαおよびFc-(GS)-IL-15-Rα融合タンパク質のSDS-PAGE電気泳動図である。
【0054】
図23図23は、抗ヒトPD-1 Fab-Fc-GS-ヒトIL-15-Rαおよび抗ヒトPD-1 Fab-Fc-(GS)-ヒトIL-15-Rα融合タンパク質のSDS-PAGE電気泳動図である。
【実施例
【0055】
[実施例1]融合タンパク質の設計および構築
1.以下の8種類の融合タンパク質の設計と構築
(1)Fc-GS-IL-15-RαおよびFc-GS-Rα-IL-15融合タンパク質
Fc-GS-IL-15-IL-15Rα sushi(以下、Fc-GS-IL-15-Rαという)およびFc-GS-IL-15Rα sushi-IL-15(以下、Fc-GS-Rα-IL-15という)は、図1Aおよび図1Cに示すような構成を有する。IL-15Rα sushiはIL-15受容体サブユニットαのsushiドメインであり、配列番号3または17に示すアミノ酸配列を有し、IL-15Rα sushiとIL-15との間の第2リンカーは配列番号6に示すアミノ酸配列を有し、IL-15Rα sushiまたはIL-15とFcとの間の第1リンカーは(GS)によって表されるGGGGSの整数多重反復であり、Fc-GS-IL-15-Rαは配列番号8に示すアミノ酸配列を有し、Fc-GS-Rα-IL-15は配列番号7に示すアミノ酸配列を有する。
(2)Fc-GS-IL-15-Rαの第1リンカーをさらに修飾して得たFc-(GS)-IL-15-RαおよびFc-(GS)-IL-15-Rα融合タンパク質
Fc-(GS)-IL-15-RαおよびFc-(GS)-IL-15-Rαの第1リンカーはそれぞれ、(GGGGS)および(GGGGS)であり、Fc-(GS)-IL-15-Rαは配列番号11に示すアミノ酸配列を有し、Fc-(GS)-IL-15-Rαは配列番号13に示すアミノ酸配列を有する。
(3)Fc-GS-IL-15RαおよびFc-GS-Rα-IL-15に抗PD-1 Fabをさらに融合して得たαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15
αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15は、図1Bおよび図1Cに示すような構成を有する。抗PD-1 Fabは配列番号4、18または19に示すアミノ酸配列を有する軽鎖および配列番号5、20または21に示すアミノ酸配列を有する重鎖を有し、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rαは配列番号10に示すアミノ酸配列を有し、αPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15は配列番号9に示すアミノ酸配列を有する。
(4)αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rαの第1リンカーをさらに修飾して得たαPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα融合タンパク質
αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαは、それぞれ(GGGGS)および(GGGGS)である第1リンカーを有し、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαは配列番号12に示すアミノ酸配列を有し、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαは配列番号14に示すアミノ酸配列を有する。
【0056】
2.融合タンパク質の構築、トランスフェクション、発現、回収および精製
【0057】
融合タンパク質の上記4つの形態の遺伝子を真核生物発現ベクターに構築し、293F細胞において単一プラスミドまたは複数プラスミドによって一過性に発現させた。回収した細胞上清をタンパク質Aで精製した。精製したタンパク質をELISAおよびNanodropで定量し、SDS-PAGEで純度を検出した(各サンプルに4μgを充填)。
【0058】
具体的なプロトコールは以下の通りであった。
【0059】
2.1.プラスミド構築
【0060】
マウスIgGκシグナルペプチドおよびヒトIgG1の定常領域配列を含むpEE12.4-IgGκ-hIgG1 Fcプラスミドを、本発明者らの研究室から得た。本出願に関与する全ての遺伝子(IL-15、IL-15 RαおよびαPD-1 Fab)を、第三者の商用合成会社によって合成した後、酵素消化およびライゲーションまたは相同組換えによってpEE12.4発現ベクターに挿入した。プラスミドをTIANGEN社のプラスミド抽出キットで抽出し、-20℃で保存した。
【0061】
2.2.目的のタンパク質の迅速な無血清発現のための一過性トランスフェクション
【0062】
(1)293F細胞をSMM293TII培地を用いて37℃、CO8%、135rpmで懸濁培養し、細胞密度が4~4.5×10細胞/ml、200mlに達した時点でトランスフェクションに用いることができた。
【0063】
(2)細胞を遠心分離により回収し、Freestyle 293培地で1回洗浄し、200mlのFreestyle 293培地で再懸濁した。
【0064】
(3)360μgのプラスミドを6mlのFreestyle 293培地で希釈した。2つのプラスミドを用いて細胞を共トランスフェクトしてαPD-1融合タンパク質を得、αPD-1重鎖を発現するプラスミドに対するαPD-1軽鎖を発現するプラスミドの比は2:1(αPD-1軽鎖を発現するプラスミド240μg+αPD-1重鎖を発現するプラスミド120μg)であり、0.22μmのフィルター膜を濾過および滅菌に用いた。
【0065】
(4)720μgのポリエチレンイミン(PEI)を6mlのFreestyle 293培地で希釈し、0.22μmのフィルター膜で濾過することにより滅菌した。
【0066】
(5)5mlのPEIをボルテックスしながら一滴ずつプラスミドに添加した後、5~10分間放置した。
【0067】
(6)細胞懸濁液をプラスミド/PEI混合物に添加し、37℃、CO8%、85rpm培養した。
【0068】
(7)4時間後、細胞懸濁液に200mlのEX-CELLTM 293培地と2mMのL-グルタミンを添加し、回転速度を135rpmに調整してさらに培養した。
【0069】
(8)24時間後、細胞増殖阻害剤である3.8mMのバルプロ酸(VPA)を添加し、トランスフェクション後6日目に8000rpm、4℃で2時間遠心分離して細胞を回収し、細胞上清を回収してさらに精製した。
【0070】
2.3.プロテインAを用いた目的タンパク質の精製
【0071】
(1)サンプル調製:回収した細胞上清を0.22μmのフィルター膜で濾過し、細胞片を除去し、最終濃度0.05%のNaNを添加した。
【0072】
(2)タンパク質Aクロマトグラフィーカラムをすすぎ、カラム容量の10倍の再蒸留水およびPBSでそれぞれ平衡化した。
【0073】
(3)カラム体積/時間の10倍の流速で一定流ポンプを使用することによって、サンプルを繰り返し充填した。
【0074】
(4)カラムをカラム容量の10倍のPBSで洗浄し、不純物タンパク質を除去した。
【0075】
(5)0.1Mのグリシン(pH2.7)を用いて溶出を行って溶出液を回収し、溶出したタンパク質をプールし、適量の中和緩衝液(1MのTris、pH9.0)で中和した(pH値はタンパク質溶液を観察して凝集性沈殿物がない程度に調整され、pHは約4であった)。
【0076】
タンパク質はSDS-PAGE電気泳動、NanoDrop2000およびELISAにより濃度および純度を測定し、-80℃でアリコートおよび保存したが、アリコートしたタンパク質を4℃でゆっくり解凍する必要があり、繰り返し凍結および解凍することはできない。
【0077】
αPD-1 Fab-Fc-(GS)-Rα-IL-15、Fc-GS-Rα-IL-15、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-RαおよびFc-(GS)-IL-15-Rα融合タンパク質のSDS-PAGE電気泳動の結果を図22に示す。抗ヒトPD-1 Fab Fc-GS-ヒトIL-15-Rαおよび抗ヒトPD-1 Fab Fc-(GS)-ヒトIL-15-Rα融合タンパク質のSDS-PAGE電気泳動の結果を図23に示す。
[実施例2]αPD-1-IL-15融合タンパク質の生物学的機能研究
【0078】
1.リンパ球生成促進機能
【0079】
リンパ球増殖促進試験(CCK8試験)は、以下の工程を含む。
【0080】
(1)CTLL2細胞を、100U/mlの市販の組換えIL2サイトカインを含有する1640完全培地で培養した。
【0081】
(2)試験を行い、IL2を含まない完全培地で細胞を2~3回洗浄し、2×10/mlに希釈した。
【0082】
(3)Fc-GS-IL-15-Rα、Fc-GS-Rα-IL-15、Fc-(GS)-IL-15-Rα、αPD-1 Fc-(GS)-IL-15-Rα、およびαPD-1 Fc-(GS)-IL-15-Rαのサンプルを、IL2を含まない完全培地で、5μg/mlの初期濃度、5倍希釈、および10倍希釈勾配で希釈した。
【0083】
(4)細胞懸濁液100μlとサンプル100μlを96穴の細胞培養プレートに添加し、ピペットチップでピペッティングすることによりよく混合した。
【0084】
(5)72時間培養後、細胞にCCK8を20μl添加し、さらに3時間培養した後、マイクロプレートリーダーにより450nmおよび630nmのOD値を検出した。
【0085】
検出結果を図2に示すが、以下のことが分かる。
(1)Fc-GS-Rα-IL-15の生物学的活性は有意に増加し、Fc-GS-IL-15-Rαの生物学的活性よりも約10,000倍高く、このことは、IL-15融合タンパク質の2つの形態の生物学的活性がIL-15およびRαの相対的位置に関連することを示している。
(2)αPD-1 Fc-(GS)-IL-15-Rαの生物学的活性はFc-(GS)-IL-15-Rαと比較して変化せず、このことはαPD-1抗体の導入がPD-1の発現が低い細胞におけるIL-15の生物学的活性を変化させないことを示している。
(3)αPD-1 Fc-(GS)-IL-15-Rαの生物学的活性はαPD-1 Fc-(GS)-IL-15-Rαの生物学的活性よりも高く、このことは融合タンパク質形態におけるIL-15の生物学的活性が第1リンカーの長さにも関連することを示している。
【0086】
2.IL-15融合タンパク質の結合能の検出
【0087】
Fc-GS-IL-15-Rα、Fc-GS-Rα-IL-15およびFc-(GS)-IL-15-RαのIL-15受容体に対する結合能をCTLL2レポーター細胞株において検出し、その結果を図3に示すが、IL-15のその受容体に対する結合能がその生物学的活性と正の相関があること、すなわち、Fc-GS-IL-15-Rαの生物学的活性が低いことはその受容体に対する親和性が低いことによることを示している。
【0088】
Fc-GS-IL-15-Rα、Fc-(GS)-IL-15-Rα、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-RαおよびaEGFR Fab Fc-(GS)-IL-15-RαのMC38腫瘍マウスの腫瘍から選別されたCD8+T細胞に対する結合能を検出し、その結果を図4に示すが、PD-1 Fab抗体がCD8+T細胞への結合タンパク質の結合を仲介することを示している。
【0089】
3.腫瘍モデルマウスにおけるIL-15およびαPD-1-IL-15融合タンパク質の治療効果および毒性副作用の検出
【0090】
3.1.MC38腫瘍モデル(接種の7日後に投与を行った)
【0091】
方法1(投与量15μg)
【0092】
5×10のMC38腫瘍細胞をC57マウスの左下に皮下接種した。腫瘍が40mmに成長すると、15μgのFc-GS-IL-15-RαまたはFc-GS-Rα-IL-15を2日間隔で3回腹腔内投与し、同様にPBSを対照群に投与した。腫瘍体積を測定し(体積=長さ×幅×高さ/2)、マウスの体重変化および生存曲線を記録した。
【0093】
結果を図5図6図7および図8に示す。
(1)Fc-GS-IL-15-Rαの腹腔内投与により、腫瘍はコントロールされず、体重は変化せず、全てのマウスが生存した。これは、Fc-GS-IL-15-Rαが有意な抗腫瘍効果を有さず、毒性副作用を有さないことを示す。
(2)Fc-GS-Rα-IL-15の腹腔内投与により、腫瘍は有意にコントロールされたが、体重が大幅に減少し、40%が死亡した。さらに、末梢血リンパ球において、CD8+T、B220+、NK、およびNKT細胞が増殖した。これは、Fc-GS-Rα-IL-15が有意な抗腫瘍効果および重度の毒性副作用を有することを示す。
【0094】
方法2(投与量15μg)
【0095】
5×10のMC38腫瘍細胞をC57マウスの左下に皮下接種した。腫瘍が40mmに成長すると、Fc-GS-IL-15-Rα(15μg)またはαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα(等モル量30μg)を2日間隔で3回腹腔内投与し、同様にPBSを対照群に投与した。腫瘍体積を測定した(体積=長さ×幅×高さ/2)。
【0096】
結果を図9に示す。腫瘍はFc-GS-IL-15-Rαの腹腔内投与群ではコントロールされなかったが、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rαの腹腔内投与群では有意にコントロールされたことがわかる。これは、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαがαPD-1抗体の作用により治療効果を増強することができることを示す。
【0097】
方法3(投与量15μg)
【0098】
5×10のMC38腫瘍細胞をC57マウスの左下に皮下接種した。腫瘍が40mmに成長すると、αPD-1 Fab(15μg)+Fc-GS-IL-15-Rα(15μg)またはαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα(等モル量30μg)を2日間隔で3回腹腔内投与し、同様にPBSを対照群に投与した。腫瘍の体積を測定した(体積=長さ×幅×高さ/2)。
【0099】
結果を図10に示す。αPD-1 Fab+Fc-GS-IL-15-Rαの腹腔内投与群では腫瘍はコントロールされなかったが、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rαの腹腔内投与群では腫瘍は有意にコントロールされたことがわかる。これは、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rαの抗腫瘍効果がαPD-1 FabとIL-15の融合タンパク質の共効果に依存することを示す。
【0100】
方法4(投与量30μg)
【0101】
5×10のMC38腫瘍細胞をC57マウスの左下に皮下接種した。腫瘍が40mmに成長すると、αPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15またはαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rαを2日間隔で3回腹腔内投与し、同様にPBSを対照群に投与した。腫瘍体積を測定し(体積=長さ×幅×高さ/2)、マウスの体重変化を記録した。
【0102】
結果を図11図12および図13に示す。
(1)αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rαの腹腔内投与により、腫瘍は良好にコントロールされ、体重は変化せず、末梢血リンパ球は有意に増殖しなかった。これは、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rαが毒性副作用なしに有意な抗腫瘍効果を有することを示す。
(2)αPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15の腹腔内投与により、腫瘍は良好にコントロールされたが、体重減少は顕著であった。さらに、末梢血リンパ球において、CD8+T、B220+、NK、およびNKT細胞が増殖した。これは、αPD-1 Fab Fc-GS-Rα-IL-15が有意な抗腫瘍効果および重度の毒性副作用を有することを示す。
【0103】
方法5(投与量30μg)
【0104】
5×10のMC38腫瘍細胞をC57マウスの左下に皮下接種した。腫瘍が40mmに成長すると、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα、αPD-1 Fab mFc-GS-IL-15-Rα、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα、αPD-1 Fab mFc-(GS)-IL-15-RαおよびaEGFR Fab Fc-GS-IL-15-Rαを2日間隔で3回腹腔内投与し、同様にPBSを対照群に投与した。腫瘍体積を測定し(体積=長さ×幅×高さ/2)、マウスの体重変化を記録した。
【0105】
結果を図14および図15に示す。
(1)αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα、αPD-1 Fab mFc-GS-IL-15-Rα、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα、およびαPD-1 Fab mFc-(GS)-IL-15-Rαの腹腔内投与により、腫瘍は良好にコントロールされ、体重は有意に変化しなかった。これは、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα、αPD-1 Fab mFc-GS-IL-15-Rα、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα、およびαPD-1 Fab mFc-(GS)-IL-15-Rαが毒性副作用なしに有意な抗腫瘍効果を有することを示す。
(2)aEGFR Fab Fc-GS-IL-15-Rαの腹腔内投与により、腫瘍はコントロールされず、体重は変化しなかった。これは、aEGFR抗体がαPD-1抗体の代わりに抗腫瘍の役割を果たすことができないことを示す。
【0106】
3.2.MC38腫瘍モデル(接種の14日後に投与を行った)
【0107】
方法1(投与量30μg)
【0108】
5×10のMC38細胞を、C57マウスの左下に皮下接種した。腫瘍が100mmに成長すると、αPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-Rα、αPD-1 Fab mFc-GS-IL-15-Rα、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rα、αPD-1 Fab mFc-(GS)-IL-15-RαおよびaEGFR Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαを2日間隔で3回腹腔内投与し、PBSを対照群に投与した。腫瘍の体積を測定した(体積=長さ×幅×高さ/2)。
【0109】
結果を図16に示す。
(1)αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab mFc-(GS)-IL-15-Rαの腹腔内投与により、腫瘍は良好にコントロールされた。このことは、第1リンカーが(GS)である場合、融合タンパク質がより良好な抗腫瘍効果を有することを示す。
(2)aEGFR Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαの腹腔内投与により、腫瘍はコントロールされず、体重は変化しなかった。これは、aEGFR抗体がαPD-1抗体の代わりに抗腫瘍の役割を果たすことができないことを示す。
(3)、腹腔内投与したαPD-1 Fab Fc-GS-IL-15-RαとαPD-1 Fab mFc-GS-IL-15-Rαとの間には抗腫瘍効果に有意な差はなく、このことはmFcが抗腫瘍処理に有意な役割を果たさないことを示す。
【0110】
方法2(投与量30μg)
【0111】
5×10のMC38細胞を、C57マウスの左下に皮下接種した。腫瘍が100mmに成長すると、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-RαおよびαPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαを2日間隔で3回腹腔内投与し、同様にPBSを対照群に投与した。腫瘍体積を測定し(体積=長さ×幅×高さ/2)、マウスの体重変化を記録した。
【0112】
結果を図17図18、および図19に示す。
(1)αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-RαとαPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαの腹腔内投与により、腫瘍は有意差なく良好にコントロールされた。これは、(GS)の第1リンカーを有する融合タンパク質が(GS)の第1リンカーを有する融合タンパク質と比較して、より良好な抗腫瘍効果を有さなかったことを示す。
(2)αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαの腹腔内投与により、マウスは軽度の体重減少および末梢血リンパ球の有意な増殖を示した。これは、(GS)の第1リンカーを有する融合タンパク質が末梢毒性副作用を有することを示す。
【0113】
3.3.B16腫瘍モデル(接種の7日後に投与を行った)
【0114】
(1)3×10のB16細胞をC57マウスの左下に皮下接種した。
【0115】
(2)腫瘍が30mmに成長すると、αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαを2日間隔で3回腫瘍内投与し、1回30μgを投与し、同様にPBSを対照群に投与した。
【0116】
(3)腫瘍の体積を測定した(体積=長さ×幅×高さ/2)。
【0117】
結果を図20に示す。
(1)αPD-1 Fab Fc-(GS)-IL-15-Rαの腫瘍内投与により、腫瘍はコントロールされた。このことは、融合タンパク質がB16に対して一定の抗腫瘍効果を有することを示す。
【0118】
3.4.CD34+ヒト化マウスA549肺癌モデル
【0119】
(1)2×10のA549細胞を、CD34+ヒト化マウスの左下に皮下接種した。
【0120】
(2)腫瘍が30mmに成長すると、抗ヒトPD-1 Fab Fc-GS-ヒトIL-15-Rαまたは抗ヒトPD-1 Fab Fc-(GS)-ヒトIL-15Rαを、10日目に10μgの投薬量で、17日目および20日目に20μgの投薬量で全身投与した。同様にPBSを対照群に投与した。
【0121】
(3)腫瘍の体積を測定した(体積=長さ×幅×高さ/2)。
【0122】
結果を図21に示す。
(1)抗ヒトPD-1 Fab Fc-GS-ヒトIL-15-Rαまたは抗ヒトPD-1 Fab Fc-(GS)-ヒトIL-15-Rαの腹腔内投与により、腫瘍はコントロールされた。これは、融合タンパク質がヒト化マウスにおけるヒト由来A549肺癌に対して抗腫瘍効果を有することを示す。
【0123】
最後に、上記の実施形態は、当業者が本開示の本質を理解するのを助けるためにのみ使用され、本開示の保護範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【配列表】
2024539432000001.xml
【国際調査報告】