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特表2024-539436量子ドット色変換材料を含む発光素子およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】量子ドット色変換材料を含む発光素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20241018BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20241018BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/58
H01L33/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529324
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022049970
(87)【国際公開番号】W WO2023091415
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/279,964
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】ハートラブ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】チャッダ,サケット
(72)【発明者】
【氏名】リー,アーネスト シー.
(72)【発明者】
【氏名】キム,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アントニアディス,ホーマー
(72)【発明者】
【氏名】タンジララ,ラビスバーシュ
(72)【発明者】
【氏名】オルマイヤー,デイビッド
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA03
5F142AA05
5F142BA32
5F142CD02
5F142CD15
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD44
5F142CE03
5F142CE15
5F142CG03
5F142CG14
5F142DA13
5F142DA23
5F142DA36
5F142DA64
5F142DA72
5F142DA73
5F142DB20
5F142EA34
5F142FA28
5F142GA02
5F241CA04
5F241CA40
5F241FF06
(57)【要約】
発光素子であって、キャビティ壁によって境界を囲まれた第1の光キャビティと、第1の光キャビティ内に配置され、青色または紫外線放射の第1の入射光子を射出するように構成された第1の発光ダイオードと、前記第1の発光ダイオードの上に位置し、前記発光ダイオードによって射出された前記第1の入射光子を吸収し、前記第1の入射光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第1の変換光子を生成するように構成された第1の色変換材料と、前記第1の色変換材料の上に配置され、前記第1の入射光子を吸収または反射し、前記第1の変換光子を透過するように構成された第1の色セレクタと、を含む発光素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のキャビティ壁によって境界を囲まれた第1の光キャビティと、
前記第1の光キャビティ内に配置され、青色または紫外線放射の第1の入射光子を射出するように構成された第1の発光ダイオードと、
前記第1の発光ダイオードの上に位置し、前記発光ダイオードによって射出された前記第1の入射光子を吸収し、前記第1の入射光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第1の変換光子を生成するように構成された第1の色変換材料と、
前記第1の色変換材料の上に配置され、前記第1の入射光子を吸収または反射し、前記第1の変換光子を透過するように構成された第1の色セレクタと、
を含む、
発光素子。
【請求項2】
前記第1の発光ダイオード(LED)は、100ミクロン未満の長さおよび幅を有し、非ドープGaNまたはInGaN発光層を含むマイクロLEDを含む、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第1の色変換材料は、量子ドットの層を含む、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記量子ドットの層は、前記第1の入射光子を吸収し、赤、緑、または青色を有する前記第1の変換光子を射出するように構成される、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1の色セレクタは、有機ポリマーに埋め込まれた有機色素を含む色フィルタを含む、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1の色セレクタが、分布ブラッグ反射体を含む、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1のキャビティ壁が絶縁性金属酸化物材料を含む、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1の発光ダイオードと前記第1の色変換材料との間の前記第1の光キャビティ内に位置する光抽出材料をさらに含み、
前記光抽出材料は、前記少なくとも1つの第1のキャビティ壁の第2の屈折率よりも小さい第1の屈折率を有する、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
少なくとも1つの第2キャビティ壁で境界を囲まれた第2の光キャビティと、
前記第2の光キャビティ内に配置され、青色または紫外線放射の第2の入射光子を射出するように構成された第2の発光ダイオードと、
前記第2の発光ダイオードの上に位置し、前記発光ダイオードによって射出された前記第2の入射光子を吸収し、前記第2の入射光子のピーク波長および前記第1の変換光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第2の変換光子を生成するように構成された第2の色変換材料と、
前記第2の色変換材料の上に配置され、前記第2の入射光子を吸収または反射し、前記第2の変換光子を透過するように構成された第2の色セレクタと、
少なくとも1つの第3の光キャビティ壁で境界を囲まれた第3の光キャビティと、
前記第3の光キャビティ内に配置され、青色または紫外線の第3の入射光子を射出するように構成された第3の発光ダイオードと、
前記第3の発光ダイオードの上に位置し、前記発光ダイオードによって射出された前記第3の入射光子を吸収し、前記第3の入射光子のピーク波長、前記第1の変換光子のピーク波長および前記第2の変換光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第3の変換光子を生成するように構成された第3の色変換材料と、
前記第3の色変換材料の上に配置され、前記第3の入射光子を吸収または反射し、前記第3の変換光子を透過するように構成された第3の色セレクタと、
をさらに含む、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項10】
前記第1、第2および第3の発光ダイオードを支持するバックプレーンをさらに含み、
前記少なくとも1つの第1、第2および第3のキャビティ壁は、前記バックプレーン上に位置し、その中に前記第1、第2および第3の光キャビティを含むマトリックス層の一部を備える、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項11】
発光素子アレイを形成する方法であって、
マトリックス材料に第1のビアを形成すること、
前記第1のビア内に第1の複数の量子ドットを堆積させて、第1の色に対応する色変換材料層の第1の部分を形成すること、
前記マトリックス材料中に第2のビアを形成すること、
前記第2のビア中に第2の複数の量子ドットを堆積させて、第2の色に対応する前記色変換材料層の第2の部分を形成すること、
前記マトリックス材料中に第3のビアを形成すること、および
前記第3のビア内に第3の複数の量子ドットを堆積させて、第3の色に対応する前記色変換材料層の第3の部分を形成すること、
を含み、
前記第1の複数の量子ドットは第1の発光ダイオードの上に配置され、前記第2の複数の量子ドットは第2の発光ダイオードの上に配置され、前記第3の複数の量子ドットは第3の発光ダイオードの上に配置される、
発光素子アレイを形成する方法。
【請求項12】
前記マトリックス材料に前記第2のビアを形成する前に、前記第1の複数の量子ドットの上に第1の保護層を形成すること、および、
前記マトリックス材料に前記第3のビアを形成する前に、前記第2の複数の量子ドットの上に第2の保護層を形成すること、をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
同一のポジ型フォトレジスト堆積ステップ中に、前記第1のビアに第1のポジ型フォトレジスト部を形成し、前記第2のビアに第2のポジ型フォトレジスト部を形成し、前記第3のビアに第3のポジ型フォトレジスト部を形成することであって、ここで前記マトリックス材料に前記第1、第2および第3のビアを形成することは、同一のビア形成工程中に行われる、
前記第1のビアに前記第1の複数の量子ドットを堆積させる前に、前記第1のビアを覆う前記第1のポジ型フォトレジスト部を選択的に露光し除去すること、
前記第1のビアに前記第1の複数の量子ドットを堆積させた後、前記第2のビアに前記第2の複数の量子ドットを堆積させる前に、前記第2のビアを覆う前記第2のポジ型フォトレジスト部を選択的に露光し除去すること、および
前記第2のビアに前記第2の複数の量子ドットを堆積させた後、前記第3のビアに前記第3の複数の量子ドットを堆積させる前に、前記第3のビアを覆っている前記第3のポジ型フォトレジストポジ部を選択的に露光し除去すること、
をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1、第2および第3の発光ダイオードは、バックプレーン上に配置され、
前記マトリックス材料は、前記マトリックス材料に前記第1、第2および第3のビアを形成する前に、前記第1、第2および第3の発光ダイオードの上に形成され、
前記第1のポジ型フォトレジスト部を選択的に露光することは、前記第1の発光ダイオードを活性化して前記第1のポジ型フォトレジスト部を露光することを含み、
前記第2のポジ型フォトレジスト部を選択的に露光することは、前記第2の発光ダイオードを活性化して前記第2のポジ型フォトレジスト部を露光することを含み、
前記第3のポジ型フォトレジスト部を選択的に露光することは、前記第3の発光ダイオードを活性化して前記第3のポジ型フォトレジスト部を露光することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1、第2および第3の発光ダイオードは、バックプレーン上に配置され、
前記マトリックス材料は、前記マトリックス材料に前記第1、第2および第3のビアを形成する前に、前記第1、第2および第3の発光ダイオードの上に形成され、
前記マトリックス材料は金属または金属酸化物層を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記マトリックス材料は、前記第1、第2および第3の発光ダイオードの上にアルミニウム層として形成され、
前記マトリックス材料に前記第1、第2および第3のビアを形成することは、酸浴中で前記第1、第2および第3の発光ダイオードの電極に電圧を印加することによって前記アルミニウム層を陽極酸化してアルミナマトリックス材料を形成することを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のビア内において前記第1の複数の量子ドット上に第1の色セレクタを形成すること、
前記第2のビア内において前記第2の複数の量子ドット上に第2の色セレクタを形成すること、および
前記第3のビア内において前記第3の複数の量子ドット上に第3の色セレクタを形成すること、
をさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1、第2および第3の色セレクタが、有機ポリマー中に埋め込まれた有機色素カラーフィルタを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1、第2および第3の色セレクタが、分布ブラッグ反射体を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1、第2および第3の色セレクタを形成する前に、前記第1、第2および第3の発光ダイオードの上に光抽出材料を形成することをさらに含み、
前記光抽出材料は、前記マトリックス材料の第2の屈折率よりも小さい第1の屈折率を有する、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月16日に出願された、米国仮特許出願番号第63/279,964に対する優先権を主張するものであり、当該仮特許出願の全容を参照により本願に繰り入れるものとする。
本開示は、発光素子に関し、特に、色変換材料を用いて光キャビティ内に形成された発光ダイオード、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は、ノートパソコンやテレビの液晶ディスプレイのバックライトなど、電子ディスプレイに使用されている。発光素子には、発光ダイオード(LED)をはじめ、光を発するように構成されたさまざまな種類の電子デバイスが含まれる
【0003】
LEDなどの発光素子の場合、発光波長は、サイズに依存する量子閉じ込め効果とともに、LEDの活性領域のバンドギャップによって決定される。多くの場合、活性領域には1つ以上のバルク半導体層や量子井戸(QW)が含まれる。GaNベースの素子のようなIII-窒化物系LED素子の場合、活性領域(例えば、バルク半導体層またはQW井戸層)の材料は、InGa1-xNのような組成を有する三元系であってもよく、ここで0<x<1である。
【0004】
このようなIII族窒化物材料のバンドギャップは、活性領域に混入されるInの量に依存する。インジウムの混入量が多いほどバンドギャップが小さくなり、発光波長が長くなる。本明細書では、「波長」という用語はLEDのピーク発光波長を指す。半導体LEDの典型的な発光スペクトルは、ピーク波長を中心とした狭帯域の波長であることを理解されたい。
【発明の概要】
【0005】
本実施形態の1つである発光素子は、少なくとも1つの第1のキャビティ壁によって境界を囲まれた第1の光キャビティと、第1の光キャビティ内に配置され、青色または紫外線放射の第1の入射光子を射出するように構成された第1の発光ダイオードと、前記第1の発光ダイオードの上に位置し、前記発光ダイオードによって射出された前記第1の入射光子を吸収し、前記第1の入射光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第1の変換光子を生成するように構成された第1の色変換材料と、前記第1の色変換材料の上に配置され、前記第1の入射光子を吸収または反射し、前記第1の変換光子を透過するように構成された第1の色セレクタと、を含む。
【0006】
発光素子アレイを形成する実施形態方法は、マトリックス材料に第1のビアを形成すること、第1のビア内に第1の複数の量子ドットを堆積させて、第1の色に対応する色変換材料層の第1の部分を形成すること、前記マトリックス材料中に第2のビアを形成すること、前記第2のビア中に第2の複数の量子ドットを堆積させて、第2の色に対応する色変換材料層の第2の部分を形成すること、前記マトリックス材料に第3のビアを形成すること、および前記第3のビア内に第3の複数の量子ドットを堆積させて、第3の色に対応する色変換材料層の第3の部分を形成すること、を含む。第1の複数の量子ドットは第1の発光ダイオードの上に配置され、第2の複数の量子ドットは第2の発光ダイオードの上に配置され、第3の複数の量子ドットは第3の発光ダイオードの上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、様々な実施形態による、発光素子アレイの構成に使用され得る中間構造の垂直断面図である。
図1B図1Bは、様々な実施形態による、発光素子アレイの構成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図1C図1Cは、様々な実施形態による、発光素子アレイの構成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図1D図1Dは、様々な実施形態による、発光素子アレイの垂直断面図である。
図1E図1Eは、様々な実施形態による、更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
図2A図2Aは、様々な実施形態による、第1のパターニングされたマトリックスの上面透視図であって、前記第1のパターニングされたマトリックスはその中に形成された複数のビアを有する。
図2B図2Bは、様々な実施形態による、第2のパターニングされたマトリックスの上面透視図であって、前記第1のパターニングされたマトリックスはその中に形成された複数のビアを有する。
図3A図3Aは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る中間構造の垂直断面図である。
図3B図3Bは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3C図3Cは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3D図3Dは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3E図3Eは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3F図3Fは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3G図3Gは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3H図3Hは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3I図3Iは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3J図3Jは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3K図3Kは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図3L図3Lは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4A図4Aは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る中間構造の垂直断面図である。
図4B図4Bは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4C図4Cは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4D図4Dは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4E図4Eは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4F図4Fは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4G図4Gは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4H図4Hは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4I図4Iは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4J図4Jは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4K図4Kは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4L図4Lは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4M図4Mは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4N図4Nは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4O図4Oは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図4P図4Pは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図5A図5Aは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る中間構造の垂直断面図である。
図5B図5Bは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図5C図5Cは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図5D図5Dは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図5E図5Eは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図5F図5Fは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図5G図5Gは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
直視型ディスプレイのような表示装置は、画素の配列から形成され得る。各画素は、それぞれのピーク波長で発光するサブ画素の集合を含んでもよい。例えば、画素は、赤色サブ画素、緑色サブ画素および青色サブ画素を含んでもよい。各サブ画素は、特定の波長の光を射出する1つ以上の発光ダイオードを含んでもよい。従来は、各画素内に赤、緑、青(RGB)のサブピクセルを有するという配置である。各画素は、色域内の任意の色の組み合わせが各画素に対してディスプレイに表示されるように、バックプレーン回路によって駆動される。ディスプレイパネルは、LEDサブ画素をバックプレーン上のボンドパッドにはんだ付けする、またはその他の方法で電気的に取り付けるプロセスによって形成することができる。ボンドパッドは、バックプレーン回路および他の駆動電子機器によって電気的に駆動されてもよい。
【0009】
様々な実施形態は、垂直キャビティ構造内の光量子的励起量子ドットを使用して、より短い波長の励起源から高効率の赤、緑、青、および/または他の色のピクセル化された光を生成するように構成された発光素子を提供する。実施例でのミクロスケールの発光ダイオード(マイクロLED)は、長さおよび幅が100ミクロン未満、例えば5~20ミクロンであり、ディスプレイ装置に使用することができる。この新技術により、ディスプレイ装置の各画素位置に個々のLEDを使用することで究極の黒レベルを得られる。さらに、各画素は単一色の光を生成するように構成することも可能である。個々のLEDが取り付けられるバックプレーンは、各LEDに独立して電圧または電流を印加するように構成される薄膜トランジスタ(TFT)構造、シリコンCMOS、または他のドライバ回路を備えた基板(プラスチック、ガラス、半導体など)を含んでもよい。例えば、バックプレーンには、ガラス基板やプラスチック基板上のTFTや、バルクシリコン基板上またはSOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板上のバルクシリコントランジスタ(CMOS構成のトランジスタなど)が含まれてもよい。以下の実施形態ではマイクロLEDについて説明するが、マイクロLEDの代わりに、またはマイクロLEDに加えて、100ミクロンより大きいサイズ(例えば、幅および長さ)を有する他のタイプのLED(例えば、ナノワイヤまたは他のナノ構造LED)またはマクロLEDを使用可能であることに留意すべきである。
【0010】
いくつかの実施形態では、各マイクロLEDのサイズは、直視型ディスプレイ装置や他のディスプレイ装置などの特定のディスプレイ装置で使用されるピクセルのピッチよりも小さくてもよい。例えば、300ppiのディスプレイは、約85ミクロンのピッチのピクセルを有し得るが、そのようなディスプレイに対する典型的なマイクロLEDは幅が約20ミクロンであり得る。インジウムドープGaN材料を含むマイクロLED(すなわち、GaNのインジウムドープに依存する色を発光するLED)は、GaN結晶構造のインジウムドープに伴う困難さにより、LEDサイズ(例えば、10ミクロン未満のサイズ)が小さくなるにつれて、効率と均一性の劣化に見舞われる可能性がある。従って、活性領域でより高いインジウム含有量を利用する、ピーク波長がより長波長の発光III-窒化物マイクロLED(例えば、赤色LED)は、劣化したインジウムドープのために効率と均一性が不十分となることがある。
【0011】
本開示の実施形態のいくつかには、光量子的励起色変換材料とカップリングされた非ドープGaN活性領域(例えば、GaN発光活性層を有するマイクロLED)または低インジウム・ドープInGaN活性領域(例えば、低インジウム含有InGaN発光活性層を有するマイクロLED)を有するLEDを基にしたフォトニックエミッタが含まれる。このようなLEDは、紫外(UV)放射または青色光スペクトル領域(例えば、370~460nm、例えば390~420nm、例えば400~410nm)にピーク発光波長を有する紫外(UV)放射または青色光放射マイクロLEDであってもよい。本明細書で使用されるように、青色光スペクトル領域には人間の観察者によって知覚される青色および紫色が含まれる。
【0012】
ある実施形態には、色変換材料には量子ドットが含まれてもよい。量子ドットは、GaNエミッタによって生成された光子を吸収し、量子ドットの特性(例えば、量子ドットのサイズおよび材料組成)に応じて様々な色の光を生成するように構成され得る。このような構造により、小さなGaN構造のインジウムドープに伴う問題を回避することができる。
【0013】
拡張現実(AR)ディスプレイ(例えば、スマートグラス)および他の用途に適切なサイズ領域(すなわち、10ミクロン未満のサイズ)では、様々な色を作り出すために、非ドープGaNまたは低インジウムドープGaN LED活性領域および光励起量子ドットの使用により、マイクロLEDのアレイ全体にわたってより良好な均一性を有するディスプレイ装置が提供され得る。このようなアレイはまた、インジウムドープが比較的高いGaN(例えば、青色LEDよりも多量のインジウムを含む赤色LED)を基にした着色LEDを有するシステムよりも高い効率を示す可能性がある。サイズおよび材料組成の高度な均一性で量子ドットが製造することができることから、効率および均一性の向上を達成することが可能である。こうした均一な量子ドットは、それに対応し均一な(すなわち、スペクトル線幅が狭い)発光特性を有する。
【0014】
マイクロLEDによって射出された光の抽出は、画素ピッチおよびマイクロLEDサイズが小さくなるにつれて、ますます困難となる可能性がある。開示される実施形態では、吸収表面への光子の損失を回避することによって高効率を維持しつつ、量子ドットによって生成された光子(例えば、特定の方向に沿って)の光抽出が改善される。また、開示されるシステムでは、励起光子が素子から逃げるのを防止または低減し、それによって所定のマイクロLEDによって射出される色の純度を保証することができる。これは、光抽出材料層を含み、マイクロレンズ、および/または、分布ブラッグ反射体(DBR)を含む、反射性の光キャビティ壁を形成することによって達成が可能である。
【0015】
図1Aは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る中間構造100aの垂直断面図である。中間構造100aには、基板104上に形成された複数のマイクロLED102が含まれてもよい。上述したように、マイクロLEDs102には、UV放射または青色光スペクトル領域にピーク発光波長を有するマイクロLEDs(例えば、UVまたは青色発光マイクロLEDs、UVまたは青色LEDsとも呼ばれる)が含まれてもよい。このようなLEDには、紫外線(UV)光子および/または青色スペクトル領域の光子を射出するように構成された非ドープGaN活性領域が含まれてもよい。
【0016】
ある実施形態では、マイクロLED102は、LEDの上部に配置され、基板104に対し反対側を向いた少なくとも1つの電極103を有してもよい。電極103は、陽極電極または陰極電極から構成されてもよい。ある実施形態では、マイクロLED102は、第2の電極(明瞭化のため図示せず)が基板104とマイクロLED102の底面との間に位置する垂直LEDから構成されてもよい。別の実施形態では、マイクロLEDは、両方の電極がLEDの同じ側(例えば、LEDの上側または下側)に位置する横型LEDを含んでもよい。
【0017】
基板104は、電極(電極103を含む)を介してマイクロLED102に電圧および電流を供給し、それによってマイクロLED102により発光を制御するように構成された電気回路(例えば、TFT回路および/またはCMOS回路)を有するバックプレーンであってもよい。バックプレーンは、LED駆動用のアクティブマトリックスまたはパッシブマトリックスバックプレーン基板であってもよい。本明細書で使用する「バックプレーン基板」とは、複数の素子をその上に貼り付けるように構成された任意の基板を指す。ある実施形態では、バックプレーンには、シリコン、ガラス、プラスチック、および/または、少なくともそれに取り付けられた素子に構造的支持を与えることができる他の材料を含む基板が含まれてもよい。ある実施形態では、バックプレーン基板は、メタライゼーション線を含む金属相互接続構造(図示せず)が例えば十字格子状に存在し、各LED用の専用アクティブ素子(例えば、TFT)が存在しないパッシブバックプレーン基板であってもよい。別の実施形態では、バックプレーン基板はアクティブバックプレーン基板であってもよく、このアクティブバックプレーン基板には、導電ラインの十字格子としての金属相互接続構造を含み、さらに、導電ラインの十字格子の1つまたは複数の交差点に各LED用の専用アクティブ素子(例えば、CMOSトランジスタまたはTFT)が含まれ得る。
【0018】
図1Bは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造100bの垂直断面図である。中間構造100bには、マイクロLED102の上に形成された複数の光キャビティ106が含まれる。各光キャビティは、キャビティ壁108によって境界を囲まれてもよい。光キャビティ106は、比較的薄い側壁108を有する高アスペクト比のキャビティ(例えば、直径が1~2ミクロン等の5ミクロン以下、高さが20~30ミクロン等の10ミクロン以上)を形成するのに適した機械的特性を有する反射材料を用いて形成してもよい。キャビティ壁108は、1~2ミクロンを含む0.5~5ミクロンなど、10ミクロン未満の厚さを有してもよい。キャビティ壁108は、絶縁マトリックスを形成する。
【0019】
マトリックス材料は、熱蒸発処理工程と溶媒系の流体堆積よび蒸発の両方に対応するように選択してもよい。このようなマトリックス材料の1つはアルミナであるが、シリカ、チタニア、または他の絶縁性金属酸化物材料を使用することもできる。マイクロ電気機械(MEMS)デバイスの製造に一般的に使用される様々な材料を使用して、電気絶縁材料(例えば、アルミナ)で作成されたキャビティ壁108で境界を囲まれた光キャビティ106を形成することができる。このような材料は比較的高い屈折率を有し、高いアスペクト比を有する構造を形成するのに適している。このようなマトリックス材料の層(図1Bには図示せず)は、基板104上に配置されたマイクロLED102アレイ上に成長または堆積させることができ、エッチングや他の微細加工アプローチなどの技術を使用して、前記材料に光キャビティ106を生成することができる。図2Aは、キャビティ壁108によって境界を囲まれた複数の円筒形光キャビティ106を有するマトリックス200aの上面透視図である。図2Bは、キャビティ壁108によって境界を囲まれた複数の六角形光キャビティ106を有するマトリックス200bの上面透視図である。
【0020】
ある実施形態では、マイクロLED102の陽極または陰極電極103に電圧を印加して、それによってエッチングバイアスの片側を形成することができる。例えば、マトリックス200aまたは200b(すなわち、キャビティ壁108)がアルミナを含む場合、陽極酸化によって多孔質アルミナが形成されてもよい。この実施形態では、アルミニウム金属層をマイクロLED102上に堆積させ、次いで電気化学的に陽極酸化して、陽極酸化アルミナキャビティ壁108によって境界を囲まれた光キャビティ(すなわち、細孔)106を有する多孔性陽極酸化アルミナマトリックスを形成することができる。アルミニウム層を含む基板104を酸電解質(例えば、シュウ酸、クロム酸、硫酸、および/または、リン酸)中に置き、マイクロLED102の電極103および/または外部電極に電圧を印加して、アルミナ壁108によって境界を囲まれた光キャビティ(すなわち、細孔)106を含む多孔性陽極アルミナマトリックスを形成する。光キャビティ106は、陽極アルミナマトリックス中に六角形アレイ状に配置することができる。
【0021】
図1Cは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造100cの垂直断面図である。中間構造100cには、マイクロLED102のアレイ上の光キャビティ106に形成された光抽出材料層110および色変換材料(112a、112b、112c、112d)が含まれてもよい。光抽出材料層110は、キャビティ壁108を形成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有してもよい。例えば、光抽出材料層110は屈折率が1.7未満、例えばアルミナキャビティ壁108の場合は1.3~1.5の屈折率であってもよい。光抽出材料層110の屈折率が低いと、励起光子(すなわち、マイクロLED102によって生成された光子)がキャビティ壁108に吸収されたり、キャビティ壁108を透過したりするのではなく、キャビティ壁108から反射される可能性がある。このような反射により光子の損失が防がれ、素子の量子効率が高められる。
【0022】
光抽出材料層110として、様々なポリマー材を使用することができる。そのようなポリマーの1つとして、Jet-144(すなわち、インクジェット適合ポリマー)があり、これは1.44の屈折率を有し、インクジェットシステムを使用して光キャビティ106に堆積することができる。キャビティ壁108の厚さは、キャビティ壁108から反射しない光子が隣接するキャビティに侵入しないように吸収される(すなわち、消滅する)確率を高めるために、可能な限り厚くなるように構成されてもよい。
【0023】
光抽出材料層110は、インクジェット、真空、圧力、および/または、重力堆積を含む様々な技術を用いて堆積させることができる。堆積後、ポリマーは、例えば紫外線(UV)放射の露光によって架橋してもよい。他の実施形態では、ポリマーが溶解している溶媒を蒸発によって排出し、残留架橋ポリマーを残置し、各キャビティ内の光抽出材料層110としとすることも可能である。様々な実施形態において、光抽出材料層110は、様々な厚さで形成されてもよく、TiOまたはSiOのナノまたはマイクロビーズなどの光散乱材料を追加的に含んでもよいし含まなくてもよい。光抽出材料層110は、各キャビティの光抽出材料層110の上部に空のキャビティ空間が残るように、光キャビティ106を部分的に充填する。
【0024】
次いで、色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、光キャビティ106(例えば、図1B参照)内、光抽出材料層110(例えば、図1C参照)上に形成されてもよい。色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、様々な異なる色に対応する量子ドットを含んでもよい。この例では、色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、複数の第1の量子ドット112a、複数の第2の量子ドット112b、複数の第3の量子ドット112c、および複数の第4の量子ドット112dを含んでもよく、これらはUV励起光子をそれぞれ第1、第2、第3、および第4の色を有する光子に変換するように構成される。第2および第3の色は、緑色スペクトル範囲内の異なるピーク波長から構成されてもよい。あるいは、3つの量子ドット色のみが使用されてもよい。量子ドットは、各々、例えばIII-V族半導体材料(例えば、米国特許9,884,763B1に記載されるリン化インジウム、この引例は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、II-VI族半導体材料(例えば、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdS、CdSeなどのコアシェル量子ドット、米国特許出願公開2017/0250322A1に記載、この引例は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、および/または、I-III-VI族半導体材料(例えば、AgInGaS/AgGaSコアシェル量子ドット、米国特許10,927,294B2に記載、この引例は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)といった化合物半導体材料の、1~10nm、例えば2~8nmなどのナノ結晶を含んでもよい。量子ドットは、その直径によって異なる色の光(例えば、赤、緑、青)を発することができる。ドットは大きければ大きいほどより長い波長の光を射出し、ドットが小さければ小さいほどより短い波長の光を射出する。量子ドットは、光抽出材料110の屈折率とは異なる(例えば、より高い)屈折率を有する材料(例えば、ポリイミドなどのポリマー)中に懸濁させてもよい。例として、ポリイミド材料の屈折率は1.6~1.75、例えば約1.7であってもよい。
【0025】
以下でより詳細に説明するように(例えば、図3Aから図4Pを参照)、様々な色に対応する量子ドットは、それぞれのキャビティに選択的に堆積させることができる。例えば、以下の図3Aから図3Lを参照して説明されるように、第1のキャビティは、マトリックス材料に第1のビアをエッチングすることによって形成することができる。次に、第1の色に対応する第1の量子ドットを第1のキャビティに導入し、保護材料の層を第1の量子ドット上に形成することができる。次に、このプロセスを繰り返して、第2のキャビティ、第3のキャビティ等のように形成し、それぞれのキャビティに第2の量子ドット、第3の量子ドット等をそれぞれ導入してもよい。
【0026】
他の実施形態では(例えば、図4Aから図4Pを参照)、フォトレジストが、複数の第1のキャビティを除く全てのキャビティ上に堆積されてもよい。次いで、第1の色(例えば、赤色)を生成するように構成された量子ドットの第1の層が、第1の色を有するサブピクセルに対応する複数の第1のキャビティに堆積されてもよい。次いで、第1の量子ドットが懸濁されたポリマーが、蒸発またはUV光への露光によって架橋されてもよい。その後、他の光キャビティに対してこのプロセスを繰り返し、他の色の光(例えば、緑色および青色)を発生するように構成された量子ドットをそれぞれ蒸着させてもよい。
【0027】
任意の有機平坦化層が色変換材料上に形成されてもよい。色変換材料および任意の有機平坦化層が、光キャビティ106に部分的に充填されてもよい。
【0028】
図1Dは、様々な実施形態による、発光素子アレイ100dの垂直断面図である。図示されるように、アレイ100dは、光キャビティ106内および/または光キャビティ106上に形成された色セレクタ114を含んでもよい。色セレクタ114には、色フィルタアレイおよび/または分布ブラッグ反射体が含まれてもよい。ある実施形態では、色セレクタ114は、光キャビティ内に形成されてもよく、光キャビティ106が上記の材料で完全に充填されるようにキャビティ壁108の頂部まで達してもよい。
【0029】
色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、励起光子118を吸収し、射出変換光子(例えば、赤、緑または青などの可視光)120に変換するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、全ての励起光子118を変換光子120に完全に変換するのに十分な厚さおよび/または密度を有さない場合がある。このように、色変換材料(112a、112b、112c、112d)上に形成された色セレクタ114は、色変換材料によって射出された変換光子120を吸収および/または反射することなく、色変換材料(112a、112b、112c、112d)によって変換されなかった励起光子118の全てまたは一部を吸収および/または反射する。
【0030】
各マイクロLED102は、共通の波長もしくはターゲット波長の範囲内の励起光子118を射出するように構成されてもよい。例えば、GaN系のマイクロLED102は、約400~410nm、例えば約405nm(すなわち、電磁スペクトルの青色または近紫外部分)の波長を有する励起光子118を射出することができる。マイクロLED102は高い均一性を示し、高い効率を示し得る。しかしながら、そのようなマイクロLED102の波長のわずかな変動は、容易に視認できない可能性がある。さらに、色変換材料(112a、112b、112c、112d)を介した励起光子118の漏れにより、変換光子120の色純度の劣化を最小限に抑えることができる。
【0031】
ある実施形態では、色セレクタ114には、有機ポリマーに埋め込まれた有機色素を含む色フィルタアレイが含まれる。色素は、励起光子118の紫外線を吸収するが、変換光子の青、緑、または赤色光を吸収しないように色素を構成してもよい。任意選択として、異なる色素を各着色サブピクセル(例えば、赤、緑、および青のサブピクセル)上に与えてもよい。例えば、主に赤色光を透過するように構成された第1の色素フィルタ材料を赤色サブピクセルに与え、主に緑色光を透過するように構成された第2の色素フィルタ材料を緑色サブピクセルに与え、主に青色光を透過するように構成された第3の色素フィルタ材料を青色サブピクセルに与えてもよい。色フィルタは、更なるフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。様々な実施形態において、次に、薄膜封止(TFE)層または層スタックを色フィルタ材料上に適用して、色変換材料の量子ドット層への空気または湿気の侵入に対する保護を提供してもよい。ある実施形態では、TFEには、ポリマー層によって分離された2つの窒化ケイ素層の3層スタックが含まれてもよい。
【0032】
代替の実施形態として、色セレクタ114には、色変換材料(112a、112b、112c、112d)上に形成された分布ブラッグ反射体(DBR)が含まれてもよい。DBRは、色変換材料を透過した励起光子118を反射して、反射光子122(例えば、紫外または濃青色光子)としてキャビティ106に戻し、変換光子120をキャビティ106から透過させるように構成してもよい。DBRは、異なる屈折率を有する材料(図示せず)の交互多層スタックとして形成することができる。例えば、DBRは、TiO(n=2.5)とSiO(n=1.5)とを交互に積層したN層のスタックとして形成することができ、ここでNは2以上である。他の実施形態では、それぞれの屈折率を有する他の様々な材料をDBRの作成に使用してもよい。
【0033】
DBRがTiOとSiOを含み、またN=2である実施形態では、中心波長405nmにおいて帯域幅が164nmであり最大反射率Rが84%であり得る。DBRスタックがより多くの層数(すなわち、N>2)を含む実施形態では、反射率が増加する可能性がある。そのため、UV励起光子118がDBRを通過する確率が低下し得る。DBRから反射されて光キャビティ106に戻るUV反射光子122は、色変換材料(112a、112b、112c、112d)を通って循環し、それによってまた、目的の波長(例えば、緑、青、または赤)を有する変換光子120に変換される確率が増加し得る。このようにして、色変換材料(112a、112b、112c、112d)によって最初に吸収されなかった任意のUV反射光子122は、最終的に吸収され、目的の発光波長を有する変換光子120に変換される可能性がある。「光子リサイクル」と呼ばれることもあるこのプロセスは、デバイスの量子効率を高める可能性がある。
【0034】
マイクロLED102が短波長の青色発光LEDを含む場合、DRB114は、マイクロLED102の短波長の青色光(すなわち、励起光子118)を遮断するが、色変換材料の青色量子ドットから射出される長波長の変換光子120は透過させることができる。あるいは、DBR114は、青色光を射出するサブピクセル上では省略することも可能である。
【0035】
DBRは、すべてのサブピクセル上への多層スタック(図示せず)の蒸着(例えば蒸発)によって形成することができる。このように、DBRにより、量子ドット層への水分および酸素の侵入に対してさらなる保護が可能となる。Nの値が高いほど、DBRの反射率および湿気や酸素からの保護がさらに向上し、システム全体の性能および耐久性が向上する。
【0036】
追加としての様々な実施形態では、素子の様々な構成要素に他の材料を使用してもよい。例えば、DBRには、例えば窒化物(TiN、AlN、TiNなど)、ポリシリコンなど、それぞれが各々の屈折率を有する広範囲の材料が含まれてもよい。いくつかの実施形態は、量子ドットの複数の層、複数のDBR構造などを含んでもよい。上述した光抽出材料層110は、いくつかの実施形態では省略してもよいし、複数の光抽出材料層110を用いてもよい。より効果的なDBR114を使用することにより、色変換材料(112a、112b、112c、112d)の層厚および密度を低減することができる。更なる実施形態では、光キャビティ106は様々な方法で形成することができる。例えば、以下で詳細に説明するように、光キャビティ106は、光キャビティ106が形成された後にマイクロLED102のアレイに取り付けられる別個のマトリックス層に形成されてもよい。更なる実施形態では、横方向への光子伝播に起因する性能劣化を緩和するために、光コリメート素子を含めることもできる。
【0037】
図1Eは、様々な実施形態による、更なる発光素子アレイ100eの垂直断面図である。そこに示されるように、発光素子アレイ100eは、光キャビティ106上に形成されたマイクロレンズ124を含む。各マイクロレンズ124は、各マイクロLED構造からの光抽出の改善に役立ち、それによってアレイ100eの効率を改善することが可能である。一般に、マイクロLEDによって射出される光の抽出は、画素ピッチおよびマイクロLEDサイズが小さくなるにつれて、ますます困難になる可能性がある。この点に関して、色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、励起光子118の全てを各々が特定の色を有する変換光子120に変換するのに十分な厚さにするべく選択してもよい。色変換材料(112a、112b、112c、112d)の厚さは、サブピクセルの横方向の寸法に比べて非常に大きくてもよい。このような構造において、光子はマイクロLEDサブピクセルから弾道的ではなく拡散的に移動し得る。こうした拡散的に移動する光子は、隣接するサブピクセルに拡散し、光学的クロストークを引き起こす可能性がある。
【0038】
本開示の実施形態により、吸収表面への光子の損失を回避することによって高効率を維持しながら、量子ドットによって生成された光子(例えば、特定の方向に沿って)の光抽出が改善される。上述したように、これは、反射性のキャビティ壁108を含むマトリックス構造を形成すること、光抽出材料層110を含めること、および/またはDBRなどの色セレクタ114を含めることによって達成し得る。
【0039】
マイクロLEDディスプレイ用の色変換材料(112a、112b、112c、112d)としての量子ドットの使用には、非常に小さなフィーチャサイズでの高密度量子ドット層の堆積およびパターニングが含まれてもよい。量子ドット層における励起光子118(例えば、図1Dおよび図1E参照)が十分に吸収されるためには、アスペクト比が1:1を超えるサブピクセルが使用されてもよい。このようなサブピクセルはまた、ディスプレイにおける色のクロストーク(すなわち、あるマイクロLEDからの光子が隣接するサブピクセルに伝搬すること)を防止するために、不透明なマトリックス材料で形成されたキャビティ壁108によって分離されてもよい。
【0040】
色変換材料(112a、112b、112c、112d)として使用される高濃度の量子ドットは、高解像度構造の作製に更なる課題をもたらす可能性がある。量子ドットは紫外線を強く吸収するため、フォトレジストで一般的に使用される光重合開始剤や光酸発生剤の活性が低下することがある。従って、量子ドットの存在により、従来の製造材料や製造方法を変更する必要があり得る。このように、量子ドットを高充填で使用する場合、高さが高く薄い構造のパターニングはより困難になる可能性がある。本開示の実施形態では、以下の図3Aから4Pの参照により詳細に説明されるように、マトリックス材料中にエッチングされたビアとしてキャビティを形成することによってこの課題を解決する。
【0041】
様々な実施形態では、マトリックス200aまたは200bなどのマトリックスが含まれ、これらにより各サブピクセルからのより良い光抽出が可能となり、フォトニック色クロストークを緩和し得る。マトリックスをテンプレートとして使用し、異なる色のサブピクセルに対応するビアを順次開口することにより、高解像度の光パターン形成可能な樹脂製剤に依存することなく、量子ドットインクの堆積および硬化が可能となる。以下に説明する様々な実施形態には、マトリックス層に1つの色に対応するビアを開口し、量子ドットインクを充填し、硬化して封止し、次いで同じプロセスを2番目の色、3番目の色などと繰り返すことが含まれる。
【0042】
図3A図3Lは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る中間構造の垂直断面図である。図3Aに示すように、連続マトリクス層304Lが支持体302上に堆積されてもよい。ある実施形態では、連続マトリックス層304Lは約10~30ミクロンの厚さを有してもよい。マトリックス層304Lは、図1Bに関して上述した光キャビティ壁108を形成するために、シリカ、アルミナ、チタニアなどの絶縁材料を含んでもよい。あるいは、マトリックス層304Lには、陽極酸化されて陽極アルミナを形成するアルミニウムなどの金属が含まれてもよい。別の代替的実施形態では、マトリックス層304Lは、金属酸化物に変換されないアルミニウムなどの反射性金属であってもよい。この代替実施形態では、マトリックス層304Lは、隣接するマイクロLED102の対応する電極が互いに電気的に短絡するのを避けるような方法で、マイクロLED102の上に形成される。
【0043】
支持体302は、図1Aに関して上述したように、マイクロLED102を支持するバックプレーン104を含んでもよい。代替の実施形態では、支持体302は、マイクロLED102を支持するバックプレーン104の上に続いて取り付けられる透明ガラスまたはポリマー基板等の基板を別に備えてもよい。
【0044】
図3Bに示すように、連続マトリクス層304L上にパターニングされたマスク材料306を形成してもよい。ある実施形態では、パターニングされたマスク材料306はフォトレジストであってもよく、フォトリソグラフィ技術を用いてパターン化されてもよい。
【0045】
連続マトリックス層304L(例えば、図3A参照)は、第1のビア308aを含むエッチングされたマトリックス層304を形成するべくエッチングされてもよい。例示としてある実施形態では、連続アルミニウムマトリックス層304Lは、BC13ドライエッチングプロセスを使用してエッチングされてもよい。第1のビア308aは、第1の複数のサブピクセルのための光キャビティ106に対応してもよい。例えば、第1の複数のサブピクセルは、第1の色(例えば、赤、緑または青色)に対応してもよい。エッチング後、前記パターニングされたマスク材料306は除去されてもよい。
【0046】
図3Cに示すように、パターニングされたマスク材料306(例えば、図3B参照)を除去し、超疎水性(すなわち、非粘着性)コーティング310で置き換えてもよい。コーティング310には、フルオロアルキルシラン基で官能化された無機ナノ粒子(例えば、シリカナノ粒子)などのフッ素化シランコーティングが含まれてもよい。図3Dに示されるように、次いで複数の第1の量子ドット112aを有する量子ドットインクを、スピンコーティング、ドクターブレード、インクジェット印刷、または他の方法によって堆積し、第1のビア308aを充填してもよい。フッ素化コーティング310は、量子ドットの大部分が構造体の上面に付着しないようにすることができる。その後、量子ドットインクはU V照射または加熱のいずれかによって硬化させることができる。その後、図3Eに示すように、フッ素化コーティング310および余分な量子ドットを洗浄除去してもよい。
【0047】
次に、図3Fに示すように、第1の量子ドット112aの上に保護層314を形成してもよい。例えば、保護層314は、原子層堆積(ALD)によって堆積可能なアルミナの層であってよい。例示として実施形態では、保護層314は、約3~10nm、例えば約5nmの厚さを有してもよい。他の実施形態には、ダイ保護層314に対して他の厚さ、他の材料、および他の堆積方法が含まれてもよい。
【0048】
その後、上述のプロセス(例えば、図3A図3F参照)を繰り返して、他の色用の量子ドットインクを堆積および硬化させてもよい。例えば、図3Fの中間構造の上にパターニングされたマスク材料306を形成し、図3Gに示すように、エッチング工程により保護層314を貫通する第2のビア308bを形成してもよい。図3Hに示すように、パターニングされたマスク材料306を除去し、上述の超疎水性(すなわち、非粘着性)フッ素化コーティング310で置換してもよい。次いで、図3Iに示されるように、次いで複数の第2の量子ドット112b(すなわち、前記ドット112aとは異なる色のドット)を有する量子ドットインクを、スピンコーティング、ドクターブレード、インクジェット印刷、または他の方法によって堆積し、第2のビア308bを充填してもよい。その後、図3Iに示すように、フッ素化コーティング310および余分な量子ドットを洗浄除去してもよい。次いで、図3Kに示すように、第1の部分314aおよび第2の部分314bを有する第2の保護層が、第2の量子ドット112b上に形成されてもよい。第1の部分314aは既存の第1の保護層314の上に形成されてもよく、一方で第2の部分314bは第2の量子ドット112bで充填された第2のビア308bの上に形成されてもよい。
【0049】
同様に、図3Lに示すように、第3のビア308cを形成するためにこの工程を続けてもよい。第3のビア308cは、第3の量子ドット112c(この図には示されず)を含む第3の量子ドットインクで充填されてもよい。様々な実施形態において、追加のそれぞれの色に対応する量子ドットで充填され得る追加のビアを形成するために前記工程を続けてもよい。
【0050】
支持体302が透明基板を含む場合、量子ドットを含む完成したマトリックスを支持する支持体302は、マイクロLED102を支持するバックプレーン104の上に取り付けられる。支持体302がマイクロLEDs102を支持するバックプレーン104を含む場合、エッチングされたマトリックス層304は、量子ドット(112a、112bなど)で満たされた光キャビティ106を囲むキャビティ壁108を含む。
【0051】
図4A図4Pは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る中間構造の垂直断面図である。図4A図4Pの工程には、支持体上にマトリックス層を設けること、平面ポジ型フォトレジスト層を成膜すること、このフォトレジストを選択的に露光・除去してビアを順次開口することが含まれる。図4A図4Pの工程は、光キャビティを形成するためのフォトレジストの除去に依存している。このように、特定の実施形態では、第2の工程フロー(すなわち、図4A図4Pの参照により以下に説明する)の方が、より汎用性が高く、より安価で、より安全であり得る。
【0052】
図4Aに示すように、第1の中間構造は、上述の支持体302上に形成された連続的なマトリックス層108Lを含むことができる。マトリックス層108Lには、アルミナ、シリカ、チタニアなどの絶縁層、または例えばアルミニウムなどの金属層などの導電層が含まれてもよい。パターニングされたフォトレジスト406は、連続マトリックス層108L上に形成されてもよい。これに関して、フォトレジストのブランケット層(図示せず)を連続マトリックス層108L上に形成し、フォトリソグラフィ技術を使用してパターニングされたフォトレジスト406を形成してもよい。
【0053】
図4Bに示すように、パターニングされたフォトレジスト406をマスク層として使用して、連続マトリックス層108Lをエッチングして、ビアまたはキャビティ壁108によって境界を囲まれるキャビティ(例えば、光キャビティ)106を形成してもよい。その後、パターニングされたフォトレジスト406は、灰化または溶媒による溶解によって除去されてもよい。
【0054】
代替としての実施形態では、連続マトリックス層108Lをエッチングせずに、陽極酸化によってキャビティ壁108を形成してもよい。上述したように、連続マトリックス層108Lがアルミニウムを含む場合、それを上述したように酸中で陽極酸化して、光キャビティ(すなわち、細孔)106を取り囲むキャビティ壁108を含む多孔性陽極アルミナ層を形成してもよい。
【0055】
図4Cに示すように、次いで第1のフォトレジスト部408a、第2のフォトレジスト部408b、および第3のフォトレジスト部408cを有するポジ型フォトレジストが、図4Bの中間構造体の上、光キャビティ106内に堆積さてもよい。各フォトレジスト部はそれぞれの光キャビティ106を充填する。
【0056】
図4Dに示すように、一選択としてパターニングされたマスク410をUV放射源(例えば、UV発光ランプ)412と共に使用して、マスク410を介してポジ型フォトレジストの第1のフォトレジスト部408aをUV放射414に選択的に露光してもよい。ポジ型フォトレジストの第1のフォトレジスト部408aの露光により、第1のフォトレジスト部408aはフォトレジスト現像液に可溶となり、これはポジ型フォトレジストの第1のフォトレジスト部408aを除去するために使用することが可能である。第2および第3のフォトレジスト部は紫外線に露光されない。
【0057】
あるいは、支持体302がUV放射マイクロLED102を支持するバックプレーン104を含む場合、第1のフォトレジスト部408aの下に位置するマイクロLED102を作動させて、第1のフォトレジスト部408aは、その下からUV放射を照射し現像液に可溶化してもよい。この代替的実施形態において、マスク410および放射源412は省略されてもよい。第2および第3のフォトレジスト部408b、408cの下に位置するマイクロLED102は活性化されない。
【0058】
図4Eに示すように、第1のビア416aは、その構造をフォトレジスト現像液浴に浸漬するか、またはポジ型フォトレジストに現像液を噴霧することによって、他のフォトレジスト部408b、408cを除去することなく、第1のフォトレジスト部408aを除去することによって生成してもよい。
【0059】
図4Fに示されるように、次いで第1の量子ドットインク418aは第1のビア416aに導入されてもよい。それにより、第1のビア416aは、第1の量子ドット112aの均一な層で充填されてもよい。次いで、第1の量子ドット112aが懸濁されたポリマーは熱的にまたはUV放射線への曝露によって硬化されてもよい。例えば、図4Gには、第1の量子ドット112aにパターニングされたマスク410およびUV放射源412を用いたUV放射へ露光することが示されている。あるいは、第1の量子ドット112aの下にあるUV発光マイクロLED102を活性化して、第1の量子ドット112aにUV放射線を照射してもよい。
【0060】
次いで、図4C図4Gに示す上述のプロセスを繰り返して、第2の光キャビティ106内に第2の量子ドット112bを形成してもよい。図4Hに示すように、この点に関して、図4Cに示すポジ型フォトレジストの第2のフォトレジスト部408bは、UV放射源412からのUV放射またはマイクロLED102からのUV放射に露光されてもよい。次に、図4Iに示すように、ポジ型フォトレジストの第2のフォトレジスト部408bをフォトレジスト現像液で除去して、第2のビア416bを形成してもよい。次に、図4Jに示すように、第2の量子ドットインク418bを第2のビア416bに導入して、第2の量子ドット112bの均一な層を形成してもよい。次いで、図4Kに示されるように、第2の量子ドット112bの均一な層は、UV放射源412からのUV放射またはマイクロLED102からのUV放射の露光によって硬化されてもよい。
【0061】
次いで、図4C図4Gに示す上述のプロセスを繰り返して、第3の光キャビティ106内に第3の量子ドット112cを形成してもよい。図4Lに示すように、この点に関して、ポジ型フォトレジストの第3のフォトレジスト部408cは、UV放射源412からのUV放射またはマイクロLED102からのUV放射に露光されてもよい。次に、図4Mに示すように、ポジ型フォトレジストの第3のフォトレジスト部408cをフォトレジスト現像液で除去して、第3のビア416cを形成してもよい。次いで、図4Nに示すように、第3の量子ドットインク418cを第3のビア416cに導入して、第3の量子ドット112cの均一な層を形成してもよい。次いで、図4Oに示されるように、第3の量子ドット112cの均一な層は、熱的にまたはUV放射源412からのUV放射またはマイクロLED102からのUV放射の露光によって硬化されてもよい。
【0062】
最後に、保護層314を、図4Pに示すように、第1の量子ドットの均一層112a、第2の量子ドットの均一層112b、第3の量子ドットの均一層112c、およびキャビティ壁108の上に形成することができる。上述のように、保護層314は、ALDによって堆積されるアルミナ層であってもよい。上述したように、保護層314および/または色セレクタ114(例えば、DBR)を堆積するために、他の材料および堆積プロセスが使用されてもよい。
【0063】
上述した実施形態では、発光素子アレイにおけるサブピクセルの形状は、キャビティ/ビアの形状によって定められてもよい。このように、量子ドットインク(418a、418b、418c)に対するパターニング化要件は、マトリックステンプレートに依存しない実施形態に対する要件よりも大幅に緩和することができる。いくつかの実施形態では、UV硬化性量子ドットインクが、量子ドットを標的サブピクセルに閉じ込めるために使用されてもよい。他の実施形態では、熱硬化性インクを使用することもできる。UV硬化性または熱硬化性量子ドットインクの使用により、(量子ドット系の)色変換材料(112a、112b、112c、112d)を形成する際に使用され得る化学物質の選択肢が増える。
【0064】
様々な実施形態には、溶媒系または無溶媒の量子ドットインクが含まれてもよい。
各サブピクセルの量子ドットインクに熱硬化を使用することにより、インク配合のための光硬化性アクリレート/エポキシを省略することができる。更なる実施形態において、量子ドットインクは、無機リガンドおよびマトリックス材料(例えば、金属カルコゲニドおよび金属酸化物)を使用して形成されてもよく、これにより高温安定性などの代替利点が得られる。
【0065】
図5A~5Gは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。図5Aに示すように、複数のマイクロLED102を基板104上に形成してもよい。基板104は、マイクロLED102に電圧を供給し、それによってマイクロLED102による発光を制御するように構成された電気回路(例えば、CMOS回路またはTFT回路)を有するバックプレーンであってもよい。上述したように、マイクロLEDs102は、青色または紫外発光LEDを含んでもよい。図5Aの中間構造には、透明導電性酸化物(例えば、酸化インジウムスズ)で形成された複数のマイクロLED102用の共通の陰極502と、それとは別にそれぞれのバックプレーン回路(明瞭化のため図示せず)に電気的に接続された各マイクロLED102用の陽極503とが含まれてもよい。従って、複数のマイクロLED102は、それらの陰極(例えば、n型)側で短絡されるが、それらの陽極(例えば、p型)側でバックプレーン回路によって別々に活性化される。共通の陰極502もまた、マイクロLED102の領域の外側でバックプレーン回路に接続されている。
【0066】
ある実施形態では、マイクロLEDs102には、LEDの反対側に位置する陰極および陽極電極(502、503)を有する垂直LEDが含まれてもよい。ある実施形態では、マイクロLED102は逆テーパーを有していてもよい。言い換えれば、マイクロLED102は、共通の陰極502に面する上面側よりも、陽極503およびバックプレーン104に面する下面側が幅広であってもよい。
【0067】
図5Bに示すように、第1の色変換材料(例えば、第1の色量子ドット)504aは、第1の複数のマイクロLED102の上に形成されてもよい。第1の色変換材料504aは、第1の色サブピクセルのそれぞれのマイクロLED102上の共通陰極502の第1の部分上に第1の量子ドットインクのみを直接印刷するために使用され得るインクジェットプロセスによって形成されてもよい。あるいは、連続的な量子ドット層を共通陰極上に直接堆積させ、次いで、フォトリソグラフィとパターニングを行い、第1の色サブピクセルのそれぞれのマイクロLED102上にのみ第1の色量子ドット504aを残すようにしてもよい。
【0068】
図5Cに示すように、第2の色変換材料504bは、マイクロLED102の第2の複数の上に形成されてもよい。第2の色変換材料504bは、それぞれのマイクロLED102上の共通陰極502の第2の部分上に第2の量子ドットインクを直接印刷するために使用され得るインクジェットプロセスによって、または連続量子ドット層を堆積し、次いでフォトリソグラフィパターニングすることによって形成されてもよい。色変換材料は、青色発光マイクロLED102上では省略することができる。あるいは、青色色変換材料を紫外線発光マイクロLED102上に形成してもよい。最後に、第1の色変換材料504aおよび第2の色変換材料504bの上にそれぞれの色セレクタ114を形成してもよい。例えば、色セレクタ114は、上述したようにDBRであってもよい。所望により、アルミナ層などの封止層を色セレクタ114上に形成してもよい。
【0069】
あるいは、図5Bおよび図5Cの中間構造体は、図4A図4Pを参照して上述したものと同様の工程を用いて形成することができる。この点に関して、パターニングされたフォトレジスト(図示せず)が共通陰極502上に形成されてもよく、第1の色変換材料504aの堆積のためのマスク材料として使用されてもよい。これに関して、マスク材料には、第1の色変換材料504aが堆積されるべき場所に対応する開口部が含まれてもよい。第1の色変換材料504aが堆積され、硬化された後、フォトレジストは、第2の色変換材料504bが堆積されるべき場所に対応する開口部を形成するようにパターニングされてもよい。
【0070】
更なる実施形態では、図5Dおよび図5Eの中間構造は、図5Aの構造の共通陰極502上にエッチングストップ層508を形成することによって形成されてもよい。次いで、図5Dおよび図5Eに示すように、第1の色変換材料504aおよび第2の色変換材料504bを堆積させてもよい。エッチングストップ層508には、酸化シリコンまたは他の類似のエッチングストップ材料が含まれ得る。エッチングストップ層508の存在は、ダイフォトレジストがエッチングされるプロセスの間、共通陰極502を形成する透明導電性酸化物を保護することができる。
【0071】
図5Fおよび5Gの追加の代替的中間構造を形成する工程は、図5Aのダイ中間構造から図5Dおよび5Eの中間構造を形成するために使用される工程と同様であってよい。この点に関して、図5Fおよび5Gの中間構造の各々は、図5Aの共通陰極502上に形成された図5Dおよび5Eのエッチングストップ層508を含でもよい。図5Fおよび図5Gの中間構造には、キャビティ壁108によって境界を囲まれた光キャビティ106をさらに含まれてもよい。マイクロLED102が青色LEDからなる場合、青色サブピクセル上の光キャビティ106は未充填のままであってもよい。このように、図5Fおよび図5Gの中間構造は、図1B図1E図3L、および図4B図4Pの実施形態と類似していてもよい。
【0072】
開示された実施形態の前述の説明は、当業者が開示された実施形態を製造または使用できるようにするために提供される。これらの実施形態への様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することが可能である。したがって、本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、以下の請求の範囲、および本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図4P
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
【国際調査報告】