(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置の温度センサーの動作の検証
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20241018BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241018BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529360
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2021132394
(87)【国際公開番号】W WO2023092270
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ベッサン ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ペイネンブルグ ヨハネス ペトルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ステフェン ファブリス
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD20
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾルを、エアロゾル形成基体から発生するためのエアロゾル発生装置が開示される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱するための電気式ヒーター要素と、ヒーター要素へと連結され、かつヒーター要素の温度を感知するように構成された温度センサーと、ヒーター要素および温度センサーへと電力を供給するように構成された電源と、制御電子機器とを備える。制御電子機器は、ヒーター要素のインピーダンス値を測定し、測定したインピーダンス値を、温度センサーによって感知されるヒーター要素の温度から決定されるインピーダンスの値と相関し、そして相関に基づいてヒーター要素への電力の供給を制御するように構成される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置であって、
前記エアロゾル形成基体を加熱するための電気式ヒーター要素と、
前記ヒーター要素へと連結され、かつ前記ヒーター要素の前記温度を感知するように構成された温度センサーと、
前記ヒーター要素および前記温度センサーへと電力を供給するように構成された電源と、
制御電子機器と、を備え、
前記制御電子機器が、
前記ヒーター要素のインピーダンス値を測定し、
前記測定したインピーダンス値を、前記温度センサーによって感知された前記ヒーター要素の前記温度から決定されたインピーダンスの値と相関させ、かつ
前記相関に基づいて、前記ヒーター要素への前記電力の供給を制御するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記測定したインピーダンス値が、前記ヒーター要素に加えられた電圧および電流の測定値から導出される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記制御電子機器が、
前記測定したインピーダンス値を前記決定されたインピーダンス値と比較し、かつ
前記測定したインピーダンス値と前記決定されたインピーダンス値との間の差異の大きさが所定の閾値を超える場合に、前記ヒーター要素への前記電力の供給を低減または終結するように構成される、請求項1または2のいずれか一つに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
所定の閾値が、0.05オーム~1オーム、または0.05オーム~0.5オーム、または0.05オーム~0.2オーム、または0.1~0.15オームである、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記制御電子機器が、
前記測定したインピーダンス値を前記決定されたインピーダンス値と比較し、かつ
前記測定したインピーダンス値が、前記決定されたインピーダンス値の5%超、または前記決定されたインピーダンス値の2.5%超、または前記決定されたインピーダンス値の1%超、または前記決定されたインピーダンス値の0.5%超だけ、前記決定されたインピーダンス値と大きさが異なる場合、前記ヒーター要素への前記電力の供給を低減または終結するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記制御電子機器が、
前記測定したインピーダンス値を前記決定されたインピーダンス値と比較し、かつ
前記決定されたインピーダンス値が、前記測定したインピーダンス値の5%超、または前記測定したインピーダンス値の2.5%超、または前記測定したインピーダンス値の1%超、または前記測定したインピーダンス値の0.5%超だけ、前記測定したインピーダンス値と大きさが異なる場合、前記ヒーター要素への前記電力の供給を低減または終結するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記温度センサーが、前記ヒーター要素の前記温度に依存する比抵抗を有し、また前記制御電子機器が、前記温度センサーに関連付けられた電圧を測定するように構成され、前記電圧が、前記ヒーター要素の比抵抗に依存し、
前記制御電子機器が、予め構成されたデータを保存するメモリを備え、または前記予め構成されたデータを保存するメモリと通信可能に連結され、前記予め構成されたデータが、複数の電圧値および対応する複数の温度値を含み、
前記制御電子機器が、前記測定した電圧を前記予め構成されたデータと相関させ、かつ前記測定した電圧と前記予め構成されたデータとの前記相関に基づいて、前記ヒーター要素の前記温度を決定するようにさらに構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記制御電子機器が、前記ヒーター要素の前記決定された温度を前記ヒーター要素に対する目標温度と比較し、かつ前記ヒーター要素の前記決定された温度と前記ヒーター要素に対する前記目標温度との間のいかなる差異も低減するように、前記電源から前記ヒーター要素への前記電力の供給を調整するようにさらに構成される、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記温度センサーが抵抗器へと電気的に結合され、前記抵抗器が所定の温度範囲にわたる温度に対して実質的に不変の比抵抗を有し、前記温度センサーおよび前記抵抗器が抵抗分割回路の少なくとも一部を集合的に形成する、請求項7または請求項8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記温度センサーおよび前記ヒーター要素が、電気的に絶縁された基体層の対向する表面上に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記電気的に絶縁された基体層が、二つ以上の部分層を備える、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記電気的に絶縁された基体層が、第一の部分および第二の部分を備え、前記電気的に絶縁された基体層が、管状形状へと巻かれ、これにより前記ヒーター要素が、前記電気的に絶縁された基体層の前記第一の部分と第二の部分との間に配置される、請求項10または請求項11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記温度センサーが、前記電気的に絶縁された基体層の外向きに面する表面上に配置される、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記ヒーター要素が、別個の第一の電気的に絶縁された基体層と第二の電気的に絶縁された基体層との間に配置される、請求項10または請求項11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記温度センサーが、前記第二の電気的に絶縁された基体層と第三の電気的に絶縁された基体層との間に配置され、前記第一の電気的に絶縁された基体層、前記ヒーター要素、前記第二の電気的に絶縁された基体層、前記温度センサー、および前記第三の電気的に絶縁された基体層が、連続的に相互の上に置かれる、請求項14に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項16】
接着剤が、連続的な層の各々の間に提供される、請求項15に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項17】
前記温度センサーへのアクセスを提供するために、前記第三の電気的に絶縁された基体層の厚さを通して貫通穴が提供される、請求項15または請求項16のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項18】
エアロゾル発生装置の電気式ヒーター要素を制御する方法であって、前記エアロゾル発生装置が、前記ヒーター要素へと連結された温度センサーを備え、前記方法が、
前記ヒーター要素のインピーダンス値を測定することと、
前記測定したインピーダンス値を、前記温度センサーによって感知された前記ヒーター要素の前記温度から決定されたインピーダンスの値と相関させることと、
前記相関に基づいて、前記ヒーター要素への電力の供給を制御することと、を含む方法。
【請求項19】
前記ヒーター要素の前記インピーダンス値を前記測定することが、前記ヒーター要素に加えられる電圧および電流を測定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記測定したインピーダンス値を前記決定されたインピーダンス値と比較することと、
前記測定したインピーダンス値と前記決定されたインピーダンス値との間の差異の前記大きさが所定の閾値を超える場合に、前記ヒーター要素への前記電力の供給を低減または終結することをさらに含む、請求項18または請求項19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
所定の閾値が、0.05オーム~1オーム、または0.05オーム~0.5オーム、または0.05オーム~0.2オーム、または0.1~0.15オームである、請求項20に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項22】
前記測定したインピーダンス値を前記決定されたインピーダンス値と比較することと、
前記測定したインピーダンス値が、前記決定されたインピーダンス値の5%超、または前記決定されたインピーダンス値の2.5%超、または前記決定されたインピーダンス値の1%超、または前記決定されたインピーダンス値の0.5%超だけ、前記決定されたインピーダンス値と大きさが異なる場合、前記ヒーター要素への前記電力の供給を低減または終結することと、をさらに含む、請求項18~21のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
前記測定したインピーダンス値を前記決定されたインピーダンス値と比較することと、
前記決定されたインピーダンス値が、前記測定したインピーダンス値の5%超、または前記測定したインピーダンス値の2.5%超、または前記測定したインピーダンス値の1%超、または前記測定したインピーダンス値の0.5%超だけ、前記測定したインピーダンス値と大きさが異なる場合、前記ヒーター要素への前記電力の供給を低減または終結することと、をさらに含む、請求項18~21のいずれか一つに記載の方法。
【請求項24】
前記温度センサーが、前記ヒーター要素の前記温度に応じて比抵抗を有し、
前記方法が、
前記温度センサーに関連付けられた電圧を測定することであって、前記電圧が前記ヒーター要素の前記比抵抗に依存する、測定することと、
前記測定した電圧を、複数の電圧値および対応する複数の温度値を含む予め構成されたデータと相関させることと、
前記相関に基づいて前記ヒーター要素温度を決定することと、をさらに含む、請求項18~23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
前記ヒーター要素の前記決定された温度を、前記ヒーター要素に対する目標温度と比較することと、
前記ヒーター要素の前記決定された温度と前記ヒーター要素の前記目標温度との間のいかなる差異も低減するように、前記ヒーター要素への電力の供給を調整することと、をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置の温度センサーの正しい動作の検証に関する。反対に、本開示は、エアロゾル発生装置の温度センサーの間違った動作の検出にも関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体を燃焼ではなく、加熱することによって、エアロゾルを発生するエアロゾル発生装置は、知られている。こうしたエアロゾル発生装置は、使用セッションにわたってヒーター要素のための目標動作温度を定義する加熱プロファイルに従って制御される、電気式ヒーター要素を採用する。満足のいくユーザー体験を提供するためには、その温度が加熱プロファイルによって定義される目標動作温度を可能な限り正確に追跡するように、ヒーター要素を制御することは重要である。こうした正確な追跡は、ヒーター要素温度を、対応して正確に決定することを必要とする。知られているエアロゾル発生装置は、接着剤または類似の連結の手段によってヒーター要素へと連結されてもよい温度センサーを採用する。しかしながら、温度センサーとヒーター要素との間の連結の不具合は、ヒーター要素からの温度センサーの分離をもたらす場合がある。温度センサーの分離は、ヒーター要素の実際の温度より低い温度を感知する温度センサーをもたらすことになる。これらの状況では、温度センサーから伝えられる温度は、加熱プロファイルによってヒーター要素に対して定義された目標動作温度より低くなる可能性が高い。こうした知られているエアロゾル発生装置によって採用される制御方法は、温度センサーがヒーター要素の温度を正確に感知しているという仮定に基づく。そのため、制御方法は、分離した温度センサーからの予想されるより低い温度読み取り値に、ヒーター要素への電力の供給を増加することによって応答することになる。分離した温度センサーからの誤った読み取り値に基づく電力の供給の増加は、ヒーター要素の過熱だけでなく、エアロゾル発生装置の電源のより急速な枯渇をもたらす可能性が高いことになる。温度センサーの構造または動作に関連する他の障害は、温度センサーによって感知される温度と、ヒーター要素の温度などの検出されるべき実際の温度との間の逸脱につながる場合がある。
【0003】
したがって、エアロゾル発生装置の温度センサーの満足のいく動作を検証し、かつ/または不十分な動作を検出するための方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第一の態様によると、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱するための電気式ヒーター要素と、ヒーター要素へと連結され、かつヒーター要素の温度を感知するように構成された温度センサーと、ヒーター要素および温度センサーへと電力を供給するように構成された電源と、制御電子機器とを備える。制御電子機器は、ヒーター要素のインピーダンス値を測定し、測定したインピーダンス値を、温度センサーによって感知されるヒーター要素の温度から決定されるインピーダンスの値と相関し、そして相関に基づいてヒーター要素への電力の供給を制御するように構成される。
【0005】
i)測定したインピーダンス値と、ii)温度センサーによって感知されたヒーター要素の温度から決定されたインピーダンスの値との間の逸脱は、温度センサーの動作および/またはヒーター要素に対する温度センサーの位置付けの障害を示す場合がある。
【0006】
ヒーター要素は電気抵抗性のある発熱体であってもよい。一例として、ヒーター要素は、一つ以上の加熱トラックを備えてもよい。加熱トラックは、好ましくは、約50マイクロメートル、または好ましくは約25マイクロメートルの厚さを有するステンレス鋼から作製されてもよい。別の方法として、加熱トラックは、約50.8マイクロメートル、または約25.4マイクロメートルの厚さを有するインコネルから作製されてもよい。さらに別の方法では、加熱トラックは、約35マイクロメートルの厚さを有する銅から、または約25マイクロメートルの厚さを有するコンスタンタンから、または約12マイクロメートルの厚さを有するニッケルから、または約25マイクロメートルの厚さを有する真鍮から作製されてもよい。
【0007】
温度センサーは、Pt100またはPt1000温度センサーなどの抵抗温度検出器であってもよい。しかしながら、他の形態の温度センサー/抵抗温度検出器が採用されてもよい。
【0008】
測定したインピーダンス値は、ヒーター要素に印加される電圧および電流の測定値から導出されてもよい。
【0009】
この段落は、どのようにして測定したインピーダンス値を、温度センサーによって感知されたヒーター要素の温度から決定されるインピーダンスの値と相関しうるかの例示的な例証を提供する。ヒーター要素が電気抵抗ヒーター要素であり、そして誘導の態様が存在しない場合、ヒーター要素のインピーダンスは、その抵抗に類似していると見なされる場合があり、このシナリオでは、インピーダンスおよび抵抗という用語は互換的に使用される場合がある。電流I
ヒーター、および電圧V
ヒーターがヒーター要素へと印加される場合、ヒーター要素のインピーダンスまたは抵抗R
ヒーターは、以下のように電流および電圧に関連する場合がある。
【数1】
【0010】
インピーダンスまたは抵抗Rヒーターは、電圧Vヒーターおよび電流Iヒーターの情報または測定を通して間接的に測定されてもよい。
【0011】
電気抵抗性ヒーター要素のインピーダンスまたは抵抗R
ヒーターは、ヒーター要素の温度に関連する場合がある。その結果、ヒーター要素のインピーダンスまたは抵抗R
ヒーターはまた、以下のようにも表現される。
【数2】
【0012】
上記の式2における項は、以下の意味を有する。Tは、温度センサーによって感知されたヒーター要素の温度を表し、R0は、ゼロの値を有する温度Tにおけるヒーター要素の抵抗を表し、「定数」は、その値がエアロゾル発生装置で使用される特定のヒーター要素(例えば、ヒーター要素が作製される材料)の特性に依存し、また典型的にヒーター要素の製造者によって供給される数値定数である。
【0013】
温度センサーが正しく位置付けられ、かつ正しく機能する第一のシナリオでは、式1によって提供されるインピーダンスまたは抵抗Rヒーターは、式2によって提供される値と同じまたは非常に近い値であることが予想されることになる。しかしながら、温度センサーの位置付けまたは動作の障害の場合には、両方の式によって提供されるインピーダンスまたは抵抗の値Rヒーターの間に不一致が発生することになる。このようにして、i)ヒーター要素の測定したインピーダンス値と、ii)温度センサーによって感知されたヒーター要素の温度から決定されたインピーダンスの値との間の相関をどのように使用して、温度センサーが正しく位置付けられ、かつ正しく機能しているかどうかの表示を提供しうるかがわかる。
【0014】
好ましくは、制御電子機器は、測定したインピーダンス値を決定されたインピーダンス値と比較するように構成されてもよい。制御電子機器はまた、測定したインピーダンス値と決定されたインピーダンス値との間の差異の大きさが所定の閾値を超える場合にも、ヒーター要素への電力の供給を低減または終結するように構成されてもよい。このようにして、制御電子機器は、測定したインピーダンス値の決定されたインピーダンス値との相関が許容できない程度の逸脱を示す場合、是正措置を取ってもよい。是正措置は、ヒーター要素の過熱の可能性を低減するのに役立つ場合がある。さらに、是正措置はまた、電源がエネルギーを早期に枯渇させるリスクを低減するのにも役立つ場合がある。
【0015】
好都合なことに、所定の閾値は、0.05オーム~1オーム、または0.05オーム~0.5オーム、または0.05オーム~0.2オーム、または0.1~0.15オームであってもよい。温度センサーの位置付けまたは動作における潜在的な障害を検出するために望ましい感度の程度に応じて、所定の閾値に対して他の値が選択されてもよい。
【0016】
測定したインピーダンス値と決定されたインピーダンス値との間の差異は、ヒーター要素の実際の温度と温度センサーによって感知された温度との間の差異の表示である場合がある。その結果、所定の閾値の大きさは、温度センサーによって感知された温度と実際の温度との間の許容可能な最大の逸脱と見なされるものに対応するように設定されてもよい。
【0017】
制御電子機器は、測定したインピーダンス値を決定されたインピーダンス値と比較するように構成されてもよい。制御電子機器はまた、測定したインピーダンス値が、決定されたインピーダンス値の5%超、または決定されたインピーダンス値の2.5%超、または決定されたインピーダンス値の1%超、または決定されたインピーダンス値の0.5%超だけ、決定されたインピーダンス値と大きさが異なる場合、ヒーター要素への電力の供給を低減または終結するように構成されてもよい。別の方法として、制御電子機器は、決定されたインピーダンス値が、測定したインピーダンス値の5%超、または測定したインピーダンス値の2.5%超、または測定したインピーダンス値の1%超、または測定したインピーダンス値の0.5%超だけ、測定したインピーダンス値と大きさが異なる場合、ヒーター要素への電力の供給を低減または終結するように構成されてもよい。
【0018】
有利なことに、温度センサーは、ヒーター要素の温度に依存して比抵抗を有してもよく、また制御電子機器は、温度センサーに関連付けられた電圧を測定するように構成され、電圧はヒーター要素の比抵抗に依存する。制御電子機器は、予め構成されたデータを保存するメモリを備えてもよい、または予め構成されたデータを保存するメモリと通信可能に連結されてもよく、予め構成されたデータは、複数の電圧値および対応する複数の温度値を含む。制御電子機器は、測定した電圧を予め構成されたデータと相関させ、そして測定した電圧と予め構成されたデータとの相関に基づいて、ヒーター要素の温度を決定するようにさらに構成されてもよい。測定した電圧と予め構成されたデータとの間のこの相関から結果としてもたらされた決定されたヒーター要素温度は、温度センサー(上記の式2の温度Tに対応する)によって感知されるヒーター要素の温度を表すとして使用されてもよい。
【0019】
測定した電圧の、電圧および対応する温度値の予め構成されたデータとの相関は、測定した電圧に対応するヒーター要素温度を、低減された演算の負荷および複雑さで決定することを可能にする場合がある。
【0020】
予め構成されたデータは、ルックアップテーブルの形態であってもよい。ルックアップテーブルは、複数の電圧値および対応する複数の温度値を含んでもよい。制御電子機器は、測定した電圧を、測定した電圧に大きさが最も近いルックアップテーブル内の電圧値、およびその電圧値に対応するルックアップテーブル内の温度値に関連付けるように構成されてもよい。次いで、制御電子機器は、測定した電圧に関連付けられたルックアップテーブル内の温度値をヒーター要素の決定された温度として使用してもよい。このようにして、制御電子機器は、ヒーター要素の温度を効率的に決定する場合がある。
【0021】
有利なことに、制御電子機器はまた、ヒーター要素の決定された温度を、ヒーター要素に対する目標温度と比較するようにも構成される場合がある。制御電子機器は、ヒーター要素の決定された温度とヒーター要素に対する目標温度との間のいかなる差異も低減するように、電源からヒーター要素への電力の供給を調整するようにさらに構成される場合がある。このようにして、ヒーター要素温度は、ヒーター要素に対する目標温度をより良好に追跡する場合がある。この比較を実施するために、フィードバックループまたは類似の手段が採用されてもよい。
【0022】
制御電子機器は、加熱プロファイルが、使用セッションにわたってヒーター要素に対する目標温度を定義する、加熱プロファイルに従って、ヒーター要素への電力の供給を制御するように構成されることが好ましい。加熱プロファイルは、制御電子機器の一部を形成する、または制御電子機器に通信可能に連結されたメモリ内に保存されてもよく、このメモリは、電圧値および温度値の予め構成されたデータを保存するメモリと同じであってもよく、または異なってもよい。
【0023】
温度センサーは、抵抗器に電気的に結合されてもよく、抵抗器は、所定の温度範囲にわたる温度に対して実質的に不変の比抵抗を有する。温度センサーおよび抵抗器は、抵抗分割回路の少なくとも一部を集合的に形成してもよい。所定の温度範囲は、摂氏0度~摂氏425度、または摂氏0度~摂氏400度、または摂氏0度~摂氏375度であってもよい。所定の温度範囲にわたって温度に対して実質的に不変である非抵抗は、所定の温度範囲にわたって15%以下だけ、または10%以下だけ、または5%以下だけ変化する比抵抗に対応することが好ましい。
【0024】
温度センサーおよびヒーター要素は、電気的に絶縁された基体層の対向する表面上に配置されてもよい。電気的に絶縁された基体層は、ポリイミドから作製されてもよい。電気的に絶縁された基体層は、摂氏220度~摂氏320度、好ましくは摂氏240度~摂氏300度、好ましくはおおよそ摂氏約280度に耐えるように構成されてもよい。電気的に絶縁された基体層は、Pyraluxから作製されてもよい。電気的に絶縁された基体層は可撓性であってもよく、可撓性基体層は、層を望ましい形へと巻くまたは形成することができるという利点を有し、一例として、望ましい形は、管状形状であってもよい。電気的に絶縁された基体層は、二つ以上の部分層を備えてもよい。好ましくは、電気的に絶縁された基体層は、第一の部分および第二の部分を備えてもよく、電気的に絶縁された基体層は、ヒーター要素が電気的に絶縁された基体層の第一の部分と第二の部分との間に配置されるように管状形状へと巻かれる。好都合なことに、温度センサーは、電気的に絶縁された基体層の外向きに面する表面上に配置されてもよい。
【0025】
ヒーター要素は、別個の第一の電気的に絶縁された基体層と第二の電気的に絶縁された基体層との間に配置されてもよい。温度センサーは、第二の電気的に絶縁された基体層と第三の電気的に絶縁された基体層との間に配置されてもよい。第一の電気的に絶縁された基体層、ヒーター要素、第二の電気的に絶縁された基体層、温度センサー、および第三の電気的に絶縁された基体層は、相互の上に連続的に置かれてもよい。好都合なことに、接着剤は、連続的な層の各々の間に提供されてもよい。貫通穴は、温度センサーへのアクセスを提供するために、第三の電気的に絶縁された基体層の厚さを通して提供されてもよい。第一の電気的に絶縁された基体層、第二の電気的に絶縁された基体層、および第三の電気的に絶縁された基体層は、同じ電気絶縁材料、例えば、先行する段落に記述されるようなポリイミドから作製されてもよく、または異なる電気絶縁材料から作製されてもよい。
【0026】
本開示の第二の態様では、エアロゾル発生装置の電気式ヒーター要素を制御する方法が提供され、エアロゾル発生装置は、ヒーター要素へと連結された温度センサーを備える。方法は、ヒーター要素のインピーダンス値を測定することと、測定したインピーダンス値を、温度センサーによって感知されたヒーター要素の温度から決定されたインピーダンスの値と相関させることと、相関に基づいてヒーター要素への電力の供給を制御することと、を含む。
【0027】
ヒーター要素のインピーダンス値の測定は、ヒーター要素に加えられる電圧および電流の測定を含んでもよい。
【0028】
好ましくは、方法は、測定したインピーダンス値を決定されたインピーダンス値と比較することをさらに含んでもよい。さらに、方法はまた、測定したインピーダンス値と決定されたインピーダンス値との間の差異の大きさが所定の閾値を超える場合に、ヒーター要素への電力の供給を低減または終結することも含んでもよい。
【0029】
好都合なことに、所定の閾値は、0.05オーム~1オーム、または0.05オーム~0.5オーム、または0.05オーム~0.2オーム、または0.1~0.15オームであってもよい。
【0030】
方法は、測定したインピーダンス値を決定されたインピーダンス値と比較することをさらに含んでもよい。方法はまた、測定したインピーダンス値が、決定されたインピーダンス値の5%超、または決定されたインピーダンス値の2.5%超、または決定されたインピーダンス値の1%超、または決定されたインピーダンス値の0.5%超だけ、決定されたインピーダンス値と大きさが異なる場合、ヒーター要素への電力の供給を低減または終結することも含んでもよい。別の方法として、方法は、決定されたインピーダンス値が、測定したインピーダンス値の5%超、または測定したインピーダンス値の2.5%超、または測定したインピーダンス値の1%超、または測定したインピーダンス値の0.5%超だけ、測定したインピーダンス値と大きさが異なる場合、ヒーター要素への電力の供給を低減または終結することも含んでもよい。
【0031】
有利なことに、温度センサーは、ヒーター要素の温度に依存する比抵抗を有してもよい。方法は、温度センサーに関連付けられた電圧を測定することであって、電圧がヒーター要素の比抵抗に依存する、電圧を測定することと、測定した電圧を、複数の電圧値および対応する複数の温度値を含む予め構成されたデータと相関させることと、相関に基づいて、ヒーター要素温度を決定することと、をさらに含んでもよい。
【0032】
有利なことに、方法は、ヒーター要素の決定された温度をヒーター要素に対する目標温度と比較することと、ヒーター要素の決定された温度とヒーター要素に対する目標温度との間のいかなる差異も低減するように、ヒーター要素への電力の供給を調整することと、をさらに含んでもよい。
【0033】
有利なことに、方法は、ヒーター要素の決定された温度をヒーター要素に対する目標温度と比較することと、ヒーター要素の決定された温度とヒーター要素に対する目標温度との間のいかなる差異も低減するように、ヒーター要素への電力の供給を調整することと、をさらに含んでもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用して、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙物品のためのホルダーであってもよい。エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であることが好ましい。エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接吸入可能なニコチン含有エアロゾルを発生する喫煙物品であることがより好ましい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを発生するために、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成材料から成る、またはそれを含む基体を意味する。
【0036】
エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体であることが好ましい。しかしながら、エアロゾル形成基体は、固体構成成分と液体構成成分との両方を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体であってもよい。
【0037】
エアロゾル形成基体は、ニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、たばこを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は、非たばこ含有エアロゾル形成材料を含んでもよい。
【0038】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎、膨化たばこ、および均質化したたばこのうちの一つ以上を含有する、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、撚糸、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0039】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、たばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよく、これらは固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば、追加的なたばこ揮発性風味化合物または非たばこ揮発性風味化合物を含む一つ以上のカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶融してもよい。
【0040】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、撚糸、細片、またはシートの形態を取ってもよい。固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は、担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または代替的に、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含む。本明細書で使用される場合、「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を指す。
【0042】
エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料のシートの集合体を含むことが好ましい。本明細書で使用される場合、「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状要素を指す。本明細書で使用される場合、「集合した」という用語は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して実質的に横断方向で巻き込みされ、折り曲げられ、または別の方法で圧縮もしくは締め付けられたシートを記述するために使用される。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体を含むことが好ましい。本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつエアロゾル発生物品の動作温度において熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な知られている化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。
【0043】
適切なエアロゾル形成体は当技術分野で知られており、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、そして最も好ましくはグリセリンなど)である。
【0044】
エアロゾル形成基体は、単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0045】
本明細書で使用される場合、「使用セッション」という用語は、ユーザーが一連の吸煙を適用して、エアロゾル形成基体からエアロゾルを抽出する期間を指す。使用セッションは、有限の使用セッション、すなわち開始および終了を有する使用セッションであってもよい。時間によって測定したときに使用セッションの持続時間は、使用セッション中の使用によって影響を受ける場合がある。使用セッションの持続時間は、使用セッションの開始からの最長時間によって決定される最長持続時間を有してもよい。一つ以上のモニターされたパラメータが、使用セッションの開始からの最長時間の前に所定の閾値に到達する場合、使用セッションの持続時間は、最長時間より短くてもよい。一例として、一つ以上のモニターされたパラメータは、i)使用セッションの開始以来、ユーザーによって吸い込まれた一連の吸煙の累積吸煙数、およびii)使用セッションの開始以来、エアロゾル形成基体から発せられたエアロゾルの累積体積のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0046】
本発明は、特許請求の範囲で定義される。しかしながら、下記に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供する。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記述される別の実施例、実施形態、または態様のうちの任意の一つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。
【0047】
ここで、図を参照しながら、実施例をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、を備える。
【
図2】
図2は、管状形状へと丸められる前の、
図1のエアロゾル発生装置の加熱組立品の第一の実施形態の構成要素を示す。
【
図3】
図3は、管状形状へと丸められた後の、
図2の加熱組立品の軸方向断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図1のエアロゾル発生装置のコントローラが、装置の発熱体へと電流I
ヒーターおよび電圧V
ヒーターを印加するように、装置の電源からの電力の供給をどのように制御するかを示す。
【
図5】
図5は、エアロゾル発生装置の加熱組立品の温度センサーに関連付けられた電圧Vを、どのようにして測定するかを図示する。
【
図6】
図6は、温度センサーに関連付けられた電圧Vが温度によってどのように変化しうるかの実施例を示すグラフ表現を提供する。
【
図7】
図7は、電圧および温度センサーの対応する温度値の予め構成されたルックアップテーブルの例示的な表現を示し、また温度センサーに関連付けられた測定した電圧が、ヒーター要素温度の決定を可能にするために予め構成されたデータとどのように相関しうるかを視覚的に表示する。
【
図8】
図8は、概念上の使用セッションにわたる、装置の発熱体のインピーダンスまたは抵抗と、発熱体の温度との間の相関の例示的な表現を図示する。
【
図9】
図9は、i)発熱体の測定したインピーダンスと、ii)温度センサーによって感知される発熱体の温度から決定された発熱体のインピーダンスとの両方の、時間による変動の例示的な表現を示す。
【
図10】
図10は、
図1のエアロゾル発生装置で使用するために適切な加熱組立品の第二の実施形態の半径方向断面図を示す。
【
図11】
図11は、
図1のエアロゾル発生装置で使用するために適切な加熱組立品の第三の実施形態の半径方向断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
上記の図は概略的な表現であり、また実寸に比例していないことが理解されるべきである。
【0050】
図1は、エアロゾル発生装置10と、エアロゾル形成基体51を含有するエアロゾル発生物品50との組み合わせによって形成されるエアロゾル発生システム1を示す。エアロゾル発生装置10は、電源12と、コントローラ13と、加熱組立品14と、を含有する細長いハウジング11を有する。コントローラ13は、マイクロプロセッサおよび関連する制御電子機器を含む。電源12は、再充電可能電池の形態の再充電可能電源である。加熱組立品14は、概して管状の形態であり、またエアロゾル発生装置10の空洞15の管状壁を取り囲む。管状加熱組立品14は、抵抗発熱体141および温度センサー142を含む様々な構成要素で形成される(
図2および
図3を参照のこと)。加熱組立品14の構造は、
図2および
図3を参照することによって、後続の段落でより詳細に記述される。
【0051】
図2は、管状の形態へと丸められる前の加熱組立品14の第一の実施形態の図を示す。
図2に示す状態については、加熱組立品14は、概して平面状の形態を有する。加熱組立品14は、基体層143を有する。基体層143は、電気絶縁性である。これらの図に示され、かつ記述される実施例については、基体層143はポリイミドから作製されるが、代替的な電気絶縁材料が基体層143のために選ばれてもよい。基体層143は、可撓性である。基体層143は、相互に隣接して位置する第一の部分144および第二の部分145を有し、
図2の破線は、基体層143の第一の部分144と第二の部分145との間の界面を表す。基体層143の長さLは、基体層143の幅Wのおよそ二倍である。
【0052】
発熱体141は、電気抵抗発熱体であり、また複数の導電性加熱トラック(図示せず)を備えるシートとして提供される。発熱体141は、基体層143の第一の部分144上に配設される。第一の発熱体接触領域146aおよび第二の発熱体接触領域146bは、発熱体141に隣接し、かつ発熱体141と電気的に連結された第一の部分144上に配設される。第一の電気接点131aは、第一の発熱体接触領域146aに接触して提供される。第二の電気接点131bは、第二の発熱体接触領域146bに接触して提供される。第一の電気接点131aおよび第二の電気接点131bは、電線から形成され、そしてコントローラ13へと連結される。コントローラ13は、第一の電気接点131aと第一の発熱体接触領域146aとの間の接触を通して、そしてまた第二の電気接点131bと第二の発熱体接触領域146bとの間の接触も通して、発熱体141へと連結される。
図1に示すように、コントローラ13はまた、電源12にも連結される。それによって、コントローラ13は、発熱体141の導電性トラックへの、そして導電性トラックを通る電流の供給を制御することができる。
【0053】
第一の温度センサー接触領域147aおよび第二の温度センサー接触領域147bは、基体層143の第二の部分145上に配設される。第三の電気接点131cは、第一の温度センサー接触領域147aに接触して提供される。第四の電気接点131dは、第二の温度センサー接触領域147bに接触して提供される。第三の電気接点131cおよび第四の電気接点131dは、電線から形成され、そしてコントローラ13へと連結される。第三および第四の温度センサー接触領域147c、147dは、基体層143の第二の部分145の表面上に配設される。第三の温度センサー接触領域147cは、第一の温度センサー接触領域147aに電気的に接続される。第四の温度センサー接触領域147dは、第二の温度センサー接触領域147bに電気的に接続される。温度センサー142は、第三の温度センサー接触領域147cと第四の温度センサー接触領域147dとの間に連結される。温度センサー142は、Pt100またはPt1000温度センサーなどの抵抗温度検出器である。しかしながら、他の実施形態では、他の形態の温度センサー/抵抗温度検出器が採用されてもよい。
【0054】
図2の加熱組立品14は、
図3に示すように、管状形状へと丸められ、そして管16の周りに巻かれる。管16の長軸方向軸LAは、
図3については、紙面の中へ/紙面から外へと延び、基体層143の幅Wで、長軸方向軸LAに平行に延びる。管16は、エアロゾル発生装置10の空洞15の管状壁を画定する。管16は、ステンレス鋼などの金属で形成される。しかしながら、他の実施形態では、管16用に他の金属または材料が選ばれてもよい。加熱組立品14は、管16の周りに巻かれ、これにより基体層143の第一の部分144は、管の外表面に接触する。加熱組立品14の基体層143は、それ自体の外側に巻かれ、これにより基体層143の第二の部分145は、管状加熱組立品14の外向きに面した表面を画定し、発熱体141を第一の部分144と第二の部分145との間に挟む。
【0055】
図3には示されていないが、基体層143と管16との間の接続を改善するために、糊の層または接着剤層が、基体層143の第一の部分144と金属管16との間に提供されてもよい。さらなる糊の層または接着剤層が、基体層143の第一の部分144と基体層143の第二の部分145との間に提供されてもよい。
【0056】
加熱組立品14が
図3に示す管状形状へと形成されると、温度センサー142は、基体層143の第二の部分145の外向きに面した表面上に位置付けられる。温度センサー142は、発熱体の長さL
141の中点に対応する位置において発熱体141に隣接して配設されるが、基体層143の第二の部分145の厚さだけ発熱体141から距離を置いている。このようにして、温度センサー142は、発熱体141へと熱的に連結され、かつエアロゾル発生装置10の加熱組立品14の動作中に発熱体141の最も高温のエリアを測定するように位置付けられる。
【0057】
エアロゾル発生物品50は、管状加熱組立品14が物品50のエアロゾル形成基体51の全長を実質的に囲むように、空洞15の中へと挿入される。コントローラ13は、電気配線によって電源12および加熱組立品14へと連結される。コントローラ13は、エアロゾル発生装置10の使用セッションのための加熱プロファイルを含有するメモリモジュール131を含む。加熱プロファイルは、発熱体141に対する目標動作温度を使用セッションにわたって定義する。使用時に、コントローラ13は、メモリモジュール131内に保存された加熱プロファイルに従って、電源12から発熱体141への電気エネルギーの供給を制御する。発熱体141は、空洞15内に受容されたエアロゾル発生物品50のエアロゾル形成基体51を加熱し、そしてそれによって吸入可能なエアロゾルを発生するように、コントローラ13の制御下で動作する。ユーザーは、エアロゾル形成基体51の加熱によって発生したエアロゾルを吸入するために、エアロゾル発生物品50の口側端52を直接的に吸う。
【0058】
より具体的には、コントローラ13は、発熱体の両側に電圧V
ヒーターを、そしてヒーター要素を通して電流I
ヒーターを印加するように、電源12から発熱体141への電気エネルギーの供給を制御する。これを、
図4で概略的に示す。発熱体141は電気抵抗性のある発熱体であり、また発熱体141には誘導の態様が存在しないか、または無視できる程度であるため、発熱体のインピーダンスは、その抵抗R
ヒーターと類似していると見なされてもよい。コントローラ13は、発熱体に印加される電圧V
ヒーターおよび電流I
ヒーターの情報に基づいて、発熱体141のインピーダンスまたは抵抗R
ヒーターを測定する。コントローラ13はそれ自体、発熱体141に印加される電圧V
ヒーターおよび電流I
ヒーターを測定してもよい。発熱体141のインピーダンスまたは抵抗R
ヒーターは、以下の方程式に従って、電圧V
ヒーターおよび電流I
ヒーターに関連する。
【数3】
【0059】
図5に示すように、温度センサー142は、抵抗器149へと連結される。温度センサー142は、抵抗器149と直列に連結される。抵抗器149は、メモリモジュール131に保存される加熱プロファイルで定義される発熱体141に対する目標動作温度の範囲にわたって実質的に不変である既知の比抵抗を有する。対照的に、温度センサー142の比抵抗は、温度で変化する。抵抗と温度との間の関係は、温度センサー142について既知であり、こうしたデータは、温度センサーの製造者/供給者によって提供される場合がある。コントローラ13は、
図5に示すように、電圧V
Tを印加するように、電源12からの電気エネルギーの供給を制御し、それによって、抵抗器149を通る電流の流れIを引き起こす。コントローラ13はまた、温度センサー142に関連付けられた電圧Vを測定するようにも構成される(
図5を参照のこと)。
図5に図示した実施例について、測定される関連付けられた電圧Vは、温度センサー142の両側の電圧である。下記の式に示すように、温度センサー142の測定した電圧Vおよび抵抗R
142と、抵抗器149の既知の抵抗R
149との間の関係は以下の通りである。
【数4】
【0060】
そのため、電圧VおよびVT、ならびに抵抗器149の温度不変抵抗R149を知ることによって、温度センサー142の抵抗R142が決定される場合がある。次に、温度センサー142についての抵抗R142と温度との間の関係の情報は、温度センサー142の測定した電圧値Vを温度と相関させる予め構成されたデータを定式化することが可能であることを意味する。
【0061】
図6は、温度センサー142の測定した電圧Vと温度との間の例示的な相関を図示する。
【0062】
図7に示すように、予め構成されたデータは、複数の電圧値V
i、および対応する温度値T
iから成るルックアップテーブルの形態で提供される。コントローラ13のメモリモジュール131は、この予め構成されたデータを保存する。
【0063】
エアロゾル発生装置10の動作中、コントローラ13は、電圧V(
図5に示すように)を測定し、そしてその後、測定した電圧Vを、メモリモジュール131内に保存されたルックアップテーブルと相関させる。
図7に図示するように、測定した電圧Vは、測定した電圧の値に大きさが最も近いルックアップテーブル内の電圧値、この実施例では、電圧値V
4と適合される。ルックアップテーブルに基づいて、コントローラ13は、発熱体141温度が、電圧値V
4に対応するルックアップテーブル内の温度値T
4になると決定する。このようにして、コントローラ13は、コントローラ13によって測定される電圧Vを、電圧値V
iおよび対応する温度値T
iのルックアップテーブルと相関させることによって、発熱体141温度を決定することができる。決定された発熱体141の温度は、温度センサー142によって感知された温度と呼ばれてもよい。
【0064】
次いで、コントローラ13は、決定された発熱体141の温度を発熱体製造者によって提供される情報と組み合わせて使用して、以下の方程式に従って発熱体141のインピーダンスまたは抵抗R
ヒーター(T)の別個の決定を行う。
【数5】
【0065】
上記の式5における項は、以下の意味を有する。Tは、決定された発熱体温度を表し、R
0は、ゼロの値を有する温度Tでの発熱体141の抵抗を表し、「定数」は、その値がエアロゾル発生装置10で採用される特定の発熱体(例えば、発熱体141が作製される材料)の特性に依存し、また発熱体の製造者によって供給される数値定数である。上記の式は、発熱体141の電気抵抗性のあるトラックのインピーダンスまたは抵抗と、発熱体の温度との間に存在する相関の例示である。
図8は、概念的な使用セッションにわたる、発熱体141の電気抵抗性トラックのインピーダンスまたは抵抗と、発熱体の温度との間の相関の例示的な表現を図示する。分かるように、発熱体141のインピーダンスまたは抵抗は、発熱体の温度の変化を忠実に追跡する。
【0066】
コントローラ13は、測定したインピーダンス値Rヒーター(式3に対応する)を、決定されたインピーダンス値Rヒーター(T)(式5に対応する)と比較する。これらの二つのインピーダンス値間の差異の大きさが0.1オームの所定の閾値より大きい場合、コントローラ13は発熱体141への電力の供給を低減する。0.1オームの所定の閾値を超えることは、温度センサー142の動作、または発熱体141に対する温度センサー142の位置付けに障害がある場合があるというインジケータとして取られる。例えば、温度センサー142が加熱組立品14から分離した状態になる場合、所定の閾値を超える場合がある。記述される実施形態については、コントローラ13によって0.1オームの所定の閾値が使用されるが、代替的な実施形態では、所定の閾値に対してより高いまたはより低い値が使用されてもよい。さらなる代替的な実施形態では、コントローラ13は、決定されたインピーダンス値の1%超だけ、決定されたインピーダンス値Rヒーター(T)(式5に対応する)と大きさが異なる、測定したインピーダンス値Rヒーター(式3に対応する)に応じて、発熱体141への電力の供給を低減または終結するように構成される。なおさらなる実施形態では、コントローラ13は、測定したインピーダンス値の1%超だけ、測定したインピーダンス値Rヒーター(式3に対応する)と大きさが異なる、決定されたインピーダンス値Rヒーター(T)(式5に対応する)に応じて、発熱体141への電力の供給を低減または終結するように構成される。より高いまたはより低いパーセンテージレベルがコントローラ13によって採用されてもよい。
【0067】
図9は、電力が発熱体141へと供給された時の、測定したインピーダンスR
ヒーター(式3に対応する)、および温度センサーによって感知される発熱体141の温度から決定されたものとしてのインピーダンスR
ヒーター(T)(式5に対応する)の、時間に対する変動の例示的な概略表現を示す。温度センサー142が正しく位置付けられ、かつ正しく機能している場合、インピーダンスの両方の測定値のプロットは概して重なり、これは
図9の点Aと点Bとの間の領域によって表される。
図9の点Bは、温度センサー142が加熱組立品14から部分的に分離した状態になる事象に対応する。この時点から先では、コントローラ13が介在しなかった場合、二つのインピーダンスプロットの漸進的な逸脱になることになり、この逸脱を
図9に示す。二つのインピーダンスプロットでの逸脱は、温度センサー142の分離に起因して生じ、ヒーター要素141の実際の温度より低いセンサー感知温度をもたらすことになる。しかしながら、エアロゾル発生装置10のコントローラ13の構成は、逸脱が0.1オームの所定の閾値を超えた時に発熱体141への電力の供給を低減することによって、この逸脱を回避および/または制限する。さらなる実施形態では、コントローラ13は、逸脱が臨界の所定の閾値を超える場合、または発熱体141への電力の供給を低減する行為が逸脱を低減しない場合、発熱体141への電力の供給を終結する。
【0068】
図10は、加熱組立品14’の第二の実施形態の半径方向断面図を示す。
図3の加熱組立品14については、
図10の加熱組立品14’は、完全に組み立てられると管状である。しかしながら、
図2および
図3の加熱組立品14が、電気絶縁材料の単一の基体層143を使用する一方で、
図10の加熱組立品14’は、電気絶縁材料の別個の第一の基体層143aおよび第二の基体層143bを採用する。別個の電気的に絶縁された基体層143a、143bは両方ともポリイミドから作製されるが、他の実施形態では、基体層143a、143bに対して他の材料が選ばれてもよい。加熱組立品14’は、第一の加熱部分組立品1401を第二の加熱部分組立品1402と組み合わせることによって作製される。
【0069】
第一の電気的に絶縁された基体層143a、第一の接着剤層31、および発熱体141のトラックは、第一の加熱部分組立品1401を形成するために相互の上に逐次的に置かれる。
【0070】
第二の接着剤層32、第二の電気的に絶縁された基体層143b、第三の接着剤層33、および温度センサー142は、第二の加熱部分組立品1402を形成するために相互の上に逐次的に置かれる。
【0071】
第一の加熱部分組立品1401および第二の加熱部分組立品1402は、一緒になって、かつ第二の接着剤層32の接着剤作用によって相互に接着し、それによって、加熱組立品14’を形成する。
【0072】
加熱組立品14’は、ステンレス鋼管16の周りに巻かれ、そしてそれらの間の第四の接着剤層34の使用によって、ステンレス鋼管16へと接着する。
【0073】
図10は、長軸方向軸LAに対して、加熱組立品14’を形成する層の各々の相対的な位置を図示する。
【0074】
図10は、加熱組立品14’を形成する個別の層の各々だけでなく、管16の例示的な厚さも示す。これらの要素の各々の厚さは、以下の通りである:管16は、100マイクロメートルの厚さであり、第一の電気的に絶縁された基体層143aおよび第二の電気的に絶縁された基体層143bは各々、25マイクロメートルの厚さであり、第一の接着剤層31、第二の接着剤層32、第三の接着剤層33、および第四の接着剤層34は、5マイクロメートルの厚さであり、発熱体141は、40マイクロメートルの厚さであり、そして温度センサー142は、50マイクロメートルの厚さである。
【0075】
図11は、加熱組立品14”の第三の実施形態の図を示す。
図11の加熱組立品14”は、
図10の加熱組立品14’のすべての特徴を含むが、追加的に、別個の第三の電気絶縁材料の基体層143cを含む。別個の第一の基体層143aおよび第二の基体層143bと共通して、第三の基体層143cはポリイミドから形成されるが、他の実施形態では、基体層143cに対して他の材料が選ばれてもよい。第三の基体層143c(25マイクロメートルの厚さである)は、第五の接着剤層35(5マイクロメートルの厚さである)の使用によって温度センサー142の外側に適用される。しかしながら、温度センサー142をコントローラ13へと電気的に連結することを可能にするように、第三の基体層143cの厚さを通して貫通穴41が提供される。第三の基体層143cはまた、断熱性でもあり、断熱性の特性は、エアロゾル発生装置10を保持する時に、ユーザーの指が過度に高い温度に曝露される可能性を低減するのに役立つ。
【0076】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的については、別段の表示がない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数は、すべての事例において「約」という用語によって修飾されることが理解される。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数「A」は「A」±「A」の10%として理解される。この文脈内で、数「A」は、数「A」が修飾する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数「A」は、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによって「A」が逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】